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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】力覚センサ、協働ロボット及びロボット
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1627 20200101AFI20241114BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G01L5/1627
G01L1/26 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022574985
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001214
(87)【国際公開番号】W WO2022153478
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】石川 宗
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 重義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰弘
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0323398(US,A1)
【文献】特開2010-210461(JP,A)
【文献】特開平11-231925(JP,A)
【文献】特表2020-533185(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1757881(KR,B1)
【文献】特表2017-520415(JP,A)
【文献】特開昭56-139891(JP,A)
【文献】特開平05-303422(JP,A)
【文献】特開2015-199174(JP,A)
【文献】特開2012-157946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0083962(US,A1)
【文献】特開昭62-162935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/26,5/12,5/16-5/173
B25J 1/00-21/02
G05B 19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端部に固定された固定部と、
前記固定部に連結部を介して連結され、かつ、外部から作用する力を受けて前記固定部に対して相対移動可能である可動部と、
前記可動部の変化の検出をすることにより前記外部から作用する力を検出する検出部と、
前記可動部に備えられ、前記ロボットアームの先端部に取り付けられるエンドエフェクタ部が取付可能である第1取付部と、
前記可動部に備えられ、人が握って前記ロボットアームを動かすことが可能であるハンドル部が取付可能である第2取付部と、を備え
前記エンドエフェクタ部側から前記可動部に向かう第1方向に力が作用した場合に、前記可動部の前記第1方向への移動が規制可能である第1移動規制部と、
前記ハンドル部側から前記可動部に向かう第2方向に力が作用した場合に、前記可動部の前記第2方向への移動が規制可能である第2移動規制部と、を備え、
前記固定部は、前記固定部に貫通して形成された貫通穴を備えかつ前記貫通穴内に前記可動部を移動可能に収容する可動部収容部を備え、
前記可動部は、前記可動部収容部の内壁面に複数の前記連結部を介して連結された側壁面と、二つの底面と、を備えた柱体である可動部本体を有し、
前記第1取付部は、前記二つの底面の何れか一方に形成され、
前記第2取付部は、前記二つの底面の何れか他方に形成され、
前記第1移動規制部は、前記第1取付部に設けられかつ前記貫通穴の範囲から外側にはみ出して設けられ、前記固定部の一方の面と接触することにより前記可動部の移動を規制し、
前記第2移動規制部は、前記第2取付部に設けられかつ前記貫通穴の範囲から外側にはみ出して設けられ、前記固定部の他方の面と接触することにより前記可動部の移動を規制する力覚センサ。
【請求項2】
前記第1移動規制部は、前記可動部が、前記外部から前記力が作用していない通常状態から、所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制し、
前記第2移動規制部は、前記可動部が、前記外部から前記力が作用していない前記通常状態から、所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制する請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項3】
前記第1移動規制部および前記第2移動規制部は、前記可動部側に設けられた請求項1または請求項2に記載の力覚センサ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の前記力覚センサを備えた前記ロボットアームを備えた協働ロボットであって、
前記エンドエフェクタ部は前記第1取付部に取り付けられるとともに前記ハンドル部は前記第2取付部に取り付けられ、
前記ハンドル部は、人が前記ロボットアームに前記エンドエフェクタ部のたどる軌道を教示するための教示部であり、
前記人が前記教示部を操作して前記ロボットアームを直接動かすことにより、前記ロボットアームに前記軌道及び前記ハンドル部に作用する力を教示するダイレクトティーチング制御を実施可能である協働ロボット。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の前記力覚センサを備えた前記ロボットアームを備えたロボットであって、
前記エンドエフェクタ部は前記第1取付部に取り付けられ、
前記エンドエフェクタ部が該エンドエフェクタ部のたどる軌道に沿うように前記ロボットアームを制御する倣い制御であって、前記倣い制御中に前記力覚センサによって前記エンドエフェクタ部に作用する力を検出する前記倣い制御を実施可能であるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、力覚センサ、協働ロボット及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
力覚センサの一形式として、特許文献1には、外側構造体、底板部材、台座からなる第1の剛体群と、内側構造体、連結部材、外殻構造体からなる第2の剛体群とを、弾性変形可能な複数の基本センサによって接続した構造を有している力覚センサが開示されている。この力覚センサが、ロボットアームの一部に使用される場合がある。この場合、第1の剛体群の台座または底板部材がロボットアームに接続され、第2の剛体群の内側構造体または連結部材にエンドエフェクタが接続される。力覚センサは、エンドエフェクタに作用する力及び/またはモーメントを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-119347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットアームにエンドエフェクタ以外の部材(例えば人がロボットアームを直接操作する操作部)を取り付けた場合には、上述した特許文献1に記載されている力覚センサにおいて、エンドエフェクタに作用する力は検出(測定)することができるものの、エンドエフェクタ以外の部材に作用する力を検出できないおそれがあった。そこで、エンドエフェクタ以外の部材に作用する力を検出するためには、別の力覚センサを取り付けることが考えられるが、ロボットアームが大型化・高コスト化となるおそれがあった。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、大型化・高コスト化を招くことなく、1つの力覚センサで2以上の力を検出することができる力覚センサ、協働ロボット及びロボットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、ロボットアームの先端部に固定された固定部と、前記固定部に連結部を介して連結され、かつ、外部から作用する力を受けて前記固定部に対して相対移動可能である可動部と、前記可動部の変化の検出をすることにより前記外部から作用する力を検出する検出部と、前記可動部に備えられ、前記ロボットアームの先端部に取り付けられるエンドエフェクタ部が取付可能である第1取付部と、前記可動部に備えられ、人が握って前記ロボットアームを動かすことが可能であるハンドル部が取付可能である第2取付部と、を備え、前記エンドエフェクタ部側から前記可動部に向かう第1方向に力が作用した場合に、前記可動部の前記第1方向への移動が規制可能である第1移動規制部と、前記ハンドル部側から前記可動部に向かう第2方向に力が作用した場合に、前記可動部の前記第2方向への移動が規制可能である第2移動規制部と、を備え、前記固定部は、前記固定部に貫通して形成された貫通穴を備えかつ前記貫通穴内に前記可動部を移動可能に収容する可動部収容部を備え、前記可動部は、前記可動部収容部の内壁面に複数の前記連結部を介して連結された側壁面と、二つの底面と、を備えた柱体である可動部本体を有し、前記第1取付部は、前記二つの底面の何れか一方に形成され、前記第2取付部は、前記二つの底面の何れか他方に形成され、前記第1移動規制部は、前記第1取付部に設けられかつ前記貫通穴の範囲から外側にはみ出して設けられ、前記固定部の一方の面と接触することにより前記可動部の移動を規制し、前記第2移動規制部は、前記第2取付部に設けられかつ前記貫通穴の範囲から外側にはみ出して設けられ、前記固定部の他方の面と接触することにより前記可動部の移動を規制する力覚センサを開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、力覚センサは、可動部の第1取付部にエンドエフェクタ部を取り付けるとともに第2取付部にハンドル部を取り付けることが可能となる。よって、この力覚センサは、エンドエフェクタ部に作用する力とハンドル部に作用する力の少なくとも一方を検出することが可能となる。その結果、大型化・高コスト化を招くことなく、1つの力覚センサによって少なくとも2つの力(2以上の力)を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】力覚センサ60及び協働ロボット20が適用された超音波診断システム10を示す外観斜視図である。
図2図1に示す協働ロボット20を示す側面図である。
図3】超音波診断システム10を示すブロック図である。
図4】力覚センサ60、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80を示す側面図である。
図5】力覚センサ60を示す外観斜視図である。
図6】力覚センサ60を示す平面図である。
図7】力覚センサ60を示す7-7線に沿った断面図である。
図8】力覚センサ60、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80の取付部分を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(超音波診断システム)
以下、力覚センサが適用された協働ロボットを備えた超音波診断システムの一例である一実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において、左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向である。また、XY平面に垂直な上下方向がZ軸方向である。
【0010】
超音波診断システム10は、協働ロボット(以下、単にロボットと称する場合がある。)20に超音波プローブ101を保持し、超音波プローブ101が被験者の皮膚に押し当てられるようにロボット20を駆動することにより超音波診断を行なうものである。本実施形態では、超音波診断システム10は、被験者の浅大腿動脈に超音波を当てて、浅大腿動脈の短軸方向における断面画像と長軸方向における断面画像とを取得し、取得した画像から血管の状態をチェックする浅大腿動脈エコー検査に用いられる。超音波診断システム10は、図1図2に示すように、ロボット20と、ロボット20を制御する制御装置90と、超音波診断装置100とを備えている。
【0011】
(超音波診断装置)
超音波診断装置100は、超音波プローブ101と、超音波プローブ101がケーブル101aを介して接続されている超音波診断装置本体102とを備えている。超音波診断装置本体102は、装置全体の制御を司る制御部103と、診断開始などの指示を入力する指示入力部104と、超音波プローブ101からの受信信号を処理して超音波画像を生成するための画像処理部105と、生成された超音波画像を表示する表示部106とを含む。
【0012】
(ロボット)
ロボット20は、図1,2に示すように、ロボットアーム20aと、ロボットアーム20aの基端部が取り付けられているベース25と、基台26と、ロボットアーム20aを昇降させる(上下方向に沿って移動させる)昇降装置40と、ロボットアーム20aの先端部に取り付けられたエンドエフェクタ部70と、ロボットアーム20aの先端部に取り付けられたハンドル部80と、を備えている。
【0013】
(昇降装置)
ベース25は、基台26上に設置された昇降装置40により、基台26に対して昇降可能に設けられている。基台26は、複数の車輪26aが設けられている。基台26には、制御装置90が設けられている。昇降装置40は、図1図2に示すように、スライダ41と、ガイド部材42と、ボールねじ軸(昇降軸)43と、モータ44と、エンコーダ45とを備えている。スライダ41は、ロボットアーム20aのベース25に固定されている。ガイド部材42は、上下方向に沿って延設して基台26に固定されおり、スライダ41の上下方向に沿った移動をガイドするものである。ボールねじ軸43は、上下方向に沿って延設してガイド部材42または基台26に回転可能に支持固定されており、スライダ41に固定されたボールねじナット(図示せず)に螺合されている。モータ44は、ガイド部材42または基台26に設けられており、ボールねじ軸43を回転駆動する。エンコーダ45は、スライダ41(ベース25)の上下方向における位置(昇降位置)を検出するリニアエンコーダ(位置センサ)として機能している。昇降装置40は、モータ44の出力によりボールねじ軸43を回転駆動することにより、スライダ41をガイド部材42に沿って上下に移動させ、ひいては、ベース25をガイド部材42に沿って上下に移動させる。
【0014】
(ロボットアーム)
ロボットアーム20aは、主として図2に示すように、第1アーム21と、第2アーム22と、第1アーム駆動装置35と、第2アーム駆動装置36と、姿勢保持装置37と、回転3軸機構50と、を備えている。
【0015】
(第1アーム)
第1アーム21の基端部は、上下方向(Z軸方向)に延在する第1関節軸31を介してベース25に連結されている。第1関節軸31は、第1アーム駆動装置35を備えており、第1アーム駆動装置35によって第1関節軸31の回転軸回りに回転駆動される。第1アーム駆動装置35は、モータ35aと、エンコーダ35bとを備えている。モータ35aの出力軸は、図示しない減速機を介して第1関節軸31に接続されている。第1アーム駆動装置35は、モータ35aの出力により第1関節軸31をベース25に対して回転駆動させることにより、第1関節軸31を支点に第1アーム21を水平面(XY平面)に沿って回動(旋回)させる。エンコーダ35bは、モータ35aに取り付けられ、モータ35aの回転変位量を検出するロータリエンコーダ(位置センサ)として機能している。
【0016】
(第2アーム)
第2アーム22の基端部は、上下方向に延在する第2関節軸32を介して第1アーム21の先端部に連結されている。第2関節軸32は、第2アーム駆動装置36を備えており、第2アーム駆動装置36によって第2関節軸32の回転軸回りに回転駆動される。第2アーム駆動装置36は、モータ36aと、エンコーダ36bとを備えている。モータ36aの出力軸は、図示しない減速機を介して第2関節軸32に接続されている。第2アーム駆動装置36は、モータ36aの出力により第2関節軸32を第1アーム21の先端部に対して回転駆動させることにより、第2関節軸32を支点に第2アーム22を水平面に沿って回動(旋回)させる。エンコーダ36bは、モータ36aに取り付けられ、モータ36aの回転変位量を検出するロータリエンコーダ(位置センサ)として機能している。
【0017】
(回転3軸機構)
回転3軸機構50は、上下方向に延在する姿勢保持用軸33を介して第2アーム22の先端部に連結されている。回転3軸機構50の基端部(第1回転軸51)は、上下方向(Z軸方向)に延在する姿勢保持用軸33を介して第2アーム22の先端部に連結されている。姿勢保持用軸33は、姿勢保持装置37を備えており、姿勢保持装置37によって姿勢保持用軸33の回転軸回りに回転駆動される。姿勢保持装置37は、モータ37aと、エンコーダ37bとを備えている。モータ37aの出力軸は、図示しない減速機を介して姿勢保持用軸33に接続されている。姿勢保持装置37は、モータ37aの出力により姿勢保持用軸33を第2アーム22の先端部に対して回転駆動させることにより、姿勢保持用軸33を支点に回転3軸機構50(第1回転軸51)を水平面(XY平面)に沿って回動(旋回)させる。エンコーダ37bは、モータ37aに取り付けられ、モータ37aの回転変位量を検出するロータリエンコーダ(位置センサ)として機能している。
【0018】
姿勢保持装置37は、第1アーム21および第2アーム22の姿勢によらず回転3軸機構50の姿勢(第1回転軸51の向き)を一定の向きに保持するものである。具体的には、姿勢保持装置37は、第1回転軸51の軸方向が常時、左右方向(X軸方向)となるように第1関節軸31の回転角度と第2関節軸32の回転角度とに基づいて姿勢保持用軸33の目標回転角度を設定し、姿勢保持用軸33が目標回転角度となるようにモータ37aを駆動制御する。
【0019】
回転3軸機構50の先端部には、力覚センサ60を介してエンドエフェクタ部70及びハンドル部80が取り付けられている(連結されている)。回転3軸機構50は、エンドエフェクタ部70に、X軸回り(ピッチング),Y軸回り(ローリング)およびZ軸回り(ヨーイング)の3方向の回転運動を付与することにより、エンドエフェクタ部70(超音波プローブ101)を任意の姿勢に駆動制御するものである。これにより、エンドエフェクタ部70の3方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)の並進運動の制御と3方向の回転運動の制御とをそれぞれ独立して行なうことが可能となる。
【0020】
具体的には、回転3軸機構50は、互いに直交する第1回転軸51,第2回転軸52および第3回転軸53と、第1回転軸51を回転させる第1回転装置55と、第2回転軸52を回転させる第2回転装置56と、第3回転軸53を回転させる第3回転装置57とを備えている。
【0021】
第1回転軸51は、姿勢保持用軸33の先端部に姿勢保持用軸33に対して直交姿勢にて回転可能に支持されている。第1回転軸51は、姿勢保持装置37によって姿勢保持用軸33の回転軸回りに水平面(XY平面)に沿って回動(旋回)される。第1回転軸51は、モータ55aと、エンコーダ55b(位置センサ)とを備えた第1回転装置55を備えている。第1回転装置55は、モータ55aの出力により第2回転軸52を第1回転軸51の回転軸回りに回転駆動させる。エンコーダ55bは、モータ55aに取り付けられモータ55aの回転変位量を検出する。
【0022】
第2回転軸52は、第1回転軸51の先端部に第1回転軸51に対して直交姿勢にて回転可能に支持されている。第2回転軸52は、モータ56aと、エンコーダ56b(位置センサ)とを備えた第2回転装置56を備えている。第2回転装置56は、モータ56aの出力により第3回転軸53を第2回転軸52の回転軸回りに回転駆動させる。エンコーダ56bは、モータ56aに取り付けられモータ56aの回転変位量を検出する。
【0023】
第3回転軸53は、第2回転軸52の先端部に第2回転軸52に対して直交姿勢にて回転可能に支持されている。第3回転軸53は、モータ57aと、エンコーダ57b(位置センサ)とを備えた第3回転装置57を備えている。第3回転装置57は、モータ57aの出力により第3回転軸53の先端部(回転3軸機構50の先端部)ひいてはエンドエフェクタ部70及びハンドル部80を第3回転軸53の回転軸回りに回転駆動させる。エンコーダ57bは、モータ57aに取り付けられモータ57aの回転変位量を検出する。
【0024】
上述したように、ロボットアーム20aは、第1アーム駆動装置35と第2アーム駆動装置36と昇降装置40とによるX軸方向,Y軸方向およびZ軸方向の3方向の並進運動と、回転3軸機構50によるX軸回り(ピッチング),Y軸回り(ローリング)およびZ軸回り(ヨーイング)の3方向の回転運動との組み合わせにより、エンドエフェクタ部70である超音波プローブ101を任意の姿勢で任意の位置へ移動させることができる。
【0025】
(力覚センサ)
第3回転軸53の先端部には、図4に示すように、力覚センサ60を介してエンドエフェクタ部70及びハンドル部80が取り付けられている。力覚センサ60は、ハンドル部80に作用する力またはエンドエフェクタ部70に作用する力を検出(検知)することが可能である。ハンドル部80に作用する力は、例えば、操作者(人)がハンドル部80を操作する際にハンドル部80に操作者が加えている力である。エンドエフェクタ部70に作用する力は、例えば、ロボットアーム20aを作動させてエンドエフェクタ部70に装着された超音波プローブ101を被験者の体表面に沿って移動させた際に、超音波プローブ101に加わる力である。
【0026】
力覚センサ60は、図4図6に示すように、センサ本体61、可動部62、連結部63、検出部64、第1フランジ部65(第1移動規制部)、及び第2フランジ部66(第2移動規制部)を備えている。
【0027】
センサ本体61は、図6図7に示すように、略長方形状の板状部材である。センサ本体61は、基端部61a、先端部61b、及び可動部収容部61cを備えている。基端部61aは、センサ本体61の長手方向の一方側に設けられており、第3回転軸53の先端部に取り付けられている。基端部61aは、複数の貫通孔61a1が設けられている。貫通孔61a1にそれぞれ挿通された複数のねじ67(図4参照)が第3回転軸53のねじ孔(不図示)に螺合されることにより、基端部61aは、第3回転軸53の先端部に固定されている。
【0028】
先端部61bは、センサ本体61の長手方向の他方側に設けられており、先端部61bを厚み方向に貫通して形成された貫通孔である可動部収容部61cを備えている。先端部61bは、内側空間が可動部収容部61cである枠部61dを備えている。枠部61dは、可動部62をセンサ本体61の水平方向にて取り囲む部材である。可動部収容部61cは断面形状が六角形形状の貫通孔であり、その貫通穴内に可動部62を移動(変位)可能に収容するものである。可動部収容部61cの断面形状は、六角形形状に限定されず、円形形状でもよく、三角形形状、四角形形状などの多角形形状でもよい。可動部収容部61cの内壁面は、6つの方形状の壁面から構成されている。
【0029】
このように、センサ本体61は、ロボットアーム20aの先端部に固定された固定部を構成している。センサ本体61は、センサ本体61に貫通して形成された貫通穴であってその貫通穴内に可動部62を移動可能に収容する可動部収容部61cを備えている。
【0030】
可動部62は、枠部61d(固定部)に連結部63を介して連結され、かつ、外部から作用する力を受けて枠部61dに対して相対移動可能な部材である。可動部62は、柱体である可動部本体62aを有している。本実施形態においては、可動部62すなわち可動部本体62aは、可動部収容部61cと同様に、断面形状が六角形形状に形成されている。可動部本体62aの断面形状は、六角形形状に限定されず、円形形状でもよく、三角形形状、四角形形状などの多角形形状でもよい。
【0031】
可動部本体62aは、側壁面62b、第1底面62c、及び第2底面62dを備えている。側壁面62bは、6つの方形状の壁面から構成されている。これら各壁面は、可動部62に外部から力が作用していない通常状態(非作動状態;図8に示す状態)である場合に、対向する可動部収容部61cの壁面と所定距離をおいて平行となるようにそれぞれ配設されている。これにより、可動部62は、可動部収容部61cの内周壁面から所定距離をおいて配設されるように設定されている。
【0032】
第1底面62c及び第2底面62dは、本実施形態では、可動部本体62aの断面形状と同じ六角形形状に形成されている。可動部62の厚みは、枠部61d(センサ本体61)の厚みより大きい値に設定されている。具体的には、図7に示すように、可動部本体62aの第1底面62cは、枠部61dの一方の面である下面(図7にて下側の面)より第1所定量だけ突出して配設されている。可動部本体62aの第2底面62dは、枠部61dの他方の面である上面(図7にて上側の面)より第1所定量だけ突出して配設されている。第1所定量は、後述するエンドエフェクタ部70やハンドル部80に力が作用して可動部62が変動する際に、連結部63や可動部62が破損しない程度に可動部62の移動を許容する値に設定されるのが好ましい。
【0033】
可動部62は、エンドエフェクタ部70が取付可能である第1取付部62eが備えられるとともに、ハンドル部80が取付可能である第2取付部62fが備えられている。第1底面62cは第2底面62dと平行であるので、第1取付部62eは第2取付部62fと平行である。また、エンドエフェクタ部70とハンドル部80とは同軸上に配設されている。本実施形態では、第1取付部62eは、第1底面62cであり、第2取付部62fは、第2底面62dである。尚、第1取付部62eを第2底面62dとし、第2取付部62fを第1底面62cとしてもよい。
【0034】
本実施形態では、第1取付部62eと第2取付部62fとは平行であるとともにエンドエフェクタ部70とハンドル部80とは同軸上に配設されている。よって、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80に作用する力(トルク)を直交3軸座標系で示す場合、3軸のうちエンドエフェクタ部70の長手方向(第1底面62cの鉛直方向)に沿った一軸(第1軸)と、3軸のうちハンドル部80の長手方向(第2底面62dの鉛直方向)に沿った一軸(第1軸)とを同一の軸とすることができる。尚、残りの2軸は、センサ本体61の長手方向(図6にて左右方向)に沿った一軸(第2軸)と、センサ本体61の短手方向(図6にて上下方向)に沿った一軸(第3軸)とから構成されている。このように、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80に作用する力の直交3軸座標系のうち、2軸(第2軸及び第3軸)を共通にすることが可能となるとともに残りの1軸も正負が逆になるだけで同一座標を使用することが可能となる。これにより、力覚センサ60によって検出されるエンドエフェクタ部70及びハンドル部80に作用する力を同じ座標系で処理することが可能となり、制御装置90の制御を簡便にすることが可能となる。尚、エンドエフェクタ部70とハンドル部80とは、同軸上に配設されるのに限定されないで、所定角度をなすように配設されてもよい。
【0035】
また、可動部本体62aには、可動部本体62aの厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、3個)の貫通孔62gが設けられている。貫通孔62gにそれぞれ挿通された複数のねじ74(図8参照)がエンドエフェクタ部70の基部71のねじ孔71aの雌ねじに螺合されることにより、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部本体62aに固定されるとともに、基部71が第1フランジ部65を介して可動部本体62aに固定されている。
【0036】
連結部63は、図6図7に示すように、可動部62を枠部61dに相対移動可能に連結するものである。連結部63は、断面方形状に形成された直方体状のビームである。連結部63は、可動部62と枠部61dとに一体的に形成されているのが好ましい。尚、連結部63は、可動部62及び枠部61dと別部材で形成されてもよく、この場合、連結部63は、可動部62及び枠部61dに接着、溶着などにより接続されている。本実施形態の力覚センサ60は、いわゆるビーム式変換器タイプの力覚センサであり、連結部63が、力とトルクを受けて変形する起歪体である。ビーム式変換器タイプの力覚センサは、外側のリングと中心部の剛体(ハブ)を複数のビームで連結し、各ビームにひずみゲージを貼り付けたものである。本実施形態では、複数(例えば3つ)の連結部63が可動部本体62aを枠部61dに連結している。連結部63は所定角度(例えば120度)間隔にて前記第2軸及び第3軸を含む第2軸第3軸平面に沿って配置されている。
【0037】
尚、力覚センサ60は、ビーム式変換器タイプの力覚センサに限定されず、リング式変換器タイプの力覚センサ、ブロック式変換器タイプの力覚センサを採用することが可能である。リング式変換器タイプの力覚センサは、上下2つのリングを3または、4本の平板ビームで連結し、このビームの内側、外側にそれぞれ引っ張り・圧縮のひずみゲージと剪断用のひずみゲージを貼り付けている。ブロック式変換器タイプの力覚センサは、上下のリングを平行平板と放射平板が列に配置されたブロックで連結し、各平行部にひずみゲージを貼り付けている。また直行させた2つの長穴の平板部にひずみゲージを貼り付けた、起歪体構造を簡略化させたものもある。いずれの場合も、固定部であるセンサ本体61、可動部62、検出部64、第1取付部62e及び第2取付部62fを備えているのが好ましい。
【0038】
検出部64は、可動部62の変化の検出をすることにより外部から作用する力を検出する。検出部64による検出結果は、制御装置90に送信されている。検出部64は、第1ひずみセンサ64a、第2ひずみセンサ64b、第3ひずみセンサ64c、及び第4ひずみセンサ64dの4つのひずみセンサから構成されている。第1-第4ひずみセンサ64a-64dは、機械的な微小な伸縮の変化(ひずみ)を電気信号として検出するセンサ素子であるひずみゲージである。第1-第4ひずみセンサ64a-64dは、連結部63の4つの面にそれぞれ貼り付けられている。
【0039】
尚、本実施形態では、検出部64としてひずみセンサを使用するようにしたが、検出部64の所定の構造部材のひずみ、変化量を電気信号に変換することにより、可動部62の変化を検出するようにしてもよい。また、可動部62の変化の検出をするものであれば他のセンサを使用するようにしてもよい。この場合、他のセンサで使用される物理量は、電流、電圧、電荷量、インダクタンス、ひずみ、抵抗、電磁誘導、磁気、空気圧、光など多種多様である。これら他のセンサを使用する力覚センサ60は、固定部であるセンサ本体61、可動部62、検出部64、第1取付部62e及び第2取付部62fを備えているのが好ましい。
【0040】
第1フランジ部65は、図8に示すように、可動部本体62aの第1底面62c(第1取付部62e)に取り付けられている。第1フランジ部65は、エンドエフェクタ部70側から可動部62に向かう第1方向(図8にて上方向)に力が作用した場合に、可動部62の第1方向への移動が規制可能である第1移動規制部である。第1フランジ部65は、円形板状に形成されている。第1フランジ部65は、円形に限定されず、方形状や六角形形状などの多角形形状でもよい。第1フランジ部65は、第1取付部62eに設けられかつ可動部収容部61cの範囲から外側にはみ出して設けられ、このはみ出した部分が枠部61d(固定部)の一方の面(図8にて下面)と接触することにより可動部62の移動を規制することが可能となる。第1フランジ部65のはみ出した部分が対向する枠部61dの下面に接触することにより、可動部62の第1方向への移動が規制される。
【0041】
また、第1フランジ部65は、エンドエフェクタ部70を傾ける力が通常状態である可動部62に作用した際に、可動部62が通常状態から所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制することが可能である。すなわち、第1フランジ部65の端部が枠部61dの下面に接触することにより、可動部62のそれ以上の傾斜を規制することが可能となる。
【0042】
また、第1フランジ部65には、第1フランジ部65を厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、3個)の貫通孔65aが設けられている。各貫通孔65aは、可動部本体62aの各貫通孔62gにそれぞれ対応して設けられている。各貫通孔65aには、上述した各ねじ74が挿通されている。
【0043】
第2フランジ部66は、可動部本体62aの第2底面62d(第2取付部62f)に取り付けられている。第2フランジ部66は、ハンドル部80側から可動部62に向かう第2方向(図8にて下方向)に力が作用した場合に、可動部62の第2方向への移動が規制可能である第2移動規制部である。第2フランジ部66は、第1フランジ部65と同様に円形板状に形成されている。第2フランジ部66は、円形に限定されず、方形状や六角形形状などの多角形形状でもよい。第2フランジ部66は、第2取付部62fに設けられかつ可動部収容部61cの範囲から外側にはみ出して設けられ、このはみ出した部分が枠部61d(固定部)の他方の面(図8にて上面)と接触することにより可動部62の移動を規制することが可能となる。第2フランジ部66のはみ出した部分が対向する枠部61dの上面に接触することにより、可動部62の第2方向への移動が規制される。
【0044】
また、第2フランジ部66は、ハンドル部80を傾ける力が通常状態である可動部62に作用した際に、可動部62が通常状態から所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制することが可能である。すなわち、第2フランジ部66の端部が枠部61dの上面に接触することにより、可動部62のそれ以上の傾斜を規制することが可能となる。尚、可動部62が所定量だけ傾斜した傾斜状態となったとき、第1フランジ部65の端部が枠部61dの下面に接触するととともに第2フランジ部66の端部が枠部61dの上面に接触することがより好ましい。この場合、可動部62の上下両方にて移動が規制されるので、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのをより抑制することが可能となる。
【0045】
第2フランジ部66には、第2フランジ部66を厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、3個)の貫通孔66bが設けられている。各貫通孔66bは、可動部本体62aの各貫通孔62gにそれぞれ対応して設けられている。各貫通孔66bには、上述した各ねじ74が挿通されている。貫通孔66bは段付きの貫通孔に形成されており、段部にねじ74の頭部が係合する。また、貫通孔66bの大径部は、ねじ74の頭部が全て収容されている。
【0046】
第2フランジ部66には、ねじ83が螺合される雌ねじを有するねじ孔66aが設けられている。ねじ83は、ハンドル本体81のフランジ部81aを第2フランジ部66に固定するためのねじである。
【0047】
また、第2フランジ部66の厚みは、第1フランジ部65の厚みより厚くなるように設定されている。第2フランジ部66の厚みは、ねじ74の頭部が貫通孔66bの大径部に収容でき、かつ、ねじ孔66aがねじ83に螺合できる程度の値に設定されるのが好ましい。
【0048】
また、図5に示すように、可動部本体62aと枠部61dとの間には、この部分を覆う蓋68が設けられるのが好ましい。可動部本体62aと枠部61dとの間に、異物が侵入するのを抑制することが可能となる。尚、図8にて蓋68を省略している。
【0049】
上述した力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80にそれぞれ作用する力を第1軸方向、第2軸方向及び第3軸方向から構成されたツール座標系(直交3軸座標系)で表す各力成分にて検出するとともに各軸周りのトルク成分を検出する。ひいては、力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70及びハンドル部80にそれぞれ作用する力に関してX軸、Y軸およびZ軸の各軸方向に作用する力成分と各軸周りに作用するトルク成分とを検出する。
【0050】
(エンドエフェクタ部・ハンドル部)
エンドエフェクタ部70は、ロボットアーム20aの先端部に取り付けられており、人の手先と同様な機能を発揮するものである。本実施形態では、エンドエフェクタ部70は、超音波プローブ101などの身体を検査(診断)するためのセンサが取り付けられ、そのセンサを移動させる機能を有している。エンドエフェクタ部70は、対象物を把持したり吸着したり移載したりするその他の機能を有する形態としてもよい。
【0051】
エンドエフェクタ部70は、図4に示すように、基部71、保持部72、及び連結部73を備えている。基部71は、エンドエフェクタ部70を可動部本体62aに取り付けるための基部である。基部71には、図8に示すように、雌ねじが形成されたねじ孔71aが設けられている。複数のねじ74がねじ孔71aに螺合されることにより、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部本体62aに固定されるとともに、基部71が第1フランジ部65を介して可動部本体62aに固定されている。尚、基部71と第1フランジ部65とを一体化する構成としてもよい。
【0052】
保持部72は、超音波プローブ101を着脱可能に保持するものである。超音波プローブ101は、検出部を有する超音波プローブ101の先端部が図4にて下方向を向くように、保持部72に保持されている。連結部73は、基部71と保持部72とを連結するためのものである。連結部73の上端部(一端部)は基部71にねじ止めなどで接続され、連結部73の下端部(他端部)は保持部72と一体的に接続されている。連結部73は、超音波プローブ101とハンドル部80とが同一軸上に配設されるように折り曲げ形状となっている。
【0053】
ハンドル部80は、人(操作者)が握ってロボットアーム20aを動かすことが可能であるハンドガイド部である。ハンドル部80は、人(操作者)がロボットアーム20aにエンドエフェクタ部70のたどる軌道を教示する(ダイレクトティーチング)ための教示部である。
【0054】
ハンドル部80は、図4に示すように、人が握るハンドル本体81、及び人が押下するスイッチ部82を備えている。ハンドル本体81は、環状に形成されたフランジ部81aと、フランジ部81aの内縁端部に下端部が接続された筒状部81bと、を備えている。フランジ部81aは、本実施形態では、円環状に形成されている。フランジ部81aは円環状に限定されず、多角形の環状に形成されてもよい。フランジ部81aは、第2フランジ部66より小さいサイズに設定されるのが好ましい。フランジ部81aには、図8に示すように、フランジ部81aの厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、3個)の貫通孔81a1が設けられている。貫通孔81a1にそれぞれ挿通された複数のねじ83が第2フランジ部66のねじ孔66aの雌ねじに螺合されることにより、ハンドル部80のフランジ部81aが第2フランジ部66に固定されている。
【0055】
スイッチ部82は、筒状部81bの上端部に設けられている。スイッチ部82が操作者によって押下されているとき(オン状態)に、ロボットアーム20aを動かすことが可能である。スイッチ部82がオン状態の時のみ、ダイレクトティーチング制御を実施可能となる。
【0056】
(制御装置)
制御装置90は、図3に示すように、CPU91を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU91の他に、ROM92やRAM93、入出力ポートおよび通信ポート(図示せず)を備えている。制御装置90は、力覚センサ60からの検出信号や各エンコーダ35b,36b,37b,45,55b,56b,57bからの検出信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御装置90は、各モータ35a,36a,37a,44,55a,56a,57aへの駆動信号を、出力ポートを介して出力している。また、制御装置90は、超音波診断装置100の制御部103と通信ポートを介して通信しており、データのやり取りを行なう。
【0057】
制御装置90は、操作者(人)がハンドル部80(教示部)を操作してロボットアーム20aを直接動かすことにより、ロボットアーム20aに、エンドエフェクタ部70のたどる軌道及びハンドル部80に作用する力を教示するダイレクトティーチング制御を実施することが可能である。このとき、制御装置90は、ロボットアーム20aの先端に取り付けられた力覚センサ60によって、操作者の操作力を検知し、その力をキャンセルする方向へロボットアーム20aを動作させる。また、制御装置90は、エンドエフェクタ部70が該エンドエフェクタ部70のたどる軌道に沿うようにロボットアーム20aを制御する倣い制御であって、前記倣い制御中に力覚センサ60によってエンドエフェクタ部70に作用する力を検出する倣い制御を実施することが可能である。
【0058】
(本実施形態の作用効果)
上述した実施形態による力覚センサ60は、ロボットアーム20aの先端部に固定されたセンサ本体61(固定部)と、センサ本体61に連結部63を介して連結され、かつ、外部から作用する力を受けてセンサ本体61に対して相対移動可能である可動部62と、可動部62の変化の検出をすることにより前記外部から作用する力を検出する検出部64と、可動部62に備えられ、ロボットアーム20aの先端部に取り付けられるエンドエフェクタ部70が取付可能である第1取付部62eと、可動部62に備えられ、人が握ってロボットアーム20aを動かすことが可能であるハンドル部80が取付可能である第2取付部62fと、を備えている。
【0059】
本実施形態によれば、力覚センサ60は、可動部62の第1取付部62eにエンドエフェクタ部70を取り付けるとともに第2取付部62fにハンドル部80を取り付けることが可能となる。よって、この力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70に作用する力とハンドル部80に作用する力の少なくとも一方を検出することが可能となる。その結果、大型化・高コスト化を招くことなく、1つの力覚センサ60によって少なくとも2つの力(2以上の力)を検出することが可能となる。
【0060】
また、力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70側から可動部62に向かう第1方向に力が作用した場合に、可動部62の前記第1方向への移動が規制可能である第1フランジ部65(第1移動規制部)と、ハンドル部80側から可動部62に向かう第2方向に力が作用した場合に、可動部62の前記第2方向への移動が規制可能である第2フランジ部66(第2移動規制部)と、を備えている。
これによれば、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部62の過度な移動を抑制することが可能となり、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのを抑制することが可能となる。よって、力覚センサ60の分解能を高く維持することと許容過負荷量の向上の両立を図ることが可能となる。
【0061】
また、第1フランジ部65は、外部から力が作用していない通常状態である可動部62が通常状態から所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制し、第2フランジ部66は、外部から力が作用していない通常状態である可動部62が通常状態から所定量だけ傾斜した傾斜状態以上に傾斜する移動をさらに規制する。
これによれば、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部62の過度な移動をより抑制することが可能となり、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのをより抑制することが可能となる。よって、力覚センサ60の分解能を高く維持することと許容過負荷量の向上の両立を図ることが可能となる。
【0062】
また、第1フランジ部65および第2フランジ部66は、可動部62側に設けられている。
これによれば、簡単な構成により、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部62の過度な移動の抑制することが可能となり、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのを抑制することが可能となる。
【0063】
センサ本体61は、センサ本体61に貫通して形成された貫通穴を備えかつ貫通穴内に可動部62を移動可能に収容する可動部収容部61cを備え、可動部62は、可動部収容部61cの内壁面に複数の連結部63を介して連結された側壁面62bと、第1底面62c及び第2底面62dと、を備えた柱体である可動部本体62aを有し、第1取付部62eは、第1底面62c及び第2底面62dの何れか一方に形成され、第2取付部62fは、第1底面62c及び第2底面62dの何れか他方に形成されている。
これによれば、第1取付部62eと第2取付部62fとを平行な2面(第1底面62c及び第2底面62d)に設けることが可能となり、エンドエフェクタ部70とハンドル部80とを同一軸上に配設することが可能となる。よって、エンドエフェクタ部70とハンドル部80に作用する力の3軸座標系を共通化することにより、エンドエフェクタ部70とハンドル部80に作用する力の検出(演算)処理を容易にすることが可能となる。
【0064】
センサ本体61は、センサ本体61に貫通して形成された貫通穴を備えかつ貫通穴内に可動部62を移動可能に収容する可動部収容部61cを備え、可動部62は、可動部収容部61cの内壁面に複数の連結部63を介して連結された側壁面62bと、第1底面62c及び第2底面62dと、を備えた柱体である可動部本体62aを有し、第1取付部62eは、第1底面62c及び第2底面62dの何れか一方に形成され、第2取付部62fは、第1底面62c及び第2底面62dの何れか他方に形成され、第1フランジ部65は、第1取付部62eに設けられかつ可動部収容部61cの範囲から外側にはみ出して設けられ、センサ本体61の一方の面と接触することにより可動部62の移動を規制し、第2フランジ部66は、第2取付部62fに設けられかつ可動部収容部61cの範囲から外側にはみ出して設けられ、センサ本体61の他方の面と接触することにより可動部62の移動を規制する。
これによれば、簡単な構成により、第1フランジ部65及び第2フランジ部66が可動部62の過度な移動の抑制することが可能となり、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのを抑制することが可能となる。
【0065】
また、協働ロボット20は、力覚センサ60を備えたロボットアーム20aを備えている。エンドエフェクタ部70は第1取付部62eに取り付けられるとともにハンドル部80は第2取付部62fに取り付けられ、ハンドル部80は、人がロボットアーム20aにエンドエフェクタ部70のたどる軌道を教示するための教示部であり、協働ロボット20は、操作者(人)が教示部を操作してロボットアーム20aを直接動かすことにより、ロボットアーム20aに前記軌道及びハンドル部80に作用する力を教示するダイレクトティーチング制御を実施可能である。
これによれば、ダイレクトティーチング制御を実施可能である協働ロボット20において、力覚センサ60は、可動部62の第1取付部62eにエンドエフェクタ部70を取り付けるとともに第2取付部62fにハンドル部80を取り付けることが可能となる。よって、この力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70に作用する力とハンドル部80に作用する力の少なくとも一方を検出することが可能となる。その結果、大型化・高コスト化を招くことなく、1つの力覚センサ60によって少なくとも2つの力(2以上の力)を検出することが可能となる。
【0066】
なお、上述した実施形態においては、第1移動規制部(第1フランジ部65)および第2移動規制部(第2フランジ部66)は、可動部62側に設けられたが、センサ本体61(固定部)に設けるようにしてもよい。この場合、可動部62の厚みはセンサ本体61の厚みより薄く設定されている。第1移動規制部及び第2移動規制部は環状板部材で構成され、環状の空間が可動部62に臨むように配設されてセンサ本体61に固定されている。エンドエフェクタ部70及びハンドル部80は可動部62に直接固定されている。これによっても、第1移動規制部及び第2移動規制部が可動部62の過度な移動を抑制することが可能となり、連結部63ひいては検出部64への過度な力が加わるのを抑制することが可能となる。よって、力覚センサ60の分解能を高く維持することと許容過負荷量の向上の両立を図ることが可能となる。
【0067】
また、上述した力覚センサ60を備えたロボットアーム20aは、倣い制御を実施可能であるロボットにも適用可能である。この場合、エンドエフェクタ部70は第1取付部62eに取り付けられている。倣い制御を実施可能であるロボットは、エンドエフェクタ部70が該エンドエフェクタ部70のたどる軌道に沿うようにロボットアーム20aを制御する倣い制御であって、前記倣い制御中に前記力覚センサ60によってエンドエフェクタ部70に作用する力を検出する倣い制御を実施可能である。
これによれば、倣い制御を実施可能であるロボットにおいて、力覚センサ60は、可動部62の第1取付部62eにエンドエフェクタ部70を取り付けるとともに第2取付部62fにハンドル部80を取り付けることが可能となる。よって、この力覚センサ60は、エンドエフェクタ部70に作用する力とハンドル部80に作用する力の少なくとも一方を検出することが可能となる。その結果、大型化・高コスト化を招くことなく、1つの力覚センサ60によって少なくとも2つの力(2以上の力)を検出することが可能となる。
【0068】
また、上述した実施形態においては、固定部である枠部61dすなわちセンサ本体61の内側に可動部62が配設されていたが、固定部の外側に可動部を配設するようにしてもよい。この場合、センサ本体61の先端部61bの外側を覆うようにU字状に形成された可動部を配設すればよい。連結部は、センサ本体61の先端部61bの外壁面と可動部の内壁面とを連結する。可動部の両側には、それぞれ第1移動規制部及び第2移動規制部が設けられ、可動部、第1移動規制部及び第2移動規制部によって先端部61bを覆うような構成となる。第1移動規制部にエンドエフェクタ部70が取り付けられ、第2移動規制部にハンドル部80が取り付けられる。
【0069】
また、上述した実施形態においては、可動部62にエンドエフェクタ部70が取付可能である第1取付部62eとハンドル部80が取付可能である第2取付部62fとを設けることにより可動部62に2つの力が作用(入力)するような構造としたが、他の力が作用可能な入力部材が取付可能である他の取付部をさらに設けるようにしてもよい。これによれば、1つの力覚センサ60によって少なくとも3つの力(3以上の力)を検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
20…協働ロボット、20a…ロボットアーム、60…力覚センサ、61…センサ本体(固定部)、61c…可動部収容部、62…可動部、62a…可動部本体、62b…側壁面、62c…第1底面、62d…第2底面、62e…第1取付部、62f…第2取付部、63…連結部、64…検出部、65…第1フランジ部(第1移動規制部)、66…第2フランジ部(第2移動規制部)、70…エンドエフェクタ部、80…ハンドル部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8