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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20241114BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20241114BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20241114BHJP
【FI】
G01S7/03 220
G01S7/02 218
G01S13/931
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021054213
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151235
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】川路 聡
(72)【発明者】
【氏名】錦戸 正光
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐東 将行
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210666009(CN,U)
【文献】特開2017-157961(JP,A)
【文献】特開2020-092416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送信する複数の送信アンテナと、
前記送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の送信アンテナに送信信号を出力するとともに、前記複数の受信アンテナから受信信号が入力される電子部品と、
を備える電子機器であって、
前記電子部品は、前記複数の送信アンテナにそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子が並ぶ第1の辺、及び、前記複数の受信アンテナからそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子が並ぶ第2の辺を有し、
前記第1の辺及び前記第2の辺の少なくとも一方は、前記複数の送信アンテナの給電点が並ぶ方向及び前記複数の受信アンテナの給電点が並ぶ方向の少なくとも一方に対し斜めに位置し、
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され、前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され、
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ最短経路の伝送線路によって接続される、電子機器。
【請求項2】
送信波を送信する複数の送信アンテナと、
前記送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナと、
前記複数の送信アンテナに送信信号を出力するとともに、前記複数の受信アンテナから受信信号が入力される電子部品と、
を備える電子機器であって、
前記電子部品は、前記複数の送信アンテナにそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子が並ぶ第1の辺、及び、前記複数の受信アンテナからそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子が並ぶ第2の辺を有し、
前記第1の辺及び前記第2の辺の少なくとも一方は、前記複数の送信アンテナの給電点が並ぶ方向及び前記複数の受信アンテナの給電点が並ぶ方向の少なくとも一方に対し斜めに位置し、
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され、前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され
前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ最短経路の伝送線路によって接続される、電子機器。
【請求項3】
前記電子部品は、前記複数の送信端子からそれぞれ出力される送信信号、及び前記複数の受信端子にそれぞれ入力される受信信号の少なくとも一方の位相を調整する、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子部品は、前記複数の送信端子から前記複数の送信アンテナの給電点までのそれぞれの伝送線路の長さに応じて、前記複数の送信端子からそれぞれ出力される送信信号の位相を調整する、請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子部品は、前記複数の送信端子からそれぞれ出力される送信信号の位相が前記複数の送信アンテナの給電点において揃うように、当該送信信号の位相を調整する、請求項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子部品は、前記複数の受信アンテナの給電点から前記複数の受信端子までのそれぞれの伝送線路の長さに応じて、前記複数の受信端子にそれぞれ入力される受信信号の位相を調整する、請求項からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子部品は、前記複数の受信端子にそれぞれ入力される受信信号の位相が揃うように、当該受信信号の位相を調整する、請求項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記複数の送信アンテナの給電点が並ぶ方向と、前記複数の受信アンテナの給電点が並ぶ方向とは平行である、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子部品の前記第1辺と前記第2辺とは平行でない、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数の送信アンテナ及び前記複数の受信アンテナは、前記電子部品が配置される面と同じ側の面に配置される、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記複数の送信アンテナ及び前記複数の受信アンテナは、前記電子部品が配置される面と反対側の面に配置される、請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記送信波として送信される送信信号、及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する、請求項1から11のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に関連する産業などの分野において、自車両と所定の物体との間の距離などを測定する技術が重要視されている。特に、近年、ミリ波のような電波を送信し、障害物などの物体に反射した反射波を受信することで、物体との間の距離などを測定するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))の技術が、種々研究されている。このような距離などを測定する技術の重要性は、運転者の運転をアシストする技術、及び、運転の一部又は全部を自動化する自動運転に関連する技術の発展に伴い、今後ますます高まると予想される。
【0003】
上述したレーダのような技術において、信号を送受信するアンテナの配置について、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は、複数のパッチアンテナまで全て等長の伝送線路で並列接続するミリ波送受信装置を提案している。また、特許文献1は、縦方向に配列された複数のパッチアンテナをそれぞれ等長の伝送線路で直接接続したものを、さらに横方向にも複数並べたミリ波送受信装置も提案している。これらのようなパッチアンテナの配置により、送信波の正面方向の指向性を高める効果が期待できる。
【0004】
また、特許文献2は、パッチアンテナの間隔をnλ(nは2以上の整数、λは使用する中心周波数の波長)として接続するレーダ装置を提案している。これらのようなパッチアンテナの配置により、中心周波数からシフトした周波数において垂直方向のチルト角を増やし、チルト角が変化することを利用してレーダ波の放射方向を調整する効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-261917号公報
【文献】特開2010-220008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
送信された送信波が所定の物体に反射した反射波を受信することにより当該物体を検出する電子機器において、物体を検出するための信号を送受信するアンテナまでの伝送線路を短くすれば、伝送線路における信号の損失を低減することができる。
【0007】
本開示の目的は、物体を検出するための信号を送受信するアンテナまでの伝送線路を短縮し得る電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る電子機器は、送信波を送信する複数の送信アンテナと、前記送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の送信アンテナに送信信号を出力するとともに、前記複数の受信アンテナから受信信号が入力される電子部品と、を備える。
前記電子部品は、前記複数の送信アンテナにそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子が並ぶ第1の辺、及び、前記複数の受信アンテナからそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子が並ぶ第2の辺を有する。
前記第1の辺及び前記第2の辺の少なくとも一方は、前記複数の送信アンテナの給電点が並ぶ方向及び前記複数の受信アンテナの給電点が並ぶ方向の少なくとも一方に対し斜めに位置する。
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され、前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ伝送線路によって接続される。
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ最短経路の伝送線路によって接続される。
また、一実施形態に係る電子機器は、送信波を送信する複数の送信アンテナと、前記送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の送信アンテナに送信信号を出力するとともに、前記複数の受信アンテナから受信信号が入力される電子部品と、を備える。
前記電子部品は、前記複数の送信アンテナにそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子が並ぶ第1の辺、及び、前記複数の受信アンテナからそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子が並ぶ第2の辺を有する。
前記第1の辺及び前記第2の辺の少なくとも一方は、前記複数の送信アンテナの給電点が並ぶ方向及び前記複数の受信アンテナの給電点が並ぶ方向の少なくとも一方に対し斜めに位置する。
前記複数の送信アンテナの給電点は前記複数の送信端子にそれぞれ伝送線路によって接続され、前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ伝送線路によって接続される。
前記複数の受信アンテナの給電点は前記複数の受信端子にそれぞれ最短経路の伝送線路によって接続される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、物体を検出するための信号を送受信するアンテナまでの伝送線路を短縮し得る電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する図である。
図2】一実施形態に係る電子機器の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】一実施形態に係る送信信号の構成を説明する図である。
図4】一実施形態に係る電子機器における送信アンテナ及び受信アンテナ並びに電子部品の配置について説明するための比較例を示す図である。
図5】一実施形態に係る電子機器における送信アンテナ及び受信アンテナ並びに電子部品の配置の例を示す図である。
図6】一実施形態に係る電子機器における送信アンテナ及び受信アンテナ並びに電子部品の配置の他の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る電子機器における送信アンテナ及び受信アンテナ並びに電子部品の配置のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
一実施形態に係る電子機器は、例えば自動車などのような乗り物(移動体)に搭載されることで、当該移動体の周囲に存在する所定の物体を検出することができる。このために、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した送信アンテナから、移動体の周囲に送信波を送信することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した受信アンテナから、送信波が反射された反射波を受信することができる。送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方は、例えば移動体に設置されたレーダセンサ等に備えられてもよい。
【0013】
以下、典型的な例として、一実施形態に係る電子機器が、乗用車のような自動車に搭載される構成について説明する。しかしながら、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、自動車に限定されない。一実施形態に係る電子機器は、バス、トラック、オートバイ、自転車、船舶、航空機、トラクターなどの農作業装置、除雪車、清掃車、パトカー、救急車、及びドローンなど、種々の移動体に搭載されてよい。また、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、必ずしも自らの動力で移動する移動体にも限定されない。例えば、一実施形態に係る電子機器が搭載される移動体は、トラクターにけん引されるトレーラー部分などとしてもよい。一実施形態に係る電子機器は、センサ及び所定の物体の少なくとも一方が移動し得るような状況において、センサと物体との間の距離などを測定することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、センサ及び物体の双方が静止していても、センサと物体との間の距離などを測定することができる。
【0014】
まず、一実施形態に係る電子機器による物体の検出の例を説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する図である。図1は、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサを、移動体に設置した例を示している。
【0016】
図1に示す移動体100には、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。また、図1に示す移動体100は、一実施形態に係る電子機器1を搭載(例えば内蔵)しているものとする。電子機器1の具体的な構成については後述する。センサ5は、例えば送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方を備えるものとしてよい。また、センサ5は、電子機器1に含まれる制御部10(図2)の少なくとも一部など、他の機能部の少なくともいずれかを、適宜含んでもよい。図1に示す移動体100は、乗用車のような自動車の車両としてよいが、任意のタイプの移動体としてよい。図1において、移動体100は、例えば図に示すZ軸正方向(進行方向)に移動(走行又は徐行)していてもよいし、他の方向に移動していてもよいし、また移動せずに静止していてもよい。
【0017】
図1に示すように、移動体100には、送信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。図1に示す例において、送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5は、移動体100の前方に1つだけ設置されている。ここで、センサ5が移動体100に設置される位置は、図1に示す位置に限定されるものではなく、適宜、他の位置としてもよい。例えば、図1に示すようなセンサ5を、移動体100の左側、右側、及び/又は、後方などに設置してもよい。また、このようなセンサ5の個数は、移動体100における測定の範囲及び/又は精度など各種の条件(又は要求)に応じて、1つ以上の任意の数としてよい。センサ5は、移動体100の内部に設置されているとしてもよい。移動体100の内部とは、例えばバンパー内の空間、ボディ内の空間、ヘッドライト内の空間、又は運転スペースの空間などでよい。
【0018】
センサ5は、送信アンテナから送信波として電磁波を送信する。例えば移動体100の周囲に所定の物体(例えば図1に示す物体200)が存在する場合、センサ5から送信された送信波の少なくとも一部は、当該物体によって反射されて反射波となる。そして、このような反射波を例えばセンサ5の受信アンテナによって受信することにより、移動体100に搭載された電子機器1は、当該物体を検出することができる。
【0019】
送信アンテナを備えるセンサ5は、典型的には、電波を送受信するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))センサとしてよい。しかしながら、センサ5は、レーダセンサに限定されない。一実施形態に係るセンサ5は、例えば光波によるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)の技術に基づくセンサとしてもよい。これらのようなセンサは、例えばパッチアンテナなどを含んで構成することができる。RADAR及びLIDARのような技術は既に知られているため、詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略することがある。
【0020】
図1に示す移動体100に搭載された電子機器1は、センサ5の送信アンテナから送信された送信波の反射波を受信アンテナから受信する。このようにして、電子機器1は、移動体100から所定の距離内に存在する所定の物体200を検出することができる。例えば、図1に示すように、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との間の距離Lを測定することができる。また、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との相対速度も測定することができる。さらに、電子機器1は、所定の物体200からの反射波が、自車両である移動体100に到来する方向(到来角θ)も測定することができる。
【0021】
ここで、物体200とは、例えば移動体100に隣接する車線を走行する対向車、移動体100に並走する自動車、及び移動体100と同じ車線を走行する前後の自動車などの少なくともいずれかとしてよい。また、物体200とは、オートバイ、自転車、ベビーカー、歩行者などの人間、動物、昆虫その他の生命体、ガードレール、中央分離帯、道路標識、歩道の段差、壁、障害物など、移動体100の周囲に存在する任意の物体としてよい。さらに、物体200は、移動していてもよいし、停止していてもよい。例えば、物体200は、移動体100の周囲に駐車又は停車している自動車などとしてもよい。
【0022】
図1において、センサ5の大きさと、移動体100の大きさとの比率は、必ずしも実際の比率を示すものではない。また、図1において、センサ5は、移動体100の外部に設置した状態を示してある。しかしながら、一実施形態において、センサ5は、移動体100の各種の位置に設置してよい。例えば、一実施形態において、センサ5は、移動体100のバンパーの内部に設置して、移動体100の外観に現れないようにしてもよい。
【0023】
以下、典型的な例として、センサ5の送信アンテナは、ミリ波(30GHz以上)又は準ミリ波(例えば20GHz~30GHz付近)などのような周波数帯の電波を送信するものとして説明する。例えば、センサ5の送信アンテナは、77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を有する電波を送信してもよい。
【0024】
図2は、一実施形態に係る電子機器1の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。以下、一実施形態に係る電子機器1の構成の一例について説明する。
【0025】
ミリ波方式のレーダによって距離などを測定する際、周波数変調連続波レーダ(以下、FMCWレーダ(Frequency Modulated Continuous Wave radar)と記す)が用いられることが多い。FMCWレーダは、送信する電波の周波数を掃引して送信信号が生成される。したがって、例えば79GHzの周波数帯の電波を用いるミリ波方式のFMCWレーダにおいて、使用する電波の周波数は、例えば77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を持つものとなる。79GHzの周波数帯のレーダは、例えば24GHz、60GHz、76GHzの周波数帯などの他のミリ波/準ミリ波レーダよりも、使用可能な周波数帯域幅が広いという特徴がある。以下、このような実施形態について説明する。
【0026】
図2に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、センサ5とECU(Electronic Control Unit)50とから構成される。ECU60は、移動体100の様々な動作を制御する。ECU60は、少なくとも1以上のECUにより構成されるものとしてよい。本開示において、「電子機器」とは、例えば図2に示すような電子機器1(すなわち例えばセンサ5及びECU60を含む)を意味するものとしてもよいし、例えば図2に示すようなセンサ5を意味するものとしてもよい。
【0027】
一実施形態に係る電子機器1は、制御部10を備えている。また、一実施形態に係る電子機器1は、送信部20、及び受信部30A~30Dなどの少なくともいずれかのような、他の機能部を適宜含んでもよい。図2に示すように、電子機器1は、受信部30A~30Dのように、複数の受信部を備えてよい。以下、受信部30Aと、受信部30Bと、受信部30Cと、受信部30Dとを特に区別しない場合、単に「受信部30」と記す。
【0028】
制御部10は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、到来角推定部13、及び物体検出部14を備えてよい。制御部10に含まれるこれらの機能部については、さらに後述する。
【0029】
送信部20は、図2に示すように、信号生成部21、シンセサイザ22、位相制御部23A、23B、及び23C、増幅器24A、24B、及び24C、並びに、送信アンテナ26A、26B、及び26Cを備えてよい。以下、位相制御部23Aと、位相制御部23Bと、位相制御部23Cとを区別しない場合、単に「位相制御部23」と記す。また、以下、増幅器24Aと、増幅器24Bと、増幅器24Cとを区別しない場合、単に「増幅器24」と記す。また、以下、送信アンテナ26Aと、送信アンテナ26Bと、送信アンテナ26Cとを区別しない場合、単に「送信アンテナ26」と記す。
【0030】
受信部30は、図2に示すように、それぞれ対応する受信アンテナ31A~31Dを備えてよい。以下、受信アンテナ31Aと、受信アンテナ31Bと、受信アンテナ31Cと、受信アンテナ31Dとを区別しない場合、単に「受信アンテナ31」と記す。また、複数の受信部30は、それぞれ、図2に示すように、LNA33、位相制御部34、ミキサ35、IF部36、及びAD変換部37を備えてよい。受信部30A~30Dは、それぞれ同様の構成としてよい。図2においては、代表例として、受信部30Aのみの構成を概略的に示してある。
【0031】
上述のセンサ5は、例えば送信アンテナ26及び受信アンテナ31を備えるものとしてよい。また、センサ5は、制御部10などの他の機能部の少なくともいずれかを適宜含んでもよい。
【0032】
一実施形態に係る電子機器1が備える制御部10は、電子機器1を構成する各機能部の制御をはじめとして、電子機器1全体の動作の制御を行うことができる。制御部10は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。制御部10は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、制御部10は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。制御部10は、任意のメモリを適宜含んでもよい。一実施形態において、任意のメモリは、送信アンテナ26から送信する送信波T及び受信アンテナ31から受信する反射波Rによって物体を検出する範囲を設定するための各種パラメータを記憶してよい。
【0033】
一実施形態に係る電子機器1において、制御部10は、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御することができる。この場合、制御部10は、例えば任意のメモリに記憶された各種情報に基づいて、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御してよい。また、一実施形態に係る電子機器1において、制御部10は、信号生成部21に信号の生成を指示したり、信号生成部21が信号を生成するように制御したりしてもよい。
【0034】
信号生成部21は、制御部10の制御により、送信アンテナ26から送信波Tとして送信される信号(送信信号)を生成する。信号生成部21は、送信信号を生成する際に、例えば制御部10による制御に基づいて、送信信号の周波数を割り当ててよい。具体的には、信号生成部21は、制御部10によって設定されたパラメータにしたがって、送信信号の周波数を割り当ててよい。例えば、信号生成部21は、制御部10から周波数情報を受け取ることにより、例えば77~81GHzのような周波数帯域の所定の周波数の信号を生成する。信号生成部21は、例えば電圧制御発振器(VCO)のような機能部を含んで構成してよい。
【0035】
信号生成部21は、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。以下説明する各機能部も、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、可能な場合には、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。
【0036】
一実施形態に係る電子機器1において、信号生成部21は、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)を生成してよい。特に、信号生成部21は、周波数が周期的に線形に変化する信号(線形チャープ信号)を生成してもよい。例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで周期的に線形に増大するチャープ信号としてもよい。また、例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで線形の増大(アップチャープ)及び減少(ダウンチャープ)を周期的に繰り返す信号を生成してもよい。信号生成部21が生成する信号は、例えば制御部10において予め設定されていてもよい。また、信号生成部21が生成する信号は、例えば任意のメモリなどに予め記憶されていてもよい。レーダのような技術分野で用いられるチャープ信号は既知であるため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。信号生成部21によって生成された信号は、シンセサイザ22に供給される。
【0037】
図3は、信号生成部21が生成するチャープ信号の例を説明する図である。
【0038】
図3において、横軸は経過する時間を表し、縦軸は周波数を表す。図3に示す例において、信号生成部21は、周波数が周期的に線形に変化する線形チャープ信号を生成する。図3においては、各チャープ信号を、c1,c2,…,c8のように示してある。図3に示すように、それぞれのチャープ信号において、時間の経過に伴って周波数が線形に増大する。
【0039】
図3に示す例において、c1,c2,…,c8のように8つのチャープ信号を含めて、1つのサブフレームとしている。すなわち、図3に示すサブフレーム1及びサブフレーム2などは、それぞれc1,c2,…,c8のように8つのチャープ信号を含んで構成されている。また、図3に示す例において、サブフレーム1~サブフレーム16のように16のサブフレームを含めて、1つのフレームとしている。すなわち、図3に示すフレーム1及びフレーム2など、それぞれ16のサブフレームを含んで構成されている。また、図3に示すように、フレーム同士の間には、所定の長さのフレームインターバルを含めてもよい。図3に示す1つのフレームは、例えば30ミリ秒から50ミリ秒程度の長さとしてよい。
【0040】
図3において、フレーム2以降も同様の構成としてよい。また、図3において、フレーム3以降も同様の構成としてよい。一実施形態に係る電子機器1において、信号生成部21は、任意の数のフレームとして送信信号を生成してよい。また、図3においては、一部のチャープ信号は省略して示している。このように、信号生成部21が生成する送信信号の時間と周波数との関係は、例えば任意のメモリなどに記憶しておいてよい。
【0041】
このように、一実施形態に係る電子機器1は、複数のチャープ信号を含むサブフレームから構成される送信信号を送信してよい。また、一実施形態に係る電子機器1は、サブフレームを所定数含むフレームから構成される送信信号を送信してよい。
【0042】
以下、電子機器1は、図3に示すようなフレーム構造の送信信号を送信するものとして説明する。しかしながら、図3に示すようなフレーム構造は一例であり、例えば1つのサブフレームに含まれるチャープ信号は8つに限定されない。一実施形態において、信号生成部21は、任意の数(例えば任意の複数)のチャープ信号を含むサブフレームを生成してよい。また、図3に示すようなサブフレーム構造も一例であり、例えば1つのフレームに含まれるサブフレームは16に限定されない。一実施形態において、信号生成部21は、任意の数(例えば任意の複数)のサブフレームを含むフレームを生成してよい。信号生成部21は、異なる周波数の信号を生成してよい。信号生成部21は、周波数fがそれぞれ異なる帯域幅の複数の離散的な信号を生成してもよい。
【0043】
図2に戻り、シンセサイザ22は、信号生成部21が生成した信号の周波数を、所定の周波数帯の周波数まで上昇させる。シンセサイザ22は、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択された周波数まで、信号生成部21が生成した信号の周波数を上昇させてよい。送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば制御部10によって設定されてもよい。例えば、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、制御部10によって選択された周波数としてよい。また、送信アンテナ26から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば任意のメモリに記憶されていてもよい。シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、位相制御部23及びミキサ35に供給される。位相制御部23が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の位相制御部23のそれぞれに供給されてよい。また、受信部30が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の受信部30におけるそれぞれのミキサ35に供給されてよい。
【0044】
位相制御部23は、シンセサイザ22から供給された送信信号の位相を制御(調整)する。具体的には、位相制御部23は、例えば制御部10による制御に基づいて、シンセサイザ22から供給された信号の位相を適宜早めたり遅らせたりすることにより、送信信号の位相を調整してよい。この場合、位相制御部23は、複数の送信アンテナ26から送信されるそれぞれの送信波Tの経路差に基づいて、それぞれの送信信号の位相を調整してもよい。位相制御部23がそれぞれの送信信号の位相を適宜調整することにより、複数の送信アンテナ26から送信される送信波Tは、所定の方向において強め合ってビームを形成する(ビームフォーミング)。この場合、ビームフォーミングの方向と、複数の送信アンテナ26がそれぞれ送信する送信信号の制御すべき位相量との相関関係は、例えば任意のメモリに記憶しておいてよい。位相制御部23は、例えば任意のフェイズシフタなどを含んで構成されてもよい。位相制御部23によって位相制御された送信信号は、増幅器24に供給される。
【0045】
増幅器24は、位相制御部23から供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいて増幅させる。センサ5が複数の送信アンテナ26を備える場合、複数の増幅器24は、複数の位相制御部23のうちそれぞれ対応するものから供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいてそれぞれ増幅させてよい。送信信号のパワーを増幅させる技術自体は既に知られているため、より詳細な説明は省略する。増幅器24は、送信アンテナ26に接続される。
【0046】
送信アンテナ26は、増幅器24によって増幅された送信信号を、送信波Tとして出力(送信)する。センサ5が複数の送信アンテナ26を備える場合、複数の送信アンテナ26は、複数の増幅器24のうちそれぞれ対応するものによって増幅された送信信号を、それぞれ送信波Tとして出力(送信)してよい。送信アンテナ26は、既知のレーダ技術に用いられる送信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0047】
このようにして、一実施形態に係る電子機器1は、送信アンテナ26を備え、送信アンテナ26から送信波Tとして送信信号(例えば送信チャープ信号)を送信することができる。ここで、電子機器1を構成する各機能部のうちの少なくとも1つは、1つの筐体に収められてもよい。また、この場合、当該1つの筐体は、容易に開けることができない構造としてもよい。例えば送信アンテナ26、受信アンテナ31、増幅器24が1つの筐体に収められ、かつ、この筐体が容易に開けられない構造となっているとよい。さらに、ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、送信アンテナ26は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部に送信波Tを送信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で送信アンテナ26を覆うことにより、送信アンテナ26が外部との接触により破損したり不具合が発生したりするリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0048】
図2に示す電子機器1は、送信アンテナ26を3つ備える例を示している。しかしながら、一実施形態において、電子機器1は、任意の数の送信アンテナ26を備えてもよい。一方、一実施形態において、電子機器1は、送信アンテナ26から送信される送信波Tが所定方向にビームを形成するようにする場合、複数の送信アンテナ26を備えてよい。一実施形態において、電子機器1は、複数の送信アンテナ26に対応させて、位相制御部23及び増幅器24もそれぞれ複数備えてよい。そして、複数の位相制御部23は、シンセサイザ22から供給されて複数の送信アンテナ26から送信される複数の送信波の位相を、それぞれ制御してよい。また、複数の増幅器24は、複数の送信アンテナ26から送信される複数の送信信号のパワーを、それぞれ増幅してよい。また、この場合、センサ5は、複数の送信アンテナを含んで構成してよい。このように、図2に示す電子機器1は、複数の送信アンテナ26を備える場合、当該複数の送信アンテナ26から送信波Tを送信するのに必要な機能部も、それぞれ複数含んで構成してよい。
【0049】
受信アンテナ31は、反射波Rを受信する。反射波Rは、送信波Tが所定の物体200に反射したものである。受信アンテナ31は、例えば受信アンテナ31A~受信アンテナ31Dのように、複数のアンテナを含んで構成してよい。受信アンテナ31は、既知のレーダ技術に用いられる受信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。受信アンテナ31は、LNA33に接続される。受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号は、LNA33に供給される。
【0050】
一実施形態に係る電子機器1は、複数の受信アンテナ31から、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)として送信された送信波Tが所定の物体200によって反射された反射波Rを受信することができる。このように、送信波Tとして送信チャープ信号を送信する場合、受信した反射波Rに基づく受信信号は、受信チャープ信号と記す。すなわち、電子機器1は、受信アンテナ31から反射波Rとして受信信号(例えば受信チャープ信号)を受信する。ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、受信アンテナ31は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部から反射波Rを受信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で受信アンテナ31を覆うことにより、受信アンテナ31が外部との接触により破損又は不具合が発生するリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0051】
また、受信アンテナ31が送信アンテナ26の近くに設置される場合、これらをまとめて1つのセンサ5に含めて構成してもよい。すなわち、1つのセンサ5には、例えば少なくとも1つの送信アンテナ26及び少なくとも1つの受信アンテナ31を含めてもよい。例えば、1つのセンサ5は、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31を含んでもよい。このような場合、例えば1つのレーダカバーのようなカバー部材で、1つのレーダセンサを覆うようにしてもよい。
【0052】
LNA33は、受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号を低ノイズで増幅する。LNA33は、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier)としてよく、受信アンテナ31から供給された受信信号を低雑音で増幅する。LNA33によって増幅された受信信号は、位相制御部34に供給される。
【0053】
位相制御部34は、LNA33から供給された受信信号の位相を制御(調整)する。具体的には、位相制御部34は、例えば制御部10による制御に基づいて、LNA33から供給された信号の位相を適宜早めたり遅らせたりすることにより、受信信号の位相を調整してよい。この場合、位相制御部34は、複数の受信アンテナ31から受信するそれぞれの反射波Rの経路差に基づいて、それぞれの受信信号の位相を調整してもよい。この場合、複数の受信アンテナ31からそれぞれ受信する受信信号の制御すべき位相量は、例えば任意のメモリに記憶しておいてよい。位相制御部34は、例えば任意のフェイズシフタなどを含んで構成されてもよい。位相制御部34によって位相制御された送信信号は、ミキサ35に供給される。
【0054】
ミキサ35は、位相制御部34から供給されるRF周波数の受信信号を、シンセサイザ22から供給される送信信号に混合する(掛け合わせる)ことにより、ビート信号を生成する。ミキサ35によって混合されたビート信号は、IF部36に供給される。
【0055】
IF部36は、ミキサ35から供給されるビート信号に周波数変換を行うことにより、ビート信号の周波数を中間周波数(IF(Intermediate Frequency)周波数)まで低下させる。IF部36によって周波数を低下させたビート信号は、AD変換部37に供給される。
【0056】
AD変換部37は、IF部36から供給されたアナログのビート信号をデジタル化する。AD変換部37は、任意のアナログ-デジタル変換回路(Analog to Digital Converter(ADC))で構成してよい。AD変換部37によってデジタル化されたビート信号は、制御部10の距離FFT処理部11に供給される。受信部30が複数の場合、複数のAD変換部37によってデジタル化されたそれぞれのビート信号は、距離FFT処理部11に供給されてよい。
【0057】
距離FFT処理部11は、AD変換部37から供給されたビート信号に基づいて、電子機器1を搭載した移動体100と、物体200との間の距離を推定する。距離FFT処理部11は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、距離FFT処理部11は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0058】
距離FFT処理部11は、AD変換部37によってデジタル化されたビート信号に対してFFT処理を行う(以下、適宜「距離FFT処理」と記す)。例えば、距離FFT処理部11は、AD変換部37から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。AD変換部37によってデジタル化されたビート信号は、信号強度(電力)の時間変化として表すことができる。距離FFT処理部11は、このようなビート信号にFFT処理を行うことにより、各周波数に対応する信号強度(電力)として表すことができる。距離FFT処理部11は、距離FFT処理によって得られた結果においてピークが所定の閾値以上である場合、そのピークに対応する距離に、所定の物体200があると判断してもよい。例えば、定誤差確率(CFAR(Constant False Alarm Rate))検出処理のように、外乱信号の平均電力又は振幅から閾値以上のピーク値が検出された場合、送信波を反射する物体(反射物体)が存在するものと判断する方法が知られている。
【0059】
このように、一実施形態に係る電子機器1は、送信波Tとして送信される送信信号、及び、反射波Rとして受信される受信信号に基づいて、送信波Tを反射する物体200を検出することができる。
【0060】
距離FFT処理部11は、1つのチャープ信号(例えば図3に示すc1)に基づいて、所定の物体との間の距離を推定することができる。すなわち、電子機器1は、距離FFT処理を行うことにより、図1に示した距離Lを測定(推定)することができる。ビート信号にFFT処理を行うことにより、所定の物体との間の距離を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果(例えば距離の情報)は、速度FFT処理部12に供給されてよい。また、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果は、物体検出部14にも供給されてよい。
【0061】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に基づいて、電子機器1を搭載した移動体100と、物体200との相対速度を推定する。速度FFT処理部12は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、速度FFT処理部12は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0062】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に対してさらにFFT処理を行う(以下、適宜「速度FFT処理」と記す)。例えば、速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。速度FFT処理部12は、チャープ信号のサブフレーム(例えば図3に示すサブフレーム1)に基づいて、所定の物体との相対速度を推定することができる。上述のようにビート信号に距離FFT処理を行うと、複数のベクトルを生成することができる。これら複数のベクトルに対して速度FFT処理を行った結果におけるピークの位相を求めることにより、所定の物体との相対速度を推定することができる。すなわち、電子機器1は、速度FFT処理を行うことにより、図1に示した移動体100と所定の物体200との相対速度を測定(推定)することができる。距離FFT処理を行った結果に対して速度FFT処理を行うことにより、所定の物体との相対速度を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果(例えば速度の情報)は、到来角推定部13に供給されてよい。また、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果は、物体検出部14にも供給されてよい。
【0063】
到来角推定部13は、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果に基づいて、所定の物体200から反射波Rが到来する方向を推定する。電子機器1は、複数の受信アンテナ31から反射波Rを受信することで、反射波Rが到来する方向を推定することができる。例えば、複数の受信アンテナ31は、所定の間隔で配置されているものとする。この場合、送信アンテナ26から送信された送信波Tが所定の物体200に反射されて反射波Rとなり、所定の間隔で配置された複数の受信アンテナ31はそれぞれ反射波Rを受信する。そして、到来角推定部13は、複数の受信アンテナ31がそれぞれ受信した反射波Rの位相、及びそれぞれの反射波Rの経路差に基づいて、反射波Rが受信アンテナ31に到来する方向を推定することができる。すなわち、電子機器1は、速度FFT処理が行われた結果に基づいて、図1に示した到来角θを測定(推定)することができる。
【0064】
速度FFT処理が行われた結果に基づいて、反射波Rが到来する方向を推定する技術は各種提案されている。例えば、既知の到来方向推定のアルゴリズムとしては、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)、及びESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Technique)などが知られている。したがって、公知の技術についてのより詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。到来角推定部13によって推定された到来角θの情報(角度情報)は、物体検出部14に供給されてよい。
【0065】
物体検出部14は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、及び到来角推定部13の少なくともいずれかから供給される情報に基づいて、送信波Tが送信された範囲に存在する物体を検出する。物体検出部14は、供給された距離の情報、速度の情報、及び角度情報に基づいて例えばクラスタリング処理を行うことにより、物体検出を行ってもよい。データをクラスタリングする際に用いるアルゴリズムとして、例えばDBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)などが知られている。クラスタリング処理においては、例えば検出される物体を構成するポイントの平均電力を算出してもよい。物体検出部14において検出された物体の距離の情報、速度の情報、角度情報、及び電力の情報は、ECU60に供給されてよい。この場合、移動体100が自動車である場合、例えばCAN(Controller Area Network)のような通信インタフェースを用いて通信を行ってもよい。
【0066】
制御部10は、送信波Tを反射波Rとして反射する物体を検出する送信信号及び受信信号を規定する各種のパラメータを設定する。すなわち、制御部10は、送信アンテナ26から送信波Tを送信するための各種のパラメータ、及び受信アンテナ31から反射波Rを受信するための各種のパラメータを設定する。
【0067】
特に、一実施形態において、制御部10は、物体の検出を行うために、送信波Tの送信及び反射波Rの受信に係る各種のパラメータを設定してよい。例えば、制御部10は、反射波Rを受信して物体検出範囲における物体を検出するために、反射波Rを受信したい範囲などを規定してもよい。また、例えば、制御部10は、複数の送信アンテナ26から送信波Tを送信して物体検出範囲における物体を検出するために、送信波Tのビームを向けたい範囲などを規定してもよい。その他、制御部10は、送信波Tの送信及び反射波Rの受信を行うための種々のパラメータを設定してよい。
【0068】
制御部10によって設定された各種のパラメータは、信号生成部21に供給されてよい。これにより、信号生成部21は、制御部10によって設定された各種のパラメータに基づいて、送信波Tとして送信される送信信号を生成することができる。制御部10によって設定された各種のパラメータは、物体検出部14に供給されてもよい。これにより、物体検出部14は、制御部10によって設定された各種のパラメータに基づいて決定される物体検出範囲において、物体を検出する処理を行うことができる。
【0069】
一実施形態に係る電子機器1が備えるECU60は、移動体100を構成する各機能部の制御をはじめとして、移動体100全体の動作の制御を行うことができる。ECU60は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。ECU60は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、ECU60は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。ECU60は、ECU60の動作に必要なメモリを適宜含んでもよい。また、制御部10の機能の少なくとも一部がECU60の機能とされてもよいし、ECU60の機能の少なくとも一部が制御部10の機能とされてもよい。
【0070】
図2に示す電子機器1は、3つの送信アンテナ26及び4つの受信アンテナ31を備えている。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、任意の複数の送信アンテナ26及び任意の複数の受信アンテナ31を備えてもよい。このように、一実施形態に係る電子機器1は、送信波を送信する複数の送信アンテナ26と、送信波が反射された反射波を受信する複数の受信アンテナ31とを備えてよい。例えば、2つの送信アンテナ26及び4つの受信アンテナ31を備えることにより、電子機器1は、仮想的に8本のアンテナにより構成される仮想アンテナアレイを備えるものと考えることができる。このように、電子機器1は、例えば仮想8本のアンテナを用いることにより、図3に示す16のサブフレームの反射波Rを受信してもよい。
【0071】
次に、一実施形態に係る電子機器1に含まれるセンサ5の構成について、さらに説明する。まず、一実施形態に係る電子機器1に含まれるセンサ5の具体的な構成を示す前に、既知のレーダセンサのような装置として一般的に想定されるセンサについて説明する。
【0072】
図4は、一実施形態に係る電子機器1における送信アンテナ及び受信アンテナ並びに電子部品の配置について説明するための比較例を示す図である。すなわち、図4は、一実施形態に係る電子機器1に含まれるセンサ5と比較するための対象として想定されるセンサの構成を例示する図である。
【0073】
図4に示すセンサ50は、複数の送信アンテナ26と、複数の受信アンテナ31と、電子部品40とを備えている。複数の送信アンテナ26、複数の受信アンテナ31、及び電子部品40は、例えばXY平面に平行な平面状の基板に配置されるものとしてよい。
【0074】
図4に示すように、センサ50は、例えば送信アンテナ26A、送信アンテナ26B、及び送信アンテナ26Cを備えてよい。以下、送信アンテナ26Aと、送信アンテナ26Bと、送信アンテナ26Cとを区別しない場合、単に「送信アンテナ26」と記す。図4に示す複数の送信アンテナ26は、例えば図2において説明した複数の送信アンテナ26に対応するものとしてよい。
【0075】
また、図4に示すように、センサ50は、例えば受信アンテナ31A、受信アンテナ31B、受信アンテナ31C、及び受信アンテナ31Dを備えてよい。以下、受信アンテナ31Aと、受信アンテナ31Bと、受信アンテナ31Cと、受信アンテナ31Dとを区別しない場合、単に「受信アンテナ31」と記す。図4に示す複数の受信アンテナ31は、例えば図2において説明した複数の受信アンテナ31に対応するものとしてよい。
【0076】
図4に示す複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、それぞれ、縦方向(図4に示すY軸方向)に4つのパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)を直列接続したものとして示してある。しかしながら、このような複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、それぞれ、任意の数のパッチアンテナとしてもよいし、他の形態のアンテナとしてもよい。また、図4に示す複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31それぞれのパッチアンテナは、縦方向(図4に示すY軸方向)の位置を揃えて配置されている。しかしながら、このような複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31それぞれのパッチアンテナは、縦方向(図4に示すY軸方向)の位置を変えて配置されてもよい。また、図4に示す複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31それぞれのパッチアンテナは、方形(矩形)マイクロストリップアンテナとして示してあるが、例えば円形マイクロストリップアンテナのように他の形状としてもよい。
【0077】
図4に示す電子部品40は、例えば図2に示した送信部20、受信部30、及び制御部10の少なくともいずれかの少なくとも一部の機能を含む部品としてよい。また、図4に示す電子部品40は、図2に示した送信部20、受信部30、及び制御部10の全ての機能を含む部品としてもよい。
【0078】
図4に示す電子部品40は、複数の送信アンテナ26に送信信号を出力するとともに、複数の受信アンテナ31から受信信号が入力されるものとしてよい。電子部品40は、例えばチップ又はダイのような、パッケージされた半導体集積回路としてよい。一実施形態において、電子部品40は、例えばSoC(System-on-a-chip)としてもよい。すなわち、電子部品40は、集積回路の1個のチップ上にプロセッサコアをはじめ一般的なマイクロコントローラが持つような機能の他、応用目的の機能なども集積し、これらが連携してシステムとして機能するよう設計された集積回路製品としてもよい。
【0079】
ここで、図4に示すように、電子部品40は、例えば四角形のような形状を有するものとしてよい。例えば、電子部品40は、図4に示すように、少なくとも第1の辺41及び第2の辺42を有するものとしてもよい。図4に示す電子部品40において、例えば第1の辺41は、ほぼ垂直な方向、すなわち図4に示すY軸方向にほぼ平行な辺としてよい。また、図4に示す電子部品40において、例えば第2の辺42は、ほぼ水平な方向、すなわち図4に示すX軸方向にほぼ平行な辺としてよい。
【0080】
図4に示す電子部品40の第1の辺41は、複数の送信アンテナ26にそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子(例えばp1乃至p3)が並ぶ辺としてよい。図4に示すp1乃至p3のような複数の送信端子は、例えば出力ポートなどとしてよい。図4に示すように、複数の送信アンテナ26A乃至26Cの給電点(f1乃至f3)と、電子部品40の第1の辺41においてそれぞれ対応する複数の送信端子(p1乃至p3)とは、それぞれ伝送線路(25A乃至25C)によって接続されてよい。
【0081】
図4に示す電子部品40の第2の辺42は、複数の受信アンテナ31からそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子(例えばp4乃至p7)が並ぶ辺としてよい。図4に示すp4乃至p7のような複数の受信端子は、例えば入力ポートなどとしてよい。図4に示すように、複数の受信アンテナ31A乃至31Dの給電点(f4乃至f7)と、電子部品40の第2の辺42においてそれぞれ対応する複数の受信端子(p4乃至p7)とは、それぞれ伝送線路(32A乃至32D)によって接続されてよい。
【0082】
図4に示すセンサ50は、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)に出力する各RF信号の位相を制御してよい。これにより、図4に示すセンサ50は、複数の送信アンテナ26の指向性を制御することができる。ここで、図4に示すように、電子部品40における複数の送信端子(p1乃至p3)から複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)までの伝送線路(25A乃至25C)は、それぞれ同じ長さの配線としてよい。これにより、センサ50は、複数の送信アンテナ26における送信信号の位相差をゼロにすることができる。
【0083】
このように、センサ50において、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)を同じ長さにしてよい。これにより、電子部品40における複数の送信端子(p1乃至p3)から送信される信号の位相の初期値を0deg.とした場合に、複数の送信アンテナ26のそれぞれに対し位相差ゼロで給電した時、ソフト処理により合成電力の指向性を0deg.とすることができる。
【0084】
また、図4に示すセンサ50は、電子部品40における複数の受信端子(p4乃至p7)に複数の受信アンテナ31から入力される各RF信号の位相差を検出してもよい。これにより、図4に示すセンサ50は、送信波が物体によって反射された反射波の到来方向を推定することができる(例えばESPRIT法)。ここで、図4に示すように、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)から電子部品40における複数の受信端子(p4乃至p7)までの伝送線路(32A乃至32D)は、それぞれ同じ長さの配線としてよい。これにより、センサ50は、複数の受信アンテナ31における受信信号の位相差をゼロにすることができる。
【0085】
このように、センサ50において、受信信号の伝送線路(32A乃至32D)を同じ長さにしてよい。これにより、複数の受信アンテナ31から受信した信号の位相差を用いて反射波の到来方向を推定する際に、ソフト処理により到来方向0deg.の時の信号の位相差を0deg.とすることができる。
【0086】
以上説明したように、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)及び/又は受信信号の伝送線路(32A乃至32D)のそれぞれ同じ長さにすることにより、信号の位相差の初期値を0deg.にすることができる。
【0087】
一方、図4に示すように、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)及び/又は受信信号の伝送線路(32A乃至32D)のそれぞれ同じ長さにすると、伝送線路の少なくとも一部が迂回するように配線せざるを得ない。例えば、図4に示す伝送線路25Cは、伝送線路25A及び25Bに比べて基板上で迂回するように配線してある。また、図4に示す伝送線路32B及び32Cは、伝送線路32A及び32Dに比べて基板上で迂回するように配線してある。このように基板上で迂回するように配線された伝送経路は、最短経路で接続された伝送線路に比べて長くなる。伝送線路が長くなると、当該伝送線路を通過する信号の損失が増大し得る。また、伝送線路を基板上で迂回させると、基板上で伝送線路の実装面積が増大することにより、装置の小型化が困難になり得る。
【0088】
そこで、一実施形態に係るセンサ5においては、送信信号の伝送線路及び/又は受信信号の伝送線路を可能な限り短くする。以下、このような実施形態について、さらに説明する。
【0089】
図5は、一実施形態に係るセンサ5の構成例を示す図である。すなわち、図5は、一実施形態に係る電子機器(センサ5)における複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31、並びに電子部品40の配置の例を示す図である。
【0090】
図5に示すように、一実施形態に係るセンサ5において、まず、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)及び受信信号の伝送線路(32A乃至32D)は、図4に示したセンサ50のものとは異なる形状にしてある。すなわち、図5に示すセンサ5において、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)及び受信信号の伝送線路(32A乃至32D)は、それぞれ直線的な配線としてある。したがって、図5に示すセンサ5において、送信信号の伝送線路(25A乃至25C)及び受信信号の伝送線路(32A乃至32D)は、それぞれ最短経路か、又は最短経路に近い長さにすることができる。また、一実施形態に係るセンサ5において、電子部品40は、図4に示したセンサ50の電子部品40とは異なる機能を実現する。
【0091】
上記以外の点について、一実施形態に係るセンサ5は、図4に示したセンサ50と同じ構成にすることができる。したがって、以下、図4に示したセンサ50と同じ又は類似になる説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0092】
このように、一実施形態に係る電子機器(センサ5)において、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)は、複数の送信端子(p1乃至p3)にそれぞれ伝送線路(25A乃至25C)によって接続されてよい。また、一実施形態に係る電子機器(センサ5)において、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)は、複数の受信端子(p4乃至p7)にそれぞれ伝送線路(32A乃至32D)によって接続されてよい。
【0093】
また、一実施形態に係る電子機器(センサ5)において、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)は、複数の送信端子(p1乃至p3)にそれぞれ最短経路の伝送線路(25A乃至25C)によって接続されてもよい。同様に、一実施形態に係る電子機器(センサ5)において、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)は、複数の受信端子(p4乃至p7)にそれぞれ最短経路の伝送線路(32A乃至32D)によって接続されてもよい。
【0094】
図5に示すセンサ5の電子部品40は、図4に示したセンサ50の電子部品40と同様に、複数の送信アンテナ26に送信信号を出力するとともに、複数の受信アンテナ31から受信信号が入力される。一方、図5に示すセンサ5において、電子部品40は、図2に示した送信部20の位相制御部23及び受信部30の位相制御部34の少なくとも一方の機能を備える。また、図5に示すセンサ5の電子部品40は、図2に示した送信部20の位相制御部23及び受信部30の位相制御部34の少なくとも一方の機能以外の他の機能も、適宜備えてよい。
【0095】
図5に示す電子部品40は、送信部20の位相制御部23の機能により、複数の送信端子(p1乃至p3)から複数の送信アンテナ26に向けて出力する送信信号の位相を、それぞれ制御(調整)する。ここで、送信部20の位相制御部23は、送信信号の複数の伝送線路(25A乃至25C)それぞれの長さに応じて、送信信号の位相を調整してもよい。一般的に、送信信号の複数の伝送線路のうち、長いものほど、信号の伝達が遅れる。このため、送信部20の位相制御部23は、例えば、送信信号の複数の伝送線路のうち、長いものほど、信号の位相を予め早めるように調整してもよい。また、送信部20の位相制御部23は、例えば、送信信号の位相が複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)において揃うように、送信信号の位相を調整してもよい。
【0096】
このように、電子部品40は、複数の送信端子(p1乃至p3)からそれぞれ出力される送信信号の位相を調整してもよい。この場合、電子部品40は、複数の送信端子(p1乃至p3)から複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)までのそれぞれの伝送線路(25A乃至25C)の長さに応じて、複数の送信端子(p1乃至p3)からそれぞれ出力される送信信号の位相を調整してもよい。特に、電子部品40は、複数の送信端子(p1乃至p3)からそれぞれ出力される送信信号の位相が複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)において揃うように、送信信号の位相を調整してもよい。
【0097】
また、図5に示す電子部品40は、受信部30の位相制御部34の機能により、複数の受信アンテナ31から複数の受信端子(p4乃至p7)に入力される受信信号の位相を、それぞれ制御(調整)する。ここで、受信部30の位相制御部34は、受信信号の複数の伝送線路(32A乃至32D)それぞれの長さに応じて、受信信号の位相を調整してもよい。一般的に、受信信号の複数の伝送線路のうち、長いものほど、信号の伝達が遅れる。このため、受信部30の位相制御部34は、例えば、受信信号の複数の伝送線路のうち、長いものほど、信号の位相を早めるように調整してもよい。また、受信部30の位相制御部34は、例えば、受信信号の位相が電子部品40の複数の受信端子(p4乃至p7)において揃うように、受信信号の位相を調整してもよい。
【0098】
このように、電子部品40は、複数の受信端子(p4乃至p7)にそれぞれ入力される受信信号の位相を調整してもよい。この場合、電子部品40は、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)から複数の受信端子(p4乃至p7)までのそれぞれの伝送線路(32A乃至32D)の長さに応じて、複数の受信端子(p4乃至p7)にそれぞれ入力される受信信号の位相を調整してもよい。特に、電子部品40は、複数の受信端子(p4乃至p7)にそれぞれ入力される受信信号の位相が揃うように、当該受信信号の位相を調整してもよい。
【0099】
図5に示すように、複数の送信端子(p1乃至p3)から複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)までの伝送線路(25A乃至25C)は、それぞれ長さが異なる。このため、複数の送信端子(p1乃至p3)から出力される送信信号の位相差が0deg.である場合、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)において、送信信号に位相差が生じる。例えば、図5に示す例において、伝送線路25Aにおける位相変動量をδ1とし、伝送線路25Bにおける位相変動量をδ2とし、伝送線路25Cにおける位相変動量をδ3とする。この場合、δ1>δ2>δ3の関係が成り立つ。
【0100】
同様に、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)においても、受信信号に位相差が生じる。例えば、図5に示す例において、伝送線路32Aにおける位相変動量をδ4とし、伝送線路32Bにおける位相変動量をδ5とし、伝送線路32Cにおける位相変動量をδ6とし、伝送線路32Dにおける位相変動量をδ7とする。この場合、δ4=δ7>δ5=δ6の関係が成り立つ。図5に示す例において、伝送線路32Aと伝送線路32Dとは同じ長さであり、伝送線路32Bと伝送線路32Cとは同じ長さである。
【0101】
上述のような関係に基づいて、位相制御部23及び/又は位相制御部34は、複数の送信端子(p1乃至p3)及び/又は複数の受信端子(p4乃至p7)における信号の位相をオフセットしてよい。これにより、電子部品40の位相制御部23は、電子部品40における複数の送信端子(p1乃至p3)と、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)との間における信号の位相差を揃えることができる。また、電子部品40の位相制御部34は、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f37と、電子部品40における複数の受信端子(p4乃至p7)との間における信号の位相差を揃えることができる。
【0102】
ここで、送信端子p1の位相シフト量を0deg.とし、送信端子p2の位相シフト量をδ2deg.とし、送信端子p3の位相シフト量をδ3deg.とする(δ3>δ2)。また、受信端子p4及び受信端子p7の位相シフト量を0deg.とし、受信端子p5及び受信端子p6の位相シフト量をδ5deg.とする。上記の位相シフト量を初期値とし、複数の送信アンテナ26における信号の位相差を可変させることにより、一実施形態に係るセンサ5は、送信波の所望の指向性を得ることができる。同様に、一実施形態に係るセンサ5は、複数の受信アンテナ31によって反射波の到来方向を推定することができる。
【0103】
このように、一実施形態に係る電子機器(センサ5)は、複数の送信アンテナ26と、複数の受信アンテナ31と、電子部品40と、を備えている。ここで、複数の送信アンテナ26は、送信波を送信する。また、複数の受信アンテナ31は、送信波が反射された反射波を受信する。また、電子部品40は、複数の送信アンテナ25に送信信号を出力するとともに、複数の受信アンテナ31から受信信号が入力される。また、このようにして、一実施形態に係る電子機器(センサ5)は、通常のレーダセンサなどと同様に、物体を検出することができる。すなわち、一実施形態に係る電子機器(センサ5)は、送信波として送信される送信信号、及び反射波として受信される受信信号に基づいて、送信波を反射する物体を検出してもよい。
【0104】
また、図5に示すように、一実施形態において、電子部品40は、第1の辺41、及び、第2の辺42を有してよい。ここで、第1の辺41は、複数の送信アンテナ26にそれぞれ送信信号を出力する複数の送信端子(例えばp1乃至p3)が並ぶ辺としてよい。また、第2の辺42は、複数の受信アンテナ31からそれぞれ受信信号が入力される複数の受信端子(例えばp4乃至p7)が並ぶ辺としてよい。
【0105】
また、図5に示すように、一実施形態において、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)の並びは、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)の並びと同一直線上に配置してもよいし、互いに平行になるように配置してもよい。このように、一実施形態において、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)が並ぶ方向と、複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)が並ぶ方向とは平行になるように配置してもよい。
【0106】
さらに、図5に示すように、一実施形態において、電子部品40は、例えば四角形のような形状を有するものとしてよい。例えば、電子部品40は、図5に示すように、少なくとも第1の辺41及び第2の辺42を有するものとしてもよい。図5に示す電子部品40において、例えば第1の辺41は、ほぼ垂直な方向、すなわち図5に示すY軸方向にほぼ平行な辺としてよい。また、図5に示す電子部品40において、例えば第2の辺42は、ほぼ水平な方向、すなわち図5に示すX軸方向にほぼ平行な辺としてよい。このように、一実施形態において、電子部品40の第1辺41と第2辺42とは平行でないように配置してもよい。
【0107】
以上説明したように、一実施形態に係るセンサ5は、電子部品40と送信アンテナ26及び/又は受信アンテナ31とを接続する複数の伝送線路を異なる長さにしてもよい。このような構成において、一実施形態に係るセンサ5は、送信端子(p1乃至p3)及び/又は受信端子(p4乃至p7)における信号の位相をオフセットして、個別の初期値とすることができる。一実施形態に係るセンサ5によれば、伝送線路(25A乃至25C及び/又は32A乃至32D)の長さを短くすることができる。したがって、一実施形態に係るセンサ5によれば、伝送線路を通過する信号の損失を低減し得る。また、一実施形態に係るセンサ5によれば、伝送線路を基板上で迂回させる必要はなくなる。このため、一実施形態に係るセンサ5によれば、基板上で伝送線路の実装面積を小さくすることにより、装置の小型化を容易にし得る。
【0108】
次に、他の実施形態について説明する。
【0109】
図6は、他の実施形態に係るセンサの構成例を示す図である。すなわち、図6は、他の実施形態に係る電子機器(センサ)における複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31、並びに電子部品40の配置の例を示す図である。
【0110】
図6に示すように、他の実施形態に係るセンサ5’は、図5に示したセンサ5と比較して、電子部品40の設置態様を変更したものである。図5に示したセンサ5において、電子部品40の第1の辺41は、ほぼ垂直な方向、すなわち図5に示すY軸方向にほぼ平行な辺としていた。また、図5に示したセンサ5において、電子部品40の第1の辺41は、ほぼ水平な方向、すなわち図5に示すX軸方向にほぼ平行な辺としていた。これに対し、図6に示すセンサ5’において、電子部品40の第1の辺41は、斜め方向、すなわち図6に示すX軸方向にもY軸方向にも平行でない辺としてよい。また、図6に示すセンサ5’において、電子部品40の第1の辺41も、斜め方向、すなわち図6に示すX軸方向にもY軸方向にも平行でない辺としてよい。
【0111】
また、電子部品40の設置態様の変更に伴い、図6に示すセンサ5’において、伝送線路(25A乃至25C及び/又は32A乃至32D)の長さも若干変更され得る。例えば、図6に示す伝送線路(25A乃至25C及び/又は32A乃至32D)は、図5に示した伝送線路(25A乃至25C及び/又は32A乃至32D)よりも短くし得る。
【0112】
上記以外の点について、他の実施形態に係るセンサ5’は、図5に示したセンサ5と同じ構成にすることができる。したがって、以下、図5に示したセンサ5と同じ又は類似になる説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0113】
このように、図6に示すセンサ5’において、電子部品40を斜めに実装することで、電子部品40と送信アンテナ26及び/又は受信アンテナ31とを接続する伝送線路をさらに短くし得る。したがって、図6に示すセンサ5’によれば、伝送線路を通過する信号の損失を低減し得る。また、図6に示すセンサ5’によれば、伝送線路を基板上で迂回させる必要はなくなる。このため、図6に示すセンサ5’によれば、基板上で伝送線路の実装面積を小さくすることにより、装置の小型化を容易にし得る。
【0114】
ここで、送信端子p1の位相シフト量を0deg.とし、送信端子p2の位相シフト量をδ2’deg.とし、送信端子p3の位相シフト量をδ3’deg.とする(δ3’>δ2’、δ2>δ2’、δ3>δ3’)。また、受信端子p4の位相シフト量を0deg.とし、受信端子p5の位相シフト量δ5’deg.とし、受信端子p6の位相シフト量δ6’deg.とし、受信端子p7の位相シフト量δ7deg.とする(δ5’>δ6’>δ7、δ5>δ5’、δ6>δ6’)。上記の位相シフト量を初期値とし、複数の送信アンテナ26における信号の位相差を可変させることにより、一実施形態に係るセンサ5’は、送信波の所望の指向性を得ることができる。同様に、一実施形態に係るセンサ5’は、複数の受信アンテナ31によって反射波の到来方向を推定することができる。
【0115】
このように、一実施形態において、第1の辺41及び第2の辺42の少なくとも一方は、複数の送信アンテナ26の給電点(f1乃至f3)が並ぶ方向及び複数の受信アンテナ31の給電点(f4乃至f7)が並ぶ方向の少なくとも一方に対し斜めに位置付けてよい。
【0116】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0117】
図7は、図6に示したセンサ5’の変形例を示す図である。すなわち、図7は、図6に示したセンサ5’の変形例における複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31、並びに電子部品40の配置の例を示す図である。
【0118】
例えば図5及び図6において、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、電子部品40と同じ面に配置されることを想定して説明した。このように、一実施形態に係るセンサにおいて、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、電子部品40が配置される面(例えばZ軸正方向を向く面)と同じ側の面に配置されてもよい。
【0119】
しかしながら、図7に示すセンサ5”のように、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、電子部品40と異なる面に配置されてもよい。図7に示すセンサ5”において、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、平面状の基板の表面(図7に示したZ軸正方向を向く面)側に配置されている。一方、図7に示すセンサ5”において、電子部品40は、平面状の基板の裏面(図7に示したZ軸負方向を向く面)側に配置されている。このように、一実施形態に係るセンサにおいて、複数の送信アンテナ26及び複数の受信アンテナ31は、電子部品40が配置される面(例えばZ軸負方向を向く面)と反対側の面(例えばZ軸正方向を向く面)に配置されてもよい。
【0120】
図7に示すセンサ5”において、伝送線路(25A乃至25C及び/又は32A乃至32D)は、それぞれ、一方の面から他方の面に折り返してもよいし、基板上に形成した貫通孔を通るようにしてもよい。
【0121】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことができる。したがって、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0122】
例えば、図2において、位相制御部23は送信部20に含まれ、位相制御部34は受信部30に含まれる例について説明した。しかしながら、位相制御部23及び位相制御部34は、それぞれ送信信号及び受信信号の位相を制御(調整)できれば、任意の位置に設けてよい。例えば、位相制御部23は、送信部20における任意の箇所に設けてよい。また、例えば、位相制御部34は、受信部30における任意の箇所に設けてもよいし、AD変換部37の後段の例えば制御部などに設けてもよい。また、上述した実施形態において、位相制御部23及び位相制御部34は電子部品40に含まれるものとして説明した。しかしながら、位相制御部23及び位相制御部34は、電子部品40の外部に設けてもよい。
【0123】
上述した実施形態は、電子機器(センサ5)としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、電子機器(センサ5)のような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、電子機器(センサ5)のような機器の制御プログラムとして実施してもよい。
【0124】
一実施形態に係る電子機器は、最小の構成としては、例えばセンサ5又は制御部10の一方のみの少なくとも一部を備えるものとしてよい。一方、一実施形態に係る電子機器は、制御部10の他に、図2に示すような、信号生成部21、シンセサイザ22、位相制御部23、増幅器24、及び送信アンテナ26の少なくともいずれかを、適宜含んで構成してもよい。また、一実施形態に係る電子機器は、上述の機能部に代えて、又は上述の機能部とともに、受信アンテナ31、LNA33、位相制御部34、ミキサ35、IF部36、AD変換部37の少なくともいずれかを、適宜含んで構成してもよい。さらに、一実施形態に係る電子機器は、任意のメモリを含んで構成してもよい。このように、一実施形態に係る電子機器は、種々の構成態様を採ることができる。また、一実施形態に係る電子機器が移動体100に搭載される場合、例えば上述の各機能部の少なくともいずれかは、移動体100内部などの適当な場所に設置されてよい。一方、一実施形態においては、例えば送信アンテナ26及び受信アンテナ31の少なくともいずれかは、移動体100の外部に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 電子機器
5 センサ
10 制御部
11 距離FFT処理部
12 速度FFT処理部
13 到来角推定部
14 物体検出部
20 送信部
21 信号生成部
22 シンセサイザ
23 位相制御部
24 増幅器
25 伝送線路
26 送信アンテナ
30 受信部
31 受信アンテナ
32 伝送線路
33 LNA
34 位相制御部
35 ミキサ
36 IF部
37 AD変換部
40 電子部品
60 ECU
100 移動体
200 物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7