(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/899 20060101AFI20241114BHJP
A61K 36/8998 20060101ALI20241114BHJP
A61K 36/282 20060101ALI20241114BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20241114BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241114BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
A61K36/899
A61K36/8998
A61K36/282
A61P43/00 121
A61P17/16
A23L33/105
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2023099746
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2018095889の分割
【原出願日】2018-05-18
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】野辺 加織
(72)【発明者】
【氏名】三井 雄史
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】酵素女神555 酵素女神オンラインショップ, [online], Internet Archive:Wayback Machine,2018.04.16,[2024.04.19検索], インターネット,<https://web.archive.org/web/20180416115634/http://www.kousomegami.jp/fs/kousomegami/product_list/gd1>
【文献】国産天然 摘みたて生搾り!100%!健美絶品青汁プレミアム480 サンプル百貨店, [online], Internet Archive:Wayback Machine,2017.12.29,[2024.04.19検索], インターネット,<https://web.archive.org/web/20171229104408/http://www.3ple.jp/pay4ship/item/100000028936/>
【文献】ビフィズス菌LKM512株 善玉菌BLOG, [online], Internet Archive:Wayback Machine,2017.07.06,[2024.04.19検索], インターネット,<https://web.archive.org/web/20170706053211/https://zendamakinblog.com/zendamakin/LKM512>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/132
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米胚芽のクエン酸水溶液抽出末並びに、大麦及びヨモギから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗糖化作用に優れた組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸やタンパク質のアミノ基が還元糖と非酵素的に非可逆的に反応して糖化最終生成物(Advanced Glycation Endproducts:以下、AGEsと略する)を生成するタンパク質の糖化反応はメイラード反応と言われており、その代表的な抑制剤として、メチルグアニジンが知られている。
【0003】
近年、タンパク質の糖化反応は生体内でも生じており、タンパク質の糖化反応が、糖尿病、動脈硬化、加齢に伴う皮膚のたるみ、皺、くすみなどの種々の老化現象の原因になることがわかってきた。AGEsの生成を阻害することにより抗糖化作用を有する医薬品が開発されているものの(非特許文献1)、副作用があることが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Am J Nephrol.2004;24,32-40.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安全かつ日常的に使用でき、優れた抗糖化作用を有する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の素材を組み合わせることにより、これらを単独で用いる場合と比較して優れた抗糖化作用があることを見出し、本発明を完成させた
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ポリアミン又はその塩、菊、ベニバナ、バラ、ザクロ、大麦及びヨモギから選ばれる少なくとも2種を含有する組成物。
[2]ポリアミン又はその塩並びに、菊、ベニバナ、大麦及びヨモギから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物。
[3]ポリアミン又はその塩並びに、菊、ベニバナ、大麦及びヨモギから選ばれる少なくとも1種を1:10~5000の割合で含有する[2]に記載の組成物。
[4]菊並びに、ベニバナ、バラ及びザクロから選ばれる少なくとも1種を含有する組成物。
[5]菊並びに、ベニバナ、バラ及びザクロから選ばれる少なくとも1種を1:0.01~100の割合で含有する[4]に記載の組成物。
[6]ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナを含有する組成物。
[7]抗糖化組成物である[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]美容組成物である[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[9]経口組成物である[1]~[8]に記載の組成物。
[10]化粧用組成物である[1]~[8]に記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、特定の素材を組み合わせることにより、タンパク質等に対して顕著な抗糖化作用を有する。そして、タンパク質等の糖化を防いでAGEsの生成を抑制することは、糖化による種々の症状の原因となる最終糖化産物受容体(Receptor for AGE;RAGE)の活性化抑制等に繋がることから、本発明の組成物は優れた抗糖化組成物又は美容組成物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1~2、比較例1~3による糖化反応阻害率を表す図である。
【
図2】実施例3~4、比較例4~6の糖化反応阻害率を表す図である。
【
図3】実施例5、比較例7~8の糖化反応阻害率を表す図である。
【
図4】実施例6、7、比較例9~11の糖化反応阻害率を表す図である。
【
図5】実施例8、比較例12~13の糖化反応阻害率を表す図である。
【
図6】実施例9、比較例14~15の糖化反応阻害率を表す図である。
【
図7】実施例10、比較例16~17の糖化反応阻害率を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、ポリアミン又はその塩、菊、ベニバナ、ザクロ、バラ、大麦、及びヨモギから選ばれる少なくとも2種を含有することを特徴とする。特に、ポリアミン又はその塩並びに、菊、ベニバナ、大麦及びヨモギから選ばれる少なくとも1種の組合せ、もしくは、菊並びに、ベニバナ、バラ及びザクロから選ばれる少なくとも1種の組合せを含有することが好ましく、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナの3種を含有することが、優れた抗糖化作用を示す点からさらに好ましい。
【0011】
本発明の組成物は優れたAGEs生成阻害作用、すなわち、糖化反応阻害作用が期待できる。また、本発明の組成物は糖化により引き起こされる種々の症状、例えば、老化、美容に影響を及ぼし得る症状の予防及び/又は改善効果が期待できる。したがって、本発明の組成物は、抗糖化組成物又は美容組成物として用いることができる。
【0012】
以下、本発明で使用する素材について詳述する。
【0013】
(ポリアミン)
本発明におけるポリアミンとは、第1級アミノ基を2つ以上持つ脂肪族炭水化物を意味し、例えば、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、ヘキサアミン等が挙げられ、より具体的には、ジアミンとして、エチレンジアミン、プトレスシン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン、エタンブトール、フェニレンジアミン、トリアミンとして、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチレンジアミン、スペルミジン、カルジン、ホモスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、テトラアミンとして、スペルミン、テルモスペルミン、テルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、アミノプロピルホモスペルミン、ホモスペルミン、カナバルミン、ペンタアミンとして、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、アミノプロピルカナバルミン、ビス(アミノプロピル)ホモスペルミン、ビス(アミノプロピル)ノルスペルミン、アミノブチルカナバルミン、アミノプロピルホモスペルミン、ホモペンタミン、ヘキサアミンとして、カルドヘキサミン、ホモカルドヘキサミン、セルモヘキサミン、ホモセルモヘキサミン等が挙げられる。本発明の組成物には、このようなポリアミンは複数種含まれていてもよい。本発明の組成物においては、ヒトの生体内に存在することから利用効率が高く、他の特定の素材との併用により高い抗糖化作用を発揮することから、スペルミジン、スペルミン及びプトレスシンの1種以上が含まれていることが好ましく、中でも、アミノ基の数が多いことから最も生理活性の高いスペルミンが含まれていることがより好ましい。また、本発明のポリアミンは、生理的に利用可能な塩の形態であってもよい。
【0014】
ポリアミンは、すべての生物に存在することから、種々の生物の組織等の原料から単離することができる。具体的には、米、大豆、胡椒、オレンジ、バナナ及びリンゴ等の植物素材又はその加工物、サケ等の魚類の肉や臓器及び牛や豚等の動物の肉や臓器等の動物素材又はその加工物或いはキノコ類及び酵母等の菌素材又はその加工物を用いることができる。本発明においては、ポリアミンは、化学合成又は酵素や微生物を用いた生化学的合成等によって得られるものを用いてもよい。
【0015】
ポリアミンを含有する原料の加工物の加工形態は、乾燥物、粉砕物又はその乾燥粉末(以下「粉砕末」とも言う)、搾汁物又はその乾燥粉末(以下「搾汁末」とも言う)、抽出物又はその乾燥粉末(以下「抽出末」とも言う)、顆粒、ペーストなどが挙げられる。抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン等の有機溶媒、酢酸、クエン酸又はこれらの水溶液等の酸性水溶液、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0016】
ポリアミンを含有する原料として、米、大豆、キノコ類又は酵母を用いることが好ましく、米がより好ましく、米の胚芽を用いることが特に好ましい。ポリアミンを含有する原料の加工物の加工形態としては、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末を用いることが好ましく、抽出物又は抽出末を用いることがより好ましく、酸性水溶液の抽出物又は抽出末を用いることがより好ましく、クエン酸水溶液の抽出物又は抽出末を用いることが特に好ましい。本発明においては、他の特定の素材との併用により優れた抗糖化作用を示すことから、米胚芽のクエン酸水溶液抽出物又はクエン酸水溶液抽出末を用いることが最も好ましい。また、米胚芽のクエン酸水溶液抽出物に含まれるポリアミンの含有量は、他の特定の素材との併用により優れた抗糖化作用を有する観点から、0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.01%以上が特に好ましく、0.05%以上がとりわけ好ましい。ポリアミンの含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析できる。
【0017】
(菊)
本発明における菊とは、キク科キク属の植物であり、学名がChrysanthemum morifolium Ramatである。菊は、日本で自生しており、容易に入手可能であり、その花部は、中国で古くから薬用として利用されている。日本でもお茶やお酒として飲用されたり、食用として料理に利用されたりしており、めまいや頭痛、眼の疲れなどに効果があると言われている。具体的な品種としては、「延命楽」等として知られる紫菊、「阿房宮」として知られる黄菊、「小菊」などが挙げられる。これらの中でも、他の特定の素材との併用により優れた抗糖化作用を示すことから、紫菊を用いることが好ましい。
【0018】
菊は、茎、葉、果実、果皮、種子、種皮、根、花等をそのまま用いることができるが、本発明においては花を用いることが好ましい。また、本発明においては、種々の菊の加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから、花の粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0019】
(大麦)
本発明で用いられる大麦とは、イネ科の植物であり、学名はHordeum vulgareである。使用できる大麦としては、二条大麦、六条大麦、裸大麦などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明で用いられる大麦の部位としては、花、種子、果実、葉、茎、根が挙げられるが、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を有する観点から葉及び茎から選ばれる1種以上(以下、茎葉ということがある)を用いることが好ましい。茎葉は、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂前に収穫されたものであることが好ましい。
【0021】
本発明においては、種々の大麦の加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから茎葉の粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0022】
(ヨモギ)
本発明において、ヨモギとは、キク科ヨモギ属の多年草であり、学名はArtemisia princepsである。本発明におけるヨモギの使用部位としては花、種子、果実、葉、茎、根が挙げられるが、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示す観点から茎葉を用いることが好ましい。
【0023】
本発明においては、種々のヨモギの加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから茎葉の粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0024】
(ザクロ)
本発明において、ザクロは、ミソハギ科ザクロ属に属し、学名をPunica granatumという。本発明におけるザクロの使用部位としては花、種子、果実、葉、茎、根が挙げられるが、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花を用いることが好ましい。
【0025】
本発明においては、種々のザクロの加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末がより好ましく、含水エタノールの抽出物又は抽出末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花の含水エタノール抽出物又は含水エタノール抽出末を用いることが最も好ましい。
【0026】
(バラ)
本発明において、バラ(薔薇)は、バラ科バラ属に属する植物である。本発明におけるバラの使用部位としては花、種子、果実、葉、茎、根が挙げられるが、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花を用いることが好ましい。
【0027】
本発明においては、種々のバラの加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末がより好ましく、水の抽出物又は抽出末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花の水抽出物又は水抽出末を用いることが最も好ましい。
【0028】
(ベニバナ)
本発明において、ベニバナはキク科ベニバナ属の一年草または越年草であり、学名をCarthamus tinctorius という。本発明におけるバラの使用部位としては花、種子、果実、葉、茎、根が挙げられるが、他の特定の成分との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花を用いることが好ましい。
【0029】
本発明においては、種々のベニバナの加工物を使用することができ、加工形態としては上記のポリアミンを含有する原料と同様の加工形態を選択することができる。その中でも、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末がより好ましく、水の抽出物又は抽出末が特に好ましい。本発明においては、他の特定の成分素材との併用により優れた抗糖化作用を示すことから花の水抽出物又は水抽出末を用いることが最も好ましい。
【0030】
本発明の組成物は、例えば、医薬品や、化粧品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤、飼料等として用いることができる。
【0031】
本発明の組成物は、抗糖化作用を有することから、糖化により引き起こされる種々の症状、例えば、老化、脱毛・抜け毛、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、骨量減少、不妊症、アルツハイマー型認知症、脳の老人斑、性機能障害、目のピント調節筋機能の低下等の症状のほか、皮膚のシワ、皮膚のシミ、皮膚のたるみ、皮膚の乾燥、皮膚の弾力減少、皮膚の透明感喪失、白目の黄ぐすみ、黒目の混濁等の美容に影響を及ぼし得る症状の予防及び/又は改善等に用いることができる。したがって、本発明の組成物は、抗糖化組成物や美容組成物として用いることができる。抗糖化組成物及び美容組成物は、抗糖化並びに、上記の美容に影響を及ぼし得る症状を含む抗糖化によりもたらされる種々の症状に対する効果又は効能に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに抗糖化や美容に関する機能がある旨を表示したもののみでなく、他の機能がある旨を表示したもの、又は、機能に関する表示がないものであっても、抗糖化作用又は美容作用を実質的に有するものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の抗糖化組成物及び美容組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの素材(ポリアミン、ベニバナ及び菊等)が抗糖化又は美容の有効成分として表示されているものに限られない。
例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、一部の成分のみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0032】
具体的に、本発明の抗糖化組成物及び美容組成物としては、医薬品やいわゆる健康食品、化粧品(医薬部外品を含む)が挙げられ、いわゆる抗糖化や美容を訴求する健康食品においては、「老化を防ぐ」、「アンチエイジング」、「抗老化」、「抗加齢」、「糖化を防ぐ」、「AGEsの増加を防ぐ」、「RAGEの活性化を抑制する」、「RAGEの発現量を低下させる」、「体内の焦げを防ぐ」、「クリアな毎日に」、「肌のくすみが気になる方に」、「黄ぐすみが気になる方に」、「肌のたるみが気になる方に」、「シワが気になる方に」、「シミが気になる方に」、「乾燥肌の方に」、「美容にうれしい」、「肌にうれしい」、「キレイをサポート」等を表示したものを例示することができる。
【0033】
本発明の組成物は、外用又は経口用として使用することができる。外用としては、皮膚、頭皮等に塗布又は貼付して用いるものであれば、特に制限はなく、その形態としては、軟膏剤、クリーム剤、ジェル剤、ローション剤、乳液剤、パック剤、湿布剤等の皮膚外用剤や、注射剤等の形態を挙げることができる。
【0034】
経口用としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が好ましく、錠状、粉末状、顆粒状の形態が特に好ましい。
具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、食品添加剤を例示することができる。特にサプリメント、インスタント飲料は食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0035】
本発明の一態様の組成物は、容器に詰めて密封した容器詰組成物とすることができる。
容器は特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、紙、PETやPTPなどのプラスチック、1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋、レトルトパウチ、真空パック、アルミ容器、プラスチック容器、瓶、缶などの包装容器が挙げられる。本発明の一態様の組成物は、経時的な変質を避けるために、容器に詰めて密封した後に、加圧及び/又は加熱などにより殺菌処理したものであることが好ましい。
【0036】
本発明の一態様の組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物をそのまま、水などとともに、又は水などで希釈するなどして、飲食することにより経口摂取することができる。摂取者の好みなどに応じて、本発明の一態様の組成物と他の固体物や液状物とを混ぜて経口摂取してもよい。本発明の一態様の組成物を口腔崩壊剤形とした場合は、水なしで経口摂取することができる。
【0037】
本発明の組成物における特定素材の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0038】
一般的には、本発明の組成物が錠状、チュアブル状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の素材の合計量が乾燥質量換算で全体の0.1~80%含まれていることが好ましく、0.5~60%含まれていることがより好ましく、1~50%含まれていることがさらに好ましい。
【0039】
本発明の組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の素材が合計で全体の0.0001~5%含まれていることが好ましく、0.0005~3%含まれていることがより好ましく、0.001~1%含まれていることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の組成物がインスタント飲料である場合には、本発明の素材の合計量が乾燥質量換算で全体の0.01~50%含まれていることが好ましく、0.05~30%含まれていることがより好ましく、0.1~20%含まれていることがさらに好ましい。
【0041】
また、本発明の組成物が化粧用である場合には、本発明の素材の合計量が乾燥質量換算で全体の0.0001~75%含まれていることが好ましく、0.0005~50%含まれていることがより好ましく、0.001~25%含まれていることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、本発明の素材の合計量が、0.001mg/日以上となるように摂取することが好ましく、0.01mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、0.1mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、100000mg/日であり、好ましくは50000mg/日である。本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0043】
本発明の組成物における各素材の配合比としては特に制限はないが、例えば、ポリアミン又はその塩並びにそれ以外の他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:1~50000の範囲であることが好ましく、1:3~30000の範囲であることがより好ましく、1:5~10000の範囲であることがさらに好ましく、1:10~5000の範囲であることが特に好ましい。
【0044】
また、菊及びそれ以外の他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:100~50000:1の範囲であることが好ましく、1:0.0001~10000の範囲であることがより好ましく、1:0.001~1000の範囲であることがさらに好ましく、1:0.01~100の範囲であることが特に好ましい。
【0045】
また、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナの配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:1~30000:1~30000の範囲であることが好ましく、1:3~10000:3~10000の範囲であることがより好ましく、1:5~7500:5~7500の範囲であることがさらに好ましく、1:10~5000:10~5000の範囲であることが特に好ましい。
【0046】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0048】
[組成物の抗糖化作用の評価]
被験物質として以下のものを用いた。
・ポリアミンとして、米胚芽のクエン酸水溶液抽出末(市販品;ポリアミン0.2%以上含有)を用いた。
・菊として、紫菊の花の粉砕末(市販品)を用いた。
・ベニバナとして、ベニバナの花の水抽出物(市販品)を用いた。
・バラとして、バラの花の水抽出末(市販品)を用いた。
・ザクロとして、ザクロの花の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
・大麦として、大麦若葉の粉砕末(株式会社東洋新薬製)を用いた。
・ヨモギとして、ヨモギの粉砕末(株式会社東洋新薬製)を用いた。
【0049】
リン酸緩衝剤粉末 (1/15mol/L pH7.2)を蒸留水に溶解して67mMリン酸緩衝液(以下、67mMPBと略する)を調製した。また、D(+)グルコースを67mMPBで溶解して200mg/mLグルコース溶液を調製し、また、アルブミン(ウシ血清由来コーンフラクションV、pH7.0、生化学用)(以下、BSAと略する)を67mMPBで溶解して40mg./mLBSAを調製した。
【0050】
比較例1~17及び実施例1~10の被験物質の所定量をそれぞれ67mMPB中で1時間ボルテックスし、遠心(室温、10,000rpm、5分)した後、上清を回収して被験物質溶液とした。被験物質溶液、グルコース溶液、BSA溶液、PBを表1に示す量で1.5mLチューブにおいて混合して、被験物質を含有した本試験に用いる溶液(試験溶液)を調製した。また、同様に、被験物質を含有しないコントロールを調製した。ポリアミン並びに、菊、ベニバナ、大麦又はヨモギの組合せに係る各比較例、実施例の試験溶液の濃度を表2~5に、菊並びに、ベニバナ、バラ又はザクロの組合せに係る各比較例、実施例の試験溶液の濃度を表6~8に示す。表2~8の数値の単位はmg/mLである。
【0051】
1.5mLチューブに調整された試験溶液又はコントロールの各溶液を転倒混和によって混合した後、60℃で48時間インキュベートした。インキュベート後の各溶液から30μLを96ウェルプレートに写し、270μLの純水を加えて希釈した。希釈液を370nmで励起したときの440nmの蛍光強度を分光蛍光光度計で測定し、次の式によりAGEs生成阻害率(%)を算出した。
【0052】
AGEs生成阻害率(%)
=(1 - [(Sample
test-Sample
blank)/ (Control
test-Control
blank) ])×100
(式中、Sample
test:試験溶液(test)の蛍光強度
Sample
blank:試験溶液(blank)の蛍光強度
Control
test:コントロール(test)の蛍光強度
Control
blank:コントロール(blank)の蛍光強度 )
結果を
図1~7に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
図1~4から明らかなように、ポリアミン又はその塩並びに、菊、ベニバナ、大麦又はヨモギを組み合わせた実施例1~6では、それぞれの素材単独の効果の足し合わせでは得られない飛躍的な効果が認められた。また、
図5~7から明らかなように、菊並びに、ベニバナ、バラ又はザクロを組み合わせた実施例8~10では、それぞれの素材単独の効果の足し合わせでは得られない飛躍的な効果が認められた。したがって、本発明の組成物は、優れた抗糖化作用を有することがわかる。さらに、
図4から、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナの3素材を組み合わせた実施例7では、それぞれの素材単独の効果の足し合わせでは得られない飛躍的な効果が認められ、その効果は、実施例1、2、6、10の、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナから選ばれる2種の組合せのものと比較しても顕著なものであった。したがって、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナの3種を含有する組成物は、ポリアミン又はその塩、菊及びベニバナから選ばれる2種の組合せと比較してとりわけ優れた抗糖化作用を有することがわかる。
【0062】
[本発明の組成物の製造]
[実施例11](錠剤の製造)
下記素材からなる錠剤(300mg)を製造した。得られた錠剤を1日あたり2粒摂取する。製造した錠剤は、一日に1回又は2回に分けて水と共に服用することで、優れた抗糖化作用が得られる。また、得られた錠剤中にはHPLC法による分析でポリアミン又はその塩が0.01%含まれており、ポリアミン又はその塩の内、スぺルミンの占める割合は50%であった。
【0063】
米胚芽のクエン酸水溶液抽出末 2%
紫菊の花粉砕末 10%
ベニバナの花の水抽出末 10%
バラの花の熱水抽出末 10%
ザクロの花の含水エタノール抽出末 10%
ビタミンC 2%
アラビアガム 1%
ステアリン酸カルシウム 1%
二酸化ケイ素 1%
麦芽糖 残部
【0064】
[実施例12](錠剤の製造)
下記素材からなる錠剤(350mg)を製造した。得られた錠剤を1日あたり6粒摂取する。製造した錠剤は、一日に1回又は2、3回に分けて水と共に服用することで、優れた抗糖化作用が得られる。
【0065】
米胚芽のクエン酸水溶液抽出末 5%
紫菊の花粉砕末 10%
大麦茎葉の粉砕末 10%
ヨモギの茎葉粉砕末 10%
乳酸菌 5%
ステアリン酸カルシウム 1%
還元麦芽糖 残部
【0066】
[実施例13](カプセル剤の製造)
下記混合物をハードカプセルに封入し、カプセル剤(300mg)を製造した。得られたハードカプセルを1日あたり5粒摂取する。製造したカプセル剤は、一日に1回又は2~4回に分けて水と共に服用することで、優れた抗糖化作用が得られる。
【0067】
米胚芽の酢酸抽出末 30%
ベニバナの花の粉砕末 5%
大麦茎葉の搾汁末 20%
ヨモギの茎葉粉砕末 15%
乳酸菌 5%
ビタミンC 1%
葉酸 1%
二酸化ケイ素 2%
セルロース 残部
【0068】
[実施例14](顆粒剤の製造)
下記素材を混合して常法により顆粒剤(3000mg)を製造した。得られた顆粒剤は、水と共に服用することで、優れた抗糖化作用が得られる。また、得られた顆粒剤中にはポリアミン又はその塩が0.01%含まれていた。
【0069】
米胚芽の酢酸抽出末 3%
紫菊の花の水抽出末 5%
ザクロの果実の搾汁末 10%
バラの花の熱水抽出末 5%
ヨモギ茎葉の搾汁末 2%
アスパルテーム 0.1%
チアミン塩酸塩 0.3%
リボフラビン 0.3%
ビタミンB6 0.2%
シアノコバラミン 0.2%
香料 0.2%
還元パラチノース 7%
ステアリン酸カルシウム 3%
ヒロドキシプロピルセルロース 残部
【0070】
[実施例15](チュアブル錠剤の製造)
下記素材からなるチュアブル錠剤(1粒あたり1000mg)を製造した。得られたチュアブル錠剤を1日あたり6粒摂取する。製造したチュアブル錠剤は、一日に1回又は2、3回に分けて水と共に服用することで、優れた抗糖化作用が得られる。
【0071】
大豆胚芽のクエン酸水溶液抽出末 5%
紫菊の花の熱水抽出物 3%
バラの花の熱水抽出物 10%
ベニバナの花の水抽出末 5%
大麦茎葉の搾汁末 5%
スクラロース 0.1%
アスパルテーム 0.05%
ビタミンB1 0.01%
ビタミンB2 0.01%
ビタミンB6 0.01%
香料 0.01%
ステアリン酸カルシウム 1%
二酸化ケイ素 2%
ヒドロキシプロピルセルロース 1%
セルロース 30%
還元パラチノース 残部
【0072】
[実施例16](化粧用クリームの製造)
下記素材からなる化粧用クリームを製造した。得られた化粧用クリームは、塗布することで、優れた抗糖化作用が得られる。
【0073】
米胚芽のクエン酸水溶液抽出末 0.1%
紫菊の花の粉砕末 0.1%
ベニバナの花の水抽出末 0.1%
ヨモギ茎葉の含水1,3-ブチレングリコール抽出末 0.1%
スクワラン 15%
ミリスチン酸オクチルドデシル 4%
水素添加大豆リン脂質 0.2%
ブチルアルコール 2%
硬化油 2%
ステアリン酸 2%
親油型モノステアリン酸グリセリン 2%
モノステアリン酸ポリグリセリル 0.5%
ベヘニルアルコール 0.8%
モノミリスチン酸ポリグリセリル 0.7%
サラシミツロウ 0.3%
d-δ-トコフェロール 0.1%
メチルパラベン 0.3%
C10~30アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.2%
カルボキシビニルポリマー 0.1%
1,3-ブタンジオール 18%
水酸化ナトリウム 0.1%
精製水 残部
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の組成物は、抗糖化作用等を有することから、本発明の産業上の有用性は高い。