(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20241114BHJP
B60K 15/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
B60K15/04 D
(21)【出願番号】P 2021042816
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩登
(72)【発明者】
【氏名】本圖 誠
(72)【発明者】
【氏名】海崎 裕輝
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-193575(JP,A)
【文献】特開2017-110420(JP,A)
【文献】特開2004-114760(JP,A)
【文献】特開2017-160750(JP,A)
【文献】特開2001-277868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/08
B60K 15/04-15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム上に設けられた燃料タンクと、前記燃料タンクを開閉可能に覆って設けられたタンクカバーと、前記タンクカバーを閉じたときに互いに係合することにより前記タンクカバーを閉じた状態に保持するキャッチおよびラッチと、を備え、
前記燃料タンクは、燃料を貯えるタンク本体と、前記タンク本体の上方に設けられた給油口と、前記タンク本体と前記給油口とを接続する接続管と、前記給油口を閉塞するために前記給油口に脱着可能に取付けられたキャップと、を備え
、
前記キャッチは、前記ラッチに係合するキャッチ本体と、前記キャッチ本体を所定の位置に固定するブラケットと、を備えてなる建設機械において、
前記燃料タンクの前記給油口は、前記キャッチ
の前記ブラケットに取付けられ
、
前記給油口は、前記ブラケットに対する取付位置が調整可能となっていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記キャッチ
の前記ブラケットは、前記燃料タンクを上側から押さえて固定す
ることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記車体フレームには、前記燃料タンクを載せるためのタンク取付台が設けられ、
前記キャッチ
の前記ブラケットは、前記タンク取付台に取付けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記接続管は、可撓性を有する管状体として形成されていることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクと燃料タンクを覆うタンクカバーを備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、旋回フレームの後側に設けられ、油圧ポンプを駆動するエンジンと、旋回フレームの前側に設けられ、エンジンに供給する燃料を貯える燃料タンクと、燃料タンクを開閉可能に覆ったタンクカバーと、を備えている。また、燃料タンクは、燃料を貯えるタンク本体と、タンク本体の上方に設けられた給油口と、タンク本体と給油口とを接続する接続管と、給油口を閉塞するために給油口に脱着可能に取付けられたキャップと、を備えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、燃料タンクのタンク本体に多くの燃料を給油した状態で、例えば、傾斜地で作業を行うと、タンク本体内の燃料が接続管、給油口を通じてキャップに達し、このキャップに付着する。このように、キャップに燃料が付着した状態で、キャップを取外すと、キャップに付着した燃料が垂れ落ちる虞があり、垂れ落ちた燃料の拭き取り作業が必要になるという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、燃料タンクのキャップに付着した燃料が燃料タンクの周囲に垂れ落ちるのを防止することにより、拭き取り作業等を省略できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体フレーム上に設けられた燃料タンクと、前記燃料タンクを開閉可能に覆って設けられたタンクカバーと、前記タンクカバーを閉じたときに互いに係合することにより前記タンクカバーを閉じた状態に保持するキャッチおよびラッチと、を備え、前記燃料タンクは、燃料を貯えるタンク本体と、前記タンク本体の上方に設けられた給油口と、前記タンク本体と前記給油口とを接続する接続管と、前記給油口を閉塞するために前記給油口に脱着可能に取付けられたキャップと、を備え、前記キャッチは、前記ラッチに係合するキャッチ本体と、前記キャッチ本体を所定の位置に固定するブラケットと、を備えてなる建設機械において、前記燃料タンクの前記給油口は、前記キャッチの前記ブラケットに取付けられ、前記給油口は、前記ブラケットに対する取付位置が調整可能となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃料タンクのキャップに付着した燃料が燃料タンクの周囲に垂れ落ちるのを防止することができ、拭き取り作業等を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルを示す右側面図である。
【
図2】旋回フレーム、燃料タンク等を示す平面図である。
【
図3】タンクカバーを開いた状態で上部旋回体の右側を前側から示す前面図である。
【
図4】
図3中のタンク取付台、燃料タンク、キャッチ等を拡大して示す斜視図である。
【
図5】タンク取付台および燃料タンクの上部、キャッチ等を示す斜視図である。
【
図6】燃料タンクのタンク本体、給油口、接続管、キャップ、キャッチのブラケット、調整部材、キャッチ本体等を分解した状態で、
図5と同様位置から見た斜視図である。
【
図7】ラッチをキャッチに係合させた状態を、
図5と同様位置から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、キャブ仕様の油圧ショベルを例に挙げ、
図1ないし
図7に従って詳細に説明する。
【0011】
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、キャブ仕様の油圧ショベルとして構成されている。油圧ショベル1は、自走が可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、を備えている。上部旋回体3の前側には、土砂の掘削作業等を行う作業装置4が回動可能に設けられている。
【0012】
旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成している。
図2に示すように、旋回フレーム5は、前後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、底板5A上に前側に向け互いに接近するようにV字状に延びて立設された左縦板5B、右縦板5Cと、左縦板5Bの左側に間隔をもって前後方向に延びた左サイドフレーム5Dと、左サイドフレーム5Dの前部から左縦板5Bに向けて右側に延びた左前フレーム5Eと、右縦板5Cの右側に間隔をもって前後方向に延びた右サイドフレーム5Fと、右サイドフレーム5Fの前部から右縦板5Cに向けて左側に延びた右前フレーム5Gと、を含んで構成されている。
【0013】
また、左縦板5B、右縦板5Cの前部は、作業装置4を回動可能に支持する支持ブラケット5Hとなっている。旋回フレーム5の右前側となる右サイドフレーム5Fと右前フレーム5Gとが形成する隅部には、後述の燃料タンク9がタンク取付台8を介して配設されている。
【0014】
図1に示すように、カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後側に設けられている。カウンタウエイト6は、作業装置4との重量バランスをとるもので、左右方向の中央部が後側に突出した円弧状の重量物として形成されている。また、旋回フレーム5の後側には、カウンタウエイト6の前側に位置してエンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)が搭載されている。
【0015】
キャブ7は、旋回フレーム5の左前側に設けられている。キャブ7は、内部が運転室となったボックス体として形成され、この運転室には、オペレータが座る運転席が設けられている。また、運転席の前方には、走行用操作レバー・ペダル装置が配設され、運転席の左右両側には、作業用操作レバー装置(いずれも図示せず)が配設されている。
【0016】
タンク取付台8は、旋回フレーム5の右前側に設けられている。タンク取付台8は、後述の燃料タンク9を載せるための台座を構成している。
図4に示すように、タンク取付台8は、燃料タンク9が載せられる平板状の下面板8Aと、下面板8Aの後縁から上側に延びた後面板8Bと、下面板8Aの左縁から上側に延びた左面板8Cと、を含んで構成されている。後面板8Bの上部には、後述のタンクカバー24が回動可能(開閉可能)に取付けられている。また、左面板8Cの上部には、後述のキャッチ15のブラケット16が取付けられている。
【0017】
燃料タンク9は、旋回フレーム5上の右前側に設けられている。燃料タンク9は、エンジンに供給する燃料を貯えるもので、タンク取付台8に載せられている。燃料タンク9は、後述のタンク本体10、給油口11、接続管12、キャップ13を備えている。
【0018】
タンク本体10は、燃料を貯える密閉容器として形成されている。
図2ないし
図4に示すように、タンク本体10は、タンク取付台8の下面板8Aと対面する下面部10Aと、タンク取付台8の後面板8Bと対面する後面部10Bと、タンク取付台8の左面板8Cと対面する左面部10Cと、後面部10Bの右端と左面部10Cの前端との間に円弧状に膨らんで設けられた円弧面部10Dと、後面部10B、左面部10Cおよび円弧面部10Dの上部に亘って設けられた上面部10Eと、を有している。
【0019】
図6に示すように、上面部10Eには、上側に突出して取付管10Fが設けられている。取付管10Fは、給油時に燃料が流通する開口であり、接続管12を介して給油口11が接続される。
【0020】
タンク本体10は、後述のタンク固定バンド14によってタンク取付台8の後面板8Bと左面板8Cに押付けられることにより、水平方向に固定されている。また、タンク本体10は、後述するキャッチ15のブラケット16によってタンク取付台8の下面板8Aに押付けられることにより、垂直方向(上下方向)に固定されている。
【0021】
給油口11は、タンク本体10の上方、詳しくは、取付管10Fの上方に設けられている。給油口11は、タンク本体10と別個に設けられた管状体(円筒体)として形成されている。給油口11は、給油時にホース等が挿入される開口であり、接続管12を介してタンク本体10に接続されている。
【0022】
また、給油口11には、外周面から径方向に突出するように取付部11Aが設けられている。この取付部11Aは、細長い板体からなり、その先端側には、上下方向に貫通してボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。給油口11は、取付部11Aのボルト挿通孔に挿通されたボルト19を調整部材18のねじ孔18Dに螺着することにより、調整部材18を介してキャッチ15のブラケット16に取付けられている。
【0023】
接続管12は、タンク本体10と給油口11とを接続している。接続管12は、可撓性を有する樹脂材料からなる管状体(円筒体)として形成され、一方の端部がタンク本体10の取付管10Fに接続され、他方の端部が給油口11の下部に接続されている。これにより、接続管12は、タンク本体10の取付位置がずれたり、タンク本体10が歪んだりしたときに変形することで、取付管10Fの位置ずれを許容することができる。一方で、接続管12は、後述するタンクカバー24を閉じたときの衝撃で給油口11とキャップ13が振動するのを許すことができる。
【0024】
キャップ13は、給油口11を閉塞するために給油口11に脱着可能に取付けられている。キャップ13は、タンクカバー24を閉じたときの衝撃で給油口11と一緒に振動することができる。
【0025】
タンク固定バンド14は、燃料タンク9をタンク取付台8に固定するものである。タンク固定バンド14は、1本または上下方向に間隔をもって複数本、例えば、2本設けられている。タンク固定バンド14は、タンク本体10の円弧面部10Dに沿わせた状態で、一方の端部をタンク取付台8の後面板8Bに取付け、他方の端部をタンク取付台8の左面板8Cに取付ける。これにより、タンク固定バンド14は、タンク本体10をタンク取付台8の後面板8Bと左面板8Cに押付けて燃料タンク9を水平方向に固定することができる。
【0026】
キャッチ15は、タンク取付台8の左面板8Cに取付けられている。キャッチ15は、後述のラッチ25と協働することにより、タンクカバー24を閉じたときに互いに係合してタンクカバー24を閉じた状態に保持することができる。キャッチ15は、後述のブラケット16、調整部材18、キャッチ本体21を含んで構成されている。
【0027】
ブラケット16は、タンク本体10の上側に位置して左面板8Cに取付けられている。ブラケット16は、タンク本体10を垂直方向(上下方向)に固定する固定部材を兼ねている。ブラケット16は、左面板8Cに対面した取付板16Aと、取付板16Aから水平方向に延びてタンク本体10の上面部10Eと対面した押さえ板16Bと、押さえ板16Bの後縁から上側に延びた後縦板16Cと、押さえ板16Bの前縁から上側に延びた前縦板16Dと、を有している。
【0028】
また、後縦板16Cには、1個または複数個、例えば、2個の調整孔16Eが左右方向に間隔をもって設けられている。調整孔16Eは、調整部材18を固定するためのボルト20が挿通されるボルト挿通孔である。調整孔16Eは、挿通されるボルト20のねじ部の直径寸法よりも大きな幅寸法をもって上下方向に延びた長孔として形成されている。従って、調整孔16Eは、ボルト20の位置を左右方向と上下方向とに移動させることができ、調整部材18および調整部材18に取付けられる給油口11の取付位置を左右方向と上下方向とに調整(移動)することができる。これにより、組立作業時には、給油口11とキャッチ15との位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0029】
さらに、前縦板16Dには、1個または複数個、例えば、2個のねじ孔16Fが上下方向に間隔をもって設けられている。ねじ孔16Fには、キャッチ本体21を固定するためのボルト22が螺着される。
【0030】
このように構成されブラケット16は、燃料タンク9を上下方向に固定する機能と、給油口11を所定位置に固定する機能と、キャッチ本体21を所定位置に固定する機能と、を有している。ブラケット16によって燃料タンク9を上下方向に固定する場合には、ブラケット16をタンク本体10の取付管10Fの左側に配置し、取付板16Aをタンク取付台8の左面板8Cに当接させる。この状態で、押さえ板16Bをタンク本体10の上面部10Eに上側から押付け、ボルト17を用いて取付板16Aを左面板8Cに固定する。これにより、燃料タンク9を上下方向に固定することができる。
【0031】
調整部材18は、ブラケット16の後縦板16Cに設けられている。調整部材18は、ブラケット16の調整孔16Eと協働して、ブラケット16に対する給油口11の取付位置を調整するものである。調整部材18は、後縦板16Cの前面に対面する縦板18Aと、縦板18Aの上縁から前側に延びた横板18Bと、を有している。また、縦板18Aには、ブラケット16の調整孔16Eに対応する位置にねじ孔18Cが設けられている。さらに、横板18Bには、ねじ孔18Dが設けられている。
【0032】
調整部材18は、横板18Bに給油口11の取付部11Aの先端側を当接させ、取付部11Aのボルト挿通孔に挿通したボルト19をねじ孔18Dに螺着する。これにより、横板18Bに給油口11を取付けることができる。この上で、調整部材18は、縦板18Aをブラケット16の後縦板16Cに当接させ、調整孔16Eに挿通したボルト20をねじ孔18Cに螺着することにより、ブラケット16に位置調整可能に取付けることができる。
【0033】
キャッチ本体21は、ブラケット16の前縦板16Dに取付けられている。キャッチ本体21は、前縦板16Dと対面する取付板21Aと、取付板21Aの左縁から前側に向け斜め下側に延びた延長板21Bと、延長板21Bに取付けられた掛け棒21Cとにより構成されている。取付板21Aには、ブラケット16の2個のねじ孔16Fに対応する位置に1個の長孔21Dが形成されている。
【0034】
この長孔21Dは、挿通されるボルト22のねじ部の直径寸法よりも大きな幅寸法を有すると共に、2個のねじ孔16Fよりも上下方向に延びて形成されている。従って、長孔21Dは、ボルト22の位置を左右方向と上下方向とに移動させることができ、キャッチ本体21(掛け棒21C)の位置を左右方向と上下方向とに調整することができる。これにより、キャッチ本体21(掛け棒21C)とラッチ25との位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0035】
掛け棒21Cは、U字状に折り曲げられた両端が延長板21Bに固着されている。
図7に示すように、掛け棒21Cには、後述するタンクカバー24を閉じたときに、ラッチ25の係合部25Bが掛け止めされる。
【0036】
このように構成されたキャッチ本体21は、取付板21Aをブラケット16の前縦板16Dに当接させ、長孔21Dに挿通した2本のボルト22をブラケット16のねじ孔16Fに螺着する。これにより、キャッチ本体21は、ブラケット16に対して位置調整可能に取付けることができる。
【0037】
図1に示すように、右側面カバー23は、上部旋回体3の右前側に位置して燃料タンク9等の右側を覆っている。また、タンクカバー24は、燃料タンク9の上側を開閉可能に覆って設けられている。タンクカバー24は、後部がタンク取付台8の後面板8Bの上部に回動可能に取付けられている。これにより、タンクカバー24は、
図3に示すように、後側を支点として大きく開くことができる。
【0038】
ラッチ25は、タンクカバー24の内面に設けられている。ラッチ25は、タンクカバー24を閉じたときにキャッチ15のキャッチ本体21に係合してタンクカバー24を閉じた状態に保持することができる。
図7に示すように、ラッチ25は、タンクカバー24に取付けられ、開閉器機能と施錠機能を有するキーシリンダを備えた本体部25Aと、タンクカバー24を閉じたときにキャッチ本体21の掛け棒21Cを挟んで掛け棒21Cに爪を係合させる係合部25Bとにより構成されている。
【0039】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0040】
キャブ7に搭乗して運転席に座ったオペレータは、エンジンを始動して油圧ポンプを駆動する。この状態で、走行用操作レバー・ペダル装置を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用操作レバー装置を操作することにより、作業装置4等を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0041】
ここで、燃料タンク9のタンク本体10に多くの燃料を給油した状態で、例えば、傾斜地で作業を行った場合、タンク本体10内の燃料が接続管12、給油口11を通じてキャップ13に達し、このキャップ13の内面に付着する。このように、キャップ13に燃料が付着した状態で、燃料を補給するためにキャップ13を取外すと、キャップ13に付着した燃料が垂れ落ちる虞がある。
【0042】
然るに、本実施形態によれば、タンクカバー24を閉じたときに互いに係合することによりタンクカバー24を閉じた状態に保持するキャッチ15およびラッチ25を備えた上で、燃料タンク9の給油口11は、キャッチ15に取付ける構成としている。
【0043】
従って、タンクカバー24を閉じたときにラッチ25とキャッチ15とが衝突することによって生じる衝撃を、キャッチ15を介してキャップ13に伝えることができる。また、タンクカバー24は、キャッチ15(キャッチ本体21の掛け棒21C)にラッチ25の爪を係合させているだけであるから、油圧ショベル1の稼働時に生じる振動によってタンクカバー24を振動させることができ、この振動をキャップ13に伝えることができる。これにより、キャップ13を振動させて付着した燃料を払い落とすことができる。この結果、燃料タンク9のキャップ13を取外したときに、燃料が燃料タンク9の周囲に垂れ落ちるのを防止することができ、拭き取り作業等を省略することができる。
【0044】
キャッチ15は、燃料タンク9を上側から押さえて固定するブラケット16を含んで構成され、給油口11は、ブラケット16に取付けられている。これにより、タンクカバー24を閉じたときにキャップ13を振動させる効果に加え、ブラケット16によって燃料タンク9を上下方向に固定することができる。
【0045】
給油口11は、ブラケット16に対する取付位置が調整可能となっている。これにより、組立作業時には、給油口11とキャッチ15のブラケット16との位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0046】
また、旋回フレーム5には、燃料タンク9を載せるためのタンク取付台8が設けられ、キャッチ15は、タンク取付台8に取付けられている。これにより、タンク取付台8を利用してキャッチ15を容易に取付けることができる。
【0047】
さらに、接続管12は、可撓性を有する管状体として形成されている。これにより、接続管12は、取付管10Fと給油口11との間の位置ずれを許容することができる。また、接続管12は、タンクカバー24を閉じたときの衝撃や稼働時のタンクカバー24の振動で給油口11とキャップ13が振動するのを許すことができる。
【0048】
なお、実施形態では、キャブ7が設けられたキャブ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、運転席の上側を覆うキャノピが設けられたキャノピ式の油圧ショベルに適用してもよい。
【0049】
また、実施形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルや油圧クレーン等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 油圧ショベル(建設機械)
5 旋回フレーム(車体フレーム)
8 タンク取付台
9 燃料タンク
10 タンク本体
11 給油口
12 接続管
13 キャップ
15 キャッチ
16 ブラケット
24 タンクカバー
25 ラッチ