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特許7587903過熱蒸気発生ユニット及びこれを用いた熱処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】過熱蒸気発生ユニット及びこれを用いた熱処理システム
(51)【国際特許分類】
   F22G 3/00 20060101AFI20241114BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20241114BHJP
   F22G 1/16 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F22G3/00 Z
F22B1/28 Z
F22G1/16
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024523209
(86)(22)【出願日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2024002437
【審査請求日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2023059858
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392032144
【氏名又は名称】有限会社ティエスエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】小野 達實
(72)【発明者】
【氏名】小野 真人
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009764(JP,A)
【文献】特開2008-075891(JP,A)
【文献】特開平07-293754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 3/00
F22B 1/28
F22G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和蒸気入口(11a)又は水入口及び閉塞端(11b)を有し、第1の開放端(OP1)を有する第1の断熱構造体(11)と、
前記第1の断熱構造体(11)内の前記飽和蒸気入口(11a)又は前記水入口と前記閉塞端(11b)との間に設けられ、複数の直線部(12-1~12-6)と該各直線部(12-1~12-6)を折返す複数の折返部(12-7~12-11)とよりなるヘアピン状導電中空管ヒータ(12)と、
前記ヘアピン状導電中空管ヒータ(12)の中途に設けられ、該ヘアピン状導電中空管ヒータ(12)内の過熱蒸気(Q1)を吐出させて前記第1の開放端(OP1)に向かわせるための過熱蒸気吐出ノズル(12a)と、
前記第1の断熱構造体(11)と前記ヘアピン状導電中空管ヒータ(12)の前記直線部(12-1~12-6)との間に設けられ、該直線部(12-1~12-6)を摺動可能に保持するための碍子構造(16’、17a、17b、18a、18b)と
を具備する過熱蒸気発生ユニット。
【請求項2】
前記碍子構造(16’、17a、17b、18a、18b)は、前記直線部(12-1~12-6)の直径より大きい直径の開口部を有し、前記直線部(12-1~12-6)を通すための耐熱性ホルダ(16’)を具備する請求項1に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項3】
さらに、前記第1の開放端(OP1)に設けられ、前記過熱蒸気吐出ノズル(12a)を通過させるための開口を有する第1の加熱プレート(14)を具備する請求項1に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項4】
前記折返部(12-7~12-11)は無拘束状態である請求項1に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項5】
さらに、前記第1の断熱構造体(11)の前記第1の開放端(OP1)に接続された第2の開放端(OP2)及び該第2の開放端(OP2)に対向する第3の開放端(OP3)を有する第2の断熱構造体(21)と、
前記第2の断熱構造体(21)内に設けられ、前記ヘアピン状導電中空管ヒータ(12)より高温となる高温ヒータ(22)と
を具備する請求項1に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項6】
さらに、前記第2の断熱構造体(21)の前記第2の開放端(OP2)に設けられ、前記過熱蒸気吐出ノズル(12a)を通過させるための開口を有する第2の加熱プレート(14’)を具備する請求項5に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項7】
前記高温ヒータ(22)は前記第2の加熱プレート(14’)に設けられた請求項6に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項8】
さらに、前記第2の断熱構造体(21)の前記第3の開放端(OP3)に設けられ、前記過熱蒸気(Q2)を通過させるための開口を有する第3の加熱プレート(24)を具備する請求項5に記載の過熱蒸気発生ユニット。
【請求項9】
請求項1又は請求項5に記載の過熱蒸気発生ユニット(1、2)と、
前記第1の開放端(OP1)又は前記第3の開放端(OP3)に接続された熱処理ユニット(3)と
を具備する熱処理システム。
【請求項10】
前記熱処理ユニット(3)は、
前記過熱蒸気発生ユニット(1、2)から過熱蒸気(Q1、Q2)を受けて処理物を熱分解するための熱分解チャンバ(31)と、
前記熱分解チャンバ(31)にて抽出された水分を抜き取るための水分抜取手段(34’)と、
前記熱分解チャンバ(31)にて前記処理物の熱分解によって発生した乾留ガス(G)を凝縮液化するための凝縮液化手段(36、36’、36”)と、
前記熱分解チャンバにて前記処理物の熱分解された残渣物(R)を搬出するための残渣物搬出手段(38)と
を具備する請求項9に記載の熱処理システム。
【請求項11】
前記熱分解チャンバ(31)は、
前記処理物を撹拌するためのスクリュー(32)と、
前記スクリュー(32)を駆動するための駆動手段(33、33’)と
を具備する請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項12】
さらに、前記熱分解チャンバの上方に前記処理物を投入するためのホッパ(34)を具備する請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項13】
さらに、前記熱分解チャンバの側壁に前記処理物を投入するための処理物投入口(44)を具備する請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項14】
前記処理物は産業廃棄物である請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項15】
前記処理物は医療廃棄物である請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項16】
前記処理物は冷凍食材である請求項10に記載の熱処理システム。
【請求項17】
前記処理物は石炭、木、竹等の原材料である請求項10に記載の熱処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は過熱蒸気発生ユニット及びこれを用いた熱処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
重油、灯油、ガス類の化石燃料由来のエネルギーを用いずに過熱蒸気を用いた過熱蒸気発生ユニットが知られている。尚、過熱蒸気は飽和蒸気をさらに加熱することにより得られ、飽和蒸気に比較して少酸素状態となるので、水等の熱処理物、乾留ガス等が酸化、燃焼することがない。従って、過熱蒸気は、脱水熱処理、油分抽出熱処理、乾燥熱処理、炭化熱処理、賦活熱処理等に広く用いられる。
【0003】
脱化石燃料による過熱蒸気発生ユニットとしては、飽和蒸気(又は水)入口及び過熱蒸気出口(又は閉塞端)を有する断熱構造体に電気的に駆動される導電中空管ヒータを設けたものがある。
【0004】
図9は第1の従来の過熱蒸気発生ユニットを示す図である(参照:特許文献1)。
【0005】
図9の過熱蒸気発生ユニット100においては、円筒状断熱構造体101内で飽和蒸気(又は水)入口101aから過熱蒸気出口101bへ向ってインコネル、ハステロイ又はステンレスの合金よりなる螺旋状導電中空管ヒータ102が設けられている。螺旋状導電中空管ヒータ102の飽和蒸気入口101a側には、放熱板103a-1が設けられた飽和蒸気側電極103aが設けられ、他方、螺旋状導電中空管ヒータ102の過熱蒸気出口101b側には、放熱板103b-1が設けられた過熱蒸気側電極103bが設けられている。飽和蒸気側電極103aと過熱蒸気側電極103bとの間に直流電圧又は交流電圧が印加されると、螺旋状導電中空管ヒータ102が加熱されて螺旋状導電中空管ヒータ102内の飽和蒸気が過熱蒸気となり、混合噴射器200を介して熱処理ユニット300に矢印Xに示すごとく送り込まれることになる。このとき、混合噴射器200内は負圧となり、螺旋状導電中空管ヒータ102の過熱蒸気吐出ノズル102aからの過熱蒸気Yと共に、熱処理ユニット300から還流管400を介して一部戻った過熱蒸気Zが螺旋状導電中空管ヒータ102の赤外線で再加熱されて過熱蒸気Zとして混合噴射器200から熱処理ユニット300へ送り込まれる。
【0006】
螺旋状導電中空管ヒータ102は円筒状断熱構造体101に多数の保持碍子104によって堅固に固定されている。
【0007】
しかしながら、図9に示す第1の従来の過熱蒸気発生ユニット100においては、螺旋状導電中空管ヒータ102の螺旋状加工は容易ではなく、この結果、製造コストが高くなり、また、保持碍子104による堅固な固定では、長手方向の熱膨張伸縮によって螺旋状導電中空管ヒータ102は破損し易い。
【0008】
図10は第2の従来の過熱蒸気発生ユニットを示す図である(参照:特許文献2)。
【0009】
図10の過熱蒸気発生ユニット500においては、直方体状断熱構造体501内で飽和蒸気(又は水)入口501aから閉鎖端501bへ向ってインコネル、ハステロイ又はステンレス等の合金よりなるヘアピン状導電中空管ヒータ502が設けられている。この場合、ヘアピン状導電中空管ヒータ502は直線部と直線部を折返す折返部とよりなる。ヘアピン状導電中空管ヒータ502の飽和蒸気入口501a側には、飽和蒸気側電極503aが設けられ、他方、ヘアピン状導電中空管ヒータ502の閉鎖端501b側には、閉鎖
端側電極503bが設けられている。飽和蒸気側電極503aと閉鎖端側電極503bとの間に直流電圧又は交流電圧が印加されると、ヘアピン状導電中空管ヒータ502が加熱されてヘアピン状導電中空管ヒータ502内の飽和蒸気Pが過熱蒸気Qとなり、ヘアピン状導電中空管ヒータ502の過熱蒸気吐出ノズル502aからの過熱蒸気Qとなり、熱処理ユニット(図示せず)へ送り込まれる。
【0010】
ヘアピン状導電中空管ヒータ502の折返部は直方体状断熱構造体501に多数の保持碍子504によって堅固に固定されている。
【0011】
従って、図10に示す第2の従来の過熱蒸気発生ユニット500においては、ヘアピン状導電中空管ヒータ502は管構造のために容易に折り曲げて加工されるので、製造コストが低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2008-75891号公報(特許第4227637号公報)
【文献】特開2007-298223号公報(特許第4227629号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図10に示す第2の従来の過熱蒸気発生ユニットにおける保持碍子504によるヘアピン状導電中空管ヒータ502の折返部の堅固な固定では、ヘアピン状導電中空管ヒータ502の直線部の熱膨張伸縮によってヘアピン状導電中空管ヒータ502は破損し易いという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明に係る過熱蒸気発生ユニットは、飽和蒸気入口又は水入口及び閉塞端を有し、第1の開放端を有する第1の断熱構造体と、第1の断熱構造体内の飽和蒸気入口又は水入口と閉塞端との間に設けられ、複数の直線部と各直線部を折返す複数の折返部とよりなるヘアピン状導電中空管ヒータと、ヘアピン状導電中空管ヒータの中途に設けられ、ヘアピン状導電中空管ヒータ内の過熱蒸気を吐出させて第1の開放端に向かわせるための過熱蒸気吐出ノズルと、第1の断熱構造体とヘアピン状導電中空管ヒータの直線部との間に設けられ、直線部を摺動可能に保持するための碍子構造とを具備するものである。
【0015】
また、本発明に係る熱処理システムは、上述の過熱蒸気発生ユニットと、過熱蒸気発生ユニットの開放端に設けられた熱処理ユニットとを具備するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、碍子構造によってヘアピン状導電中空管ヒータの直線部の熱膨張伸縮が可能となり、この結果、ヘアピン状導電中空管ヒータの破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る過熱蒸気発生ユニットの第1の実施例を示し、(A)は上面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は(A)のC-C線断面図である。
図2図1の碍子構造の詳細を示し、(A)は下面図、(B)は断面図である。
図3】本発明に係る過熱蒸気発生ユニットの第2の実施例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
図4図1の過熱蒸気発生ユニットを用いた第1の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図5図3の過熱蒸気発生ユニットを用いた第2の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図6図4図5の制御ユニットの動作を説明するためのフローチャートである。
図7図1図3)の過熱蒸気発生ユニットを用いた第3の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図8図7の過熱蒸気発生ユニットの一部断面の右側面図である。
図9】第1の従来の過熱蒸気発生ユニットを示す図である。
図10】第2の従来の過熱蒸気発生ユニットを示す図である。
【実施例
【0018】
図1は本発明に係る過熱蒸気発生ユニットの第1の実施例を示し、(A)は上面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は(A)のC-C線断面図である。図1の過熱蒸気発生ユニットは1段式のたとえば700~800℃の高温過熱蒸気用である。
【0019】
図1において、1段式の過熱蒸気発生ユニット1は、上部、周囲が断熱材111、周囲の一部が目地材(断熱材でもある)112、断熱材111、目地材112を覆うステンレス枠113、ステンレス枠113の上部の取手114及びステンレス枠113の下部の取付板115よりなる気密性の直方体状断熱構造体11を有する。尚、断熱材111はたとえばバルクファイバに無機及び有機バインダを添加したフェルト又は板状成形材料である。また、目地材112は硬質断熱性材料たとえばコンクリートである。直方体状断熱構造体11の下部は開放端OP1によって開放されており、加熱プレート14が嵌められている。目地材112には、飽和蒸気(又は水)入口11a及び閉塞端11bが挿入されて固定されている。
【0020】
過熱蒸気発生ユニット1においては、直方体状断熱構造体11内で飽和蒸気(又は水)入口11aから閉塞端11bへ向ってインコネル、ハステロイ又はステンレス等の合金よりなるヘアピン状導電中空管ヒータ12が設けられている。この場合も、ヘアピン状導電中空管ヒータ12はたとえば6つの直線部12-1~12-6及び直線部12-1~12-6を折返す5つの折返部12-7~12-11を有する。ヘアピン状導電中空管ヒータ12の飽和蒸気入口11a側には、放熱板13a-1が設けられた飽和蒸気側電極13aが設けられ、他方、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の閉塞端11b側には、放熱板13b-1が設けられた過熱蒸気側電極13bが設けられている。飽和蒸気側電極13aと過熱蒸気側電極13bとの間に直流電圧又は交流電圧が印加されると、ヘアピン状導電中空管ヒータ12がたとえば約700℃~800℃に加熱されてヘアピン状導電中空管ヒータ12内の飽和蒸気Pが過熱蒸気Q1となり、過熱蒸気Q1は閉塞端11bに向うことになる。このとき、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の中途の過熱蒸気吐出ノズル12aからの過熱蒸気Q1が加熱プレート14の開口から下方へ送出される。また、同時に、加熱プレート14はヘアピン状導電中空管ヒータ12からの輻射熱(遠赤外光)H1によって加熱され、加熱プレート14から遠赤外光H1が下方へ送出される。この場合、加熱プレート14は鉄板たとえばステンレス(SUS304)の表面を黒体セラミック焼結したもので、加熱プレート14の上方にリフレクタステー15aによって支持されたセラミックリフレクタ15を設け、加熱プレート14からの遠赤外光H1を増大せしめている。このようにして、たとえば700℃~800℃の過熱蒸気Q1及び遠赤外光H1の複合熱によって高温熱処理が可能となる。
【0021】
温度センサ(熱電対)16はヘアピン状導電中空管ヒータ12内に設けられ、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の温度制御を行うためのものである。
【0022】
次に、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の碍子構造について図2をも参照して説明する。ヘアピン状導電中空管ヒータ12のたとえば6本の直線部12-1~12-6を摺動可
能に保持する耐熱性のセラミック製の垂直方向ホルダ16’と、セラミック製の垂直方向ホルダ16’を上下から保持するステンレス製の水平方向ホルダ17a、17bと、水平方向ホルダ17a、17bを固定するステンレス製のステー18aと、水平方向ホルダ17bを上部の断熱部材111を介してステンレス枠113の天井側に固定するステンレス製のステー18bとを設ける。尚、セラミック製の垂直方向ホルダ16’は組立の便宜上、8個のホルダ片16’-1、16’-2、…、16’-8に分割されている。すなわち、碍子構造は、セラミック製の垂直方向ホルダ16’(16’-1、16’-2、…、16’-8)、水平方向ホルダ17a、17b及びステー18a、18bによって構成される。この場合、セラミック製の垂直方向ホルダ16’は直線部12-1~12-6の直径たとえば20mmより大きい直径たとえば30mmを有する開口を有する。従って、たとえヘアピン状導電中空管ヒータ12の直線部12-1~12-6が熱膨張伸縮しても、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の直線部12-1~12-6はセラミック製の垂直方向ホルダ16’の開口内を容易に摺動するので、破損しにくくなる。尚、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の折返部12-7~12-11も熱膨張伸縮するが、その熱膨張伸縮量は直線部12-1~12-6の熱膨張伸縮量に比較して小さい。しかし、ここで、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の折返部12-7~12-11を堅固に固定すると、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の直線部12-1~12-6の熱膨張伸縮が阻止されてヘアピン状導電中空管ヒータ12が破損し易くなる。従って、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の折返部12-7~12-11は無拘束とする。
【0023】
尚、図1においては、加熱プレート14を設けているが、加熱プレート14を設けなくともよい。この場合には、遠赤外光H1の効果はなくなり、過熱蒸気Q1のみの効果となる。
【0024】
図3は本発明に係る過熱蒸気発生ユニットの第2の実施例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。図3の過熱蒸気発生ユニットは2段式のたとえば1000℃~1600℃の超高温過熱蒸気用である。
【0025】
図3においては、図1の過熱蒸気発生ユニット1にさらに過熱蒸気発生機能を付加して2段式の過熱蒸気発生ユニット2を構成するものである。すなわち、断熱材211、断熱材211を覆うステンレス枠212及び断熱材211の下部の取付板213よりなる気密性の直方体状断熱構造体21を付加し、図1の開放端OP1に設けられた加熱プレート14の代りに、直方体状断熱構造体21の上部の開放端OP2に過熱蒸気Q1を通すための加熱プレート14’を設け、直方体状断熱構造体21の下部の開放端OP3に加熱プレート24を設ける。このとき、過熱蒸気吐出ノズル12aは、加熱プレート14’の開口を通過して直方体状断熱構造体21内に入り込む。また、直方体状断熱構造体21内にたとえば二珪化モリブデン(MoSi)よりなる高温ヒータ22(たとえばサンドビック株式会社登録商標KANTHAL)が設けられ、そのために、高温ヒータ22の電極23a、23bは加熱プレート14’内に設けられている。従って、加熱プレート14’は図1の加熱プレート14より厚くなっている。この場合、電極23aと電極23bとの間に直流電圧又は交流電圧が印加されると、高温ヒータ22が加熱されて直方体状断熱構造体21内の過熱蒸気Q1がさらに温度の高いたとえば1000℃~1600℃の過熱蒸気Q2となり、過熱蒸気Q2は加熱プレート24に向うことになる。この結果、過熱蒸気Q2が加熱プレート24の開口部から下方へ送出される。また、同時に、加熱プレート14’はヘアピン状導電中空管ヒータ12からの輻射熱(遠赤外光)H1によって加熱され、加熱プレート14’からの遠赤外光H1は加熱プレート24から遠赤外光H2として下方へ送出される。この場合、加熱プレート14’、24は高温用耐熱材料たとえばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、セラミックの表面を黒体セラミック焼結したものである。このようにして、たとえば1000℃~1600℃の過熱蒸気Q2及び遠赤外光H2の複合熱によって超高温熱処理が可能となる。
【0026】
温度センサ(熱電対)26は高温ヒータ22内に設けられ、高温ヒータ22の温度制御を行うためのものである。
【0027】
尚、図3においては、加熱プレート24を設けているが、加熱プレート24を設けなくともよい。この場合には、遠赤外光H2の効果はなくなり、過熱蒸気Q2のみの効果となる。
【0028】
図4図1の過熱蒸気発生ユニットを用いた第1の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【0029】
図4においては、図1の過熱蒸気発生ユニットを2個つまり過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2に対して1つの熱処理ユニット3を設けてあるが、過熱蒸気発生ユニットの数はこれに限定されない。
【0030】
図4においては、グリーストラップ41、飽和蒸気発生ユニット42、及び過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2に対して共通の電源ユニット43が設けられている。飽和蒸気発生ユニット42は過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2に対してたとえば80℃程度の温水を加熱して100℃~120℃程度の飽和蒸気を発生するものであって、比較的小型でかつ電気で駆動される。飽和蒸気発生ユニット42としてはたとえばナカモト社の型番商標NBC2101Rのライトボイラーがある。飽和蒸気発生ユニット42の飽和蒸気は電磁弁(図示せず)を介して過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2の飽和蒸気入口11aに供給される。
【0031】
熱処理ユニット3は、熱分解チャンバ31、熱分解チャンバ31内のスクリュー32、スクリューコンベア駆動軸33、スクリューコンベア駆動軸33を駆動するギアードモータ33’を有する。また、処理物を熱分解チャンバ31に投入するために、熱分解チャンバ31の上方にホッパ34を設ける。
【0032】
ここで、熱分解について説明する。通常の常温の水に溶存する酸素濃度は0.6%程度である。水を飽和蒸気に変換すると、体積は1600倍となる。従って、熱分解チャンバ3の過熱蒸気Q1中の酸素濃度は0.1~0.2%であり、この結果、熱分解チャンバ3はほぼ無酸素状態となる。従って、処理物はたとえ700℃~800℃の過熱蒸気Q1又は遠赤外光H1によって加熱されても、酸化及び燃焼されず、瞬時に分解、無害化される。この分解を熱分解という。このときの過熱蒸気Q1又は遠赤外光H1の処理物への伝熱は対流伝熱に加えて最も特徴的な凝縮伝熱効果によって過熱蒸気Q1又は遠赤外光H1は熱効率が高い熱エネルギーとして作用する。尚、凝縮伝熱効果とは、熱処理される処理物の温度が100℃より低い場合には、処理物に過熱蒸気Q1又は遠赤外光H1が凝縮し、その際に多量の凝縮熱を与えることによる凝縮温度は100℃であるので、処理物はあたかも沸騰水の中で加熱されるのと同様の温度上昇を示す。この凝縮量は処理物が低温である程多く、処理物が100℃になるまで凝縮が続く。この過熱蒸気処理では、処理物が短時間に700℃~800℃となり、減率乾燥速度期間になると、処理物温度は100℃より上昇し始める。
【0033】
熱分解チャンバ3においては、処理物がホッパ34から熱分解チャンバ31に投入されてスクリュー32によって撹拌されると共に、過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2からの過熱蒸気Q1及び遠赤外光H1によって熱分解が進行する。熱分解初期に水分が抽出され、高温滅菌後にドレインポット34’に落下する。ドレインポット34’に落下した水はリサイクルできる。また、ドレインポット34’に落下した油分はグリーストラップ41に送られる。
【0034】
また、同時に発生する乾留ガスGは乾留ガス排出管35を介して粉塵を分離するためのサイクロン36、温水用熱交換器36’を経て液化用熱交換器36”において凝縮液化される。尚、乾留ガスGは不揮発性の固体有機物を空気を断ったまま強熱して熱分解すると同時に得られる揮発性物質のことである。液化用熱交換器36”において、得られた油分はグリーストラップ41に送られ、他方、得られた温水は飽和蒸気発生ユニット42に送られ、飽和蒸気発生ユニット42の省エネルギーに貢献する。凝縮液体は廃水処理機(図示せず)によって処理後放流される。凝縮液化された液体に含まれる油分等の有価資源は、グリーストラップ41において油分分離、精製処理後リサイクルすることができる。
【0035】
さらに、熱分解された残渣物Rは残渣物搬出ゲート37から搬出コンベア38を介してストックヤード39に搬出される。ストックヤード39に搬出された金属、石、炭化物等はリサイクルすることができる。
【0036】
制御ユニット4は図4の熱処理システム全体を制御する。制御ユニット4は、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、アナログ/ディジタル(A/D)変換器、D/A変換器、入出力インタフェース等を含むコンピュータで構成される。制御ユニット4は、過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2の温度センサ16を温度を受けて過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2のヘアピン状導電中空管ヒータ12を制御すると共に、熱処理ユニット3の各部を制御する。
【0037】
図4の熱処理システムにおいては、インコーン、ハステロイ又はステンレス等の合金を用いた導電中空管ヒータ12の加熱温度は約800℃~900℃程度であり、過熱蒸気は約700℃~800℃となる。従って、処理物は産業廃棄物たとえば汚泥等の有機物系処理物、特に、炭素分の多い処理物、木炭、竹炭、コーヒの絞り粕、廃棄豆腐、植物の種子等であり、適正温度にすることにより乾燥工程、炭化工程、炭素化工程、賦活工程を行うことができる。また、有機汚泥を適切に処理してバイオマスとすることもできる。
【0038】
尚、図4においては、熱処理ユニット3を過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2の加熱プレート14に接続させるように設けているが、加熱プレート14を設けない過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2に設けてもよい。この場合、遠赤外光H1の効果はなくなり、過熱蒸気Q1のみの効果となる。
【0039】
図5図3の過熱蒸気発生ユニットを用いた第2の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【0040】
図5においては、図3の過熱蒸気発生ユニットを2個つまり過熱蒸気発生ユニット2-1、2-2に対して図5に示した1つの熱処理ユニット3を設けてあるが、過熱蒸気発生ユニットの数はこれに限定されない。
【0041】
図5においては、熱処理ユニット3は過熱蒸気発生ユニット2-1、2-2の加熱プレート24に設けられている。
【0042】
図5の熱処理システムにおいては、高温ヒータ22の加熱温度は約1000℃~1600℃であり、過熱蒸気Q2も約1000℃~1600℃となる。従って、処理物は、無機物系処理物、特に、家電、IT関連部品からの難燃材、脱水ケーキ(汚泥)であり、錫、金、銅等の有価資源をもリサイクルすることができる。
【0043】
図4図5の制御ユニット4の動作を図6のフローチャートを参照して説明する。尚、
図6のフローチャートの全部又は一部はプログラムとして制御ユニット4のROM又はフラッシュメモリに格納され、コンピュータによって実行される。
【0044】
始めに、ステップ601にて初期設定を行う。たとえば処理物の適正温度、処理時間を設定する。
【0045】
次に、ステップ602にて飽和蒸気発生ユニット42を起動する。
【0046】
次に、ステップ603にて熱分解チャンバ31を起動する。つまり、ギアードモータ33’を起動させてスクリューコンベア駆動軸33を回転させる。その後、手動で所定量の処理物をホッパ34から熱分解チャンバ31へ投入する。
【0047】
次に、ステップ604にて過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2を起動する。
【0048】
次に、ステップ605にて過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2の温度センサ16、26(一方又は両方)の温度TをA/D変換して取込み、T≧T℃か否かを判別する。たとえばTは数100℃である。T≧T℃のときのみ、ステップ606に進む。
【0049】
次に、ステップ606では、飽和蒸気発生ユニット42と過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2との間の電磁弁(図示せず)をオンとし、飽和蒸気を飽和蒸気発生ユニット42から過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2の飽和蒸気入口11a(図1参照)へ供給する。この結果、約3~5分後に過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2の過熱蒸気Q1又はQ2は適正温度たとえばTより高い数100℃となる。この約3~5分をステップ607で計測してからステップ608にて初期設定された処理時間のタイマを起動する。また、同時に、サイクロン36、温水用熱交換器36’、液化用熱交換器36”も起動する。
【0050】
次に、ステップ609では、タイマの処理時間が経過したか否かを判別し、処理時間経過後、ステップ610にて熱処理を終了する。つまり、飽和蒸気発生ユニット42、過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2、サイクロン36、温水用熱交換器36’、液化用熱交換器36”等を停止する。
【0051】
尚、図5の場合には、ステップ607とステップ608との間で高温ヒータ23の温度センサ26の温度監視ステップを付加する。この結果、温度センサ26の温度がたとえば1000℃~1600℃のときに、ステップ608に進むようにする。
【0052】
図6のステップ609の処理時間経過中においては、上述のごとく、熱分解した処理物の水分抽出処理、乾留物の凝固液化処理及び残渣物のストックヤード39への搬出処理が行われる。
【0053】
尚、図5においては、熱処理ユニット3を過熱蒸気発生ユニット2-1、2-2の加熱プレート24に接続させるように設けているが、加熱プレート24を設けない過熱蒸気発生ユニット2-1、2-2に設けてもよい。この場合、遠赤外光H2の効果はなくなり、過熱蒸気Q2のみの効果となる。
【0054】
また、図4図5においては、過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2及び熱処理ユニット3は縦型に配置されているが、横型に配置してもよい。
【0055】
図4図5に示す熱処理システムは過熱蒸気発生ユニット1-1、1-2又は2-1、2-2を有して比較的大型であり、たとえば、下水処理場、食品工場、紙、パルプ工場等の有機汚濁された排水を処理する設備、土木工事現場、浄水場、金属メッキ工場等の無機汚濁された排水を処理する設備に適している。
【0056】
図7図1又は図3の過熱蒸気発生ユニットを1台用いた第3の熱処理システムを示し、(A)は上面図、(B)は正面図であり、図8図7の第3の熱処理システムの一部断面を示す右側面図である。この第3の熱処理システムは比較的小型である。たとえば、医療廃棄物の処理に適するが、これに限定されない。
【0057】
医療廃棄物について説明する。感染性がある医療廃棄物の処分は、その性質上、接触、飛散による感染、臭気による環境問題によって冷蔵庫の保管、密封梱包、廃棄物であることの識別管理、マニフェスト制度による廃棄物運搬処理の管理等が環境省による「廃棄物処理に基づく感染性医療廃棄物処理マニュアル」に基づき適切な分別処理後、保管管理、運搬、中間処理を経て最終処分されることが定められており、運用コストが高いものである。具体的には、厳重に保管、管理された後、病院内で焼却されるか専門焼却業者に依頼して中間処理として焼却される。このとき、不完全な焼却後埋立処理を行ったり、又は不法投棄により埋設した場合には、残留している毒物によって土壌、地下水が汚染される可能性がある。従って、コロナ禍の状況も加わり、今後増々に環境に配慮した焼却炉が求められている。
【0058】
医療廃棄物の従来の焼却炉として高温加熱可能なバーナ又はガスプラントが用いられている。バーナは化石燃料由来の燃料を用いるので、化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出による地球規模での温暖化の問題、その他有害なガスの発生、特に、不完全燃焼による毒性の強い一酸化炭素の発生の処理等の課題がある。他方、ガスプラントは防爆の危険性、高製造コストの課題がある。
【0059】
図7図8に示す熱処理システムを医療廃棄物の処理に用いると、次のような効果を生ずる。
a)病院内で発生する感染性医療廃棄物を主としたすべての可燃性廃棄物は病院施設内で処理され、施設外に持ち出されない。
b)処理は高温常圧過熱蒸気によって熱分解して残渣は完全炭化物としてリサイクルされる。
c)処理は全電気式で行われ、脱化石燃料、ゼロエミッションとなる。
【0060】
図7図8に戻ると、図1又は図3の過熱蒸気発生ユニット1又は2に対して1つの熱処理ユニット3’を設けてあるが、過熱蒸気発生ユニットの数はこれに限定されない。
【0061】
熱処理ユニット3’は、熱分解チャンバ31’を有するが、図4図5のスクリュー32、スクリューコンベア駆動軸33、スクリューコンベア駆動軸33を駆動するギアードモータ33’を有していない分、小型化されている。また、図4図5のホッパ34の代りに、熱分解チャンバ31’の側壁に処理物投入口44が設けられている。
【0062】
処理物が処理物投入口44から熱分解チャンバ31’に投入されると、過熱蒸気発生ユニット1(2)からの過熱蒸気Q1(Q2)及び遠赤外光H1(H2)によって処理物の熱分解が進行する。たとえば、処理物が医療廃棄物であれば、手術に伴う摘出臓器及び汚物、介護現場で発生するおむつ、不良薬剤等の可燃性廃棄物が熱分解される。熱分解初期に水分が抽出され、高温滅菌後にドレインポット34’に落下する。ドレインポット34’に落下した水はリサイクルできる。また、ドレインポット34’に落下した油分はグリーストラップ41に送られる。
【0063】
また、同時に発生する乾留ガスGは乾留ガス排出管35を介して粉塵を分離するためのサイクロン36、温水用熱交換器36’を経て液化用熱交換器36”において凝縮液化される。凝縮液体は廃水処理機ユニット45によって処理後放流される。さらに、乾留ガスGは不揮発性の固体有機物を空気を断ったまま強熱して熱分解すると同時に得られる揮発性物質のことである。液化用熱交換器36”において、得られた油分はグリーストラップ41に送られ、また、得られた温水は飽和蒸気発生ユニット42に送られ、飽和蒸気発生ユニット42の省エネルギーに貢献する。従って、臭気、ガス類は一切発生しない。凝縮液化された液体に含まれる油分等の有価資源は、グリーストラップ41において油分分離、精製処理後リサイクルすることができる。
【0064】
さらに、熱分解された残渣物Rは残渣物搬出ゲート37から搬出コンベア38を介してストックヤード39に搬出される。ストックヤード39に搬出された金属、石、炭化物等はリサイクルすることができる。
【0065】
制御ユニット4’は図7図8の熱処理システム全体を制御する。制御ユニット4’は、過熱蒸気発生ユニット1(2)の温度センサ16を温度を受けて過熱蒸気発生ユニット1(2)のヘアピン状導電中空管ヒータ12を制御すると共に、熱処理ユニット3’の各部を制御する。
【0066】
図7図8の制御ユニット4’の動作も図6のフローチャートに基づいて行われるが、ステップ603では、単に、手動で所定量の処理物を処理物投入口44から熱分解チャンバ31’へ投入するのみである。
【0067】
尚、図1図3における直方体状断熱構造体11、21は直方体状でなくともよい。たとえば多角形状、円筒状であってもよい。
【0068】
また、図4図5図7図8における処理物は上述の産業廃棄物たとえば汚泥及び医療廃棄物以外に、冷凍食材、石炭、木、竹等の原材料等がある。冷凍食材を処理することにより解凍でき、コンビニベンダに向いている。石炭、木、竹等の原材料を処理することによりガス燃料、無煙炭、活性炭、木炭、竹炭等を分離できる。
【0069】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲でいかなる変更にも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1、1-1、1-2:過熱蒸気発生ユニット
11:直方体状断熱構造体
111:断熱材
112:目地材
113:ステンレス枠
114:取手
115:取付板
11a:飽和蒸気入口
11b:閉塞端
12:ヘアピン状導電中空管ヒータ
12-1~12-6:直線部
12-7~12-11:折返部
12a:過熱蒸気吐出ノズル
13a:飽和蒸気側電極
13a-1:放熱板
13b:閉塞端側電極
13b-1:放熱板
14、14’:加熱プレート
15:リフレクタ
15a:リフレクタステー
16:温度センサ
16’:垂直方向ホルダ
16’-1、16’-2、…、16’-8:ホルダ片
17a、17b:水平方向ホルダ
18a、18b:ステー
OP1:第1の開放端
P:飽和蒸気(又は水)
Q1:過熱蒸気
H1:遠赤外光
G:乾留ガス
R:残渣物
2、2-1、2-2:過熱蒸気発生ユニット
21:直方体状断熱構造体
211:断熱材
212:ステンレス枠
213:取付板
22:高温ヒータ
23a、23b:電極
23a-1:放熱板
24:加熱プレート
26:温度センサ
OP2:第2の開放端
OP3:第3の開放端
Q2:過熱蒸気
H2:遠赤外光
3、3’:熱処理ユニット
31、31’:熱分解チャンバ
32:スクリュー
33:スクリューコンベア駆動軸
33’:ギアードモータ
34:ホッパ
34’:ドレインポット
35:乾留ガス排出管
36:サイクロン
36’:温水用熱交換器
36”:液化用熱交換器
37:残渣物搬出ゲート
38:徐冷コンベア
39:ストックヤード
4、4’:制御ユニット
41:グリーストラップ
42:飽和蒸気発生ユニット
43:電源ユニット
44:処理物投入口
45:廃水処理ユニット
100:過熱蒸気発生ユニット
101:円筒状断熱構造体
101a:飽和蒸気入口
101b:過熱蒸気出口
102:螺旋状導電中空管
102a:過熱蒸気吐出ノズル
103a:飽和蒸気側電極
103a-1:放熱板
103b:過熱蒸気側電極
103b-1:放熱板
104:保持碍子
200:混合噴射器
300:熱処理ユニット
400:還流管
X、Y、Z:過熱蒸気
500:過熱蒸気発生ユニット
501:直方体状断熱構造体
501a:飽和蒸気入口
501b:閉塞端
502:ヘアピン状導電中空管ヒータ
502a:過熱蒸気吐出ノズル
503a:飽和蒸気側電極
503b:閉塞端側電極
504:保持碍子
【要約】
過熱蒸気発生ユニット1は、飽和蒸気入口11a又は水入口及び閉塞端11bを有し、第1の開放端を有する第1の断熱構造体11と、第1の断熱構造体11内の飽和蒸気入口11a又は水入口と閉塞端11bとの間に設けられ、複数の直線部12-1~12-6と各直線部12-1~12-6を折返す複数の折返部12-7~12-11とよりなるヘアピン状導電中空管ヒータ12と、ヘアピン状導電中空管ヒータ12の中途に設けられ、ヘアピン状導電中空管ヒータ12内の過熱蒸気を吐出させて第1の開放端に向かわせるための過熱蒸気吐出ノズル12aと、第1の断熱構造体11とヘアピン状導電中空管ヒータ12の直線部12-1~12-6との間に設けられ、直線部12-1~12-6を摺動可能に保持するための碍子構造16’、17a、17b、18a、18bとを具備する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10