(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】複合パネルの取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 11/00 20060101AFI20241114BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20241114BHJP
F16B 5/01 20060101ALI20241114BHJP
F16B 35/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16B11/00 Z
E04F13/08 101T
F16B5/01
F16B35/04 D
(21)【出願番号】P 2023129997
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2022133964
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595073007
【氏名又は名称】矢橋大理石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢橋 修太郎
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066223(JP,A)
【文献】米国特許第04729705(US,A)
【文献】特開2004-100944(JP,A)
【文献】特開2007-039964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 11/00
F16B 35/04
F16B 5/01
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定されてなる複合パネルを下地部に固定する取付構造であって、
前記ハニカムパネルは、ハニカムコアと、前記ハニカムコアの天面に固定される天板と、前記ハニカムコアの底面に固定される底板と、を備え、
前記仕上材は、前記天板に固定されており、
前記取付構造は、
前記底板側から前記ハニカムパネルに設けられた穴と、
前記穴に挿入されるナット部と、前記ナット部の一端に張り出した鍔部と、を備え、前記ナット部が前記穴に配置されると共に前記鍔部が前記底板の前記穴の周囲に配置される固定ナットと、を備え、
前記鍔部は、前記底板上における前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対して固定され、
前記複合パネルは、前記下地部に対して連結するための取付部材を介在させて、ボルトが前記ナット部に締め付けられることで、前記下地部に対して固定され
、
前記鍔部は、前記底板上における前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対して溶接されている
複合パネルの取付構造。
【請求項2】
前記ナット部は、前記穴内で接着剤によって固定されている
請求項1に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項3】
前記鍔部は、前記鍔部の外周端より内側の位置において、前記底板に対して溶接されている
請求項
1又は2に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項4】
ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定されてなる複合パネルを下地部に固定する取付構造であって、
前記ハニカムパネルは、ハニカムコアと、前記ハニカムコアの天面に固定される天板と、前記ハニカムコアの底面に固定される底板と、を備え、
前記仕上材は、前記天板に固定されており、
前記取付構造は、
前記底板側から前記ハニカムパネルに設けられた穴と、
前記穴に挿入されるナット部と、前記ナット部の一端に張り出した鍔部と、を備え、前記ナット部が前記穴に配置されると共に前記鍔部が前記底板の前記穴の周囲に配置される固定ナットと、を備え、
前記鍔部は、前記底板上における前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対して固定され、
前記複合パネルは、前記下地部に対して連結するための取付部材を介在させて、ボルトが前記ナット部に締め付けられることで、前記下地部に対して固定され、
前記固定ナットは、
前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対してカシメによって固定されるカシメナットと、
内外周面にネジを備え、外側のネジによって前記カシメナットに締め付けられるダブルスクリューナットと、を備え、
前記底板に対してカシメによって固定されている部分が前記鍔部であり、
前記ダブルスクリューナットにおいて、内側のネジが前記ナット部である
複合パネルの取付構造。
【請求項5】
前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、
前記上側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも下側に偏った位置に、前記取付構造としての下側取付構造を備え、
前記下側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも上側に偏った位置に、前記取付構造としての上側取付構造を備え、
前記下側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで前記上側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての下側連結部材が前記上側取付構造の方向に延在し、
前記上側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられること前記下側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての上側連結部材が前記下側取付構造の方向に延在し、
前記下側連結部材と前記上側連結部材が重なっている
請求項1
又は4に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項6】
前記下側連結部材及び前記上側連結部材の少なくとも1つの連結部材は、前記底板上に突出する鍔部より大きく、かつ前記ボルトが挿通されるルーズ穴を備える
請求項
5に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項7】
前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、
前記下側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも上側に偏った位置に、前記取付構造としての上側取付構造を備え、
前記下側複合パネルは、前記取付部材としての取付プレートによって前記下地部に固定され、
前記取付プレートは、前記上側複合パネルに重なって位置する第1部分と、前記下側複合パネルに重なって位置する第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記下地部に対して固定され、
前記第2部分は、前記上側取付構造において、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで前記下側複合パネルに取り付けられる
請求項1又は
4に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項8】
前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、
前記上側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも下側に偏った位置に、前記取付構造としての下側取付構造を備え、
前記下側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで、前記上側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての連結プレートが前記下側複合パネルの方向に延在して、前記下側複合パネルの前記底板に接している
請求項1又は
4に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項9】
前記ハニカムパネルと前記仕上材と、を連結するストッパであって、板材を折曲して構成された前記ストッパを備え、
前記ストッパは、前記底板に重なり前記ハニカムパネルに固定される固定部と、前記ハニカムパネルの端面を通じて前記仕上材の端面にまで延びる延在部と、を備える
請求項1又は
4に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項10】
前記仕上材は、端面に溝を備え、
前記ストッパは、前記溝に係合する係合部を備える
請求項
9に記載の複合パネルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定された複合パネルを下地部に固定するための複合パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の躯体壁面に石材、セラミック等の外装材を固定する取付構造において、特許文献1等には、ハニカムパネルの一方の面に対して外装材を接着固定した複合パネルが記載されている。このような複合パネルは、下地部に対して、様々な取付構造によって下地部に固定される。特許文献1等は、ハニカムパネルに穴を設け、穴に対して、外周にネジが形成されたスタッドを挿入して、硬化性樹脂や接着剤によってスタッドを固定するようにしている。そして、下地部に連結するための固定金具の取付穴には、スタッドを挿入して、その後、スタッドに対してナットを締め付ける。これにより、ハニカムパネルには、固定金具が固定される。複合パネルは、ハニカムパネルを用いることで、高強度で、且つ軽量化が図られている。これにより、複合パネルを下地に固定する際の作業も行い易くなることで、施工性も優れたものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような複合パネルの下地部に対する取付構造は、複合パネルの落下防止等の観点からも一層の信頼性向上が望まれている。例えば、複合パネルの取付強度の向上や耐久性向上等が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための複合パネルの取付構造は、ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定されてなる複合パネルを下地部に固定する取付構造であって、前記ハニカムパネルは、ハニカムコアと、前記ハニカムコアの天面に固定される天板と、前記ハニカムコアの底面に固定される底板と、を備え、前記仕上材は、前記天板に固定されており、前記取付構造は、前記底板側から前記ハニカムパネルに設けられた穴と、前記穴に挿入されるナット部と、前記ナット部の一端に張り出した鍔部と、を備え、前記ナット部が前記穴に配置されると共に前記鍔部が前記底板の前記穴の周囲に配置される固定ナットと、を備え、前記鍔部は、前記底板上における前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対して固定され、前記複合パネルは、前記下地部に対して連結するための取付部材を介在させて、ボルトが前記ナット部に締め付けられることで、前記下地部に対して固定されている。
【0006】
上記構成によれば、ハニカムパネルに仕上材を固定して軽量化された複合パネルを、下地部に対して強固に固定できる。すなわち、複合パネルは、取付部材を介して下地部に取り付けられる。取付部材は、ボルトがハニカムパネルに固定された固定ナットに締め付けられることで、ハニカムパネルに固定される。
【0007】
複合パネルは、軽量化されているので、下地部の構造も、例えば鉄骨下地から軽量鉄骨下地に変更することができる。これにより、下地部に対する取付構造が簡素化されることで、複合パネルの裏側の空間を狭空間化できる。そして、その分、居住空間や床の有効面積を広くすることができる。
【0008】
上記複合パネルの取付構造において、前記ナット部は、前記穴内で接着剤によって固定されている構成としてもよい。上記構成によれば、溶接に加え接着剤の接着力によっても、固定ナットが穴に対して固定される。したがって、固定ナットのハニカムパネルに対する取付強度を一層高めることができる。
【0009】
上記複合パネルの取付構造において、前記鍔部は、前記底板上における前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対して溶接されている構成としてもよい。上記構成によれば、固定ナットの鍔部は、ハニカムパネルに対して溶接によって固定されることで、接着剤だけの場合よりもより強固に固定される。施工の際、複合パネルは、固定ナットが固定された状態で1つのユニットとして取り扱われる。したがって、施工現場において、複合パネルは、取付部材を介して下地部に固定する作業だけとなる。したがって、施工時の作業が簡素化され、且つ容易になることで作業効率を向上できる。
【0010】
上記複合パネルの取付構造において、前記鍔部は、前記鍔部の外周端より内側の位置において、前記底板に対して溶接されている構成としてもよい。上記構成によれば、鍔部の外周端より内側の位置において、鍔部が底板に固定されることで、アンカーナットのハニカムパネルに対する溶接強度を高めることができる。
【0011】
上記複合パネルの取付構造において、前記固定ナットは、前記穴の周囲に位置し、且つ前記底板に対してカシメによって固定されるカシメナットと、前記内外周面にネジを備え、外側のネジによって前記カシメナットに締め付けられるダブルスクリューナットと、を備え、前記底板に対してカシメによって固定されている部分が前記鍔部であり、前記ダブルスクリューナットにおいて、内側のネジが前記ナット部である構成としてもよい。上記構成によれば、アンカーナットと底板との溶接が不要である。したがって、施工現場で穴を設け、アンカーナットを穴にカシメで取り付け、内外周面にネジ溝が形成されたダブルスクリューナットを取り付けて、固定ナットを構成することができる。ダブルスクリューナットにおける内側のネジが、上述のナット部を構成する。
【0012】
上記複合パネルの取付構造において、前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、前記上側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも下側に偏った位置に、前記取付構造としての下側取付構造を備え、前記下側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも上側に偏った位置に、前記取付構造としての上側取付構造を備え、前記下側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで前記上側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての下側連結部材が前記上側取付構造の方向に延在し、前記上側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられること前記下側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての上側連結部材が前記下側取付構造の方向に延在し、前記下側連結部材と前記上側連結部材が重なっているように構成してもよい。上記構成によれば、上側連結部材と下側連結部材とが重なることで、上下に隣接して並ぶ複合パネルの表面を面一に配置できる。また、下側連結部材と上側連結部材との相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネルの表面の面一の状態を維持できる。
【0013】
上記複合パネルの取付構造において、前記下側連結部材及び前記上側連結部材の少なくとも1つの連結部材は、前記底板上に突出する鍔部より大きく、かつ前記ボルトが挿通される前記ルーズ穴を備えるように構成してもよい。上記構成によれば、ルーズ穴の範囲内で複合パネルの位置を微調整できる。
【0014】
上記複合パネルの取付構造において、前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、前記下側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも上側に偏った位置に、前記取付構造としての上側取付構造を備え、前記下側複合パネルは、前記取付部材としての取付プレートによって前記下地部に固定され、前記取付プレートは、前記上側複合パネルに重なって位置する第1部分と、前記下側複合パネルに重なって位置する第2部分と、を備え、前記第1部分は、前記下地部に対して固定され、前記第2部分は、前記上側取付構造において、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで前記下側複合パネルに取り付けられるように構成してもよい。上記構成によれば、下地部に対して取付プレートを通じて複合パネルを吊下げるようにして取り付けることができる。これにより、締結空間を狭空間化できる。また、建物の変位に追従して取付プレートも変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネルの表面の面一の状態を維持できる。
【0015】
上記複合パネルの取付構造において、前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、前記上側複合パネルは、前記上下方向における中央よりも下側に偏った位置に、前記取付構造としての下側取付構造を備え、前記下側取付構造は、前記ボルトが前記ナット部に締め付けられることで、前記上側複合パネルに取り付けられた前記取付部材としての連結プレートが前記下側複合パネルの方向に延在して、前記下側複合パネルの前記底板に接しているように構成してもよい。上記構成によれば、連結プレートが底板に接することで、上下に隣接して並ぶ複合パネルを面一に配置できる。また、建物の変位に追従して連結プレートも変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネルの表面の面一の状態を維持できる。
【0016】
上記複合パネルの取付構造において、前記ハニカムパネルと前記仕上材と、を連結するストッパであって、板材を折曲して構成された前記ストッパを備え、前記ストッパは、前記底板に重なり前記ハニカムパネルに固定される固定部と、前記ハニカムパネルの端面を通じて前記仕上材の端面にまで延びる延在部と、を備えるように構成してもよい。上記構成によれば、ストッパは、延在部が複合パネルの端面(下面)に沿うように配置される。これにより、ストッパは、ハニカムパネルから仕上材が下方にずれることを抑制することができる。
【0017】
上記複合パネルの取付構造において、前記仕上材は、端面に溝を備え、前記ストッパは、前記溝に係合する係合部を備えるように構成してもよい。上記構成によれば、ハニカムパネルに固定されたストッパの係合部が仕上材の下面だけではなく上面や側面を構成する端面に設けられた溝に係合することで、ハニカムパネルと仕上材とを一体化することができる。すなわち、複合パネルが下地部から前方に剥がれることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複合パネルの下地部に対する取付構造の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態における、壁面の下地部に複数の複合パネルが配列配置された状態を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態における
図1の壁面に使用された複合パネル1枚の平面図である。
【
図3】第1実施形態における複合パネルの断面図である。
【
図4】第1実施形態における複合パネルの取付構造を、複合パネルを裏面側から見た拡大平面図である。
【
図5】第1実施形態における複合パネルの取付構造の変形例を示す断面図であって、カシメナットを取り付けた状態を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態における複合パネルの取付構造の変形例を示す断面図であって、カシメナットを穴の周囲にカシメによって固定した状態を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態における複合パネルの取付構造の変形例を示す断面図であって、カシメナットにダブルスクリューナットを装着した状態を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態における複合パネルの取付構造を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態における上側連結部材と下側連結部材の係合関係を示す背面図である。
【
図10】仕上材のハニカムパネルに対するストッパの構造を示す断面図である。
【
図11】第1実施形態における複合パネルの取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図12】第2実施形態における、下地部に複数の複合パネルが配列配置された状態を示す平面図である。
【
図13】第2実施形態における、複合パネルの取付構造を示す断面図であって、取付プレートが配置された部分の断面図である。
【
図14】第2実施形態における、複合パネルの取付構造を示す断面図であって、連結プレートが配置された部分の断面図である。
【
図15】第2実施形態における、複合パネルの取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図16】仕上材のハニカムパネルに対するストッパの構造の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が適用された複合パネルの取付構造について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
〔複合パネル〕
図1及び
図2に示すように、複合パネル1は、ショッピングセンター、ホテル、施設エントランス、店舗等の構造物の壁面に取り付けられるものである。また、複合パネル1は、建物の外壁など外部壁で使用されるのではなく、屋内などの内部壁で使用される内装用パネルである。
【0021】
図3に示すように、複合パネル1は、仕上材2と、仕上材2が固定されるハニカムパネル3と、を備えている。仕上材2は、石材パネル、セラミックパネル等のパネルである。石材パネルは、セラミックタイルよりも質量が高く、且つ重い大理石、御影石等である。本実施形態では、仕上材2に石材パネルが用いられている。そして、石材パネルは、通常石厚が20mm乃至30mm程度であるところ、本実施形態で使用する石材パネルは、薄石パネルであり、例えば石厚が3mm乃至17mm程度、好ましくは6mm程度である。これにより、仕上材2は、軽量化されている。例えば、従来の石材パネルに対して薄石パネルである仕上材2は、70%程度定、軽量化されている。
【0022】
ハニカムパネル3は、ハニカムコア3aと、天板3bと、底板3cと、を備えている。ハニカムコア3aは、ハニカム形状を有する構造材であって、軽量で高強度の金属材、本実施形態ではアルミニウム箔によって構成されている。ハニカム形状は、六角形が好ましいが、三角形、四角形、八角形等の多角形形状であってもよい。ハニカムコア3aは、相対して、第1面である天面と、第2面である底面と、を備えている。天面には、天板3bが固定される。底面には、底板3cが固定される。天板3b及び底板3cは、金属板、本実施形態ではハニカムコア3aと同じ材料であるアルミニウム板で構成されている。
【0023】
天板3bは、接着剤によってハニカムコア3aの天面に接着される。ここで、仕上材2とハニカムパネル3とは、熱膨張率が異なる。接着剤としては、仕上材2とハニカムパネル3における熱による膨張収縮の差を吸収する接着剤、例えばゴム系接着剤が選ばれる。これにより、複合パネル1は、熱膨張率の相違による反り等の変形が抑制される。なお、熱膨張率の相違による変形は、接着剤だけでなく、ハニカムパネル3自体によっても吸収される。
【0024】
底板3cも、天板3bの接着に使用された接着剤と同じ接着剤によってハニカムコア3aの底面に接着される。本実施形態において、底板3cの板厚は、天板3bの板厚よりも大きい。これにより、底板3cに対して取付構造6を構成する金具(アンカーナット12)の溶接を可能としている。ハニカムコア3aに対して天板3b及び/又は底板3cは、溶接で一体化されていてもよい。
【0025】
以上のような複合パネル1は、仕上材2に薄石パネルを用い、薄石パネルをハニカムパネル3に固定することで、高強度でありながら、軽量化を実現している。そして、複合パネルは1の下地部9(
図8等参照)への取付にあたっては、従来より小型軽量化された金具を使用して取付構造を構成することができる。また、複合パネル1が軽量化されることで、下地部9にも、鉄骨下地の他にも、軽量鉄骨下地やLGS(Light Gauge Steel)造を使用することが可能となる。
【0026】
図1に示すように、複合パネル1は、例えば矩形形状を有したパネルであって、壁面に設けられた下地部9に、上下方向である床から天井に亘って、更に左右方向に配列される。
図2に示すように、各複合パネル1は、一例として4か所に、下地部9に取り付けるための取付構造6が設けられている。
【0027】
各複合パネル1の左右方向において、取付構造6が配置される位置は、左右方向の中央を上下に延びる第1中央線4aに対して左右に偏った位置である。例えば、左右の各短辺から長辺長さの1/4~1/34程度、好ましくは1/8程度、内側の位置に配置される。
【0028】
各複合パネル1の上下方向において、取付構造6が配置される位置は、上下方向の中央を左右に延びる第2中央線4bに対して上下に偏った位置である。例えば、上下の各長辺から短辺長さの1/8乃至1/40程度、好ましくは1/16~1/20程度、内側の位置に配置される。
【0029】
本実施形態では、各複合パネル1において、上側の2つの取付構造6が上側取付構造6aであり、下側の2つの取付構造6が下側取付構造6bである。2つの上側取付構造6aは、第1中央線4aを軸に左右線対称の位置に配置され、2つの下側取付構造6bも、第1中央線4aを軸に左右線対称の位置に配置されている。また、
図2中、左側の上下2つの取付構造6及び右側の上下2つの取付構造は、第2中央線4bを軸に上下線対称に位置している。なお、以下、上側取付構造6a及び下側取付構造6bをまとめて取付構造6ともいう。
【0030】
また、各複合パネル1において、上下の各長辺には、仕上材2と、ハニカムパネル3と、を一体化するためのストッパ7が2か所ずつ、合計で4か所に配置されている。複合パネル1にストッパ7が配置される位置は、上下の各長辺において、第1中央線4aに対してよりも左右の各短辺の方に近い位置に配置される。例えば、各短辺と、ストッパ7の最も近くに位置する取付構造6と、の間に配置される。各ストッパ7は、上下の各長辺において、左右の各短辺から長辺長さの1/5~1/48、好ましくは1/20程度の位置に配置される。
【0031】
〔取付構造〕
図3に示すように、取付構造6は、穴11と、アンカーナット12と、を備えている。穴11は、底板3c側から天板3b側に向って凹設された有底の穴である。例えば、穴11は、底板3cとハニカムコア3aをドリル等で穴空けして形成されており、穴11は、天板3bによって底が塞がれた有底穴である。この穴11には、固定ナットとしてのアンカーナット12が配置される。
【0032】
アンカーナット12は、ナット部12aと、鍔部12bと、を備えている。ナット部12aは、円筒形状を有しており、一端を開口端とし、他端が閉塞されたボルト挿入穴12cを備えている。ナット部12aは、穴11に対して嵌合可能な外径を備えている。ボルト挿入穴12cは、ナット部12aの内径部分であり雌ネジが切ってある有底穴である。
【0033】
鍔部12bは、ボルト挿入穴12cの開口端周囲より外側に張り出して構成されており、その外周端は、穴11よりも大径である。アンカーナット12は、底板3cに対して溶接可能な金属材料等で構成されており、本実施形態では、アルミニウムで形成されている。
【0034】
アンカーナット12のナット部12aの挿入端から鍔部12bの裏面(ナット部12aの基端)までの長さL1は、底板3cの表面から穴11の底面(天板3bの裏面)までの長さ(深さ)L2よりも短い(L1<L2)。アンカーナット12は、ナット部12aが穴11に対して嵌合されると、鍔部12bが底板3cの表面に突き当たる。この際、ナット部12aの挿入端と穴11の底面11aとの間、及び穴11の側面11bとナット部12aの外周面との間には、隙間が設けられる。この隙間は、穴11内にナット部12aを接着するための接着剤13が貯留する接着空間13aとなる。接着空間13aには、接着剤13が充填される。
【0035】
本実施形態で使用される接着剤13としては、金属同士の高強度接着が可能な接着剤が好ましい。更に、接着剤13としては、アクリル系接着剤等が使用される。また、接着剤13の分量は、少なくとも穴11の底面(天板3bの裏面)と、ナット部12aの挿入端と、を接着可能とする量である。接着剤13は、接着空間13aの全てが埋まるほどの分量は必ずしも必要はない。少なくとも、穴11の底面11aとナット部12aの挿入端面とが接着可能な分量であればよい。接着剤13が底板3cの表面にまで溢れた場合には、底板3cと鍔部12bとの間に接着剤13が介在することになり、その結果、底板3cと鍔部12bとの溶接強度を低下させるおそれがある。
【0036】
図4に示すように、穴11に接着剤13によって接着されたアンカーナット12は、鍔部12bの外周部と底板3cとが溶接される。本実施形態では、一例としてレーザ溶接される。鍔部12bの外周部と底板3cとが溶接された溶接部13bの溶接位置は、鍔部12bの外周端、すなわち境界部分でもよいが、外周端よりも内側位置であることが好ましい。溶接は、外周端よりも内側で行った方が、母材同士がより多く溶融し混ざり合うことで、溶接強度を高め、更に耐久性を高めることができる。ハニカムパネル3の底板3cにおいて、鍔部12bは、周囲よりも鍔部12bの厚さ分だけ突出する。
【0037】
〔アンカーナットの変形例〕
また、アンカーナット12は、
図5~
図7に示すカシメナット51及びダブルスクリューナット52で構成される固定ナットで代替することができる。すなわち、カシメナット51は、スチール、ステンレス、アルミ、銅等の金属材料の成形部品であって、スリーブ51aと、フランジ51bと、を備えている。カシメナット51において、スリーブ51aの挿入端からフランジ51bの裏面(スリーブ51aの基端)までの長さL1は、底板3cの表面から穴11の底面(天板3bの裏面)までの長さ(深さ)L2である。スリーブ51aの内面は、ネジが切ってありナット部51cを構成している。
図5に示すように、穴11には、スリーブ51aが嵌合される。すると、フランジ51bの裏面が底板3cの表面に突き当たるとともに、スリーブ51aの挿入端が底面11aと突き当たる。
【0038】
次いで、カシメナット51は、ナッター等の工具によってカシメられる。ナッターは、はカシメナット51を底板3cに取り付けるための工具である。カシメナット51は、スリーブ51aの挿入端とは反対側であってフランジ51bの位置において、底板3cの穴11の周囲にカシメられる。カシメられた部分は、カシメ部51dであり、鍔部である。これにより、カシメナット51において、スリーブ51aの挿入端からフランジ51bの裏面(スリーブ51aの基端)までの長さL1は、短くなり、スリーブ51aの挿入端は、底面11aから離間する。フランジ51bは、ハニカムパネル3の底板3cにおいて、フランジ51bの厚さ分だけ突出する。
【0039】
次いで、
図7に示すように、スリーブ51aには、ダブルスクリューナット52が締め付けられる。ダブルスクリューナット52は、筒形状のナット本体52aを備えている。ナット本体52aは、内側に貫通孔を有する筒形状を有している。そして、ナット本体52aは、内周面に内側ネジ52bが設けられているとともに、外周面に外側ネジ52cが設けられている。ナット本体52aは、挿入端に接着剤13を付着させた状態又はスリーブの内周に接着剤13を入れた後、ナット部51cに締め付けられる。すなわち、外側ネジ52cとナット部51cのネジとが接着剤13によって緩み止めがされた状態で締め付けられる。
【0040】
かくして、カシメナット51及びダブルスクリューナット52で構成される固定ナットは、アンカーナット12と同様なものとなる。そして、ナット本体52aの内部空間が、ボルト挿入穴12cを構成する。この変形例では、アンカーナット12のように底板3cとの溶接が不要である。したがって、施工現場でドリル等の工具を用いて穴11を設けた後、カシメナット51を穴11に取り付ける。そして、カシメナット51にダブルスクリューナット52を取り付けることで、アンカーナット12と同等なものを設けることができる。
【0041】
このようなカシメナット51及びダブルスクリューナット52を用いた変形例は、上述のアンカーナット12を用いた例と併用することもできる。例えば、工場において、アンカーナット12を用いた複合パネル1を製造し、施工現場の状況に応じて、取付強度を高めるため、カシメナット51及びダブルスクリューナット52による取付構造を追加するようにしてもよい。なお、以下の説明では、アンカーナット12を例に説明する。
【0042】
〔複合パネルの取付〕
図8において、上側に位置する複合パネル1が上側複合パネル1aであり、上側複合パネル1aの下側に隣接して位置する複合パネル1が下側複合パネル1bである。上下に並ぶ各複合パネル1a,1bの各々において、上側は、上側取付構造6aによって下地部9に固定されると共に、下側は、下側取付構造6bによって下側複合パネル1bと繋げられる。
図8は、上側複合パネル1aにおける下側取付構造6bと下側複合パネル1bにおける上側取付構造6aと、を示している。
【0043】
下側複合パネル1bの上側部分に設けられる上側取付構造6aは、取付部材として、第1固定金具14と、第2固定金具15と、を備えている。本実施形態において、下地部9は、鉄骨下地、軽量鉄骨下地、LGS造、コンクリート下地等である。取付構造6は、複合パネル1を軽量鉄骨下地、LGS造等にも取付可能な構造である。
【0044】
第1固定金具14及び第2固定金具15は、共に、例えばL字金具である。第1固定金具14は、複合パネル1bのハニカムパネル3と第2固定金具15と、を連結する。第2固定金具15は、第1固定金具14と下地部9と連結する。
【0045】
第1固定金具14は、第1片14aと、第2片14bと、を備えている。第1片14aは、M6ボルトといった、従来よりも小型のボルト16が通し穴に通される。そして、ボルト16は、第1片14aと後述の上側連結部材21を介在させて、ナット部12aと締結される。第2固定金具15も、第1片15aと、第2片15bと、を備えている。第1固定金具14の第2片14bと第2固定金具15の第1片15aも、重ねられてボルト17によって締結される。更に第2固定金具15の第2片15bは、ボルト18によって下地部9に締結される。ボルト17,18は、例えばドリリングタッピングネジである。これにより、下側複合パネル1bは、上側取付構造6aにおいて、固定金具14,15を通じて、吊下げるように下地部9に取り付けられる。
【0046】
図9に示すように、底板3cと第1片14aとの間には、取付部材としての上側連結部材21が介在される。上側連結部材21は、矩形形状を有した金属板である。上側連結部材21は、長手方向において、第1部分21aと第2部分21bと、を備える。下側部分である第1部分21aは、底板3cと第1片14aとの間に介在されてボルト16によって固定される。上側連結部材21の上側部分である第2部分21bは、上側複合パネル1aと下側複合パネル1bの継ぎ目である目地19を跨ぎ、下側複合パネル1bと重畳するように延在する。
【0047】
上側複合パネル1aの下側部分に設けられる下側取付構造6bは、取付部材としての下側連結部材22がボルト16を通じてナット部12aと締結される。下側連結部材22は、矩形形状を有した板材であり、上側部分である第1部分22aと、下側部分である第2部分22bと、を備えている。第1部分22aは、ボルト16を通じてナット部12aと締結される。第2部分22bは、下側複合パネル1bの下縁の方向、すなわち下側複合パネル1bの方向に延在する。ここでの第2部分22bは、目地19を跨いではいない。第2部分22bは、先端が底板3cから離れる折曲部22cを備えている。そして、第2部分22bは、底板3cとの間に上側連結部材21の第2部分21bを挟み込む。下側連結部材22は、ボルト16が締結されることで、板バネのように作用し、上側連結部材21を底板3cに押さえ付ける。
【0048】
上側連結部材21の第2部分21bと下側連結部材22の第2部分22bとは、重なることで、出入りが調整され、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、下側連結部材22と上側連結部材21との相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0049】
〔ストッパ〕
図10に示すように、各複合パネル1には、ハニカムパネル3に対して仕上材2の脱落を防ぐストッパ7が設けられている。ストッパ7は、各複合パネル1の上下の長辺の両側に配置されている。すなわち、各ストッパ7は、矩形形状を有した複合パネル1のコーナ部近傍に配置され、合計で4つ配置されている。各ストッパ7は、全体が鉤形状を有した金属金具で構成されており、固定部7aと、延在部7bと、係合部7cと、を備えている。ストッパ7は、矩形形状を有した金属板(例えば板厚1mm程度)を折曲して構成されている。
【0050】
固定部7aは、ハニカムパネル3の底板3c上に延在する片であって、固定ボルト8aをハニカムパネル3に締め付けることによって、底板3c上に固定される。延在部7bは、例えば固定部7aに対して90°程度、折曲して構成されている。延在部7bは、ハニカムパネル3の端面に、底板3c側から天板3b側の方向に延在し、先端は、仕上材2の端面に延在する。係合部7cは、延在部7bに対して90°程度、折曲して構成された片であって、固定部7aと平行な片である。仕上材2の端面は、厚さ方向のほぼ中程に係合部7cが係合する溝8を備えている。例えば、仕上材2は、厚さが6mmであるところ、溝8は、外装表面から3mm程度の位置に幅が1mmとなるように形成される。
【0051】
以上のように構成されたストッパ7は、固定部7aを底板3c上に配置し、延在部7bを複合パネル1の端面に沿わし、係合部7cを溝8に係合させる。その後、固定部7aは、ドリリングタッピングネジ等の固定ボルト8aがハニカムパネル3に締め付けられることで固定される。
図2に示すように、各複合パネル1は、上下の長辺の両側のコーナ部近傍に配置されている。したがって、ハニカムパネル3と仕上材2は、ストッパ7によっても一体化される。
【0052】
複合パネル1において、仕上材2は、薄石パネルであって、軽量化されている。したがって、ストッパ7も、より薄い金属板で構成することができ、これに合わせ、溝8も狭幅化できる。すなわち、溝8は、薄石パネルの端面に溝を形成しても、当該薄石パネルが割れてしまうことがない程度の幅で構成することができる。
【0053】
〔取付順序〕
以上のように構成された複合パネル1は、ハニカムパネル3にアンカーナット12が固定され、且つストッパ7が取り付けられた状態で運搬される。そして、施工現場において、複合パネル1は、上側取付構造6aによって、下地部9に対して吊下げられるように取り付けられる。取付順序は、下側複合パネル1bを下地部9に取り付けてから、上側複合パネル1aが下地部9に取り付ける。この際、下側連結部材22と底板3cとの間に上側連結部材21を差し込む。これにより、下側連結部材22と底板3cとの間に上側連結部材21が挟み込まれる。これにより、複合パネル1の出入り(複合パネル1の居住空間側となる表面に対して交差する方向)が調整され、上側複合パネル1aの表面と下側複合パネル1bの表面とが面一とされる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制する。更に、下側連結部材22と上側連結部材21との相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0054】
〔第1実施形態の効果〕
以上のような第1実施形態は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)複合パネル1は、仕上材2をハニカムパネル3に対して固定して構成されるので軽量化することができる。更に、仕上材2を構成する石材パネルも薄板化されているので、この点でも、仕上材2は、軽量化される。
【0055】
(1-2)取付構造6は、ハニカムパネル3の穴11に対して、アンカーナット12を接着及び溶接で固定することになる。したがって、例えば、アンカーナット12を穴11に接着剤13だけで固定する場合よりも強固なものとなる。また、アンカーナット12とハニカムパネル3との関係において、耐久性を向上することができる。
【0056】
(1-3)複合パネル1を製造するにあたって、穴11にアンカーナット12が接着剤13で固定してから溶接を行うことになる。したがって、溶接作業時に、穴11からアンカーナット12が脱落してしまうことによる作業効率の低下を抑えることができる。
【0057】
(1-4)複合パネル1を下地部9に固定する取付構造6も簡素化できる。例えば、取付部材を介在させてアンカーナット12のナット部12aに締め付けられるボルト16も、複合パネル1が軽量化された分、より呼び径の小さいボルトを使用することができる。
【0058】
(1-5)複合パネル1は、軽量化されているので、運搬作業や下地部9への取付作業が容易なものとなる。
(1-6)複合パネル1は、軽量化されているので、下地部9の構造や取付部材を簡素化できるので、複合パネル1の裏側の空間を狭空間化できる。そして、その分、居住空間や床の有効面積を広くすることができる。
【0059】
(1-7)複合パネル1は、1枚1枚が下地部9に対して取付構造6を通じて取り付けられるので耐震性にも優れたものとなる。
(1-8)アンカーナット12は、鍔部12bの外周端より内側の位置において、ハニカムパネル3の底板3cに溶接されることで、より溶接強度を高めることができる。
【0060】
(1-9)上側連結部材21と下側連結部材22とが重なることで、出入りが調整され、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、下側連結部材22と上側連結部材21との相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0061】
(1-9)ハニカムパネル3に固定されたストッパ7の係合部7cが仕上材2の端面に設けられた溝8に係合することで、ハニカムパネル3と仕上材2とが一体化することができる。
【0062】
〔複合パネルの取付(
図8及び
図9)の変形例〕
図11に示すように、下地部9は、壁用の建築用角型鋼製下地材として、上下ランナーに角スタッド9aを差し込んで構成されている。
【0063】
下側複合パネル1bの上側部分に設けられる上側取付構造6aは、取付部材として、第1固定金具61と、第2固定金具62と、ダクターチャンネル63と、を備えている。第1固定金具61は、第1固定部61aと、第2固定部61bと、を備えている。第1固定部61aは、縦方向に延びる角スタッド9aに固定される部分である。第1固定部61aは、U字形状を有しており、角スタッド9aが嵌合される。そして、第1固定部61aは、角スタッド9aとM8ボルト等のボルト64によって固定される。第2固定部61bは、角スタッド9aに対して垂直となる片である。第2固定部61bは、ダクターチャンネル63が延びる横方向を長軸とした固定孔を備えており、第2固定部61bに配置されたダクターチャンネル63がM6ボルト等のボルト、ナット等で構成される締結部材65によって固定される。
【0064】
ダクターチャンネル63は、溝が構成された断面凹部形状を有している。ダクターチャンネル63は、角スタッド9aと交差するように例えば横方向に延在される。ダクターチャンネル63は、第2固定部61bの上に溝を上側にして配置され、締結部材65によって固定される。ダクターチャンネル63には、第1板金66aと第2板金66bとによって第2固定金具62が固定される。第1板金66aは、ダクターチャンネル63の溝内に配置され、第2板金66bは、ダクターチャンネル63の溝上に配置される。
【0065】
第2固定金具62は、例えばL字金具である。第1片62aと、第2片62bと、を備えている。第1片62aは、上下方向に延びている。第1片62aは、ルーズ穴62cを備えている。ハニカムパネル3の底板3cにおいて、鍔部12bは、周囲の底板3cの表面よりも鍔部12bの厚さ分だけ突出する。鍔部12bの外周部と底板3cとが溶接されたルーズ穴62cは、鍔部12bの突出部分よりも大きく、当該部分を逃げることができる大きさを有している。すなわち、第1片62aの厚さは、ルーズ穴62cの深さであり、ルーズ穴62cの深さは、鍔部12bの突出高さと同じ又は突出高さよりも大きい。なお、ルーズ穴62cは、上下方向を長軸とした長穴である。第1片62aには、押さえ板67が配置される。第1片62aは、鍔部12bとルーズ穴62c内に位置させ、押さえ板67が配置される。そして、これらは、M6ボルト等のボルト67aによってナット部12aに固定される。第1片62aの上側部分は、上側複合パネル1aと下側複合パネル1bの継ぎ目である目地19を跨ぎ、上側複合パネル1aと重畳するように延在する。第1片62aは、上側連結部材である。
【0066】
第2片62bは、ダクターチャンネル63と固定するための固定穴を備えている。固定穴は、例えば前後方向を長軸とした長穴である。そして、第1板金66a及び第2板金66bと重ねられ、M6ボルト等のボルト、ナット又はナットプレート等で構成された締結部材68によって固定される。
【0067】
上側複合パネル1aの下側部分に設けられる下側取付構造6bは、取付部材としての下側連結部材71がボルト72を通じてナット部12aと締結される。下側連結部材71は、矩形形状を有した板材であり、上側部分である第1部分71aと、下側部分である第2部分71bと、を備えている。第1部分71aは、ボルト72を通じてナット部12aと締結される。第2部分71bは、下側複合パネル1bの下縁の方向、すなわち下側複合パネル1bの方向に延在する。第2部分71bは、先端が底板3cから離れる折曲部71cを備えている。折曲部71cは、目地19上に延びる。
【0068】
底板3cの上には、下板73が配置される。下板73は、矩形金属板で、例えば第1片62aと同じ厚さである。下板73は、ルーズ穴73aを備えている。ルーズ穴73aは、鍔部12bの突出部分より大きく、当該部分を逃げることができる大きさを有している。第2部分71bは、底板3cとの間に下板73を介在させて第1片62aの先端側を挟み込む。下側連結部材71は、ボルト72が締結されることで、板バネのように作用し、第1片62aの先端側を底板3cに押さえ付ける。第1片62aは、ボルト67aが挿通されるルーズ穴62cを備えている。したがって、第1片62aに対する複合パネル1の位置をルーズ穴62cの範囲内で微調整できる。
【0069】
第1片62aの上側部分と第2部分71bとは、重なることで、出入りが調整され、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、第1片62aの上側部分と第2部分71bとは、相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。なお、本実施形態において、ルーズ穴62c,73aの何れか一方を、ルーズ穴で構成しなくてもよい。
【0070】
〔第2実施形態〕
図12に示すように、第2実施形態では、複合パネル1が取付プレート31によって吊下げられるようにして下地部9に対して取り付けられる。また、連結プレート41によって、上側複合パネル1aの表面と下側複合パネル1bの表面とが面一とされる。取付プレート31も連結プレート41も、複合パネル1に対して取付構造6を介して取り付けられる。
【0071】
取付プレート31は、複合パネル1の上側の長辺の両側に配置される。連結プレート41は、複合パネル1の下側の長辺の両側に配置される。例えば、上側の長辺において、左右の各短辺から長辺長さの1/4~1/34程度、好ましくは1/8程度の位置に配置される。連結プレート41は、取付プレート31に対して内側に並ぶように配置される。
【0072】
図13の例において、取付プレート31は、下側複合パネル1bの上側の長辺の両側に第2部分31bが取付構造6aによって固定される。取付プレート31は、取付構造6aから上方に延びている。そして、上側部分である第1部分31aは、上側複合パネル1aの下側部分と重なる位置において、下地部9に固定される。
【0073】
取付プレート31は、矩形形状を有した金属板である。下側部分である第2部分31bは、M6ボルトといった、従来よりも小型のボルト16を通じて、下側複合パネル1bの上側取付構造6aを構成しているナット部12aと締結される。第2実施形態は、取付プレート31で下地部9に取り付けられるものであるから、第1実施形態より複合パネル1の裏側の空間が狭空間化される。したがって、ボルト16には、低頭ボルト又は極低頭ボルトが使用される。取付プレート31の第1部分31aは、上側複合パネル1aの下側部分にまで延在する。第1部分31aは、ドリリングタッピングネジ等の固定ボルト32を通じて、下地部9のプレートと連結される。すなわち、下側複合パネル1bは、取付プレート31によって、上側複合パネル1aと重なる位置から、目地19を跨ぎ、吊下げられるように取り付けられる。取付プレート31において、第1部分31aは、下地部9と接触し、第2部分31bは、ハニカムパネル3の底板3cと接触する。第1部分31aと第2部分31bとの間は、傾斜部分31cである。傾斜部分31cは、変位部でもあり、出入り方向の荷重が加わったときに第2部分31bが下地部9側に変位することで、接着剤42と共に複合パネル1に加わった衝撃を吸収する。更に、建物の変位に追従して取付プレート31も変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0074】
連結プレート41は、矩形形状を有した金属板である。連結プレート41は、取付プレート31の内側に並んで配置される。
図14の例において、上側部分である第1部分41aは、上側複合パネル1aの下側取付構造6bを構成しているナット部12aと締結される。連結プレート41の下側部分である第2部分41bは、下側複合パネル1bの上側部分にまで延在する。そして、上下の複合パネル1a,1bは、連結プレート41と共に、接着剤42によって下地部9に対して固定される。本実施形態で使用する接着剤42は、例えば弾性接着剤、ゴム系接着剤等である。一例として、複合パネル1a,1bは、連結プレート41の周囲において団子貼りされる。
【0075】
連結プレート41は、第1部分41aが上側複合パネル1aの下側取付構造6bに取り付けられる。具体的に、第1部分41aは、上側複合パネル1aの下側取付構造6bを構成しているナット部12aと締結される。第2部分41bは、接着剤42によって下地部9と上下の複合パネル1a,1bの底板3cに接着固定される。第2部分41bは、下側複合パネル1bの底板3cに接した状態とされる。これにより、出入り方向の調節がなされ、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、接着剤42で複合パネル1に加わった衝撃を吸収することができる。更に、建物の変位に追従して連結プレート41も変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0076】
なお、第2実施形態においても、各複合パネル1には、第1実施形態と同様に、ストッパ7が設けられている。
〔第2実施形態の効果〕
以上のような第2実施形態は、上記第1実施形態の(1-1)乃至(1-7)に記載した効果に加え、更に以下に列挙する効果を得ることができる。
【0077】
(2-1)下地部9に対して取付プレート31を通じて複合パネル1を吊下げるようにして取り付けることができる。これにより、締結空間を狭空間化できる。また、傾斜部分31cで複合パネル1に加わった衝撃を吸収することができる。更に、建物の変位に追従して取付プレート31も変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0078】
(2-2)連結プレート41は、第1部分41aが上側複合パネル1aの下側取付構造6bに取り付けられ、第2部分41bが底板3cに接した状態で接着剤42によって下地部9に接着固定される。これにより、設置時に出入り調整をして、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、接着剤42で複合パネル1に加わった衝撃を吸収することができる。更に、建物の変位に追従して連結プレート41も変位することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0079】
〔
図14の変形例〕
図15に示すように、下側複合パネル1bの上側部分に設けられる上側連結部材81は、長手方向において、第1部分81aと、第2部分81bと、を備えている。下側部分である第1部分81aは、貫通穴82を備えている。第1部分81aには、押さえ板83が配置される。第1部分81aに押さえ板83が重ねられ、ボルト84によってナット部12aに固定される。上側部分である第2部分81bは、上側複合パネル1aと下側複合パネル1bの継ぎ目である目地19を跨ぎ、上側複合パネル1aと重畳するように延在する。
【0080】
上側複合パネル1aの下側部分に設けられる下側連結部材86がボルト87を通じてナット部12aと締結される。下側連結部材86は、矩形形状を有した板材であり、上側部分である第1部分86aと、下側部分である第2部分86bと、を備えている。第1部分86aは、ボルト87を通じてナット部12aと締結される。第2部分86bは、下側複合パネル1bの下縁の方向、すなわち下側複合パネル1bの方向に延在する。第2部分86bは、先端が底板3cから離れる折曲部86cを備えている。折曲部86cは、目地19上に延びる。
【0081】
底板3cの上には、下板88が配置される。下板88は、矩形金属板で、例えば上側連結部材81と同じ厚さである。下側連結部材86は、底板3cとの間に下板88を介在させて上側連結部材81の第2部分81bを挟み込む。下側連結部材86は、ボルト87が締結されることで、板バネのように作用し、第2部分81bを底板3cに押さえ付ける。
【0082】
第2部分81bと第2部分86bとは、重なることで、出入りが調整され、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。更に、第2部分81bと第2部分86bとは、相対的位置がずれることで、建物の変位にも追従することができる。これにより、建物が変位しても上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面の面一の状態を維持できる。
【0083】
〔ストッパの変形例〕
図16に示すように、ストッパ91は、固定部91aと、延在部91bと、を備えている。ストッパ91は、矩形形状を有した金属板(例えば板厚1mm程度)を折曲して構成されている。固定部91aは、ハニカムパネル3の底板3c上に延在する片であって、固定ボルト8aをハニカムパネル3に締め付けることによって、底板3c上に固定される。延在部91bは、例えば固定部91aに対して90°程度、折曲して構成されている。延在部91bは、ハニカムパネル3の端面(下面)に、底板3c側から天板3b側の方向に延在し、先端は、仕上材2の端面に延在する。この例では、
図10のストッパ7で示したような係合部7cは設けられていない。
【0084】
図17に示すように、以上のように構成されたストッパ91は、固定部91aを底板3c上に配置し、延在部91bを複合パネル1の端面(下面)に沿わす。その後、固定部91aは、ドリリングタッピングネジ等の固定ボルト8aがハニカムパネル3に締め付けられることで固定される。すなわち、ストッパ91は、ストッパ7のように、複合パネル1の上面や側面を構成する端面には配置されない。ストッパ91は、ハニカムパネル3から仕上材2が下方にずれることを抑制する部材である。
【0085】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。
〔ストッパの変形例(
図10参照)〕
・第1実施形態及び第2実施形態において、ストッパ7を設ける位置やストッパ7の数は、上述の例に限定されるものではない。すなわち、上記第1実施形態及び第2実施形態での配置に加え、又は代えて、次のようにストッパ7を配置してもよい。例えば、複合パネル1の左右の短辺の上下両側に設けるようにしてもよい。また、上下の長辺の中央位置に1つ設けると共に、左右の短辺の中央位置に設けるようにしてもよい。更に、ストッパ7は、上側の長辺の両側に設けるだけでもよいし、下側の長辺の両側に設けるだけでもよい。
【0086】
〔第2実施形態の変形例(
図14参照)〕
・第2実施形態において、接着剤42を省略してもよい。このような構成によっても、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制する機能はなくなるが、上下に隣接して並ぶ複合パネル1a,1bの表面を面一に配置できる。
【0087】
〔連結プレートの変形例〕
・第2実施形態において、接着剤42は、連結プレート41の周囲だけでなく、更に広い範囲、例えば複合パネル1a,1bの全面に塗布するようにしてもよい。
【0088】
・連結プレート41を配置する位置は、取付プレート31の内側に並べるように配置するのではなく、取付プレート31の外側に配置してもよいし、取付プレート31に対して離間して配置するようにしてもよい。
【0089】
・連結プレート41を配置する位置は、上側複合パネル1aにおける下側の長辺の両側に2か所設けるだけでなく、更に例えばその間に1つ又は複数設けるようにしてもよい。この場合、連結プレート41が配置される位置に取付構造6が設けられる。
【0090】
・第2実施形態において、連結プレート41を省略する構成としてもよい。また、第1実施形態の構造に、更に連結プレート41を付加する構成としてもよい。
・第2実施形態において、取付プレート31は、取付プレート31の第1部分31aは、上側複合パネル1aと重なって位置するのではなく、全体が下側複合パネル1bと重なる位置に配置されるようにしてもよい。このような場合、上側取付構造6aの位置を下げて、第1部分31aも下側複合パネル1bに重なるようにすればよい。
【0091】
〔取付プレートの変形例(
図12及び
図13参照)〕
・取付プレート31を配置する位置は、下側複合パネル1bにおける上側の長辺の両側に2か所設けるだけでなく、例えばその間に1つ又は複数設けるようにしてもよい。この場合、取付プレート31が配置される位置に取付構造6が設けられる。すなわち、取付プレート31や取付構造6の数は特に限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0092】
〔第1実施形態の変形例〕
〔上側連結部材と下側連結部材の変形例(
図8参照)〕
・上側連結部材21が下側連結部材22を底板3cとで挟み込むように構成してもよい。このような構成によっても、上側複合パネル1aの表面と下側複合パネル1bの表面とが面一とすることができる。また、複合パネル1が居住空間側に剥がれ落ちることを抑制することができる。
【0093】
・複合パネル1を固定金具14,15を用いて下地部9に取り付ける構造は、下側複合パネル1bにおける上側の長辺の両側に2か所設けるだけでなく、それ以上設けるようにしてもよい。例えば、下側複合パネル1bにおける上側の長辺両側の2か所に加え、その間に1つ又は複数付加するようにしてもよい(
図2参照)。
【0094】
・上側連結部材21は、固定金具14を取り付ける上側取付構造6aとは別に新たな上側取付構造6aを設けて、この新たな取付構造6aにボルトを使って取り付けるようにしてもよい。この場合、上側複合パネル1aの下側取付構造6bは、新たな取付構造6aに対応する位置に設けられることになる。
【0095】
〔第1実施形態及び第2実施形態に共通の変形例〕
・第1実施形態及び第2実施形態において、鍔部12bと底板3cとの溶接は、必要強度が得られるのであれば、外周端、すなわち境界部分でもよい(
図4参照)。
【0096】
・溶接部13bで必要な強度を得られるのであれば、接着剤13を省略してもよい。また、溶接時の作業効率の低下を他の手段等で抑えられるのであれば、接着剤13を省略してもよい(
図3参照)。
【0097】
・第1実施形態及び第2実施形態において、穴11は、有底の穴である必要はあるが、底面11aは、天板3bではなく、仕上材2の裏面でもよい。また、穴11が仕上材2の中まで食い込んで、底面11aが仕上材2の厚さ方向中程に位置していてもよい。すなわち、ボルト16の挿入端が仕上材2の表面に臨んでいなければよい。
【0098】
・第1実施形態及び第2実施形態において、アンカーナット12の鍔部12bとハニカムパネル3の底板3cとは、溶接可能であれば、材質は特に限定されるものではない。例えば、ハニカムコア3aがアルミニウムで、天板3b及び/又は底板3cがFRP(Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂板であってもよい。
【0099】
・第1実施形態及び第2実施形態において、仕上材2の形状は、矩形形状に限定されるものではなく、三角形、五角形、六角形等の多角形のパネルであってもよいし、円形又は楕円形のパネルであってもよい。下地部9には、同一形状の複合パネル1が並べられる場合だけでなく、様々な形状の複合パネル1を下地部9に取り付けるようにしてもよい。複合パネル1の形状は、設置場所のデザイン設計によることになる。
【0100】
・複合パネル1は、建物の外壁など外部壁に使用される外壁用パネルであってもよい。
上記実施形態、及び、その変形例によれば、更に、以下の技術的思想が導き出される。
(付記1)
ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定されてなる複合パネルを下地部に固定する複合パネルの取付構造であって、
前記複合パネルは、前記下地部において上下方向に配列されることで、上下に並ぶ上側複合パネル及び下側複合パネルを備え、
前記取付構造は、
前記上側複合パネルにおける、前記上下方向における中央よりも下側に偏った位置に設けられる下側取付構造と、前記下側複合パネルにおける、前記上下方向における中央よりも上側に偏った位置に、設けられる上側取付構造とがあり、
前記下側取付構造からは、下側連結部材が前記上側取付構造の方向に延在し、
前記上側取付構造からは、上側連結部材が前記下側取付構造の方向に延在し、
前記下側連結部材と前記上側連結部材は、重なって構成されている
複合パネルの取付構造。
【0101】
複合パネルの取付構造では、複合パネルの下地部に対する取付の作業効率向上が望まれている。上記構成によれば、ハニカムパネルと下側連結部材及び上側連結部材の何れか一方の連結部材との間に、他方の連結部材が挟み込まれる。これにより、上下に隣接して並ぶ複合パネルの表面が面一となるように容易に取り付けることができる。
【0102】
(付記2)
ハニカムパネルの一方の面に仕上材が接着剤によって固定されてなる複合パネルにおいて、前記ハニカムパネルと前記仕上材とを連結するストッパ構造であって、
前記仕上材は、端面に溝を備え、
前記ハニカムパネルの他方の面に重なり前記ハニカムパネルに固定される固定部と、前記ハニカムパネルの端面を通じて前記仕上材の端面にまで延びる延在部と、を備える
ストッパ構造。
【0103】
ハニカムパネルの一方の面に仕上材が固定されてなる複合パネルは、複合パネルの強度を維持しつつ軽量化を実現することができる。しかし、仕上材とハニカムパネルの一方の面とは接着剤で接着固定されることが多い。複合パネルでは、仕上材のハニカムパネルからの脱落を抑えて、更に信頼性の向上が望まれている。
【0104】
上記構成によれば、ストッパは、延在部が複合パネルの端面(下面)に沿うように配置される。これにより、ストッパは、ハニカムパネルから仕上材が下方にずれることを抑制することができる。
【0105】
(付記3)
前記仕上材は、端面に溝を備え、前記ストッパは、前記溝に係合する係合部を備える
(付記3)に記載の複合パネルの取付構造。
【0106】
上記構成によれば、ハニカムパネルに固定されたストッパの係合部が仕上材の下面だけではなく上面や側面を構成する端面に設けられた溝に係合することで、ハニカムパネルと仕上材とを一体化することができる。すなわち、複合パネルが下地部から前方に剥がれることを防ぐことができる。また、一層信頼性を向上することができる。
ように構成してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1(1a,1b)…複合パネル
2…仕上材
3…ハニカムパネル
3a…ハニカムコア
3b…天板
3c…底板
4a,4b…中央線
6(6a,6b)…取付構造
7…ストッパ
7a…固定部
7b…延在部
7c…係合部
8…溝
8a…固定ボルト
9…下地部
11…穴
11a…底面
11b…側面
12…アンカーナット
12a…ナット部
12b…鍔部
12c…ボルト挿入穴
13…接着剤
13a…接着空間
13b…溶接部
14…第1固定金具
14a…第1片
14b…第2片
15…第2固定金具
15…固定金具
15a…第1片
15b…第2片
16~18…ボルト
19…目地
21…上側連結部材
21a…第1部分
21b…第2部分
22…下側連結部材
22a…第1部分
22b…第2部分
22c…折曲部
31…取付プレート
31a…第1部分
31b…第2部分
31c…傾斜部分
32…固定ボルト
41…連結プレート
41a…第1部分
41b…第2部分
42…接着剤