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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】輸送システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 13/00 20060101AFI20241114BHJP
   B61B 10/00 20060101ALI20241114BHJP
   B61B 13/12 20060101ALI20241114BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20241114BHJP
   B60L 15/20 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
B60L13/00 A
B61B10/00 B
B61B13/12 F
B61B13/00 R
B60L15/20 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022519870
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018626
(87)【国際公開番号】W WO2021224978
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390002196
【氏名又は名称】泉陽興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 三郎
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-087255(JP,A)
【文献】特開平06-078411(JP,A)
【文献】特開平06-063248(JP,A)
【文献】国際公開第2012/023324(WO,A1)
【文献】特開昭52-071073(JP,A)
【文献】特開2004-106666(JP,A)
【文献】特開2013-144406(JP,A)
【文献】特開2008-201268(JP,A)
【文献】実開昭61-038267(JP,U)
【文献】実開昭57-141162(JP,U)
【文献】特開2002-029414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B61B 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道と、
車両とを備え、
前記軌道は、
レールを有し、
前記車両は、
前記レールに沿って移動する案内輪を有し、
前記軌道は、
接触部を含む第1区間と、
前記接触部を含まない第2区間とを有し、
前記車両は、
前記第1区間において前記接触部を挟むように前記車両に移動不可に固定された複数の駆動輪を更に備え、
前記第1区間と前記第2区間のうちの前記第1区間では、前記複数の駆動輪が前記接触部を挟んだ状態で、前記複数の駆動輪のそれぞれが回転することにより、前記車両の推進力が増大し、
前記接触部は、前記車両の進行方向に延び、水平方向に厚みを有する板状の部材であり、前記複数の駆動輪によって水平方向の両側から挟まれる、
輸送システム。
【請求項2】
前記軌道は、前記レールとして、
左右方向に間隔をあけて位置する左右一対のレールを有し、
前記車両は、
前記左右一対のレールと一対一で対応する左右一対の案内輪群を有し、
前記左右一対の案内輪群の各々は、前記案内輪として、
対応する前記レールに対して、上方、側方及び下方の三方からそれぞれ接触する複数の案内輪を有する、
請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記軌道は、前記レールとして、
左右方向に間隔をあけて位置する左右一対のレールを有し、
前記車両は、前記案内輪として、
前記左右一対のレールにそれぞれ一対一で対応する左右一対の案内輪を有し、
前記複数の駆動輪は、前記左右一対の案内輪の間に位置する、
請求項1又は2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記軌道は上り勾配を有さない、
請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記軌道は、
上り勾配を有する区間を有し、
前記車両は、前記軌道の全体を前記複数の駆動輪が前記接触部に伝える駆動力だけで走行可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記軌道は、
上り勾配を有する上り区間と、
前記上り区間において、前記車両を引き上げる引上装置とを更に有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項7】
前記軌道は、有端の単線である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項8】
前記軌道は、前記第1区間として、
複数の第1区間を有し、
前記接触部において前記複数の駆動輪によって挟まれる部分の最大厚みを、前記複数の第1区間のうちの一つの第1区間と他の一つの第1区間とで異ならせることで、前記複数の駆動輪によって前記接触部を挟み込む力の大きさを調整する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項9】
前記車両は、
客室を更に有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送システムに関し、詳しくは、軌道に沿って走行する車両を備えた輸送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人員輸送装置が開示されている。この人員輸送装置では、軌道が車両加速ゾーンと、車両自走ゾーンとを有している。車両加速ゾーンでは、引揚装置にて引き揚げられた車両が急傾斜下り勾配にて加速する。車両自走ゾーンでは、主として車両が無駆動にて自走する。車両は、小型駆動モータと、小型駆動モータにて回転駆動する駆動輪とを備えている。車両自走ゾーンにおいて、車両の走行速度が所定値以下になると、駆動輪が降下して、軌道に形成された被接触面部に接触し、これにより、車両が駆動走行する。
【0003】
上述した人員輸送装置では、駆動輪と被接触面部との間に十分な摩擦力を発生させることが容易ではなく、車両を十分な推進力で走行させることが容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-29414号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、容易に車両を十分な推進力で走行させることができる輸送システムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る輸送システムは、軌道と、車両とを備える。前記軌道は、レールを有する。前記車両は、前記レールに沿って移動する案内輪を有する。前記軌道は、接触部を含む第1区間と、前記接触部を含まない第2区間とを有する。前記車両は、前記接触部を挟む複数の駆動輪を更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の輸送システムを概略的に示した平面図である。
図2図2は、同上の輸送システムの一部を概略的に示した側面図である。
図3図3は、同上の輸送システムが備える車両を示した側面図である。
図4図4は、同上の車両と軌道との接続部分を示した横断面図である。
図5図5は、同上の軌道の上り勾配を有する部分における車両と軌道との接続部分を示した横断面図である。
図6図6は、同上の車両が有する第1車輪ユニットの平面図である。
図7図7は、同上の第1車輪ユニットの側面図である。
図8図8は、変形例の輸送システムの一部を概略的に示した側面図である。
図9図9は、他の変形例の輸送システムを概略的に示した平面図である。
図10図10は、更に他の変形例の輸送システムを概略的に示した平面図である。
図11図11は、更に他の変形例の輸送システムを概略的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態
以下、本開示の技術を適用した輸送システム1について説明する。図1及び図2に示す本実施形態の輸送システム1は、軌道2に沿って走行する車両40により人を輸送する交通システムである。なお、輸送システム1は、交通システムに限定されず、例えば、車両40により物を搬送する運送システムであってもよい。また、本実施形態の輸送システム1は、車両40の小型化及び軽量化を図り、かつ、エネルギー効率の向上を目的とするが、本開示の技術は種々の輸送システムに適用可能である。
【0009】
輸送システム1は、軌道2と、軌道2に沿って設けられた駅(乗降場)10と、軌道2に沿って走行する車両40とを備えている。本開示では、車両40の進行方向を前方、車両40の進行方向と逆方向を後方、前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0010】
(1.1)軌道
軌道2は、単線の環状路である。車両40は環状の軌道2を循環して走行可能である。図3及び図4に示すように、軌道2は、車両40を案内する左右一対のレール20を有している。左右一対のレール20は、左右方向(水平で、かつ、車両40の進行方向と直交する方向)に間隔をあけて位置している。左右一対のレール20は平行である。
【0011】
車両40は、左右一対のレール20に沿って走行する。すなわち、車両40の進行方向は、各レール20の延びる方向である。各レール20は、軌道2の長さ方向の全長にわたっている。
【0012】
各レール20は、円筒状の鋼管である。各レール20は、レール20の長さ方向と直交する断面の形状が円形の外周面を有している。なお、各レール20の形状は限定されない。例えば、各レール20は、レール20の長さ方向と直交する断面の形状が、楕円形状又は矩形状等の外周面を有してもよい。また、各レール20は、鋼以外の金属から形成されてもよい。
【0013】
軌道2は、左右一対のレール20を支持する支持部材3を更に有している。支持部材3は、金属製である。支持部材3は、車両40の進行方向に延びた主桁30と、主桁30の長さ方向に間隔をあけて並んだ複数の連結部材31とを有している。主桁30は、左右一対のレール20よりも下方に位置している。主桁30は、例えば、円筒状の鋼管である。主桁30は、例えば、基礎等を介して地面に固定される。
【0014】
各連結部材31は、主桁30と左右一対のレール20とを接続している。連結部材31の下端部は、主桁30に接続されている。連結部材31は、連結部材31の下端部から二股に分岐して上方に突出した左右一対のアーム部32を有している。左右一対のアーム部32と左右一対のレール20とは、それぞれ一対一で対応している。各アーム部32の上端部は、対応するレール20に接続されている。
【0015】
図1に示すように、軌道2は、少なくとも一つの第1区間21と、少なくとも一つの第2区間22とを有している。第1区間21は、複数の駆動輪74(図4参照)によって車両40の推進力を増大させる区間である。第2区間22は、複数の駆動輪74によって車両40の推進力を増大させない区間である。
【0016】
第1区間21は、図4に示すように車両40が有する複数の駆動輪74によって挟まれる接触部24を有している。接触部24は、第1区間21の全長にわたっている。すなわち、軌道2において接触部24が設けられた部分が、第1区間21である。
【0017】
接触部24は、支持部材3から上方に向かって突出した板状の部材(フィン)である。なお、接触部24は、複数の連結部材31に接続されてもよいし、主桁30に接続されてもよい。接触部24は、主桁30に沿って車両40の進行方向に延びている。接触部24の長さ方向は、レール20の長さ方向と平行である。第1区間21では、図4に示すように、車両40の複数の駆動輪74が接触部24を左右両側から挟み、各駆動輪74が接触部24に接触する。この状態で、各駆動輪74が回転することにより、車両40の推進力が増大する。すなわち、第1区間21は、車両40が加速可能な加速走行区間である。
【0018】
図1に示す軌道2において、第1区間21は、例えば、車両40が停止する部分又は車両40の推進力が小さくなる部分等である。例えば、軌道2において水平な部分、下り勾配を有する部分又は上り勾配を有する部分が、第1区間21になり得る。軌道2において車両40が停止する部分は、例えば、軌道2の駅10に沿った部分である。軌道2において車両40の推進力が小さくなる部分は、例えば、起動における駅10から離れた部分、又は上り区間の直後の部分である。
【0019】
第2区間22は、接触部24を有していない。車両40は、第2区間22において、複数の駆動輪74から接触部24に駆動力を伝達していない状態で、車両40の慣性力により走行する。すなわち、第2区間22は、車両40が慣性力だけで走行可能な惰性走行区間である。
【0020】
第2区間22は、例えば、車両40が第1区間21の後に走行する部分、又は下り勾配を有する部分等、軌道2において車両40の推進力の増加を必要としない部分である。例えば、軌道2において水平な部分又は下り勾配を有する部分が、第2区間22になり得る。
【0021】
本実施形態の軌道2は、第3区間23を更に有している。図2に示すように、第3区間23は、軌道2において上り勾配を有する上り区間である。第3区間23は、複数の駆動輪74が接触部24に伝える駆動力だけでは、列車4が走行できない程度の上り勾配を有している。
【0022】
第3区間23は、車両40を一対のレール20に沿って引き上げる引上装置25を有している。第3区間23において、車両40は、引上装置25を駆動することで走行する。引上装置25は、複数のスプロケット26と、複数のスプロケット26に巻き掛けられた環状のチェーン27とを有する。
【0023】
図5に示すように、引上装置25は、チェーンガイド250を更に有する。チェーンガイド250は、上方に開口した断面U字状のベース251と、ベース251の内面に取り付けられた複数のガイド部材252とを有している。ベース251は、例えば、ガイド部材252と比較して剛性が高い溝形鋼から形成される。各ガイド部材252は、例えば、ベース251と比較して摩擦係数の低い、高密度ポリエチレンから形成される。本実施形態の第3区間23は、接触部24を有しており、ベース251は、接触部24の上端部に接続されている。
【0024】
チェーン27は、複数のガイド部材252に囲まれる位置に配されている。チェーン27は、複数のガイド部材252に沿って移動する。これにより、チェーン27の移動方向が規制される。チェーン27には、車両40に設けられたフック54が脱着可能に引っ掛かる。
【0025】
引上装置25は、フック54がチェーン27に引っ掛かった状態で、図2に示すスプロケット26を原動機よって回転することで、車両40を一対のレール20に沿って引き上げる。フック54は、車両40が第3区間23を上り切った時点でチェーン27から外れる。なお、引上装置25としては、上り勾配を有する軌道2に沿って車両40を引き上げる、周知の装置が利用可能である。
【0026】
図4に示すように、軌道2は、車両40に電力を供給する給電部28を更に有している。給電部28は、例えば、トロリー線である。給電部28は、外部の商用電源に接続されている。給電部28は、例えば、支持部材3の複数の連結部材31に取り付けられる。なお、給電部28は、軌道2の全長にわたって設けられてもよいし、軌道2の長さ方向の一部にのみ設けられてもよい。
【0027】
(1.2)車両
図1及び図2に示すように、輸送システム1は、少なくとも1本の列車4を備えている。なお、輸送システム1は、列車4を1本だけ備えてもよいし、2本以上備えてもよい。
【0028】
列車4は、車両40を有している。列車4は、車両40として、例えば、動力車41と、付随車42とを有している。動力車41は、自走可能な車両であり、自走するための複数の原動機76及び複数の駆動輪74(図4参照)を有している。付随車42は、自走するための動力を有さず、動力車41に連結されて、動力車41の動力を用いて走行可能な車両である。
【0029】
なお、列車4は、少なくとも1両の動力車41を有していればよく、列車4が有する動力車41の数は限定されない。列車4は、例えば、動力車41を1両だけ有してもよいし、2両以上有してもよい。また、列車4は、全ての車両40が動力車41であってもよい。また、列車4は、1両の動力車41だけであってもよい。
【0030】
付随車42は、主として、動力車41が有する複数の原動機76及び複数の駆動輪74等の自走するための機構を有さないことが動力車41と異なる。以下の説明では、動力車41について詳述し、付随車42において動力車41と共通する事項については説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、動力車41は、車体5と、車体5を支持する台車6とを有している。車体5は、客を乗せるための客室50を有している。すなわち、動力車41は、動力を有する客車である。車体5は、客室50に通じる乗降口51と、乗降口51を開閉する扉52と、客室50に設置された複数の座席53とを更に有している。なお、車体5は客室50を有さなくてもよい。すなわち、動力車41は、客室50を有さない動力車であってもよい。
【0032】
台車6は、軌道2に沿って走行可能である。台車6は、台車枠60を有している。台車枠60は、車体5の下方に位置し、車体5を下方から支持する。
【0033】
図4に示すように、台車6は、給電部28から電力が供給される受電部61を更に有している。受電部61は、例えば、集電子である。受電部61は、台車枠60に対して固定されている。動力車41の走行時又は停止時において、受電部61が軌道2の給電部28に接触することで、軌道2から動力車41に電力が供給される。なお、列車4は、給電部28から供給された電力を蓄える蓄電池を有してもよい。
【0034】
図3に示すように、台車6は、複数の車輪ユニット7を更に有している。複数の車輪ユニット7は、台車枠60の下方において、前後方向に間隔をあけて並んでいる。各車輪ユニット7は、台車枠60に取り付けられている。
【0035】
台車6は、複数の車輪ユニット7として、第1車輪ユニット71と第2車輪ユニット72との2種類の車輪ユニット7を一つずつ有している。第1車輪ユニット71は、動力車41の前部に位置している。第2車輪ユニット72は、車両40の後部に位置している。
【0036】
第1車輪ユニット71は、複数の案内輪群73及び複数の駆動輪74(図4参照)を有している。第1車輪ユニット71は、複数の案内輪群73によって車両40の上下方向及び左右方向の移動を規制し、かつ、複数の駆動輪74によって動力車41の推進力を増加させる。
【0037】
第2車輪ユニット72は、複数の案内輪群73を有し、駆動輪74を有していない。第2車輪ユニット72は、複数の案内輪群73によって動力車41の上下方向及び左右方向の移動を規制する。なお、動力車41は、車輪ユニット7として、複数の第1車輪ユニット71を有してもよい。また、動力車41は、第2車輪ユニット72を有さなくてもよい。
【0038】
第2車輪ユニット72は、主として、第1車輪ユニット71が有する複数の駆動輪74を有さないことが第1車輪ユニット71と異なる。このため、以下の説明では、第1車輪ユニット71について詳述し、第2車輪ユニット72において第1車輪ユニット71と共通する事項については説明を省略する。
【0039】
図4及び図6に示すように、第1車輪ユニット71は、取付フレーム75を更に有している。取付フレーム75は、例えば、鋼製である。取付フレーム75は、台車枠60の下方に位置し、台車枠60に回転可能に取り付けられている。なお、取付フレーム75は、鋼以外の金属から形成されてもよい。
【0040】
第1車輪ユニット71は、複数の案内輪群73として、左右一対の案内輪群73を有している。左右一対の案内輪群73と、軌道2の左右一対のレール20とは、それぞれ、一対一で対応している。各案内輪群73は、対応するレール20に沿って走行する。動力車41は、左右一対の案内輪群73が左右一対のレール20に沿った状態で走行する。
【0041】
左右一対の案内輪群73は、取付フレーム75における左右方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。左右一対の案内輪群73は、左右方向に間隔をあけて位置している。左右一対の案内輪群73は、前後方向において同位置に配され、かつ、同じ高さに位置している。
【0042】
左右一対の案内輪群73の各々は、複数の案内輪730~732を有している。複数の案内輪730~732の各々は、弾性を有する材料から形成されている。具体的に各案内輪730~732は、ウレタン製である。なお、各案内輪730~732は、ウレタン以外の合成樹脂から形成されてもよいし、合成樹脂以外の材料から形成されてもよい。
【0043】
図3図6に示すように、各案内輪群73は、複数の案内輪として、前後一対の上案内輪730と、下案内輪731と、前後一対の横案内輪732との計5輪の案内輪を有している。換言すれば、左右一対の案内輪群73は、前側に位置する左右一対の上案内輪730、後側に位置する左右一対の上案内輪730、左右一対の下案内輪731、前側に位置する左右一対の横案内輪732及び後側に位置する左右一対の横案内輪732の計10輪の案内輪を有している。各案内輪群73の前後一対の上案内輪730は、前後方向に間隔をあけて並んでいる。各上案内輪730は、上下方向及び前後方向に交差する方向と平行な回転軸を中心に回転可能である。各上案内輪730は、対応するレール20の上方に位置する。各上案内輪730は、対応するレール20の上部に上方から接し、対応するレール20に下方から支持される。
【0044】
上案内輪730は、車両40に加わる下向きの荷重をレール20に伝える。上案内輪730の強度を高めるため、上案内輪730の直径は、下案内輪731の直径よりも大きく、かつ、横案内輪732の直径よりも大きい。
【0045】
各案内輪群73の下案内輪731は、上下方向及び前後方向に交差する方向と平行な回転軸を中心に回転可能である。下案内輪731は、対応するレール20の下方に位置する。前後一対の上案内輪730のうち前側の上案内輪730の回転軸は、下案内輪731の回転軸よりも前方に位置し、後側の上案内輪730の回転軸は、下案内輪731の回転軸よりも後方に位置している。各下案内輪731は、対応するレール20の下部に下方から接する。これにより、車両40の上方への移動が規制される。
【0046】
各案内輪群73の前後一対の横案内輪732は、前後方向に間隔をあけて並んでいる。各横案内輪732は、前後方向及び左右方向に交差する方向と平行な回転軸を中心に回転可能である。各横案内輪732は、対応するレール20の側方に位置し、対応するレール20の側部に側方から接する。前後一対の横案内輪732のうち、前側の横案内輪732の回転軸は、下案内輪731の回転軸よりも前方に位置し、後側の横案内輪732の回転軸は、下案内輪731の回転軸よりも後方に位置している。
【0047】
左右一対の案内輪群73のうち左の案内輪群73の各横案内輪732は、対応するレール20の左側方に位置し、対応するレール20に左側方から接する。左右一対の案内輪群73のうち右の案内輪群73の各横案内輪732は、対応するレール20の右側方に位置し、対応するレール20に右側方から接する。すなわち、左右一対の案内輪群73は、左の案内輪群73の横案内輪732及び右の案内輪群73の横案内輪732からなる左右一対の横案内輪732を有し、左右一対の横案内輪732の間に左右一対のレール20が位置している。
【0048】
上述したように、車両40は、左右一対の案内輪群73を有し、各案内輪群73は、対応するレール20に対して、上方、側方及び下方の三方からそれぞれ接触する複数の案内輪730~732を有している。このため、左右一対の案内輪群73により、車両40が上下方向及び左右方向に移動することを規制することができ、安全性を高めることができる。また、動力車41に加わるねじれ荷重を左右一対のレール20で分散して受けることができ、動力車41が変形することを抑制することができる。
【0049】
なお、各横案内輪732は、対応するレール20に対して左側方及び右側方のいずれに配置されてもよい。例えば、左の案内輪群73の各横案内輪732が、対応するレール20の右側方に位置し、かつ、右の案内輪群73の各横案内輪732が、対応するレール20の左側方に位置してもよい。
【0050】
なお、第1車輪ユニット71が有する案内輪群73の数及び各案内輪群73が有する案内輪730~732の位置、向き並びに数等は、限定されない。例えば、下案内輪731は、レール20の下斜め側方に位置してもよい。
【0051】
本実施形態の第1車輪ユニット71は、複数の駆動輪74として、左右一対の駆動輪74を有している。左右一対の駆動輪74は、取付フレーム75における左右方向の中間部の下方に位置し、取付フレーム75に対して回転可能に取り付けられている。
【0052】
左右一対の駆動輪74は、左右一対の案内輪群73の間に位置している。具体的に、左右一対の駆動輪74は、左の案内輪群73の下案内輪731及び右の案内輪群73の下案内輪731からなる左右一対の下案内輪731の間に位置している。
【0053】
なお、左右一対の駆動輪74の位置は、限定されない。例えば、左右一対の駆動輪74は、左右一対の上案内輪730の間に位置してもよいし、左右一対の横案内輪732の間に位置してもよい。また、左右一対の駆動輪74は、左右一対の案内輪群73の間に位置しなくてもよい。
【0054】
左右一対の駆動輪74の各々は、前後方向及び左右方向に交差する方向と平行な回転軸を中心に回転可能である。各駆動輪74の回転軸は、前後方向において、下案内輪731の回転軸と同じ位置に配されている。前後一対の上案内輪730のうち前側の上案内輪730の回転軸は、各駆動輪74の回転軸よりも前方に位置し、後側の上案内輪730の回転軸は、各駆動輪74の回転軸よりも後方に位置している。前後一対の横案内輪732のうち前側の横案内輪732の回転軸は、各駆動輪74の回転軸よりも前方に位置し、後側の横案内輪732の回転軸は、各駆動輪74の回転軸よりも後方に位置している。
【0055】
動力車41が軌道2の第1区間21(図1参照)上に位置するとき、左右一対の駆動輪74は、図4に示すように軌道2の接触部24を左右両側から挟み、この状態で各駆動輪74が回転することにより、車両40の推進力が増加する。この場合、複数の駆動輪74は接触部24を挟むことで、複数の駆動輪74と接触部24との摩擦力を十分に発生させることができる。このため、車両40を十分な推進力で容易に走行させることが可能になる。
【0056】
左右一対の駆動輪74は、左右一対の案内輪群73の間のスペースに配置される。このため、動力車41の上下寸法が大きくなることを抑制することができる。また、これにより、動力車41の重量の増加を抑制することができ、列車4の走行に用いられるエネルギーの消費量を抑制することができる。また、各案内輪群73から車体5までの上下方向の距離を短くすることができる。このため、動力車41に搭乗した人が揺れを感じ難くすることができる。
【0057】
第1車輪ユニット71は、複数の駆動輪74を駆動する複数の原動機76を有している。第1車輪ユニット71は、複数の原動機76として、左右方向に間隔をあけて並んだ左右一対の原動機76を有している。左右一対の原動機76は、左右一対の駆動輪74よりも後方に位置している。各原動機76は、電動機であり、詳しくは、ギヤードモーターである。各原動機76は、対応する駆動輪74を回転駆動する。各原動機76は、例えば、列車4が備える制御装置によって制御される。
【0058】
各原動機76は、ブレーキ機能を有する原動機76である。原動機76は、例えば、電磁ブレーキ付きモーターである。複数の駆動輪74が軌道2の接触部24に接触した状態で、各原動機76の回転数を制御することにより、動力車41を高速又は低速にする等、加減速することができる。また、複数の駆動輪74が軌道2の接触部24に接触した状態で、各原動機76にブレーキをかけることで、動力車41を停止させることができる。動力車41を制動することは、複数の駆動輪74にブレーキ装置を設けたり、列車4に対して制動力を与える装置を軌道2に設けたりすることでも、実現可能である。このため、各原動機76は、ブレーキ機能を有さない原動機76であってもよい。
【0059】
図6及び図7に示すように、第1車輪ユニット71は、複数の支持台77を更に有している。複数の支持台77は、複数の駆動輪74及び複数の原動機76の上方に位置し、複数の駆動輪74及び複数の原動機76を支持する。第1車輪ユニット71は、複数の支持台77として、左右方向に間隔をあけて並んだ左右一対の支持台77を有している。各支持台77は、取付フレーム75の下方に位置している。各支持台77は、取付フレーム75に対して回転可能に取り付けられている。各支持台77は、取付フレーム75に対して、前後方向及び左右方向に交差する方向と平行な回転軸770を中心に回転可能である。各支持台77の回転軸770は、支持台77の後端部に位置している。
【0060】
左右一対の支持台77は、左右一対の原動機76とそれぞれ一対一で対応し、かつ、左右一対の駆動輪74とそれぞれ一対一で対応している。各支持台77には、対応する原動機76と対応する駆動輪74とが取り付けられている。各支持台77において、駆動輪74は、支持台77の回転軸770よりも前方に位置している。
【0061】
第1車輪ユニット71は、アクチュエーター78を更に有している。アクチュエーター78は、左右一対の支持台77の各々を回転軸770を中心に回転することで、左右一対の駆動輪74の間の距離を変更する。
【0062】
アクチュエーター78は、エアシリンダーである。アクチュエーター78は、左右一対の支持台77の前端部の間に位置している。アクチュエーター78は、シリンダー780と、ピストン781とを有している。左右一対の支持台77のうちの一方にシリンダー780が接続され、他方にピストン781が接続されている。ピストン781がシリンダー780に対して往復動することで、左右一対の支持台77の各々は、回転軸770を中心に回転し、これにより、左右一対の駆動輪74の間の距離が変化する。
【0063】
アクチュエーター78は、例えば、列車4が備える制御装置によって制御される。制御装置は、アクチュエーター78を制御して左右一対の駆動輪74の間隔を変更することで、左右一対の駆動輪74によって軌道2の接触部24(図4参照)を挟み込む力の大きさを変更したり、左右一対の駆動輪74の接触部24への接触の有無を変更したりすることができる。
【0064】
なお、第1車輪ユニット71は、アクチュエーター78の駆動力を調整する調整器を更に備えてもよい。この場合、調整器を制御することで、左右一対の駆動輪74によって軌道2の接触部24(図4参照)を挟み込む力を調整し、動力車41の速度を容易に制御することができる。調整器としては、例えば、アクチュエーター78を構成するエアシリンダーの空気圧を調整する調整器が用いられる。また、前記調整器又はアクチュエーター78の駆動は、例えば、列車4の速度又は速度変化を検出する検出器の検出結果に基づいて自動で制御されてもよい。
【0065】
本実施形態では、動力車41が軌道2の第1区間21及び第3区間23を走行する際、アクチュエーター78を制御することにより、左右一対の駆動輪74によって接触部24を挟み込む力の大きさを調節して、動力車41の推進力及び制動力を調節することができる。
【0066】
なお、アクチュエーター78は、複動型のエアシリンダーであってもよいし、ばねを有する単動型のエアシリンダーであってもよい。また、アクチュエーター78は、エアシリンダーに限定されず、例えば、油圧シリンダーであってもよい。また、複数の駆動輪74及び複数の原動機76は、取付フレーム75に対して固定されてもよく、アクチュエーター78及び支持台77は省略可能である。
【0067】
図1に示すように、軌道2が複数の第1区間21を有する場合、接触部24において複数の駆動輪74によって挟まれる部分の最大厚みTmax(図4参照)は、第1区間21毎に異なる寸法に設定されてもよい。すなわち、接触部24の最大厚みTmaxは、複数の第1区間21のうちの一つの第1区間21と他の一つの第1区間21とで異なっていてもよい。このように接触部24の最大厚みTmaxを第1区間21毎に異ならせることで、複数の駆動輪74によって接触部24を挟み込む力の大きさを、接触部24の最大厚みTmaxを調整するだけで調節することができ、動力車41の適切な推進力を得ることができる。すなわち、この場合、左右一対の駆動輪74の間隔を変更することなく、複数の駆動輪74によって接触部24を挟み込む力の大きさを変更することができる。
【0068】
なお、各接触部24の複数の駆動輪74によって挟まれる部分の最大厚みTmaxは、同じであってもよい。また、各接触部24の複数の駆動輪74によって挟まれる部分の厚みTは、一つの接触部24における車両40の進行方向において変化してもよいし、同じであってもよい。例えば、接触部24において、一の部分の接触部24の厚みTが、この一の部分より前方に位置する他の部分(複数の駆動輪74が一の部分よりも後に接触する部分)の厚みTよりも大きくてもよい。また、接触部24において、一の部分の接触部24の厚みTが、この一の部分より後方に位置する他の部分(複数の駆動輪74が一の部分よりも前に接触する部分)の厚みTよりも大きくてもよい。
【0069】
(2)変形例
上記実施形態の輸送システム1は、適宜変更可能である。例えば、軌道2は、引上装置25によって車両40を走行させる第3区間23を有さなくてもよい。なお、この場合、第1区間21は、複数の駆動輪74(図4参照)が接触部24に伝える駆動力だけで走行できるのであれば上り勾配を有してもよいし、上り勾配を有さなくてもよい。すなわち、輸送システム1は、複数の駆動輪74(図4参照)が接触部24に伝える駆動力だけで、列車4が軌道2の全体を走行できるように構成されてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の軌道2は、図2に示すように、上り勾配を有する区間(第一区間21又は第3区間23)を有しているが、図8に示すように、上り勾配を有する区間を有さなくてもよい。すなわち、軌道2は、上り勾配を有さなくてもよい。この場合、軌道2は、例えば、水平な部分のみ、下り勾配を有する部分のみ、又は水平な部分と下り勾配を有する部分との組み合わせで構成される。この場合も、列車4は、複数の駆動輪74が接触部24に伝える駆動力だけで、軌道2の全体を走行可能である。
【0071】
また、軌道2は、下り勾配を有さなくてもよい。この場合、軌道2は、例えば、上り勾配を有する部分のみ又は水平な部分と上り勾配を有する部分との組み合わせで構成される。この場合も、列車4は、複数の駆動輪74が接触部24に伝える駆動力だけで、軌道2の全体を走行可能である。
【0072】
また、軌道2が第3区間23を有するか否かにかかわらず、軌道2は、上り勾配を有する区間と下り勾配を有する区間とを有してもよい。また、軌道2は、図1に示す単線の環状路に限定されない。例えば、軌道2は、図9に示すように、複線の環状路であってもよい。また、軌道2は、図10に示すように、列車4の折返しのために端部を終端用ループ線29でつないだ複線であってもよい。また、軌道2は、図11に示すように、両端がつながっていない有端の単線であってもよい。
【0073】
また、この他、輸送システム1の各要素の形状、大きさ、位置、数及び材質等は、適宜変更可能である。
【0074】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示の第1の態様の輸送システム(1)は、軌道(2)と、車両(40)とを備える。軌道(2)は、レール(20)を有する。車両(40)は、レール(20)に沿って移動する案内輪(730~732)を有する。軌道(2)は、接触部(24)を含む第1区間(21)と、接触部(24)を含まない第2区間(22)とを有する。車両(40)は、接触部(24)を挟む複数の駆動輪(74)を更に備える。
【0075】
この態様によれば、複数の駆動輪(74)により接触部(24)を挟んだ状態で、複数の駆動輪(74)を駆動することで、車両(40)を走行させることができる。また、この場合、複数の駆動輪(74)は接触部(24)を挟むことで、複数の駆動輪(74)と接触部(24)との摩擦力を十分に発生させることができ、車両(40)を十分な推進力で走行させることができる。
【0076】
第2の態様の輸送システム(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、軌道(2)は、レール(20)として、左右一対のレール(20)を有する。左右一対のレール(20)は、左右方向に間隔をあけて位置する。車両(40)は、左右一対のレール(20)と一対一で対応する左右一対の案内輪群(73)を有する。左右一対の案内輪群(73)の各々は、案内輪(730~732)として、対応するレール(20)に対して、上方、側方及び下方の三方からそれぞれ接触する複数の案内輪(730~732)を有する。
【0077】
この態様によれば、左右一対の案内輪群(73)により、車両(40)が上下方向及び左右方向に移動することを規制することができる。
【0078】
第3の態様の輸送システム(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、軌道(2)は、レール(20)として、左右一対のレール(20)を有する。左右一対のレール(20)は、左右方向に間隔をあけて位置する。車両(40)は、案内輪(730~732)として、左右一対の案内輪(730~732)を有する。左右一対の案内輪(730~732)は、左右一対のレール(20)にそれぞれ一対一で対応する。複数の駆動輪(74)は、左右一対の案内輪(730~732)の間に位置する。
【0079】
この態様によれば、複数の駆動輪(74)が、左右一対の案内輪(730~732)の間のスペースに配置されるため、車両(40)の上下寸法が大きくなることを抑制することができる。
【0080】
第4の態様の輸送システム(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、軌道(2)は上り勾配を有さない。
【0081】
この態様によれば、車両(40)を引き上げる引上装置(25)等の大掛かりな装置を設けることなく、車両(40)を走行させることができる。
【0082】
第5の態様の輸送システム(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、軌道(2)は、上り勾配を有する区間(第1区間21)を有する。車両(40)は、軌道(2)の全体を複数の駆動輪(74)が接触部(24)に伝える駆動力だけで走行可能である。
【0083】
この態様によれば、複数の駆動輪(74)の駆動力だけで、車両(40)を走行させることができる。
【0084】
第6の態様の輸送システム(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、軌道(2)は、上り区間(第3区間23)と、引上装置(25)とを更に有する。上り区間は、上り勾配を有する。引上装置(25)は、上り区間において、車両(40)を引き上げる。
【0085】
この態様によれば、上り区間において、車両(40)を引上装置(25)で引き上げることができる。
【0086】
第7の態様の輸送システム(1)は、第1~6のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、軌道(2)は、有端の単線である。
【0087】
この態様によれば、車両(40)が軌道(2)を往復することで、人又は物を輸送することができる。
【0088】
第8の態様の輸送システム(1)は、第1~第7のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、軌道(2)は、第1区間(21)として、複数の第1区間(21)を有する。接触部(24)において複数の駆動輪(74)によって挟まれる部分の最大厚み(Tmax)が、複数の第1区間(21)のうちの一つの第1区間(21)と他の一つの第1区間(21)とで異なる。
【0089】
この態様によれば、接触部(24)において複数の駆動輪(74)によって挟まれる部分の最大厚み(Tmax)を、第1区間(21)毎に調整することで、複数の駆動輪(74)によって接触部(24)を挟み込む力の大きさを第1区間(21)毎に調節することができ、車両(40)に適切な推進力を与えることができる。
【0090】
第9の態様の輸送システム(1)は、第1~第8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様では、車両(40)は、客室(50)を更に有する。
【0091】
この態様によれば、客室(50)に人を載せて輸送することができる。
【符号の説明】
【0092】
Tmax 接触部において複数の駆動輪によって挟まれる部分の最大厚み
1 輸送システム
2 軌道
20 レール
21 第1区間
22 第2区間
23 第3区間(上り区間)
24 接触部
25 引上装置
40 車両
73 案内輪群
730 上案内輪(案内輪)
731 下案内輪(案内輪)
732 横案内輪(案内輪)
74 駆動輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11