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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】作業具装着機構
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021147177
(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公開番号】P2023039852
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 槙
(72)【発明者】
【氏名】平川 幸志郎
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-198643(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03040482(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0233084(US,A1)
【文献】特開2020-172796(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0050266(KR,A)
【文献】特開昭58-013835(JP,A)
【文献】実開昭57-131945(JP,U)
【文献】実開平04-122753(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントローダのブームの先端部に設けられ、シリンダ本体、及び前記シリンダ本体に対して摺動可能に設けられたロッドを具備し、伸縮可能なシリンダと、
前記シリンダ本体及び前記ロッドにそれぞれ設けられ、前記シリンダの伸縮に応じて、前記ブームに脱着可能な作業具と係合可能な係合位置と、前記作業具と係合不能な係合解除位置と、に移動可能な係合部と、
前記シリンダを一方向から覆うカバー部と、
前記カバー部に固定され、前記シリンダが伸縮する際の所定の位置を超える前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制する規制部と、
を具備し、
前記係合部は、
前記シリンダ本体及び前記ロッドにそれぞれ連結される連結部と、
前記連結部から前記シリンダの伸縮方向に延設され、前記作業具と係合可能な延設部と、
を具備し、
前記規制部は、
前記連結部と当接することで、前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制し、
前記カバー部は、
前記係合部の位置を外部から視認可能な開口部を具備し、
前記開口部は、
前記係合位置に移動した前記連結部を外部から視認可能、かつ、前記係合解除位置に移動した前記連結部を外部から視認不能な位置に形成される、
作業具装着機構。
【請求項2】
前記規制部は、
前記シリンダを前記伸縮方向及び前記伸縮方向に垂直な方向から囲む枠状に形成される、
請求項1に記載の作業具装着機構。
【請求項3】
前記シリンダ本体又は前記ロッドと、前記連結部と、を固定する固定部をさらに具備し、
前記規制部は、
前記固定部と当接することで、前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制する、
請求項1又は請求項2に記載の作業具装着機構。
【請求項4】
前記固定部は、
前記シリンダ本体又は前記ロッドと、前記連結部と、を貫通するように設けられ、
前記規制部は、
前記シリンダ本体又は前記ロッド、並びに前記連結部を挟んだ前記固定部の両端部とそれぞれ当接することにより、前記シリンダの軸線方向回りの回動を規制する、
請求項3に記載の作業具装着機構。
【請求項5】
前記延設部は、
前記シリンダの軸線に対して偏心した位置に配置される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の作業具装着機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業具を装着するための作業具装着機構の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業具を装着するための作業具装着機構の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、バケット等の作業具をブームの先端に装着するための作業具装着機構を具備するフロントローダが開示されている。当該作業具装着機構は、ブーム側に設けられたロックピンをバケットに係合する、又は係合を解除することで、バケットを着脱することができる。具体的には、前記作業具装着機構は、回動操作可能なレバー部と、レバー部の回動操作に伴ってロックピンを移動させるリンク部とにより、ロックピンの係合及び係合の解除を切り替えることができる。
【0004】
特許文献1に記載の作業具装着機構では、リンク部によって比較的軽い操作力でロックピンを移動させることができる。しかしながら、前記作業具装着機構でバケットを着脱する場合、作業者が運転席から降りてからバケット近傍まで移動してレバー部を操作する必要があり、着脱の際の作業性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-172796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業性を向上させることが可能な作業具装着機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、ロントローダのブームの先端部に設けられ、シリンダ本体、及び前記シリンダ本体に対して摺動可能に設けられたロッドを具備し、伸縮可能なシリンダと、前記シリンダ本体及び前記ロッドにそれぞれ設けられ、前記シリンダの伸縮に応じて、前記ブームに脱着可能な作業具と係合可能な係合位置と、前記作業具と係合不能な係合解除位置と、に移動可能な係合部と、前記シリンダを一方向から覆うカバー部と、前記カバー部に固定され、前記シリンダが伸縮する際の所定の位置を超える前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制する規制部と、を具備し、前記係合部は、前記シリンダ本体及び前記ロッドにそれぞれ連結される連結部と、前記連結部から前記シリンダの伸縮方向に延設され、前記作業具と係合可能な延設部と、を具備し、前記規制部は、前記連結部と当接することで、前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制し、前記カバー部は、前記係合部の位置を外部から視認可能な開口部を具備し、前記開口部は、前記係合位置に移動した前記連結部を外部から視認可能、かつ、前記係合解除位置に移動した前記連結部を外部から視認不能な位置に形成されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記規制部は、前記シリンダを前記伸縮方向及び前記伸縮方向に垂直な方向から囲む枠状に形成されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記シリンダ本体又は前記ロッドと、前記連結部と、を固定する固定部をさらに具備し、前記規制部は、前記固定部と当接することで、前記シリンダ本体及び前記ロッドの伸縮方向への移動、及び前記シリンダの軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制するものである。
【0011】
請求項4においては、前記固定部は、前記シリンダ本体又は前記ロッドと、前記連結部と、を貫通するように設けられ、前記規制部は、前記シリンダ本体又は前記ロッド、並びに前記連結部を挟んだ前記固定部の両端部とそれぞれ当接することにより、前記シリンダの軸線方向回りの回動を規制するものである。
【0012】
請求項5においては、前記延設部は、前記シリンダの軸線に対して偏心した位置に配置されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、シリンダの伸縮を利用して作業具を着脱可能となり、作業性を向上させることができる。また、請求項1においては、規制部と連結部とを当接させることで、シリンダの移動又は回動を規制することができる。また、請求項1においては、開口部を介して係合部の位置を視認することができるため、現在の係合部の状態(係合位置と係合解除位置のどちらに位置しているのか)を容易に把握することができる。また、請求項1においては、開口部を介して連結部が視認できるかどうかを確認することで、係合部の状態(係合位置と係合解除位置のどちらに位置しているのか)を容易に把握することができる。
【0018】
請求項2においては、規制部を枠状に形成することで、当該規制部の強度の向上を図ることができる。
【0019】
請求項3においては、規制部と固定部とを当接させることで、シリンダの移動又は回動を規制することができる。
【0020】
請求項4においては、規制部を固定部の両端部と当接させることで、シリンダの回動を安定して規制することができる。
【0021】
請求項5においては、延設部とシリンダを相対的に偏心させることで、他の部材との干渉を避ける等、設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
図2】作業具装着機構及びバケットの構成を示した斜視図。
図3】作業具装着機構を示した分解斜視図。
図4】同じく、背面図。
図5】切替部を示した斜視図。
図6】同じく、正面図。
図7】切欠部を示した平面図。
図8】A1-A1における部分断面図。
図9】A2-A2における断面図。
図10】切替部を示した正面断面図。
図11】シリンダが収縮した状態の切替部を示した正面図。
図12】同じく、概略背面図。
図13】(a)左側の係合部を係合位置へ移動させた状態を示した概略背面図。(b)右側の係合部を係合位置へ移動させた状態を示した概略背面図。
図14】変形例に係る切替部を示した斜視図。
図15】同じく、拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0027】
以下では、本発明の一実施形態に係る作業具装着機構100を具備するトラクタ1の全体構成について説明する。
【0028】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、トランスミッションケース4、前輪5、後輪6、ボンネット7、キャビン8、ステアリングホイール9及びフロントローダ10を具備する。
【0029】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。当該エンジン3の後部には、トランスミッションケース4が固定される。機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪5に支持される。トランスミッションケース4の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪6に支持される。エンジン3はボンネット7に覆われる。
【0030】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース4に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪5に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪6に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪5及び後輪6が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
【0031】
エンジン3の後方にはキャビン8が設けられる。キャビン8の内部には、作業者が搭乗する居住空間が形成される。当該居住空間には、前輪5の切れ角を調節するためのステアリングホイール9、種々の操作具及び作業者が着座するための座席等が配置される。
【0032】
トラクタ1の前部には、フロントローダ10が装着される。フロントローダ10は、主として左右一対のフレーム11、左右一対のブーム12、バケット13及び作業具装着機構100を具備する。
【0033】
フレーム11は、トラクタ1の車体(機体フレーム2及びトランスミッションケース4)の左右にそれぞれ固定される。ブーム12は、フレーム11の上部にそれぞれ回動可能に支持される。ブーム12は、フレーム11の上部から前下方に向けて延びるように配置される。バケット13は、作業具装着機構100を介してブーム12の前端部に着脱可能に連結される。作業具装着機構100は、ブーム12の前端部に回動可能に設けられる。なお、作業具装着機構100の詳細な説明については後述する。
【0034】
ブーム12はブームシリンダ12aを伸縮させることで、フレーム11に対して回動させることができる。バケット13はバケットシリンダ12bを伸縮させることで、ブーム12に対して回動させることができる。このように、ブーム12及びバケット13を適宜回動させながら土砂の運搬作業等を行うことができる。バケット13は、前方に開口した形状とされている。図2に示すように、バケット13は、上側被係合部14及び下側被係合部15を具備する。
【0035】
上側被係合部14は、バケット13の後面の上側部分に設けられる部分である。上側被係合部14は、左右に間隔をあけて2つ設けられる。上側被係合部14には、後述する作業具装着機構100の連結軸部120に引っ掛け可能な凹部14aが形成される。
【0036】
下側被係合部15は、バケット13の後面の下側部分に設けられる部分である。下側被係合部15は、左右に間隔をあけて2つ設けられる。下側被係合部15は、板面を左右方向に向けた略板状に形成される。下側被係合部15には、左右方向に貫通する側面視略円状の貫通孔15aが形成される。
【0037】
以下では、図2から図11を用いて、作業具装着機構100の詳細について説明する。
【0038】
作業具装着機構100は、バケット13が着脱可能に装着されるものである。作業具装着機構100には、一対のブーム12の前端部が連結される(図1参照)。図2から図4に示すように、作業具装着機構100は、取付部110、連結軸部120、支持板部130、ガイド部140、ボス部150及び切替部160を具備する。
【0039】
取付部110は、ブーム12及びバケットシリンダ12bが取り付けられる部分である。取付部110は、作業具装着機構100の左端部及び右端部にそれぞれ設けられる。取付部110は、外側板部111及び内側板部112を具備する。以下では、左側の取付部110を例に挙げ、外側板部111及び内側板部112の構成を説明する。
【0040】
図3及び図4に示すように、外側板部111及び内側板部112は、板面を左右方向に向けた略板状に形成される。内側板部112は、外側板部111に対して右方に間隔をあけて配置される。外側板部111及び内側板部112の間には、ブーム12及びバケットシリンダ12bの先端部が配置される(不図示)。図3に示すように、外側板部111及び内側板部112は、ブーム連結孔部111a・112a及びシリンダ連結孔部111b・112bを具備する。
【0041】
ブーム連結孔部111a・112aは、外側板部111及び内側板部112を左右方向に貫通する孔である。ブーム連結孔部111a・112aは、外側板部111及び内側板部112の後下部に形成される。ブーム連結孔部111a・112aには、ブーム12に設けられた所定の連結軸が挿通される(不図示)。外側板部111及び内側板部112は、上記連結軸によりブーム12の先端部と連結される。
【0042】
シリンダ連結孔部111b・112bは、外側板部111及び内側板部112を左右方向に貫通する孔である。シリンダ連結孔部111b・112bは、外側板部111及び内側板部112の上部に形成される。シリンダ連結孔部111b・112bには、バケットシリンダ12bに設けられた所定の連結軸が挿通される(不図示)。外側板部111及び内側板部112は、上記連結軸によりバケットシリンダ12bの先端部と連結される。
【0043】
図2から図4に示す連結軸部120は、左右の取付部110を連結するものである。連結軸部120は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。連結軸部120は、上下に間隔をあけて2つ配置される。上下の連結軸部120は、左側の取付部110から右側の取付部110までに亘るように設けられる。上側の連結軸部120には、バケット13が作業具装着機構100に装着される際に、当該バケット13の上側被係合部14の凹部14aが引っ掛けられる。
【0044】
支持板部130は、後述するガイド部140及び切替部160を支持するための部分である。支持板部130は、複数の板状部材を組み合わせて形成される。図3及び図4に示すように、支持板部130には、第一板部131及び第二板部132が含まれる。
【0045】
第一板部131は、切替部160を支持する部分である。第一板部131は、左側の内側板部112から右側の内側板部112までに亘るように形成される。
【0046】
第二板部132は、ガイド部140を支持する部分である。第二板部132は、板面を略左右方向に向けて配置され、上側の連結軸部120から下側の連結軸部120までに亘るように形成される。第二板部132は、左右一対設けられる。
【0047】
ガイド部140は、後述するロックピン202の移動を案内するための部分である。ガイド部140は、軸線方向を左右方向に向けた略円筒状に形成される。ガイド部140は、左右一対設けられる。左右のガイド部140は、左右の第二板部132に支持される。
【0048】
ボス部150は、ロックピン202と係合される部分である。ボス部150は、軸線方向を左右方向に向けた略円筒状に形成される。ボス部150は、左右一対設けられる。左右のボス部150は、左右の内側板部112の前下部に固定される。左右のボス部150は、ガイド部140と同軸上に配置される。
【0049】
切替部160は、バケット13を作業具装着機構100から取り外し可能な状態と、取り外し不能な状態とを切り替えるための部分である。切替部160は、支持板部130に支持され、左右の第二板部132の間に配置される。図3図5及び図6に示すように、切替部160は、カバー部170、フレーム180、シリンダ190、係合部200及びジョイントロッド210を具備する。
【0050】
カバー部170は、切替部160の外郭を構成するものである。カバー部170は、前部が開口する略箱状に形成される。カバー部170は、後述するフレーム180やシリンダ190を後方から覆うように設けられる。またカバー部170は、後方から第一板部131に取り付けられる。カバー部170は、屈曲部171及び開口部172を具備する。
【0051】
屈曲部171は、上方へ屈曲するように形成される部分である。屈曲部171は、カバー部170の上部における左前部に形成される。こうしてカバー部170は、屈曲部171により上面の一部(左前部)が開口するように形成され、後述するシリンダ190の作動油を流通させる部材(ホースHや配管)を内側へ案内可能に形成される。
【0052】
図3及び図4に示す開口部172は、外部に開口する部分である。開口部172は、カバー部170の後部(後方を向く面)における左端部及び右端部にそれぞれ形成される。左右の開口部172は、カバー部170を前後に貫通するように形成される。左右の開口部172は、背面視略四角形状に形成される。
【0053】
図3図5及び図6に示すフレーム180は、シリンダ190の移動を規制するためのものである。フレーム180は、横部材181、縦部材182、中途部材183及び補助部材184を具備する。
【0054】
横部材181は、長手方向を左右方向に向けた板状の部材である。横部材181は、板面を上下方向に向けて配置される。また横部材181は、上下に間隔をあけて2つ配置される。図7及び図9に示すように、上側の横部材181は、切欠部181aを具備する。
【0055】
切欠部181aは、横部材181の前端部を切り欠いたように形成される。切欠部181aは、横部材181の左部(後述する補助部材184の下方)に形成される。また切欠部181aは、屈曲部171(図5参照)の後下方に形成される。切欠部181aの左右方向幅は、屈曲部171の左右方向幅と同程度の幅となるように形成される。
【0056】
図3及び図6に示す縦部材182は、長手方向を上下方向に向けた板状の部材である。縦部材182は、板面を左右方向に向けて配置される。縦部材182は、上下の横部材181の左端部及び右端部をそれぞれ接続するように、左右一対設けられる。こうしてフレーム180は、横部材181及び縦部材182により長手方向を左右方向に向けた正面視矩形の枠状に形成される。
【0057】
中途部材183は、横部材181の左右中途部に取り付けられる板状の部材である。中途部材183は、板面を略前後方向に向けて配置される。中途部材183は、上側の横部材181から下側の横部材181までに亘るように設けられる。中途部材183は、左右に間隔をあけて2つ配置される。
【0058】
図3図7及び図9に示す補助部材184は、ジョイントロッド210と当接可能な板状の部材である。当接部材は、長手方向を左右方向に向けて配置され、横部材181の切欠部181aを上方から覆うように設けられる。補助部材184は、前端部の前後位置が横部材181の前端部と略同一の位置となるように配置される。
【0059】
上述の如く構成されるフレーム180は、カバー部170の内側に配置され、当該カバー部170の内側面(後面)に固定される。こうしてフレーム180(横部材181)は、カバー部170の左端部から右端部までに亘るように設けられる。このように、フレーム180がカバー部170に固定されることにより、フレーム180とカバー部170を一体的に取り扱うことができるため、作業者は切替部160の組み付けやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0060】
図5及び図6に示すシリンダ190は、後述する係合部200を左右方向へ移動させるためのものである。シリンダ190は、フレーム180の内側に配置される。こうしてシリンダ190は、フレーム180により左右方向(後述するロッド192の伸縮方向)及び上下方向(ロッド192の伸縮方向に垂直な方向)の四方から囲まれる。シリンダ190は、油圧シリンダにより構成される。シリンダ190は、シリンダ本体191、及びロッド192を具備する。
【0061】
シリンダ本体191は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。シリンダ本体191は、フレーム180内に配置される。シリンダ本体191は、ポート191a、パイプ191b及び突出部191c(図10参照)を具備する。
【0062】
ポート191aは、作動油を流通させるホースH(図4参照)を接続するための部分である。ポート191aは、左右に間隔をあけて2つ設けられる。左右のポート191aは、シリンダ本体191の左端部にまとめて配置される。図5及び図9に示すように、左右のポート191aは、シリンダ本体191の外周面から前上方へ延出する。また左右のポート191aは、切欠部181aの前方に配置される。こうしてポート191aは、横部材181と干渉しないように設けられる。
【0063】
パイプ191bは、右側のポート191aからシリンダ本体191の右部へと作動油を導くためのものである。
【0064】
図10に示す突出部191cは、シリンダ本体191から左方へ突出する部分である。突出部191cは、シリンダ本体191の底部(左端部)に形成される。
【0065】
図5及び図6に示すロッド192は、シリンダ本体191から右方へ突出するように設けられる。ロッド192は、油圧によってシリンダ本体191に対して左右方向へ摺動することができる。
【0066】
上述の如く構成されるシリンダ190は、後述する係合部200を介してガイド部140に左右方向に移動可能に支持される。またシリンダ190は、キャビン8(図1参照)内に設けられた操作具の操作に応じて伸縮することができる。図2から図10には、シリンダ190が伸張した状態の切替部160を示している。また、図11には、シリンダ190が収縮した状態の切替部160を示している。
【0067】
係合部200は、シリンダ190の伸縮に応じて当該シリンダ190と一体的に移動する部材である。図10に示すように、係合部200は、シリンダ本体191の突出部191c及びロッド192にそれぞれ設けられる。こうして係合部200は、シリンダ190を挟んで左右一対設けられる。以下ではまず、左側の係合部200の構成を説明する。左側の係合部200は、連結部201及びロックピン202を具備する。
【0068】
図5図6及び図8に示すように、連結部201は、略直方体状の部材である。連結部201は、長手方向を前後方向に向けた側面視略矩形状に形成される。連結部201の背面(後面)は、カバー部170の開口部172より一回り大きく形成される(図12参照)。また連結部201の背面には、作業者が視認し易い色(例えば、カバー部170の後面及びシリンダ190のロッド192の色に対するコントラストが高い色)のラベルが貼り付けられる。図10に示すように、連結部201には、シリンダ本体191の突出部191cが挿入される。後述するように、連結部201は、ジョイントロッド210を介して突出部191cに連結される。
【0069】
図7及び図8に示すように、連結部201の後部は、フレーム180の内側に配置される。より詳細には連結部201の後部は、左側の縦部材182と左側の中途部材183との間に配置され、当該縦部材182及び中途部材183と側面視で重複するように配置される。また連結部201は、カバー部170の開口部172に対して高さ方向における位置を合わせて配置される。
【0070】
ロックピン202は、ボス部150に挿入可能な部材である(図13参照)。図5及び図6に示すように、ロックピン202は、軸線方向を左右方向に向けた円柱状に形成される。ロックピン202の左端部は、左方へ向かうにつれて縮径する先細り状に形成される。ロックピン202は、連結部201の左側面に固定され、連結部201から左方へ突出するように設けられる。こうしてロックピン202は、連結部201からシリンダ190の伸縮方向(左右方向)に延設される。当該ロックピン202は、図8に示すように、シリンダ190の軸線に対して偏心するように配置される。より詳細にはロックピン202は、シリンダ190の軸線に対して前方へずれた位置に配置される。
【0071】
また、ロックピン202は、図3及び図4に示すガイド部140及びボス部150と同軸上に配置される。またロックピン202は、左側のガイド部140に挿通され、当該ガイド部140に支持される。
【0072】
次に、右側の係合部200の構成について説明する。右側の係合部200は、左側の係合部200に対して左右対称に形成される。右側の連結部201には、ロッド192の先端部が挿通される。また、右側のロックピン202は、右側のガイド部140に支持される。こうして本実施形態では、左右のロックピン202を介してシリンダ190がガイド部140に支持されると共に、シリンダ190がフレーム180内を左右方向へ移動可能に設けられる。
【0073】
図8及び図10に示すジョイントロッド210は、連結部201を固定するためのものである。ジョイントロッド210は、左右の連結部201にそれぞれ設けられる。左側のジョイントロッド210は、左側の連結部201及びシリンダ本体191の突出部191cを上下に貫通するように配置される。これによって左側のジョイントロッド210は、シリンダ本体191及び左側の連結部201を固定する。また右側のジョイントロッド210は、右側の連結部201及びロッド192の先端部を上下に貫通するように配置される。これによって右側のジョイントロッド210は、ロッド192及び右側の連結部201を固定する。
【0074】
また、ジョイントロッド210の上部(連結部201から上方へ突出する部分)は、フレーム180の上側の横部材181と当接される。また、ジョイントロッド210の下部(連結部201から下方へ突出する部分)は、フレーム180の下側の横部材181と当接される。こうしてフレーム180は、シリンダ190の軸線回りの回動を規制することができる。
【0075】
次に、図1図2図12及び図13を参照し、上述の如く構成される作業具装着機構100の動作について説明する。なお、図12及び図13は、切替部160及びその周辺部材(ガイド部140等)を示した概略背面図である。以下では、バケット13を装着する場合を例に挙げ、作業具装着機構100の動作を説明する。また以下では、動作を開始する前の時点では、図12に示すように、作業具装着機構100のシリンダ190が収縮しているものとする。
【0076】
バケット13を装着する場合、作業者は図1に示すブームシリンダ12a及びバケットシリンダ12bを伸縮させて作業具装着機構100を移動させ、図2に示す上側の連結軸部120をバケット13の上側被係合部14(凹部14a)に引っ掛ける。また図12に示すように、作業者は、ガイド部140及びボス部150をバケット13の下側被係合部15(貫通孔15a)と同軸上に配置する。この際、ロックピン202は、下側被係合部15の左右内側方に配置される。
【0077】
作業者は、図12に示す状態でシリンダ190を伸張させる。これによってシリンダ本体191及びロッド192のうち、ロックピン202の摺動抵抗の小さい一方が他方よりも先に移動する。例えば、図13(a)に示すように、左側のロックピン202の摺動抵抗が小さい場合、シリンダ本体191が先に移動する。この際シリンダ本体191は左方へ移動し、当該移動に伴って左側の係合部200は左方へ移動する。
【0078】
これによってロックピン202は、バケット13の下側被係合部15に挿通されると共に、ボス部150に挿入される。こうして左側の係合部200は、バケット13と係合可能な係合位置に移動される。この状態からさらにシリンダ190を伸張させると、連結部201は、左側の縦部材182に接近して左側の縦部材182に当接する。これによってフレーム180は、シリンダ本体191及び左側の係合部200の移動を規制する。
【0079】
また、左側の係合部200の移動が規制された状態でシリンダ190をさらに伸張させると、図13(b)に示すように、右側の係合部200(摺動抵抗が大きい係合部200)が右方へ移動する。これに伴ってロックピン202は、下側被係合部15に挿通されると共に、ボス部150に挿入される。こうして右側の係合部200は、バケット13と係合可能な係合位置に移動される。この状態からさらにシリンダ190を伸張させると、シリンダ190が最大まで伸張し、連結部201は右側の縦部材182の近傍まで移動する。
【0080】
作業者は、このようにして左右の係合部200を係合位置に移動させることで、バケット13と取付部110とを固定してバケット13を取り外し不能な状態にすることができる。これによって作業者は、バケット13を作業具装着機構100に装着することができる。
【0081】
また、左右の係合部200を係合位置に移動させることで、連結部201は開口部172と対向する位置まで移動する。こうして作業者は、後方から開口部172を介して連結部201の背面(着色されたラベル)を視認することができる。これによって作業者は、係合部200が係合位置に移動したことを確認することができる。特に本実施形態では、カバー部170の左右両端部に開口部172が形成されているため、運転席に座った作業者が開口部172を視認する際に、ボンネット7が邪魔になり難くなる。これによって作業者は、開口部172(連結部201)を視認し易くなる。
【0082】
また、シリンダ190に接続されるホースHや配管は、カバー部170の左上部から内部へまとめて案内される(図4参照)。これによって運転席から開口部172を視認する際にホースH等が邪魔にならないため、利用者は開口部172を容易に視認することができる。
【0083】
なお、バケット13を取り外す場合、作業者は、バケット13を装着する場合とは反対の操作を行う。より詳細には、作業者は、まずシリンダ190を収縮させる。この際、図13(b)に示すシリンダ本体191及びロッド192のうち、ロックピン202の摺動抵抗の小さい一方が他方よりも先に移動する。
【0084】
例えば、図13(a)に示すように、右側のロックピン202の摺動抵抗が小さい場合、ロッド192が先に移動する。当該移動に伴って右側のロックピン202は、左方へ移動し、ボス部150及び下側被係合部15から引き抜かれる。こうして、右側の係合部200は、係合位置からバケット13と係合不能な係合解除位置へ移動される。この状態からさらにシリンダ190を収縮させると、連結部201が右側の中途部材183に当接してロッド192の移動は規制される。その後シリンダ本体191が右方へ移動して左側のロックピン202がボス部150等から引き抜かれ、左側の係合部200は、係合位置から係合解除位置へ移動される。
【0085】
左右の係合部200がこのようにして係合解除位置へ移動されると、連結部201は、開口部172に対して左右にずれた位置に移動される。したがって作業者は、後方から開口部172を介して連結部201の背面を視認することができなくなる。よって作業者は、開口部172を介して連結部201が視認できないことを確認することで、係合部200が係合解除位置に移動したことを把握できる。
【0086】
また作業者は、左右のロックピン202がボス部150及び下側被係合部15から引き抜かれた状態(バケット13を取り外し可能な状態)で、作業具装着機構100を適宜移動させる。これにより作業者は、バケット13の上側被係合部14(図2参照)と作業具装着機構100の連結軸部120との係合を解除し、バケット13をブーム12から取り外すことができる。
【0087】
このように、本実施形態の作業具装着機構100は、シリンダ190の伸縮を利用して、運転席からバケット13の着脱を楽に行うことができ、バケット13を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0088】
また、作業具装着機構100は、1本のロッド192を有するシリンダ190(いわゆる、シングルロッドシリンダ)で、2つの係合部200を移動させることができる。これによって例えば2本のロッドを有する比較的高価なシリンダ(いわゆる、デュアルロッドシリンダ)等を用いる必要がなくなるため、コストの低減を図ることができる。
【0089】
またフレーム180は、シリンダ本体191及びロッド192の左右方向への移動をそれぞれ規制する。これにより1本のロッド192を有するシリンダ190で係合部200を移動させる場合に、当該係合部200の係合位置及び係合解除位置への切り替えを適切に行うことができる。また、ロックピン202がガイド部140から抜ける等の不具合の発生を防止することができる。
【0090】
またフレーム180は、シリンダ190の回動を規制する。これにより、シリンダ190の姿勢(回動位置)を安定させることができる。これによって、シリンダ190に設けられたポート191aや、シリンダ190に接続されたホースH等が、他の部材と干渉する等の不具合の発生を防止することができる。
【0091】
このように、フレーム180によってシリンダ本体191等の左右方向への移動及び回動を規制することで、当該移動や回動に伴う不具合(ロックピン202がガイド部140から抜ける不具合やホースHが干渉する不具合等)の発生を効果的に防止することができる。
【0092】
またシリンダ本体191は、シリンダ190の伸縮に伴って左右方向へ移動する。当該移動に伴って、ポート191aも同一方向へ移動する。本実施形態では、横部材181に切欠部181aを形成することで横部材181とポート191aとの間に隙間を形成し(図9参照)、ポート191aが横部材181に対して干渉するのを防止することができる。
【0093】
また、横部材181に切欠部181aを設けると、ジョイントロッド210が切欠部181aの前方に位置した際に、ジョイントロッド210が横部材181に当接不能となる。よって切欠部181aが形成された部分では横部材181でジョイントロッド210の回動を規制することができず、シリンダ190が回動するおそれがある。そこで本実施形態では切欠部181aを覆う補助部材184を設け、切欠部181aの前方に位置したジョイントロッド210に対して補助部材184を当接させている。このような構成により、ジョイントロッド210の位置に関わらずジョイントロッド210とフレーム180とを当接させ、シリンダ190の回転を規制することができる。
【0094】
またカバー部170は、シリンダ190を覆うように設けられる。これによって、シリンダ190が汚れたり、シリンダ190が異物と干渉したりするのを防止することができる。
【0095】
以上の如く、本実施形態に係る作業具装着機構100は、フロントローダ10のブーム12の先端部に設けられ、シリンダ本体191、及び前記シリンダ本体191に対して摺動可能に設けられたロッド192を具備し、伸縮可能なシリンダ190と、前記シリンダ本体191及び前記ロッド192にそれぞれ設けられ、前記シリンダ190の伸縮に応じて、前記ブーム12に脱着可能なバケット13(作業具)と係合可能な係合位置と、前記バケット13と係合不能な係合解除位置と、に移動可能な係合部200と、前記シリンダ190を一方向(後方)から覆うカバー部170と、前記カバー部170に固定され、前記シリンダ190が伸縮する際の所定の位置を超える前記シリンダ本体191及び前記ロッド192の伸縮方向(左右方向)への移動、及び前記シリンダ190の軸線方向回りの回動の少なくとも一方を規制する(本実施形態では左右方向の移動及び回動をそれぞれ規制する)フレーム180(規制部)と、を具備するものである。
【0096】
このように構成することにより、シリンダ190の伸縮を利用してバケット13を着脱可能となる。これによって例えば、作業者が運転席から降りることなくバケット13を楽に着脱可能となり、着脱の際の作業性を向上させることができる。
また、シリンダ本体191及びロッド192の伸縮方向への移動やシリンダ190の回動を規制することで、当該移動や回動に伴う不具合(ロックピン202がガイド部140から抜ける不具合やホースHが干渉する不具合等)の発生を防止することができる。
【0097】
また、前記フレーム180は、前記シリンダ190を前記伸縮方向及び前記伸縮方向に垂直な方向(上下方向)から囲む枠状に形成されるものである(図12参照)。
【0098】
このように、フレーム180を枠状に形成することで、当該フレーム180の強度の向上を図ることができる。
【0099】
また、前記係合部200は、前記シリンダ本体191及び前記ロッド192にそれぞれ連結される連結部201と、前記連結部201から前記シリンダ190の伸縮方向に延設され、前記バケット13と係合可能なロックピン202(延設部)と、を具備し、前記フレーム180は、前記連結部201と当接することで、前記シリンダ本体191及び前記ロッド192の伸縮方向への移動、及び前記シリンダ190の軸線方向回りの回動の少なくとも一方(本実施形態では伸縮方向への移動)を規制するものである(図12参照)。
【0100】
このように、フレーム180と連結部201とを当接させることで、シリンダ190の移動又は回動を規制することができる。
【0101】
また、前記作業具装着機構100は、前記シリンダ本体191又は前記ロッド192と、前記連結部201と、を固定するジョイントロッド210(固定部)をさらに具備し、前記フレーム180は、前記ジョイントロッド210と当接することで、前記シリンダ本体191及び前記ロッド192の伸縮方向への移動、及び前記シリンダ190の軸線方向回りの回動の少なくとも一方(本実施形態では軸線方向回りの回動)を規制するものである(図8参照)。
【0102】
このように、フレーム180とジョイントロッド210とを当接させることで、シリンダ190の移動又は回動を規制することができる。
【0103】
また、前記ジョイントロッド210は、前記シリンダ本体191又は前記ロッド192と、前記連結部201と、を貫通するように設けられ、前記フレーム180は、前記シリンダ本体191又は前記ロッド192、並びに前記連結部201を挟んだ前記ジョイントロッド210の両端部とそれぞれ当接することにより、前記シリンダ190の軸線方向回りの回動を規制するものである(図8参照)。
【0104】
このように、フレーム180をジョイントロッド210の両端部と当接させることで、シリンダ190の回動を安定して規制することができる。
【0105】
また、前記ロックピン202は、前記シリンダ190の軸線に対して偏心した位置に配置されるものである(図8参照)。
【0106】
このように、ロックピン202とシリンダ190を相対的に偏心させることで、他の部材との干渉を避ける等、設計の自由度を高めることができる。
【0107】
また、前記カバー部170は、前記係合部200の位置を外部から視認可能な開口部172を具備するものである(図4参照)。
【0108】
このように構成することにより、現在の係合部200の状態(係合位置と係合解除位置のどちらに位置しているのか)を容易に把握することができる。
【0109】
また、前記開口部172は、前記係合位置に移動した前記連結部201を外部から視認可能、かつ、前記係合解除位置に移動した前記連結部201を外部から視認不能な位置に形成されるものである(図12及び図13参照)。
【0110】
このように構成することにより、係合部200の状態(係合位置と係合解除位置のどちらに位置しているのか)を容易に把握することができる。
【0111】
なお、本実施形態に係るバケット13は、本発明に係る作業具の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るフレーム180は、本発明に係る規制部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るロックピン202は、本発明に係る延設部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るジョイントロッド210は、本発明に係る固定部の実施の一形態である。
【0112】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0113】
例えば、本実施形態では、作業具装着機構100を、作業具としてのバケット13を装着するものとしたが、このような態様に限られない。作業具装着機構100は、フォークやベールグラブ、コンテナ等、種々の作業具を装着可能である。
【0114】
また、フレーム180は、シリンダ190の左右方向への移動及びシリンダ190の回動をそれぞれ規制するものとしたが、これに限定されるものではなく、前記移動及び回動の少なくとも一方を規制するものであればよい。例えばフレーム180は、シリンダ190の左右方向への移動及びシリンダ190の回動のうち、左右方向への移動のみを規制するものでもよい。こうしてシリンダ190の左右方向への移動を規制する場合には、シリンダ190の回動がフレーム180以外の部材によって規制されてもよい。具体的にはシリンダ190の回動は、ロックピン202及びガイド部140をスプライン嵌合させること等によって規制されてもよい。
【0115】
また、フレーム180は、連結部201と当接することでシリンダ190の左右方向の移動を規制するものとしたが、これに限定されるものではなく、連結部201と当接することでシリンダ190の回動を規制してもよい。例えばフレーム180は、連結部201の上面及び下面に横部材181の内側面を当接させることで、シリンダ190の回動を規制してもよい。
【0116】
また、フレーム180は、枠状に形成されるものとしたが、フレーム180の形状は特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【0117】
また、カバー部170の開口部172は、係合位置に移動した連結部201を視認可能に形成されるものとしたが、連結部201の位置を作業者が把握可能であれば、開口部172の構成は特に限定されるものではない。例えば開口部172は、係合解除位置に移動した連結部201を視認可能に形成されてもよい。
【0118】
また、連結部201は、略直方体状に形成されるものとしたが、連結部201の形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状に変更可能である。また、ジョイントロッド210は、上下に延びる円柱状に形成されるものとしたが、ジョイントロッド210の形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状に変更可能である。
【0119】
図14及び図15に示す切替部260は、連結部301及びジョイントロッド310の形状等を変更した、切替部160の変形例を示すものである。変形例に係る切替部260は、カバー部270、フレーム280、シリンダ290、係合部300及びジョイントロッド310を具備する。
【0120】
カバー部270は、前面が開口する略箱状に形成される。カバー部270の左側面及び右側面における上端部は、ジョイントロッド310が通過可能に形成される。
【0121】
フレーム280は、枠状に形成される。フレーム280の上面における左端部及び右端部、並びにフレーム280の下面における左端部及び右端部には、切欠部281が形成される。
【0122】
シリンダ290は、シリンダ本体291が右側に配置されると共にロッド292が左側に配置される点を除いて本実施形態に係るシリンダ190と同様に形成される。
【0123】
係合部300は、連結部301の形状が略円柱状に形成される点を除いて本実施形態に係る係合部200と同様に形成される。
【0124】
ジョイントロッド310は、上下に延びる第一部分311と左右に延びる第二部分312とを有する略逆L字状に形成される。左側のジョイントロッド310の第一部分311は、連結部301及びロッド292に挿通される。また第一部分311は、上下の切欠部281の内側に配置される。左側のジョイントロッド310の第二部分312は、第一部分311の上端部から左方へ延出する。右側のジョイントロッド310は、左側のジョイントロッド310と左右対称に形成される。右側のジョイントロッド310は、シリンダ本体291に挿通される。左右のジョイントロッド310には、作業者が視認し易い色が適宜着色される。当該ジョイントロッド310の第二部分312は、シリンダ290が伸張した場合に先端部(左右外側端部)から基端部(左右内側端部)周辺までがカバー部270の外部に露出する。こうしてジョイントロッド310は、シリンダ290が伸張した場合に後方から視認可能な状態となる。
【0125】
変形例に係る切替部260は、シリンダ290を伸縮させることでジョイントロッド310を左右方向へ移動させることができる。またフレーム280は、ジョイントロッド310の移動を切欠部281により規制することができる。
【0126】
このように、変形例に係る切替部260は、連結部301ではなく、ジョイントロッド310をフレーム280(切欠部281)に当接させることで、シリンダ本体291及びロッド292の左右方向の移動を規制することができる。
【0127】
また、ジョイントロッド310の第二部分312は、シリンダ290が収縮した場合にカバー部270内に入り込み、後方から視認可能な状態から視認不能な状態となる。作業者は、当該ジョイントロッド310を視認可能であるか否かを確認することで、ロックピン302が係合位置及び係合解除位置のいずれに位置しているのかを容易に判断することができる。
【符号の説明】
【0128】
10 フロントローダ
12 ブーム
13 バケット
100 作業具装着機構
180 フレーム
191 シリンダ本体
192 ロッド
202 ロックピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15