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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/15 20180101AFI20241114BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20241114BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20241114BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20241114BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241114BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/30 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241114BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20241114BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
F21S43/15
F21S43/19
F21S43/31
F21S45/10
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21W102:19
F21W102:30
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:30
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21W105:00
F21Y115:10 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020098649
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192346
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】菊地 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松永 幸久
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/15
F21S 45/10
F21V 19/00
F21S 43/31
F21S 43/19
F21W 105/00
F21W 103/55
F21W 103/00
F21Y 115/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/10
F21W 102/19
F21W 103/30
F21W 103/45
F21W 102/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室内に、発光素子を実装した平板状の基板と、前記基板の前面に配置されて、前記発光素子の光を前方に反射するリフレクターとを備えた車両用灯具において、
前記発光素子の照射軸は、前記基板に対し直交し、
前記リフレクターは、
前記発光素子を露出させるための挿通孔が設けられた、辺の数nの正面視多辺形状の底面部と、
前記底面部の各辺から該底面部に対し直角以上の角度で斜め前方にそれぞれ延出し、前記発光素子を取り囲むように周方向に一体化されたn個の側方反射面とを備え、
前記リフレクターの反射光が前記発光素子の照射軸に対し傾斜する所定の方向に配光されるように、前記n個の側方反射面の、前記発光素子の照射軸に対する傾斜が調整されて、
前記発光素子の照射軸に対し傾斜する所定の方向に、前記発光素子と前記n個の側方反射面に映りこむn個の前記発光素子の光による所定の意匠を形成し、
前記発光素子の照射軸が、搭載される車両の車軸方向とは、所定の角度をもって傾斜しており、
前記リフレクターの反射光が、前記車軸方向に配光されるように、前記n個の側方反射面の傾斜が調整されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光素子の照射軸は、搭載される前記車両の側方に傾斜する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記基板は、表面に複数の前記発光素子を搭載しており、
前記リフレクターは前記発光素子の配置に合わせて同数だけ並設されたリフレクターユニットとして構成され、
前記リフレクターの形成するそれぞれの光による意匠が、一体的に連続するように構成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両に搭載される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の角部に搭載される車両用灯具がある。車両用灯具は、車両側方からも視認可能であるが、車軸方向の対向面積が減少する場合、光源のランプユニットのライトレイアウトや方向を工夫する必要がある。例えば、特許文献1では、曲げ加工したフレキシブル基板を使用して、複数の光源を階段状に配置して、複数の光源の照射方向が車軸と同方向となるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-254877号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、曲げ加工したフレキシブル基板は耐振動性が低い。フレキシブル基板に代わり平板状の基板を使用すると、レイアウトの問題から取付け方向に合わせて基板を傾斜させることになるが、今度は車両前方からの視認性が悪くなってしまう。さらに、斬新な光の意匠に対するニーズがある。
【0005】
本発明は、これに鑑みてなされたものであり、例えば、車両の角部に取付けされる車両用灯具であり、耐振動性を向上させ、なおかつ斬新な光の意匠を形成する車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本開示のある態様では、灯室内に、発光素子を実装した平板状の基板と、前記基板の前面に配置されて、前記発光素子の光を前方に反射するリフレクターとを備えた車両用灯具において、前記発光素子の照射軸は、前記基板に対し直交し、
前記リフレクターは、前記発光素子を露出させるための挿通孔が設けられた、辺の数nの正面視多辺形状の底面部と、前記底面部の各辺から該底面部に対し直角以上の角度で斜め前方にそれぞれ延出し、前記発光素子を取り囲むように周方向に一体化されたn個の側方反射面とを備え、前記リフレクターの反射光が前記発光素子の照射軸に対し傾斜する所定の方向に配光されるように、前記n個の側方反射面の、前記発光素子の照射軸に対する傾斜が調整されて、前記発光素子の照射軸に対し傾斜する所定の方向に、前記発光素子と前記側方反射面に映りこむn個の前記発光素子の光による所定の意匠を形成する、ことを特徴とする車両用灯具を提供する。
【0007】
この態様によれば、例えば車両の角部に搭載され、基板を車両正面に向けることができずに斜めに配置しなければならない場合など、所望の方向へ発光素子の照射軸を向けることが出来ない場合に、リフレクターの反射面の延出方向を調整することで、配光を所望の方向へ向けることができる。斜めに配光を向けるために、フレキシブルなプリント基板を用いた場合、レイアウトの都合で光源の配置や方向を調整できるが、剛性が弱く、耐震剛性に懸念がある。本実施形態では、一枚の平板基板を配置するため、剛性が強く、耐振動性能も高い。さらにリフレクターに複数の側方反射面を用いて、反射面ごとに延出方向を調整することで、反射面に映り込む発光素子によって、一体的で斬新な光の意匠を形成できる。
【0008】
また、ある態様では、前記基板は、表面に複数の前記発光素子を搭載しており、前記リフレクターは前記発光素子の配置に合わせて同数だけ並設されたリフレクターユニットとして構成され、前記リフレクターの形成するそれぞれの光による意匠が、一体的に連続するように構成されるように構成した。
【0009】
従来、複数のリフレクターを並設した場合、その合成配光は、リフレクター間の位置に暗部を有してしまう。本態様によれば、これを防ぎ、隣り合うリフレクターの配光が一体的で連続し、一体感のある、一つの斬新な形態の光の意匠として認識される。また、一枚の平板に実装される平板の基板と、リフレクターの連続するリフレクターユニットを用いるため、部品数を減少させ、組み立て効率を向上させる。各部品が一体化されており剛性が高く、耐振動性能も高い。
【0010】
また、ある態様では、前記発光素子の照射軸が、搭載される車両の車軸方向とは、所定の角度をもつように、前記基板が前記車両の車軸方向とは傾斜して配置され、前記リフレクターの反射光が、前記車軸方向に配光されるように、前記n個の側方反射面の傾斜が調整されているように構成した。
【0011】
車両の角部に搭載される車両用灯具などは、車軸に対して傾斜して取付けられるため、基板も車軸に対して斜めに向けられて配置される。従来品では、LED光源は指向性が強いことから、正面からの視認性が低下する。本態様によれば、基板が斜めに取付けられても、リフレクターの反射光は車軸方向を向くため、車両の対向車、あるいは後続車のドライバーに対する灯具の配光の視認性を高める。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、耐振動性を向上させ、なおかつ斬新な光の意匠を提供する車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る車両用灯具を搭載した車両の平面図である。
図2】車両用灯具の正面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4】デイライトランニングランプの要部分解斜視図である。
図5図3の矢印DR1の方向から見たリフレクターユニットである。
図6】リフレクターユニットを構成するリフレクターの一つであり、(A)上面図、(B)正面図、(C)斜視図、(D)右側面図である。部品単体図であり、車両取付け状態ではなく、部品単体の正面(図3の矢印DR1方向)を基準としている。
図7図6のIIV-IIV線の断面図であり、リフレクターの反射方向を示すための説明図である。
図8図1の車両の前方部分の部分拡大図である。
図9】デイライトランニングランプの効果を示す説明図であり、(A)はインナーレンズを省略したアクセサリランプの車両取付け状態の車両正面図であり、(B)は(A)における点灯状態の光の態様である。
図10】変形例を示し、図6に対応する。
図11】変形例を示し、図8に対応する。
図12】変形例を示し、図9に対応する。
図13】アクセサリランプの分解斜視図である。
図14】アクセサリランプの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。本明細書において、構成部品単体の説明図(図6)を除き、上下方向/左右方向/前後方向などの方向は、車両用灯具が搭載された車両の運転手を基準として説明する。このため、右ハンドル仕様の車両に正対して正面視した際に、運転席側が右方、助手席側が左方となる。各図においては、各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。また、車軸方向とは、車両前後方向を示す。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施形態にかかる車両用灯具1L,1Rを搭載した車両Cの平面図である。
【0016】
車両用灯具1L,1Rは、左右一対で車両Cの前照灯を構成し、車両C前部の左右の角部に搭載される。右方に配置された車両用灯具1Rは、基本的に左方に配置された車両用灯具1Lと構成要素が同一で、車両用灯具1Lとは左右対称に構成されるため、車両用灯具1Lの説明により、車両用灯具1Rの説明を省略する。
【0017】
図2は車両用灯具1Lの正面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
【0018】
図2および図3に示すように、車両用灯具1Lは、ランプボディ2、ランプボディ2の開口部に取付けられる透明性のランプカバー4とを備える。ランプボディ2とランプカバー4は、灯室Sを画成している。
【0019】
車両用灯具1Lは、灯室S内に、ハイビームランプHL、ロービームランプLL、デイライトランニングランプDRL、およびアクセサリランプALを収容するコンビネーションランプである。
【0020】
ハイビームランプHL、ロービームランプLL、およびアクセサリランプALは、灯室S内に、車両Cを正面視して車幅方向に並んで配置されている。ハイビームランプHLおよびロービームランプLLは、従来周知の構成、例えば反射型、プロジェクタ型などの灯具ユニットを用いてよく、その種類は問わない。
【0021】
デイライトランニングランプDRLは、灯室S内の上方域に、車両用灯具1Lの上辺に沿って配置されている。
【0022】
図3に示すように、車両用灯具1Lは、車両Cの前部左方の角部に装着されるため、全体形状としては略直方体形状に構成されるが、車幅方向の外方向(左方)の端部が、車両後方側に向かって傾いた形態となっており、ランプカバー4の表面や矩形状の灯室Sが車軸に対して所定角度傾いて取付けされている。
【0023】
(デイライトランニングランプ)
図4はデイライトランニングランプDRLの要部分解斜視部である。
【0024】
図4に示すように、デイライトランニングランプDRLは、複数のLED光源11が実装された基板10と、リフレクターユニット20と、インナーレンズ40とを主に備える。
【0025】
LED光源11は、給電されることで発光するLED(light Emitting Diode)であり、その照射軸Xは、平板状の基板10に対して垂直(直行)となっている。本実施形態では、6個のLED光源11が、基板10の表面で水平方向に等間隔に並んで配置されている。
【0026】
リフレクターユニット20は、複数の同形のリフレクター30から主に構成される。各リフレクター30は、多辺形(本実施形態では略六角形)の底面31を有し、インナーレンズ40へ向けて開口するすり鉢状の凹部として形成される。リフレクター30の開口側の内面は、金属真空蒸着などの処理が施されており、反射面として作用する。
【0027】
リフレクター30は、LED光源11と同数だけ直線状に配列される。本実施形態では、略同形の六個のリフレクター30が水平方向に並設されている。各リフレクター30の開口の外周部に、外向きに突出する鍔部21が周設されており、鍔部21により、リフレクター30は直線状に連結されている。
【0028】
凹部形状であるリフレクター30の底面31にはLED光源11を挿通自在な挿通孔32が形成されている。LED光源11をその表面に実装した基板10が、リフレクターユニット20の背面に設置されると、挿通孔32毎にLED光源11が挿通され、底面31からリフレクター30の凹部内に顕れるようになり(図3参照)、リフレクター30はLED光源11の出射光を反射させ、所望の配光を形成する。
【0029】
インナーレンズ40は、透明部材で形成され、リフレクターユニット20の開口側に配置され、LED光源11からの出射光およびリフレクター30での反射光をインナーレンズ40内に導光し、ランプカバー4を通して車両用灯具1L外に出射させる。リフレクターユニット20と対向する側の内面は、例えば水平方向に延びるかまぼこ状のシリンドリカルレンズが連続して複数配置されたレンズカットとなっている。
【0030】
(リフレクターの態様)
図5は、リフレクターユニット20の単体図であり、図3の矢印DR1の方向(LED光源11の照射軸方向)から見た図である。図6は、リフレクター30を示し、(A)が上面図、(B)が斜視図、(C)が正面図、(D)が右側面図を示す。図6は部品単体図であり、車両取付け状態ではなく、部品単体の正面(図3の矢印DR1方向)を基準としていることに注意されたい。
【0031】
図5図6に示すように、リフレクター30の底面31は、6の辺からなる六角形であり、底面31に形成された挿通孔32、および開口部も挿通孔32も6の辺からなる六角形となっている。これらは正六角形ではなく、また、挿通孔32は、底面31の中央ではなく、一方の側方に偏って形成されている。図6(C)に示すように、これらは全て、リフレクター30を正面視して、挿通孔32の中心を原点として左右の領域に分けると、同形を、片方の領域では左右方向に圧縮させ、他領域では左右方向に伸長させた態様となっている。
【0032】
リフレクター30は、挿通孔32を通じてリフレクター30の内部に配置されるLED光源11の光を反射すべく、側方反射面33a~33fを有する。
【0033】
側方反射面33a~33fは、それぞれ六角形の底面31の1の辺から、垂直以上の角度で斜め前方に延出し、上縁が開口縁を構成し、底面31に配置されたLED光源11を取り囲むように周方向に一体的に配置される。
【0034】
側方反射面33a~33fは、前述の通り、LED光源11の照射光を反射するため、内側は金属蒸着を施された反射面となっており、該反射面でLED光源11の照射光を反射させ、その反射光がLED光源11の照射軸に対して傾斜する所定の方向に配光されるように、それぞれ傾斜が調整されている。
【0035】
これを、図を用いて詳しく説明する。図7は、図6のIIV-IIV線の端面図である。説明のため、LED光源11を実装した基板10も共に図示した。図8図1の拡大部分平面図である。図9は、車両Cの前方(図3の矢印DR2方向)から見た状態のデイライトランニングランプDRLを示し、(A)が車両搭載状態を示し(インナーレンズ40は省略)、(B)が、LED光源11発光状態(光の態様)を示す。
【0036】
図7に示すように、基板10とLED光源11の照射軸Xは直交している。側方反射面33aと、これに対向する位置にある側方反射面33dの、底面31との傾斜角度をそれぞれ角度α1,α2とする。角度α1>90度、角度α2>90度であり、側方反射面33a,33dはどちらも底面31から外側へ向けて傾斜して配置されている。角度α1<角度α2であり、側方反射面33dは、側方反射面33aよりも、より外側へ傾斜して配されている。側方反射面33aによる反射光を反射光Y1、側方反射面33dによる反射光を反射光Y2とすると、反射光Y1および反射光Y2が、照射軸Xに対して傾斜する同方向(図7に示す方向Y)へ配光されるように、側方反射面33aおよび側方反射面33dは傾斜を調整されている。本実施形態では、角度α2が角度α1より大きく構成されており、照射軸X方向から、側方反射面33dの配置方向へ傾倒した方向を方向Yとしてる。また、他の側方反射面33b,33c,33e,33fも同様に、その光の反射方向が全て方向Yとなるように構成されている。
【0037】
全ての側方反射面33a~33fは、その反射光を、同方向(図7に示す方向Y)へ配光し、なおかつLED光源11および側方反射面33a~33fに映り込む6個のLED光源11により、所定の意匠を形成するように、それぞれ傾斜およびその形状は、構成されている。本実施形態においては、側方反射面33a~33fは、LED光源11の映り込みやすさを考慮して、わずかに外側に凹状に湾曲した曲面であるが、平面で構成されてもよい。
【0038】
さらに隣り合うリフレクター30同士の光の意匠が一体的に連続するように、映り込み位置を考慮して、側方反射面33a~33fはその形状や傾斜角度、形態を調整されている。
【0039】
図8に示すように、本実施形態では、デイライトランニングランプDRLは、反射の主たる方向Yが車両Cの車軸方向となるように構成されている。デイライトランニングランプDRLは車両Cの角部に搭載されるため、灯室S内のレイアウト構成から、LED光源11を実装する基板10は、車軸に対して所定の角度に傾斜して搭載される。このため、LED光源11の照射軸Xは、車両の前方へ向けられず、左方へ傾いて向けられており、リフレクターユニット20を構成する側方反射面33a~33fは、それぞれが光の反射方向が車両前方となるように、構成されている。
【0040】
図9に示すように、対向車両の運転手や車両Cの前方の歩行者は、車両Cに搭載されたデイライトランニングランプDRLを、中心の一点の光とその周辺を円環状に囲む光が、水平方向に連続して一体化している、光の意匠として認識する。従来では、複数のリフレクターを用いて、映り込みやLED光源により光の意匠を形成しても、隣接するリフレクターの配光との間に暗部が発生し、直線的に連続していても、それぞれが単体であり、その集合であると認識されていた。本実施形態では、隣り合う側方反射面(側方反射面33a、33d)の映り込みや配置、また光の形態を考慮して、光が連続するように、傾斜や形状を調整することで、ユーザーに配光全体を一つの光の意匠であるかのように認識させている。
【0041】
(変形例)
図10図12に変形例を示す。図10は変形例であるリフレクター30´を示す。図10図6に対応し、部品単体図であるため、前方を図11のY´方向としているっことに注意されたい。図11図1の拡大部分図であり、車両Cの後方部を示す。図12は車両Cに搭載状態のリフレクターユニット20´ であり、車両後方より見た図(車両背面図)である。図11図8に、図12図9に対応している。
【0042】
本開示の構成に含まれるリフレクターの底面や開口部は、六角形に限らず、四角形などの3以上の多角形で構成されてよい。一例として図10には四角形の底面31´を備えるリフレクター30´を示した。
【0043】
また、本開示の構成は、デイライトランニングランプDRLに限らず、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジショニングランプ、バックランプ、フォグランプ、アクセサリランプ等の光学ランプを備える各種車両用灯具に、広く適用することができる。一例として、図11には、車両後方の角部に取付けられ、バックアクセサリランプBALを収用する車両用灯具1´を示した。
【0044】
バックアクセサリランプBALは基板10´を有し、基板10´は車軸に対して斜めに取り付けられる。基板10´に搭載されたLED光源11の照射軸X´は車両右後方の斜めに向かい、リフレクター30´の照射の方向Yは、車両後方に向かうように構成される。
【0045】
図12に示すように、複数のリフレクター30´は隣り合うリフレクター30同士が斜めに連結され、リフレクターユニット20´を構成する。光の態様は、斜め方向に一体的に連続して構成される。このように、複数のリフレクター30は、水平方向に限らず、鉛直方向や斜方、あるいは曲線状に連結されても良い。
【0046】
(アクセサリランプ)
次に、アクセサリランプALについて説明する。図13は、アクセサリランプALの分解斜視部であり、図14はアクセサリランプALの縦断面図である。
【0047】
図13および図14に示すように、アクセサリランプALは、LED光源61を実装した基板60、インナーレンズ70、およびアウターレンズ80を主に含んで構成される。
【0048】
基板60は細長の形状を有するとともに、複数(本実施形態においては3個)のLED光源61が所定の間隔で直線状に実装されている。
【0049】
インナーレンズ70は、透明部材で形成され、基板60に実装されたLED光源61の光出射面61a側に配置され、LED光源61の光出射面61aに対向する側の面が光の入射面71および光の反射面72を構成し、LED光源61と反対側の面が光の出射面73を構成している。
【0050】
インナーレンズ70の入射面71は、LED光源61からの出射光をインナーレンズ内に導光する光学機能を有し、それぞれLED光源61の光軸(基板60の垂線方向)を主軸とすると共に、主軸上のLED光源61の位置を焦点位置とする、LED光源61側に双曲面に近似した非球面からなる第1入射面71aと、第1入射面71aの上縁部から第1入射面71aを囲むようにLED光源61側に延長された略円筒状の第2入射面71bを有している。
【0051】
すなわち、それぞれのLED光源61の直前には、LED光源61毎に、凹状の入射面71が形成され、凹状の底面には、LED側に双曲面あるいは双曲面に近似した非球面からなる第1入射面71aを構成し、凹状の側面は、略円筒状の第2入射面71bを構成している。
【0052】
反射面72は、インナーレンズ70内を導光された光を内部反射して、インナーレンズ70内に戻す光学機能を有し、第2入射面71bの端部から逆端部(出射面73側)へむけて第2入射面71bの側方を外側へ開く環状傾斜面で構成されている。
【0053】
出射面73は、横方向に延びる複数のかまぼこ型のシリンドリカルレンズ73aが連続して並設されたレンズカットとなっており、インナーレンズ70内を導光された光を、対向配置されたアウターレンズ80に向けて出射する光学機能を有している。
【0054】
また、インナーレンズ70の表面、少なくとも入射面71と出射面73とには、表面を粗面化した、いわゆるシボ加工が施さされており、光拡散特性が付されている。光拡散特性を持たせるために、シボ加工に限らず、ステップ、ドットなどを刻成してもよい。
【0055】
アウターレンズ80は、インナーレンズ70と同様に透明部材で形成され、インナーレンズ70の出射面73側に配置される。インナーレンズ70の出射面と対向する側の面が光の入射面81を構成し、インナーレンズ70とは反対側の面が、光の出射面82を構成する。
【0056】
入射面81は、インナーレンズ70からの出射光をアウターレンズ80内に導光する光学機能を有しており、出射面82は入射面81から入射してアウターレンズ80内を導光された光をアウターレンズ80外、即ち、ランプカバー4を通り車両用灯具1L外に出射する光学機能を有している。
【0057】
入射面81は、インナーレンズ70の出射面73と同様に、かまぼこ型のシリンドリカルレンズ81aが連続して平行に並列されたレンズカットとなっている。
【0058】
アウターレンズ80の入射面81を構成するシリンドリカルレンズ81aは、インナーレンズ70の出射面73を構成するシリンドリカルレンズ73aと同方向(横方向)に延びる共に、そのピッチ(一つのシリンドリカルレンズ81aの幅、以下、第1ピッチP1と称する)は、インナーレンズ70に用いられているシリンドリカルレンズ73aのピッチ(以下、出射面73を構成するシリンドリカルレンズ73aのピッチを第2ピッチP2と称する)よりも大きくなるように構成されている。
【0059】
第1ピッチP1と第2ピッチP2は、数倍以上のピッチ差となっており、インナーレンズ70を構成するシリンドリカルレンズ73aの数は、アウターレンズ80を構成するシリンドリカルレンズ81aの数の数倍以上となっている。
【0060】
第1ピッチP1は1mm以下が好ましく、より好ましくは0.3mm~0.6mmとなっている。また、第2ピッチP2は3mm~10mmが好ましく、より好ましくは4mm~6mmとなっている。
【0061】
(アクセサリランプの作用効果)
アクセサリランプALのLED光源61から放射状に出射した光は、それぞれのLED光源61の直前に位置する、インナーレンズ70の入射面71を構成する第1入射面71aおよび第2入射面71bに向かう。第1入射面および第2入射面71bにはシボ加工が施されているため、拡散しながらインナーレンズ70内を導光されて出射面73に向かいう。出射面73を構成するシリンドリカルレンズ73aのレンズ効果により、インナーレンズ70内を導光された光は、横方向に放射状に広角に広げられて出射する。加えて、出射面73にもシボ加工が施されているため、導光された光は拡散しながら出射面73から出射する。
【0062】
インナーレンズ70の出射面73から出射した光は、アウターレンズ80の入射面81に向かう。入射面81を構成するシリンドリカルレンズ81aのレンズ効果により、屈曲光が狭角に狭められて、アウターレンズ80内を導光されて、出射面82より出射する。
【0063】
インナーレンズ70の入射面71および出射面73に施されたシボ加工は、拡散効果により、灯具外側からアクセサリランプALを見たユーザーに対して、LED光源61の外形をぼやかして視認させる効果がある。
【0064】
第2ピッチP2は比較的小さいため、灯具外側からアクセサリランプALを見たユーザーに対して、インナーレンズ70の出射面73を、横に細いライン状の発光体として視認させる効果がある。
【0065】
第1ピッチP1は比較的大きいため、灯具外側からアクセサリランプALを見たユーザーに対して、インナーレンズ70を拡大して見せる効果がある。
【0066】
また、ピッチが異なり、かつ同方向に延びる二つのシリンドリカルレンズ型の出射面73および入射面71により、灯具外側からアクセサリランプALを見たユーザーに対して、LED光源61を、光が動いているかのような疑似的な動的意匠として視認させる効果がある。
【0067】
これら効果の組み合わせにより、LED光源61の位置は、灯具外側からは視認し難くなり、アクセサリランプALは、灯具外側からアクセサリランプALを見たユーザーに対して、視認される角度や位置を変えるたびに、キラキラ輝く斬新な光の意匠を提供する。従来のランプでは、光源の位置が把握され、光の意匠は光源の組み合わせとして認識されるが、アクセサリランプALを見たユーザーは、LED光源61がどこにあるかわからず、光源を意識することがない。さらに、アクセサリランプALを、瞬くように発光し、なおかつ目線を変えるたびに発光形態が変化する、動的な光の意匠であるかのように認識する。
【0068】
上記の効果を得るため、インナーレンズ70の光軸方向の厚みである長さW(図14参照)は、10mm以上が好ましい。より好ましくは、20mm~40mmとなっている。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、1L、1R :車両用灯具
10 :基板
11 :LED光源
20 :リフレクターユニット
30 :リフレクター
31 :底面
32 :挿通孔
33a~33f :側方反射面
40 :インナーレンズ
C :車両
DR1 :矢印
DR2 :矢印
DRL :デイライトランニングランプ
S :灯室
X :照射軸
Y :方向
図1
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