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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】CO2、NOx、SO2の化学的な分離
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20241114BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20241114BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20241114BHJP
   C01D 3/04 20060101ALI20241114BHJP
   C01D 5/04 20060101ALI20241114BHJP
   C01D 7/00 20060101ALI20241114BHJP
   C01D 9/06 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/18
B01D53/18 110
B01D53/18 130
B01D53/18 150
B01D53/92 212
B01D53/92 215
B01D53/92 222
B01D53/92 224
B01D53/92 240
B01D53/92 320
B01D53/92 331
B01D53/92 335
C01D3/04 Z
C01D5/04 Z
C01D7/00 Z
C01D9/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021543521
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020015207
(87)【国際公開番号】W WO2020159868
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】62/797,468
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/803,564
(32)【優先日】2019-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521329660
【氏名又は名称】リチャドサン, ロバト, ジョージ
【氏名又は名称原語表記】RICHARDSON, Robert, George
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 12 Shingleton, CA 96088 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】リチャドサン, ロバト, ジョージ
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-028558(JP,A)
【文献】米国特許第06022385(US,A)
【文献】特表2010-527767(JP,A)
【文献】特表2007-526822(JP,A)
【文献】特開2000-296311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0202568(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/73
B01D 53/74-53/85
B01D 53/92
B63H 21/00-21/38
C01D 1/00-17/00
F01N 3/00- 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、二酸化炭素(CO2)をループシーケンスによる化学的反応よって分離する方法であって、以下の構成を含む方法
a)1つまたは複数の反応槽にSO2、NO、NO2、CO2、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水(H2O)の混合物を供給する。
b)SO2をNaOClとH2Oとで反応させ、該混合物中に塩化ナトリウム(NaCl)および硫酸(H2SO4)を生成する。
c)NOとNO2を、NaOClとH2Oと反応させて、該混合物中に硝酸ナトリウム(NaNO3)と塩酸(HCl)を生成する。
d)CO2 を、NaOClおよびH2Oと反応させて、該混合物中に次亜塩素酸(HOCl)および重曹(NaHCO3)を生成する。
e)NOおよびNO2を、NaOClの存在下でNaOH反応させ、該混合物中に亜硝酸ナトリウム(NaNO2)およびH2Oを生成する。
f)CO2をNaOHと反応させて該混合物中にNaHCO3を生成する。
g)該混合物に、アルコール溶媒を加え、生成されたNaCl、NaHCO3、Na2SO4を強制沈殿させて、該混合物から沈殿物を除去する。
h)前記アルコール溶媒を、該混合物から除去する。
i)該混合物ジアルキルケトン溶媒を加え、生成されたNaNO2とNaNO3を強制沈殿させて、混合物から沈殿物を除去する。
j)前記ジアルキルケトン溶媒を混合物から除去する。
k)反応サイクルを維持する場合には、該混合物にNaOCl、NaOH、及び/又はH2Oを加える
l)SO2、NO、NO2、CO2前記1つまたは複数の反応槽にある該混合物に加え、ステップbに従って該混合物を反応させ、ループシーケンスを完了させる。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記アルコール溶媒がメタノールまたはtert-ブタノール;及び前記ジアルキルケトン溶媒がアセトンである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって前記1つまたは複数の反応槽中の混合物は、水溶液(液体ともいう)、水溶ミスト(ミストともいう)、若しくは、気体(ガスともいう)の相である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、NaOCl、NaOH、H2Oが、水溶液または水溶ミストとして、前記1つまたは複数の反応槽に注入される、方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の反応槽SO2、NO、NO2、CO2 の混合物を供給することを更に含む、請求項1に記載の方法であって、それは、気流または液流として、この混合物を、NaOCl、NaOH、H2Oの水性の混合物、またはNaOCl及びNaOHの粉末の混合物への、暴露を促進させるものである、方法
【請求項6】
前記1つまたは複数の反応槽が、気体同士(気体/気体)の相互作用、気体とミスト(気体/ミスと)の相互作用、気体と液体(気体/液体)の相互作用、液体とミスト(液体/ミスト)または液体同士(液体/液体)の相互作用の組み合わせにより、混合物間の相互作用を引き起こす、請求項1に記載の方法
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、気体/ミストの相互作用は、SO2、NO、NO2、CO2 の気体(ガスともいう)とNaOCl、NaOH、H2Oの液滴(ミストともいう)の相互作用が含まれ、ここでは、機械的な液滴の有無に関係なく、該相互作用はノズルを使用する、請求項6に記載の方法
【請求項8】
気体/液体の相互作用は、SO2、NO、NO2、CO2 のガスとNaOCl、NaOH、H2Oの溶液(液体ともいう)の相互作用が含まれ、ここで、該相互作用は、泡箱(バブルチャンバ)または向流充填層スクラバー、もしくは衝突プレートトレイタワースクラバー使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
液体/液体相互作用は、溶液中のSO2、NO、NO2、CO2溶液中のNaOCl、NaOH、H2Oの相互作用が含まれ、ここでは該相互作用は、スタティックミキサー又はソニックミキサーを使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記k)において添加されるNaOClおよびNaOHは、NaClのNaOH、H2およびCl2への電気化学的分解から生成され、及び、当該NaOHおよびCl2の一部がそれぞれNaOClを生成するように組み合わされる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797,468号119(e)「クローズドリチウム技術を使用したCO2の化学的配列決定」に対してアメリカ合衆国法第37に基づき優先権の利益を主張するものであり、上記特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は大気中の気体の分離に関するものである。より具体的には、閉ループ技術を用いた二酸化炭素(CO2)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)(あわせて"NOx"とする。x = 1 または 2である)、二酸化硫黄(SO2) の化学的な分離に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CO2、NOx、SO2などの大気中の気体は有害であり温暖化をもたらす原因として国際的に認知されている。こうした気体の生産量の減少や分離に関する技術は多く、今も研究が続いている。
【0003】
しかしながらこれらの気体の化学的な特性が、低コストでの分離技術の開発を困難にしている。さらにこれらの期待は非常に安定しており、化学反応を起こすために高コストの大量の化学的・機械的エネルギーが必要になる。化学的な研究によれば、大気及び海洋中の温室効果ガスの蓄積が、地球の生命を維持する環境に劇的な変化を引き起こしていることがわかっている。
【0004】
世界の多くの国の政府がこれを認識し、この流れを変え、被害を抑える手段を講じている。この取り組みの例として、2019年9月23日に実施されたイベントがある。国連気候変動サミットでは、以下の決議とコミットメントが行われた。欧州連合は次年度の予算の最低25%を気候変動に関するものに充てる。
【0005】
フランスはパリ協定に反する政策を持つ国々とは貿易協定を締結しないと発表した。ドイツおよびその他の65カ国の国は、2050年までにカーボンニュートラルを実現することに同意した。気候変動に対して対策や緩和を措置を行う開発途上国を支援する財政メカニズムである緑の気候基金に12か国が財政的コミットメントを行った。これには、ノルウェー、ドイツ、フランス、英国が従来の2倍の貢献をおこなっている。
【0006】
英国は2020年から2025年で追加資金供出を決め、国際的な気候変動に関する資金を2倍の116億ポンドに引き上げる。インドは2022年までに再生可能エネルギーの容量を175GWに増やし、将来的に450GWまで拡大することを約束した。
【0007】
80カ国が太陽に関する国際的な同盟(ISA)に参加した。中国は年間120億トン以上の排出量の削減と、二酸化炭素の排出を減らし同時に高い成長を維持する方法を模索すると述べた。
【0008】
ロシアはパリ協定を批准した。これにより協定の加盟国数は187カ国になった。パキスタンは今後5年間で100億本以上の木を植えると述べた。国連の気候変動政府間パネルは、9月23日の気候の緊急事態宣言など、気候への影響を文書化した1170ページの報告書を発行した。ロンドンで行われた第3回の会合も9月23日に最高潮に達した。
【0009】
これは海運業界に直接関連したものであり、主要な港湾、銀行、石油、海運会社が9月23日月曜日に会合を行い、船舶やその燃料から排出される二酸化炭素量を、2030年までに公海上でゼロを目指す取り組みを始めた。
【0010】
これは海運業界によるCO2削減のためのもう一つの取り組みである。世界最大のコンテナ輸送ラインをもつA.P. Moller Maersk (MAERSKb.CO)などの海運会社、COFCOInternational、Cargill、Trafiguraなどのコモディティ企業、鉱業グループのAnglo American(AAL.L)、Citigroup(CN)、ABNAMRO(ABNd.AS)、Societe Generale(SOGN.PA)などの銀行業界を含む60の企業グループが、"Getting to Zero Coalition(共にゼロを達成しよう)"にコミットしている。
【0011】
この企業連合の取り組みは、2030年までに規定を満たす船舶や船舶用の燃料の準備を目指し、そのためのインフラのサポートを進めている。
【0012】
こうしたガスの発生を減らす取り組みは進んでいるものの、大気中に放出されたこうした気体を捉える事については、いまだに成功事例が少ない。そのため、大気中に放出されているCO2、NOx、SO2などの気体を効果的かつ経済的に分離するための新しい方法と技術が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
発明の概要
ここで開示する本発明は、CO2、NOx、SO2(ターゲットの気体)などの気体を効果的に分離する技術を提供するものである。これにより気体の流れや大気などの点源から効果的に大きく除去できる。
【0014】
そして、そうした気体を商業的に利用できるガス、例えば CO2による海洋酸性化を防ぐ重曹(NaHCO3)や、大使として使用できる硝酸ナトリウム(NaNO3)などに変化させ、二酸化炭素を排出せずにエネルギーを生み出すための効率的な方法を提供するものである。
【0015】
本開示では、アルコール沈殿を使い、効率的に中間試薬をリサイクルすることができる。アルコールを使うことで、CO2、NOx、SO2によって生成された塩分を除去することができる。
【0016】
これにより機器の不要な目詰まりを防ぎつつ、所定の量を再利用することができる。この方法で使用するアルコールは、70度で蒸発させることで再利用することができ、また、25度以下で凝固するため、例えば海水から取り出して再利用することも可能である。本開示では、戦略的に選択した7つの主なプロセスの組み合わせについて説明する。この組み合わせは2つの異なるプロセスを相乗的に組み合わせて使用している。そのグループは第一ループプロセスと第二ループプロセスである。どちらも新しいセンサーと制御ロジックによってリンクされている。
【0017】
このプロセスの組み合わせと制御技術は、CO2、NOx、SO2の新しい分離方法と再利用の手法が含まれている。
【0018】
この7つの主なCO2、NOx、SO2の転用反応は、すべて調和をもって実現させるとともに、反応物の使用量を最小限にするように設計されている。ここに、ある反応の副生成物が別の反応の反応物として使用される例がある。この手法は、船舶からの排気ガスの処理等の、スペースの制限の問題を解決することができる点でユニークである。これは次の二つの方法で実現できる。第一に船舶に試薬を積み込む必要がない。
【0019】
この手法で採用する7つのプロセスであれば、海水を電気化学的に処理して、消耗品として使用する主な試薬を供給することができる。第二に、プロセスを統合することにより、必要な燃焼室のサイズと必要な機器のサイズを、船舶や狭い施設などの限られたスペースに適したものすることができる。
【0020】
すべての反応速度を、水酸化ナトリウム(NaOH)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の消費量によって決定できる点が、このプロセスの組み合わせの新規性である。
【0021】
少なくとも1つの CO2 の処理と、1つの NOx の処理は、 NaOHを投入する量によって速度をコントロールすることができ、各グループの少なくとも1つのプロセスは、次亜塩素酸ナトリウム (NaOCl)の濃度によって速度をコントロールすることができる。
【0022】
これにより、塩化ナトリウム(NaCl)の電気化学的処理から供給しうる化学物質のバランスをとることにより、プロセス制御システムが7つの主要なプロセスの速度を制御することができる。
【0023】
新しいプロセス制御のロジックの第二の特徴は、処理前と処理後の濃度のCO2、NOx、SO2を使うことができ、ガス流中のCO2、NOx、SO2の濃度を処理するために必要な反応物の量だけを任意で使用することにより、ここの反応の速度を調節することができる点にある。この「必要に応じて」化学薬品を投与することができる機能により、全体的な薬品の使用量を最小限に抑えることができる。この新しいプロセス制御では、7つのプロセスのうち、どれがCO2、NOx、SO2の気体の処理に適しているのかを選ぶことも可能である。
【0024】
.少なくとも1つの CO2 の処理と、1つの NOx の処理では、NaOHを反応制御の試薬として使い、各グループのその他のプロセスの内、少なくとも一つは NaOClを使用することから、第三の特徴も現れる。
【0025】
第1次プロセスを戦略的に選ぶことにより、統合プロセス制御ロジックがセンサーに反応して、その後CO2またはNOxの処理についてNaOHか NaOClのどちらかを優先することにより、電気化学的ジェネレーターからの全体的な化学物質のバランスを取ることにより、NaOHやNaOClの全体的な消費量のバランスを取ることができる。
【0026】
プロセスの統合とプロセス制御の第四の特徴は、任意の方向に向けることができるダクト内で、ミストまたは気体の相互作用を使い、CO2、NOx、SO2を処理する点である。この特徴により、従来の気体の処理方法と比較して物理的なサイズを小さく収めることができる。大型の燃焼室も使えるが、必要ではなくなる。この技術では機材のサイズを小さく収めることができるため、従来のガス処理プロセスには適しなかった、船舶や産業用の施設の狭いスペースでも利用することができる。
【0027】
この戦略的に選んだ7つのプロセスと新しいプロセス制御技術の第5の特徴は、排気ガス内のCO2、NOx、SO2の化合物の比率と、全体的な濃度をリアルタイムで調整できることから、必要に応じて反応速度を個別に調節できることができる点である。
【0028】
前述のCO2の再利用のプロセスでは、NaOHを使用して水酸化リチウム(LiOH)を再生成した。このプロセスはCO2 の除去効率性が高く、また次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を利用したCO2の回収や再利用技術と効果的に連携することができる。NaClから作られる2つの化合物を利用することにより、前述のように消耗品として使用する試薬のバランスをより良く取ることができる。海水または塩水からNaClを使用して、その場で電気化学的に消耗品の試薬を生成することができるため、この技術を船舶やその他の機械で使う際のメリットとなる。
【0029】
本発明はCO2を回収して再利用する技術についても説明する。この水酸化リチウムをベースにしたCO2の回収には、消耗品の試薬として水酸化カリウム(KOH)を使用する。水酸化カリウム(KOH)は水酸化リチウム(LiOH)を再生成するために使用される。このプロセスでは電気科学的な方法により反応のバランスを取ることができないものの、 NaOHを消耗品の試薬として使うことにより、水酸化リチウム(LiOH)を使用したCO2の回収方法に比べて小さな配管(パイプ)で済む。このサイズの違いは、水酸化カリウム(KOH)をベースにしたCO2の回収方法における、2次ステップの反応物の溶解度が増加することにある。
【0030】
CO2の回収技術でLiOHをリサイクルするための試薬の使用にかかわらず、99.0% のCO2除去効率があり、かつ海洋の安定に非常に大きく役立つ化合物である重曹(NaHCO3)を生成する。しかしながら、このプロセスはガス流中のNOxにより影響を受ける他、大量のSO2が存在することにより処理が遅くなる。そのため、LiOHをベースにした回収プロセスは、前述のCO2、NOx、SO2を処理するグループに含まれている。このグループでは、NaOHとNaOClの消費量のバランスを取ることもできる。
【0031】
KOHを消耗品の試薬として使用するLiOHをベースにしたCO2の回収プロセスでも、SO2 とNOxの最小限の気体または液体の流れが必要であるが、化学的特性から上記とは別の方法を検討する必要がある。非イオン性二酸化塩素(ClO2o)を利用して、気体や液体の流れから99.5%のNOxやSOxを除去する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図の簡単な説明
ここでは1つもしくは複数の様々な実施形態について以下の図を参照しつつ説明する。ここで紹介する図は、本発明の例としての実施形態を紹介しているに過ぎない。この図面はこれを読む人が本発明をよりよく理解するために示すものであり、発明の範囲は特許請求の範囲を制限する意図は全くない。また説明を明確にするため、図面のサイズは必ずしも縮尺通りではないことに留意していただきたい。
【0033】
図1】CO2、NOx、SO2を回収するための統合閉ループシステム(1ループプロセス)の実施形態を示したものである。
【0034】
図2】統合閉ループシステム(1ループプロセス)での異なるpHの環境下におけるNaOCl/NaOClのパーセントスペシエーションの実施形態を示したものである。
【0035】
図3A】CO2を回収するための統合閉ループシステム(2ループプロセス)の別の実施形態を示したものである。
【0036】
図3B】CO2を回収するための統合閉ループシステム(2ループプロセス)の別の実施形態を示したものである。
【0037】
図4A】1ループプロセスおよび2ループプロセスの構成の方法関する実施形態を示したものである。
【0038】
図4B】1ループプロセスおよび2ループプロセスの構成の方法関する実施形態を示したものである。
【0039】
図5】1ループプロセスおよび2ループプロセスの試薬の生成、変換、分配技術の実施形態を示したものである。
【0040】
図6】1ループプロセスで使用されるプロセスフロー機器の実施形態を示したものである。
【0041】
図7】2ループプロセスで使用されるプロセスフロー機器の実施形態を示したものである。
【0042】
図8】特定の速度と風の条件下における実際の船舶の燃料消費量の実施形態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここでの説明は、同業者であればここで説明する実施形態を作成及び使用できることを目的にしている。特定の装置、技術、機器に関する説明はあくまでも一例である。ここで説明する実施形態例の様々な修正型は、当業者であれば簡単に思いつくものであり、本明細書で定義する一般的な原理は、本発明の精神及び範囲から逸脱することのない範囲で、様々な実施形態の例や用途にも適用される。したがって本開示は、ここでの実施形態例に限定するものではなく、本明細書の特許請求の範囲と一致する範囲に及ぶと解釈するべきである。
【0044】
「例示的」という用語は、「例示として役立つ」という意味である。いかなる側面またはデザインにおいても、「例示的」とは、必ずしも他の側面やデザインよりも好ましいとか、優秀であると解釈するべきではない。
【0045】
対象となる技術の詳細に参照用の番号がふってあり、同種の参照の番号は全体を通して同様の要素を示すものである。
【0046】
本明細書で開示するプロセスの順序やステップは、例示的なアプローチにすぎない。その時の設計に応じて、本発明の範囲にとどまる限りにおいて、プロセスの順序やステップが変わることを理解していただきたい。本明細表に添付する特許請求の範囲では、様々な手順の一例を示したものであり、特定の順序や手順に限定するものを意図したものではない。
【0047】
ここで開示する技術は、環境スチュワードシップを強化する上記の目的やタスクに関連している。本技術は、陸上及び海洋におけるCO2の回収、NOxの再生成、SO2の破壊に関する新しいリソースを提供するものである例えばここで説明するCO2回収プロセスの副産物は重曹 (NaHCO3)である。この重曹は海洋生物の生命の維持に必要な化学的なバランスを維持するのに必要な化合物である。もしこの製品を海洋で使用すれば、不可避的に大気から海洋やそれ以外の水域に溶け込むCO2による酸性化を変えることができる。
【0048】
ここで開示する技術は、海上や陸上で排出される排気ガスや、直接大気に含まれるCO2、NOx、SO2に利用することができる。この統合技術は、これらの気体を回収して化合物に変換する、非常に環境に優しい方法を提供するものであり、多くの商業上のメリットもある。
【0049】
ここで開示するNaOHと NaOClを消耗品の試薬として使用する化学的なプロセスは、ベンチスケールテストで実証済みであり、燃焼および化学的な処理を施した排気ガスからCO2を99%、NOxを90%、SO2を99%除去できる。ClO2oベースのNOxの除去では、除去効率は99.5%である。この結果は、ガス流のテストに基づいたものであり、ここにはディーゼルの排気、重油燃焼の排気、化学分解プロセスからの排気が含まれるが、これに限定するものではない。
【0050】
本開示の技術は陸上の及び海上の船舶に利用できる。ここでは物理的に小さな「足跡」が必要である。それはプロセスが使用する電気を生成する時に発生する排気ガス処理に関するカーボンニュートラルである。この技術は太陽光もしくは風力発電を使えばカーボンニュートラルでもある。ミスト、ドライまたはウェットのエアロゾル、気相または液相互作用を続けることにより、船舶内でのターゲットのガスはすべて除去される。この際排気ガスのダクトは従来のものに比べて直径は小さくなる。
【0051】
CO2、NOx、SO2の削減プロセスは、協調性がある。あるプロセスでの反応から収集された物質が別のプロセスの試薬として使えることが多いため、化学物質の使用を最小限に抑えることができる。たとえば、図1に示す反応の順序では、最初のCO2の回収で生成されたHOClを使用して、それに続く2つのNOxを回収するプロセスでNaOClを生成できる。
【0052】
こうしたすべてのプロセスの主な消耗品は、塩化ナトリウム(NaCl)または塩化カリウム(KCl)である。NaClやKClを他の消耗品に転嫁するための必要なエネルギーは、以下のエネルギーに関する研究と、物質収支に含まれる。
【0053】
CO2、NOx、SO2の回収と抑えるように使用される化学物質のほとんどはリサイクルが可能である。試薬の再利用に必要なのは燃焼廃熱から得られる70度の熱、もしくは25度以下の冷却であり、これらはその温度と同等もしくはそれ以下の海水もしくは液体から得ることができる。
【0054】
機械を動かすための電力もこのエネルギーの研究と物質収支に含まれる。このプロセスでは、例えは船舶や発電所の機械で電力を生成する場合、このプロセスに必要な電力を生成する際に作られるCO2、NOx、SO2の処理が可能である。
【0055】
ここで説明したこのプロセス制御システムのロジックプログラムはすべてのプロセスの反応速度を個別に調節することが可能であり、必要に応じて、CO2、NOx、SO2の化合物比や、排気ガス中の化合物の全体的な濃度をリアルタイムで調節することができる。
【0056】
ここで開示する手法は、CO2、NOx、SO2を含む大気ガスや点源を効果的に分離する技術を提供するものである。この技術は、例えばこうしたガスの科学的な反応や、燃焼源の排気管から生じる気体の点源に利用することができる。こうしたガスは、水溶液に溶解されるなど、液相にも存在する可能性がある。本技術は、大気中に放出されたガスや水中に存在するガスにも利用できる。本技術は環境にも優しいものである。例えば反応で生成するのは重曹 (NaHCO3)などの無害な物質だからである。この重曹はベーキングソーダとして知られ、商業的な価値を有するものである。
【0057】
本開示では、CO2、NOx、SO2(対象の気体)を除去するための7つの相乗的な化学的プロセスを提供するものである。本開示はまた、支持反応と統合した化学的プロセスの手法の有用性について説明する。7つの化学的なプロセスと、その支持反応は多面的な化学的な相乗効果を共有する。ここには、燃焼室の容量の削減、滞留時間の短縮、低エネルギーでの化合物のリサイクル、そして商業的に価値のある製品の効率的な生成が含まれる。例えば図1で示す5つの化学反応は、単一の燃焼室で実現させることができる。5つの反応の反応速度は、3つの化学物質を含む溶液の濃度とpHを変えることによって個別に調節することができる。
【0058】
このプロセス制御技術は戦略的に配置したセンサーからのデータを使用することができる。このデータはセンサー間の比較により正確であることが確認されている。ここで採用するプロセスロジック制御(PLC)プログラムは、洗練された「if then」ロジックと、以下のようなすべての反応の反応速度を巧みに調整するアルゴリズムを備えている。
【0059】
3つの対象の化合物の比率の変化の調節。
【0060】
対象の化合物の濃度の変化の調節。
【0061】
所定のCO2、NOx、SO2の除去効率を得るための、必要な化学薬品の投与量の決定。このアプローチは過剰な化学薬品の投与をなくす。
【0062】
7つの反応の主要な反応物であるNaOHとCl2/NaOClのモル比のバランスを取る。
【0063】
PLCの多数の変数を使ったif thenロジックは、こうしたタスクを実現することができる。その理由は、対象の化合物を処理するための7つの主な反応は、CO2とNOxの反応でNaOH/NaOCl を速度を制御するための試薬として使い、その反応を意図的なものにしているからである。各グループの化合物とCO2、NOx、SO2を処理するこの能力により、PLCプログラムが必要に応じてNaOH と NaOClのバランスをとって7つの方程式の反応速度を調節することを可能にしている。7つのプロセスの全体が、必要に応じて、効率の低いCO2、NOx、SO2やその他の化合物のスクラバに続いて、「研磨スクラバ」として機能する。
【0064】
試薬をバランスよく使用する事は非常に重要である。なぜなら、単一の電気化学(E-Chem)のプロセスで、NaClをNaOHとCl2に変換することにより、本明細書で説明する7つのプロセスの2つの主な試薬を生成することができるからである。Cl2 は従来の従属反応を使用することで、直ちにNaOClとHOClに変換される。この変換には電気化学(E-Chem)のプロセスにより生成されるNaOHの一部が必要である。共生化学量論と簡単に管理できる反応の力学を備えた7つの方程式を選ぶこのステップは、試薬の保管容器の必要性を無用もしくは低減することができることから、商業的に価値を有する。この特徴は、特に船舶の貨物スペースを利用しするのではなく、電気化学的プロセスを使って海水から試薬を生成することを選んで、船舶で使用する際に重要である。電気化学的なプロセスは、船舶の装置でも陸上の装置でも、塩化ナトリウムの食塩水を使って利用できる。
【0065】
NaHCO3を海に戻すことは、とても重要な理由がある。大気から海に溶け込んだCO2を相殺するからである。海洋はNaHCO3を主要な緩衝用の化合物として利用することで、pHを約8.1に安定させているCO2は、気相である大気と液相である海洋のCO2の濃度を等しくする自然の流れとして大気から海に入り込む。現在、世界の海洋では、海洋中の貝やその他の物質から出るCaCO3 の溶解をすることによってCO2を相殺する以上に、NaHCO3を使用してCO2を相殺している。もしこのプロセスが何らかの形でバランスを失うと、海洋のpHが維持できなくなる。その結果として生じる急激なpHの変化は、海洋の藻を殺すことになる。この藻は世界の大気中の酸素のおよそ70%を生成している。そうなれば酸素に依存している人間を含む全ての生物が死滅することになる。これにより世界は6番目の絶滅の危機を迎えることになる。残念なことに自然や人為的なものからのCO2は非常に多いことから、仮に今すぐ燃焼やその他の発生源からの大気へのCO2の排出を停止したとしても、大気中のCO2 と海洋のCO2 の平衡をとる前に、世界中の海洋はNaHCO3を使い果たすことになる。
【0066】
したがって海洋におけるpHの大惨事を防ぐための行動が必要になる。幸いなことに本開示で説明するCO2を回収するプロセスは、いかなる抽出元からであっても、CO2の各モル毎に1モルのNaHCO3を副産物として生成する。本開示のプロセスは生命を支えるpHの平衡維持機能を海洋が失うことに対する1つの解決策になる。
【0067】
したがって実施形態では、一つのリアクターの中で、3つか、それ以上の連続反応のステージを使用したり、3つか、それ以上の連続反応のステージを組み合わせることにより、CO2、NOx、SO2を排気ガスや液体流から除去するプロセスを組み合わせた技術を提供するものもある。ガス/ミスト、またはガス/(ウェットまたはドライエアロゾル)、または液体/液相互作用技術により、個別および集合的なスクラビングステージで、500 m3/分から構築が可能な任意のサイズまで、あらゆるガス/液体量を処理できる。
1つまたは複数のリアクター(反応槽ともいう)が、気体(ガスともいう)同士(気体/気体)の相互作用、気体とミスト(気体/ミスト)の相互作用、気体と液体(気体/液体)の相互作用、液体とミスト(液体/ミスと)または液体同士(液体/液体)の相互作用の組み合わせによ り、混合物間の相互作用を引き起こす。
気体/ミストの相互作用は、SO 2 、NO、NO 2 、CO 2 のガスとNaOCl、 NaOH 、H 2 Oの 液滴の相互作用が含まれ、ここでは、機械的な液滴の有無 に関係なく、該相互作用はノズルを使用する。
1つまたは複数の反応槽においてSO 2 、NO、NO 2 、CO 2 の混合物を供給することを更に含むことが可能であり、それは、 気流または液流として、この混合物を、NaOCl、NaOH、H 2 Oの水性の混合物、またはNaOCl及びNaOHの粉末の混合物への、暴露を促進させる。
気体/液体の相互作用は、SO 2 、NO、NO 2 、CO 2 のガスとNaOCl、 NaOH 、H 2 Oの溶 液の相互作用が含まれ、ここで、該相互作用は、泡箱(バブルチャンバ)または向流充填層スクラ バー、もしくは衝突プレートトレイタワースクラバーを使用 する
液体/液体の相互作用は、溶液中のSO 2 、NO、NO 2 、CO 2 と溶液中のNaOCl、 NaOH 、H 2 Oの相互作用が含まれ、ここでは該相互作用は、スタティックミキサー又はソニックミキサーを使用する。
反応速度は狭いスペースの陸上での機器や、移動が可能な機器でも十分な小さいサイズの反応槽でも、十分な速さである。この手法は、対象となる気体の処理の仕様に応じて、より大きなものでも活用できる。商業的にはまだ販売されているものではないが、この方法論はスペースが限られた船舶での用途に適している。この実習形態の物質収支は本明細表に記載してある。このプロセスは陸上での、はるかに大きな機器にも簡単に使用することができる。
【0068】
図1に示すように、1ループプロセス技術では、SO2が初期に回収される。
【0069】
SO2が次亜塩素酸ナトリウム(NaOClまたはNaClO、「漂白剤」としても知られる)を含む水性のミストに溶け込んだ時、またはSO2を含むガスが向流の充填層スクラバや、バブルトレイスクラバーや、その他のNaOClを含む溶液と同様のものを通して移動した時にこのプロセスが発生する。または、SO2を含む溶液をNaOClを含む溶液と反応させることによってこのプロセスが発生する。このすべての場合において、反応によって塩化ナトリウム(NaCl)と硫酸(H2SO4)が生成される。 以下の式[1]に示すように、1モルのNaOClは1モルのSO2と1モルのH2Oと反応して、1モルのNaClと1モルのH2SO4を生成する。
SO2 + NaOCl + H2O → NaCl + H2SO4 [1].
【0070】
次に、図1に示すように、NOx(NOとNO2の両方)の初期の回収は、NaOClとH2Oとの反応によって生じ、これにより硝酸ナトリウム(NaNO3)と塩酸(HCl)を生成する。式[2]に示すように、1モルのNOと1モルのNO2は、1モルのNaOClと1モルのH2Oと反応して、2モルのNaNO3と2モルのHClを生成する。
NO + NO2 + NaOCl + H2O → 2 NaNO3 + 2 HCl [2].
【0071】
次に、図1に示すように、CO2の初期の回収は、NaOClとH2Oの反応によって発生し、次亜塩素酸(HOCl)とNaHCO3を生成する。式[3]に示すように、1モルのCO2は1モルのNaOClおよび1モルのH2Oと反応して、1モルのHOClと1モルのNaHCO3を生成する。
CO2 + NaOCl + H2O → HOCl +NaHCO3 [3].
【0072】
次に、図1に示すように、NOxの2回目の回収は、NaOHとNaOClとの反応によって発生し、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)とH2Oを生成する。式[4]に示すように、1モルのNOと1モルのNO2は、2モルのNaOHおよび1モルのNaOClと反応して、2モルのNaNO2と1モルのH2Oを生成する。
NO + NO2 + 2 NaOH + NaOCl → 2 NaNO2 + H2O [4].
【0073】
最後に、図1に示すように、CO2の2回目の回収は、NaOHとの反応によって発生し、NaHCO3を生成する。 式[5]に示すように、1モルのCO2が1モルのNaOHと反応して、1モルのNaHCO3を生成する。
CO2 + NaOH → NaHCO3 [5].
【0074】
この生成物の最初の強制沈殿は、メタノール、エタノール、プロパノール、tertブタノールなどを含むアルコールを、NaHCO3、 Na2SO4 、NaClを含む反応混合物に添加することで発生する。沈殿した物質が水相やアルコール相から分離されると、アルコール(メタノール)を熱分離して再利用され、固体のNaHCO3、Na2SO4、NaClとして商業用に貯蔵することも、海に戻すことも可能である。または、沈殿した物質を水やアルコール液から除去後に、アルコール(tertブタノール)を水相から分離し、混合物を海水または25°C以下の冷却トラップ(コールドトラップ)で冷却し、適切な方法でゼリーや個体を分離することで再利用することができる。固体のNaHCO3、Na2SO4、NaClは、商業用に貯蔵することも、海に戻すことも可能である。
【0075】
この生成物の二回目の強制沈殿は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのジアルキルケトンを、NaNO2やNaNO3などの水性反応混合物に添加すると生じる。沈殿した物質が水性もしくはアセトンの混合物から分離されると、アセトンが熱的にリサイクルされ、固体のNaNO3 生成物は貯蔵して肥料として使用できる。
【0076】
さらに、図1に示すように、NaOClとNaOHと、リサイクルされたH2Oをループシーケンスに追加することで、反応サイクルを維持することもできる。
【0077】
図1に示す反応の順序は、複数のアルゴリズムに基づくプロセス制御シーケンスを使用しており、試薬投与パラメーターを変更することにより、わずかに重複する5つの連続反応の反応速度を効果的に調整できる。プロセス制御は、多くの変数を使った連立方程式を使用して、複数のセンサーからのデータを統合することができる。この方程式ではif-thenロジックを採用しており、既知の動的な反応パラメーターを参照してデータの有効性を判断する。このプロセス制御は、反応槽への試薬の注入のタイミングも調整する。プロセス制御には、注入する試薬の量と使用する試薬のpHの調整も含まれる。この5つの反応の多数の変数を持つプロセス制御は、NaOCl、NaOH、HClの3つの反応物を調整することで実現できる。
【0078】
ループシーケンス内の反応を相乗的に選ぶことにより、プロセスの初期段階の反応生成物を、同じ容器内で半分重複する環境で、その後に発生する反応の試薬として使用できる。たとえば、図1に示す反応の順序では、最初のCO2の回収で生成されたHOClを使用して、その後のNOxの2回の回収プロセスでNaOClを生成する。
【0079】
図1に示すように、反応の正確なプロセス制御が可能である。なぜなら、このプロセスのために選んだ様々な異なる反応が、それぞれ独自の反応速度を持ち、NaHCO3がその環境のpHに反応して新しく生成された時に、生成された2つのイオンに対して個別に反応するためである。
【0080】
反応の順序に関する知識と、反応槽に注入されるNaOCl試薬のpH、タイミング、量を意図的に変えることにより、CO2、NOx、SO2を任意にかつ予定通りに回収・除去する方法を生み出すことができる。
【0081】
図1で示したループの5番目の反応では、試薬としてNaOHを使う。事前に設定済みのセンサーのデータに基づき、PLCプログラムが指定したNaOHを注入する速度とタイミングで、プロセスを制御する。
【0082】
このシステムで使用するプロセス制御ロジックには、センサーからのデータが信頼できるものでなければならない。酸化還元電位(ORP)のような非特異性のセンサーの場合、プロセスに関する情報の信頼性が低い場合がある。たとえば、反応混合物へNaOClの注入をORPを使って調整する場合、ORPの変化によりNaOClを注入することになるが、これは仮にNaOClがORPに影響を与える唯一の化合物である場合にのみ、有効なプロセス制御となるであろう。しかし、ORPは反応混合物中のHClOやClOイオンだけを検出するわけではないため、ORPプローブからのデータは信頼できない場合がある。反応混合物中の他の化合物やイオンも、ORP値に影響を与える可能性がある。この問題は、同じセンサーを2つ以上使用しても解決できない。そのため、本明細書で開示する、反応の調節に使用するプロセス制御ロジックでは、プロセスの混乱を招く恐れのある非特異的センサーに依拠しない。本明細書で説明するプロセス制御は、プロセスのセンサーの混乱が生じうる状況においては、2つの異なるセンサーを使用し、それぞれの情報を比較している。
【0083】
たとえば、NaOClの注入は、2つの異なるセンサーからのデータで確認できる。それは、プロセスの液体のpHと反応槽内のCl2ガスの濃度である。図2に示すように、この2つのセンサー値はNaOClのスペシエーションと比較される。ここで説明した組み合わせは、NaOClをプロセスの一部として注入する際の、各エリアにおける信頼できるプロセスの変数データを提供するために使用される。
【0084】
センサーデータの検証のコンセプトは、他のプロセスの変数にも利用される。反応槽の特定の部分における気体の識別と濃度に関するFTIRデータは、プロセスの液体/ ミストのpHに対するSO2の存在など、既知のガス比の関連性と比較される。
【0085】
単一のリアクター内の複数のプロセスの監視と調整することにより、従来のプロセス制御で7つのプロセスを別々の反応槽で行う場合に必要なサイズよりも、はるかに反応槽が小さくて済むのである。
【0086】
CO2をベースにしたLiOHより以前の、ガスや液体の流れからSO2とNOxを除去するための代替的な方法は、二酸化塩素(ClO2o)をベースにしている。
【0087】
このプロセスの鍵は、ClO2oと示すように、「o」で区別される非イオン性の二酸化塩素を生成することである。これは、前述で参照した特許に記載されている方法により実施できる。一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)と反応させるために、反応槽へ注入するClO2oを計量するプロセス制御は、 FTIRもしくはガス流や液体流内のこうした化合物やClO2oを感知できる他のセンサーにより行われる。ClO2oは、式[6]および[7]に従い、NOおよびNO2と反応する。
5 NO + 2 (ClO2)o + H2O → 5 NO2 + 2 HCl [6]
5 NO2 + (ClO2)o + 3 H2O → 5 HNO3 + HCl [7]
【0088】
式[6]および[7]にから生成されたHClとHNO3は、式[8]および[9]の説明の通り、KOHで中和される。
HCl + KOH → KCl + H2O [8]
HNO3+ KOH → KNO3 + H2O [9]
【0089】
式[8]と[9]で示すKClとKNO3 の生成物は、エタノール、またはそれと同等のものを使用して、強制沈殿により除去できる。
【0090】
別の実施形態では、CO2を回収してNaHCO3に変換する閉2ループシステムの2ループプロセス技術を利用するものもある。この手順では、主要な反応物として水酸化リチウム(LiOH)があり、これを再利用してループに戻すことが可能である。速度を制御するためにループに注入する消耗品には水酸化ナトリウム(NaOH)を含む。副産物として炭酸ナトリウム(Na2CO3)が生成しうることから、CO2をさらにNa2CO3変換するために利用できる。この技術は宇宙船、船舶、潜水艦、麻酔などのさまざまな用途が考えられる。
【0091】
図3Aおよび3Bで示すように、2ループプロセスのループ1では、最初のCO2回収と2回目のCO2の回収が含まれる。このプロセスは、CO2が水酸化リチウム(LiOH)もしくは炭酸ナトリウム(Na2CO3)に注入されたときに始まる。LiOHやNa2CO3と、CO2の接触および反応を生じさせる方法はいくつかある。CO2を含むガスは、LiOHやNa2CO3を含んだ水性ミストに晒すことができ、その結果、気相と液滴の間で膜を介してCO2が移動し、液滴内のLiOHやNa2CO3と反応する。CO2を含んだガスがLiOHを含む薄い液膜に当たり、気相と液膜の間の膜を介してCO2が移動して、液膜内のLiOHやNa2CO3と反応させることもできる。
【0092】
別の実施形態では、LiOHやNa2CO3を含む溶液と混合される水溶液にCO2を溶解または懸濁することができ、それによりLiOHやNa2CO3と反応させるものもある。最後の例では、CO2を含んだガスを乾燥・湿った粒状もしくはナノ粒のLiOHを含むエアロゾルや、もしくは式[10Aおよび10B ]で説明する反応の結果生じたCO2が液滴に溶解・懸濁したものに晒すこともできる。この反応生成物と余剰な反応物はミストもしくは液体により回収され、最終的にこのプロセスの手順で再循環する。
【0093】
この手法によるCO2の回収は、気体を粒状のLiOHもしくはその他のリチウム素材を含んだ粒状の物質の固定床にさらすことによってCO2回収するという、よく知られて業界でも行われている「ドライ(乾燥)」の方法とは異なる。
【0094】
図3Aで示すこの手法によるCO2の回収の例は、最終的にはCO2を水相に移動させて、以下に示す式に従って反応させることになる。
【0095】
以下の式[10A]に示す通り、2モルのLiOHが1モルのCO2と反応して、1モルの炭酸リチウム(Li2CO3)と1モルの水(H2O)を生成する。さらに、式[10B]で示すように、2モルの水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)が1モルのCO2と反応して、1モルのLi2CO3と3モルのH2Oを生成する。
2 LiOH + CO2 → Li2CO3 + H2O [10A]
2 LiOH・H2O + CO2 → Li2CO3 + 3H2O [10B]
【0096】
つまり、CO2は、大気や液体から回収された後、固体のLi塩、すなわち、LLi2CO3に分離することができる。式[10A]および[10B]で示すCO2の回収は、気相または液相のいずれかで生じるものである。
【0097】
次に、図3Aおよび図3Bに示すように、NaOHまたは水酸化カリウム(KOH)で処理することにより、式[11Aまたは11B]で生成されたLi2CO3が、それぞれ炭酸ナトリウム(Na2CO3)または炭酸カリウム(K2CO3)に変換される。
【0098】
こうした反応を以下の式[11A]および[11B]で示す。1モルのLi2CO3は、2モルのNaOHまたは2モルのKOHと反応して、2モルのLiOHと1モルの炭酸ナトリウム(Na2CO3)と1モルの炭酸ナトリウム、または炭酸カリウム(K2CO3)を生成する。
Li2CO3 + 2 NaOH → 2 LiOH + Na2CO3 [11A]
Li2CO3 + 2 KOH → 2 LiOH + K2CO3 [11B]
【0099】
LiOHの再生成に加えて、生成されたNa2CO3やK2CO3を次の手順で使用することにより、より多くのCO2を回収できる(以下の式[8A]および[8B]を参照)。
【0100】
式[11A]および[11B]で示す通り、Li2CO3とNaOHおよびKOHとの反応により、液相でLiOHおよびNa2CO3/K2CO3が生成される。
【0101】
次に、式[11Aおよび11B]からの反応生成物が、上記の気体と液体、もしくは液体と液体、または気体と固体の物質を移動する手法により、再びCO2にさらされる。
【0102】
物質移動は、式[12A]および[12B]で示すように、1モルのNa2CO3または1モルのKHCO3が、1モルのCO2および1モルのH2Oと反応して、2モルのNaHCO3または2モルのKHCO3を生成する。
Na2CO3 + CO2 + H2O → 2 NaHCO3 [12A]
K2CO3 + CO2 + H2O → 2 KHCO3 [12B]
【0103】
この反応は、NaOHまたはKOHの注入によってpHが塩基性になる限り、永続化する(水相の固形分濃度に依存する)。
【0104】
図3Aおよび図3B、また物質収支(表5)に記載するように、LiOHはリサイクルされ、プロセス全体では回収したCO2の1モルあたり、1モルのNaOHまたはLOHが必要である。反応全体により、回収したCO2の1モルあたり1モルのNaHCO3が生成される。
【0105】
プロセス化学は、プロセスの滞留時間を調整する方法を使う。これには、2ループプロセス手順の、ループ1とループ2を通る液体のフローが含まれる。ループ2は、ループ1のプロセス流のスリップストリームである。ループ2は実際には同じ機械の構成における複数のプロセスループであり、処理する処理液の量が異なる場合がある。複数のループ2プロセス装置のシステムは、同一もしくは異なる反応容器の断面積を有することができる。
【0106】
反応の理想的な滞留時間を実現するために、必要に応じて、2つ以上のループ2プロセスの液体流路の比率や割合を監視・調整することができる。全体的なループ2のプロセスフローの横断面積は、リアクター内の滞留時間を増やすために液体の流速を遅らせるなど、必要な調節が可能である。ループ内の反応が目的の割合のプロセスを達成できるように滞留時間を調整する。最適なプロセスの調整は、ループ2のプロセスパスの横断面積を調節することにより行い、それ以上変更するとループ2内のプロセス完了に望ましくない悪影響が及ぶ割合に達しない範囲で行われる。
【0107】
ループ1のプロセス経路の滞留時間も必要に応じて調整することができ、そのループで発生するプロセスを完了するための最適な割合を実現できる。これはループを通る処理液の流量を調整することによって行い、またループ2のリアクターへ向ける液体の量を分割することで実現できる。
【0108】
プロセス制御ロジックは、液体や気体の流れに含まれる化合物の濃度を決める分析センサーに加えて、流速センサーのデータを使用して、ループ2の経路の数とループ1とループ2の分割比を効果的に監視・調整し、両方のループが所定の反応を効果的に終えるようにする。本プロセスは、対象の気体の濃度と総量の変動に応じて自動的に調整されます。
【0109】
本開示では、同じプロセスの液体からLiOHを除去することなく、ループ2のリサイクルプロセスからNaHCO3を除去するための方法を提供する。これは、ループ2のスリップストリームの手順でアルコールを使った強制沈殿により行うことができる。このプロセスを成功させるためには、適切なアルコールを選ぶことが重要である。
【0110】
このプロセスで理想的なアルコールは2種類ある。それぞれに理想的な物理的特性がある。まずメタノールは、共沸混合物を生成することなく水に混和することができ、H2Oと比較してNaHCO3の溶解度が低く、LiOHの溶解度がH2Oと同等以上であり、理想的である。メタノールは水と使用しても共沸混合物を生成しない唯一のアルコールであるため、蒸留中にアルコールと水をより完全に分離することができる。メタノールの沸点は64.7°Cである。このように低温であるため、燃焼プロセスから得られる廃熱を使った蒸留により、メタノールを回収することができる。tert-ブタノールの凝固温度は25°Cから26°Cである。これにより、たとえば航海船に搭載する大型ヒートシンクなどに本手法を適用することが可能である。tert-ブタノールの凝固に必要な冷却は、海水からを無料で供給が可能である。これにより遠心分離機またはろ過によって分離が可能でになる。
【0111】
この分離の手順は、NaHCO3のアルコールの溶解度がLiOHよりも低い性質を利用している。たとえば、LiOHの水の溶解度はプロセス温度で108~128g/Lであり、NaHCO3 の水の溶解度は周囲温度で69~169g/Lである。しかし、エタノールなどのアルコールをLiOHの水溶液に加えると、溶解度は約23g/Lで変わらないが、NaHCO3の水溶液の溶解度は0である。
【0112】
NaHCO3とLiOHの溶解度の違いにより、この強制沈殿の手法が可能になる。すなわち、NaHCO3の沈殿物が残り、LiOHが溶液中に残る。メタノール、tert-ブタノール(その他の適したアルコール)をこのスリップストリームの液体に加えることで、ナトリウムやカリウム塩の沈殿に影響を与えることができる。
【0113】
アルコールや、理想はメタノールもしくはtert-ブタノールをループ2の液体に加えることも可能である。アルコール量は、ループ2の液体の流量、このプロセスの液体の温度、NaHCO3やKHCO3の沈殿に影響を与える化合物の濃度に比例する。プロセスの流れに最小限の静圧を加えることで、液体をより良く混合する従来の注入方法を使って、アルコールをループ2の管流に加えることができる。
【0114】
再生成したLiOHは水性反応混合物に残り、ループ1を通じてさらなるCO2の分離に再利用することができ、また固体のNaHCO3はペースト状にして、所望の純度や物理的な状態に応じて洗浄・乾燥できる。たとえば、薄膜乾燥機や、遠心分離機などの機械であれば、ペースト状のNaHCO3 から水分を除去することができる。 固体のNaHCO3は、商業用に梱包したり、恩返しとして海に投棄することができる。
【0115】
仮に、ループ1や任意で使用するSO2プレスクラバーによってSO2が気流から除去できなかった場合、残ったSO2はLiOHと反応してLi2SO3を生成しうる。これにより、ループ2のNaHCO3やLi2SO3の強制沈殿の2つの手順で、再循環する液体からも除去される。このプロセスは、以下の式[13]から[17]に示す反応の順番になる。
2 LiOH (飽和) + SO2 → Li2SO3 +H2O [13]
Li2SO3 + H2O + SO2 → 2 LiHSO3 [14]
Li2SO3 + H2SO4 → Li2SO4 + SO2 + H2O [15]
Li2SO4 (濃縮) + Na2CO3 → Li2CO3↓+ Na2SO4 [16]
Li2CO3 + 2 NaOH → 2 LiOH + Na2CO3 [17]
【0116】
ここで説明するCO2 の分離プロセスで使用する化学的性質については、一般的に燃焼排気ガスに存在する他の化合物に関してチェックを行い、このプロセスで重大な脱落や欠損は発生しないことを確認している。
【0117】
図4Aおよび4Bは、本明細書に開示するCO2、NOx、SO2 の回収と再利用の方法を1ループプロセスと2ループプロセスでの構成方法の実施形態を示したものである。順序は重要であるが、1つもしくは2つ以上の別々の反応槽によって生じる可能性があるすべてのパラレルの反応槽をこの手順で使用する場合、本プロセスは2つまたはそれ以上のパラレルの反応槽で生じる可能性がある。1ループプロセスと2ループプロセスは、一つの洗浄用(スクラビング)の容器内で順次組み合わせることも、2つ以上の部分に分けることもできる。
【0118】
また、図4Aおよび4Bは、排気ガスの温度が周囲温度を超えている場合に、SO2スクラバーや排気ガス冷却/節炭器(エコノマイザー)/消光のモジュールに1ループプロセスと2ループプロセスが、どのように先行するかを示している。図の右には、試薬の生成および、1ループプロセスと2ループプロセスの試薬の流れを示している。
【0119】
図4Aおよび4Bは、図1の「1ループプロセス(1LOOPPROCESSES)」という名前の黒い四角形内に記載した5つのプロセスの手順が、一つの洗浄用(スクラビング)容器内でどのように統合されるのかを示している。この化学反応の組み合わせは、1ループプロセスとして定義される。これは、燃焼またはCO2、NOx、SO2などの化学的および生物学的発生源から排出されるガスを処理するように設計されている。
【0120】
図4A図4Bの左にある1ループと2ループのプロセスの図は、それぞれ図1図3A図3Bに詳細に示してある。図4Aおよび図4Bで示している構成は、構成例にすぎず、これに限定するものではない。図4Aおよび図4Bで示す試薬の生成、変換、分配の技術については、図5で詳しく説明している。
【0121】
図4Aおよび図4Bは、 2ループプロセスの下流で排出されるNaOHと Cl2の電気化学的(E-Chem)な生成中に生成された水素ガスも示している。この燃焼モジュールには、ガス流全体に金属格子を含めることも可能である。その場合、火格子は水素ガスの燃焼によって加熱される。熱せられた金属の表面やバーナーの炎により残りの炭化水素が燃焼し、排気ガスを暖め流ことにより単排気管のコンデンセートを最小にする。
【0122】
図5は、別々の7つのガスの洗浄のプロセスが、2つにグループ化される方法を示している。
【0123】
1ループプロセスとして把握されるCO2、NOx、SO2の洗浄の化学反応は、二重線で囲んだ長方形内にグループ化されている。
【0124】
2ループプロセスとして把握される、2つのCO2 回収プロセスは、破線で囲んだ長方形内に示している。
【0125】
また図5は、一つの電気化学発電機で、海水やNaClを含んだ他の溶液から7つのプロセスすべてで使用する主な消耗品の試薬を、E-Chemプロセスに干渉するような化合物を使用することなく、製造できることを示している。E-ChemでNaClからNaOHとCl2を生成する方法は、業界で広く利用されている。より新しく、よりエネルギー効率が高く、環境への負荷が少ない技術が登場している。より進化した技術を使用することが望ましく、本開示の技術は、1つの電気化学的方法論に依存するものではない。
【0126】
Cl2 をNaOClへ変換もよく行われている方法である。本開示は、いずれか1つの方法論に依存するものではないが、最もエネルギー効率が高く、環境的に負荷の少ない方法を採用することを推奨するものである。
【0127】
図5 は、E-Chemプロセスで試薬の量のバランスを取る方法も示している。CO2とNOxを回収して転用するにはいくつかの方法がある。これらの方法の各タイプでは、少なくとも1つは試薬としてNaOClを使用するものであり、それ以外はNaOHを使用する。このように使用する試薬を2種類用意することにより、E-Chemプロセスによる全体的な生成を均等化するために、必要に応じてCO2やNOxスクラビングをどちらか一方、もしくは両方の試薬に割り当てることができる。
【0128】
図5では、SO2を回収する方法を1つ示しているが、プレ・スクラブ(洗浄前)の段階で任意に広げることも可能である。
【0129】
NaOHやNaOClを消耗品として使用するこのプロセス全体に、CO2、NOx、SO2の処理方法を統合することで、試薬を無駄にすることなく、排ガス流中のCO2、NOx、SO2の比率の変動に対応できる。
【0130】
たとえば、この技術の中には、意図的にCO2を除去するための3つのプロセスが含まれている。その中の1つはNaOClを消耗品として利用するものであり、その他の2つはNaOH/KOHを使用する。これは重要な点である。なぜならCO2の燃焼などの質量負荷は通常NOxやSOxの質量負荷の40倍であるため、CO2の一部をNaOH / KOHで処理して、残りをNaOClで処理することにより、NaClをE-Chemで転換して利用する試薬のバランスを取る必要があるからである。そのため、CO2の一部をNaOH / KOHで処理し、残りをNaOClで処理することが不可欠です。 NaClのE-Chem変換からの試薬の化学的利用可能性のバランスを取ります。NOxやSO2濃度の変化を監視することで、CO2 の反応のための全体的な比率を調整できる。前述の多面的なプロセスを通じて、プロセス制御システムのロジックが各CO2の分離プロセスの割合を調整する。
【0131】
ここで説明する1ループプロセスは、2ループプロセスの前提条件として動作するように設計されているが、1ループプロセスと2ループプロセスはスタンドアロン(別個独立)でも構わない。
【0132】
1ループプロセスは、研磨スクラバーとしても機能する。1ループプロセスを、SO2を減少させる洗浄装置またはNOxを減少させる洗浄装置として使用する例もある。別の例では、再利用する反応物質として使用するために、排気ガス流からの排熱を回収するための消光として、1ループプロセスで使用する例もある。
【0133】
さらに、プロセス薬品と反応する可能性のある化合物、例えばSO2やNOxがガス流に含まれていない場合は、2ループプロセスをスタンドアロンで使用できる。
【実施例
【0134】
実施例1
1ループプロセスで使用する機器は、以下の図6および表2で説明する。
【0135】
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【0136】
実施例2
2ループプロセスで使用するプロセスフローの機械を、以下の図7と表3で説明する。
【0137】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0138】
ここで開示するCO2、NOx、 SO2のプロセスは、海上・陸上の機器に使用できる。このプロセスの固有の設計は、海洋での使用に必要な特徴を備えている。その機能は任意で陸上での機材にも使用できるほか、より大きな機材の場所を必要とするところでも使用することができる。こうした機能の概要は以下のとおりである。
【0139】
反応槽は、典型的な排気ガス流に必要な体積よりも反応槽の大きさがわずかに大きくなるような速度で処理を行う。
【0140】
反応槽はミスト反応を使用するため、どの方向にも向けることが可能である。図で示す上向きの流れは、単なる例である。
【0141】
このプロセスでは、海水からNaOHとNaOClを生成できるため、NaClを貯蔵する必要はない。
【0142】
このプロセスでは海洋がpH制御に使用するNaHCO3 が生成される。船舶からこの化合物を捨てることが海洋の利益につながる。 そのためNaHCO3を保管する必要がない。
【0143】
本開示のプロセスでは、NaNO3をプロセスストリームから分離して、商業的に利用できるペースト状にして保管する。
【0144】
本明細書で開示するプロセスは、プロセスの実行に必要な電力を生成する発電システムの排気を処理することができることから、プロセスの処理においてCO2、NOx、 SO2を排出することが本質的にありえない。
【0145】
旧来の古い技術を使用する場合、NaOH/KOH生成のためにE-Chemを使用することは憚られる。過去数年間で、NaOH / KOHの生成技術は徐々に環境にやさしいものになっている。改善された電極技術はすでに商業生産で利用されている。それ以外の技術的進歩により細胞膜の必要性が失われている。この進歩により、電気の使用量は従来のものに比べて3分の1から5分の1に減っている。
【0146】
表4は、本開示のプロセスに必要なNaOHおよびNaOClの生成に使用できる海水の化学組成の成分を示したものである。
【0147】
【表4】
【0148】
ここでは、物質収支は、NOxに95%のNOと5%のNO2の混合物を使用しているが、値は概算である。正確なNO/NO2比は、NOxの生成からスクラビングまでにかかる実際の時間、ガスの温度、ガス流中の他の化合物によって異なる。また、SOxのスクラビングの前にミストクエンチングにさらすことによっても影響を受ける。NO2の一部は急冷水(クエンチウォーター)に溶解させる。
【0149】
また、本開示は1ループプロセスと2ループプロセスのスクラビング段階の個々の物質収支表を示す。文献によれば、海洋の排気ガス中のNOxとCO2の比率が大きく異なることが報告されていることから、この研究では、SO2、NOx、COをそれぞれ1Kg除去するための物質収支を計算し、「典型的なカーキャリア船」をベースにして、これと組み合わせて、定義済みの運用パラメーターと共に使用する。表5は、2ループプロセスで回収した1kgのCO2の回収量と再利用の量を示したものである*。
【0150】
【表5】
*質量は100%の素材の乾燥重量で計算。
*蒸留中のH2Oの損失によるメタノールの消費量は推定値である。
【0151】
表6は、1ループプロセスで回収した1kgのCO2をベースにして、NaOClによって回収されたCO2の量を示したものである*。
【0152】
【表6】
【0153】
表7は、1ループプロセスで回収した1kgのSO2 をベースにして、NaOClによって回収されたSO2 の量を示したものである*。
【0154】
【表7】
*質量は100%の素材の乾燥重量で計算。
【0155】
表8は、1ループプロセスの減少プロセスで処理された1 kgの95%のNO/5%のNO2をベースにして、NaOClによって回収されたNOxの量を示したものである。*
【0156】
【表8】
*質量は100%の素材の乾燥重量で計算。
【0157】
NOxを排気ガスからまとめて処理する2つの方程式によれば、累積の推定で利用可能なNOxのおよそ90%を処理できる。NOxを99%以上除去する必要がある場合は、ClO2をベースにしたNOxプロセスが必要である。
【0158】
表9は、HFO燃料を使用した2気筒エンジンを100%使用した状態で海洋排気ガス中に排出されるCO2、NOx、SO2の比率を示したものである。
【0159】
【表9】
【0160】
表10は、計算で用いるための「典型的な船舶」の物理的特性を示したものである。
【0161】
【表10】
【0162】
図8は、指定の速度と風の条件下での実際の船舶による燃料消費量を示したものである。
【0163】
表11は、2気筒の船舶用エンジンで使用する燃料用の油の燃焼から排出されるCO2、NOx、SO2の排出量を示したものである。
【0164】
【表11】
【0165】
表12は、上記の一般的な船舶からのCO2、NOx、SO2の排出量(kg/時間)を示したものである。*
【0166】
【表12】
*NO/NO2のNOx比は95/5と定義する。
【0167】
表13は、HFO燃料を使用した2気筒エンジンを1時間当たり100%使用した状態での、実際の比率に基づいたCO2、NOx、SO2の回収を示したものである*。
【0168】
【表13】
1. H2Oは90%以上リサイクルされている。 淡水化プラントで組成される。
2.NaOH、NaOCl、HOClは、船で運ぶか、海水から回収したNaClから生成される。
【0169】
表13は、100%の排気量で動作している際の典型的な船舶から排出される排気ガスの実際の化学比に対して、上記の表で示したCO2、NOx、SO2の比率を調整するためのデータが示されている。ただし、こうした成分の比率は燃料やエンジンの動作によって異なるため、累積の物質収支は仮定のものである。
【0170】
次のデータは、CO2を100%、NOxを90%、SO2を100%を処理するために必要なNaOH、NaOCl、HOClを生成するために必要とされる、電気化学的なプロセスで使用するエネルギーを示したものである。この計算はSO2のプレスクラバーがないことが前提である。この3つの化学物質は、船舶または海水から除去されたNaClから生成されたものである。
【0171】
それ以外の、1ループプロセスと2ループプロセスモジュールによって化学物質をリサイクルするためのエネルギーは、すべて燃焼源から生成される廃熱エネルギーによって賄われる。この廃熱には、ポンプ、ミキサー、その他の機械を動かすのに必要な電力を生成するためのエネルギーも含まれているが、その廃熱を利用する場合は、別の機器が必要になる。そのため、電気エネルギーの生成のために、少量の燃料を使うことが実際的である。
【0172】
1Kg の NaOHを生成したり、NaClの飽和溶液からNaOCl や HOClを生成するための理想的なエネルギーは0.911 kWhである。海水をNaCl生成ためのリソースとしている場合は、電気エネルギーの消費量は大きくなる。表 14は、様々な燃料油でのエネルギーを示したものである*。
【0173】
【表14】
*1 kWh = 3412 BTU
【0174】
表12から15によると、表10や11で示す典型的な船舶での、エンジン容量を100%の使用した場合に排出されるCO2の全て、NOxの90%、SO2をすべて処理するためには、5番の燃料オイル(重油)95.77ガロンが必要になる。
【0175】
本発明の新規性や進歩性を持つ特徴について、好ましい実施形態とともに説明を行ってきたが、当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正形や変更形を容易に作成できることを理解できると考える。同様に、ここで示した様々な図では、例示的な構成や構造を示しており、本開示の機能や特徴を理解するのに役立つであろう。本発明は、ここで示した一例としての構成や構造に限定するものではなく、様々な構成や構造でも実現することが可能である。さらに、ここでは例としての様々な実施形態を用いて説明を行ってきたが、ここで紹介した実施形態で採用されている様々な機能や特徴といったものは、本発明の特許請求の範囲を限定する意図は無いことをご理解いただきたい。ここで紹介する実施形態で触れているかいないかにかかわらず、またそうした機能や特徴が示されているかどうかにもかかわらず、ここで紹介する実施形態はいくつか組み合わせて使用することも可能であり、単独で使用することも可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではない。
【0176】
(発明の概要)
概要1:
二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、二酸化炭素(CO2)をループシーケンスにより科学的に分離する方法で、以下から構成を含むもの。
a) 1つまたは複数の燃焼室にSO2、NO、NO2、CO2、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水 (H2O)の混合物を供給する。
b) SO2をNaOClとH2Oとで反応させ、塩化ナトリウム(NaCl)および硫酸(H2SO4)を生成する。
c) NO と NO2を、NaOCl と H2Oと反応させて、硝酸ナトリウム(NaNO3)と塩酸(HCl)を生成する。
d) CO2をNaOClおよびH2Oと反応させて、混合物中に次亜塩素酸(HOCl)および重曹(NaHCO3)を生成する。
e) NOおよびNO2を、NaOHおよびNaOClと反応させ、混合物中に亜硝酸ナトリウム(NaNO2)およびH2Oを生成する。
f) CO2をNaOHと反応させて混合物中にNaHCO3を生成する。
g) 混合物にアルコール溶媒を加え、生成されたNaCl、NaHCO3、Na2SO4を強制沈殿させて、混合物から沈殿物を除去する。
h) アルコール溶媒を混合物から除去する。、
i) 混合物にジアルキルケトン溶媒を加え、生成されたNaNO2とNaNO3を強制沈殿させて、 混合物から沈殿物を除去する。
j) ジアルキルケトン溶媒を混合物から除去する。
k) 必要に応じて、NaOCl、NaOH、H2Oを加える。
l) SO2、NO、NO2、CO2を1つまたは複数の第二の反応槽に加え、ステップbに従って反応させ、ループシーケンスを完了させる。
概要2
概要1の方法で、アルコール溶媒がメタノールまたは tert-ブタノールであるもの。ま たジアルキルケトン溶媒はアセトンであるもの。
概要3
概要1の方法で、1つまたは複数の反応槽中の混合物は、水溶液、水溶ミスト、気相であるもの。
概要4
概要1の方法で、NaOCl、NaOH、H2Oが、水溶液または水性ミストとして、1つまたは複数の反応槽に注入されるもの。
概要5
概要1の方法で、1つまたは複数の反応槽中の混合物がSO2、NO、NO2、CO2を含むもの。 この混合物を気流または液流としてのNaOCl、NaOH、H2Oの水性の混合物、またはNaOClやNaOHの粉末の混合物への暴露を促進させるものである。
概要6
概要1の方法で、1つまたは複数の反応槽が、気体同士の相互作用、気体とミストの相互作用、気体と液体の相互作用、液体とミストまたは液体同士の相互作用の組み合わせにより、混合物間の相互作用を引き起こすもの。
概要7
概要6の方法で、気体とミストの相互作用にSO2、NO、NO2、CO2とNaOCl、 NaOH 、H2Oの液滴の相互作用が含まれるもの。ここではノズルを使うが、機械的な液滴のせん断の有無に関わらない。
概要8
概要6の方法で、気体と液体の相互作用にSO2、NO、NO2、CO2とNaOCl、 NaOH 、H2Oの溶液の相互作用が含まれるもの。ここでは泡箱(バブルチャンバ)または向流充填層スクラバー、もしくは衝突プレートトレイタワースクラバー、もしくはこれと同等のものを使用する。
概要9
概要6の方法で、液体同士の相互作用にSO2、NO、NO2、CO2とNaOCl、 NaOH 、H2Oの溶液の相互作用が含まれるもの。ここではスタティックミキサーまたはソニックミキサー、もしくはそれと同等のものを使用する。
概要10
概要1の方法で、NaClをNaOHとCl2に電気化学的に分解した際に生成されたNaOClとNaOH を任意に追加するもの。またNaOHとCl2の一部を組み合わせてNaOClを生成するもの。
概要11
ループシーケンスによって二酸化炭素(CO2)を化学的に分離する方法であり、以下を含むもの。
a) CO2、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH) および水(H2O)の混合物を1つまたは複数の反応槽に供給する。
b) CO2をLiOHと反応させて、炭酸リチウム(Li2CO3)と水(H2O)を生成する。
c) Li2CO3をNaOHまたはKOHと反応させてLiOHを生成し、炭酸ナトリウム(Na2CO3)または炭酸カリウム(K2CO3)を生成する。
d) Na2CO3またはK2CO3を、CO2やH2Oと反応させて、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重炭酸カリウム(KHCO3)を生成する。
e) 混合物にアルコール溶媒を加えて、生成したNaHCO3またはKHCO3を強制沈殿させ、沈殿したNaHCO3やKHCO3を溶液から除去する。
f) アルコールの溶媒を混合物から除去する。
g)任意でNaOHや、KOHやH2Oを加える。
h) CO2を1つまたは複数の反応槽に加え、ステップbに従って反応させ、ループシーケンスを完了させる。
概要12
概要11の方法で、アルコール溶媒がメタノールまたはtert-ブタノールであるもの。
概要13
概要11の方法で、CO2が、水溶液または水性ミスト、もしくは気相として、1つまたは複 数の反応槽に注入されるもの。
概要14
概要11の方法で、LiOH、NaOH、KOHが、水溶液、水性ミスト、乾燥粉末エアロゾルとし て、1つまたは複数の反応槽に注入されるもの。
概要15
概要11の方法で、CO2が1つまたは複数の反応槽に注入されることにより、LiOH、NaOH、KOHとH2Oの水性混合物、またはLiOH、NaOH、KOHの乾燥粉末混合物と、気流または液流のCO2の暴露を促進するもの。
概要16
概要11の方法で、ここで、1つまたは複数の反応槽が、気体同士の相互作用、気体とミストの相互作用、気体と液体の相互作用、液体同士の相互作用、または気体とエアロゾル粉末の相互作用の組み合わせにより、混合物間の相互作用を引き起こすもの。
概要17
概要16の方法で、気体とミストの相互作用に気体のCO2とLiOH、 NaOH、またはKOH、 Na2CO3、または、K2CO3と、H2Oの液滴の相互反応を含むもの。ここではここではノズルを使うが、機械的な液滴のせん断の有無に関わらない。
概要18
概要16の方法で、気体と液体の相互作用に気体のCO2とLiOH、 NaOH、またはKOH、 Na2CO3、または、K2CO3と、H2Oの溶液を含むもの。ここでは泡箱(バブルチャンバ)もしくは流充填層スクラバー、もしくは衝突プレートトレイタワースクラバー、もしくはこれと同等のものを使用する。
概要19
概要16の方法で、液体同士の相互作用に溶液のCO2とLiOH、 NaOH、またはKOH、 Na2CO3または、K2CO3と、H2Oの溶液を含むもの。ここではスタティックミキサーまたはソニッ クミキサー、もしくはそれと同等のものを使用する。
概要20
概要11の方法で、 NaClまたはKClをNaOHとKOHに電気化学的に分解した際に生成されたNaOHとKOHを任意に追加するもの。
概要21
二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NO)、二酸化窒素(NO2)、二酸化炭素(CO2)を化学 的に分離するためのシステムで、以下を含むもの。
a)水(H2O)、次亜塩素酸(HOCl)の溶液、または水酸化ナトリウム(NaOH)溶液と共にSO2、NO、NO2、CO2を急冷/吸収するための1つまたは複数の第1の反応槽。
b) 塩化ナトリウム(NaCl)または塩化カリウム(KCl)とH2Oを反応させて、NaOH、KOH、水素(H2)、塩素(Cl2)を生成するための電気化学的なジェネレーター。この時、NaCl もしくはKOHは、Cl2と反応して、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または 次亜塩素酸カ リウム(KOCl)とH2Oを生成する。
c) 1つまたは複数の第2の反応槽で、SO2、NO、NO2 、CO2の科学的なシーケンスをループシーケンスで科学的に分離するもの。ここでは、生成されたNaOH またはKOH、もしくはN aOCl または KOClは、任意で第2の反応槽に注入する。
d) 1つまたは複数の第3の反応槽で、別のループシーケンスにより二酸化炭素(CO2)を科学的に分離するもの。ここでは生成されたNaOH またはKOHは、任意で第3の反応槽に注入す る。
e) 乾燥または湿ったLiOHの顆粒を運ぶエアロゾル。これは、反応の結果の気相のCO2、またはCO2の溶液の液滴と触れるものである。反応生成物と余分な反応物は、ミストまたは液体により回収され、このプロセスシーケンスで再循環される。
f)気相のCO2、NOx、SO2の液相への物質の変換を促進する装置。 例、試薬を含んだ液滴 。これは気体に噴射される機械的/水力的なせん断の有無によらない。
概要22
概要21のシステムで、ループシーケンスにより科学的にSO2、NO、NO2、CO2を分離するものであり、以下を含むもの。
a) 1つまたは複数の反応槽内に、CO2、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)、水(H2O)の混合物を注入する。
b) CO2をLiOHと反応させて、炭酸リチウム(Li2CO3)と水(H2O)を生成する。
c) Li2CO3をNaOHまたはKOHと反応させてLiOHを生成し、炭酸ナトリウム(Na2CO3)または炭酸カリウム(K2CO3)を生成する。
d) Na2CO3またはK2CO3を、CO2やH2Oと反応させて、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重 炭酸カリウム(KHCO3)を生成する。
e) 混合物にアルコール溶媒を加えて、生成したNaHCO3またはKHCO3を強制沈殿させ、沈殿 したNaHCO3やKHCO3を溶液から除去する。
f) アルコール溶媒を混合物から除去する。
g) 任意でNaOHや、 KOHや H2Oを加える。
h) CO2を1つまたは複数の反応槽に加え、ステップbに従って反応させ、ループシーケンスを完了させる。
概要23
概要21のシステムで、ループシーケンスにより二酸化炭素(CO2)を科学的に分離するものであり、以下を含むもの。
a) CO2、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH) および水(H2O)の混合物を1つまたは複数の第3の反応槽に注入する。
b) CO2をLiOHと反応させて、炭酸リチウム(Li2CO3)と水(H2O)を生成する。
c) Li2CO3をNaOHまたはKOHと反応させてLiOHを生成し、炭酸ナトリウム(Na2CO3)または炭酸カリウム(K2CO3)を生成する。
d) Na2CO3またはK2CO3を、CO2やH2Oと反応させて、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または重炭酸カリウム(KHCO3)を生成する。
e) 混合物にアルコール溶媒を加えて、生成したNaHCO3またはKHCO3を強制沈殿させ、沈殿したNaHCO3やKHCO3を溶液から除去する。
f) アルコール溶媒を混合物から除去する。
g) 任意でNaOHや、 KOHや H2Oを加える。
h) CO2を1つまたは複数の第3の反応槽に加え、ステップbに従って反応させ、ループシーケンスを完了させる。

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8