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特許7587873薄膜形成方法およびそれを含むメモリ素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】薄膜形成方法およびそれを含むメモリ素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241114BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241114BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20241114BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 B
C23C16/18
C23C16/455
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023078214
(22)【出願日】2023-05-10
(65)【公開番号】P2023167012
(43)【公開日】2023-11-22
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057133
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0049570
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518176264
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハ ナ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キュ ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ドク ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヒョン ジュ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-523983(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008351(WO,A1)
【文献】特開2015-054853(JP,A)
【文献】特表2020-530661(JP,A)
【文献】特表2005-537638(JP,A)
【文献】特表2011-530002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
C23C 16/18
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のギャップフィーチャを含む基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給することによって,前記付加物前駆体を前記基板に吸着する付加物前駆体供給段階;
前記チャンバーの内部をパージする段階;と
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成して前記ギャップフィーチャを充填する薄膜形成段階を含むが,
前記付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,NbおよびTaを含む5族元素のうち少なくとも1つを中心元素とする金属化合物又は下記<化学式8>若しくは下記<化学式9>として表される金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R又はRはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R~Rはそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
前記<化学式8>及び前記<化学式9>において,Mは周期律表上で6族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【請求項2】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記金属化合物とを混合して形成される請求項1記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項3】
前記金属化合物は,下記<化学式5>又は<化学式6>として表される,請求項1又は2記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【請求項4】
前記金属化合物は,下記<化学式7>として表される請求項1又は2記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
,R,Rはそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5の直鎖/分岐状/環状アルキル基から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【請求項5】
1つ以上のギャップフィーチャを含む基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給することによって,前記付加物前駆体を前記基板に吸着する付加物前駆体供給段階;
前記チャンバーの内部をパージする段階;と
前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成して前記ギャップフィーチャを充填する薄膜形成段階を含むが,
前記付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,下記<化学式11>又は下記<化学式12>として表される非金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R又はRはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R~Rはそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
前記<化学式11>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
~R はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
前記<化学式12>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
~R はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
【請求項6】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記非金属化合物とを混合して形成される請求項記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項7】
前記薄膜は,金属酸化物,金属窒化物,金属硫化物又は金属のいずれかである,請求項1又は2記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項8】
前記薄膜は,非金属酸化物,非金属窒化物,非金属硫化物又は非金属のいずれかである,請求項又は記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項9】
前記薄膜形成方法は,前記付加物前駆体の解離温度以上で進行する請求項1,2,いずれか1項記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項10】
前記薄膜形成方法は,50~700℃で進行する請求項1,2,いずれか1項記載の付加物前駆体を用いた薄膜形成方法。
【請求項11】
請求項1,2,いずれか1項記載の薄膜形成方法を含む揮発性メモリ素子の製造方法。
【請求項12】
請求項1,2,いずれか1項記載の薄膜形成方法を含む不揮発性メモリ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,薄膜形成方法およびそれを含むメモリ素子の製造方法に関し,より詳細には安全性に優れ,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法およびそれを含むメモリ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に形成されたトレンチなどのギャップフィーチャを充填する工程として原子層蒸着(ALD)が用いられている。原子層堆積は表面反応を利用するので,原子層堆積を用いてギャップフィーチャ(gap features)を充填する場合,均一な厚さを形成することができ,ボイドの形成を最小限に抑えることができる。
【0003】
ただし,ギャップフィーチャが高アスペクト比に変化しながら,ギャップ入口のサイズがギャップ内部のサイズより小さい場合が発生し,ギャップ入口の狭小化は高アスペクト比フィーチャ下部への反応物の十分な拡散を妨げる原因となる。
【0004】
さらに,不十分な拡散は,深さが増加するにつれて,フィーチャの側壁においてカバレッジが減少する堆積プロファイルを生じる。さらに,原子層堆積を使用してもボイド又はシームなどの欠陥が発生する可能性があるだけでなく,所望よりも多孔性の高い膜が形成される。
【0005】
さらに,ギャップ充填のためのALDは,目標とする膜厚を達成するために数百回繰り返すことができ,生産量の面で不利であり得る。したがって,高アスペクト比ギャップフィーチャの場合,上部より下部で成長速度が高いことが有利であり,そのための様々な成長抑制技術が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は,欠陥の発生を最小限に抑え,高い生産量を確保することができる薄膜形成方法およびそれを含むメモリ素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は,以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によれば,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法は,1つ以上のギャップフィーチャを含む基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給することによって,前記付加物前駆体を前記基板に吸着する付加物前駆体供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階;前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成して前記ギャップフィーチャを充填する薄膜形成段階を含むが,前記付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される。
【0009】
【化1】
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R1又はR2はそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0010】
【化2】
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0011】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記金属化合物とを混合して形成されることができる。
【0012】
前記金属化合物は,Zr,Hf,Tiを含む4族元素の少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0013】
前記金属化合物は,下記<化学式3>として表されることができる。
【0014】
【化3】
Mは周期律表上で4族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0015】
前記金属化合物は,下記<化学式4>として表されることができる。
【0016】
【化4】
Mは周期律表上で4族に属する金属元素の中から選択され,
1,R2,R3,R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5の直鎖,分岐状,環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数6~12のフェニル基から選ばれ,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基から選択され,
Lがジアルキルアミノ基である場合,それぞれ互いに連結して炭素数3~10の環状アミン基を形成することができる。
【0017】
前記金属化合物は,NbおよびTaを含む5族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0018】
前記金属化合物は,下記<化学式5>又は<化学式6>として表されることができる。
【0019】
【化5】
【化6】
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0020】
前記金属化合物は,下記<化学式7>として表されることができる。
【0021】
【化7】
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
1,R2,R3はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5の直鎖/分岐状/環状アルキル基から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0022】
前記金属化合物は,WおよびMoを含む6族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0023】
前記金属化合物は,下記<化学式8>又は<化学式9>として表されることができる。
【0024】
【化8】
【化9】
Mは周期律表上で6族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0025】
前記金属化合物は,Alを含む13族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0026】
前記金属化合物は,下記<化学式10>として表されることができる。
【0027】
【化10】
Mは周期律表上で13族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0028】
本発明の他の実施例によれば,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法は,1つ以上のギャップフィーチャを含む基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給することによって,前記付加物前駆体を前記基板に吸着する付加物前駆体供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階;前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成して前記ギャップフィーチャを充填する薄膜形成段階を含むが,前記付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,非金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される。
【0029】
【化11】
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R1又はR2はそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0030】
【化12】
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0031】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記非金属化合物とを混合して形成されることができる。
【0032】
前記非金属化合物は,Si,Geを含む14族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0033】
前記非金属化合物は,下記<化学式11>として表されることができる。
【0034】
【化13】
前記<化学式11>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
【0035】
前記非金属化合物は,下記<化学式12>として表されることができる。
【0036】
【化14】
前記<化学式12>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
1~R6はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
【0037】
前記薄膜は,金属酸化物,金属窒化物,金属硫化物又は金属のいずれかであることができる。
【0038】
前記薄膜は,非金属酸化物,非金属窒化物,非金属硫化物又は非金属のいずれかであることができる。
【0039】
前記薄膜形成方法は,前記付加物前駆体の解離温度以上で進行することができる。
【0040】
前記薄膜形成方法は,50~700℃で進行することができる。
【0041】
本発明の一実施例によれば,揮発性メモリ素子の製造方法は,前記薄膜形成方法を含むことができる。
【0042】
本発明の一実施例によれば,不揮発性メモリ素子の製造方法は,前記薄膜形成方法を含むことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の一実施形態によれば,ギャップフィーチャ上に底部から上方に充填されるSi又はMetal含有膜を形成することができ,サイクル毎に工程条件を調節したり,プラズマや化学的改質などの表面改質がなくても,一般的なALDを介して上部と下部の他の蒸着厚さを実現できるだけでなく,欠陥のないギャップフィルを達成して電気的特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】ギャップフィーチャを有する基板の断面図を模式的に示す図である
図2】本発明の実施例1による前駆体TMA-EMSの1H-NMRグラフである。
図3】実施例1に対する示差走査熱量分析(DSC)試験結果及び熱重量分析(TGA)試験結果を示すグラフであ。
図4】実施例1に対する示差走査熱量分析(DSC)試験結果及び熱重量分析(TGA)試験結果を示すグラフであ。
図5】本発明の比較例1及び実施例1に係るアルミニウム酸化膜のGPC(周期当たりの成長率,Growth Per Cycle)を工程温度に沿って示したグラフである。
図6】本発明の比較例1に係るアルミニウム酸化物膜を400℃の工程温度でパターンウエハに蒸着してステップカバレッジを確認した結果である(アスペクト比20:1)。
図7】本発明の実施例1に係るアルミニウム酸化物膜を400℃の工程温度でパターンウエハに蒸着してステップカバレッジを確認した結果である(アスペクト比20:1)。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下,本発明の好ましい実施例を添付した図1図6を参照してより詳細に説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限ると解釈されてはならない。本実施例は,該当発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示した各要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されている可能性がある。
【0046】
本発明の一実施形態による前駆体は,常温,常圧で有機物と結合して安定な付加物状態で存在するが,チャンバー内で熱エネルギー,衝突などによって基板の表面に吸着される前に解離される。
【0047】
また,ギャップフィーチャの上部ではサイズ(size)増加,ブロッキング効果で前駆体の反応性が減少し,吸着密度が減少し,ギャップフィーチャの下部では有機物が解離して除去され,金属,非金属化合物自体で吸着し,吸着密度が増加する。特に,堆積厚さが増加し,ボトムアップフィリングを可能にする。
【0048】
また,ギャップフィーチャの深さに応じて上部と下部で異なるGPCで堆積され,高アスペクト比の構造物でも欠陥のないギャップフィルを実現することができる。
【0049】
本発明の一実施例によれば,薄膜形成方法は,基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給する付加物前駆体供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階;前記チャンバーの内部に反応物質を供給して前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成する薄膜形成段階を含む。このとき,前駆体供給段階および薄膜形成段階は50~700℃で進行する。
【0050】
基板は1つ以上のギャップフィーチャを有する。ギャップフィーチャは,非平面表面の1つ以上の傾斜面の間に配置された開口部又は空洞を指すことができる。ギャップフィーチャは,基板の表面から垂直に延びる2つの突出部の対向する傾斜側壁の間に配置された開口部又はキャビティを指すことができる。ギャップフィーチャは,基板の表面から垂直に延びる凹部の1つ又は複数の対向する傾斜側壁の間に配置された開口又は空洞を指すことができる。
【0051】
図1は,ギャップフィーチャを有する基板の断面図を模式的に示す図である。少なくとも1つのギャップフィーチャ210は基板表面220に開口部を形成する。ギャップフィーチャ210は,基板表面220から深さDまで最下面212に延びる。ギャップフィーチャ210は,ギャップフィーチャ210の幅Wを画定する第1の側壁214および第2の側壁216を有する。側壁と最下部とによって形成される開放領域もギャップと呼ばれる。
【0052】
基板はチャンバーの内部に供給された付加物前駆体にさらされ,基板のギャップフィーチャに付加物前駆体が吸着される。
【0053】
本発明の一実施例によれば,付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される。
【0054】
【化15】
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R1又はR2はそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0055】
【化16】
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0056】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記金属化合物とを混合して形成されることができる。
【0057】
前記金属化合物は,Zr,Hf,Tiを含む4族元素の少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0058】
前記金属化合物は,下記<化学式3>として表されることができる。
【0059】
【化17】
Mは周期律表上で4族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0060】
前記金属化合物は,下記<化学式4>として表されることができる。
【0061】
【化18】
Mは周期律表上で4族に属する金属元素の中から選択され,
1,R2,R3,R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5の直鎖,分岐状,環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数6~12のフェニル基から選ばれ,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基から選択され,
Lがジアルキルアミノ基である場合,それぞれ互いに連結して炭素数3~10の環状アミン基を形成することができる。
【0062】
前記金属化合物は,NbおよびTaを含む5族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0063】
前記金属化合物は,下記<化学式5>又は<化学式6>として表されることができる。
【0064】
【化19】
【化20】
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0065】
前記金属化合物は,下記<化学式7>として表されることができる。
【0066】
【化21】
Mは周期律表上で5族に属する金属元素の中から選択され,
1,R2,R3はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5の直鎖/分岐状/環状アルキル基から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0067】
前記金属化合物は,WおよびMoを含む6族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0068】
前記金属化合物は,下記<化学式8>又は<化学式9>として表されることができる。
【0069】
【化21】
【化22】
Mは周期律表上で6族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0070】
前記金属化合物は,Alを含む13族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0071】
前記金属化合物は,下記<化学式10>として表されることができる。
【0072】
【化23】
Mは周期律表上で13族に属する金属元素の中から選択され,
Lはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく,水素原子,炭素数1~10の直鎖/分岐状/環状アルキル基,炭素数1~5のアルコキシ基,炭素数1~5のアミノ基,炭素数1~5のジアルキルアミノ基 ,炭素数6~12のアリール基,炭素数7~13のアラルキル基又はハロゲン元素から選択される。
【0073】
本発明の他の実施例によれば,付加物前駆体を用いた薄膜形成方法は,1つ以上のギャップフィーチャを含む基板が配置されたチャンバーの内部に付加物前駆体を供給することによって,前記付加物前駆体を前記基板に吸着する付加物前駆体供給段階;前記チャンバーの内部をパージする段階;前記チャンバーの内部に反応物質を供給して吸着された前記付加物前駆体と反応させて薄膜を形成して前記ギャップフィーチャを充填する薄膜形成段階を含むが,前記付加物前駆体は,下記<化学式1>又は下記<化学式2>として表される化合物1モル~5モルと,非金属化合物1モル~5モルとを混合して形成される。
【0074】
【化24】
前記<化学式1>において,XはO又はSであり,R1又はR2はそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0075】
【化25】
前記<化学式2>において,XはO又はSであり,n=1~5であり,R1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~5のアルキル基,炭素数3~6のシクロアルキル基,炭素数6~12のアリール基から選択される。
【0076】
前記付加物前駆体は,エチルメチルスルフィド又はエチルプロピルエーテル又はテトラヒドロフランと前記非金属化合物とを混合して形成されることができる。
【0077】
前記非金属化合物は,Si,Geを含む14族元素のうち少なくとも1つを中心元素とすることができる。
【0078】
前記非金属化合物は,下記<化学式11>として表されることができる。
【0079】
【化26】
前記<化学式11>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
1~R4はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
【0080】
前記非金属化合物は,下記<化学式12>として表されることができる。
【0081】
【化27】
前記<化学式12>において,MはSi,Geを含む14族元素の一つであり,
1~R6はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1~10のアルキル基,炭素数6~12のアリール基,炭素数1~10のアルキルアミン基,炭素数1~10のジアルキルアミン基,炭素数6~12のアリールアミン基,炭素数7~13のアラルキルアミン基,炭素数3~10の環状アミン基,炭素数3~10の複素環式アミン基,炭素数6~12のヘテロアリールアミン基,炭素数2~10のアルキルシリルアミン基,アジド基又はハロゲンから選択される。
【0082】
金属/非金属化合物は,常温,常圧でDimer又はOligomerの形態で存在することができ,付加物前駆体形成後もDimer又はOligomerの形態を維持することができる。
【0083】
その後,チャンバーの内部にパージガス(例えば,Arなどの不活性ガス)を供給して,未吸着付加物前駆体又は副生成物を除去又は浄化する。
【0084】
その後,基板はチャンバーの内部に供給された反応材料に露出され,基板の表面に薄膜が形成されてギャップフィーチャを充填する。反応物質は付加物前駆体層と反応して薄膜を形成し,反応物質がO3,O2,H2Oガスの場合,薄膜は金属/非金属酸化膜であり,反応物質がアンモニア(NH3),ヒドラジン(Hydrazine,N24),二酸化窒素(NO2),窒素(N2)のうちの1つ以上の場合,薄膜は金属/非金属窒化膜である。 さらに,薄膜は金属/非金属硫化物であっても金属/非金属であってもよい。
【0085】
その後,チャンバーの内部にパージガス(例えば,Arなどの不活性ガス)を供給して未反応物質又は副生成物を除去又は浄化する。
【0086】
- 実施例1
室温のグローブボックス内で500ml丸フラスコに<化学式1>に相当するエチルメチルスルフィド10.56g(0.139mol)を加え,<化学式6>に相当するトリメチルアルミニウム5g(0.069mol)を非常にゆっくり投入して前駆体TMA-EMSを得た。
【0087】
図2は,本発明の実施例1による前駆体TMA-EMSの1H-NMRグラフである。
【0088】
本発明の実施例1による前駆体TMA-EMSの1H-NMRグラフであり,実施例1/エチルメチルスルフィド/トリメチルアルミニウムのNMRスペクトルを示す。
Trimethyl aluminium:δ-0.36(s)
エチルメチルスルフィド:δ2.19(q),1.76(s),1.20(t)
TMA-EMS:δ-0.37(s),δ2.05(q),1.58(s),0.85(t)
【0089】
エチルメチルスルフィドに由来する化学移動δ=2.19ppm,1.76ppm,1.20ppmのピークは,前駆体TMA-EMS形成後もピークの形状が変わらず,それぞれ2.05ppm,1.58ppm,0.85ppmに移動した。
【0090】
トリメチルアルミニウムに由来する化学移動δ=-0.36ppmのピークも,前駆体TMA-EMS形成後,形状が変わらず微細に移動して安定した前駆体を形成することが確認できる。
【0091】
- 熱分析
図3及び図4は,実施例1に対する示差走査熱量分析(DSC)試験結果及び熱重量分析(TGA)試験結果を示すグラフである。実施例1で得たTMA-EMSに対して示差走査熱量分析(DSC)試験及び熱重量分析(TGA)試験を実施し,各試験で熱分解温度を測定するための熱分析試験条件は以下の通りである。
移送ガス:アルゴン(Ar)ガス
移送ガス流量:200ml/min
加熱プロファイル:30℃から400℃まで10℃/分の昇温速度で加熱する
【0092】
DSC試験での熱分解温度は,DSC熱曲線(thermogram)で昇温時に熱流量が突然上昇する点の温度として決定した。
【0093】
下記[表1]を参照すると,TMA-EMSは気化特性に優れながら残留成分量が0.1%以下であることが確認され,薄膜に不純物を残さないことが分かる。また,TMA-EMSの分解温度は340℃程度であり,分解温度は320℃程度のトリメチルアルミニウム(TMA)と比較して熱安定性が改善された特性を示す。有機物質がTMA間のAl-Al相互作用を効果的にブロッキング(blocking)し,安定した1つの分子を形成した効果とみなすことができる。また,付加物の添加によりAl center周辺の立体障害(Steric hindrance)が増加し,付加物添加前のTMAに比べて反応性が低下することが予想できる。
【0094】
【表1】
【0095】
TMA-EMS前駆体の直径は,約8.6Å程度で,TMA直径である5Åと比較してサイズが非常に増加する。これは,TMA-EMS前駆体のAl中心と表面-OH*とのアクセス性をさらに減少させるだけでなく,表面上にいくつかの吸着前駆体が存在するときに立体障害がより大きく作用し,サイクル当たりの堆積厚さを減少させる。 図5のTMA-EMS前駆体を活用した蒸着結果を通じて確認することができる。
【0096】
これと同様に,TMA-EMS前駆体は表面の-OH*終端グループとの反応性が減少し,これによる固着係数(Sticking Coefficient)の減少,表面での拡散増加で均一な膜を形成することができ,最終的に均一性(uniformity)およびステップカバレッジを向上させることができる。
【0097】
- 比較例1
シリコン基板上にアルミニウム酸化膜を形成した。ALD工程によりアルミニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は250~400℃,反応物質はO3ガスを用いた。
【0098】
ALD工程によるアルミニウム酸化膜形成工程は以下の通りであり,以下の工程を1サイクルとして進行した。
1)Arをキャリアガスとし,常温でアルミニウム前駆体TMA(Trimethylaluminium)を反応室に供給し,基板にアルミニウム前駆体を吸着
2)反応室内にArガスを供給して未吸着アルミニウム前駆体又は副生成物を除去する
3)O3ガスを反応室に供給してモノレイヤーを形成する
4)反応室内にArガスを供給して未反応物質又は副生成物を除去する
【0099】
上記のような過程により得られたアルミニウム酸化膜の厚さを測定した結果,ALD工程の1サイクル毎に得られたアルミニウム酸化膜の厚さは250~400℃で約0.9Å/サイクルであった。
【0100】
図5は,本発明の比較例1及び実施例1に係るアルミニウム酸化膜を平板ウエハに形成する過程でGPC(周期当たりの成長率,Growth Per Cycle)を工程温度に沿って示したグラフである。図5に示すように,基板の温度250~400℃の範囲内で基板の温度上昇に伴うGPC変化がほとんどない理想的なALD挙動を示した。DRAMのZrO2/Al23/ZrO2複合誘電膜において誘電膜全厚を50Å,比較例1のAl23を3サイクル程度使用すると仮定すると,誘電膜のEOT=5.93Åである。
【0101】
- 実施例1
本発明の実施例1に係る前駆体TMA-EMSを用いてシリコン基板上にアルミニウム酸化膜を形成した。前駆体を変更したことを除いて,比較例1と同様の方法でアルミニウム酸化膜を形成した。
【0102】
上記の手順で得られたアルミニウム酸化物膜の厚さを測定した結果,ALD工程の1サイクル毎に得られたアルミニウム酸化物膜の厚さは250~400℃で約0.7Å/サイクルであった。
【0103】
また,図5に示すように,基板の温度250~400℃の範囲内で基板の温度上昇に伴うGPC変化がほとんどない理想的なALD挙動を示し,比較例1に比べ約20%の減少効果を示している。DRAMのZrO2/Al23/ZrO2複合誘電膜において誘電膜全厚を50Å,比較例1のAl23を3サイクル程度使用すると仮定すると,誘電膜のEOT=5.72Åであり,比較例1に比べ約4%のスカリングダウンを実現できる。
【0104】
図6は,本発明の比較例1に係るアルミニウム酸化物膜を400℃の工程温度でパターンウエハに蒸着してステップカバレッジを確認した結果である(アスペクト比20:1)。図6に示すように,一定サイクルの工程を繰り返して得た上部の厚さは8.32Å,下部の厚さは8.34Åでステップカバレッジ100%の結果を確認した。
【0105】
図7は,本発明の実施例1に係るアルミニウム酸化膜を400℃の工程温度でパターンウエハに蒸着してステップカバレッジを確認した結果である(アスペクト比20:1)。図7に示すように,一定サイクルの工程を繰り返して得られた上部の厚さは8.28Å,下部の厚さは9.5Åでステップカバレッジ116%の結果を確認し,上部より下部で15%程度厚みが増加した。
【0106】
フラットベッドでの理想的なALD挙動とは異なり,構造物中の付加物前駆体は容易に解離することができる。付加物前駆体 解離温度以上の高い工程温度は,金属/非金属化合物と有機物との結合を断ち切るほど高いエネルギーを提供すると解釈でき,構造物下部に拡散し分子間衝突回数が増加することも付加物前駆体の解離原因と解釈できる。
【0107】
これにより,解離した有機物は比較的揮発性が高く上部に高い密度で存在し,比較的揮発性が低く,重い金属/非金属化合物は下部に高密度で存在することができる。下部に高密度で存在する金属/非金属化合物は,有機物によるブロッキング効果が除去され,本来の反応性を回復し,高い成長速度で蒸着され,その厚さが増加する。
【0108】
結論として,本発明の付加物前駆体を用いて下部に向かうにつれて堆積速度が増加するGradient adsorption特性を得ることができ,複数のサイクロプロセスを繰り返し実行すると,下部から上方に充填され,高アスペクト比の構造物でも欠陥のないギャップ充填を実現することができる。
【0109】
これまで本発明を,実施例を介して詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載する請求項の技術的思想と範囲は実施例に限らない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7