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  • 特許-ポリアミド組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20241114BHJP
   C08G 69/36 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20241114BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20241114BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20241114BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08L77/06
C08G69/36
C08K3/01
C08K7/06
C08K7/14
C08L23/08
C08L23/26
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021560043
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020027709
(87)【国際公開番号】W WO2020210656
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】62/831,781
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イーアイディーピー インク.
【氏名又は名称原語表記】EIDP Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】アンナクッティ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】野崎 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊一
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウィヒマン
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-207100(JP,A)
【文献】特表2015-503014(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011131(WO,A1)
【文献】特開2014-118561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/06
C08G 69/36
C08K 3/01
C08K 7/06
C08K 7/14
C08L 23/08
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド組成物であって、
(a)(i)、(ii)、及び(iii)の合計が100モルパーセントになる、
(i)54~62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位;
(ii)12~29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位;及び
(iii)9~26モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位
を含む45~65重量パーセントの半芳香族コポリアミドと;
(b)20~50重量パーセントの補強剤と;
(c)0.1~3.0重量パーセントの少なくとも1種の熱安定剤と;
(d)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の潤滑剤と;
(e)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の造核剤と;
(f)0~10重量パーセントの少なくとも1種の衝撃改質剤と;
(g)0~8重量パーセントの少なくとも1種の非晶質コポリアミドと;
(h)0~25重量パーセントの1つ以上の追加の添加剤と
を含み、
前記ポリアミド組成物が、ASTM E1356-08(2014)に従って測定されるときに少なくとも100℃のTgを示し、試験サンプルへ成形されたときに、150℃で測定される少なくとも85パーセントの歪み回復率、ISO 294-4に従って流れ方向及び横方向の平均として測定されるときに0.8パーセント以下の成形収縮を示し、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の重量百分率が前記ポリアミド組成物の総重量を基準としており、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の前記重量百分率の合計が、合計して100重量パーセントになり、前記衝撃改質剤及び/又は前記非晶質コポリアミドがポリアミド組成物中に存在する、ポリアミド組成物。
【請求項2】
前記補強剤は、ガラス繊維、扁平ガラス繊維、炭素繊維、及びガラスフレークからなる群から選択される1つ以上の補強剤を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
前記熱安定剤は、銅系熱安定剤である、請求項1又は請求項2に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
前記銅系熱安定剤は、1つ以上の銅塩を含み、前記銅塩は、Cu(I)塩及びCu(II)塩からなる群から選択される、請求項に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
前記潤滑剤は外部潤滑剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
前記衝撃改質剤は、前記ポリアミド組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
前記衝撃改質剤は、無水マレイン酸グラフトエチレン/α-オレフィンコポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー、金属中和無水マレイン酸グラフトエチレン/α-オレフィンポリマー、及び共グラフト衝撃改質剤からなる群から選択される1つ以上の衝撃改質剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
前記半芳香族コポリアミドは、
(i)54~62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位、
(ii)22~29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位、及び
(iii)9~18モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位
を含み、
モル百分率は、前記半芳香族コポリアミド中の繰り返し単位の総モル数を基準としており、前記繰り返し単位(i)、(ii)、及び(iii)の前記モル百分率の合計は、合計して100モルパーセントになる、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
前記非晶質コポリアミドが存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
前記非晶質コポリアミドは、前記非晶質コポリアミド中の繰り返し単位の総モル数を基準として、60/40~80/20の範囲のモル比の6I対6T繰り返し単位を有する6I/6Tコポリアミドである、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミド組成物を含む物品。
【請求項12】
少なくとも1つの環状コネクタを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
取水口又は蛇口ハウジング、サーモスタットハウジング、送水ポンプハウジングからなる群から選択される、請求項11又は請求項12に記載の物品。
【請求項14】
ポリアミド組成物を含む物品であって、前記ポリアミド組成物が、
(a)(i)、(ii)、及び(iii)の合計が100モルパーセントになる、
(i)54~62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位;
(ii)12~29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位;及び
(iii)9~26モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位
を含む45~65重量パーセントの半芳香族コポリアミドと;
(b)20~50重量パーセントの補強剤と;
(c)0.1~3.0重量パーセントの少なくとも1種の熱安定剤と;
(d)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の潤滑剤と;
(e)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の造核剤と;
(f)0~10重量パーセントの少なくとも1種の衝撃改質剤と;
(g)0~8重量パーセントの少なくとも1種の非晶質コポリアミドと;
(h)0~25重量パーセントの1つ以上の追加の添加剤と
を含み、
前記ポリアミド組成物が、ASTM E1356-08(2014)に従って測定されるときに少なくとも100℃のTgを示し、試験サンプルへ成形されたときに、150℃で測定される少なくとも85パーセントの歪み回復率、ISO 294-4に従って流れ方向及び横方向の平均として測定されるときに0.8パーセント以下の成形収縮を示し、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の重量百分率が前記ポリアミド組成物の総重量を基準としており、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の前記重量百分率の合計が、合計して100重量パーセントになり、
前記物品が、それ以外の点では同一のポリアミド組成物から作られた第2の物品のセルフストリッピング性バーブ直径よりも少なくとも1パーセント大きいセルフストリッピング性バーブ直径を有し、前記第2の物品は、前記物品が製造された方法と同一の方法によって同一の金型中で形成され、前記それ以外の点では同一のポリアミド組成物が前記半芳香族コポリアミドを含まず、且つ、前記それ以外の点では同一のポリアミド組成物が、前記半芳香族コポリアミドとは異なる第2のポリアミド又はコポリアミドを含む、物品。
【請求項15】
ヒトの肉眼で見た場合に、目に見える表面クラックを示さない、請求項11~14のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記ポリアミド組成物は、少なくとも1種の非晶質ポリアミドを含み、0.7%以下の平均成形収縮を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
86%以上の歪み回復率を有する、請求項11~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
前記物品を形成するために使用される金型のツールドバーブ直径の少なくとも93パーセントのバーブ直径を有する、請求項12~17のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月10日出願の、米国仮特許出願第62/831,781号に対する35U.S.C.§365の下での優先権を主張するものであり、この出願は、その全体を参照により本明細書に援用される。
【0002】
物品へのホースの取付けのための特定の寸法の少なくとも1つの環状コネクタ又はバーブを含む物品の成形を可能にする特定の物理的特性の組み合わせを有するポリアミド組成物が本明細書で提供される。これらの組成物の調製方法及び本組成物から作られる物品がまた本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
幾つかの特許、特許出願及び刊行物が、本発明が属する技術の現状をより十分に説明するために本説明で引用される。これらの特許、特許出願及び刊行物のそれぞれの全体開示は、本明細書に参照により援用される。
【0004】
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性、成形性、及び耐薬品性を有し、それ故、自動車部品、電気/電子構成部品、機械構成部品、及び多くの他の用途で使用されてきた。ポリアミド樹脂から製造される物品は、極めて望ましい物理的特性を有することができる。しかしながら、少なくとも1つの環状コネクタ又はバーブ付きホースコネクターを含む物品の成形のために、ポリアミド組成物が、バーブ付きホースコネクターのシャフトに対して特定のバーブ寸法を有するそのような物品の成形を可能にすること、及びここで、アンダーカットバーブを持った成形品が金型からの取り出しのために容易にセルフストリップできることが望ましい。
【0005】
国際公開第2019/067517号パンフレットは、ポリアミドオリゴマーを使用するPA6T/6I/6コポリアミドの調製方法を開示している。
【0006】
米国特許第9,963,591 B2号明細書は、少なくとも1種の充填材及び強化剤並びに少なくとも1種の熱安定剤を含む様々なコポリアミドを開示している。
【0007】
特定のポリアミドを含むポリアミド組成物が、自動車用途、とりわけボンネット下用途向けの環状コネクタを含む物品を含むが、それらに限定されない用途での使用のための物理的特性の望ましい組み合わせを提供することが今発見された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、ポリアミド組成物であって、
(a)(i)、(ii)、及び(iii)の合計が100モルパーセントになる、
(i)約54~約62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位;
(ii)約12~約29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位;及び
(iii)約9~約26モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位
を含む45~65重量パーセントの半芳香族コポリアミドと;
(b)20~50重量パーセントの補強剤と;
(c)0.1~3.0重量パーセントの少なくとも1種の熱安定剤と;
(d)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の潤滑剤と;
(e)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の造核剤と;
(f)0~10重量パーセントの少なくとも1種の衝撃改質剤と;
(g)0~8重量パーセントの少なくとも1種の非晶質コポリアミドと;
(h)0~25重量パーセントの1種以上の追加の添加剤と
を含み、
前記ポリアミド組成物が、ASTM E1356-08(2014)に従って測定されるときに少なくとも100℃のTgを示し、試験サンプルへ成形されたときに、150℃で測定される少なくとも85パーセントの歪み回復率、ISO 294-4に従って流れ方向及び横方向の平均として測定されるときに0.8パーセント以下の成形収縮を示し、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の重量百分率の合計が、合計して100重量パーセントになる組成物が本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】バーブ及びシャフトを示す、金型からの取り出し前の、成形環状コネクタの断面図である。
図2】環状コネクタが金型から取り出されつつある間の最大たわみでのバーブを示す環状コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
略語
特許請求の範囲及び本明細書での説明は、以下に示される略語及び定義を用いて解釈されるべきである。
「MPa」はメガパスカルを指す。
「%」は用語パーセントを指す。
「重量%」は重量パーセントを指す。
「mm」はミリメートルを指す。
「IV」は固有粘度を指す。
「Pa-s」はパスカル-秒を指す。
「1/s」は毎秒を指す。
【0011】
定義
本明細書で用いるところでは、冠詞「1つの(a)」は、1つ並びに2つ以上を指し、その指示対象名詞を単数の文法上のカテゴリーに必ずしも限定しない。
【0012】
組成物、プロセス、構造、又は組成物、プロセス、若しくは構造の一部が、「含む」などの制約のない用語を用いて本明細書に記載される場合、限定状況において特に明記しない限り、その記載はまた、組成物、プロセス、構造、又は組成物、プロセス、若しくは構造の一部の要素「から本質的になる」又は「からなる」実施形態を包含する。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「物品」は、その全体又は一部のさらなる処理なしに特定の使用又は目的に好適である形態、形状、構成にある品目、物、構造体、物体、要素、デバイス等を指す。
【0014】
本明細書で用いるところでは、用語「繰り返し単位」は、その繰り返しが完全なポリマー鎖を生成することになるポリマーの一部分を指す。例えば、ポリアミド6Tについては、繰り返し単位は、繰り返し単位がアミド結合によって一緒に結合したテレフタル酸-ヘキサメチレンジアミンであるように、ヘキサメチレンジアミンモノマーに結合したテレフタル酸モノマーである。結果として生じるポリマーはヘキサメチレンテレフタルアミドである。カプロラクタムについては、繰り返し単位は、モノマー又は単一分子である。
【0015】
本明細書で用いるところでは、用語「ポリアミド樹脂」、「ポリアミド」、及び「ポリマー樹脂」は、ポリマー組成物に使用されるニートポリマーを指し、それぞれのモノマーから生成するポリマー鎖を含むにすぎない。言い換えれば、製造プロセスにおいて使用された少量の核形成剤又は残留物質を除いて、追加の添加剤は、ポリマー中に存在しないか又は存在し得ない。
【0016】
本明細書で用いるところでは、用語「ポリアミド組成物」は、ポリアミド樹脂及び、例えば、UV安定剤、潤滑剤、難燃剤、補強剤、及び充填材などの組成物に使用される任意の追加の材料を指す。
【0017】
本明細書で用いるところでは、用語「バーブ」、「バルブ」、「環状コネクタ」、「バーブ(付き)コネクタ」、「環状スナップジョイント」、及び「ジャンプポート」は、成形品の一部であるシャフト又はチューブの末端で少なくとも1つのセルフ-ストリッピング性アンダーカットを含む成形品の部分を指す。アンダーカットは、部品が取り出されるのを可能にするためにそれが部品の変形か、問題を起こす金型形体の移動又は除去かのどちらかを必要とするので、部品又は、部品の形体が金型中で保持される金型の設計要素である。問題を起こす工具鋼の移動又は除去の恩恵を受けずに部品が金型から取り出されるように、セルフ-ストリッピング性アンダーカットは、部品のジオメトリの本質及び材料の特性によって金型空洞からのその取り出し中に変形するアンダーカットである。一般的な環状アンダーカットは、金型からの取り出しのために複雑な部品変形を必要とする。アンダーカットを含む成形品の例としては、送水ポンプ、エンジンサーモスタット、及び取水口に一般的に見出されるものなどの環状コネクタが挙げられる。
【0018】
本明細書で用いるところでは、用語「外部潤滑剤」は、ポリアミド組成物のペレット又はストランドの外面上に存在する潤滑剤を指す。そのような潤滑剤は、ポリアミド組成物を調製するために使用される追加の原料と一緒に溶融混合又は添加されない。外部潤滑剤は、ポリアミド組成物中の全ての他の原料が一緒に混合され、ペレット又はストランドに成形された後に添加される。
【0019】
本明細書で用いるところでは、用語「内部潤滑剤」は、ポリアミド組成物を調製するために使用される追加の原料と一緒に溶融混合されるか又は他の手段によって添加される潤滑剤を指す。内部潤滑剤は、ポリアミド組成物内に一様に分散させられる。
【0020】
本出願に明記される様々な範囲での数値の使用は、特に明確に示さない限り、述べられた範囲内の最小値及び最大値が両方とも単語「約」によって先行されるかのように近似値として述べられている。このように、述べられた範囲の上下のわずかな変動を用いて、この範囲内の値と同じ結果を実質的に達成することができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の各値及びあらゆる値を含む連続的な範囲を意図している。
【0021】
範囲及び好ましい変形
本明細書に記載のいかなる範囲も、特に明記しない限り、その端点を明確に包含する。範囲としての量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターの記載は、そのような範囲の上限及び下限の対が本明細書に明確に開示されるか否かに関わらず、任意の可能な範囲の上限及び任意の可能な範囲の下限から形成される全ての可能な範囲を具体的に開示する。本明細書に記載の化合物、プロセス及び物品は、本説明における範囲を規定するときに開示された特定の値に限定されない。さらに、これらの範囲の開示は、範囲の最小値及び最大値並びに最小値と最大値との間の各値及びあらゆる実値を含む連続した一連の値を指す。
【0022】
本明細書に記載のプロセス、化合物及び物品の材料、化学物質、方法、工程、値、及び/又は範囲等に関しての任意の変形の本明細書での開示は、-好ましい又は好ましくないとして特定されるかどうかに関わらず-材料、方法、工程、値、範囲等の任意の可能な組み合わせを含むことを特に意図している。特許請求の範囲に正確な且つ十分な裏付けを提供する目的で、いかなる開示される組み合わせも、本明細書に記載のプロセス、化合物、及び物品の好ましい変形である。
【0023】
通例
少なくとも1種の補強剤、熱安定剤、潤滑剤、及び任意選択的に1種以上の追加の添加剤を組み合わせて、繰り返し単位の特定のモル比を有するコポリアミド6T/6I/6樹脂を含む新規ポリアミド組成物が本明細書に記載される。これらの6T/6I/6コポリアミド樹脂がポリアミド組成物を調製するために使用される場合に、ポリアミド組成物は、少なくとも1つの環状コネクタ(物品上の前記環状コネクタは、ポリアミド組成物でのこれらの6T/6I/コポリアミド樹脂とは異なるポリアミド樹脂の使用で得ることが困難である特定の寸法を有する)を含む物品の成形を可能にすることが発見された。
【0024】
具体的に、新規ポリアミド組成物であって、
(a)(i)、(ii)、及び(iii)の合計が100モルパーセントになる、
(i)約54~約62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位;
(ii)約12~約29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位;及び
(iii)約9~約26モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位
を含む45~65重量パーセントの半芳香族コポリアミドと;
(b)20~50重量パーセントの補強剤と;
(c)0.1~3.0重量パーセントの少なくとも1種の熱安定剤と;
(d)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の潤滑剤と;
(e)0~2.0重量パーセントの少なくとも1種の造核剤と;
(f)0~10重量パーセントの少なくとも1種の衝撃改質剤と;
(g)0~8重量パーセントの少なくとも1種の非晶質コポリアミドと;
(h)0~25.0重量パーセントの少なくとも1つの追加の添加剤と
を含み、
前記ポリアミド組成物が、ASTM E1356-08(2014)に従って測定されるときに少なくとも100℃のTgを示し、及び試験サンプルへ成形されたときに、150℃で測定される少なくとも85パーセントの歪み回復率、流れ方向及び横方向の平均として測定されるときに0.8パーセント以下の成形収縮を示し、ポリアミド組成物の個々の成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の重量百分率がポリアミド組成物の総重量を基準としており、個々の成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)の重量百分率の合計が100重量パーセントである組成物が本明細書に記載される。
【0025】
本明細書では、これらのポリアミド組成物の製造方法及び前記ポリアミド組成物から成形される物品がまた記載される。
【0026】
半芳香族コポリアミド(a)
本明細書に記載のポリアミド組成物に使用される半芳香族コポリアミド樹脂は、(i)約54~約62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位と;(ii)約12~約29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位と;(iii)約9~約26モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位とを含む。これらの半芳香族コポリアミドはまた、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/カプロラクタム)コポリアミド(PA6T/6I/6)と記載され得る。また好ましくは、半芳香族コポリアミド樹脂は半結晶性である。
【0027】
より好ましくは、本明細書に記載のポリアミド組成物に使用される半芳香族コポリアミドは、(i)約54~約62モルパーセントのヘキサメチレンテレフタルアミド繰り返し単位と;(ii)約22~約29モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド繰り返し単位と;(iii)約9~約18モルパーセントのカプロラクタム繰り返し単位とを含む。
【0028】
意外にも、これらの特定のモル比の6T、6I、及び6(カプロラクタム)を含むコポリアミドは、他のポリアミド組成物でコネクタが容易に製造できないような寸法を有する少なくとも1つの環状コネクタ又は他のコネクタを含む物品へ成形することができるポリアミド組成物の調製を可能にする特性の特定の組み合わせを示すことが発見された。
【0029】
これらの半芳香族コポリアミドは、好ましくは、約0.80dl/グラムの最小固有粘度(IV)を有する。IVの測定方法は、下記の、実施例において示されるとおりである。これらの半芳香族コポリアミドについて特定の最大固有粘度は全くないけれども、実際の最大IVは、約1.30、好ましくは約1.15である。典型的には、固相重合(SSP)が約0.90超の固有粘度を得るために用いられるが、1.15以下のIVを有する半芳香族コポリアミドは、重合プロセス中に調製することができる。米国特許第5,955,569号明細書は、典型的なSSPプロセスを開示している。
【0030】
好ましいPA 6T/6I/6コポリアミド樹脂は、150℃で測定されるときに少なくとも85パーセントの弾性回復率(歪み回復率)、1.5パーセント以下の成形収縮、少なくとも100℃のガラス転移温度(Tg)の1つ以上を示す。より好ましいコポリアミド樹脂は、これらの特性の2つ若しくは3つ、又はこれらの特性の3つ全てを示す。好ましい及びより好ましいPA 6T/6I/6コポリアミド樹脂はまた、150℃で成形された場合に及び外部潤滑剤が使用される場合に少なくとも70~90パーセントの表面光沢を示し得る。
【0031】
また好ましくは、PA 6T/6I/6コポリアミド樹脂は、150℃でDMAによって測定されるときに少なくとも85パーセント、好ましくは少なくとも88パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントの歪み回復率;ISO 294-4に従って測定されるときに、1.5パーセント以下、好ましくは1.4%以下、1.0%以下、又は0.7%以下の成形収縮;ASTM-E1356-08(2014)に従って測定されるように、少なくとも100℃、好ましくは少なくとも110℃、より好ましくは少なくとも120℃のTg;及び下記の、実施例において示される方法に従って測定されるように、少なくとも0.80、好ましくは少なくとも0.90の固有粘度の1つ以上を示す。
【0032】
好ましい及びより好ましいPA 6T/6I/6コポリアミド樹脂は、例えば少なくとも1つの環状コネクタ又はバーブコネクタを有する物品などの、好ましい物品へ成形され得るポリアミド組成物を調製するために使用される。
【0033】
好適な半芳香族コポリアミドは、当技術分野において公知である方法、例えばAnnakutty MathewによるPCT国際特許出願公開第2015/057557号パンフレットに記載されるものによって合成され得る。
【0034】
ポリアミド組成物中の半芳香族ポリアミドの重量パーセントは、ポリアミド組成物中に存在する全ての原料(a)~(h)の総重量濃度を基準として、約45~65重量パーセント、好ましくは55~62重量パーセントの範囲であってもよい。
【0035】
補強剤(b)
本明細書に記載のポリアミド組成物は、機械的強度及び他の特性を改善するための少なくとも1種の補強剤を含む。補強剤は、繊維状、板状、粉末状又は粒状材料であってもよい。繊維補強剤の例としては、ガラス繊維、炭素繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、及び炭化ケイ素繊維が挙げられる。
【0036】
補強剤はまた、マイカ、タルク、カオリン粘土、シリカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、ウォラストナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、及び黒鉛などの粉末状、粒状又は板状形態にあってもよい。2種以上の補強剤がこれらのポリアミド組成物において組み合わせられてもよく、本明細書に明確に記述されていないけれども、これらの組成物は、本明細書に記載の補強剤の任意の組み合わせを含み得る。
【0037】
好ましい補強剤には、ガラス繊維、ガラスフレーク、カオリン粘土、ウォラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、炭素繊維、チタン酸カリウム、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0038】
ガラス繊維、フレーク、又はビーズは、大きさが合わせられていてもいなくてもよい。好適なガラス繊維は、長い又は短いガラス繊維のチョップドストランド、及びこれらの粉砕された繊維であってもよい。補強剤は、任意の公知のカップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤)で又は任意の他の表面処理剤でその表面上を処理されていてもよい。
【0039】
使用される場合、繊維は、円形若しくは非円形断面を有し得る。非円形断面を有する繊維は、繊維の長手方向と垂直にある及び断面の最長直線距離に対応する長軸を有する繊維を指す。非円形断面は、長軸に垂直な方向の断面の最短直線距離に対応する短軸を有する。繊維の非円形断面は、繭型(8の字型)形状;長方形(rectangular shape);楕円形;半楕円形;略三角形;多角形;及び長方形(oblong shape)などの様々な形状を有し得る。当業者に理解されるように、断面は他の形状を有し得る。非円形断面の長軸の長さ対非円形断面の短軸の長さの比は、好ましくは約1.5:1~約6:1である。この比は、より好ましくは約2:1~5:1、その上より好ましくは約3:1~約4:1である。非円形の断面を有する好適な繊維は、欧州特許第196194号明細書に開示されている。非円形繊維は、長繊維、チョップドストランド、粉砕短繊維、又は当業者に公知の他の好適な形態であってもよい。
【0040】
円形若しくは非円形繊維補強剤が使用される場合、それらは、本質的に任意の直径を有してもよいが、好ましくはそれらの直径(断面の)又は平均直径は、約1ミクロン~20ミクロン、より好ましくは約5ミクロン~20ミクロンの範囲である。
【0041】
ポリアミド組成物中の全補強剤の総濃度は、ポリアミド組成物中に存在する全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として約20~約50重量パーセント、好ましくは約25~約45重量パーセント、より好ましくは約30~約40重量パーセントの範囲であってもよい。
【0042】
熱安定剤(c)
ポリアミド組成物は、さらに、少なくとも1種の熱安定剤を含む。熱安定剤には、有機及び無機熱安定剤が含まれる。熱安定剤が有機熱安定剤である場合、それはまた、「酸化防止剤」とも呼ばれる。好適な酸化防止剤の例は、立体障害のあるフェノール化合物、芳香族第二級アミンなどのアミン酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び銅系熱安定剤である。立体障害のあるフェノール類の例としては、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、ペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート);オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert.ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;2’,3ビス[3,5ジ第三級ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド;N、N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3,5ジ第三級ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等が挙げられる。N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert.-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))が好ましい。立体障害のあるフェノール化合物の市販の例としては、Ludwigshafen,GermanyのBASF SEから入手可能な、Irganox(商標)1098及びIrganox(商標)1010が挙げられる。
【0043】
芳香族第二級アミン熱安定剤の例としては、4,4’-ビス(アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン及び2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4’-ヒドロキシ-3,5-ジ-tブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。リン系酸化防止剤の例としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;及びジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。Ultranox(商標)626は、Danbury,CTのAddivantから入手可能なリン系酸化防止剤の市販の例である。
【0044】
本明細書に記載のポリアミド組成物に使用される銅系熱安定剤は、少なくとも1種の銅化合物と好ましくは少なくとも1種のアルカリ金属ハロゲン化物とを含む。銅は、銅塩の形態で存在し、ここで、銅は、Cu(I)、Cu(II)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。Cu(I)塩が好ましい。ポリアミド組成物において有用な銅熱安定剤の例としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅;チオシアン酸銅、硝酸銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、カプリン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、銅アセチルアセトネートからなる群から選択される銅塩、及び酸化銅が挙げられる。好ましい銅熱安定剤には、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、及びフッ化銅から選択されるハロゲン化銅が含まれる。好ましい銅種は、ヨウ化銅、好ましくはヨウ化銅(I)である。銅熱安定剤には、また、LiI、NaI、KI、MgI2、KBr、及びCaI2からなる群から選択される金属ハロゲン化物が含まれることが好ましく、KI又はKBrが好ましい。
【0045】
好ましくは、銅系熱安定剤は、銅系熱安定剤の総重量を基準として、5~50重量パーセントの銅塩と、50~95重量パーセントの金属ハロゲン化物と、0~15重量パーセントの脂肪酸塩との混合物である。さらにより好ましくは、銅熱安定剤は、銅系熱安定剤の総重量を基準として、10~30重量パーセントの銅塩と、70~90重量パーセントの金属ハロゲン化筒と、0~15重量パーセントの脂肪酸塩との混合物であり、最も好ましくは、銅熱安定剤は、10~20重量パーセントの銅塩と、75~90重量パーセントの金属ハロゲン化筒と、0~12重量パーセントの脂肪酸塩との混合物である。好ましい熱安定剤は、ヨウ化銅とヨウ化カリウムとの混合物(CuI/KI)である。本明細書に記載のポリアミド組成物において有用な銅安定剤はまた、脂肪酸金属塩キャリア材料とブレンドされても混合されてもよい。脂肪酸塩キャリア材料の例は、ジステアリン酸アルミニウムである。好適な銅熱安定剤の例は、それぞれ7:1:1重量比のヨウ化カリウムと、ヨウ化第一銅と、ステアリン酸アルミニウムとのブレンドを含む、Basel,SwitzerlandのCiba Specialty Chemicalsから入手可能な、Polyadd P201である。好適な安定剤には、7:1:1から7:1:4又は7:1:5までの、異なる重量比の、ヨウ化カリウム、ヨウ化第一銅、及びステアリン酸アルミニウム又は他のキャリア材料が含まれ得る。
【0046】
ポリアミド組成物中に存在する1種以上の酸化防止剤又は熱安定剤は、ポリアミド組成物中の全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として約0.1~3重量パーセント、好ましくは約0.1~2重量パーセント、より好ましくは0.1~1重量パーセント、最も好ましくは約0.1~0.75重量パーセントの範囲であってもよい。
【0047】
潤滑剤(d)
これらのポリアミド組成物に使用される少なくとも1種の任意選択の潤滑剤として使用するための好適な潤滑剤には、外部及び内部潤滑剤が含まれる。外部潤滑剤が好ましい。外部潤滑剤の存在は、金型からの成形品のより容易な排出性を可能にする。
【0048】
外部潤滑剤が使用される場合、それは好ましくは、ポリアミド組成物から作られたペレットに適用される。より好ましくは、外部潤滑剤は、ペレットが温かい間に、例えば押出直後に適用される。
【0049】
好適な潤滑剤の例としては、限定なしに、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、酸化ポリエチレン潤滑剤、ポリエチレン系ワックス、及び2つ以上の好適な潤滑剤の組み合わせが挙げられる。好ましくは、潤滑剤は、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、C12~C30カルボン酸の部分鹸化エステルワックス、ポリオレフィンワックス、及び酸化ポリオレフィンワックスからなる群から選択される。
【0050】
脂肪酸系潤滑剤を調製するための好適な脂肪酸は、10~30個の炭素原子、好ましくは12~30個、より好ましくは18~30個の炭素原子を含む。脂肪酸は、線状若しくは分岐炭素鎖を含み得る。脂肪酸は、脂肪族、不飽和、又は部分不飽和であってもよい。
【0051】
好適な脂肪酸の例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、12-ヒドロリ(hydroly)ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、リグノセリン酸及びモンタン酸が挙げられる。
【0052】
好ましくは、脂肪族アミド潤滑剤を調製するために使用される脂肪酸は、線状の、脂肪族炭素鎖に12~30個の炭素原子を含む。好ましい脂肪酸アミドの例としては、例えばメチルステアリルアミド、エチルステアリルアミド、ジオクタデシルステアリルアミド、ジオクタデシルスクシンアミド、ステアリルステアリルアミド、ステアリルエルカアミド、フェニルステアリルアミド、メチロールスレアリルアミドなどの、脂肪酸モノアミド、並びにN,N’-メチレン-ビスステレイルアミド;N,N’-エチレン-ビスステアリルアミド;及びN,N’-エチレン-ビス(12-ヒドロキシフェニル)ステアリルアミドなどの、脂肪酸ビスアミドが挙げられる。
【0053】
脂肪酸金属塩潤滑剤を調製するための好適な脂肪酸は、18~30個の炭素原子、好ましくは18~28個、より好ましくは22~28個の炭素原子を含む。脂肪酸は、線状若しくは分岐の炭素鎖を含み得る。脂肪酸は、脂肪族、不飽和、又は部分不飽和であってもよい。好ましくは、脂肪酸金属塩潤滑剤を調製するために使用される脂肪酸は、線状の、脂肪族炭素鎖中に18~28個の炭素原子を含む。脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ベヘン酸アルミニウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸亜鉛、及びモンタン酸カルシウムが挙げられる。
【0054】
好適な酸化ポリオレフィンワックス系潤滑剤には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)などの線状ポリエチレン又は低密度ポリエチレン(LDPE)などの分岐ポリエチレンから調製することができるポリエチレン系ワックスが含まれる。そのようなワックスは、商業的に入手可能であり、PE 520、PE 190、PE830、PE840、PED 521、PED 522、PED 821、PED 822、PED 136、及びPED 191などの、Clariant Corp.から入手可能なLicowax(商標)ブランドの製品を含む。
【0055】
他の好適な市販の潤滑剤には、Chemtura Corp.から入手可能なKemamide(商標) E-180潤滑剤(N-ステアリルエルカアミド);Croda Chemicalsから入手可能なCrodamide(商標)212潤滑剤;Clariant Corp.によって製造されるLicowax OP潤滑剤;Clariant Corp.から入手可能なPED 191潤滑剤、酸化ポリエチレンワックス;Clariant Corp.から入手可能なLicomont(商標)CaV 102潤滑剤、モンタン酸カルシウム;Clariant Corp.によって製造されるHostamont(商標)NAV 101潤滑剤、モンタン酸ナトリウム;及びCognis,Dusseldorf,Germanyによって製造されるLoxiol(商標)VPG 861潤滑剤、ペンタエリスリトールテトラステアレート;Evonik Industries,Germanyから入手可能な、Vestowax AO1535潤滑剤;Lonza Chemical Co.から入手可能なAcrawax(商標)C潤滑剤;並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0056】
好ましくは、ポリアミド組成物に使用される少なくとも1種の潤滑剤(d)は、酸化ポリエチレンワックス、N-ステアリルエルカアミド、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、及びこれらの好ましい潤滑剤の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。好ましい潤滑剤の市販の例としては、Kemamide E-180、Licowax OP、及びLicomont(商標)CAV102が挙げられる。
【0057】
外部若しくは内部潤滑剤として存在する場合、潤滑剤(d)は、ポリアミド組成物中の全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として約0.01~2.0重量パーセント、好ましくは約0.05~2.0重量パーセント、より好ましくは約0.1~1.0重量パーセントの範囲の量でポリアミド組成物中に存在し得る。
【0058】
造核剤(e)
任意選択の造核剤は、ポリアミド組成物中に存在する場合、任意の従来の造核剤であってもよい。したがって、造核剤は、熱可塑性組成物の融点よりも高い融点を有するポリマーなどの有機であってもよいか、或いはそれは、タルク、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、又はLiF、CaF2、及びZnCl2などのアルカリ若しくはアルカリ土類金属ハロゲン化物などの無機材料であってもよい。
【0059】
ポリアミド組成物中に存在する場合、ポリアミド組成物中の造核剤の濃度は、ポリアミド組成物中の全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として、好ましくは約0.01~2.0重量パーセント、より好ましくは0.05~2.0、最も好ましくは0.1~1.5重量パーセントの範囲である。
【0060】
衝撃改質剤(f)
存在する場合、任意選択の衝撃改質剤には、限定なしに、ポリマーが、酸、エポキシ、又は酸無水物官能基を含む1種以上のポリマー衝撃改質剤が含まれる。そのような官能基は、通常、小分子を既存のポリマー主鎖上にグラフトすることによって、又は所望の官能基を含有するモノマーを衝撃改質剤のポリマー主鎖中へ直接に共重合させることによって、衝撃改質剤中に組み入れられる。グラフト化衝撃改質剤の好適なタイプの例として、無水マレイン酸が、フリーラジカルグラフト化技術を用いて炭化水素ゴム(α-オレフィンがプロピレン又は1-オクテンなどの末端二重結合を持った直鎖オレフィンである、エチレン/α-オレフィンコポリマーなどの)上へグラフトされ得る。結果として生じるグラフト化ポリマーは、カルボン酸無水物及び/又はカルボキシル基がそれに結合している。
【0061】
官能基がポリマー主鎖へ直接共重合させられている官能化エチレンコポリマー、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸モノマーとの直接コポリマーがポリマー衝撃改質剤の例である。エチレンコポリマーはまた、(メタ)アクリル酸モノマーに加えて、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、又は2つの混合物を含み得る。アクリレート及びメタクリレートモノマーの例としては、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。官能基を含む有用な化合物には、(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、及び2-イソシアナトシアナトエチル(メタ)アクリル酸が含まれる。接頭辞「(メタ)」は、本明細書で用いるところでは、任意選択のメチル基を指す。例えば、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸を、又はアクリル酸及びメタクリル酸の両方を指す。衝撃改質剤として使用するための好適な官能化エチレンコポリマーには、限定なしに米国特許第4,174,358号明細書に記載されているものが含まれる。
【0062】
別の好適なタイプの衝撃改質剤は、カルボン酸金属塩を含むポリマーである。そのようなポリマーは、カルボン酸若しくはカルボン酸無水物含有コモノマーをポリマーにグラフトすることによって又は酸若しくは酸無水物含有化合物を直接共重合させることによって製造され得る。その後、酸若しくは酸無水物基のいくらか又は全てが中和される。この種の有用な材料には、Dow Chemical Company,Midland MI 48674 USAから入手可能なSurlyn(商標)アイオノマー、及び対イオンとして金属カチオンを有する中和無水マレイン酸グラフト化エチレン/α-オレフィンポリマーが含まれる。これらのカルボン酸塩のための好ましい金属カチオンには、Na、Zn、Li、Mg及びMnカチオンが含まれる。
【0063】
本明細書で用語「エチレンコポリマー」には、エチレンジポリマー、すなわち、エチレンと1種のコモノマーとのコポリマー;エチレンターポリマー、すなわち、エチレンと2種のコモノマーとのコポリマー;及びエチレンマルチポリマー、すなわち、3種超の異なる繰り返し単位を有するコポリマーが含まれる。衝撃改質剤として有用なエチレンコポリマーには、式E/X/Y
[式中:
Eは、エチレンに由来する繰り返し単位を表し;
Xは、式:
CH2=CH(R1)-C(O)-OR2
(式中、R1は、H、CH3又はC2H5であり、R2は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基である)
の1種以上のコモノマーに由来する繰り返し単位を表すか;或いはXは、単独か若しくは1種以上の他のコモノマーXと組み合わせた酢酸ビニルに由来する繰り返し単位を表し;ここで、Xの量は、E/X/Yコポリマーの0~50重量%であり;
Yは、一酸化炭素、二酸化硫黄、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、フマル酸、フマル酸モノエステル並びに前記先行酸のカリウム、ナトリウム及び亜鉛塩、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート及びグリシジルビニルエーテルからなる群から選択される1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を表し;ここで、Yの量は、E/X/Yコポリマーの0.5~35重量%、好ましくはE/X/Yコポリマーの0.5~20重量パーセントであり、Eは、残り重量パーセントであり、好ましくはE/X/Yコポリマーの40~90重量パーセントを占める]
のエチレンコポリマーからなる群から選択されるものが含まれる。
【0064】
好適な衝撃改質剤にはまた、少なくとも2つのガラス転移温度を示すポリオレフィンのブレンドであり、並びに1)55~90重量パーセントの-20℃超の少なくとも1つのガラス転移温度及び75℃超の軟化温度の第1のポリオレフィン(前記第1のポリオレフィンは、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレンと3~10個の炭素原子を有する1種以上のアルファ-オレフィンとのコポリマー及びプロピレンと2~10個の炭素原子を有する1種以上のアルファ-オレフィンとのコポリマーからなる群から選択される)と;2)10~45重量パーセントの-20℃未満の最高ガラス転移温度及び75℃未満の軟化温度の第2のポリオレフィン(前記第2のポリオレフィンは、エチレンと少なくとも3個の炭素原子を有する1種以上のアルファ-オレフィン又はジエンとのコポリマーから選択される)とを含むポリオレフィンであって、第1及び第2のポリオレフィンが溶融ブレンドされ、任意選択的に過酸化物の存在下で、反応性の高いモノマーで共グラフトされているポリオレフィンから得られる、共グラフト化衝撃改質剤が含まれる。重量百分率は、第1及び第2のポリオレフィンの総重量を基準としており、それらは相補的である、すなわち、第1及び第2のポリオレフィンの重量百分率の合計は100重量%である。好適な共グラフト化衝撃改質剤は、PCT国際特許出願公開第2016/053965 A1号パンフレットに記載されている。
【0065】
ポリアミド組成物中に存在する場合、衝撃改質剤の濃度は、ポリアミド組成物中の全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として、好ましくは約0.02~10重量パーセント、より好ましくは0.05~5、さらにより好ましくは0.1~3重量パーセントの範囲である。
【0066】
非晶質コポリアミド(g)
任意選択的に、少なくとも1種の非晶質コポリアミドが、ポリアミド組成物に使用され得る。非晶質コポリアミドの例は、約60/40~80/20モル比の繰り返し単位を含むPA 6I/6Tである。
【0067】
本明細書に開示のポリアミド組成物中に存在する場合、非晶質コポリアミドは、ポリアミド組成物中の全ての原料(a)~(h)の総重量を基準として、約0.1~8重量パーセント、好ましくは約1~4又は5パーセントの範囲であってもよい。
【0068】
任意選択の追加の添加剤(h)
ポリアミド組成物は、例えば、UV吸収剤としても知られる、紫外線安定剤;加工助剤;剥離剤;難燃剤;難燃性相乗剤;カーボンブラック及び二酸化チタンなどの染料及び顔料などの、着色剤;加水分解安定剤;帯電防止剤;並びに粘着防止剤などの1種以上の追加の添加剤を任意選択的に含み得る。各添加剤の量は、ポリアミド組成物の所望の特性に応じて、個別に選択される。一般に、任意選択の追加の添加剤が存在する場合、それの総量は、ポリアミド組成物の総重量を基準として、0.01~30重量%、又は0.01~25重量%、又は0.01~20重量%、又は0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%である。
【0069】
カーボンブラックは、好ましい任意選択の追加の添加剤である。存在する場合、その量は、ポリアミド組成物の総重量を基準として、好ましくは、0.01~5.0重量%、0.1~2.0重量%、0.1~1重量%、又は0.1~0.5重量%、0.1~0.3重量%、又は約0.1重量%である。
【0070】
好適な難燃剤及び難燃性相乗剤は、Yuji Sagaに発行された、米国特許第7,989,538号明細書、及びYige Yinに発行された、米国特許第8,541,489号明細書に記載されている。リン系難燃剤が好ましく、より好ましい難燃剤には、限定なしに、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチルエチルホスフィン酸亜鉛、イソプロピルイソブチルホスフィン酸アルミニウム、イソプロピルtertブチルホスフィン酸アルミニウム、及びジイソブチルホスフィン酸アルミニウムが含まれる。任意選択の追加の添加剤が、1種以上の難燃剤又は相乗剤を含む場合、難燃剤及び相乗剤の総量は、ポリアミド組成物の総重量を基準として、好ましくは5~20重量%又は25重量%である。
【0071】
ポリアミド組成物の調製
ポリアミド組成物は、全ての原料が十分に混合される任意の溶融ブレンディング方法によって調製され得る。好ましくは、全てのポリマー原料が十分に混合され、全ての非ポリマー原料がポリアミド樹脂マトリックス中に十分に分散させられる。任意の好適な溶融ブレンディング方法が、本ポリアミド組成物のポリマー原料と非ポリマー原料とを混合するために用いられ得る。例えば、ポリマー原料及び非ポリマー原料は、一軸押出機若しくは二軸押出機、かき混ぜ機、一軸若しくは二軸混練機、又はバンバリーミキサーなどの、溶融ミキサーに供給されてもよく、その添加工程は、バッチ式で、全ての原料の同時添加又は1種以上の原料若しくは1種以上の原料の1つ以上の部分の漸次添加を含み得る。ポリマー原料及び非ポリマー原料がバッチ式で徐々に添加される場合、ポリマー原料又は非ポリマー原料の一部が先ず添加され、次いで、その後に添加される残りのポリマー原料及び非ポリマー原料と、十分に混合された組成物が得られるまで溶融混合される。
【0072】
ポリアミド組成物
本明細書に記載されるような6T/6I/6繰り返し単位を含むコポリアミドは、補強剤、熱安定剤、及び任意選択的に他の原料とブレンド又は混合される場合に、歪み回復率、成形収縮、表面光沢、及びガラス転移温度(Tg)などの1つ以上の物理的特性の特定の組み合わせを示すコポリアミド組成物を形成する。これらの物理的特性は、半芳香族コポリアミド中の6T、6I、及び6繰り返し単位のモル濃度に依存する。
【0073】
したがって、本明細書に記載のポリアミド組成物は、物品又は試験サンプルへ成形された場合に、少なくとも100℃のTg、150℃で測定される少なくとも85パーセントの歪み回復率、並びに流れ方向及び横方向の平均として測定されるときに0.8パーセント以下の成形収縮などの1つ以上の特性の組み合わせを含む。好ましくは、ポリアミド組成物は、これらの物理的特性の全3つで特徴付けられる。
【0074】
また好ましくは、ポリアミド組成物は、150℃でDMAによって測定されるときに少なくとも85パーセント、好ましくは少なくとも88パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントの歪み回復率;ISO 294-4に従って測定されるときに、0.8パーセント以下、又は0.7パーセント以下、又は0.6パーセント以下の成形収縮;ASTM-E1356-08(2014)に従って測定されるように、少なくとも100℃、好ましくは少なくとも110℃、より好ましくは少なくとも120℃のTg;及び下記の、実施例において示される方法に従って測定されるように、少なくとも0.80、好ましくは少なくとも0.90の固有粘度の1つ以上を示す。
【0075】
ポリアミド組成物の物理的特性は、少なくとも1つの環状コネクタを含む及び望ましいアンダーカットを有する物品を、物品を使用できなくする損傷なしに成形し、金型から取り出すことができるようにバランスさせられる。
【0076】
物品
本明細書に記載のポリアミド組成物は、例えば射出成形又は圧縮成形などの、成形によって様々な物品を形成するのに好適である。いくつかの好ましい物品は、物品が金型から取り出されるときに、物品のより幅広い部分を金型のより狭い部分を通して引っ張ることによってのように、それが圧縮されるように、一様でない幅のプロファイルを含む、環状のセルフ-ストリッピング性物品である。環状コネクタは、例えば、一様でないプロファイルを有し、それらの幅広い部分は、それらがその中で形成される金型のより狭い部分を通ってそれらが取り出されるときに半径方向に圧縮される。環状コネクタを含む物品には、自動車ラジエータ及びエンジンブロックなどの部品用の送水ポンプハウジング、サーモスタットハウジング、並びに取水口及び蛇口が含まれる。
【0077】
物品のより幅広い部分が金型のより狭い部分を通して引っ張られた後に、物品のより幅広い部分はそのより大きい寸法を望ましくは取り戻すか、或いはそのより大きい寸法の少なくとも一部を取り戻し、金型のより狭い部分の寸法を保持しない。また好ましくは、物品は、別段、そのより幅広い部分の圧縮によって、例えば破壊、クラッキング、反り、バックリング、又は膨れによって恒久的に損なわれない。これらの有利な結果は、好ましい物品を本明細書に記載のポリアミド組成物から成形することによって得られ得る。
【0078】
図の全体にわたって同様の参照番号が対応する構造を示す、図面にこれから言及すると、及び特に図1に言及すると、環状コネクタ10は、その金型100の中に描かれている。環状コネクタは、シャフト8とバーブ12とを含む。バーブ12は、シャフト8の最大直径よりも大きい最大直径で特徴付けられる。さらに図1に言及すると、環状コネクタ8のバーブ12の最大直径A*は、金型100の最大直径Aに等しい。シャフト8の直径B*は、金型100のシャフト部分の直径Bに等しい。シャフト8の直径B*とバーブ12の最大直径A*との間の差2・C*は、シャフト部分の直径Bと金型100のバーブ部分の最大直径Aとの間の差2・Cに等しい。最後に、環状コネクタ10の内径D*は、金型100のピン部分の外径Dに等しい。流体が物品を通過し得るように環状コネクタ10内の開口部を保つ、且つ、物品が金型から引き出される前に環状コネクタ10から引き抜かれる、このピン部分は、図に示されていない。
【0079】
図1において、環状コネクタ10は、金型100を満たしている。それ故、環状コネクタ10の表面は、金型100の表面に隣接している。さらに、A及びA*、B及びB*、C及びC*は、材料が融解しているので、等しい。固化及び熱的効果による収縮並びに排出からの変形は、その上起こっていない。最後に、環状コネクタ10の縦軸である、ラインX、X’は、金型100の縦軸である、ラインY、Y’と一致している。
【0080】
これから図2に言及すると、環状コネクタ10は、軸Y、Y’に沿って縦方向に移されるが、金型100から完全に取り去れるわけではない。環状コネクタ10は、その最大バーブ直径A*が金型100のシャフト部分の直径Bに等しいように圧縮される。実際に、環状コネクタ10は、シャフト8及びバーブ12への最大歪みのポイントで描かれている。環状コネクタ10上のシャフト8からのバーブ12の高さ(アンダーカットC*)は、金型100からの取り出し中の成形品への歪みに直接影響を及ぼす。
【0081】
さらに図2に言及すると、環状コネクタ10は、描かれていない様々な変形を示し得る、例えばシャフト8の直径B*は、バーブ12から最も遠く離れているシャフト8上のポイントで、金型100のシャフト部分の直径Bから、バーブ12に最も近いシャフト8上のポイントで、直径Bマイナス2・C*の差である直径まで変わり得る。環状コネクタ10の内径D*は、環状コネクタ10が、例えばバックリングによって、金型から取り出すプロセス中にその円筒形を失う場合、一様であり得ない。これらの変形は、一時的であっても恒久的であってもよい。
【0082】
金型100(図解されていない)から剥離すると、最大バーブ直径A*は、それが金型100のシャフト部分の直径Bよりも大きいように好ましくは増加するか又は、より好ましくは、A*は、金型100のバーブ部分の最大直径Aと同等に近付く若しくは最大直径Aに等しいか、又は差2・C*は、金型100の差2・Cと同等に近付く若しくは2・Cに等しいか、又はA*及び2・C*は、両方ともA及び2・Cと同等に近付く若しくはA及び2・Cに等しい。成形形状と金型から取り出された形状との間のこの近い一致は、少なくとも一部分において、例えば、歪み回復率及び成形収縮などの、ポリアミド組成物の有利な物理的特性の関数である。
【0083】
上述のとおり、環状コネクタは、好ましい物品の例である。セルフ-ストリッピング性環状コネクタ又はスナップジョイントは、一般的に、2つの異なる部品を一緒に、例えばホースを送水ポンプのハウジングになど連結するために使用される。環状コネクタは、環状コネクタのシャフト又はランドよりも大きい直径を有する突起部つまりバーブを含む。再び図1に言及すると、高さCは、環状コネクタ10のアンダーカットとも呼ばれる。アンダーカットCは、環状コネクタ10の性能において重要な役割を果たす。第一に、典型的にはアンダーカットCが大きければ大きいほど、環状コネクタ10と、それが連結される部品との間の連結は、より良好になる又はよりタイトになる。しかしながら、より大きいアンダーカットCは、材料からのより大きい歪み及び金型からセルフ-ストリッピング性環状コネクタを排出するための一般により大きい力を必要とする。加えて、アンダーカットCが余りにも大きい場合、金型からの排出中に環状コネクタ10の過度の変形が、とりわけ、環状コネクタ10のバーブ12の周りに又は内部に、成形品の破損、クラック、又は恒久的な変形を引き起こし得る。したがって、アンダーカットCの最大作業サイズは、成形品が破損、クラック、又は恒久的変形なしに受けることができる最大歪みなどの幾つかの要因によって決定される。最大歪みは、物品を作るために使用されるポリアミド組成物に使用される構成要素によって決定される。
【0084】
再び図1に言及すると、本明細書に記載のポリアミド組成物は、唯一の相違が、1種以上の異なるポリアミド又はコポリアミドが本明細書に記載のPA 6T/6I/6コポリアミドに取って代わっていることである、同一の金型で完全に同じように加工される、それ以外の点では同一のポリアミド組成物で達成されるものよりもバーブ12の直径A*が少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも1.1%、少なくとも1.2%、少なくとも1.3%、少なくとも1.5%、少なくとも1.7%、少なくとも2.0%、少なくとも2.3%、又は少なくとも2.6%、又は少なくとも2.8%大きい環状コネクタ10を有する物品の成形を可能にする。好ましくは、バーブ12の高さA*は、1種以上の異なるポリアミド又はコポリアミドが本明細書に記載のPA 6T/6I/6コポリアミドに取って代わっている、同一の金型で完全に同じように加工される、類似のポリアミド組成物で達成されるものよりも、140℃で、少なくとも少なくとも2.6%大きい、好ましくは2.8%大きい及び150℃で、1.3%大きい、好ましくは1.5%大きい。
【0085】
さらに図1に言及すると、本明細書に記載のポリアミド組成物は、唯一の相違が、1種以上の異なるポリアミド又はコポリアミドが本明細書に記載のPA 6T/6I/6コポリアミドに取って代わっていることである、同一の金型で完全に同じように加工される、それ以外の点では同一のポリアミド組成物から成形されるそれ以外の点では同一の環状コネクタ10のバーブ直径A*よりもバーブ直径A*が少なくとも1パーセント大きい、好ましくは少なくとも1.2パーセント、最も好ましくは少なくとも1.3パーセント大きい環状コネクタ10を有する物品の成形を可能にする。言い換えれば、それ以外の点では同一のポリアミド組成物において、全ての構成要素及び量は、それ以外の点では同一のポリアミド組成物が本明細書に記載されるPA 6T/6I/6コポリアミドの代わりに第2の半芳香族コポリアミドを含むことを除いては、ポリアミド組成物中のものと同一である。第2の半芳香族コポリアミドは、本明細書に記載の及び本明細書で特許請求されるポリアミド組成物に使用されるPA 6T/6I/6コポリアミドとは異なる。より大きいバルブ直径を生み出すことを意図する全ての組成変更が一定に保たれる場合、本明細書に記載されるPA 6T/6I/6コポリアミドを含む特許請求される半芳香族コポリアミド組成物を使用して得られるバルブ寸法は、第2のポリアミド組成物を使用して得られるバルブ寸法よりも実質的に大きい。
【0086】
上記の2つの段落において、本明細書に記載されるPA 6T/6I/6コポリアミドの代わりに異なるポリアミド又はコポリアミドを含む「類似のポリアミド組成物」に又は「それ以外の点では同一のポリアミド組成物」に言及する場合に、異なるポリアミド又はコポリアミドは、好ましくは、第2の半芳香族コポリアミドを含む。より好ましくは、第2の芳香族コポリアミドは、6T、6I及び6の、任意の2つから選択される繰り返し単位を含むが、それらの3つ全てを含むわけではない。さらにより好ましくは、第2の半芳香族コポリアミドは、下記の、実施例において記載されるような、PA-2~PA-7の1つ以上を含む。
【0087】
これに関連して、自動車用途に使用される環状コネクタ10のバーブ直径A*は、典型的には約8~10mmの範囲であり、0.1mm(約1パーセント)の差が重要と考えられる。
【0088】
さらに図1に言及すると、150℃で成形される場合、本明細書に記載のポリアミド組成物は、バーブ直径A*が金型100のツールドバーブ(tooled barb)直径Aの少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、又は少なくとも96%である環状コネクタ10を有する物品の成形を可能にする。例えば、金型100が9.6mmのバーブ直径を成形するための寸法を有する、且つ、150℃でこの金型を用いて成形された物品が、室温に冷却される後に、9.1mmのバーブ直径を有する場合、成形品は、金型100のツールド直径Aのそれの約95%であるバーブ直径A*を有する。対照的に、唯一の相違が、1種以上の異なるポリアミド又はコポリアミドが本明細書に記載のPA 6T/6I/6コポリアミドに取って代わっていることである、同一の金型で完全に同じように加工される、それ以外の点では同一のポリアミド組成物から成形されたそれ以外の点では同一の環状コネクタ10は、金型100のツールド直径Aの約92%以下であるバーブ直径A*を有し得る。
【0089】
最後に、その金型からの取り出し中の物品の圧縮及び剥離から生じ得る欠陥には、環状コネクタの内面又は外面上の破損又はクラッキングが含まれる。好ましくは、これらのポリアミド組成物から作られた少なくとも1つの環状コネクタを含む成形品は、物品をその意図される目的にとって不適当なものにする実質的な破損又はクラッキングなしに金型から取り出す又は排出することができる。より好ましくは、金型から取り出された物品は、うわべだけの欠陥にすぎないささいな破損又はクラッキングを示すにすぎない。さらにより好ましくは、金型から取り出された物品は、目に見える破損又はクラッキングを全く示さない。言い換えると、ヒト肉眼による金型から取り出された物品の目視検査時に、表面破壊又はクラックは全く検出されない。
【0090】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提供される。本発明を実施するために現在考えられる好ましいモードを示す、これらの実施例は、本発明を例示することを意図し、それを限定することを意図するものではない。
【実施例
【0091】
実施例は、下記の表において「E」で識別され、比較例は、「C」で識別される。
【0092】
原材料
PA-1A:57/25/18のモル比及び0.87のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1B:59/23/18のモル比及び0.87のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1C:54.5/27.3/18.2のモル比及び1.13のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1D:57/25/18のモル比及び1.05のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1E:58/24/18のモル比及び1.10のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1F:59/23/18のモル比及び1.11のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1G:59/23/18のモル比及び1.04のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1H:58/24/18のモル比及び0.87のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1I:50/25/25のモル比及び0.92のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1J:50/20/30のモル比及び0.90のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
PA-1K:50/30/20のモル比及び0.91のIVを有する6T/6I/6ポリアミドコポリマー。
50/50のモル比及び0.90のIVを有するPA-2-A 6T/DTポリアミドコポリマー。
50/50のモル比及び1.02のIVを有するPA-3-A 6T/DTポリアミドコポリマー。
55/45のモル比及び0.94のIVを有するPA-4-A 6T/66ポリアミドコポリマー。
70/30のモル比及び0.75のIVを有するPA-5-A 6I/6Tポリアミドコポリマー。
70/30のモル比及び0.81のIVを有するPA-6:A 6I/DTポリアミドコポリマー。
60/40のモル比及び0.92のIVを有するPA-7:A 6T/6Iポリアミドコポリマー。
TS-Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な、7-1-1(重量で)のヨウ化カリウムと、ヨウ化第一銅と、ステアリン酸アルミニウムとのブレンドを含む熱安定剤。
潤滑剤A-Clariant Corp.,Charlotte,NC.からPED 191として入手可能な酸化ポリエチレンワックス。
潤滑剤B-Clariant Plastics&Coatings,USAから入手可能なLicowax(登録商標)OPとして入手可能はモンタン酸の部分鹸化エステルワックス
着色剤-カーボンブラックマスターバッチ
IM-A-Dow Chemical Company,Midland MIからFusabond(登録商標)A560として入手可能な変性エチレンアクリルコポリマー
IM-B-E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.,Wilmington,DEからTRX 301Eとして入手可能な無水マレイン酸でグラフトされたエチレンα-オレフィンコポリマー
タルク-The Cary Company,Addison,IL,USAから入手可能な1ミクロンの平均粒径を有するTalcron(登録商標)MP10-52。
GF-3mmの平均長さを有する及び日本電気硝子株式会社、日本からT-262Hとして入手可能なチョップドE-ガラス繊維補強剤。
【0093】
試験方法
引張強度は、ISO 527(2012)に従って測定した
引張弾性率は、ISO 527(2012)に従って測定した
切断時伸びは、ISO 527(2012)に従って測定した
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM E1356-08(2014)に従ってDSCによって測定した
成形収縮は、ISO 294-4(2018)に従って測定した
固有粘度(IV)は、ISO 307(2007)に従って、25℃でm-クレゾール中のポリアミドの0.5重量%溶液に関して測定した
表面光沢(%)は、60度の角度でASTM D523に従って測定した。
LLC(長寿命クーラント)浸漬試験は、750時間まで140℃で行った。標準ISO引張試験片、(30試験片/Parrボンベ)を、耐圧Parrボンベ中でトヨタ純正超長-寿命クーラントと脱イオン水との50/50ブレンドに浸ける。
【0094】
歪み回復率(%)
歪み回復率は、TA Instruments Q800 DMA(Dynamic Mechanical Analyzer)を用いて測定した。50mm×12.8mm×1.6mm(L X W X H)の寸法を有する試験サンプルを使用した。これらの試験サンプルに、150℃で15分間3点曲げモードで1%歪みを加え、その時点で歪みを取り除き、30分間の歪み回復率を記録した。
【0095】
MV(溶融粘度)
MVは、Dynisco Capillary Rheometerバレル中で樹脂を溶融させるために300秒間保持した後に325℃で、Dynisco Capillary Rheometer LC7000を用いて測定した。MVは、せん断速度1000秒-1で報告した。ダイ長さは20.32mmであり、ダイ直径は1.016mmであり、入口角は120°であった(ASTMに準拠)。測定前に、樹脂を最小12時間真空下に100℃で乾燥させた。
【0096】
バーブ直径(A*)
成形部品を金型から引き出し、室温に戻した。バーブ直径A*を、部品周りの幾つかの回転角でキャリパーを用いて測定し、最大A*を特定し、記録した。
【0097】
【表1】
【0098】
表1は、ポリアミド組成物の調製に使用されるコポリアミドの物理的特性を示す。C1及びC2は、それぞれPA 6T/DT(IV 0.90)及びPA 6T/DT(IV 1.02)を使用し、物理的特性の所望の組み合わせを示すことができない。E2及びE3は、繰り返し単位の特定のモル比を有するPA 6T/6I/6を使用し、E2は、3重量パーセントの非晶質PA 6I/6Tをさらに含み、E3は、1.5パーセントの衝撃改質剤を含む。E1~E3は全て、C1及びC2と比較して物理的特性の所望の組み合わせを示す。
【0099】
【表2】
【0100】
表2は、ポリアミド組成物の調製に使用されるコポリアミドの物理的特性を示す。C3及びC4は、それぞれPA 6T/66及びPA 6I/6Tをコポリアミド樹脂として使用し、物理的特性の所望の組み合わせを示すことができない。E4、E5、E6及びE6Aは、繰り返し単位の特定のモル比を有するPA 6T/6I/6をコポリアミド樹脂として使用し、異なるポリアミド樹脂を使用するC3及びC4と比較して、全て物理的特性の所望の組み合わせを示す。
【0101】
【表3】
【0102】
表3は、9.6mmのツールドバーブ直径の金型を用いて環状コネクタを含む物品へ成形されているPA 6T/6I/6コポリアミドを含むポリアミド組成物の実施例(E7、E8、E8A及びE9)を示す。実施例全てに関して結果として生じたバーブ直径は、少なくとも9.02mmである。
【0103】
【表4】
【0104】
表4は、9.3mmのツールドバーブ直径の金型を用いて環状コネクタを含む物品へ成形されているPA 6T/6I/6コポリアミドを含むポリアミド組成物の実施例を示す。実施例E10のバーブ直径(8.71mm)は、C5よりも150℃で成形された場合に少なくとも0.13mm、140℃で成形された場合に0.23mm大きく、それぞれ1.5%及び2.7%改善である。
【0105】
造核剤(タルク)の排除は、より大きいバーブ直径に寄与すること、及び非晶質ポリアミドの包含は、配合物についてのより低い結晶化度のためにより大きいバーブ直径を提供することが知られている。理論に縛られることを望むことなく、これらの影響の両方はコポリアミド組成物におけるより低い結晶化度に起因すると考えられる。衝撃改質剤の包含はバーブ直径に非常に少ない影響を及ぼすことがさらに知られている。それ故、E11が、C5のバーブ直径と比較して、それぞれ、150℃及び140℃金型で1.6%及び2.9%より大きいバーブ直径を示すことは意外である。
【0106】
【表5】
【0107】
表5は、9.6mmのツールドバーブ直径の金型を用いて環状コネクタを含む物品へ成形されているPA 6T/6I/6コポリアミドを含むポリアミド組成物の実施例を示す。実施例E12~E15のバーブ直径は、140℃で成形された場合にC7よりも少なくとも0.12mm、150℃で成形された場合に0.29mm大きく、それぞれ1.3%及び3.2%改善である。E16~E18は、強化剤を含み、実施例E12~E15に類似のバーブ直径を示す。
【0108】
C7はC5と同じ配合を有するが、2つの異なる成形型が用いられた。造核剤(タルク)の排除は、より大きいバーブ直径に寄与すること、及び非晶質ポリアミドの包含は、配合物についてのより低い結晶化度のためにより大きいバーブ直径を提供することが知られている。理論に縛られることを望むことなく、これらの影響の両方はコポリアミド組成物におけるより低い結晶化度に起因すると考えられる。衝撃改質剤の包含はバーブ直径に非常に少ない影響を及ぼすことがさらに知られている。それ故、非晶質ポリアミドを含有しない、E13が、C7のバーブ直径と比較して、それぞれ、150℃及び140℃金型で2.2%及び3.3%より大きいバーブ直径を有することは意外である。
【0109】
【表6】
【0110】
表6は、本明細書に開示されるポリアミド組成物における原材料の様々な組み合わせの物理的特性を示す。
【0111】
【表7】
【0112】
表7は、ポリアミド組成物から成形された物品の表面光沢特性を示し、6T/6I/6コポリアミドの代わりに6T/DTコポリアミドを使用するC9についての14.3%と比較して150℃で成形された場合に76~82.3%の範囲である。
【0113】
【表8】
【0114】
表8は、成形された試験片のLLC浸漬試験結果を示す。C10は、50/25/25のモル比のPA 6T/6I/6を使用し、C11は、50/20/30のモル比のPA 6T/6I/6を使用し、C12は、50/30/20のモル比のPA 6T/6I/6を使用する。C10及びC11は、他よりも140℃ではるかに悪い耐LLC性を示す。C10及びC12は、9.3mmのツールドバーブ直径の金型を用いて環状コネクタを含む物品へ成形することができなかった。加えて、C10及びC12の両方とも、部品の排出時に壊れた。
【0115】
本発明の好ましい実施形態のいくつかが上記で説明され、具体的に例示されてきたが、本発明がそのような実施形態に限定されることは意図していない。むしろ、本発明の多くの特徴及び利点が、本発明の構造及び機能の詳細と一緒に、前述の説明において示されているけれども、本開示は例示的であるにすぎず、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的意味によって示される最大限まで、本発明の原理内で、詳細に、とりわけ部品の形状、サイズ及び配置に関して変更が行われ得ることは理解されるべきである。
図1
図2