(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】障害物検出装置及び障害物検出方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241114BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2021006345
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】桑村 潤
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/070822(WO,A1)
【文献】特開2008-158640(JP,A)
【文献】特開2018-180909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置に接続された入力インターフェイスと、
車両を駐車させる駐車位置までの駐車経路の情報である経路情報と、前記車両の周囲に存在する
構造物の範囲を示す範囲情報と、
超音波を用いて車両の周囲に存在する物体を検出したセンサデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記経路情報に従い、前記車両を走行させる走行駆動部を動作させる駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記走行駆動部に出力する運転制御部と、
前記入力インターフェイスを介し
て入力された
前記センサデータが示す物体が、前記取得部が取得した前記
構造物の範囲の内側に位置す
るか、前記
構造物の範囲の外側に位置す
るかを、
前記範囲情報に基づいて判定する内外判定部と、
前記内外判定部により前記
構造物の範囲の外側に位置すると判定された物体に対して、前記駐車経路を走行する前記車両の障害物となるか否かを判定する障害物判定部と、
を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記障害物判定部は、前記
構造物の範囲の内側に位置すると判定された物体に対して、前記駐車経路を走行する前記車両の障害物となるか否かの判定を行わない、ことを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記内外判定部は、前記範囲情報が示す
前記構造物の範囲の隣接する2頂点同士の座標を結ぶベクトルと、前記2頂点のいずれか1つの頂点と前記物体の座標とを結ぶベクトルとの外積を計算し、前記外積の計算結果に基づいて前記物体が、前記範囲情報が示す
前記構造物の範囲の内側に位置す
るか、前記
構造物の範囲の外側に位置す
るかを判定する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記障害物判定部は、
前記経路情報が示す駐車経路上に複数の判定点を設定し、
各判定点に前記車両が位置するときに前記車両が占める範囲である自車範囲を算出し、
前記自車範囲との距離が予め設定された距離以下の物体を障害物と判定し、
障害物と判定した物体が検出された場合、前記車両の走行停止を前記運転制御部に指示する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記
センサデータと、前記車両の位置を示す位置情報とに基づき、前記経路情報を生成する経路生成部と、
前記
センサデータに基づき、前記車両の周囲に存在する物体の位置及び範囲を示す範囲情報を生成するマップ生成部と、を備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
車両を駐車させる駐車位置までの駐車経路の情報である経路情報と、前記車両の周囲に存在する
構造物の範囲を示す範囲情報と、
超音波を用いて車両の周囲に存在する物体を検出したセンサデータと、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記経路情報に従い、前記車両を走行させる走行駆動部を動作させる駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記走行駆動部に出力する出力ステップと、
外部の装置に接続された入力インターフェイスを介して入力された前記センサデータが示す物体が、前記取得
ステップにより取得した前記
構造物の範囲の内側に位置す
るか、前記
構造物の範囲の外側に位置す
るかを
、前記
範囲情報に基づいて判定する内外判定ステップと、
前記内外判定ステップにより前記
構造物の範囲の外側に位置すると判定された物体に対して、前記駐車経路を走行する前記車両の障害物となるか否かを判定する障害物判定ステップと、
を有することを特徴とする障害物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置及び障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲に存在する物体を検出し、検出した物体が、駐車経路に沿って走行する車両の障害となる障害物であるか否かを判定する装置が知られている。
例えば、特許文献1は、監視領域内における移動障害物を検出する移動障害物検出部と、移動障害物の移動予測経路を算出する第1算出部と、自車両の移動予測経路を算出する第2算出部と、移動障害物の移動予測経路及び自車両の移動予測経路に基づいて、警報実行領域に至る可能性が低い移動障害物を警報対象移動障害物から除外する除外部と、警報対象移動障害物に対し、警報の報知を行う警報部と、を備える障害物検知報知装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出される物体の数は多く、誤検知により車両に接触又は衝突すると判定され、車両が走行を停止する場合もあった。車両が走行を停止した場合、駐車経路の再計算が行われるため、駐車に時間がかかるという課題があった。
【0005】
本発明は、走行する車両の障害となる障害物の検知精度を向上させ、駐車までに要する時間を短縮させた障害物検出装置及び障害物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の障害物検出装置は、外部の装置に接続された入力インターフェイスと、車両を駐車させる駐車位置までの駐車経路の情報である経路情報と、前記車両の周囲に存在する構造物の範囲を示す範囲情報と、超音波を用いて車両の周囲に存在する物体を検出したセンサデータと、を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記経路情報に従い、前記車両を走行させる走行駆動部を動作させる駆動信号を生成し、生成した前記駆動信号を前記走行駆動部に出力する運転制御部と、前記入力インターフェイスを介して入力された前記センサデータが示す物体が、前記取得部が取得した前記構造物の範囲の内側に位置するか、前記構造物の範囲の外側に位置するかを、前記範囲情報に基づいて判定する内外判定部と、前記内外判定部により前記構造物の範囲の外側に位置すると判定された物体に対して、前記駐車経路を走行する前記車両の障害物となるか否かを判定する障害物判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行する車両の障害となる障害物の検知精度を向上させ、駐車までに要する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】自車両及びその周囲の状況を上から見た状態を示す図である。
【
図3】ソナーユニットにより検出された検出点の位置を示す図である。
【
図6】障害物マップの一例を示す図であり、駐車経路に設定された判定点を示す図である。
【
図7】障害物マップの一例を示す図であり、自車図形を示す図である。
【
図8】障害物検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】障害物検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】障害物検出装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、車両に搭載された車載装置3の構成を示す図である。以下では、車載装置3を搭載した車両を自車両1Aと表記する。
車載装置3は、位置検出ユニット10、ソナーユニット30、経路生成装置50、障害物検出装置100及び走行駆動装置150が通信バス5を介して接続された構成を備える。通信バス5は、例えば、イーサネット(登録商標)や、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の規格に従ったデータ通信用のバスである。
【0011】
位置検出ユニット10は、自車両1Aの位置を検出する。位置検出ユニット10は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器と、プロセッサとを備える(いずれも不図示)。GNSS受信器は、衛星から送信される信号を受信する。プロセッサは、GNSS受信器が受信した信号に基づいて自車両1Aの位置情報である緯度及び経度や、算出した位置情報の差分により自車両1Aの方位を演算する。位置検出ユニット10は、演算した自車両1Aの位置情報及び方位情報を経路生成装置50に出力する。
【0012】
ソナーユニット30は、自車両1Aの前方、後方、左側方及び右側方等の複数箇所に搭載され、超音波を用いて自車両1Aの周囲に存在する物体を検出する。具体的には、ソナーユニット30は、物体までの距離や、自車両1Aを基準とした方位の情報等を検出する。ソナーユニット30は、センシング結果を示すセンサデータを経路生成装置50及び障害物検出装置100に出力する。
【0013】
本実施形態では、車載装置3がソナーを備える場合について説明するが、車載装置3に搭載可能なセンサは、ソナーに限定されない。例えば、電波や光等を利用して物体との間の距離を測定可能なレーダーやライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)を搭載してもよい。また、カメラを車載装置3に搭載してもよい。
【0014】
経路生成装置50は、入出力インターフェイス(以下、インターフェイスをI/Fと略記する)60、メモリ70及びプロセッサ80を備えるコンピュータ装置である。経路生成装置50は、これらの装置の他に、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ装置等を備える構成であってもよい。
【0015】
入出力I/F60は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続された外部の装置と相互にデータ通信を行う。外部の装置には、位置検出ユニット10、ソナーユニット30及び障害物検出装置100が含まれる。
【0016】
メモリ70は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。また、メモリ70を、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリにより構成してもよい。メモリ70は、プロセッサ80が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ80がコンピュータプログラムの実行時に処理するデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ70は、ソナーユニット30が出力したセンサデータを記憶する。
プロセッサ80は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocessor Unit)等により構成される。
【0017】
経路生成装置50は、機能的構成として、位置取得部81、状況取得部82、マップ生成部83、駐車位置決定部84、駐車経路生成部85及び運転情報生成部86を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ80が、コンピュータプログラムに従った演算を行うことで実現される機能である。
【0018】
位置取得部81には、位置検出ユニット10により算出された自車両1Aの位置情報及び方位情報が入力される。位置取得部81は、位置検出ユニット10から入力された位置情報や方位情報を、周知のデッドレコニングの手法を用いて補正する。位置取得部81は、補正した位置情報及び方位情報をマップ生成部83に出力する。また、位置取得部81は、補正した位置情報及び方位情報を障害物検出装置100に出力する。以下では、位置情報及び方位情報を位置・方位情報と表記する。
【0019】
状況取得部82は、ソナーユニット30にセンシングを実行させ、ソナーユニット30の検出結果であるセンサデータを周囲情報として取得する。状況取得部82は、取得したセンサデータをメモリ70に一時的に記憶させる。
【0020】
マップ生成部83は、位置取得部81から入力される位置・方位情報や、メモリ70から取得したセンサデータに基づき、自車両1Aの周囲の状況を示す周辺マップ200(
図4参照)を生成する。周辺マップ200には、自車両1Aの位置や、自車両1Aの周囲に存在する物体の位置や物体までの距離、駐車場の路面にペイントされた白線等の駐車枠の位置等が記録される。周辺マップ200に記録される物体には、例えば、他車両や、駐車場の柱や壁等の構造物等が含まれる。以下、これらの物体を対象物という。駐車枠は、所定の太さで路面にペイントされているため、白線の太さに相当する間隔が周期的な特徴として検出される。
【0021】
また、マップ生成部83は、検出した対象物の位置や範囲を周辺マップ200に記録するときに、対象物の範囲を示す範囲図形を生成し、生成した範囲図形を周辺マップ200に記録する。ここで、マップ生成部83が生成する範囲図形について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
図2は、自車両1A及びその周囲の状況を上から見た図である。
【0022】
図2に示すように、自車両1Aの右側には、3つの駐車領域201、202及び203が存在し、自車両1Aの左側には壁220が設置されている。また、駐車領域201には、他車両1Bが駐車しており、駐車領域203には、他車両1Cが駐車している。また
図2には、自車両1Aの位置を位置S0と表記する。位置S0は、自車両1Aの基準位置を示す。基準位置は、自車両1Aの予め設定された位置であり、例えば、前輪又は後輪の車幅方向の中心位置であってもよいし、自車両1Aの重心位置であってもよし、車長方向及び車幅方向の中心位置であってもよい。
【0023】
図3は、自車両1Aが
図2に示す位置S0に移動するまでの間に、ソナーユニット30のセンサデータにより検出された検出点Tの位置を示す図である。
図3に示す例では、他車両1Bの検出点Tとして、T1,T2,T3及びT4が検出され、他車両1Cの検出点Tとして、T11,T12,T13及びT14が検出された場合を示す。また、壁220の検出点Tとして、T21,T22,T23,T24,T25及びT26が検出された場合を示す。なお、
図3は、ソナーユニット30のセンサデータにより検出されたすべての検出点Tを図示しているわけではなく、実際には、ソナーユニット30はより詳細な精度で対象物を検出する。
【0024】
図4は、マップ生成部83が生成した周辺マップ200の一例を示す図である。
周辺マップ200には、自車両1Aの位置S0を原点とし、直交する2軸であるx軸及びy軸を有する座標系が設定される。x軸は、例えば、自車両1Aの車長方向に平行な方向であり、y軸は、自車両1Aの車幅方向に平行な方向である。自車両1Aの位置S0は、位置取得部81が取得した位置・方位情報が示す位置である。また、周辺マップ200には、マップ生成部83が検出点Tの座標に基づいて生成した矩形の範囲図形211,213及び225が記録される。
範囲図形211は、対象物である他車両1Bの範囲を示す矩形の図形であり、範囲図形213は、対象物である他車両1Cの範囲を示す矩形の図形であり、範囲図形225は、対象物である壁220の範囲を示す矩形の図形である。
【0025】
対象物の範囲を示す範囲図形211,213及び225として、他車両1Bや、他車両1C、壁220の詳細な形状に対応した図形を作成してもよいが、経路生成装置50の処理負荷が増大し、図形の生成処理に時間がかかる。このため、マップ生成部83は、センサデータのうち、1つの対象物を検出したデータであると判定できるセンサデータを一つにまとめて、対象物の範囲を示す範囲図形211、213及び225を生成する。マップ生成部83は、センサデータが示す位置の間隔が予め設定された距離以下のデータを、1つの対象物のデータと判定する。
【0026】
マップ生成部83は、対象物ごとに、x軸方向の最大値及び最小値、y軸方向の最大値及び最小値を示す検出点Tをそれぞれ選択する。
例えば、他車両1Bの場合、x軸方向の最大値を示す検出点Tとして、T1を選択し、x軸方向の最小値を示す検出点TとしてT3又はT4を選択する。また、y軸方向の最大値を示す検出点TとしてT4を選択し、y軸方向の最小値を示す検出点TとしてT2を選択する。
【0027】
マップ生成部83は、選択した検出点Tの座標に基づいて矩形の範囲図形211、213及び225を生成する。例えば、マップ生成部83は、x軸方向の最大値を示す検出点T1を通りy軸に平行な第1辺と、x軸方向の最小値を示す検出点T3を通りy軸に平行な第2辺と、y軸方向の最大値を示す検出点T4を通りx軸に平行な第3辺と、y軸方向の最最小値を示す検出点T2を通りx軸に平行な第4辺とにより構成される図形を、他車両1Bの範囲を示す範囲図形211として生成する。
範囲図形211は、
図4に示す点A(xa,ya),点B(xb,yb)、点C(xc,yc)及び点D(xd,yd)を4頂点とする図形である。
範囲図形213は、点E(xe,ye),点F(xf,yf)、点G(xg,yg)及び点H(xh,yh)を4頂点とする図形である。
範囲図形225は、点I(xi,yi),点J(xj,yj)、点K(xk,yk)及び点L(xl,yl)を4頂点とする図形である。
【0028】
なお、自車両1Aが
図2~
図4に示す位置S0に位置する場合、他車両1B,1Cの自車両1Aに面する側とは反対側の面の位置は、ソナーユニット
30のセンサデータでは、精度よく測定することはできない。同様に、自車両1Aが位置S0に位置する場合、壁220の自車両1Aに面する側とは反対側の面の位置を測定することはできない。しかし、他車両1B,1Cや壁220の自車両1Aに面する側とは反対側の面の位置は、衝突検知の観点からは精度が要求されないため、予め設定された値を設定してもよい。例えば、範囲図形211の点Bのy座標値は、点A(xa,ya)のy座標値に、予め設定された値を加算又は減算した値に設定してもよく、範囲図形211の点Dのy座標値は、点C(xc,yc)のy座標値に、予め設定された値を加算又は減算した値に設定してもよい。
【0029】
駐車位置決定部84は、マップ生成部83が生成した周辺マップ200を参照して、自車両1Aを駐車させる駐車枠を決定する。例えば、駐車位置決定部84は、周辺マップ200に記録された駐車枠の中から、対象物が検出されず、自車両1Aからの距離が予め設定された設定距離以下の駐車枠を選択する。駐車位置決定部84は、選択した駐車枠内に自車両1Aを駐車させる位置や角度を設定して駐車位置Pを決定する。
【0030】
駐車経路生成部85は、駐車位置決定部84が決定した駐車位置Pに自車両1Aを駐車させるための駐車経路Rを生成する。駐車経路Rは、自車両1Aを、自車両1Aの位置S0から駐車位置Pまで移動させる経路である。駐車経路の生成処理には、公知の手段が用いられる。
【0031】
運転情報生成部86には、駐車経路生成部85が生成した駐車経路Rの情報が入力される。運転情報生成部86は、入力された駐車経路Rの情報に基づき、障害物検出装置100に、走行駆動装置150を制御させる情報である運転情報を生成する。
また、運転情報生成部86は、マップ生成部83がメモリ70に生成した周辺マップ200を参照して、対象物の位置及び範囲を示す範囲図形211、213及び225の4頂点の座標を取得する。
運転情報生成部86は、駐車経路Rの情報である経路情報と、範囲図形211、213及び225の4頂点の座標の情報である範囲情報と、生成した運転情報とを含む制御情報を障害物検出装置100に出力する。
【0032】
障害物検出装置100は、入出力I/F110、メモリ120及びプロセッサ130を備えるコンピュータ装置である。障害物検出装置100は、これらの装置の他に、HDDやSSD等のストレージ装置等を備える構成であってもよい。
【0033】
入出力I/F110は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続された外部の装置と相互にデータ通信を行う。外部の装置には、位置検出ユニット10、ソナーユニット30及び経路生成装置50及び走行駆動装置150が含まれる。
【0034】
メモリ120は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。また、メモリ120を、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリにより構成してもよい。メモリ120は、プロセッサ130が実行するコンピュータプログラムや、プロセッサ130がコンピュータプログラムの実行時に処理するデータや処理結果のデータを記憶する。また、メモリ120は、ソナーユニット30が出力したセンサデータや、経路生成装置50から入力された制御情報を記憶する。
プロセッサ80は、CPUやMPU等により構成される。
【0035】
障害物検出装置100は、機能的構成として、取得部131、運転制御部132、内外判定部133及び障害物判定部134を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ80が、コンピュータプログラムに従った演算を行うことで実現される機能である。
【0036】
取得部131は、メモリ120に記憶された制御情報に含まれる範囲情報及びセンサデータを取得する。取得部131は、取得した範囲情報及びセンサデータを内外判定部133に出力する。
また、取得部131は、メモリ120に記憶された運転情報を運転制御部132に出力する。
さらに、取得部131は、メモリ120に記憶された経路情報を取得する。取得部131は、取得した経路情報を障害物判定部134に出力する。
【0037】
運転制御部132は、取得部131から運転情報が入力されると、入力された運転情報に従って走行駆動装置150の各部を駆動させる駆動情報を生成する。運転制御部132は、生成した駆動情報を走行駆動装置150に出力する。
【0038】
ここで、走行駆動装置150について説明する。
走行駆動装置150には、操舵装置151、駆動装置153、制動装置155及び変速装置157が含まれる。
操舵装置151は、自車両1Aの操舵輪を操舵するアクチュエータを含む装置である。運転制御部132は、駆動情報によりアクチュエータを駆動し、操舵輪を操舵する。
駆動装置153は、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。このアクチュエータには、自車両1Aの動力源がエンジンである場合はスロットルアクチュエータが該当し、動力源がモータである場合には当該モータが該当する。運転制御部132は、駆動情報によりアクチュエータを駆動し、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整する。
【0039】
制動装置155は、自車両1Aに設けられたブレーキシステムを制御し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御するアクチュエータを含む装置である。
運転制御部132は、駆動情報によりアクチュエータを駆動し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御する。
変速装置157は、変速機及びアクチュエータを含む装置である。
運転制御部132は、駆動情報によりアクチュエータを駆動し、変速機の変速比や、自車両1Aの前進及び後進を切り替える。
【0040】
内外判定部133には、取得部131から範囲情報が入力される。内外判定部133は、入力された範囲情報が示す対象物の位置及び範囲を示す範囲図形をメモリ120に展開して障害物マップ300を生成する。障害物マップ300の一例を
図5~
図7に示す。
【0041】
また、内外判定部133は、取得部131からセンサデータが入力されると、入力されたセンサデータに含まれる対象物の情報を取得する。すなわち、内外判定部133は、ソナーユニット30から入力されたセンサデータが示す対象物までの距離や、自車両1Aを基準とした対象物の方位の情報を取得する。内外判定部133は、取得した対象物までの距離や方位等の情報に基づき、対象物が障害物マップ300に示された範囲図形211、213、225の内側に位置するのか、外側に位置するのかを判定する。
【0042】
図5は、内外判定部133が生成した障害物マップ300の一例を示す図である。
障害物マップ300も自車両1Aの位置S0を原点とし、直交する2軸であるx軸及びy軸を有する座標系が設定される。
図5に示す点Uは、センサデータにより検出した対象物の位置を示す。点Uの座標を(xu,yu)と仮定する。
【0043】
内外判定部133は、まず、対象の範囲図形を1つ選択する。ここでは、範囲図形211が選択された場合について説明する。内外判定部133は、範囲図形211の4つの頂点のうち、隣接する2頂点を選択する。
図5では、隣接する2頂点として点Aと点Bとが選択された状態を示す。
点Aは、範囲図形211の頂点を右回りで選択する場合に上流に位置し、点Bは範囲図形211の頂点を右回りで選択する場合に下流に位置する。内外判定部133は、上流に位置する点Aを始点とし、下流に位置する点Bを終点とするベクトルABと、点Aを始点とし点Uを終点とするベクトルAUとを生成する。ベクトルABの成分は、(xb-xa,yb-ya)であり、ベクトルAUの成分は、(xu-xa,yu-ya)である。
【0044】
次に、内外判定部133は、ベクトルABと、ベクトルAUとの外積AB×AUを計算する。
ベクトルAB×ベクトルAU={(xb-xa)・(yu-ya)}-{(xu-xa)・(yb-xa)}
このとき、内外判定部133は、範囲図形211の2頂点を結ぶベクトル(例えば、ベクトルAB)が、範囲図形211の1つの頂点と対象物の座標とを結ぶベクトル(例えば、ベクトルAU)よりも先になるように外積の計算式を生成する。
【0045】
内外判定部133は、ベクトルABとベクトルAUとの外積の他に、範囲図形211の他の隣接する2頂点についても、対象物の点Uとの外積を計算する。具体的には、内外判定部133は、ベクトルBDとベクトルBUとの外積(ベクトルBD×ベクトルBU)、ベクトルDCとベクトルDUとの外積(ベクトルDC×ベクトルDU)、ベクトルCAとベクトルCUとの外積(ベクトルCA×ベクトルCU)をそれぞれ計算する。
内外判定部133は、これらの外積計算の結果に1つでも正の値が含まれる場合、対象物の点Uは、範囲図形211の外側に位置すると判定する。また、内外判定部133は、外積計算の結果がすべて負の値である場合、点Uは、範囲図形211の内側に位置すると判定する。
【0046】
内外判定部133は、範囲情報が示す他のすべての範囲図形213、225について、対象物の点Uが、範囲図形213、225の内側に位置するのか、外側に位置するのかを判定する。内外判定部133は、対象物の点Uが、すべての範囲図形211、213及び225の外側に位置すると判定した場合、この対象物の点Uを、障害物判定の対象と判定する。また、内外判定部133は、対象物の点Uが、いずれか1つの範囲図形211、213及び225の内側に位置すると判定した場合、この対象物の点Uは、障害物判定の対象ではないと判定する。例えば、対象物の点Uが範囲図形211内の点である場合、この対象物の点Uは、他車両1Bを検出した点であると判定される。経路生成装置50は、他車両1Bの位置を考慮して駐車経路Rを生成しているため、対象物の点Uが範囲図形211内の点である場合、自車両1Aを駐車経路Rに沿って走行させても、自車両1Aは対象物には接触又は衝突しないと判定できる。このため内外判定部133は、対象物の点Uが、いずれか1つの範囲図形211、213及び225の内側に位置すると判定した場合、この対象物の点Uを、障害物判定の対象から除外する。内外判定部133は、障害物判定の対象と判定した対象物の点Uの座標を、障害物判定部134に出力する。
【0047】
図6及び
図7は、障害物マップ300を示す図である。
障害物判定部134には、内外判定部133がすべての範囲図形211,213及び225の外側に位置すると判定した対象物の点Uの座標と、取得部131が取得した経路情報と、位置・方位情報とが入力される。
障害物判定部134は、座標が入力された対象物の点Uが、駐車経路Rを走行する自車両1Aの障害物となるか否かを判定する。障害物判定部134は、駐車経路を走行する自車両1Aに接触又は衝突すると判定した対象物を障害物と判定する。
【0048】
障害物判定部134は、まず、経路情報が示す駐車経路R上に複数の判定点Wを設定する。例えば、障害物判定部134は、予め設定された距離ごとに判定点Wを設定する。
図6には、駐車経路Rが、経路R1と経路R2とを有し、経路R1及び経路R2にW1,W2,W3,W4及びW5の5つの判定点が設定された状態を示す。
【0049】
障害物判定部134は、駐車経路Rに沿って走行する自車両1Aと、判定点Wとの距離が、所定距離以下になると、自車両1Aが判定点Wに移動したときの方位を演算し、自車両1Aが判定点Wに位置するときに、自車両1Aが占める範囲を演算する。障害物判定部134は、演算した自車両1Aの範囲を示す自車図形310を障害物マップ300に展開する。
図7には、自車両1Aが判定点W3に位置するときの自車図形310を示す。
障害物判定部134は、内外判定部133から入力される対象物の点Uの座標と、自車図形310との距離を計算し、自車両1Aが対象物に接触又は衝突するか否かを判定する。
障害物判定部134は、自車図形310と対象物の点Uの座標との距離が、予め設定された距離以下である場合、この対象物を障害物と判定する。障害物判定部134は、対象物を障害物と判定すると、自車両1Aの走行を停止するように運転制御部132に指示する。
【0050】
運転制御部132は、障害物判定部134から障害物と判定された対象物の座標が入力されると、自車両1Aの走行を停止させる。運転制御部132は、自車両1Aの走行を停止させたことを経路生成装置50に通知し、経路生成装置50に、障害物との接触又は衝突を回避可能な駐車経路を再度生成させる。
【0051】
図8及び
図9は、障害物検出装置100の動作を示すフローチャートである。
図8及び
図9に示すフローチャートを参照しながら障害物検出装置100の動作を説明する。
まず、障害物検出装置100は、経路生成装置50から制御情報を取得したか否かを判定する(ステップS1)。経路生成装置50は、経路情報、範囲情報及び運転情報を生成し、生成したこれらの情報を制御情報として障害物検出装置100に出力する。障害物検出装置100は、入力された制御情報をメモリ120に一時的に記憶させる。障害物検出装置100は、メモリ120から制御情報を読み出すことで、制御情報を取得したと判定する。ステップS1は、取得ステップに相当する。
【0052】
障害物検出装置100は、制御情報を取得すると(ステップS1/YES)、制御情報に含まれる範囲情報に基づいてメモリ120に障害物マップ300を生成する(ステップS2)。障害物検出装置100は、範囲情報が示す位置及び範囲を示す範囲図形を障害物マップ300に記録して、障害物マップ300を生成する。
【0053】
次に、障害物検出装置100は、制御情報に含まれる運転情報に従って走行駆動装置150の各部を動作させる駆動信号を生成する。運転制御部132は、生成した駆動信号を走行駆動装置150に出力して自車両1Aの走行を開始させる(ステップS3)。これにより、自車両1Aは、経路生成装置50が生成した駐車経路に従い、駐車位置Pへの走行を開始する。ステップS3は、出力ステップに相当する。
【0054】
次に、障害物検出装置100は、ソナーユニット30の検出結果を示すセンサデータをメモリ120から取得する(ステップS4)。障害物検出装置100は、取得したセンサデータに対象物の情報が含まれるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、障害物検出装置100は、対象物までの距離や、自車両1Aを基準とした対象物の方位の情報を取得する。
障害物検出装置100は、センサデータから対象物の情報を取得できなかった場合(ステップS5/NO)、位置取得部81から位置・方位情報を取得し、取得した位置・方位情報に基づいて駐車位置Pに到着したか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
障害物検出装置100は、駐車位置Pに到着した場合(ステップS12/YES)、この処理フローを終了させる。また、障害物検出装置100は、駐車位置Pに到着していない場合(ステップS12/NO)、センサデータを再度取得し(ステップS4)、対象物を検出したか否かを判定する。
【0056】
また、障害物検出装置100は、ステップS5の判定において、対象物を検出した場合(ステップS5/YES)、検出した対象物の位置が範囲図形の内側に位置するか、外側に位置するかを判定する内外判定処理を実施する(ステップS6)。内外判定処理の詳細については、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。ステップS6は、内外判定ステップに相当する。
【0057】
障害物検出装置100は、内外判定処理の結果、範囲図形の外側に位置すると判定した対象物がない場合(ステップS7/NO)、ステップS4の処理に戻り、センサデータを取得する。また、障害物検出装置100は、範囲図形の外側に位置すると判定した対象物がある場合(ステップS7/YES)、検出した対象物が、駐車経路に沿って走行する自車両1Aに接触又は衝突する障害物となるか否かを判定する障害物判定処理を実施する(ステップS9)。ステップS9は、障害物判定ステップに相当する。
【0058】
障害物検出装置100は、駐車経路上に複数の判定点Wを設定し、設定した判定点Wにおける自車両1Aの方位を、位置取得部81から入力される位置・方位情報に基づいて算出する。障害物検出装置100は、算出した判定点Wにおける自車両1Aの方位に基づき、自車両1Aが判定点Wに位置するときの自車両1Aの範囲を示す自車図形を生成する。障害物検出装置100は、生成した自車図形と、検出した対象物との距離が予め設定した設定距離以下になるか否かを判定する(ステップS10)。障害物検出装置100は、自車図形と、対象物との距離が予め設定した設定距離以下になる場合(ステップS10/YES)、駆動装置153の駆動を停止させて、制動装置155を駆動させ、自車両1Aの走行を停止させる(ステップS11)。また、障害物検出装置100は、自車図形と、対象物との距離が予め設定した設定距離以下にならない場合(ステップS10/NO)、ステップS12の判定に移行する。
【0059】
次に、
図9に示すフローチャートを参照しながらステップS6の内外判定処理の詳細について説明する。
まず、障害物検出装置100は、範囲図形の1つを選択する(ステップS61)。次に、障害物検出装置100は、選択した範囲図形の頂点のうち、隣接する2つの頂点を右回りで選択する(ステップS62)。ここで、選択された2つの頂点をAとBとし、対象物の点を点Uとする。また、点Aは、範囲図形の隣接する2頂点を右回りで選択する場合に上流に位置し、点Bは下流に位置すると仮定する。次に、障害物検出装置100は、対象物の座標と、選択した2頂点を結ぶベクトルABと、上流の頂点Aと対象物の点Uとを結ぶベクトルAUとをそれぞれ生成し、生成したベクトルの外積AB×AUを計算する(ステップS63)。次に、障害物検出装置100は、ステップS61で選択した範囲図形の隣接する2つの頂点のうち、選択していない組み合わせがあるか否かを判定する(ステップS64)。
【0060】
障害物検出装置100は、選択していない隣接する2頂点の組み合わせがある場合(ステップS64/YES)、ステップS62に戻り、隣接する2頂点を選択する。また、障害物検出装置100は、選択していない隣接する2頂点の組み合わせがない場合(ステップS64/NO)、隣接する2頂点の組み合わせごとに計算した外積の値は、すべて負の値であるか否かを判定する(ステップS65)。障害物検出装置100は、外積の値がすべて負の値ではない、すなわち、外積の値に正の値が含まれる場合(ステップS65/NO)、対象物の位置を範囲図形の外側と判定する(ステップS67)。また、障害物検出装置100は、外積の値がすべて負の値である場合(ステップS65/YES)、対象物の位置を範囲図形の内側と判定する(ステップS66)。
【0061】
次に、障害物検出装置100は、すべての範囲図形を対象として選択したか否かを判定する(ステップS68)。障害物検出装置100は、すべての範囲図形を対象として選択していない場合(ステップS68/NO)、ステップS61に戻り、選択していない範囲図形の1つを選択する(ステップS61)。また、障害物検出装置100は、すべての範囲図形を対象として選択した場合(ステップS68/YES)、対象物が内側に位置すると判定した範囲図形があるか否かを判定する(ステップS69)。
【0062】
障害物検出装置100は、対象物が内側に位置すると判定した範囲図形がない場合(ステップS69/NO)、対象物は、すべての範囲図形の外側に位置していると判定する(ステップS70)。障害物検出装置100は、この対象物を障害物判定の対象と判定し、対象物の座標を出力する。
また、障害物検出装置100は、対象物が内側に位置すると判定した範囲図形がある場合(ステップS69/YES)、対象物は、範囲図形の内側に位置すると判定し、処理していない他の対象物があるか否かを判定する(ステップS71)。障害物検出装置100は、処理していない他の対象物がある場合(ステップS71/YES)、ステップS61の処理に戻る。また、障害物検出装置100は、処理していない他の対象物がない場合(ステップS71/NO)、ステップS7の処理に移行する。
【0063】
以上説明したように本実施形態の障害物検出装置100は、入出力I/F110と、取得部131と、運転制御部132と、内外判定部133と、障害物判定部134とを備える。
【0064】
取得部131は、自車両1Aを駐車させる駐車位置Pまでの駐車経路Rの情報である経路情報と、自車両1Aの周囲に存在する対象物の位置及び範囲を示す範囲情報と、を取得する。
運転制御部132は、取得部131が取得した経路情報に従い、自車両1Aを走行させる走行駆動装置150を動作させる駆動信号を生成し、生成した駆動信号を走行駆動装置150に出力する。
内外判定部133は、自車両1Aの周囲の状況を示す周囲情報が、入出力I/F110を介して経路生成装置50から入力されると、入力された周囲情報に含まれる対象物が、取得した範囲情報が示す範囲の内側に位置する対象物であるのか、範囲の外側に位置する対象物であるのかを判定する。すなわち、内外判定部133は、ソナーユニット30から入力されたセンサデータが示す対象物が、範囲情報が示す範囲の内側に位置する対象物であるのか、範囲の外側に位置する対象物であるのかを判定する。
障害物判定部134は、内外判定部133により範囲の外側に位置すると判定された対象物に対して、駐車経路Rを走行する自車両1Aの障害物となるか否かを判定する。
従って、障害物検出装置100は、範囲情報が示す範囲外に位置する対象物に対して障害物判定を行うため、自車両1Aの障害となる障害物の検知に要する時間を短縮し、自車両1Aの障害となる障害物の検知精度を向上させることができる。
【0065】
また、障害物検出装置100は、内外判定部133により範囲の内側に位置すると判定された対象物に対して、駐車経路Rを走行する自車両1Aの障害物となるか否かを判定しない。
従って、障害物検出装置100は、自車両1Aの障害となる障害物の検知に要する時間を短縮することができる。
【0066】
内外判定部133は、範囲情報が示す範囲の隣接する2頂点同士の座標を結ぶベクトルと、2頂点のいずれか1つの頂点と対象物の座標とを結ぶベクトルとの外積を計算し、外積の計算結果に基づいて対象物が、範囲情報が示す範囲の内側に位置するのか、範囲の外側に位置するのかを判定する。
従って、障害物が、範囲情報が示す範囲内に位置するのか、範囲外に位置するのかの判定精度を向上させることができる。
【0067】
障害物判定部134は、駐車経路R上に複数の判定点Wを設定し、各判定点Wに自車両1Aが位置するときに自車両1Aが占める範囲を示す自車図形310を生成する。
障害物判定部134は、自車図形310との距離が予め設定された距離以下の対象物を障害物と判定し、障害物と判定した対象物が検出された場合、自車両1Aの走行停止を運転制御部132に指示する。
従って、駐車経路を走行する自車両1Aの障害となる障害物が検出された場合に、自車両1Aの走行を停止させることができる。
【0068】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、
図1に示すように経路生成装置50と障害物検出装置100とを別々のコンピュータ装置により構成してもよいし、
図10に示すように1つのコンピュータ装置により構成してもよい。
図10には、障害物検出装置500が、位置取得部531、状況取得部532、取得部540、運転情報生成部533、運転制御部534、内外判定部535、障害物判定部536を備える構成を示す。取得部540は、マップ生成部541と、駐車位置決定部542と、駐車経路生成部543とを備える。すなわち、
図10に示す障害物検出装置500は、駐車位置Pまでの駐車経路の情報である経路情報と、自車両1Aの周囲に存在する物体の位置及び範囲を示す範囲情報とを生成する。
【0069】
また、
図2~
図7には、自車両1Aの駐車形態が縦列駐車である場合を示すが、自車両1Aの駐車形態は、並列駐車であってもよいし、斜め駐車であってもよい。縦列駐車とは、自車両1Aと他車両とが、自車両1Aにおける車長方向に沿って配列するように、自車両1Aを駐車する駐車態様である。また、斜め駐車とは、斜め駐車とは、駐車区画の前又は後の通路に対して斜めに設けられた駐車区画へ駐車する駐車態様である。
【0070】
また、
図2~
図7には、対象物の範囲を示す範囲図形211、213及び225の形状が矩形である場合を示したが、範囲図形211、213及び225の形状は矩形でなくてもよく、例えば、3角形や、5角形等の多角形であってもよい。
【0071】
また、内外判定部133は、範囲図形の隣接する2頂点を右回りで選択したため、外積の値に1つでも正の値が含まれる場合、対象物の点Uは、範囲図形の外側に位置すると判定し、外積計算の結果がすべて負の値である場合、点Uは、範囲図形の内側に位置すると判定した。
この他に、範囲図形の隣接する2頂点を左回りで選択してもよい。この場合、外積の値に1つでも負の値が含まれる場合、対象物の点Uは、範囲図形の外側に位置すると判定し、外積計算の結果がすべて正の値である場合、対象物の点Uは、範囲図形の内側に位置すると判定する。
【0072】
また、
図1に示す経路生成装置50及び障害物検出装置100の構成を示すブロック図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0073】
また、本発明の障害物検出方法を、コンピュータを用いて実現する場合、このコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体、又はこのプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、経路生成装置50が備えるROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0074】
また、
図8及び
図9に示すフローチャートの処理単位は、障害物検出装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。障害物検出装置100の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、障害物検出装置100の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1A 車両
1B 他車両
1C 他車両
3 車載装置
5 通信バス
10 位置検出ユニット
30 ソナーユニット
50 経路生成装置
60 入出力I/F
70 メモリ
80 プロセッサ
81 位置取得部
82 状況取得部
83 マップ生成部
84 駐車位置決定部
85 駐車経路生成部
86 運転情報生成部
100 障害物検出装置
110 入出力I/F
120 メモリ
130 プロセッサ
131 取得部
132 運転制御部
133 内外判定部
134 障害物判定部
150 走行駆動装置
151 操舵装置
153 駆動装置
155 制動装置
157 変速装置
200 周辺マップ
201、202、203 駐車領域
220 壁
300 障害物マップ
310 自車図形