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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A63F7/02 308F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022113506
(22)【出願日】2022-07-14
(65)【公開番号】P2024011496
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】赤羽根 圭一朗
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220867(JP,A)
【文献】特開2005-007003(JP,A)
【文献】特開2007-037739(JP,A)
【文献】特開2008-307324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部に回転可能に支持された操作部とを有するハンドルを備え、該ハンドルにおける前記操作部の回転量に応じて、遊技領域に向けた遊技球の発射強度が変化するよう構成された遊技機において、
前記ハンドルは、第1の操作形態において遊技者の右手で把持した操作に適するよう構成されると共に、第2の操作形態において遊技者の左手で把持した操作に適するよう構成されており、
前記第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において、前記操作部の上部側を奥側に変位するよう当該操作部を回転操作することにより遊技球を発射可能に構成されて、当該第1の操作形態での操作部の回転量に応じた発射強度の変化と、当該第2の操作形態での操作部の回転量に応じた発射強度の変化とが等しくなるよう構成されると共に、
前記第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において、前記操作部の回転操作を解除することにより、当該操作部の上部側が手前側に変位するよう回転して初期位置に復帰するよう構成され、
前記操作部を回転操作した状態で遊技球の発射を停止可能な発射停止ボタンを複数備えるよう構成されると共に、
前記発射停止ボタンとして、前記第1の操作形態において操作可能な第1の発射停止ボタンと、前記第2の操作形態において操作可能な第2の発射停止ボタンとを備えており、
前記第1の発射停止ボタンおよび前記第2の発射停止ボタンの一方を操作した場合に、他方の発射停止ボタンの操作により遊技球の発射が停止されないよう構成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ハンドルは、遊技機の幅方向の中間位置に配置されており、前記第1の操作形態と第2の操作形態とが左右対称の形態となるよう構成されている請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンドルを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の設置枠台に固定される固定枠としての外枠と、該外枠に対して開閉可能に支持されて遊技盤を着脱自在に保持する本体枠としての中枠と、該中枠の前側に開閉可能に支持されてパチンコ機前面を装飾すると共に遊技盤を透視保護するガラス板を備えた装飾枠としての前枠とを基本的に備えている。また、パチンコ機の正面には、遊技球を貯留する上球皿および下球皿が配設されると共に、該パチンコ機の正面右下部に、遊技者が遊技球の発射操作を行うためのハンドルが配設されている。
【0003】
前記ハンドルは、前枠または中枠に配設された本体部と、該本体部の前側に回転自在に設けられた操作部とを備え、遊技者が操作部を回転操作することで前記中枠に設けられた打球発射装置が作動して、遊技球が遊技領域に向けて打ち出されるよう構成されている。また、ハンドルにおける操作部の回転操作量(回転量)に応じて、打球発射装置による遊技球の発射強度が変化して、遊技領域への打ち込み位置を任意に変更し得るようになっている。そして、前記ハンドルでは、前記操作部と本体部とに掛止される復帰バネが配設されており、操作部を回転させることに伴って復帰バネが弾性変形して復帰弾力が発現し、遊技者が操作部を解放することで、該操作部を復帰弾力によって停止位置(初期位置)へ戻すよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-165780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記ハンドルは、前記のようにパチンコ機の正面右下部に配置されており、当該ハンドルを主に遊技者が右手で操作して遊技することを想定されている。ここで、科学論文などによる利き手の調査によれば、おおむね右利きの割合は90%前後、左利きの割合は10%前後と推定されており、多くの割合を占める右利きの遊技者は違和感なくハンドル操作を良好になし得るものの、左利きの遊技者も右手でハンドル操作をする必要があり、違和感を覚えながらの遊技を強いられるケースがある。また、近年のパチンコ機には、ハンドル以外にも操作レバーや操作ボタンなどの遊技演出の実行用の操作手段を備えたものもあり、右手でのハンドル操作に制限された状況での遊技に不便が生じ易く、遊技の興趣を損なうことにも繋がりかねない。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ハンドル操作の自由度を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
本体部と、該本体部に回転可能に支持された操作部とを有するハンドルを備え、該ハンドルにおける前記操作部の回転量に応じて、遊技領域に向けた遊技球の発射強度が変化するよう構成された遊技機において、
前記ハンドルは、第1の操作形態において遊技者の右手で把持した操作に適するよう構成されると共に、第2の操作形態において遊技者の左手で把持した操作に適するよう構成されており、
前記第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において、前記操作部の上部側を奥側に変位するよう当該操作部を回転操作することにより遊技球を発射可能に構成されて、当該第1の操作形態での操作部の回転量に応じた発射強度の変化と、当該第2の操作形態での操作部の回転量に応じた発射強度の変化とが等しくなるよう構成されると共に、
前記第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において、前記操作部の回転操作を解除することにより、当該操作部の上部側が手前側に変位するよう回転して初期位置に復帰するよう構成されていることを要旨とする。
このように、遊技者の右手で把持した操作に適した状態および遊技者の左手で把持した操作に適した状態でのハンドル操作を可能にしたことで、遊技者の利き手や遊技の状況などに応じて遊技者の任意の手でハンドルを操作して遊技を行うことができる。また、第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において、共通した自然な操作感でハンドルを操作することができるから、遊技の妨げになることなく遊技者が任意にハンドルを操作する手を変えることができる。
【0008】
第2の発明は、
前記操作部を回転操作した状態で遊技球の発射を停止可能な発射停止ボタンを複数備えており、
前記発射停止ボタンとして、前記第1の操作形態において操作可能な第1の発射停止ボタンと、前記第2の操作形態において操作可能な第2の発射停止ボタンとを備えていることを要旨とする。
このように、発射停止ボタンとして第1の発射停止ボタンと第2の発射停止ボタンとを備えるようにすることで、遊技者がハンドルを操作する手を任意に選択しても、遊技の状況などに応じて遊技球の発射を停止することができる。
【0009】
第3の発明は、
前記第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において前記操作部を回転操作した状態で、前記第1の発射停止ボタンおよび前記第2の発射停止ボタンの夫々の操作により遊技球の発射を停止可能に構成されていることを要旨とする。
このように、操作部を回転操作した状態で、第1の発射停止ボタンおよび第2の発射停止ボタンの何れの操作によっても遊技球の発射を停止可能にすることで、遊技の状況などに応じて遊技者がハンドルを操作する手を選択してハンドル操作しつつ、遊技球の発射を停止することができ、ハンドル操作の自由度を格段に高めることができる。
【0010】
第4の発明は、
前記ハンドルは、遊技機の幅方向の中間位置に配置されており、前記第1の操作形態と第2の操作形態とが左右対称の形態となるよう構成されていることを要旨とする。
このように、ハンドルを遊技機の幅方向の中間位置に配置し、第1の操作形態と第2の操作形態とが左右対称の形態となるようにすることで、遊技者の利き手や遊技の状況などに応じて違和感なく遊技者がハンドルを操作する手を任意に選択して遊技を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、ハンドル操作の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】ハンドルユニットの取り付け位置を示す概略平面図である。
図3】ハンドルユニットの取り付け位置を示す概略側面図であって、角度調整機構の配置箇所を破断して示してある。
図4】ハンドルユニットの概略正面図である。
図5】ハンドルユニットに関わる制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すように、外枠11、中枠12および前枠13を相互に閉成した状態でパチンコ機10を前面側(遊技者側)から見た状態を基準として指称するものとする。
【実施例
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、遊技店に設けられた「島」とも称される設置枠台(図示せず)に固定される固定枠としての外枠11と、該外枠11に対して着脱および開閉可能に枢支された本体枠としての中枠12と、該中枠12に着脱交換可能に取り付けられて所要の遊技領域20aが画成された遊技盤20と、中枠12の前面側に着脱および開閉可能に枢支され、該中枠12に配設した遊技盤20を透視保護するガラス板やアクリル板などで形成された透明保護部材13aが配設される前枠13とを備えている。前枠13には、パチンコ球(遊技球)を貯留可能な上球皿14が前記透明保護部材13aの配設部位の下方前側に組み付けられると共に、当該上球皿14の下方に離間する位置に、パチンコ球を貯留可能な下球皿15が組み付けられており、上球皿14に溢れたパチンコ球が中枠12に形成された球経路(図示せず)を通って下球皿15に導かれるようになっている。また、パチンコ機10の前面には、中枠12に配設した打球発射装置18(図3参照)を作動させるハンドルユニット(ハンドル)16が前記前枠13に組み付けられており、当該ハンドルユニット16を遊技者が操作することで、打球発射装置18が作動して上球皿14に貯留されたパチンコ球が遊技盤20の遊技領域20aに向けて打ち出されるようになっている。
【0015】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、図1に示すように、略円形状に湾曲する外レール21および内レール22が盤面(前面)に配設されて、該内外レール21,22の内側に画成される遊技領域20a内に、枠状装飾体27、始動入賞装置23および特別入賞装置24、遊技釘25、回転案内具26等の各種遊技用部品が配置されると共に、枠状装飾体27に画成された表示開口27aを介して図柄表示装置17の表示部17aが前側から視認可能に臨むよう構成される。また、前記外レール21および内レール22は、パチンコ球が通過可能な距離だけ離間するよう構成されて、打球発射装置18から発射されたパチンコ球が通過する発射通路28を画成している。ここで、発射通路28は、遊技盤20の下端左寄り位置で下方に開口すると共に、遊技盤20の左上部位置で遊技領域20a内に発射口29を開口しており、打球発射装置18から発射されて発射通路28を移動するパチンコ球が発射口29から遊技領域20aの上部位置に打ち出されるようになっている。そして、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が、始動入賞装置23、特別入賞装置24およびその他の入賞口に入賞することで、所定数の賞球が払い出されるようになっている。なお、遊技盤20において遊技領域20aの最下部位置に、該遊技領域20aの最下部位置まで流下したパチンコ球を遊技盤20の外部に排出するアウト口19が開設されている。
【0016】
(打球発射装置18について)
前記打球発射装置18は、ロータリーソレノイド等の駆動手段により往復動してパチンコ球を打ち出す打球杆と、右から左に向けて上方傾斜する発射レールとを備え、前記ハンドルユニット16の回転操作部材36(操作部)が回転操作されると、打球杆が作動してパチンコ球を発射レールに沿って打ち出すよう構成される。なお、前記中枠の後側には、ハンドルユニット16の操作に基づいて打球発射装置18を駆動制御する発射制御装置80(図5参照)が配設されており、該発射制御装置80から出力される制御信号に基づいて前記打球発射装置18の駆動手段が作動制御される。そして、発射制御装置80には、図5に示すように、ハンドルユニット16に配設された後述の回転量検出部55や、打球発射装置18の駆動手段の作動を停止する停止スイッチ61、回転操作部材36に遊技者の手が接触したことを感知するタッチセンサ70が電気的に接続されており、当該回転量検出部55、停止スイッチ61、タッチセンサ70から入力される信号に基づいて打球発射装置18に対して制御信号を出力して作動制御するようになっている。
【0017】
実施例のパチンコ機10では、前記打球発射装置18から発射されて遊技領域20aを流下するパチンコ球が入球部(始動入賞装置23、特別入賞装置24等)に入球することにより、入球した入球部に応じた賞球の払い出しや図柄変動演出の実行等の所定の遊技が行われ、遊技領域20aの最下部まで流下したパチンコ球が前記アウト口19を介して機外に排出される。具体的に、始動入賞装置23が備える入賞検出センサによるパチンコ球の検出に伴い当り判定が実行されて、その判定結果が当りであった場合に、前記図柄表示装置17で行われる図柄変動演出の結果として所定の当り表示(例えば同一図柄の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されて、前記特別入賞装置24の特別入賞口が開放する遊技者に有利な当り遊技が付与されるよう構成される。また、実施例のパチンコ機10では、当り判定で当った当りの種類に応じて、当り遊技後に各種の遊技状態(例えば、確変状態や変短状態)が付与されて、該遊技状態に応じてパチンコ球を「右打ち」や「左打ち」に打ち分けることで、遊技者に有利な遊技を行い得るよう構成されている。
【0018】
(ハンドルユニット16について)
前記ハンドルユニット16は、図1に示すように、パチンコ機10の前面において左右幅方向の中間位置に配置されており、遊技者が右手で把持した操作に適した第1の操作形態A(図2参照)および遊技者が左手で把持した操作に適した第2の操作形態B(図2参照)の夫々で操作し得るよう構成されている。具体的には、図1に示すように、前記前枠13の前面において前記上球皿14と下球皿15の間に位置すると共に左右幅方向の中間位置するよう設けられた支持部30(図2図3参照)に対して、前記ハンドルユニット16の後部側が上下に延在する軸部32aを中心に所定角度範囲で回転可能に支持されている。すなわち、前記軸部32aを中心として前記ハンドルユニット16を右側に向けることで、遊技者が右手で把持するのに適した第1の操作形態Aとなると共に、当該軸部32aを中心としてハンドルユニット16を左側に向けることで、遊技者が左手で把持するのに適した第2の操作形態Bとなるようになっている。
【0019】
前記ハンドルユニット16は、図2図3に示すように、前記支持部30に支持される筒状の取付部32と、該取付部32の前側に設けられて遊技者が把持する球形状の把持部33とを備えている。この把持部33は、前記取付部32に連なるよう形成されて当該把持部33の後側部分を形成する後側構成部34と、該後側構成部34の前側に取り付けられて把持部33の前側部分を形成する前側構成部35と、後側構成部34および前側構成部35の間に一定の角度範囲で回転可能に支持された操作部としての回転操作部材36とを組み付けたユニット部材となっている。すなわち、この実施形態では、ハンドルユニット16の本体部が取付部32および把持部33で構成されており、当該本体部(取付部32および把持部33)に対して回転操作部材36が回転操作可能に支持されている。そして、前記取付部32の後端部側に、上下に突出するよう前記軸部32aが設けられており、当該軸部32aを前記前枠13の支持部30に設けた軸孔(図示せず)に回転可能に挿通することで、前枠13に対して軸部32aを中心に左右に回動し得るようになっている。
【0020】
また、前記ハンドルユニット16は、図3に示すように、前記軸部32aを中心とした適宜の回転位置で当該ハンドルユニット16を保持する角度調整機構40を備えている。この実施形態の角度調整機構40は、前記取付部32の内部の後端側に設けられて下方に開口する筒状部41と、当該筒状部41の内部に収容された球状のストッパ部材42と、当該筒状部41に配設されてストッパ部材42を下方に向けて付勢するバネ等の付勢部材43とを備えており、当該付勢部材43の付勢によりストッパ部材42の下部側が筒状部41の下方開口41aから取付部32の下方に突出するようになっている。
【0021】
また、前記支持部30には、前記軸部32aを中心とした前記ストッパ部材42の回転軌跡上に、前記角度調整機構40としての複数の凹状部44が形成されており、前記取付部32の下方に突出したストッパ部材42が当該凹状部44に嵌まり込むようになっている。なお、軸部32aを中心とした凹状部44の配置関係を図2に示してある。すなわち、図3に示すように、筒状部41の下方開口41aに臨むストッパ部材42の球状の下部が凹状部44に嵌まり込むことにより、ハンドルユニット16の軸部32aを中心とした回転移動が規制されて、当該ストッパ部材42が凹状部44に嵌まり込んだ角度位置でハンドルユニット16が保持されるようになっている。そして、付勢部材43により付勢されたストッパ部材42を凹状部44の縁部により押し上げるよう軸部32aを中心としてハンドルユニット16を強制的に回転することで、ストッパ部材42と凹状部44の係合状体が解除され、当該ハンドルユニット16の軸部32aを中心とした回転が許容され、ストッパ部材42が凹状部44に嵌まり込む位置で当該ハンドルユニット16の角度調節を段階的になし得るようになっている。
【0022】
ここで、この実施形態では、ハンドルユニット16が正面を向く姿勢(基準姿勢S、図2参照)でストッパ部材42が嵌まり込む位置に前記凹状部44が設けられると共に、当該ハンドルユニット16が右側に向くよう基準姿勢Sから30°、60°、90°回転した位置、および、当該ハンドルユニット16が左側に向くよう基準姿勢Sから30°、60°、90°回転した位置の夫々でストッパ部材42が嵌まり込み得るよう凹状部44が設けられている。すなわち、この実施形態では、ハンドルユニット16が右側に傾いた第1の操作形態Aとして3段階の角度調整が可能になっていると共に、ハンドルユニット16が左側に傾いた第2の操作形態Bとして3段階の角度調整が可能になっている。このように、この実施形態のパチンコ機10では、当該パチンコ機10の幅方向の中間位置に配置したハンドルユニット16が前記第1の操作形態Aと第2の操作形態Bとで左右対称の形態となるよう構成されている。なお、凹状部44の形成数としては上記した数に限られるものではなく任意の数の凹状部44を形成することができ、凹状部44の形成数を増やすことで、より多段階の細かな角度調整が可能となる。
【0023】
また、前記後側構成部34には、図4に示すように、前記回転操作部材36の回転中心に対応する位置に、前後に延在する筒状の突出部50が設けられ、該突出部50の外周側に、図示省略した第1のねじりバネおよび第2のねじりバネが配設されている。ここで、第1のねじりバネは、回転操作部材36を左回転方向に付勢するよう前記支持部30および回転操作部材36に端部が係止されると共に、第2のねじりバネは、回転操作部材36を右回転方向に付勢するよう支持部30および回転操作部材36に端部が係止されている。そして、前記回転操作部材36が回転可能な角度範囲の中間位置(初期位置、図1図4参照)において、前記第1のねじりバネおよび前記第2のねじりバネの付勢力が均衡を保つように保持されるようになっている。
【0024】
すなわち、回転操作部材36は、図4に示すように、初期位置を中心として右回転方向および左回転方向の夫々に回転可能に構成されており、右回転させた際には第1のねじりバネの付勢力により初期位置に復帰すると共に、左回転させた際には第2のねじりバネの付勢力により初期位置に復帰するようになっている。なお、実施例のハンドルユニット16では、回転操作部材36を初期位置から右方向へ約120°回転させた位置および初期位置から左方向へ約120°回転させた位置が最大回転位置となっている。また、回転操作部材36は、初期位置において左右対称となる位置に遊技者が指を掛ける指掛け部37が形成されており、初期位置を中心として右回転方向および左回転方向の夫々に回転操作部材36を回転操作する際に共通の操作感で操作し得るようになっている。
【0025】
すなわち、ハンドルユニット16が右側に傾いた第1の操作形態Aでは、図2に矢印Xで示すように、前記回転操作部材36の上部側を奥側に変位するよう当該回転操作部材36を回転操作することによりパチンコ球を発射可能になると共に、当該回転操作部材36の回転操作を解除した際には、第1のねじりバネの付勢力により当該回転操作部材36の上部側が手前側に変位するよう回転して初期位置に復帰するよう構成されている。同様に、ハンドルユニット16が左側に傾いた第2の操作形態Bでは、図2に矢印Yで示すように、前記回転操作部材36の上部側を奥側に変位するよう当該回転操作部材36を回転操作することによりパチンコ球を発射可能になると共に、当該回転操作部材36の回転操作を解除した際には、第2のねじりバネの付勢力により当該回転操作部材36の上部側が手前側に変位するよう回転して初期位置に復帰するよう構成されている。
【0026】
また、前記ハンドルユニット16に設けられる前記回転量検出部55は、回転操作部材36の回転量に応じて出力信号が変化するよう構成されている。具体的に回転量検出部55としては、回転量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器(ボリュームスイッチ)や、光電方式や磁気方式などのロータリーエンコーダ、その他の従来公知の手段を採用することが可能である。なお、この実施形態では、図示しない抵抗器本体から外方へ延出した支軸とを有する可変抵抗器が採用されており、該支軸を前記回転操作部材36の回転中心に連結するよう構成されている。すなわち、回転量検出部55は、回転操作部材36の回転に伴って支軸が抵抗器本体に対して回転することで抵抗値が変化し、抵抗値の変化に応じた信号を前記発射制御装置80に出力する。これにより発射制御装置80は、前記打球発射装置18の駆動手段に供給される電流を変化させ、打球杆によるパチンコ球の打出し力(発射強度)が強弱調節される。すなわち、ハンドルユニット16における回転操作部材36の後述する停止位置から最大回転位置に向けた回転量に応じて、前記遊技領域へ向けたパチンコ球の発射強度が変化する。
【0027】
ここで、回転操作部材36を右回転方向に回転した場合と、左回転方向に回転した場合とで、回転操作部材36の回転角度に応じて均等に抵抗値が変化するよう構成してある。すなわち、第1の操作形態Aにおける回転操作部材36の回転量に応じた発射強度の変化と、第2の操作形態Bにおける回転操作部材36の回転量に応じた発射強度の変化とが等しくなるよう構成されている。これにより、第1の操作形態Aにおいて回転操作部材36を右回転方向に所定角度回転した場合と、第2の操作形態Bにおいて回転操作部材36を左回転方向に同一の所定角度回転した場合とで、パチンコ球が同じ発射強度で発射されるよう打球発射装置18が発射制御装置80により駆動制御される。
【0028】
また、前記ハンドルユニット16には、図4に示すように、前記打球発射装置18の作動を停止する発射停止手段60が備えられている。この発射停止手段60は、前記ハンドルユニット16の内部に備えられた前記停止スイッチ61と、遊技者が操作可能に設けられた停止操作ボタン63とを有しており、当該停止操作ボタン63の操作に応じて停止スイッチ61が作動することで前記打球発射装置18の作動を停止させ得るよう構成される。ここで、前記ハンドルユニット16には、前記第1の操作形態Aにおいて容易に操作可能な第1の発射停止手段60Aと、前記第2の操作形態Bにおいて容易に操作可能な第2の発射停止手段60Bとが前記発射停止手段60として設けられており、第1の発射停止手段60Aおよび第1の発射停止手段60Aの何れかの停止スイッチ61が操作されることにより打球発射装置18の作動が停止するようになっている。ここで、第1の発射停止手段60Aおよび第1の発射停止手段60Aは、共通の構成部材によりハンドルユニット16に対して左右対称となるよう備えられており、以下の説明では必要に応じて第1の発射停止手段60Aの構成部材に符号Aを付加すると共に、第2の発射停止手段60Bの構成部材に符号Bを付加して区別する場合がある。
【0029】
ここで、前記第1の発射停止手段60Aは、図4に示すように、押下可能なスイッチ部62を有する第1の停止スイッチ61Aと、左右方向へ揺動可能に配設されて第1の停止スイッチ61Aのスイッチ部62を押下可能な第1の発射停止ボタン63Aとを備えている。そして、第1の発射停止手段60Aの第1の停止スイッチ61Aは、スイッチ部62を左側に指向させた姿勢で取り付けられている。第1の発射停止ボタン63Aは、第1の停止スイッチ61Aの左側に垂下した姿勢で配設され、第1の停止スイッチ61Aの上方において前後に延在した支持ピン67に上端部が枢支されており、下端側が左右方向へ揺動可能に構成されている。
【0030】
そして、前記第1の発射停止ボタン63Aは、スイッチ部62の左側に対向位置して当該スイッチ部62を左側から押圧可能な当接部64と、該把持部33の左外方へ突出して遊技者の指で押下操作可能な操作部65とを備えており、図示しないバネ等の付勢部材により当接部64がスイッチ部62から離間する方向へ付勢されている。すなわち、この第1の発射停止手段60Aは、第1の発射停止ボタン63Aの操作部65を操作していない状態では前記打球発射装置18の駆動手段が作動可能なON状態に第1の停止スイッチ61Aが維持され、操作部65を操作して第1の発射停止ボタン63Aが支持ピン67を中心として右方へ揺動することにより、第1の停止スイッチ61Aのスイッチ部62が当接部64に押下されて前記打球発射装置18の駆動手段を停止するOFF状態となるよう構成されている。ここで、第1の発射停止ボタン63Aの操作部65は把持部33の左外方へ突出するよう設けられており、第1の操作形態Aにおいてハンドルユニット16を遊技者が右手で把持した際に、遊技者の右手親指で容易に押下操作し得るよう構成されている。
【0031】
同様に、前記第2の発射停止手段60Bは、図4に示すように、押下可能なスイッチ部62を有する第2の停止スイッチ61Bと、左右方向へ揺動可能に配設されて第2の停止スイッチ61Bのスイッチ部62を押下可能な第2の発射停止ボタン63Bとを備えている。そして、前記第2の停止スイッチ61Bは、スイッチ部62を右側に指向させた姿勢で取り付けられている。第2の発射停止ボタン63Bは、第2の停止スイッチ61Bの左側に垂下した姿勢で配設され、第2の停止スイッチ61Bの上方において前後に延在した支持ピン67に上端部が枢支されており、下端側が左右方向へ揺動可能に構成してある。
【0032】
そして、前記第2の発射停止ボタン63Bは、第2の停止スイッチ61Bのスイッチ部62の右側に対向位置して当該スイッチ部62を右側から押圧可能な当接部64と、該把持部33の右外方へ突出して遊技者の指で押下操作可能な操作部65とを備えており、図示しないバネ等の付勢部材により当接部64がスイッチ部62から離間する方向へ付勢されている。すなわち、この第2の発射停止手段60Bは、第2の発射停止ボタン63Bの操作部65を操作していない状態では前記打球発射装置18の駆動手段が作動可能なON状態に第2の停止スイッチ61Bが維持され、操作部65を操作して第2の発射停止ボタン63Bが支持ピン67を中心として右方へ揺動することにより、第2の停止スイッチ61Bのスイッチ部62が当接部64に押下されて前記打球発射装置18の駆動手段を停止するOFF状態となるよう構成されている。ここで、第2の発射停止ボタン63Bの操作部65は把持部33の右外方へ突出するよう設けられており、第2の操作形態Bにおいてハンドルユニット16を遊技者が左手で把持した際に、遊技者の左手親指で容易に押下操作し得るよう構成されている。
【0033】
また、前記タッチセンサ70は、表面がメッキ処理された前記回転操作部材36に遊技者の手が接触したことを感知するもので、遊技者の手(指先)が回転操作部材36に接触した際に、該回転操作部材36を介して流れる微細な電気を感知し、これによる感知信号を前記発射制御装置80へ出力する。
【0034】
(作用)
次に、前述のように構成されたパチンコ機10の作用について説明する。本実施形態のパチンコ機10では、前枠13の前面に設けた支持部30に対して、上下に延在する軸部32aを中心としてハンドルユニット16が左右に回転可能に構成されており、ハンドルユニット16を右側に傾けるようにすることで、遊技者が右手で把持するのに適した第1の操作形態Aとなると共に、当該ハンドルユニット16を左側に傾けるようにすることで、遊技者が左手で把持するのに適した第2の操作形態Bとなる。このように、遊技者の右手で把持した操作に適した状態(第1の操作形態A)および遊技者の左手で把持した操作に適した状態(第2の操作形態B)でのハンドルユニット16の操作を可能にしたことで、遊技者の利き手や遊技の状況などに応じて遊技者の任意の手でハンドルユニット16を操作して遊技を行うことができるから、ハンドル操作の自由度を格段に向上することができる。
【0035】
また、ハンドルユニット16は、第1の操作形態Aおよび第2の操作形態Bの夫々において角度調整機構40により複数段階(操作形態毎に3段階)の角度位置で保持することができるから、遊技者の体格や遊技の状況などに応じてハンドルユニット16の角度を変更することができる。このため、ハンドルユニット16を遊技者が操作し易い傾きに調整して遊技を行うことができるから、ハンドル操作の自由度を高め、遊技により集中し易くすることができる。また、ハンドルユニット16は、軸部32aを中心として左右に回転することで、付勢部材43により付勢されたストッパ部材42が凹状部44の縁部により押し上げられでストッパ部材42と凹状部44の係合状体を解除し得るようにしたから、ハンドルユニット16の角度調整を容易に行うことができる。
【0036】
更に、ハンドルユニット16をパチンコ機10の幅方向の中間位置に配置すると共に、ハンドルユニット16が第1の操作形態Aと第2の操作形態Bとで左右対称の形態となるようにしたから、遊技者の利き手や遊技の状況などに応じて違和感なく遊技者がハンドルを操作する手を任意に選択して遊技を行うことができる。また、パチンコ機10の幅方向の中間位置に位置するハンドルユニット16を操作して遊技が行われるようにすることで、右手および左手の何れの手でハンドルユニット16を操作しても遊技者が自然な姿勢でパチンコ機10に相対して遊技を行うことができる。
【0037】
また、前記ハンドルユニット16は、前記第1の操作形態Aおよび第2の操作形態Bの夫々において、前記回転操作部材36の上部側を奥側に変位するよう当該回転操作部材36を回転操作することによりパチンコ球を発射可能になっていると共に、当該回転操作部材36の回転操作を解除することにより、当該回転操作部材36の上部側が手前側に変位するよう回転して初期位置に復帰するよう構成してある。更に、第1の操作形態Aでの回転操作部材36の回転量に応じた発射強度の変化と、当該第2の操作形態Bでの回転操作部材36の回転量に応じた発射強度の変化とが等しくしてある。このため、第1の操作形態Aおよび第2の操作形態Bの夫々において、共通した自然な操作感でハンドルユニット16を操作してパチンコ球の打出しをすることができるから、遊技の妨げになることなく遊技者が任意にハンドルを操作する手を変えることができる。
【0038】
また、回転操作部材36を回転操作した状態でパチンコ球の発射を停止可能な発射停止ボタン63として、前記第1の操作形態Aにおいて遊技者が操作可能な第1の発射停止ボタン63Aと、前記第2の操作形態Bにおいて遊技者が操作可能な第2の発射停止ボタン63Bとを備えるよう構成したから、遊技者がハンドルユニット16を操作する手を任意に選択しても、遊技の状況などに応じてパチンコ球の発射を停止することができる。また、回転操作部材36を回転操作した状態で、第1の発射停止ボタン63Aおよび第2の発射停止ボタン63Bの何れの操作によってもパチンコ球の発射を停止し得るから、遊技の状況などに応じて遊技者がハンドルを操作する手を選択してハンドルユニット16を操作しつつ、第1の発射停止ボタン63Aおよび第2の発射停止ボタン63Bの何れかを任意に操作してパチンコ球の発射を停止することができ、ハンドル操作の自由度を格段に高めることができる。
【0039】
(変更例)
なお、本発明に係る遊技機の構成としては、前述した実施形態に示したものに限らず、種々の変更が可能である。以下にその一例を示す。
(1)ハンドルユニットを前枠に固定する構成としたが、ハンドルユニットを固定する遊技機本体としては、例えば中枠に固定してもよく、上球皿或いは下球皿に固定するようにしてもよい。
(2)パチンコ機として、上球皿および下球皿を有する所謂2枚皿タイプのパチンコ機を例示したが、球皿を1つ有する所謂一枚皿のパチンコ機のハンドルユニットにも応用可能である。また、遊技球がパチンコ機の内部で循環するよう構成された上球皿および下球皿の双方を備えていない所謂循環式のパチンコ機であってもよい。
(3)第1の操作形態および第2の操作形態の夫々において回転操作部材を回転操作した状態で、第1の発射停止ボタンの操作および第2の発射停止ボタンの操作により遊技球の発射を停止するよう構成したが、第1の操作形態で操作する場合に第1の発射停止ボタンが操作された場合にのみ遊技球の発射を停止するよう構成し、第2の操作形態で操作する場合に第2の発射停止ボタンが操作された場合にのみ遊技球の発射を停止するよう構成してもよい。
このような構成としては、例えば、エンコーダなどにより回転操作部材の回転方向を検出し得るように構成し、第1の操作形態に適した自然な操作となる回転操作部材が右回転された場合に第1の発射停止ボタンに対応する第1の停止スイッチからの信号入力を有効にすると共に第2の発射停止ボタンに対応する第2の停止スイッチからの信号入力を無効にし、第2の操作形態に適した自然な操作となる回転操作部材を左回転した場合に第1の発射停止ボタンに対応する第1の停止スイッチからの信号入力を無効にすると共に第2の発射停止ボタンに対応する第2の停止スイッチからの信号入力を有効にすることで実現できる。また、軸部を中心としたハンドルユニットの回転方向を検出する検出手段を備えるようにし、ハンドルユニットが第1の操作形態および第2の操作形態の何れの操作形態かを検出するようにしてもよい。
(4)ハンドルユニットに遊技者が把持可能な2つの把持部および操作部(回転操作部材)を備えるようにし、一方の把持部および操作部を遊技者の右手で把持した操作に適した第1の操作形態となるよう配置すると共に、他方の把持部および操作部を遊技者の左手で把持した操作に適した第2の操作形態となるよう配置するようにしてもよい。
(5)発射停止ボタン(発射停止手段)はハンドルユニットに設ける構成に限らず、前枠や上下の球皿など遊技者が触れることができる位置に設けることができる。
【符号の説明】
【0040】
16 ハンドルユニット(ハンドル)
20a 遊技領域
32 取付部(本体部)
33 把持部(本体部)
36 回転操作部材(操作部)
63A 第1の発射停止ボタン
63B 第2の発射停止ボタン
A 第1の操作形態
B 第2の操作形態
図1
図2
図3
図4
図5