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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20241114BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/586
H01M50/536
H01M50/55 101
H01M50/533
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021537614
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2020024537
(87)【国際公開番号】W WO2021024631
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2019145762
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087477(JP,A)
【文献】特開2016-091670(JP,A)
【文献】特開2019-009015(JP,A)
【文献】特開2019-125493(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021372(WO,A1)
【文献】特開2011-159582(JP,A)
【文献】特開2019-012589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とがセパレータを介して積層された電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記封口板に取り付けられた外部端子と
を備え、
前記正極板及び負極板の少なくとも一方に設けられたタブ部が、前記電極体と前記封口板との間に配置された集電体を介して前記外部端子と電気的に接続されており、
前記集電体は、第1集電体及び第2集電体を有しており、
前記第1集電体は凹部を有しており、
前記第1集電体と前記第2集電体とは重ねられて前記凹部において溶接されているとともに前記凹部が前記電極体と前記集電体の間に配置された被覆部材で覆われており、
前記被覆部材は、前記凹部により形成された窪みの中に入り込んでいる、電池。
【請求項2】
前記凹部には薄肉部が設けられており、
前記薄肉部において前記第1集電体が前記第2集電体に貫通溶接されている、請求項1に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)の駆動用電源、太陽光発電、風力発電等の出力変動を抑制するための用途や夜間に電力をためて昼間に利用するための系統電力のピークシフト用途等の定置用蓄電池システム等において、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池などの電池が使用されている。
【0003】
上記の電池は、その組み立て中等に異物が混入する場合があり、特に混入した異物が金属異物であると、内部短絡が引き起こされる場合がある。内部短絡のメカニズムとしては以下の通りである。
【0004】
まず、金属異物が正極材料に付着すると、正極の高い電位によって電解液中に金属イオンとして溶解し、その金属イオンが負極に到達すると金属として析出する。そして、金属が正極に向かって成長するように析出し、金属がセパレータを突き破り正極に接触すると内部短絡が引き起こされる。
【0005】
電池内へ金属異物等の異物が混入することを防止するために、通常、二次電池の組み立てはクリーンルームで行われる。また、組み立て中に電極体に付着した金属異物は、エアブロー、吸引、磁力吸着、研磨テープによる拭き取り等により除去される。
【0006】
特許文献1には、袋状の多孔質体に電極体を挿入し、電極体が挿入された多孔質体を密閉容器に挿入して形成される密閉型電池が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-87812号公報
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、電極体と密閉容器の蓋との間に多孔質体を配置する方法やメリットについては具体的に説明されておらず、その具体的方法が不明である。また、袋状の多孔質体を使用するので、その分だけ活物質の量が減少して電池容量が少なくなってしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電池容量を減少させることなく電極体内部への異物の侵入を効果的に抑制することができる電池を提供することにある。
【0010】
本発明の電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された電極体と、開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記封口板に取り付けられた外部端子とを備え、前記正極板及び負極板の少なくとも一方に設けられたタブ部が、前記電極体と前記封口板との間に配置された集電体を介して前記外部端子と電気的に接続されており、前記集電体は、第1集電体及び第2集電体を有しており、前記第1集電体と前記第2集電体とは溶接されているとともに溶接部が被覆部材で覆われている構成を有している。
【0011】
前記第1集電体は凹部を有しており、前記第1集電体と前記第2集電体とが重ねられて前記凹部において溶接が行われており、前記被覆部材は前記凹部を覆っていてもよい。
【0012】
前記凹部には薄肉部が設けられており、前記薄肉部において前記第1集電体が前記第2集電体に貫通溶接されていてもよい。
【0013】
前記被覆部材は、前記凹部により形成された窪みの中に入り込んでいてもよい。
【0014】
なお、本発明の電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された電極体と、開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記封口板に取り付けられた正極外部端子及び負極外部端子とを備え、前記正極板に設けられた正極タブが、前記電極体と前記封口板との間に配置された正極集電体を介して前記正極外部端子と電気的に接続されており、前記負極板に設けられた負極タブが、前記電極体と前記封口板との間に配置された負極集電体を介して前記負極外部端子と電気的に接続されており、前記正極集電体は、第1正極集電体及び第2正極集電体を有しており、前記第1正極集電体と前記第2正極集電体とは溶接されているとともに溶接部が第1被覆部材で覆われており、前記負極集電体は、第1負極集電体及び第2負極集電体を有しており、前記第1負極集電体と前記第2負極集電体とは溶接されているとともに溶接部が第2被覆部材で覆われている構成を有していてもよい。
【0015】
前記第1正極集電体は第1凹部を有しており、前記第1正極集電体と前記第2正極集電体とが重ねられて前記第1凹部において溶接が行われており、前記第1被覆部材は前記第1凹部を覆っていてもよい。
【0016】
前記第1凹部には第1薄肉部が設けられており、前記第1薄肉部において前記第1正極集電体が前記第2正極集電体に貫通溶接されていてもよい。
【0017】
前記第1被覆部材は、前記第1凹部により形成された窪みの中に入り込んでいてもよい。
【0018】
前記第1負極集電体は第2凹部を有しており、前記第1負極集電体と前記第2負極集電体とが重ねられて前記第2凹部において溶接が行われており、前記第2被覆部材は前記第2凹部を覆っていてもよい。
【0019】
前記第2凹部には第2薄肉部が設けられており、前記第2薄肉部において前記第1負極集電体が前記第2負極集電体に貫通溶接されていてもよい。
【0020】
前記第2被覆部材は、前記第2凹部により形成された窪みの中に入り込んでいてもよい。
【0021】
本発明の電池は、正極板及び負極板の少なくとも一方に設けられたタブ部が、電極体と封口板との間に配置された集電体を介して外部端子と電気的に接続されており、集電体は、第1集電体及び第2集電体を有しており、第1集電体と第2集電体とは溶接されているとともに溶接部が被覆部材で覆われているため、第1集電体と第2集電体との溶接時に発生する粉塵が電極体の内部に入ってしまうことをより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る二次電池の斜視図である。
図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3】正極板の平面図である。
図4】負極板の平面図である。
図5】電極体の平面図である。
図6】第1正極集電体(正極集電体)の平面図である。
図7】第1負極集電体(負極集電体)の平面図である。
図8】第1正極集電体に正極タブ群を接続し、第1負極集電体に負極タブ群を接続した状態を示す図である。
図9】第2正極集電体及び第2負極集電体を取り付けた後の封口板の電極体側の面を示す図である。
図10】第2正極集電体に第1正極集電体を取り付け、第2負極集電体に第1負極集電体を取り付けた後の封口板の電極体側の面を示す図である。
図11図10の状態に被覆部材を取り付けた図である。
図12図11の状態にカバー部材を取り付けた図である。
図13】第1負極集電体と第2負極集電体とを重ね合わせた拡大斜視図である。
図14図13のIII-III線に沿った模式的な拡大断面図である。
図15】第1負極集電体と第2負極集電体とを溶接接続した模式的な拡大断面図である。
図16図15に被覆部材を貼り合わせた模式的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0024】
(実施形態1)
実施形態1に係る二次電池としての角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0025】
図1及び図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。角形外装体1は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された電極体3を、電解質と共に収容している。後述するように、本実施形態では電極体3は第1電極体要素と第2電極体要素からなっており、これら2つの電極体要素は同じ構造を有している。
【0026】
図5に示すように、電極体3の封口板2側の端部には、複数の正極タブ(タブ部)40からなる正極タブ群40Aと、複数の負極タブ(タブ部)50からなる負極タブ群50Aが設けられている。正極タブ群40Aは第1正極集電体(正極集電体)6a及び第2正極集電体6bを介して正極端子7に電気的に接続されている。負極タブ群50Aは第1負極集電体(負極集電体)8a及び第2負極集電体8bを介して負極端子9に電気的に接続されている。第1、第2正極集電体6a,6b及び第1、第2負極集電体8a,8bは、封口板2の電池内部側に取り付けられており、正極タブ群40A及び負極タブ群50Aとの接続も電池内部側の面においてなされている。
【0027】
第2正極集電体6b、第1正極集電体6a及び正極端子7は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。正極端子7と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材10が配置されている。第2正極集電体6b及び第1正極集電体6aと封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材11が配置されている。
【0028】
第2負極集電体8b、第1負極集電体8a及び負極端子9は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることがより好ましい。また、負極端子9は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分と、銅又は銅合金からなる部分を有するようにすることが好ましい。この場合、銅又は銅合金からなる部分を第2負極集電体8bに接続し、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる部分を封口板2よりも外部側に突出するようにすることが好ましい。負極端子9と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材12が配置されている。第2負極集電体8b及び第1負極集電体8aと封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材13が配置されている。
【0029】
電極体3と角形外装体1の間には樹脂製の樹脂シートからなる電極体ホルダー14が配置されている。電極体ホルダー14は、樹脂製の絶縁シートを袋状又は箱状に折り曲げ成形されたものであることが好ましい。この電極体ホルダー14により、電極体3と角形外装体1との間が確実に電気的に絶縁状態として保持されている。
【0030】
封口板2には電解液注液孔15が設けられており、電解液注液孔15は電解液の注液後に封止部材(不図示)によって封止される。封口板2には、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに破断して、電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。
【0031】
次に角形二次電池20の製造方法及び各構成の詳細を説明する。
【0032】
[正極板]
まず、正極板の製造方法を説明する。
【0033】
[正極活物質合剤層スラリーの作製]
正極活物質合剤層スラリーは、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混練して作製する。正極活物質としては、例えばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム複合酸化物等を挙げることができる。また、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂等を挙げることができる。導電剤としては、カーボンブラック等の炭素材料等を挙げることができる。
【0034】
[正極保護層スラリーの作製]
アルミナ粉末、導電剤としての黒鉛、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などを混練し、正極保護層スラリーを作製する。
【0035】
[正極活物質合剤層及び正極保護層の形成]
正極芯体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、上述の方法で作製した正極活物質合剤層スラリー及び正極保護層スラリーをダイコータにより塗布する。また、正極活物質合剤層スラリーが塗布される領域の幅方向の少なくともどちらか一方の端部に正極保護層スラリーが塗布されるようにする。
【0036】
正極活物質合剤層スラリー及び正極保護層スラリーが塗布された正極芯体を乾燥させて、スラリー中のNMPを除去する。これにより正極活物質合剤層及び保護層が形成される。その後、一対のプレスローラの間を通過させることにより、正極活物質合剤層を圧縮して正極原板とする。この正極原板を所定のサイズにカットして図3に示す正極板4を作成する。正極板4は矩形であって、矩形の上辺から正極タブ40が突き出している。正極板4の上辺部分に沿って幅狭の正極保護層4cが形成されており、正極保護層4cの下から正極板4の下辺まで正極活物質合剤層4bが形成されている。なお、上述のように正極タブ40は正極芯体から形成されてもよいし、別の部材を正極板に接続して正極タブとしてもよい。
【0037】
[負極板]
次に、負極板の製造方法を説明する。
【0038】
[負極活物質合剤層スラリーの作製]
負極活物質合剤層スラリーは、例えば負極活物質と、導電剤と、結着剤と、増粘剤とを混練して作製する。負極活物質としては、例えば、黒鉛等の炭素材料等を挙げることができる。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を挙げることができる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
【0039】
[負極活物質合剤層の形成]
負極芯体としての厚さ8μmの銅箔の両面に、上述の方法で作製した負極活物質合剤層スラリーをダイコータにより塗布する。
【0040】
負極活物質合剤層スラリーが塗布された負極芯体を乾燥させ、スラリー中の水を除去する。これにより負極活物質合剤層が形成される。その後、一対のプレスローラの間を通過させることにより、負極活物質合剤層を圧縮して負極原板とする。この負極原板を所定のサイズにカットして図4に示す負極板5を作成する。負極板4は矩形であって、矩形の上辺から負極タブ50が突き出している。負極タブ50を除いた負極芯体の全面に負極活物質合剤層5bが形成されている。なお、上述のように負極タブ50は負極芯体から形成されてもよいし、別の部材を負極板に接続して負極タブとしてもよい。
【0041】
[電極体の作製]
上述の方法で作製した複数の正極板4及び負極板5を、セパレータを介して積層し、積層型の電極体3を製造する。電極体3に含まれる正極板4及び負極板5のそれぞれの数は特に限定されないが、数十枚以上が好ましい。図5に示すように電極体3の一つの端部には、複数の正極タブ40からなる正極タブ群40Aと、複数の負極タブ50からなる負極タブ群50Aが設けられる。
【0042】
[集電体とタブの接続]
上述の正極タブ群40Aは、図6に示す第1正極集電体6aに溶接によって接続される。第1正極集電体6aには、封口板2の電解液注液孔15と対向する位置に集電体貫通穴6eが形成されている。また、上述の負極タブ群50Aは、図7に示す第1負極集電体8aに溶接によって接続される。図8に正極タブ群40Aと第1正極集電体6aとを接続し、負極タブ群50Aと第1負極集電体8aとを接続した状態を示す。
【0043】
本実施形態では、図8に示すように、電極体3は第1電極体要素3aと第2電極体要素3bとからなっている。なお、第1電極体要素3aと第2電極体要素3bは上述の電極体3の作製方法と同じ方法で作製される。
【0044】
第1電極体要素3aの第1正極タブ群40A1及び第2電極体要素3bの第2正極タブ群40A2を第1正極集電体(正極集電体)6aに接続すると共に、第1電極体要素3aの第1負極タブ群50A1及び第2電極体要素3bの第2負極タブ群50A2を第1負極集電体(負極集電体)8aに接続する。第1及び第2正極タブ群40A1,40A2は第1正極集電体6aに溶接接続され溶接接続部60a,60bが形成される。正極側の2つの溶接接続部60a,60bは電極体3の上辺に垂直な方向、即ち、封口体2の長手方向に垂直な方向において互いに離間して形成されている。なお、集電体貫通孔6eは正極の2つの溶接接続部60a,60bの間に位置している。
【0045】
負極タブ群50A1,50A2は第1負極集電体8aに溶接接続され溶接接続部61a,61bが形成される。負極側の2つの溶接接続部61a,61bも電極体3の上辺に垂直な方向、即ち、封口体2の長手方向に垂直な方向において互いに離間して形成されている。
【0046】
第1正極集電体6aには、薄肉部6cが形成されている。この薄肉部6cにおいて、第1正極集電体6aは第2正極集電体6bに接続される。
【0047】
第1負極集電体8aには、凹部8dが形成されており、凹部8dに薄肉部8cが形成されている。この薄肉部8cにおいて、第1負極集電体8aは第2負極集電体8bに接続される。
【0048】
正極タブ群40Aと第1正極集電体6aとの溶接接続及び負極タブ群50Aと第1負極集電体8aとの溶接接続は、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等により行うことができる。本実施形態では超音波溶接によって溶接接続がなされている。
【0049】
また、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bとの接続、及び、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの接続は、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等により行うことができる。本実施形態では、レーザー溶接によって接続がされている。
【0050】
[封口板への各部品取り付け]
図9は、各部品を取り付けた封口板2の電池内部側の面を示す図である。図2図9を用いて、封口板2への各部品取り付けについて説明を行う。
【0051】
封口板2の正極端子挿入孔の周囲に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2の正極端子挿入孔の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及びカップ状の導電部材65を配置する。そして、正極端子7を電池外部側から、外部側絶縁部材10の貫通孔、封口板2の正極端子挿入孔、内部側絶縁部材11の貫通孔及び導電部材65の端子接続孔に挿入し、正極端子7の先端を導電部材65上にカシメる。これにより、正極端子7及び導電部材65が封口板2に固定される。なお、正極端子7においてカシメられた部分と導電部材65を溶接接続することが好ましい。
【0052】
導電部材65は電池内部側に開口部を有している。この導電部材65の開口部に対して、円盤状の変形板66がその開口部を塞ぐように配置されて、変形板66の周縁が導電部材65に溶接接続される。これにより、開口部が密封される。なお、導電部材65及び変形板66はそれぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。それから第2正極集電体6bを変形板66の電池内部側に配置して、両者を溶接接続する。
【0053】
次に、封口板2の負極端子挿入孔の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2の負極端子挿入孔の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び第2負極集電体8bを配置する。そして、負極端子9を電池外部側から、外部側絶縁部材12の貫通孔、封口板2の負極端子挿入孔、内部側絶縁部材13の貫通孔及び第2負極集電体8bの端子接続孔に挿入し、負極端子9の先端を第2負極集電体8b上にカシメる。これにより、負極端子9及び第2負極集電体8bが封口板2に固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と第2負極集電体8bを溶接接続することが好ましい。
【0054】
正極側の内部側絶縁部材11において、封口板2に設けられた電解液注液孔15と対向する部分には、注液開口11aが設けられている。また、注液開口11aの縁部には電池内部側に筒状に突き出した筒状部11bが設けられている。さらに、筒状部11bの縁の2箇所から電池内部側に突き出して当該2箇所をブリッジ状に連結している開口覆い部11cが設けられている。そして、第1正極集電体6aに設けられた集電体貫通穴6eに筒状部11b、開口覆い部11cが挿入される。
【0055】
[第1集電体と第2集電体の接続]
図10は、第2正極集電体6bに第1正極集電体6aを取り付け、第2負極集電体8bに第1負極集電体8aを取り付けた後の封口板2の電池内部側の面を示す図である。
【0056】
第1及び第2正極タブ群40A1,40A2が接続された第1正極集電体6aを、その一部が第2正極集電体6bと重なるようにして、内部側絶縁部材11上に配置する。そして、薄肉部6cにレーザー照射することにより、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bを溶接接続し、正極集電体溶接接続部が形成される。また、第1及び第2負極タブ群50A1,50A2が接続された第1負極集電体8aを、その一部が第2負極集電体8bと重なるようにして、内部側絶縁部材13上に配置する。そして、薄肉部8cにレーザー照射することにより、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bを溶接接続し、負極集電体溶接接続部が形成される。なお、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの接続部分に関しては、より詳しく後述する。
【0057】
[接続部の被覆]
図11に示すように、第1正極集電体6aと第1正極タブ群40A1との溶接接続部60a及び第1正極集電体6aと第2正極タブ群40A2との溶接接続部60bを第1被覆部材81によって覆う。このようにすることにより、第1被覆部材81が溶接接続部60a,60bに存在している異物、特に溶接工程において発生した金属粉を捕捉して、異物が電極体3の内部に入り込まないようにすることができる。従って、異物による内部短絡の発生を大きく抑制することができる。第1被覆部材81は溶接接続部60a,60bに貼り合わされており、2つの溶接接続部60a,60bの間の領域においては、第1被覆部材81はその領域から離間して且つその領域を覆っている。
【0058】
次に、第1負極集電体8aと第1負極タブ群50A1との溶接接続部61a及び第1負極集電体8aと第2負極タブ群50A2との溶接接続部61bを第2被覆部材82によって覆う。第2被覆部材82は、2つの溶接接続部61a,61bに挟まれた第1負極集電体8aの表面も覆っている。このようにすることにより、第2被覆部材82が溶接接続部61a,61bに存在している異物、特に溶接工程において発生した金属粉を捕捉して、異物が電極体3の内部に入り込まないようにすることができる。従って、異物による内部短絡の発生を大きく抑制することができる。なお、第2被覆部材82は、覆っている部分に貼り合わせられるている。
【0059】
さらに、第2被覆部材82は第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの接続部分(負極集電体溶接接続部)も覆っている。即ち、第2負極集電体8bの一部が第2被覆部材82によって覆われている。このため、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの溶接によって生じた異物(金属粉)を第2被覆部材82が捕捉し、この異物が電極体3の内部に入り込まないようにすることができる。
【0060】
それから、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bとの接続部分(正極集電体溶接接続部)を覆うように第3被覆部材83を配置し、貼り合わせる。このようにすることにより、正極集電体溶接接続部に存在している異物、特に第1正極集電体6aと第2正極集電体6bとの溶接工程において発生した金属粉が電極体3の内部に入り込まないように、第3被覆部材83が異物を捕捉することができる。それから、図12に示すように第2正極集電体6bと第3被覆部材83とをカバー部材88によって覆う。
【0061】
本実施形態では第1から第3被覆部材81,82,83は、プラスチックフィルムに粘着剤を塗布した粘着シートを用いている。プラスチックフィルムは特に限定されないが、ポリプロピレンフィルムが好ましい。なお、第1から第3被覆部材81,82,83は粘着シートに限定されない。
【0062】
[二次電池の作製]
次に図12における第1電極体要素3aの上面と第2電極体要素3bの上面とが直接ないし他の部材を介して接するように二つの正極タブ群40A1,40A2及び二つの負極タブ群50A1,50A2を湾曲させる。これにより、二つの電極体要素3a,3bを纏めて1つの電極体3とする。そして、まとめた電極体3を、箱状ないし袋状に成形した絶縁シートからなる電極体ホルダー14内に配置する。
【0063】
電極体ホルダー14で包まれた電極体3を角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。それから、封口板2に設けられた電解液注液孔15を通じて角形外装体1内に電解液を注液する。その後、電解液注液孔15をブラインドリベット等の封止部材により封止する。これにより角形二次電池20が完成する。
【0064】
<第1負極集電体と第2負極集電体との接続部分について>
第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの接続部分についてさらに説明を行う。図13は第1負極集電体8a及び第2負極集電体8bのみを取り出して、接続のために重ね合わせた状態を示している。図14は、接続する部分を拡大した断面を示している。第1負極集電体8aには凹部8dが形成されており、その凹部8dが形成された面とは反対側の面が第2負極集電体8bと重ね合わされている。凹部8dには薄肉部8cが2箇所形成されている。第1負極集電体8aには凹部8dにより窪み8fが形成されている。
【0065】
上記の状態から、薄肉部8cの部分にレーザーを照射して、図15に示すように第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとを貫通溶接によって接続する。薄肉部8cにおいてレーザー溶接するため、貫通溶接部8gを容易に形成することができる。
【0066】
次に第2被覆部材82を、第1負極集電体8aと第2負極集電体8bとの接続部分も覆うように、第1負極集電体8a及び第2負極集電体8bに貼り合わせる。図16に示すように第2被覆部材82は、凹部8d(窪み8f)全体を塞いでおり、さらに窪み8f内に入り込んでいる。すなわち、第2被覆部材82の窪み8fを覆った部分82aは窪み8fに沿って凹んだ形状を有している。
【0067】
第2被覆部材82が凹部8cが存在しているために、この部分を用いてレーザー溶接の位置合わせを容易に行うことができる。
【0068】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
【0069】
電極体は、正極板、負極板及びセパレータを積層したあとで、これを巻回させた構造であってもよい。電極体要素も巻回構造とすることができる。
【0070】
上述の実施形態においては、外装体内に二つの電極体要素を配置する例を示したが、電極体要素は一つであっても良いし、三つ以上であってもよい。
【0071】
上述の実施形態においては、正極集電体及び負極集電体がそれぞれ二つの部品からなる例を示したが、正極集電体及び負極集電体はそれぞれ一つの部品から構成されてもよい。
【0072】
正極板、負極板、セパレータ、及び電解質等に関しては、公知の材料を用いることができる。
【0073】
被覆部材は異物を捕捉できるものであればどのようなものでもよく、プラスチックフィルムを用いた粘着シートに限定されない。例えば、熱や光等で硬化する封止樹脂等の塗布材料を被覆部材として用いてもよいし、金属箔や不織布などを用いた粘着シートでもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 角形外装体(外装体)
2 封口板
3 電極体
3a 第1電極体要素
3b 第2電極体要素
4 正極板
5 負極板
6a 第1正極集電体
6b 第2正極集電体
6e 集電体貫通穴(注液孔)
7 正極端子(正極外部端子)
8a 第1負極集電体
8b 第2負極集電体
8c 薄肉部
8d 凹部
8f 窪み
8g 貫通溶接部
9 負極端子(負極外部端子)
11b 筒状部
11c 開口覆い部
15 電解液注液孔
20 角形二次電池(電池)
40 正極タブ(タブ部)
40A 正極タブ群
40A1 第1正極タブ群
40A2 第2正極タブ群
50 負極タブ(タブ部)
50A 負極タブ群
50A1 第1負極タブ群
50A2 第2負極タブ群
60a,60b 溶接接続部(第1溶接部)
61a,61b 溶接接続部(第2溶接部)
81 第1被覆部材
82 第2被覆部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16