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特許7587874コードプローブ分子のコンビナトリアル合成が指令されかつ記録されたオリゴヌクレオチド
<図1>
  • 特許-コードプローブ分子のコンビナトリアル合成が指令されかつ記録されたオリゴヌクレオチド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コードプローブ分子のコンビナトリアル合成が指令されかつ記録されたオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C40B 10/00 20060101AFI20241114BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241114BHJP
   C40B 30/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C40B10/00
C07H21/04 B
C12N15/11 Z
C40B30/04
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023078674
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2018564737の分割
【原出願日】2017-06-08
(65)【公開番号】P2023090988
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】62/351,046
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521151810
【氏名又は名称】ヘイスタック サイエンシィズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HAYSTACK SCIENCES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】280 Utah Ave. Suite 110, South San Francisco, California 94080, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ リチャード エドワード
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0245040(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344872(US,A1)
【文献】特表2007-524662(JP,A)
【文献】特表2012-517812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C40B 10/00
C07H 21/04
C12N 15/11
C40B 30/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ分子であって、前記プローブ分子が、式(I):
(I) ([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B
に従い、ここで、
Gは、オリゴヌクレオチドであり、前記オリゴヌクレオチドは、位置ビルディングブロックをコードする少なくとも2つのコード領域と、第1ビルディングブロック又は第2ビルディングブロックをコードする少なくとも1つの末端コード領域とを含み、前記少なくとも2つのコード領域は一本鎖であり、前記少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
は、ループ部分、ステム部分及び5’一本鎖部分を含むオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは前記オリゴヌクレオチドGの末端と相補的である5’末端を含み;
は、ループ部分、ステム部分及び3’一本鎖部分を含むオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは前記オリゴヌクレオチドGの末端と相補的である3’末端を含み;
Dは、前記第1ビルディングブロックであり;
Eは、前記第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は、位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数を表し;
は、位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びBは同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
は、HをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Oの値が1であるとき、Yは1~5の整数であり;
Pの値が1であるとき、Wは1~5の整数であり;
位置MのB及び位置KのBの、各位置ビルディングブロックの少なくとも1つが、前記少なくとも2つのコード領域のうちの1つによって同定され、前記第1ビルディングブロックD及び前記第2ビルディングブロックEの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの末端コード領域によって同定され、
又はHの少なくとも1つが、固有の制限部位、又は、少なくとも1つのデオキシウリジン(dU)塩基を含む、
プローブ分子。
【請求項2】
における複数の位置ビルディングブロックが異なる、請求項1に記載のプローブ分子。
【請求項3】
における複数の位置ビルディングブロックが異なる、請求項1または2に記載のプローブ分子。
【請求項4】
がDをHの前記ループ部分または前記ステム部分に共有結合する;及び/又は
がEをHの前記ループ部分または前記ステム部分に共有結合する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項5】
Gが、式(C-(Z-CN+1)で表される配列を含み、式中、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1~20の整数であり、Aは1~20の整数であり、
各非コード領域は4~50個のヌクレオチドを含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項6】
各非コード領域は二本鎖である、請求項5に記載のプローブ分子。
【請求項7】
O又はPの一方がゼロである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項8】
Y及びWの少なくとも1つが1~2の整数である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項9】
及びHの少なくとも1つが20~90個のヌクレオチドを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項10】
各コード領域が6~50個のヌクレオチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項11】
各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項12】
Pがゼロであり、Yが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む;又は
Oがゼロであり、Wが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項13】
Pがゼロであり、Yが2であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む;又は
Oがゼロであり、Wが2であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、
請求項1~12のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項14】
Y又はWの少なくとも1つが少なくとも2である、ならびに/又は、O及びPがともに1である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項15】
O及びPがともに1である、請求項1~11及び14のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項16】
前記プローブ分子のH又はHが、前記固有の制限部位を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項17】
前記プローブ分子のH及びHの少なくとも1つが、少なくとも1つのdU塩基を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のプローブ分子。
【請求項18】
請求項16に記載のプローブ分子を分析する方法であって、
前記固有の制限部位を認識する制限酵素で、前記プローブ分子を処理する工程;
前記処理したプローブ分子に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、それによって、PCR生成物を生成する工程;
前記PCR生成物を配列決定する工程;及び
前記PCR生成物の配列を分析して、前記位置ビルディングブロックを同定する工程
を含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載のプローブ分子を分析する方法であって、
ウラシルDNAグリコシラーゼで、前記プローブ分子を処理する工程;
前記処理したプローブ分子に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、それによって、PCR生成物を生成する工程;
前記PCR生成物を配列決定する工程;及び
前記PCR生成物の配列を分析して、前記位置ビルディングブロックを同定する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年6月16日に出願の米国仮出願第62/351,046号に優先
権を要求し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、多官能性分子、及びそのような多官能性分子を調製及び使用する方法に関す
る。本発明は更に、標的分子に結合する、又は標的分子選択性若しくは細胞透過性のよう
な他の望ましい特性を有することができるコード分子を同定するために多官能性分子を使
用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
例えば薬物のような所望の機能を有する分子が発見されるという基本的に3つの方法が
ある。それらは自然界で発見され、合理的に設計され、かつ試行錯誤によって発見される
。多くの場合、試行錯誤の方法は間違いなく最も有望であるが、それは驚くほど非効率的
なことがある。試行錯誤の方法をより効率的にするための手がかりは、膨大な数の合成が
可能で、所望の特性を有することが検査された分子のコンビナトリアルライブラリーを作
製することであった。試行錯誤により新しい分子を効率的に発見する必要性は、コンビナ
トリアルケミストリーの分野を生み出した。
【0003】
コンビナトリアルライブラリーの合成及び検査には3つの大きな問題がある。第1に、
コンビナトリアルライブラリーからプローブ分子を調製するための多くの方法は、組み立
てることができる連続した化学サブユニット又はビルディングブロックのタイプ及び数に
よって制限される。第2に、連続するビルディングブロックを組み立てる方法の多くは、
各工程の反応効率によって制限される。第3に、効率を維持するために、膨大な数のプロ
ーブ分子を同時に所望の特性を有するかどうか試験する必要があることが理解される。分
子形状の十分な多様性を有するライブラリーは、任意の所与の分子の数個のコピーのみを
有し得ることも理解される。低いコピー数は、所望の性質を有するプローブ分子の同定を
妨げる。したがって、各プローブ分子は、研究者が所望のプローブ分子を同定できるよう
に、固有の識別子で標識されるべきである。
【0004】
研究者は、これらの問題のいくつかを解決するために、DNAコードプローブ分子を開
発している。何人かの研究者は、コンビナトリアル合成の1以上の工程を指示する鋳型と
してDNAオリゴヌクレオチドを使用してきた。他の研究者は、コンビナトリアル合成を
記録し、プローブ分子に固有に標識するDNAオリゴヌクレオチドを使い、PCR(ポリ
メラーゼ連鎖反応)増幅を用いて標的分子に結合したままである分子プローブを同定する
ことができるようにした。さらに、他の研究者らは、DNAオリゴヌクレオチドを用いて
コンビナトリアル合成の1つ以上の工程を指示し、プローブ分子を固有の識別子で標識す
る。
【0005】
これらの方法の多くが成功したにもかかわらず、いくつかの問題が依然として残ってい
る。既存の方法は、依然として、プローブ分子を合成するための逐次反応工程の効率が低
いという問題がある。既存の方法はまた、標的分子をしっかりと結合するプローブ分子を
検出するのが困難であるが、少ない数で存在する。この難しさは、偽陰性をもたらす可能
性がある。連続した反応工程の反応効率を高めるオリゴヌクレオチドプローブ分子を製造
する方法が必要である。たとえそれらのプローブ分子が少ない数で存在しても、標的分子
に結合するプローブ分子を同定することができる必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、コードされた分子に関する。特定の実施形態において、コードされる分子は
、式(I)による分子である。
(I) ([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B

ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域
及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であ
り、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリ
ゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結
し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数であり;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びB
同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;
位置MのB及び位置KのBの、各位置ビルディングブロックの少なくとも1つがコー
ド領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロ
ックEの少なくとも1つが、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されている。
【0007】
式(I)の分子の特定の実施形態において、Gは、式(C-(Z-CN+1
で表される配列を含み、式中、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1
~20の整数であり、Aは1~20の整数であり、各非コード領域は4~50個のヌクレ
オチドを含み、任意で二本鎖である。式(I)の分子の特定の実施形態において、O又は
Pの一方はゼロである。式(I)の分子の特定の実施形態では、Y及びWの少なくとも1
つは1~2の整数である。式(I)の分子の特定の実施形態では、各コード領域は6~5
0個のヌクレオチドを含む。式(I)の分子の特定の実施形態において、H及びH
少なくとも1つは、20~90個のヌクレオチドを含む。式(I)の分子の特定の実施形
態では、各コード領域は12~40個のヌクレオチドを含む。式(I)の分子の特定の実
施形態では、Pはゼロであり、Yは1~2の整数であり、各コード領域は12~40個の
ヌクレオチドを含む。式(I)の分子の特定の実施形態では、Oはゼロであり、Wは1~
2の整数であり、各コード領域は12~40個のヌクレオチドを含む。
【0008】
本開示は、標的分子を結合又は選択することができるプローブ分子を同定する方法に関
し、標的分子をプローブ分子のプールに曝露することを含み、プローブ分子は上記式(I
)に従い、標的分子に結合しない少なくとも1つのプローブ分子を除去し、コピー配列を
形成する標的分子から除去されなかった少なくとも1つのプローブ分子から少なくとも1
つのオリゴヌクレオチドGを増幅し、コピー配列の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド
Gの配列を決定して、プローブ分子の少なくとも2つのコード領域を同定し、位置MのB
及び位置KのBの各位置ビルディングブロックの少なくとも1つを更に同定し、次い
でコピー分子の少なくとも1つの末端コード領域を同定し、プローブ分子の第1ビルディ
ングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つを更に同定することが
できる。
【0009】
本開示は、式(I)の分子を形成する方法に関する。特定の実施形態において、式(I
)の分子を形成する方法は、
少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイを提供し、上記少なくとも1つのハイ
ブリダイゼーションアレイは、少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイ上に固定
化された少なくとも1つの一本鎖アンチコドンオリゴマーを含み、少なくとも1つのハイ
ブリダイゼーションアレイ上に固定された少なくとも1つの一本鎖アンチコドンオリゴマ
ー配列は、式(II)の分子のコード領域にハイブリダイズすることができ:
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E
-(B(K-1)
ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域
及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であ
り、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリ
ゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結
し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数を表し;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びB
同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;そして
位置MのB及び位置KのBの各位置ビルディングブロックの少なくとも1つはコー
ド領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロ
ックEの少なくとも1つは、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されており;
少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイ上に固定された少なくとも1つの一本
鎖アンチコドンオリゴマーに式(II)の分子のサブプールのコード領域をハイブリダイ
ズさせることにより、式(II)の分子のプールをサブプールに分類し;
式(II)の分子のサブプールを少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイから
別々の容器に任意に放出し;
ビルディングブロックB及びBの少なくとも1つを提供し;そして
ビルディングブロックB及びBの少なくとも1つを式(II)の分子と反応させて
、式(I)の分子のサブプールを形成する工程を含む:
(I) ([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B

ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域
及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、各コード領域は一本鎖であり、少なくとも
1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリ
ゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結
し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数であり;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びB
同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;
位置MのB及び位置KのBの、各位置ビルディングブロックの少なくとも1つがコー
ド領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロ
ックEの少なくとも1つが、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されている。
【0010】
式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、式(II)の分子は、
オリゴヌクレオチドのプールを提供し、上記オリゴヌクレオチドG’は少なくとも2つ
のコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域
は一本鎖であり、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖であり、オリゴヌクレオチド
G’の5’末端及び/又は3’末端の少なくとも1つの末端コード領域が異なり;
少なくとも1つの荷電キャリア(charged carrier)アンチコドンを提
供し、上記少なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンは式([(B(M-1)-D
-L-H)及び/又は(H-[L-E-(Β(K-1))を有し;
オリゴヌクレオチドG’のプールと少なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンとを組
み合わせ;
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドG’の5’末端をHの3’末端に結合させ、及
び/又は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドG’の3’末端をHの5’末端に結合さ
せて式(II)の分子のプールを形成することにより調製する:
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E
-(B(K-1)
G、H、H、D、E、B、B、L、L、O、P、Y及びWは上記式(I)
で定義した通りであり、M及びKは1である。
【0011】
式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、この方法は、式(I)又は(I
I)の分子の少なくとも1つの末端コード領域からオリゴヌクレオチドの一部を除去する
ことを更に含む。式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、この方法は、H
のGへの及びHのGへの少なくとも1つのライゲーションを更に含む。式(I)の分
子を形成する方法の特定の実施形態において、Gは式(C-(Z-CN+1)で
表される配列を含み、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1~20の
整数であり、Aは1~20の整数であり;各非コード領域は4~50個のヌクレオチドを
含み、任意で二本鎖である。式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、O又
はPの一方は0である。式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、Y及びW
の少なくとも1つは1~2の整数である。式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形
態では、H及びHの少なくとも1つは、20~90個のヌクレオチドを含む。式(I
)の分子を形成する方法の特定の実施形態では、Pは0であり、Yは1~2の整数であり
、各コード領域は12~40個のヌクレオチドを含み;又はOは0であり、Wは1~2の
整数であり、各コード領域は12~40個のヌクレオチドを含む。
特定の態様では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
式(I)の分子であって、
(I) ([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B
ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であり、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数であり;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びBは同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;
位置MのB及び位置KのBの、各位置ビルディングブロックの少なくとも1つがコード領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つが、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されている。
(項目2)
Gは、式(C-(Z-CN+1)で表される配列を含み、式中、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1~20の整数であり、Aは1~20の整数であり、各非コード領域は4~50個のヌクレオチドを含み、任意で二本鎖である、項目1に記載の分子。
(項目3)
O又はPの一方がゼロである、項目1~2のいずれか一項に記載の分子。
(項目4)
Y及びWの少なくとも1つが1~2の整数である、項目1~3のいずれか一項に記載の分子。
(項目5)
各コード領域が6~50個のヌクレオチドを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の分子。
(項目6)
及びHの少なくとも1つが20~90個のヌクレオチドを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の分子。
(項目7)
各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、項目1~6のいずれか一項に記載の分子。
(項目8)
Pがゼロであり、Yが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、項目1~7のいずれか一項に記載の分子。
(項目9)
Oがゼロであり、Wが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む、項目1~8のいずれか一項に記載の分子。
(項目10)
標的分子に結合又は選択することができるプローブ分子を同定する方法であって、
標的分子をプローブ分子のプールに曝露する工程を含み、プローブ分子は項目1に記載のものであり、
標的分子に結合しない少なくとも1つのプローブ分子を除去し、
コピー配列を形成する標的分子から除去されなかった少なくとも1つのプローブ分子から少なくとも1つのオリゴヌクレオチドGを増幅し、
コピー配列の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドGの配列を決定して、プローブ分子の少なくとも2つのコード領域を同定し、位置MのB及び位置KのBの各位置ビルディングブロックの少なくとも1つを更に同定し、次いでコピー分子の少なくとも1つの末端コード領域を同定し、プローブ分子の第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つを更に同定することができる。
(項目11)
式(I)の分子を形成する方法であって、
少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイを提供し、上記少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイは、少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイ上に固定化された少なくとも1つの一本鎖アンチコドンオリゴマーを含み、少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイ上に固定された少なくとも1つの一本鎖アンチコドンオリゴマー配列は、式(II)の分子のコード領域にハイブリダイズすることができ:
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E-(B(K-1)
ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であり、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数を表し;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びBは同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;そして
位置MのB及び位置KのBの各位置ビルディングブロックの少なくとも1つはコード領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つは、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されており;
少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイ上に固定された少なくとも1つの一本鎖アンチコドンオリゴマーに式(II)の分子のサブプールのコード領域をハイブリダイズさせることにより、式(II)の分子のプールをサブプールに分類し;
式(II)の分子のサブプールを少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイから別々の容器に任意に放出し;
ビルディングブロックB及びBの少なくとも1つを提供し;そして
ビルディングブロックB及びBの少なくとも1つを式(II)の分子と反応させて、式(I)の分子のサブプールを形成する工程を含む:
(I) ([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B
ここで、
Gはオリゴヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、各コード領域は一本鎖であり、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖又は二本鎖であり;
はオリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、Hは5’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
は、オリゴヌクレオチドを含むヘアピン構造であり、ここでHは3’末端で終結し、オリゴヌクレオチドGの末端に結合しており;
Dは第1ビルディングブロックであり;
Eは第2ビルディングブロックであり、D及びEは同一又は異なっており;
は位置ビルディングブロックであり、Mは1~20の整数であり;
は位置ビルディングブロックであり、Kは1~20の整数を表し、B及びBは同一又は異なっており、M及びKは同一又は異なっており;
はHをDに作動可能に連結するリンカーであり;
は、HをEに作動可能に連結するリンカーであり;
Oは0~1の整数であり;
Pは0~1の整数であり;
ただし、O及びPの少なくとも1つは1であり;
Yは1~5の整数であり;
Wは1~5の整数であり;
位置MのB及び位置KのBの、各位置ビルディングブロックの少なくとも1つがコード領域の1つによって同定され、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つが、少なくとも1つの末端コード領域によって同定されている。
(項目12)
項目11に記載の方法であって、
式(II)の分子は、
オリゴヌクレオチドのプールを提供し、上記オリゴヌクレオチドG’は少なくとも2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であり、少なくとも1つの末端コード領域は一本鎖であり、オリゴヌクレオチドG’の5’末端及び/又は3’末端の少なくとも1つの末端コード領域が異なり;
少なくとも1つの荷電キャリア(charged carrier)アンチコドンを提供し、上記少なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンは式([(B(M-1)-D-L-H)及び/又は(H-[L-E-(Β(K-1))を有し;
オリゴヌクレオチドG’のプールと少なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンとを組み合わせ;
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドG’の5’末端をHの3’末端に結合させ、及び/又は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドG’の3’末端をHの5’末端に結合させて式(II)の分子のプールを形成することにより調製する:
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E-(B(K-1)
G、H、H、D、E、B、B、L、L、O、P、Y及びWは上記式(I)で定義した通りであり、M及びKは1である。
(項目13)
項目11~12のいずれか一項に記載の方法であって、
式(I)又は(II)の分子の少なくとも1つの末端コード領域からオリゴヌクレオチドの一部を除去することを更に含む。
(項目14)
項目11~13のいずれか一項に記載の方法であって、
のGへの及びHのGへの少なくとも1つのライゲーションを更に含む。
(項目15)
項目11~14のいずれか一項に記載の方法であって、
Gは式(C-(Z-CN+1)で表される配列を含み、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1~20の整数であり、Aは1~20の整数であり;各非コード領域は4~50個のヌクレオチドを含み、任意で二本鎖である。
(項目16)
項目11~15のいずれか一項に記載の方法であって、
O又はPの一方がゼロである。
(項目17)
項目11~16のいずれか一項に記載の方法であって、
Y及びWの少なくとも1つが1~2の整数である。
(項目18)
項目11~17のいずれか一項に記載の方法であって、
及びHの少なくとも1つが20~90個のヌクレオチドを含む。
(項目19)
項目11~18のいずれか一項に記載の方法であって、
Pがゼロであり、Yが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含むか、又は
Oがゼロであり、Wが1~2の整数であり、各コード領域が12~40個のヌクレオチドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
前述の概要、並びに実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよ
く理解されるであろう。説明のために、図面には好ましいいくつかの実施形態が示されて
いる。示された実施形態は、示された正確な詳細に限定されないことを理解されたい。
【0013】
図1図1は、多官能性分子を調製する方法の実施形態を示す図である。
【0014】
図2図2は、複数の多官能性分子を調製する方法の実施形態の説明図である。
【0015】
図3図3は、式(I)の分子を形成するための方法の実施形態を説明する流れ図である。
【0016】
図4図4は、式(I)の分子を形成するための方法の実施形態を説明する流れ図である。
【詳細な説明】
【0017】
他に注記がない限り、全ての測定値は標準メトリック単位である。
【0018】
他に注記がない限り、単語「a」、「an」、又は「the」の全てのインスタンスは
、それらが修飾する単語の1つ又は1つ以上に言及することができる。
【0019】
他に注記がない限り、「少なくとも1つ」の語句は、1つ又は1以上の対象物を意味す
る。例えば「H及びHの少なくとも1つ」は、H、H、又はその両方を意味する
【0020】
他に注記がない限り、用語「約」は、記載されている百分率ではない数の±10%を指
し、最も近い整数に丸められる。例えば、約100mmは、90~110mmを含む。他
に注記がない限り、用語「約」は、百分率の±5%を意味する。例えば、約20%は、1
5~25%を含む。「約」という用語が範囲に関して論じられている場合、この用語は、
下限よりも少なく、上限よりも多い適切な量を指す。例えば、約100~約200mmは
、90~220mmを含む。
【0021】
他に注記がない限り、用語「ハイブリダイズする」、「ハイブリダイズ」及び「ハイブ
リダイズされた」は、ワトソン-クリック塩基対合を含み、DNAペアリングのグアニン
-シトシンとアデニン-チミン(G-CとA-T)、及びRNAのペアリングのグアニン
-シトシンとアデニン-ウラシル(G-CとA-U)を含む。これらの用語は、アンチコ
ドン又はアンチコーディング領域と呼ばれる相補鎖のヌクレオチドのためのヌクレオチド
鎖の選択的認識の文脈で使用される。
【0022】
「選択的にハイブリダイズする」、「選択的ハイブリダイゼーション」及び「選択的に
選別する」という語句は、非相補鎖と比較して5:1から100:1又はそれ以上の相補
鎖の選択性を意味する。
【0023】
「多官能性分子」という用語は、オリゴヌクレオチド及び少なくとも1つのコードされ
た部分を含む本開示の分子を意味する。
【0024】
用語「コードされた部分」は、第1ビルディングブロック、第2ビルディングブロック
、及び位置ビルディングブロックB及びB等のビルディングブロックのみを含む多官
能性分子の1以上の部分を意味する。「コードされた部分」という用語は、コードされた
部分を合成する過程の一部として付加され得るとしても、ヘアピン構造又はリンカーを含
まない。
【0025】
「コードされた分子」という用語は、多官能性分子のコードされた部分が、多官能性分
子の残りから除去若しくは分離された場合におそらく形成されるか、又は形成される分子
を意味する。
【0026】
「プローブ分子」という用語は、多官能性分子又はコードされた分子のコードされた部
分が標的分子に結合することができるか、又は標的分子選択性又は細胞透過性のような望
ましい特性を選択することができるかを決定するために使用される分子を指す。
【0027】
「標的分子」という用語は、分子又は構造を指す。例えば、構造は、リボソームのよう
な多巨大分子複合体及びリポソームを含む。
【0028】
用語「プローブ分子」は、多官能性分子を含むことができる。
【0029】
「コードされたプローブ分子」という用語は、多官能性分子という用語と同じ意味で用
いられる。
【0030】
用語「ポリディスプレイ(polydisplay)」は、少なくとも2つのコードさ
れた部分を有する多官能性分子を示す。
【0031】
本開示において、分子式中のハイフン又はダッシュは、式のその部分が共有結合又はハ
イブリダイゼーションによって互いに直接的に結合されていることを示す。
【0032】
他に注記がない限り、ヌクレオチド及び整数値のすべての範囲は、すべての中間整数及
び終点を含む。例えば、5~10個のオリゴヌクレオチドの範囲は、5,6,7,8,9
、及び10個のヌクレオチドを含むと理解されるであろう。
【0033】
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分及び少なく
とも1つのコード部分を含む多官能性分子に関し、上記オリゴヌクレオチド部分が、コン
ビナトリアル化学を使用して少なくとも1つのコード部分の合成を指令又はコードする。
特定の実施形態では、多官能性分子のオリゴヌクレオチド部分は、多官能性分子の少なく
とも1つのコードされた部分を同定することができる。特定の実施形態において、多官能
性分子は、多官能性分子の少なくとも1つの末端に結合したヘアピン構造を含み、ヘアピ
ン構造は、多官能性分子の複数のコードされた部分のポリディスプレイを可能にする。理
論に縛られることを望むものではないが、複数のコードされた部分のポリディスプレイは
、多官能性分子が少数、低濃度、他のプローブ分子に対する低い相対濃度、又は所望の特
性の程度がより低くても、本開示の多官能性分子を所望の特性を有するものとしてより効
率的に選択することができる。特定の実施形態では、本開示の多官能性分子は、少なくと
も2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域を含む少なくとも1つのオリゴ
ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド部分を含み、少なくとも2つのコード領域及び少な
くとも1つの末端コード領域は、エンコードされた部分のビルディングブロックの配列に
相当し、かつエンコードされた部分のビルディングブロックの配列を同定するために使用
することができる。特定の実施形態において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又は
オリゴヌクレオチド部分は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチ
ド部分のコピーを生成するためにPCRによって増幅され得、そしてオリジナル又はコピ
ーは、多官能性分子の少なくとも2つのコード領域及び少なくとも1つの末端コード領域
の同一性を決定するために配列が決定される。特定の実施形態では、少なくとも2つのコ
ード領域及び少なくとも1つの末端コード領域の同一性は、PCRコピーが対応する多官
能性分子のコードされた部分を合成するために使用される一連のコンビナトリアル化学工
程と相関し得る。
【0034】
特定の実施形態では、本開示は、多官能性分子を形成する方法、及び標的分子を多官能
性分子に曝露して、1つの標的分子又は複数の分子に結合する性質、他の抗標的分子に結
合しない性質、酵素によって形成される化学変化に対して耐性である性質、酵素によって
容易に化学的に変化する性質、水溶性を有する性質、細胞透過性である性質を含むがこれ
に限定されない所望の特性を示すコードされた部分、ひいてはコードされた分子を同定す
る方法に関する。
【0035】
特定の実施形態において、式(I)の分子は、多官能性分子である。式(I)の分子の
特定の実施形態では、Gは、コードされた部分の合成のために指令又は選択されるオリゴ
ヌクレオチドである。式(I)の分子の特定の実施形態において、(B-D及びE
-(Bはそれぞれ、コードされた部分を表す。式(I)の分子の特定の実施形態で
は、分子はオリゴヌクレオチド部分及び少なくとも1つのコードされた部分を含む。オリ
ゴヌクレオチドGの多くの構造的特徴は、それらが式(I)の分子の少なくとも1つのコ
ードされた部分の合成を指令又はコードしている点で、本明細書で考察されることが理解
される。式(I)の分子のオリゴヌクレオチドGの多くの構造的特徴は、式(I)の分子
を調製するために使用される合成工程を同定するための、オリゴヌクレオチドG又はその
PCRコピーの能力、ひいては式(I)の分子のコードされた部分を形成するために使用
されるビルディングブロック及び化学反応の配列及び/又は同一性に関して論じられてい
ることが理解される。
【0036】
式(I)の分子の特定の実施形態において、Gはオリゴヌクレオチドを含むか、又はオ
リゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つ
のコード領域を含み、例えば約50%~約100%を含み、また例えば約90%~約10
0%を含む、コード領域の約1%~約100%が一本鎖である。特定の実施形態では、オ
リゴヌクレオチドGは少なくとも1つの末端コード領域を含み、末端コード領域の1つ又
は2つは一本鎖である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGは、少なくとも1つ
の末端コード領域を含み、末端コード領域の1つ又は2つは二本鎖である。
【0037】
式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGは、少なくとも2個のコ
ード領域、例えば2~約21個のコード領域、例えば3~10個のコード領域、例えば3
~5個のコード領域を含む。特定の実施形態では、コード領域の数が2を下回ると、合成
可能なコード部分の数が少なくなりすぎて実用的ではない。特定の実施形態では、コード
領域の数が20を超える場合、合成の非効率性が正確な合成を妨害する。
【0038】
式(I)の分子の特定の実施形態では、少なくとも2つのコード領域は、約6~約50
個のヌクレオチド、例えば約12~約40個のヌクレオチド、例えば約8~約30個のヌ
クレオチドを含む。特定の実施形態では、コード領域が約6個未満のヌクレオチドを含む
場合、コード領域はコードされた部分の合成を正確に指示できない。特定の実施形態では
、コード領域が約50個を超えるヌクレオチドを含む場合、コード領域は交差反応性にな
り得る。そのような交差反応性は、式(I)の分子のコードされた部分を合成するために
使用される合成ステップを、コード領域が正確に指示し同定する能力を妨害する。
【0039】
式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGの目的は、相補的なアン
チコード鎖に選択的にハイブリダイズすることによって式(I)の分子の少なくとも1つ
のコードされた部分の合成を指示することである。特定の実施形態において、コード領域
は、相補鎖とのハイブリダイゼーションを促進するために一本鎖である。特定の実施形態
では、コード領域の70%~100%、例えば80%~99%、例えば80~95%、が
一本鎖である。コード領域のための相補鎖は、存在する場合、合成の間に式(I)の分子
のコードされた部分をコードする工程の後に付加され得ることが理解される。
【0040】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは天然及び非天然のヌクレオチドを含むこと
ができる。適切なヌクレオチドとしては、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(
C)、及びチミン(T)を含むDNA(デオキシリボ核酸)の天然ヌクレオチド、並びに
RNA(リボ核酸)の天然ヌクレオチドであるアデニン(A)、ウラシル(U)、グアニ
ン(G)、及びシトシン(C)が挙げられる。他の適切な塩基には、デオキシアデノシン
、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、イノシン、ジアミノプリ
ン等の天然塩基;例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ
-ピリミジン、3-メチルアデノシン、C5-プロピオニルシチジン、C5-プロピオニ
ルウリジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、
C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデ
ノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、4-((3-(2-(2-
(3-アミノプロポキシ)エトキシ)プロピル)アミノ)ピリミジン-2(1H)-オン
、4-アミノ-5-(ヘプタ-1,5-ジイン-1-イル)ピリミジン-2(1H)-オ
ン、6-メチル-3,7-ジヒドロ-2H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン
、3H-ベンゾ[b]ピリミド[4,5-e][1,4]オキサジン-2(10H)-オ
ン及び2-チオシチジン等の塩基誘導体;2’-O-メチル化塩基及び2’-フルオロ塩
基を含む2’-置換ヌクレオチド等の修飾ヌクレオチド;2’-フルオロリボース、リボ
ース、2’-デオキシリボース、アラビノース、ヘキソース等の修飾糖;及び/又はホス
ホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合等の修飾リン酸基が挙げられる。オ
リゴヌクレオチドはヌクレオチドのポリマーであることが理解される。用語「ポリマー」
及び「オリゴマー」は、本明細書では同じ意味で使用される。特定の実施形態では、オリ
ゴヌクレオチドは、連続した塩基を含む必要がない。特定の実施形態では、オリゴヌクレ
オチドは、リンカー部分又は非ヌクレオチド分子に散在し得る。
【0041】
式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGは、約60%~100%
、例えば約80%~99%、例えば約80%~95%を含む、のDNAヌクレオチドを含
む。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約60%~100%、例えば約80%
~99%、例えば約80%~95%のRNAヌクレオチドを含む。
【0042】
式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGは少なくとも2つのコー
ド領域を含み、重複コード領域が同じヌクレオチドの約30%~1%、例えば約20%~
1%、例えば約10%~2%のみ共有するのであれば、上記少なくとも2つのコード領域
は、同一の外延を持つように重複する。式(I)の分子の特定の実施形態では、末端コー
ド領域を除いて、オリゴヌクレオチドGは、約40%~100%、例えば約60%~10
0%、例えば約80%~100%が、一本鎖である。式(I)の分子の特定の実施形態で
は、オリゴヌクレオチドGは少なくとも2つのコード領域を含み、コード領域の少なくと
も2つは隣接している。式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGは
少なくとも2つのコード領域を含み、少なくとも2つのコード領域は、式(I)の分子の
コードされた部分の合成を指示又は記録しないヌクレオチドの領域によって分けられてい
る。
【0043】
「非コード領域」という用語は、存在する場合、式(I)の分子のコードされた部分の
合成を指示するためにヌクレオチドの相補鎖とハイブリダイズすることができないか、又
は、合成中に式(I)の分子を選別するために使用される任意のアンチコーディングオリ
ゴヌクレオチドに対応しないオリゴヌクレオチドの領域を意味する。特定の実施形態では
、非コード領域は任意である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~約20
個の非コード領域、例えば2~約9個の非コード領域、例えば2~約4個の非コード領域
を含む。特定の実施形態では、非コード領域は、約4~約50個のヌクレオチド、例えば
約12~約40個のヌクレオチド、例えば約8~約30個のヌクレオチドを含む。
【0044】
式(I)の分子の特定の実施形態では、非コード領域の1つの目的は、コード領域を分
離してクロスハイブリダイゼーションを回避又は低減することであり、クロス-ハイブリ
ダイゼーションが式(I)の分子のコードされた部分の正確なコード化を妨げるからであ
る。特定の実施形態では、非コード領域の1つの目的は、式(I)の分子に、単にハイブ
リダイゼーション又はコード化以外の官能性を付加することである。特定の実施形態では
、1以上の非コード領域は、蛍光標識又は放射性標識のような標識で修飾されたオリゴヌ
クレオチドの領域であってもよい。そのような標識は、式(I)の分子の視覚化又は定量
化を容易にすることができる。特定の実施形態では、1つ以上の非コード領域が、処理を
容易にする官能基又はテザーで修飾される。特定の実施形態では、1つ以上の非コード領
域が二本鎖であり、クロスハイブリダイゼーションを低減する。特定の実施形態において
、非コード領域は任意であると理解される。特定の実施形態では、適切な非コード領域は
、オリゴヌクレオチドのPCR増幅を妨害しない。
【0045】
特定の実施形態では、1以上のコード領域又は末端コード領域は、蛍光標識又は放射性
標識のような標識で修飾されたオリゴヌクレオチドGの領域であってもよい。そのような
標識は、式(I)の分子の視覚化又は定量化を容易にすることができる。特定の実施形態
では、1以上のコード領域又は末端コード領域は、処理を容易にする官能基又はテザーで
修飾される。
【0046】
式(I)の分子の特定の実施形態では、Gは、式(C-(Z-CN+1)(式
中、Cはコード領域であり、Zは非コード領域であり、Nは1~20の整数であり、Aは
1~20の整数である)で表される配列を含む。特定の実施形態では、約70%~100
%、例えば約80%~99%、例えば約80%~95%、の非コード領域が4~50個の
ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、Gが含む、約70%~100%、例えば約8
0%~99%、例えば約80%~95%、の非コード領域が二本鎖である。
【0047】
式(I)の分子の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個、例え
ば1~2個の、末端コード領域を含む。特定の実施形態では、末端コード領域は、ヘアピ
ン構造に直接結合せず、5’末端又は3’末端で終結するヌクレオチドの配列である。特
定の実施形態では、末端コード領域は、ヘアピン構造に直接結合しているヌクレオチドの
配列である。オリゴヌクレオチドの両末端がヘアピン構造によって結合されていても、オ
リゴヌクレオチドはヌクレオチドの基本的な幾何学的配置に基づいて5’及び3’方向を
有することが理解される。
【0048】
特定の実施形態では、末端コード領域の1つの目的は、式(I)の分子の合成中にオリ
ゴヌクレオチドの末端に対する相補的配列を含むヘアピン構造の選択的ハイブリダイゼー
ションを容易にすることである。特定の実施形態では、末端コード領域は、約6~約50
ヌクレオチド、例えば約12~約40ヌクレオチド、例えば約8~約30ヌクレオチドを
含む。特定の実施形態では、末端コード領域が約6未満のヌクレオチドを含む場合、その
結果、利用可能な数、非交差反応性配列が低すぎて、式(I)の分子のコードされた部分
の正確なコード化を妨害する。特定の実施形態では、末端コード領域が約50以上のヌク
レオチドを含む場合、末端コード領域は交差反応性になり、1つのヘアピン構造のみに選
択的にハイブリダイズするにはあまりにも多くの特異性を失う可能性がある。このような
交差反応性は、第1ビルディングブロックD及び/又は第2ビルディングブロックEの付
加を正確にコードするためのコード領域の能力を妨害するであろう。式(I)の分子の特
定の実施形態では、末端コード領域は一本鎖又は二本鎖である。
【0049】
式(I)の分子の特定の実施形態では、H及びHは、それぞれ独立してヘアピン構
造である。本開示において使用される「ヘアピン構造」という用語は、60質量%~10
0質量%のヌクレオチドを含む分子構造を意味し、オリゴヌクレオチドGの末端コード領
域にハイブリダイズすることができる。ヘアピン構造の特定の実施形態では、ヘアピン構
造は、単一の連続的なポリマー鎖を形成し、少なくとも1つの重複部分(一般に「ステム
」と呼ばれる)を含み、重複部分は、同じヘアピン構造の相補的配列にハイブリダイズす
るヌクレオチド配列を含む。ヘアピン構造の特定の実施形態では、ブリッジ構造は、2つ
の別々のオリゴヌクレオチド鎖と結合する;前記ブリッジ構造は、2~20個のPEG単
位、例えば3~15個のPEG単位、例えば6~12個のPEG単位のポリエチレングリ
コール(PEG)ポリマーを含むことができる。ヘアピン構造の特定の実施形態において
、架橋構造は、炭素数30までのアルカン鎖、又は20単位までのポリグリシン鎖からな
るか、又は反応性官能基を有する他の鎖からなっていてもよい。式(I)の分子の特定の
実施形態において、H及び/又はHの重複部分は、オリゴヌクレオチドGの末端コー
ド領域に結合又は接着される。特定の実施形態において、H及びHはそれぞれ独立し
て1つ、2つ、3つ、又は4つのループを含む。
【0050】
式(I)の分子の特定の実施形態において、H及びHはそれぞれ独立して約20~
約90ヌクレオチド、例えば約32~約80ヌクレオチド、例えば約45~約80ヌクレ
オチドを含む。特定の実施形態において、H及びHは、それぞれ独立して、1,2,
3,4,5,6,7,8,9又は10個、例えば1~5個、例えば2~4個、例えば2~
3個の、リンカー分子又は任意にビルディングブロックとの反応を促進するための適切な
官能基で修飾されたヌクレオチドを含み、H及びHがそれぞれ独立して、5’-ジメ
トキシトリチル-5-エチニル-2’-デオキシウリジン、3’-[(2-シアノエチル
)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(5-エチニル-dU-CEホス
ホラミダイトとも呼ばれ、Glen Research、Sterling VAから購
入)に限定されないが、これらのような塩基を用いて合成された場合を含む。特定の実施
形態では、H及びHは、それぞれ独立して、リンカー分子又は任意にビルディングブ
ロックとの反応を促進するための適切な官能基を有する非ヌクレオチドを含み、限定され
ないが、3-ジメトキシトリチルオキシ-2-(3-(5-ヘキシナミド(hexyna
mido))プロパナミド(propanamido))プロピル-1-O-[(2-シ
アノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(アルキン-モディフ
ァイアセリノールホスホラミダイトとも呼ばれ、Glen Research、Ster
ling VAから購入)及び脱塩基アルキンCEP(IBA GmbH、Goetti
ngen、Germany)を含む。特定の実施形態では、H及びHは、それぞれ独
立して、既にリンカーを持つ修飾塩基を有するヌクレオチドを含み、例えば、H及びH
はそれぞれ独立して、限定されないが、5’-ジメトキシトリチル-N6-ベンゾイル
-N8-[6-(トリフルオロアセチルアミノ)-ヘキサ-1-イル]-8-アミノ-2
’-デオキシアデノシン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)
]-ホスホラミダイト(アミノ修飾剤C6dAとも呼ばれ、Glen Research
、Sterling VAから購入)、5’-ジメトキシトリチル-5-[3-メチル-
アクリレート]-2’-デオキシウリジン、3’-(2-シアノエチル)-(N,N-ジ
イソプロピル)]-ホスホラミダイト(Carboxy dTとも呼ばれ、Glen R
esearch、Sterling VAから購入)、5’-ジメトキシトリチル-5-
[N-((9-フルオレニルメトキシカルボニル)-アミノヘキシル)-3-アシルイミ
ド]-2’-デオキシウリジン、3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロ
ピル)]-ホスホラミダイト(Fmoc-アミノ修飾剤C6dTとも呼ばれ、Glen
Research、Sterling、VA)、5’-ジメトキシトリチル-5-(オク
タ-1,7-ジイニル)-2’-デオキシウリジン、3’-[(2-シアノエチル)-(
N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(C8アルキンdTとも呼ばれ、Gle
n Research、Sterling、VA)、5’-(4,4’-ジメトキシトリ
チル)-5-[N-(6-(3-ベンゾイルチオプロパノイル)-アミノヘキシル)-3
-アクリルアミド]-2’-デオキシウリジン、3’-[(2-シアノエチル)-(N、
N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(S-Bz-チオール修飾剤C6-dTとも
呼ばれ、Glen Research、Sterling VA)、及び5-カルボキシ
dC CEP(IBA GmbH、Goettingen、Germanyから)、N
4-TriG1-アミノ2’デオキシシチジン(IBA GmbH、Goettinge
n、Germanyから)。H及びHにおける修飾されたヌクレオチド及び非ヌクレ
オチドのための適切な官能基としては特に限定されないが、第一級アミン、第二級アミン
、カルボン酸、第一級アルコール、エステル、チオール、イソシアネート、クロロギ酸エ
ステル、スルホニル塩化物、チオノ炭酸、ハロゲン化ヘテロアリール、アルデヒド、クロ
ロアセテート、ハロゲン化アリール、ハロゲン化物、ボロン酸、アルキン、アジド、及び
アルケンが含まれる。
【0051】
特定の実施形態では、1以上のヘアピン構造H及びHは、蛍光標識又は放射性標識
等の標識で修飾することができる。このような標識は、式(I)の分子の視覚化又は定量
を容易にすることができる。特定の実施形態では、1以上のヘアピン構造H及びH
、処理を容易にする官能基又はテザーで修飾される。
【0052】
式(I)の分子の特定の実施形態において、H及びHのヘアピン構造の利点は、一
方又は両方が、式(I)の分子の一方又は両方の末端に複数コードされた部分のポリディ
スプレイを可能にし得ることである。理論に縛られることを望むものではないが、本開示
の多官能性分子の一方又は両方の末端に複数のコードされた部分のポリディスプレイは、
特定の条件下で改善された選択特性を提供すると考えられる。
【0053】
式(I)の分子の特定の実施形態において、Y及びWはそれぞれ独立して1,2,3,
4又は5である。特定の実施形態において、Oがゼロである場合、Wは2-5の整数であ
り、例えば2,3,4又は5である。特定の実施形態において、Pがゼロである場合、Y
は2~5の整数であり、例えば2,3,4又は5である。特定の実施形態において、O及
びPが1である場合、Wは及びYはそれぞれ独立して1-5の整数であり、例えば1、2
,3,4又は5である。特定の実施形態において、W及びYがそれぞれ独立して、式(I
)の分子のコードされた部分のポリディスプレイの尺度又は指標であり、コードされた部
分は(B-D及びE-(B単位であると理解される。一般に、Y及びWの総
計値が高いほど、式(I)の分子のポリディスプレイが高くなる。
【0054】
式(I)の分子の特定の実施形態では、Dは第1ビルディングブロックである。特定の
実施形態では、Dが存在する場合、Dは、Hに直接結合しているGの末端コード領域に
コードされるか、又は選択される。特定の実施形態では、Dに最も近接して位置するGの
末端コード領域は、第1ビルディングブロックDを同定するために対応し、かつ使用する
ことができる。
【0055】
式(I)の分子の特定の実施形態において、Eは第2ビルディングブロックである。特
定の実施形態では、Eが存在する場合、Eは、Hに直接結合しているGの末端コード領
域をコードするか、又は選択される。特定の実施形態において、Eに最も近接して位置す
るGの末端コード領域は、第1ビルディングブロックEを同定するために対応し、かつ使
用することができる。特定の実施形態において、第1ビルディングブロックと第2ビルデ
ィングブロックは、同一であっても異なっていてもよい。第1ビルディングブロックと第
2ビルディングブロックは、両方ともビルディングブロックであると理解される。
【0056】
式(I)の分子の特定の実施形態において、Bは、位置ビルディングブロックを表す。
本開示において使用される語句「位置ビルディングブロック」は、より大きな分子を形成
するサブユニットとして一緒に結合された一連の個々のビルディングブロック単位中の1
つの単位を意味する。特定の実施形態では、(B及び(Bは、それぞれ独立
して、結合してM及びK個の単位を有するポリマー鎖を形成する一連の個々のビルディン
グブロック単位をそれぞれ表す。例えば、Mが10である場合、(B)10は、ビルディ
ングブロック単位:B10-B-B-B-B-B-B-B-B-B
鎖を指す。例えば、Mが3であり、Kが2である場合、式(I)は、以下の式によって正
確に表すことができる。
【0057】
([((B-(B-(B-D-L-H-G-(H-[
-E-(B-(B
【0058】
M及びKは、それぞれ独立して、Bの個々のユニットの位置識別子として機能すること
が理解される。
【0059】
本開示における用語「ビルディングブロック」の正確な定義は、その文脈に依存する。
「ビルディングブロック」は、他の化学構造単位と化学的に結合することができる化学構
造単位である。特定の実施形態において、ビルディングブロックは、ビルディングブロッ
クを他の化学構造単位に連結する化学反応を受けることを可能にする1,2、又はそれ以
上の反応性化学基を有する。ビルディングブロックが化学結合を形成する反応を受けると
、ビルディングブロックの反応性化学基の一部又は全部が失われる可能性があることが理
解される。例えば、溶液中のビルディングブロックは2つの反応性化学基を有していても
よい。この例では、溶液中のビルディングブロックを、ビルディングブロックの鎖の一部
であるビルディングブロックの反応性化学基と反応させて、鎖の長さを増やしたり、鎖か
ら分岐を拡張することができる。ビルディングブロックが溶液又は反応物の意味で参照さ
れる場合、ビルディングブロックは、少なくとも1つの反応性化学基を含むと理解される
であろうが、2つ以上の反応性化学基を含み得る。ビルディングブロックが、ビルディン
グブロックよりも大きいポリマー、オリゴマー又は分子を自身で意味する場合、ビルディ
ングブロックは、ビルディングブロックの構造をより大きな分子の(モノマー)単位とし
て有すると理解され、たとえ1つ以上の化学反応基が反応したとしても、より大きな分子
である。
【0060】
ビルディングブロックとして使用することができる分子又は化合物のタイプは、1つの
ビルディングブロックが別のビルディングブロックと一緒に反応して共有結合を形成する
ことができる限り、一般に限定されない。特定の実施形態では、ビルディングブロックは
、末端単位として機能する1つの化学反応基を有する。特定の実施形態において、ビルデ
ィングブロックは、1,2,3,4,5又は6個の適切な反応性化学基を有する。特定の
実施形態において、第1ビルディングブロックD、第2ビルディングブロックE、及びB
の位置ビルディングブロックは、それぞれ独立して、1,2,3,4,5又は6個の適切
な反応性化学基を有する。ビルディングブロックに適した反応性化学基には、第1級アミ
ン、第2級アミン、カルボン酸、第1級アルコール、エステル、チオール、イソシアネー
ト、クロロギ酸エステル、スルホニルクロライド、チオノカーボネート、ハロゲン化ヘテ
ロアリール、アルデヒド,ハロアセテート、ハロゲン化アリール、アジド、ハロゲン化物
、トリフレート、ジエン、ジエノフィル、ボロン酸、アルキン、及びアルケンが挙げられ
る。
【0061】
カップリング化学がオリゴヌクレオチドの存在と適合していれば、任意のカップリング
化学を用いて構築ブロックを結合させることができる。例示的なカップリング化学として
は、DNA連結アミン等のアミンとFmoc保護アミノ酸又は他の様々に置換されたカル
ボン酸との反応によるアミドの形成;DNA結合アミンを含むアミンとイソシアネート及
び他のアミンとの反応による尿素の形成(尿素化);DNA結合アミンを含むアミンとク
ロロホルメート(カルバモイル化)及びアルコールとの反応によるカルバメートの形成;
DNA結合アミンを含むアミンと塩化スルホニルとの反応によるスルホンアミドの形成;
DNA結合アミンを含むアミンとチオノカーボネート及び他のアミンとの反応によるチオ
尿素の形成(チオウレア化);DNA結合アミンを含むアミンとハロゲン化ヘテロアリー
ル(SNAr)との反応によるアニリンの形成;DNA結合アミンを含むアミンとアルデ
ヒドとの反応、続いて還元による第2級アミンの形成(還元アミノ化);DNA連結アミ
ンを含むアミンのクロロアセテートによるアシル化、続いて別のアミンによる塩化物置換
(SN反応)によるペプトイドの形成;ハロゲン化アリールで置換されたカルボン酸を
用いるDNA結合アミンを含むアミンのアシル化、続いて置換アルキンによるハロゲン化
物の置換(薗頭反応)によるアルキン含有化合物の形成;ハロゲン化アリールで置換され
たカルボン酸とDNA結合アミンを含むアミンのアシル化、続いて置換ボロン酸によるハ
ロゲン化物の置換(鈴木反応)によるビアリール化合物の形成;DNA結合アミンを含む
アミンと塩化シアヌルとの反応、続いて別のアミン、フェノール又はチオールとの反応(
シアヌリル化(cyanurylation)、芳香族置換)による置換トリアジンの形
成;ハロゲン化物又はトリフレートのような適切な脱離基で置換されたカルボン酸とのD
NA結合アミンを含むアミンのアシル化、続いて脱離基の別のアミンによる置換(SN
/SN反応)による第2級アミンの形成;及びアミンをアルケン又はアルキンを有する
化合物で置換すること、及び生成物をアジド又はアルケンと反応させること(Diehl
s-Alder及びHuisgen反応)による環状化合物の形成が挙げられる。反応の
特定の実施形態では、第1級アミン、第2級アミン、カルボン酸、第1級アルコール、エ
ステル、チオール、イソシアネート、クロロギ酸、スルホニルクロライド、チオカーボネ
ート、ハロゲン化ヘテロアリール、アルデヒド、クロロアセテート、ハロゲン化アリール
、アルケン、ハライド、ボロン酸、アルキン、及びアルケンを含むアミノ基と反応する分
子は、約30~約330ダルトンの分子量を有する。
【0062】
カップリング反応の特定の実施形態では、アミン、チオール、ハロゲン化物、ボロン酸
、アルキン又はアルケンのような第2の反応性基を有する分子で、上記の化学反応のいず
れかを用いて、DNA結合アミンを含むアミンで置換することによって、第1ビルディン
グブロックが付加されるかもしれない。次いで、第2の反応性基は、適切な反応性基を有
するビルディングブロックと反応させることができる。例示的な第2の反応性基カップリ
ング化学としては、DNA連結アミンを含むアミンのFmoc-アミノ酸によるアシル化
、続いて保護基の除去、並びに、アルデヒド及びボロヒドリドによる新たに脱保護された
アミンの還元的アミノ化;アルデヒドと水素化ホウ素との、DNA結合アミンを含むアミ
ンの還元アミノ化、続いて、今置換されたアミンを塩化シアヌルと反応させた後、チオー
ル、フェノール又は別のアミンでトリアジンから別の塩化物を置換する;DNA結合アミ
ンを含むアミンとハロゲン化ヘテロアリールで置換されたカルボン酸とのアシル化、続い
て別のアミン又はチオールとのSNAr反応によるハライドの置換、及びアニリン又はチ
オエーテルの形成;ハロ芳香族基で置換されたカルボン酸とのDNA結合アミンを含むア
ミンのアシル化、続いて薗頭反応におけるアルキンによるハロゲン化物の置換;又はボロ
ン酸エステル媒介鈴木反応におけるアリール基によるハロゲン化物の置換、が挙げられる
【0063】
特定の実施形態では、カップリング化学は、当業者に公知の適切な結合形成反応に基づ
く。例えば、March、Advanced Organic Chemistry、f
orth edition、New York:John Wiley and Son
s(1992)、Chapters 10 to 16;Carey and Sund
berg、Advanced Organic Chemistry、Part B、P
lenum(1990)、Chapters 1-11;及びColtman et a
l.,Principles and Applications of Organo
transition Metal Chemistry、 University S
cience Books、Mill Valley、Calif.(1987)、Ch
apters 13~20;これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込ま
れる。
【0064】
特定の実施形態では、ビルディングブロックは、ビルディングブロックを付着させるた
めに使用される1つ又は複数の反応性基に加えて、1以上の官能基を含むことができる。
1つ以上のこれらの追加の官能基は、これらの官能基の望ましくない反応を妨げるために
保護することができる。適切な保護基は、様々な官能基について当業者に公知である(G
reene and Wuts、Protective Groups in Orga
nic Synthesis、second edition、New York:Jo
hn Wiley and Sons(1991)、その全体が参照により本明細書に組
み込まれる)。特に有用な保護基としては、t-ブチルエステル及びエーテル、アセター
ル、トリチルエーテル及びアミン、アセチルエステル、トリメチルシリルエーテル、トリ
クロロエチルエーテル及びエステル及びカルバメートが挙げられる。
【0065】
ビルディングブロックのタイプは、ビルディングブロックが他のビルディングブロック
と共有結合を形成することができる1つ以上の反応性基と適合する限り、一般に限定され
ない。適切なビルディングブロックは、限定されないが、ペプチド、糖類、糖脂質、脂質
、プロテオグリカン、糖ペプチド、スルホンアミド、核タンパク質、尿素、カルバメート
、ビニル系ポリペプチド、アミド、ビニルスルホンアミドペプチド、エステル、サッカラ
イド、カーボネート、ペプチジルホスホネート、アザチド、ペプトイド(オリゴN-置換
グリシン)、エーテル、エトキシホルムアセタールオリゴマー、チオエーテル、エチレン
、エチレングリコール、ジスルフィド、アリーレンスルフィド、ヌクレオチド、モルホリ
ノ、イミン、ピロリノン、エチレンイミン、アセテート、スチレン、アセチレン、ビニル
、リン脂質、シロキサン、イソシアニド、イソシアネート及びメタクリレートが挙げられ
る。特定の実施形態では、式(I)の(B又は(Bは、それぞれ独立して、
M又はK単位を有するこれらのビルディングブロックを表し、それぞれ、ポリペプチド、
多糖類、ポリグリコ脂質、ポリ脂質、ポリプロテオグリカン、ポリ糖ペプチド、ポリスル
ホンアミド、ポリ核タンパク質、ポリ尿素、ポリカルバメート、ポリビニル系ポリペプチ
ド、ポリアミド、ポリビニルスルホンアミドペプチド、ポリエステル、ポリサッカライド
、ポリカーボネート、ポリペプチジルホスホネート、ポリアザチド、ポリペプトイド(オ
リゴN-置換グリシン)、ポリエーテル、ポリエトキシホルムアセタールオリゴマー、ポ
リチオエーテル、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリジスルフィド、ポリアリ
ーレンスルフィド、ポリヌクレオチド、ポリモルホリノ、ポリイミン、ポリピロリノン、
ポリエチレンイミン、ポリアセテート、ポリスチレン、ポリアセチレン、ポリビニル、ポ
リリン脂質、ポリシロキサン、ポリイソシアニド、ポリイソシアネート及びポリメタクリ
レートが挙げられる。式(I)の分子の特定の実施形態では、ビルディングブロックの約
50~約100、例えば約60~約95、例えば約70~約90%は、約30~約500
ダルトン、例えば約40~約350ダルトン、例えば約50~約200ダルトンの分子量
を有する。
【0066】
2つの反応性基を有するビルディングブロックは、各ビルディングブロックを単位とし
て含む線状オリゴマー若しくはポリマー構造、又は線状非ポリマー分子を形成することが
理解される。3つ以上の反応性基を有するビルディングブロックは、3つ以上の反応性基
を有する各ビルディングブロックで分岐を有する分子を形成し得ることも理解される。
【0067】
式(I)の分子の特定の実施形態において、L及びLはそれぞれ独立してリンカー
を表す。「リンカー分子」という用語は、反応してリンカーを形成することができる2つ
以上の反応基を有する分子を意味する。「リンカー」という用語は、ヘアピン構造をビル
ディングブロックに作動可能に連結又は共有結合する分子の一部分を指す。「作動可能に
連結された」という用語は、2つ以上の化学構造が、PCR増幅を含む多官能性分子が受
けると予測される種々の操作を通して付着したままになるような方法で一緒に付着又は共
有結合することを意味する。
【0068】
式(I)の分子の特定の実施形態では、Lは、HをDに作動可能に連結するリンカ
ーである。式(I)の分子の特定の実施形態では、Lは、HをEに作動可能に連結す
るリンカーである。特定の実施形態では、L及びLは、互いに独立して、Lの反応
性官能基の1つをHの反応性基に反応させ、Lの他の反応性官能基をDの反応性官能
基と反応させてHがDに結合し、Lの反応性官能基の1つをHの反応性基に反応さ
せ、Lの他の反応性官能基をEの反応性官能基と反応させて、HがEに結合する二官
能性分子である。式(I)の分子の特定の実施形態では、L及びLは、互いに独立し
てリンカーであり、H及びD又はH及びEの化学反応性基を、商業的に入手可能なリ
ンカー分子、例えば、PEG(例えば、アジド-PEG-NHS、又はアジド-PEG-
アミン、又はジアジド-PEG)、又はアルカン酸鎖部分(例えば、5-アジドペンタン
酸、(S)-2-(アジドメチル)-1-Boc-ピロリジン、4-アジドアニリン、又
は4-アジド-ブタン-1-酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル);PEG等(
例えば、SM(PEG) NHS-PEG-マレイミド)、アルカン鎖(例えば、3-
(ピリジン-2-イルジスルファニル)-プロピオン酸-Osu又はスルホスクシンイミ
ジル 6-(3’-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート))等
のチオール反応性リンカー;及び、アミノ修飾剤(例えば、6-(トリフルオロアセチル
アミノ)-ヘキシル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミ
ダイト)、チオール修飾剤(例えば、5-トリチル-6-メルカプトヘキシル-1-[(
2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト、又は化学的に
共反応性の対の修飾剤(例えば、6-ヘキシン-1-イル-(2-シアノエチル)-(N
,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト、3-ジメトキシトリチロキシ-2-(3-
(3-プロパルギルオキシプロパンアミド)プロパンアミド)プロピル-1-O-スクシ
ノイル、長鎖アルキルアミノCPG、又は4-アジド-ブタン-1-酸のN-ヒドロキシ
スクシンイミドエステル)等のオリゴヌクレオチド合成用のアミダイト;及びそれらの適
合する組み合わせ等、と反応させて形成される。
【0069】
特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-A)の分子であり、式(I)の分子
の亜種である。
(I-A)[(B-D-L-H-G
式中、G、H、D、B、M、L及びYは、式(I)について上記で定義した通りで
ある。特定の実施形態では、多官能性分子は式(I-B)の分子であり、式(I)の分子
の亜種である。
(I-B)[(B-D-L-H-G-H
式中、G、H、H、D、B、M、L、及びYは、式(I)について上記で定義し
た通りである。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-C)の分子であり、式
(I)の分子の亜種である。
(I-C)[(B-D-L-H-G-H-[L
式中、G、H、H、D、B、M、L、L、W及びYは、式(I)について上記
で定義した通りである。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-D)の分子で
あり、式(I)の分子の亜種である。
(I-D)[(B-D-L-H-G-H-[L-E]
式中、G、H、H、D、B、E、M、L、L、W及びYは、式(I)について
上記で定義した通りである。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-E)の分
子であり、式(I)の分子の亜種である。
(I-E)G-H-[L-E-(B
式中、G、H、E、B、K、L及びWは、式(I)について上記で定義した通りで
ある。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-F)の分子であり、式(I)の
分子の亜種である。
(I-F)H-G-H-[L-E-(B
G、H、H、E、B、K、L、P及びWは、式(I)について上記で定義した通
りである。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-G)の分子であり、式(I
)の分子の亜種である。
(I-G)[L-H-G-H-[L-E-(B
式中、G、H、H、E、B、K、L、L、Y及びWは、式(I)について上記
で定義した通りである。特定の実施形態において、多官能性分子は式(I-H)の分子で
あり、式(I)の分子の亜種である。
(I-H)[D-L-H-G-H-[L-E-(B
式中、G、H、H、D、E、B、M、L、L、P、Y及びWは、式(I)につい
て上記で定義した通りである。
【0070】
本開示は、式(I)の分子等の多官能性分子を合成する方法に関する。この方法の特定
の実施形態では、G’のようなオリゴヌクレオチド上の少なくとも1つの末端コード領域
は、[(B(M-1)-D-L-H及び/又はH-[L-E-(B
(K-1)等の少なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンとハイブリダイズするこ
とができ、式(II)の分子を形成する。
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E-
(B(K-1)
(式中、B、M、D、L、Y、H,O,H,L,E,B,K,W及びPは式
(I)について上記で定義した通りであり、G’は、少なくとも2つのコード領域及び少
なくとも1つの末端コード領域を含むオリゴヌクレオチドであるか、又はそれを含むオリ
ゴヌクレオチドであり、少なくとも2つのコード領域は一本鎖であり、少なくとも1つの
末端コード領域は一本鎖であり、オリゴヌクレオチドG’の5’末端及び/又は3’末端
の少なくとも1つの末端コード領域は異なっている。
【0071】
[(B(M-1)-D-L-H-は(D-L-Hであることが理解
され、ここでMは1である。H-[L-E-(B(K-1)はH-(L
-E)であることが理解され、ここでKは1である。
【0072】
図1及び3に示すように、特定の実施形態では、式(II)の分子を形成するこの方法
の利点は、G’の末端コード領域が、第1ビルディングブロック及び/又は第2ビルディ
ングブロック等の分子のコード領域の第一の部分をコードするか、又は付加を指示する。
例えば、式(I)の分子中の各末端コード領域は、第1ビルディングブロックD及び/又
は第2ビルディングブロックを特異的に同定するであろう。その理由は、末端コード領域
に選択的にハイブリダイズすることができる荷電キャリアアンチコドンの第1ビルディン
グブロックD及び/又は第2ビルディングブロックEの同一性が分かっているからである
【0073】
図2に示すように、式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、この方法は
一連の「選別及び反応」工程を使用し、コード領域の異なる組合せを含む多官能性分子の
混合物は、多官能性分子の1以上のコード領域とハイブリダイゼーションアレイ上に固定
化されたアンチコーディングオリゴマーとの選択的ハイブリダイゼーションによって、サ
ブプールに選別される。この方法の特定の実施形態では、多官能性分子をサブプールに選
別する利点は、多官能性分子のサブプールがさらなる化学処理のために結合又は混合され
る前の別の反応条件下で、この分離によって、各サブプールがB及び/又はBを含む
位置ビルディングブロックBと反応する。この方法の特定の実施形態では、選別及び反応
プロセスを繰り返して、一連の位置ビルディングブロックを追加することができる。この
方法の特定の実施形態では、選別及び反応法を使用してビルディングブロックを追加する
利点は、分子のコードされた部分の各位置ビルディングブロックの同一性を、ビルディン
グブロックを付加する前の多官能性分子を選択的に分離又は分類するために使用されるコ
ード領域と関連づけることができることである。特定の実施形態では、各コード領域は、
その位置に従ってビルディングブロックを特異的に同定する。なぜなら、コード領域の同
一性は、付加された位置ビルディングブロック同一性を含む、各ビルディングブロックを
追加するために使用される反応プロセスの同一性と関連づけることができるからである。
特定の実施形態では、本方法は、式(I)の分子を含む多官能性分子を合成することがで
き、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの少なくとも1つの少
なくとも1つは、末端コード領域の少なくとも1つに同定されるか又は相当し、位置Mに
おける位置ビルディングブロックB及び位置Kにおける位置ビルディングブロックB
のそれぞれの少なくとも1つは、コード領域の1つによって同定されるか又はそれに相当
する。式(I)及び(II)の分子は、プール中の分子間又は分子の中で同一である1以
上のコード領域及び末端コード領域を含むことができると理解されるが、プール中の分子
は、全てではなくても大多数が、コード領域と末端コード領域の異なる組み合わせを有す
るであろうと理解される。この方法の特定の実施形態では、コード領域と末端コード領域
との異なる組み合わせを有する分子プールの利点は、異なる組み合わせが、多数の異なる
コード部分を有する多官能性分子をコードできることである。
【0074】
式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、上記方法には少なくとも1つの
荷電キャリアアンチコドンを提供する工程が含まれ、少なくとも1つの荷電キャリアアン
チコドンは、次の式を有する:
([(B(M-1)-D-L-H)及び/又は(H-[L-E-(B
(K-1)
式中、B、M、D、L、Y、H、H、L、E、B、K、及びWは、式(I)
について上述した通りである。「提供する(providing)」という用語は、一般
に限定されず、このような分子の合成又は商業的購入が含まれる。「荷電キャリアアンチ
コドン」という用語は、リンカーによって第1ビルディングブロック又は第2ビルディン
グブロックに作動可能に連結され、かつ、オリゴヌクレオチドG’又はGの少なくとも1
つの末端コード領域と選択的に結合することができるオリゴヌクレオチドアンチコード領
域を有するヘアピン構造を意味する。この方法の特定の実施形態では、荷電キャリアアン
チコドンの目的は、末端コード領域が第1ビルディングブロック及び/又は第2ビルディ
ングの付加をコードする、指示する、又は選択するようにすることである。この方法の特
定の実施形態では、荷電キャリアアンチコドンの目的は、第1又は第2のビルディングブ
ロックを含むビルディングブロックを、式(II)の分子を形成するために、オリゴヌク
レオチドG’の少なくとも1つの末端に結合又は付着させることであり、オリゴヌクレオ
チドGが位置ビルディングブロックB及び/又はBの合成をコードし又は合成するこ
とを可能にする。
【0075】
式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドG’及び少
なくとも1つの荷電キャリアアンチコドンのプールが選択的ハイブリダイゼーションを可
能にする条件下で相互作用又は混合することが可能であれば、結合工程(combini
ng step)は一般に限定されない。
【0076】
式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレ
オチドG’の5’末端をHの3’末端に結合させる工程は、G’の5’末端で末端コー
ド領域をHのアンチコドンに選択的にハイブリダイズすることを含む。式(I)の分子
を合成する方法の特定の実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドG’の3’
末端をHの5’末端に結合させる工程は、末端コード領域をG’の3’末端でHのア
ンチコドンに選択的にハイブリダイズさせることを含む。
【0077】
式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの
オリゴヌクレオチドGの5’末端をHの3’末端に結合して共有結合を形成し、及び/
又は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドGの3’末端をHの5’末端に結合すること
を含む。このライゲーション工程は、式(II)の分子の形成中又は形成後に行うことが
できる。この方法の特定の実施形態では、結合工程(bonding step)の間又
は後に共有結合を形成する利点は、他の化学処理工程中の改善された処理が挙げられる。
【0078】
式(I)の分子を合成する方法の特定の実施形態では、この方法は、式(II)の分子
の形成中又は形成後に、式(I)又は(II)の分子の少なくとも1つの末端コード領域
からオリゴヌクレオチドの全部を除去するステップを更に含むことができる。式(I)の
分子を合成する方法の特定の実施形態では、この方法は、式(I)又は(II)の分子の
少なくとも1つの末端コード領域からオリゴヌクレオチドの全ての部分を除去する工程を
更に含むことができ、少なくとも1つの末端コード領域は二本鎖であり、かつ、H及び
/又はHのヘアピン構造のアンチコドン等のH及び/又はHのヘアピン構造、或い
は、G又はG’の末端コード領域からオリゴヌクレオチドを除去することができる。1つ
の特定の実施形態において、式(I)又は(II)の分子の少なくとも1つの末端コード
領域からオリゴヌクレオチドの全部又は一部を除去する利点は、後の工程中の化学的処理
を改善することが挙げられる。
【0079】
図3及び図4に概略的に示すように、式(I)の分子を形成する方法の特定の実施形態
では、式(I)の分子は、処理工程の順序を変えることにより複数の合成ルートで合成す
ることができる。例えば、図3では、2つの荷電キャリアアンチコドンを同じ工程中に添
加することができる。その後、同じ反応条件の下で、ビルディングブロックB及びB
を追加するために、次の選別及び反応工程を行うことができる。この実施形態では、(B
及び(Bのコード領域は、B=BかつM=Kの場合、おそらく同一であ
る。
【0080】
あるいは、図4において、1つの荷電キャリアアンチコドン([(B(M-1)
D-L-H)をG’と組み合わせ、かつ結合させて、式(I)の分子を形成する
ことができ、ここでPはゼロである。その後、ビルディングブロックBを追加するため
に、次の選別及び反応工程を実行することができる。(Bのコードされた部分の形
成が完了すると、第2の荷電キャリアアンチコドン、(H-[L-E-(B(K
-1))をGと組み合わせ、かつ結合させて式(I)の異なる分子を形成することが
でき、ここでPは1である。その後、同じ又は異なる位置ビルディングブロック及び反応
条件を使用して、ビルディングブロックBを追加するために、次の選別及び反応工程を
行うことができる。特定の実施形態では、式(II)及び(I)の分子のプールを選択及
び選別するために使用される反応のタイプ及び順序がそれぞれ異なるため、(B
び(Bは異なる。ある特定の実施形態では、(Bを形成するために([(B
(M-1)-D-L-H)を付加する前に、(Bを形成するために荷
電キャリアアンチコドン(H-[L-E-(B(K-1))を最初に追加す
ることが理解される。
【0081】
(B又は(Bの完全な形成又はコードの後に、後で添加された荷電キャリ
アアンチコドンの添加を加える必要がないことも理解される。その代わりに、荷電キャリ
アアンチコドンの後の添加は、B又はBの少なくとも1つが前に添加された荷電キャ
リアアンチコドンに加えられた後に起こり得る。第2の荷電キャリアアンチコドンの添加
後、ビルディングブロックB及びBを加えて(B又は(Bを形成するた
めに、次の選別及び反応工程を行うことができる。これらの実施形態では、第1のコード
された部分の少なくとも一部は、後に追加されたコードされた部分と一致するであろうが
、2つのコードされた部分(B又は(Bは、後で追加された荷電キャリアア
ンチコドンに結合する前に追加された少なくとも位置ビルディングブロックによって異な
るであろう。
【0082】
特定の実施形態において、式(I)の分子を形成する方法は、式(II)の分子:
(II)([(B(M-1)-D-L-H-G-(H-[L-E-
(B(K-1)
を1以上の位置ビルディングブロックB及び/又はBと反応させて式(I)の分子を
形成することを含む:
(I)([(B-D-L-H-G-(H-[L-E-(B

式中、H、H、D、E、B、M、B、K、L、L、O、P、Y及びWは式(
I)について定義した通りである。
【0083】
特定の実施形態では、この方法は、少なくとも1つのハイブリダイゼーションアレイを
提供することを含む。ハイブリダイゼーションアレイを提供する工程としては、一般に限
定されず、当業者に公知の技術を用いてハイブリダイゼーションアレイを製造すること、
又はハイブリダイゼーションアレイを商業的に購入することが挙げられる。この方法の特
定の実施形態において、ハイブリダイゼーションアレイは、その表面上に固定化されたア
ンチコドンオリゴマーを有する少なくとも2つの離れた領域の基質を含む。特定の実施形
態では、ハイブリダイゼーションアレイの各領域は、異なる固定化されたアンチコドンオ
リゴマーを含み、アンチコドンオリゴマーは、式(I)又は(II)の分子の1つ以上の
コード領域とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド配列である。この方法
の特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイは、2つ以上のチャンバーを使用
する。この方法の特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイのチャンバーは、
粒子の表面に固定化されたアンチコドンオリゴマーを有する粒子、例えばビーズを含む。
この方法の特定の実施形態では、式(I)又は(II)の分子をアレイ上に固定化するこ
との利点は、このステップにより、各コード領域の特定のオリゴヌクレオチド配列に基づ
く分子のサブプールに、分子を選別又は選択的に分離することができるということである
。特定の実施形態では、分子の分離されたサブプールは、その後、別の化学処理のために
、アレイから別々に放出されるか、又は反応チャンバーに取り出される。特定の実施形態
では、放出工程は任意であり、一般的に限定されず、加熱、変性剤の使用、又はpH≧1
2の緩衝液に暴露することによって分子を脱ハイブリダイズすることが含まれる。特定の
実施形態では、異なる固定化されたオリゴヌクレオチドを含有するチャンバー又はアレイ
の領域は、更なる化学処理のために、各チャンバー又は領域の内容物をウェルのアレイに
流入させる溶液をことができるように位置する。
【0084】
特定の実施形態において、この方法は、式(I)又は(II)の分子のサブプールを形
成するために、B及び/又はB等の少なくとも1つのビルディングブロックBを、式
(II)の分子と反応させることを含み、ここでB及び/又はBは、式(I)につい
て上記で定義したとおりである。特定の実施形態では、ビルディングブロックB及び/
又はBは、式(I)又は(II)の分子の前、間又は後に容器に添加することができる
。ビルディングブロックB及び/又はBを式(II)又は(I)の分子と反応させる
ために使用されるカップリング化学に依存して、容器は、酸性、塩基性又は中性条件下で
、溶媒及び共反応物を含み得ることが理解される。
【0085】
標的分子を結合又は選択することができるプローブ分子を同定する方法が開示される。
特定の実施形態では、この方法は、多官能性分子の1つが標的分子に結合することができ
るかどうかを決定するために、標的分子を、式(I)の分子のような多官能性分子のプー
ルに曝露することを含む。特定の実施形態では、「暴露する」という用語は、標的分子を
式(I)の分子等のプローブ分子と接触させる任意の方法を含む。特定の実施形態では、
標的分子に結合しないプローブ分子は、過剰の溶媒を用いて標的分子から離れた非結合プ
ローブ分子を洗浄する等の除去方法によって除去される。特定の実施形態では、標的分子
は表面上に固定化される。特定の実施形態では、標的分子は、タンパク質、酵素、脂質、
オリゴ糖、及び三次構造を有する核酸を含む。
【0086】
本方法の特定の実施形態において、増幅工程は、当業者に公知のPCR技術を用いて、
式(I)のオリゴヌクレオチドGのコピー配列を作製することを含む。本方法の特定の実
施形態では、コピー配列は、式(I)の少なくとも2つのコード領域及び(I)の少なく
とも1つの末端コード領域のコピーを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのプロ
ーブ分子からオリゴヌクレオチドGを増幅する1つの利点は、多官能性分子が標的から容
易に除去できない場合でも、多官能性分子のコードされた部分が標的分子に結合すること
ができることを検出する能力が挙げられる。特定の実施形態では、増幅の利点は、広範な
多様性を有する分子のライブラリーが生成されることを可能にすることである。この広範
な多様性は、与えられた式(I)の分子の数が少ないことを犠牲にして生じる。PCRに
よる増幅は、容易に検出可能な数に達するまで数を増加させることによって、オリゴヌク
レオチド配列の同一性が非常に少数で見つかることを可能にする。次いで、コピー配列の
DNAシークエンシング及び分析は、標的に結合することができる式(I)の多官能性分
子のコードされた部分を同定又は相関させることができる。
【0087】
課題に関するさらなる詳細
【0088】
薬品発見の高コストと、医学、研究、バイオテクノロジー、農業、食品生産、及び産業
における使用のための特有で望ましい特性を有する分子を発見する必要性の増大は、コン
ビナトリアル化学の分野を生み出してきた。
【0089】
特定の所望の用途のための非常に望ましい特性を有する分子の発見は、必ずしも直接的
ではない場合がある。例えば、標的タンパク質又は生物学的巨大分子又は多分子構造に結
合する分子は、合理的に設計することが非常に困難である。第一原理から確認された構造
設計が不可能であるか非効率的である分子を発見するという課題に直面した場合、コンビ
ナトリアル化学は実行可能なツールとして提示されている。コンビナトリアル化学は、以
下の一般的なプロセスを通じて発見することができる:(a)研究者は、所望の用途のた
めの基準に合うように分子が有するより一般的な性質及び構造について最良の仮説を利用
可能にし、(b)研究者は、ライブラリーと呼ばれる、仮定した一般的な性質及び構造を
有する非常に数多くの分子を設計及び合成し、(c)ライブラリーは、ライブラリーメン
バーのいずれかが、所望の用途の特徴を有するかどうかを判定するために試験される。
【0090】
情報が限定されている場合、所望の分子の構造についてなされ得る仮説は、それらの仮
説を与えるための大きな知識体がある場合よりも、より緩く、あまり明確ではない。より
多くのデータが構造仮説を与える場合、望ましい構造が豊富であると仮定された化学形状
空間の領域に密接に焦点を合わせることにより、複雑さ又は多様性がより小さいライブラ
リー、例えばle-1e特有メンバーがより成功する可能性がある。データがほとん
ど又はまったく存在しない場合、より多くの複雑さを有し、形状空間のより大きな領域を
サンプリングし、それをより深くサンプリングするライブラリー、例えば、1e-le
14特有のメンバーは、成功のために必要とされる。
【0091】
コンビナトリアル化学は、スプリットアンドプール又は選別及び反応の化学合成法によ
って、このスケールで化合物のライブラリーを合成することを可能にする。典型的なスプ
リットアンドプールライブラリーは、ポリスチレンビーズのような高分子固体支持体の鎖
に組み込まれた官能基で始まる。数千から数百万のビーズ群を一連の容器に分割し、各容
器のビーズを異なる化学サブユニット又はビルディングブロックと反応させる。反応が完
了したら、すべてのビーズをプールし、よく混合し、同じ又は異なるセットのビルディン
グブロックを用いて化学合成の第2のステップのための新しい一連の反応容器に再分割す
る。スプリットアンドプール反応プロセスは、合成が完了するまで繰り返される。この方
法によって製造される化合物の数は、工程中に取り扱うことができるビーズの数及び各工
程で使用されるビルディングブロックの数によってのみ制限される。これらの2つのパラ
メータは、そのようなライブラリーの複雑さを定義します。例えば、4つのステップごと
に5つの化学サブユニットがある場合、5=625のメンバーがライブラリーを構成す
る。同様に、第1ステップに52のビルディングブロック、第2ステップに3、第3ステ
ップに384、第4ステップに96あれば、52×5×384×96=3,833,85
6のライブラリーメンバーが作成される。
【0092】
次いで、分子ライブラリーを試験して、それらのうちのどれが選択された用途に望まし
い特性を有するかを確認することができる。単一のビーズ上に生成される分子の量が非常
に少なく、故に同定が難しいので、そのような分子の同定は困難である。コンビナトリア
ル化学の共同体では、ライブラリーの設計を導くために利用できる構造的データの量に適
切に調整されたライブラリーについて、より大きなライブラリーが、非常に望ましいメン
バーを所有する大きな可能性を満たすことが期待されることが、一般に理解されている。
しかしながら、産生されたライブラリーの任意の量について、複雑さが増大するほど、又
はライブラリー中の固有分子の数が多いほど、コピー数が少なくなり、又は各メンバーの
コピー数が低くなる。従って、ライブラリーの複雑性、及び成功するメンバーがいる確率
が増すにつれて、成功するメンバーの合計量は、コンビナトリアル化学者がそれを正しく
同定する能力と共に減少する。
【0093】
コンビナトリアル化学者が直面する制約された最適化は、所望のメンバーを確実に保持
するのに十分な複雑さを有するライブラリーを作製することであり、その一方でライブラ
リーの各メンバーの十分なコピーを作製して、所望のメンバーが正確に同定されることを
確実にする。一般に、ライブラリーの複雑さが増すにつれて、固体支持体のサイズも減少
しなければならず;そのサポートサイズが減少するにつれて、分析及び同定に利用可能な
サンプル量も減少する。
【0094】
一般に、十分な資源があれば、1ビーズ-1化合物ライブラリー中のポリスチレンビー
ズ上の1010個の固有なメンバーの非常に大きなコンビナトリアルライブラリーを合成
することができる。しかし、各ポリスチレンビーズが0.1マイクロリットルの容積の球
である場合、1010のメンバーライブラリーの容積は、1立方メートルを超え、通常の
浴槽又は風呂を満たすのに十分であり、おそらくあふれる。工業化学プロセスはしばしば
この規模で行われるが、この複雑さのプロセスはこのスケールではめったに実行されない
。この規模のライブラリーはまた、このようなライブラリーを試験し、それらの試験のた
めの分子標的を作り出す問題を引き起こす。そのような試験は、1キログラムの精製タン
パク質を優に必要とすることがあり、その多くの薬品標的タンパク質を製造するコストは
、多くの薬物標的タンパク質にとって天文学的であろう。
【0095】
DNAコードコンビナトリアル化学ライブラリーは、この状況を改善しようとする。P
CRはDNAの単一鋳型鎖を非常に正確に増幅することができ、増幅された鎖を容易に配
列決定することができるという事実により、固体支持体のサイズをDNAの単一分子にま
で下げる可能性がある。したがって、非常に広大なライブラリー(例えば、10-10
14個の固有なメンバー)を作製する能力と、その集団から成功した分子を同定する能力
は、コンビナトリアル化学ライブラリーメンバーをDNA鎖にテザーして、DNA配列と
ライブラリーメンバーの同一性の間にある対応を確立することによって達成することがで
きる。その後、選択実験が行われる。「選択」とは、所望の形質を有するライブラリー集
団のメンバーを、そうでないメンバーから物理的に単離する実験である。次いで、形質-
陽性ライブラリーメンバーをコードするDNAをPCRにより増幅し、DNAの配列決定
により形質-陽性ライブラリーメンバーを同定する。この方法で膨大な複雑さのライブラ
リーを合成することができ、特徴的に小さいサンプルサイズから同定された形質陽性個体
が得られた。
【0096】
10~10個の固有な配列を戻すことができる新しいDNA配列決定技術は、DN
Aコードライブラリーの顕著に改善された分析を容易にする。「ディープシークエンシン
グ」データは、非常に複雑な化学ライブラリーの安定した統計分析を可能にします。この
種の分析は、選択された用途に適したライブラリーの特定の個々のメンバーを同定するだ
けでなく、ライブラリーメンバーの用途に「適応度」を与える未知の一般的な形質を明ら
かにすることもできる。典型的には、あまり適合していない個体から身近な用途により適
合した個体を物理的に分離するように設計された選択実験の前に、DNAライブラリーに
ディープシークエンスを行う。実験後の集団にディープシークエンスを行い、2つのデー
タセットの比較は、集団における相対頻度が増加するため、どの個体がより適合している
かを示す。あまり適合しない個体は、集団における相対頻度が減少するため、同定される
。しかし、DNAコードコンビナトリアル化学法は、最も強力な現在のディープシークエ
ンス技術をはるかに凌駕する複雑さを有するライブラリーを作製することができる。ディ
ープシークエンシングは、DNAコードコンビナトリアルライブラリーの有用性及び成功
の大幅な進歩を可能にするが、理論的に利用可能なデータの統計的アンダーサンプリング
しか提供しない。
【0097】
このアンダーサンプリングデータの問題は、コンビナトリアル化学プロセスのすべての
工程が完全な効率で進行するわけではないという事実によって悪化する。一部の反応が完
了せず、一部の反応が副生成物を形成するため、忠実度の喪失が観察される。従って、デ
ィープシークエンシングによって戻されたDNA配列は、それがコードする実際の分子を
表すが、時には欠失生成物又は副反応によって変化する生成物を表すことがあるという完
全な明確性は必ずしもない。
【0098】
アンダーサンプリングの問題の悪化は、合成忠実度の問題である。コンビナトリアルラ
イブラリーの作成に使用される反応のすべてが完全に効率的ではない。これは、DNAコ
ードライブラリー中のいくつかのDNAが、それらがコードする分子に繋がれていないが
、むしろ1つ以上のビルディングブロックの不完全な組み込みに起因する欠失生成物に繋
がれているか、副生成物又は副反応の組込みに起因する類似体につながれていることを意
味する。従って、生存選択であると観察された遺伝子型のいくつかは、それらがコードす
る分子以外の分子を表すので、データ分析は弱点がある。
【0099】
指向進化
【0100】
本開示の目的は、現在の配列決定技術を最大限にし、多世代選択によるアンダーサンプ
リング問題を克服するために、非常に複雑で高い忠実度のDNAコードライブラリーの作
製によって所望の用途に適合する分子を同定することである。本開示の別の目的は、ライ
ブラリーの合成の第1工程を精製することを可能にすることにより、より正確な合成を可
能にすることである。
【0101】
一般に、本開示の方法は以下のように働く。分子の集団は、DNA遺伝子のプール(オ
リゴヌクレオチドG又はG’)でコードされる。次いで、DNA配列(オリゴヌクレオチ
ドG又はそのコピー)は、小分子ライブラリーメンバー(コードされた部分)の合成又は
翻訳の鋳型となり、DNA遺伝子型とそれらの対応する小分子表現型との間の共有テザー
(リンカー)を確立する。次いで、遺伝子型-表現型融合(式(I)の分子のライブラリ
ー)の集団を選択圧にかけることができ、選択を生き延びた個体のDNA(少なくとも2
つのコード領域及び少なくとも2つの末端コード領域)をPCRにより増幅した。生存物
(コピー配列)の第2世代集団は、(a)ぴったりの個体(所望の特性を有するコード部
分)を同定するためのディープシークエンシング及び分析に供され、及び/又は(b)集
団が再翻訳され、同じ性質又は異なる性質のためのよりストリンジェントな選択の2回目
に供される。適切な適応度の分子が獲得されるまで、選択の第2世代の生存物は、(a)
適合した個体を同定するためにディープシークエンス及び分析され、及び/又は(b)再
翻訳され、選択、配列決定及び分析の、更にもう1回のラウンドに供される。
【0102】
多世代で再翻訳及び再選択することができる式(I)の分子のライブラリーを生成する
本開示の方法の能力は、多世代“進化”の指示を可能にするので、際立った利点である。
十分な複雑性の最初の集団及び選択の第1ラウンド後の生存物の集団の両方は、最良の最
新の手頃な価格のディープシークエンシング法によってアンダーサンプリングされ、かつ
適合する個体を同定するための配列決定データの統計分析は、そのアンダーサンプリング
に悩まされるが、複数の世代選択は、集団の完全な分析を可能にする。多くの固有で適合
度の低い個体は、選択の各連続ラウンドで集団から排除されるため、より適合する個体数
が増えるにつれて集団の実際の複雑さは減少する。したがって、シーケンシングの各ラウ
ンドではますます重要なサンプリングが得られ、非常に安定した計算分析が可能になる。
複数世代の選択を実行する能力は、この種の分析を大幅に改善する。
【0103】
ライブラリーを含むDNA「遺伝子」又はオリゴヌクレオチドGは、幾分見慣れた構造
を有する。細胞内の遺伝子と同様に、情報は線状配列に沿って配列される。しかし、典型
的な遺伝子とは異なり、この合成生物系では、「コドン」又はコード領域は、典型的には
約20塩基長である。自然なシステムでは、コドンは、遺伝子の一方の末端から開始し、
他方の末端に向かって直線的な順序で読み取られる。本開示の一実施形態では、遺伝子を
含むコード領域は、(a)末端コドンから開始し、(b)予め決定され、(c)その選択
行動の全ての連続世代において所定の順序が維持される限り、任意の順序で読み取られ得
る。さらに、遺伝子はまた、任意に、各コード領域の間に非コード領域を組み込む。これ
らの非コード領域は、非コード領域が固有の制限部位を有する場合、ライブラリーの正確
な翻訳、及びライブラリーの突然変異誘発又は遺伝子シャフリングを促進する。所与のラ
イブラリー中のオリゴヌクレオチドGは、典型的には、同様の配置で同じ数のコドンを完
全に有する。
【0104】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドGの所与のライブラリーについて、典型的に
は、各コード領域で使用される配列の所定のセット及び数が存在する。特定の実施形態で
は、1つのコード領域で使用されるコード配列は、他のコード領域では使用されない。い
くつかの実施形態において、コード配列は、コード配列のすべての可能な組み合わせが表
されるように、コンビナトリアルな方法で遺伝子に組み立てられる。他の実施形態では、
コード配列の組み合わせの数は、最初の遺伝子ライブラリーにおいて有意に減少し、選択
事象の後、集団の一部は、新しい表現型の進化及び選択を可能にするために、遺伝子シャ
フリング又は交差処理を経る。
【0105】
特定の実施形態では、これらの「交差」事象は、非コード領域内に固有の制限部位を配
置することによって促進される。1つ以上の非コード領域における集団の部分分解とその
後の再連結は、分解が行われた2つのコード領域間のコード配列のコンビナトリアル再集
合(re-assortment)を可能にする。このシャフリング又は交差事象は、単
一のコード領域のペア間で、又は複数のコード領域のペア間で実行することができ、又は
、ライブラリーをプールに分割し、各プールはコード領域の異なる組み合わせ間の交差事
象を経る。特定の実施形態では、この能力は、生存選択によって適合性を実証した2人の
個体が、いずれかの親とは異なる子孫表現型をコードするように遺伝的に組み替えること
を実質的に可能にする。
一般に、適合遺伝子型の組換えにより、新しいより適合した子孫表現型が選択のために産
生される。
【0106】
コードされた部分の識別
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドG中のDNA遺伝子配列と、
コード部分又は遺伝子がコードする分子の同一性との間の対応を有する分子プローブであ
る多官能性分子を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態では、対応は以下のように確立される。遺伝子ライブラリーは、コ
ード領域が一本鎖になるように、かつ任意の非コード領域が二本鎖になるように調製され
る。
【0109】
別途、反応部位アダプターを調製する。反応部位アダプター(ヘアピン構造)は、以下
に詳細に記載される。簡潔には、特定の実施形態において、反応部位アダプターは、典型
的には、反応性官能基で官能化され、ステム領域及びアンチコード領域を含むDNAヘア
ピンである。特定の実施形態では、ライブラリーに末端コード領域があるので、同数の異
なるアンチコード配列を有する同数の反応部位アダプターが提供され、調製される。特定
の実施形態では、反応部位アダプターは、末端コード領域配列のそれぞれに相補的なアン
チコード配列を用いて調製される。特定の実施形態では、各反応部位アダプター上の反応
性官能基反応部位とそれ自身の配列とを、第1ビルディングブロックと反応させて、荷電
反応部位アダプター(荷電キャリアアンチコドン)を生成させ、場合により精製して未反
応の反応部位アダプターを除去し、翻訳忠実性に著しい利点をもたらす。したがって、反
応部位アダプターのアンチコード配列は、特定のビルディングブロックに対応する。この
化学的性質について以下にさらに詳細に説明する。荷電反応部位アダプターのプールを遺
伝子ライブラリーとともにインキュベートして、荷電反応部位アダプター(荷電キャリア
アンチコドン)を、相補的である末端コード配列に特異的にアニールさせることができる
。次に、アニールしたアダプター/ライブラリー複合体を、例えばT4 DNAリガーゼ
を用いて共に連結することができる。このようにして、遺伝子の末端コード領域は特定の
ビルディングブロックに相当する。
【0110】
特定の実施形態では、次の選択されたコード領域配列と次のビルディングブロックとの
間の対応を確立することは、選択されたコード領域のコード配列に基づいてサブプールに
ライブラリーを選別することによって達成される。特定の実施形態では、この選別は、
ハイブリダイゼーションアレイと呼ばれる固体支持体のアレイ上に固定化された相補的オ
リゴへの一本鎖コード配列の配列特異的ハイブリダイゼーションによって達成される。
【0111】
ハイブリダイゼーションアレイの構築を以下に記載する。簡潔には、特定の実施形態に
おいて、ハイブリダイゼーションアレイは、固体支持体を含有する空間的に分離された特
性のアレイである。特定の実施形態において、これらの支持体上には、選別されるコード
領域の配列に相補的な配列を有する共有結合されたssDNAオリゴがある。特定の実施
形態では、所与のアンチコード配列を有する固体支持体の上又は隅々に複数のコード配列
を有する式(I)又は式(II)の分子のライブラリーを流すことにより、相補的なコー
ド配列を有するライブラリーのメンバーを特異的に固定することができる。特定の実施形
態では、それぞれに固定化された異なるアンチコード配列を有する固体支持体のアレイの
上又は隅々にライブラリーを流し、コード配列に基づいてライブラリーをサブプールに選
別する。特定の実施形態では、次いで、各配列特異的サブプールは、ビルディングブロッ
ク対応の配列を作るために、特定のビルディングブロック(位置ビルディングブロック)
と独立して反応させることができる。この合成は、以下により詳細に記載され、ハイブリ
ダイゼーションアレイ上で、又はサブプールがアレイのサブプール内で別の容器のような
適切な環境中に溶出されて反応が行われた後に行うことができる。
【0112】
全ての他の内部の非末端コード領域に対するビルディングブロック対応のコード配列の
確立は、同じ方法で達成することができ、異なるセットのアンチコード配列を有する異な
るハイブリダイゼーションアレイが適切に使用されるという点のみが異なる。
【0113】
オリゴヌクレオチドG中のコード領域は、他の情報もコードすることができる。特定の
実施形態では、ライブラリーの翻訳が完了した後、インデックスコード領域配列に基づい
てライブラリーを分類することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、インデック
スコード領域配列は、意図された目的、又はライブラリーのその対応するサブプールの選
択履歴をコードすることができる。例えば、複数のターゲットのライブラリーを同時に並
行して翻訳し、インデックスコード領域でサブプールに選別することができる。従って、
異なるターゲットを対象とするサブプール及び/又は異なる条件の選択のためのサブプー
ルは、互いに分離され、それぞれの用途で使用する準備ができる。従って、様々な特性に
ついて複数ラウンドの選択を経るライブラリーメンバーの選択履歴をインデックス領域に
記録することができる。
【0114】
反応部位アダプターの1つの意図された目的は、オリゴヌクレオチドGの遺伝子ライブ
ラリー中の配列と特定のビルディングブロックとの間の対応を確立することである。概し
て、これは上述したように達成される。一般に、反応部位アダプターの重要な要素は、ア
ダプターがオリゴヌクレオチドGの特定のコード領域にハイブリダイズすることを可能に
するアンチコード配列、第1又は第2のビルディングブロックD又はEが共有結合できる
反応性官能基、そのようなビルディングブロックを反応部位アダプターに共有結合させる
リンカー、及びビルディングブロックを含む反応部位アダプター又は荷電反応部位アダプ
ターを遺伝子(オリゴヌクレオチドG)に直接的又は間接的に共有結合させる手段である
。いくつかの実施形態において、反応部位アダプターは、ステム、ループ、及びそれ自身
がアンチコード配列を含む3’又は5’オーバーハングのいずれかを含むDNAヘアピン
である。いくつかの実施形態では、ステムは、制限酵素による切断の際に標的からの非常
に強力な結合の放出を容易にすることができる1以上の固有の制限部位を含み、又はPC
Rによる遺伝子のよりクリーンな増幅を可能にする良好なプライミング配列を含む。
【0115】
特定の実施形態では、ループ領域は、反応部位アダプター鎖の方向性の変化を作成して
、オリゴヌクレオチドG鎖の方向性と一致させる作業を行い、オリゴヌクレオチドGの末
端に連結することができる。DNAの性質のため、オリゴヌクレオチドG中のコード配列
は、反応部位アダプター中のアンチコード配列の反対の方向性を有する。DNA連結は、
同じ方向性を有する核酸鎖の2つの末端の間でのみ生じる。すなわち、5’から3’に配
向した鎖は、5’から3’に配向した別の鎖に連結することができる。ループ領域は、反
応部位アダプターの方向性に変化を生じさせてオリゴヌクレオチドG鎖の方向性と一致さ
せる作業を行い、オリゴヌクレオチドGの末端に連結させることができる。いくつかの実
施形態では、ヘアピン構造H及び/又はHのループは、3~12個のDNA塩基を含
む。いくつかの実施形態では、6~12個のPEG単位を含むポリエチレングリコールリ
ンカーである。いくつかの実施形態では、反応部位アダプターはオリゴヌクレオチドGに
酵素的に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドGの末端はアジド又
はアルキンで官能化され、反応部位アダプターの末端はアルキン又はアジドで官能化され
、連結は銅触媒による「クリック」ケミストリーによって達成される。多数の同等の化学
が、反応部位アダプターをオリゴヌクレオチドGに共有結合的につなぎ合わせるのに適切
であることは、当業者には評価されるであろう。
【0116】
いくつかの実施形態では、反応部位は、PEGリンカー若しくはアルキル鎖リンカーに
よって、又はホモポリマー若しくはヘテロポリマー鎖リンカーによって修飾された核酸塩
基につながれた遊離アミンを含む。反応部位アダプターヘアピン上の任意の点で結合され
た場合、反応部位は機能的である。いくつかの実施形態では、反応部位は、ループの5’
の位置でステム上に結合される。いくつかの実施形態では、反応部位はループの3’に結
合される。いくつかの実施形態では、反応部位は、アンチコード配列としてループの同じ
側で、かつアンチコード配列の初期塩基の近くに結合される。いくつかの実施形態では、
反応部位は、アンチコード配列からのループの反対側で、かつステムに沿う遠位に結合さ
れる。いくつかの実施形態では、2つ以上の反応部位がアダプター上で結合される。2つ
以上の反応部位を有する1つの利点は、正しく合成されたコード部分の確率が増加するこ
とである。2つ以上の反応部位を有する別の利点は、選択の間に、コード部分の多重度が
親和性を生じ、より弱いバインダーが選択において見出されることがある。2つ以上の反
応部位を有するいくつかの実施形態では、反応部位は、ループの同じ側及びステムの反対
側の端部の近くで結合される。いくつかの実施形態では、反応部位は、ループの反対側に
、及びステムの反対側の端部近くに配置される。2つ以上の反応部位を有するいくつかの
実施形態では、両方の反応部位がループ領域に存在する。いくつかの実施形態では、反応
部位アダプターは、2つ以上のステム及び2つ以上のループを含む。このような実施形態
では、複数の反応部位が、ステムに沿って、又はループ上に、又は両方の組み合わせで結
合される。いくつかの実施形態では、反応部位の配置及び位置決めは、反応部位間の距離
を調整して、問題の標的の大きさに基づいてより良好な結合活性を促進することによって
、選択においてより良い結果を促進するように設計される。
【0117】
いくつかの実施形態では、反応部位アダプターは、より小さな断片に容易に分解する手
段を有する。このような断片化は、ライブラリーのより良好な下流プロセシングを促進し
、例えば、鋳型ライブラリー鎖の一方又は両方の末端における連結ヘアピンの存在は、式
(I)の分子に正しくアニールするプライマーの能力を妨害することによってPCR増幅
を複雑にし得る。別の例では、ライゲーション後の荷電反応部位アダプターの断片化は、
反応部位付近の立体的バルクを減少させ、化学的性質を改善するか、又はハイブリダイゼ
ーション中の収率を改善し得る。断片化の手段としては、特に限定されないが、ステム領
域内の固有の制限部位での制限消化、又は反応部位アダプターの合成におけるdU塩基の
組み込み、続いてウラシルDNAグリコシダーゼでの処理によってアピリミジン部位を生
成すること、及びその後の鎖のアルカリ加水分解が挙げられる。断片化の手段は、鋳型鎖
に直接的又は間接的に繋がれた反応部位を残すか、鋳型鎖から除去することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、荷電反応部位アダプターは、特異的にハイブリダイズし
、鋳型鎖の両端の末端コード領域に連結される。末端コード領域が同一の第1及び第2の
ビルディングブロックをコードする場合、これらの実施形態は、正しいコード部分が合成
されるための複数の可能性を提供するという利点を有する。加えて、これらの実施形態は
、特により弱いバインダーの場合に、多数のコードされた部分に親和性を生じさせ、選択
効率を改善する機会を提供することができる。第1及び第2のビルディングブロックが異
なる場合、これらの実施形態は、同数の遺伝子鋳型鎖について合成される固有なコード部
分を2倍にする。第1及び第2ビルディングブロックが式(I)のいくつかの分子につい
ては同じであり、式(I)の他の分子については異なる場合、2つの異なるビルディング
ブロックが全てのコード部分に与える全体的な適合性に対する相対的寄与の分析を可能に
する。
【0119】
多くの種類の化学が本発明での使用に利用可能である。理論的には、DNAを化学的に
変化させない任意の化学反応を用いることができる。DNAに適合することが知られてい
る反応としては、特に限定されず:Wittig反応、Heck反応、homer-Wa
ds-worth-Emmons反応、Henry反応、鈴木カップリング、薗頭カップ
リング、Huisgen反応、還元アミノ化、還元アルキル化、ペプチド結合反応、ペプ
トイド結合形成反応、アシル化、SN2反応、SNAr反応、スルホニル化、尿素化、チ
オウレア化、カルバモイル化、ベンズイミダゾール、イミダゾリジノン、キナゾリノン、
イソインドリノン、チアゾール、イミダゾピリジンの形成、グリオキサール形成のジオー
ル開裂、Diels-Alder反応、インドール-スチレンカップリング、マイケル付
加、アルケン-アルキン酸化カップリング、アルドール反応、Fmoc脱保護、トリフル
オロアセトアミド脱保護、Alloc脱保護、Nvoc脱保護及びBoc脱保護が挙げら
れる。(参照、Handbook for DNA-Encoded Chemistr
y (Goodnow R. A., Jr., Ed.) pp 319-347,
2014 Wiley, New York. March, Advanced Or
ganic Chemistry, fourth edition, New Yor
k: John Wiley and Sons (1992), Chapters
10 to 16; Carey and Sundberg, Advanced O
rganic Chemistry, Part B, Plenum (1990),
Chapters 1-1 1 ; and Coltman et al, Pri
nciples and Applications of Organotransi
tion Metal Chemistry, University Science
Books, Mill Valley, Calif. (1987), Chap
ters 13 to 20;それぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれ
る)。
【0120】
本開示の多官能性分子に広範な種々のコンビナトリアルスカフォールド(scaffo
lds)が組み込まれることは、当業者には理解されるであろう。スカフォールドの一般
的な綱(classes)の種類の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定され
ない:(a)端と端とが連結された二官能性ビルディグブロックの鎖、ペプチド及びペプ
トイドがこの種のスカフォールドの2つの例である;鎖中の二官能性ビルディングブロッ
クの全てが同じ対の官能基を有するわけではなく、いくつかのビルディングブロックがた
だ1つの官能基、例えば末端ビルディングブロック、を有することができることが理解さ
れよう、(b)いくつかの三官能性ビルディングブロックを含む二官能性ビルディングブ
ロックの分岐鎖が、一官能性ビルディングブロックを含んでも含まなくてもよい、(c)
単一の多官能性ビルディングブロックからなる分子、及び単官能性ビルディングブロック
のセット;一実施形態では、そのような分子は、中心コアとして作用する多官能性ビルデ
ィングブロックを有し、それに他の単官能性ビルディングブロックが多様性要素として付
加される、(d)多様性要素として単官能性又は二官能性ビルディングブロックのセット
が連結される、2つ以上の多官能性ビルディングブロックを含む分子、(e)リンカー上
の部分又はより早い工程で導入されたビルディングブロックとビルディングブロック上の
部分又は後の工程で導入されたリンカーとを反応させることによる環の形成を含む上記の
スカフォールドのいずれか。他のスカフォールド又は化学構造門(phyla)も組み込
むことができ、これらの一般的な構造スカフォールドは、それらを合成する化学経路を設
計する際の実務者の工夫によってのみ制限される。
【0121】
特定の実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーは、2つの方法でDNAにつ
ながれた基質に対して行われる化学反応を促進する。水性溶媒中で行われる反応の場合、
DEAE-SEPHAROSE(登録商標)又はTOYOPEARL(登録商標)Sup
erQ 650Mのようなイオン交換樹脂上に反応を注入することにより、精製を容易に
達成することができる。特定の実施形態では、DNAはイオン交換によって樹脂に結合し
、未使用の反応物、副生成物及び他の反応成分は、水性緩衝液、有機溶媒又は両方の混合
物で洗い流される。有機溶媒中で最も良好に作用する反応について、実際の問題が存在す
る:DNAは有機溶媒への溶解性が非常に乏しく、このような反応は収率が低い。これら
の場合、ライブラリーDNAはイオン交換樹脂に固定され、残留水が水混和性有機溶媒で
洗い流され、反応が水混和性であってもなくてもよい有機溶媒中で行われてもよい。例え
ば、R.M. Franzini、et.al. Bioconjugate Chem
istry 2014 25(8)、1453-1461及びその中の参考文献を参照。
種々の化学的性質又は用途により適するか又はあまり適さない異なる性質を有する、多く
の型及び種類のイオン交換媒体が存在し、これらはTHERMOFISHER(登録商標
)、SIGMA ALDRICH(登録商標)、DOW(登録商標)、DIAION(登
録商標)及びTOYOPEARL(登録商標)のように、ごくわずかが命名されており、
多数の企業から市販されている。ビルディングブロックを導入するため、又は保護基を除
去するため、又はさらなる修飾のための部分を活性化するために、化学反応を行う目的で
ライブラリーDNAを固定又は可溶化することができる、ここには記載されていない多く
の可能な手段及び媒体があることは理解されよう。
【0122】
特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイはssDNA配列の異種混合物を
選別するための装置を含み、選別は、位置指定可能なフォーマットに固定化された相補的
オリゴへのこれらの配列の配列特異的ハイブリダイゼーションによる。例えば、米国特許
第5,759,779号明細書を参照されたい。ハイブリダイゼーションアレイは多くの
物理的形態をとってもよいことが理解される。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーシ
ョンアレイは、アレイの表面上に固定された相補的オリゴと接触するようになる異種のサ
ンプル又はssDNA(すなわち、式(I)の化合物のライブラリー)に対する能力を有
する。相補的オリゴは、ssDNAの固定化オリゴへの配列特異的ハイブリダイゼーショ
ンを可能にする、許可する、又は促進するようにアレイの表面上に固定化され、それによ
ってssDNAも固定化される。特定の実施形態では、共通配列を介して固定化されたs
sDNAを、アレイから独立して除去してサブプールを形成することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイは、0.1~100mmの厚
さのプラスチックの矩形シートを含み、「フィーチャー」と呼ばれる一連の穴が切取られ
たシャーシとなる。特定の実施形態では、シートの下面及び上面に、ろ過膜が接着される
。特定の実施形態では、ろ過膜の間に封入されたフィーチャーにおいて、「固体支持体」
と呼ばれる固体表面又は固体表面の集合体となる。特定の実施形態では、任意の所定のフ
ィーチャーにおいて、オリゴの単一の配列が固体支持体上に固定される。
【0124】
特定の実施形態において、式(I又はII)の分子のライブラリーは、ライブラリーの
水溶液をフィーチャーの表面及び中を通って流れるようにすることによってアレイ上で選
別することができる。特定の実施形態では、ライブラリーのメンバーが、相補的配列を有
するフィーチャー中のオリゴと接触すると、フィーチャー内で固定されるようになる。特
定の実施形態では、ハイブリダイゼーションが完了した後、アレイのフィーチャーを、9
6ウェルプレート又は384ウェルプレートのような受け容器上に配置することができる
。特定の実施形態では、DNAの脱ハイブリダイゼーションを引き起こすアルカリ性溶液
の添加を各フィーチャーに加えることができ、溶液は、今や可動性であるライブラリーを
受け容器に運ぶ。ホットバッファー、又は変性剤の使用のように、他の脱ハイブリダイズ
方法も可能である。したがって、特定の実施形態では、分子のライブラリーを配列特異的
方法でサブプールに選別することができる。
【0125】
上述したシャーシは、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリマー又は金属で構成さ
れ得ることが理解される。固体支持体は、樹脂、ガラス、金属、プラスチック、ポリマー
又はセラミックからなり、支持体は多孔質又は非多孔質であり得ることが理解される。固
体支持体上のより高い表面区域は、より多くの量の相補的オリゴを固定化することを可能
にし、より多くの量のライブラリーサブプールをフィーチャーに取り込まれることが理解
されよう。固体支持体は、ナイロン、プラスチック、布、ポリマー、ガラス、セラミック
又は金属で作られたろ過膜によってそれらのそれぞれのフィーチャーに保持され得ること
が理解される。固体支持体は、のり(glue)、接着剤、又はシャーシ及び/又は他の
支持体への支持体の共有結合のような、ろ過膜以外の手段によってそれらのそれぞれのフ
ィーチャー内に保持され得ることが理解される。フィーチャーは、シャーシの穴であって
も穴でなくても構わないが、シャーシから取り出したり、シャーシに置くことができる独
立した構造物であることは理解される。シャーシの形状は、2次元に配列されたフィーチ
ャーを有する矩形である必要はないが、1次元又は3次元に配列されたフィーチャーを有
する円筒形又は矩形の角柱であり得ることが理解されよう。例えば、米国特許第5,75
9,779号明細書を参照されたい。
【0126】
式(I)の分子のライブラリーは、それぞれの遺伝子型に拘束された表現型の集団と考
えることができる。そのような集団は、集団からあまり適合しない個体を除去する選択圧
力にさらされ、より適合したメンバーが生き残ることを可能にする。第2世代集団のオリ
ゴヌクレオチドG遺伝子型-それらの生き残った選択-は、PCRによって増幅され、再
翻訳され、同じ形質について別のよりストリンジェントな選択に供されるか、又はいくつ
かの直交形質に対して選択され得る。選択された生き残った部分集団は、典型的にはディ
ープシークエンシング又は次世代シークエンシング技術を用いて配列決定することができ
、シークエンシングデータを解析して最も適合するコード部分(表現型)を同定すること
ができる。
【0127】
数多くの種類の選択を行うことができる。最も典型的な選択は、標的タンパク質に結合
することができる集団中の個体を見出すために行われる。特定の実施形態では、このよう
な選択を行う方法は、NUNC MAXISORP(登録商標)プレート中のウェルの表
面のような固体支持体上に標的タンパク質を固定するか、又は標的をビオチニル化し、ス
トレプトアビジン被覆磁気ビーズ上に固定化することによる。特定の実施形態では、標的
の固定化後、式(I)の分子の集団を、支持体上の標的と共にインキュベートする。標的
を結合することができるこれらの個体はすべてそれを行い、それら自体が固定化される。
適切な緩衝液で固体支持体を洗浄し、非バインダーを除去する。特定の実施形態では、バ
インダーをコードするDNAはPCRによって増幅され、再翻訳のための配列決定のため
に送られ、かつ別の選択ラウンドに供される。
【0128】
特定の実施形態では、選択は、1つの標的タンパク質に結合する個体を、異なる、抗標
的、タンパク質、又は1組の抗標的タンパク質を除いて選択する方法で行うことができる
。そのような場合、選択の1つの方法は、標的及び抗標的の両方を別の容器中の固体支持
体上に固定化することを必要とする。特定の実施形態では、ライブラリーは最初に抗標的
とインキュベートされ、抗標的に結合することができる個体はそのようにする。特定の実
施形態では、非バインダーを容器から注意深く取り出し、標的を含む容器に移す。このよ
うにして、標的に結合する能力について選択された集団は、抗標的と結合することができ
る個体において最初に枯渇し、その選択は、標的に結合する能力又は抗標的の排除として
特徴づけられる適応性を有する個体を生み出す。
【0129】
特定の実施形態において、ある標的を別の標的に選択的に結合するコード部分を同定す
る第2の方法は、両方の標的について同様の選択を行い、次に配列決定データの分析中に
両方の標的に対して親和性を示すコード部分を排除する。
【0130】
特定の実施形態では、固定化された標的と遊離の標的との混合物を用いることにより、
長いオフレート(off-rates)を有するバインダーを選択する選択を行うことも
できる。特定の実施形態において、ライブラリーは、固定化された標的とインキュベート
され、バインダーが結合することを可能にする。次いで、過剰の遊離標的を添加し、所定
の時間インキュベートする。その間、固定化された標的から遊離し、次いで再結合するバ
インダーは、遊離の標的に再結合する可能性が高い。非バインダーを洗い流すと、自由な
標的とそれに結合されたものも洗い流される。自由標的上に残された唯一のバインダーは
、そのオフレートが遊離標的の所定のインキュベート時間よりも長いバインダーである。
【0131】
前のパラグラフに記載されている選択方法は、ファージディスプレイ、リボソームディ
スプレイ、及びmRNAディスプレイに関する文献に見出すことができる。例えば、Am
stutz、Patrick,et al.,Cell biology:a labo
ratory handbook,3rd ed.ELSEVIER、Amsterda
m(2006):497-509及びその中の参考文献。
【0132】
原則的には、特性を有さない個体に比べて特性を有する集団内の個体を選択的に増幅し
、手段を構築することができるという条件で、任意の特性について選択を行うことができ
る。標的結合以外の特性が関連する薬理学的選択は原理的に可能であり、その例には、水
溶性、細胞膜透過性、及び非毒性の選択が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
十分な量のライブラリーを合成することにより、所定のラウンドで複数の選択が行われ
ることも理解されよう。特定の実施形態では、標的に対する親和性の選択後の生存体の亜
集団を単離し、必要に応じて精製し、同じ標的又は異なる標的に対する親和性についての
第2の選択に供するか、又は直交性に関して選択する。特定の実施形態において、生存体
のサブプールは、次いで、PCRによって増幅され、配列決定されるか、又はさらなる選
択のために増幅及び再翻訳される。
【0134】
特定の実施形態において、配列決定データは、選択の前後の集団中のライブラリーメン
バーの表示を比較することによって分析される。特定の実施形態では、選択後にあまり表
されていないメンバーは、典型的にはあまり適合していないと考えられ、選択後により多
く表されるメンバーは、より適合していると考えられる。さらに、データは、同じコード
部分に結合された場合に、どの個々のビルディングブロックが適合性を与えるか、ビルデ
ィングブロックのどのペアが適合性を与えるか、ビルディングブロックのどのトリプレッ
トが適合性を与えるかを決定するために分析される。特定の実施形態では、データを任意
に分析して、異なるビルディングブロック内で、かつ異なるコード部分内のどの構造要素
が、ライブラリーの選択されたメンバーに適合性を与えるかを決定する。特定の実施形態
において、これらの分析は、どのメンバーが独立した試験のために合成されるべきか情報
を与え、ライブラリーの元のメンバーではない可能性のある作製及び試験されるべき類似
の分子を示唆する。特定の実施形態では、三次元ドッキングアルゴリズムは、これらのプ
ロセスにも情報を与えることができる。
【0135】
特定の実施形態では、データ分析において同定されたライブラリーメンバーは、典型的
には、ライブラリーを作製する際に使用されたものと同じ又は類似の合成条件を用いて、
オリゴヌクレオチド部分を伴って又は伴わずに合成することができる。特定の実施形態で
は、これら独立して合成された試料は、その物理的及び化学的特性を特徴付ける様々な試
験に供され、所望の作業のためのその一般的な適合性を示唆する。特定の実施形態では、
これらの特性としては特に限定されるものではないが、その標的へのライブラリーメンバ
ーの結合の緊密さを測定する解離定数又はKD、水:オクタノール分画によって測定され
るその水溶性、及びCaCo細胞で測定される浸透率、が挙げられる。
【0136】
特定の実施形態では、生体分子に結合する同定されたライブラリーメンバーを用いて、
その生体分子の生物学的機能を確認することができる。特定の実施形態において、多くの
タンパク質の機能は知られておらず、本開示の方法は、それらの機能の解明を助ける分子
プローブの発見への素早い経路を提供する。特定の実施形態では、本開示の方法によって
同定されたライブラリーメンバーは、生体分子が小分子発見及び薬物療法のターゲティン
グに特異的に適しているかどうかを判断するのを助けるために使用され得る。
【0137】
特定の実施形態において、ライブラリーメンバーをそれに結合させる生体分子機能への
影響は、インビトロアッセイ又はインビボアッセイ、細胞ベースアッセイ又は非細胞ベー
スアッセイにおいて分析することができる。既知の機能を有する生体分子について、その
機能に対する同定されたライブラリーメンバーの効果を評価することができる。生体分子
が酵素である場合、その活性速度に対する効果を評価することができる。それがシグナル
伝達タンパク質である場合、細胞生存能力、細胞遺伝子発現又は細胞表現型発現等の細胞
機能への効果を評価することができる。標的がウイルスタンパク質である場合、ウイルス
増殖及び生存能力に対するライブラリーメンバーの効果を評価することができる。
【0138】
特定の実施形態では、選択を通じて同定されたライブラリーメンバーは、インビボ実験
において、動物及びヒト並びに植物の健康に対するそれらの効果について評価することも
できる。
【0139】
特定の実施形態では、選択を通じて同定されたライブラリーメンバーもまた、生体分子
標的の精製のための親和性試薬として使用することができる。特定の実施形態では、同定
されたコード部分を固体支持体上に固定化することができ、標的を含む不均質溶液を固体
支持体上に流すことができる。特定の実施形態では、標的はコード部分に結合され、固定
化される。特定の実施形態では、混合物の他の全ての成分を洗い流して、標的の精製試料
を残すことができる。
【0140】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、これに限定されるものではない。当業
者であれば、本明細書で列挙した工程又は工程の部分を達成するための多くの同等の技術
を認識するであろう。
【実施例
【0141】
式(I)の分子の実施形態は、以下のように構築される。
【0142】
実施例1:8×10メンバー遺伝子ライブラリーの構築
【0143】
遺伝子ライブラリーのコドンの提供。96の二本鎖DNA(「dsDNA」)配列は、
ニュージャージー州ピスカタウェイのGenscript、ニュージャージー州モンマス
・ジャンクションのSynbio Technologies、デラウェア州ウィルミン
トンのBiomatik、テキサス州シュガーランドのEpoch Life Scie
nces等の遺伝子合成会社から提供又は購入される。これらの配列は、それぞれ20塩
基の5つのコード領域を含む。各コード領域は、20塩基の非コード領域(合計6つの非
コード領域を形成する)が両側に配置されている。全てのコード領域配列は固有であり、
他のコード領域及び非コード領域と交差反応しないように選択される。DNA分子中の5
つの非コード領域は異なる配列を有するが、各位置の配列は全てのDNAにわたって保存
されている。全てのコード領域と非コード領域は、同様の融解温度(58℃~62℃)を
有するように設計されている。コード領域及び非コード領域は、以下のようにインシリコ
で設計される。DNA配列は無作為にインシリコで生成される。
【0144】
いったん生成されると、配列の融解温度及び熱力学的特性(融解のデルタH、デルタS
及びデルタG)が最近隣法を用いて計算される。計算されたTm及び他の熱力学的特性が
ライブラリーに所望される所定の範囲内にない場合、配列は拒絶される。受容可能な配列
は、配列類似性アルゴリズムによる分析に供される。十分に非相同であることがアルゴリ
ズムによって予測された配列は、非交差反応性であると推定され、保持される。他は拒絶
される。コード領域及び非コード領域は、非交差スハイブリズすることが示されたオリゴ
の実験に基づいたリストから時々選択される。Giaever G,Chu A,Ni
L,Connelly C,Riles L,et al.(2002)Functio
nal profiling of the Saccharomyces cerev
isiae genome. Nature 418:387-391を参照。この参考
文献は、10,000個の非交差反応性オリゴを列挙する。それぞれのTmが計算され、
所定の範囲内に入るものが配列相同性アルゴリズムによって分析される。十分に非相同な
ものは保持される。
【0145】
各非コード領域は、固有の制限部位を含む。鋳型鎖の5’末端の非コード領域は、5’
末端から塩基13-18にSacI認識部位を含む。コード鎖の3’末端の非コード領域
は、鋳型鎖の3’末端から塩基14-19にEcoRI制限部位を含む。鋳型鎖の5’末
端からの第2、第3、第4及び第5の非コード領域は、塩基8-13にそれぞれHind
III、NcoI、NsiI及びSphI認識部位を有する。
【0146】
DNAを制限消化して、全てのコドンを互いに脱結合する。DNA配列をプールし、約
20μg/mlの濃度でNew England Biolabs(NEB、マサチュー
セッツ州)が提供するCUTSMART(登録商標)緩衝液に溶解する。NEBが提供す
る内部制限酵素HINDIII-HF(登録商標)、NCOI-HF(登録商標)、NS
II-HF(登録商標)及びSPHI-HF(登録商標)を添加し、酵素を製造業者のプ
ロトコルに従って37℃、1時間で消化する。酵素を80℃、20分間で加熱不活性化す
る。不活性化後、反応を60℃で30分間保持し、次いで45℃に冷却し、30分間保持
し、次いで16℃に冷却する。
【0147】
コドンをコンビナトリアル再集合して、遺伝子ライブラリーを作製する。消化反応で作
製された個々のコドンを全長遺伝子に再集合させるために、NEB製のT4 DNAリガ
ーゼを50U/mlまで添加し、ジチオスレイトール(DTT、Thermo Fish
er Scientific、マサチューセッツ)を10mMまで添加し、及びアデノシ
ン5’-三リン酸(ATP、NEB製)を製造業者のプロトコルに従って1mMまで添加
する。ライゲーション反応を2時間行い、生成物をアガロースゲル電気泳動で精製する。
提供された遺伝子の1つの部位での消化により生成された付着末端は、同じ部位の他のす
べての消化産物の付着末端にアニールするので、完全なコンビナトリアル再集合が起こる
。したがって、96個の提供された遺伝子がそれぞれ5個のコドンからなると、965個
の遺伝子が生成される。5つのコード位置のそれぞれに96個のコード配列があるので、
96=8×10の組み合わせ又はライブラリーメンバーが存在する。
【0148】
遺伝子ライブラリーは、翻訳のために調製される。
【0149】
PCRによって遺伝子ライブラリーを増幅する。T7プロモーターは、50μL反応の
ためのこれらの反応物を使用する伸長PCRによって非鋳型鎖の5’末端に付加される:
5×PHUSION(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ(「
PHUSION(登録商標)ポリメラーゼ」、NEB)、10μL;デオキシヌクレオチ
ド(dNTP)溶液混合物200μM最終濃度;フォワードプライマー、最終濃度750
nM;リバースプライマー最終濃度、750nM;鋳型(ライブラリーを適切にオーバー
サンプリングするために十分な鋳型を使用する必要がある);ジメチルスルホキシド(D
MSO)、2.5uL;「PHUSION(登録商標)ポリメラーゼ」、2μl。57℃
のアニーリング温度及び72℃の伸長温度を用いてPCRを行う。各サイクルで5秒間ア
ニールし;各サイクルで5秒間伸長する。生成物をアガロースゲルによる電気泳動で分析
する。
【0150】
DNAをRNAに転写する。PCR産物を精製せずに、250μL転写反応は、以下の
反応物と共に行われる:PCR産物、25μL;RNAseを含まない水、90μL;ヌ
クレオシド三リン酸(NTP)、各6mM最終濃度;5×T7緩衝液、50μL;NEB
T7 RNAポリメラーゼ250単位;任意でRNasin(登録商標)リボヌクレア
ーゼ阻害剤(Promega Corporation、WI)を200U/mlまで添
加することができ;任意でピロホスファターゼを10μg/mlまで添加することができ
る。5×T7緩衝液は、1MのHEPES-KOH(4-(2-ヒドロキシエチル)-1
-ピペラジンエタンスルホン酸)pH 7.5;150mMの酢酸マグネシウム;10m
Mのスペルミジン;200mMのDTT、を含む。反応は37℃で4時間行う。塩化リチ
ウム沈殿によりRNAを精製する。1倍量の水で転写反応物を希釈する。LiClを3M
まで加える。最大gで、4℃で少なくとも1時間回転する。上清を静かに移して保管する
。きれいなペレットは、溶解しにくい透明なガラス状のゲルである。穏やかな加温(70
℃で1分)と穏やかなボルテックスとを交互に繰り返すことでペレットが再懸濁する。ア
ガロースゲル電気泳動で分析し、分解を避けるためにできるだけ早く定量及び凍結する。
例えば、Analytical Biochemistry 195、p207-213
(1991)、及びAnalytical Biochemistry 220、p42
0-423、(1994)を参照されたい。
【0151】
RNAをDNAに逆転写する。一本鎖RNA(「ssRNA」)を、Thermo F
isher Scientific製のSUPERSCRIPT(登録商標)III逆転
写酵素及び供給されたFirst Strand Bufferを用いて2段階手順で逆
転写する。最初のステップは、以下の成分のこれらの最終濃度で行われる:dNTP’s
、それぞれ660μM;RNA鋳型、~5μM;プライマー、5.25μM。ステップ1
の成分を65℃で5分間加熱し、次いで少なくとも2分間氷冷させる。ステップ2の成分
の最終濃度は、First Strand Buffer、1x;DTT、5mM;RN
アーゼ阻害剤(NEB)、0.01U/μL、SUPERSCRIPT(登録商標)II
I逆転写酵素、0.2U/μl。ステップ2の成分を混合し、37℃に温め、ステップ1
の成分を2分間氷冷した後、ステップ2の混合物をステップ1の混合物に加える。合わせ
た部分を37℃で12時間反応させる。反応後、アガロースゲル電気泳動を行う。既知の
出発物質RNA及び既知の生成物、又はPCR産物ライブラリーのような既知の生成物類
似体の反応のサンプルを採取する。全てのサンプルにエチレンジアミン四酢酸(EDTA
)を添加し、65℃で2分間加熱し、急冷し、次いでアガロースゲル上で泳動する。ss
RNAは、相補DNA(「cDNA」)産物から分解するはずである。1.5倍体積のイ
ソプロパノール及び酢酸アンモニウムを2.5Mまで添加し、続いて48,000gで1
時間遠心分離することにより、cDNA産物を精製する。cDNAペレットを蒸留水(「
dHO」)に再懸濁し、pH13までLiOHを加えることによってRNA鎖を加水分
解する。溶液を95℃で10分間加熱する。非コード領域に特異的なプライマーの1.0
5当量を添加し、pHを、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「Tris」)及
び酢酸で中性にし、そして反応物をゆっくりと室温まで冷却し、すぐに濃縮して緩衝液を
NEB CUTSMART(登録商標)緩衝液に交換した。
【0152】
末端非コード領域の除去。非コード領域二本鎖を作成する相補的オリゴを有する逆転写
のssDNA産物をNEB CUTSMART(登録商標)緩衝液に100μg/mlの
濃度で懸濁する。NEB製の制限酵素SACI-HF(登録商標)及びECORI-HF
(登録商標)をDNAの1U/μgの濃度まで添加する。消化物を37℃で1時間インキ
ュベートし、次いで酵素を65℃で20分間加熱不活性化する。
【0153】
反応部位アダプターは翻訳のために準備される。
【0154】
反応サイトアダプターの提供。2組の96反応部位アダプターが提供され、各々は、ヘ
アピンループ、ステム、及びアンチコード配列を含むオーバーハングを含む。1つのセッ
トは、3’末端非コード領域の除去後に現れるが、鋳型鎖の3’末端コード領域に特異的
にハイブリダイズする3’オーバーハングアンチコード配列を有する;他のセットは、5
’末端非コード領域の除去後に現れるが、鋳型鎖の5’末端コード領域に特異的にハイブ
リダイズする5’オーバーハングアンチコード配列を有する。3’オーバーハングを有す
るセットには、5’ホスホリル基が提供される。この例において、各セットのステム領域
は、予め制限消化によって除去された対応する末端非コード領域の同一の配列を有する。
各セットのループ領域は、リンカー反応部位、N4-TriG1-アミノ2’デオキシシ
チジン(IBA製、Goettingen、ドイツ)で修飾された塩基を有する。ここに
記載されたアダプターは、Sigma Aldrich、アイオワ州コーラルビルのIn
tegrated DNA Technologies、又はケンタッキー州ルイビルの
Eurofins MWGのようなDNAオリゴ合成会社から購入することができる。
【0155】
反応部位アダプターの荷電6組の反応部位アダプターの2つのセットを別々のウェルに
入れ、TEバッファー(Promega、MA)に溶解する。15μlのTOYOPEA
RL(登録商標)SuperQ-650M(Sigma-Aldrich、St.Lou
is、MO)イオン交換樹脂をフィルタープレートの各ウェルに入れ、100μlの10
mM HOAcで洗浄する。鋳型鎖の量に比例する各反応部位アダプターのアリコートを
フィルタープレートの別々のウェルに移し、それらを樹脂上に固定化する。樹脂上に固定
化されたアダプターをdHOで、次にピペリジンで、次にジメチルホルムアミド(DM
F)で洗浄する。96個の反応溶液が別々に作成され、各々が、DMF50μl、Fmo
c保護アミノ酸75mM、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イ
ル)-4-メチルモルホリニウムテトラフルオロボレート75mM、90mMのN-メチ
ルモルホリン、を含む。これらの混合物は、室温で10分間酸を活性化させ、次いで樹脂
に添加し、30分間反応させる。次いで、樹脂を4×100μlDMFで洗浄し、新たに
調製した反応混合物でカップリング工程を繰り返し、DMFで再度洗浄し、DMF中20
%ピペリジン50μlを各ウェルに添加してFmoc保護基を除去し、室温で2時間イン
キュベートする。樹脂を4×100μlDMFで、次いで3×100μl dHOで再
度洗浄する。荷電部位アダプターは、1.5M NaCl、50mM KOH、0.01
%TRITON(登録商標)X-100を用いて樹脂から溶離する。溶液は、Trisを
15mMまで、及びHOAcをpH7.4まで添加することにより中和する。次いで、荷
電反応部位アダプターをプールし、ZEBA(登録商標)7K MWCO(Thermo
Fisher Scientific、MA)脱塩カートリッジを通過させることによ
り脱塩する。
【0156】
ライブラリーの翻訳
【0157】
荷電反応部位アダプターのライブラリーへのライゲーション。制限消化された鋳型ライ
ブラリーは、ZEBA(登録商標)30K MWCO(Thermo Fisher S
cientific、MA)遠心濃縮器で50mM Tris-HCl、10mM Mg
Cl、25mM NaClを用いて、pH7.5、25℃で緩衝液交換をする。鋳型鎖
の3’末端に特異的な荷電反応部位アダプターの1.1当量を添加する;鋳型鎖の5’末
端に特異的な荷電反応部位アダプターの1.1当量を加え、混合物を同じ緩衝液で1μM
の鋳型鎖濃度に希釈する。反応物を65℃で10分間加温し、1時間かけて45℃に冷却
し、45℃で4時間保持する。室温に冷却した後、DTTを10mMまで添加し、ATP
を1mMに添加し、T4 DNAリガーゼを50U/mLまで加える。ライゲーション反
応を室温で12時間実施し、次いで酵素を65℃で10分間加熱不活性化し、反応をゆっ
くりと室温まで冷却する。この反応物を緩衝液交換し、150mM NaCl、20mM
クエン酸塩、15mMトリス、0.02%ドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)、0.
05%Tween20(Sigma-Aldrich製)にpH7.5で30K分画分子
量(MWCO)遠心濃縮器で濃縮する。
【0158】
ハイブリダイゼーションアレイの調製。ハイブリダイゼーションアレイは、厚さ2mm
までのTECAFORM(登録商標)(Acetal Copolymer)シャーシか
ら構成され、コンピュータの数値制御装置で穴が切られている。ELKO FILTER
ING製ナイロン40ミクロンメッシュが日東電工製のNP200両面テープを使用して
、シャーシの底面に接着されている。次いで、アジド基で官能化されたCMセファロース
(登録商標)樹脂(Sigma Aldrich)の固体支持体で穴を充填する。樹脂は
、Broadpharm(カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した8個のPEG単
位を有するアジド-PEG-アミンを用いて官能化される。充填されたCMセファロース
(登録商標)45mlをフリット漏斗に入れ、DMFで洗浄する。次いで、樹脂を90m
lのDMFに懸濁させ、4.5mMのアジド-PEG-アミン、75mMのEDC、7.
5mMのHOAtと共に室温で12時間反応させる。樹脂をDMF、水、イソプロパノー
ルで洗浄し、エタノール20%中4℃で保存する。その後、ナイロン40ミクロンメッシ
ュをシャーシの上部に接着する。アジド基は、アルキン結合オリゴをクリックケミストリ
ーを用いて固体支持体に繋ぐことを可能にする。アレイをアレイ/ウェルプレートアダプ
ターに配置し、ウェルプレート上にアダプターを置くことにより、アジド-SEPHAR
OSE(登録商標)上のオリゴを捕捉してレジスターに「クリックされた状態に」するこ
とができる。1nmolのアルキニルオリゴ、硫酸銅、625μMのトリス(3-ヒドロ
キシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(「THPTA」)(リガンド)、3.1mM
のアミノグアニジン、12.5mMのアスコルビン酸塩、12.5mMのリン酸緩衝液p
H7,100mMを含む溶液を、アレイ/ウェルプレートアダプターの各ウェルに添加し
、SEPHAROSE(登録商標)支持体上に吸着させる。10分後、溶液を遠心分離機
でアレイからプレート中に回転させ、その後すぐ、反応で2回目の通過のためにアレイ上
に再びレジスターを再分注する。2回目の10分間の反応後、反応溶液をウェルプレート
内に回転させ、ウェルプレートを脇に置く。アレイを1mM EDTAでよく洗浄し、0
.05%アジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝液(「PBS」)中に保存する。反応溶液を
それぞれdHOで100μLに希釈し、ジエチルアミノエチル(DEAE)イオン交換
樹脂上に負荷し、dHOで洗浄して、取り込まれていないオリゴを除くすべての試薬及
び反応副生成物を除去する。これらの溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で
分析して、出発物質の消失による取り込みの程度を確認する。1つのアレイは、鋳型ライ
ブラリーの1つのコード位置に相補的なオリゴを有する。各コーディング位置に対して別
個のアレイが作られる。
【0159】
配列特異的ハイブリダイゼーションによるライブラリーの選別。ハイブリダイゼーショ
ン対応のライブラリーを、1×ハイブリダイゼーションバッファー(2×クエン酸ナトリ
ウム塩(SSC)、+15mMトリスpH7.4 + 0.005%TRITON(登録
商標)X100,0.02%SDS、0.05%アジ化ナトリウム)で13mlに希釈す
る。10μgのトランスファーRNA(「tRNA」)を添加して、非特異的な核酸結合
部位をブロックする。アレイは、鋳型ライブラリー内の所望のコード位置に対応して選択
される。アレイを、いずれかの側に1~2mmの隙間を提供するチャンバー内に置き、1
3mlのライブラリー溶液を注入する。チャンバーを密封し、37℃で48時間穏やかに
振盪する。任意で、アレイ上のライブラリーをより速く選別する手段として、予めパター
ン化された経路内の様々な特徴を介して指示された形でライブラリーを含む溶液を送るこ
とを可能にする装置にアレイを配置する。
【0160】
ハイブリダイゼーションアレイから選別されたライブラリーを溶離する。アレイを、チ
ャンバーを開封してハイブリダイゼーション溶液を新鮮な1×ハイブリダイゼーション緩
衝液と交換し、続いて37℃で30分間振盪することによって洗浄する。洗浄をハイブリ
ダイゼーション緩衝液で3回、次いで1/4×ハイブリダイゼーション緩衝液で2回繰り
返す。その後、ライブラリーはアレイから溶出される。アレイをアレイ/ウェルプレート
アダプターに入れ、10mM NaOH、0.005%TRITON(登録商標)X-1
00の30μlを各ウェルに加え、2分間インキュベートする。この溶液を、アレイを通
ってウェルプレートに遠心分離する。溶出手順は3回行う。選別されたライブラリー溶液
は、9μlの1M Tris pH7.4及び9μlの1M HOAcをこの順序で各ウ
ェルに加えることによって中和する。
【0161】
ソートされたライブラリーに対するペプトイドカップリング化学ステップを実施する。
SuperQ 650M樹脂の15μlアリコートをフィルタープレートの各ウェルに添
加し、100μlの10mM HOAcで洗浄する。選別されたライブラリーは、イオン
交換樹脂を有するウェルプレートへのハイブリダイゼーションアレイの溶離中に回転する
ウェルプレートからレジスターに移される。樹脂及びライブラリーを、1×90μlの1
0mM HOAc、2×90μlのdHO、2×90μlのDMF、1×90μlのピ
ペリジンで1×90μlで洗浄する。別に、100mMのクロロ酢酸ナトリウムと150
mMの4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモ
ルホリニウムクロライドをメタノール中に含む溶液を調製する。この溶液40μlを樹脂
の各ウェルに加え、室温で30分間反応させる。樹脂を3×90μlのメタノールで洗浄
し、カップリングを繰り返し、3×90μlのメタノール、3×90μlのDMSOで洗
浄する。別に、第一アミンの2M(又は必要に応じて飽和した)をDMSO中に含む溶液
を調製する。40μlの第一アミン溶液の1つを樹脂の各ウェルに添加し、37℃で12
時間反応させる。樹脂を3×90μlのDMSO、3×90μlの10mM酢酸(HOA
c)、3×90μlのdHOで洗浄する。1.5M NaCl、50mM NaOH、
0.005%TRITON(登録商標)X-100を用いてイオン交換樹脂からDNAラ
イブラリーを3×30μl部分に溶出させる。すべての反応をプールし、Trisを15
mMまで、かつHOAcをpH7.4まで添加することによって溶液を中和する。1×ハ
イブリダイゼーション緩衝液へ濃縮及び緩衝液交換を行う。
【0162】
ライブラリーの合成を完了する。上記のプロトコルを用いてハイブリダイゼーションア
レイ上でライブラリーを選別し、ペプチド又はペプトイド化学を実施するための上記プロ
トコル、又は他の化学工程を行うために以下の実施例10~32のプロトコルを使用し、
更に3つの選別及び合成工程を行い、ライブラリーを完全に翻訳する。
【0163】
選択のためにライブラリーを調製する。ライブラリーの翻訳が完了したら、1.0μM
以下のdHO、1xのDREAMETAQ(登録商標)バッファー、10000xのd
NTP[鋳型]、0.2U/μLのDREAMTAQ(登録商標)ポリメラーゼ、及び各
dNTPについて等量のMgClを補充した中で、鋳型としてのライブラリーを組み合
わせて一本鎖領域が任意で二本鎖を形成する。3’末端の反応部位アダプターがこの反応
のためのプライマーとして作用することに留意されたい。混合物を95℃で2分間加熱し
、次いで57℃で10秒間アニールし、72℃で10分間伸長する。エタノール沈殿によ
り反応物を精製する。
【0164】
目的のタンパク質標的に結合するリガンドを選択する。100μlのPBS中の5μg
のストレプトアビジンをMAXISORP(登録商標)プレートの4つのウェルに4℃で
一晩振盪して固定する。ウェルをPBST 4×340ulで洗浄する。2つのウェルを
200μlのカゼインで封鎖し、他の2つはBSA 5mg/mlで室温で2時間封鎖す
る。ウェルをPBST 4×340μlで洗浄する。100μlのPBS中の5μgのビ
オチン化標的タンパク質を、カゼインで封鎖したウェル及びBSAで封鎖したウェルに添
加し、室温で1時間振盪してインキュベートする(タンパク質のビオチン化に関するプロ
トコルについては、Elia、G.2010.Protein Biotinylati
on、Current Protocols in Protein Science、
60:3.6:3.6.1-3.6.21を参照)。Tween20(PBST)を含む
PBS中の翻訳されたライブラリーの100μlアリコートを、標的タンパク質を中に入
れていない各ウェルに添加し、100μlのPBSTを、標的タンパク質を中に入れた2
つのウェルに添加する。サンプルを室温で1時間振盪しながらインキュベートする。緩衝
液は、固定化された標的タンパク質及びPBSTのみを含むウェルから注意深く吸引され
る。標的を含まないウェル中のライブラリーを含む緩衝液は、標的含有ウェルに注意深く
移される。100μlのPBSTを、標的を含まないウェルに添加する。全てを室温で振
盪しながら4時間インキュベートする。ライブラリーをピペットで慎重に取り出して保存
する。ウェルを4×340μlのPBSTで洗浄する。標的タンパク質に強く結合するラ
イブラリーメンバーを溶出するために、100μlのPBST中の過剰のビオチンをウェ
ルに添加し、37℃で1時間インキュベートする。緩衝液を注意深く吸引し、PCR反応
の鋳型として用いる。
【0165】
選択結果を分析する。選択の前後のライブラリーからのPCR産物を、DNA配列決定
サービス業者が必要とするプライマー及びプロトコルを用いてディープシークエンシング
のために提出する。業者は、カリフォルニア州フリーモントのSeqmatic、カリフ
ォルニア州ヘイワードのElim BioPharmが挙げられる。各配列鎖の末端及び
内部コード領域のコード配列を分析して、コード部分の合成に使用されるビルディングブ
ロックを推定する。選択前及び後の同定されたライブラリーメンバーの相対頻度は、ライ
ブラリーメンバーが選択によって集団において富化される度合いを示唆する。ライブラリ
ーメンバー生存選択を含む様々な化学サブグループの分析は、これらの部分がライブラリ
ーメンバーに適合性を与える程度を示し、より適合した分子を進化させるために、又は独
立した合成及び分析のために類似分子を予測するために使用される。
【0166】
実施例2:単一の反応部位アダプターを有するライブラリーを調製及び翻訳する。
【0167】
単一の反応部位アダプターを有するライブラリーは、(a)末端非コード領域の1つの
除去、及び(b)対応する反応部位アダプターのライゲーションの工程が省略されている
ことを除いて、実施例1と全く同様に調製される。
【0168】
実施例2a:Gの5’末端に単一の反応部位アダプターを有するライブラリーを調製し
、翻訳する。Gのコード鎖の5’末端に単一の反応部位アダプターを有するライブラリー
を調製するために、ライブラリーは、「末端非コード領域の除去」工程を除いて実施例1
と全く同様に調製することができるが、唯一の追加される制限エンドヌクレアーゼはSa
cIでなければならない。そうすることにより、5’末端非コード領域が除去され、5’
荷電反応部位アダプターが適切にハイブリダイズし、鋳型鎖に結合することができる。5
’末端非コード領域の認識部位に特異的な制限エンドヌクレアーゼのみを使用し、3’末
端非コード領域の認識部位に特異的な制限エンドヌクレアーゼを除くと、3’末端非コー
ド領域がそのまま残り、3’反応部位アダプターのその末端への連結を不可能にする。こ
の工程における5’荷電反応部位アダプターの付加、「ライブラリーへの荷電反応部位ア
ダプターの結合」は実施例1と同様に行われる。この工程における3’荷電反応部位アダ
プターの付加は省略される。この実施例の反応部位アダプターは、実施例3、実施例4a
及び実施例4bに記載されるように、2以上のステム、2以上のループ及び2以上のリン
カーを含有し得る。上記の5’末端非コード領域の除去は、実施例6a及び6bに記載の
方法を用いて行うことができることは、当業者には理解されよう。他の制限部位を5’末
端コード領域に設計することができ、この目的のために異なる制限酵素を使用できること
が当業者に理解されよう。
【0169】
実施例2b:Gの3’末端に単一反応部位アダプターを有するライブラリーを調製及び
翻訳する。Gのコード鎖の3’末端に単一反応部位アダプターを有するライブラリーを調
製するために、ライブラリーは、「末端非コード領域の除去」工程を除いて、実施例1と
全く同様に調製され、唯一の追加される制限エンドヌクレアーゼはEcoRIでなければ
ならない。そうすることにより、3’末端非コード領域が除去され、3’荷電反応部位ア
ダプターが適切にハイブリダイズし、鋳型鎖に結合することができる。3’末端非コード
領域の認識部位に特異的な制限エンドヌクレアーゼのみを使用し、5’末端非コード領域
の認識部位に特異的な制限エンドヌクレアーゼを省略すると、5’末端非コード領域がそ
のまま残り、5’反応部位アダプターのその末端への結合を不可能にする。この工程での
3’荷電反応部位アダプターの付加、「ライブラリーへの荷電反応部位アダプターの結合
」は実施例1と同様に行われる。その工程における5’荷電反応部位アダプターの付加は
省略される。この実施例の反応部位アダプターは、実施例3、実施例4a及び実施例4b
に記載されるように、2以上のステム、2以上のループ及び2以上のリンカーを含有し得
る。上記のように3’末端非コード領域を除去することは、実施例6bに記載の方法を用
いて行うことができることは、当業者には理解されるであろう。他の制限部位を3’末端
コード領域に設計することができ、この目的のために異なる制限酵素を使用できることを
、当業者には理解されるであろう。
【0170】
実施例2c。合成中に反応部位アダプターを異なる位置に連結したライブラリーを調製
し翻訳する。1つの反応部位アダプターを鋳型オリゴヌクレオチドGに連結し、いくつか
の位置ビルディングブロックをその上に設置し、次いで第2の反応部位アダプターをGに
連結する、2つの反応部位アダプターを有するライブラリーを調製することができる。実
施例2a又は実施例2bのいずれかの方法を用いて実施した。次いで、実施例1の工程を
用いて1つ以上の位置ビルディングブロックを設置し、「配列特異的ハイブリダイゼーシ
ョンによるライブラリーの選別、及びハイブリダイゼーションアレイからの選別されたラ
イブラリーの溶出」及び、ペプチドカップリング又はペプトイドカップリングのような実
施例1に記載された位置ビルディングブロックを設置するための化学的工程、又は実施例
10~32に記載の化学工程のいずれかと同様である。次いで、第2の反応部位アダプタ
ーをGに連結する。第2の末端非コード領域を除去することは、第2の反応部位アダプタ
ーの結合の直前に行うことができ、第2の末端非コード領域の除去と第2の反応部位アダ
プターの結合との間に、位置ビルディングブロックを設置するための化学工程を介在する
ことができることを、当業者には理解されるであろう。
【0171】
実施例3:反応部位アダプター当たり2つ以上の反応部位を有するライブラリーを調製
し翻訳する。
【0172】
単一のアダプター上に複数の反応部位を有するライブラリーは、実施例1又は実施例4
aと全く同様にして調製することができるが、但し、実施例1又は4aに記載のような反
応部位で修飾された、2(以上)の塩基を有する反応部位アダプターヘアピンが提供され
ることを除く。反応部位修飾塩基のいくつかの配置が可能であり、例えばステムの末端、
又はループ領域の両方の反応部位近くに反応部位を有する塩基の配置が挙げられる。1つ
のアダプターのみが使用されている場合、又は2つのアダプターが使用されている場合、
複数の反応部位をアダプターに配置することができる。このような反応部位アダプターは
合成されるか、又はアイオワ州コーラルビルのIDT、又はケンタッキー州ルイビルのE
urofins MWGのようなDNAオリゴ合成会社から購入される。
【0173】
実施例4a:反応部位アダプターに別のヘアピンを有するライブラリーを調製し、翻訳
する。
【0174】
実施例1に記載したのと同じプロトコルを用いて多数の型のヘアピンを作製し、様々な
状況で用いることができる。より小さなヘアピンが有利である場合、ステムはわずか5塩
基対を含むことができる。また、相補的なステム配列間の6-PEGリンカーを含むヘア
ピンは、より大きなDNAループを置換することができる。Durand,M.,et
al.Circular dichroism studies of an oli
godeoxyribonucleotide containing a hairp
in loop made of a hexaethylene glycol ch
ain:conformation and stability.” Nucleic
acids research 18.21(1990):6353-6359)を参
照。ポリディスプレイが有利な場合には、所定のヘアピン上の複数のコード部分間の距離
、及びそれらのコード部分の配置が重要となる。
【0175】
コード部分の間の距離は、個々のプロジェクトのニーズに応じて変更され適合される。
ヘアピンのループ領域内又はその近傍に1つのリンカーを、及びアンチコード配列内若し
くはその近傍に、又は二本鎖ステム領域のいずれかの鎖のアンチコード配列の近くに第2
のリンカーを設置することによって、コード部分間の距離を、ステムを構成する塩基の数
を増減させて、より大きく又はより小さくする。同様に、ステム内のヌクレオチドの数を
一定に保ちながらステムの長さに沿って第2のリンカーの位置を変えることにより、ルー
プ領域内又はその近傍に1つのリンカーを配置することによって、コード部分間の距離を
より大きく又はより小さくする。任意に、両方のリンカーがステム領域に配置される場合
、それらを分離するヌクレオチドの数は、プロジェクトのニーズに合わせて変化する。両
方のリンカーを任意でループ領域内に配置することもでき、その間の塩基数はプロジェク
トに合わせて変更することができる。
【0176】
例えば、ステムに沿って配置されたコード部分が、ループ内に配置されたコード部分と
異なる標的分子へのアクセスを有する場合、ヘアピン上のコード部分の配置が重要である
場合、複数のループ及びステムを有するヘアピン使用される。一実施形態では、ヘアピン
は、2又は3のループ及び2つのステムを有し得る。このヘアピンは、任意に第3ループ
領域に、次に第1ステム領域の第2鎖に、又は第1ステム領域の第2鎖に直接連結された
、第2のステム領域の第2の鎖に連結された第2ループ領域に連結された第2ステム領域
の第1鎖に連結された第1ループ領域に連結された第1ステム領域の第1鎖に連結された
アンチコーディング領域を含むことができる。1以上のリンカーは、特定のプロジェクト
に必要な、1以上のループ内、及び1以上のステム領域内に配置される。
【0177】
Svoboda,P.et al.Cellular and Molecular
Life Sciences CMLS,April 2006,Volume 63,
Issue 7,pp 901-908,及びBikard,et al,Microb
iology And Molecular Biology Reviews,Dec
.2010,p.570-588,及びKari,et al,DNA Computi
ng Volume 3892 of the series Lecture Not
es in Computer Science pp 158-170,及びDoma
ratzki,Theory Comput Syst (2009)44:432-4
54,Brazda,et al,BMC Molecular Biology 20
11 12:33に記載されているような内部ループ、バルジ(bulges)、及び十
字構造が挙げられ、これらに限定されない多くの二次構造を組み込んだ多数のヘアピン三
次構造が可能であることは、当業者には理解されるであろう。このような二次構造及び三
次構造を組み込んだヘアピンオリゴ配列は、Sigma-Aldrich、Integr
ated DNA Technologies(アイオワ州コーラルビル)、Eurof
ins MWG(ケンタッキー州ルイビル)のような多くのDNA合成会社によって合成
されることが、当業者には理解されよう。リンカーを設置するための反応部位を有するか
、又はリンカー及び反応部位を有する修飾された塩基を、合成の過程でヘアピンの任意の
望ましい位置に配置することができることは理解されよう。より多くの二次構造及び/又
はより多くの情報を有するヘアピンは、より長いヌクレオチド配列を含む傾向があること
は、当業者には理解されるであろう。
【0178】
実施例4b:反応部位アダプター内に別のヘアピンを有するライブラリーを調製及び翻
訳する。
【0179】
実施例1に記載されたのと同じプロトコルを用いて、ヘアピンの多数の型が作製され、
様々な状況で使用される。反応部位アダプターのステム領域の配列は、ステム領域内又は
その近傍での切断を可能にする1以上の制限部位を含む。これらの部位での制限消化は、
固定標的への非常に強いバインダーの放出を可能にし、プライマーの適切なアニーリング
を可能にするループ領域の除去によるPCR増幅を促進する。他の情報もまた、反応部位
アダプターヘアピンDNAにコードされ得る。1つの例は、ループ領域に組み込まれた一
連の多様な塩基である。選択後に増幅される場合、これらの様々な塩基は、増幅バイアス
又は人工物のために選択が豊富なライブラリーメンバーを同定するのに役立つであろう。
別の例は、実施例7に記載されるようなインデックス配列のような分子の選択又は合成履
歴に関する情報を示す特定の配列である。ヘアピンはまた、蛍光標識された塩基又は塩基
類似体、放射性標識塩基又は塩基類似体を含み、ライブラリーとその合成又はパフォーマ
ンスのさまざまな側面を定量及び分析する。ヘアピンはまた、ビオチンのような処理を容
易にする官能基を有する塩基又は修飾された塩基を含むことができる。そのようなヘアピ
ンは、アイオワ州コーラルビルのIDT、Sigma Aldrich又はケンタッキー
州ルイビルのEurofins MWGのような特別なDNAオリゴの評判の良い業者か
ら購入することができる。
【0180】
実施例4c。反応部位アダプターを他の化学的性質を有する鋳型鎖に連結する。反応部
位アダプターを鋳型遺伝子の末端コード領域にアニールさせ、実施例1のようにT4 D
NAリガーゼで連結する。反応部位アダプターを共有結合的に結合する他の方法を使用す
ることができ、化学的又は酵素的方法が含まれる。荷電反応部位アダプターを、Shab
arova,et al.(1991)Nucleic Acids Research
,19,4247-4251),Fed-erova,et al.(1996)Nuc
leosides and Nucleotides,15,1137-1147,Gr
yaZnov,Sergei M.et al.J.Am.Chem.Soc,vol.
115:3808-3809(1993),及びCarriero and Damli
a(2003)Journal of Organic Chemistry,68,8
328-8338によって行われたように、水溶性カルボジイミド及び臭化シアンのよう
な試薬を用いて化学的手段により連結する。化学的ライゲーションは、pH7.6で1M
MES及び20mM MgClを含有する緩衝液中で5’リン酸化DNAを用いてア
セトニトリル中の5M臭化シアン、1:10v/v比で、任意で行われ、反応は0度、5
分で行われる。ライゲーションは、製造者のプロトコルを用いて、トポイソメラーゼ、ポ
リメラーゼ及びリガーゼによって行うこともできる。
【0181】
実施例5:一本鎖末端コード領域を有するライブラリーを調製し翻訳する。
【0182】
立体的なかさの低いライブラリーは、反応部位アダプターの末端コード領域からオリゴ
ヌクレオチドを除去して、末端コード領域及び任意でステム領域の全部又は一部を一本鎖
にすることによって調製される。これは、以下の例外を除いて、実施例1と全く同様に行
われる。デオキシウリジンは、アンチコード配列中の位置の提供された反応部位アダプタ
ー内、及びアンチコード領域の末端と最も近いリンカーとの間のステムの位置に組み込ま
れる。配列特異的ハイブリダイゼーション及び荷電反応部位アダプターの鋳型鎖へのライ
ゲーションの後、ライブラリーをNEBから1×UDG反応緩衝液に緩衝液交換し、ウラ
シル-DNAグリコシラーゼ(「UDG」)を20U/mlの濃度で添加し、製造業者の
プロトコルに従って37℃で30分間インキュベートした。続いて、pH12で95℃ま
で20分間加熱して、ヘアピンのアピリミジン部位を加水分解した。生成された小さなs
sDNAフラグメントを、65℃に保たれたバッファーを用いてサイズ排除することによ
って除去する。
【0183】
実施例5a。反応部位アダプターの末端コード領域からオリゴヌクレオチドを除去する
ことは、実施例1の実行中のいくつかの時点で任意に実施する。実施例5の手順を荷電反
応部位アダプターのライゲーション後であるが、第1の位置ビルディングブロックの追加
前に実施することを除いて、実施例1と全く同様にして、オリゴヌクレオチドを任意で除
去し得る。第1位置ビルディングブロックの添加後であるが、その後の任意の位置ビルデ
ィングブロックの添加の前に実施例5の手順が実施されることを除いて、実施例1と全く
同様にして、オリゴヌクレオチドを任意で除去することができる。オリゴヌクレオチドは
、実施例5の手順が全ての位置ビルディングブロックの添加後に実施されることを除いて
、実施例1と全く同様に、任意で除去することができる。所望の位置でDNA鎖を切断す
る作業は多くの方法で達成され、この作業を容易にする多数の商業的に入手可能な酵素及
び公開されたプロトコルが存在することは、当業者には理解されると思われ、例えば、N
ew England Biolabsは、少なくとも10個のニッキングエンドヌクレ
アーゼを販売し、それらの使用のためのプロトコルを公表する。ここに示した特定の例は
例示的なものであり、末端コード領域及び任意でヘアピン一本鎖の一部を作製する作業を
達成する他の方法を排除するものではない。
【0184】
実施例6a:UDGを用いて5’末端非コード領域を除去する。
【0185】
実施例1の5’末端非コード領域を除去するために使用される制限消化を排除し、UD
Gでの処理及びその後のアピリミジン部位のアルカリ加水分解によって置き換えた。ライ
ブラリーは実施例1と全く同様に調製されるが、逆転写をプライミングするオリゴが、プ
ライマーの3’末端又はその近くのdU塩基を取り込む。逆転写及びRNA鎖の塩基加水
分解の後、UDGはウラシルを除去して、荷電反応部位アダプターのライゲーションの準
備ができている末端コード領域を産生する熱及びアルカリ(UDG及び反応条件の使用に
ついては実施例5参照)によって後に切断されるアピリミジン部位を作製することができ
る。所望の位置でDNAの一本鎖又は二本鎖を切断する多数の方法があり、この作業を促
進する多数の市販の酵素及び公開されたプロトコルが存在することは、当業者には理解さ
れるであろう。ここに示した具体例は例示であり、5’末端非コード領域を除去する作業
を達成する他の方法を排除するものではない。
【0186】
実施例6b:制限酵素NdeIを用いて5’末端非コード領域又は3’末端非コード領
域を除去する。
【0187】
5’末端コード領域若しくは3’末端コード領域、又はその両方を除去するために使用
される制限消化は、末端非コード領域にNdeIの認識部位を含めること、及び逆転写工
程の後に制限消化を行うことによって達成される。NdeIには、RNA/DNAハイブ
リッドを切断する機能と、一本鎖DNAを切断する機能がある。従って、NdeIは、R
NA鎖の塩基加水分解の前若しくは後のいずれか、又はその両方で切断するために使用さ
れる。
【0188】
実施例6c:逆転写プライマーのRNA塩基を用いて5’末端非コード領域を除去する
。5’末端非コード領域は、「RNAをDNAに逆転写する」工程に使用されるプライマ
ーがRNA塩基を含むことを除いて、実施例1の正確なプロトコルを用いて除去される。
実施例1のように逆転写産物のRNA鎖が加水分解されると、DNAプライマー中のRN
A塩基も加水分解され、RNA塩基の5’であるDNAプライマーの部分が除去される。
【0189】
実施例7:式(I)のインデックス分子。
【0190】
コード領域は、インデックス領域として使用するために残しておくか、又は追加する。
実施例1のようにライブラリーの調製及び翻訳の後、ライブラリーは、ハイブリダイゼー
ションアレイ上で、インデックスを付けるために確保されたコード領域によって分類され
る。このような選別によって生成されたサブプールは、異なる目的のために使用され、異
なる性質、異なる標的、又は異なる条件の同じ標的に対して選択される。異なる選択の産
物は、任意でPCRによって独立して増幅され、他のサブプールと再プールされ、実施例
1のように再翻訳される。
【0191】
実施例8a:遺伝子ライブラリーを別の方法で調製する。
【0192】
実施例1は、提供されたライブラリー遺伝子配列の全ての内部非コード領域での制限消
化とその後のライゲーションによって、全てのコドンのコンビナトリアル再集合を同時に
説明する。このプロセスは、任意で、同時にではなく段階的に実行される。全てのエンド
ヌクレアーゼの代わりに、単一の制限エンドヌクレアーゼが添加されていることを除いて
、実施例1の「全てのコドンを互いに脱結合させるために制限消化されたDNA」という
工程に見られるのと同じ反応条件が使用される。次に、実施例1の「コドンをコンビナト
リアル再集合して遺伝子ライブラリーを作製する」工程に見られるのと同じ反応条件を用
い、制限消化産物を一緒に再連結する。ライゲーション産物をアガロースゲル電気泳動で
精製し、PCRで増幅し、次の制限酵素で切断する。このプロセスは、遺伝子ライブラリ
ーが完成するまで繰り返す。
【0193】
実施例8b:別の方法で遺伝子ライブラリーを調製する。
【0194】
実施例1及び8aは、全ての内部非コード領域における制限消化とその後のライゲーシ
ョンによる全てのコドンのコンビナトリアル再集合を説明する。いくつかの実施形態では
、著しく低い複雑性を有する集団を生成するためのコドンの不完全なコンビナトリアル再
集合が有利であろう。そのような遺伝子ライブラリーは、実施例1に記載の96個の遺伝
子配列の混合物をいくつかのアリコートに分割することによって産生される。次いで、各
アリコートを、実施例1の「DNAを制限消化して全てのコドンを互いに脱結合させる」
工程、又は実施例8aに見られる反応条件を用いて、1-3の制限酵素の異なる組合せに
よって制限消化する。制限酵素の熱不活性化の後、独立した消化産物を、工程の実施例1
のプロトコルに従って再連結し、コドンをコンビナトリアル再集合して遺伝子ライブラリ
ーを作製する。生成物をプールし、アガロースゲル電気泳動により精製し、PCRにより
増幅し、残りのライブラリー調製及び翻訳及び選択を実施例1に従って行う。
【0195】
実施例8c:ライブラリーに対して遺伝子シャッフリング又は交差反応を実施する。実
施例1又は実施例8a又は実施例8bに記載のもののようなライブラリーを翻訳して選択
した後、遺伝子シャッフリングを行うことにより、ライブラリーに以前に存在しなかった
新しい子孫表現型が産生され、又は選択を生き抜いた表現型を再サンプリングする子孫表
現型が産出される。後の選択のライブラリーは、PCRによって増幅される。PCR産物
をいくつかのアリコートに分割し、各アリコートを実施例8に記載のプロトコル、又は任
意でステップの実施例1に記載したプロトコルに供する。DNAを制限消化して全てのコ
ドンをそれぞれ脱結合するし、コドンはコンビナトリアル再集合して遺伝子ライブラリー
を生成する。実施例1又は8bに記載されているように、消化/再結合生成物をプールし
、精製し、かつ増幅し、ライブラリー調製、翻訳及び選択のその後のラウンドを実施例1
に従って行う。
【0196】
実施例9:別の反応部位官能基及びリンカーを有するライブラリーを調製及び翻訳する
【0197】
遊離アミンからの異なる初期反応部位を用いるライブラリーは、いくつかの方法で作製
される。1つの方法は、既存の初期反応部位官能基を、所望の初期反応部位官能基を有す
る二官能性分子でキャップ(cap)することである。「反応部位アダプターを荷電する
」工程において、その工程に列挙されたペプチドカップリング反応条件を用いて、異なる
初期反応部位が所望される各反応部位アダプター、ペプチド結合が、カルボン酸及び所望
の初期反応部位官能基を有する二官能性化合物を伴う最初の反応部位官能基アミンに形成
されることを除いて、実施例1と全く同様にライブラリーを調製する。例えば、5-ヒド
ロキシペンタン酸を遊離アミンと反応させてペプチド結合を形成させ、ライブラリーを合
成するための初期反応部位としてヒドロキシル官能基を作ることができる。
【0198】
第2の方法は、他の所望の初期反応部位官能基の導入を可能にするか又は容易にする異
なる反応部位で修飾された異なる塩基を組み込むことである。かかる塩基の1つは、バー
ジニア州のGlen Researchによって販売されている5-エチニル-dU-C
Eホスホラミダイト(「エチニル-dU」)である。これは、アジド及び所望の初期反応
部位官能基を有する二官能性リンカー化合物で任意に修飾される。例えば、5-アジドペ
ンタン酸を、実施例25に見られる条件で「クリック」反応(Huisgen反応)でア
ルキニル部分と反応させ、最初の反応部位官能基としてカルボン酸を確立することができ
た。代表的であるが非包括的な別の例として、5-アジド1-ペンタナールは、「クリッ
ク」反応(Huisgen反応)においてアルキニル部分と反応して、初期反応部位官能
基としてアルデヒドを作ることができた。別の代表的な例として、4-アジド、1-ブロ
モメチルベンゼンを「クリック」反応(Huisgen反応)でアルキニル部分と反応さ
せて、初期反応部位官能基としてベンジルハライドを作ることができた。この塩基は、実
施例10~33から選択されたアルキンに適した化学的性質を用いたライブラリー合成の
ためのアルキニル初期反応部位として任意に使用される。望ましい初期反応部位としては
、アミン、アジド、カルボン酸、アルデヒド、アルケン、アクリロイル基、ベンジルハラ
イド、カルボニル基のα位のハロゲン化物、及び1,3-ジエンが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0199】
第3の方法は、反応部位アダプターヘアピンの合成の間に、リンカー及び初期反応部位
官能基の両方で修飾された塩基を組み込むことである。例えば、5’-ジメトキシトリチ
ル-N6-ベンゾイル-N8-[6-(トリフルオロアセチルアミノ)-ヘキサ-1-イ
ル]-8-アミノ-2’-デオキシアデノシン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,
N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(バージニア州スターリングのGlen R
esearchから購入したアミノ-修飾剤C6dAとも呼ばれる)を、ヘアピンの合成
中の極めて重要な位置で取り入れると、最初の反応部位官能基として遊離アミン、リンカ
ーとしてC6アルキル鎖を作り、5’-ジメトキシトリチル-N2-[6-(トリフルオ
ロアセチルアミノ)-ヘキサ-1-イル]-2’-デオキシグアノシン-3’-[(2-
シアノエチル)-(N,N-(ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(アミノ修飾剤C
6dGとも呼ばれ、バージニア州スターリングのGlen Researchから購入)
も取り入れるであろう。5’-ジメトキシトリチル-5-[3-メチル-アクリレート]
-2’-デオキシウリジン、3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル
)]-ホスホラミダイト(Carboxy dTとも呼ばれ、バージニア州スターリング
のGlen Researchから購入)を、ヘアピンの合成中の極めて重要な位置で取
り入れると、最初の反応部位官能基としてカルボン酸を、リンカーとして2炭素鎖を作る
であろう。5’-ジメトキシトリチル-5-[N-((9-フルオレニルメトキシカルボ
ニル)-アミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2’-デオキシウリジン,3’-[
(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Fmoc-
アミノ修飾剤C6dTとも呼ばれる、バージニア州スターリングのGlen Resea
rch)をヘアピンの合成中の極めて重要な位置で取り入れると、初期反応部位官能基と
してFmoc保護アミンを、リンカーとして6炭素鎖を作るであろう。5’-ジメトキシ
トリチル-5-(オクタ-1,7-ジニニル)-2’-デオキシウリジン,3’-[(2
-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(C8alkyn
e dTとも呼ばれる、Sterling VA Glen Research)をヘア
ピンの合成中の極めて重要な位置で取り入れると、最初の反応部位官能基としてアルキン
を、リンカーとして8炭素鎖を作るであろう。5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)
-5-[N-(6-(3-ベンゾイルチオプロパノイル)-アミノヘキシル)-3-アク
リルアミド]-2’デオキシウリジン,3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイ
ソプロピル)]-ホスホラミダイト(S-Bz-チオール修飾剤 C6-dTとも呼ばれ
る、バージニア州スターリングのGlen Research)をヘアピンの合成中の極
めて重要な位置で取り入れると、最初の反応部位官能基としてチオールを、リンカーとし
て14原子鎖を作るであろう。ヘアピンの合成中の極めて重要な位置にN4-TriGl
-アミノ 2’デオキシシチジン(独国ゲッティンゲンのIBA GmbHから)を組み
込むと、最初の反応部位官能基としてのアミン及びリンカーとして3-エチレングリコー
ル単位鎖を作るであろう。
【0200】
適切なリンカーは、(i)それらが共有結合してヘアピンをビルディングブロックにつ
なぎ、(ii)それらが式(I)の分子の合成又は使用において他の重要な機能を妨害し
ないという2つの重要な機能を果たす。したがって、いくつかの実施形態では、リンカー
はアルキル鎖又はPEG鎖であり、その理由は(a)それらが高度に可撓性であり、選択
中に標的分子にコード部分を適切かつ自由に提示すること、及び(b)それらが比較的化
学的に不活性であり、通常は式(I)の分子の合成中に副反応を起こさないからである。
全てではないが、ほとんどの作業を適切に行うために、リンカーは、約8PEG単位を超
える全長を含む必要はない。ライブラリーDNAを標的分子又は標的構造又は標的表面か
ら可能な限り遠くに保たなければならない選択を実施する場合、そのかなり長いリンカー
及び/又はペプチドαヘリックスのような相当に剛性のリンカーが有用で魅力的であろう
ことは、当業者には理解されるであろう。他の望ましいリンカーとしては、ポリグリシン
、ポリアラニン、又はポリペプチドが挙げられる。また、コード部分との結合に直交する
様式で、又はコード部分の結合に相補的な様式で式(I)の分子の結合に使用されるフル
オロフォア、放射性標識、又は官能的部分を組み込むリンカーも使用される。例えば、い
くつかの状況においてライブラリーを固定化するためにリンカーにビオチンを組み込むこ
とが必要な場合がある。同じ標的分子の第2の結合ポケットに結合することができるコー
ド部分の選択を行う手段として、既知のリガンドを標的分子の1つの結合ポケットに組み
込むことも有用な場合がある。
【0201】
ライブラリーは、異なる反応部位アダプター上の異なるリンカー及び異なる化学反応を
用いて任意に調製することができる。5’反応部位アダプター上の1つ又は複数のリンカ
ーは、1つのタイプのリンカー及び1つのタイプの反応部位官能基を有することができ、
3’反応部位アダプターは異なるリンカー及び同じ反応部位官能基を有するか、又は異な
るリンカー及び異なる反応部位官能基を有する。本明細書で命名されたリンカー及び官能
基のいずれも、もし位置ビルディングブロックのその後の導入に必要な化学的性質が、第
1ビルディングブロックD及び第2ビルディングブロックEの官能基に適合し、それらの
各々のヘアピン上の反応部位官能基と反応するのであれば、この実施例での使用に適切で
ある。
【0202】
この適合性は2つの様式を有する。第1の様式では、異なる化学的性質が反応部位アダ
プターを荷電させるために使用されるが、第1ビルディングブロックD及び第2ビルディ
ングブロックEの両方が、次の、又は後続の下流工程において同じ化学変換を受けること
ができる。第2の様式では、異なる化学的性質が反応部位アダプターを荷電させるために
使用され、異なる化学的性質が後続の下流工程に必要とされる。この第2の様式では、新
生5’コード部分上の官能基、5’末端用の次の位置ビルディングブロック上の官能基及
びそのカップリングに使用される化学的性質が、新生3’コード部分の上に存在する官能
基と非反応性であることが必要である。同様に、この第2の様式は、新生3’コード部分
上の官能基、3’末端用の次の位置ビルディングブロック上の官能基及びそのカップリン
グに使用される化学的性質が、新生5’コード部分に存在する官能基と非反応性であるこ
とが必要である。3’及び5’反応部位アダプター上の直交化学を用いてビルディングブ
ロックを導入する工程は、任意の順序で行うことができる。さらに、合成の所与の段階で
導入された多様なビルディングブロックの中で、いずれのビルディングブロックの導入も
行わないことが重要な多様性要素であることは、当業者には理解されるであろう。これら
のステップのための適切な化学的性質は、これらに限定されないが、実施例10~32及
び実施例1に記載の化学的性質を含む。
【0203】
実施例10:鈴木カップリング化学を用いてコード部分を合成する。
【0204】
反応サイトアダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディング
ブロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アリールヨウ化物を有
するDNAライブラリーを1mMの水に溶解する。これに、ジメチルアセトアミド中20
0mMストック溶液として50当量のボロン酸、200mM水溶液として300当量の炭
酸ナトリウム、20当量の3,3’,3’’ホスファントリイルトリス(ベンゼンスルホ
ン酸)三ナトリウム塩を100mM水溶液として予備混合したジメチルアセトアミド中の
10mMストック溶液として0.8当量の酢酸パラジウムを添加した。混合物を65℃で
1時間反応させ、エタノール沈殿により精製する。このDNAライブラリーを緩衝液に1
mMまで溶解し、400mM水溶液として硫化ナトリウム120当量を加え、65℃で1
時間反応させる。生成物をdHOで200μlに希釈し、イオン交換クロマトグラフィ
ーで精製する。(Gouliaev,A.H.,Franch,T.P.O.,Gods
kesen,M.A.,and Jensen,K.B.(2012)Bi-funct
ional Complexes and methods for making a
nd using such complexes.特許出願WO2011/12793
3A1を参照)。
【0205】
実施例11:薗頭カップリング化学を用いてコード部分を合成する。
【0206】
反応サイトアダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディング
ブロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アリールヨウ化物を有
するDNAライブラリーを1mMの水に溶解する。これにジメチルアセトアミド中の20
0mMストック溶液として100当量のアルキン、ジメチルアセトアミド中の200mM
ストック溶液として300当量のピロリジン、ジメチルアセトアミド中の10mMストッ
ク溶液として0.4当量の酢酸パラジウム、100mM水溶液として2当量の3,3’,
3’’ホスファントリイルトリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩を添加した。6
5℃で2時間反応させた後、エタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精
製する。((1)Liang,B.,Dai,M.,Chen,J.,and Yang
,Z.(2005)Cooper-free sonogashira couplin
g reaction with PdCl2 in water under aer
obic conditions.J.Org.Chem.70,391-393;(2
)Li,N.,Lim,R.K.V.,Edwardraja,S.,and Lin,
Q.(2011)Copper-free Sonogashira cross-co
upling for functionalization of alkyne e
ncoded proteins in aqueous medium and in
bacterial cells.J.Am.Chem.Soc.133,15316
-15319;(3)Marziale,A.N.,Schliiter,J.,and
Eppinger,J.(2011)An efficient protocol
for copper-free palladium-catalyzed Sono
gashira crosscoupling in aqueous media a
t low temperatures.Tetrahedron Lett.52,6
355-6358;(4)Kanan,M.W.,Rozenman,M.M.,Sak
urai,K.,Snyder,T.M.,and Liu,D.R.(2004)Re
action discovery enabled by DNA-template
d synthesis and in vitro selection.Natur
e 431,545-549を参照)。
【0207】
実施例12:カルバミル化を用いてコード部分を合成する。
【0208】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子の何れかとして、アミンを有するDNAライ
ブラリーを1mMの水に溶解する。これに、1:4v/vトリエチルアミン、ジメチルア
セトアミド中の200mMストック溶液として50当量のジ-2-ピリジルカーボネート
を添加する。室温で2時間反応させた後、ジメチルアセトアミド中の200mMストック
溶液としてのアミン40当量を室温で2時間加える。生成物をエタノール沈殿又はイオン
交換クロマトグラフィーにより精製する。((1)Artuso,E.,Degani,
I.,and Fochi,R.(2007)Preparation of mono
-,di-,and trisubstituted ureas by carbon
ylation of aliphatic amines with S,S-dim
ethyl dithiocarbonate.Synthesis 22,3497-
3506;(2)Franch,T.,Lundorf,M.D.,Jacobsen,
S.N.,Olsen,E.K.,Andersen,A.L.,Holtmann,A
.,Hansen,A.H.,Sorensen,A.M.,Goldbech,A.,
De Leon,D.,et al.Enzymatic encoding meth
ods for efficient synthesis of large lib
raries.WIPO WO2007/062664 A2、2007を参照)。
【0209】
実施例13:チオウレーション(thioureation)を用いてコード部分を合
成する。
【0210】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子の何れかとして、アミンを有するDNAライ
ブラリーを1mMの水に溶解する。これにジメチルアセトアミド中の200mMストック
溶液として20当量の2-ピリジルチオノカーボネートを室温で30分間添加する。次い
で、40当量のアミンを室温でジメチルアセトアミド中の200mMストック溶液として
添加し、ゆっくりと60μCに温め、18時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又は
イオン交換クロマトグラフィーにより精製する。(Deprez-Poulain,R.
F.,Charton,J.,Leroux,V.,and Deprez,B.P.(
2007)Convenient synthesis of 4H-l,2,4-tr
iazole-3-thiols using di-2-pyridylthiono
carbonate.Tetrahedron Lett.48,8157-8162を
参照)。
【0211】
実施例14:アミンの還元的モノアルキル化を用いてコード部分を合成する。
【0212】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アミンを有するDNAラ
イブラリーを1mMの水に溶解する。これにジメチルアセトアミド中の200mMストッ
クとして40当量のアルデヒドを加え、室温で1時間反応させる。次いで、40当量の水
素化ホウ素ナトリウムをアセトニトリル中の200mMのストック溶液として加え、室温
で1時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより
精製する。(Abdel-Magid,A.F.,Carson,K.G.,Harri
s,B.D.,Maryanoff,C.A.,and Shah,R.D.(1996
)Reductive amination of aldehydes and ke
tones with sodium triacetoxyborohydride.
J.Org.Chem.61,3849-3862を参照)。
【0213】
実施例15:ヘテロアリール化合物と共にSNArを用いてコード部分を合成する。
【0214】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アミンを有するDNAラ
イブラリーを1mMの水に溶解する。それにジメチルアセトアミド中の200mMストッ
クとして60当量のハロゲン化ヘテロアリールを加え、60℃で12時間反応させた。生
成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。(Fran
ch,T.,Lundorf,M.D.,Jacobsen,S.N.,Olsen,E
.K.,Andersen,A.L.,Holtmann,A.,Hansen,A.H
.,Sorensen,A.M.,Goldbech,A.,De Leon,D.,e
t al.Enzymatic encoding methods for effi
cient synthesis of large libraries.WIPO
WO 2007/062664 A2,2007を参照)。
【0215】
実施例16:Horner-Wadsworth-Emmons化学を用いてコード部
分を合成する。
【0216】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アルデヒドを有するDN
Aライブラリーを、1mMのpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにジメチルアセ
トアミド中の200mMストックとして50当量のエチル2-(ジエトキシホスホリル)
アセテート、及び200mM水溶液として50当量の炭酸セシウムを添加し、室温で16
時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製
する。(Manocci,L.,Leimbacher,M.,Wichert,M.,
Scheuermann,J.,and Neri,D.(2011)20 years
of DNA-encoded chemical libraries.Chem.
Commun.47,12747-12753を参照)。
【0217】
実施例17:スルホニル化を用いてコード部分を合成する。
【0218】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子の何れかとして、アミンを有するDNAライ
ブラリーを、1mMのpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにジメチルアセトアミ
ド中の200mMストック溶液として40当量の塩化スルホニルを加え、室温で16時間
反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する
。(Franch,T.,Lundorf,M.D.,Jacobsen,S.N.,O
lsen,E.K.,Andersen,A.L.,Holtmann,A.,Hans
en,A.H.,Sorensen,A.M.,Goldbech,A.,De Leo
n,D.,et al.Enzymatic encoding methods fo
r efficient synthesis of large libraries
.WIPO WO2007/062664 A2、2007を参照)。
【0219】
実施例18:トリクロロ-ニトロ-ピリミジンを用いてコード部分を合成する。
【0220】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、アミンを有するDNAライブラリー
を、1mMのpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにジメチルアセトアミド中の2
00mMストック溶液としてトリクロロ-ニトロ-ピリミジン(TCNP)20当量を5
℃で添加する。反応物を室温まで1時間かけて加温し、エタノール沈殿により精製する。
DNAライブラリーをホウ酸塩緩衝液pH9.4中に1mMで溶解し、40当量のアミン
をジメチルアセトアミド中の200mMストック溶液、100当量の純粋なトリエチルア
ミンを加え、室温で2時間反応させる。ライブラリーをエタノール沈殿により精製する。
DNAライブラリーは、直ちに反応させるためにホウ酸塩緩衝液に直ちに溶解するか、プ
ールし、アレイ上で再選別し、次いでホウ酸緩衝液に溶解し、ジメチルアセトアミド中の
200mMストックとして50当量のアミン及び100当量のトリエチルアミンと反応さ
せ、室温で24時間反応させた。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフ
ィーにより精製する。(Roughley, S. D., and Jordan,
A. M. (2011) The medicinal chemist’s too
lbox: an analysis of reactions used in t
he pursuit of drug candidates. J. Med. C
hem. 54, 3451-3479を参照)。
【0221】
実施例19:トリクロロピリミジンを用いてコード部分を合成する。
【0222】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アミンを有するDNAラ
イブラリーを、1mMのpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにDMA中200m
Mのストックとして50当量の2,4,6トリクロロピリミジンを添加し、室温で3.5
時間反応させる。DNAをエタノール中で沈殿させ、次いでpH9.4のホウ酸緩衝液に
1mMで再溶解する。これに、200mMアセトニトリルストックとして40当量のアミ
ンを加え、60~80℃で16時間反応させる。生成物をエタノール沈殿により精製し、
次いでDNAライブラリーを即時反応のために直ちにホウ酸緩衝液に溶解させるか、又は
プールし、アレイ上で再選別した後、ホウ酸緩衝液に溶解し、ジメチルアセトアミド(D
MA)中の200mMストックとしての60当量のボロン酸及び500mM水溶液として
の200当量の水酸化ナトリウム、10mM DMAストックとしての2当量の酢酸パラ
ジウム及び100mM水溶液としての20当量のトリス(3-スルホフェニル)ホスフィ
ントリナトリウム塩(TPPTS)と反応させ、75℃で3時間反応させた。DNAをエ
タノール中で沈殿させ、次いで1mMの水に溶解し、水中400mMのストックとして1
20mMの硫化ナトリウムと65℃で1時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイ
オン交換クロマトグラフィーによって精製する。
【0223】
実施例20:Boc-脱保護を用いてコード部分を合成する。
【0224】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、Boc保護アミンを有するDNAラ
イブラリーを、pH9.4のホウ酸塩緩衝液に0.5mMで溶解し、90℃で16時間加
熱した。生成物をエタノール沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオン交換クロマ
トグラフィーにより精製する。(Franch,T.,Lundorf,M.D.,Ja
cobsen,S.N.,Olsen,E.K.,Andersen,A.L.,Hol
tmann,A.,Hansen,A.H.,Sorensen,A.M.,Goldb
ech,A.,De Leon,D.,et al.Enzymatic encodi
ng methods for efficient synthesis of la
rge libraries.WO2007/062664A2,2007を参照。)
【0225】
実施例21:t-ブチルエステルの加水分解を用いてコード部分を合成する。
【0226】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、t-ブチルエステルを有するDNA
ライブラリーを、1mMのホウ酸緩衝液に溶解し、80℃で2時間反応させる。生成物を
エタノール沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーによ
り精製する。(Franch,T.,Lundorf,M.D.,Jacobsen,S
.N.,Olsen,E.K.,Andersen,A.L.,Holtmann,A.
,Hansen,A.H.,Sorensen,A.M.,Goldbech,A.,D
e Leon,D.,et al.Enzymatic encoding metho
ds for efficient synthesis of large libr
aries.WIPO WO2007/062664A2,2007を参照。)
【0227】
実施例22:Alloc-脱保護を用いてコードされた部分を合成する。
【0228】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、Alloc保護アミンを有するDN
Aライブラリーを、pH9.4のホウ酸塩緩衝液に1mMで溶解する。これに10mMの
DMAストックとして10当量のパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、200
mMアセトニトリルストックとして10当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加し、室温で
2時間反応させた。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精
製する。(Beugelmans,R.,Neuville,M.B.-C,Chast
anet,J.,and Zhu,J.(1995)PalladiμM cataly
zed reductive deprotection of Alloc:Tran
sprotection and peptide bond formation.T
etrahedron Lett.36,3129を参照)
【0229】
実施例23:メチル/エチルエステルの加水分解を用いてコード部分を合成する。
【0230】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、メチル又はエチルエステルを有する
DNAライブラリーを、1mMのホウ酸緩衝液に溶解し、100当量のNaOHと60℃
で2時間反応させた。生成物をエタノール沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオ
ン交換クロマトグラフィーにより精製する。(Franch,T.,Lundorf,M
.D.,Jacobsen,S.N.,Olsen,E.K.,Andersen,A.
L.,Holtmann,A.,Hansen,A.H.,Sorensen,A.M.
,Goldbech,A.,De Leon,D.,et al.Enzymatic
encoding methods for efficient synthesis
of large libraries.WIPO WO2007/062664 A
2、2007を参照)
【0231】
実施例24:ニトロ基の還元を用いてコード部分を合成する。
【0232】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、ニトロ基を有するDNAライブラリ
ーを1mMの水に溶解した。これに10%体積当量のラネーニッケルスラリー、10%体
積当量のヒドラジンを400mM水溶液として添加し、室温で2~24時間振盪しながら
反応させた。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する
。(Balcom,D.,and Furst,A.(1953)Reductions
with hydrazine hydrate catalyzed by Ran
ey nickel.J.Am.Chem.Soc.76,4334-4334を参照)
【0233】
実施例25:「クリック」化学を用いてコード部分を合成する。
【0234】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、アルキン又はアジド基を有するDN
Aライブラリーを、100mMリン酸緩衝液1mMに溶解する。これに硫酸銅を625μ
M、THPTA(リガンド)を3.1mM、アミノ-グアニジンを12.5mM、アスコ
ルビン酸を12.5mM、及びアジドを1mM(DNAがアルキンを有する場合)又はア
ルキンを1mM(DNAがアジドを有する場合)添加する。反応を室温で4時間行う。生
成物をエタノール沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィ
ーにより精製する。(Hong,V.,Presolski,Stanislav I.
,Ma,C.and Finn,M.G.(2009),Analysis and O
ptimization of Copper-Catalyzed Azide- A
lkyne Cycloaddition for Bioconjugation.A
ngewandte Chemie International Edition,4
8:9879-9883を参照)。
【0235】
実施例26:ベンズイミダゾールを組み込んだコード部分を合成する。
【0236】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、アリールビシナルジアミンを有する
DNAライブラリーを、pH9.4のホウ酸緩衝液に1mMで溶解する。これに、200
mMのDMAストックとして60当量のアルデヒドを添加し、60℃で18時間反応させ
た。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する。((1
)Mandal,P.,Berger,S.B.,Pillay,S.,Moriwak
i,K.,Huang,C,Guo,H.,Lich,J.D.,Finger,J,K
asparcova,V.,Votta,B.,et al.(2014)RIP3 i
nduces apoptosis independent of pronecro
tic kinase activity.Mol.Cell 56,481-495;
(2)Gouliaev,A.H.,Franch,T.P.-O.,Godskese
n,M.A.,and Jensen,K.B.(2012)Bi-functiona
l Complexes and methods for making and u
sing such complexes.特許出願WO2011/127933 Al
;(3)Mukhopadhyay,C,and Tapaswi,P.K.(2008
)Dowex 50W:A highly efficient and recycl
able green catalyst for the construction
of the 2-substituted benzimidazole moie
ty in aqueous medium.Catal.Commun.9,2392
-2394を参照)。
【0237】
実施例27:イミダゾリジノンを組み込んだコード部分を合成する。
【0238】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、アルファ-アミノ-アミドを有する
DNAライブラリーを、pH9.4の1:3のメタノール:ホウ酸緩衝液に1mMで溶解
する。これに200mMのDMAストックとして60当量のアルデヒドを添加し、60℃
で18時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーによ
り精製する。((1)Barrow,J.C,Rittle,K.E.,Ngo,P.L
.,Selnick,H.G,Graham,S.L.,Pitzenberger,S
.M.,McGaughey,G.B.,Colussi,D.,Lai,M.-T.,
Huang,Q.,et al.(2007)Design and synthesi
s of 2,3,5-substituted imidazolidin-4-on
e inhibitors of BACE-1.Chem.Med.Chem.2,9
95-999;(2)Wang,X.-J,Frutos,R.P.,Zhang,L.
,Sun,X.,Xu,Y.,Wirth,T.,Nicola,T.,Nummy,L
.J,Krishnamurthy,D.,Busacca,C.A.,Yee,N.,
and Senanayake,C.H.(2011)Asymmetric synt
hesis of LFA-1 inhibitor BIRT2584 on met
ric ton scale.Org.Process Res.Dev.15,118
5-1191;(3)Blass,B.E.,Janusz,J.M.,Wu,S.,R
idgeway,J.M.II,Coburn,K.,Lee,W.,Fluxe,A.
J.,White,R.E.,Jackson,C.M.,and Fairweath
er,N.4-Imidazolidinones as KV 1.5 Potass
ium channel inhibitors.WIPO WO2009/07962
4 A1、2009を参照)。
【0239】
実施例28:キナゾリノンを組み込んだコード部分を合成する。
【0240】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、2-アニリノ-1-ベンズアミドを
有するDNAライブラリーを、pH9.4のホウ酸緩衝液に1mMで溶解する。これに、
水中1M溶液として200当量NaOH、及びDMA中200mMストック溶液としてア
ルデヒドを添加し、90℃で14時間反応させる。生成物をエタノール沈殿又はイオン交
換クロマトグラフィーにより精製する。(Witt,A.,and Bergmann,
J.(2000)Synthesis and reactions of some
2-vinyl-3H-quinazolin-4-ones.Tetrahedron
56,7245-7253を参照)。
【0241】
実施例29:イソインドリノンを組み込んだコード部分を合成する。
【0242】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、アミンを有するDNAライブラリー
を、1mMのpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにDMA中の200mMストッ
ク溶液として4-ブロモ,2-エンメチルエステルを添加し、60℃で2時間反応させる
。生成物をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する。(Cha
uleta,C,Croixa,C,Alagillea,D.,Normand,S.
,Delwailb,A.,Favotb,L.,Lecronb,J.-C,and
Viaud-Massuarda,M.C.(2011)Design,synthes
is and biological evaluation of new thal
idomide analogues as TNF-α and IL-6 prod
uction inhibitors.Bioorg.Med.Chem.Lett.2
1,1019-1022を参照)。
【0243】
実施例30:チアゾールを組み込んだコード部分を合成する。
【0244】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子として、チオ尿素を有するDNAライブラリ
ーを、1mMでpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これにDMA中200mMストッ
クとして50当量のブロモケトンを添加し、室温で24時間反応させる。生成物をエタノ
ール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する。(Potewar, T.
M., Ingale, S. A., and Srinivasan, K. V
. (2008) Catalyst-free efficient synthes
is of 2-aminothiazoles in water at ambie
nt temperature. Tetrahedron 64,5019-5022
を参照)
【0245】
実施例31:イミダゾピリジンを組み込んだコード部分を合成する。
【0246】
反応部位アダプター上の反応部位として、荷電反応部位アダプター上のビルディングブ
ロックとして、又は部分的に翻訳された分子のいずれかとして、アリールアルデヒドを有
するDNAライブラリーを、1mMでpH9.4のホウ酸緩衝液に溶解する。これに、D
MA中の200mMストック溶液として50当量の2-アミノピリジンを添加し、かつ1
M水溶液として2500当量のNaCNを添加し、90℃で10時間反応させる。生成物
をエタノール沈殿又はイオン交換クロマトグラフィーにより精製する。((1)Alex
ander Lee Satz,Jianping Cai,Yi Chen,Robe
rt Goodnow,Felix Gruber,Agnieszka Kowalc
zyk,Ann Petersen,Goli Naderi-Oboodi,Lucj
a Orzechowski,and Quentin Strebel.DNA Co
mpatible Multistep Synthesis and Applica
tions to DNA Encoded Libraries Bioconjug
ate Chemistry 2015 26(8),1623-1632;(2)Be
atch,G.N.,Liu,Y.,and Plouvier,B.M.C.PCT
Int. Appl.2001096335,Dec 20,2001;(3)Ingl
is,S.R,Jones,R.K.,Booker,G.W.,and Pyke,S
.M.(2006)Synthesis of N-benzylated-2-ami
noquinolines as ligands for the Tec SH3
domain.Bioorg.Med.Chem.Lett.16,387-390を参
照)。
【0247】
実施例32:様々な他の化学的性質を用いてコードされた部分を合成する。
【0248】
適合する化学反応の31のタイプが、Handbook for DNA-Encod
ed Chemistry(Goodnow R.A.,Jr.,Ed.)pp 319
-347,2014 Wiley,New Yorkに記載されている。これらには、ト
リクロロトリアジンのSNAr反応、グリオキサール化合物へのジオール酸化、Msec
脱保護、Ns脱保護、Nvoc脱保護、ペンテノイル脱保護、インドール-スチレンカッ
プリング、ディールス・アルダー反応、ウィッティヒ反応、マイケル付加、ヘック反応、
ヘンリー反応、カッセイアルケンを有するニトロン1,3-双極性付加環化、オキサゾリ
ジンの形成、トリフルオロアセトアミド脱保護、アルケン-アルキン酸化カップリング、
閉環メタセシス及びアルドール反応が挙げられる。DNAの存在下で作用する可能性を有
し、使用に適切である他の反応がこの参考文献に掲載されている。
【0249】
実施例33:ライブラリー調製において異なる制限酵素を使用する。
他の実施例に挙げられた制限酵素が代表的であり、他の制限酵素も安定又は利点をもっ
て同じ目的を果たし得ることは理解されるであろう。
【0250】
実施例34.遺伝子ライブラリーを調製する別の方法。約4~約40ヌクレオチドのコ
ード領域を有するライブラリーが調製される。以下の例外を除いて、ライブラリーは実施
例1に従って調製及び翻訳される。ライブラリーは、2組のオリゴ、オリゴのコード鎖セ
ット及びオリゴのアンチコード鎖セットを購入することによって構築される。各セットは
、コード領域が存在するのと同数のサブセットを含み、コード領域に異なるコード配列が
あるのと同数の異なる配列が各サブセットにある。コード鎖オリゴの各サブセットにおけ
る各オリゴは、コード配列及び任意で5’非コード領域を含む。アンチコード鎖オリゴの
各サブセットにおける各オリゴは、アンチコード配列及び任意で5’非コード領域相補体
を含む。このプロセスの下流でのライゲーションを容易にするために、コード鎖及びアン
チコード鎖の5’末端のオリゴを除く全てのオリゴを5’リン酸化反応で購入するか、又
は製造業者のプロトコルに従ってNEBからT4 PNKでリン酸化する。コード鎖5’
末端コード配列を有するオリゴのサブセットは、3’末端アンチコード配列を有するサブ
セットを有するNEB由来のT4 DNA Liagse緩衝液中で組み合わされ、2つ
のセットはハイブリダイズされる。これにより、コード鎖上の一本鎖5’オーバーハング
非コード領域、二本鎖コード領域、及び非コード鎖上の任意の一本鎖5’オーバーハング
非コード領域を含む生成物が生成される。このハイブリダイゼーション手順は、オリゴサ
ブセットの各コード/非コード対について別々に実施される。例えば、5’末端から第2
のコード領域をコードする配列のサブセットは、その相補的非コードサブセット、5’末
端から第3のコード領域をコードするサブセット及びその相補的サブセット等とハイブリ
ダイズする。ハイブリダイズしたサブセット対をプールし、任意でアガロースゲル電気泳
動により精製する。ライブラリー中の遺伝子が長さが1塩基以上の非コード領域を有し、
かつ、コード領域間の非コード領域が固有である場合、各ハイブリダイズしたサブセット
対の等モル量を単一の容器に加える。一本鎖非コード領域はハイブリダイズし、製造者の
プロトコルを用いてNEBのT4 DNAリガーゼによって互いに連結される。非コード
領域が1塩基以上の長さであるが固有でない場合、2つの隣接するハイブリダイズしたサ
ブセットを1つの容器に加え、一本鎖非コード領域をアニーリングし、T4 DNAリガ
ーゼで連結する。反応が完了すると、生産物はアガロースゲル電気泳動により任意に精製
され、連結産物の末端の1つに隣接する第3のハイブリダイズされたサブセットが添加さ
れ、アニーリングされ、連結される。このプロセスは、ライブラリーの構築が完了するま
で繰り返される。任意の数のコード領域を含むライブラリーがこの方法によって構築され
ることは理解されるであろう。現在の目的のために、20を超えるコード領域のライブラ
リーは、ライブラリー構築とは無関係の理由で実用的でないかもしれない。平滑ライゲー
ションは当業者によって一般的に行われ、そしてコード領域は介在非コード領域なしで連
結するが、どちらか一方の端に非コード領域を持たないハイブリダイズされたサブセット
の場合、ライゲーションはセンス及びアンチセンス生産物の両方を提供する。正しいセン
スを有する生産物は、ライブラリーを調製し、それをすべてのハイブリダイゼーションア
レイ上で順次ソートすることによって、アンチセンスを有する産物から精製される。各ハ
イブリダイゼーション工程でアレイ上に捕捉されるライブラリーの部分は、正しいセンス
を有する。固有の制限部位配列のみからなる非コード領域がこの方法の魅力的な選択肢で
あることは理解されよう。
【0251】
実施例34.対応する末端コード領域を有する遺伝子ライブラリーを構築する。5’末
端コード領域及び3’末端コード領域が同じビルディングブロック又は異なるビルディン
グブロックの同じ対をコードするライブラリーが構築される。これは、所与の5’末端コ
ード配列を有する遺伝子ライブラリーの各メンバーが1つの3’末端コード配列のみを有
する場合に達成される。そのようなライブラリーは、5’末端コード領域のハイブリダイ
ズされたサブセット対がプールされず、かつ3’末端コード領域がプールされないことを
除いて、実施例33の方法を用いて構築される。全ての内部コード領域をプールし、実施
例33のようにライゲートする。すべての内部コード領域をライゲーションした産物をア
リコートに分割し、1つのアリコートを各5’末端ハイブリダイズサブセット配列に加え
、ライゲーションする。各ウェルのライゲーション産物は、すべての内部コード領域にお
いてすべての配列のコンビナトリアル混合物を除いて、単一の5’末端コード配列を有す
る。単一の5’末端コード配列を有するこれらのライゲーション産物は、単一の3’末端
ハイブリダイズサブセット配列を含むウェルに独立して移され、連結される。各ウェルの
産物は、単一の5’末端コード配列、単一の3’末端コード配列、及びすべての内部コー
ド領域におけるすべての配列のコンビナトリアル混合物を含む遺伝子である。同一の合成
ライブラリーを作製する他の方法があることは理解されよう。
【0252】
実施例35.代替手段を用いて標的分子に結合するための選択を行う。標的分子を結合
可能なライブラリーメンバーを同定するための選択は、標的分子がIMMULON(登録
商標)プレート、MAXISORP(登録商標)プレート又はELISAのための生物学
的高分子を固定化するために一般的に使用される他のプレートのようなプラスチックプレ
ートの表面上に固定化される以外は実施例1のように実施され、又は標的分子をビオチン
化し、ストレプトアビジン被覆表面若しくはニュートラビジン被覆表面、若しくは磁気ビ
ーズ、合成ポリマー製のビーズ、多糖類若しくは修飾多糖類製のビーズ、プレートウェル
、チューブ、及び樹脂等のアビジン被覆表面上に固定化する。所望の形質を有するライブ
ラリーメンバーを同定するための選択は、DNAに適合性があり、任意の標的分子を未変
性コンホメーションに保持する適合性があり、選択又は増幅プロセスで使用される任意の
酵素と適合性があり、かつ形質陽性ライブラリーメンバーの同定に適合性がある緩衝液中
で行われる。そのような緩衝液としては、リン酸塩、クエン酸塩、及びTRISで作製さ
れた緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。そのような緩衝剤はまた、カリウム
塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及び他のカチオンの
塩、並びに塩化物、ヨウ化物、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩及び他のアニオンの塩を含
むことができるが、これらに限定されない。そのような緩衝剤には、TWEEN(登録商
標)、TRITON(商標)、及びChaps(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチ
ルアンモニオ]-1-プロパンスルホネートのような)界面活性剤が含まれ得るが、これ
らに限定されない。
【0253】
実施例36.長時間のオフレートを有するバインダーの選択。選択を実施して、実施例
1に記載のように標的分子に結合する能力を有するライブラリー集団の個体を同定する。
長いオフレートで標的分子に結合する個体は以下のように選択される。標的分子は、ビオ
チン化され、かつストレプトアビジン被覆表面とインキュベートされることで固定するか
、又はMAXISORP(登録商標)プレート若しくはELISAのようなアッセイのた
めのタンパク質結合に適した他のプレートのようなプラスチック表面上のビオチン化なし
に任意で固定するか、又は実施例35に記載の方法、又は別の方法で固定する。ライブラ
リー集団を、適切な緩衝液中で固定された標的と共に0.1~8時間インキュベートする
。インキュベーションの持続時間は、サンプル中の個々のライブラリーメンバーの推定コ
ピー数及び固定された標的分子の数に依存する。個体のコピー数が増加し、標的分子の負
荷が高くなると、持続時間が減少する可能性がある。より小さなコピー数及び/又はより
小さい標的分子の負荷では、持続時間が延びる可能性がある。目的は、集団の各個体が標
的と完全に相互作用する機会を確保することである。ライブラリーを固定された標的とイ
ンキュベートした後、ライブラリー中のバインダーは標的に結合していると推定される。
この時点で、過剰の非固定標的を系に加え、インキュベーションを約1~約24時間続け
る。短いオフレートを有する固定された標的に結合した個体は、固定された標的から遊離
し、再結合すると遊離の標的及び不動の標的に結合されるように分配する。長いオフレー
トで結合する個体は、固定された標的に結合したままである。固定化表面を洗浄すること
により、速い解離速度で非バインダー及びバインダーが選択的に除去され、従って長いオ
フレートを有する個体を選択する。長いオフレートバインダーをコードするDNAの増幅
は、実施例1に従って行われる。
【0254】
実施例37.移動標的を用いた選択。標的分子をビオチン化し、次いで適切な期間、ラ
イブラリーと共にインキュベートする選択を行う。次いで、混合物を例えばストレプトア
ビジン表面上に固定化すると、標的が固定化され、標的に結合したいずれのライブラリー
メンバーも同様に固定化される。表面を洗浄することにより、非バインダーが除去される
。バインダーをコードするDNAの増幅は、実施例1に従って行われる。
【0255】
実施例38.標的特異性の選択。選択は、他の抗標的分子を除いて、所望の標的分子に
結合するライブラリー集団の個体を同定するために行われる。抗標的分子(molecu
le)(又は複数存在する場合にはmolecules)はビオチン化され、ストレプト
アビジンで被覆された表面上に固定されるか、又はMAXISORP(登録商標)プレー
ト若しくはELISAのようなアッセイのためのタンパク質結合に適したいくつかの他の
プレートのようなプラスチック表面上に任意で固定される。別の容器で、標的分子をビオ
チン化し、ストレプトアビジン被覆された表面でインキュベートすることによって固定す
るか、又はMAXISORP(登録商標)プレート若しくはELISAのようなアッセイ
のためのタンパク質結合に適したいくつかの他のプレートのようなプラスチック表面に任
意に固定する。ライブラリーを最初に抗標的とインキュベートする。これは、抗標的分子
に結合する個体の集団を激減させる。抗標的とのこのインキュベーションの後、ライブラ
リーを所望の標的を有する容器に移し、適切な期間インキュベートする。洗浄により非バ
インダーを除去する。長いオフレートのバインダーをコードするDNAの増幅は、実施例
1に従って行われる。同定された標的バインダーは、標的を抗標的に選択的に結合する改
善された確率を有する。任意で、標的に対する親和性の選択は、標的を固定化し、遊離の
可動性の抗標的を過剰に加え、次いでライブラリーを添加し、適切な期間インキュベート
することによって実施される。この状況の下では、抗標的に親和性を有する個体は、それ
が過剰に存在するので、抗標的によって優先的に結合され、従って表面の洗浄中に除去さ
れ得る。バインダーをコードするDNAの増幅は、実施例1に従って行われる。
【0256】
実施例39:微分移動度に基づく選択。選択は、標的分子又は多高分子(polymac
romolecular)構造がライブラリーメンバーと相互作用している場合に形成さ
れた複合体中のライブラリーメンバーの移動度の差に基づいて、標的分子又は多高分子構
造と相互作用するライブラリー集団における個体の能力に基づいて行われる。標的分子又
は構造とライブラリーメンバーとの相互作用を可能にし、次いで混合物をサイズ排除培地
に通すことにより、標的分子又は構造と相互作用していないライブラリーメンバーが、相
互作用しているライブラリーメンバーから物理的に分離される。その理由は、相互作用す
るライブラリーメンバー及び標的分子又は構造の複合体は、非相互作用ライブラリーメン
バーよりも大きくなり、故に、異なる移動性を有する媒体を通って移動するからである。
移動度の差は、サイズ排除培地の非存在下での拡散の関数であり、移動度は、重力流、電
気泳動及び拡散等が挙げられるが、これに限定されない様々な手段によって誘導され得る
ことが理解される。
【0257】
実施例40.他の選択のための一般的な戦略。アッセイが、(a)ライブラリー集団に
おいて、所望の特性を有する個体を、それを所有しない個体から物理的に分離するか、又
は(b)所望の特性を有するライブラリー集団の個体をコードするDNAを、その特性を
持たないライブラリーメンバーをコードするDNAよりも優先的に増幅させるか、どちら
か一方のように設計されていれば、選択がほとんどすべての特性について行われることが
当業者に理解されるであろう。標的分子を固定する多くの方法が当業者に公知であり、標
的分子をHisタグでタグ付けしニッケル表面に固定すること、標的分子をフラッグタグ
でタグ付けしアンチフラッグ抗体で固定すること、又は標的分子をリンカーでタグ付けし
、共有結合的に表面に固定すること等が挙げられる。ライブラリーメンバーが標的に結合
することを可能にし、標的を固定することを可能にする事象の順序は、使用される固定方
法によって決定され又は使用可能になるように、様々な順序で行われることが理解されよ
う。形質陰性個体から形質陽性個体の固定又は物理的分離が必要とされない選択が行われ
ることは理解されよう。例えば、形質陽性個体は、形質陰性個体が存在しない場合、DN
Aの増幅を可能にする因子を募集する。形質陽性個体はPCRプライマーでタグ付けされ
るが、形質陰性個体はタグ付けされない。形質陽性個体を特異的に増幅する任意のプロセ
スが、使用に適している。
【0258】
実施例41a.反応部位アダプターを荷電するための化学反応。実施例10~32に記
載の化学のいずれも、反応部位アダプターを荷電する際の使用に適切であると理解される
。反応部位アダプターは、水溶液中、水性/有機混合物中、又は固体支持体上に固定され
たビルディングブロックで荷電される。ビルディングブロックを有する反応部位アダプタ
ーを荷電するために使用される化学は、反応部位アダプターがDEAE又はSuper
Q650Mのような固体支持体上に固定されている間に行われる反応に限定されないし、
溶液相で行われる反応にも限定されない。
【0259】
実施例41b.ビルディングブロックが存在しないことは、コード可能な多様性要素で
ある。ライブラリー合成の過程で、異なる配列を有する様々なライブラリーサブプール上
に多数のビルディングブロックが独立して導入される場合、多様性が発生する。ビルディ
ングブロックが存在しないことは、任意的な多様性要素です。ビルディングブロックが存
在しないことは、所望の化学工程において、ライブラリーの1以上の配列特異的サブプー
ルがビルディングブロックを導入するための化学反応で処理されないことを除いて、実施
例1と全く同様にコードされる。そのような場合、それらのサブプールの配列は、従って
ビルディングブロックが存在しないことをコードする。
【0260】
実施例42.ハイブリダイゼーションアレイは他の材料を含んでいた。ハイブリダイゼ
ーションアレイは、2つの重要な作業を達成することができる:(a)配列特異的ハイブ
リダイゼーションを通して少なくとも部分的に一本鎖のDNAの異種混合物を分類するこ
とができ、かつ(b)アレイは、分類されたサブプールをアレイから独立して除去を可能
にするか、又はすることができる。アンチコードオリゴヌクレオチドが固定されるアレイ
のフィーチャーは、上記の基準を満たす任意の3次元方向に配置することができるが、2
次元の長方形のグリッドアレイが、市販されている実験機器の多数は既にそのフォーマッ
トで大量生産されているので(例えば、96ウェルプレート、384ウェルプレート)、
現在最も魅力的である。
【0261】
アンチコードオリゴが固定されているアレイのフィーチャーにおける固体支持体は、4
つの作業を達成することができる:(a)アンチコードオリゴを永久的に付着させること
ができる、(b)固定されたオリゴに対する配列特異的ハイブリダイゼーションによって
ライブラリーDNAの捕獲を可能にし、又はすることができる、(c)ライブラリーDN
Aの低いバックグラウンド又は非特異的結合を有することができ、そして(d)高pHで
実施される工程を含む、プロセシング条件に対して化学的に安定であり得る。CM SE
PHAROSE(登録商標)は、アジド-PEG-アミンのアミンとCM SEPHAR
OSE(登録商標)樹脂の表面上のカルボキシル基との間のペプチド結合形成によってア
ジド-PEG-アミン(9個のPEG単位を有する)で官能化されている。アルキニル修
飾剤を有するアンチコードオリゴは、銅媒介1,3-双極子環状付加(Huisgen)
においてアジドに「クリック」される。
【0262】
他の適切な固体支持体としては、親水性ビーズ、又は親水性表面コーティングを有する
ポリスチレンビーズ、親水性表面コーティングを有するポリメチルメタクリレートビーズ
、及びカルボン酸塩、アミン又はエポキシドのような反応性官能基をも有する親水性表面
を有する他のビーズが挙げられ、適切に官能化されたアンチコードオリゴが固定化される
。他の適切な支持体には、モノリス及びヒドロゲルが挙げられる。例えば、J Chro
matogr A.2002 Jun 14;959(l-2):121-9,J Ch
romatogr A.2011 Apr 29;1218(17):2362-7,J
Chromatogr A.2011 Dec 9;1218(49):8897-9
02,Trends in Microbiology,Volume 16,Issu
e 11,543-551,J.Polym.Sci.A Polym.Chem,35
:1013-1021,J.Mol.Recognit.2006;19:305-31
2,J.Sep.Sci.2004,27,828-836を参照。一般に、より大きな
表面積を有する固体支持体は、より多くの量のライブラリーDNAを捕捉し、より小さい
直径を有するビーズは、はるかに高い背圧及び流動抵抗を生じる。これらの制約は、表面
積が非常に大きいが背圧が低い多孔質支持体又はヒドロゲルの使用によって部分的に改善
される。一般に、正電荷を有するビーズは、DNAの非特異的結合の程度がより大きくな
る。
【0263】
ハイブリダイゼーションアレイのシャーシは、3つの作業を達成することができる:(
a)フィーチャー間の物理的分離を維持しなければならず、(b)ライブラリーをフィー
チャー上に若しくはフィーチャーを通過して流すことを可能にするか、又はさせるか、(
c)異なるフィーチャーから独立して選別されたライブラリーDNAを除去することを可
能にする、又はさせる。シャーシは、加工条件下で十分に剛性であり化学的に安定であり
、フィーチャー内に支持体を固定するために必要な任意の手段と適合する任意の材料を含
む。シャーシの代表的な材料には、DELRIN(登録商標)、TECAFROM(登録
商標)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のプラスチック、セラミックス、
アルミニウムやステンレス鋼等の金属が含まれる。
【0264】
実施例43.遺伝子ライブラリーパラメーター。遺伝子ライブラリーは、2~20個の
コード領域を含む。各内部コード領域における使用可能なコード配列の数は、利用可能な
固定されたアンチコード配列を有するフィーチャーの数によってのみ制限される。24ウ
ェル、96ウェル、及び384ウェルのフォーマットという、業界標準消耗実験機器が非
常に多いので、これらの数のコード配列をコード領域で使用すると便利であるが、例えば
768又は1536のコード配列を有するコード領域もまた実用的であろう。末端コード
配列はアレイ上でソートされないので、末端コード領域で使用される配列の数は、業界標
準プレート及び実験機器のウェルの数に応じる必要が少なくなります。原理的には、末端
コード領域で96又は960以上の異なるコード配列を使用することが実用的であろう。
図1
図2
図3
図4