(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】加硫タイヤの取り出し方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20241114BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
(21)【出願番号】P 2021003987
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 謙介
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-136765(JP,A)
【文献】特開2001-058323(JP,A)
【文献】特開平06-106548(JP,A)
【文献】特開2002-361631(JP,A)
【文献】特公昭46-024127(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/02
B29C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状のアンローダー本体と、前記アンローダー本体の径方向に沿ってスライド移動可能な複数のチャックと、を有するアンローダーを用いて加硫金型から加硫済みの加硫タイヤを取り出す方法であって、
前記加硫金型の上型を上昇させて前記加硫タイヤから離す工程と、
ブラダーの上端を支持するクランプリングを上昇させ、且つ上昇させた前記クランプリングと前記加硫タイヤの間に前記アンローダーの
前記アンローダー本体を下降させる工程と、
下降させた前記アンローダー本体に設けられている
前記チャックを前記アンローダー本体の径方向外側へ移動させて、前記加硫タイヤのビード部を掴む工程と、
前記アンローダー本体を上昇させて前記加硫金型の下型から前記加硫タイヤを取り出す工程と、を備え
、
前記アンローダー本体は、前記クランプリングよりも大きい穴径の穴を有するリング状を呈しており、
前記チャックは、前記アンローダー本体から下方に延び且つ先端が前記アンローダーの径方向外側に向けて延びており、
前記アンローダー本体を下降させる工程は、前記チャックで前記ビード部を掴むチャック位置よりも上方の一時停止位置で前記アンローダー本体を一時停止させ、前記チャックを径方向内側へ移動させる工程を含み、
前記一時停止位置において、前記チャックは、前記チャックの先端が前記ビード部よりも径方向内側となるまで径方向内側へ移動させる、加硫タイヤの取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加硫タイヤの取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、生タイヤを加硫機で加硫することにより製造される。下記特許文献1には、加硫機から加硫タイヤをスムーズに引き剥がすことができる加硫タイヤの離型方法が開示されている。ただし、離型後の加硫タイヤを加硫機から取り出す方法についての詳細は何ら開示されていない。
【0003】
一般的に、加硫後の加硫タイヤは、アンローダーによって加硫機から取り出される。具体的には、ブラダーの上端を支持するクランプリングと加硫タイヤのビード部との隙間からアンローダーのチャックを挿入し、チャックでビード部を掴んで加硫タイヤを取り出している。しかしながら、チャックを挿入するための隙間が十分ではなく、チャックによる掴み不良が生じることがある。チャックによる掴み不良は、ビード部の変形、タイヤ全体の変形、及び掴み不良検知による設備停止のため金型に当たり続けてベントホールの痕がつく外観不良等に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、アンローダーのチャックで加硫タイヤを確実に掴むことができる加硫タイヤの取り出し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の加硫タイヤの取り出し方法は、アンローダーを用いて加硫金型から加硫済みの加硫タイヤを取り出す方法であって、
前記加硫金型の上型を上昇させて前記加硫タイヤから離す工程と、
ブラダーの上端を支持するクランプリングを上昇させ、且つ上昇させた前記クランプリングと前記加硫タイヤの間に前記アンローダーのアンローダー本体を下降させる工程と、
下降させた前記アンローダー本体に設けられているチャックを前記アンローダー本体の径方向外側へ移動させて、前記加硫タイヤのビード部を掴む工程と、
前記アンローダー本体を上昇させて前記加硫金型の下型から前記加硫タイヤを取り出す工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の空気入りタイヤの製造装置を模式的に示す図
【
図5】センターポストの上昇とアンローダーの下降の動作を示す図
【
図6】アンローダーの下降の一時停止の動作を示す図
【
図8】アンローダーが加硫タイヤを取り出す動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、加硫タイヤの取り出し方法における一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
<タイヤ製造装置の構造>
図1に示すように、タイヤ製造装置は、加硫金型1及び中心機構2を有する加硫機100と、アンローダー(一式)3(以下、単にアンローダー3という)と、を備える。また、タイヤ製造装置は、生タイヤを加硫機100に搬入する不図示のローダー(一式)を備える。
【0010】
加硫金型1は、生タイヤを加熱して空気入りタイヤの形状を成形する。加硫金型1は金属製であり、常時加熱又は適宜加熱されている。加硫金型1は、タイヤTのトレッドを形成するセクター11と、上型12と、下型13と、を有する。上型12は、タイヤTの一方のサイドウォールを形成する上型サイドプレート12aと、タイヤTの一方のビード部を形成する上型ビードリング12bと、を有する。また、下型13は、タイヤTの他方のサイドウォールを形成する下型サイドプレート13aと、タイヤTの他方のビード部を形成する下型ビードリング13bと、を有する。
【0011】
下型13は、位置が固定されている。一方、上型12は、下型13に対して上下に移動可能に構成されている。また、セクター11は、下型13に対して拡径する方向及び縮径する方向の両方向に移動可能である。さらに、セクター11は、下型13に対して上下にも移動可能である。上型12及びセクター11が下型13に対して移動することにより、加硫金型1が開閉可能に構成される。これらは、周囲に設置された開閉機構(不図示)によって、型締め状態と型開き状態との間で変位自在に構成され、かかる開閉機構の構造は周知である。
【0012】
中心機構2は、加硫金型1の中心部にタイヤTと同軸状に配置される。中心機構2の周囲にセクター11、上型12、及び下型13が設置されている。
【0013】
中心機構2は、ゴム袋状のブラダー21と、ブラダー21の上端を支持するクランプリング22と、を有する。クランプリング22は、リング状に形成されており、その中心に上下方向に延びるセンターポスト23が配置され、センターポスト23の径方向外側へ延びている。センターポスト23の周囲には、シリンダー24が配置されている。クランプリング22は、シリンダー24の上方に配置される。クランプリング22及びシリンダー24それぞれの径方向外側の端部は、ブラダー21を支持する。
【0014】
クランプリング22は、センターポスト23の上部に固定されている。センターポスト23はタイヤTと同軸状に配置され、上下方向に移動可能に構成されており、この上下移動によって、生タイヤを搬入する際及び加硫タイヤを搬出する際のクランプリング22の移動が可能になっている。
【0015】
下型サイドプレート13a及び下型ビードリング13bは、シリンダー24に固定されている。
【0016】
アンローダー3は、加硫済みのタイヤ(加硫タイヤ)Tを把持し、加硫機100から加硫タイヤTを取り出す。アンローダー3は、鉛直方向及び水平方向の両方向に移動可能なアンローダー本体31と、アンローダー本体31の径方向に移動可能な複数のチャック32と、を有する。
【0017】
アンローダー本体31は、中心機構2の上方から下降する際、クランプリング22と干渉しないように、クランプリング22よりも大きい穴径の穴を有するリング状を呈する。
【0018】
チャック32は、アンローダー本体31から下方に延び且つ先端がアンローダー3の径方向外側に向けて延びている。複数のチャック32は、アンローダー3の周方向に間隔をあけて環状に配置されている。各チャック32は、アンローダー3の径方向に沿ってスライド移動可能に構成されている。これにより、複数のチャック32が拡径可能又は縮径可能となり、加硫タイヤTのビード部をタイヤ径方向内側から支持する状態と、加硫タイヤTのビード部よりも径方向内側に退避して加硫タイヤTを離す状態と、を切り替え可能に構成されている。
【0019】
<タイヤの加硫方法>
次に、タイヤの加硫方法について、
図2~
図3を参酌して、簡単に説明する。空気入りタイヤは、生タイヤを加硫機100で加硫することにより製造される。まず、
図2に示すように、型開き状態にある加硫金型1に生タイヤT1をセットする。このとき、センターポスト23は上昇され、クランプリング22が生タイヤT1の受入位置に待機する。シリンダー24は固定されており位置変化しない。受入位置は、ブラダー21が生タイヤT1に干渉しないように、シリンダー24との関係において生タイヤT1のビード部よりもブラダー21が小さくなる位置である。クランプリング22が受入位置にある場合は、ブラダー21の内部の流体の一部は外部に排出されており、ブラダー21が縮んでいる。加硫金型1の型開き状態は、セクター11及び上型12が、下型13から離間している状態である。なお、
図2はセクター11及び上型12の図示を省略している。
【0020】
次いで、クランプリング22を下降させてブラダー21に流体(保持媒体;低圧ガス)を圧入してブラダー21を膨張させ、ブラダー21で生タイヤT1を保持する工程、いわゆるシェーピング工程を実行する。
【0021】
次いで、加硫金型1を型締め状態とし、
図3に示すように、互いに密着させたセクター11、上型12、及び下型13を生タイヤT1の外面に押し当てるとともに、膨張させたブラダー21を生タイヤT1の内面に押し当てて、生タイヤT1の加硫を行う。加硫された生タイヤT1は加硫タイヤTとなる。加硫においては、従来公知の加硫条件を適用できる。
【0022】
そして、本開示の加硫タイヤの取り出し方法を用いて、加硫金型1から加硫タイヤTを取り出す。
【0023】
<加硫タイヤの取り出し方法>
加硫タイヤの取り出し方法について、
図4~
図8を参酌して、説明する。まず、生タイヤT1の加硫後、
図4に示すように、セクター11、上型12、及び下型13を分離し、加硫金型1を型開き状態にする。このとき、上型12は上昇させられる。なお、
図4はセクター11及び上型12の図示を省略している。
【0024】
次いで、アンローダー3を、中心機構2の上方であって、加硫タイヤTと同軸状となるように移動させる。次いで、
図5に示すように、センターポスト23を上昇させることでクランプリング22を上昇させ、且つアンローダー3を下降させる。
【0025】
アンローダー3のアンローダー本体31は、
図6に示す一時停止位置P1まで下降させて一時停止させ、チャック32を径方向内側へ移動させる。一時停止位置P1は、上昇させたクランプリング22と加硫タイヤTの間の位置である。また、一時停止位置P1は、チャック32の先端が加硫タイヤTの上側のビード部をタイヤ径方向内側から掴む高さ位置(
図7に示すチャック位置P2)よりも上方である。一時停止位置P1は、例えば、チャック位置P2よりも20~30mm上方である。
【0026】
次いで、アンローダー3のアンローダー本体31を一時停止位置P1から
図7に示すチャック位置P2まで下降させて停止させ、チャック32を径方向外側へ移動させる。これにより、アンローダー3のチャック32で加硫タイヤTのビード部を掴むことができる。最後に、
図8に示すようにアンローダー3のアンローダー本体31を上昇させて加硫タイヤTを取り出す。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る加硫タイヤTの取り出し方法は、アンローダー3を用いて加硫金型1から加硫済みの加硫タイヤTを取り出す方法であって、
加硫金型1の上型12を上昇させて加硫タイヤTから離す工程と、
ブラダー21の上端を支持するクランプリング22を上昇させ、且つ上昇させたクランプリング22と加硫タイヤTの間にアンローダー3のアンローダー本体31を下降させる工程と、
下降させたアンローダー本体31に設けられているチャック32をアンローダー本体31の径方向外側へ移動させて、加硫タイヤTのビード部を掴む工程と、
アンローダー本体31を上昇させて加硫金型1の下型13から加硫タイヤTを取り出す工程と、を備えるものである。
【0028】
この構成によれば、クランプリング22を上昇させることで、クランプリング22と加硫タイヤTとの間の隙間が大きくなり、チャック掴み時のスペースを確保できるため、アンローダー3のチャック32で加硫タイヤTを確実に掴むことができる。
【0029】
また、本実施形態に係る加硫タイヤTの取り出し方法においては、アンローダー本体31を下降させる工程は、チャック32でビード部を掴むチャック位置P2よりも上方の一時停止位置P1でアンローダー本体31を一時停止させ、チャック32を径方向内側へ移動させる工程を含む、という構成である。
【0030】
この構成によれば、チャック32の先端を加硫タイヤTのビード部の下方にタイヤ径方向内側から挿入しやすくなり、チャック32で加硫タイヤTをより確実に掴むことができる。
【0031】
なお、加硫タイヤTの取り出し方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、加硫タイヤTの取り出し方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0032】
(1)上記実施形態に係る加硫タイヤTの取り出し方法においては、アンローダー本体31を下降させる工程は、チャック32でビード部を掴むチャック位置P2よりも上方の一時停止位置P1でアンローダー本体31を一時停止させ、チャック32を径方向内側へ移動させる工程を含む、という構成である。しかしながら、加硫タイヤTの取り出し方法は、かかる構成に限られない。例えば、アンローダー本体31を一時停止させ、チャック32を径方向内側へ移動させることなく、チャック位置P2まで下降させてチャック32で加硫タイヤTのビード部を掴むようにしてもよい。チャック32を径方向内側へ移動させなくとも、クランプリング22を上昇させることで加硫タイヤTのビード部との間の隙間が大きくなり、且つ加硫タイヤTがブラダー21から離れているため、従来技術と比べるとチャック32で加硫タイヤTのビード部を掴みやすい。
【0033】
(2)上記実施形態に係る加硫タイヤTの取り出し方法においては、
図5に示すように、クランプリング22を上昇させながらアンローダー3のアンローダー本体31を下降させているが、これに限定されない。センターポスト23の上昇とアンローダー本体31の下降は、センターポスト23の上昇が完了した後にアンローダー本体31の下降を行ってもよいし、センターポスト23の上昇とアンローダー本体31の下降を同時に行ってもよい。アンローダー3のチャック32がブラダー21と接触しないようにすればよい。
【0034】
(3)上記実施形態の加硫金型1は、セクター11と、サイドモールド12a,13aと、ビードリング12b,13bとを有する分割体であるが、これに限定されない。また、セクター11は、上型12と一体として移動してもよく、上型12と独立して移動してもよい。
【0035】
(4)本開示の加硫タイヤの取り出し方法は、何れの形態の空気入りタイヤにも有用であるが、低扁平サイズのタイヤ、幅狭のタイヤ、高インチのタイヤに特に有用である。
【符号の説明】
【0036】
1…加硫金型、2…中心機構、3…アンローダー(一式)、11…セクター、12…上型、12a…上型サイドプレート、12b…上型ビードリング、13…下型、13a…下型サイドプレート、13b…下型ビードリング、21…ブラダー、22…クランプリング、23…センターポスト、24…シリンダー、31…アンローダー本体、32…チャック、100…加硫機、P1…一時停止位置、P2…チャック位置、T…加硫タイヤ、T1…生タイヤ