(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20241114BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20241114BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03G21/18 121
G03G21/18 125
G03G15/08 390Z
G03G15/00 659
(21)【出願番号】P 2020167068
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003530(JP,A)
【文献】特開2013-164460(JP,A)
【文献】特開2008-009087(JP,A)
【文献】特開2009-288279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0159487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ローラを含む現像ユニットと感光体ドラムを含む感光体ユニットとが分離可能に一体化され、一体化された状態で装置本体に着脱される画像形成装置であって、
前記現像ユニットおよび前記感光体ユニットは、前記感光体ドラムのドラムシャフトの軸方向に沿って互いに相対移動可能に設けられ、前記相対移動に伴って前記軸方向に嵌め合わされて前記現像ユニットと前記感光体ユニットとを一体化する嵌合機構部を有し、
前記現像ユニットには、前記嵌合機構部として前記感光体ユニット側に延びる第1支持部と、前記第1支持部に備えられて前記ドラムシャフトの一方の端部を保持する第1保持部材とが設けられ、
前記感光体ユニットには、前記嵌合機構部として前記現像ユニット側に延びる第2支持部と、前記第2支持部に備えられて前記現像ローラのローラシャフトの他方の端部を保持する第2保持部材とが設けられ、
前記ドラムシャフトの一方の端部を保持する前記第1保持部材および
前記現像ローラのローラシャフトの他方の端部を保持する前記第2保持部材は、それぞれ、前記現像ローラと前記感光体ドラムとの離接方向
である前記軸方向と直交する方向にスライド可能に設けられるとともに、
前記第1保持部材は、付勢部材
によって前記現像ローラ側に付勢され、前記第2保持部材は、付勢部材によって前記感光体ドラム側に付勢されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1保持部材および前記第2保持部材は、前記現像ローラの回転中心と前記感光体ドラムの回転中心とを結ぶ仮想直線上に配設され、前記仮想直線上をスライド可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記ドラムシャフトと前記ローラシャフトとの少なくともいずれか一方の先端部にはテーパ部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの請求項に記載の画像形成装置において、
前記第1保持部材は、前記ドラムシャフトが嵌合する第1嵌合孔を備え、
前記第2保持部材は、前記ローラシャフトが嵌合する第2嵌合孔を備え、
前記第1嵌合孔と前記第2嵌合孔との少なくともいずれか一方の内面にはテーパ部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの請求項に記載の画像形成装置において、
前記
ローラシャフトは前記感光体ドラムに当接して回転するスペーサ部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの請求項に記載の画像形成装置において、
前記付勢部材はキックバネであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
現像ローラを含む現像ユニットと感光体ドラムを含む感光体ユニットとが分離可能に一体化され、一体化された状態で装置本体に着脱される画像形成装置であって、
前記現像ユニットおよび前記感光体ユニットは、前記感光体ドラムのドラムシャフトの軸方向に沿って互いに相対移動可能に設けられ、前記相対移動に伴って前記軸方向に嵌め合わされて前記現像ユニットと前記感光体ユニットとを一体化する嵌合機構部を有し、
前記現像ユニットには、前記嵌合機構部として前記感光体ユニット側に延びる第1支持部と、前記第1支持部に備えられて前記ドラムシャフトの一方の端部を保持する第1保持部材とが設けられ、
前記感光体ユニットには、前記嵌合機構部として前記現像ユニット側に延びる第2支持部と、前記第2支持部に備えられて前記現像ローラのローラシャフトの他方の端部を保持する第2保持部材とが設けられ、
前記ドラムシャフトの一方の端部と前記ローラシャフトの他方の端部との少なくともいずれか一方にはテーパ部が設けられ、
前記第1保持部材は、前記ドラムシャフトが嵌合する第1嵌合孔を備え、
前記第2保持部材は、前記ローラシャフトが嵌合する第2嵌合孔を備え、
前記第1嵌合孔と前記第2嵌合孔との少なくともいずれか一方の内面にはテーパ部が設けられ、
前記第1保持部材および前記第2保持部材は、それぞれ、前記現像ローラと前記感光体ドラムとの離接方向にスライド可能に設けられるとともに、付勢部材が備えられて前記現像ローラと前記感光体ドラムとを近接させる方向に付勢されていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ユニットと現像ユニットとが一体化された状態で着脱される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、感光体ドラム(静電潜像担持体)を備える感光体ユニットと、現像ローラ(現像剤担持体)を備える現像ユニットとが、装置本体に対してそれぞれ挿抜可能に構成されたものがある。この種の画像形成装置においては、画質向上等の要請から感光体ドラムと現像ローラとの外周面間の距離(DSD:Drum Sleeve Distance)を小さく設定することが好ましく、感光体ドラムの回転軸と現像ローラの回転軸との軸間距離を構造的に一定となるように支持することが求められる。ところが、感光体ドラムも現像ローラも回転する部材であって、回転振れが起こりやすく、DSDを制度よく保つように支持することが難しいという問題がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、感光体ドラムを回転可能に保持する感光体ユニットと、現像ローラを有する現像ユニットと、感光体ドラムまたは現像ローラに設けられた間隔保持部材と、感光体ユニットと現像ユニットとの間に設けられた付勢部材と、電気を入力または出力する電気接点と当接する電気接点部とを備えた画像形成装置が開示されている。現像ユニットは感光体ユニット側に付勢されており、間隔保持部材が感光体ドラムに当接することで、両者の軸間距離を保ち得るように意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の画像形成装置では、感光体ユニットと現像ユニットとの間に付勢部材が配設され、現像サイド部材、軸受部材、ドラム軸受、および結合ピン等の複数の構成部材を個別に取り付けて、感光体ユニットと現像ユニットとが一体化されている。このため、メンテナンス時など、感光体ユニットと現像ユニットとを分離する際には、前記複数の構成部材や付勢部材をひとつひとつ取り外す必要があり、作業が極めて煩雑となる。また同様に、それらを一体化する作業にも手間がかかる。そのため、感光体ユニットと現像ユニットとを一体化して用いるための作業負担が大きくなってしまい、メンテナンス性に課題があるうえ、部品精度や取り付け精度によってDSDが変化してしまう問題もあった。
【0006】
本発明は、前記のような問題にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、感光体ドラムと現像ローラとの外周面間の距離を高精度に保つとともに、簡単な作業で現像ユニットと感光体ユニットとの一体化および分離を可能にする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、現像ローラを含む現像ユニットと感光体ドラムを含む感光体ユニットとが分離可能に一体化され、一体化された状態で装置本体に着脱される画像形成装置であって、前記現像ユニットおよび前記感光体ユニットは、前記感光体ドラムのドラムシャフトの軸方向に沿って互いに相対移動可能に設けられ、前記相対移動に伴って前記軸方向に嵌め合わされて前記現像ユニットと前記感光体ユニットとを一体化する嵌合機構部を有し、前記現像ユニットには、前記嵌合機構部として前記感光体ユニット側に延びる第1支持部と、前記第1支持部に備えられて前記ドラムシャフトの一方の端部を保持する第1保持部材とが設けられ、前記感光体ユニットには、前記嵌合機構部として前記現像ユニット側に延びる第2支持部と、前記第2支持部に備えられて前記現像ローラのローラシャフトの他方の端部を保持する第2保持部材とが設けられ、前記第1保持部材および前記第2保持部材は、それぞれ、前記現像ローラと前記感光体ドラムとの離接方向にスライド可能に設けられるとともに、付勢部材が備えられて前記現像ローラと前記感光体ドラムとを近接させる方向に付勢されていることを特徴としている。
【0008】
前記構成を具備する画像形成装置において、前記第1保持部材および前記第2保持部材は、前記現像ローラの回転中心と前記感光体ドラムの回転中心とを結ぶ仮想直線上に配設され、前記仮想直線上をスライド可能に設けられることが好ましい。
【0009】
また、前記ドラムシャフトと前記ローラシャフトとの少なくともいずれか一方の先端部にはテーパ部が設けられることが好ましい。
【0010】
また、前記第1保持部材は、前記ドラムシャフトが嵌合する第1嵌合孔を備え、前記第2保持部材は、前記ローラシャフトが嵌合する第2嵌合孔を備え、前記第1嵌合孔と前記第2嵌合孔との少なくともいずれか一方の内面にはテーパ部が設けられることが好ましい。
【0011】
前記特定事項を具備することによって、現像ユニットと感光体ユニットとの一体化および分離を簡単な作業で行うことが可能となる。また、前記現像ローラのローラシャフトを保持する第2保持部材と、前記感光体ドラムのドラムシャフトを保持する第1保持部材とが、それぞれ、前記現像ローラと前記感光体ドラムとの離接方向にスライド可能に設けられるとともに、付勢部材が備えられて前記現像ローラと前記感光体ドラムとを近接させる方向に付勢されているので、前記感光体ドラムに接触することなく一体化することができ、前記感光体ドラムと前記現像ローラとの外周面間の距離を精度よく安定的に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、前記現像ユニットと前記感光体ユニットとを一体化する嵌合機構部を設けたことで、簡単な作業で現像ユニットと感光体ユニットとの一体化および分離が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】前記画像形成装置に備えられる現像ユニットを前側から見た斜視図である。
【
図3】前記現像ユニットを後ろ側から見た斜視図である。
【
図5】前記画像形成装置に備えられる感光体ユニットを前側から見た斜視図である。
【
図6】前記感光体ユニットを後ろ側から見た斜視図である。
【
図8】前記現像ユニットと前記感光体ユニットとの一体化の様子を示す平面図である。
【
図9】前記現像ユニットにおける第1支持部および第1保持部材を拡大して示し、ドラムシャフトの嵌合途中の状態を示す説明図である。
【
図10】前記現像ユニットにおける第1支持部および第1保持部材を拡大して示し、ドラムシャフトの嵌合した状態を示す説明図である。
【
図11】前記感光体ユニットにおける第2支持部および第2保持部材を拡大して示し、ローラシャフトの嵌合途中の状態を示す説明図である。
【
図12】前記感光体ユニットにおける第2支持部および第2保持部材を拡大して示し、ローラシャフトの嵌合した状態を示す説明図である。
【
図13A】前記現像ユニットに対して前記感光体ユニットをスライド移動させる際のローラシャフトとドラムシャフトとを模式的に示す断面説明図である。
【
図13B】前記ローラシャフトと前記ドラムシャフトの嵌合途中の様子を模式的に示す断面説明図である。
【
図13C】前記ローラシャフトと前記ドラムシャフトの嵌合された状態を模式的に示す断面説明図である。
【
図14】前記現像ユニットと前記感光体ユニットとを一体化させた状態での現像ローラと感光体ドラムとを模式的に示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す断面図である。
【0016】
画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)とされ、画像読取部18によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で用紙に画像形成する。
【0017】
なお、説明の便宜上、図中の感光体ドラム31の回転軸に沿う方向を前後方向(軸方向)Yとして示す。また、
図1に示すように、画像形成装置1を正面から見て軸方向に交差する左右方向Xについて左側X1および右側X2とし、左右方向Xに交差する上下方向Zについて上側Z1および下側Z2として説明するが、これによって画像形成装置1の使用方向を限定するものではない。
【0018】
画像形成装置1は、画像形成部12等を備える装置本体11、およびその上方に配置される画像読取部18を含む。画像読取部18の上部には開閉自在に支持された原稿搬送部(ADF)10が設けられている。原稿搬送部17では、画像読取部18の原稿載置台19を開放して原稿を手置きすることができる。また、原稿搬送部17は、載置された原稿を自動で搬送する。画像読取部18は、載置された原稿または原稿搬送部17から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
【0019】
装置本体11には、CPUやメモリ等を含む図示しない制御部および画像形成部12等が備えられている。画像形成部12は、露光ユニット13、現像ユニット20、感光体ユニット30、中間転写ベルトユニット40、転写ローラ14および定着ユニット50等を備え、給紙トレイ15または手差し給紙トレイ151から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ16に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部18で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0020】
現像ユニット20および感光体ユニット30の2つのユニットは、互いに分離可能に一体化されることでプロセスカートリッジ10を構成している。プロセスカートリッジ10は、現像ユニット20と感光体ユニット30とが一体化された状態で、装置本体11に対して前面側から挿抜可能に形成されている。
【0021】
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、装置本体11には、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4つのプロセスカートリッジ10が装着され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。4つのプロセスカートリッジ10は、中間転写ベルト41の表面の走行方向に沿って水平方向に1列に並んで配置される。
【0022】
露光ユニット13は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム31の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム31の表面に形成する。
【0023】
感光体ユニット30は、感光体ドラム31、帯電器32およびクリーナユニット33等を備える。感光体ドラム31は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、図示しない駆動部によって軸回りに回転可能とされる。帯電器32は、この感光体ドラム31の表面を所定の電位に帯電させる。クリーナユニット33は、クリーニングブレード等を備え、中間転写ベルト41へのトナー像の転写後において、感光体ドラム31の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0024】
現像ユニット20は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものであって、感光体ドラム31にトナーを供給する現像ローラ21および搬送部材22等を備える。現像ローラ21は、感光体ドラム31に沿うように近接して配置され、図示しない駆動部によって軸回りに回転可能とされる。現像ユニット20の現像ハウジング23内には、トナーおよびキャリア等を含む現像剤が収容され、現像ローラ21を介してトナーが感光体ドラム31に供給される。
【0025】
中間転写ベルトユニット40は、中間転写ベルト41、駆動ローラ42、従動ローラ43および中間転写ローラ44等を備え、感光体ドラム31の上方に配置されている。中間転写ベルト41は、各感光体ドラム31に接触するように設けられており、中間転写ローラ44を用いて、各感光体ドラム31に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト41に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト41上に多色のトナー像を形成する。駆動ローラ42の近傍には、転写ローラ14が配置されており、中間転写ベルト41と、2次転写部の転写ローラ14との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト41に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0026】
定着ユニット50は、ヒートローラ51および加圧ローラ52を備え、転写ローラ14の上方に配置される。ヒートローラ51は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ51と加圧ローラ52との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0027】
装置本体11内には、給紙トレイ15または手差し給紙トレイ151からの用紙をレジストローラ56、転写ローラ14および定着ユニット50を経由させて排紙トレイ16に送るための第1用紙搬送路501が設けられている。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット50を通過した後の用紙を、転写ローラ14の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路501に戻すための第2用紙搬送路502が設けられている。第1用紙搬送路501および第2用紙搬送路502には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ57が適宜設けられている。
【0028】
(プロセスカートリッジ)
画像形成装置1に備えられるプロセスカートリッジ10は、現像ユニット20と感光体ユニット30とが分離可能に一体化されて構成されている。現像ユニット20と感光体ユニット30とは、位置決めされて一体化された状態で装置本体11の所定位置に対して挿抜されて装着される。現像ユニット20および感光体ユニット30は、予め一体化した状態で装着されることによって、装置本体11の小型化を図ることが可能とされている。
【0029】
従来、現像ユニットと感光体ユニットとを装置本体に個別に装着するタイプの画像形成装置では、感光体ドラムの傷つきを防止するために、感光体ドラムとの間にガイドスペースを確保した状態で現像ユニットを挿抜する必要があり、装置本体が大型化してしまう問題があった。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置1では、前記のようにこれらのユニットを一体化した状態で装着することができるので、ガイドスペース等が不要とされ、小型化が可能となる。
【0030】
プロセスカートリッジ10は、メンテナンス性などを考慮すると、簡単な操作で現像ユニット20と感光体ユニット30とに分離でき、また、簡単な操作で一体化できることが好ましい。そこで、本実施形態の画像形成装置1では、プロセスカートリッジ10を構成する現像ユニット20と感光体ユニット30に、以下に説明するような嵌合機構部を設けて、簡単な操作で一体化および分離できるようにしている。
【0031】
(現像ユニット)
図2~
図4は現像ユニット20を示し、
図2は、現像ユニット20を前側Y1から見た斜視図、
図3は、現像ユニット20を後ろ側Y2から見た斜視図、
図5は、現像ユニット20の側面図(右側面図)である。
【0032】
図1に示したように、現像ユニット20は、現像ローラ21および搬送部材22等を備えて、現像ハウジング23に所定の配置態様で一体的に保持されている。現像ハウジング23の内部には、各々の回転軸が並行するように2つの搬送部材が設けられ、トナーとキャリア等を混合した現像剤が収容されている。搬送部材22は、例えば円柱状の回転軸(スクリュー軸)の外周面に螺旋羽根が形成されたオーガスクリューとされる。
【0033】
現像ハウジング23内の搬送部材22の上方には、現像ローラ21が配置されている。
図2および
図3に示すように、現像ローラ21は現像ハウジング23から一部露出するように備えられている。現像ローラ21は、現像剤担持体として機能するマグネットローラであって、感光体ドラム31と平行に配設される。
図2においては、現像ハウジング23の右側X2の側面に現像ローラ21が一部露出して配設されており、この現像ローラ21に対して感光体ドラム31が、互いの外周面同士を近接させるように配設されることとなる。
【0034】
現像ユニット20は、前フレーム24と後ろフレーム28とを備えて、現像ローラ21のローラシャフト211の両端部を、軸受を介して回転可能に支持している。
図3に示すように、ローラシャフト211の後端部は、後ろフレーム28よりも後ろ側Y2方向に突出して設けられている。前フレーム24の上部には、感光体ユニット30側(
図2では図中右側X2)に向かって延出する第1支持部25が設けられている。
【0035】
第1支持部25には、感光体ドラム31のドラムシャフト311の前端部が嵌め込まれる第1保持部材26が備えられている。現像ローラ21のローラシャフト211の後端部、および第1保持部材26は、後述する第2保持部材37およびドラムシャフト311の前端部とともに、現像ユニット20に対して感光体ユニット30を位置決めして一体化する嵌合機構部として備えられている。
【0036】
(感光体ユニット)
図5~
図7は感光体ユニット30を示し、
図5は、感光体ユニット30を前側Y1から見た斜視図、
図6は、感光体ユニット30を後ろ側Y2から見た斜視図、
図7は、感光体ユニット30の側面図(左側面図)である。
【0037】
図1に示したように、感光体ユニット30は、感光体ドラム31、帯電器32およびクリーナユニット33等を備えて所定の配置態様で一体的に保持されている。
図5に示すように、感光体ユニット30は、図中左側X1に現像ユニット20が配設されるものであり、現像ユニット20側に感光体ドラム31が配設されている。また、感光体ドラム31は、前側Y1から見て、左上半部が露出するように感光体ユニット30に備えられている。
【0038】
感光体ドラム31のドラムシャフト311は、前後方向Yに沿って配設され、前フレーム34と後ろフレーム35に設けられた軸受を介して回転可能に支持されている。ドラムシャフト311の前端部は、前フレーム34より前側Y1方向に突出して設けられている。
図6に示すように、後ろフレーム35の上部には、現像ユニット20側(
図6では図中左側X1)に向かって延出する第2支持部36が設けられている。第2支持部36には、現像ローラ21のローラシャフト211の後端部が嵌め込まれる第2保持部材37が備えられている。
【0039】
(嵌合機構部)
現像ユニット20および感光体ユニット30は、感光体ドラム31のドラムシャフト311の軸方向(この場合、前後方向Y)に沿って互いに相対移動可能に設けられている。そして、現像ユニット20と感光体ユニット30の双方に、その相対移動に伴って軸方向に嵌め合わされて、現像ユニット20と感光体ユニット30とを一体化する嵌合機構部が備えられている。
【0040】
嵌合機構部として、現像ユニット20には、
図2に示すように、感光体ユニット30側に延びる第1支持部25と、感光体ドラム31のドラムシャフト311の前端部を保持する第1保持部材26とが設けられている。一方、感光体ユニット30には、
図6に示すように、嵌合機構部として、現像ユニット20側に延びる第2支持部36と、現像ローラ21のローラシャフト211の後端部を保持する第2保持部材37とが設けられている。第1保持部材26にはドラムシャフト311の前端部が前後方向Yに沿って嵌め合わされ、第2保持部材37にはローラシャフト211の後端部が前後方向Yに沿って嵌め合わされる。
【0041】
また、
図5に示すように、感光体ユニット30には、現像ユニット20と対向する内側面(
図5では図中左側の面)301に、ガイドピン38が設けられている。
図6および
図7に示すように、感光体ユニット30の内側面301には、前側Y1と後ろ側Y2にそれぞれガイドピン38が設けられている。例示の形態では、内側面301から現像ユニット20側(左右方向Xの左側X1)に向かって延設された基部381と、基部381から前側Y1に向かって延びるガイドピン38とが備えられている。ガイドピン38は前後方向Yに長い略円柱状に形成されて、先端にはテーパ部382が設けられている。
【0042】
現像ユニット20には、前フレーム24および後ろフレーム28に、それぞれガイドピン38が挿入されるガイド部29が設けられている。
図2に示すように、ガイド部29は、前後方向Yに貫通する孔部として形成され、ガイドピン38に対応する大きさを有している。前側Y1のガイド部29の孔部に対しては、その後ろ側Y2の内側面201に、ガイドピン38をガイド部29に案内する溝状のガイド凹部291が設けられている。ガイドピン38は、ガイド凹部291に当接しつつ前側Y1方向にスライドされることでガイド部29に挿入することができ、現像ユニット20に対して感光体ユニット30を一体化位置へと導く。
【0043】
これにより、現像ユニット20の前後に1つずつ配置されたガイド部29に対して、感光体ユニット30の前後の各ガイドピン38がそれぞれ挿入され、ガイドピン38の長さ方向(前後方向Y)にスライド可能に係合される。また、ガイド部29にガイドピン38を係合させた状態で、ガイドピン38はその周方向に回動可能とされる。感光体ユニット30は、ガイドピン38およびガイド部29を係合させた状態で、現像ユニット20に対して前後方向Yにスライド移動可能であり、ガイドピン38を支点として感光体ドラム31と現像ローラ21とが離接する方向に回動可能とされる。
【0044】
図8は、現像ユニット20と感光体ユニット30とが一体化される様子を示す平面図である。現像ユニット20と感光体ユニット30を一体化する際には、現像ユニット20と感光体ユニット30とを近づけて、感光体ユニット30の前後のガイドピン38を現像ユニット20に係合させる。前側Y1のガイドピン38は、ガイド凹部291に嵌め込み、前方へ移動させるようにすることで、ガイドピン38の先端部からガイド部29に挿入されていく。そして、前後のガイドピン38をそれぞれ現像ユニット20側に係合させた状態で、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させる。これにより、感光体ユニット30と現像ユニット20との位置ずれを防止しつつ、現像ユニット20側にはドラムシャフト311の前端部を嵌め合わせ、感光体ユニット30側にはローラシャフト211の後端部を嵌め合わせることができる。
【0045】
ここで、嵌合機構部としての第1保持部材26および第2保持部材37は、それぞれ、現像ローラ21と感光体ドラム31との離接方向にスライド可能に設けられている。
図2に示すように、現像ユニット20の第1支持部25に設けられた第1保持部材26は、第1嵌合孔261と、複数の爪部262と、付勢部材27の係止部263とを備えている。第1嵌合孔261には、感光体ユニット30の前側Y1方向に突出して設けられたドラムシャフト311(
図5参照)が嵌め合わされる。第1嵌合孔261は感光体ドラム31のドラムシャフト311の先端部に対応する大きさの円筒形の貫通孔とされている。
【0046】
爪部262は、第1保持部材26の対向する辺縁部に1箇所ずつ設けられている。現像ユニット20の第1支持部25には、第1保持部材26が嵌め込まれるスライド孔251が表裏に貫通して設けられている。各爪部262は、
図2に示される前側Y1だけでなく、
図3に示すように、スライド孔251を挟んだ後ろ側Y2にも同形状の爪を有している。これによって、2箇所に設けられている爪部262は、それぞれ前後の爪でスライド孔251の開口縁を挟み、スライド孔251の開口縁にそれぞれ係止されている。第1保持部材26は、スライド孔251にスライド可能に保持されている。
【0047】
図9および
図10は、現像ユニット20における第1支持部25および第1保持部材26の部分を拡大して示す説明図である。
図9はドラムシャフト311の嵌合途中を示し、
図10はドラムシャフト311が嵌合した状態を示している。
【0048】
図9に示すように、スライド孔251は仮想直線L1に沿って長く形成され、第1保持部材26の長さよりも長く形成されている。第1保持部材26は、仮想直線L1に対して上下に対称形に形成され、第1保持部材26の上下の辺縁部に爪部262が備えられている。
【0049】
仮想直線L1は、現像ローラ21の回転中心と感光体ドラム31の回転中心とを結ぶ直線であり、スライド孔251および第1保持部材26はこの仮想直線L1に沿って配設されている。また、第1保持部材26はスライド孔251に係止する爪部262に支持されて、仮想直線L1に沿って図中A方向にスライド可能に設けられている。これにより、第1保持部材26は、現像ローラ21と感光体ドラム31との離接方向にスライド可能となるように備えられている。
【0050】
また、第1保持部材26には付勢部材27が備えられて、仮想直線L1上をA1方向に付勢されている。例示の形態では、付勢部材27としてキックバネが備えられており、第1支持部25にキックバネの環状コイル部が装着されている。
図9に示すように、キックバネの一端部は第1保持部材26の前面の左側X1寄りに突設された係止部263に係止され、キックバネの他端部は第1支持部25の上辺部に突設された係止部252に接触している。
【0051】
図9の状態においては、前記キックバネが収縮した状態であり、前記一端部が係止部263を押圧して第1保持部材26にA1方向の付勢力が作用している。第1保持部材26は、仮想直線L1に沿って現像ローラ21と感光体ドラム31とを近接させる方向(A1方向)に付勢されており、スライド後には、
図10に示すようにA1方向に戻るように設けられている。
【0052】
一方、
図6に示すように、感光体ユニット30の第2支持部36に設けられた第2保持部材37は、第2嵌合孔371と、複数の爪部373と、付勢部材39の係止部374とを備えている。第2嵌合孔371には、現像ユニット20の後ろ側Y2方向に突出して設けられたローラシャフト211(
図3参照)が嵌め合わされる。第2嵌合孔371は現像ローラ21のローラシャフト211の先端部に対応する大きさの円筒形の貫通孔とされている。
【0053】
爪部373は、第2保持部材37の長手方向の両端部に設けられ、
図6では左側X1の端部に突設されている一方の爪部373が表わされている。他方の爪部373は、裏面(前側Y1の面)に突設されている。
【0054】
図11および
図12は、感光体ユニット30における第2支持部36および第2保持部材37の部分を拡大して示す説明図である。
図11はローラシャフト211の嵌合途中を示し、
図12はローラシャフト211が嵌合した状態を示している。
【0055】
感光体ユニット30の第2支持部36には、第2保持部材37が嵌め込まれるスライド孔361が表裏に貫通して設けられている。
図11に示される一方の爪部373は、前側Y1だけでなくスライド孔361を挟んだ後ろ側Y2にも同形状の爪を有して、スライド孔361の開口縁を挟み、スライド孔361の開口縁に係止されている。他方の爪部373は、第2保持部材37の裏面の右側X2の端部に設けられて、スライド孔361の開口縁に係止されている。これにより、第2保持部材37は、スライド孔361にスライド可能に保持されている。
【0056】
また、スライド孔361は仮想直線L2に沿って長く形成されている。第2保持部材37は仮想直線L2に対して上下に対称形に形成され、第2保持部材37の左右の辺縁部に爪部373が備えられている。仮想直線L2は、現像ローラ21の回転中心と感光体ドラム31の回転中心とを結ぶ直線であり、スライド孔361および第2保持部材37はこの仮想直線L2に沿って配設されている。第2保持部材37は、スライド孔361に係止する爪部373に支持されて、仮想直線L2に沿って図中B方向にスライド可能に設けられている。これにより、第2保持部材37は、現像ローラ21と感光体ドラム31との離接方向にスライド可能となるように備えられている。
【0057】
第2保持部材37にも付勢部材39が備えられており、仮想直線L2上をB1方向に付勢されている。付勢部材39は例えばキックバネであり、第2支持部36の前側Y1の面(
図11では裏面)にキックバネの環状コイル部が装着されている。第2支持部36の裏面で、キックバネの一端部は第2保持部材37の右側X2寄りに突設された係止部374に係止され、キックバネの他端部は第2支持部36の上辺部に突設された係止部362に係止されている。
【0058】
図11の状態においては、前記キックバネが収縮した状態であり、前記一端部が係止部374を押圧して第2保持部材37にB1方向の付勢力が作用している。すなわち、第2保持部材37は、仮想直線L2に沿って現像ローラ21と感光体ドラム31とを近接させる方向(B1方向)に付勢されている。第2保持部材37はスライド孔361をB方向にスライド可能であるとともに、付勢力に抗してスライドした後、B1方向に戻されるように構成されている。
【0059】
図13A~
図13Cは、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させる際のローラシャフト211とドラムシャフト311とを模式的に示す断面説明図であり、
図14は、現像ユニット20と感光体ユニット30とを一体化させた状態での現像ローラ21と感光体ドラム31とを模式的に示す平面説明図である。
【0060】
第1保持部材26に嵌合するドラムシャフト311と、第2保持部材37に嵌合するローラシャフト211との少なくともいずれか一方の先端部には、テーパ部が設けられていることが好ましい。本実施形態では、ドラムシャフト311の先端部にテーパ部312が設けられている。また、ドラムシャフト311が嵌め合わされる第1嵌合孔261と、ローラシャフト211が嵌め合わされる第2嵌合孔371との少なくともいずれか一方の内面にも、テーパ部が設けられていることが好ましい。本実施形態では、第2嵌合孔371の内面にテーパ部372が設けられている。これにより、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させる際に、ドラムシャフト311とローラシャフト211とを、それぞれ嵌合させやすく構成されている。
【0061】
また、ドラムシャフト311には、感光体ドラム31の画像形成領域313の外側に当接して回転するスペーサ部材212が設けられている。
図14に示すように、現像ユニット20と感光体ユニット30とが一体化されるとき、スペーサ部材212は、感光体ドラム31に対する現像ローラ21のローラシャフト211の距離を一定に保つ。感光体ドラム31と現像ローラ21との外周面間の距離(DSD)は、例えば0.3~0.5mmとなるように設定される。
【0062】
ここで、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させるとき、前記のようにガイドピン38とガイド部29とを係合させた状態で、これらを回動支点として、スペーサ部材212が感光体ドラム31に当接するまで、現像ローラ21に感光体ドラム31が近づく。感光体ドラム31のドラムシャフト311と、現像ローラ21のローラシャフト211は、それぞれ、現像ローラ21と感光体ドラム31とが近接する方向に付勢されているので、スペーサ部材212が感光体ドラム31の画像形成領域313の外側に当接する位置で位置決めされて、所定のDSDを形成するものとなる。
【0063】
すなわち、
図13Aに示すように、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させるとき、ドラムシャフト311は現像ユニット20側の第1保持部材26へ移動し、第1嵌合孔261に嵌め込まれていく。
図13Bに示すように、ドラムシャフト311の先端部にはテーパ部312が設けられているので、ドラムシャフト311と第1嵌合孔261との位置ずれは許容されて、ドラムシャフト311が第1嵌合孔261にスムーズに嵌合される。
【0064】
同時に、
図13Aに示すように、感光体ユニット30側の第2保持部材37は、現像ローラ21のローラシャフト211の方へ移動し、ローラシャフト211に嵌まり合う。
図13Bに示すように、第2保持部材37の第2嵌合孔371にはテーパ部372が設けられているので、ローラシャフト211に対して第2嵌合孔371が位置ずれしていても許容され、ローラシャフト211がスムーズに嵌合される。
【0065】
さらに、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させることで、
図13Cに示すように、感光体ドラム31のドラムシャフト311は、第1保持部材26の第1嵌合孔261に嵌合され、現像ローラ21のローラシャフト211には、第2保持部材37の第2嵌合孔371が嵌合する。感光体ユニット30と現像ユニット20とは、位置決めされた状態で一体化される。このとき、感光体ドラム31と現像ローラ21のDSDは、前後のスペーサ部材212によって適正に設定される。
【0066】
図13Bに示すように、ドラムシャフト311が第1嵌合孔261に嵌合するときには、第1保持部材26はドラムシャフト311の位置に近づきながら第1嵌合孔261に嵌め込むように作用する。すなわち、
図9および
図10に示したように、第1保持部材26はA1方向(現像ローラ21と感光体ドラム31とを近接させる方向)に付勢されており、ドラムシャフト311が第1嵌合孔261に嵌合するときには、その付勢力に抗してA1方向の反対方向にスライドして、ドラムシャフト311の進入を受け止める。ドラムシャフト311は、第1保持部材26に嵌め込まれる際には、テーパ部312の作用と相まって、現像ローラ21と感光体ドラム31とが離れる方向に第1保持部材26を移動させつつ、嵌合するものとなる。
【0067】
また、第2保持部材37がローラシャフト211と嵌合するときには、第2保持部材37はローラシャフト211の位置に近づきながら第2嵌合孔371が嵌まり合うように作用する。
図11および
図12に示したように、第2保持部材37はB1方向(現像ローラ21と感光体ドラム31とを近接させる方向)に付勢されている。第2保持部材37とローラシャフト211とが嵌合するとき、第2保持部材37はテーパ部372の作用と相まって、付勢力に抗してB1方向の反対方向にスライドし、ローラシャフト211の進入を受け止める。ローラシャフト211は、第2保持部材37が嵌め込まれる際に、現像ローラ21と感光体ドラム31とが離れる方向に第2保持部材37を移動させつつ、嵌合する。
【0068】
ドラムシャフト311が第1嵌合孔261に嵌合し、ローラシャフト211が第2嵌合孔371に嵌合すると、付勢力によって第1保持部材26はA1方向にスライドし、第2保持部材37はB1方向にスライドする。スペーサ部材212が感光体ドラム31の画像形成領域313の外側に当接することで、スライドは停止し、現像ローラ21は感光体ドラム31と平行に並び、かつ互いの外周面同士が近接するように配置される(
図14参照)。これにより、現像ローラ21と感光体ドラム31との適正なDSDが保持され、その状態で、現像ユニット20と感光体ユニット30とが位置決めされて一体化される。現像ユニット20と感光体ユニット30とは、一体化された状態で装置本体11の所定位置に対して装着可能とされる。
【0069】
このように、プロセスカートリッジ10は、現像ユニット20に対して感光体ユニット30をスライド移動させるという簡単な操作で一体化することができる。また、この一体化された状態において、DSDは、前側Y1および後ろ側Y2のスペーサ部材212で適正に決められることになるので、DSDが高精度に安定化される。
【0070】
さらに、感光体ドラム31のドラムシャフト311と現像ローラ21のローラシャフト211とが支持される第1保持部材26および第2保持部材37は、それぞれ、現像ローラ21と感光体ドラム31との離接方向にスライド可能に設けられるとともに、現像ローラ21と感光体ドラム31とを近接させる方向に付勢されているので、部品精度や取り付け精度に依ることなく、DSDを精度よく設定し得て、安定的に保持することができる。
【0071】
第1保持部材26および第2保持部材37は、現像ローラ21と感光体ドラム31とが離れる方向にスライドして、ドラムシャフト311とローラシャフト211とを嵌合させる構成であるので、感光体ドラム31の画像形成領域313に現像ユニット20を接触させることなく位置決めすることが可能となる。また、プロセスカートリッジ10は、前記のような組立時と逆の操作を行うことで、感光体ユニット30と現像ユニット20とに容易に分離させることができる。したがって、プロセスカートリッジ10の一体化および分離の作業負担を大幅に軽減することができ、メンテナンス性も向上させることができる。
【0072】
なお、前記実施形態の説明では、ガイドピン38を回動支点として、現像ユニット20に対して感光体ユニット30を回動させることが可能であることを示したが、この回転動作は必ずしも必要ではない。ただし、ガイドピン38をガイド部29に先に係合させていることで、組立時の操作性は向上する。また、現像ユニット20に備えられる第1保持部材26や、感光体ユニット30に備えられる第2保持部材37の配置形態や形状等も例示した形態には限定されない。
【0073】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、前記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
11 装置本体
20 現像ユニット
21 現像ローラ
211 ローラシャフト
212 スペーサ部材
22 搬送部材
23 現像ハウジング
24 前フレーム
25 第1支持部
251 スライド孔
26 第1保持部材
261 第1嵌合孔
262 爪部
27 付勢部材
28 後ろフレーム
29 ガイド部
30 感光体ユニット
31 感光体ドラム
311 ドラムシャフト
312 テーパ部
313 画像形成領域
34 前フレーム
35 後ろフレーム
36 第2支持部
361 スライド孔
37 第2保持部材
371 第2嵌合孔
372 テーパ部
373 爪部
38 ガイドピン
L1、L2 仮想直線