(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】推定装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
G08G1/00 A
(21)【出願番号】P 2021080413
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】川崎 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】石黒 慎
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-086768(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084125(WO,A1)
【文献】特開2018-004415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00- 99/00
G01C 21/00- 21/36
G01C 23/00- 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の路線が並走する並走区間外において端末を所持するユーザが利用した路線を特定可能な端末情報に基づいて、前記ユーザが前記並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かを判定する判定部と、
前記ユーザが前記乗換を行ったと判定された場合、前記並走区間内における前記乗換が可能な複数の候補駅のそれぞれにおいて前記ユーザが前記乗換を行う際の乗換コストに基づいて、前記ユーザが前記乗換を行った乗換駅を推定する推定部と、を備え
、
前記端末情報は、前記並走区間よりも前において前記ユーザが利用した路線である第1路線、及び前記並走区間よりも後において前記ユーザが利用した路線である第2路線を特定可能な情報を含み、
前記判定部は、前記第1路線が前記第2路線と異なる場合、前記ユーザが前記乗換を行ったと判定する、推定装置。
【請求項2】
複数の路線が並走する並走区間外において端末を所持するユーザが利用した路線を特定可能な端末情報に基づいて、前記ユーザが前記並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かを判定する判定部と、
前記ユーザが前記乗換を行ったと判定された場合、前記並走区間内における前記乗換が可能な複数の候補駅のそれぞれにおいて前記ユーザが前記乗換を行う際の乗換コストに基づいて、前記ユーザが前記乗換を行った乗換駅を推定する推定部と、を備え
、
前記端末情報は、前記並走区間よりも前において前記ユーザが利用した路線である第1路線を特定可能な情報、及び前記ユーザが降車した降車駅を特定可能な情報を含み、
前記判定部は、前記降車駅が、前記並走区間に含まれており、かつ、前記第1路線に含まれない場合、前記ユーザが前記乗換を行ったと判定する、推定装置。
【請求項3】
複数の路線が並走する並走区間外において端末を所持するユーザが利用した路線を特定可能な端末情報に基づいて、前記ユーザが前記並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かを判定する判定部と、
前記ユーザが前記乗換を行ったと判定された場合、前記並走区間内における前記乗換が可能な複数の候補駅のそれぞれにおいて前記ユーザが前記乗換を行う際の乗換コストに基づいて、前記ユーザが前記乗換を行った乗換駅を推定する推定部と、を備え
、
前記端末情報は、前記並走区間よりも後において前記ユーザが利用した路線である第2路線を特定可能な情報、及び前記ユーザが乗車した乗車駅を特定可能な情報を含み、
前記判定部は、前記乗車駅が、前記並走区間に含まれており、かつ、前記第2路線に含まれない場合、前記ユーザが前記乗換を行ったと判定する、推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記複数の候補駅のそれぞれに関する動的情報を含む乗換情報に基づいて、前記乗換コストを算出する、請求項1
~請求項3のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記動的情報は、前記複数の候補駅のそれぞれで乗り換えた場合の乗換先の路線の混雑度を示す情報を含み、
前記推定部は、前記乗換コストを、前記乗換先の路線の前記混雑度が小さいほど、前記混雑度に対応する前記候補駅が選ばれやすくなるように算出する、請求項
4に記載の推定装置。
【請求項6】
前記乗換情報は、前記複数の候補駅のそれぞれに関する静的情報を更に含む、請求項
4又は請求項
5に記載の推定装置。
【請求項7】
前記端末情報は、前記端末が位置登録を行った基地局の識別情報と、前記端末と前記基地局との位置登録に係る時刻とが対応付けられた位置登録情報を含む、請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関における所定の区間を利用したユーザの数を推定する技術が知られている。上記ユーザの数を推定するために、ユーザの移動経路を推定する技術が用いられることがある。特許文献1は、出発地から目的地までの移動体の位置情報の集合であるポイントデータと、出発地から目的地までの複数の経路候補とを比較することによって、1つの経路候補を移動体の推定経路として選択する移動経路推定装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道及びバス等の交通機関には、複数の路線が並走する並走区間が存在し得る。並走区間内の複数の路線は互いに近接している。このような並走区間内でユーザが路線を乗り換えた場合、上述した特許文献1の装置のように単に位置情報の集合に基づいて移動経路を推定する手法では、ユーザがいずれの駅で乗り換えたのかを精度良く推定できないおそれがある。
【0005】
本開示は、ユーザが並走区間内で乗り換えた駅の推定精度を向上可能な推定装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る推定装置は、複数の路線が並走する並走区間外において端末を所持するユーザが利用した路線を特定可能な端末情報に基づいて、ユーザが並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かを判定する判定部と、ユーザが乗換を行ったと判定された場合、並走区間内における乗換が可能な複数の候補駅のそれぞれにおいてユーザが乗換を行う際の乗換コストに基づいて、ユーザが乗換を行った乗換駅を推定する推定部と、を備える。
【0007】
この推定装置では、端末情報に基づいて、ユーザが並走区間内で乗換を行ったか否かが判定され、ユーザが乗換を行ったと判定された場合、並走区間内における各候補駅においてユーザが乗換を行う際の乗換コストに基づいて、ユーザが乗換を行った乗換駅が推定される。一般に、候補駅の乗換コストが小さいほど、ユーザが当該候補駅を乗換駅として選択する可能性が高くなる。この構成においては、ユーザが、複数の路線が近接する並走区間内で路線を乗り換えた場合であっても、各候補駅における乗換コストが考慮されて乗換駅が推定されるので、ユーザが並走区間内で乗り換えた駅の推定精度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザが並走区間内で乗り換えた駅の推定精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る推定装置を含む推定システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、位置登録情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される推定装置が行う経路推定方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、推定結果情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図5の並走区間処理を詳細に示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図1に示される推定装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0011】
図1~
図4を参照して、一実施形態に係る推定装置40を含む推定システム1の構成を説明する。
図1は、一実施形態に係る推定装置40を含む推定システム1の概略構成図である。
図2は、並走区間の一例を示す図である。
図3は、
図1に示される推定装置40の機能構成を示すブロック図である。
図4は、位置登録情報の一例を示す図である。
【0012】
推定システム1は、運行路線(以下、単に「路線」という)が予め決まっている交通機関を利用するユーザUの移動経路を推定するシステムである。路線が予め決まっている交通機関の例としては、鉄道、及びバスが挙げられる。鉄道は、地下鉄、及び地上の鉄道等、あらゆる鉄道を含む。以下、本実施形態では、交通機関が地下鉄である例について説明する。
【0013】
ここで、交通機関の路線には、並走区間が含まれることがある。並走区間は、複数の路線が並走する区間であって、並走する複数の路線のそれぞれにおける複数の接続駅を含む。「接続駅」とは、1の路線の駅(例えば、「中央線東京駅」)を意味するのではなく、複数の路線が乗り入れている同一の名称の駅(例えば、「東京駅」)を意味する。なお、並走区間には、接続駅に加えて、単一の路線が乗り入れている駅が含まれ得る。並走する複数の路線のそれぞれは、並走区間の前、及び並走区間の後の少なくとも一方を通る。
【0014】
図2は、並走区間を含む地下鉄の路線図の一例を示す。
図2に示される例では、地下鉄の路線L1と、地下鉄の路線L2とが並走区間ARにおいて並走している。並走区間ARには、駅A、駅B、駅C、及び駅Dが含まれている。駅A、駅B、及び駅Dのそれぞれは、路線L1及び路線L2の両方に属する駅である。すなわち、駅A、駅B、及び駅Dのそれぞれは、接続駅であって、路線L1及び路線L2は、互いに並走する路線である。駅Cは、路線L2のみに属する駅である。すなわち、駅Cは、単一の路線が乗り入れている駅である。
【0015】
並走区間においては、複数の路線が近接しているため、並走区間においてユーザUの移動経路を精度良く推定することが困難な場合がある。そこで、推定システム1は、ユーザUが並走区間を通った場合には、並走区間外でのユーザUの移動経路を推定する処理とは異なる並走区間処理を更に実行する。並走区間処理の詳細については後述する。
【0016】
推定システム1は、1又は複数の端末装置10(端末)と、複数の基地局20と、乗換情報DB30と、推定装置40とを含む。1又は複数の端末装置10は、複数の基地局20と移動体通信網を介して互いに通信可能に構成されている。推定装置40は、複数の基地局20、及び乗換情報DB30とネットワークを介して互いに通信可能に構成されている。ネットワークは、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。ネットワークの例としては、移動体通信網、インターネット、及びWAN(Wide Area Network)が挙げられる。以下の説明では、1つの端末装置10及び1つの基地局20に着目して説明を行うが、他の端末装置10及び他の基地局20についても同様である。
【0017】
端末装置10は、ユーザUが所持する装置である。端末装置10の例としては、スマートフォン及びタブレット端末を含む携帯端末が挙げられる。基地局20は、移動体通信の基地局である。基地局20は、位置登録情報(端末情報)を記憶している。位置登録情報は、並走区間外においてユーザUが利用した路線を特定可能な情報である。位置登録情報は、端末装置10から基地局20に対して送出された位置登録信号に基づき、端末装置10が位置登録を行った基地局20の識別情報と、端末装置10と基地局20との位置登録に係る時刻とが対応付けられた情報である。端末装置10が位置登録を行った際の基地局20の識別情報は、基地局20に保持されている。位置登録情報の詳細については後述する。端末装置10と基地局20との位置登録に係る時刻は、例えば、端末装置10が基地局20と情報のやり取りを行った時刻(タイムスタンプ)である。基地局20は、所定の期間(以下、「対象期間」という)内の位置登録情報を推定装置40に送信する。対象期間は、24時間、及び数日間等、適宜設定される。
【0018】
乗換情報DB30は、乗換情報を格納するデータベースである。乗換情報は、各接続駅に関する情報を含む。具体的には、乗換情報は、距離情報、段数情報、交通情報、及び混雑度情報を含む。距離情報は、各接続駅において、1の路線のホームから他の路線のホームに辿り着くまでの最短経路に沿った距離を示す情報である。段数情報は、各接続駅において、1の路線のホームから他の路線のホームに辿り着くまでの最短経路において利用するすべての階段の段数の総和を示す情報である。交通情報は、後述する乗換時間の算出に用いられる時刻表、及び鉄道の運行情報を含む。交通機関の状態に変化が生じると、運行情報は更新される。混雑度情報は、各路線の駅間ごとの車両の混雑度を含む。混雑度情報は、外部のサーバ等から取得される。外部のサーバは、例えば、鉄道会社が有する運行情報システムのサーバである。混雑度の状態に変化が生じると、混雑度情報は更新される。
【0019】
推定装置40は、ユーザUの移動経路を推定する装置である。推定装置40の例としては、サーバ装置等の情報処理装置が挙げられる。
【0020】
図3を参照して、推定装置40の機能構成について説明する。
図3に示されるように、推定装置40は、機能的には、取得部41と、推定部42と、記憶部43と、判定部44と、推定部45と、出力部46とを備える。後述の経路推定方法の説明において、各機能部の機能(動作)を詳細に説明するので、ここでは各機能部の機能を簡単に説明する。
【0021】
取得部41は、基地局20から、対象期間内の位置登録情報を取得する機能部である。位置登録情報は、時系列に配列された複数の位置登録データを含む。
図4に示されるように、各位置登録データは、端末装置10が基地局20に位置登録を行った時刻(タイムスタンプ)、端末装置10の端末ID(identifier)、及び端末装置10が位置登録を行った際の基地局20の基地局名(識別情報)を含む。端末IDは、端末装置10を一意に識別可能な情報である。取得部41は、取得した位置登録情報を推定部42に出力する。
【0022】
図4に示される例では、取得部41は、対象期間内において、ユーザUが所持する端末装置10の端末ID「AAA」についての複数の位置登録データを含む位置登録情報を取得している。一例として、
図4に示される位置登録情報の最上段に示される位置登録データは、端末ID「AAA」によって識別される端末装置10が、時刻「2020/02/09 09:00:00」に基地局名「基地局G1」の基地局に位置登録を行ったことを示す。
【0023】
推定部42は、取得部41から受け取った位置登録情報に基づいて、ユーザUが利用した路線等を推定する機能部である。推定部42は、例えば、基地局情報を用いて、ユーザUが利用した路線等を推定する。基地局情報は、複数の基地局データを含む。各基地局データは、1の基地局名と、基地局20の設置場所情報とが対応付けられたデータである。設置場所情報は、基地局20の設置場所を識別可能な情報である。基地局20の設置場所は、例えば、駅、駅の近傍の場所、及び地上の特定の場所を含む。ここでいう「駅」とは、1の路線の駅(例えば、「中央線東京駅」)を意味する。設置場所情報の例としては、駅名、駅の近傍の場所名、及び地上の特定の場所名が挙げられる。推定部42は、例えば、外部のサーバ(図示せず)から、基地局情報を取得する。
【0024】
まず、前提として、推定部42は、位置登録情報と基地局情報とを照合して、公知の手法を用いて、ユーザUが移動していた際の位置登録情報を特定する。そして、推定部42は、特定した位置登録情報と基地局情報とを照合して、ユーザUの位置、ユーザUの進行方向、ユーザUが利用した路線及び駅、並びにユーザUが鉄道に乗車した或いは鉄道から降車したか否かを推定する推定処理を行う。当該推定処理の詳細については後述する。また、推定部42は、ユーザUが駅等を通過した時刻を示す通過時刻を推定する(詳細は後述)。推定部42は、ユーザUが利用した路線等の推定結果(以下、単に「推定結果」という場合がある)と、端末装置10の端末IDと、通過時刻とが対応付けられた推定結果情報を、記憶部43に出力する。
【0025】
記憶部43は、推定結果情報を記憶する機能部である。記憶部43は、推定部42から受け取った推定結果情報を格納する。
【0026】
判定部44は、後述する並走区間処理に係る判定を行う機能部である。具体的には、判定部44は、記憶部43に推定結果情報が格納されるごとに、推定結果情報を記憶部43から取得し、推定結果情報に基づいて、ユーザUが並走区間を通ったか否かを判定する。また、判定部44は、ユーザUが並走区間を通ったと判定した場合、後述する並走区間処理の一部を行う。並走区間処理において、判定部44は、推定結果情報に基づいて、並走区間よりも前においてユーザUが利用した路線(以下、「第1路線」という場合がある)及び並走区間よりも後においてユーザUが利用した路線(以下、「第2路線」という場合がある)、並びに並走区間内でのユーザUの降車駅及び乗車駅を特定する(詳細は後述)。本実施形態では、推定結果情報は、位置登録情報に基づいて得られる。つまり、本実施形態では、第1路線、第2路線、降車駅、及び乗車駅は、位置登録情報に基づいて特定される。
【0027】
推定部45は、判定部44による判定結果に応じて、ユーザUの移動経路を推定する機能部である。推定部45は、ユーザUが並走区間を通ったと判定部44が判定した場合、後述する並走区間処理を行う。そして、推定部45は、並走区間処理の結果に応じて並走区間内でのユーザUの移動経路を推定し、公知の手法により、並走区間外でのユーザUの移動経路を推定する。一方、推定部45は、ユーザUが並走区間を通っていないと判定部44が判定した場合、公知の手法により、ユーザUの移動経路を推定する。すなわち、推定部45は、並走区間外でのユーザUの移動経路については、公知の手法を用いて推定し、並走区間内でのユーザUの移動経路については、並走区間処理を行って推定する。推定部45は、推定した移動経路を示す情報(以下、「移動経路情報」という)を、出力部46に出力する。
【0028】
出力部46は、移動経路情報を出力する機能部である。出力部46は、推定部45から受け取った移動経路情報を、例えば、外部のサーバに出力する。外部のサーバは、例えば、ユーザUの移動経路情報を蓄積するためのサーバである。
【0029】
次に、
図5~
図8を参照して、推定装置40が行う経路推定方法について説明する。
図5は、
図1に示される推定装置40が行う経路推定方法を示すフローチャートである。
図6は、基地局情報の一例を示す図である。
図7は、推定結果情報の一例を示す図である。
図8は、
図5の並走区間処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示される一連の処理は、例えば、推定装置40が、所定のタイミングで実施される。所定のタイミングは、例えば、経路推定処理(すなわち、ユーザUが過去に鉄道等を利用した際の基地局20のログの分析処理)を行う推定装置40のオペレータ等によって設定されたタイミングであってもよいし、対象期間が経過するタイミングであってもよい。以下、1のユーザUの移動経路を推定する場合の例について説明するが、他のユーザUの移動経路を推定する場合についても同様である。
【0030】
図5に示されるように、まず、取得部41が基地局20から対象期間内の位置登録情報を取得する(ステップS01)。そして、取得部41は、取得した位置登録情報を、推定部42に出力する。
【0031】
続いて、推定部42は、取得部41から位置登録情報を受け取ると、ユーザUの路線等を推定する(ステップS02)。一例として、推定部42は、以下のように路線等を推定する。
【0032】
まず、推定部42は、ユーザUが移動していた際の位置登録情報に含まれる基地局名を参照して、例えば、外部のサーバから、対象期間において端末装置10が位置登録を行った各基地局20に対応する基地局情報を取得する。そして、推定部42は、位置登録情報に基づいて、端末装置10が位置登録を行った基地局20の遷移の順序を特定する。推定部42は、例えば、時系列に連続した複数の位置登録データに含まれる基地局名が示す基地局の順序を上記遷移の順序として特定する。そして、推定部42は、特定した順序、位置登録情報、及び基地局情報に基づいて、ユーザUが利用した路線等を推定する。
【0033】
以下、ユーザUが利用した地下鉄の路線等を推定する場合について、
図4及び
図6に示される例を用いて説明する。
図6に示される基地局情報は、
図4に示される位置登録情報に含まれる4つの基地局名に対応する4つの基地局データGD1~基地局データGD4を含む。
【0034】
基地局データGD1に含まれる基地局名は、地下鉄の1の路線(以下、「路線F1」という)に含まれる1の駅(以下、「駅f1」という)の近傍且つ東側に設置されている基地局G1を示す。地下鉄の駅の近傍に設置されている基地局の例としては、例えば、駅から半径数十~数百メートルの範囲内に位置する基地局が挙げられる。基地局データGD2に含まれる基地局名は、路線F1の駅f1の近傍且つ西側に設置されている基地局G2を示す。基地局データGD3に含まれる基地局名は、路線F1において駅f1の西側の隣の駅f2に設置された基地局G3を示す。基地局データGD4に含まれる基地局名は、駅f2の周辺の地点f3に設置された基地局G4を示す。地点f3は、地上に位置している。駅の周辺の地点に設置されている基地局の例としては、例えば、駅から半径数十~数百メートルの範囲内に位置する基地局が挙げられる。
【0035】
推定部42は、位置登録情報に基づいて、端末装置10が位置登録を行った基地局G1~G4の遷移の順序を特定して、ユーザUが、東から西の方向に沿って進行するff方面行の路線F1を利用した旨、及び路線F1の駅f1を通過した旨、及び駅f2で降車した旨を推定する。「路線F1を利用する」とは、路線F1の車両に乗車することをいう。なお、仮に、基地局G4、基地局G3、基地局G2、及び基地局G1の順に遷移の順序が特定された場合には、推定部42は、ユーザUが、駅f2で乗車した旨、西から東の方向に沿って進行するgg方面行の路線F1を利用した旨、及び路線F1の駅f1を通過した旨を推定する。
【0036】
また、推定部42は、位置登録情報に含まれる時刻、及び推定した路線等の情報に基づいて、ユーザUが、駅f1及び駅f2等の各地点を通過した通過時刻を推定する。一例として、推定部42は、
図4に示される位置登録情報を参照して、ユーザUが通過した駅f2に設置された基地局G3(
図6参照)を示す基地局名に対応する時刻「2020/02/09 09:10:00」にユーザUが駅f2を通過したと推定する。
【0037】
以上のようにして、推定部42は、位置登録情報に基づいて、ユーザUが利用した路線等を推定する。続いて、推定部42は、ユーザUが利用した路線等の推定結果を示す推定結果と、端末装置10の端末IDと、通過時刻とが対応付けられた推定結果情報を、記憶部43に出力する。推定結果は、ユーザUの位置、ユーザUの進行方向、及びユーザUが利用した路線及び駅を含む。ユーザUが鉄道に乗車したことを推定部42が推定した場合には、推定結果は、乗車駅を更に含む。ユーザUが鉄道から降車したことを推定部42が推定した場合には、推定結果は、降車駅を更に含む。
【0038】
続いて、記憶部43は、推定部42から推定結果情報を受け取ると、推定結果情報を格納する(ステップS03)。一例として、
図7に示されるように、記憶部43には、ユーザUが駅等の各地点を通過した時刻ごとに、端末IDと、ユーザUが利用した路線及び駅等の推定情報とが対応付けられた推定結果情報が格納される。
【0039】
記憶部43に推定結果情報が格納されると、判定部44は、推定結果情報を記憶部43から取得し、推定結果情報に基づいて、ユーザUが並走区間を通ったか否かを判定する(ステップS04)。具体的には、判定部44は、推定結果情報と、並走区間情報とを照合して、ユーザUが並走区間を通ったか否かを判定する。並走区間情報は、例えば、並走区間に含まれる複数の接続駅を示す情報を含む。並走区間情報は、例えば、推定装置40が有する記憶部(図示せず)に予め記憶されている。
【0040】
判定部44は、例えば、ユーザUが移動したパターンが、以下の第1パターン~第3パターンのいずれかである場合、ユーザUが並走区間を通ったと判定する。第1パターンは、ユーザUが、並走区間を通る路線を利用して、並走区間内に進入した後に通過するパターンである。並走区間を通る路線は、並走する複数の路線のいずれかである。第2パターンは、ユーザUが、並走区間を通る路線を利用して並走区間内に進入した後に、並走区間内で降車したパターンである。第3パターンは、並走区間内で並走区間を通る路線の車両に乗車したユーザUが、並走区間を通る路線を利用して並走区間を通過したパターンである。なお、ユーザUが並走区間内において、並走区間を通る路線の車両に乗車した後に降車したパターンについては、本実施形態では、後述する並走区間処理の対象外となる。
【0041】
ユーザUが移動したパターンが第1パターン~第3パターンのいずれにも該当しない(すなわち、ユーザUが並走区間を通っていない)と判定部44が判定した場合(ステップS04:NO)、推定部45が、推定結果情報に基づいて、公知の手法により、ユーザUの移動経路を推定する(ステップS05)。そして、推定部45は、推定した移動経路情報を、出力部46に出力する。一方、ユーザUが移動したパターンが第1パターン~第3パターンのいずれかに該当する(すなわち、ユーザUが並走区間を通った)と判定部44が判定した場合(ステップS04:YES)、並走区間処理が行われる(ステップS06)。
【0042】
以下、
図8を用いて、並走区間処理について説明する。
図8に示されるように、まず、判定部44は、推定結果情報に基づいて、ユーザUが並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かを判定する(ステップS11)。ユーザUが並走区間内で乗り換えたと判定部44が判定した場合(ステップS11:YES)、推定部45が、乗換駅を推定し(ステップS12)、並走区間内でのユーザUの利用路線を推定する(ステップS13)。一方、ユーザUが並走区間内で乗り換えていないと判定部44が判定した場合(ステップS11:NO)、推定部45が、並走区間の前後にユーザUが利用した路線等の情報に基づいて、並走区間内でのユーザUの利用路線を推定する(ステップS14)。
【0043】
以下、ステップS04で判定された第1パターン~第3パターンごとの並走処理の一例を、
図2に示される例を適宜用いて説明する。まず、判定部44は、ステップS04において、ユーザUが移動したパターンが第1パターンであると判定された場合、判定部44は、並走区間よりも前においてユーザUが利用した路線(すなわち、第1路線)及び並走区間よりも後においてユーザUが利用した路線(すなわち、第2路線)を特定する。そして、第1路線が第2路線と異なる場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で第1路線から第2路線に乗換を行ったと判定する(ステップS11:YES)。そして、推定部45は、乗換駅を推定する(ステップS12)。ステップS12の詳細は後述する。そして、推定部45は、ユーザUが、第1路線を利用して並走区間内に進入し、乗換駅で第2路線に乗り換えて、第2路線を利用して並走区間を通過したと推定する(ステップS13)。以上により、並走区間処理が終了する。
【0044】
一方、第1路線が第2路線と同一である場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で乗換を行っていないと判定する(ステップS11:NO)。続いて、推定部45は、ユーザUが第1路線を利用して並走区間を通過したと推定する(ステップS14)。以上により、並走区間処理が終了する。
【0045】
例えば、
図2に示される例において、第1路線が路線L1であって、第2路線が路線L2である場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行ったと判定し、推定部45は、乗換駅を推定する。一方、第1路線及び第2路線の両方が路線L1である場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行っていないと判定し、推定部45は、ユーザUが路線L1を利用して並走区間ARを通過したと推定する。
【0046】
ステップS04において、ユーザUが移動したパターンが第2パターンであると判定された場合、判定部44は、第1路線及び降車駅を特定する。そして、降車駅に第1路線が乗り入れている場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で乗換を行っていないと判定する(ステップS11:NO)。続いて、推定部45は、ユーザUが、第1路線を利用して並走区間内に進入して、降車駅で降車したと推定する(ステップS14)。これは、
図2の路線図の例に示されるように、路線L1を利用して並走区間AR内に進入したユーザUが、路線L1及び路線L2が乗り入れている駅Dで降車する場合、駅Dよりも前にわざわざ路線L1から路線L2に乗り換えるとは想定し難いためである。以上により、並走区間処理が終了する。
【0047】
一方、降車駅に第1路線が乗り入れていない場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で第1路線から降車駅に乗り入れている第2路線に乗換を行ったと判定する(ステップS11:YES)。続いて、推定部45は、乗換駅を推定する(ステップS12)。ステップS12の詳細は後述する。そして、推定部45は、ユーザUが、第1路線を利用して並走区間内に進入し、乗換駅で第2路線に乗り換えて、降車駅で降車したと推定する(ステップS13)。以上により、並走区間処理が終了する。
【0048】
例えば、
図2に示される例において、第1路線が路線L1であって、降車駅が路線L1及び路線L2が乗り入れている駅Dである場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行っていないと判定する。この場合、推定部45は、ユーザUが、路線L1を利用して並走区間AR内に進入して、駅Dで降車したと推定する。第1路線が路線L2であって、降車駅が路線L2のみが乗り入れている駅Cである場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行っていないと判定する。この場合、推定部45は、ユーザUが、路線L2を利用して並走区間AR内に進入して、駅Cで降車したと推定する。一方、第1路線が路線L1であって、降車駅が駅Cである場合、駅Cは路線L1に含まれないので、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行ったと判定し、続いて、推定部45は、乗換駅を推定する。
【0049】
ステップS04において、ユーザUが移動したパターンが第3パターンであると判定された場合、判定部44は、乗車駅及び第2路線を特定する。そして、乗車駅に第2路線が乗り入れている場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で乗換を行っていないと判定する(ステップS11:NO)。続いて、推定部45は、ユーザUが、乗車駅で第2路線の車両に乗車して、第2路線を利用して並走区間を通過したと推定する(ステップS14)。これは、
図2の路線図の例に示されるように、路線L1及び路線L2が通る駅Bで乗車し、路線L1を利用して並走区間ARを通過したユーザUが、並走区間ARを通過する前にわざわざ路線L2から路線L1に乗り換えるとは想定し難いためである。以上により、並走区間処理が終了する。
【0050】
一方、乗車駅に第2路線が乗り入れていない場合、判定部44は、ユーザUが並走区間内で乗車駅に乗り入れている第1路線から第2路線に乗換を行ったと判定する(ステップS11:YES)。続いて、推定部45は、乗換駅を推定する(ステップS12)。ステップS12の詳細は後述する。そして、推定部45は、ユーザUが、乗車駅で第1路線の車両に乗車して、乗換駅で第2路線に乗り換えて、第2路線を利用して並走区間を通過したと推定する(ステップS13)。以上により、並走区間処理が終了する。
【0051】
例えば、
図2に示される例において、乗車駅が路線L1及び路線L2が乗り入れている駅Aであって、第2路線が路線L1である場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行っていないと判定する。この場合、推定部45は、ユーザUが、駅Aで路線L1の車両に乗車し、路線L1を利用して並走区間ARを通過したと推定する。第2路線が路線L2であって、乗車駅が路線L2のみが乗り入れている駅Cである場合、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行っていないと判定する。この場合、推定部45は、ユーザUが、駅Cで路線L2の車両に乗車して、路線L2を利用して並走区間ARを通過したと推定する。一方、第2路線が路線L1であって、乗車駅が駅Cである場合、駅Cは路線L1に含まれないので、判定部44は、ユーザUが並走区間AR内で乗換を行ったと判定し、続いて、推定部45は、乗換駅を推定する。
【0052】
図5の処理に戻り、推定部45は、推定結果情報、及び並走区間内における利用路線の推定結果に基づいて、ユーザUの移動経路を推定する(ステップS07)。例えば、推定部45は、並走区間外のユーザUの移動経路については、推定結果情報を参照して、推定結果情報に含まれる時刻順に推定結果が示す場所をユーザUが通過した旨を推定する。推定部45は、並走区間内のユーザUの移動経路については、ステップS13又はステップS14において推定された利用路線に沿ってユーザUが通過した旨を推定する。そして、推定部45は、推定した移動経路情報を、出力部46に出力する。
【0053】
続いて、出力部46が、ステップS05又はステップS07において推定部45から出力された移動経路情報を受け取ると、移動経路情報を、例えば、外部のサーバに出力する(ステップS08)。以上により、経路推定方法の一連の処理が終了する。
【0054】
続いて、ステップS12を詳細に説明する。ステップS12においては、推定部45は、まず、各候補駅の乗換コストを算出する。乗換コストは、候補駅においてユーザUが乗換を行う際のコストである。候補駅は、並走区間内における乗換が可能な駅である。すなわち、候補駅は、ユーザUが乗り換えた可能性がある接続駅である。
【0055】
具体的に説明すると、推定部45は、ステップS04においてユーザUが通ったと判定された並走区間に含まれる接続駅を候補駅として特定する。そして、推定部45は、乗換情報DB30から各候補駅の乗換情報を取得する。また、推定部45は、記憶部43から、各候補駅に対応する推定結果を含む推定結果情報(以下、「各候補駅の推定結果情報」という)を取得する。そして、推定部45は、各候補駅の乗換情報、及び各候補駅の推定結果情報に基づいて、当該候補駅の乗換コストを算出する。
【0056】
乗換情報は、静的情報及び動的情報を含む。静的情報は、候補駅についての固有の情報である。本実施形態では、候補駅の距離情報、段数情報、及び交通情報が、静的情報に相当する。動的情報は、時間の経過とともに変動する情報である。本実施形態では、第2路線の混雑度情報が、動的情報に相当する。第2路線の混雑度情報は、候補駅で第1路線から第2路線に乗り換えた場合における第2路線の混雑度情報である。一例として、推定部45は、候補駅の距離情報によって示される距離d、候補駅の段数情報によって示される段数s、候補駅の交通情報から算出される乗換時間t、及び候補駅での第2路線の混雑度情報によって示される混雑度cを以下の式(1)に代入することにより、乗換コストCtを算出する。本実施形態では、乗換コストが小さいほど、乗換コストに対応する候補駅が乗換駅として選ばれやすい。
Ct=w1d+w2s+w3t+w4c (1)
【0057】
距離dは、候補駅において、第1路線のホームから第2路線のホームに辿り着くまでの最短経路に沿った距離である。段数sは、第1路線のホームから第2路線のホームに辿り着くまでの最短経路において利用するすべての階段の段数の総和である。乗換時間tは、候補駅において、第1路線から第2路線への乗換時間である。乗換時間tは、ユーザUが乗車していると推定される第1路線の車両が候補駅に到着する着時刻と、第2路線の車両が候補駅から出発する発時刻との差分である。混雑度cは、候補駅で第1路線から第2路線に乗り換えた場合における第2路線の混雑度である。混雑度cは、高くなるにつれて第2路線の車両の混雑の度合いが高いことを示す。
【0058】
推定部45は、候補駅の乗換情報に含まれる距離情報を参照して、距離dを得る。推定部45は、候補駅の乗換情報に含まれる段数情報を参照して、段数sを得る。推定部45は、候補駅の乗換情報に含まれる交通情報の時刻表、及び候補駅の推定結果情報に含まれる通過時刻を参照して、乗換時間tを得る。ここで、乗換時間tは、d/vよりも大きいという条件を満たす乗換時間のうち、最小の値である。速度vは、ユーザUの移動速度である。速度vは、予め定められた値であって、例えば、推定装置40が有する記憶部(図示せず)に記憶されている。なお、速度vは、ユーザUごとに定められた値であってもよい。推定部45は、候補駅の乗換情報に含まれる交通情報の運行情報を更に参照して、公知の手法により、乗換時間tを得てもよい。
【0059】
推定部45は、例えば、乗換情報に含まれる混雑度情報を参照して、混雑度cを得る。推定部45が得る混雑度情報は、第2路線において、候補駅から候補駅の次の駅までの間の車両の混雑度である。なお、混雑度情報は、鉄道会社等が公表している公表値等であってもよく、乗換情報DB30に予め格納されていてもよい。
【0060】
重みw1~w4は、予め設定された定数である。重みw1~w4は、例えば、以下の手順で決定される。まず、予め、複数の正解学習データが用意される。各正解学習データは、実際のユーザの移動経路及び通過時刻情報を含む。移動経路は、ユーザが並走区間内で乗り換えた場合の経路である。通過時刻情報は、ユーザが移動経路において駅等の複数の場所のそれぞれを通過した時刻を含む。移動経路及び通過時刻は、例えば、GPS等によって取得されたユーザの移動経路、調査員による交通調査、及びアンケート等のユーザの自己申告に基づいて得られる。正解学習データは、ユーザの乗換駅の距離d及び段数s、ユーザの乗換駅での乗換時間t、並びに乗換駅での乗換先の路線の混雑度cを更に含む。距離d、段数s、乗換時間t、及び混雑度cは、例えば、上述した手法と同様に得られる。なお、正解学習データについては、統計的にある程度有意となる数が用意されていることが望ましい。そして、推定装置40が、経路推定処理に含まれる並走区間処理を行う際に、実際のユーザの乗換駅と、推定された乗換駅とが合致するように、重みw1~w4が決定される。この時、できるだけ多くのユーザにおいて、乗換駅及び路線が正しく選ばれるように重みw1~w4が決定される。具体的には、実際のユーザの乗換駅と推定された乗換駅との間の駅の数が最小となるように重みw1~w4が探索される。
【0061】
以上のように、推定部45は、各候補駅における乗換コストを算出する。推定部45は、乗換コストを、距離dが小さいほど、当該距離dに対応する候補駅が選ばれやすくなるように算出する。推定部45は、乗換コストを、段数sが小さいほど、当該段数sに対応する候補駅が選ばれやすくなるように算出する。推定部45は、乗換コストを、乗換時間tが小さいほど、当該乗換時間tに対応する候補駅が選ばれやすくなるように算出する。推定部45は、乗換コストを、混雑度cが小さいほど、当該混雑度cに対応する候補駅が選ばれやすくなるように算出する。なお、重みw1~w4は、全体接続駅ごとに予め設定されていてもよい。
【0062】
以上説明した推定装置40では、位置登録情報に基づいて、ユーザUが並走区間内で路線間の乗換を行ったか否かが判定され、ユーザUが乗換を行ったと判定された場合、並走区間内における各候補駅においてユーザUが乗換を行う際の乗換コストに基づいて、ユーザUが乗換を行った乗換駅が推定される。一般に、候補駅の乗換コストが小さいほど、ユーザUが当該候補駅を乗換駅として選択する可能性が高くなる。この構成においては、ユーザUが、複数の路線が近接する並走区間内で路線を乗り換えた場合であっても、各候補駅における乗換コストが考慮されて乗換駅が推定されるので、乗換駅の推定精度を向上させることができる。
【0063】
例えば、公知の手法によりユーザUの移動速度を算出し、移動速度の変化に基づいて、ユーザUが徒歩での移動から、鉄道での移動に変更したことを判断することができる。しかしながら、並走区間において、同一の移動手段によって移動するユーザUが路線を乗り換えた場合、ユーザUの移動速度にほとんど変化がないため、移動速度に基づいてユーザUの移動経路を精度良く推定することは困難である。推定装置40では、並走区間外でユーザUが利用した路線等の情報が考慮されて、並走区間内においてユーザUが乗り換えたか否かが推定されるので、ユーザUの移動経路を精度良く推定することができる。
【0064】
鉄道等の交通機関における路線の状況は、時間帯及び曜日等に応じて常に変化する。例えば、鉄道の路線を利用しており且つ路線の乗換を予定しているユーザUに対して、複数の候補駅がある場合、ユーザUは、各路線の状況を考慮して乗換駅を選択すると考えられる。推定部45は、各候補駅に関する動的情報を含む乗換情報に基づいて、乗換コストを算出するので、ユーザUが実際に乗り換えた可能性が高い駅を乗換駅として精度良く推定することが可能となる。
【0065】
例えば、鉄道の路線を利用しており且つ路線の乗換を予定しているユーザUに対して、複数の乗換の候補駅がある場合、ユーザUは、空いている路線に乗換が行える駅を選ぶ可能性が高いといえる。本実施形態では、動的情報が、各候補駅で乗り換えた場合の乗換先の路線の混雑度を示す情報を含み、推定部45が、乗換コストを、乗換先の路線の混雑度が小さいほど、当該混雑度に対応する候補駅が選ばれやすくなるように算出するので、ユーザUが実際に乗り換えた可能性が高い駅を乗換駅として精度良く推定することが可能となる。
【0066】
例えば、鉄道の路線を利用しており且つ路線の乗換を予定しているユーザUに対して、複数の乗換の候補駅がある場合、ユーザUは、乗換を行いやすい駅を乗換駅として選択しやすいといえる。本実施形態では、乗換情報が、各候補駅に関する静的情報を更に含むので、ユーザUが実際に乗り換えた可能性が高い駅を乗換駅としてより精度良く推定することが可能となる。
【0067】
判定部44は、第1路線が第2路線と異なる場合、ユーザUが並走区間内で乗換を行ったと判定する。この構成によれば、ユーザUが、並走区間を通過する途中で路線を乗り換えた場合であっても、乗換コストを考慮して乗換駅の推定精度を向上させることができる。
【0068】
判定部44は、降車駅が並走区間に含まれており、かつ、第1路線に含まれない場合、ユーザUが並走区間内で乗換を行ったと判定する。この構成によれば、ユーザUが、並走区間内で路線を乗り換えた後に降車した場合であっても、乗換コストを考慮して乗換駅の推定精度を向上させることができる。
【0069】
判定部44は、乗車駅が並走区間に含まれており、かつ、第2路線に含まれない場合、ユーザUが並走区間内で乗換を行ったと判定する。この構成によれば、ユーザUが、並走区間において乗車した後に路線を乗り換えた場合であっても、乗換コストを考慮して乗換駅の推定精度を向上させることができる。
【0070】
例えば、地下鉄を利用しているユーザUの端末装置10には、GPS衛星信号が届きにくい。したがって、地下鉄を利用しているユーザUの移動経路の推定には、端末装置10が位置登録を行った基地局20の識別情報と、端末装置10と基地局20との位置登録に係る時刻とが対応付けられた位置登録情報が用いられ得る。この場合、複数の路線が近接している並走区間内でユーザUが乗り換えると、単に位置登録情報に基づいて並走区間内でのユーザUの乗換駅を精度良く推定することは困難である。本実施形態では、推定部45が、位置登録情報に基づいて推定された第1路線及び第2路線を考慮するだけでなく、並走区間内における各候補駅においてユーザUが乗換を行う際の乗換コストを更に考慮して乗換駅を推定するため、地下鉄の並走区間内であっても、乗換駅の推定精度を向上させることができる。
【0071】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0072】
推定装置40は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、推定装置40は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。以上のように、推定装置40の構成は、推定装置40の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。
【0073】
推定装置40は、取得部41、推定部42、記憶部43、及び出力部46を備えていなくてもよい。この場合、判定部44は、例えば、推定結果情報を格納している外部のサーバから推定結果情報を取得してもよい。
【0074】
推定装置40は、地上の鉄道、及びバスを利用するユーザUの移動経路を推定してもよい。この場合、位置登録情報の各位置登録データが、地上の基地局20に端末装置10が位置登録信号を送出する際に生じる遅延時間を更に含み、推定部42が、遅延時間から算出される概算距離に基づいてユーザUの位置を推定し、推定したユーザUの位置に基づいて、ユーザUが利用した路線及び駅等を推定してもよい。また、この場合、推定部42が、公知の手法により、ユーザUの移動速度を更に算出し、算出した移動速度に基づいて、ユーザUが利用する交通手段を推定してもよい。
【0075】
推定装置40では、位置情報(端末情報)に基づいて移動経路が推定されてもよい。位置情報は、GPS(Global Positioning System)衛星信号を利用して得られた緯度及び経度と、緯度及び経度が取得された時刻(タイムスタンプ)とが対応付けられた情報である。その場合、端末装置10が位置情報を推定装置40に送信し、推定部42が位置情報に基づいてユーザUが利用した路線等を推定してもよい。経路推定処理は、バッチ処理として、時系列に沿って行われてもよい。
【0076】
なお、上記実施形態の説明に用いられたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0077】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、及び割り振り(assigning)などがあるが、これらの機能に限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0078】
例えば、本開示の一実施形態における推定装置40は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図9は、本開示の一実施形態に係る推定装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の推定装置40は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0079】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、及びユニットなどに読み替えることができる。推定装置40のハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0080】
推定装置40における各機能は、プロセッサ1001及びメモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0081】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の推定装置40の各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0082】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明された動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、推定装置40の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理では、1つのプロセッサ1001によって実行される旨が説明されたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0083】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、又はメインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存できる。
【0084】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、及び磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバ、又はその他の適切な媒体であってもよい。
【0085】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、又は通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の取得部41及び出力部46などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0086】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0087】
プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0088】
推定装置40は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0089】
情報の通知は、本開示において説明された態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0090】
本開示において説明された各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム、及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも1つに適用されてもよい。複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0091】
本開示において説明された各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、及びフローチャートなどにおいては、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明された方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示された特定の順序に限定されない。
【0092】
情報等は、上位レイヤから下位レイヤへ出力されてもよく、又は下位レイヤから上位レイヤへ出力されてもよい。情報等は、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0093】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0094】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0095】
本開示において説明された各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
【0096】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明された実施形態に限定されないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有しない。
【0097】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0098】
ソフトウェア、命令、及び情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0099】
本開示において説明された情報、及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0100】
なお、本開示において説明された用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0101】
本開示において使用される「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0102】
本開示において説明された情報、及びパラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0103】
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示された数式等と異なる場合もある。
【0104】
本開示で使用される「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、又は「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0105】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、及び「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0106】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0107】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、又は通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0108】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的或いは論理的であってもよく、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用される場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0109】
本開示において使用される「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0110】
本開示において使用される「第1の」、及び「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、及び何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことのいずれも意味しない。
【0111】
上記の各装置の構成における「部」が、「回路」、「デバイス」等に置き換えられてもよい。
【0112】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0113】
本開示において、例えば、英語での「a」、「an」、及び「the」のように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0114】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、及び「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
10…端末装置(端末)、20,G1~G4…基地局、40…推定装置、44…判定部、45…推定部、AR…並走区間、U…ユーザ。