(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ロッド、液体塗料吸引組立体、及び、そのようなロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B05B 15/00 20180101AFI20241114BHJP
【FI】
B05B15/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020050666
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プランタール ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】バトロ ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】モラル フランソワ
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05217238(US,A)
【文献】特開2003-287174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0173089(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0224699(US,A1)
【文献】特表昭60-500802(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0320081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/00-9/047
12/16-12/36
14/00-16/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体塗料吸引ポンプ(3)に接続されるように設計された液体塗料吸引ロッド(1)であって、
前記液体塗料吸引ロッド(1)を介して液体塗料を吸引するために液体塗料に沈められるように設計された吸引端部(8)と上流エルボー部(22)とを有する剛性の上流管(12)と、
可撓性の中間管(14)と、
剛性の下流管(16)と、を備え、
前記剛性の下流管(16)は、
前記ポンプ(3)に流体接続されるように設計された接続端部(6)と、
前記中間管(14)によって、前記上流管(12)が流体接続される受容端部(44)と、
前記受容端部(44)と前記接続端部(6)との間に設けられた下流エルボー部(42)と、を備え、
前記下流管(16)は、前記受容端部(44)から前記接続端部(6)まで、前記液体塗料のための一連の横通路部を定め、それぞれの
横通路部(S16)は、通路
部中心(C16)を規定し、前記通路
部中心(C16)の結合は、前記下流管(16)の軌道(T16)を構成し、前記下流エルボー部(42)は、前記軌道(T16)の湾曲部(49)に沿って延在し、前記
横通路部(S16)は、前記湾曲部
(49)に沿って
、円板形状を有し、前
記円板形状は、前記
横通路部(S16)の直径(Ds16)を規定し、
前記軌道(T16)の前記湾曲部(49)は、円形の平面円弧形状であり、曲線半径(Rc16)を有し、前記曲線半径(Rc16)に対する前記直径(Ds16)の比率は、
0.55~0.70の間であることを特徴とする液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項2】
前記
横通路部(S16)の前記直径(Ds16)は、一定であることを特徴とする請求項1に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項3】
前記直径(Ds16)は、20mm~30mmの間であり、
前記曲線半径(Rc16)は、31mm~50mmの間であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項4】
前記軌道(T16)の前記湾曲部(49)は、85°~95°の間の値を有する中心角(θ16)を規定することを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項5】
前記受容端部(44)の前記
横通路部(S16)が前記接続端部(6)の前記
横通路部(S16)に対して垂直となるように、前記中心角(θ16)の値は90°に等しいことを特徴とする請求項
4に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項6】
前記下流管(16)を前記ポンプ(3)にしっかりと取り付けるための接続ナット(71)をさらに備え、前記接続ナット(71)は、前記接続端部(6)に取り付けられ、前記軌道(T16)の周りで前記下流管(16)に対して自由に回動し、前記接続ナット(71)は、少なくとも1つの突起(74)を備え、前記接続ナット(71)は、前記突起(74)によって締め付けられることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項7】
前記接続端部(6)に形成され、前記ポンプ(3)に属する相補的な接続シート部(61)に当接することによって受け入れられるように設計された円錐面(52)を形成する外径ショルダー部(51)を備え、前記
液体塗料吸引ロッド(1)が前記ポンプ(3)に接続されているとき、前記円錐面(52)の中心は、前記軌道(T16)に位置し、前記円錐面は、前記受容端部(44)から離れる方向へ向けられた下流方向(101)へ前記軌道(T16)に沿って収束することを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項8】
前記上流管(12)及び前記下流管(16)は、金属から作られ、前記中間管(14)は、可撓性材料から作られることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項9】
前記上流管(12)及び前記下流管(16)は、ステンレス鋼から作られ、前記中間管(14)は、エラストマーから作られることを特徴とする請求項
8に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項10】
前記吸引端部(8)によって支持された液体塗料濾過ストレーナ(10)をさらに備えることを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の液体塗料吸引ロッド(1)。
【請求項11】
液体塗料スプレーのための液体塗料吸引組立体であって、
前記液体塗料吸引組立体は、請求項1~
10のいずれか1項に記載の
液体塗料吸引ロッド(1)と、ポンプ(3)とを備え、前記ポンプ(3)は、前記
液体塗料吸引ロッド(1)の前記接続端部(6)に流体接続され、前記
液体塗料吸引ロッド(1)により液体塗料を吸引できることを特徴とする液体塗料吸引組立体。
【請求項12】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の
液体塗料吸引ロッド(1)又は請求項
11に記載の吸引組立体の製造方法であって、前記製造方法は、
前記液体塗料吸引ロッド(1)を介して液体塗料を吸引するために液体塗料に沈められるように設計された吸引端部(8)と上流エルボー部(22)とを有する前記
剛性の上流管(12)を設ける又は製造する工程と、
前記
可撓性の中間管(14)を設ける又は製造する工程と
、
前記
剛性の下流管(16)を製造する工程
であって、前記下流管(16)は、前記ポンプ(3)に流体接続されるように設計された前記接続端部(6)と、前記受容端部(44)と、前記受容端部(44)と前記接続端部(6)との間に設けられた前記下流エルボー部(42)と、を備え、前記下流管(16)は、前記受容端部(44)から前記接続端部(6)まで、前記液体塗料のための一連の横通路部を定め、それぞれの横通路部(S16)は、通路部中心(C16)を規定し、前記通路部中心(C16)の結合は、前記下流管(16)の軌道(T16)を構成する、工程と、
前記下流管(16)を製造する工程は
、未加工の直線管を曲げ、前記曲線半径(Rc16)を有する前記下流管(16)の前記下流エルボー部(42)を形成する工程
であって、前記下流エルボー部(42)は、前記軌道(T16)の湾曲部(49)に沿って延在し、前記横通路部(S16)は、前記湾曲部(49)に沿って、前記円板形状を有し、前記円板形状は、前記横通路部(S16)の直径(Ds16)を規定し、前記軌道(T16)の前記湾曲部(49)は、円形の平面円弧形状であり、前記曲線半径(Rc16)に対する前記直径(Ds16)の比率は、
0.55~0.70の間であ
る工程と、
前記上流管(12)、前記中間管(14)、及び、前記下流管(16)を組み立てる工程であって、前記中間管(14)は、前記上流管(12)を前記受容端部(44)に流体的に接続する工程と、を備え
る、ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗料吸引ロッド、そのようなロッドを備える液体塗料吸引組立体、及び、そのようなロッドの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、液体塗料スプレーの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
公知の液体塗料スプレーは、空気ポンプによって液体塗料が供給されるスプレーガンを備える。この目的のために、例えば、数メートル又は数十メートルの十分な長さを有する可撓性の管が一般的に設けられる。これにより、オペレータは、塗料ガンを容易に操作することができる。その結果、壁又は梁のような地面に永久的に固定された支持体又はトロリーに取り付けられているとき、ポンプは静止したままである。ポンプは、吸引ロッドを用いて塗料バケツ又は液体塗料タンクに液体塗料を吸引する。吸引ロッドは、前記ポンプの上流でポンプに流体接続され、塗料バケツ内に浸漬する自由端を有し、ポンプの作用によって前記塗料を吸引する。より具体的には、ポンプは、下方を向いた吸引入口を備える。この吸引入口には、標準的な直線金属結合器が取り付けられる。吸引ロッドに属する可撓性の中間管は、この金属結合器に接続される。可撓性の管の他端において、吸引ロッドは、液体塗料バケツに部分的に沈められた曲がった金属管を備える。
【0004】
しかしながら、標準的な結合器の垂直配向は、ポンプの高さの観点から、まだ満足できるものではない。これは、可撓性の中間管を強く曲げてしまう可能性がある。標準的な直線結合器の代わりに、L字型の曲がった標準的な結合器を設けることができる。しかしながら、そのようなL字型の曲がった結合器は、塗料の吸い上げに非常に有害であり、したがって、より高い動力のポンプの提供を必要とし得る実質的なヘッドロスを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、新たな吸引ロッドの提案によってこれらの欠点に対処することである。新たな吸引ロッドは、製造が容易でありながら、吸引ロッドを通過する塗料のヘッドロスを低減しながら、中間管に過度に大きな曲率を課すことを回避する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体塗料吸引ポンプに接続されるように設計された液体塗料吸引ロッドに関し、液体塗料吸引ロッドは、
ロッドを介して液体塗料を吸引するために液体塗料に沈められるように設計された吸引端部と上流エルボー部とを有する剛性の上流管と、
可撓性の中間管と、
剛性の下流管と、を備え、
剛性の下流管は、
ポンプに流体接続されるように設計された接続端部と、
中間管によって、上流管が流体接続される受容端部と、
受容端部と接続端部との間に設けられた下流エルボー部と、を備え、
下流管は、受容端部から接続端部まで、液体塗料のための一連の横通路部を定め、それぞれの通路部は、通路部の中心を規定し、通路部の中心の結合は、下流管の軌道を構成し、下流エルボー部は、軌道の湾曲部に沿って延在し、通路部は、湾曲部に沿って、略円板形状を有し、好ましくは一定の直径を有する。
【0007】
本発明によると、軌道の湾曲部は、円形の平面円弧形状であり、曲線半径を有し、曲線半径に対する直径の比率は、1未満である。
【0008】
本発明の基礎における1つのアイデアは、過剰なヘッドロスを回避するために、下流管が受容端部から接続端部まで液体塗料の漸進曲線における循環を案内することを提供することである。実際に、下流管の軌道の漸進曲線は、通常、比較的粘度が高いなどの平凡な流動特性を有する液体塗料の良好な循環を促進する。「軌道」という表現は、下流管の幾何学的曲線を示し、時には、「中立線」という表現で示される。下流管の湾曲のために、受容端部における軌道の部分は、有利には、水平配向を有するか、又は、少なくとも垂直方向に対して傾斜している。これにより、受容端部に接続される可撓性の中間管の過剰な曲げを防止する。さらに、上流管と同様の製造方法を用いて有利に得ることができることから、下流管の製造が容易である。この方法は、例えば、下流エルボー部及び上流エルボー部をそれぞれ得るために、未加工の直線管を曲げる工程を備える。
【0009】
全ての技術的に可能な組み合わせに従って考慮される、本発明の他の任意の有利な特徴は、以下に規定される。
【0010】
曲線半径に対する直径の比率は、0.55~0.70の間であり、好ましくは0.625に等しい。
【0011】
直径は、20mm~30mmの間であり、好ましくは25mmに等しく、曲線半径は、31mm~50mmの間であり、好ましくは40mmである。
【0012】
軌道の湾曲部は、85°~95°の間の値を有する中心角を規定し、中心角の値は、好ましくは90°に等しく、その結果、受容端部の通路部は、接続端部の通路部に垂直である。
【0013】
ロッドは、下流管をポンプにしっかりと取り付けるための接続ナットをさらに備え、接続ナットは、接続端部に取り付けられ、軌道の周りで下流管に対して自由に回動し、接続ナットは、少なくとも1つの突起を備え、この突起により、接続ナットは締め付けられる。
【0014】
ロッドは、接続端部に形成され、ポンプに属する相補的な接続シート部に対して当接することによって受け入れられるように設計された円錐面を形成する外径ショルダー部を備え、ロッドがポンプに接続されているとき、円錐面の中心は、軌道に位置し、円錐面は、受容端部から離れた方向へ向いた下流方向へ軌道に沿って収束する。
【0015】
上流管及び下流管は、金属、好ましくはステンレス鋼から作られ、中間管は、可撓性材料、好ましくはエラストマーから作られる。
【0016】
ロッドは、吸引端部によって支持される液体塗料濾過ストレーナをさらに備える。
【0017】
また、本発明は、液体塗料スプレー用の液体塗料吸引組立体に関する。吸引組立体は、前述のロッドと、ポンプとを備え、ポンプは、ロッドの接続端部に流体接続され、ロッドによって液体塗料を吸引することができる。
【0018】
また、本発明は、前述のロッド又は前述の吸引組立体を製造するための方法に関し、この方法は、
上流管を設け又は製造する工程と、
中間管を設け又は製造する工程と、
下流管を未加工の直線管から製造する工程と、
上流管と、中間管と、下流管とを組み立てる工程と、を備え、
下流管を製造する工程は、未加工の直線管を曲げ、曲線半径を有する下流管の下流エルボー部を形成する工程を備え、曲線半径に対する直径の比率は、1未満である。
【0019】
以下の開示は、非限定的に提供される本発明の例示的な実施例に関し、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による吸引ロッドの部分側面図である。
【
図3】
図3は、本発明による
図1の吸引ロッドを備える液体塗料吸引組立体の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び
図4は、ロッド1及び吸引ポンプ3を備える液体塗料吸引組立体を示す。吸引ポンプ3は、
図3及び
図4に部分的に示されている。吸引組立体は、液体塗料スプレーの一部を構成し、吸引ポンプ3によって供給される塗料ガン(図示せず)をさらに備える。ポンプ3は、好ましくは、例えば、1~6バールの間の圧力で圧縮空気をポンプ3に供給する空気圧モータ(図示せず)によって作動される。ポンプ3は、順番に、有利には、モータによって供給される圧縮空気の供給のために、100~450バールの間の圧力を加える。変形例では、用途に応じて、ポンプ3は、100バール未満又は20バール未満の圧力を加えることが可能である。
【0022】
塗料ガンは、用途に応じて、10m~50m(メートル)の間の長さを有する可撓性の管によって、ポンプ3の出口、すなわち、ポンプの下流に流体接続される。したがって、ポンプ3は、ガンを供給するために、前記可撓性の管によって液ポンプを排出する。
【0023】
塗料スプレーは、様々な用途、例えば、海軍車両への塗料の塗布、建物の外装コーティングの塗布、又は、天井の塗料などの作業現場用途に使用することができる。この場合、吸引組立体は、有利には、トロリー又は他の可動支持体に取り付けられる。代わりに、塗料スプレーをプラントで使用することもできる。この場合、吸引組立体は、トロリー、他の移動支持体、又は、壁若しくは梁などの固定支持体に取り付けることができる。
【0024】
ロッド1は、接続端部6を備える。接続端部6は、ポンプ3の入口端部4に流体接続される。すなわち、ロッド1は、ポンプ3の上流に取り付けられる。
【0025】
ロッド1は、接続端部6の反対に吸引端部8を有する。吸引端部8により、ロッド1は、バケツ又はタンクのような液体塗料リザーブから液体塗料を吸引する。塗布の機能として、液体塗料リザーブをバケツ又はタンクとすることが可能である。バケツは、例えば、20L(リットル)の塗料のバケツであり、タンクは、例えば、100L(リットル)の塗料のタンクである。
【0026】
吸引端部8は、ポンプ3の作用でロッド1を介して塗料を吸引することができるように、リザーブの液体塗料中に沈められる。塗料は、吸引端部8から接続端部6まで循環し、塗料は、接続端部6でポンプ3に到達する。好ましくは、ロッド1は、吸引端部8によって支持される液体塗料濾過ストレーナ又はスクリーン10を備える。したがって、ストレーナ10は、液体塗料がロッド1に入る前に、液体塗料の粗濾過を実行し、これにより、ロッド1の過剰な汚染が回避される。
【0027】
本発明では、上流方向100及び下流方向101は、吸引組立体の作業動作中、すなわち、ガンがポンプ3によって排出され、ロッド1を介して吸引される塗料をスプレーするときの液体塗料の循環方向に対して規定される。即ち、具体的には、端部8は、端部6に対して上流方向100に設けられ、端部6は、端部8に対して下流方向101に設けられる。
【0028】
吸引ロッド1は、上流管12、中間管14、及び、下流管16を備える。これらは、これらの順番で上流100から下流101に流体接続され、塗料のための連続ダクトを端部8から端部6まで形成する。端部8は、上流管12の自由上流端部によって形成される。端部6は、下流管16の自由下流端部によって形成される。
【0029】
上流管12及び下流管16は、剛性を有する。すなわち、これらは、可撓性の中間管14よりも硬い。そのために、例えば、上流12及び下流16管は、金属、例えば、ステンレス鋼から作られる。これらは、ユーザの手で変形するように設計されていない。反対に、可撓性のために、中間管14は、可撓性材料、特に、エラストマー、例えば、ゴムから作られる。この可撓性材料は、庭用給水ホースのように、使用中、可逆的に曲げられるように設計される。ロッド1は、好ましくは、可撓性の導電体、例えば、電線を備え、管12及び16を電気的に接続する。これにより、液体塗料の燃焼性に関連するいかなるリスクも回避することができる。
【0030】
図では、管14は、好ましくは1m~2mの間の長さを有することから、簡略化のために、切断されて示されている。
【0031】
上流管12は、端部8から順番に、好ましくは直線状の部分21と、「上流エルボー部」と呼ばれるエルボー部22と、好ましくは直線状で、部分21に垂直な部分23と、塗料に対して封止され、管14の上流端部31に嵌合される「伝達端部」と呼ばれる下流端部24と、を備える。嵌合は、有利には、外部把持リング25によって維持される。したがって、上流管12は、それぞれの端部24及び31を介して中間管14に流体接続される。使用中、端部8が液体塗料に沈められているとき、部分21は、好ましくは、垂直方向へ向けられるか、又は、垂直方向に対してわずかに傾斜する、一方、部分23は、水平に向けられるか、又は、水平に対してわずかに傾斜する。この場合、ロッド1は、有利には、部分23によってバケツ又は塗料タンクの縁部に載置することができ、一方、部分21は、バケツ又はタンクの底部に向けて沈められる。その結果、端部8は、前記底部に接近するか又は接する。エルボー部22は、有利には、円形の円弧を有する。その曲線半径は、ロッド1における塗料の循環に関連するヘッドロスを最小限にするために十分な曲線半径である。
【0032】
上流管12は、好ましくは、その全長に亘って環状断面を有する。上流管12、特に、液体塗料を案内する内壁は、液体塗料のための、端部8から端部24まで一定径Ds12を有する一連の略円板形状の横通路部を定める。管12のそれぞれの通路部は、当該通路部の円板形状の中心である通路部の中心を規定する。通路部の中心の結合は、
図1に混合線で示す管12の軌道T12を構成する。管12の部分21及び23は、軌道T12のそれぞれの直線状の部分に沿って延在する。エルボー部22は、軌道T12の湾曲部に沿って延在する。軌道T12は、有利には、
図1の平面において平坦である。直径Ds12は、管12の「内径」と呼ばれることもある。
【0033】
上流管12の場合、軌道T12の湾曲部は、有利には、
図1の平面において、円形の平面円弧形状を有し、曲線半径Rc12を有する。曲線半径Rc12に対する直径Ds12の比率は、1未満又は0.5未満である。したがって、ヘッドロスは、管12における液体塗料の循環中に最小限に抑えられる。
【0034】
好ましくは、軌道T12の湾曲部は、90°の中心角θ12、又は、有利には85°~95°の間の値を規定する。中心角θ12の値が90°に等しいとき、端部8によって形成される通路部は、端部24によって形成される通路部と直交する。すなわち、軌道T12の2つの直線状の部分は直交する。
【0035】
好ましくは、中間管14は、その全長に亘って環状断面を有する。したがって、管14は、直径Ds12に近いか又は同等の直径Ds14を有する一連の略円板形状の横通路部を定める。管14のそれぞれの通路部は、当該通路部の円板形状の中心である通路部の中心を規定する。通路部の中心の結合は、
図1に混合線で示される管14の軌道T14を構成する。管12及び14は、有利には、軌道T14が軌道T12を延在するように成形され、組み立てられる。直径Ds14は、管14の「内径」と呼ばれることもある。
【0036】
下流管16は、端部6から順番に、好ましくは直線状の部分41と、「下流エルボー部」と呼ばれるエルボー部42と、好ましくは直線状の部分41に垂直な部分43と、塗料に対して封止され、管14の下流端部32に嵌合された「受容端部」と呼ばれる上流端部44と、を備える。篏合は、有利には、外部把持リング26によって維持される。したがって、下流管16は、それぞれの端部44及び32を介して中間管14に流体接続される。使用中、端部6がポンプ3に接続されているとき、部分41は、好ましくは垂直方向へ向けられるか、又は、垂直方向に対してわずかに傾斜し、一方、部分43は、水平に向けられるか、又は、水平に対してわずかに傾斜する。次いで、管14は、その端部32の近傍で水平方向へ配向される。これにより、ポンプの下方の利用可能な空間の高さが小さい場合、又は、塗料バケツ又はタンクの縁部がポンプ3の底部に対して特に高い場合、管14が過度に大きく曲がることが防止される。
【0037】
好ましくは、端部44について
図4に示されるように、それぞれの管12及び16は、そのそれぞれの端部24又は44において外径方向リブを備え、管14との取付けの信頼性を向上させる。好ましくは、端部44について
図4に示すように、それぞれの管12及び16は、それぞれの端部24又は44において外径ショルダー部を備える。端部31又は32は、軸方向へ外径ショルダー部に対して当接する。これにより、嵌合時、管14をそれぞれの管12及び16に軸方向へ正確に位置決めすることができる。
【0038】
エルボー部42は、有利には、円形状の円弧を有する。その曲線半径は、ロッド1における塗料の循環に関連するヘッドロスを最小限にするために十分な曲線半径である。
【0039】
下流管16は、好ましくは、その全長に亘って環状断面を有する。したがって、下流管16、特に、液体塗料を案内する下流管の内壁は、液体塗料のために、端部44から端部6まで、一連の略円板形状の横通路部S16を定める。管16のそれぞれの通路部は、当該通路部の円板形状の中心である通路部の中心C16を規定する。通路部の中心の結合は、特に、
図4に混合線で示されている管16の軌道T16を構成する。
図4に示されているように、管16の部分41及び43は、軌道T16のそれぞれの直線状の部分に沿って延在する。エルボー部42は、軌道T16の湾曲部49に沿って延在する。少なくとも湾曲部49について、好ましくは軌道T16の全長についても、通路部S16は、略円板形状であり、一定の直径Ds16を有する。軌道T16は、有利には、
図4の平面において平坦である。直径Ds16は、管16の「内径」と呼ばれることもある。
【0040】
管16の断面
図A-Aは、
図4に示され、通路部S16の1つ、直径Ds16、この通路部S16の中心C16を区別する。
【0041】
本発明では、「略円板状」とは、通路部が正確に円板形状であってもよいし、楕円形のわずかに平らな円板形状であってもよいし、又は、わずかに変形した、例えば、卵形状であってもよいことを意味する。通路部は、軌道T16の湾曲部49に配置される場合、特に、厳密には円板形状でなくてもよい。この場合、直径Ds16は、通路部の最大直径を示す。
【0042】
下流管16については、軌道T16の湾曲部49は、有利には、
図4の平面において円形の平面円弧形状であり、曲線半径Rc16を有する。本実施例では、曲線半径Rc16に対する直径Ds16の比率は、0.625に等しく、直径Ds16は、25mm(ミリメートル)に等しく、曲線半径Rc16は、40mmに等しい。好ましくは、直径Ds16は、20~30mmの間であり、一方、曲線半径Rc16は、31~50mmの間である。好ましくは、曲線半径Rc16に対する直径Ds16の比率は、0.55~0.70の間である。より一般的には、曲線半径Rc16に対する直径Ds16の比率は、少なくとも、1未満、すなわち(Ds16/Rc16)<1である。したがって、上述したように、管16における液体塗料の循環中のヘッドロスは最小限に抑えられる。
【0043】
好ましくは、軌道T16の湾曲部49は、90°の中心角θ16、又は、有利には85°~95°の間の値を規定する。中心角θ16の値が90°に等しいとき、端部44により形成される通路部S16は、端部6により形成される通路部S16と直交する。すなわち、軌道T16の2つの直線状の部分は直交する。
【0044】
管14及び16は、有利には、軌道T16が軌道T14を延在するように成形され、組み立てられる。
【0045】
好ましくは、直径Ds12及びDs16は、互いに等しく、好ましくは少なくとも略直径Ds14に等しい。好ましくは、管12及び16は、管12及び16を形成するために、同じ未加工の管から製造され、取り出され、加工される。
【0046】
好ましくは、
図4に示すように、吸引ロッド1は、端部6に形成された外径ショルダー部51を有する。外径ショルダー部51は、円錐面52を支持する。円錐面52は、中心に位置し、端部6の高さに位置する軌道T16の直線状の部分と同軸である。円錐面52は、軌道T16に沿って下流方向、すなわち、ここでは、ポンプ3に向かって収束する。
【0047】
吸引ロッド1が吸引ポンプ3に接続されているとき、
図4の場合と同様に、円錐面52は、この円錐面52と相補的であるポンプ3の接続シート部61に対して当接することによって受け入れられるように設計される。好ましくは、端部4において、シート部61は、管形状を有し、管16の直径よりも大きい直径を有する管状部分を有する。したがって、円錐面52は、管状シート部61に対して当接し、管16をポンプ3の入口端部4の中心に自動的に配置する。円錐面52は、シート部61に対して、円錐面52の全周に亘って接触する。その結果、このような接続のために、円錐面52をシート部61に対して軸方向へ把持することによって、液体塗料に対する封止が行われる。
【0048】
好ましくは、接続シート部61は、円錐面52と相補的な円錐形状を有するように、内側に面取りされる。
【0049】
管16がポンプ3の端部4に対して更に静止するように、この軸方向の把持を確実にし、したがって管16をポンプ3に流体接続するために、ロッド1は、有利には、接続ナット71を備える。接続ナット71は、管16の端部6に取り付けられ、一方、軌道T16の直線状の部分の周りで管16に対して自由に回動する。ナット71は、ショルダー部51に対して軸方向へ当接する内側ショルダー部72を備える。その結果、ナット71が下流方向へ引っ張られた場合、ナットを管16から取り外すことができない。さらに、ナット71は、ショルダー部72を介してショルダー部51に対して軸方向へ当接することにより、下流方向へ把持力を加えることができる。
【0050】
ナット71は、ショルダー部72から下流に延在する内側ネジ73を備える。したがって、ナット71は、
図4では、上方を向いた一般的なスカート形状を有する。端部4は、シート部61から下流方向へ内側ネジ73と相補的な外側ネジ63に当接している。したがって、ネジ63でネジ73をねじ込むことによって、ナット71を端部4にねじ込むことができる。このねじ込みによって、シート部61に対して円錐面52が把持され、配置される。
【0051】
特に有利には、ナット71は、2つの突起74を備える。これらの突起は、それぞれ、外径突出部を形成する。これらの突起は、ナット71の円周上に均等に分配される。これらの突起74は、工具なしでナット71を締め付け及び緩めることを可能にする。実際には、液体塗料スプレーを使用するオペレータは、必ずしもそのような工具を装備しているとは限らないが、洗浄、ロッドの交換、ロッドの詰まりを取り除く、又は、色の変えるために、ポンプ3からロッド1を取り外す必要がある場合がある。特に、ナット71が締め付けられ、偶然に、塗料によって詰まっている場合、突起74にマレットを突きつけることによってナットを緩めることができるのに対し、ナットが6面ナットの場合、このような緩めはより困難である。
【0052】
変形例では、ナット71は、2つではなく多数の突起74を有する。
【0053】
ナット71は、例えば、単一の突起74を有し、一方、上記したような利点を有することができ、すなわち、工具なしでナット71の締め付け及び緩めが可能となる。特に、ナット71が締め付けられ、偶然に、塗料によって詰まっている場合、突起74にマレットを突きつけることによってナットを緩めることができるのに対し、別のナットの場合、このような緩めはより困難である。
【0054】
上記の吸引ロッド1及び吸引組立体は、好ましくは、以下の製造方法を用いて製造される。
【0055】
この製造方法では、上流管12及び下流管16の製造工程が行われる。
【0056】
これらの2つの管12及び16を製造するために、有利には、同一の未加工の直線管、又は、2つの同一のそれぞれの未加工管から始まり、その通路部の直径は、直径Ds12及びDs16に等しく、次いで、直径Ds12及びDs16は、互いに等しい。管12及び16のそれぞれについて、上流エルボー部22及び下流エルボー部42は、当該管12又は16の機能として、曲線半径Rc12又はRc16を与えるために、直線管を曲げることによって作られる。前記曲線半径Rc12又はRc16は、(Ds12/Rc12)<1及び(Ds16/Rc16)<1であることを検証するために、通路部の直径又はDs12若しくはDs16に対して十分に大きい。
【0057】
したがって、2つの管12及び16は、同様の曲げ工程によって、好ましくは同じ未加工外形から得ることができることから、ロッド1を特に容易に製造することができる。
【0058】
変形例では、上流管12は、製造されるのではなく、供給されてもよい。変形例では、上流管12は、管16を製造するために使用されるものとは異なる未加工部品から製造される。変形例では、中間管14は、供給されるのではなく、製造されてもよい。
【0059】
製造方法は、また、ストレーナ10を管12に追加する工程を備える。製造方法は、また、ショルダー部51を管16に形成又は追加する工程を備える。
【0060】
管12、14、16が得られると、本方法は、先に説明したように、好ましくは篏合によって、前記管12、14、16を一緒に組み立てる工程を備える。
【0061】
技術的に可能である限り、1つの実施例又は変形例について先に開示した任意の特徴を、先に開示した他の実施例及び変形例において実施することができる。