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特許7587944車体フレーム用部材、及び車体フレーム用部材の製造方法
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  • 特許-車体フレーム用部材、及び車体フレーム用部材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車体フレーム用部材、及び車体フレーム用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62D21/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020148110
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042636
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-06-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 和博
(72)【発明者】
【氏名】大川 修一
【審査官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272413(JP,A)
【文献】特開2008-213028(JP,A)
【文献】特開2013-027912(JP,A)
【文献】特開2013-202665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に延出されたウェブ、当該ウェブの上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ、及び当該ウェブの下端から車幅方向内方に延出された下部フランジによって略U字状に形成されるとともに、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部を有する車体フレーム用部材であって、
前記キックアップ部に、車幅方向外方又は内方に突出された凸部が、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成されていることを特徴とする車体フレーム用部材。
【請求項2】
車体前後方向に延出されたウェブ、当該ウェブの上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ、及び当該ウェブの下端から車幅方向内方に延出された下部フランジによって略U字状に形成されるとともに、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部を有する車体フレーム用部材を製造する方法であって、
板材を準備する工程と、
前記板材を一対の成形型の間に挟んでプレス成形することで、当該板材を略U字状に折り曲げて前記ウェブ、前記上部フランジ、前記下部フランジ、及び前記キックアップ部を形成するとともに、当該キックアップ部に、車幅方向外方又は内方に突出された凸部を、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成する工程と、を含む車体フレーム用部材の製造方法。
【請求項3】
前記一対の成形型の一方は、前記キックアップ部を設ける部位に、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って隆起部が設けられ、当該一対の成形型の他方は、当該キックアップ部を設ける部位に、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って窪み部が設けられていて、
前記板材を前記一対の成形型の間に挟んでプレス成形することで、前記隆起部と前記窪み部とによって前記凸部を前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成するようにした請求項2に記載の車体フレーム用部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームを構成する車体フレーム用部材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体フレームを構成する車体フレーム用部材として、例えばサイドメンバーのように断面形状が略U字状になるものが知られている。図5(a-1)、(b-1)は、従来の車体フレーム用部材の一例を示している。ここで図5(a-1)は、従来の車体フレーム用部材101の上方からの斜視図であり、図5(b-1)は、下方からの斜視図である。図示したように車体フレーム用部材101は、上下方向に配置され車体前後方向に延出されたウェブ102と、ウェブ102の上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ103と、ウェブ102の下端から車幅方向内方に延出された下部フランジ104によって略U字状に形成されている。また車体フレーム用部材101における長さ方向中間部には、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部105が設けられている。
【0003】
ところで車体フレーム用部材101のような部材は、一般的に板材を一対の成形型に挟んでプレス成形で製造される。ここで、キックアップ部105のようにフランジ面が湾曲しているプレス成形品は、成形時にフランジ面が伸びる部分には引張応力が発生し、縮む部分には圧縮応力が発生する。この点について、図5を参照しながら説明する。
【0004】
図5(a-2)は、板材を折り曲げる前の状態における上部フランジ103のキックアップ部105の周辺を示している。図5(a-2)の状態から一対の成形型で板材を挟んでいくと、図5(a-3)に示すように板材が曲がり始め、図5(a-4)に示すように、ウェブ102、上部フランジ103、キックアップ部105が形成される。なお、図中の符合106は折れ部(ウェブ102と上部フランジ103との境界部)を示し、符合107は、上部フランジ103におけるフランジ面変化端部(フランジ面における平坦状になる部位と湾曲する部位との境界部)を示している。
【0005】
このようにしてフランジ面が湾曲する部材を形成する場合、上部フランジ103のフランジ面におけるフランジ端部では圧縮応力108が発生し、折れ部106におけるフランジ面変化端部107の間では引張応力109が発生する。一方、プレス成形後はスプリングバックが生じて、図5(a-4)に示す状態から図5(a-5)に示す状態に変化する。すなわち、上部フランジ103のフランジ端部では、図5(a-5)に示すように長手方向外側へのスプリングバック110が発生し、折れ部106では長手方向内側へのスプリングバック111が発生する。このためウェブ102は、上部フランジ103の周辺において目標形状112に対して車幅方向内方へ変形する。
【0006】
これに対して下部フランジ104におけるキックアップ部105の周辺では、図5(b-2)に示す状態から図5(b-3)、図5(b-4)に示すように板材を曲げていくと、上部フランジ103とは逆向きの応力が発生する。すなわち、図示したようにウェブ102と下部フランジ104との境界部を折れ部113とし、下部フランジ104におけるフランジ面の変化する端部をフランジ面変化端部114とする場合、下部フランジ104のフランジ面におけるフランジ端部では引張応力115が発生し、折れ部113におけるフランジ面変化端部114の間では圧縮応力116が発生する。そして図5(b-5)に示すようにプレス成形後において、下部フランジ104のフランジ面には、フランジ端部では長手方向内側へのスプリングバック117が発生し、折れ部113では長手方向外側へのスプリングバック118が発生する。このためウェブ102は、下部フランジ104の周辺において目標形状112に対して車幅方向外方へ変形する。
【0007】
このようにキックアップ部105において、上部フランジ103の周辺は車幅方向内方へ変形し、下部フランジ104の周辺は車幅方向外方へ変形する。従って、図6に示す車体フレーム用部材101において、キックアップ部105の断面形状(A-Aに沿う断面形状)は、目標形状112に対して傾いた状態になる。なお図6は、図5(a)における矢印Xに沿う矢視図である。
【0008】
従来は、このような傾いた状態から目標形状112が得られるよう、車体フレーム用部材101の成形型にスプリングバックする方向とは逆向きの傾きを設けておき、図7(a)に示すように、成形時はウェブ102を傾ける一方、図7(b)に示すようにスプリングバックすることによって目標形状になるようにしていた。
【0009】
しかしこの方法では、例えば使用する板材の強度向上等によってスプリングバックする量が増大する場合は、成形型に適用する目標形状への見込み量も増大させる必要がある。スプリングバックする量が増えるに従い、見込通りに目標形状に近づけることが難しくなるため、成形型の作り込みに時間を要し、費用も嵩むことになる。またスプリングバックの見込み量が所定量を超えると、図8(a)に示すようにスプリングバックする方向とは逆向きにウェブ102を傾けていても、図8(b)に示すようにウェブ102に対する上部フランジ103と下部フランジ104の角度は目標形状と相違することになる。なお、成形後の形状が図8(c)に示すような状態になる場合、上部フランジ103については、図8(d)に示すようにスプリングバック後の形状を目標形状に近づけることが可能である。しかし下部フランジ104については、図8(c)、(d)に示すように目標形状を得ることができない。また下部フランジ104についてもスプリングバックを考慮した形状になるようにすると、図8(e)に示すように、成形型119が軌道120に沿って移動する際、成形型119と下部フランジ104が干渉することになる。従ってこのような方法で下部フランジ104を目標形状に近づけることはできない。このため、下部フランジ104を目標形状に近づけるには、図8(f)に示すように、プレス成形後に下部フランジ104を曲げる工程を追加する必要がある。
【0010】
なお従来、屈曲部が湾曲しているプレス成形品において、プレス成形後のスプリングバックの発生を抑制又は防止する技術が知られている(下記の特許文献1参照)。しかしこの技術は、屈曲部とは逆方向で円弧状に湾曲する凹部を設けるものであり、上述した車体フレーム用部材101とは技術内容が相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2013-202665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような従来の問題点を解決することを目的とするものであって、スプリングバックによる変形を抑制することが可能な車体フレーム用部材、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、車体前後方向に延出されたウェブ、当該ウェブの上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ、及び当該ウェブの下端から車幅方向内方に延出された下部フランジによって略U字状に形成されるとともに、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部を有する車体フレーム用部材であって、記キックアップ部に、車幅方向外方又は内方に突出された凸部が、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、車体前後方向に延出されたウェブ、当該ウェブの上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ、及び当該ウェブの下端から車幅方向内方に延出された下部フランジによって略U字状に形成されるとともに、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部を有する車体フレーム用部材を製造する方法であって、板材を準備する工程と、前記板材を一対の成形型の間に挟んでプレス成形することで、当該板材を略U字状に折り曲げて前記ウェブ、前記上部フランジ、前記下部フランジ、及び前記キックアップ部を形成するとともに、当該キックアップ部に、車幅方向外方又は内方に突出された凸部を、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成する工程と、を含む車体フレーム用部材の製造方法でもある。
【0015】
そして前記一対の成形型の一方は、記キックアップ部を設ける部位に、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って隆起部が設けられ、当該一対の成形型の他方は、当該キックアップ部を設ける部位に、前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って窪み部が設けられていて、前記板材を前記一対の成形型の間に挟んでプレス成形することで、前記隆起部と前記窪み部とによって前記凸部を前記上部フランジ、前記ウェブ、及び前記下部フランジに亘って一体的に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スプリングバックによる変形を抑制することができるため、工程を追加することなく目標形状の車体フレーム用部材を得ることができる。従って、従来と比較して製造時の工程及び費用の低減が期待される。また、スプリングバック量が抑制されるため、成形型の作り込みに必要な時間の短縮及び費用の抑制が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る車体フレーム用部材の一実施形態を示した図である。
図2図1の車体フレーム用部材でスプリングバックによる変形が抑制できる点を説明するための図である。
図3図1に示した車体フレーム用部材の変形例を示した図である。
図4図1に示した車体フレーム用部材の更なる変形例を示した図である。
図5】従来の車体フレーム用部材でのスプリングバックによる変形について説明するための図である。
図6】従来の車体フレーム用部材でのスプリングバックによる変形について説明するための図である。
図7】従来のスプリングバックによる変形への対応方法について説明するための図である。
図8】従来のスプリングバックによる変形への対応方法に関する問題点について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る車体フレーム用部材を具現化した一例について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る車体フレーム用部材の一実施形態を示した図である。図1(a)に示すように本実施形態の車体フレーム用部材1は、上下方向に配置され車体前後方向に延出されたウェブ2と、ウェブ2の上端から車幅方向内方に延出された上部フランジ3と、ウェブ2の下端から車幅方向内方に延出された下部フランジ4によって略U字状に形成されている。また車体フレーム用部材1における長さ方向中間部には、図1(b)に示すように、車体上下方向に屈曲されたキックアップ部5が設けられている。本実施形態の車体フレーム用部材1は、図1(c)に示すようにキックアップ部5においてウェブ2が車幅内外方向に屈曲している。なお本発明に係る車体フレーム用部材は、図1(c)に示すものに限られず、図1(d)に示すように、キックアップ部5においてウェブ2が車幅内外方向に屈曲しておらず、ストレート状になるものでもよい。
【0020】
図示したようにウェブ2には、キックアップ部5が設けられた部位において、車幅方向外方に突出された凸部21が、ウェブ2の上端から下端に亘って一体的に形成されている。
【0021】
本実施形態の車体フレーム用部材1によれば、このような凸部21を設けることによって、図5に示した従来の車体フレーム用部材101に比してスプリングバックによる変形を抑制することが可能である。この点に関し、図2を参照しながら説明する。
【0022】
図2(a-1)は、図1に示した車体フレーム用部材1の上方からの斜視図であり、図2(b-1)は、下方からの斜視図である。本実施形態の車体フレーム用部材1は、以下に説明するように、板材を一対の成形型の間に挟んでプレス成形することによって形成される。本実施形態で使用する板材は、平板状の素材を所定の外形にしたブランク材である。ブランク材を使用することによって、プレス成形した後に周囲の不用な部位をカットする作業が不用となる。なお、車体フレーム用部材1に使用する板材はブランク材に限られない。また図示は省略するが、本実施形態において一対の成形型における一方は、車体フレーム用部材1における車幅方向内面に対応する形状で形作られていて、他方は、車体フレーム用部材1における車幅方向外面に対応する形状で形作られている。また成形型の一方には、ウェブ2のキックアップ部5が設けられる部位に、ウェブ2の上端から下端に亘って隆起部が設けられ、成形型の他方には、ウェブ2のキックアップ部5が設けられる部位に、ウェブ2の上端から下端に亘って窪み部が設けられている。
【0023】
図2(a-2)は、板材を折り曲げる前の状態における上部フランジ3のキックアップ部5の周辺を示している。図2(a-2)の状態から一対の成形型で板材を挟んでいくと、図2(a-3)に示すように板材が曲がり始め、図2(a-4)に示すように、ウェブ2、上部フランジ3、キックアップ部5が形成されるとともに、凸部21が形成される。なお、図中の符合6は折れ部(ウェブ2と上部フランジ3との境界部)を示し、符合7は、上部フランジ3におけるフランジ面変化端部を示している。
【0024】
このようにしてフランジ面が湾曲する部材を形成する場合、図2(a-4)に示すように、上部フランジ3のフランジ面におけるフランジ端部では圧縮応力8が発生する。このためフランジ端部では、成形後、図2(a-5)に示すように長手方向外側へのスプリングバック10が発生する。また図2(a-4)に示すように、折れ部6におけるフランジ面変化端部7の間では引張応力9が発生するが、凸部21が成形される際に生じる応力22が引張応力9を分断するように作用する。すなわち、図5に示した従来の車体フレーム用部材101において、折れ部106におけるフランジ面変化端部107の間では、引張応力109に伴うスプリングバック111が一様に発生していたものの、本実施形態では引張応力9が応力22に伴って生じるスプリングバック23に伴って、折れ部6に発生する長手方向内側へのスプリングバック11は分断されて小さくなる。よって、ウェブ2における上部フランジ3の周辺での車幅方向外方への変形は、図5に示した従来の車体フレーム用部材101よりも抑制される。
【0025】
そして下部フランジ4におけるキックアップ部5の周辺では、図2(b-2)に示す状態から図2(b-3)、図2(b-4)に示すように板材を曲げていくと、上部フランジ3とは逆向きの応力が発生する。すなわち、図示したようにウェブ2と下部フランジ4との境界部を折れ部13とし、下部フランジ4におけるフランジ面の変化する端部をフランジ面変化端部14とする場合、下部フランジ4のフランジ面におけるフランジ端部では引張応力15が発生する。このためフランジ端部では、成形後、図2(b-5)に示すように長手方向内側へのスプリングバック17が発生する。また図2(b-4)に示すように、折れ部13におけるフランジ面変化端部14の間では圧縮応力16が発生するが、凸部21が成形される際に生じる応力24が圧縮応力16を分断するように作用する。このため、図2(b-5)に示すように応力24に伴って生じるスプリングバック25に伴って、折れ部13に発生する長手方向外側へのスプリングバック18は分断され、従来よりも小さくなる。従って、ウェブ2における下部フランジ4の周辺での変形は、従来の車体フレーム用部材101よりも抑制される。
【0026】
このように本実施形態の車体フレーム用部材1によれば、スプリングバックによる変形を抑制することができる。このため、プレス成形を行った後に目標形状に修正する工程を追加する必要がないため、製造工程を減らして費用低減を図ることができる。また、スプリングバック量が抑制されるため、従来に比して成形型の作り込みに必要な時間が短縮できるうえ、費用も抑えることができる。
【0027】
上述した車体フレーム用部材1は凸部21を備えるものであったが、凸部21に替えて図3(a-1)に示すような凸部26を設けてもよい。凸部26は、ウェブ2におけるキックアップ部5が設けられた部位において車幅方向内方に突出され、ウェブ2の上端から下端に亘って一体的に形成されている。
【0028】
凸部26を備える車体フレーム用部材1においても、凸部21を備えるものと同様にして形成することができる。すなわち、図3(a-2)の状態から一対の成形型で板材を挟んでいくと、図3(a-3)に示すように板材が曲がり始め、図3(a-4)に示すように、ウェブ2、上部フランジ3、キックアップ部5が形成されるとともに、凸部26が形成される。この場合も、図3(a-4)に示すように、折れ部6におけるフランジ面変化端部7の間では引張応力9が発生するが、凸部26が成形される際に生じる応力27が引張応力9を分断するように作用する。従って図3(a-5)に示すように応力27に伴って生じるスプリングバック28に伴って、折れ部6に発生する長手方向内側へのスプリングバック11も凸部21と同様に小さくなるため、ウェブ2における上部フランジ3の周辺での車幅方向外方への変形を抑制することができる。また凸部21の場合と同様、凸部26を設ける場合も、ウェブ2における下部フランジ4の周辺での変形を抑制することができる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0030】
例えば本発明における凸部は、図4(a)に示すように複数設けてもよい。なお図4(a)では凸部21と凸部26を隙間なく並べたが、2つの間に隙間を設けてもよい。また図4(b)に示す凸部29のように、上下方向に直線状に延在せずに湾曲するように延在するものでもよい。また図4(c)、(d)に示すように、ウェブ2におけるウェブ面の位置が車幅方向外方又は内方に変化するオフセット部30を設ける場合は、このオフセット部30を上記の凸部として機能させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1:車体フレーム用部材
2:ウェブ
3:上部フランジ
4:下部フランジ
5:キックアップ部
21:凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8