(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ルーバーパネル体およびルーバーパネル体の付いた構造物
(51)【国際特許分類】
E01F 7/02 20060101AFI20241114BHJP
E04F 10/08 20060101ALI20241114BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E01F7/02
E04F10/08
E04G21/32 B
(21)【出願番号】P 2021116410
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591211917
【氏名又は名称】川田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政則
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智史
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-001020(JP,U)
【文献】特開平10-237829(JP,A)
【文献】特開2006-070657(JP,A)
【文献】実開昭56-145555(JP,U)
【文献】実開昭50-015510(JP,U)
【文献】国際公開第2010/089324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/02
E04F 10/08
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付金具とルーバー材を備え、
取付金具は、抱え込み部と当接部と溝部を備えており、
抱え込み部は、ルーバー材を側方から抱え込んでおり、
当接部は、ルーバー材の裏面と当接しており、
溝部は、溝部の底部で下地材に固定するものであり、
ルーバー材は、抱え込み部に固定されている
ルーバーパネル体。
【請求項2】
請求項1のルーバーパネル体を取り付けた構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽体に関するものである。例えば、橋梁、鉄道や高速道路などの高架に取り付けるルーバーパネル体およびルーバーパネル体の付いた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーバーパネル体は、内側を見えにくくしながら通風や採光を確保するため様々な構造物に取り付けられている。たとえば、橋梁の下面や鉄道や高速道路などの高架(以下、これらを併せて「高架」という。)に設置した足場などの外観を整えるために使われている。
ところが、これまでのルーバーパネル体は、設置する作業効率が悪かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三信金属工業株式会社、「橋梁恒久足場用 アルミ押出形材ルーバーパネル ノンスルーPS」、URL:https://www.sanshinkinzoku.co.jp/dcms_media/other/bro_nonthroughfloor.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置作業性の向上したルーバーパネル体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、取付金具とルーバー材を備え、取付金具は、抱え込み部と当接部と溝部を備えており、抱え込み部は、ルーバー材を側方から抱え込んでおり、当接部は、ルーバー材の裏面と当接しており、溝部は、溝部の底部で下地材に固定するものであり、ルーバー材は、抱え込み部に固定されているルーバーパネル体とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ルーバー材の取り付け作業効率が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ルーバーパネル体の正面図、正面図中のA-A間断面図、B-B間断面図、C-C間断面図及びD-D間断面図、矩形範囲Eの拡大図からなる下地材と支持部材の説明図。
【
図3】実施例の概略図。(A)高架の断面図。(B)高架の側面図。
【
図4】高架の横断面図および横断面図に示した枠aの拡大図。
【
図5】ルーバー材の側面図。(A) ルーバー材A型の側面図。(B) ルーバー材B型の側面図。
【
図7】ルーバー材A型の取付例。(A)対比基準(標準)の取付例を示す側面図。(B)取り付け間隔(ピッチ)を広げる取付例を示す側面図。(C)取り付け間隔(ピッチ)を狭める取付例を示す側面図。
【
図8】外観一致の説明図。(A) ルーバー材A型の取付例。(B) ルーバー材B型の取付例。(C) ルーバー材C型の取付例。
【
図9】取り付け間隔(ピッチ)変更の説明図。(A)ルーバー材A型を用い、取り付け間隔(ピッチ)を80mmとし通風・採光部を20mmとした場合の取付例。(B)ルーバー材C型を用い、取り付け間隔(ピッチ)を80mmと通風・目隠し部とした場合の取付例。
【
図10】取り付け間隔(ピッチ)変更の説明図。(A)ルーバー材A型を用い、取り付け間隔(ピッチ)を60mmとし通風・目隠し部とした場合の取付例。(B)ルーバー材B型を用い、取り付け間隔(ピッチ)を60mmとし閉塞部とした場合の取付例。
【
図11】融通性の説明図。(A)対比基準(ルーバー材A型)の側面図。(B)取り付け間隔(ピッチ)を広げたルーバーパネル体の側面図。(C)取り付け間隔(ピッチ)を狭めたルーバーパネル体の側面図。(D)型を変更(ルーバー材C型)したルーバーパネル体の側面図。(E)高さで取り付け間隔(ピッチ)を使い分けたルーバーパネル体の側面図。(F)高さで型を使い分けたルーバーパネル体の側面図。
【
図12】ルーバーパネル体を上下で使分けする説明図。(A)上部:ルーバー材A型の通風・採光部/下部:ルーバー材C型の通風・目隠し部。(B)上部:ルーバー材A型の通風・目隠し部/下部:ルーバー材B型の閉塞部。
【
図13】ルーバーパネル体を左右で使分けする説明図。(A)左部:ルーバー材C型の閉塞部/右部:ルーバー材A型の通風・採光部。(B)左部:ルーバー材B型の閉塞部/右部:ルーバー材A型の通風・目隠し部。
【
図15】ルーバー材D型の取り付け説明図。(A)ルーバーパネル体と取付金具の説明図。(B)
図15(A)中の枠a内の拡大図。(C)
図15(A)のA-A間断面図。
【
図16】ルーバー材D型をパネル板部に取り付けた閉塞部となる取付例。
【
図18】ルーバー材E型(8E)の下地材への取り付け説明図。
【
図20】ルーバー材D型とルーバー材E型の使い分けの説明図。(A)上下で使い分ける例(B)左右で使い分ける例
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例を説明する前に、本発明の用語の説明について説明する。
[ルーバー材]
ルーバーとは、細長い羽板(はいた)を、間隔を空けて平行に並べたものである。日除け・通風・換気・目隠し・閉塞等を目的として様々な場所に使われる。
ルーバー材4とは、ルーバーを構成する単位部材をいう。ルーバーは、一般的に細長い羽板が分離でき、細長い羽板の一枚一枚が構成単位となるため、羽板の一枚一枚をルーバー材4という。
図5(A)のルーバー材A型(4A)、
図5(B)のルーバー材B型(4B)、
図6のルーバー材C型(4C)、
図14のルーバー材D型(8D)は、
図17のルーバー材E型(8E)は、細長い羽板がルーバーを構成する単位部材となっている。それぞれ一枚一枚がルーバー材4となる。
【0009】
[支持部材]
図1は、ルーバーパネル体2の正面図、正面図中のA-A間断面図、B-B間断面図、C-C間断面図及びD-D間断面図、矩形範囲E拡大図からなる下地材95と支持部材3の説明図である。ルーバー材4の代表例としてルーバー材A型(4A)を説明に用いており、
図1の説明は実施例1のルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)に共通するものである。
単位部材である複数のルーバー材4を支持部材3に連結して、そのまま下地材95に取り付けられるようユニット化したものがルーバーパネル体2である。
図1の正面図およびA-A間断面図は、中骨材86の役割を説明する図面である。複数のルーバー材4が中骨材86で連結されて、ルーバーパネル体2となっているため、中骨材86は支持部材3の役割を果たしている。ルーバーパネル体2は、工場等で、設計通りの間隔にルーバー材4を配置し、中骨材86を用いてビス861止めすることで組み立てられる。
支持部材3として中骨材86を例示したが、ルーバー材4を所定間隔で取り付けることができ、ルーバーパネル体2することができるのであれば、支持部材3は、形状、構造、取り付け位置、数を問わない。そのため、様々な部材が他の機能も有しながら支持部材3の役割を果たしたりする。
後述の
図15に示すルーバー材D型(8D)にも、中骨材86が支持部材3として使われている。
さらに、
図15(A)の取付金具9は、ルーバーパネル体2を下地材95に取り付ける機能を果たすが、
図15(C)のように一枚一枚のルーバー材D型(8D)を連結しユニット化する機能も併せて有しているので支持部材3ともなる。
【0010】
図17は、ルーバー材E型(8E)の説明図である。
ルーバー材E型(8E)は、一のパネル板部87にルーバー材4に模した複数の傾斜面部82の一枚一枚を内側で一体に繋ぐものである。ルーバー材E型(8E)の場合は、複数の傾斜面部82を一のパネル板部87に一体成形されているため、パネル板部87が支持部材3として機能する。ルーバー材E型(8E)は、パネル板部87に一体成形されているためルーバーパネル体2でもある。
【0011】
[下地材]
図1の正面図およびC-C間断面図を用いて、下地材95とルーバー材4の取り付け関係を説明する。
下地材95は、ルーバーパネル体2を支える部材であり、風雨に晒されるルーバー材4をしっかりと支えるため強固な部材である必要がある。下地材95は、H型鋼、山形鋼などが好ましい。ルーバーパネル体2は、予め所定間隔となるようにルーバー材4が中骨材86(支持部材)で組み立てられたものであるので、下地材95にルーバーパネル体2の端部を当てて、一枚一枚のルーバー材4を締結材46で締結して行くことで、取り付けが完了する。
ルーバー材4は、多数あるため、一枚一枚を所定間隔毎に下地材95に締結するのに時間がかかる。予め設計通りの間隔に並ぶように中骨材86(支持部材)でルーバーパネル体2に組み立てられているため、作業効率がよい。
【0012】
[横片部]
横片部は本発明の特徴点の一つである。
図1の矩形範囲Eの拡大図に図示されているように、傾斜面部41の下端8bに設けた下部横片部43とルーバー材4の上端に設けた上部横片部421がある。いずれの横片部も、通風性、採光性、目隠し性、閉塞性などの特性に影響を与える。
【0013】
[隙間]
図1の矩形範囲Eの拡大図は、B-B間断面図に付した矩形範囲Eの拡大図である。ルーバー材4の詳細は後述するが、本発明のルーバー材4はルーバーの羽板の特徴である傾斜面部41を有している。上下のルーバー材4の取付間隔が変わることで外側から内側に吹き込む風の量が変化する。
下部横片部43または上部横片部421が関与する隙間は多数あり、吹き込む風に影響を与える。
例えば、上にあるルーバー材4の下部横片部43と下にあるルーバー材4の上部横片部421との間にできる下隙間221である。
また、上にあるルーバー材4の傾斜面部上部内側412と下にあるルーバー材4の上部横片部421との間にできる通風開口222(縦隙間)である。
この他にも、
図2の傾斜面部裏隙間413の説明図で示したように、上にあるルーバー材4の傾斜面部41の裏に、下にあるルーバー材4が呑み込まれるような取り付け間隔(ピッチ)で取り付けた場合に限り、上にあるルーバー材4の傾斜面部41の裏と下にあるルーバー材4の上部横片部421との間に傾斜面部裏隙間413ができる。上部横片部421が長い態様では、上部横片部421と傾斜面部41の裏面との間にできる傾斜面部裏隙間413の幅が小さくなり、吹き込む風の量が変化する。
隙間は、この他にもでき、上記した例は代表的なものを示したものである。
上にあるルーバー材4と下にあるルーバー材4の取り付け間隔や、上部横片部421と下部横片部43の長さによって、通風性、採光性、目隠し性、閉塞性などの特性に影響を与える隙間は様々でき、その幅が制限されることで、前記特性が変化する。
【0014】
上部横片部421のみ設けられたルーバー材4であっても本発明の態様に含まれるし、下部横片部43のみ設けられたルーバー材4であっても本発明の態様に含まれる。ルーバー材4を取り付ければ、上部横片部421または下部横片部43は、何らかの隙間の幅を有する。もちろん、上部横片部421および下部横片部43を共に有する態様も本発明に含まれる。
【0015】
これらの隙間は、通風性、採光性、目隠し性、閉塞性などの特性に影響を与え、どの隙間の影響が大きいかは、上にあるルーバー材4と下にあるルーバー材4の取り付け間隔や、上部横片部421と下部横片部43の長さによって変化する。
例えば、通風開口222(縦隙間)の幅が短くなり事実上閉塞状態となる場合は、下隙間221の幅が大きくても、風が吹き込むことができなくなり、閉塞部23となる。
また、下隙間221の幅が大きく制限され風が吹き込む余地が無くなれば、傾斜面部裏隙間413や通風開口222(縦隙間)の幅が大きく開いていても、閉塞部23となることもある。
【0016】
[取付部]
ルーバー材4は、下地材95に取り付けられなければならない。本発明では下地材95への取り付け手段は様々であり得る。
図1の矩形範囲Eの拡大図で示されているように、傾斜面部裏の上部に取付部45が設けられており、下地材95と締結できるようにボルト等の締結材46を収容する袋部451が設けられている。ルーバー材4の取り付け間隔は様々であり得る。
図2のように、上のルーバー材4の傾斜面部41の内側に下のルーバー材4の上部横片部421が呑み込まれるような間隔で取り付けることもあり得る。
図2の下のルーバー材4を更に上げて取り付けると、取付部45の下面である傾斜面部上部内側412に下のルーバー材4の垂直片部42の上端8a(上部横片部421)が当接し、通風開口222(縦隙間)が無くなり閉塞部23となる。垂直片部42の上端8a(上部横片部421)は、通風開口222(縦隙間)の幅を制限する。
取付部45を設ける位置は、傾斜面部上部内側412である必要はない。また、後述する実施例2や実施例3の取付金具9を用いる場合は、下地材95に締結するための取付部45は不要となる。取付部45が無くなることで通風開口222(縦隙間)となる領域が拡大する。
【0017】
[横片部の長さ]
下部横片部43と上部横片部421の長さは通風性・採光性・目隠し性・閉塞性などの求めようとする特性に応じて適宜決め得る。一例を示すと、
図2の例では、取付部45の下面の幅より、上部横片部421の長さが短いため、取付部45の下面に垂直片部42の上端8a(上部横片部421)が当接することができた。
上部横片部421の長さを取付部45の下面より長くすると、取付部45の下面に当接する前に、下のルーバー材4の上部横片部421の先端が上にあるルーバー材4の傾斜面部41の裏面に当接し、傾斜面部裏隙間413が制限され消滅し閉塞部23となる。垂直片部42の上端8b(上部横片部421)との間に、通風開口222(縦隙間)が残るが、傾斜面部裏隙間413が閉塞部23となっているため、通風性はなくなる。
下部横片部43の長さも様々に設定でき、様々な隙間の幅に影響を与える。
【0018】
(実施例1)
実施例1は、高架5の下や側面に設けられる足場7に設けたルーバーパネル体2の例である。足場7は、ルーバーパネル体2が設けられる構造物1の一例である。
【0019】
[足場の全体構造]
図3は、実施例1の概略図である。
図3(A)は高架5の断面図であり、
図3(B)は高架5の側面図である。高架5下に設けられた足場7が示されている。路面材52の下には、路面材52を支える鈑桁51などの高架下部材が設けられている。脚部53と脚部53の間に足場7を設置する作業が行われており、足場7の横梁75は、鈑桁51などの高架下部材に横梁支持材77を介して連結して支持されている。高架5の左右両側面には、足場7の延設に伴い、次々とルーバーパネル体2が取り付けられ構造物1となって行く。
【0020】
図4は、高架5の横断面図および横断面図に示した枠aの拡大図である。足場7は、何らかの高架下部材に取り付けることができるが、箱桁や鈑桁51など強度を有する部材であることが好ましい。実施例1では鈑桁(高架下部材)51に横梁支持材77を複数取り付けて、足場7の横梁75を支えている。横梁75の上方に強度を有する部材が存在しない場合、
図4のように鈑桁(高架下部材)51の側方に補助材774を取り付け、横梁支持材77を取り付けることができる。補助材774を取り付け、横梁支持材77は、ルーバーパネル体2を取り付ける下地材95としても使用できる。
【0021】
実施例1で示すルーバー材4は、
図5および
図6に示すように3種類の型がある。ルーバー材A型(4A)、ルーバー材B型(4B)およびルーバー材C型(4C)である。
図5(A)はルーバー材A型(4A)の側面図であり、
図5(B)はルーバー材B型(4B)の側面図であり、
図6はルーバー材C型(4C)の側面図である。
3つの型は、以下の点で共通の構造をしている。
【0022】
[傾斜面部]
どの型も同じ形状で同じ大きさの傾斜面部41を有している。傾斜面部41は、一部が傾斜面となっていればよい。実施例1では、傾斜面部41の下端は、縦面411となっている。縦面411は、存在しなくてもよく、傾斜面部41が外観として目立つようになっていることが好ましい。
【0023】
[取付部]
傾斜面部41の一部を構成する取付部45は、3つの型は共に同じ形状で同じ大きさに形成されている。取付部45の位置は適宜であるが、実施例1では傾斜面部41の内側に設けられている。また、ルーバー材4の取り付けは、足場7側から締結作業を行うことができる。
【0024】
取付部45には袋部451が設けられている。袋部451は、下地材95にルーバー材4を取り付けるためのナットまたはボルトの頭など、締結材46が挿入できる構造を有している。そして、袋部451は、ナットまたはボルトの頭と略同じ大きさに形成されており、ナットまたはボルトの回り止めとして機能する。袋部451は、下地材95にルーバー材4を締結する際の作業効率向上に寄与する。ルーバー材4は、下地材95側(足場7側)から締結できるようになっており、袋部451に締結材46が収められているためルーバー材4の表側に締結材46が露出することがない。
【0025】
[下部横片部]
本発明でいう「横片部」の一つの態様である「下部横片部43」について説明する。
後述するルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)の3つの型は、共にルーバー材4の傾斜面部41の下端8bから内側に向けて延びる下部横片部43を有することで共通する特徴を有する。この特徴をルーバー材A型(4A)に関する
図5(A)とルーバー材B型(4B)に関する
図5(B)を用いて説明する。
下部横片部43は、複数のルーバー材4が下地材95の上下方向に取り付けられルーバーとなったとき、次のような作用を奏する。下部横片部43は、
図5(B)のように側面視で上にあるルーバー材4の下部横片部43とその下にあるルーバー材4の垂直片部42との間にできた、下隙間221の間の幅(通風性)の長さを制限するものである。
図5(A)のように、上部横片部421が設けられ、下部横片部43と上部横片部421が対向するような場合にあっては、上にあるルーバー材4の下部横片部43と下のルーバー材4の上部横片部421との間が、下隙間221となる。
【0026】
[上部横片部]
3つの型は、共にルーバー材4の上端部(垂直片部上端422)に外側に向けて延びる上部横片部421を有している。上部横片部421は、上述の下部横片部43と同様に複数のルーバー材4が下地材95の上下方向に取り付けられルーバーとなったとき、側面視で上にあるルーバー材4とその下にあるルーバー材4の上部横片部421との間にできた下隙間221の幅の長さに影響を与え、ルーバー材4間の通風性に影響と与える。
加えて、下にあるルーバー材4の上部横片部421は、上にあるルーバー材4の傾斜面部上部内側412との間、すなわち、ルーバー材4の背面側にできた通風開口222(縦隙間)の一部をなすものであり、通風性を制限するものである。
下部横片部43が存在しないルーバー材4の場合、下にあるルーバー材4の上部横片部421は側面視で上にあるルーバー材4の傾斜面部41の傾斜面部上部内側412との間にできた通風開口222(縦隙間)の幅の長さを制限することになる。
すなわち、下部横片部43と上部横片部421は、共に見込み方向の下隙間221の幅寸法と上下方向の隙間である通風開口222(縦隙間)の幅の長さを制限する。
【0027】
[ルーバー材A型]
ルーバー材A型(4A)は、最も基本的な型式である。3つの型のうち、最も短尺な垂直片部42を備えている。ここでいう、短尺とは、傾斜面部41の上下寸法よりも短い長さという意味である。垂直片部42は、傾斜面部41の上端から上方に向けて延びており、下地材95に取り付けられたとき、下地材95に沿うようになっている。
下部横片部43は、傾斜面部41の下端8bから内側に向けて延びる短尺な部材である。ここでいう短尺とは、ルーバー材A型(4A)を下地材95に取り付けたとき、下地材95と下部横片部43の間に、風が通る下隙間221ができる短い長さという意味である。下部横片部43は、短尺であるとはいえ、下地材95に取り付けたとき、通風性を制限する作用がある。
【0028】
また、ルーバー材A型(4A)の上端である垂直片部上端422から外側に向けて延びる上部横片部421を有している。複数のルーバー材A型(4A)が下地材95の上下方向に取り付けられルーバーパネル体2となったとき、側面視で上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43とその下にあるルーバー材A型(4A)の上端、すなわち垂直片部上端422(上部横片部421)との間にできた下隙間221の幅の長さに影響を与える。
このように、下部横片部43と垂直片部上端422(上部横片部421)は、共に、側面視で上にあるルーバー材A型(4A)とその下にあるルーバー材A型(4A)の間の通風性を制限する。下部横片部43と垂直片部上端422(上部横片部421)のいずれか一方だけがある態様においても、下隙間221の幅の長さを制限するという機能は失われることはない。
【0029】
そして、複数のルーバー材A型(4A)が支持部材3の上下方向に取り付けられルーバーパネル体2となったとき、ルーバー材A型(4A)の上端である垂直片部上端422から外側に向けて延びる上部横片部421は次のような機能を奏する。上にあるルーバー材A型(4A)と下にあるルーバー材A型(4A)との間には、背面側に上下に通風開口222(縦隙間)が生じる。下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)は、通風開口222(縦隙間)の一部を構成し、通風開口222(縦隙間)を通って内側に入る風の通風性を制限する。
以上のように、横片部である下部横片部43と上部横片部421は、通風性を制限し主に目隠し性、通風性、採光性に影響を与える。
【0030】
ルーバー材A型(4A)は、上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43より下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部42を離間して設置すると、下部横片部43が短尺で下隙間221の幅が大きく開くため傾斜面部41の内側から風が通る通風性が高い型である。
詳細は後述するが、ルーバー材A型(4A)は、取り付け間隔を調整することで、通風・採光部21と通風・目隠し部22にすることができる。
この時、上部横片部421は、下部横片部43と相俟って、下隙間221の幅の長さを制限し、ルーバーパネル体2の内側を覗きにくくするため、目隠しとしての機能を向上させるのに役立つ。
【0031】
[ルーバー材B型]
図5(A)のルーバー材A型(4A)と
図5(B)のルーバー材B型(4B)を比較すると、ルーバー材B型(4B)は、下部横片部43の長さがルーバー材A型(4A)より長い点でのみルーバー材A型(4A)と相違している。
ルーバー材A型(4A)と同様にルーバー材B型(4B)の上端(垂直片部上端422)に外側に向けて延びる上部横片部421を有している。
詳細は後述するが、ルーバー材B型(4B)は取り付け間隔(ピッチ)を変えてもルーバー材A型(4A)より閉塞性が高い。
【0032】
ルーバー材B型(4B)を上下に取り付けた場合、ルーバー材B型(4B)の下部横片部43がルーバー材A型(4A)に比べて顕著に長いため、側面視で上にあるルーバー材B型(4B)の下部横片部43と下にあるルーバー材B型の垂直片部42の間にできる下隙間221の幅が小さくなり、下隙間221からの通風性が大幅に制限される。
ルーバー材B型(4B)は、下部横片部43が長いため、重ならないように上下に離して設置しても、傾斜面部41の内側へほぼ風が通らない。ルーバー材B型(4B)は比較的閉塞性を重視した型であり、取り付け間隔を調整することにより通風・採光部21や閉塞部23とすることができる型である。
【0033】
[ルーバー材C型]
図6はルーバー材C型(4C)の側面図であり、ルーバー材C型(4C)は、垂直片部42の長さが長い点でのみルーバー材A型(4A)と相違している。
ルーバー材C型(4C)の下部横片部43は、ルーバー材A型(4A)と同じく短尺(ルーバー材C型(4C)の下側に風が通る下隙間221ができる短い長さ)である。
傾斜面部41の上端から上方に延びる垂直片部42の長さは、傾斜面部41の上下寸法よりも長い。
ルーバー材C型(4C)は、ルーバー材A型(4A)と比較して垂直片部42が長いため、上下方向の取り付け間隔を大きくしても閉塞性が高くなる。詳細は後述するが上下方向の取り付け間隔(ピッチ)を調整することで、通風・採光部21、通風・目隠し部22または閉塞部23のいずれにもなり得る型であることに特徴がある。
【0034】
特に、ルーバー材C型(4C)の垂直片部42は、長尺であるため垂直片部上端422(上部横片部421)の位置が高くなり、側面視で上にあるルーバー材C型(4C)とその下にあるルーバー材C型(4C)の垂直片部上端422(上部横片部421)を通って内側に通じる、ルーバー材C型(4C)の背面側にできた通風開口222(縦隙間)の幅を大きく制限する。ルーバー材C型(4C)では、下隙間221の幅が大きくても、通風開口222(縦隙間)の幅が小さくなる傾向にあり、目隠し性や閉塞性を重視したルーバー材4の型である。
【0035】
(他の型のバリエーション)
ルーバー材4は、例として提示した、ルーバー材A型(4A)、ルーバー材B型(4B)、ルーバー材C型(4C)の他にも様々な型としてもよい。
ルーバーパネル体2を構成するルーバー材4それぞれの型に共通するのは、下部横片部43または上部横片部421でありこの長さを様々に変えることでバリエーションを増やすことができる。一つの型のルーバー材4を用いただけでも、取り付け間隔(ピッチ)を変えることで、通風性や採光性の程度が異なる通風・採光部21を具備したルーバーパネル体2とすることができる。
【0036】
[取付例]
以下に、各型のルーバー材4の足場7への取付例を示すが、取付例以外の取り付け方を排除するものではなく、例示として示すものである。
【0037】
図7は、ルーバー材A型(4A)の取付例を示す図面である。
図7の例では、図中のルーバー材A型(4A)は、すべて同じものであり、上下寸法は60mmである。
【0038】
図7(A)は対比基準の取付例を示す側面図であり、
図7(B)は取り付け間隔(ピッチ)を広げる取付例を示す側面図であり、
図7(C)は取り付け間隔(ピッチ)を狭める取付例を示す側面図である。
なお、
図7(A)は取り付け間隔(ピッチ)の影響を説明するための対比基準図である。
図7(A)に示す取り付け間隔(ピッチ)を標準として推奨するものでもないし、好ましい取り付け間隔(ピッチ)としているものでもない。ルーバー材4の取り付け間隔(ピッチ)は、ルーバー材4を設けようとする場所周囲の環境や求められる採光性などにより最適とされる取り付け間隔(ピッチ)は違ってくる。
【0039】
図7(A)とその一部の拡大図を参照されたい。どの型のルーバーパネル体2でも同じであるが、下地材95に対して傾斜面部41の側が外側であり、下地材95を隔てて足場7側が内側となる。上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43と下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部42が、正面視で離間するように取り付けられている。そして、離間した上下のルーバー材A型(4A)との間に生じた採光口213は、10mmに設定されている。この採光口213から、風や光が足場7の内部に入り込むが、採光口213の間を通して内側を覗くことができるため、内側を隠蔽することはできない。
【0040】
ルーバー材A型(4A)の下地材95に対する上下方向への取り付け間隔は、上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43とその下に取り付けられたルーバー材A型(4A)の下部横片部43との間隔として計ることができ、この取付例では70mmとしている。
さらに、複数のルーバー材A型(4A)は、側面視で上にあるルーバー材A型の下部横片部43と下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)との間に採光口213ができる。さらに、上にあるルーバー材A型(4A)の傾斜面部上部内側412と下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)との間に、足場7の内側に通じるルーバー材A型(4A)通風開口222(縦隙間)ができ、その一部は採光口213となる。
この取付例は、通風・採光部21となるルーバー材A型(4A)の取り付け例である。
【0041】
図7(B)は、通風性と採光性を重視した取付例である。この
図7(B)の取付例は、上記
図7(A)と同じ通風・採光部21となるルーバー材A型(4A)の取付例であるが、ルーバー材A型(4A)の下地材95に対する上下方向の取り付け間隔は、
図7(A)より広い、80mmとなっており、採光口213は、
図7(A)より広い20mmとなっている。
図7(A)の対比基準と比較して、隠蔽性、雨侵入防止、物落下防止の性能は低下するが、通風・採光性が向上する。
図7(B)では、対比基準の
図7(A)より、明るく風が通りやすく作業環境が向上する。
【0042】
図7(C)は、雨侵入防止と物落下防止を重視する取付例である。ルーバー材A型(4A)の下地材95に対する上下方向の取り付け間隔は、上にあるルーバー材A型の下部横片部43と下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部42とが、正面視で重なるように取り付けられている。かかり代でいえば、-10mmとマイナスになっており、下方あるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)が、上にあるルーバー材A型(4A)の傾斜面部41の内側に呑み込まれている。このため、
図7(B)のように正面視で直接ルーバーパネル体2の内側を観ることができる採光口213が存在しない。
採光口213は消滅したが、側面視で上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43と下にあるルーバー材A型(4A)のルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)との間に下隙間221が空く。そして、側面視で上にあるルーバー材A型(4A)の傾斜面部上部内側412と下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)との間に、足場7の内側に通じる通風開口222(縦隙間)ができる。
【0043】
そのため、下隙間221から入った風は、矢印で示したように傾斜面部41の内側に入り、通風開口222(縦隙間)を通って足場7(内側)に入ることができる。通風開口222(縦隙間)は対比基準である
図7(A)と比較して狭くなっているものの、通風性はあるが、正面から内側が見えない通風・目隠し部となっている
以上は、ルーバー材A型(4A)の取り付け間隔(ピッチ)について説明したが、ルーバー材B型(4B)やルーバー材C型(4C)も同様に、取り付け間隔(ピッチ)を適宜変えることができる。
【0044】
[外観一致の取付例]
図8は、外観一致の説明図である。
図8のルーバー材A型(4A)とルーバー材B型(4B)の上下寸法は、60mmであり、ルーバー材C型(4C)は80mmである。
ルーバー材4の取り付け間隔(ピッチ)は、ルーバー材4の下部横片部43とその下に取り付けられたルーバー材4の下部横片部43との間隔として表すことができる。
図8(A)は、ルーバー材A型(4A)を用いたルーバーパネル体2であり、10mmの採光口213となるように、70mmの取り付け間隔(ピッチ)でルーバー材A型(4A)が取り付けられ、通風・採光部21となる取付例である。側面視で上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43と下にあるルーバー材A型(4A)のルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422(上部横片部421)との間に下隙間221が空く。そして、ルーバー材4の背面側の通風開口222(縦隙間)は大きく通風性が良い。
【0045】
図8(B)は、ルーバー材B型(4B)を用いたルーバーパネル体2であり、10mmの採光口213となるように、70mmの取り付け間隔(ピッチ)でルーバー材B型(4B)が取り付けられ、通風・採光部21となる取付例である。ルーバー材B型(4B)は、傾斜面部41の下端8bから内側に向けて、垂直片部42の略直下になる位置まで延びる下部横片部43を有するものである。
ルーバー材B型(4B)の下部横片部43は、長尺であるため、取り付け間隔(ピッチ)をどのようにしても、側面視で上にあるルーバー材B型(4B)と、その下にあるルーバー材B型(4B)間にできる下隙間221の幅は大幅に制限される。ルーバー材B型(4B)の長尺な下部横片部43は、下部横片部43だけでも当該ルーバー材B型(4B)の傾斜面部41の内側へわずかな風しか通さず、ルーバー材B型(4B)の取り付けられた箇所を実質的に閉塞してしまう。
通風・採光部21として機能する領域は、上にあるルーバー材B型(4B)の下部横片部43と下方のルーバー材B型(4B)の垂直片部上端422との間の通風開口222(縦隙間)に限られる。
図8(A)のルーバー材A型(4A)の取付例と
図8(B)のルーバー材B型(4B)の取付例は、通風・採光部21となる取付例としては共通するが、
図8(A)の取付例は通風重視であり、
図8(B)の取付例は防風重視となる。
図8(B)の取付例は、強風に晒されることが多い橋梁下の足場7などに使うことが出来る。
【0046】
図8(A)の上下寸法60mmのルーバー材A型(4A)と
図8(B)の上下寸法60mmのルーバー材B型(4B)を用いたルーバーパネル体2は、どちらも70mmの取り付け間隔(ピッチ)で10mmの採光口213ができている。外から観て目立つ傾斜面部41の間隔は全く同じであり、一見して区別が付かない。
【0047】
図8(C)は、ルーバー材C型(4C)を用いたルーバーパネル体2であり、60mmの取り付け間隔(ピッチ)でルーバー材C型(4C)が取り付けられる。実施例1では、上にあるルーバー材C型(4C)の取付部45のある傾斜面部上部内側412に、下にあるルーバー材C型(4C)の垂直片部上端422にある上部横片部421が丁度当接するように設計されている。そのため、下方のルーバー材C型(4C)の垂直片部42を上にあるルーバー材C型(4C)の取付部45に当接させて取り付けるだけで、60mmの間隔(ピッチ)で取り付けることが出来るようになっている。ルーバー材C型(4C)の上下寸法は80mmあるが、上にある傾斜面部41の内側に、下にあるルーバー材C型(4C)の垂直片部42が呑み込まれ、重ね代が―20mmとなっている。
図8(C)の取付例は、上にあるルーバー材C型(4C)の傾斜面部41の内側にある取付部45と、下にあるルーバー材C型(4C)の垂直片部42が当接するように配置されていることより、ルーバー材C型(4C)の背面側の通風開口222(縦隙間)が消滅し、通風性や採光性がない閉塞部23となる取付例である。
共に、取り付け間隔(ピッチ)60mmの
図8(C)のルーバー材C型(4C)と比較して、取り付け間隔(ピッチ)が70mmである
図8(A)のルーバー材A型(4A)及び
図8(B)のルーバー材B型(4B)は、左右に並べれば外観にズレがあることが分かるがそれほど目立つものではない。そして、下に
図8(A)のルーバー材A型(4A)のルーバーパネル体2を設け、上に
図8(C)のルーバー材C型(4C)のルーバーパネル体2を設けた場合、外観の違いは目立たなくなる。
【0048】
ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)の取り付け間隔(ピッチ)を同じに揃えたルーバーパネル体2は、左右に異なる型のルーバーパネル体2が並んだとしても、外観において傾斜面部41の位置が一致し、区別が付かなくなる。
取り付け間隔(ピッチ)だけを調整するだけで、どの型のルーバー材4を用いても、同じ外観とすることが出来る。
【0049】
[取り付け間隔(ピッチ)変更]
図9は取り付け間隔(ピッチ)変更の説明図である。採用するルーバー材4の型と取り付け間隔(ピッチ)の組み合わせにより、採光性、通風性、目隠し性、閉塞性を適宜調整できる。
図9(A)はルーバー材A型(4A)を用い、取り付け間隔を80mmとし、通風・採光部21とした例である。採光口213は、
図8(A)よりも広がり20mmになる。
図8(A)よりも取り付け間隔(ピッチ)が広いため、ルーバーパネル体2の内側に光が多く入る。
図8(A)と
図9(A)の取付例は、共にルーバー材A型(4A)を用い通風・採光部21とした例であるが、
図9(A)の例では取り付け間隔を広げることで、採光性や通風性を
図8(A)の例より向上させることが出来る。
【0050】
また、
図9(B)はルーバー材C型(4C)を用い、取り付け間隔を80mmとし、通風・目隠し部22とした取付例である。前述したように、ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)は、取り付け間隔(ピッチ)を同じにすれば、傾斜面部41の位置が揃うようになっている。ルーバー材A型(4A)を用いた
図9(A)とルーバー材C型(4C)を用いた
図9(B)の外観は、取り付け間隔(ピッチ)が同じ80mmであるため傾斜面部41の間隔が揃い、異なる型のルーバー材4を用いているにもかかわらず外観がほぼ同じとなる。
【0051】
[上部横片部と下部横片部による隙間の制限]
以上、ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)の様々な取付例を説明してきた。上部横片部421と下部横片部43による隙間の制限について、整理して説明する。上部横片部421と下部横片部43は、上述したように、共に下隙間221を構成する要素であり、いずれか一方を有すれば、下隙間221の幅を制限することができる。そして、上部横片部421または下部横片部43の長さを長くすると、下隙間221の幅は狭くなる。
また、上部横片部421は、ルーバー材4の取り付け間隔を変えることにより通風開口222(縦隙間)の幅を制限する。
【0052】
上部横片部421と下部横片部43のいずれか一方を有するものであれば本発明に包含される。実施例1は、上部横片部421と下部横片部43を双方とも有する例である。ルーバー材B型(4B)のように、下部横片部43が極めて長い場合は、どのような取り付け間隔で取り付けても、下隙間221が大きく制限され、傾斜面部41の内側へ実質的に風が入らなくなる。
また、ルーバー材C型(4C)のように、上部横片部421が設けられた垂直片部42の長いものでは、通風開口222(縦隙間)が大きく制限され、上にあるルーバー材C型(4C)傾斜面部上部内側412と下にあるルーバー材C型(4C)上部横片部421が当接する取り付け間隔で設けられた場合は、実質的に通風開口222(縦隙間)を通って内側に風が入らなくなる。
図9(A)のように、上と下にあるルーバー材A型(4A)を離間して取り付けると、下隙間221の幅と通風開口222(縦隙間)の幅が共に大きくなり、通風・採光部21となる。
上部横片部421と下部横片部43による隙間の制限により通風を重視したり、防風を重視したり、多様なルーバーパネル体2を作り出せる。
【0053】
図10は取り付け間隔(ピッチ)変更の説明図である。
図10(A)はルーバー材A型(4A)を用い、取り付け間隔(ピッチ)をルーバー材4の上下寸法と同じ60mmとし通風・目隠し部22とした場合の取付例である。上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43は、下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部42と正面視で重なるように下地材95に取り付けられている。加えて、この取付例では、側面視で上にあるルーバー材A型(4A)の下部横片部43とその下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422がほぼ同位置となるように下地材95に取り付けられている。側面視で垂直片部上端422と下部横片部43の間に下隙間221が空き、かつ、下にあるルーバー材A型(4A)の垂直片部上端422と上にあるルーバー材A型(4A)の傾斜面部上部内側412との間に通風開口222(縦隙間)が空くように取り付けられていることで、通風性はあるが、正面から内側が見えない通風・目隠し部22となっている。
【0054】
図10(B)は、ルーバー材B型(4B)を用い、取り付け間隔(ピッチ)を60mmとし閉塞部23とした取付例である。ルーバー材B型(4B)の下地材95に対する上下方向の取り付け間隔(ピッチ)は、下にあるルーバー材B型(4B)の垂直片部42と、上にあるルーバー材B型(4B)の下部横片部43の先端が、側面視で重なるように取り付けられて閉塞部23となっている。
【0055】
なお、ルーバー材B型(4B)の取り付け間隔(ピッチ)をさらに狭めて50mmとし下にあるルーバー材B型(4B)の垂直片部上端422が、上にあるルーバー材B型(4B)の傾斜面部41の内側に呑み込まれるように取り付けた場合も、実質的に閉塞部23となる。
ルーバー材A型(4A)を用いた
図10(A)とルーバー材B型(4B)を用いた
図10(B)の外観は、取り付け間隔(ピッチ)が同じため傾斜面部41の間隔が揃い、異なる型のルーバー材4を用いているにもかかわらず外観が同じである。
【0056】
[融通性]
前述したように、本発明では3つの型のルーバー材4があり、また、それぞれの型のルーバー材4の取り付け間隔(ピッチ)を変えることができるため、通風性または採光性を優先して通風・採光部21の大きさを変えたりできる。通風性は確保したいが目隠しとしての機能が欲しい場合、通風・目隠し部22とすることで雨侵入防止を図ることができる。また、物落下防止性や遮蔽性を優先したい場合は、閉塞部23とすることができる。
【0057】
本発明は、強風雨に晒される橋梁のように防風性や閉塞性が重視される場所、歩道に近く目隠し性の重視される場所、作業性を向上させるため採光性が重視される場所など様々な状況や場所に応じた、ルーバーパネル体2を提供できる。さらに、特性を変えても傾斜面部41の形状が同じため統一した外観とすることができる。
【0058】
図11は、融通性の説明図である。
図11(A)は対比基準となるルーバー材A型(4A)の取付例であり、通風・採光部21となる例である。取り付け間隔(ピッチ)は70mmとなっている。なお、融通性を説明するために対比基準したものであって、好ましい例や推奨される例としたものではない。
【0059】
図11(B)は、取り付け間隔(ピッチ)を80mm広げたルーバーパネル体2の側面図である。対比基準と同じルーバー材A型(4A)を使用している。対比基準より、取り付け間隔(ピッチ)を変更広くしたため、通風・採光部21になっているという点では、対比基準と変わらないが、
図11(B)の取付例の方が、取り付け間隔(ピッチ)を広げた分、ルーバーパネル体2の採光性や通風性が向上している。
【0060】
図11(C)は、取り付け間隔(ピッチ)を50mmに狭めたルーバーパネル体2の側面図である。対比基準と同じルーバー材A型(4A)を使用している。対比基準より、取り付け間隔(ピッチ)を変更狭めたため、ルーバーパネル体2は通風・目隠し部22になっている。
【0061】
図11(D)は、型を変更したルーバーパネル体2の側面図である。
図11(D)のルーバーパネル体2は、ルーバー材C型(4C)を採用しており、対比基準と型が変更されている。対比基準と同じ取り付け間隔(ピッチ)70mmであるが、型が変更されたためルーバーパネル体2は閉塞部23となっている。
【0062】
図11(E)は高さで取り付け間隔(ピッチ)を使い分けたルーバーパネル体2の側面図である。ルーバーパネル体2の上部も下部もルーバー材A型(4A)が使われている点では共通するが、上部は取り付け間隔(ピッチ)が70mmと広く、下部が50mmと狭くなっている。下部の取り付け間隔(ピッチ)は、60mmのルーバー材A型(4A)の上下寸法より狭い50mmとなっているため、上にあるルーバー材A型(4A)の傾斜面部41の内側に10mmのみ込まれ、-10mmとなっている。
そのため、上部は通風・採光部21となっており、下部は通風・目隠し部22となっている。
上下方向に取り付け間隔(ピッチ)を変える場合、徐々に変えることが好ましい。外観の変化が分かりにくくなる。
【0063】
図11(F)は高さで型を使い分けたルーバーパネル体2の側面図である。ルーバーパネル体2の上部も下部もルーバー材4の取り付け間隔(ピッチ)は同じであるが、上部はルーバー材A型(4A)が使われ、下部はルーバー材B型(4B)が使われている。そのため、上部は通風・採光部21となっており、下部は防風重視の通風・採光部21となっている。
【0064】
[ルーバーパネル体を上下で型や間隔を変えて使い分ける態様]
図12はルーバーパネル体2の上下で使分けする説明図である。
図12(A)では、取り付け間隔(ピッチ)をやや広くしており、上部:ルーバー材A型(4A)の通風・採光部21/下部:ルーバー材C型(4C)の通風・目隠し部22となっている。高架5下の足場7において、上部は高架5の下面の点検がしやすいように採光性を重視するなどの場合に使用できる。
【0065】
図12(B)では、取り付け間隔(ピッチ)をやや狭くしており、上部:ルーバー材A型(4A)の通風・目隠し部22/下部:ルーバー材B型(4B)の閉塞部23となっている。高架5下の足場7において、下部は工具や高架5の劣化から生じるコンクリート片が落ちぬよう、閉塞性を重視するなどの場合に使用できる。
【0066】
図12(A)と
図12(B)のいずれの場合でも、ルーバーパネル体2の上下で型が異なるルーバー材4が使用されているが、傾斜面部41が揃っており、統一感のある外観となっている。
また、その機能も採光性、閉塞性など異なっており、通風性もその程度が異なっているが、傾斜面部41が揃っており、外観はほぼ同じである。
【0067】
[ルーバーパネル体を左右で型や間隔を変えて使い分ける態様]
図13はルーバーパネル体2の左右で使分けする説明図である。
図13(A)では、取り付け間隔(ピッチ)をやや広くしており、左部:ルーバー材C型(4C)の閉塞部23/右部:ルーバー材A型(4A)の通風・採光部21となっている。
【0068】
図13(B)では、取り付け間隔(ピッチ)をやや狭くしており、左部:ルーバー材B型(4B)の閉塞部23/右部:ルーバー材A型(4A)の通風・目隠し部22となっている。
図13(A)と
図13(B)のいずれの場合でも、ルーバーパネル体2の左右で型が異なるルーバー材4が使用されているが、傾斜面部41が揃っており、統一感のある外観となっている。
【0069】
ルーバー材A型(4A)は、取り付け間隔(ピッチ)を変えて取り付けることで、通風・採光部21と通風・目隠し部22とすることが出来る。
ルーバー材B型(4B)は、取り付け間隔(ピッチ)を変えて取り付けることで、通風・採光部21と閉塞部23とすることが出来る。
ルーバー材C型(4C)は、取り付け間隔(ピッチ)を変えて取り付けることで、通風・採光部21と通風・目隠し部22と閉塞部23のいずれにもすることが出来る。
これらの型のルーバー材4で作られた通風・採光部21と通風・目隠し部22と閉塞部23の形態を上下方向や左右方向に変えて取り付けることで、環境や作業内容に適したルーバーパネル体2とすることができる。また、このようなルーバーパネル体2を備えた構造物1を作ることが出来る。
【0070】
[ルーバー材の組み合わせ]
以上のルーバー材A型(4A)とルーバー材B型(4B)とルーバー材C型(4C)の中から少なくとも2つの型を選び、ルーバーパネル体2の上下交互に取り付けるなど、様々な変形例があり得る。3つの型のルーバー材4を使って、下部は閉塞部23であり、上部に向かうにつれて徐々に通風・採光部21になるようにすることも可能である。
【0071】
本発明の実施例1において、ルーバー材4は、各型に共通する傾斜面部41を備えており、垂直片部42および/または下部横片部43の寸法の異なるルーバー材4を用意することを述べてきた。本発明は、これらのルーバー材4の型を使い分けることで、取り付け間隔(ピッチ)を揃えたまま、通風・採光部21、通風・目隠し部22、閉塞部23の形態で外観を揃えることが出来る。
【0072】
また、本発明の実施例1では、ルーバー材4は、取り付け間隔(ピッチ)を変えることで、通風・採光部21と通風・目隠し部22の通風や採光の程度を変ることができること、そして、異なる型とすることで、外観を同じにすることができることを示してきた。
共通する傾斜面部41を備えていれば、4つ以上の型のルーバー材4を用意してもよいことは言うまでもない。
【0073】
(実施例2)
[ルーバー材D型]
実施例1のルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)までのルーバー材4は、上部横片部421と下部横片部43を共に有する態様であった。
図14はルーバー材D型(8D)の側面図である。図示されているように、実施例2のルーバー材D型(8D)は、垂直片部88の上端8aに上部横片部84を有するが、傾斜面部82の下端8bに下部横片部43を有さない態様である。複数のルーバー材D型(8D)が上下方向に取り付けられルーバーパネル体2となったとき、側面視で上にあるルーバー材D型(8D)の傾斜面部82の内側とその下にあるルーバー材D型(8D)の上端8aである上部横片部84との間にできた下隙間827の幅の長さ制限する。上部横片部84を長くすれば、下隙間827の幅の長さが制限され狭くなる。
図14では、上にあるルーバー材D型(8D)の傾斜面部82の下端8bが、下にあるルーバー材D型(8D)の上部横片部84(上端8a)と対向しているため、図示された位置に下隙間827ができる。下にあるルーバー材D型(8D)の上部横片部84が、上にあるルーバー材D型(8D)の傾斜面部82の内側に呑み込まれた場合は、上部横片部84と対向する傾斜面部82との間が下隙間827となる。
上部横片部84は、側面視で上にあるルーバー材4とその下にあるルーバー材4の間の下隙間827の幅の長さを制限するものである。
【0074】
上部横片部84(上端8a)は、上にあるルーバー材D型(8D)の垂下片部下端811と下にあるルーバー材D型(8D)の上部横片部84(上端8a)の間にできた通風開口826(縦隙間)の幅の長さも制限する。取り付け間隔(ピッチ)により、目隠し性、通風性、採光性に影響を与える。
【0075】
また、ルーバー材D型(8D)は、外側に向けて傾斜する傾斜面部82を備えている。傾斜面部82は、上から、上がわ傾斜面821、上がわ縦面824、中間部傾斜面822、下がわ縦面825の順で構成される領域を有している。中間部傾斜面822の内側には、後述する取付金具9にルーバー材D型(8D)を取り付けるためのタッピングホール823が設けられている。
取付金具9は、
図15に示すように、ルーバーの単位部材であるルーバー材D型(8D)を側方から連結して、ユニット化するために使う場合は、支持部材3としての機能も果たす。
上がわ傾斜面821に連続して、垂直片部88が上方に延び、垂下片部81が下方に延びている。垂直片部88の上端8aには、外側に向けて延びる上部横片部84が設けられている。
上がわ傾斜面821と上がわ縦面824と垂下片部81とで囲まれる空間83がある。この空間83は、後述する中骨材86(支持部材)を取り付けるビス861の先端が収まるところとなる。
【0076】
複数のルーバー材D型(8D)は、
図14の図中の破線で示される方向に沿って、
図15で説明する取付金具9で上下方向に並ぶように取り付けられている。
図14の取付態様では、ルーバー材D型(8D)の取り付け間隔は、上にあるルーバー材D型(8D)と下にあるルーバー材D型(8D)が、正面視で重なる間隔であり、側面視で上にあるルーバー材D型(8D)と下にあるルーバー材D型(8D)の間に内側に通じる通風開口826(縦隙間)が空くような間隔で取り付けられている。
【0077】
側面視で、上にあるルーバー材D型(8D)と下にあるルーバー材D型(8D)との間には、下隙間827ができ、矢印で示すように外側から内側に向かって風が吹き込む。また、外側から内側が見えないようになっており、通風性はあるが、外側から内側が見えない通風・目隠し部22となっている。
実施例2では、上にあるルーバー材D型(8D)の下端8bと下にあるルーバー材D型(8D)の上端8aが、正面視で丁度重なる取り付け間隔(ピッチ)としており、通風・目隠し部22とする態様にあって通風開口826(縦隙間)の幅が最大となる取り付け間隔となっている。
通風性を抑えたい場合は、取り付け間隔(ピッチ)を狭めることで、通風開口826(縦隙間)の幅を狭くすることが可能である。
【0078】
[取付金具の抱え込み部]
図15はルーバー材D型(8D)の取り付け説明図であり、
図15(A)はルーバーパネル体2と取付金具9の説明図であり、
図15図(B)は
図15(A)中の枠a内の拡大図であり、
図15(C)は
図15(A)中のA-A間の断面図である。一枚一枚のルーバー材D型(8D)が所定間隔となるよう中骨材86と取付金具9に取り付けられルーバーパネル体2となるため、中骨材86に加えて取付金具9も支持部材3ということもできる。このように、支持部材3は、取付金具9のように他の機能を兼ね備えていてもよい。
取付金具9は現場施工時に取り付けてもよいし、工場で取り付けられていてもよい。
取付金具9は、高架5の下の足場7の適宜な部材に固定できるが、実施例2では、鈑桁(高架下部材)51に補助材774を介して取り付けたH型鋼を下地材95とする態様を採用している(
図4の枠a内拡大図参照)。
図15(B)においてハッチングで示した取付金具9は、複数のルーバー材D型(8D)を上下方向に取り付けることができるように、長尺な金具であり、ルーバーパネル体2の側面となる。また、取付金具9はルーバー材D型(8D)の側方を抱え込む抱え込み部91を有する。抱え込み部91は、突出部911、見込み壁部913と当接部93の3つの領域で構成されている。抱え込み部91の見込み壁部913は、ルーバー材D型(8D)の側面を覆うものであり、見込み壁部913からルーバー材D型(8D)の側面に向かって打ち込まれるタッピングネジ912を有する。ルーバー材D型(8D)の傾斜面部82の内側には、タッピングホール823が設けられている。見込み壁部913からタッピングネジ912をルーバー材D型(8D)のタッピングホール823に向けて打ち込むことで、取付金具9に取り付けられる。
【0079】
取付金具9を用いたルーバーパネル体2が左右に並べて構造物1に取り付けた場合にあっては、
図15(A)に示すように右と左のルーバーパネル体2の両タッピングネジ912が向かい合って当接するように取り付けられることが好ましい。同じ位置にあるタッピングネジ912どうしが向かい合って当接することで、タッピングネジ912が緩んでしまうことを防止できる。
【0080】
見込み壁部913に繋がる当接部93は、突起や突条のような形状をしていてもよく、面である必要はない。見込み壁部913に繋がる当接部93と突出部911の間にルーバー材D型(8D)に側壁(被取付部)が挟まれることで、ルーバー材D型(8D)の側壁が抱え込まれる。側壁が抱え込まれたルーバー材D型(8D)は、風を受けるとタッピングネジ912を軸として回動しようとする力が生じるが、ルーバー材D型(8D)を挟み込んだ当接部93と突出部911はその力に抗することができる。
【0081】
ルーバー材D型(8D)を抱え込み部91に取り付けるに際して、どのような取り付け手段を採るかは適宜である。例えば、ルーバー材D型(8D)に側壁(被取付部)を設けて、側壁と見込み壁部913を締結具で締結するなどしてもよい。
【0082】
[取付金具の当接部]
図15(B)には、当接部93と溝部92が拡大されて図示されている。取付金具9は、見込み壁部913に連接して当接部93を有する。当接部93は、ルーバー材D型(8D)の垂直片部88と当接してもよいし、垂下片部81と当接してもよく、一方のみと当接してもよいし両方と当接してもよい。
【0083】
[溝部]
取付金具9は、見込み壁部913に繋がる当接部93に隣接して溝部92を有している。溝部92は、取付金具9を下地材95に取り付けるためのものである。溝部92は、一端が抱え込み部91に連なる当接部93となっており、他端も当接部93となっている。溝部92の両側が当接部93となっているため、ルーバー材D型(8D)の裏面をしっかりと支える。なお、前記他端の当接部93は、実施例2では面状の当接面となっている。しかし、当接部93は、溝部92の溝壁の端面が直接ルーバー材D型(8D)の裏面に当接するだけで面状となっていないようなものでもよい。
【0084】
溝部92は、下地材95に取付金具9を固定するためのボルト923などの締結部材を納めるため設けられている。そのため溝部92の深さは、少なくともボルト923の頭を納めることのできる深さとなっている。
溝部92の底部921は、下地材95に当接しており、ボルト取付孔922が設けられている。溝部92の幅は、ボルト923の頭と略同径となっており、ボルト923の回り止めとして機能する。
【0085】
[下地材]
高架下足場7において、下地材95は鈑桁(高架下部材)51などに固定され、下地材95を介してルーバーパネル体2となったルーバー材D型(8D)が取り付けられる。下地材95は、風などに晒されるルーバーパネル体2を支えるため、H型鋼など高い強度ものとすることが好ましい。
【0086】
[中骨材]
図15(C)は、
図15(A)のA-A間の断面図である。A-A間は、丁度中骨材86(支持部材)が複数のルーバー材D型(8D)を裏打ちしている箇所であり、断面図ではあたかも閉塞されているようにみえるが、実際には
図15(A)に図示されているように、中骨材86(支持部材)を挟んでルーバー材D型(8D)の両側は通風開口826(縦隙間)となっている。
前述したように、ルーバー材D型(8D)は、一対の取付金具9の抱え込み部91間に、両側から挟み込まれて取り付けられルーバーパネル体2となる。抱え込み部91とルーバー材D型(8D)は、抱え込み部91側からタッピングネジ912を打ち込むことで取り付けられているため、強風に晒されるなどすると、タッピングネジ912を軸に回転しようとする力がかかる。取付金具9に取り付けられたルーバー材D型(8D)は、抱え込み部91に抱え込まれているため容易に回転しないが、強風に晒されると抱え込み部91からルーバー材D型(8D)が外れ回転したり、外れないまでもタッピングネジ912が緩む可能性がある。これを防ぐため、帯状の板材であって強度の高い中骨材86(支持部材)が取り付けられる。中骨材86(支持部材)は、ルーバーパネル体2の左右幅方向の中間に取り付けることが好ましい。中骨材86(支持部材)は、取り付けられた複数のルーバー材D型(8D)を上下に連結し、個々のルーバー材D型(8D)が回転できないようにする。
前述したように支持部材3は、ルーバー材4をユニット化しルーバーパネル体2とする機能の部材であり、中骨材86もルーバー材4をユニット化する機能を果たすから、支持部材3ということもできる。
以上のように、支持部材3は、取付金具9であったり中骨材86であったり、形状、構造、取り付け位置等を問わないものである。
【0087】
[中骨材の固定]
中骨材86(支持部材)は、ルーバー材D型(8D)の垂下片部81とビス861で固定される。
図14に図示した上がわ縦面824、上がわ傾斜面821と垂下片部81とで囲まれた空間83は、垂下片部81を貫通して打ち込まれるビス861の先端を収めるための場所として機能する。空間83は、ルーバー材D型(8D)の傾斜面部82の上部側に位置しており、雨に晒されにくい場所となっている。そのため、空間83は、ビス861やビス861を打ち込んだビス穴を腐食などから守る。タッピングネジ912を軸に回転しようとする力の負荷を受ける中骨材86(支持部材)が、ビス861の腐蝕などによりルーバー材D型(8D)から外れてしまうことを防いでいる。
【0088】
[ルーバーパネル体の取り付け方]
多数のルーバー材D型(8D)を現場で組み立てることは作業効率が悪い。特に、
図3に図示されるように高架下の足場7は狭いため、多数のルーバー材D型(8D)を現場で組み立てることは作業効率を更に悪くする。
図15(A)のように、ルーバー材D型(8D)と取付金具9を事前に組立て、ルーバーパネル体2としておくことで、作業効率を上げることができる。また、取付金具9の溝部92の底部921にあるボルト取付孔922にボルト923を予め挿通させておくことで、更に現場での作業効率を更に上げることができる。ルーバーパネル体2に予め付けられているボルト923を下地材95に通して、別途用意したナット924で締結するだけでルーバーパネル体2の取付作業は終了する。
なお、取付金具9は、ルーバー材D型(8D)の取り付けに特化した特別な取付部材ではない。ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)のルーバーパネル体2を取り付けるのにも、取付金具9を用いることができる。
【0089】
[パネル板部]
図16は、ルーバー材D型(8D)をパネル板部87に取り付けた閉塞部23となる取付例である。
図15(A)の態様では中骨材86(支持部材)が使用されており、通風開口826(縦隙間)が中骨材86(支持部材)の両側に形成されていた。
図16の態様では、中骨材86(支持部材)に代えて、横幅がルーバー材D型(8D)と略同じパネル板部87(支持部材)を採用している。パネル板部87(支持部材)は、ルーバー材D型(8D)の背面を全面的に覆い、どこにも開口がない閉塞部23の態様となる。
図16の態様は、パネル板部87が支持部材3としても機能する例であり、支持部材3が形状、構造等を問わないことを示す一例である。
パネル板部87を支持部材3として用いたルーバーパネル体2の下地材95への取り付けは、
図15で説明した取付金具9により取り付けてもよいし、パネル板部87が強固であれば、パネル板部87と下地材95を直接締結して取り付けてもよい。
【0090】
(実施例3)
[ルーバー材E型]
図17はルーバー材E型(8E)の説明図である。
図16のルーバー材D型(8D)のルーバーパネル体2と比較すると、ルーバー材E型(8E)では、パネル板部87が、上下方向に所定間隔で離間した傾斜面部82を内側で一体に繋いでおり、一体成形されているところに第1の特徴がある。そのため、ルーバー材E型(8E)では、パネル板部87が支持部材3として機能し、ルーバー材E型(8E)自身がルーバーパネル体2となっている。
パネル板部87の最上端は、外側に向けて延びる上部横片部84が一つだけ形成されている。
ルーバー材E型(8E)は、閉塞部23にしかならない態様となるため、ルーバー材E型(8E)の上端8aに上部横片部84以外は、機能上必要がなく、かつ、外観上強い印象を与えないため省かれている。
また、ルーバー材E型(8E)は、タッピングホール823がすべての傾斜面部82の裏面に設けられていない。
このように、実施例3のルーバー材E型(8E)は、機能、外観に最低限必要な部材を残したものであり、一体成形することと相まってコスト低減を図ることができる。
【0091】
説明上、
図17では、ルーバー材E型(8E)の外観をルーバー材D型(8D)に似せたものとしたが、ルーバー材E型(8E)の外観は、ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)のいずれの型に似せてもよい。ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)を単独で観た場合、外観の印象は異なる。特に垂直片部42の長さが長いルーバー材C型(4C)は、ルーバー材A型(4A)とルーバー材B型(4B)と異なるため明らかに違うことが分かる。しかし、ルーバーパネル体2にしてしまうと、傾斜面部41の形状が強い印象を与え、垂直片部42は、上部に取り付けたルーバー材4の傾斜面部41に呑み込まれるなどして、取り付け間隔程度の違いとしか認識されず、外観に与える寄与率は低下する。加えて、下部横片部43はそもそも見えにくいため外観に与える寄与率は低い。さらに、ルーバー材4の内側は外側より暗く、採光口213があったとしても、閉塞部23と明暗の違いはそれほど目立たない。そのため、どの型のルーバー材4も取り付け間隔を除けば、区別が付きにくい。したがって、ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)のいずれか一つの型に模したルーバー材E型(8E)を用意し、ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(4C)から成るルーバーパネル体2と並べても配置しても、傾斜面部41の位置が揃うため、ほぼ外観が一致する。
ルーバー材4の取り付け間隔を変えることに備えて、傾斜面部82の取り付け間隔を変えたルーバー材E型(8E)を用意しておくことは、好ましい態様である。
【0092】
[ルーバー材E型の下地材への取り付け方]
図18は、ルーバー材E型(8E)の下地材95への取り付け説明図である。
実施例2の取付金具9を用いて、同様の手順で取り付けられる。異なる点としては、ルーバー材E型(8E)のタッピングホール823は、すべての傾斜面部82の内側に存在するわけではなく一つ置きに存在する。そのため、設置作業時の作業効率が向上する。
タッピングホール823と取付金具9は、タッピングネジ912で締結され、ルーバー材E型(8E)を側方から抱え込むように固定される。
【0093】
[ルーバー材E型の取り付け間隔]
図19は、ルーバー材E型(8E)の取り付け間隔(ピッチ)の説明図である。
上下に二つのルーバー材E型(8E)が鎖線で示した下地材95に取り付けられた状態を図示している。実施例3では、多数ある傾斜面部82の外観が等間隔に並ぶよう、上にあるルーバー材E型(8E)と下にあるルーバー材E型(8E)を取り付けると、熱伸び代89(縦隙間)ができるように上にあるルーバー材E型(8E)のパネル板部下端871と下にあるルーバー材E型(8E)の上部横片部84(上端8a)の位置が設定されている。熱伸び代89(縦隙間)は、夏季の高い気温に晒されたルーバー材E型(8E)が上下方向に熱伸びすることに備えた空隙であり、上にあるルーバー材E型(8E)のパネル板部下端871と下にあるルーバー材E型(8E)の上部横片部84(上端8a)が当接しないようにする。もちろん、上下のルーバー材E型(8E)をより大きく離間するように配置し通風開口826(縦隙間)としてもよい。
【0094】
上部横片部84は、このとき、側面視で上にあるルーバー材E型(8E)のパネル板部下端871とその下にあるルーバー材E型(8E)の上部横片部84との間にできた熱伸び代89(縦隙間)または通風開口826(縦隙間)の幅の長さを制限する。
【0095】
また、図示はしないが、実施例1のようなルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(8C)を模したルーバー材E型(8E)とする場合は、ルーバー材E型(8E)の最下端の傾斜面部82の下端8bに、機能的に重要なルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(8C)に存在する下部横片部43を設けてもよい。
ルーバー材A型(4A)~ルーバー材C型(8C)を模したルーバー材E型(8E)のルーバーパネル体2の下部横片部43は、側面視で上にあるルーバーパネル体2の下部横片部43とその下にあるルーバーパネル体2の上端8a(上部横片部84)との間にできた下隙間827の幅の長さを制限する。
本発明では、必要に応じルーバー材E型(8E)の最下端の傾斜面部82の下端8bに、下部横片部43を付ける態様を採り得る。
【0096】
[外観の統一性]
図20は、ルーバー材D型(8D)とルーバー材E型(8E)の使い分けの説明図であり、
図20(A)は上下で使い分ける例であり、
図20(B)は左右で使い分ける例である。
図20(A)の上部にはルーバー材D型(8D)が取り付けられており、上方の取付金具9は、複数のルーバー材D型(8D)を両側から支えて、支持部材3としての役割を果たしている。上部にあるルーバー材D型(8D)の取り付け間隔(ピッチ)は、通風・目隠し部22となる間隔で取り付けられている。
他方、下部には、ルーバー材E型(8E)が取り付けられている。
上部のルーバー材D型(8D)から成るルーバーパネル体2は、通風・目隠し部21となっているのに対し、下部のルーバー材E型(8E)から成るルーバーパネル体2は閉塞部23となっており、使い分けられている。
上部のルーバー材D型(8D)から成るルーバーパネル体2と下部のルーバー材E型(8E)から成るルーバーパネル体2は、外観に与える印象が強い傾斜面部82の形状が同じである。ルーバー材E型(8E)では、外観の寄与率が少ない部材(上部横片部84やタッピングホール823等)が一部省かれているが一見して区別が付かない。ルーバー材D型(8D)から成るルーバーパネル体2とルーバー材E型(8E)のルーバーパネル体2を並べて使用しても、統一感のある外観にできる。
【0097】
図20(B)は、ルーバーパネル体2を左右で使分けする説明図であり、左部はルーバー材D型(8D)から成るルーバーパネル体2であり通風・目隠し部22となっている。右部は、2枚のルーバー材E型(8E)を取付金具9で下地材95に取り付けたものであり閉塞部23となっている。右部と左部のそれぞれのルーバーパネル体2を下地材95に取付金具9を介して取り付けてしまえば、ルーバー材4の型が違っても左部と右部は同じに見え、区別が付かなくなる。
【0098】
以上のように、ルーバーパネル体2を設置しようとする構造物1の場所における要求、例えば、ここは通風・目隠し部22としたい、ここは閉塞部23したいなどの要求に応じることができる。ルーバー材D型(8D)とルーバー材E型(8E)のルーバーパネル体2は、外観が非常に類似しており、要求に応じつつ意匠の統一性を損なうことが無い。
【0099】
具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0100】
また、前述の実施例および多様な態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 構造物
2 ルーバーパネル体
21 通風・採光部
213 採光口
22 通風・目隠し部
221 下隙間
222 通風開口(縦隙間)
23 閉塞部
3 支持部材
4 ルーバー材
(4A) ルーバー材A型
(4B) ルーバー材B型
(4C) ルーバー材C型
41 傾斜面部
411 縦面
412 傾斜面部上部内側
413 傾斜面部裏隙間
42 垂直片部
421 上部横片部
422 垂直片部上端
43 下部横片部
45 取付部
451 袋部
46 締結材
5 高架
51 鈑桁(高架下部材)
52 路面材
53 脚部
7 足場
74 床材
75 横梁
77 横梁支持材
774 補助材
(8D) ルーバー材D型
(8E) ルーバー材E型
8a 上端
8b 下端
81 垂下片部
811 垂下片部下端
82 傾斜面部
821 上がわ傾斜面
822 中間部傾斜面
823 タッピングホール
824 上がわ縦面
825 下がわ縦面
826 通風開口(縦隙間)
827 下隙間
83 空間
84 上部横片部
86 中骨材
861 ビス
87 パネル板部
871 パネル板部下端
88 垂直片部
89 熱伸び代(縦隙間)
9 取付金具
91 抱え込み部
911 突出部
912 タッピングネジ
913 見込み壁部
92 溝部
921 底部
922 ボルト取付孔
923 ボルト
924 ナット
93 当接部
95 下地材