(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241114BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021101800
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2023-01-13
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 安昭
(72)【発明者】
【氏名】有地 瑠衣
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】助光 康大
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】間野 裕一
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-46854(JP,A)
【文献】特開2009-187050(JP,A)
【文献】特開2018-142285(JP,A)
【文献】特開2020-86712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のコンテキスト情報及び前記利用者が滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する取得部と、
コンテキスト情報と利用者の快適度又は満足度との対応関係を学習させた推定モデルに、取得された前記コンテキスト情報
を入力して、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適
度又は満足度を推定する推定部と、
前記利用者の快適
度又は満足度の推定結果に応じて、前記利用者の移転の必要性
又は可能性を判定する判定部と、
前記利用者の移転の必要性
又は可能性がある場合、前記利用者の快適
度又は満足度が前記場所よりも向上する他の場所に関する提案を行い、前記利用者の移転の必要性
又は可能性がない場合、前記場所において前記利用者の快適
度又は満足度の向上に関する提案を行う提供部と
を備え、
前記取得部は、前記コンテキスト情報として、前記利用者の位置情報、前記利用者が所在する場所の密度
、広さ、環境音
、照度に関する情報、前記利用者の属性情報
、各種履歴情報、及び前記利用者の端末装置に搭載された各センサの検知結果を示すセンサ情報を取得し、
前記推定部は、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者及び他の利用者の位置情報
又は位置履歴から、前記利用者と他の利用者とが平日の日中に前記場所である前記利用者の自宅に長時間一緒にいることを推定するとともに、前記利用者と他の利用者とが同室にいること、又は他の利用者が前記利用者のいる部屋を頻繁に出入り又は通過していることを推定
し、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者及び他の利用者の端末装置の
センサ情報から、前記利用者のいる部屋の人の密度に限らず、室内に存在する物体を含めた密度を推定
し、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者の滞在地の気象情報、及び前記利用者の端末装置のセンサ情報から、前記利用者が滞在している場所の暑さ又は寒さを推定
するとともに、花粉飛散情報
又は熱中症情報、台風、大雨、洪水、浸水に関する防災情報から、前記利用者が滞在している場所の環境の快適
度又は満足度を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者の端末装置の各センサによる壁又は仕切りの検知に関する情報から、前記場所である前記利用者の自宅に個室があること
又は、その個室が広い又は狭いことを推定するとともに、前記利用者の位置情報
又は位置履歴から、前記利用者が自宅滞在中にその個室にいる又はいないことを推定
し、自宅滞在中の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記コンテキスト情報に基づいて、前記利用者が在宅勤務をしていることを推定するとともに、前記利用者の位置情報
又は位置履歴から、在宅勤務をしていると推定された前記利用者が平日の日中に、自宅以外の場所に長時間滞在している場合、前記利用者が在宅勤務中に自宅に滞在できない又はしたくない理由が存在すると推定
し、在宅勤務中の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者の検索履歴、閲覧履歴、又は投稿履歴から、前記場所の現状に前記利用者が満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定し、
前記判定部は、
前記利用者が前記場所の現状に満足していれば、前記利用者はたとえ前記場所が狭くて騒々しく快適性
に乏しくても前記場所の現状を変更すること
を希望しないと
判定し、
前記利用者が現状に不満を抱いていれば、前記利用者はたとえ前記場所が広くて静かであり快適性
に優れていても前記場所の現状を変更すること
を希望すると
判定する
ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供部は、前記利用者の快適
度又は満足度が向上する可能性がある他の場所に関する情報を前記利用者に提供し、滞在する場所の変更を前記利用者に提案する際に、在宅勤務をしている利用者には転居を提案するだけでなくワーケーションを目的とした地方への移住を提案し、手狭なオフィスで仕事をしている個人事業主又は経営者にはより広く快適なオフィスへの移転を提案する
ことを特徴とする請求項1~6のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提供部は、前記利用者が滞在している場所の快適
度又は満足度の改善に関する情報を前記利用者に提供し、滞在する場所に手を加えることを前記利用者に提案する際に、快適に仕事ができる環境になるように、防音壁・防音材の設置、間仕切りの設置、個室の増設を提案する
ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
利用者のコンテキスト情報及び前記利用者が滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する取得工程と、
コンテキスト情報と利用者の快適度又は満足度との対応関係を学習させた推定モデルに、取得された前記コンテキスト情報
を入力して、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適
度又は満足度を推定する推定工程と、
前記利用者の快適
度又は満足度の推定結果に応じて、前記利用者の移転の必要性
又は可能性を判定する判定工程と、
前記利用者の移転の必要性
又は可能性がある場合、前記利用者の快適
度又は満足度が前記場所よりも向上する他の場所に関する提案を行い、前記利用者の移転の必要性
又は可能性がない場合、前記場所において前記利用者の快適
度又は満足度の向上に関する提案を行う提供工程と
を含み、
前記取得工程では、前記コンテキスト情報として、前記利用者の位置情報、前記利用者が所在する場所の密度
、広さ、環境音
、照度に関する情報、前記利用者の属性情報
、各種履歴情報、及び前記利用者の端末装置に搭載された各センサの検知結果を示すセンサ情報を取得し、
前記推定工程では、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者及び他の利用者の位置情報
又は位置履歴から、前記利用者と他の利用者とが平日の日中に前記場所である前記利用者の自宅に長時間一緒にいることを推定するとともに、前記利用者と他の利用者とが同室にいること、又は他の利用者が前記利用者のいる部屋を頻繁に出入り又は通過していることを推定
し、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
利用者のコンテキスト情報及び前記利用者が滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する取得手順と、
コンテキスト情報と利用者の快適度又は満足度との対応関係を学習させた推定モデルに、取得された前記コンテキスト情報
を入力して、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適
度又は満足度を推定する推定手順と、
前記利用者の快適
度又は満足度の推定結果に応じて、前記利用者の移転の必要性
又は可能性を判定する判定手順と、
前記利用者の移転の必要性
又は可能性がある場合、前記利用者の快適
度又は満足度が前記場所よりも向上する他の場所に関する提案を行い、前記利用者の移転の必要性
又は可能性がない場合、前記場所において前記利用者の快適
度又は満足度の向上に関する提案を行う提供手順と
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、
前記取得手順では、前記コンテキスト情報として、前記利用者の位置情報、前記利用者が所在する場所の密度
、広さ、環境音
、照度に関する情報、前記利用者の属性情報
、各種履歴情報、及び前記利用者の端末装置に搭載された各センサの検知結果を示すセンサ情報を取得し、
前記推定手順では、
前記コンテキスト情報のうち前記利用者及び他の利用者の位置情報
又は位置履歴から、前記利用者と他の利用者とが平日の日中に前記場所である前記利用者の自宅に長時間一緒にいることを推定するとともに、前記利用者と他の利用者とが同室にいること、又は他の利用者が前記利用者のいる部屋を頻繁に出入り又は通過していることを推定
し、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定する
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の転居の有無を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、居住中の顧客の状況から顧客の転居の必要性や可能性を判定することはできなかった。居住中の顧客の状況から顧客の転居の必要性や可能性を判定することができれば、適切に転居を推奨したり物件を案内したりすることができる。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、居住中の顧客の状況から顧客の転居の必要性や可能性を判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、利用者のコンテキスト情報及び前記利用者が滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する取得部と、コンテキスト情報と利用者の快適度又は満足度との対応関係を学習させた推定モデルに、取得された前記コンテキスト情報を入力して、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定する推定部と、前記利用者の快適度又は満足度の推定結果に応じて、前記利用者の移転の必要性又は可能性を判定する判定部と、前記利用者の移転の必要性又は可能性がある場合、前記利用者の快適度又は満足度が前記場所よりも向上する他の場所に関する提案を行い、前記利用者の移転の必要性又は可能性がない場合、前記場所において前記利用者の快適度又は満足度の向上に関する提案を行う提供部とを備え、前記取得部は、前記コンテキスト情報として、前記利用者の位置情報、前記利用者が所在する場所の密度、広さ、環境音、照度に関する情報、前記利用者の属性情報、各種履歴情報、及び前記利用者の端末装置に搭載された各センサの検知結果を示すセンサ情報を取得し、前記推定部は、前記コンテキスト情報のうち前記利用者及び他の利用者の位置情報又は位置履歴から、前記利用者と他の利用者とが平日の日中に前記場所である前記利用者の自宅に長時間一緒にいることを推定するとともに、前記利用者と他の利用者とが同室にいること、又は他の利用者が前記利用者のいる部屋を頻繁に出入り又は通過していることを推定し、前記場所に滞在している間の前記利用者の快適度又は満足度を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、居住中の顧客の状況から顧客の転居の必要性や可能性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、利用者情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、履歴情報データベースの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、快適度情報データベースの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。なお、
図1では、在宅勤務(テレワーク)中の利用者の部屋の快適性に応じた提案を行う場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と情報提供装置100とを含む。端末装置10と情報提供装置100とは、それぞれネットワークN(
図2参照)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。本実施形態では、端末装置10は、情報提供装置100と連携する。
【0012】
端末装置10は、利用者U(ユーザ)により使用されるスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者Uから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付ける。なお、画面のうち、コンテンツが表示されている領域上で行われた操作を、コンテンツに対する操作としてもよい。また、端末装置10は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
情報提供装置100は、各利用者Uの端末装置10と連携し、各利用者Uの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0014】
また、情報提供装置100は、各利用者Uの端末装置10に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、情報提供装置100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、情報提供装置100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0015】
なお、情報提供装置100は、利用者Uに関する利用者情報を取得可能である。例えば、情報提供装置100は、利用者Uの性別、年代、居住地域といった利用者Uの属性に関する情報を取得する。そして、情報提供装置100は、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)とともに利用者Uの属性に関する情報を記憶して管理する。
【0016】
また、情報提供装置100は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、情報提供装置100は、利用者Uの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、情報提供装置100は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、情報提供装置100は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、情報提供装置100は、利用者Uの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、情報提供装置100は、利用者Uのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済サーバから取得してもよい。また、情報提供装置100は、利用者Uの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。
【0017】
〔1-1.在宅労務の快適度推定及び改善提案方法〕
ここで、
図1を参照して、在宅労務の快適度推定及び改善提案方法について説明する。
【0018】
図1に示すように、情報提供装置100は、ネットワークNを介して、利用者Uの端末装置10から直接、又は各種サーバを介して間接的に、利用者Uのコンテキスト情報を収集する(ステップS1)。
【0019】
例えば、利用者Uのコンテキスト情報は、利用者Uの位置情報、利用者Uが所在する部屋の密度や広さ、環境音や照度等に関する情報を含む。また、利用者Uのコンテキスト情報は、利用者Uの属性情報や各種履歴情報等を含んでいてもよい。なお、情報提供装置100は、利用者Uのコンテキスト情報を、利用者Uの端末装置10に搭載された各センサ(Sensor:検知器)の検知結果を示すセンサ情報(センサデータ)から取得してもよいし、オンライン上の各種情報から取得してもよい。
【0020】
続いて、情報提供装置100は、利用者Uのコンテキスト情報から、利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしていることを推定する(ステップS2)。
【0021】
続いて、情報提供装置100は、利用者Uが在宅勤務をしている場合には、利用者Uが在宅勤務をしている環境の快適性(在宅労務の快適度)を推定する(ステップS3)。
【0022】
続いて、情報提供装置100は、利用者Uが快適に在宅勤務をしていない場合(在宅労務の快適度が閾値以下である場合)には、利用者Uの端末装置10に対して、利用者Uの自宅の環境を変えることを提案する(ステップS4)。
【0023】
〔1-2.在宅勤務の推定〕
例えば、情報提供装置100は、利用者Uの位置情報や位置履歴等から、利用者Uが平日の日中に自宅(又は職場以外の場所)に長時間(一定時間以上、例えば3時間以上)滞在していることを推定する。また、情報提供装置100は、利用者Uの業務に関する情報やスケジュール情報、あるいは端末装置10に搭載された各センサの検知結果を示すセンサ情報等から、利用者Uが就業していることを推定する。また、情報提供装置100は、利用者Uの属性情報等から、利用者Uが在職中である(退職していない)ことや、年収があることを推定する。そして、情報提供装置100は、これらの推定に基づいて、利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしていることを推定する。
【0024】
なお、在宅勤務(テレワーク)は一例に過ぎない。実際には、フリーランスや自営業等であってもよいし、子育て中や専業主夫・主婦等であってもよい。すなわち、利用者Uは、日中に自宅(又は職場以外の場所)に一定時間以上滞在して何らかの仕事・作業に従事している人であればよい。また、利用者Uは、在宅勤務(テレワーク)ではなく、個人や少人数で小規模(手狭)なオフィス等で仕事をしている人であってもよい。
【0025】
利用者Uの自宅は、例えばマンション・アパート等の集合住宅や、戸建住宅等である。また、自宅や小規模(手狭)なオフィス等の建物は、例えば壁、間仕切り(パーテーション)、床、天井等で仕切られた空間を有する。これらの空間は、例えば建物内の部屋や、倉庫、通路等である。なお、玄関、廊下、風呂、トイレ、車庫等を含めてもよい。すなわち、空間は、人が滞在、出入り又は通過する場所である。空間は、人が居住又は仕事をする場所であってもよく、人に利用される物品が保管される場所であってもよい。また、建物において、空間は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0026】
〔1-3.快適性の推定〕
また、情報提供装置100は、利用者Uの端末装置10の周囲の環境音に関する情報から、利用者Uの自宅滞在中(在宅勤務中)に環境音や不快音が発生していることを推定する。また、情報提供装置100は、利用者Uの端末装置10の周囲の照度に関する情報から、利用者Uの滞在している部屋が明るい/暗いことを推定する。
【0027】
また、情報提供装置100は、利用者Uの居住地の気象情報(天気予報情報)や、端末装置10のセンサ情報(気温、気圧等)から、利用者Uが仕事をしている部屋の暑さ/寒さを推定する。また、情報提供装置100は、花粉情報(花粉飛散情報)や熱中症情報、防災情報(台風、大雨、洪水、浸水等)等から、利用者Uが在宅勤務をしている環境の快適性を推定する。
【0028】
また、情報提供装置100は、利用者Uの自宅の間取りに関する情報や、端末装置10の各センサ(ミリ波センサ、カメラ等)による壁/仕切りの検知に関する情報等から、利用者Uの自宅に個室があることや、その個室が広い/狭いことを推定する。また、情報提供装置100は、利用者Uの位置情報や位置履歴等から、利用者Uが自宅滞在中(在宅勤務中)にその個室にいる/いないことを推定する。例えば、利用者Uの自宅に個室があったとしても、家族の人数に対して数が不足していて利用者Uが個室を利用できない場合もある。
【0029】
また、情報提供装置100は、利用者Uの位置情報や位置履歴等から、在宅勤務(テレワーク)をしていると推定された利用者Uが平日の日中に、自宅や職場以外の場所(店舗、レンタルオフィス、屋外等)に長時間滞在している場合、利用者Uが在宅勤務(テレワーク)中に自宅に滞在できない/したくない理由が存在すると推定してもよい。
【0030】
また、情報提供装置100は、利用者U及び他の利用者の位置情報や位置履歴等から、利用者Uと他の利用者とが平日の日中に自宅に長時間一緒にいることを推定する。このとき、情報提供装置100は、利用者Uと他の利用者とが同室にいることを推定してもよい。あるいは、情報提供装置100は、他の利用者が利用者Uのいる部屋(リビング・ダイニング等)を頻繁に出入り又は通過していることを推定してもよい。すなわち、情報提供装置100は、利用者Uのいる部屋の人の密度を推定する。このとき、情報提供装置100は、時間帯ごとに、利用者Uのいる部屋の人の密度を推定してもよい。
【0031】
また、情報提供装置100は、端末装置10の各センサ(ミリ波センサ、カメラ等)により、利用者Uのいる部屋の人の密度に限らず、室内に存在する物体(家具や家電、荷物等)を含めた密度を推定してもよい。
【0032】
また、情報提供装置100は、利用者U及び他の利用者の位置情報や位置履歴等、又は利用者U及び他の利用者の端末装置間の距離や相互検知に関する情報等から、利用者Uと他の利用者とが頻繁に接近していることを推定してもよい。このとき、情報提供装置100は、端末装置10のセンサ情報(ジャイロ情報等)等から、他の利用者が接近したときに利用者Uが立ち上がったり移動したりしていることを推定してもよい。
【0033】
そして、情報提供装置100は、上記の推定に基づいて、利用者Uが在宅勤務をしている環境の快適性(在宅労務の快適度)を推定する。あるいは、情報提供装置100は、上記の推定に基づいて、利用者Uが在宅勤務をしている環境の困難性(在宅労務の不快度)を推定してもよい。なお、情報提供装置100は、快適性や困難性をスコア化して数値(快適度、不快度)で表現してもよい。
【0034】
また、情報提供装置100は、利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしている場所(部屋)の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定する。もし、利用者Uが部屋の現状に満足していれば、利用者Uはたとえ部屋が狭くて騒々しく快適性が乏しくても部屋の現状を変更することをあまり希望しないと推測される。反対に、利用者Uが現状に不満を抱いていれば、利用者Uはたとえ部屋が広くて静かであり快適性が優れていても部屋の現状を変更することを強く希望すると推測される。
【0035】
例えば、情報提供装置100は、利用者Uが不動産・住宅情報サイトや戸建て・マンション等の広告、地方移住やワーケーション(ワーク+バケーション)に関するサイトや広告、あるいはリフォーム・個室・防音壁等に関するサイトや広告を頻繁に閲覧している場合(頻度が閾値以上である場合)、又はこれらの情報を検索エンジン等で頻繁に検索している場合に、利用者Uが部屋の現状に不満を抱いていると推定する。利用者Uが部屋の現状に不満を抱いていると推定してもよい。反対に、これらの行動を取っていない場合には利用者Uが部屋の現状に満足していると推定する。また、情報提供装置100は、利用者UのSNSへの投稿内容等から、利用者Uが部屋の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定してもよい。
【0036】
また、情報提供装置100は、利用者U自身に、当該利用者Uが在宅勤務をしている部屋の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかを評価させてもよい。例えば、情報提供装置100は、利用者Uに対して、当該利用者Uが部屋の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかをアンケート等で問い合わせて、その回答の内容に応じて、利用者Uが部屋の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定する。このとき、利用者Uが部屋の現状に満足しているか、あるいは不満を抱いているかについては、単純に「満足/不満足」(Yes/No)で表現するようにしてもよいし、5段階評価等で表現するようにしてもよい。すなわち、情報提供装置100は、利用者Uの部屋の現状に対する満足や不満をスコア化して、利用者Uの部屋の現状に対する満足度/不満度として表現するようにしてもよい。
【0037】
〔1-4.環境改善の提案〕
また、情報提供装置100は、利用者Uが快適に在宅勤務をしていない場合には、利用者Uの端末装置10に対して、転居の推奨や物件の紹介・案内、その他の転居に関する情報提供等を行う。なお、情報提供装置100は、在宅勤務をしている利用者に転居を推奨するだけでなく、手狭なオフィスで仕事をしている個人事業主(又は経営者)等により広く快適なオフィスへの移転を推奨してもよい。また、情報提供装置100は、単なる転居ではなく、ワーケーションを目的とした地方への移住等を提案してもよい。
【0038】
また、情報提供装置100は、在宅勤務をしている利用者Uの自宅を、快適に仕事ができる環境になるようにリフォーム(改装)することを提案してもよい。例えば、防音壁・防音材の設置、間仕切り(パーテーション)の設置、個室の増設等を提案してもよい。
【0039】
また、情報提供装置100は、利用者Uが在宅勤務をしている環境の快適性(在宅労務の快適度)に応じた提案や情報提供をしてもよい。例えば、情報提供装置100は、在宅労務の快適度の度合いに応じて、異なる提案や情報提供をしてもよい。
【0040】
〔2.情報処理システムの構成例〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報提供装置100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10と情報提供装置100とを含む。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0041】
また、
図2に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、
図2では、図示の簡略化のため、端末装置10を1台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、2台以上であってもよい。
【0042】
端末装置10は、利用者Uによって使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス等である。
【0043】
また、かかる端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、情報提供装置100と通信することができる。
【0044】
情報提供装置100は、例えばPCやサーバ装置、あるいはメインフレーム又はワークステーション等である。なお、情報提供装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0045】
〔3.端末装置の構成例〕
次に、
図3を用いて、端末装置10の構成について説明する。
図3は、端末装置10の構成例を示す図である。
図3に示すように、端末装置10は、通信部11と、表示部12と、入力部13と、測位部14と、センサ部20と、制御部30(コントローラ)と、記憶部40とを備える。
【0046】
(通信部11)
通信部11は、ネットワークN(
図2参照)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、情報提供装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)やアンテナ等によって実現される。
【0047】
(表示部12)
表示部12は、位置情報等の各種情報を表示する表示デバイスである。例えば、表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)である。また、表示部12は、タッチパネル式のディスプレイであるが、これに限定されるものではない。
【0048】
(入力部13)
入力部13は、利用者Uから各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、入力部13は、文字や数字等を入力するためのボタン等を有する。なお、入力部13は、入出力ポート(I/O port)やUSB(Universal Serial Bus)ポート等であってもよい。また、表示部12がタッチパネル式のディスプレイである場合、表示部12の一部が入力部13として機能する。また、入力部13は、利用者Uから音声入力を受け付けるマイク等であってもよい。マイクはワイヤレスであってもよい。
【0049】
(測位部14)
測位部14は、GPS(Global Positioning System)の衛星から送出される信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて、自装置である端末装置10の現在位置を示す位置情報(例えば、緯度及び経度)を取得する。すなわち、測位部14は、端末装置10の位置を測位する。なお、GPSは、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例に過ぎない。
【0050】
また、測位部14は、GPS以外にも、種々の手法により位置を測位することができる。例えば、測位部14は、位置補正等のための補助的な測位手段として、下記のように、端末装置10の様々な通信機能を利用して位置を測位してもよい。
【0051】
(Wi-Fi測位)
例えば、測位部14は、端末装置10のWi-Fi(登録商標)通信機能や、各通信会社が備える通信網を利用して、端末装置10の位置を測位する。具体的には、測位部14は、Wi-Fi通信等を行い、付近の基地局やアクセスポイントとの距離を測位することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0052】
(ビーコン測位)
また、測位部14は、端末装置10のBluetooth(登録商標)機能を利用して位置を測位してもよい。例えば、測位部14は、Bluetooth(登録商標)機能によって接続されるビーコン(beacon)発信機と接続することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0053】
(地磁気測位)
また、測位部14は、予め測定された構造物の地磁気のパターンと、端末装置10が備える地磁気センサとに基づいて、端末装置10の位置を測位する。
【0054】
(RFID測位)
また、例えば、端末装置10が駅改札や店舗等で使用される非接触型ICカードと同等のRFID(Radio Frequency Identification)タグの機能を備えている場合、もしくはRFIDタグを読み取る機能を備えている場合、端末装置10によって決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。測位部14は、かかる情報を取得することで、端末装置10の位置を測位してもよい。また、位置は、端末装置10が備える光学式センサや、赤外線センサ等によって測位されてもよい。
【0055】
測位部14は、必要に応じて、上述した測位手段の一つ又は組合せを用いて、端末装置10の位置を測位してもよい。
【0056】
(センサ部20)
センサ部20は、端末装置10に搭載又は接続される各種のセンサを含む。なお、接続は、有線接続、無線接続を問わない。例えば、センサ類は、ウェアラブルデバイスやワイヤレスデバイス等、端末装置10以外の検知装置であってもよい。
図3に示す例では、センサ部20は、加速度センサ21と、ジャイロセンサ22と、気圧センサ23と、気温センサ24と、音センサ25と、光センサ26と、磁気センサ27と、画像センサ(カメラ)28とを備える。
【0057】
なお、上記した各センサ21~28は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、センサ部20は、各センサ21~28のうちの一部を備える構成であってもよいし、各センサ21~28に加えてあるいは代えて、湿度センサ等その他のセンサを備えてもよい。
【0058】
加速度センサ21は、例えば、3軸加速度センサであり、端末装置10の移動方向、速度、及び、加速度等の端末装置10の物理的な動きを検知する。ジャイロセンサ22は、端末装置10の角速度等に基づいて3軸方向の傾き等の端末装置10の物理的な動きを検知する。気圧センサ23は、例えば端末装置10の周囲の気圧を検知する。
【0059】
端末装置10は、上記した加速度センサ21やジャイロセンサ22、気圧センサ23等を備えることから、これらの各センサ21~23等を利用した歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead-Reckoning)等の技術を用いて端末装置10の位置を測位することが可能になる。これにより、GPS等の測位システムでは取得することが困難な屋内での位置情報を取得することが可能になる。
【0060】
例えば、加速度センサ21を利用した歩数計により、歩数や歩くスピード、歩いた距離を算出することができる。また、ジャイロセンサ22を利用して、利用者Uの進行方向や視線の方向、体の傾きを知ることができる。また、気圧センサ23で検知した気圧から、利用者Uの端末装置10が存在する高度やフロアの階数を知ることもできる。
【0061】
気温センサ24は、例えば端末装置10の周囲の気温を検知する。音センサ25は、例えば端末装置10の周囲の音を検知する。光センサ26は、端末装置10の周囲の照度を検知する。磁気センサ27は、例えば端末装置10の周囲の地磁気を検知する。画像センサ28は、端末装置10の周囲の画像を撮像する。
【0062】
上記した気圧センサ23、気温センサ24、音センサ25、光センサ26及び画像センサ28は、それぞれ気圧、気温、音、照度を検知したり、周囲の画像を撮像したりすることで、端末装置10の周囲の環境や状況等を検知することができる。また、端末装置10の周囲の環境や状況等から、端末装置10の位置情報の精度を向上させることが可能になる。
【0063】
(制御部30)
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部30は、送信部31と、受信部32と、処理部33とを備える。
【0064】
(送信部31)
送信部31は、例えば入力部13を用いて利用者Uにより入力された各種情報や、端末装置10に搭載又は接続された各センサ21~28によって検知された各種情報、測位部14によって測位された端末装置10の位置情報等を、通信部11を介して情報提供装置100へ送信することができる。
【0065】
(受信部32)
受信部32は、通信部11を介して、情報提供装置100から提供される各種情報や、情報提供装置100からの各種情報の要求を受信することができる。
【0066】
(処理部33)
処理部33は、表示部12等を含め、端末装置10全体を制御する。例えば、処理部33は、送信部31によって送信される各種情報や、受信部32によって受信された情報提供装置100からの各種情報を表示部12へ出力して表示させることができる。
【0067】
(記憶部40)
記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部40には、各種プログラムや各種データ等が記憶される。
【0068】
〔4.情報提供装置の構成例〕
次に、
図4を用いて、実施形態に係る情報提供装置100の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る情報提供装置100の構成例を示す図である。
図4に示すように、情報提供装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0069】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(
図2参照)と有線又は無線で接続される。
【0070】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図4に示すように、記憶部120は、利用者情報データベース121と、履歴情報データベース122と、快適性情報データベース123とを有する。
【0071】
(利用者情報データベース121)
利用者情報データベース121は、利用者Uに関する利用者情報を記憶する。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの属性等の種々の情報を記憶する。
図5は、利用者情報データベース121の一例を示す図である。
図5に示した例では、利用者情報データベース121は、「利用者ID(Identifier)」、「年齢」、「性別」、「自宅」、「勤務地」、「興味」といった項目を有する。
【0072】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。なお、「利用者ID」は、利用者Uの連絡先(電話番号、メールアドレス等)であってもよいし、利用者Uの端末装置10を識別するための識別情報であってもよい。
【0073】
また、「年齢」は、利用者IDにより識別される利用者Uの年齢を示す。なお、「年齢」は、利用者Uの具体的な年齢(例えば35歳など)を示す情報であってもよいし、利用者Uの年代(例えば30代など)を示す情報であってもよい。あるいは、「年齢」は、利用者Uの生年月日を示す情報であってもよいし、利用者Uの世代(例えば80年代生まれなど)を示す情報であってもよい。また、「性別」は、利用者IDにより識別される利用者Uの性別を示す。
【0074】
また、「自宅」は、利用者IDにより識別される利用者Uの自宅の位置情報を示す。なお、
図5に示す例では、「自宅」は、「LC11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「自宅」は、地域名や住所であってもよい。
【0075】
また、「勤務地」は、利用者IDにより識別される利用者Uの勤務地(学生の場合は学校)の位置情報を示す。なお、
図5に示す例では、「勤務地」は、「LC12」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「勤務地」は、地域名や住所であってもよい。
【0076】
また、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uの興味を示す。すなわち、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uが関心の高い対象を示す。例えば、「興味」は、利用者Uが検索エンジンに入力して検索した検索クエリ(キーワード)等であってもよい。なお、
図5に示す例では、「興味」は、各利用者Uに1つずつ図示するが、複数であってもよい。
【0077】
例えば、
図5に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uの年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、自宅が「LC11」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、勤務地が「LC12」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「スポーツ」に興味があることを示す。
【0078】
ここで、
図5に示す例では、「U1」、「LC11」及び「LC12」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「LC11」及び「LC12」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0079】
なお、利用者情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの端末装置10に関する各種情報を記憶してもよい。また、利用者情報データベース121は、利用者Uのデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ジオグラフィック(地理学的属性)、ベヘイビオラル(行動学的属性)等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。
【0080】
(履歴情報データベース122)
履歴情報データベース122は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。
図6は、履歴情報データベース122の一例を示す図である。
図6に示した例では、履歴情報データベース122は、「利用者ID」、「位置履歴」、「検索履歴」、「閲覧履歴」、「購買履歴」、「投稿履歴」といった項目を有する。
【0081】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「位置履歴」は、利用者Uの位置や移動の履歴である位置履歴を示す。また、「検索履歴」は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を示す。また、「閲覧履歴」は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴を示す。また、「購買履歴」は、利用者Uによる購買の履歴である購買履歴を示す。また、「投稿履歴」は、利用者Uによる投稿の履歴である投稿履歴を示す。なお、「投稿履歴」は、利用者Uの所有物に関する質問を含んでいてもよい。
【0082】
例えば、
図6に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「位置履歴#1」の通りに移動し、「検索履歴#1」の通りに検索し、「閲覧履歴#1」の通りにコンテンツを閲覧し、「購買履歴#1」の通りに所定の店舗等で所定の商品等を購入し、「投稿履歴」の通りに投稿したことを示す。
【0083】
ここで、
図6に示す例では、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購買履歴#1」及び「投稿履歴#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購買履歴#1」及び「投稿履歴#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0084】
なお、履歴情報データベース122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、履歴情報データベース122は、利用者Uの所定のサービスの利用履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの実店舗の来店履歴又は施設の訪問履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの端末装置10を用いた決済(電子決済)での決済履歴等を記憶してもよい。
【0085】
(快適性情報データベース123)
快適性情報データベース123は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。
図7は、快適性情報データベース123の一例を示す図である。
図7に示した例では、快適性情報データベース123は、「利用者ID」、「滞在場所」、「広さ」、「密度」、「環境音」、「立地環境」、「適合度」といった項目を有する。
【0086】
「利用者ID」は、在宅勤務(テレワーク)等をしている利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「滞在場所」は、在宅勤務等をしている利用者Uが滞在している場所に関する情報を示す。例えば、利用者Uが自宅に滞在している場合、居住形態(持ち家/賃貸、戸建て/マンション)、個室の有無や利用の可否、滞在している部屋の位置(1階、2階、3階以上)等の情報を示す。また、利用者Uが滞在している部屋と他の部屋(隣室、リビング、台所、トイレ、洗面所、風呂場等)との位置関係に関する情報を含めてもよい。また、利用者Uが自宅以外に日中(勤務時間中)滞在しているオフィスビルの一室、レストランや喫茶店等の店舗、レンタルオフィス等の場所に関する情報であってもよい。
【0087】
また、「広さ」は、利用者Uが滞在している部屋の広さを示す。広さは、専有面積を畳数や平米数で表現してもよいし、間取り(ワンルーム、1K~4LDK)で表現してもよい。また、「密度」は、利用者Uと同じ部屋にいる人や物の密度を示す。なお、単位時間あたりに利用者Uが滞在している部屋を他人が出入り/通過する頻度等を示してもよい。
【0088】
また、「環境音」は、利用者Uが滞在している部屋において利用者Uが感じる環境音の大きさや種別等を示す。環境音は、利用者Uの滞在場所の室内や屋内に限らず、屋外で発生した音も含まれる。なお、利用者Uが不快に感じる音でなければ対象外としてもよい。
【0089】
また、「立地環境」は、利用者Uの滞在している部屋の環境音以外の室内環境や、利用者Uの滞在場所の周辺環境等を示す。例えば、部屋の明るさ(照度)等の情報を含んでいてもよいし、近隣のコンビニエンスストアやスーバー等の店舗や鉄道駅やバス停等の位置や距離等に関する情報を含んでいてもよい。また、住宅街/オフィス街、都心/地方、山・川・海辺の近く等の情報を含んでいてもよい。また、立地環境は、利用者Uの滞在場所の所在地に関する情報を含んでいてもよい。
【0090】
また、「適合度」は、利用者Uの滞在している部屋が利用者Uと適合(マッチ)している度合いを示す。適合度は、利用者Uの好みや行動から機械学習等の手法で推定されたものであってもよいし、利用者U自身による評価であってもよい。例えば、適合度は、利用者U自身が、自身の滞在している部屋にどの程度満足しているかを入力(又は回答)したものであってもよい。
【0091】
例えば、
図7に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「滞在場所#1」の部屋に滞在し、その部屋の広さは「広さ#1」、人や物の密度は「密度#1」であり、「環境音#1」の大きさの環境音が発生しており、「立地環境#1」の環境にあり、利用者Uとその部屋との適合の度合いは「適合度#1」であることを示す。
【0092】
ここで、
図7に示す例では、「U1」、「滞在場所#1」、「広さ#1」、「密度#1」、「環境音#1」、「立地環境#1」及び「適合度#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「滞在場所#1」、「広さ#1」、「密度#1」、「環境音#1」、「立地環境#1」及び「適合度#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0093】
なお、快適性情報データベース123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、快適性情報データベース123は、利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしているか否かの判定結果(推定結果)に関する情報等を記憶してもよい。また、快適性情報データベース123は、利用者Uが滞在場所に滞在している時間帯や期間等を記憶してもよい。また、快適性情報データベース123は、利用者Uと同じ滞在場所に滞在している他の利用者に関する情報等を記憶してもよい。また、また、快適性情報データベース123は、利用者Uに適合する滞在場所の候補(適合度が高いと推定される他の場所)に関する情報等を記憶してもよい。
【0094】
(制御部130)
図4に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報提供装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図4に示す例では、制御部130は、取得部131と、推定部132と、提供部133とを有する。
【0095】
(取得部131)
取得部131は、利用者Uにより入力された検索クエリを取得する。例えば、取得部131は、利用者Uが検索エンジン等に検索クエリを入力してキーワード検索を行った際に、通信部110を介して、当該検索クエリを取得する。
【0096】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uに関する利用者情報を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)や、利用者Uの位置情報、利用者Uの属性情報等を取得する。また、取得部131は、利用者Uのユーザ登録時に、利用者Uを示す識別情報や、利用者Uの属性情報等を取得してもよい。そして、取得部131は、利用者情報を、記憶部120の利用者情報データベース121に登録する。
【0097】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報を取得する。そして、取得部131は、各種の履歴情報を、記憶部120の履歴情報データベース122に登録する。
【0098】
さらに、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uが滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する。例えば、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uの端末装置に搭載されたセンサの検知結果を取得する。また、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uのオンライン上での行動を示す履歴情報を取得する。また、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uが滞在している場所の詳細に関する情報を取得する。
【0099】
(推定部132)
推定部132は、コンテキスト情報に基づいて、場所に滞在している間の利用者Uの快適性を推定する。また、推定部132は、コンテキスト情報に基づいて、場所に滞在している間の利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしていることを推定する。また、推定部132は、場所の現状に利用者Uが満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定する。
【0100】
このとき、推定部132は、利用者Uの現在の部屋に対する快適度や適合度、満足度/不満度といった評価値(スコア)に関する機械学習を行うようにしてもよい。なお、評価値は、部屋の広さ、密度、騒音、個室か否かといった項目ごとに求めてもよい。例えば、推定部132は、利用者Uのコンテキスト情報と利用者Uの現在の部屋に対する評価値とをデータセットとして、ニューラルネットワークによる機械学習の手法等を用いて学習モデルを構築する。そして、推定部132は、構築された学習モデルに利用者Uのコンテキスト情報を入力して、学習モデルからの出力として利用者Uの現在の部屋に対する評価値を取得する。ここでは、推定部132は、例えばRNN(Recurrent Neural Network)やLSTM(Long short-term memory)等を用いた機械学習を経て生成される評価値推定モデルに利用者Uのコンテキスト情報を入力し、評価値推定モデルからの出力として利用者Uの現在の部屋に対する評価値を取得する。
【0101】
なお、RNNやLSTMは、アテンション(Attention)の仕組みに基づくニューラルネットワークであってもよい。アテンションは、文章のような前後の並びが重要なデータを扱うことができる。また、推定部132は、同様の自然言語処理モデルを用いてもよい。このようなモデルを用いて、利用者Uの様々なコンテキスト情報から評価値を生成することにより、より情報の順序に重点を置いた評価値の生成を実現することができる。
【0102】
(提供部133)
提供部133は、利用者Uの快適性の推定結果に応じて利用者Uの快適性の向上に関する提案を行う。例えば、提供部133は、利用者Uの快適性が向上する可能性がある他の場所に関する情報を利用者Uに提供し、滞在する場所の変更を利用者Uに提案する。また、提供部133は、利用者Uが滞在している場所の快適性の改善に関する情報を利用者Uに提供し、滞在する場所に手を加えることを利用者Uに提案する。
【0103】
〔5.処理手順〕
次に、
図8を用いて実施形態に係る情報提供装置100による処理手順について説明する。
図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、情報提供装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0104】
図8に示すように、情報提供装置100の取得部131は、通信部110を介して、利用者Uが滞在している部屋に関するコンテキスト情報を取得する(ステップS101)。例えば、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uの端末装置に搭載されたセンサの検知結果や、利用者Uのオンライン上での行動を示す履歴情報、利用者Uが滞在している部屋の詳細に関する情報等を取得する。
【0105】
続いて、情報提供装置100の推定部132は、コンテキスト情報に基づいて、部屋に滞在している間の利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしていることを推定する(ステップS102)。
【0106】
続いて、情報提供装置100の推定部132は、コンテキスト情報に基づいて、部屋に滞在している間の利用者Uの快適性を推定する(ステップS103)。
【0107】
続いて、情報提供装置100の推定部132は、部屋の現状に利用者Uが不満を抱いているか否かを推定する(ステップS104)。このとき、情報提供装置100の提供部133は、部屋の現状に利用者Uが不満を抱いていない場合(ステップS104:No)、何もせず、一連の処理を終了する。
【0108】
続いて、情報提供装置100の提供部133は、通信部110を介して、部屋の現状に利用者Uが不満を抱いている場合(ステップS104:Yes)、利用者Uの快適性の推定結果に応じて利用者Uの部屋の快適性の向上に関する提案を行う(ステップS105)。例えば、提供部133は、利用者Uの端末装置10に対して、転居の推奨や物件の紹介・案内、その他の転居に関する情報提供等を行う。あるいは、提供部133は、在宅勤務をしている利用者Uの自宅を、快適に仕事ができる環境になるようにリフォーム(改装)することを提案する。
【0109】
〔6.変形例〕
上述した端末装置10及び情報提供装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0110】
上記の実施形態において、情報提供装置100が実行している処理の一部又は全部は、実際には、端末装置10が実行してもよい。例えば、スタンドアローン(Stand-alone)で(端末装置10単体で)処理が完結してもよい。この場合、端末装置10に、上記の実施形態における情報提供装置100の機能が備わっているものとする。また、上記の実施形態では、端末装置10は情報提供装置100と連携しているため、利用者Uから見れば、情報提供装置100の処理も端末装置10が実行しているように見える。すなわち、他の観点では、端末装置10は、情報提供装置100を備えているともいえる。
【0111】
また、上記の実施形態において、自宅や小規模(手狭)なオフィス等の建物を例に説明しているが、実際にはこれらの例に限定されない。例えば、建物は、企業等のオフィスビル、店舗等の商業施設、ホテル等の宿泊施設、学校等の教育機関、病院等の医療機関、研究所等の研究機関、工場等の産業プラント、配送センター等の物流拠点等であってもよい。また、大型商業施設(ショッピングセンター/アウトレットモール/地下街)、娯楽施設(テーマパーク/遊園地/遊戯場/動物園/水族館/プール/入浴施設)、文化施設(ホール/劇場/図書館/美術館/博物館)、複合施設、スポーツ施設、寺社仏閣、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)、又は鉄道駅や道の駅、空港、港湾(乗船場)等であってもよい。
【0112】
また、利用者Uが日中滞在している空間は、例えば建物内の部屋等に限らず、車両や船舶、航空機等の客室(キャビン)等であってもよい。自家用車(マイカー)を個室代わりに使用する人も存在する。すなわち、空間は、住宅等の屋内で人が生活する空間に限らず、自動車や高速バス、鉄道、大型客船、飛行機等で乗員・乗客が過ごす空間であってもよい。言い換えれば、空間は、建物や移動体の内部の居住空間であってもよい。
【0113】
また、利用者Uの端末装置10は、建物に限らず、観光スポット、公園、水辺、キャンプ場、森林、トンネルや洞穴等の空間に存在していてもよい。すなわち、空間は、屋内に限らず、屋外であってもよい。なお、屋外にも、壁や建物その他の構造物、自然物等の障害物で仕切られた空間は存在する。また、空間は、仕切られた空間に限らず、ある地点を中心とした所定範囲内の空間であってもよい。
【0114】
〔7.効果〕
上述してきたように、本願に係る情報処理装置(端末装置10及び情報提供装置100)は、利用者Uが滞在している場所に関するコンテキスト情報を取得する取得部131と、コンテキスト情報に基づいて、場所に滞在している間の利用者Uの快適性を推定する推定部132と、利用者Uの快適性の推定結果に応じて利用者Uの快適性の向上に関する提案を行う提供部133とを備える。
【0115】
例えば、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uの端末装置に搭載されたセンサの検知結果を取得する。
【0116】
また、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uのオンライン上での行動を示す履歴情報を取得する。
【0117】
また、取得部131は、コンテキスト情報として、利用者Uが滞在している場所の詳細に関する情報を取得する。
【0118】
また、推定部132は、コンテキスト情報に基づいて、場所に滞在している間の利用者Uが在宅勤務(テレワーク)をしていることを推定する。
【0119】
また、推定部132は、場所の現状に利用者Uが満足しているか、あるいは不満を抱いているかを推定する。
【0120】
また、提供部133は、利用者Uの快適性が向上する可能性がある他の場所に関する情報を利用者Uに提供し、滞在する場所の変更を利用者Uに提案する。
【0121】
また、提供部133は、利用者Uが滞在している場所の快適性の改善に関する情報を利用者Uに提供し、滞在する場所に手を加えることを利用者Uに提案する。
【0122】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、居住中の顧客の状況から顧客の転居の必要性や可能性を判定することができる。
【0123】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る端末装置10や情報提供装置100は、例えば
図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報提供装置100を例に挙げて説明する。
図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0124】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0125】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0126】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0127】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0128】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0129】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0130】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0131】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0132】
例えば、コンピュータ1000が情報提供装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0133】
〔9.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0134】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0135】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0136】
例えば、上述した情報提供装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0137】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0138】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0139】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 情報提供装置
110 通信部
120 記憶部
121 利用者情報データベース
122 履歴情報データベース
123 快適性情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 提供部