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特許7587921抗クローディンタンパク質18A2の抗体及びその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】抗クローディンタンパク質18A2の抗体及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20241114BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 14/555 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20241114BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20241114BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/20 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20241114BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20241114BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20241114BHJP
   C12N 15/90 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K31/282
A61K31/513
A61K31/704
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K48/00
A61P35/00
C07K14/555
C07K14/705
C07K14/725
C07K16/28
C07K16/30
C07K16/46
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/078
C12N5/0783
C12N5/10
C12N7/01
C12N15/12
C12N15/20
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
G01N33/574 A
G01N33/574 D
C12N15/09 100
C12N15/113 140Z
C12N15/90 Z
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2019521178
(86)(22)【出願日】2017-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2017092381
(87)【国際公開番号】W WO2018006882
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-07-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】201610536449.9
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/082024
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522072507
【氏名又は名称】クレージュ メディカル カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CRAGE MEDICAL CO.,LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat/RM A 12/F,ZJ 300,300 Lock hart Road,Wan Chai,Hong Kong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ポン
(72)【発明者】
【氏名】チアン, ホア
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, リンリン
(72)【発明者】
【氏名】シー, チーミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホアマオ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ツォンハイ
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】田中 耕一郎
【審判官】名和 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/008405(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101312989(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104321345(CN,A)
【文献】国際公開第2014/146672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローディン18A2に特異的に結合する抗体であって、重鎖CDR及び軽鎖CDRを含み、
当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、及びSEQ ID NO:33であり、並びに当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、及びSEQ ID NO:51であり、並びに当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、及びSEQ ID NO:54であり;又は
当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:83、及びSEQ ID NO:33であり、並びに当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:84、及びSEQ ID NO:33であり、並びに当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:85、及びSEQ ID NO:51であり、並びに当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、及びSEQ ID NO:54であり;
又は、
当該抗体は、
SEQ ID NO:3に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:15に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:13に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:17に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:19に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:23に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:21に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:27に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又は
SEQ ID NO:29に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体である、抗体。
【請求項2】
前記抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体又は完全ヒト化抗体であり、又は前記抗体は、モノクローナル抗体であり、又は前記抗体は、一本鎖抗体又はドメイン抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、
SEQ ID NO:27に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、
SEQ ID NO:23に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:21に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又は
SEQ ID NO:29に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体からなる群から選択されるヒト化抗体であるか、
又は、前記抗体は、
(a)SEQ ID NO:63に示される重鎖とSEQ ID NO:65に示される軽鎖とを有する抗体、
(b)SEQ ID NO:61に示される軽鎖とSEQ ID NO:59に示される重鎖とを有する抗体、
(c)SEQ ID NO:67に示される重鎖及びSEQ ID NO:65に示される軽鎖を有する抗体からなる群から選択される、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体をコードする核酸、又は該核酸を含む発現ベクター、又は
該発現ベクターを含むか、若しくはゲノムに該核酸が組み込まれた、宿主細胞。
【請求項5】
クローディン18A2を発現する腫瘍細胞を特異的に標的とする標的薬物、抗体薬物コンジュゲート又は多機能抗体を製造するための、又は
クローディン18A2を発現する腫瘍を診断するための試薬を製造するための、又は
キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項6】
クローディン18A2を発現する腫瘍は、胃癌、膵臓癌、食道癌、肺癌を含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体を含むキメラ抗原受容体であって、順次結合された構成要素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、膜貫通領域及び細胞内シグナル領域を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項8】
前記膜貫通領域が、CD8もしくはCD28の膜貫通領域を含む、及び/又は前記細胞内シグナル領域が、CD3ζ、CD28、CD137の細胞内シグナル領域配列、もしくはそれらの組み合わせから選択される、又は
前記膜貫通領域が、SEQ ID NO:73もしくは79のアミノ酸配列を含む、及び/又は前記細胞内シグナル領域が、SEQ ID NO:77、75、81のアミノ酸配列、もしくはそれらの組み合わせを含む、又は
前記細胞内シグナル領域が、SEQ ID NO:81及び77;もしくはSEQ ID NO:75及び77;もしくはSEQ ID NO:75、81及び77のアミノ酸配列を含む、又は
前記キメラ抗原受容体が、SEQ ID NO:90もしくは91内の位置64~1482の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のキメラ抗原受容体をコードする核酸、又は該核酸を含む発現ベクター、又は該ベクターを含むウイルス。
【請求項10】
クローディン18A2を発現する腫瘍細胞を標的とするキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造するための、請求項7又は8に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の核酸、発現ベクター、又はウイルスの使用。
【請求項11】
キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞であって、
請求項に記載の核酸、発現ベクター、若しくはウイルスが形質導入され、又は
請求項7又は8に記載のキメラ抗原受容体をその表面に発現させた、キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞。
【請求項12】
前記免疫細胞は、Tリンパ球、NK細胞又はNKTリンパ球である、請求項11に記載のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞。
【請求項13】
腫瘍を阻害する薬を製造するための、請求項11又は12に記載のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞の使用であって、腫瘍がクローディン18A2を発現する腫瘍である、使用。
【請求項14】
多機能免疫コンジュゲートであって、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、及びそれに結合された腫瘍の表面マーカーを標的とする分子を含む;又は
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、及びそれに結合された腫瘍を阻害する分子を含む;又は
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、及びそれに結合された免疫細胞の表面マーカーを標的とする分子を含む、ここで、前記免疫細胞の表面マーカーを標的とする分子は、T細胞表面マーカーに結合する抗体であり、それは請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体と、T細胞が関与する二重機能性抗体を形成す;又は
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、及びそれに結合された検出可能な標識を含む、多機能免疫コンジュゲート。
【請求項15】
請求項14に記載の多機能免疫コンジュゲートをコードする核酸。
【請求項16】
抗腫瘍薬を製造するため、又は
クローディン18A2を発現する腫瘍を診断するための試薬を製造するため、又は
キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造するための、請求項14に記載の多機能免疫コンジュゲートの使用。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体もしくは当該抗体をコードする核酸、又は請求項14に記載の免疫コンジュゲートもしくは当該コンジュゲートをコードする核酸、又は請求項7又は8に記載のキメラ抗原受容体もしくは当該キメラ抗原受容体をコードする核酸、又は請求項11又は12に記載のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
容器、及び容器中の請求項17に記載の薬学的組成物、又は
容器、及び容器中の請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体もしくは当該抗体をコードする核酸、又は請求項14に記載の免疫コンジュゲートもしくは当該コンジュゲートをコードする核酸、又は請求項7又は8に記載のキメラ抗原受容体もしくは当該キメラ抗原受容体をコードする核酸、又は請求項11又は12に記載のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を含む、キット。
【請求項19】
クローディン18A2ペプチドに特異的に結合し、クローディン18A1ペプチドに有意には結合しない、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットであって、
前記抗原結合ユニットは、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多価抗体、scFv、Fv、Fab又は(Fab) であ且つ
前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、
ここで、
前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、及びSEQ ID NO:33であり、並びに前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、及びSEQ ID NO:51であり、並びに前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、及びSEQ ID NO:54であり;又は
前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:83、及びSEQ ID NO:33であり、並びに前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:84、及びSEQ ID NO:33であり、並びに前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、及びSEQ ID NO:36であり;又は
前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:85、及びSEQ ID NO:51であり、並びに前記抗原結合ユニットCDR1、CDR2及びCDR3、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、及びSEQ ID NO:54である、
抗原結合ユニット。
【請求項20】
細胞外抗原結合ユニット、膜貫通領域及び細胞内領域を含むキメラ抗原受容体であって、
ここで、前記細胞外抗原結合ユニットは、請求項19に記載の抗原結合ユニットを含む、キメラ抗原受容体。
【請求項21】
請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体を含む、組成物。
【請求項22】
I型インターフェロンをさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸。
【請求項24】
I型インターフェロンをさらにコードする、請求項23に記載の単離された核酸。
【請求項25】
請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体をコードする核酸を含む、ベクター。
【請求項26】
I型インターフェロンをコードする核酸をさらに含む、請求項25に記載のベクター。
【請求項27】
請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体を発現する、宿主細胞。
【請求項28】
I型インターフェロンをさらに発現する、請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項29】
宿主細胞であって、請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体をコードする核酸を含む、宿主細胞。
【請求項30】
I型インターフェロンをコードする核酸をさらに含む、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
SEQ ID NO:90もしくは91の核酸配列又はそれらの位置64~1482を含む核酸配列を含む、請求項30に記載の宿主細胞。
【請求項32】
宿主細胞は、免疫応答細胞である;又は
前記宿主細胞は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、細胞傷害性Tリンパ球細胞、ナチュラルキラーT細胞、DNT細胞、及び/又は制御性T細胞である;又は
前記宿主細胞は、NK92細胞である;又は
前記宿主細胞は、クローディン18A2ペプチドを含む細胞に対して細胞傷害性を有し、前記クローディン18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む;又は
前記宿主細胞は、クローディン18A2ペプチドを含まず、クローディン18A1ペプチドを含む細胞に対して有意な細胞傷害性を有せず、前記クローディン18A1ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含み、且つ前記クローディン18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項33】
適切な条件下で請求項2732のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞の発現生成物を獲得することとを含む、請求項19に記載の抗原結合ユニット又は請求項20に記載のキメラ抗原受容体又は請求項21に記載の組成物を生成する方法。
【請求項34】
請求項19に記載の抗原結合ユニット、請求項20に記載のキメラ抗原受容体、請求項21に記載の組成物、又は請求項2732のいずれか一項に記載の宿主細胞の、前記クローディン18A2ペプチドを含む細胞の死を誘導するための医薬の製造における使用。
【請求項35】
前記細胞が、インビトロで前記抗原結合ユニット、前記キメラ抗原受容体、前記組成物又は宿主細胞と接触させられる;又は
前記細胞が、インビボで前記抗原結合ユニット、前記キメラ抗原受容体、前記組成物又は宿主細胞と接触させられる;又は
前記細胞が、癌細胞である;又は
前記細胞が、固形腫瘍細胞である;又は
前記細胞が、胃癌細胞、食道癌細胞、腸癌細胞、膵臓癌細胞、腎芽腫細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸癌細胞、直腸癌細胞、肝臓癌細胞、頭頸部癌細胞、慢性骨髄性白血病細胞及び胆嚢癌細胞からなる群から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項19に記載の抗原結合ユニット、請求項20に記載のキメラ抗原受容体、請求項21に記載の組成物、請求項25もしくは26に記載のベクター及び/又は請求項2732のいずれか一項に記載の宿主細胞の、個体の腫瘍を治療するための医薬の製造における使用。
【請求項37】
前記腫瘍が、固形腫瘍である;又は
前記腫瘍が、胃癌、食道癌、腸癌、膵臓癌、腎芽腫、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、頭頸部癌、慢性骨髄性白血病若しくは胆嚢癌である;又は
前記医薬が追加の治療剤をさらに含み、
前記追加の治療剤は、エピルビシン、オキサリプラチン及び5-フルオロウラシルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項36に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願発明は、2016年7月8日に提出された中国特許出願201610536449.9、2017年4月26日に提出されたPCT国際出願PCT/CN2017/082024に対して先行出願優先権を主張し、当該出願のすべての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は免疫学の分野に属し、より詳しくは、本発明は抗クローディンタンパク質18A2(anti-claudin protein 18A2)に対する抗体及びその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)は、通常、細胞外領域に位置するモノクローナル抗体を含む抗原認識ドメイン(domain)、膜貫通領域及び免疫応答細胞の細胞内活性化シグナルドメインからなる人工組換え受容体である。
【0004】
胃癌は、世界で最も発生率が高い癌の1つである。WHOの癌制御プロジェクトのデータ統計によると、世界中で毎年癌で死亡する患者が700万人であり、ここで、70万人が胃癌で死亡する。従来の胃癌治療方案と比較して、抗体による治療方案は、高い特異性及び低い副作用を有するため、広範な応用が見込まれる。
【0005】
クローディンタンパク質18(Claudin 18:CLD18)は、約27.9KDの分子量を有する上皮と内皮の密着結合に位置する内在性膜タンパク質である。GenBank登録番号は、スプライスバリアント(splice variant)1(CLD18A1、CLD18.1):NP_057453、NM016369、及びスプライスバリアント2(CLD18A2、CLD18.2):NM_001002026、NP_001002026である。図1Aは、クローディンタンパク質18A2(SEQ ID NO:55)とクローディンタンパク質18A1(SEQ ID NO:57)との間の同一性の比較を示す。正常細胞において、CLD18A1は、肺と胃の上皮において選択的に発現され、CLD18A2は、正常胃上皮の寿命が短い細胞において微量に発現されるが、腫瘍細胞においては、CLD18A2は様々な種類の癌において全部強く発現され、例えば、胃癌患者の75%がCLD18A2の高発現を有し、膵臓癌の患者の50%がCLD18A2の高発現を有し、食道癌の患者の30%がCLD18A2の高発現を有し、肺癌などにおいても高度に発現される。したがって、CLD18A1に結合することなくより高い特異性でCLD18A2に結合する抗体を見出すことは、癌の治療と検出にとって非常に重要な意味を有する。
【0006】
I型インターフェロンは、IFNαタンパク質(IFNA1からIFNA13まで合計13個のヒト遺伝子によってコードされる同一性のタンパク質)、IFNβ(単一のヒトとマウス遺伝子IFNB1によってコードされる)及び研究が比較的に少ない他のインターフェロンを含む。研究によると、I型インターフェロンは、一部の腫瘍に対して抗癌作用を有することは、それらの免疫刺激機能に起因する可能性があると明らかにした。しかしながら、I型インターフェロンの全身投与は、免疫抑制作用が発生する可能性があり(Lotrich,F. E. Major depression during interferon-αtreatment:vulnerability and prevention. Dialogues Clin. Neurosci.11,417-425 (2009))、最も一般的には疲労、食欲不振、肝毒性、インフルエンザ様症状及び重度のうつ症といった、重大な好ましくない事象を伴っている(Kreutzer,K.,Bonnekoh,B.,Franke,I.,Ulrich,J. & Gollnick,H. Sarcoidosis,myasthenia gravis and anterior ischaemic optic neuropathy:severe side effects of adjuvant interferon-α therapy in malignant melanoma?. J. Dtsch. Dermatol. Ges. 2,689-694(in German)(2004))が、このような深刻な毒性副作用は、その応用を厳しく制限している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上述した問題点を克服し、そして追加の利点を有する。
本発明の一態様によれば、本発明は、クローディンタンパク質18A2に特異的に結合することが可能な抗体を提供し、当該抗体は、SEQ ID NO:31、32、33、37、38、39、43、44、45、49、50、51、83、84、85のアミノ酸配列又はその変異体から選択される重鎖CDR、及び/又はSEQ ID NO:34、35、36、40、41、42、46、47、48、52、53、54のアミノ酸配列又はその変異体から選択される軽鎖CDRを含むことを特徴とする。
【0008】
ある実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43又はSEQ ID NO:49の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR1と、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84又はSEQ ID NO:85の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR2と、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45又はSEQ ID NO:51の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR3とを有する重鎖可変領域を含む抗体(a)、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46又はSEQ ID NO:52の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR1と、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47又はSEQ ID NO:53の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR2と、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48又はSEQ ID NO:54の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR3とを有する軽鎖可変領域を含む抗体(b)、前記抗体(a)の重鎖可変領域及び前記抗体(b)の軽鎖可変領域を含む抗体(c)、(a)~(c)のいずれか1つの抗体によって認識される抗原決定部位と同じ抗原決定部位を認識する抗体(d)から選択される。
【0009】
ある実施形態において、前記抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、又はSEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、又はSEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、又はSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:49、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:51であり、及び/又は前記抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3領域は、それぞれSEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、又はSEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、又はSEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54である。
【0010】
ある実施形態において、抗体は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、SEQ ID NO:3、又はSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:27又はSEQ ID NO:29の中の1つに示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:21又はSEQ ID NO:25の中の1つに示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを有する。ある実施形態において、前記抗体は、SEQ ID NO:3に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:7に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:11に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:9に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:15に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:13に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:17に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:19に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:23に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:21に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:27に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:29に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体である。ある実施形態において、前記抗体は、SEQ ID NO:3に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:17に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:19に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:1に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:23に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:21に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:27に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、又はSEQ ID NO:29に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体である。ある実施形態において、前記抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体又は完全ヒト化抗体であり、又は前記抗体は、モノクローナル抗体であり、又は前記抗体は、一本鎖抗体又はドメイン抗体である。ある実施形態において、前記抗体は、SEQ ID NO:27に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:23に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:21に示される軽鎖可変領域とを有する抗体、SEQ ID NO:29に示される重鎖可変領域と、SEQ ID NO:25に示される軽鎖可変領域とを有する抗体から選択されるヒト化抗体である。ある実施形態において、前記抗体は、SEQ ID NO:63に示される重鎖とSEQ ID NO:65に示される軽鎖とを有する抗体、SEQ ID NO:61に示される軽鎖とSEQ ID NO:59に示される重鎖とを有する抗体、SEQ ID NO:67に示される重鎖とSEQ ID NO:65に示される軽鎖とを有する抗体から選択される。
【0011】
本発明の一態様によれば、本発明は、前記抗体をコードする核酸を提供する。本発明の別の態様によれば、本発明は、前記核酸を含む発現ベクター(vector)を提供する。本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明に記載の発現ベクターを含むかまたはゲノム(genome)に本発明に記載の核酸が組み込まれた宿主細胞を提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、本発明は、クローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍細胞を特異的に標的とする標的薬物、抗体薬物コンジュゲート(conjugate)又は多機能抗体を製造することに用いられ、又はクローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍を診断するための試薬を製造することに用いられ、又はキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造することに用いられる本発明に記載の抗体の用途を提供する。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍は、胃癌、膵臓癌、食道癌、肺癌を含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗体を含むキメラ抗原受容体を提供し、前記キメラ抗原受容体は、順次に結合された本発明の抗体、膜貫通領域及び細胞内シグナル領域を含む。ある実施形態において、前記細胞内シグナル領域は、CD3ζ、FcεRIγ、CD27、CD28、CD137、CD134、MyD88、CD40の細胞内シグナル領域配列、又はそれらの組み合わせから選択され、又は前記膜貫通領域は、CD8又はCD28の膜貫通領域を含む。ある実施形態において、前記キメラ抗原受容体は以下のように順次に結合する抗体、膜貫通領域及び細胞内シグナル領域を含む:本発明の抗体、CD8及びCD3ζ;本発明の抗体、CD8、CD137及びCD3ζ;又は本発明の抗体、CD28分子の膜貫通領域、CD28分子の細胞内シグナル領域及びCD3ζ;又は本発明の抗体、CD28分子の膜貫通領域、CD28分子の細胞内シグナル領域、CD137及びCD3ζ。
【0014】
本発明の別の態様によれば、本発明は、前記キメラ抗原受容体をコードする核酸を提供する。本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明に記載の核酸を含む発現ベクターを提供する。本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明に記載のベクターを含むウイルスを提供する。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明に記載のキメラ抗原受容体、核酸、発現ベクター又はウイルスがクローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍細胞を標的とするキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造するための用途を提供する。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍は、胃癌、膵臓癌、食道癌、肺癌を含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明に記載の核酸、発現ベクター又はウイルスが形質導入され、又は本発明に記載のキメラ抗原受容体をその表面に発現させる、キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を提供する。ある実施形態において、前記免疫細胞は、Tリンパ球、NK細胞(natural killer cell)又はNKTリンパ球である。ある実施形態において、前記免疫細胞は、外因性サイトカインのコード配列をさらに担持し、又はCD3ζを含まないがCD28の細胞内シグナルドメイン、CD137の細胞内シグナルドメイン又はその両方の組み合わせを含む別のキメラ抗原受容体をさらに発現し、又はケモカイン受容体をさらに発現し、好ましくは、前記ケモカイン受容体は、CCRを含み、又はPD-1の発現を低下させることができるsiRNA又はPD-L1を遮断するタンパク質をさらに発現し、又はその細胞中の内因性PD-1がゲノム編集技術によってノックアウトされ、又は安全スイッチをさらに発現する。
【0017】
本発明の一態様によれば、本発明は、クローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍を阻害する薬を製造することに用いられ、好ましくは、前記腫瘍は、胃癌、膵臓癌、食道癌、肺癌を含む、前記キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞の用途を提供する。
【0018】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明に記載の抗体、及びそれに結合された、腫瘍の表面マーカーを標的とする分子、腫瘍を阻害する分子、免疫細胞の表面マーカーを標的とする分子又は検出可能なマーカーから選択される機能性分子を含む、多機能免疫コンジュゲートを提供する。ある実施形態において、前記免疫細胞の表面マーカーを標的とする分子は、T細胞表面マーカーに結合する抗体であり、本発明に記載の抗体とT細胞が関与する二重機能性抗体を形成する。本発明の別の態様によれば、本発明は、前記多機能免疫コンジュゲートをコードする核酸及び抗腫瘍薬を製造するための用途を提供する。ある実施形態において、前記多機能免疫コンジュゲートをコードする前記核酸は、クローディンタンパク質18A2を発現する腫瘍を診断するための試薬を製造することに使用される。ある実施形態において、前記多機能免疫コンジュゲートをコードする前記核酸は、キメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を製造することに使用される。ある実施形態において、前記免疫細胞は、Tリンパ球、NK細胞又はNKTリンパ球を含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗体又は前記抗体をコードする核酸を含む薬物組成物を提供する。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の免疫コンジュゲート又は前記免疫コンジュゲートをコードする核酸を含む薬物組成物を提供する。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明のキメラ抗原受容体又は前記キメラ抗原受容体をコードする核酸を含む薬物組成物を提供する。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞を含む薬物組成物を提供する。ある実施形態において、前記薬物組成物は、薬学的に許容されるベクター又は賦形剤を含む。
【0020】
本発明の一態様によれば、本発明は、容器及び容器中に位置する本発明の薬物組成物と、又は容器及び容器中に位置する本発明の抗体又は当該抗体をコードする核酸と、又は本発明に記載の免疫コンジュゲート又は当該コンジュゲートをコードする核酸と、又は本発明に記載のキメラ抗原受容体又は当該キメラ抗原受容体をコードする核酸と、又は本発明に記載のキメラ抗原受容体修飾の免疫細胞とを含む、キットを提供する。
【0021】
本発明の一態様によれば、本発明は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2ペプチドに特異的に結合し、ここで、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A1ペプチドに有意には結合しない。本発明の別の態様によれば、本発明は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2ペプチドに特異的に結合し、ここで、前記抗原結合ユニットは、参照抗原結合ユニットと比較して、より少ないクローディンタンパク質18A1ペプチドとの非特異的結合を表す。ある実施形態において、前記参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:86又はSEQ ID NO:88の軽鎖アミノ酸配列及び/又はSEQ ID NO:87又はSEQ ID NO:89の重鎖アミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A1ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記抗原結合ユニットと前記クローディンタンパク質18A1ペプチドとの非特異的結合は、それと前記クローディンタンパク質18A2ペプチドとの特異的結合の20%を超えない。ある実施形態において、前記結合特異性は、フローサイトメトリー分析によって測定される。ある実施形態において、前記結合特異性は、FACSによって測定される。ある実施形態において、前記結合特異性は、ELISAによって測定される。
【0022】
ある実施形態において、前記抗原結合ユニットが前記クローディンタンパク質18A2ペプチドに結合するEC50は、約100nMより低い。ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多価抗体又はキメラ抗原受容体である。ある実施形態において、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、ここで、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54からそれぞれ選択されるアミノ酸配列を有し、及びここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85からそれぞれ選択されるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、前記LCDR1は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46及びSEQ ID NO:52から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記LCDR2は、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:53から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記LCDR3は、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR1は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43及びSEQ ID NO:49から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR2は、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR3は、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45及びSEQ ID NO:51から選択されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、scFv、Fv、Fab又は(Fab)2である。
【0023】
本発明の一態様によれば、本発明は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、ここで、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、及びここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有し、及びここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有する。ある実施形態において、前記LCDR1は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46及びSEQ ID NO:52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記LCDR2は、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:53から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記LCDR3は、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR1は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43及びSEQ ID NO:49から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR2は、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記HCDR3は、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45及びSEQ ID NO:51から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多価抗体又はキメラ抗原受容体である。ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、scFv、Fv、Fab又は(Fab)2である。
【0024】
本発明の一態様によれば、本発明は、細胞外抗原結合ユニット、膜貫通領域及び細胞内領域を含むキメラ抗原受容体を提供し、ここで、前記細胞外抗原結合ユニットは、本発明の抗原結合ユニットを含む。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗原結合ユニット又はキメラ抗原受容体を含む組成物を提供する。ある実施形態において、前記組成物は、I型インターフェロンを含む。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗原結合ユニット又はキメラ抗原受容体、及び任意に選択されるI型インターフェロンをコードする、単離された核酸を提供する。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。
【0025】
本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗原結合ユニット又はキメラ抗原受容体、及び任意に選択されるI型インターフェロンを発現する、宿主細胞を提供する。本発明の一態様によれば、本発明は、本発明の抗原結合ユニット又はキメラ抗原受容体、及び任意に選択されるI型インターフェロンの核酸を含む、宿主細胞を提供する。ある実施形態において、前記宿主細胞は、免疫応答細胞である。ある実施形態において、前記宿主細胞は、T細胞、ナチュラルキラー細胞(natural killer cell)、細胞傷害性Tリンパ球細胞、ナチュラルキラーT細胞(natural killer T cell)、DNT細胞、及び/又は制御性T細胞である。ある実施形態において、前記宿主細胞は、NK92細胞である。
【0026】
ある実施形態において、前記宿主細胞は、クローディンタンパク質18A2ペプチドを含む細胞に対して細胞傷害性を有し、前記クローディンタンパク質18A2のペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記宿主細胞は、クローディンタンパク質18A2ペプチドを含まず、クローディンタンパク質18A1ペプチドを含む細胞に対して有意な細胞傷害性を有せず、前記クローディンタンパク質18A1ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含み、且つ前記クローディンタンパク質18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。
【0027】
本発明の一態様によれば、本発明は、適切な条件下で本発明の宿主細胞を培養して、前記宿主細胞の発現生成物を獲得することを含む、本発明の抗原結合ユニット又はキメラ抗原受容体又は組成物を生成する方法を提供する。
本発明の一態様によれば、本発明は、前記細胞を本発明の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、組成物又は宿主細胞と接触させることを含む、クローディンタンパク質18A2ペプチドを含む細胞死を誘導する方法を提供する。ある実施形態において、前記細胞をインビトロ(in vitro)で前記抗原結合ユニット、前記キメラ抗原受容体、前記組成物又は宿主細胞と接触させる。ある実施形態において、前記細胞をインビボ(in vivo)で前記抗原結合ユニット、前記キメラ抗原受容体、前記組成物又は宿主細胞と接触させる。ある実施形態において、前記細胞は癌細胞である。ある実施形態において、前記細胞は、固形腫瘍(solid tumor)細胞である。ある実施形態において、前記細胞は、胃癌細胞、食道癌細胞、腸癌細胞、膵臓癌細胞、腎芽腫細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸癌細胞、直腸癌細胞、肝臓癌細胞、頭頸部癌細胞、慢性骨髄性白血病細胞及び胆嚢癌細胞から選択される。
【0028】
本発明の一態様によれば、本発明は、必要とする個体の腫瘍を治療する方法を提供し、前記方法は、有効量の本発明の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、組成物又は宿主細胞を前記個体に投与することを含む。ある実施形態において、前記腫瘍は、固形腫瘍である。ある実施形態において、前記腫瘍は、胃癌、食道癌、腸癌、膵臓癌、腎芽腫、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、頭頸部癌、慢性骨髄性白血病又は胆嚢癌である。ある実施形態において、前記方法は、前記個体に追加の治療剤を投与することをさらに含む。ある実施形態において、前記追加の治療剤は、エピルビシン(epirubicin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)及び5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)から選択される少なくとも1つである。
参照による援用
【0029】
本明細書で言及された全ての公布、特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれ、前記参照の程度は、特定的にかつ個別にそれぞれの公布、特許又は特許出願を参照により援用されることを指示するほどである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面は、本明細書に開示される新規の特徴をさらに説明した。本明細書に開示される特徴及び利点は、添付の図面の参照によってよりよく理解されるが、これらの図面は、ただ本明細書に開示された原理を応用するための具体的な実施形態を説明するためであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図しないことを理解するべきである。
図1A図1Aは、クローディンタンパク質18A2(SEQ ID NO:55)とクローディンタンパク質18A1(SEQ ID NO:57)との同一性の比較を示す。
図1B図1Bは、フローサイトメトリー分析によって測定された、ハイブリドーマ上清2B1、3E12、4A11及び8E5と、ヒトCLD18A2及びCLD18A1細胞の結合を安定的にトランスフェクト(transfect)したHEK293細胞との結合を示す。
図2】マウス抗2B1(重鎖可変領域SEQ ID NO:3、軽鎖可変領域SEQ ID NO:1)、3E12(重鎖可変領域SEQ ID NO:7、軽鎖可変領域SEQ ID NO:5)、4A11(重鎖可変領域SEQ ID NO:11、軽鎖可変領域SEQ ID NO:9)、8E5(重鎖可変領域SEQ ID NO:15、軽鎖可変領域SEQ ID NO:13)の配列アラインメント(alignment)を示す。
図3】マウス抗2B1、8E5のScFvがヒトIgG1 Fcと部分的にキメラされた後、ヒトCLD18A2を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞との相対的結合親和性を示す。
図4】改変されたマウス抗2B1抗体2B1-N52D、2B1-S54AがヒトIgG1 Fcと部分的にキメラされた後、ヒトCLD18A2を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞との相対的結合親和性を示す。
図5】ヒト化のhu2B1-S54AがヒトIgG1 Fcと部分的にキメラされた後、ヒトCLD18A2を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞との相対的結合親和性を示す。
図6】ヒト化のhu8E5がヒトIgG1 Fcと部分的にキメラされた後、ヒトCLD18A2を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞との相対的結合親和性を示す。
図7】改変されたヒト化のhu8E5-2Iと、ヒトCLD18A2を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞との相対的結合親和性を示す。
図8図8Aは、ヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2I及び既知のキメラ抗体ch-163E12(CN103509110Aを参照)のCLD18A2をトランスフェクトしたHEK293細胞に対するCDC効果を比較する。図8Bは、ヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2I及びch-163E12がCLD18A1をトランスフェクトしたHEK293細胞に対するCDCの結果を比較する。
図9】ヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2Iとキメラ抗体ch-163E12、ch-175D10(CN103509110Aを参照)のADCC効果を比較する。
図10】hu8E5-2Iとch-175D10のマウスの体内における殺傷活性を比較する。
図11】hu8E5-28Z、hu8E5-BBZ及びhu8E5-28BBZのT細胞の異なる細胞株に対するインビトロ殺傷活性を比較する。
図12】hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z、hu2B1-hs54A T細胞の異なる細胞株に対するインビトロ殺傷活性を比較する。
図13】胃癌PDXマウスの皮下移植モデルにおける経時的な腫瘍体積に対するCLDN18A2-CAR Tの体内効果の比較図(図13A)及び腫瘍写真の比較図(図13B)である。
図14】hu8E5-28Z及びhu8E5-2I-28Zのサイトカインの分泌アッセイの結果を示す。
図15】胃癌BGC-823-A2マウスの皮下異種移植モデルにおける経時的な腫瘍体積に対するCLDN18A2-CARTの体内の治療の効果の比較図(図15A)、腫瘍の重量の比較図(図15B)及び腫瘍写真の比較図(図15C)を説明する。
図16】CLDN18A2-CAR Tの腫瘍の浸潤状況を示す。
図17図17Aは、IFNの共発現後の細胞分子の分泌状況を示す。図17Bは、胃癌PDXモデルの皮下移植腫瘍におけるIFNを含むCAR-T細胞及びIFNを含まないCAR-T細胞の抗腫瘍活性の比較図である。図17Cは、CAR-T細胞を戻してから5日目、7日目及び10日目のマウスの末梢血中の生存細胞数の比較図である。
図18】CAR-NK細胞を構築するプラスミドマップである。
図19】hu8E5-2I-28Z CAR-NK92及びhu8E5-28BBZ CAR-NK92の陽性率の測定を示す。
図20】hu8E5-2I-28Z CAR-NK92の細胞傷害性を示す図である。
図21】hu8E5-28BBZ CAR-NK92の細胞傷害性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の詳細な説明は、本明細書に開示された実施形態を詳細に開示している。本明細書は、開示された具体的な実施形態に限定されることを意図するものではなく、変更することができることを理解するべきである。本明細書に開示された内容は、様々に修正又は変更することができ、開示された範囲及び趣旨にすべて含まれることは当業者によって理解するだろう。特に明記しない限り、各実施形態は、いずれの他の実施形態と任意に組み合わせることができる。
【0032】
本明細書に開示されたある実施形態は数値範囲を含み、本発明のある態様は、範囲を使用することによって説明することができる。特に明記しない限り、数値範囲又は範囲で説明する方式は簡潔及び便宜のための目的であり、本発明の範囲は、本発明の範囲に対する厳しい限定であるものとして理解すべきではない。したがって、範囲を使用する方式の説明は、すべての可能な部分範囲及び当該範囲内のすべての可能な特定の数値点として具体的に開示されると解釈されるべきであり、例えば、本明細書において、これらの部分範囲と数値点が明示的に書き出すことのようである。例えば、1~6の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲及び1、2、3、4、5及び6のようなこれらの範囲内の具体的な数値点を具体的に開示すると見なされるべきである。前記数値の広さにかかわらず、前記趣旨はすべて等しく適用される。範囲を使用して説明する場合、当該範囲には範囲の端点が含まれる。
【0033】
量、一時的な持続時間などのような測定可能な値に言及するとき、用語「約」は、指定値の±20%、又はある場合には±10%、又はある場合には±5%、又はある場合には±1%、又はある場合には±0.1%の変化を含む。
【0034】
本明細書に使用された用語「活性化する(activate)」及び「活性化(activation)」は、互換的に使用することができ、それら及びその他の文法的形態は、細胞が静止状態から活性状態に転移するプロセスを意味することができる。当該プロセスは、抗原、移行及び/又は機能的な活性状態における表現型又は遺伝的変化に対する応答を含み得る。例えば、「活性化する(activate)」という用語は、免疫細胞が段階的に活性化されるプロセスを意味することができる。例えば、T細胞は、完全に活性化されるためには少なくとも2つのシグナルを必要とし得る。第1シグナルは、TCRが抗原-MHC複合体に接合された後に生じることができ、第2シグナルは、共刺激分子(表1に列挙された共刺激分子を参照)の接合によって生じることができる。抗CD3はインビトロで第1シグナルをシミュレーションすることができ、抗CD28は、第2シグナルをシミュレーションすることができる。例えば、操作されたT細胞は、発現されたCARによって活性化されることができる。本明細書中で使用される免疫細胞の活性化されたり又は活性化は、検出可能な細胞増殖、サイトカインの産生及び/又は検出可能な効果機能を誘導するために十分に刺激されている状態を意味することができる。
【0035】
本明細書で使用される用語「共刺激分子」は、免疫細胞、例えば、T細胞上にあるような相同結合パートナーを指し、それは、共刺激リガンドに特異的に結合することにより、共刺激応答を媒介し、増殖などであるがこれに限定されない。共刺激分子は、有効な免疫応答を促進する、抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面上の分子である。共刺激分子は、MHCクラスI分子、BTLAとTollリガンド受容体及びOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4-1BB(CD137)を含むが、これらに限定されない。共刺激分子の具現例は、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、及びCD83に特異的に結合するリガンドを含むが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される「共刺激シグナル」とは、TCR/CD3などの第1のシグナルと組み合わせて、T細胞増殖及び/又は重要な分子のアップレギュレーション(up-regulation)又はダウンレギュレーション(down-regulation)をもたらすシグナルを意味する。
【0037】
本明細書で使用される用語「抗原結合ユニット」とは、免疫グロブリン分子及び免疫分子の免疫学的に活性な部分、即ち、抗原に特異的に結合する(「免疫応答」)抗原結合ユニット部位を含む分子を意味する。用語「抗原結合ユニット」とは、無脊椎動物及び脊椎動物を含む様々な種由来の免疫グロブリン分子も含む。構造上で、最も単純な天然に存在する抗体(例えば、IgG)は、ジスルフィド結合によって相互結合された2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖の4本のポリペプチド鎖を構造的に含む。免疫グロブリンは、IgD、IgG、IgA、IgM及びIgEなどのいくつかの種類の分子を含む分子の大きなファミリー分子を表す。用語「免疫グロブリン分子」は、例えば、ハイブリッド抗体又は改変抗体及びそれらのフラグメントを含む。抗体の抗原結合ユニット機能は、天然に存在する抗体のフラグメントによって実行され得ることが示されている。このようなフラグメントはまとめて「抗原結合ユニット」と呼ばれる。用語「抗原結合ユニット」は、エピトープに一致し、エピトープを認識する特定の形状を有する任意のポリペプチド鎖の分子構造をさらに含み、ここで1つ又は複数の非共有結合相互作用は、分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化する。前記抗原結合ユニットの具現例は、Fabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント、ヒンジ領域上のジスルフィド架橋によって結合した2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント(F(ab)2フラグメント)を含み、VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら、Nature,341:544~546、1989)、単離された相補性決定領域(CDR)又はこのような抗原結合ユニットを含む、任意の融合タンパク質を含む。
【0038】
用語「抗体」は、本明細書でインタクトな抗体及び任意の抗原結合フラグメント(即ち、、「抗原結合部分」)又はその単鎖を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合によって結合された少なくとも2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)と重鎖定常領域とからなる。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3の3つのドメインからなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)と軽鎖定常領域とからなる。軽鎖定常領域は1つのドメインCLからなる。VHとVL領域は、フレームワーク領域(ER)と呼ばれるより保守的ある領域によって隔てられた相補性決定領域(CDR)と呼ばれる高い可変性の領域にさらに細分されることができる。各VHとVLは、アミノ末端からカルボキシ末端でFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配列された3つのCDRと4つのFRとからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主組織又は因子(免疫系の種々の細胞(例えば、効果細胞)と典型的な補体系(complement system)の第1成分(C1q)を含む)への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0039】
用語「scFv」とは、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントと重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントとを含む融合タンパク質を指し、ここで前記軽鎖及び重鎖可変領域は隣接し(例えば、短い柔軟なポリペプチドリンカーなどの合成リンカーを介して)、一本鎖ポリペプチドとして発現させることができ、ここでscFvは、それが由来するインタクトな抗体の特異性を保持している。本明細書で使用されるように特定されない限り、scFvは、任意の順序で(例えば、ポリペプチドのN末端とC末端に対して)前記VLとVH可変領域を有することができ、scFvは、VL-リンカー-VH又はVH-リンカー-VLを含めることができる。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「相補性決定領域」及び「CDR」とは、抗原特異性と結合親和性を付与する抗体の可変領域中のアミノ酸配列を意味する。一般に、各重鎖可変領域に3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)が存在し、且つ、軽鎖可変領域に3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する。
【0041】
抗原結合ユニットが、他の参照抗原(ポリペプチド又は他の物質を含む)との結合よりも高い親和性又は親和性結合抗原である場合、前記抗原結合ユニットは、抗原に「特異的に結合する」又は抗原と「免疫反応性」である。
【0042】
本明細書で使用される用語「ヒト化」とは、げっ歯類又は霊長類など非ヒト抗体に使用され、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むハイブリッド免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメントである。ほとんどの場合、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(受容体抗体)であり、ここで、受容体の相補性決定領域(CDR)からの残基がマウス、ラット、ウサギ又は霊長類のような所望の特異性、親和性及び性質を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置換される。ある場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、受容体抗体にも存在しないが導入されたCDR又はフレームワーク配列には存在する残基を含むことができる。これらの修飾は、人体に導入されたときに抗体性能をさらに改善及び最適化し、免疫原性を最小化させるために行われる。ある具現例において、ヒト化抗体は、ほぼ全て、少なくとも1つ、通常には2つの可変ドメインを含み、CDR領域のすべて又はほぼすべてが非ヒト免疫グロブリンのに対応し、FR領域のすべて又はほぼすべてがヒト免疫グロブリン配列の領域である。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常にはヒト免疫グロブリンの定常領域を含むことができる。ある実施形態において、「ヒト化抗体」は、インビトロでのランダム又は部位特異的変異導入によって、又はインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異などの突然変異を含むことができる。
【0043】
本明細書で使用される用語「免疫グロブリン」又は「Ig」とは、抗体として機能することができる一類のタンパク質のクラスを意味することができる。B細胞によって発現される抗体は、時にはキメラ抗原受容体又は抗原受容体と呼ばれる。この類に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD及びIgEであり、ここで、IgGは、最も一般的な循環抗体である。それは、凝集、補体固定及び他の抗体反応において最も効果的な免疫グロブリンであり、細菌及びウイルスの防御において重要である。例えば、腫瘍細胞抗原(又は「腫瘍抗原」)又は病原体抗原は、CARによって認識することができる。
【0044】
本明細書で使用されるように、用語「単離された」とは、細胞成分、又は他の成分からの分離を指し、このような成分において、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はそのフラグメントが自然状態では、通常関連している。当業者によって理解されるように、それを天然の対応物から区別するために、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はそのフラグメントを「単離する」必要はない。なお、「濃縮」、「単離」又は「希釈」のポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体又はそのフラグメントは、体積当たりの分子の濃度又は量がその天然に存在する対応物の濃度よりも大きい(濃縮)又はそれより低い(「希釈された」)ので、その天然の対応物と区別することができる。富化度は、溶液体積当たりの重量などの絶対基礎で測定することができ、あるいはソース混合物に存在する他の潜在的な干渉物と比較して測定することができる。ある実施形態において、本発明の技術案は、富化度がより高いのが好ましい。したがって、例えば、好ましくは、2倍富化、より好ましくは10倍富化、さらに好ましくは100倍富化が、さらに好ましくは1000倍富化である。「分離された」物質は、化学合成又は組換え発現などの人工的な組み立て方法によっても提供することができる。
【0045】
本明細書で使用される「抗原」とは、抗原結合ユニットによって認識され且つ特異的に結合される物質を意味する。抗原は、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、脂質、その一部、及びその組み合わせを含むことができる。非限定的な例示的抗原は、腫瘍抗原又は病原体抗原を含む。「抗原」は、また免疫応答を誘発する分子を意味することもある。このような免疫応答は、抗体の産生又は特定の免疫適格細胞(immunologically-competent cells)の活性化に関する可能性があり、又はその両方を兼有する。当業者は、すべてのタンパク質又はペプチドを含む任意の高分子が抗原として使用されることができることは理解するである。
【0046】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」とは、本明細書において互換的に使用されることができ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを意味する。ポリマー(polymer)は、直鎖状、環状又は分岐状であってもよい、それは修飾されたアミノ酸、特に保守的に修飾されたアミノ酸を含むことができ、それは非アミノ酸により中断されることができる。当該用語は、また、硫酸化、グリコシル化(glycosylation)、脂質化、アセチル化(acetylation)、リン酸化、ヨウ素化、メチル化(methylation)、酸化、タンパク質分解処理、プレニル化(prenylation)、ラセミ化(racemization)、セレノイル化(selenoylation)、転移RNA媒介アミノ付加(例えば、アルギネーション、ユビキチン化(ubiquitination))によって改質されたアミノ酸ポリマー又は標識された成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作としての改質されたアミノ酸ポリマーを含む。本明細書中で使用されるように、用語「アミノ酸」とは、グリシン(glycine)及びD又はL光学異性体を含む天然及び/又は非天然又は合成アミノ酸、ならびにアミノ酸類似体及びペプチド模倣物を意味する。特定のタンパク質から「由来する」ポリペプチド又はアミノ酸配列は、ポリペプチドの供給源を意味する。当該用語は、特定の核酸配列によって発現されるポリペプチドをさらに含む。
【0047】
用語「アミノ酸修飾」(又は「修飾されたアミノ酸」)とは、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を含む。本明細書中の「アミノ酸置換」又は「置換」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置にあるアミノ酸を別のアミノ酸と置換することを意味する。例えば、R94Kの置換とは、94位のアルギニンがリジンに置換されることを意味する。親ポリペプチド配列中の前記同じ位置での同じ置換については、94Kで表すことができ、即ち、94位置をリジンで置換することができる。本明細書の目的上、複数の置換は通常スラッシュで区切る。例えば、R94K/L78Vは、R94KとL78Vを置換した二重変異体を含むことを意味する。本明細書中で使用される「アミノ酸挿入」又は「挿入」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置にアミノ酸を付加することを意味する。例えば、挿入-94とは94位での挿入を示す。本明細書で使用される「アミノ酸欠失」又は「欠失」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置でのアミノ酸の除去を意味する。例えば、R94は、94位のアルギニンの削除を示す。
【0048】
本明細書で使用される用語「保守的修飾」又は「保守的配列修飾」とは、アミノ酸配列を含有するペプチドの所望の活性又は性質に有意に影響を及ぼさない又は変更しないアミノ酸修飾を意味する。このような保守的修飾は、アミノ酸置換、挿入、及び欠失を含む。部位特異的変異導入及びPCR媒介の突然変異誘発などの当技術分野において公知の標準的な技術によって、修飾を本発明の抗体に導入することができる。保守的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸(aspartic acid)、グルタミン酸(glutamic acid))、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン(glycine)、アスパラギン(asparagine)、セリン(serine)、トレオニン(threonine)、チロシン(tyrosine)、システイン)(cysteine)、トリプトファン(tryptophan))、非極性側鎖(例えばアラニン(alanine)、バリン(valine)、ロイシン(leucine)、イソロイシン(isoleucine)、プロリン(proline)、フェニルアラニン(phenylalanine)、メチオニン(methionine))、β分岐側鎖(例えば、トレオニン(threonine)、バリン(valine)、イソロイシン(isoleucine)及び芳香族側鎖(例えばチロシンtyrosine)、フェニルアラニン(phenylalanine)、トリプトファン(tryptophan)、ヒスチジン(histidine))を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域又はフレームワーク領域中の1つ又は複数のアミノ酸残基は、類似の側鎖の他のアミノ酸残基で置換することができる。
【0049】
本明細書で使用される用語「自己」及びその他の文法上の形態は、同じオリジンからの物質を意味することができる。例えば、サンプル(例えば細胞)除去、処理でき、同じ個体(例えば患者)に少し後の時間で投与することができる。自己由来プロセスは、ドナーとレシピエントが異なる個体である同種異系(allogeneic)プロセスとは異なる。
【0050】
本明細書中で使用される「異種移植」及びその文法上の他の形態は、レシピエントとドナーが異なる種である、細胞、組織又は器官が受容体に移植、植入又は注入される任意のプロセスを含むことができる。本明細書に記載の細胞、器官及び/又は組織の移植は、ヒトへの移植移植に使用することができる。異種移植は、血管化異種移植片、部分的血管化異種移植片、非血管化異種移植、異種ドレッシング、異種包帯、及び異種構造などを含むが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書中で使用され、「同種移植(allograft)」及びその文法上の他の形態(例えば、同種異系の移植(allogeneic transplantation))は、その受容体とドナーが同じ種であるが異なる個体である細胞、組織又は器官がレシピエントに移植、植入又は注入される任意のプロセスを含むことができる。本明細書に記載の細胞、器官及び/又は組織の移植は、人体への同種異系移植に使用することができる。同種異系移植は、血管化同種異系移植、部分的血管化の同種異系移植、無血管化の同種異系移植、同種異系ドレッシング、同種異系包帯、及び同種異系構造を含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される「自家移植(autologous transplantation)」及びその文法上の他の形態(例えば自家的移植)は、レシピエントとドナーが同じ個体である、細胞、組織又は器官がレシピエントに移植(transplant)、移植(implant)又は注入される任意のプロセスを含むことができる。本明細書に記載の細胞、器官及び/又は組織の移植は、人体への自家移植に使用することができる。自家移植は、血管化自家移植、部分的血管自家移植、非血管化自家移植、自家ドレッシング、自家包帯及び自家構造を含むが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体」又は「CAR」とは、T細胞又はNK細胞を含むがこれらに限定されない疫細胞によって発現され得るエンジニアド分子を意味する。CARはT細胞中で発現され、T細胞をリダイレクト(redirect)して人造受容体によって決定される特異的殺傷標的細胞を誘導することができる。CARの細胞外結合ドメインは、マウス、ヒト化抗体又は完全ヒト化モノクローナル抗体に由来し得る。
【0054】
本明細書で使用される「エピトープ」及びその文法上の他の形態は、抗体、B細胞、T細胞又は人工細胞によって認識される一部の抗原を意味することができる。例えば、エピトープは、TCRによって認識される腫瘍エピトープ又は病原体エピトープであってもよい。抗原内の複数のエピトープを認識することもできる。エピトープは突然変異されることもできる。
【0055】
「細胞株」又は「細胞培養物」は、インビトロで増殖又は維持された細菌、植物、昆虫又はさらに高等の真核細胞を意味する。細胞の子孫は、母体細胞と(形態、遺伝子型又は表現型において)まったく同じではないかもしれない。
【0056】
本明細書で使用される用語「エンジニアド」及びその文法上の他の形態は、生物のゲノム内の核酸などの核酸における1つ又は複数の改変を意味することができる。用語「エンジニアド」とは、遺伝子の改変、付加、及び/又は欠失を意味することができる。人工細胞は、添加、欠失、及び/又は改変された遺伝子を有する細胞を意味することもできる。人工細胞は、CARを発現する細胞を意味することもできる。
【0057】
本明細書で使用される用語「トランスフェクション」とは、真核細胞への外因性核酸の導入を意味する。トランスフェクションは、リン酸カルシウム-DNA共沈(calcium phosphate-DNA co-precipitation)、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション(DEAE-dextran mediated transfection)、ポリアミン媒介トランスフェクション(polyamine mediated transfection)、電気穿孔(electroporation, microinjection)、マイクロインジェクション(microinjection)、リポソーム融合(liposome fusion)、リポフェクション(lipofection)、プロトプラスト融合(protoplast fusion)、レトロウイルス感染(retroviral infection)及びバイオリスティック(biolistics)を含む当技術分野において公知の様々な手段によって達成することができる。
【0058】
用語「安定的トランスフェクション」又は「安定的なトランスフェクション」とは、トランスフェクションされた細胞のゲノムへの外因性核酸、DNA又はRNAの導入及び組み込みを意味する。用語「安定なトランスフェクタント(stable transfectant)」は、外因性DNAをゲノムDNAに安定に組み込まれた細胞を意味する。
【0059】
本明細書中で使用されるように、用語「核酸分子のコード」、「DNA配列をコードする」及び「DNAをコードする」は、デオキシリボヌクレオチド鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序又は配列を意味する。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。したがって、核酸配列はアミノ酸配列をコードする。
【0060】
本明細書で使用される沿った「個体」とは、哺乳動物又は有袋動物などの任意の動物を意味する。本発明の個体は、ヒト、非人類の霊長類(例えばマカカ・ムラタ又は他の種類のサル)、マウス、ブタ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ラット及び任意の種類の家禽を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用される用語「末梢血リンパ球」(PBL)及びその他の文法上の他の形態は、血中を循環するリンパ球(例えば、末梢血)を意味することができる。末梢血リンパ球は、臓器に限定されないリンパ球を意味することができる。末梢血リンパ球は、T細胞、NK細胞、B細胞又はその任意の組み合わせを含むことができる。
【0062】
本明細書で使用される用語「免疫応答細胞」(又は「免疫反応性細胞」、「免疫効果細胞」又は「免疫細胞」)とは、免疫応答を誘発することができる細胞を意味することができる。免疫応答細胞は、リンパ系又は骨髄系の細胞を意味することができる。免疫細胞の具現例は、α/βT細胞及びγ/δT細胞などのT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞及び骨髄由来食細胞、それらのそれぞれの前駆細胞及びその子孫細胞のようなT細胞を含むが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用される用語「T細胞」及びその文法上の他の形態は、任意の由来のT細胞を意味することができる。例えば、T細胞は、自己T細胞などのような一次T細胞であることができる。T細胞は、ヒトのものでも非ヒトのものでもよい。
【0064】
本明細書で使用される用語「T細胞活性化」又は「T細胞のトリガリング(triggering)」及びその文法上の他の形態は、検出可能な細胞増殖、サイトカイン産生、及び/又は検出可能な効果機能を誘導するために十分に刺激されるT細胞の状態を意味することができる。ある実施形態において、「完全なT細胞活性化」は、トリガリングT細胞の細胞傷害性と類似することができる。T細胞活性化は、当該分野で公知の種々の測定を用いて測量してもよい。前記測定は、サイトカイン分泌を測定するELISA、ELISPOT、細胞内サイトカインの発現を測定するためのフローサイトメトリー分析測定(CD107)、増殖されたフローサイトメトリー分析を測量するための測定、及び標的細胞排除を確定するための細胞傷害性測定(51Cr放出測定)であってもよい。前記測定は、対照(非人工細胞)を用いて人工細胞(CART)と比較し、対照と比較して、人工細胞の相対的活性化を確定する。なお、前記測定は、標的抗原が発現されない標的細胞とインキュベート又は接触させた人工細胞と比較することができる。例えば、前記比較は、CD19が発現されない標的細胞とインキュベートしたCD19-CART細胞と進めた比較であってもよい。
【0065】
ヌクレオチド配列に使用される時、本明細書で使用される用語「配列」及び文法上の他の形態は、DNA又はRNAを含むことができ、一本鎖又は二本鎖であってもよい。核酸配列は突然変異されることができる。核酸配列は、任意の長さ、例えば、2~1,000,000又はもっと多いヌクレオチド(又はその間又はそれ以上の任意の整数値)、例えば約100~約10,000個ヌクレオチド又は約200乃至約500個ヌクレオチドを有することができる。
【0066】
本明細書で使用される用語「有効量」は、治療上又は予防上の利益をもたらす量を意味する。
【0067】
本明細書で使用される用語「発現ベクター」とは、発現されるべきヌクレオチド配列に有効に結合された発現調節配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを意味する。発現ベクターは、発現に十分なシス作用エレメント(cis-acting elements)を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞又はインビトロ発現系によって提供され得る。発現ベクターは、例えば、コスミド、プラスミド(例えば、ヌード又はリポソーム(liposome)に含まれる)、及びウイルス(例えば、レンチウイルス(lentiviruses)、レトロウイルス(retroviruses)、アデノウイルス(adenoviruses)、及びアデノ随伴ウイルス(adeno-associated viruses))などの当技術分野において公知のものを含む。
本明細書で使用される用語「レンチウイルス」とは、レトロウイルス科の属を意味する。レトロウイルスは、非分裂細胞に感染する方面においてレトロウイルスに独特であり、それらは宿主細胞のDNAに大量の遺伝情報を送達することができる、したがって、それらは、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV及びFIVは、全部レンチウイルスの具現例である。レンチウイルス由来のベクターは、インビボで有意なレベルの遺伝子転移を達成するための手段を提供する。
【0068】
本明細書で使用される用語「操作可能に結合された」とは、制御配列と異種核酸配列との間の機能的結合を指し、当該結合は後者の発現がもたらされる。例えば、第1核酸配列が第2核酸配列に機能的に関連している場合、第1の核酸配列は、第2核酸配列に操作可能に結合される。例えば、プロモーター(promoter)がコード配列の転写又は発現に影響を及ぼすと、プロモーターはコード配列に操作可能に結合される。通常、操作可能に結合されたDNA配列は連続的であり、必要な時に、2つのタンパク質コード領域が同じリーディングフレーム内に結合される。
【0069】
本明細書で使用される用語「プロモーター」とは、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始するのに必要とされる細胞の合成メカニズム又は導入された合成メカニズムによって認識されるDNA配列として定義される。
【0070】
本明細書で使用される用語「ベクター」とは、単離された核酸を含み、かつ、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用される組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関するポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含むが、これらに限定されない多数のベクターが当該分野で公知されている。したがって、用語「ベクター」は、自律デュプリケイトプラスミド又はウイルスを含む。当該用語はまた、ポリリジン化合物、リポソームなどのような、細胞内への核酸の転移を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。
【0071】
「宿主細胞」は、標的ベクターの受容体であってもよいか又は受容体であった個体の細胞又は細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含む。自然的、偶然的、又は意図的な突然変異のために、後代は、例えば、形態学的又はゲノムDNA又は全DNA補体で、元の親細胞と完全に同一ではないかもしれない、。宿主細胞は、本発明のベクターを用いてインビボでトランスフェクションされた細胞を含む。「宿主細胞」は、原核細胞、真核細胞、又は単細胞実体として培養された細胞系を意味することができ、それは組換えベクター又は他の転移ポリヌクレオチドのための受容体として使用されることができ又は既に使用され、既にトランスフェクションされた後代の原始細胞を含む。
本明細書で使用される用語配列「同一性」とは、比較窓(例えば、少なくとも20位置)にわたって2つの最もよくマッチする配列を比較することによって同一性パーセントを確定する、ここで、比較窓において、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、付加又は欠失(即ち、ギャップ)、例えば、最もマッチする2つの配列についての参照配列(これは付加又は欠失を含まない)と比較して20%又はもっと少ない(例えば5~15%、又は10~12%)のギャップである。パーセンテージは、通常、2つの配列中で同じ核酸塩基又はアミノ酸残基が発生した位置の数を決定しすることによって計算されて、正しくマッチした位置の数を生じ、正しくマッチした位置の数を参照配列中の位置の総数(即ち、、ウィンドウサイズ)で割ってその結果に100を掛けることによって配列同一性パーセントを生じる。
【0072】
本明細書で使用される用語「疾患」又は「病症」又は「紊乱」等とは、任意の細胞、組織又は臓器の正常な機能を損なうか又は干渉する任意の改変又は失調を意味する。例えば、前記「疾患」は、腫瘍、病原体感染、自己免疫疾患、T細胞機能不全疾患、又は免疫寛容の能力欠陥(例えば、移植拒絶)を含むが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用される用語「外因性」とは、細胞内で内因的に発現されていない、又は発現レベルが過剰発現の機能を達成するのに不十分である核酸分子又はポリペプチドを意味する。したがって、「外因性」は、外因性、異種性及び過剰発現核酸分子及びポリペプチドのような細胞内で発現される組換え核酸分子又はポリペプチドを含む。
【0074】
本明細書で使用される用語「調節」とは、正又は負の改変を意味する。調節の例は、1%、2%、10%、25%、50%、75%又は100%の変化を含む。
【0075】
本明細書で使用される用語「治療」とは、予防することもあり、臨床病理の過程で介入することもある、個体を改変するか又は細胞によって引き起こされる疾患を治療することを試みる臨床的介入を意味する。治療効果は、疾患の発生又は再発、症状の軽減、あらゆる疾患の直接的又は間接的な病理学的結果の軽減、転移の防止、疾患の進行の遅延、病的状態の改善又は緩和、予後緩和又は改善などを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される用語「構成的発現」とは、あらゆる生理条件下での発現を意味する。
【0077】
本明細書で使用される用語「誘導性発現」とは、T細胞が抗原に結合することが発生するときなどの一定の条件での発現を意味する。当業者は、通常の「誘導発現」を実施する方法を知っている。
【0078】
ある実施形態において、本明細書は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2ペプチドに特異的に結合し、ここで、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A1ペプチドに有意に結合しない。
【0079】
ある実施形態において、本明細書は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2ペプチドに特異的に結合し、ここで、前記抗原結合ユニットは、参照抗原結合ユニットと比較して、より少ないクローディンタンパク質18A1ペプチドとの非特異的結合を示す。
【0080】
ある実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ユニットは、軽鎖CDRを含む。軽鎖CDRは、抗原結合ユニットの相補性決定領域であってもよい。軽鎖CDRは、連続的なアミノ酸残基配列、又は2つ以上のフレームワーク領域などの非相補性決定領域によって隔てられ、かつ選択的に隣接(flanking)可能な連続のアミノ酸残基配列を含むことができる。ある実施形態において、軽鎖CDRは、軽鎖CDR-1、CDR-2などと命名され得る2つまたは複数の軽鎖CDRを含む。ある実施形態において、軽鎖CDRは、それぞれ軽鎖CDR-1(LCDR1)、軽鎖CDR-2(LCDR2)及び軽鎖CDR-3(LCDR3)と命名され得る3つの軽鎖CDRを含む。ある実施形態において、共通の軽鎖上に存在する一組のCDRは、まとめて軽鎖CDRと称することができる。
【0081】
ある実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ユニットは、重鎖CDRを含む。重鎖CDRは、抗原結合ユニットの相補性決定領域であってもよい。重鎖CDRは、連続的なアミノ酸残基配列、又は2つ以上のフレームワーク領域などの非相補性決定領域によって隔てられ、かつ選択的に隣接可能な連続アミノ酸残基配列を含むことができる。ある実施形態において、重鎖CDRは、重鎖CDR-1、CDR-2などと命名され得る2つ又は複数の重鎖CDRを含む。ある実施形態において、重鎖CDRは、それぞれ重鎖CDR-1(HCDR1)、重鎖CDR-2(HCDR2)及び重鎖CDR-3(HCDR3)と命名され得る3つの重鎖CDRを含む。ある実施形態において、共通の重鎖上に存在する一組のCDRは、まとめて重鎖CDRと称することができる。
【0082】
ある実施形態において、本明細書は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、ここで、LCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有し、及び、ここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0083】
ある実施形態において、本明細書は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含む抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、ここで、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有し、及び、ここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有する。
【0084】
ある実施形態において、本明細書の抗原結合ユニットにおいて、前記軽鎖CDRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記重鎖CDRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、ここで、前記LCDR1、LCDR2及びLCDR3は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有し、及びここで、前記HCDR1、HCDR2及びHCDR3は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有する。
【0085】
ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記LCDR1は、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46及びSEQ ID NO:52から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記LCDR2は、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:53から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0086】
ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記LCDR3は、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48及びSEQ ID NO:54から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記HCDR1は、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43及びSEQ ID NO:49から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記HCDR2は、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84及びSEQ ID NO:85から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、本明細書は、抗原結合ユニットを提供し、ここで、前記HCDR3は、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45及びSEQ ID NO:51から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0087】
ある実施形態において、本発明の抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2又はクローディンタンパク質18A2ペプチドに結合する。本明細書における用語「クローディンタンパク質18A2」又は「クローディンタンパク質18A2ペプチド」(CLD18.2、CLD18A2、CLDN18A2、CLDN18.2、Claudin18.2又はClaudin18A2)は、既知のクローディンタンパク質18A2配列のホモログ(homologue)、オーソログ(ortholog)、種間ホモログ、コドン最適化形態、短縮形態、フラグメント化形態、突然変異形態又は翻訳後修飾変異体のような任意の他の既知の誘導形態を含むことができる。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A2又はクローディンタンパク質18A2ペプチドは、GenBank登録番号NP_001002026を有するペプチド(mRNA:NM_001002026)である。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A2又はクローディンタンパク質18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0088】
ある実施形態において、本発明の抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A1ペプチドに有意には結合しない。本明細書における用語「クローディンタンパク質18A1」又は「クローディンタンパク質18A1ペプチド」(CLD18A1、CLD18.1、CLDN18A1、CLDN18.1、Claudin18.1又はClaudin18A1)は、既知のクローディンタンパク質18A1配列のホモログ、オーソログ、種間ホモログ、コドン最適化形態、短縮形態、フラグメント化形態、突然変異形態又は翻訳後修飾変異体のような任意の他の既知の誘導形態を意味することもできる。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A1又はクローディンタンパク質18A1ペプチドは、GenBank登録番号NP_057453を有するペプチド(mRNA:NM_016369)である。ある実施形態において、前記クローディンタンパク質18A1又はクローディンタンパク質18A1ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0089】
結合特異性は、軽鎖CDR又は重鎖CDRなどの相補性測定領域によって決定することができる。多くの場合、結合特異性は、軽鎖CDR及び重鎖CDRによって決定される。他の参照抗原又は参照ペプチドと比較して、与えられた重鎖CDR、軽鎖CDR又はその組み合わせは、クローディンタンパク質18A2とより大きい親和性及び/又は特異性を有する与えられた結合ポケットを提供する。
【0090】
抗原結合ユニットとクローディンタンパク質18A2ペプチドの結合は、当技術分野において公知の任意の方法によって表現するか、又は発現することができる。例えば、結合は、抗原結合ユニットと抗原との間の相互作用の強さであり得る結合親和性によって表現することができる。結合親和性は、インビトロ結合測定などの当技術分野において公知の任意の方法によって測定することができる。例えば、クローディンタンパク質18A2を発現する細胞を用いたインビトロ結合測定で測定した場合、本明細書に開示の抗原結合ユニットの結合親和性を決定することができる。試験された抗原結合ユニットの結合親和性は、抗体とそのそれぞれの抗原との間の平衡解離定数であるKdで表すことができる。ある場合において、本明細書に開示される抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2に特異的に結合し、Kdは、約10μM~約1mMの範囲である。例えば、抗原結合ユニットは、約10μM、1μM、0.1μM、10nM、1nM、0.1nM、10pM、1pM、0.1pM、10fM、1fM未満、または0.1fM未満のKdでクローディンタンパク質18A2に特異的に結合することができる。
【0091】
ある実施形態において、抗原結合ユニットは、参照ペプチドとの有意な結合を示さない。ある具現例において、抗原結合ユニットと参照ペプチドの結合レベルは、前記抗原結合ユニットとクローディンタンパク質18A2の結合レベルの20%を超えない。例えば、結合レベルは、前記抗原結合ユニットとクローディンタンパク質18A2の結合レベルの20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は1%未満であってもよい。ある実施形態において、本明細書の抗原結合ユニットとクローディンタンパク質18A2の結合レベルは、それと参照ペプチドとの結合レベルの1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍又は10倍を超えるレベルである。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドは、クローディンタンパク質18A1ペプチドである。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むペプチドである。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドは、SEQ ID NO:57のペプチドである。
【0092】
ある実施形態において、参照抗原結合ユニットと比較して、本明細書の抗原結合ユニットは、参照ペプチドに対する非特異的結合が少ないことを示す。ある実施形態において、本明細書の抗原結合ユニットは、参照抗原結合ユニットと参照ペプチドの非特異的結合レベルより5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%低い。ある実施形態において、本明細書の抗原結合ユニットと参照ペプチドの非特異的結合レベルは、参照抗原結合ユニットの結合レベルより1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍低いか又は10を超える。ある実施形態において、前記参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:86又はSEQ ID NO:88の軽鎖及び/又はSEQ ID NO:87又はSEQ ID NO:89の重鎖アミノ酸配列を含む。ある実施形態において、参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:86のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:87のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:88のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、参照抗原結合ユニットは、SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドはクローディンタンパク質18A1ペプチドである。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドはSEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むペプチドである。ある実施形態において、参照ペプチド又は参照ペプチドはSEQ ID NO:57のペプチドである。
【0093】
ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A2ペプチドを含む細胞に対して細胞傷害性を有し、前記クローディンタンパク質18A2ペプチドはSEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。前記細胞傷害性レベルは、前記抗原結合ユニットにおける標的細胞の比が20:1、10:1、5:1、3:1、2.5:1、1:1又は1:3である場合に少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は45%である。
【0094】
ある実施形態において、前記抗原結合ユニットは、クローディンタンパク質18A1ペプチドを含むがクローディンタンパク質18A2ペプチドを含まない細胞に対して有意な細胞傷害性を有さず、前記クローディンタンパク質18A1ペプチドは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含み、且つ、前記クローディンタンパク質18A2ペプチドは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、前記細胞傷害性レベルは、10%、5%、4%、3%、2%又は1%以下である。
【0095】
ある実施形態において、本明細書は、クローディンタンパク質18A2に特異的に結合可能な抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:31、32、33、37、38、39、43、44、45、49、50、51、83、84、85又はその変異体から選択される重鎖CDRと、及び/又はSEQ ID NO:34、35、36、40、41、42、46、47、48、52、53、54、又はその変異体から選択される軽鎖CDRとを含むことを特徴とする。
【0096】
ある実施形態において、本明細書は、(a)SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43又はSEQ ID NO:49の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR1と、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84又はSEQ ID NO:85の中の1つに示されるミノ酸配列を含むCDR2と、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45又はSEQ ID NO:51の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR3とを有する重鎖可変領域を含む抗体と、(b)SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46又はSEQ ID NO:52の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR1と、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47又はSEQ ID NO:53の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR2と、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48又はSEQ ID NO:54の中の1つに示されるアミノ酸配列を含むCDR3とを有する軽鎖可変領域を含む抗体、(c)前記抗体(a)の重鎖可変領域及び前記抗体(b)の軽鎖可変領域を含む抗体、(d)(a)~(c)のいずれか1つの抗体によって認識される抗原決定部位と同じ抗原決定部位を認識する抗体から選択される、抗体を提供する。ある実施形態において、本明細書は、抗体を提供し、当該抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、又はSEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、又はSEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、又はSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:31、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:33、又はSEQ ID NO:49、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:51であり、及び/又は当該抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、CDR3領域は、それぞれSEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、又はSEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48、又はSEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54である。
【0097】
ある実施形態において、本発明の抗体の重鎖のCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列は、以下の表のアミノ酸配列又はその変異体からなる群から選択される。
【0098】
【0099】
ある実施形態において、本明細書は、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列が以下の表のアミノ酸配列又はその変異体からなる群から選択される抗体を提供する。
【0100】
表2
【0101】
ある実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:3、7、11、15、17、19、23、27、29又はその変異体から選択される重鎖可変領域、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:1、5、9、13、21、25又はその変異体から選択される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:3又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:1又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:7又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:5又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:11又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:9又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:15又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:13又はその変異体である。ある好ましい実施形態において、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列は以下の表から選択される。
【0102】
【0103】
ある実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:17、19、又はその変異体から選択される重鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:17又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:1又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:19又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:1又はその変異体である。
【0104】
ある実施形態において、本発明の抗体又はその機能的フラグメントは、アミノ酸配列SEQ ID NO:23、27、29又はその変異体から選択される重鎖可変領域、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:21、25又はその変異体から選択される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:23又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:21又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:27又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:25又はその変異体である。ある実施形態において、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:29又はその変異体であり、前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:25又はその変異体である。
ある実施形態において、本発明の抗原結合ユニット又は抗体はさらに他の機能性分子に結合されるか、又は別の機能分子に融合する。したがって、本発明は、このように形成された多機能性免疫コンジュゲートも含む。
【0105】
「結合」又は「融合」は、本明細書において互換的に使用されてもよい。このような用語は、化学的コンジュゲーション又は組換え方法を含む任意の手段によって、2つの以上の化学元素又は成分が結合されることを意味する。「インフレーム融合」とは、元のオープンリーディングフレーム(ORF)の正しいリーディングフレーム(reading frame)を維持するように2つ以上のORFを結合して、連続したより長いORFを形成することを意味する。したがって、得られた組換え融合タンパク質は、2つ以上のフラグメントを含む単一のタンパク質であり、このようなフラグメントは、元のORFによってコードされるポリペプチド(これらのフラグメントは、通常、自然な状態で結合されていない)に対応する。したがって、リーディングフレームは融合フラグメント全体にわたって連続しているが、これらのフラグメントは、例えば、インフレーム接合配列(例えば、「flexon」)によって物理的及び空間的に分離されてもよい。
【0106】
前記機能性分子は、例えば、腫瘍の診断又は治療のために使用される。
【0107】
本明細書で使用される用語「腫瘍」は、細胞又は組織の病理学的増生を特徴とする疾患、及び他の組織又は器官のその後の遷移又は浸潤を意味する。腫瘍の生長は、通常、制御を受けなくかつ進行性であり、正常細胞の増殖を誘導又は阻害しない。腫瘍はさまざまな細胞、組織又は臓器に影響を及ぼすことができ、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、神経膠細胞、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿道、尿管、尿道、子宮、膣、又は組織又は対応する細胞から選択されるものを含むが、これに限定されない。腫瘍は、肉腫、癌腫、又は形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)のような癌を含む。本発明に記載の腫瘍は、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性顆粒球-単球性白血病、急性単球性白血病、急性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、真性多血症)、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、原発性巨球蛋白血症(primary macroglatulinemia)、重鎖病、肉腫及び癌(線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、血管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜vioma、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、癌、気管支癌、髄様癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、腎芽腫、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫瘍、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫)のような固形腫瘍、食道癌、胆嚢癌、腎臓癌、多発性骨髄腫を含むことができるが、これらに限定されない。好ましくは、前記「腫瘍」は、膵臓癌、肝臓癌、肺癌、胃癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、結腸癌、乳癌、リンパ腫、胆嚢癌、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、卵巣癌、子宮頸癌及び神経膠腫を含むが、これらに限定されない。
【0108】
前記機能性分子は、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA)又は腫瘍関連抗原(TAA)などの腫瘍抗原を含む。TSAは、腫瘍細胞に独特であり、インビボの他の細胞では発生しない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有ではなく、抗原に対する免疫寛容状態を誘導することができない条件下で正常な細胞で発現される。抗原が腫瘍においての発現は、免疫系が抗原に対して応答することができる条件下で発生することができる。免疫系が未熟かつ応答できない場合、TAAは、胎児発育期間に正常細胞上で発現される抗原であってもよいし、又はそれらは、正常細胞に非常に低いレベルで通常存在するが、腫瘍細胞より高いレベルで発現される抗原であってもよい。
【0109】
TSA又はTAA抗原の非限定的な具現例は、MART-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2のような分化抗原及びMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、P15のような腫瘍特異的多抗原、CEAなどの過剰発現胚性抗原、例えばp53、Ras、HER-2/neuのような過剰発現癌遺伝子及び突然変異の腫瘍抑制遺伝子、例えばBCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK及びMYL-RARなどの染色体転座に起因する特有の腫瘍抗原、及び例えばエプスタイン・バーウイルス抗原EBVA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7などのウイルス抗原を含む。他の大型のタンパク質ベースの抗原は、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、βカテニン(β-catenin)、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン(alpha fetal protein)、beta-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質(cyclophilin C-related protein)、TAAL6、TAG72、TLP及びTPSを含む。
【0110】
ある実施形態において、前記「腫瘍抗原」は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、IL13Ralpha、HER-2、CD19、NY-ESO-1、HIV-1 Gag、Lewis Y、MART-1、gp100、チロシナーゼ(tyrosinase)、WT-I、hTERT、メソセリン(mesothelin)、EGFR、EGFRvIII、ホスファチジルイノシトール3(phosphatidylinositol 3)、EphA2、HER3、EpCAM、MUC1、MUC16、葉酸受容体、CLDN6、CD30、CD138、ASGPR1、CDH16、GD2、5T4、8H9、αvβ6インテグリン、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD20、CD22、κ軽鎖(kappa light chain)、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD171、CSPG4、EGP2、EGP40、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、FAP、FAR、FBP、胚性AchR、GD2、GD3、HLA-AI MAGE A1、MAGE3、HLA-A2、IL11Ra、KDR、Lambda、MCSP、NCAM、NKG2Dリガンド、PRAME、PSCA、PSC1、ROR1、Sp17、SURVIVIN、TAG72、TEM1、TEM8、VEGRR2、HMW-MAA、VEGF受容体、及び/又はフィブロネクチン(fibronectin)、テネイシン(tenascin)又は腫瘍壊死領域の癌胎児性変異体を含むが、これらに限定されない。
【0111】
ある実施形態において、前記機能性分子は、インターフェロン(interferon)である。ある実施形態において、前記インターフェロンは、I型インターフェロンである。
【0112】
本明細書で使用される用語「I型インターフェロン」は、IFNα、IFNβ、及びIFN-ε、IFN-κ及びIFN-ω等を含む。すべてのI型インターフェロンは、全部IFNAR1及びIFNAR2の2本鎖からなる特定の細胞表面受容体(即ち、、いわゆるIFN -α/β受容体)と結合される。ある実施形態において、本明細書で使用される用語「I型インターフェロン」は、IFNα又はIFNβである。ある実施形態において、本明細書で使用される用語「I型インターフェロン」は、IFNβである。ある実施形態において、本明細書で使用されるI型インターフェロンは、ヒト、マウス又は合成されたI型インターフェロンを含む。ある実施形態において、本明細書で使用される用語「インターフェロンα」は、NCBI aaa52724.1又はaaa52716.1又はaaa52725.1に示される配列を有するポリペプチドであってもよく、又は配列がこれらの配列と少なくとも85%の同一性を有するポリペプチドであってもよい。ある実施形態において、本明細書で使用される用語「インターフェロンβ」(INF-β)は、NCBI aac41702.1又はnp_002167.1又はaah96152.1p41273又はNP 001552が少なくとも85%の同一性を有するたんぱく質、又はその腫瘍壊死因子(TNF)リガンドの機能を有するフラグメントであってもよい。ある実施形態において、前記インターフェロンβは、ヒトインターフェロンβである。ある実施形態において、前記インターフェロンβは、SEQ ID NO :92のアミノ酸配列を有する。
【0113】
ある実施形態において、前記I型インターフェロンは、天然に存在するものでもよいし、例えば、それは哺乳動物から単離又は精製されてもよいし、人工的に製造してもよいし、例えば従来の遺伝子工学的組換え技術に従って各組換え要素又はI型インターフェロンを生産する。好ましくは、本発明はおいて、各組換え要素又はI型インターフェロンを使用することができる。
【0114】
前記I型インターフェロンポリペプチド配列に基づいて、1つ又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失又は付加により形成されたアミノ酸配列もさらに本発明に含まれる。アミノ酸を適切に置換することは当技術分野において公知の技術であり、前記技術は容易に実施することができ、得られた分子の生物活性を改変しないことを確保する。これらの技術に基づいて、当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の単一のアミノ酸の改変は基本的に生物活性を変えないことを認識させる。
【0115】
I型インターフェロンポリペプチド配列に基づいて、修飾又は改良されたポリペプチドもまた本発明において使用することができるが、例えば、その半減期、有効性、代謝、及び/又はポリペプチドの効力を促進するために修飾又は改良されたポリペプチドを加える。言い換えれば、ポリペプチドの生物活性に影響を及ぼさない任意の変化形態は全部本発明において使用され得る。
【0116】
前記I型インターフェロンのポリペプチドの生物活性フラグメントは、いずれも本発明に適用することができる。ここで、前記生物活性なフラグメントの意味は、その全長ポリペプチドの一部であるポリペプチドは、依然として全長のポリペプチドの全部又は一部の機能を保持することができるものを意味する。通常、前記生物活性フラグメントは、少なくとも全長ポリペプチドの活性の50%を保持する。より好ましい条件下では、前記活性フラグメントは、全長ポリペプチドの活性の60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は100%を保持することができる。
【0117】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の細胞外抗原結合ユニット、膜貫通領域及び細胞内領域を含むキメラ抗原受容体を提供する。本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)」は、細胞内のシグナル伝達ドメインに融合した腫瘍抗原結合構造ドメインを意味し、T細胞を活性化することができる。典型的には、CARの細胞外結合ドメインは、マウス又はヒト化抗体もしくはヒトモノクローナル抗体に由来する。
【0118】
キメラ抗原受容体は、通常細胞外抗原結合ドメイン又は抗原結合ユニットを含む。ある実施形態において、前記細胞外抗原結合ユニットは、本明細書の上記した抗原結合ユニットである。
【0119】
ある実施形態において、細胞外抗原結合領域は、完全ヒトのものであってもよい。他の場合には、細胞外抗原結合領域は、ヒト化されることができる。他の場合には、細胞外抗原結合領域は、マウス化のものであってもよいし、又は前記細胞外抗原結合領域中のキメラは少なくとも2種類の異なる動物に由来するアミノ酸配列からなる。ある実施形態において、前記細胞外抗原結合領域は、非ヒトのものであってもよい
多種の抗原結合領域を設計することができる。非限定的な具現例は、抗体由来の一本鎖可変フラグメント(scFv)、ライブラリーから選択されるフラグメント抗原結合領域(Fab)、単一ドメインフラグメント、又はその同種受容体に接合される天然リガンドを含む。ある実施形態において、細胞外抗原結合領域は、scFv、Fab又は天然リガンド、及びにそれらのいずれの誘導体を含むことができる。細胞外抗原結合領域は、インタクトな抗体の一部を含むことができ、インタクトな抗体に結合される抗原に結合することができるインタクトな抗体以外の分子を意味することができる。抗体フラグメントの具現例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、二重機能性抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0120】
scFv、Fab又は天然リガンドなどの細胞外抗原結合領域は、抗原特異性を決定するCARの一部であってもよい。細胞外抗原結合領域は、任意の相補的標的に結合し得る。細胞外抗原結合領域は、既知の可変領域配列を有する抗体に由来することができる。細胞外抗原結合領域は、入手可能なマウスハイブリドーマ由来の抗体配列から得ることができる。又は、細胞外抗原結合領域は、腫瘍細胞又は一次細胞、例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の全外部切断シーケンスを介して得ることができる。
ある実施形態において、細胞外抗原結合領域の結合特異性は、軽鎖CDR又は重鎖CDRのような相補性決定領域又はCDRによって決定することができる。多くの場合、結合特異性は、軽鎖CDR及び重鎖CDRによって決定されることができる。他の参照抗原と比較して、与えられた重鎖CDR及び軽鎖CDRの組み合わせは、抗原に対してより大きい親和性及び/又は特異性を付与することができる与えられた結合ポケットを提供することができる。
【0121】
本明細書で開示される任意の実施形態のある態様において、scFvなどの細胞外抗原結合領域は、抗原に特異的な軽鎖CDRを含むことができる。軽鎖CDRは、CARのscFv軽鎖などの抗原結合ユニットの相補性決定領域であってもよい。軽鎖CDRは、連続的なアミノ酸残基配列又は非相補性決定領域(例えばフレームワーク領域)によって分離されたアミノ酸残基の2つ以上の連続的なアミノ酸残基配列を含むことができる。ある実施形態において、軽鎖CDRは軽鎖CDR-1、CDR-2などと命名することができる2つ以上の軽鎖CDRを含むことができる。ある実施形態において、軽鎖CDRは、軽鎖CDR-1、軽鎖CDR-2及び軽鎖CDR-3と命名することができる3つの軽鎖CDRを含むことができる。ある具現例において、普通の軽鎖上に存在するCDRのセットは、まとめて軽鎖CDRと命名することができる。
【0122】
本明細書で開示される任意の実施形態のある態様において、scFvなどの細胞外抗原結合領域は、抗原に特異的な重鎖CDRを含むことができる。重鎖CDRは、scFvの重鎖相補性決定領域などの抗原結合ユニットであってもよい。重鎖CDRは、連続的なアミノ酸残基配列又は非相補性決定領域(例えばフレームワーク領域)によって分離されたアミノ酸残基の2つ以上の連続的なアミノ酸残基配列を含むことができる。ある実施形態において、重鎖CDRは、重鎖CDR-1、CDR-2などと命名することができる2つ以上の重鎖CDRを含むことができる。ある実施形態において、重鎖CDRは、重鎖CDR-1、重鎖CDR-2及び重鎖CDR-3と命名することができる3つの重鎖CDRを含むことができる。ある実施形態において、共通のの重鎖上に存在するCDRのセットは、まとめて重鎖CDRと命名することができる。
【0123】
細胞外抗原結合領域は、遺伝子工学によって様々な方式で修飾することができる。ある実施形態において、細胞外抗原結合領域は、その標的に対してより高い親和性を有するように、細胞外抗原結合領域が選択され得るように変異され得る。ある実施形態において、その標的に対する細胞外抗原結合領域の親和性は、正常組織上で低レベルで発現される標的について最適化することができる。この最適化は、潜在的な毒性を最小限に抑えるために実行できる。他の場合において、標的の膜結合型に対してより高い親和性を有する細胞外抗原結合領域のクローンが、その可溶型の対応物よりも好ましいことができる。異なるレベルの可溶性形態の標的も検出することができ、それらの標的化は望ましくない毒性を引き起こす可能性があるので、このような修飾を行うことができる。
【0124】
ある実施形態において、細胞外抗原結合領域は、ヒンジ又はスペーサー領域を含む。「ヒンジ」及び「スペーサー領域」という用語は、互換的に使用することができる。ヒンジは、細胞外抗原結合領域に柔軟性を与えるためのCARの一部と見なすことができる。ある実施形態において、特に細胞外抗原結合領域を検出する抗体が無効であるか又は利用可能である場合、ヒンジは、細胞表面上のCARを検出することに使用されることができる。例えば、細胞外抗原結合領域が標的とする標的上のエピトープの位置に応じて、免疫グロブリンに由来するヒンジの長さを最適化することが必要になることができる。
ある実施形態において、ヒンジは免疫グロブリンに属していなくてもよいが、CD8α分子の天然のヒンジのような別の分子に属する。CD8αヒンジは、CD8コレセプターとMHC分子との相互作用において役割を果たすことが知られているシステイン及びプロリン残基を含むことができる。前記システイン及びプロリン残基は、CARの性能に影響を及ぼすことができる。
【0125】
CARヒンジはサイズが調整可能である。免疫応答細胞と標的細胞との間の免疫学的シナプス(synaptic)のこの形態は、さらに細胞表面の標的分子上の膜遠位エピトープのためにCARによって機能的に架橋されることができない距離を限定し、短いヒンジのCARを使用しても、シナプス距離をシグナルを伝達することができる近似的な値に達することができない。同様に、膜近位CARの標的抗原エピトープは、長いヒンジのCARの背景でシグナル出力が観察される。ヒンジは、使用される細胞外抗原結合領域に応じて調整することができる。ヒンジは任意の長さであってもよい。
【0126】
膜貫通ドメインは、CARを細胞の原形質膜に固定することができる。CD28の天然の膜貫通部分は、CARに使用することができる。他の場合において、CD8αの天然の膜貫通部分もCARに使用することができる。「CD8」は、NCBI参照番号:NP_001759又はその刺激活性を有するフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するタンパク質であってもよい。「CD8核酸分子」は、CD8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであってもよいし、ある場合において、膜貫通領域はCD28の天然の膜貫通部分であってもよいし、「CD28」は、NCBI参照番号:NP_006130又はその刺激活性を有するフラグメントと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するタンパク質であってもよい。「CD28核酸分子」は、CD28ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであってもよい。ある実施形態において、膜貫通部分はCD8α領域を含むことができる。
【0127】
CARの細胞内シグナル伝達領域は、CARが配置されている免疫応答細胞の少なくとも1つの効果(effector)機能を活性化することに関与することができる。CARは、T細胞の効果機能を誘導することができ、例えば、前記効果機能は、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性又はヘルパー活性である。したがって、細胞内シグナル伝達領域という用語は、効果機能シグナルを伝達し、細胞に特異的機能を果たすように引導するタンパク質部分を指す。細胞内シグナル伝達領域全体を一般に使用することができるが、多くの場合、シグナルドメインの鎖全体を使用する必要はない。ある実施形態において、細胞内シグナル伝達領域の短縮部分が使用される。ある実施形態において、用語細胞内シグナル伝達領域とは、この意味で効果機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達領域の任意の短縮部分を含むことを意味する。
【0128】
CARにおいて使用される信号ドメインの好ましい具現例は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列及び標的-受容体結合後にシグナル伝達を開始するために相乗的に作用するコレセプター、及びそれらの任意の誘導体または変異体配列及びこのような配列の同じ機能性を持つ任意の合成配列を含むことができる。
【0129】
ある実施形態において、前記細胞内シグナル伝達領域は、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)の既知のシグナルモチーフを含むことができる。細胞質シグナル伝達配列を含むITAMの具現例は、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dに由来するものを含む。しかしながら、好ましい実施形態において、細胞内シグナルドメインはCD3ζ鎖に由来する。
【0130】
1つ又は複数のITAMモチーフを含むT細胞シグナルドメインの具現例は、T細胞受容体T3ζ鎖またはCD247としても呼ばれるCD3ζドメインである。当該ドメインは、T細胞受容体-CD3複合体の一部であり、いくつかの細胞内シグナル伝達経路の抗原認識とT細胞の主要な効果活性化の結合において重要な役割を果たす。本明細書で使用されるように、CD3ζは、Swissprot登録P20963から知られるように、実質的に同一の配列を有するタンパク質を含む、ヒトCD3ζ及びそのアイソフォーム(isoform)を主に意味する。キメラ抗原受容体の一部として、全T細胞受容体T3ζ鎖が必要とされず、その任意の機能的等価物を含む、T細胞受容体T3ζ鎖のシグナルドメインの任意の誘導体が全部適切であることが繰り返される。
【0131】
細胞内シグナル伝達ドメインは、表1中の任意のドメインから選択されることができる。ある実施形態において、参照ドメインとの同一性が約50%~約100%でありうるようにドメインを修飾することができる。表1中の任意のドメインは、修飾形態が約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%の同一性を含むことができるように修飾することができる。
【0132】
CARの細胞内シグナル伝達領域は、1つ又は複数の共刺激ドメインをさらに含むことができる。細胞内シグナル伝達領域は、例えば、ζ鎖(第1世代のCAR)またはそれとCD28または4-1BB(第2世代のCAR)のような単一の共刺激ドメインを含むことができる。他の具現例において、細胞内シグナル伝達領域は、CD28/OX40またはCD28/4-1BB(第3世代)のような2つの共刺激ドメインを含むことができる。
【0133】
CD8のような細胞内シグナル伝達ドメインとともに、これらの共刺激ドメインは、キナーゼ経路の下流の活性化を引き起こして、遺伝子転写と機能的細胞応答を支持することができる。CARの共刺激ドメインは、CD28(ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸3-キナーゼ(phosphatidylinositol-4,5-diphosphate 3-kinase))又は4-1BB/OX40(TNF-受容体関連因子アダプタータンパク質)経路及びMAPK及びAkt活性化の関連の近位のシグナル伝達タンパク質を活性化することができる。
【0134】
ある場合において、CARによって生成された信号は、補助的または共刺激的信号に結合する可能である。共刺激シグナル伝達ドメインに対して、キメラ抗原受容体様複合体は、いくつかの可能性のある共刺激シグナルドメインを含むように設計することができる。当技術分野において周知のように、ナイーブT細胞においては、T細胞受容体の単独の接合は、T細胞の細胞傷害性T細胞への完全な活性化を誘導するのに十分ではない。完全な生産的T細胞の活性化は、第2共刺激シグナルを必要である。いくつかの受容体がT細胞活性化のための共刺激を提供することが報告され、CD28、OX40、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BBL、MyD88及び4-1BBを含むが、これらに限定されない。これらの共刺激分子によって使用されるシグナル伝達経路は、主T細胞受容体活性化シグナルと相乗的に作用することができる。これらの共刺激シグナル伝達領域が提供するシグナルは、1つまたは複数のITAMモチーフ(例えば、CD3ζシグナル伝達ドメイン)に由来する主効果活性化シグナルと相乗的に作用することができ、T細胞の活性化の要件を完成することができる。
【0135】
ある実施形態において、キメラ抗原受容体様複合体の共刺激ドメインの付加は、人工細胞の効能及び耐久性を増強することができる。他の実施形態において、T細胞シグナルドメインと共刺激ドメインは互いに融合してシグナル伝達領域を構成する。
【0136】
【0137】
キメラ抗原受容体は標的抗原に結合する。T細胞活性化をインビトロまたはex vivoで測定される場合、標的抗原は様々な供給源から獲得し、または単離することができる。本明細書で使用される標的抗原は、抗原又は抗原上の免疫エピトープであり、それらは哺乳動物において免疫認識及び最終的に病原性因子または病状の排除または制御にとって重要である。免疫認識は細胞及び/または体液であってもよい。細胞内の病原体及び癌の場合、免疫認識は、例えばTリンパ球反応であっておもよい。
【0138】
ある実施形態において、標的抗原は、前癌状態又は増殖状態に関連する抗原を含む。標的抗原は、癌に関連するか又は癌によって引き起こされることもできる。例えば、ある実施形態において、本発明のキメラ抗原受容体の識別及び結合は、本明細書に記載のTSA及びTAAの腫瘍抗原を含む。
【0139】
ある実施形態において、本明細書のキメラ抗原受容体が細胞の原形質膜上に存在し、その標的に結合して活性化される時に、前記キメラ抗原受容体を発現する細胞は前記標的を保有する細胞に対して細胞傷害性を生じ得る。例えば、ある実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、NK細胞または細胞傷害性T細胞などの細胞傷害性細胞上に存在し、標的によって活性化される時に、前記細胞傷害性細胞が標的細胞に対する毒性を増加させることができる。ある実施形態において、本明細書のキメラ抗原受容体は、腫瘍細胞などのクローディン18A2を発現する細胞に対する免疫反応細胞の作用を増加させることができる。ある実施形態において、本明細書のキメラ抗原受容体を発現しない細胞と比較して、クローディン18A2を発現する細胞に対する本明細書に記載のキメラ抗原受容体を発現する細胞の細胞傷害作用は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍又は少なくとも10倍向上させる。
【0140】
ある実施形態において、本明細書のキメラ抗原受容体は、細胞の原形質膜上に存在し、その標的に結合して活性化される場合、クローディン18A1ペプチドを含むがクローディン18A2ペプチドを含まない細胞に有意な細胞傷害性を誘導しない。ある実施形態において、前記細胞傷害性レベルは、10%、5%、4%、3%、2%または1%より低い。
【0141】
標的抗原を結合する受容体またはCARをコードする導入遺伝子を細胞に組み込むことができる。例えば、導入遺伝子は、T細胞などの免疫応答細胞に組み込むことができる。細胞に挿入される時に、導入遺伝子はメッセンジャーRNA(mRNA)のコピーである相補的DNA(cDNA)フラグメントであってもよいし、又はそのゲノムDNAの元の領域に位置する遺伝子自体(イントロン(intron)を含む又は含まない)であってもよい。
【0142】
DNAのような導入遺伝子配列をコードする核酸は、細胞の染色体にランダムに挿入することができる。核酸(例えば、DNA)を細胞に導入する任意の方法によってランダムに組込みを生じることができる。例えば、当該方法は、電気穿孔、超音波、遺伝子銃の使用、リポフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、デンドリマーの使用、マイクロインジェクション及びアデノウイルス、AAV及びレトロウイルスベクターを含むウイルスベクターの使用、及び/又はII型リボザイム(ribozyme)を含み得るが、これに限定されない。
【0143】
導入遺伝子をコードするDNAは、さらにレポーター遺伝子を含むように設計されてもよくて、導入遺伝子又はその発現生成物の存在がレポーター遺伝子の活性化によって検出され得る。上記のものなどの任意のレポーター遺伝子を使用することができる。細胞培養物の中のレポーター遺伝子が既に活性化された細胞を選択することによって、導入遺伝子を含む細胞を選択することができる。
【0144】
CARの発現は、例えば、qPCRのような発現アッセイにより確認し、又はRNAのレベルを測定することによって検証することができる。発現レベルは、コピー数も示すことができる。例えば、発現レベルが非常に高い場合、これはCARの1つ以上のコピーがゲノムに組み込まれたことを示すことができる。又は高発現は、導入遺伝子が高度に発現されたプロモーターの近くのような高転写領域に組み込まれることを示すことができる。タンパク質レベルを測定することによって、例えばウエスタン(Western)ブロッティングによって検証することもできる。
【0145】
ある実施形態において、本発明の免疫応答細胞は、1つ又は複数の導入遺伝子を含むことができる。前記1つ又は複数の導入遺伝子は、抗原上の少なくとも1つのエピトープを認識して結合するか、又は抗原上の突然変異のエピトープに結合するCARタンパク質を発現することができる。CARは機能的なCARであってもよい。ある実施形態において、本発明の免疫応答細胞は、1つ又は複数のCARを含むことができ、又はそれは単一のCAR及び2次操作された受容体を含むことができる。
【0146】
ある実施形態において、導入遺伝子は、自殺遺伝子をコードすることができる。癌患者に対する多くの有効な治療によって証明されるように、CAR免疫応答細胞は、腫瘍を退縮させるが毒性を伴うことができる。ある実施形態において、標的免疫原が正常組織と腫瘍細胞で共存する場合、CAR免疫応答細胞は腫瘍と正常組織(「標的内/標的外毒性」)とを区別することができない。ある場合において、サイトカイン放出症候群(CRS)と呼ばれる免疫系の全体的な混乱が発生することができる。前記CRSは、全身性炎症反応症候群又はサイトカインストームを含むことができ、これはインビボでのCAR免疫反応細胞の急速な拡大の結果である可能性がある。CRSは、発熱及び低血圧を特徴とする病状であり、ひどい人は、多臓器不全を引き起こし得る。ほとんどの場合、前記毒性は注入されたCAR免疫応答細胞のインビボでの増幅に関連し、それは免疫系の全体的な混乱を引き起こし、及びTNFα及びIL-6のような高レベルの前炎症性サイトカインを放出し得る。自殺遺伝子は、CAR免疫反応性細胞の排除を誘導することができる。自殺遺伝子は、前記CAR免疫反応性細胞においてアポトーシスを誘導する任意の遺伝子であってもよい。自殺遺伝子は、前記抗原結合受容体と共にウイルスベクター中にコードされ得る。自殺遺伝子のコード化は、特定の条件下で注入されたCAR免疫応答細胞のインビボ拡大によって引き起こされる毒性の緩和または完全な中止を可能にする。
【0147】
ある実施形態において、正常組織の抗原に存在するCAR免疫反応性細胞は、例えば受容体をコードするmRNAの電気穿孔の後に、それらが一過性にCARを発現するようにすることができる。なお、安全スイッチを含むことによってCAR免疫反応性細胞をさらに強化するため、標的毒性がひどい場合で、CAR免疫反応性細胞を多く排除することができる。
【0148】
ある実施形態において、CARコードベクターは、例えば、誘導可能なカスパーゼ9遺伝子(二量体の化学誘導剤によって活性化される)又は切断型EGF受容体R(モノクローナル抗体セツキシマブによって活性化される)又はRQR8安全スイッチと組み合わせることができる。
【0149】
本明細書で使用される1つ又は複数の導入遺伝子は、異なる種に由来することができる。例えば、1つ又は複数の導入遺伝子は、ヒト遺伝子、マウス遺伝子、ラット遺伝子、ブタ遺伝子、ウシ遺伝子、イヌ遺伝子、ネコ遺伝子、サル遺伝子、チンパンジー遺伝子またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、導入遺伝子は、ヒトの遺伝配列を有するヒト由来であり得る。1つ又は複数の導入遺伝子がヒト遺伝子を含むことができる。ある場合において、1つ又は複数の導入遺伝子はアデノウイルス遺伝子ではない。
【0150】
上記したように、導入遺伝子は、免疫反応性細胞のゲノムにランダムに又は部位特異的に挿入することができ、例えば、導入遺伝子は、免疫細胞のゲノムのランダム部位に挿入することができる。このような導入遺伝子は、機能的なものであってもよく、例えば、ゲノムの任意の部分に挿入されたときに完全に機能的である。例えば、導入遺伝子は、それ自身のプロモーターをコードすることができ、またはその内部プロモーターによって制御される位置に挿入することができる。又は、導入遺伝子は、遺伝子のイントロンまたは遺伝子のエキソン、プロモーター又は非コード領域などの遺伝子に挿入することができる。導入遺伝子を挿入ことにより、内因性免疫チェックポイントのような遺伝子を破壊することができる。
【0151】
ある実施形態において、ゲノム内の複数のランダム部位に1つ以上のコピーの導入遺伝子を挿入することができる。例えば、複数コピーをゲノム内のランダム部位に挿入することができる。導入遺伝子をランダムに1回挿入した場合と比較して、これは全体的な発現が増加する可能性がある。又は、導入遺伝子のコピーを遺伝子に挿入し、導入遺伝子の別のコピーを異なる遺伝子に挿入することができる。導入遺伝子は、それが免疫反応性細胞のゲノム中の特定の部位に挿入され得るように標的化され得る。
【0152】
ある実施形態において、抗原結合受容体をコードする配列を含むポリ核酸は、プラスミドベクターの形態を採用することができる。プラスミドベクターはプロモーターを含むことができる。ある場合において、プロモーターは、構成型であってもよい。ある実施形態において、プロモーターは誘導できるものである。プロモーターは、CMV、U6、MNDまたはEF1aであってもよいし、またはそれらに由来することができる。ある実施形態において、プロモーターは、CAR配列に隣接することができる。ある実施形態において、プラスミドベクターはスプライス受容体をさらに含む。ある実施形態において、スプライ受容体はCAR配列に隣接することができる。プロモーター配列は、PKGまたはMNDプロモーターであってもよい。MNDプロモーターは、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーで修飾されたMoMuLV LTRのU3領域を含む合成プロモーターであってもよい。
【0153】
ある実施形態において、非ウイルス技術によって細胞に送達されるように標的受容体をコードするポリ核酸を設計することができる。ある場合において、ポリ核酸は、良好な製造規範(GMP)兼容試薬であってもよい。
【0154】
標的結合抗原受容体またはCARをコードするポリヌクレオチドの発現は、1つ又は複数のプロモーターによって制御されることができる。プロモーターは、普通に存在する構成型(関連遺伝子の連続転写を可能にする無制限プロモーター)、組織特異的プロモーター又は誘導型であってもよい。プロモーターに隣接又は近接して挿入された導入遺伝子の発現は調節することができる。例えば、導入遺伝子は、普通に存在するプロモーターの近く又は横に挿入されることができる、普通に存在する一部のプロモーターは、CAGGSプロモーター、hCMVプロモーター、PGKプロモーター、SV40プロモーター又はROSA26プロモーターであってもよい。
【0155】
プロモーターは、内因性または外因性であってもよい。例えば、1つまたは複数の導入遺伝子を、内因または外因のROSA26プロモーターに隣接または近接する位置に挿入することができる。なお、プロモーターは免疫反応性細胞に特異的であってもよい。例えば、1つまたは複数の導入遺伝子をブタROSA26プロモーターに隣接または近接して挿入することができる。
【0156】
組織特異的プロモーター又は細胞特異的プロモーターを使用して発現位置を制御することができる。例えば、1つ又は複数の導入遺伝子を組織特異的プロモーターに隣接または近接して挿入することができる。組織特異的プロモーターは、FABPプロモーター、LckCプロモーター、CamKIIプロモーター、CD19プロモーター、ケラチンプロモーター、アルブミンプロモーター、aP2プロモーター、インスリンプロモーター、MCKプロモーター、MyHCプロモーター、WAPプロモーター又はCol2Aプロモーターであってもよい。
【0157】
誘導型プロモーターも使用することができる。これらの誘導型プロモーターは、必要に応じて誘導剤を添加または除去することによってオン及びオフにすることができる。予期誘導型プロモーターは、Lac、tac、trc、trp、araBAD、phoA、recA、proU、cst-1、tetA、cadA、nar、PL、cspA、T7、VHB、Mx及び/またはTrexであってもよいが、これらに限定されない。
【0158】
本明細書で使用される用語「誘導型プロモーター」とは、所望の条件に達する前には、それに操作可能に結合された遺伝子を発現しないか又は低発現し、所望の条件が達成されるときに、それに操作可能に結合された遺伝子を発現又は高発現する制御されるプロモーターである。例えば、ある実施形態において、本出願の誘導型プロモーターは、細胞内の正常又は高酸素条件下でそれに操作可能に結合された遺伝子を発現しないか又は低発現し、細胞内の酸素含有量の低下に応答して、それに操作可能に連結される遺伝子を低酸素条件下で発現または高発現する。ある実施形態において、本明細書で使用される誘導プロモーターは、低酸素誘導性転写因子-1α(Hypoxia-Inducible Transcription factor-1α:HIF-1α)を含む。ある実施形態において、本明細書で使用される用語「誘導型プロモーター」とは、「免疫細胞誘導型プロモーター」を指し、免疫応答細胞が抗原と接触する前または免疫応答細胞が活性化されないときに、それに操作可能に連結された遺伝子を発現しないかまたは低発現し、免疫応答細胞が抗原と接触したり、又は免疫応答細胞が活性化されるときにだけ、それに操作可能に連結された遺伝子を駆動して、高レベルの発現又は低酸素なおどの条件下での発現する。ある実施形態において、前記「免疫細胞誘導型プロモーター」は、NFAT(活性化T細胞核因子)型プロモーターを含む。
【0159】
本明細書で使用される場合、「NFAT型プロモーター」とは、NFAT結合活性に基づいてそれに操作可能に結合された遺伝子の発現を調節するプロモーターを指す。
【0160】
NFATは、免疫応答において重要な役割を果たす転写因子のファミリーの総称である。NFATファミリーの1つ又は複数のメンバーは、免疫系のほとんどの細胞で発現される。NFATも心臓、骨格筋、神経系の発育に関与する。
【0161】
NFAT転写因子ファミリーは、5つのメンバー、NFAT1、NFAT2、NFAT3、NFAT4及びNFAT5からなる。NFAT1~NFAT4は、カルシウムシグナルによって調節される。カルモジュリン(CaM)は、セリン/スレオニンホスファターゼカルシニューリン(CN)を活性化するので、カルシウムシグナルはNFATの活性化に重要である。活性化されたCNは、NFATプロテインアミノ末端のセリンリッチ領域(SRR)及びSPの反復配列を急速に脱リン酸化し、構造を変化させ、核局在化シグナルを露出させて、NFATが核中に入ることになる。
【0162】
T細胞活性化の過程でサイトカインの転写発現におけるNFATの役割に基づいて、本明細書に記載の免疫細胞誘導型プロモーターを調節することに使用されることができ、免疫応答細胞が抗原に接触して活性化されるときに、それに操作可能に連結した遺伝子を発現または高レベルに発現する。
【0163】
本発明の核酸は、NFAT型プロモーター(又はその機能的部分又は機能的変異体)をコードする任意の適切なヌクレオチド配列を含むことができる。本明細書で使用される「NFAT型プロモーター」とは、T細胞によって発現される任意の遺伝子の最小プロモーターに連結された1つ又は複数のNFAT応答エレメントを意味する。好ましくは、T細胞によって発現される遺伝子の最小プロモーターは、最も小さいヒトIL-2プロモーターである。NFAT応答要素は、例えば、NFAT1、NFAT2、NFAT3及び/またはNFAT4応答要素を含むことができる。ある実施形態において、本明細書に記載の「NFAT型プロモーター」は、NFATに結合する1つ以上のモチーフを含む。例えば、前記「NFAT型プロモーター」は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多いNFAT結合モチーフを含むことができる。ある実施形態において、前記「NFAT型プロモーター」は、最大12個のNFAT結合モチーフを含む。ある実施形態において、前記「NFAT型プロモーター」は、複数の前記NFAT結合モチーフがIL2最小プロモーターのようなプロモーターと直列に構成されたプロモーターであってもよい。ある実施形態において、本明細書に記載のNFAT型プロモーターは、(NFAT)6と称される6つのNFAT結合モチーフを含む。便宜上、前記(NFAT)6はNFAT6とも称される。ある実施形態において、前記NFAT6も、前記NFAT型プロモーター中の6つの反復されたNFAT結合モチーフ(SEQ ID NO:94)を表す。
【0164】
なお、導入遺伝子配列は、発現に必須ではないが、プロモーター、エンハンサー、インスレーター、内部リボソーム侵入部位、2Aペプチドをコードする配列及び/又はポリアデニル化シグナルなどの転写又は翻訳調節配列も含むことができる。
【0165】
ある実施形態において、導入遺伝子は標的結合抗原の受容体又はCARをコードし、ここで、導入遺伝子は、前記結合抗原の受容体が発現されるようにセーフハーバー(safe harbor)に挿入される。ある実施形態において、導入遺伝子は、PD1及び/またはCTLA-4遺伝子座に挿入される。他の場合には、導入遺伝子をレンチウイルスとして細胞に送達して、ランダムに挿入し、PD1又はCTLA-4特異的ヌクレアーゼはmRNAとして提供されることができる。ある実施形態において、導入遺伝子はレトロウイルス、AAVまたはアデノウイルス及びセーフハーバーについて特異的なヌクレアーゼ(例えばAAVS1、CCR5、アルブミンまたはHPRT)をコードするmRNAのようなウイルスベクターシステムにより伝達される。PD1及び/またはCTLA-4特異的ヌクレアーゼをコードするmRNAに細胞を処理することができる。ある実施形態において、CARをコードするポリヌクレオチドは、ウイルス送達システムとHPRT特異的ヌクレアーゼ及びPD1-またはCTLA-4特異的ヌクレアーゼをコードするmRNAと一緒に提供される。本文に開示された方法と組成物を一緒に使用することができるCARは、すべてのタイプのこれらのキメラタンパク質を含むことができる。
【0166】
ある実施形態において、レトロウイルスベクター(γ-レトロウイルスまたはレンチウイルスベクター)を使用して、導入遺伝子を免疫反応性細胞に導入することができる。例えば、CARをコードする遺伝子または抗原に結合される任意の受容体またはその変異体またはフラグメントは、レトロウイルスベクターにクローンされることができ、その内因性プロモーター、レトロウイルスの長い末端反復配列、または標的細胞の類型に特異的なプロモーターによって駆動されることができる。非ウイルスベクターを使用することもできる。非ウイルスベクター送達システムは、DNAプラスミド、露出核酸及びリポソームまたはポロックサモ(poloxamer)のようなベクターの伝達と複合された核酸を含むことができる。
【0167】
遺伝子を動物細胞に転移するための多くのウイルスに基づいたシステムが開発された。例えば、レトロウイルスは、遺伝子伝達システムのための便利なプラットフォームを提供した。選択された遺伝子は、当技術分野において公知の技術を使用してベクターに挿入されてレトロウイルス粒子にパッケージングされる。レンチウイルスのようなレトロウイルスから誘導されたベクターは、遺伝子組み換えの長期的な安定の統合と娘細胞での増殖を可能にするので、長期的な遺伝子トランスフェクションを実現するための適切なツールである。レンチウイルスベクターは、非増殖食性細胞を形質導入することができるので、マウス白血病ウイルスのようなレトロウイルスから誘導されたベクターに比べて付加的な利点を有する。それらは、低免疫原性の付加の利点をさらに備える。アデノウイルスベクターの利点は、それらは、標的細胞のゲノムに融合されず、否定的な統合関連事件をバイパスするものである。
【0168】
細胞は、前記抗原に結合される受容体をコードする導入遺伝子によってトランスフェクションすることができる。導入遺伝子濃度は、約100pg~約50μgであってもよい。ある実施形態において、細胞に導入された核酸(例えば、ssDNA、dsDNAまたはRNA)の量を変更して、トランスフェクション効率及び/または細胞活力を最適化することができる。例えば、それぞれの細胞サンプルに1μgのdsDNAを入れて電気穿孔に使用することができる。ある実施形態において、最適のトランスフェクション効率及び/または細胞活力に必要な核酸(例えば、二重鎖DNA)の量は、細胞の類型に応じて異なる。ある実施形態において、それぞれのサンプルに使用される核酸(例えば、dsDNA)の量は、トランスフェクションの効率及び/または細胞活力に直接対応することができる。例えば、一連のトランスフェクション濃度と同じである。ベクターによってコードされた導入遺伝子は、細胞のゲノムに統合されることができる。ある実施形態において、ベクターによってコードされた導入遺伝子は、全方向に統合される。他の場合において、ベクターによってコードされた導入遺伝子は、逆統合される。
【0169】
通常、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または頭蓋内注射)または局所適用を介して、各患者の体内に投与して、ベクターに伝達するが、以下に記述されたようである。または、ベクターは、インビトロによって細胞に伝達されることができ、例えば、各患者(例えば、リンパ球、T細胞、骨髄吸引物、組織生体組織検査)から細胞を取り出した後に、通常当該ベクターが挿入された細胞を選択して編入された後、細胞をまた患者の体内に植入する。選択の前または後に、細胞を増幅させることができる。
【0170】
抗原に結合された受容体を発現することに適した免疫反応性細胞は、必要とされる個体に対して自体または非自体の細胞であってもよい。
【0171】
免疫応答細胞に適した来源は、個体から得ることができる。ある場合において、T細胞を得ることができる。前記T細胞は、様々な来源から得ることができ、PBMC、骨髄、リムプソン組織、臍帯血、胸腺組織及び感染部位、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍の組織を含む。ある場合において、T細胞は、当業者に公知された任意の数量のFicollTM分離のような技術を使用して、前記個体から修集された血液から得ることができる。ある実施形態において、単一の採血によって個体からの血液を循環する細胞を得る。単一採集の製品は、通常、リンパ球ルを含有し、T細胞、単核細胞、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、及び血小板を含む。ある実施形態において、単一の採集によって収集された細胞は、洗浄されて、血漿分画を除去し、その後の処理ステップのための適切な緩衝液または培地に放置することができる。
【0172】
または、細胞は健康なドナー、癌と診断された患者または感染と診断された患者から誘導されることができる。ある実施形態において、細胞は、異なる表現型の特性を有する混合細胞群の一部であってもよい。細胞系は、前述された方法に応じて、形質転換されたT細胞から得ることができる。細胞は、細胞治療のライブラリから得ることもできる。本文の前記の任意の方法によって、免疫抑制治療に耐性がある修飾された細胞を得ることができる。修飾する前に、適切な細胞群を選択することもできる。修飾したあとに人工細胞群を選択することもできる。人工細胞は、自家移植に使用することができる。または、細胞は同種異系移植に使用することができる。ある実施形態において、細胞は、サンプルとして、がん関連標的配列を検定するための同じ患者に適用される。他の場合において、細胞は、そのサンプルが癌関連標的配列を検証するために使用される患者と異なる患者に適用される。
【0173】
ある実施形態において、最適な一次細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、末梢血リンパ球(PBL)及び他の血液細胞の亜群を含み、例えば、T細胞、ナチュラルキラー細胞、単核細胞、ナチュラルキラーT細胞、単核細胞前駆細胞、造血幹細胞または非多能性幹細胞を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、細胞は、任意の免疫細胞であってもよいし、腫瘍浸潤細胞(TIL)のような任意のT細胞を含み、例えば、CD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞または任意の他の類型のT細胞である。T細胞は、記憶T細胞、記憶幹T細胞または効果T細胞を含むことができる。大量の群体からT細胞を選択することができ、例えば、全血からT細胞を選択する。T細胞は、大量の群体から増幅することができる。T細胞は、特定の群体と表現型に傾向することができる。例えば、T細胞は、CD45RO(-)、CCR7(+)、CD45RA(+)、CD62L(+)、CD27(+)、CD28(+)及び/またはIL-7Rα(+)を含む表現型に傾向することができる。適切な細胞は、CD45RO(-)、CCR7(+)、CD45RA(+)、CD62L(+)、CD27(+)、CD28(+)及び/またはIL-7Rα(+)から選択される1つまたは複数のマーカーであることができる。適切な細胞は、幹細胞をさらに含み、例えば、胚性幹細胞、誘導された多能性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞及び中間葉幹細胞である。適切な細胞は、任意の数量の一次細胞を含むことができ、例えば、ヒト細胞、非ヒト細胞及び/またはマウスの細胞である。適切な細胞は、前駆細胞であってもよい。適切な細胞は、治療される被験者から誘導することができる(例えば、患者)。
【0174】
患者に必要とされる治療有効量の細胞は、細胞の生存率及び細胞が遺伝的に修飾される効率(例えば、導入遺伝子が1つまたは複数の細胞に統合された効率、又は導入遺伝子によってコードされたタンパク質の発現レベル)に基づいて変化することができる。ある実施形態において、遺伝的に修飾された後の細胞の生存率の生成物(例えば、倍に増加する)と導入遺伝子の統合の効率は、被験者に投与される細胞の治療量に対応することができる。ある実施形態において、遺伝的に修飾された後の細胞の生存率の増加は、効果的な治療のために患者に投与するのに必要な細胞の量の減少に対応することができる。ある実施形態において、1つまたは複数の細胞内の導入遺伝子統合効率の増加は、患者で治療に効果的な投与に必要な細胞の量を減少させることに対応することができる。ある実施形態において、必要される治療に効果的な細胞の量の決定は、時間に応じた細胞の変化と関連する機能を決定することを含むことができる。ある実施形態において、要求される治療に効果的な細胞の量の決定は、時間関連の変量による導入遺伝子を1つまたは複数の細胞に統合する効率の変化に対応する機能を決定することを含むことができる(例えば、細胞培養時間、電気穿孔時間、細胞の刺激時間)。ある実施形態において、治療に効果的な細胞は、細胞群であることができ、細胞表面で約30%乃至約100%の抗原に結合された受容体の発現を含む。ある実施形態において、フローサイトメトリー分析によって測定される治療に効果的な細胞は、細胞表面から約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%または約99.9%を超える前記抗原に結合された受容体を発現することができる。
【0175】
本発明の一態様によれば、本発明も、前記抗原に結合される受容体をコードする核酸を含む。本発明は、前記ポリヌクレオチドの変異体にも関連し、本発明と同じアミノ酸配列のポリペプチドまたはポリペプチドのフラグメント、類似体及び誘導体をコードする。
【0176】
本発明は、前記免疫応答細胞の表面に発現された抗原に結合された受容体タンパク質をコードする核酸を含むベクターをさらに提供する。
【0177】
本発明は、前記ベクターを含むウイルスをさらに含む。本発明のウイルスは、パッキングされた後の感染力を有するウイルスを含み、感染力を有するウイルスにパッキングされるのに必要成分を含有するパッキンされたウイルスも含む。本分野の公知された外因性遺伝子を免疫応答細胞に形質導入するために使用されることができる他のウイルス及び、そのの対応するプラスミドベクターも本発明に使用することができる。
【0178】
別の態様において、本明細書は、宿主細胞を提供し、本明細書に記載の抗原結合ユニットまたはキメラ抗原受容体及び任意のI型インターフェロンを含む。別の態様において、本明細書は、宿主細胞を提供し、本明細書に記載の抗原結合ユニットまたはキメラ抗原受容体及び任意のI型インターフェロンをコードする核酸を含む。
【0179】
ある実施形態において、前記宿主細胞は、免疫応答細胞である。ある実施形態において、前記免疫応答細胞は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ナチュラルキラーT細胞、DNT細胞、及び/または調節的T細胞である。ある実施形態において、前記宿主細胞は、NK92細胞である。
【0180】
ある実施形態において、発現構築物は、本発明の免疫応答細胞に含まれることができ、この発現構造物は、抗体、CD28共刺激信号ドメイン、CD3ζ、及び上述したエレメントと逆方向に接続されたNFAT6、I型インターフェロンの発現単位のように順次的に連続して接続されたエレメントを持つ。好ましくは、前記抗体とCD28の共刺激シグナルドメインとの間は、CD8α膜貫通領域とCD8αのヒンジ領域を介して結合される。
【0181】
ある実施形態において、T細胞核因子NFAT(Nuclear factor of activated T cells)の活性化は、T細胞の活性化の過程でサイトカインの転写発現が重要な役割を果たしている。これを考慮して、本発明者は、IFN-betaコード配列をNFAT6プロモーターの調節の下に位置させると、CAR-T細胞が抗原と接触して、T細胞が活性化される場合にだけ、IFN-betaが高いレベルで発現されることができる。
【0182】
NFAT6プロモーターは、6つのNFATを用いた結合位置とIL2の最小プロモーター(minimal promoter)を直列結合して構成されプロモーターであり、(Hooijberg E, Bakker AQ, Ruizendaal JJ, Spits H. NFAT-controlledexpressionofGFPpermitsvisualizationandisolationofantigen-stimulatedprimaryhumanTcells. Blood. 2000 Jul 15;96(2):459-66)、IL12などのサイトカインがTCR-TのようなTリンパ球での発現の調節に使用することができる(Zhang L,Kerkar SP,Yu Z,Zheng Z,Yang S,RestifoNP,Rosenberg SA,Morgan RA. ImprovingadoptiveTcell therapybytargetingandcontrollingIL-12expressionto thetumorenvironment. Mol Ther.2011 Apr;19(4):751-9)。
【0183】
本発明の免疫応答細胞は、抗原に結合された受容体と外因性I型インターフェロンを発現する構造物または発現ベクターまたは前記プラスミドを含むウイルスが形質導入されている。本分野の通常の核酸の形質導入の方法は、非ウイルスとウイルスの形質導入方法を含み、すべて本発明に使用することができる。
【0184】
本発明の免疫応答細胞は、外因性サイトカインのコード配列をさらに備えることができ、前記サイトカインは、IL-12、IL-15またはIL-21などを含むが、これらに限定されない。これらのサイトカインは、免疫調節または抗腫瘍活性をさらに備え、効果T細胞と活性化されたNK細胞の機能を向上させ、又は直接抗腫瘍作用を発揮する。したがって、当業者は、これらのサイトカインの活用が、前記免疫応答細胞のより効果的に作用を発揮するように助けることを理解することができる。
【0185】
本発明の前記免疫応答細胞は、前記抗原に結合された受容体以外の抗原に結合された他の受容体も発現することができる。
【0186】
本発明の前記免疫応答細胞は、ケモカイン(chemokine)受容体を発現することもあり、前記ケモカイン受容体は、CCR2を含むが、これに限定されない。当業者は、前記のCCR2ケモカイン受容体は、体内でCCR2と競合性結合することができ、腫瘍の転移を遮断するのに有利なことを理解することができる。
【0187】
本発明の前記免疫応答細胞は、PD-1の発現を減少させることができるsiRNAまたはPD-L1を遮断することができるタンパク質を発現することもできる。当業者は、競争的にPD-L1とその受容体PD-1の相互作用を遮断すると、抗腫瘍T細胞反応の回復に有利で腫瘍生長を阻害することを理解することができる。
【0188】
本発明の前記免疫応答細胞は、安全スイッチをさらに発現することができ、好ましくは、前記安全スイッチは、iCaspase-9、Truancated EGFRまたはRQR8を含む。
【0189】
ある実施形態において、本発明の免疫応答細胞は、4-1BBLのようなこの種類の共刺激リガンドを発現していない。
【0190】
したがって、別の態様において、本明細書は、適切な条件の下で本明細書に記載の宿主細胞を培養するステップを含む本明細書に記載の抗原結合単位またはキメラ抗原受容体またはこれらを含む組成物を生成する方法を提供した。ある実施形態において、前記方法は、前記宿主細胞の発現生成物を分離して得るステップを含む。
【0191】
他の態様において、本明細書は、本明細書に記載の抗原結合ユニットは、キメラ抗原受容体または核酸を含む組成物を提供した。ある実施形態において、前記組成物は、前記抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体または核酸を含む薬剤組成物である。ある実施形態において、前記薬物組成物は、薬学的に許容可能なベクターをさらに含む。
【0192】
他の態様において、本明細書は、本明細書に記載の宿主細胞と、薬学的に許容可能なベクターとを含む薬物組成物を提供した。
【0193】
用語「薬学的に許容可能な」とは、分子自体と組成物を動物またはヒトに適切に投与する場合に、それらは不利な反応を起こさず、アレルギーまたは他の副作用を起こさないことを意味する。
【0194】
ある実施形態において、前記組成物は、他の治療薬を含む。ある実施形態において、前記他の治療薬は、例えばUS20140271820に記載されたそのようなもの、及び/またはその薬学的に許容可能な塩または類似体である。ある実施形態において、前記治療薬は、ビンクリスチン(vincristine)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンデシン(vindesine)、ノビビン(novibin)(TM)(ビノレルビン(vinorelbine)、5’-ジヒドロ硫化水素(5’-dehydrohydrogen sulfide)を含む有糸分裂阻害剤(ビンカアルカロイド(vinca alkaloid));CamptosarTM(イリノテカン(irinotecan)HCL)、HycamtinTM(トポテカン(topotecan)HCL)とキャンプトドシンとその類似体から誘導される他の化合物を含むキャンプトドシン(camptothecin)の化合物のようなトポイソトポイソメラーゼI(topoisomerase I)阻害剤;エトフォーシード(etoposide)、テニポーサイド(teniposide)、midozozoのようなポドフィロトキシン(podophyllotoxin)誘導体、アルキル化剤シスプラチン(alkylating agent cisplatin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、窒素マスタード(nitrogen mustard)、トリメチレンチオホスホルアミド(trimethylene thiophosphoramide)、カルムスチン(carmustine)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、briquetazine、ウラシルマスタード(uracil mustard)、クロプロペン及びダカルバジン(dacarbazine);シタラビン(cytarabine)、5-フルオロウラシル、メトトレキセート(methotrexate)、グアニジン(guanidine)、アザチオプリン(azathioprine)及びプロカルバジン(procarbazine)を含む抗代謝物;ドキソルビシン(doxorubicin)、ブルレオマイシン(bleomycin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、マイシンマイシン(mycinmycin)、マイトマイシン(mitomycin)、サルコマイシンC(sarkomericC)、及びダウノルビシン(daunorubicin)を含むがこれらに限定されない抗生素;及び抗腫瘍抗体、ダカルバジン(dacarbazine)、シチジン(cytidine)、amushakang、メルファラン(melphalan)、イソホスファミド(ifosfamide)及びミトキサントロン(mitoxantrone)を含むがこれらに限定されない他の治療薬を含む。ある実施形態において、前記他の治療薬は、エピルビシン、オキサリプラチン及び5フルオロウラシルの1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、前記他の治療剤は、抗VEGF抗体(ヒト化及びキメラ抗体、抗VEGFアプタマー(aptamer)及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide))を含む抗血管新生剤、及びアンジオスタチン(angiostatin)、エンドスタチン(endostatin)、インターフェロン、インターフェロン1(interferon 1)(α及びβを含む)、インターロイキン12(interleukin 12)、レチノイン酸(retinoic acid)、蛋白分解酵素-1(metalloproteinases-1)、蛋白分解酵素-2の組織阻害剤などの他の血管新生阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0195】
薬学的に許容可能なベクターまたはその成分の一部の物質の具体例として、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;トウモロコシの澱粉と馬鈴薯澱粉のような澱粉;カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、エチルセルロース(ethyl cellulose)、及びメチルセルロース(methyl cellulose)のようなセルロース及び誘導体;タラカントガムパウダー(tragacanth gum powder);麦芽;ゼラチン(gelatin)、タルク、ステアリン酸(stearic acid)とステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)のような固体潤滑剤;硫酸カルシウム(calcium sulfate)、ピーナッツ油、綿実油、ごま油、オリーブオイル、コーン油、及びココア油のような植物油;プロピレングリコール(propylene glycol)、グリセリン(glycerin)、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)のようなポリオール(polyols);アルギン酸(alginic acid)、ツイン・(Tween)のような乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)のような湿潤剤;着色剤、香味剤、圧縮錠剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リン酸緩衝液などがある。
【0196】
本明細書に記載の薬物組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な塩を含むことができる。「薬学的に許容可能な塩」は、母体化合物の望ましい生物学的活性を保持している不利な毒性効果を誘発しない塩を指す(例えば、Berge,S.M.,などのヒト1977,J.Pharm.Sci.66:1-19を参照)。このような塩の例として酸付加塩及び塩基付加塩を含む。
【0197】
酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などのような無毒の無機酸から誘導された塩、及び及び脂肪族モノカルボン酸(aliphatic monocarboxylic acids)、ジカルボン酸(dicarboxylic acid)、フェニル基によって置換されたアルカン酸(alkanoic acid)、ヒドロキシアルカン酸(hydroxyalkanoic acid)、芳香族酸、脂肪族及び芳香族硫酸などの無毒の有機酸から誘導された塩を含む。塩基付加塩は、アルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)から誘導された塩、及びN、N’-ジベンジルエチレンジアミン(N、N’-dibenzylethylenediamine)、N-メチルグルコサミン(N- methylglucosamine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コリン(choline)、ジエタノールアミン(diethanolamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、プロカイン(procaine)など無毒の有機アミンから誘導された塩を含む。
【0198】
本明細書に記載の薬物組成物は抗酸化剤をさらに含むことができる。抗酸化剤の実施例として、アスコルビン酸(ascorbic acid)、システイン塩酸塩(cysteine hydrochloride)、硫酸水素ナトリウム(sodium hydrogen sulfate)、メタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite)、亜硫酸ナトリウム(sodium sulfite)などの水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン(lecithin)、プロピルガレート(propyl gallate)、α-トコフェロール(alpha-tocopherol)などの油溶性酸化防止剤;とクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール(sorbitol)、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤を含むが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、必要に応じて、様々な剤形で製造することができ、患者の種類、年齢、体重及び一般的な疾患の状態、投与方式などの要素に応じて医師によって患者に有益な量を決定して投与することができる。投与方法は、例えば、非経口投与(例えば、注射)または他の治療の方法を使用することができる。
【0199】
免疫原性組成物の「非経口」投与としては、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)又は胸骨内注射又は注入技術を含む。
【0200】
個体に投与される免疫反応性細胞集団を含む製剤は、特定の適応症または疾患を治療及び/または予防するのに効果的な複数の免疫反応性細胞を含む。したがって、個体に免疫反応性細胞の治療に効果的な集団を使用することができる。通常、約1×10個乃至約1×1010個の免疫反応性細胞を含む製剤を投与する。ほとんどの場合において、製剤は、約1×10個から約1×10個の免疫反応性細胞、約5×10個乃至約5×10個の免疫反応性の細胞または約1×10個乃至約1×10個の免疫反応性の細胞を含む。しかし、癌の位置、出所、身分、程度、及び重症度、治療される個体の年齢及び身体状況に応じて、個体に投与されたCAR免疫反応性細胞の数は、広い範囲で変化するものである。医師は、最終的に使用するのに適切な容量を確定する。
【0201】
ある実施形態において、キメラ抗原受容体を使用して、免疫細胞によって媒介された免疫応答を刺激する。例えば、T細胞によって媒介された免疫応答は、T細胞によって活性化された免疫応答に関するものである。活性化された抗原特異性細胞傷害性T細胞は、表面において外因性抗原エピトープの標的細胞でアポトーシスの誘導を示すことができ、例えば、腫瘍抗原の癌細胞を示す。本発明の他の態様において、キメラ抗原受容体を使用して哺乳動物で抗腫瘍免疫を提供する。T細胞によって媒介された免疫応答のために、被験者の抗腫瘍免疫を生成する。
【0202】
ある場合において、癌を有する被験者を治療する方法は、本発明の1つまたは複数の本発明に記載の免疫応答細胞を治療が必要な対象に投与することに関することができる。前記免疫応答細胞は、腫瘍標的分子に結合して癌細胞死を誘導することができる。上述したように、本発明は、個体に治療有効量の本発明の免疫応答細胞を投与することを含む個体での病原体の感染を治療する方法を提供する。
【0203】
本発明の免疫反応性細胞の投与頻度は、治療される疾患の要素、特定の免疫反応性細胞のエレメント及び投与方式に従う。例えば、毎日、4番、3番、2番、または毎日1番投与、1日、3日、4日、5日、6日ごとに一回、1週間に一度、8日ごとに一回、9日ごとに一回、10日ごとに一回、1週間に一度または一ヶ月に2回投与する。本明細書に記載されるように、本願発明の免疫応答細胞は、改善された生存能力を有するので、似ているが、外因性I型インターフェロンを発現することないインターフェロンの免疫応答細胞とより低い治療有効量で投与することができるだけでなく、より低い頻度で投与することができ、少なくとも類似して、好ましくは、より顕著な治療効果を得る。
【0204】
ある実施形態において、組成物は、等張性であることができ、即ち、それらは、血液や涙液と同じ浸透圧を有することができる。本発明の組成物の好ましい等張性は、塩化ナトリウムまたはグルコース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機または有機溶質のような他の薬学的に許容可能な試薬を使用して達成することができる。必要であれば、組成物の粘度は、薬学的に許容可能な増粘剤を使用して、選択したレベルに維持される。適切な増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム(xanthan gum)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose)、カルボマー(carbomer)などを含む。増粘剤の望ましい濃度は、選択される試薬によって決定される。従って、適切なベクター及び他の添加剤の選択は、正確な投与経路及び液体製剤のような、特定の製剤の性質によって決定される。
【0205】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、核酸または免疫応答細胞を含むキットを提供した。ある実施形態において、キットは、有効量を含む1つまたは複数の単位剤形を含む本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、核酸または免疫応答細胞の治療または予防のための組成物を含むことができる。ある実施形態において、キットは、治療または予防性組成物を含有する無菌容器を含むことができ、これらの容器は、カートリッジ、アンプル(ampule)、ボトル、バイアル(vial)、チューブ、バッグ、ブリスターパック(blister pack)または当技術分野において公知の他の適切な容器の形態であることができる。これらの容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、または薬物を保持するのに適した他の材料で作られることができる。ある実施形態において、前記キットは、本明細書に記載抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、核酸または免疫応答の細胞、及び本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、核酸または免疫応答細胞を個体に投与するための説明書を含む。説明書は一般に、本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、核酸又は免疫応答細胞を用いて癌又は腫瘍を治療又は予防する方法を含む。ある実施形態において、キットは、本明細書に記載の宿主細胞を含み、約1×10個細胞乃至約1×10細胞を含むことができる。ある実施形態において、キットは、少なくとも約1×10個細胞、少なくとも約1×10個細胞、少なくとも約1×10個細胞、少なくとも約4×10個細胞、少なくとも約5×10個細胞、少なくとも約6×10個細胞、少なくとも約6×10個細胞、8×10個細胞、少なくとも約9×10個細胞、少なくとも約1×10個細胞、少なくとも約2×10個細胞、少なくとも約3×10個細胞、少なくとも約4×10個細胞、少なくとも約5×10個細胞、少なくとも約6×10個細胞、少なくとも約6×10個細胞、少なくとも約8×10個細胞、少なくとも約9×10個細胞、少なくとも約1×10個細胞、少なくとも約2×10個細胞、少なくとも約3×10個細胞、少なくとも約4×10個細胞、少なくとも約5×10個細胞、少なくとも約6×10個細胞、8×10個細胞、少なくとも約9×10個細胞、少なくとも約1×1010個細胞、少なくとも約2×1010個細胞、少なくとも約3×1010個細胞、少なくとも約4×1010個細胞、少なくとも約5×1010個細胞、少なくとも約6×1010個細胞、少なくともab乃至約9×1010個細胞、少なくとも約9×1010個細胞、少なくとも約1×1011個細胞、少なくとも約2×1011個細胞、少なくとも約3×1011個細胞、少なくとも約4×1011個細胞、少なくとも約5×1011個細胞、少なくとも約8×1011個細胞、少なくとも約9×1011細胞又は少なくとも約1×1012個細胞を含むことができる。例えば、キットに約5×1010個細胞が含まれることができる。他の具現例において、キットは、3×10個の細胞を含むことができる。細胞は、約5×1010細胞に増幅され、かつ被験体に投与することができる。
【0206】
ある実施形態において、キットは同種異系細胞を含むことができる。ある実施形態において、キットは、ゲノム修飾を含むことができる細胞を含むことができる。ある実施形態において、キットは、「既製」の細胞を含むことができる。ある実施形態において、キットは、臨床使用のために拡張させることができる細胞を含むことができる。ある場合において、キットは研究目的のためのコンテンツを含むことができる。
【0207】
ある実施形態において、説明書は、治療剤の説明;腫瘍またはその症状を治療または予防するための剤量の方案及び投与;予防措置、警告、禁忌症、過度の情報、副作用、動物薬理学、臨床研究及び/または引用文献のうち少なくとも1つを含む。説明書は、容器(ある場合)に直接印刷するか、又は容器のタグに直接印刷されたり、容器内または容器に別々に提供される紙、パンフレット、カード、またはファイルに印刷することができる。ある実施形態において、説明書は、腫瘍を治療または予防するための本発明の免疫応答細胞の投与方法を提供する。ある場合において、説明書は、化学治療剤の投与前、後、または同時に、本発明の免疫反応性細胞を投与する方法を提供した。
【0208】
他の態様において、本明細書は、前記細胞を本明細書に記載の抗原結合ユニット、本明細書に記載のキメラ抗原受容体、本明細書に記載の組成物、または本明細書に記載の宿主細胞と接触させることを含むクローディンタンパク質18A2ペプチドを含む細胞死を誘導する方法を提供した。ある実施形態において、前記接触は、インビトロ接触である。ある実施形態において、前記接触はインビボ接触である。
【0209】
ある実施形態において、前記細胞は腫瘍細胞である。ある実施形態において、前記細胞はは固形腫瘍の細胞である。ある実施形態において、前記細胞は、本明細書に記載の癌又は腫瘍の細胞である。このような細胞の具現例は、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性顆粒球-単球性白血病、急性単球性白血病、急性白血病、慢性白血病、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症)細胞、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)細胞、原発性マクログロブリン血症細胞、重鎖病細胞、肉腫及び癌細胞(例えば、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索種、内皮肉腫、リンパ管肉腫、血管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜vioma、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、癌、気管支癌、髄様癌、腎細胞癌、肝臓癌ん、胆管癌、絨毛癌、上皮種、胎児癌、新芽細胞腫、子宮頸がん、子宮がん、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体種、血管芽腫、聴神経種、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞、網膜芽細胞腫)のような固形腫瘍、食道癌細胞、胆嚢癌細胞、腎臓癌細胞、多発性骨髄腫細胞などを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記細胞は、胃癌細胞、食道癌細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、腎芽腫細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、結腸癌細胞、直腸癌細胞、肝癌細胞、頭頸部癌細胞、慢性骨髄性白血病細胞及び胆嚢癌細胞である。
【0210】
他の態様において、本明細書は、治療を必要とする固体の腫瘍を治療する方法を提供し、前記方法は、前記個体に有効量の本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、組成物、ベクターまたは宿主細胞を投与することを含む。
ある実施形態において、前記腫瘍は、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、神経膠細胞、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿道、尿管、尿道、子宮、膣器官から選択される腫瘍を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記腫瘍は、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性顆粒球-単球性白血病、急性単球性白血病、急性白血病、慢性白血病、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症)、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、原発性マクログロブリン血症、重鎖病、肉腫及び癌(例えば、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索種、内皮肉腫、リンパ管肉腫、血管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜vioma、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、癌、気管支癌、髄様癌、腎細胞癌、肝臓癌ん、胆管癌、絨毛癌、上皮種、胎児癌、新芽細胞腫、子宮頸がん、子宮がん、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体種、血管芽腫、聴神経種、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞、網膜芽細胞腫)のような固形腫瘍、食道癌、胆嚢癌、腎臓癌、多発性骨髄腫などを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記腫瘍は、胃癌、食道癌、大腸癌、膵臓癌、腎芽腫、肺癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、頭頸部癌、慢性骨髄性白血病または胆嚢癌である。
【0211】
ある実施形態において、免疫反応性細胞を被験体に投与することができ、ここで、投与可能な免疫反応性細胞は、約1乃至約35日齢であることができる。例えば、投与される細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は最大約40日齢であってもよい。CAR免疫反応性細胞の年齢は、刺激時から計算することができる。CAR免疫反応性細胞の年齢は刺激時間から計算することができる。免疫反応性細胞の年齢は、採血時間から計算することができる。免疫反応性細胞の年齢は、形質導入時間から計算することができる。ある実施形態において、被験者に投与することができる免疫反応性細胞は、約10日齢乃至約14日齢または約20日齢である。ある実施形態において、免疫反応性細胞の「年齢」は、テロメア(telomere)の長さによって決定されることができる。例えば、「若い」免疫反応細胞は、「枯渇された」または「古い」免疫反応性細胞よりも長いテロメアの長さを有することができる。特定の理論にこだわらず、免疫反応性細胞は、培養物で毎週約0.8kbの推定されたテロメアの長さを失ってしまい、若い免疫反応性細胞培養物は、約44日の免疫反応性細胞に比べて約1.4kbの長いテロメアを有すること考えることができる。特定の理論にこだわらず、人々は、より長いテロメアの長さは、患者の客観的臨床反応とインビボ細胞の持久性に関連することができると考えられる。
【0212】
移植前、後、及び/または移植期間に、細胞(例えば、人口細胞またはエンジニアドの一次T細胞)は、機能的であってもよい。例えば、移植された細胞は、移植後、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日または100日に作用することができる。移植細胞は、移植後、少なくとも約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月作用することができる。移植細胞は、移植後、少なくとも約1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、15年、20年、25年または30年間に作用することができる。ある実施形態において、移植細胞は、レシピエントの寿命期間中に作用することができる。
【0213】
なお、移植細胞は、その通常の予想機能の100%に作用することができる。移植細胞は、正常な予想機能の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または最大約100%の機能を発揮することができる。
【0214】
移植細胞は、その正常な予想機能より100%以上に作用することもできる。例えば、移植された細胞は、正常な機能の約110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%または最大約5000%の機能を引き起こすことができる。
【0215】
移植は、任意のタイプの移植によって行うことができる。局部は、肝臓の嚢下のスペース、脾嚢の下スペース、腎嚢の下スペース、網膜、胃または腸粘膜下層、小腸の血管セグメント、静脈嚢、睾丸、脳、脾臓または角膜を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、移植は、嚢下移植であってもよい。移植は、筋肉内移植であってもよい。移植は門脈移植であってもよい。
【0216】
1つまたは複数の野生型の細胞がレシピエントに移植された場合に比べて、本発明の免疫応答細胞の治療を使用した後、移植拒絶反応を改善することができる。例えば、移植拒否は、超急性拒絶反応であってもよい。移植拒否は、急性拒絶反応であってもよい。他のタイプの拒絶は、慢性拒絶反応を含むことができる。移植拒絶は、細胞によって媒介された拒絶反応またはT細胞によって媒介された拒絶反応であってもよい。移植拒絶はナチュラルキラー細胞によって媒介された媒介反応であってもよい。
【0217】
移植の改善は、超急性拒絶反応を減少させることを意味することができ、副作用または症状を減少、軽減させたり、減らすことを含むことができる。移植は、細胞生成物の養子移植を指すことができる。
【0218】
成功移植の他の現象は、レシピエントが、免疫抑制治療を必要としない日数であってもよい。例えば、本発明の免疫応答細胞を提供した後、レシピエントは、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはより多い日数の免疫抑制治療を必要としないことができる。これは、成功した移植を示すことができる。これは、移植された細胞、組織及び/または器官の拒絶がないことを示すこともできる。
【0219】
ある場合において、レシピエント、少なくとも1日間免疫抑制治療を必要としない。レシピエント、少なくとも7日間免疫抑制治療を必要としないこともできる。レシピエントは、少なくとも14日間免疫抑制治療を必要としない。レシピエントは、少なくとも21日間免疫抑制治療を必要としない。レシピエントは、少なくとも28日間に免疫抑制治療を必要としない。レシピエントは、少なくとも60日間免疫抑制治療を必要としない。なお、レシピエントは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年またはより長い年の間に免疫抑制治療を必要としないことができる。
【0220】
成功移植の他の現象は、レシピエントが免疫抑制治療必要とする日数を減少することができる。例えば、本文に提供された前記治療の後、レシピエントは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはより長い日の間の減少された免疫抑制治療を必要とすることができる。これは、成功した移植を示すことができる。これは、移植された細胞、組織及び/または器官の拒絶がないか非常に小さい拒絶が起こることを示すこともできる。
【0221】
例えば、レシピエントは、少なくとも1日間の減少された免疫抑制治療を必要とすることができる。レシピエントは、少なくとも7日間の減少された免疫抑制治療を必要とすることもできる。レシピエントは、少なくとも14日間の減少された免疫抑制治療を必要とすることができる。レシピエントは、少なくとも21日間の減少された免疫抑制治療を必要とする。レシピエントは、少なくとも28日間の減少された免疫抑制治療を必要とする。レシピエントは、少なくとも60日間の減少された免疫抑制治療を必要とする。なお、レシピエントは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年またはより長い年の減少された免疫抑制治療を必要とすることができる。
【0222】
減少された免疫抑制療法は、1つまたは複数の野生型細胞をレシピエントに移植する際に必要な免疫抑制治療と比較して、少ない免疫抑制治療を意味することができる。
【0223】
免疫抑制治療は、免疫系を阻害する任意の治療を含むことができる。免疫抑制治療は、患者の移植拒絶反応を緩和、減少または除去するのに役立つことができる。例えば、免疫抑制剤は、移植前、移植中及び/または後に使用することができ、MMF(ミコフェノール酸モペチル(Mycophenolate mofetil)(Cellcept))、ATG(抗胸腺細胞グロブリン)、抗-CD154(CD4OL )、抗-CD40(2C10)、免疫抑制剤、抗-IL-6R抗体(tocilizumab、Actemra)、抗-IL-6抗体(sarilumab、olokizumab)、CTLA4-Ig(Abatacept/Orencia)、抗-IL-6抗体(ASKP1240、CCFZ533X2201)、アンフェタミン(amphetamine)(Campath)、抗CD20(リツキシマブ(rituximab))、ベバシズマブ(bevacizumab)(LEA29Y)、シロリムス(sirolimus)(Rapimune)、エベロリムス(everolimus)、タクロリムス(tacrolimus)(Prograf)、ダクリズマブ(daclizumab)(Ze-napax)、バシリキシマブ(Basiliximab)(Similect)、インプルリクシメプ(Infliximab)(Remicade)、シクロスポリン(cyclosporin)、ジゴキシゲニン(deoxygenin)、可用性補体受容体1、コブラ毒(cobra venom)、抗C5抗体(eculizumab/Soliris)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、FTY720、エベロリムス、レフルノミド(leflunomi de)、抗IL-2R-Ab、ラパマイシン(rapamycin)、抗CXCR3抗体、抗ICOS抗体、抗OX40抗体及びCD122抗体を含む。なお、1つまたは複数の免疫抑制剤/薬物を一緒に又は順次に使用することができる。1つまたは複数の免疫抑制剤/薬物治療を治療を誘導するため又は治療を維持するために使用することができる。誘導と維持のステップで、同一または異なる薬物を使用することができる。ある場合において、daclizumab(Zenapax)は、治療誘導に使用することができ、タクロリムス(Prograf)とラパマイシン(Rapimune)は、治療の維持に使用することができる。非薬物案を使用して、免疫抑制を達成することができ、全身の調査、胸腺調査と全部及び/または部分的脾臓切除術を含むが、これらに限定されない。これらの技術は、1つまたは複数の免疫抑制剤と組み合わせて使用することもできる。
【0224】
ある実施形態において、本明細書に記載の抗原結合ユニット、キメラ抗原受容体、組成物、ベクターまたは宿主細胞は、他の治療剤とを組み合わせて投与することができる。ある実施形態において、前記他の治療剤は、化学治療剤であり、例えば、US20140271820に記載されたようなものである。本発明の免疫応答細胞と組み合わせて適用することができる化学療法薬として、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ノビビン(novibin)(TM)(ビノレルビン、5’-ジヒドロ硫化水素を含む有糸分裂阻害剤(ビンカアルカロイド);CamptosarTM(イリノテカンHCL)、HycamtinTM(トポテカンHCL)とキャンプトドシンとその類似体から誘導される他の化合物を含むキャンプトドシンの化合物のようなトポイソトポイソメラーゼI阻害剤;エトフォーシード、テニポーサイド、midozozoのようなポドフィロトキシン誘導体、アルキル化剤シスプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、トリメチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ブスルファン、クロラムブシル、briquetazine、ウラシルマスタード、クロプロペン及びダカルバジン;シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、グアニジン、アザチオプリン及びプロカルバジンを含む抗代謝物;ドキソルビシン、ブルレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、マイシンマイシン、マイトマイシン、サルコマイシンC及びダウノルビシンを含むが、これらに限定されない抗生素;及び抗腫瘍抗体、ダカルバジン、シチジン、amushakang、メルファラン、イソホスファミド及びミトキサントロンを含むがこれに限定されない他の治療薬を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記別途の治療薬は、エピルビシン、オキサリプラチン及び5フルオロウラシルの1つまたは複数1つまたは複数から選択される。
【0225】
ある実施形態において、本発明の免疫応答細胞と組み合わせて適用することができる化学療法薬として、抗VEGF抗体(ヒト化抗体及びキメラ抗体、抗VEGFアプタマー及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)を含む抗血管新生剤、及びアンジオスタチン、エンドスタチン、インターフェロン、インターフェロン1(α及びβを含む)、インターロイキン12、レチノイン酸、蛋白分解酵素-1-1と蛋白分解酵素-2の組織阻害剤を含む他の血管新生阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0226】
実施例
次に、具体的な実施例に結びつけて、本発明をより説明する。これらの実施例は、単に本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではないことを理解すべきだ。下記の実施例では、具体的な条件を明示していない実験方法は、通常J.Sambrookなど編著、分子クローン実験手順、第3版、科学出版社、2002年に記述された条件またはメーカーから提案する条件のような通常の条件に従う。
本発明の以下の実施例において、前記抗原に結合された受容体またはCARを構築する場合、CD28共刺激信号のドメインを28と略称し、CD3ζをZと略称し、4-1BBまたはCD137をBBと略称する。例えば、コードが8E5-2IのscFvとCD3ζ及びCD28共刺激信号のドメインを細胞内シグナルドメインにして構築されたキメラ抗原受容体を8E5-2I-28Zに表示することができる。異なる抗原のCARの構築は、すべてこれと同じである。
【0227】
実施例1.CLD18A2に対するマウス抗体の産生及び特徴付け
標準生物学的方案を用いて抗体フラグメントを得た。簡単に言えば、ヒトCLD18A2全長配列(NCBI Reference Sequence:nM_001002026.2)の真核発現ベクターの免疫8週齢のBalb/cマウスを使用した。免疫した後のマウスの脾臓を摘出し、当該技術分野における通常の生物学的方案を用いてモノクローナル抗体を得た。
【0228】
フローサイトメトリー分析によって、単一の細胞から抗CLD18A2モノクローナル抗体を選別し、ヒトCLD18A2を安定的に発現したHEK293細胞(HEK-CLD18A2)で、Guava easyCyteTMHTSystem器機を使用して、フローサイトメトリー分析評価によって初歩的に選別した後、再びフローサイトメトリーの数によって抗体とヒトCLD18A1とCLD18A2形質変化体との結合を比較した。使用された器機はGuava easyCyteTMHTSystemである。
【0229】
ハイブリドーマの複数回の製造及び選別を経て、比較的理想的な結合特性を有するいくつかの抗体を見出した。図1Bは、フローサイトメトリー分析によって測定されたハイブリドーマ(hybridoma)上清液2B1、3E12、4A11と8E5とヒトCLD18A2とCLD18A1細胞に安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞の結合具現例を示す。図1Bに示すように、2回のサブクローニング後、ほとんどの抗体2B1、3E12、4A11、8E5サブクローンは、ヒトCLD18A2に特異的に結合したがCLD18A1に結合せず、平均蛍光強度は、5倍以上の差異がある。
【0230】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株を培養し、TRIzol(登録商標)Plus RNA Purification kit(Invitrogen社、12183-555)説明書に従って、細胞沈澱から総RNAを抽出した。総RNAを鋳型として、High capacity RNA to cDNA kit(Invitrogen社、4387406)を使用して、説明書に基づいて逆転写してcDNAを合成した。cDNAを鋳型として、5’-Full RACE kit(TAKARA、D315)で、抗体の不変領域プライマーを使用して増幅させた。PCR生成物を1.5%のアガロースゲル電気泳動で分離した後、精製してDNAフラグメントを回収し、シーケンスの後の結果は、下記のようである。
【0231】
【0232】
抗体配列を比較し、結果は、図2に示されたようである。
実施例2.抗クラウディン18A2 scFv_Fc融合抗体の構築及び真核細胞におけるその一過性発現
それぞれ2B1、8E5のVHとVLフラグメントに対して、柔軟なアミノ酸GGGGSGGGGSGGGGS(SEQ ID NO:93)をlinkerとして導入してscFvを構成し、VH上流に適した酵素切断サイトと保護塩基を導入し、VLの下流に適した酵素切断サイトと保護塩基を導入し、酵素切断後の真核発現ベクターを連結して入れる(CN101602808で使用されたベクターpHまたはベクターpKを参照)。293fectinTMTransfection reagent(Invitrogen社、12347-019)を使用して一時的トランスフェクションを行い、上清液を収集して培養し、アフィニティー精製し、SDS PAGEを介して得られた抗体について定量的及び定性的分析を行った。
【0233】
フローサイトメトリー分析を介して抗クローディンタンパク質18A2 scFv_Fc融合抗体とCLD18A2が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞の結合を測定した。実施例1を参照して、Guava easyCyteTM HTSystem機器を使用して、GraphPad Prismで実験データを解析して、EC50を得た。図3は、モノクローナル抗体2B1、8E5のScFvがヒトIgG1 Fcと部分的に融合された後、ヒトCLD18A2が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞との相対結合親和性を示す。2B1のEC50値は、3.56nMであり、8E5のEC50値は、49.19nMであることが分かる。
【0234】
実施例3.抗クローディンタンパク質18A2抗体の変異体の生産と製造
ブリッジPCRの方法を採用して、抗体2B1に対して部位特異的突然変異を実行し、抗体2B1の重鎖で52号のサイトまたは54号サイト(Nグリコシル化サイト)を突然変異させて、2つの2B1の突然変異体2B1-N52D(VHアミノ酸配列:SEQ ID NO:17、ヌクレオチド配列:SEQ ID NO:18)と2B1-S54A(VHアミノ酸配列:SEQ ID NO:19、ヌクレオチド配列:SEQ ID NO:20)を製造した。
【0235】
2B1-N52D及び2B1-S54Aの軽鎖のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、2B1の対応する配列と同じである。
【0236】
実施例2を参照して、この2つの突然変異体のScFv_Fc形態の発現ベクターを構築し、実施例2の操作、実施例1の操作を参照して、Guava easyCyteTMHTSystem器機で、GraphPad Prismを使用して実験データを解析して、EC50を得た。
【0237】
結果は、図4に示されたようであり、2B1-N52Dと2B1-S54AのScFvがヒトIgG1 Fcと部分的に融合された後、ヒトCLD18A2が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞と相対結合親和性を示す。2B1-N52DのEC50値は、6.11nMであり、2B1-S54AのEC50値は、3.85nMであることが分かる。
【0238】
実施例4.2B1-S54Aのヒト化抗体の生産と製造
Kabat、Chothia及びIMGTの3つの抗体CDRs領域の命名方案を総合して、抗体軽鎖と重鎖の6つのCDRs領域の配列を決定した。配列類似性を比較して、2B1-S54Aとの類似性が最も高い抗体を選択して、抗体鋳型とし、本実施例では、IMGTデータライブラリからIGHV1-46*01を選択して、hu2B1-S54A重鎖の抗体鋳型とした。IGKV4-1*01をhu2B1-S54A軽鎖の抗体鋳型とした。2B1-S54Aの軽鎖と重鎖CDR領域を抗体鋳型のCDR領域で置換した。
【0239】
突然変異が回復されたサイトを決定:(1)よく設計されたヒト化抗体を出発抗体と比較して、抗体のフレームワーク(framework)領域のあるアミノ酸が異なかるを検査する。(2)これらの異なるアミノ酸が抗体のloop構造を支持するアミノ酸または軽鎖と重鎖可変領域の結合に影響を与えるアミノ酸であるかどうかを確認して、そのようなアミノ酸であれば、これらの領域は、相対的に保守的領域である。(3)ヒト化抗体の一部の潜在的な翻訳後に修飾されるサイトあるかどうかを検査し、例えば、脱アミド化サイト(Asn-Gly)、異性化サイト(Asp-Gly)、表面露出したメチオニン、Nグリコシル化サイト(Asn-X-Ser/Thr、Xはプロリンではない)である。(4)ヒト化抗体(hu2B1-S54A)において重鎖は、6つの潜在的な突然変異を回復させるサイトがあり、それぞれM48I、V68A、M70L、R72A、T74K、T91Sである。ヒト化抗体(hu2B1-S54A)において、軽鎖は1つの潜在的な突然変異を回復させるサイトがあり、L84Vである。
【0240】
ヒト化抗体の発現と精製:(1)ヒト化抗体(hu2B1-S54A)のアミノ酸配列に基づいて、ヌクレオチド配列を設計して合成した。軽鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:62)を合成し、重鎖ヌクレオチド配列(SEQ ID NO:60)を合成した。(2)シグナルペプチド、抗体の可変領域、定常領域を含む合成抗体ヌクレオチド配列を哺乳動物細胞発現ベクターに挿入し、それぞれ重鎖及び軽鎖を含む抗体発現ベクターを構築し、配列測定及び同定する。
【0241】
hu2B1-S54Aの重鎖アミノ酸配列は、SEQ ID NO:59に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:60に示されるようである。hu2B1-S54A軽鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:61に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:62に示されるようである。hu2B1-S54A重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:24に示されたようであり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:21に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:22に示されるようである。
【0242】
293Fectinを通じて293F細胞に一時的にトランスフェクションさせて、hu2B1-S54AのHCDR及びLCDRと同じ配列を発現させた。
実施例2に記載された結合活性の測定を参照して、ヒトCLD18A2が安定的に発現されたHEK293細胞(HEK-CLD18A2)で、Guava easyCyteTMHTSystem機器を使用して、GraphPad Prismで実験データを解析して、EC50を得た、結果は図5に示されたようであり、hu2B1-S54AのscFvが、ヒトIgG1 Fcと部分的に融合された後、ヒトCLD18A2が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞との相対結合親和性EC50値は、18.59nMであることを説明し、hu2B1-S54AがHEK-CLD18A2とも優れた結合があることを説明する。
【0243】
実施例5.モノクローナル抗体8E5のヒト化抗体の製造及び最適化
実施例4の操作を参照して、8E5についてヒト化し、同時にS62Aの突然変異によって、モノクローナル抗体8E5のNグリコシル化サイトを削除して、ヒト化抗体hu8E5(またはhu8E5-S62A)を得た。具体的な方法は、下記のようである。
(1)IGHV4-30*03を選択して、8E5重鎖の抗体鋳型とし、IGKV4-1*01を選択して、8E5軽鎖の抗体鋳型とした。8E5抗体の軽鎖または重鎖CDR領域を抗体鋳型のCDR領域で置換した。
(2)突然変異を回復させるサイトを確定し、ヒト化抗体(hu8E5)の重鎖は、6つの潜在的な突然変異を回復させるのサイトがあり、それぞれG27Y、G45K、L46M、I49M、V68I、V72R、A97Tある。ヒト化抗体(hu8E5)の軽鎖は、1つの潜在的な突然変異を回復させるサイトがあり、L84Vある。
(3)ヒト化抗体hu8E5のアミノ酸配列に基づいてヌクレオチド配列を設計し、軽鎖ヌクレオチド配列、重鎖ヌクレオチド配列を合成した。
hu8E5-S62Aの重鎖アミノ酸配列は、SEQ ID NO:67に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:68に示されたようである。hu8E5-S62Aの軽鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:65に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:66に示されたようである。hu8E5-S62Aの重鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:27に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:28に示されたようであり、hu8E5-S62Aの軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:26に示されたようであり、hu8E5-S62AのHCDR2は、8E5とは異なり、その配列は、SEQ ID NO:85に示されたようであり、その他のHCDR及びLCDRは8E5と同じである。
(4)シグナルペプチド、抗体の可変領域、定常領域を含む合成抗体ヌクレオチド配列を哺乳動物細胞発現ベクターに挿入して、それぞれ重鎖及び軽鎖を含む抗体発現ベクターを構築し、配列測定及び同定する。293Fectinを通じて293F細胞に一時的にトランスフェクションさせて発現させた。
(5)結合活性を測定し、ヒトCLD18A2が安定的に発現されたHEK293細胞(HEK-CLD18A2)で、Guava easyCyteTMHTSystem機器を使用して、GraphPad Prismで実験データを解析し、結果は図6に示されたようであり、hu8E5のscFvが、ヒトIgG1 Fcと部分的に融合された後、ヒトCLD18A2が安定的に発現されたHEK293細胞との相対結合親和性は、107nMであることを示した。
【0244】
Discovery studioソフトウェアでhu8E5の3Dモデルを確立し、潜在的な凝集サイトを分析して、重鎖の第12番の部位と第93番の部位のプロリンが抗体の凝集を起こす傾向があり、抗体の安定性に影響を与えることを発見した。点突然変異分析を通じて、この2つサイトが、Iに変異されて抗体がより安定である。モレキュラーシーブの結果によると、この2つのサイトがI(hu8E5-2I)に突然変異された後、scFv_Fc融合抗体で単量体型の割合が元来の74%(hu8E5)から87%(hu8E5-2I)に向上されたことを示した。
【0245】
hu8E5-2Iの重鎖アミノ酸配列は、SEQ ID NO:63に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:64に示されたようである。hu8E5-2I軽鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:65に示されたようであり、ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:66に示されたようである。hu8E5-2Iの中のHCDR2は、8E5とは異なるが、hu8E5と同じであり、その配列は、SEQ ID NO:85に示されたようであり、その他のHCDR及びLCDRは8E5と同じである。
【0246】
実施例3に記載されたヒト化抗体hu8E5の突然変異体hu8E5-2Iの構築を参照する。ヒトCLD18A2が安定的に発現されたHEK293細胞(HEK-CLD18A2)で、Guava easyCyteTM HT System機器を使用して、GraphPad Prismで実験データを解析し、結果は、図7に示されたようであり、hu8E5-2IのscFvがヒトIgG1 Fcと部分的に融合された後、ヒトCLD18A2が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞との相対結合親和性を示し、そのEC50値は9.22 nMである。突然変異体hu8E5-2Iは、親抗体8E5と比較して、親和性が5倍向上した。
【0247】
実施例6.ヒト化抗体hu2B1-S54A及びヒト化抗体hu8E5-2Iのインビトロ機能の実験及びインビボ機能の実験
当業者に公知された標準的な方法により、ヒト化抗体hu2B1-S54A(軽鎖配列:SEQ ID NO:62、重鎖配列:SEQ ID NO:60);ヒト化抗体hu8E5-2I(軽鎖配列:SEQ ID NO:66、重鎖配列:SEQ ID NO:64)を真核発現ベクターにクローンした。293fectinTM Transfection reagent(Invitrogen社、12347-019)を採用して、対数生長期の293F細胞を一時的にトランスフェクションさせ、培養上清液を収集し、アフィニティー精製した。得られた抗体をSDS PAGEにより定量的及び定性的に分析した。前記真核発現ベクターは、CN101602808Bに採用されたベクターpHまたはベクターpKを採用した。
【0248】
1、補体の組成、細胞傷害性(CDC)
健康なボランティアから採血し、遠心分離して血清を製造した。CCK-8細胞の増殖-毒性検出キット(Dojindo、#CK04)を使用した。CLD18A2またはCLD18A1が安定的にトランスフェクションされたHEK293細胞を標的細胞とした。細胞を2回洗浄し、完全培地に1×105細胞/mlの密度で再浮遊させた。各ウェルに100μlで96ウェル培養プレートに接種し、37℃で一晩培養した。2日目に、各ウェルに20μg/mlの濃度の抗体を入れた。37℃で30分間インキュベートした。その後、最終濃度10%の血清を入れ、37℃で1.5時間インキュベートした。10μlのCCK-8溶液を各ウェルに入れ、37℃で3.5時間インキュベートし(場合によって調整する)、マイクロプレートリーダーで450nmでの吸光度を測定した。実験は、6つのグループに分け、ウェルを重複設定し、具体的なグループは、下記のようである。
【0249】
【0250】
溶解パ-セントは、次のように計算する。
溶解パ-セント=(細胞対照ウェル-実験ウェル)/細胞対照ウェル-(細胞対照ウェル-抗体対照ウェル)/細胞対照ウェル。
図8Aは、CLD18A2がトランスフェクションされたHEK293細胞にたいするヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2I及びキメラ抗体ch-163E12のCDC結果を比較したものである。結果によると、hu2B1-S54A、hu8E5-2Iは抗体濃度が20μg/mlであるとき、HEK293-CLD18A2に対するCDC効果がそれぞれ79.88%と82.65%であり、ch-163E12は、同じ反応条件下でのCDC効果は55%より低い。図8Bは、ヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2Iとキメラ抗体ch-163E12がCLD18A1がトランスフェクションされたHEK293細胞を比較したCDCの結果であり、実験結果によると、ch-163E12は18A1を発現させた細胞に対して一定の殺傷作用もあり、hu2B1-S54A、hu8E5-2Iは、18A1を発現した細胞に対して殺傷作用がなかった。
【0251】
2、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性
cytoTox 96非放射性活性の細胞傷害性測定キット(Promega,Madison,USA)を使用して、乳酸脱水素酵素(LDH)の放出を測定によって、ヒト化抗体クローディンタンパク質18A2抗体のADCC活性を測定した。標準Ficoll-paque分離によって、クエン酸化された全血からヒト末梢血単核細胞(PBMC)を精製し、10%のウシ胎児血清(FBS,Gibco)を含有した完全培地(RPMI-1640培地(Gibco)に再浮遊させ、密度は8×10細胞/mlである。CLD18A2が安定的にトランスフェクションHEK293細胞を標的細胞と使用した。細胞を2回洗浄し、完全培地に2×10細胞/mlの密度で再浮遊させた。PBMCを20μg/mlの最終濃度の抗体と37℃で30分間インキュベートし、その後、50:1、20:1、10:1の感染多重度で、50μlの抗体と効果細胞50μlを標的細胞(総1×10標的細胞)を入れた。37℃で4時間培養した後、細胞を遠心分離させ、50μlの無細胞上清液のサンプルを収集し、平底の96ウェルプレートに移して測定した。下記のように溶解パ-セントを計算した:(サンプルの放出-標的自発放出-フェクター細胞自発放出)/(最大放出-標的自発放出)*100、ここで標的自発放出は、標的細胞のウェルの蛍光だけ含み、効果細胞の自発放出は、効果細胞のウェルの蛍光自発含み、最大放出は、溶解緩衝液で処理された細胞のウェルの蛍光を含む。
【0252】
図9は、ヒト化抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2Iと知られているキメラ抗体ch-163E12とch-175D10(CN103509110Aを参照)のADCC結果を比較したものである。実験結果によると、ヒト抗体hu2B1-S54A、hu8E5-2Iは、抗体濃度は20μg/mlのであり、感染多重度が50:1、20:1及び10:1であるとき、そのADCC効果は、ch-175D10とch-163E12より有意に優れ、感染多重度50:1の場合、HEK293-CLD18A2に対するADCC効果は、それぞれ62.84%と72.88%である。しかし、ch-163E12及びch-175D10は、同じ条件の下で、HEK293-CLD18A2のADCC効果は33.39%と43.74%だけであり、本発明の抗体は、ch-163E12及びch-175D10より有意に優れた破壊作用を備えてている。
【0253】
3、マウス体内実験
胃癌PDXモデル確立:約3mM×3mM×3mMサイズの腫瘍をBALB/cヌードマウスの右脇皮下に接種した。腫瘍細胞接種日付をD0日として記録し、腫瘍接種D27日に腫瘍体積を測定し、ランダムに5グループに分ける。具体的なグループは、下記のようである:(1)PBS(リン酸緩衝液)、対照群、(2)hu8E5-2I抗体治療群(40mg/kg)、(3)EOF治療群(Eは、エピルビシン:1.25mg/kg、Oは、オキサリプラチン:3.25mg/kg、F、は、5-フルオロウラシル:56.25mg/kg)+PBS、(4)hu8E5-2I抗体(40mg/kg)+EOF治療群(1.25mg/kgエピルビシン+3.25mg/kgオキサリプラチン+56.25mg/kg5-フルオロウラシル)、(5)ch175D10抗体(40mg/kg)+EOF治療群(1.25mg/kgエピルビシン+3.25mg/kgオキサリプラチン+56.25mg/kg5-フルオロウラシル)である。投与量:EOFを週間に1回投与し、連続2週間投与し、hu8E5-2I及びch175D10抗体を毎週それぞれ3回投与し、2週間投与する。
【0254】
結果は、図10に示されたようであり、腫瘍接種D56日にEOFを2回注射し、抗体を6回注射して、マウスを頸椎脱臼により犠牲させた。PBS対照群に比べ、腫瘍抑制率は、それぞれに、hu8E5-2Iモノクローナル抗体群は21.13%であり、EOF+PBS治療群は47.89%であり、EOF+mAb hu8E5-2I治療群は81.69%であり、EOF+mAb 175D10治療群は71.83%ある。腫瘍の重量の測定の観点から、EOF+mAb hu8E5-2I群は、EOF+PBS群に比べP=0.033であり、統計学的に差があるが、EOF+mAb 175D10治療群はEOF+PBS群と比較して、P=0.097であり、統計学的差がない。
【0255】
実施例7.ヒト化抗体キメラ抗原受容体プラスミド(CARプラスミド)の構築
1.ヒト化抗体hu8E5キメラ抗原受容体プラスミドの構築
PRRLSIN-cPPT.EF-1αをベクターとして、PRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-28Z、PRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-BBZ及びPRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-28BBZを含む、ヒト化抗体hu8E5の第2及び第3世代のキメラ抗原受容体を発現するレンチウイルスプラスミドを構築した。
【0256】
Hu8E5-28Zは、主に(5’末端から3’末端へ順次に配列される):CD8αシグナルペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5 scFV(VH:SEQ ID NO:27、VL:SEQ ID NO:25、Linker:SEQ ID NO:93))、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)、CD28膜貫通領域(SEQ ID NO:74)と細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:76)、及びCD3の細胞内セグメント、CD3ξ(SEQ ID NO:78)のコード配列を含む。
【0257】
hu8E5-BBZは、主に(5’末端から3’末端へ順次に配列される)CD8αシグナルペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5 scFV(VH:SEQ ID NO:27,VL:SEQ ID NO:25,Linker:SEQ ID NO:93)、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)とCD8膜貫通領域(SEQ ID NO:80)、CD137の細胞内セグメント伝達ドメイン(SEQ ID NO:82)及びCD3ξ( SEQ ID NO:78)のコード配列を含む。
【0258】
hu8E5-BBZは、主に(5’末端から3’末端へ順次に配列される)CD8αシグナルペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5-scFV、CD8 hinge (SEQ ID NO:72)、CD8膜貫通領域(SEQ ID NO:74)と細胞内セグメント(SEQ ID NO:76)、CD137の細胞内セグメント伝達ドメイン(SEQ ID NO:82)及びCD3ξ( SEQ ID NO:78)のコード配列を含む。
【0259】
2.ヒト化抗体hu8E5-2Iキメラ抗原受容体プラスミドの構築
PRRLSIN-cPPT.EF-1αをベクトルとして、ヒト化抗体hu8E5-2Iの第2世代のキメラ抗原受容体を発現するレンチウイルスプラスミドPRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-2I-28Zを構築した。
【0260】
hu8E5-2I-28Zは、主に(5’末端から3’末端へ順次に配列される):CD8α信号ペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5-2I scFV(VH:SEQ ID NO:29、VL:SEQ ID NO:25、Linker:SEQ ID NO:93)、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)、CD28膜貫通領域(SEQID NO:74)と細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:76)及びCD3の細胞内シグナル伝達ドメインCD3ξ(SEQ ID NO:78)のコード配列を含む。
【0261】
3.ヒト化抗体hu2B1-S54Aキメラ抗原受容体プラスミドの構築
PRRLSIN-cPPT.EF-1αをベクトルとして、ヒト化抗体hu2B1-S54Aの第2世代のキメラ抗原受容体を発現するレンチウイルスプラスミドPRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu2B1-S54A-28Zを構築した。
【0262】
hu2B1-S54A-28Zは、主に(5’末端から3’末端へ順次に配列される):CD8α信号ペプチド(SEQ ID NO:70)、hu2B1-S54A scFV(VH:SEQ ID NO:23;VL:SEQ ID NO:21;Linker:SEQ ID NO:93)、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)、CD28膜貫通領域(SEQID NO:74)と細胞内領域(SEQ ID NO:76)及びCD3の細胞内セグメントCD3Z(SEQ ID NO:78)のコード配列を含む。
【0263】
実施例8.レンチウイルスパッケージング及び力価測定
5×10のウイルス密度で6~10世代まで培養された293T細胞を10cmの培養皿に接種し、37℃、5%のCOの条件下で一晩培養してトランスフェクションとして使用し、培地は10%のウシ胎児血清(Gibico)を含有したDMEMである。
【0264】
目的の遺伝子プラスミドPRRLSIN-cPPT.EF-1α-EGFP(Mock)及び実施例9で製造された5.4μgの異なるCARプラスミドと6.2μgのパッケージングプラスミドpRsv-REV、6.2μgのRRE-PMDLg、2.4μgのVsvgを800μLのブラックDMEM培養液に入れ、60μgのPEI(1μg/μl)を800μlの無血清DMEM培養液に溶解させ、均一に混合して、室温で5分間インキュベーターした。
【0265】
プラスミド混合液をPEI混合液に入れて均一に混合し、室温で20分間インキュベーターしてトランスフェクション複合体を形成し、1.6mlのトランスフェクション複合体を11mlのDMEM培地を含有した10cmの培養皿に滴下して、4~5時間後、培養皿された293T細胞を、10%のFBSのDMEM培地で液体を変え、37℃で72時間インキュベーターして、ウイルス液上清を収集し、濃縮させて力価を測定し、陽性率が5~20%である細胞数が好ましく、力価(U/mL)=細胞数×陽性率/ウイルス体積を計算する。
【0266】
濃縮させた後、ウイルス力価は、それぞれは、
hu8E5-28Z:2.3×10U/ml、
hu8E5-BBZ:6.65×10/ml、
hu8E5-28BBZ:6.67×10/ml、
hu8E5-2I-28Z:1.54×10U/ml、
hu2B1-S54A-28Z:1.14×10U/mlである。
【0267】
実施例9.レンチウイルス形質導入Tリンパ球及びCAR-T細胞の細胞傷害性の測定
1.レンチウイルスにより感染されたTリンパ球
(1)約1×10/mLの密度でリンパ球培養液を入れて培養し、磁気ビーズ:細胞比例が1:1に従って添加すると同時に、抗CD3及びCD28抗体でコーティングされた磁気ビーズ(Invitrogen)と最終濃度が300U/mLである組換えヒトIL-2で刺激し、48時間培養し、
(2)Retronectinで24ウェルプレートをコーティング:各ウェルに380μlの5μg/mlのretronectin溶液(PBS)を入れ、4℃温度で一晩インキュベーターした後、24ウェルプレートのretronectin溶液(PBS)を捨て、1mlのPBSで2回洗浄し、
(3)細胞をretronectinでコーティングされた24ウェルプレート内に接種し、各ウェルの細胞数は、3×10であり、培養液体積は600μlであり、MOI=10に基づいてPBMCs細胞に濃縮させた後のレンチウイルスを入れ、32℃で40分間遠心分離した後、細胞インキュベーターに移し、
(4)増幅培養:感染された後の細胞を一日置きに5×10/mLの密度で継代するとともに、リンパ球培養液に最終濃度が300U/mLである組換えヒトIL-2を追加した。
【0268】
2、Tリンパ球キメラ抗原受容体の発現
(1)レンチウイルスによって感染されたTリンパ球は、培養7日目に1×10のT細胞を取り、2mlの遠心管に2等分に分けて入れ、4℃、5000rpmの条件の下で5分間遠心分離し、上清液を捨て、PBSで2回洗浄した。
(2)対照群の細胞に50μlのPE-SA(1:200で希釈)抗体を入れ、氷で45分間培養し、PBS(2%NBS)で2回洗浄し、再浮遊した後の対照とし、検出群細胞+50μl且つ1:50で希釈されたbiotin-Goat anti human IgG、F、(ab’)2抗体を氷で45分間培養し、PBS(2%NBS)で2回洗浄した。
(3)50μlPE-SA(1:200希釈)抗体を入れ、氷で45分間群し、2mlのPBS(2%NBS)を入れて細胞を再浮遊し、遠心分離後、上清液を捨てた。
(4)フローサイトメトリーでCAR陽性のT細胞比率を検出した。hu8E5-28Z、hu8E5-BBZ及びhu8E5-28BBZである3つのCAR T細胞及びMock対照細胞の感染陽性率は、それぞれ52.1%、47.8%、44.6%及び71.7%である。
【0269】
3、CLD18A2 CAR T細胞をターゲットとする細胞傷害性の測定
(1)標的細胞:75μLの2×10/mLの293T-A1細胞、293T-A2細胞、胃癌細胞株AGS、AGS-A2、胃癌細胞株BGC-823、BGC-823-A2細胞をそれぞれ接種した。胃癌細胞株AGS、胃癌細胞株BGC-823は、ATCC細胞ライブラリから購入し、293T-A1細胞、293T-A2細胞、AGS-A2、BGC-823-A2細胞は、CN101602808Bを参照して細胞株を構築し、ここで、293T-A2細胞、AGS-A2、BGC-823-A2細胞は、CLD18A2陽性細胞であり、残りは、CLD18A2陰性細胞である。
(2)効果細胞:3:1、1:1または1:3の効果:標的比に基づいてT-Mock及び異なるキメラ抗原受容体を発現したCAR T細胞を入れ、
(3)各群について、4つのデュプリケイトウェル(duplicate well)を設定し、4つのデュプリケイトウェルの平均値をとる。検出時間は、18時間目である。
ここで、各実験群と各対照群は、下記のようである。
各実験群:各標的細胞+異なるキメラ抗原受容体を発現したCAR T、
対照群1:標的細胞からのLDHの最大放出、
対照群2:標的細胞からのLDHの自発的放出、
対照群3:効果細胞からのLDHの自発的放出、
(4)検出方法:CytoTox96非放射性細胞傷害性検出キット(Promega社)を用いて行った。CytoTox96(登録商標)検出によって乳酸脱水素酵素(LDH)を定量的に測定した。具体的には、CytoTox 96非放射性細胞傷害性検出キットのマニュアルを参照した。
(5)細胞傷害性の計算公式:
【0270】
異なる効果:標的比の細胞殺傷結果は、図11図12に示したようであり、結果によると、CAR-T生成物は、CLD18A2発現に対して陽性である293T-A2、AGS-A2及びBGC-823-A2細胞で優れた殺傷効果を示した。ここで、hu8E5-28Zとhu8E5-2I-28Z細胞は、効果:標的比が3:1であるときに、60%以上を殺傷することができるAGS-A2細胞殺傷は、BGC-823-A2細胞の殺傷に対して90%以上であることができる。併せて、結果は、また、CLD18A2発現に陰性の細胞に対する各CAR T細胞(Hu2B1-S54A-28Zほか)の殺傷効果が明らかではないことを示した。
【0271】
実施例10.CLD18A2 CAR-T細胞のインビボ活性
胃癌PDXモデル皮下移植された腫瘍に対する、トランスフェクションされていないT細胞(UTD)、hu8E5-2I-28Z T細胞の抗腫瘍治療実験を観察した。
1)胃癌PDXモデルの確立:約2×2×2mmの大きさの胃癌PDX腫瘍を6~8週齢の雌性NOD/SCIDマウスの右側脇皮下に接種し、腫瘍細胞接種日をD0日とした。
2)実験群の分け:腫瘍接種D15日にNOD-SCIDマウスをランダムに各群ごとに7匹ずつ3群に分けて、トランスフェクションされていないT細胞群とhu8E5-2I-28Z T細胞群に分けた。
3)T細胞の養子伝達:腫瘍体積が30mmの場合、100mg/kgのシクロホスファミドを腹腔注射し、注射の24時間後に1.0×10個のCAR-T細胞を尾静脈から注入したともに、トランスフェクションされていないT細胞群を対照群とした。胃癌PDX皮下移植腫瘍の増殖を観察し測定した。実験結果は、図13Aと13Bに示したようであり、CAR T注射D32日目に、マウスを頸椎脱臼により犠牲させ、UTD群に比べ、hu8E5-2I-28Z群腫瘍抑制効果は有意であり、抑制率は79.2%である。腫瘍の秤量の観点では、hu8E5-2I-28Z治療群は、UTD群に比べ、P=0.01であり、統計学的に差がある。
【0272】
実施例11.CLD18A2 CAR-T細胞のインビトロのサイトカイン放出誘導試験
構築されたhu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z T細胞が標的細胞の刺激下で効果的に活性化することができることを検証するために、本発明者らは、標的細胞との同時インキュベーション後、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z T細胞のサイトカインの分泌を検出した。
と同時にインキュベーション後のT細胞(Mock)、hu8E5-28Z及びhu8E5-2I-28Z T細胞によって放出されたサイトカインをそれぞれ検出した。レンチウイルスによって感染された後、1~2週間内生長状態が良好な前記2つのT細胞を収集し、5×10/200μL(陽性細胞数)を24ウェルプレートに接種し、1:1の効果:標的比に応じて、それぞれ5×10/200μL/24ウェルの標的細胞を接種した。標的細胞は、293T-A1、293T-A2、AGS、AGS-A2、BGC-823及びBGC-823-A2細胞を含む。共培養24時間後に、上清液を収集した。サンドイッチELISA方法を用いて上清のCAR Tリンパ球と標的細胞の共培養の過程で放出されたIL2、IFN-γ及びTNF-αを検出した。
【0273】
実験結果は、図14に図示されたようであり、結果は、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28ZをCLD18A2に発現に陽性である293T-A2、AGS-A2及びBGC-823-A2細胞と共にインキュベートした場合、IL-2、IFN-γ及びTNF-αサイトカインの分泌を活性化させることができるが、Mock対照群は、前記サイトカインの分泌を活性化できず、いずれも有意な差があり、hu8E5-2I-28ZはCLD18A2の発現に陰性である293T-A1、AGSとBGC-823細胞と共にインキュベートした場合、IL-2、IFN-γ及びTNF-αサイトカインの分泌を活性化できず、Mock対照群も前記サイトカインの分泌を活性化させることができない。前記実験結果は、CLD18A2の発現に陽性である細胞は、hu8E5-2I-28Z CAR T細胞を効果的に活性化させることができる。
【0274】
実施例12.CLD18A2 CAR-T細胞のインビボ殺傷活性
BGC-823-A2細胞皮下移植された腫瘍に対する、トランスフェクションされていないT細胞(Mock)、hu8E5-28Z及びhu8E5-2I-28Z T細胞の抗腫瘍治療実験の測定
1)BGC-823-A2皮下移植腫瘍の接種:対数生長期にあり、生長状態が良好なBGC-823-A2細胞を収集し、生理食塩水で密度を2.5×10/mLに調節し、200μL(5×10/匹)体積の細胞懸濁液をマウスの右脇皮下に注射した。腫瘍細胞接種日を0日目として記録した腫瘍細胞接種日0日目とした。
2)実験群の分け:腫瘍接種11日目にBGC-823-A2移植腫瘍の体積を測定し、NOD-SCIDマウスを、各グループごとに6匹ずつランダムに3グループに分けた。それぞれトランスフェクションされていないT細胞群、hu8E5-28Z T細胞、hu8E5-2I-28Z T細胞群である。
3)T細胞の養子伝達:腫瘍体積が100~150mmの場合(11日目)、100mg/kgのシクロホスファミドを腹腔注射し、注射の24時間後に1×10個のCAR-T細胞(Mock細胞、hu8E5-28Z T細胞またはhu8E5-2I-28Z T細胞)を尾静脈から注入するとともに、トランスフェクションされていないT細胞群(Mock群)を対照群として、皮下移植腫瘍の増殖を観察し測定した。
【0275】
動物実験の結果は、図15に示したようであり、結果は、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z CAR T細胞の治療17日目に、BGC-823-A2移植腫瘍に対する腫瘍抑制率は、それぞれ81.3%と89.2%であり、BGC-823-A2移植腫瘍に対するhu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z治療群は、Mock対照群より治療効果について有意に差がある。治療17日後、マウスを犠牲させて移植腫瘍を取って重量を測定し、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z治療群BGC-823-A2移植腫瘍の平均腫瘍の重量は、それぞれ0.1gと0.06gであり、Mock対照群の平均腫瘍の重量は0.53gであり、CAR T細胞群とMock対照群との間には有意な差があり、P値は、それぞれ0.0013、<0.0001である。
【0276】
実施例13、CLD18A2 CAR-T細胞がインビボで腫瘍浸潤に対する影響
実施例12で構築建立されたBGC-823-A2細胞皮下移植腫瘍の動物モデルを参照して、Mock、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z細胞を17日間再使用した後に、腫瘍組織を採取し、組織化学法でCD3+細胞を検出した。
【0277】
図16に示されたように、Mock T細胞は、腫瘍組織の周りでT細胞の浸潤はほとんど観察されにくく、hu8E5-28Z、hu8E5-2I-28Z細胞は、腫瘍組織の枠でCD3+T細胞の浸潤が観察されることができ、hu8E5-2I-28Z群の腫瘍組織の枠でさらに多くのT細胞の浸潤が観察された。
【0278】
実施例14.IFNを共発現するCAR-T細胞の製造
実施例7~9の操作を参照して、hu8E5-28Zに基づいてIFNbサイトカインを発現するhu8E5-28Z-IFNb CARのプラスミドを構築し、hu8E5-2I-28Z CARに基づいてIFNbサイトカインを発現することができるhu8E5-2I-28Z-IFN CARのプラスミドを構築し、レンチウイルスパッキング及び感染を経てIFNbを共発現するhu8E5-28Z-IFNb CAR T細胞(hu8E5-28Z&IFNBと表記されることもある)とhu8E5-2I-28Z-IFN CAR T細胞(hu8E5-2I-28Z&IFNBと表記されることもある)を得た。ここで、hu8E5-28Z-IFNb CARは、SEQ ID NO:90のヌクレオチド配列によってコードされ、hu8E5-2I-28Z-IFN CARは、SEQ ID NO:91のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0279】
実施例11の操作を参照して、インビトロサイトカイン放出の誘導試験を進めており、結果は、図17Aに示されたようであり、IFNの存在はhu8E5-28Z CAR T細胞を標的細胞と共にインキュベーターした場合、IFN-γサイトカインの分泌を増加させる。
【0280】
胃癌PDXモデル皮下移植腫瘍に対するトランスフェクションされていないT細胞(UTD)、hu8E5-28Z T細胞及びhu8E5-2I-28Z-IFN T細胞の抗腫瘍治療実験を観察した。約2×2×2mmの大きさの胃癌PDX腫瘍を6~8週齢の雌性NOD/SCIDマウスの右側脇皮下に接種し、腫瘍細胞接種の日をD0日として記録し、腫瘍接種D15日に、NOD-SCIDマウス各群ごとに7匹ずつ、ランダムに3群に分け、トランスフェクションされていないT細胞群、hu8E5-28Z T細胞群及びhu8E5-2I-28Z-IFN T細胞群に分けた。腫瘍体積が30mmである場合、100mg/kgのシクロホスファミドを腹腔注射し、注射の24時間後に1.0×10個のCAR-T細胞(hu8E5-28Z T細胞またはhu8E5-2I-28Z-IFN T細胞)を尾静脈から注入するとともに、トランスフェクションされていないT細胞群(Mock群)を対照群とした。胃癌PDX皮下移植腫瘍の生長を観察し測定した。結果は、図17Bに示されたようであり、hu8E5-2I-28Z-IFN治療群の7匹のマウスのうち1匹のマウスの腫瘍が完全に消えた。
前記PDXモデルを用いて、CAR-T細胞の体内生存状況を測定し、それぞれCAR-T細胞注入後のD5日、D7日及びD10日にマウス伏在静脈から末梢血を取り、CAR-T細胞(ブランクT細胞(Mock)、hu8E5-28Z T細胞またはhu8E5-2I-28Z-IFN T細胞)のインビボの生存状況を検出し、結果は、図17Cに示されたようであり、hu8E5-2I-28Z-IFN T細胞治療群のT細胞の生存数は、hu8E5-28Z -28Z T細胞群より有意に多かった。
【0281】
実施例15.CAR-NK細胞の構築
図18Aと18Bに示されたプラスミドマップのように、PRRLSIN-cPPT.EF-1αをベクターとして用いて、ヒト化抗体hu8E5のキメラ抗原受容体を発現するレンチウイルスプラスミドを構築し、PRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-28BBZ、PRRLSIN-cPPT.EF-1α-hu8E5-2I-28Zを含む。hu8E5-28BBZ配列は、CD8α信号ペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5-scFV、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)、CD28膜貫通領域(SEQID NO:74)、細胞内のセグメント(SEQ ID NO:76)、CD137細胞内シグナル伝達ドメインのセグメント(SEQ ID NO:82)及びCD3ξ(SEQ ID NO:78)からなり、hu8E5-2I-28Z配列は、CD8α信号ペプチド(SEQ ID NO:70)、hu8E5-2I scFV、CD8 hinge(SEQ ID NO:72)、CD28膜貫通領域(SEQID NO:74)、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン領域(SEQ ID NO:76)及びCD3の細胞内セグメントCD3ξ(SEQ ID NO:78)からなる。
【0282】
1、CAR陽性であるNK-92細胞株の製造
1)Retronectinで24ウェルプレートをコーティング:各ウェルに5μg/mlのretronectin溶液(PBS)を380μl入れて、4℃で一晩インキュベーターし、細胞をretronectinをコーティングした24ウェルプレート内に接種し、各ウェルの細胞数は、5×10であり、培養液体積は、500μlであり、
2)MOI=30に基づいて、NK92細胞に濃縮させた後のレンチウイルスを入れ、32℃で90分間遠心分離させて、細胞インキュベーターに移し、
3)増幅培養:感染させた後、細胞を一日置きに5×10^/mLの密度で継代するとともに、リンパ球培養液に最終濃度が500U/mLである組換えヒトIL-2を補充した。
【0283】
2、NK-92細胞キメラ抗原受容体の発現
1)レンチウイルスによって感染されたNK92細胞の培養7日目に1×10^の細胞をとり、遠心チューブ内に2等分して入れ、
2)対照群の細胞を50μlのPE-SA(1:200希釈)抗体に入れ、氷でインキュベーターし、再浮遊した後対照とし、検出群細胞+50μl且つ1:50で希釈されたbiotin-Goat anti human IgG、F、(ab’)2抗体を、氷で45分間培養し、PBS(2%NBS)で2回洗浄し、50μlのPE-SA(1:200で希釈)抗体を入れて氷でインキュベーターし、
3)2mlのPBS(2%NBS)を入れて細胞を再浮遊し、4℃で遠心分離して上清を捨て、500μlのPBS(2%NBS)を入れて、フローチューブに移す。フローサイトメトリーでPEチャンネルを検出して、CAR陽性であるNK92細胞比率を確定した。結果は、図19に示されたようである。
【0284】
細胞傷害性の測定:標的細胞:10^4のAGS、AGS-A2、BGC-823、BGC-823-A2細胞を、それぞれ96ウェルプレートに接種し、効果細胞:6:1、3:1、1.5:1の効果:標的比に基づいてNK-92とCAR NK-92細胞を入れ、各群ごとに5つのデュプリケイトウェルを設定し、5つのデュプリケイトウェルの平均値をとった。検出時間は、4時間目である。ここで、各実験群と各対照群は、下記のようである。各実験群:各標的細胞+前記効果細胞、対照群1:標的細胞のLDHの最大放出LDH、対照群2:標的細胞のLDHの自発放出、対照群3:効果細胞のLDHの自発放出である。
【0285】
検出方法:CytoTox 96非放射性細胞傷害性検出キット(Promega社)を使用して行った。具体的には、CytoTox 96非放射性細胞傷害性検出キットのマニュアルを参照する。細胞傷害性の計算公式:
【0286】
結果を図20及び21に示す。ここで、hu8E5-21-28Zはhu8E5-2I-28Z CAR-NK92細胞であり、そしてhu8E5-28BBZは、hu8E5-28BBZ CAR-NK92細胞である。結果は、hu8E5 CAR-NK92細胞がCLDN18A2を過剰発現する細胞に対して有意なin vitro殺細胞活性を有し、CLDN18A2陰性である細胞に対してほとんど殺傷害性を示さないことを示した。
【0287】
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図19
図20
図21