(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/20 20060101AFI20241114BHJP
A61H 9/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A47K3/20
A61H23/00 521
(21)【出願番号】P 2020154988
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢治
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-222118(JP,A)
【文献】実開平02-141281(JP,U)
【文献】特開2017-106183(JP,A)
【文献】特開2003-153975(JP,A)
【文献】特開2019-013515(JP,A)
【文献】特開2016-007361(JP,A)
【文献】特開2016-007360(JP,A)
【文献】実開平07-017185(JP,U)
【文献】特開2019-170799(JP,A)
【文献】特開2017-169798(JP,A)
【文献】実開平06-036481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
E03C 1/00-1/10
A61H 7/00-15/02
A61H 19/00-31/02
A61H 33/00-37/00
B05B 1/00-1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が供給され、
上部が開口した略直方体の形状を有する浴槽へ吐水する第1吐水口を有する本体部と、
前記本体部の内部を流通して吐水する湯水の流路と、を備え、
前記流路は、上流側に設けられ前記本体部の下方から上方へ延びる上流部と、下流側に設けられ、上方から下方へ延びる下流部と、を有し、
前記第1吐水口は、前記上流部の上端よりも下方に配置され、
前記流路は、前記本体部の少なくとも上方で前記浴槽の短手方向に沿って横長に拡がり、
前記本体部は、前記浴槽の側壁の短手方向に沿って横長に延び、前記流路を流通する湯水が一時的に滞留可能なチャンバを有し、
前記第1吐水口は、前記本体部の延びる方向に沿って連続的に延び、
前記チャンバの長さ寸法は、前記第1吐水口の長さ寸法と同等かそれよりも小さく、
前記本体部の下方には、供給される湯水を下方から上方へ通す貫通孔を有する部材が配置され、
前記チャンバは、前記貫通孔の上方に位置する前記本体部の上方に形成される、吐水装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第1吐水口と異なる位置に湯水を吐水する第2吐水口を有する、請求項
1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記第1吐水口は、前記
貫通孔を有する部材の上端よりも下方に位置する、請求項1又は2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記本体部は、幅方向の略中央部に配置され滞留した湯水を前記本体部から排出させる水抜き孔を有する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の上縁面に吐水装置を設け、入浴中の使用者に対して吐水する技術が知られている。湯水の流路は、吐水装置の下方から延び、吐水装置の前方側へと屈曲して湯水を浴槽内部へ流している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐水装置の複数の箇所から吐水するようにした場合、複数の流路で湯水を流すためのスペースがなくなり、吐水装置が大型化する懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、湯水が供給され、浴槽へ吐水する吐水口を有する本体部と、前記本体部の内部を流通して吐水する湯水の流路と、を備え、前記流路は、上流側に設けられ前記本体部の下方から上方へ延びる上流部と、下流側に設けられ、上方から下方へ延びる下流部と、を有する、吐水装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態の吐水装置が設けられた浴槽を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の吐水装置の本体部の斜視図である。
【
図4A】
図2のA-A線で切断した本体部の断面図である。
【
図4B】
図2のB-B線で切断した本体部の断面図である。
【
図5A】他の実施形態の本体部を部分的に破断して平面から視た図である。
【
図5B】他の実施形態の本体部を部分的に破断して側面から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、吐水装置1は、浴槽100の上縁面120に設けられ、使用者の首や肩等に吐水を行う装置である。
【0008】
浴槽100は、浴槽本体110と、上縁面120と、を有する。浴槽100は、上部が開口した略直方体の形状を有し、湯水を貯水可能に形成される。
【0009】
浴槽本体110は、底面部111と、側壁としての側壁部112と、排水口(図示せず)と、を有する。底面部111は、略長方形で四隅が湾曲している。側壁部112は、底面部111から上方に延びる。
【0010】
上縁面120は、側壁部112の上端から浴槽本体110の四周の外側へ延出する部分である。上縁面120は、概ね平坦に形成され、外側から浴槽本体110側に向かって排水勾配が形成されている。
【0011】
吐水装置1は、浴槽100の上縁面120の上に設けられる。詳細には、上縁面120のうち短手方向に延びる部分の上に配置される。本明細書の説明において、浴槽100の短手方向から吐水装置1を見た方向を正面とし、正面視の左右を結ぶ方向を吐水装置1の幅方向とする。さらに、幅方向に直交し、浴槽本体110の内側と外側とを結ぶ方向を吐水装置1の前後方向とする。吐水装置1は、枕部2と、本体部3(
図2参照)と、ベースプレート4(
図3参照)と、給水機構5と、流路6と、を有する。
【0012】
枕部2は、使用者が頭部を載せることが可能な高さを有し、上縁面120から凸となるように配置される。枕部2は、吐水装置1の外形を規定する部分であり、本体部3の他の要素を覆うように配置される。枕部2は、幅方向に長い横長の形状を有する。
【0013】
本体部3は、
図2に示すように、枕部2の下方及び内部に配置され、湯水が供給されて浴槽100へ湯水を吐水する機構を備える。本体部3は、浴槽本体110の側壁部112の短手方向に沿って延びる横長の形状を有する。本体部3は、吐水口としての第1吐水口31及び一対の第2吐水口32と、上ケース33と、下ケース34と、照明装置35と、整流こま36(
図3参照)と、フロントカバー37と、を有する。
【0014】
下ケース34は、上縁面120の上に固定され、本体部3の土台となる部分である。下ケース34は、上縁面120から上方に所定高さを有し、例えば本体部3の半分程度の高さを有する。
図3に示すように、下ケース34は、凹部341と、前壁部342と、を有する。
【0015】
凹部341は、長円を半分に割ったような形状に形成され、下ケース34の上面で周囲よりも所定高さ低く形成された面である。凹部341の底面には、さらに高さの異なる段差が形成されており、凹部341は、傾斜部341aと、整流こま設置部341bと、給水機構接続部341cとを有する。
【0016】
傾斜部341aは、凹部341の前方側が、凹部341の前後方向の略中央部から前端部まで上方に向かって傾斜する部分である。すなわち、凹部341の前方側は、下方から上方へ向かって傾斜する平坦な面に形成される。傾斜部341aは、後述する上ケース33の支持部332の下面に隙間を空けて対向して配置される。
【0017】
整流こま設置部341bは、凹部341の後方側に配置される。整流こま設置部341bは、凹部341の底面から突出するリブ341dによって凹部341の他の部分と区切られる部分であり、後述する整流こま36がリブ341dの後方に固定される。
【0018】
給水機構接続部341cは、凹部341の幅方向中央かつ後方側に形成される。給水機構接続部341cは、凹部341の底面の他の部分よりもより低く窪んでおり、概ね上部が開口した直方体状に窪んでいる。給水機構接続部341cの幅方向中央側には、後述する給水機構5の第1給水ホース51を接続可能な円筒状の突起が、下方に向かって突出している。
【0019】
前壁部342は、凹部341の底面から下方に延び、下ケース34の前壁を形成する部分である。前壁部342は、幅方向中央から端部側に向かって徐々に浴槽本体110の内側へとせり出して形成されている。
【0020】
整流こま36は、本体部3の下方に配置され、下ケース34の凹部341の上に取り付けられる。整流こま36は、下ケース34に沿って横長に形成され、凹部341側に向かって開口するとともに上面が閉じた蓋のような形状を有する。整流こま36は、整流部361と、接続蓋部362と、水抜き孔363と、を有する。
【0021】
整流部361は、本体部3の幅方向に沿って横長に形成され、凹部341側に向かって開口した縦断面視略コの字形状を有する。整流部361は、本体部3の幅方向に沿って、二つ並んで配置される。それぞれの整流部361は、側壁部361aと、上面部361bと、貫通孔361cと、を有する。側壁部361aは、凹部341から上方へ起立し、側壁部361aの周囲を囲むように配置される。上面部361bは、側壁部361aの上端に配置され、平坦な天面である。貫通孔361cは、上面部361bに形成され、整流こま36の幅方向に沿って複数並んで形成される。貫通孔361cは、本体部3に供給される湯水を下方から上方へ通すように配置されている。
【0022】
接続蓋部362は、下ケース34の凹部341に設けられた給水機構接続部341cを覆うように蓋状に形成される。接続蓋部362では、下蓋状に形成された部分の後側の幅方向の中央部が後方に突出し、2つ並んだ整流部361を凹部341の底面側で接続する。2つ並んだ整流部361と接続蓋部362は、一体に形成されている。
【0023】
水抜き孔363は、本体部3の幅方向の略中央部に配置される。水抜き孔363は、二つ並ぶ整流部361同士の間で、接続蓋部362の後方に突出する部分に形成された貫通孔である。水抜き孔363は、下ケース34の凹部341の給水機構接続部341cの上方に位置する。水抜き孔363は、水を給水機構接続部341cへ通過させることができる。
【0024】
上ケース33は、下ケース34の上部に配置されるとともに、下ケース34の後部を覆うように取り付けられる。上ケース33は、
図4A及び
図4Bに示すように、カバー面331と、支持部332と、中空部333と、を有する。
【0025】
カバー面331は、本体部3の後方から前方へ延び、本体部3を覆う部分である。カバー面331は、本体部3の前端まで至らない。支持部332は、カバー面331の前端から下方に延び、屈曲して前方側へ突出する。
【0026】
支持部332は、上ケース33の幅方向に沿って形成される。支持部332には、後述する照明装置35が取り付けられる。
【0027】
中空部333は、上ケース33と下ケース34との間に形成される。中空部333は、後述する流路6を流通する湯水が一時的に滞留可能なチャンバを構成する。中空部333は、整流こま36の上方で側壁部112の短手方向に沿って延びており、中空部333の長さ寸法は、第1吐水口31の長さ寸法と同等かそれよりも小さい。中空部333は、本体部3の上方に形成される。本体部3の上方とは、整流こま36の貫通孔361cよりも上方を意味する。
【0028】
照明装置35は、上ケース33の前方にスペーサー38を介して取り付けられる。照明装置35は、本体部3に沿う横長の形状を有し、第1吐水口31から吐水される湯水を照らすように配置される。
【0029】
フロントカバー37は、上ケース33の前端に上ケース33から連続するように取り付けられ、照明装置35の上部を覆う。フロントカバー37は、本体部3の上部全面に、本体部3の幅方向に沿って取り付けられる。
【0030】
第1吐水口31は、本体部3の延びる方向に沿って連続的に形成され、本体部3の幅方向の一方側の端部から他方側の端部まで延びる。第1吐水口31は、
図4Aに示すように、上ケース33の支持部332の下面と、下ケース34の上面、すなわち凹部341の傾斜部341aとの間の細い溝により構成され、スリット状に形成されて浴槽100へ吐水する。第1吐水口31からは湯水が薄い膜状に形成され、使用者の肩に向けて吐水される。
【0031】
第2吐水口32は、本体部3における下ケース34の前壁部342に形成される。第2吐水口32は、第1吐水口31の下方で、本体部3の幅方向中央側に、間を空けて2つ配置され、浴槽100へ吐水する。第2吐水口32は、第1吐水口31と異なる位置、すなわち使用者の首に対して湯水を吐水する。
図4Bに示すように、第2吐水口32の内側には、第2吐水口32から吐出される水を波打つように発射するための首湯ユニット320が配置されている。首湯ユニット320は、下ケース34に取り付けられる。
【0032】
ベースプレート4は、本体部3の下面と浴槽100の上縁面120との間に配置され、本体部3を固定するための板状の部材である。
【0033】
給水機構5は、外部の給水源から本体部3に接続される第1給水ホース51、第2給水ホース52、ポンプ及び弁等(図示省略)を有する。第1給水ホース51は、上縁面120の裏側を介して本体部3の下方に接続され、第1吐水口31から吐水される湯水を供給される。第2給水ホース52は、同様に本体部3の下方に接続される。第2給水ホース52は、首湯ユニット320に接続され、第2吐水口32から吐水される湯水を供給する。
【0034】
次に湯水の流路6について説明する。流路6は、本体部3の内部を流通して第1吐水口31及び第2吐水口32へ至る。第1吐水口31への流路6は、上流側に設けられる上流部61と、下流側に設けられる下流部62と、を含む。流路6は、側壁部112のうちの一辺が延びる方向、すなわち本実施形態においては、浴槽100の短手方向に沿って横長に拡がる。
【0035】
上流部61は、給水源から供給されて本体部3へ流入する。上流部61は、下ケース34の下方から上方へ延びるように形成される。
図4A及び
図4Bの黒い矢印に示すように、第1給水ホース51から本体部3へ流入した湯水は、下ケース34の凹部341を満たすように下ケース34内で広がりながら、下ケース34に取り付けられた整流こま36を通過する。整流こま36には、複数の貫通孔361cが形成されているので、
図4Bに示すように、湯水は貫通孔361cを通って下ケース34から上方へと流れる。貫通孔361cを通過した湯水は、整流こま36の上方にある上ケース33の中空部333へ流入する。中空部333に流入した湯水は、本体部3の上方で、本体部3の幅方向に沿って、すなわち浴槽100の縁に沿って横長に整流されながら拡がっていく。
【0036】
下流部62は、本体部3の上方から下方へ延びる。上ケース33の中空部333で広がった湯水は、中空部333から上ケース33の支持部332の下へ流れ、支持部332の下と、下ケース34の傾斜部341aとの間の第1吐水口31を通り、薄い膜状になって浴槽本体110の内側へ向かって吐水される。
【0037】
吐水装置1が使用されない間、流れきらなかった水が上ケース33の中空部333や下ケース34の凹部341等に滞留することが考えられる。しかし、整流こま36の幅方向中央部には、水抜き孔363が形成されている。
図4Aに示すように、水抜き孔363は、凹部341の最も下方に窪んだ給水機構接続部341cの上部に位置している。このため、水抜き孔363を通過した水は、給水機構接続部341cを介して第1給水ホース51へ抜けることができる。水抜き孔363によって、滞留した湯水を本体部3から排出させることができる。
【0038】
吐水装置1における第2吐水口32への流路6は、
図4Bの白抜き矢印に示すように、第2給水ホース52から首湯ユニット320を通過し、第2吐水口32へと流れる。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。吐水装置1を、湯水が供給され、浴槽へ吐水する第1吐水口31、第2吐水口32を有する本体部3と、本体部3の内部を流通して吐水する湯水の流路6と、を含んで構成した。流路6を、上流側に設けられ本体部3の下方から上方へ延びる上流部61と、下流側に設けられ、上方から下方へ延びる下流部62と、を含んで構成した。吐水装置1の本体部3を流れる第1吐水口31への流路6を、上流部61で下から上へ流すように構成した。これにより、整流経路を長くすることができ、流路6を湯水が流れている間に湯水の速度や方向などを整える整流性能が向上する。
【0040】
本実施形態によれば、流路6を、浴槽100の側壁部112のうちの一辺が延びる方向に沿って横長に拡がるように構成した。流路6が横長に拡がることで、吐水するための湯水を吐水装置1の幅方向の一方から他方へ行き渡らせることができ、これにより整流性能が向上する。例えば、第1吐水口31がスリット状に細長く形成されている場合、湯水を均一に吐水することが可能となる。
【0041】
本実施形態によれば、浴槽100を、上部が開口した略直方体の形状を有するように形成した。流路6を、本体部3の少なくとも上方で、浴槽100の短手方向に沿って横長に拡がるように配置した。これにより、吐水するための湯水を、本体部3の上方、上流部61における下流部62に流れる直前に、浴槽100の短手方向に沿って横長に行き渡らせることができ、整流性能が向上する。例えば、第1吐水口31がスリット状に細長く形成されている場合、浴槽100の短手方向にもたれた使用者の肩に向けて湯水を均一に吐水することが可能となる。
【0042】
本実施形態によれば、本体部3を、側壁部112の短手方向に沿って横長に延び、流路6を流通する湯水が一時的に滞留可能な中空部333と、本体部3の延びる方向に沿って連続的に延びる第1吐水口31と、を含んで構成した。中空部333の長さ寸法を、第1吐水口31の長さ寸法と同等かそれよりも小さく構成した。これにより、流路6が本体部3の幅方向の一方から他方まで行き渡り、第1吐水口31の長さ寸法と同等かそれよりも小さい長さに範囲に湯水が貯まるので、第1吐水口31から均等な膜状に吐水される。
【0043】
本実施形態によれば、本体部3を、第1吐水口31と異なる位置に湯水を吐水する第2吐水口32を含んで構成した。第1吐水口31への流路6が上流部61で下方から上方に延びるように形成されているので、本体部3に第2吐水口32や、第2吐水口32から吐水する湯水を別途供給するためのスペースを確保することができる。このため、第2吐水口32を設けても、吐水装置1が大型化することを防止し、第2吐水口32を設けない場合と比べて同じ高さで構成することが可能になる。具体的には、例えば、第2吐水口32を第1吐水口31の下方に配置する等、第1吐水口31及び第2吐水口32を上下に配置することが可能になるため、本体部3の高さが高くなることを防止することができる。
【0044】
本実施形態によれば、本体部3の下方に、供給される湯水を下方から上方へ通す貫通孔361cを有する整流こま36を配置した。中空部333を、貫通孔361cの上方に位置する本体部3の上方に形成した。これにより、本体部3に供給された湯水を下方から上方に流す間に整流こま36を通して整流しつつ、本体部3の上方で本体部3の幅方向に行き渡らせることができる。よって、整流性能が向上する。
【0045】
本実施形態によれば、本体部3を、幅方向の略中央部に配置され滞留した湯水を本体部3から排出させる水抜き孔363を含んで構成した。これにより、本体部3の中央部以外の下方に、例えば第2吐水口32に湯水を供給する首湯ユニット320を配置する等、本体部3の下方のスペースを有効に用いることが可能となる。
【0046】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
図5A及び
図5Bは、他の実施形態に係る吐水装置1Aの本体部3Aを示す。他の実施形態では、整流こま36Aと連続するように下ケース34の凹部341から立ち上がる縦リブ341eが形成されている。
【0047】
図5Aに示すように、整流こま36Aは、吐水装置1Aの幅方向の略中央部にのみ配置されている。整流こま36Aの整流部361は、上面部及び貫通孔を有さず、後方側の側壁部361aのみを有する。整流こま36Aは、上記実施形態と同様に接続蓋部362及び水抜き孔363を有する。
【0048】
縦リブ341eは、整流こま36Aの後方側の側壁部361aと連続する位置で、下ケース34の凹部341から壁状に立ち上がる。縦リブ341eは、上ケース33のカバー面331に近づくように延び、カバー面331の裏面に当接はしない。
図5Bに示すように、縦リブ341eは、下ケース34内に供給される湯水を下方から上方へ導く。流路6における上流部61の湯水が、縦リブ341eに沿って流れる。湯水は、本体部3の幅方向に拡がりながら、上ケース33のカバー面331で堰き止められて上方から下方に流れ、上ケース33の支持部332と下ケース34の傾斜部341aの間を通って第1吐水口31から吐水される。このような他の実施形態によっても、上記の実施形態と同様の効果が奏される。
【0049】
流路6は、少なくとも本体部3の上方で横長に拡がっていればよい。本体部3の下方では、本体部3の上方よりも幅方向が狭くてもよく、横長でも横長でなくてもよい。
【0050】
下ケース34には、整流こま36及び第2吐水口32以外の機構が設けられてよい。例えば、上記実施形態では、照明装置35は、第1吐水口31より上の上ケース33に取り付けられている。しかし、照明装置を、下ケースに配置し、第1吐水口の下に配置してもよい。さらに、マッサージ機能に関する駆動部等、追加的な装置や装置を構成する部品が配置されてよい。
【0051】
上記実施形態では、第1吐水口31は、吐水装置1の幅方向の一方から他方まで連続的に延びるように形成されている。しかし、第1吐水口は、吐水装置の幅方向の一方側と他方側に分けて配置し、それぞれに細長いスリットを形成して吐水するように構成してもよい。
【0052】
浴槽100は、上部が開口した略直方体の形状を有するものを例に説明した。浴槽の形状は、使用者が湯船につかるように湯水を貯水することができれば、開口部の形状は長円形や円形、正方形、その他の自由な形状を有していてよい。
【符号の説明】
【0053】
1 吐水装置、 3 本体部、 6 流路、 31 第1吐水口(吐水口)、 32 第2吐水口(吐水口)、 61 上流部、 62 下流部、 100 浴槽、 120 上縁面、 333 中空部(チャンバ)、 363 水抜き孔