(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ワーク供給ロボット及びワーク供給システム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B25J15/04 A
(21)【出願番号】P 2021141211
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-222971(JP,A)
【文献】特開2015-071207(JP,A)
【文献】特開2020-203350(JP,A)
【文献】特表2018-518377(JP,A)
【文献】特開2020-097098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク載置台上に載置されたワークを前記ワーク載置台上から搬送可能に構成されたワーク供給ロボットにおいて、
支持アームと、
前記支持アームに対して固定して設けられ、前記ワークを保持する常設ロボットハンドと、
前記常設ロボットハンドと共に前記ワークを保持する拡張ロボットハンドと
を備え、
前記拡張ロボットハンドは、着脱可能に構成されて
おり、
前記支持アームは、前記拡張ロボットハンドを着脱可能な常設側着脱部を含み、
前記拡張ロボットハンドは、前記常設側着脱部に接続可能な拡張側着脱部を含み、前記拡張側着脱部を介して前記常設ロボットハンドから電力が供給されるよう構成されており、
前記常設側着脱部は、前記支持アームの側面に設けられており、
前記拡張側着脱部は、水平方向から前記常設側着脱部に接続されるよう構成されている
ワーク供給ロボット。
【請求項2】
ワーク載置台上に載置されたワークを前記ワーク載置台上から搬送可能に構成されたワーク供給ロボットにおいて、
支持アームと、
前記支持アームに対して固定して設けられ、前記ワークを保持する常設ロボットハンドと、
前記常設ロボットハンドと共に前記ワークを保持する拡張ロボットハンドと
を備え、
前記拡張ロボットハンドは、着脱可能に構成されており、
前記支持アームは、前記拡張ロボットハンドを着脱可能な常設側着脱部を含み、
前記拡張ロボットハンドは、前記常設側着脱部に接続可能な拡張側着脱部を含み、前記拡張側着脱部を介して前記常設ロボットハンドから電力が供給されるよう構成されており、
前記拡張ロボットハンドは、
前記常設ロボットハンドを境にして対向する第1拡張ハンド部及び第2拡張ハンド部と、
前記第1拡張ハンド部と前記第2拡張ハンド部とを連結する連結部と
を更に含み、
前記拡張側着脱部は、前記連結部に設けられている
ワーク供給ロボット。
【請求項3】
前記拡張ロボットハンドは、前記拡張側着脱部を境に左右対称に配置されている
請求項
1又は2に記載のワーク供給ロボット。
【請求項4】
前記常設ロボットハンドは、表面検出部を含み、
前記表面検出部は、前記ワークの表面を検出可能に構成されている
請求項1~
3のいずれか1項に記載のワーク供給ロボット。
【請求項5】
前記常設ロボットハンドは、材料検出部を含み、
前記材料検出部は、前記ワーク載置台に前記ワークが載置されているか否かを検出可能に構成されている
請求項1~
4のいずれか1項に記載のワーク供給ロボット。
【請求項6】
前記常設ロボットハンドは、前記ワーク載置台に積載された複数の前記ワークのうち、最上位の前記ワークの一端部をめくり上げるよう構成されている
請求項1~
5のいずれか1項に記載のワーク供給ロボット。
【請求項7】
前記拡張ロボットハンドは、前記ワーク載置台に積載された複数の前記ワークのうち、最上位の前記ワークの一端部をめくり上げるよう構成されている
請求項1~
6のいずれか1項に記載のワーク供給ロボット。
【請求項8】
ワーク載置台と、
前記ワーク載置台上に載置されたワークを前記ワーク載置台上から搬送可能に構成されたワーク供給ロボットとを備え、
前記ワーク供給ロボットは、支持アームと、前記支持アームに対して固定して設けられ、前記ワークを保持する常設ロボットハンドと、前記常設ロボットハンドと共に前記ワークを保持する拡張ロボットハンドとを備え、前記拡張ロボットハンドは、着脱可能に構成されており、
前記ワーク載置台は、前記拡張ロボットハンドを保管するための保管部を含
み、
前記保管部は、
ワーク載置台と交差する方向に延びる支柱と、
前記支柱の延在方向と交差する方向に延びる吊架部と
を有し、
前記拡張ロボットハンドは、
前記常設ロボットハンドを境にして対向する第1拡張ハンド部及び第2拡張ハンド部と、
前記第1拡張ハンド部と前記第2拡張ハンド部とを連結する連結部と
を更に含み、
前記吊架部は、前記拡張ロボットハンドの前記連結部を吊り下げられるよう構成されている
ワーク供給システム。
【請求項9】
前記ワーク載置台は、複数のワーク載置部を含み、
前記保管部は、前記複数のワーク載置部の間隙に配されている
請求項
8に記載のワーク供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク供給ロボット及びワーク供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板金曲げ加工装置において、ワークを自動的に取扱うために曲げロボットが使用されている(特許文献1等)。曲げロボットは、ロボットアームと、このロボットアームの先端のロボットヘッド部にワークを把持するためのグリッパを備えている。曲げ加工製品が複数の曲げ工程を有する場合は、その工程毎にグリッパがクランプすべきワークサイズや形状等が異なり、単一種類のグリッパでワークをクランプすることが不可能となる場合がある。そこで、プレスブレーキに近接して配設され、複数の交換用グリッパを備えたテーブルを有するグリッパ自動交換装置が利用されており、ここでロボットは所要のグリッパと交換するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の曲げロボットでは、グリッパ全体を交換する必要があるため、ワークを検出するために必要なセンサや、ワークの保持に必要な機構等を全ての交換用グリッパに搭載する必要があるという問題がある。また、センサ類や必要な機構を搭載する必要があることで、交換用グリッパの構成に制約が生まれ、拡張性に限界があるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、ロボットハンドを部分的に拡張可能なワーク供給ロボット及びワーク供給システムである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るワーク供給ロボットは、ワーク載置台上に載置されたワークを前記ワーク載置台上から搬送可能に構成されたワーク供給ロボットにおいて、支持アームと、前記支持アームに対して固定して設けられ、前記ワークを保持する常設ロボットハンドと、前記常設ロボットハンドと共に前記ワークを保持する拡張ロボットハンドとを備え、前記拡張ロボットハンドは、着脱可能に構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係るワーク供給システムは、上述したワーク供給ロボットと、ワーク載置台とを備え、前記ワーク載置台は、前記拡張ロボットハンドを保管するための保管部を含む。
【0008】
本発明の一態様によるワーク供給ロボット及びワーク供給システムによれば、着脱可能に構成された拡張ロボットハンドを備えることにより、ロボットハンド同士の共通構造の制約を受けずにロボットハンドを部分的に拡張することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るワーク供給ロボット及びワーク供給システムによれば、ロボットハンドを部分的に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のワーク供給ロボットを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のワーク供給ロボットを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のワーク供給ロボットを示す底面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す概略図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す側面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の拡張ロボットハンドを示す概略図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の拡張ロボットハンドを示す断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態のワーク供給システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[本実施形態に係る材料管理システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るワーク供給システム1を概説する。
図1に示すように、本実施形態に係るワーク供給システム1は、概略的には、ワーク載置台20と、ワーク載置台20上に載置されたワークWをワーク載置台20上から搬送可能に構成されたワーク供給ロボット10とを備える。
【0013】
図2及び
図3は、本実施形態のワーク供給ロボットを示す概略図である。
図4は、本実施形態のワーク供給ロボットを示す底面図である。
ワーク供給ロボット10は、
図2に示すように、支持アーム50と、支持アーム50に対して固定して設けられ、ワークWを保持する常設ロボットハンド100と、常設ロボットハンド100と共にワークWを保持する拡張ロボットハンド200とを備える。拡張ロボットハンド200は、
図3に示すように、着脱可能に構成されている。ワーク供給ロボット10は、
図4に示すように、拡張ロボットハンド200が装着された状態において、常設ロボットハンド100と拡張ロボットハンド200が一直線に並ぶよう構成されている。ワーク載置台20は、
図1に示すように、拡張ロボットハンド200を保管するための保管部40を含む。すなわち、ワーク供給システム1は、AGC(自動グリッパ交換装置:Auto Gripper Changer)を備えるワーク供給システムである。
【0014】
なお、本明細書において「保持」とは、ワークWの把持及び吸着を含む保持行為の総称であることを意味する。
【0015】
[ワーク供給ロボットの構成]
次にワーク供給ロボット10の各構成部材の詳細について説明する。
ワーク供給ロボット10は、
図1に示すように、ベースフレーム60と、門型の可動フレーム70と、キャリッジ80と、基幹部90とを更に備える。ベースフレーム60は、ワーク載置台20の後方において、ワーク載置台20の長手方向に延びる第1フレーム部62と、第1フレーム部62の両端部にそれぞれ取り付けられた一組の門型の第2フレーム部64とを含む。このような構成を備えるベースフレーム60は、ワーク載置台20をコの字型に囲うように設けられている。
【0016】
可動フレーム70は、
図1に示すように、ベースフレーム60の第2フレーム部64上にそれぞれ設けられ、垂直方向に延びる一組の第3フレーム部72と、ワーク載置台20の上方を跨ぐようにワーク載置台20の長手方向に延出し、両側の第3フレーム部72と連結する第4フレーム部74とを含む。可動フレーム70は、ベースフレーム60上を第2フレーム部64の延在方向に移動可能に構成されている。
【0017】
具体的には、ベースフレーム60の第2フレーム部64の上部に、直動機構(図示せず)が設けられており、直動機構の上部に直動機構に沿って移動自在に可動フレーム70が配されている。可動フレーム70は、第3フレーム部72の適宜位置に設けられたX軸モータ(図示せず)の駆動によりX軸方向へ移動する。また、可動フレーム70の第4フレーム部74には、キャリッジ80がY軸方向へ移動可能に設けられている。
【0018】
キャリッジ80は、可動フレーム70の適宜位置に設けられたY軸モータ(図示せず)の駆動によりY軸方向へ移動する。また、キャリッジ80は、キャリッジ80の適宜位置に設けられたZ軸モータ(図示せず)の駆動によりZ軸方向へ移動する。さらに、キャリッジ80は、基幹部90が取り付けられている。このような構成を備えることにより、基幹部90が、ワーク載置台20の上方において、キャリッジ80及び可動フレーム70を介してX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向へ移動可能となっている。
【0019】
基幹部90は、
図1及び
図2に示すように、底部に支持アーム50を取り付け可能に構成されると共に、支持アーム50をZ軸回りに回転させるための回転用モータ(図示せず)を有する。また、基幹部90は、X軸モータ、Y軸モータ、Z軸モータ及び回転用モータを制御可能に構成されている。すなわち、基幹部90は、可動フレーム70及びキャリッジ80の動作を制御可能に構成されている。基幹部90は、このような構成を備えることにより、支持アーム50ひいては支持アーム50に固定された常設ロボットハンド100をX,Y,Z軸方向に移動させ、Z軸回りに回転させることができる。
【0020】
以上の構成を備える基幹部90は、ワーク載置台20の後述するワーク載置部30に載置されたワークWにワーク供給ロボット10の常設ロボットハンド100が到達し、常設ロボットハンド100の後述する表面検出部170が常設ロボットハンド100とそのワークWとの接触を検出した際に、常設ロボットハンド100及び拡張ロボットハンド200がそのワークWを保持するように常設ロボットハンド100及び拡張ロボットハンド200を制御するよう構成されている。また、基幹部90は、保持したワークWを加工機等の搬送先に向けて搬送するように可動フレーム70及びキャリッジ80を制御するよう構成されている。
【0021】
図5は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す概略図である。
支持アーム50は、
図5に示すように、基幹部90の底部にZ軸回りに回転自在に垂設されており、下端部に常設ロボットハンド100が取り付けられている。また、支持アーム50は、拡張ロボットハンド200を着脱可能な常設側着脱部110を含む。さらに、支持アーム50は、矩形に形成されており、内部に常設ロボットハンド100及び常設側着脱部110に電力を供給するための配線と、後述するエア吸引源に接続された配管とを挿通可能な空間が設けられている。
【0022】
常設側着脱部110は、
図5に示すように、円柱状に形成された常設側台座112と、常設側台座112の表面の中央から延出した凸型接続部114とを有し、支持アーム50の側面52に設けられている。常設側台座112は、表面の周縁部に常設側電気接点(図示せず)と常設側給気ポート(図示せず)を有する。凸型接続部114は、拡張ロボットハンド200の後述する拡張側着脱部240の後述する凹型接続部244と係合可能に構成されている。
【0023】
常設側着脱部110は、このような構成を備えることにより、拡張側着脱部240と接続可能であり、拡張ロボットハンド200への電力供給及び拡張ロボットハンド200へのエア供給が可能に構成されている。
【0024】
[常設ロボットハンドの構成]
図6は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す概略図である。
常設ロボットハンド100は、
図5及び
図6に示すように、ワークWを保持可能な常設ハンド部120と、表面検出部170と、材料検出部180と、ストローク制御機構190と、表面検出部170、材料検出部180及びストローク制御機構190を覆う常設用カバー102とを含む。
【0025】
常設ハンド部120は、
図5及び
図6に示すように、複数(本実施形態において3つ)のエアシリンダ130と、エアシリンダ130に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成された吸着部140とを有する。また、常設ハンド部120は、めくり用エアシリンダ150と、めくり用エアシリンダ150に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成されためくり用吸着部160とを有する。
【0026】
エアシリンダ130は、
図6に示すように、ピストン(図示せず)と、ピストンロッド132と、シリンダチューブ134と、シリンダチューブ134の一端に取り付けられたヘッドカバー136と、表面検知用ロッド(図示せず)と、空気圧供給ポート(図示せず)とを有する単動式エアシリンダである。ピストンは、片面にピストンロッド132が取り付けられており、反対側の面に表面検知用ロッドが取り付けられている。ピストンは、シリンダチューブ134内に収められており、表面検知用ロッドが取り付けられた面がシリンダチューブ134のヘッドカバー136側を向いている。空気圧供給ポートは、エアを供給するエア供給源(図示せず)に配管を介して接続されている。
【0027】
エアシリンダ130は、空気圧供給ポートからシリンダチューブ134内に給気することで、シリンダとピストンロッド132が押し出され、空気圧供給ポートから排気することで、シリンダとピストンロッド132が引き込まれるように構成されている。また、エアシリンダ130は、給気及び排気をしていない状態において、吸着部140がワークW表面に接触すると、収縮するよう構成されている。ヘッドカバー136は、矩形部136aと、矩形部136aの中央を貫通する円筒部136bを有し、エアシリンダ130が収縮した際に、円筒部136bから表面検知用ロッドの先端部が露出するように構成されている。
【0028】
吸着部140は、
図6に示すように、エアシリンダ130のピストンロッド132の先端部に取り付けられており、エアを吸引するエア吸引源(図示せず)に配管を介して接続されている。吸着部140は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型の吸着パッド142を有しており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、ワーク載置台20に載置されたワークWの表面に吸着するよう構成されている。
【0029】
めくり用エアシリンダ150は、
図6に示すように、めくり用ピストン(図示せず)と、めくり用ピストンロッド152と、めくり用シリンダチューブ154と、めくり用シリンダチューブ154の一端に取り付けられためくり用ヘッドカバー156と、ストローク制御ロッド(図示せず)と、空気圧供給ポート(図示せず)とを有する単動式エアシリンダである。めくり用ピストンは、片面にめくり用ピストンロッド152が取り付けられており、反対側の面にストローク制御ロッドが取り付けられている。めくり用ピストンは、めくり用シリンダチューブ154内に収められており、ストローク制御ロッドが取り付けられた面がめくり用シリンダチューブ154のめくり用ヘッドカバー156側を向いている。めくり用空気圧供給ポートは、エア供給源に配管を介して接続されている。
【0030】
図7は、本実施形態の常設ロボットハンドを示す側面図である。
めくり用エアシリンダ150は、めくり用空気圧供給ポートからめくり用シリンダチューブ154内に給気することで、めくり用シリンダとめくり用ピストンロッド152が押し出され、めくり用空気圧供給ポートから排気することで、めくり用シリンダとめくり用ピストンロッド152が引き込まれるように構成されている。また、めくり用エアシリンダ150は、給気及び排気をしていない状態において、めくり用吸着部160がワークW表面に接触すると、収縮するよう構成されている。めくり用ヘッドカバー156は、
図7に示すように、矩形部156aと、矩形部156aの中央を貫通する円筒部156bを有し、めくり用エアシリンダ150が収縮した際に、円筒部156bからストローク制御ロッドの先端部が露出するように構成されている。
【0031】
めくり用吸着部160は、
図6及び
図7に示すように、めくり用エアシリンダ150のめくり用ピストンロッド152の先端部に取り付けられており、エア吸引源に配管を介して接続されている。めくり用吸着部160は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型のめくり用吸着パッド162を有しており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、ワーク載置台20に載置されたワークWの表面に吸着するよう構成されている。
【0032】
めくり用吸着パッド162は、吸着パッド142よりもパッドの径が大きい吸着パッドである。このような構成を備えることにより、吸着パッド142に比べてワークWへの吸着力が向上すると共に、ユーザがめくり用吸着パッド162を識別しやすくなる。
【0033】
表面検出部170は、ワークWの表面を検出可能に構成されている。表面検出部170は、表面検出センサ(図示せず)を有する。表面検出部170は、
図6及び
図7に示すように、支持アーム50の任意の位置に取り付けられており、表面検出センサは、吸着部140の吸着パッド142がワークWの表面に接触したことを検出することが可能に構成されている。なお、本明細書において、「ワークWの表面に接触した」には、ワークWの表面に完全に接触した場合に加え、ワークWの表面に接触したと評価し得る程度に近接した場合も含むこととする。
【0034】
具体的には、表面検出センサは、反射型の光電センサであり、エアシリンダ130のヘッドカバー136の上方に配され、エアシリンダ130の表面検知用ロッドと交差する方向に取り付けられている。表面検出部センサは、光電センサの投光素子から発せられた光が、エアシリンダ130のヘッドカバー136の円筒部136bから露出したエアシリンダ130の表面検知用ロッドの先端部によって反射され、その反射光を光電センサの受光素子が受光することで、エアシリンダ130の収縮を検出する。
【0035】
以上の構成を備える表面検出部170は、表面検出センサがエアシリンダ130の収縮を検出することで、ワークWの表面を検出するよう構成されている。なお、表面検出部170は、上述した構成に限定されず、ワークWの表面を検出可能な構成であれば、フォトリフレクタ、近接センサ、及び力覚センサ等の接触式のセンサ等も含め、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0036】
材料検出部180は、ワーク載置台20にワークWが載置されているか否かを検出可能に構成されている。具体的には、材料検出部180は、
図6に示すように、支持アーム50に取り付けられており、圧力センサ(図示せず)を有する。圧力センサは、エア吸引源と吸着部140にそれぞれ配管で接続されており、吸着部140の吸着パッド142がワークWに吸着したことを検出可能に構成されている。
【0037】
このような構成を備えることにより、材料検出部180は、吸着部140がワーク載置台20上のワークWに吸着した際に、圧力センサが真空状態になったことを検出することでワーク載置台20にワークWが載置されていることを検出する。また、吸着部140は、ワーク載置台20の表面に吸着しないため、ワーク載置台20にワークWが載置されていない場合、材料検出部180は、ワーク載置台20をワークWとして誤検出しない。
【0038】
ストローク制御機構190は、ピストン(図示せず)と、ピストンによって押し出されるストッパーピン(図示せず)とを有する。ストローク制御機構190は、
図6及び
図7に示すように、めくり用エアシリンダ150のめくり用ヘッドカバー156の上方に配され、めくり用エアシリンダ150のストローク制御ロッドと交差する方向からストッパーピンが突出するように取り付けられている。ストローク制御機構190は、めくり用エアシリンダ150の伸縮に合わせてピストンが伸縮し、ストッパーピンが移動する。具体的には、ストローク制御機構190は、めくり用エアシリンダ150が伸長すると、ピストンが収縮してストッパーピンが引き込まれ、めくり用エアシリンダ150が収縮すると、ピストンが伸長してストッパーピンが押し出される。
【0039】
以上の構成を備えるストローク制御機構190は、めくり用エアシリンダ150が収縮する際、すなわち、ワークWをめくり上げる際に、ストッパーピンがめくり用エアシリンダ150のめくり用ヘッドカバー156の円筒部156bから露出しためくり用エアシリンダ150のストローク制御用ロッドの先端部と干渉し、めくり用エアシリンダ150のストロークを制限するよう構成されている。このような構成を備えることにより、薄板材料のワークWをめくり上げる際に、めくり用エアシリンダ150が過剰にストロークしてワークWが変形することを防止できる。
【0040】
以上の構成を備える常設ロボットハンド100は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されている。具体的には、常設ロボットハンド100は、エアシリンダ130を最大に伸長させた状態において、吸着部140及びめくり用吸着部160を積載されたワークWに吸着させ、めくり用エアシリンダ150を収縮させることで、最上位のワークWをめくり上げる。
【0041】
[拡張ロボットハンドの構成]
図8は、本実施形態の拡張ロボットハンドを示す概略図である。
拡張ロボットハンド200は、
図2及び
図3に示すように常設ロボットハンド100を境にして対向する第1拡張ハンド部210及び第2拡張ハンド部220と、第1拡張ハンド部210と第2拡張ハンド部220とを連結する連結部230とを含む。また、拡張ロボットハンド200は、
図8に示すように、常設側着脱部110に接続可能な拡張側着脱部240を含む。拡張側着脱部240は、連結部230に設けられており、拡張ロボットハンド200は、拡張側着脱部240を境に概ね左右対称に配置されている。
【0042】
拡張側着脱部240は、
図8に示すように、円柱状に形成された拡張側台座242と、拡張側台座242の表面の中央に設けられた凹型接続部244とを有する。拡張側台座242は、表面の周縁部であって、支持アーム50の常設側着脱部110の常設側電気接点及び常設側給気ポートと対応する位置に、拡張側電気接点(図示せず)と拡張側給気ポート(図示せず)を有する。凹型接続部244は、支持アーム50の常設側着脱部110の凸型接続部114と係合可能に構成されている。
【0043】
このような構成を備える拡張側着脱部240は、拡張側台座242が連結部230の後述する表面233に取り付けられており、水平方向から常設側着脱部110に接続されるよう構成されている。拡張ロボットハンド200は、このような構成を備えることにより、拡張側着脱部240を介して常設ロボットハンド100から電力及びエアが供給されるよう構成されている。
【0044】
図9は、本実施形態の拡張ロボットハンドを示す断面図である。
第1拡張ハンド部210は、
図8及び
図9に示すように、バネ付きシャフト280と、めくり用バネ付きシャフト290と、吸着部250と、めくり用吸着部260と、バッファ機構270と第1拡張ハンド用カバー212とを有する。第2拡張ハンド部220は、複数(本実施形態において2つ)のバネ付きシャフト280と、吸着部250と、第2拡張ハンド用カバー222とを有する。
【0045】
バネ付きシャフト280及びめくり用バネ付きシャフト290は、
図9に示すように、それぞれ、シャフト部282,292と、シャフト部282,292に設けられたバネ部284,294とを有する。バネ部284,294は、第1拡張ハンド用カバー212及び第2拡張ハンド用カバー222に取り付けられている。シャフト部282,292は、第1拡張ハンド用カバー212及び第2拡張ハンド用カバー222に対して伸縮可能に構成されている。
【0046】
また、バネ付きシャフト280は、シャフト部282の先端部に吸着部250が取り付けられている。めくり用バネ付きシャフト290は、シャフト部292の先端部にめくり用吸着部260が取り付けられている。以上の構成を備えるバネ付きシャフト280及びめくり用バネ付きシャフト290は、吸着部250及びめくり用吸着部260がワークWの表面に接触すると収縮し、吸着部250及びめくり用吸着部260がワークW表面から離れると伸長するよう構成されている。
【0047】
吸着部250は、
図9に示すように、バネ付きシャフト280のシャフト部282の先端部に取り付けられており、拡張側着脱部240の拡張側給気ポートに配管を介して接続されている。吸着部250は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型の吸着パッド252を有しており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、ワーク載置台20に載置されたワークWの表面に吸着するよう構成されている。なお、本実施形態において、吸着パッド252は、常設ロボットハンド100の常設ハンド部120の吸着部140の吸着パッド142と同様の吸着パッドであるが、これに限定されず、他の吸着パッドでもよい。
【0048】
めくり用吸着部260は、
図9に示すように、めくり用バネ付きシャフト290のシャフト部292の先端部に取り付けられており、拡張側着脱部240の拡張側給気ポートに配管を介して接続されている。めくり用吸着部260は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型のめくり用吸着パッド262を有しており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、ワーク載置台20に載置されたワークWの表面に吸着するよう構成されている。なお、本実施形態において、めくり用吸着パッド262は、常設ロボットハンド100の常設ハンド部120のめくり用吸着部160のめくり用吸着パッド162と同様の吸着パッドであるが、これに限定されず、他の吸着パッドでもよい。
【0049】
バッファ機構270は、
図9に示すように、バッファ用エアシリンダ272と連結金具276を有する。バッファ用エアシリンダ272は、バッファ用ピストン(図示せず)と、バッファ用ピストンに取り付けられたバッファ用ピストンロッド(図示せず)と、バッファ用シリンダチューブ(図示せず)と、バッファ用シリンダチューブの一端に取り付けられたバッファ用ヘッドカバー(図示せず)とバッファ用空気圧供給ポート(図示せず)とを有する単動式エアシリンダである。バッファ用ピストンロッドは、先端部が連結金具276の一端部に取り付けられている。バッファ用空気圧供給ポートは、拡張側着脱部240の拡張側給気ポートに配管を介して接続されている。
【0050】
バッファ用エアシリンダ272は、バッファ用空気圧供給ポートからバッファ用シリンダチューブ内に給気することで、バッファ用シリンダとバッファ用ピストンロッドが押し出され、バッファ用空気圧供給ポートから排気することで、バッファ用シリンダとバッファ用ピストンロッドが引き込まれるよう構成されている。連結金具276は、一端部がバッファ用ピストンロッドに連結しており、他端部が、めくり用バネ付きシャフト290のシャフト部292に連結している。
【0051】
バッファ機構270は、このような構成を備えることにより、バッファ用エアシリンダ272のバッファ用ピストンロッドを押し出すことでめくり用バネ付きシャフト290を伸長させ、バッファ用エアシリンダ272のバッファ用ピストンロッドを引き込むことでめくり用バネ付きシャフト290を収縮させることができる。
【0052】
図10は、本実施形態の保管部を示す概略図である。
連結部230は、
図3に示すように、矩形の基部232と吊架部236を有し、基部232の一端部が第1拡張ハンド部210に連結されており、基部232の他端部が第2拡張ハンド部220に連結されている。基部232は、
図8に示すように、表面233の中央に拡張側着脱部240が取り付けられている。吊架部236は、
図10に示すように、基部232の裏面234から基部232と直交するように延出しており、位置決めピン238が設けられている。このような構成を備える連結部230は、ワーク載置台20の保管部40に吊架可能に構成されている。
【0053】
以上の構成を備える拡張ロボットハンド200は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されている。具体的には、拡張ロボットハンド200は、常設ロボットハンド100のエアシリンダ130及びめくり用エアシリンダ150を最大に伸長させた状態において、常設ロボットハンド100及び拡張ロボットハンド200の各吸着部を積載されたワークWに吸着させ、第1拡張ハンド部210のバッファ用エアシリンダ272を収縮させることで、最上位のワークWの一端部をめくり上げる。
【0054】
なお、拡張ロボットハンド200は、上述した構成に限定されず、種々の任意の形状及び構造を採用可能である。また、ワーク供給ロボット10は、様々な種類の拡張ロボットハンド200を着脱可能である。
【0055】
以上の構成を備えるワーク供給ロボット10は、常設ロボットハンド100と、拡張ロボットハンド200によってワーク載置台20に積載されたワークWを保持し、加工機等へ供給可能に構成されている。また、ワーク供給ロボット10は、保持するワークWの大きさや形状、保持位置等に応じて、常設ロボットハンド100のみでワークWを保持することや、様々な種類の拡張ロボットハンド200を装着してワークWを保持することができる。
【0056】
さらに、ワーク供給ロボット10は、常設ロボットハンド100の各エアシリンダ及び拡張ロボットハンド200の各バネ付きシャフトが独立して伸縮するよう構成されている。このような構成を備えることにより、ワークWが傾斜して積載されている場合であっても、傾斜に合わせて各エアシリンダ及び各バネ付きシャフトが伸縮することでワークWを保持することができる。
【0057】
[ワーク載置台の構成]
次にワーク載置台20の各構成部材の詳細について説明する。
ワーク載置台20は、
図1に示すように、複数(本実施形態において2つ)のワーク載置部30を含み、複数のワーク載置部30の間隙に保管部40が配されている。なお、ワーク載置部30は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0058】
保管部40は、
図1及び
図10に示すように、ワーク載置台20と交差する方向に延びる支柱42と、支柱42の延在方向と交差する方向に延びる吊架部44とを有する。本実施形態において、保管部40は、支柱42及び吊架部44を2組有するが、これに限定されない。支柱42及び吊架部44は、1組でもよいし、3組以上であってもよい。
【0059】
図11は、本実施形態の保管部を示す側面図である。
吊架部44は、
図10及び
図11に示すように、ワーク供給ロボット10の拡張ロボットハンド200を着脱可能に構成されている。具体的には、吊架部44は、位置決め穴46を有し、位置決め穴46に拡張ロボットハンド200の連結部230の吊架部236の位置決めピン238を挿入することにより、拡張ロボットハンド200の連結部230を吊り下げられるよう構成されている。
【0060】
2本の支柱42は、吊架部44にワーク供給ロボット10の拡張ロボットハンド200を吊架した状態において、支柱42の間をワーク供給ロボット10の常設ロボットハンド100が通過可能な距離だけ離間して設けられている。
【0061】
保管部40は、
図10及び
図11に示すように、支柱42の側面に取り付けられるガイドローラ48を更に有する。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200の着脱を容易にすると共に拡張ロボットハンド200をワーク載置台20に対して垂直に吊架することができる。
【0062】
以上の構成を備える保管部40は、ワーク載置台20の短手方向に拡張ロボットハンド200の長手方向が来るように拡張ロボットハンド200を保持しており、ワーク載置部30間の限られたスペースで拡張ロボットハンド200を保管することができる。
【0063】
[本実施形態に係る拡張ロボットハンドの着脱方法]
次に、本実施形態に係るワーク供給システム1におけるワーク供給ロボット10の拡張ロボットハンド200の着脱方法について説明する。なお、以下の説明においては、特に明記しない限り、ワーク供給ロボット10の動作は、ワーク供給ロボット10の基幹部90によって制御されるものとして説明する。
【0064】
図12は、本実施形態のワーク供給システムを示す概略図である。
まず、ワーク供給ロボット10は、
図12の状態からキャリッジ80がY軸方向に移動し、支持アーム50及び常設ロボットハンド100をワーク載置台20の2つのワーク載置部30の間隙に運ぶ。キャリッジ80の移動後、支持アーム50及び常設ロボットハンド100は、支持アーム50に設けられた常設側着脱部110がワーク載置台20の保管部40に保管されている拡張ロボットハンド200の拡張側着脱部240と対向するように、Z軸回りに回転する。
【0065】
続いて、ワーク供給ロボット10は、可動フレーム70がX軸方向に移動し、支持アーム50及び常設ロボットハンド100をワーク載置台20の保管部40に保管され拡張ロボットハンド200の前まで運ぶ。その後、ワーク供給ロボット10は、キャリッジ80をY軸方向及びZ軸方向に移動させることで、支持アーム50に設けられた常設側着脱部110を拡張ロボットハンド200の拡張側着脱部240に接続する。常設側着脱部110と拡張側着脱部240が接続することで、拡張ロボットハンド200が支持アーム50に装着される。
【0066】
その後、ワーク供給ロボット10のキャリッジ80がZ軸方向に上昇することで、ワーク載置台20の保管部40の吊架部44の位置決め穴46に挿入されていた拡張ロボットハンド200の連結部230の吊架部236の位置決めピン238が抜ける。位置決めピン238が抜けた後、ワーク供給ロボット10は、再び可動フレーム70がX軸方向に移動し、支持アーム50、常設ロボットハンド100及び拡張ロボットハンド200が保管部40から運ばれる。以上の工程により、ワーク供給システム1におけるワーク供給ロボット10の拡張ロボットハンド200の装着動作が実行される。また、拡張ロボットハンド200を取り外す際は、上述した工程と逆の順番で取外動作が実行される。
【0067】
[本実施形態に係るワーク供給ロボット及びワーク供給システムの利点]
以上説明したように、本実施形態に係るワーク供給ロボット10は、ワーク載置台20上に載置されたワークWをワーク載置台20上から搬送可能に構成されており、支持アーム50と、支持アーム50に対して固定して設けられ、ワークWを保持する常設ロボットハンド100と、常設ロボットハンド100と共にワークWを保持する拡張ロボットハンド200とを備え、拡張ロボットハンド200は、着脱可能に構成されている。
【0068】
そして、本実施形態に係るワーク供給ロボット10は、このような着脱可能に構成された拡張ロボットハンド200を備えることにより、ロボットハンド同士の共通構造の制約を受けずにロボットハンドを部分的に拡張することができ、また、この拡張部分をワークWに応じて任意に交換することができるという利点がある。
【0069】
また、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、支持アーム50は、拡張ロボットハンド200を着脱可能な常設側着脱部110を含み、拡張ロボットハンド200は、常設側着脱部110に接続可能な拡張側着脱部240を含み、拡張側着脱部240を介して常設ロボットハンド100から電力が供給されるよう構成されている。このような構成を備えることにより、拡張側着脱部240のみで拡張ロボットハンド200を接続し、電力供給するため、余計な配線の接続が不要となり、拡張ロボットハンド200の着脱によるダウンタイムを短くできるという利点を有している。
【0070】
さらに、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、常設側着脱部110は、支持アーム50の側面52に設けられており、拡張側着脱部240は、水平方向から常設側着脱部110に接続されるよう構成されている。このような構成を備えることにより、常設側着脱部110及び拡張側着脱部240に埃が溜まりにくくなり、常設側着脱部110及び拡張側着脱部240のロバスト性が向上し、拡張ロボットハンド200の着脱による不具合を減少させることができるという利点を有している。
【0071】
また、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、拡張ロボットハンド200は、常設ロボットハンド100を境にして対向する第1拡張ハンド部210及び第2拡張ハンド部220と、第1拡張ハンド部210と第2拡張ハンド部220とを連結する連結部230とを更に含み、拡張側着脱部240は、連結部230に設けられている。このような構成を備えることにより、1つの着脱部で常設ロボットハンド100の左右にロボットハンドを拡張できるという利点を有している。
【0072】
さらに、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、拡張ロボットハンド200は、拡張側着脱部240を境に概ね左右対称に配置されている。このような構成を備えることにより、ロボットハンドを左右対称に拡張することができ、ワークWの保持位置が拡張ロボットハンド200の配置によって制限されることがないという利点を有している。
【0073】
また、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、常設ロボットハンド100は、表面検出部170を含み、表面検出部170は、ワークWの表面を検出可能に構成されている。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を装着しているか否かに関わらずワークWの表面を検出できるという利点を有している。また、常設ロボットハンド100に表面検出部170を搭載し、拡張ロボットハンド200側の機能を必要最低限に留めることで、コストを削減することができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、常設ロボットハンド100は、材料検出部180を含み、材料検出部180は、ワーク載置台20にワークWが載置されているか否かを検出可能に構成されている。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を装着しているか否かに関わらずワーク載置台20にワークWが載置されているか否かを検出できるという利点を有している。また、常設ロボットハンド100に材料検出部180を搭載し、拡張ロボットハンド200側の機能を必要最低限に留めることで、コストを削減することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、常設ロボットハンド100は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されている。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を装着しているか否かに関わらず最上位のワークWの一端部をめくり上げることができるという利点を有している。
【0076】
さらに、本実施形態に係るワーク供給ロボット10において、拡張ロボットハンド200は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されている。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を装着して大型のワークWを保持する際に、大型のワークWの端部をめくり上げることができるという利点を有している。
【0077】
本実施形態に係るワーク供給システム1は、上述したワーク供給ロボット10と、ワーク載置台20とを備え、ワーク載置台20は、拡張ロボットハンド200を保管するための保管部40を含む。このような構成を備えることにより、ワーク載置台20上で拡張ロボットハンド200の着脱ができるため、ワーク供給ロボット10の可動範囲を従来よりも拡大する必要がなく、また、従来と変わらない作業空間で拡張ロボットハンド200の着脱を行うことができるという利点を有している。
【0078】
また、本実施形態に係るワーク供給システム1において、ワーク載置台20は、複数のワーク載置部30を含み、保管部40は、複数のワーク載置部30の間隙に配されている。このような構成を備えることにより、ワーク載置台20が大型化することを防ぐことができるという利点を有している。
【0079】
さらに、本実施形態に係るワーク供給システム1において、保管部40は、ワーク載置台20と交差する方向に延びる支柱42と、支柱42の延在方向と交差する方向に延びる吊架部44とを有する。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を吊るして保管することが可能となり、保管部40を小型化できるという利点を有している。
【0080】
また、本実施形態に係るワーク供給システム1において、吊架部44は、拡張ロボットハンド200の連結部230を吊り下げられるよう構成されている。このような構成を備えることにより、拡張ロボットハンド200を連結部230のだけで吊り下げるため、簡易的な構造で保管できると共に、保管部40から拡張ロボットハンド200を着脱するためにかかる時間が短くなるという利点を有している。
【0081】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0082】
例えば、上述した実施形態では支持アーム50は、拡張ロボットハンド200を着脱可能な常設側着脱部110を含み、拡張ロボットハンド200は、常設側着脱部110に接続可能な拡張側着脱部240を含み、拡張側着脱部240を介して常設ロボットハンド100から電力が供給されるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。拡張ロボットハンド200を着脱可能な構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。また、拡張ロボットハンド200は、支持アーム50と常設ロボットハンド100の間に着脱可能に構成されてもよいし、常設ロボットハンド100に着脱可能に構成されてもよいし、基幹部90に着脱可能に構成されてもよい。
【0083】
上述した実施形態では、常設側着脱部110は、支持アーム50の側面52に設けられており、拡張側着脱部240は、水平方向から常設側着脱部110に接続されるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、常設側着脱部110は、支持アーム50の底面に設けられており、拡張側着脱部240は、垂直方向から常設側着脱部110に接続されるよう構成されてもよい。
【0084】
上述した実施形態では、拡張ロボットハンド200は、常設ロボットハンド100を境にして対向する第1拡張ハンド部210及び第2拡張ハンド部220と、第1拡張ハンド部210と第2拡張ハンド部220とを連結する連結部230とを更に含み、拡張側着脱部240は、連結部230に設けられているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、拡張ロボットハンド200は、1つの拡張ハンド部を含み、拡張側着脱部240は、その拡張ハンド部に設けられている等の種々の任意の構成を採用可能である。
【0085】
上述した実施形態では、拡張ロボットハンド200は、拡張側着脱部240を境に概ね左右対称に配置されているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、拡張ロボットハンド200は、拡張側着脱部240を境に左右非対称に配置されてもよい。
【0086】
上述した実施形態では、常設ロボットハンド100は、表面検出部170を含み、表面検出部170は、ワークWの表面を検出可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、常設ロボットハンド100は、表面検出部170を含まなくてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、常設ロボットハンド100は、材料検出部180を含み、材料検出部180は、ワーク載置台20にワークWが載置されているか否かを検出可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、常設ロボットハンド100は、材料検出部180を含まなくてもよい。
【0088】
上述した実施形態では、常設ロボットハンド100は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。常設ロボットハンド100は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されていなくてもよい。
【0089】
上述した実施形態では、拡張ロボットハンド200は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。拡張ロボットハンド200は、ワーク載置台20に積載された複数のワークWのうち、最上位のワークWの一端部をめくり上げるよう構成されていなくてもよい。
【0090】
上述した実施形態では、ワーク載置台20は、複数のワーク載置部30を含み、保管部40は、複数のワーク載置部30の間隙に配されているものとして説明したが、これに限定されない。保管部40は、ワーク載置部30の外側に隣接して設けられている等の種々の任意の構成を採用可能である。
【0091】
上述した実施形態では、保管部40は、ワーク載置台20と交差する方向に延びる支柱42と、支柱42の延在方向と交差する方向に延びる吊架部44とを有するものとして説明したが、これに限定されない。保管部40は、拡張ロボットハンド200を保管可能な構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。例えば、保管部40は、壁面でもよいし、床板でもよい。
【0092】
上述した実施形態では、吊架部44は、拡張ロボットハンド200の連結部230を吊り下げられるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、吊架部44は、拡張ロボットハンド200の第1拡張ハンド部210又は第2拡張ハンド部220を吊り下げられるよう構成されてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、ワーク供給ロボット10は、ガントリ型のロボットであることを前提として説明したが、これに限定されず、例えば、6軸多関節ロボット等であってもよい。ワーク供給ロボット10が6軸多関節ロボットである場合、支持アーム50は、6軸多関節ロボットのロボットアームを構成するアーム部に相当する。
【0094】
上述した実施形態では、常設ロボットハンド100の吸着部140の吸着パッド142とめくり用吸着部160のめくり用吸着パッド162は、異なる吸着パッドであるものとして説明したが、これに限定されず、同じ吸着パッドであってもよい。同様に、拡張ロボットハンド200の吸着部250の吸着パッド252とめくり用吸着部260のめくり用吸着パッド262も同じ吸着パッドであってもよい。
【0095】
上述した実施形態では、拡張ロボットハンド200の第2拡張ハンド部220は、第1拡張ハンド部210と異なる構成であるものとして説明したが、これに限定されず、第2拡張ハンド部220は、第1拡張ハンド部210と同様の構成を備えてもよい。
【0096】
常設ロボットハンド100のエアシリンダ130及びめくり用エアシリンダ150と、拡張ロボットハンド200のバッファ用エアシリンダ272は、単動式エアシリンダであるものとして説明したが、これに限定されず、これらのエアシリンダは、例えば、複動式エアシリンダであってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ワーク供給システム
10 ワーク供給ロボット
20 ワーク載置台
30 ワーク載置部
40 保管部
42 支柱
44 吊架部
46 位置決め穴
48 ガイドローラ
50 支持アーム
52 支持アームの側面
60 ベースフレーム
62 第1フレーム部
64 第2フレーム部
70 可動フレーム
72 第3フレーム部
74 第4フレーム部
80 キャリッジ
90 基幹部
100 常設ロボットハンド
102 常設用カバー
110 常設側着脱部
112 常設側台座
114 凸型接続部
120 常設ハンド部
130 エアシリンダ
132 ピストンロッド
134 シリンダチューブ
136 ヘッドカバー
136a 矩形部
136b 円筒部
140 吸着部
142 吸着パッド
150 めくり用エアシリンダ
152 めくり用ピストンロッド
154 めくり用シリンダチューブ
156 めくり用ヘッドカバー
156a 矩形部
156b 円筒部
160 めくり用吸着部
162 めくり用吸着パッド
170 表面検出部
180 材料検出部
190 ストローク制御機構
200 拡張ロボットハンド
210 第1拡張ハンド部
212 第1拡張ハンド用カバー
220 第2拡張ハンド部
222 第2拡張ハンド用カバー
230 連結部
232 基部
233 基部の表面
234 基部の裏面
236 吊架部
238 位置決めピン
240 拡張側着脱部
242 拡張側台座
244 凹型接続部
250 吸着部
252 吸着パッド
260 めくり用吸着部
262 めくり用吸着パッド
270 バッファ機構
272 バッファ用エアシリンダ
276 連結金具
280 バネ付きシャフト
282 シャフト部
284 バネ部
290 めくり用バネ付きシャフト
292 シャフト部
294 バネ部
W ワーク