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  • -郵便受け及び郵便受けを備えた構造物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】郵便受け及び郵便受けを備えた構造物
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A47G29/12 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021145857
(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公開番号】P2023038968
(43)【公開日】2023-03-20
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 珠代
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 みず紀
(72)【発明者】
【氏名】杉本 利夫
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-350714(JP,A)
【文献】特開2017-169958(JP,A)
【文献】実開平07-045000(JP,U)
【文献】実公昭47-020880(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00 - 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と前扉と上蓋を備え、
本体は、上面前側に投函口を有し、かつ、本体の上面が前後方向に連続した後下がりの傾斜面であり、
前扉は、本体の前面に開閉自在に取り付けてあり、
上蓋は、投函口を覆い、かつ、回転軸が本体上面の前後方向の中間位置であることを特徴とする郵便受け。
【請求項2】
請求項1に記載の郵便受けを備えた構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便受け及び郵便受けを備えた構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
後面が外壁や門柱などの構造物の前面に固定されることで設置される郵便受けがある。この郵便受けの使い勝手を良くすることが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、使い勝手の良い郵便受けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、本体と前扉と上蓋を備え、本体は、上面前側に投函口を有し、かつ、本体の上面が前後方向に連続した後下がりの傾斜面であり、前扉は、本体の前面に開閉自在に取り付けてあり、上蓋は、投函口を覆い、かつ、回転軸が本体上面の前後方向の中間位置であることを特徴とする郵便受けとすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
投函口からの雨水の浸入を防止することができ、また、本体上面に水が溜まることのない使い勝手の良い郵便受けを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の郵便受けの外観図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図2】第1実施形態の郵便受けの一部を外した右側面図である。
図3】第2実施形態の郵便受けの一部を外した右側面図である。
図4】第1本実施形態の郵便受けが取り付けられた門柱の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図5】第2実施形態の郵便受けが取り付けられた門柱の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態の郵便受けの外観図であって、図1(a)は上面図、図1(b)は正面図、図1(c)は右側面図である。図2は、第1実施形態の郵便受けの構成部品の一部を取り外した右側面図であり、内面に配置された各機構部等の仔細が分かり易いように一部を可視化させている。
【0009】
図1に示すように、第1実施形態の郵便受け100は、主として、本体1と前扉2と上蓋3により構成されている。本体1の後面が外壁や門柱などの構造物の前面に固定されることによって、郵便受け100が構造物に対して設置されることになる。前扉2は、投函された郵便物を取り出す取出口を開閉するために設けられている。図1(b)は、平面視においてコ字状の本体1の開放部であって、取出口として機能する前面部分を前扉2が塞いでいる様子を示している。本実施形態において、前扉2は、本体1の左右の側壁の前側下端部に、前扉ヒンジ21,21により回動自在に取り付けられており、これにより、前扉2は、郵便受け100に正対する者にとって手前側に倒れるよう前後方向に回動できるようにされている。また、前扉2は、所有者以外の者による郵便物の取出しを出来なくするダイヤル錠22を備えている。
【0010】
上蓋3は、郵便物を投入する際に開閉する蓋である。図1(c)に示されるように、上蓋3は、閉状態において本体1の上面のうち郵便受け100に正対する者にとって手前側の半分ほどの領域と、前扉2の側面上部とを覆うように設けられている。より具体的に、上蓋3は、本体1の上面の前後方向の中間位置を回転軸の位置として、上蓋ヒンジ31,31により、回動自在に取り付けられている。
【0011】
図2は、上蓋3を取り外して、上方に少し持ち上げた状態の様子を示した右側面図である。上蓋3が取り除かれていることで良く分かるように、本体1の上面は後下がりの傾斜面となっている。このため、本体1の上面には水が溜まることがなく、また、開放時に上蓋3の上面に雨水が溜まっていたとしても、それを後方に良好に逃がすことができる。
【0012】
本体1の上面の前後方向の中間位置には、上蓋用軸孔12が本体1の上面よりも上方に設けられている。具体的には、本体1の側面内面に別部材を接合して本体1から上方に立ち上げるようにして上蓋用軸孔12が設けられている。そして、上蓋用軸孔12よりも手前側の本体1の上面には、郵便物を郵便受け100内に投入するための投函口11が形成されている。このように、上蓋3は、投函口11を覆うことになるので、投函口11から雨水が侵入することがない。さらに、上蓋3は、本体1と前扉2との間も覆うことになるので、この箇所からの雨水の侵入の防止も図れるばかりか、前扉2は、上蓋3を閉状態としたままで、前方に開放することができる構造とされているため、雨水対策はさらに良好なものとなる。
【0013】
本体1の前後方向の中間位置の上蓋用軸孔12に上蓋ヒンジ31により回動自在に取り付けられている上蓋3は、本体1の上面の面積の略半分程の面積となり、重量が小さなものとなる。また、上蓋用軸孔12が上面よりも上方に設けられているため、上蓋3の上下高さが薄くなり、上蓋3の表面積をより小さくでき、上蓋3の軽量化にさらに貢献している。郵便受け100については、郵便物を投入し終えた後の上蓋3が自重により前に倒れて投函口11を閉鎖するという使用態様が想定されているところ、上蓋3の閉鎖時の振動や衝突音を抑えることができる。このように、上蓋3の軽量化は、郵便受け100の使い勝手の面で大きな意義を有するものである。
【0014】
上蓋ヒンジ31の構造により、上蓋用軸孔12を中心とする上蓋3の開放角度は一定角度以内となるように規制されており、郵便受け100が設置されることになる構造物の表面に上蓋3が干渉することはない。このため、見栄えの良い化粧が施された構造物の表面を傷つけたりする虞が全くない。
【0015】
前扉2は、本体1の左右の側壁の前側下端部に、前扉ヒンジ21,21により回動自在に取り付けられている。また、前扉ヒンジ21の近傍に位置する本体1の前方箇所には、前扉2の急激な開動作を妨げるべく、ダンパー14が設けられている。前扉2の下部がダンパー14を押しつつ、かつ、最終的には本体1の底面に当接することにより、前扉2の開放角度は一定角度(本実施形態においては40度程度)以内となるように規制されている。このため、郵便受け100の中に大量の郵便物が収容されていた場合であっても、その重量により郵便物が落下してしまう事態を未然に防ぐことができる。
【0016】
前扉2の上方でかつ中央位置には、あらかじめ設定された数字にダイヤルを合わせたときに解錠し、所有者以外の者が郵便物の取出しをすることが出来ないようにするダイヤル錠22が設けられている。また、ダイヤル錠22のやや上方に位置する本体1の前方箇所には、磁石の吸着力で閉めた前扉2を固定するマグネットキャッチ13が設けられており、前扉2の保持力を高めて前扉2がばたつかないようにしているので、ダイヤル錠22での施錠作業がし易くなっている。
【0017】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の郵便受けの構成部品の一部を取り外した右側面図であり、各機構部等の仔細が分かり易くなるように一部を可視化している。なお、第1実施形態と異なる箇所以外の部分については、第1実施形態と同じ番号を用いている。
第1実施形態の郵便受け100では、上蓋用軸孔12が本体1の上面よりも上方に設けられていたが、第2実施形態の郵便受け101の上蓋用軸孔12’は、本体1’の側面を穿つようにして本体1’内に設けられている。第1実施形態と比べると、上蓋用軸孔12’が下方位置とされるため、上蓋3’の上下高さが若干大きくなり、重量も若干大きくなるものの、本体1’の上面の傾斜角を小さくできるため、加工がし易くなるメリットがある。なお、第2実施形態では、上面下面ともに平行となるように加工されており、本体1’の下面も傾斜面となっている。このような本体1及び本体1’の下面の形状の違いも、第1実施形態と第2実施形態との違いとなる。
【0018】
(施工例)
図4は、第1本実施形態の郵便受けが取り付けられた門柱の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。門柱4の前面に郵便受け100の後面を固定することで設置がされている。門柱4には、表札5、インターフォン6、郵便受け100が上下に整然と配置されることによって、全体の見栄えを極めて良好なものとしている。
綺麗に加工された門柱4の表面や、表面が傷つき易い樹脂で形成されることの多いインターフォン6に郵便受け100の上蓋3が干渉することがないため、門柱4を長期に亘って美しいままで維持することが可能となっている。
図5は、第2本実施形態の郵便受けが取り付けられた門柱の外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。門柱4の前面に郵便受け101の後面を固定することで設置がされている。門柱4には、表札5、インターフォン6、郵便受け101が上下に整然と配置されることによって、全体の見栄えを極めて良好なものとしている。
綺麗に加工された門柱4の表面や、表面が傷つき易い樹脂で成型されることの多いインターフォン6に郵便受け101の上蓋3が干渉することがないため、門柱4を長期に亘って美しいままで維持することが可能となっている。
【0019】
以上、本発明に係る実施例の郵便受け及び郵便受けを前面に備えた構造物について、図面を参照して詳述し、その構造について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上蓋は水平に設置されるものとしたが、上蓋も後下がりの傾斜面として設置することで、雨水を溜まらせないようにする排水効果をさらに良好なものとすることができる。後下がりの傾斜面となる上蓋について、全体のフォルムという観点では、第2実施形態に馴染むものであろうが、第1実施形態に適用することも勿論可能である。
また、前扉は水平軸を中心に前後方向に回動自在の構成としたが、上蓋との干渉を考慮しつつ形状を調整すれば、垂直軸を中心に回動自在の構成とすることや、或いは、下方へのスライド可能構造や左右方向へのスライド可能構造としての引戸の構成とすることも可能である。
さらに、背景技術から通しての説明で明らかなように、郵便受けは、門柱に対して設置することに限られず、解決課題を共通のものとする外壁に対して設置するようにしても良いことは当然のことである。
【符号の説明】
【0020】
100 郵便受け
101 郵便受け
1 本体
1’ 本体
11 投函口
12 上蓋用軸孔
12’ 上蓋用軸孔
13 マグネットキャッチ
14 ダンパー
2 前扉
21 前扉ヒンジ
22 ダイヤル錠
3 上蓋
3’ 上蓋
31 上蓋ヒンジ
4 門柱
5 表札
6 インターフォン
図1
図2
図3
図4
図5