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特許7588091ポリオールブロックコポリマー、組成物、及びそのためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ポリオールブロックコポリマー、組成物、及びそのためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/18 20060101AFI20241114BHJP
   C08G 65/26 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20241114BHJP
   C10M 107/32 20060101ALI20241114BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20241114BHJP
【FI】
C08G64/18
C08G65/26
C08G18/44
C08G18/10
C10M107/32
C09K23/52
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021564877
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 GB2020051083
(87)【国際公開番号】W WO2020222019
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】1906214.0
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517022142
【氏名又は名称】エコニック テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECONIC TECHNOLOGIES LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】リーランド、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カビール、ラキブル
(72)【発明者】
【氏名】ライリー、ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ケンバー、マイケル
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0198092(US,A1)
【文献】特表2016-538371(JP,A)
【文献】特表2014-515429(JP,A)
【文献】特表2010-509479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G64
C08G65
C08G18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって;前記系は、第1及び第2反応器を含み、前記第1反応器内で第1反応が行われ、前記第2反応器内で第2反応が行われ;前記第1反応は、ポリカーボネートポリオールコポリマーを生成するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO及びエポキシドとの反応であり、前記第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、前記第1反応のポリカーボネートポリオールコポリマー及びエポキシドとの反応であり、(i)前記第1反応の生成物は、粗反応混合物として、前記第2反応器に供給され、(ii)前記エポキシド及び前記第1反応の前記ポリカーボネートポリオールコポリマーは、前記第2反応器に、連続方式若しくは半回分方式で供給され、並びに/又は(iii)前記第1反応の生成物は、前記第2反応に添加される時点で中性又はアルカリ性のpHを有する、プロセス。
【請求項2】
多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって;前記系は、第1及び第2反応器を含み、前記第1反応器内で第1反応が行われ、前記第2反応器内で第2反応が行われ;前記第1反応は、ポリカーボネートポリオールコポリマーを生成するための、多官能性開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO及びエポキシドとの反応であり、前記第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、前記第1反応の前記ポリカーボネートポリオールコポリマー及びエポキシドとの、半回分式又は連続式反応である、プロセス。
【請求項3】
請求項2に記載のポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって、前記多官能性開始剤は、式(III):
【化1】

(式中、
Zは、自身に結合している2以上の-R基を有することができる任意の基とすることができ、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択してもよく、又はZは、これらの基の任意の組合せであってもよく、例えば、Zは、アルキルアリーレン基、ヘテロアルキルアリーレン基、ヘテロアルキルヘテロアリーレン基、又はアルキルヘテロアリーレン基であってもよく;
aは、少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、2~8の範囲にあり、任意選択的に、aは、2~6の範囲にあり;
は、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)、又は-PR’(O)OHであってもよく、任意選択的に、Rは、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、Rは、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せであり(例えば、Rはそれぞれ-OHである);
R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルであってもよく、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである)
を有する、プロセス。
【請求項4】
前記DMC触媒は、任意選択的に、前記第2反応器内で又は別個に予備活性化され、任意選択的に、前記DMC触媒は、開始剤化合物と一緒に、又は第1若しくは第2反応の反応生成物と一緒に、又はポリカーボネートポリオールコポリマーと一緒に、又はポリオールブロックコポリマーと一緒に予備活性化される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1反応の生成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量(Mn)が200~4000ダルトンの範囲にある低分子量ポリカーボネートポリオール生成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第1反応の生成物は、前記第2反応器に粗反応混合物として供給され、前記第2反応器は、予備活性化されたDMC触媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ポリカーボネートポリオールコポリマーが、前記DMC触媒との反応に粗反応混合物として供給され、前記反応は、予備活性化されたDMC触媒を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1反応は、20バール(2MPa)未満、より好ましくは10バール(1MPa)未満、最も好ましくは8バール(0.8MPa)未満のCO圧力下で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1反応は、回分式、半回分式、又は連続式プロセスである、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第2反応は、連続式プロセス又は半回分式プロセスである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第2反応器に供給される前記粗反応混合物は、ある量の未反応エポキシド及び/又は開始剤を含む、請求項1、6および7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記カーボネート触媒は、前記粗反応混合物中に存在する、請求項1、6、7および11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記カーボネート触媒は、前記第2反応器の添加される前に前記粗反応混合物から除去される、請求項1、6、7、11および12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1反応器内の反応温度は、約0℃~250℃の範囲、好ましくは約40℃~約160℃の範囲、より好ましくは約50℃~120℃の範囲にある、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第2反応器内の反応温度は、約50~約160℃の範囲、好ましくは約70~約140℃の範囲、より好ましくは約80~約130℃の範囲にある、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記反応器は直列に配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第1及び第2反応器は、温度及び/又は圧力等の異なる反応条件を互いに同時に提供するのに有効である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記エポキシドは、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換シクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C1016O、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C1122O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換エチレンオキシド等)、無置換又は置換オキシラン(例えば、オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、及び修飾された3,5-ジオキサエポキシドから選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記カーボネート触媒は、カーボネート結合を76モル%超にて有するポリカーボネート鎖を生成することができる触媒である、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む金属触媒である、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記カーボネート触媒は、式(IV):
【化2】

(式中、Mは、M-(L)で表される金属陽イオンであり;
xは、1~4の整数であり、
【化3】

は、1又は複数の多座配位子であり;
Lは、配位している配位子であり;
vは、Mの原子価及び/若しくはMの好ましい配位構造を満たす整数であるか、又は上式(IV)で表される錯体の全体の電荷が中性になる整数である)
の触媒である、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記DMC触媒は、式:
M’[M’’(CN)
(式中、M’はZn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選択され、かつM’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選択され、d、e、f、及びgは、整数であり、前記DMC触媒が電気的中性を有するように選択され、
任意選択的に、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2である)
を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記DMC触媒は、Zn[Co(CN)(亜鉛ヘキサシアノコバルト酸塩)をベースとする、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記第1反応及び前記第2反応に使用される前記エポキシドは同一であるか、あるいは前記第1反応及び前記第2反応に使用される前記エポキシドは異なっている、請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記第1反応又は前記第2反応に使用される前記エポキシドは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの混合物を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記第2反応は、COの実質的な非存在下に実施される、請求項1~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記第2反応において生成する前記ポリオールブロックコポリマーは、ポリカーボネートブロックポリエーテルポリオールブロックコポリマーである、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)及びポリエーテルブロックBを含むポリオールブロックコポリマーであって、前記ポリオールブロックコポリマーは、ポリブロック構造:
B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)
(式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり;t=少なくとも2であり;
A’は、それぞれ独立に、カーボネート結合を少なくとも70モル%有するポリカーボネート鎖であり、Bは、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり;Z’-Z-(Z’)は、開始剤の残基である)
を有する、ポリオールブロックコポリマー。
【請求項29】
-A’-は、次に示す構造:
【化4】

(式中、p:qの比は少なくとも7:3である)を有し;
ブロックBは、次に示す構造:
【化5】

を有し、Re1、Re2、Re3、及びRe4は、ブロックA及びBの調製に使用したエポキシドの性質に応じて異なる、請求項28に記載のポリオールブロックコポリマー。
【請求項30】
ブロックAは、エーテル結合を更に含む、請求項28~29のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
【請求項31】
ブロックAはエポキシド残基を含み、かつブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、請求項28~30のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
【請求項32】
ブロックBはエポキシド残基を含み、かつブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、請求項28~31のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
【請求項33】
請求項1~27のいずれか一項に記載のプロセスにより製造されたポリオールブロックコポリマーと、(ポリ)イソシアネートとを反応させることを含むポリウレタンを生成するためのプロセス
【請求項34】
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70モル%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックBを有するブロックコポリマー残基を含むポリウレタンであって、前記残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)(式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’)は、開始剤の残基である)を有する、ポリウレタン。
【請求項35】
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70モル%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックB(それぞれ、カーボネート結合を50モル%以下及びエーテル結合を少なくとも50モル%有する)を有するブロックコポリマー残基を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーであって、前記残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)(式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’)は、開始剤の残基である)を有する、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
【請求項36】
請求項28~32のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマーを含む潤滑剤組成物。
【請求項37】
請求項28~32のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマーを含む界面活性剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの別々の反応器で実施される2段階プロセスからポリオールブロックコポリマーを製造するプロセス、並びにそのようなコポリマーを組み込んだ生成物及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Covestroからの特許文献1及び特許文献2(特許文献3に相当)には、開始剤(starter)化合物の存在下に、CO及びアルキレンオキシドからポリエーテルカーボネートポリオールを製造するためのDMC触媒の使用が開示されている。ポリエーテルカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリカーボネートを含む多くのH-官能性開始剤化合物が列挙されている。
【0003】
しかし、DMC触媒単独では、ポリエーテルカーボネートポリオールに組み込むことができる二酸化炭素の量に限界があり、可能なCO組み込み量の最大約50%を達成するためには、高圧(一般には、40バール(4MPa)超)が必要となる。更に、DMC触媒は、予備活性化ステップを、通常はCOの非存在下に行うことが必要であり、そのため、まず最初にポリエーテルが生成する。その後、COが添加されて、ポリマー構造内に組み込まれる。これは、DMC触媒単独ではCO含有量の高い低分子量ポリオール(例えば、<1000Mn)を生成することができず、それどころか、ポリオールのCO含有量は、2000Mn等のより高い分子量でも制限されることを意味している。DMC単独で製造されたポリエーテルカーボネートポリオールは、一般に、高分子鎖の中央にエーテル結合を多く含み、ヒドロキシル末端基に向かってカーボネート基がより多くなる構造を有する。このことは、カーボネート結合よりもエーテル基の方が熱及び塩基性条件に対し実質的に安定であることから、有利ではない。
【0004】
特許文献4には、ポリカーボネートブロック及び親水性ブロック(例えば、ポリエーテル)を有するブロックコポリマーの製造が開示されている。第1反応において、カーボネート触媒を使用して交互ポリカーボネートブロックを生成した後、反応を停止し、ポリオールを溶媒及び未反応モノマーから単離し、次いで、DMC触媒を(COの非存在下に)用いる第2の回分式反応により、ポリ(アルキレンオキシド)等の親水性オリゴマーを組み込む、ツーポットでの製造が記載されている。このプロセスは、Aがポリカーボネートであり、Bがポリエーテル等の親水性ブロックであるB-A-Bポリマーの製造に使用することができる。このポリマーは、原油増進回収法に用途がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/059068号
【文献】米国特許出願公開第2015/0259475号明細書
【文献】欧州特許第2888309号明細書
【文献】国際公開第2010/062703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低分子量のCO含有ポリカーボネートポリオール(第1反応でカーボネート触媒を使用して製造されたもの)を、DMC触媒及びエポキシドを反応させるための開始剤として使用することにより、CO含有量が大幅に増加したポリカーボネートブロックポリエーテルポリオールを温和な圧力下で製造することを可能にするものである。DMC触媒単独で製造されたポリエーテルカーボネートポリオールとは異なり、本発明により製造されたポリカーボネートブロックポリエーテルポリオールは、CO含有量の高い(例えば、>7wt%)低分子量ポリオール(例えば、<1000Mn)を製造することが可能である。
【0007】
有利には、低分子量ポリカーボネートポリオールは、単離する必要がなく、1つの反応器で製造され、触媒、又は溶媒を一切除去することなく第2反応器に直接移し替えることができる。
【0008】
国際公開第2017/037441号には、カーボネート触媒及びDMC触媒を1つの反応器で使用する、ポリエーテルカーボネートポリオールを製造するためのプロセスが記載されている。反応条件は、2種の異なる触媒の要求を満たすようにバランスをとらなければならない。
【0009】
有利には、本発明は、2種の異なる触媒であるカーボネート触媒及びDMC触媒を使用するための条件を最適化することが可能であり、条件を、系全体に適合させるために妥協するのではなく、触媒ごとに最適化することが可能になる。カーボネート含有量の高いポリオールを予備活性化されたDMC触媒に直接添加することもでき、これは、反応器内の未反応エポキシド含有量が制限されることにより、サイクル時間が短縮されると共に、プロセスの安全性が向上するためより望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
更に本発明は、ポリエーテル鎖を末端ブロックに有し、中央部(core)としてカーボネート含有量の高い鎖を含む、ポリカーボネートブロックポリエーテルポリオールブロックコポリマーを製造するために用いることができる。このようなポリオールから製造されたポリウレタンは、カーボネート結合が多いという利点(例えば、強度の増大、耐薬品性の向上、加水分解及び油の両方に対する耐性等)による利益を得られる一方で、エーテル末端ブロックによって付与されるより高い熱安定性を依然として保持している。このポリオールは、有利には、両反応において、同一又は類似のエポキシド反応体から製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスも提供され;この系は、第1及び第2反応器を含み、第1反応器内で第1反応が行われ、第2反応器内で第2反応が行われ;第1反応は、ポリカーボネートポリオールコポリマーを生成するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO及びエポキシドとの反応であり、第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、第1反応のポリカーボネートポリオール化合物及びエポキシドとの反応であり、第1反応の生成物は、粗反応混合物として第2反応器に供給され、(ii)エポキシド及び第1反応のポリカーボネートポリオール化合物は、第2反応器に、連続方式若しくは半回分方式で供給され、及び/又は(iii)第1反応の生成物は、第2反応に添加される時点で中性又はアルカリ性のpHを有する。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスも提供され;この系は、第1及び第2反応器を含み、第1反応器内で第1反応が行われ、第2反応器内で第2反応が行われ;第1反応は、ポリカーボネートポリオールを生成するための、多官能性開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO及びエポキシドとの反応であり、第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、第1反応のポリカーボネートポリオール化合物及びエポキシドとの、半回分式又は連続式反応である。
【0013】
成分を別々の反応及び反応器において添加することは、触媒の活性を増大させるために有用となる可能性があり、1つの反応を開始する時点で全ての材料を提供するプロセスと比較して、プロセスの効率がより高くなる可能性がある。反応全体を通して、一部の成分が多量に存在すると、触媒の効率が低下する可能性がある。材料を別々の反応器で反応させると、この触媒効率の低下を防ぐことができ、及び/又は触媒活性を最適化することができる。各反応器の反応条件を、触媒ごとに反応が最適化されるように調整することができる。
【0014】
更に、反応開始時点で各成分の全量を投入せず、第1反応用の触媒を第2反応用触媒とは別の反応器に装入すると、触媒反応が均等になり、より均一なポリマー生成物を得ることができる。このことが、ひいては、より分子量分布が狭く、鎖に沿って所望のエーテル結合対カーボネート結合の比及び分布を有し、並びに/又はポリオール安定性が向上したポリマーを生成させることができる。
【0015】
2種の異なる触媒を用いる反応を別々に行い、第1反応において特定の成分のみを混合し、残りを第2反応において添加することも、DMC触媒を予備活性化することができるため有用となり得る。この種の予備活性化は、一方又は両方の触媒をエポキシド(及び任意選択的に他の成分)と混合することにより達成することができる。DMC触媒の予備活性化は、反応を安全に制御することが可能になる(未反応モノマー含有量の制御できない増加を防止する)と共に、予測できない活性化時間が排除されるため、有用である。
【0016】
本発明は、成長中の高分子鎖にカーボネート結合及び/又はエーテル結合を付加する反応に関するものであることが理解されるであろう。反応を別々に行うことにより、第1反応を、反応の第2段階の前に進行させておくことが可能になる。エポキシド、カーボネート触媒、開始剤化合物、及び二酸化炭素を混合することにより、カーボネート結合が多いポリマーを成長させることが可能となり得る。その後、COの非存在下にこの生成物をDMC触媒に加えると、成長中の高分子鎖にエーテル結合が付加されながら反応が進行する。エーテル結合はカーボネート結合よりも熱的に安定であり、また、PU形成に使用されるアミン触媒等の塩基による分解がより起こりにくい。したがって、これを使用すると、Aブロックから導入された多量のカーボネート結合による利益(強度の増大、耐薬品性、油及び加水分解の両方に対する耐性等)を受けつつ、高分子鎖末端はBブロック由来のエーテル結合に由来して、ポリオールの安定性が保持される。
【0017】
概して、本発明の目的は、2反応器系を用いることにより重合反応を制御することと、ポリオールのCO含有量を低圧で増加させる(より費用対効果の高いプロセス及びプラント設計が可能になる)ことと、CO含有量が高くても、安定性及び使用時の性能(application performance)に優れた生成物を製造することと、にある。本明細書におけるプロセスを用いることにより、この種のプロセスにより調製される生成物を、必要な要件に合わせて調節することが可能になり得る。
【0018】
本発明のポリオールブロックコポリマーは、第1反応においては、開始剤化合物及びカーボネート触媒の存在下に、好適なエポキシド及び二酸化炭素から、次いで第2反応においては、複合金属シアン化物(DMC)触媒の存在下に、好適なエポキシドから、調製することができる。
【0019】
典型的には、第1反応から残留しているCOは、第2反応がCOの非存在下に実施されるように、第2反応を開始する前に第1反応の粗反応生成物から除去することができるが、少量のCOが、第1反応の未使用の試薬として第2反応混合物中に存在し得ることが理解されるであろう。
【0020】
典型的には、第2反応に添加する前の第1反応混合物は、反応混合物の重量に対し、COを5%未満、好ましくは2.5%未満、例えば、1.0%未満、0.5%未満、又は0.1%未満含む。典型的には、第2反応は、COを単独で添加することなく実施される。第2反応において生成したポリエーテルブロックは、カーボネート結合を1%未満、好ましくは、カーボネート結合を0.5%未満、より好ましくは、カーボネート結合を0.1%未満含み得る。好ましくは、第2反応において生成したポリエーテルブロックは、カーボネート結合を実質的に含まない。
【0021】
したがって、典型的には、第2反応は、COの実質的な非存在下に実施される。
つまり、COの実質的な非存在下とは、第2反応が、反応体、触媒、及び第2反応の生成物全体の4重量%未満、好ましくは2重量%未満、例えば、1.0重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のCOの存在下に実施されることを意味する。
【0022】
粗反応混合物とは、典型的には、この反応混合物を第2反応に添加する前に反応生成物が単離されていないことを意味する。好ましくは、反応混合物は、それを第2反応に添加する前に更なる処理ステップに付されない。
【0023】
本発明のカーボネート触媒は、カーボネート結合を76%超、好ましくは、カーボネート結合を80%超、より好ましくは、カーボネート結合を85%超、最も好ましくは、カーボネート結合を90%超有するポリカーボネートポリオールを製造する触媒とすることができ、ブロックAに存在することができる。
【0024】
使用されるエポキシドが非対称(例えば、プロピレンオキシド)である場合、この触媒は頭-尾結合の比率が高い、例えば、頭-尾結合が70%超、80%超、又は90%超のポリカーボネートポリオールを生成し得る。或いは、この触媒は立体選択性を示さずにポリカーボネートポリオールを生成することができ、それにより、頭-尾結合を約50%有するポリオールが生成する。
【0025】
カーボネート触媒は、不均一であっても又は均一であってもよい。
カーボネート触媒は、単核金属(mono-metallic)、二核金属(bimetallic)、又は多核金属(multi-metallic)均一錯体とすることができる。
【0026】
カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を有することができる。
典型的には、カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む二核金属錯体とすることができる。2種の金属は同一であっても又は異なっていてもよい。
【0027】
カーボネート触媒は、式(IV):
【0028】
【化1】
【0029】
(式中:
Mは、M-(L)で表される金属陽イオンであり;
xは、1~4の整数であり、好ましくは、xは1又は2であり;
【0030】
【化2】
【0031】
は、1個又は複数個の多座配位子であり;
Lは、配位している配位子であり、例えば、Lは、中性配位子であっても又は陰イオン性配位子であってもよく、エポキシドの開環を可能にするものであり;
vは、各Mの原子価及び/若しくは各Mの好ましい配位構造を独立に満たす整数であるか、又は上の式(IV)で表される錯体の全体の電荷が中性になる整数である)
の触媒とすることができる。例えば、各vは、独立に、0、1、2又は3であってもよく、例えば、vは、1又は2であってもよい。v>1の場合、Lはそれぞれ異なっていてもよい。
【0032】
多座配位子という語は、二座、三座、四座、及びより多座の配位子を含む。各多座配位子は、大環状配位子又は鎖状(open)配位子であってもよい。
この種の触媒としては、国際公開第2010022388号(金属サレン及び誘導体、金属ポルフィリン、コロール及び誘導体、金属テトラアザアヌレン及び誘導体)、国際公開第2010028362号(金属サレン及び誘導体、金属ポルフィリン、コロール及び誘導体、金属テトラアザアヌレン及び誘導体)、国際公開第2008136591号(金属サレン)、国際公開第2011105846号(金属サレン)、国際公開第2014148825号(金属サレン)、国際公開第2013012895号(金属サレン)、欧州特許出願公開第2258745(A1)号明細書(金属ポルフィリン及び誘導体)、特開2008-081518(A)号公報(金属ポルフィリン及び誘導体)、中国特許第101412809号明細書(金属サレン及び誘導体)、国際公開第2019126221号(金属アミノトリフェノール錯体)、米国特許第9018318号明細書(金属β-ジイミナート錯体)、米国特許第6133402(A)号明細書(金属β-ジイミナート錯体)、及び米国特許第8278239号明細書(金属サレン及び誘導体)に記載されているものが挙げられ、その内容全体、特に、開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下に、CO及びエポキシドを反応させて、本明細書に定義したポリカーボネートポリオールコポリマーを生成させるのに適したカーボネート触媒に関する限り、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0033】
この種の触媒としては、国際公開第2009/130470号、国際公開第2013/034750号、国際公開第2016/012786号、国際公開第2016/012785号、国際公開第2012037282号、及び国際公開第2019048878(A1)号(全ての二核金属フェノラート錯体)に記載されているものも挙げられ、その内容全体、特に、開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下に、CO及びエポキシドを反応させて、本明細書に定義したポリカーボネートポリオールコポリマーを生成させるのに適したカーボネート触媒に関する限り、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0034】
カーボネート触媒は、次に示す構造:
【0035】
【化3】
【0036】
(式中:
及びMは、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)、Y(III)-X、Sc(III)-X、又はTi(IV)-(X)から独立に選択され;
及びRは、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基、若しくはアセチリド基、又は任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式、若しくはヘテロ脂環式基から独立に選択され;
は、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はシクロアルキレンから独立に選択され、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、及びヘテロアルキニレンには、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環、又はヘテロ脂肪族環が介在していてもよく;
は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
は、Cであり、且つEは、O、S、若しくはNHであるか、又はEは、Nであり、且つEは、Oであり;
、E、E、及びEは、N、NR、O、及びSから選択され、ここでE、E、E、又はEがNである場合、
【0037】
【化4】
【0038】
は、
【0039】
【化5】
【0040】
であり、
、E、E、又はEがNR、O、又はSである場合、
【0041】
【化6】
【0042】
は、
【0043】
【化7】
【0044】
であり、
は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
Xは、OC(O)R、OSO、OSOR、OSO(R、S(O)R、OR、ホスフィネート、ホスホネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、若しくはヘテロアリールから独立に選択され、ここでXは、それぞれ、同一であっても又は異なっていてもよく、Xは、M及びMの間に架橋を形成していてもよく;
は、独立に、水素、又は任意選択的に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり;
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくは陰イオン性供与性配位子から独立に選択される)を有することができる。
【0045】
基及びR基はそれぞれ、出現ごとに同一であっても又は異なっていてもよく、R及びRは、同一であっても又は異なっていてもよい。
DMC触媒は、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子を含む複雑な化合物である。DMC触媒は:1種又は複数種の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸(例えば、非化学量論的な量で)の少なくとも1種を更に含むことができる。
【0046】
この少なくとも2個の金属中心のうち、最初の2個をM’及びM’’で表すことができる。
M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選択することができ、M’は、任意選択的に、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’はZn(II)である。
【0047】
M’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選択され、任意選択的に、M’’はCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’はCo(II)及びCo(III)から選択される。
【0048】
上述の任意選択的なM’及びM’’の定義は組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択することができ、M’’は、任意選択的に、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択することができる。例えば、M’は、任意選択的にZn(II)とすることができ、M’’は、任意選択的にCo(II)及びCo(III)から選択することができる。
【0049】
更なる金属中心が存在する場合、この更なる金属中心は、更にM’又はM’’の定義から選択することができる。
本発明のプロセスに使用することができるDMC触媒の例としては、米国特許第3,427,256号明細書、米国特許第5,536,883号明細書、米国特許第6,291,388号明細書、米国特許第6,486,361号明細書、米国特許第6,608,231号明細書、米国特許第7,008,900号明細書、米国特許第5,482,908号明細書、米国特許第5,780,584号明細書、米国特許第5,783,513号明細書、米国特許第5,158,922号明細書、米国特許第5,693,584号明細書、米国特許第7,811,958号明細書、米国特許第6,835,687号明細書、米国特許第6,699,961号明細書、米国特許第6,716,788号明細書、米国特許第6,977,236号明細書、米国特許第7,968,754号明細書、米国特許第7,034,103号明細書、米国特許第4,826,953号明細書、米国特許第4,500704号明細書、米国特許第7,977,501号明細書、米国特許第9,315,622号明細書、欧州特許出願公開第1568414(A)号明細書、欧州特許出願公開第1529566(A)号明細書、及び国際公開第2015/022290号に記載されているものが挙げられ、その内容全体を、特に、本明細書に定義したブロックコポリマーの製造又は本明細書に定義した反応用のDMC触媒に関連する限り、本明細書の一部としてここに援用する。
【0050】
DMC触媒は:
M’[M’’(CN)
(式中、M’及びM’’は、上に定義した通りであり、d、e、f、及びgは、整数であり、DMC触媒が電気中性を有するように選択される)
を含むことが理解されるであろう。任意選択的に、dは3である。任意選択的に、eは1である。任意選択的に、fは6である。任意選択的に、gは2である。任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。任意選択的に、M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)又はCo(III)である。
【0051】
これらの任意選択的な特徴のいずれかを組み合わせることもでき、例えば、dは3となり、eは1となり、fは6となり、gは2となり、M’はZn(II)となり、M’’はCo(III)となることが理解されるであろう。
【0052】
上述の式を有する好適なDMC触媒としては、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(II)酸ニッケル、及びヘキサシアノコバルト(III)酸コバルトを挙げることができる。
【0053】
DMC触媒の分野においては多くの発展があり、当業者は、DMC触媒が、上述の式に加えて、触媒の活性を高めるための添加剤を更に含むことができることを理解するであろう。したがって、上述の式はDMC触媒の「中核(core)」を成すが、DMC触媒は、1種又は複数種の更なる成分、例えば、少なくとも1種の錯化剤、酸、金属塩、及び/又は水を化学量論的な量又は非化学量論的な量で更に含むことができる。
【0054】
例えば、DMC触媒は、次式:
M’[M’’(CN)・hM’’’X’’・jR・kHO・lHX’’’
(式中、M’、M’’、X’’’、d、e、f、及びgは、上に定義した通りである)を有することができる。M’’’は、M’及び/又はM’’であってもよい。X’’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、任意選択的に、X’’は、ハロゲン化物イオンである。iは、1以上の整数であり、陰イオンX’’の電荷にiを乗じた数が、M’’’の原子価を満たす。rは、対イオンX’’’の電荷に相当する整数である。例えば、X’’’がClである場合、rは1となる。lは0であるか、又は0.1~5の間の数である。任意選択的に、lは0.15~1.5の間の数である。
【0055】
は、錯化剤又は1種若しくは複数種の錯化剤の組合せである。例えば、Rは、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール(例えば、C1-8アルコール)、尿素等、例えば、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、又はこれらの組合せとすることができ、例えば、Rは、tert-ブチルアルコール、ジメトキシエタン、又はポリプロピレングリコールとすることができる。
【0056】
上に示したように、本発明に使用されるDMC触媒中に1種を超える錯化剤を存在させることができる。任意選択的に、Rの錯化剤のうちの1種は高分子錯化剤とすることができる。任意選択的に、Rは、高分子錯化剤及び非高分子錯化剤の組合せとすることができる。任意選択的に、錯化剤であるtert-ブチルアルコール及びポリプロピレングリコールの組合せを存在させることができる。
【0057】
水、錯化剤、酸、及び/又は金属塩がDMC触媒中に存在しない場合、h、j、k、及び/又はlは、それぞれ0となることが理解されるであろう。水、錯化剤、酸、及び/又は金属塩が存在する場合、h、j、k、及び/又はlは、正の数であり、例えば、0~20の間とすることができる。例えば、hは、0.1~4の間とすることができる。jは、0.1~6の間とすることができる。kは、0~20の間とすることができ、例えば、0.1~10の間、例えば、0.1~5の間にある。lは、0.1~5の間、例えば、0.15~1.5の間にある。
【0058】
高分子錯化剤は、任意選択的に、ポリエーテル、ポリカーボネートエーテル、及びポリカーボネートから選択される。高分子錯化剤は、DMC触媒の約5%~約80重量%の量、任意選択的に、DMC触媒の約10%~約70重量%の量、任意選択的に、DMC触媒の約20%~約50重量%の量で存在することができる。
【0059】
DMC触媒は、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子に加えて、1種又は複数種の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸の少なくとも1つも、任意選択的に非化学量論的な量で含むことができる。
【0060】
例示的なDMC触媒は、式Zn[Co(CN)・hZnCl・kHO・j[(CHCOH](式中、h、k、及びjは上に定義した通りである)を有するものである。例えば、hは、0~4(例えば、0.1~4)とすることができ、kは、0~20(例えば、0.1~10)とすることができ、jは、0~6(例えば、0.1~6)とすることができる。上に記載したように、DMC触媒は複雑な構造を有し、したがって、追加の成分を含む上式は、限定を意図していない。そうではなく、当業者は、この定義が、本発明に使用することができるDMC触媒を網羅するものではないことを理解するであろう。
【0061】
DMC触媒は、予備活性化することができる。このような予備活性化は、一方又は両方の触媒をアルキレンオキシド(及び任意選択的に他の成分)と混合することにより達成することができる。DMC触媒の予備活性化は、反応を安全に制御することが可能になる(未反応モノマー含有量の制御できない増加を防止する)と共に、予測できない活性化時間が排除されるため、有用である。任意選択的に、DMC触媒の予備活性化は、反応器2内で、又は別個に行うことができる。任意選択的に、DMC触媒の予備活性化は、開始剤化合物と一緒に、又は第1若しくは第2反応の生成物と一緒に行うことができる。DMC触媒の予備活性化を第1反応の反応生成物と一緒行う場合、第1反応の反応生成物の一部又は全部と一緒に予備活性化することができる。DMC触媒は、ポリオールブロックコポリマー生成物と一緒に予備活性化することができ、これは、反応器に添加することもできるし、又は先の反応からの残存生成物、いわゆる「反応残液(heel)」とすることもできる。
【0062】
本発明のポリカーボネートポリオールを形成するためのプロセスに使用することができる開始剤化合物は、ヒドロキシル基(-OH)、チオール(-SH)、少なくとも1個のN-H結合(-NHR’)を有するアミン、少なくとも1個のP-OH結合を有する基(例えば、-PR’(O)OH、PR’(O)(OH)、又は-P(O)(OR’)(OH))、又はカルボン酸基(-C(O)OH)から選択される少なくとも1個の基、好ましくは少なくとも2個の基を含む。
【0063】
開始剤が多官能性開始剤化合物である場合、開始剤化合物は、ヒドロキシル基(-OH)、チオール(-SH)、少なくとも1個のN-H結合を有するアミン(-NHR’)、少なくとも1個のP-OH結合を有する基(例えば、-PR’(O)OH、PR’(O)(OH)、又は-P(O)(OR’)(OH))、又はカルボン酸基(-C(O)OH)から選択される少なくとも2個の基を含む。
【0064】
したがって、ポリカーボネートエーテルポリオールを形成するためのプロセスに使用することができる開始剤化合物は、式(III):
【0065】
【化8】
【0066】
を有することができる。
Zは、自身に結合している1又は複数の-R基を有することができる、好ましくは、自身に結合している2以上の-R基を有することができる任意の基とすることができる。したがって、Zは、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘレロシクロアルキレン(hererocycloalkylene)、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択することができるか、又はZは、これらの基の任意の組合せとすることができ、例えば、Zは、アルキルアリーレン基、ヘテロアルキルアリーレン基、ヘテロアルキルヘテロアリーレン基、又はアルキルヘテロアリーレン基とすることができる。任意選択的に、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンである。
【0067】
aは、少なくとも1、好ましくは少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、1~8の範囲にあり、任意選択的に、aは、2~6の範囲にある。
は、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)、又は-PR’(O)OHとすることができ、任意選択的に、Rは、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、Rは、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せである(例えば、Rはそれぞれ-OHである)。
【0068】
R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルとすることができ、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである。
【0069】
Z’は、反応活性度の高い水素原子を結合に置き換えたことを除いてRに相当する。したがって、各Z’が何であるかは、開始剤化合物のRの定義に応じて異なる。したがって、各Z’は、-O-、-NR’-、-S-、-C(O)O-、-P(O)(OR’)O-、-PR’(O)(O-)、又は-PR’(O)O-(式中、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルとなり得、好ましくは、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである)となり得、好ましくは、Z’は、-C(O)O-、-NR’-、又は-O-となり得、より好ましくは、各Z’は、-O-、-C(O)O-、又はこれらの組合せとなり得、より好ましくは、各Z’は、-O-となり得ることが理解されるであろう。
【0070】
各反応に1種を超える開始剤化合物が存在してもよい。第1及び第2反応用の開始剤化合物は、同一であっても又は異なっていてもよい。2種の異なる開始剤化合物を用いる場合、第2反応に2種の開始剤化合物を用いてもよい。その場合、第1反応の開始剤化合物は第1開始剤化合物であり、第2反応は、第1粗反応混合物を、第2開始剤化合物及び複合金属シアン化物(DMC)触媒と、任意選択的に、溶媒及び/又はエポキシドとを含む第2反応器に添加することを含む。本発明の第2反応は、第1反応の後に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間実施することができる。連続反応において、これらの期間は、第1反応器にモノマーを添加してから残存モノマーを第2反応器に移すまでの平均期間であることが理解されるであろう。
【0071】
開始剤化合物が高分子である場合、分子量は少なくとも約200Daとするか又は最大約1000Daとすることができる。
例えば、分子量は、約200~1000Da、任意選択的に約300~700Da、任意選択的に約400Daである。
【0072】
この開始剤化合物又はそれぞれの開始剤化合物は、典型的には、1又は複数のR基を有し、任意選択的に2以上を有し、任意選択的に3以上、任意選択的に4以上、任意選択的に5以上、任意選択的に6以上、任意選択的に7以上、任意選択的に8以上のR基を有し、特に、Rはヒドロキシルである。
【0073】
上述の特徴のいずれかを組み合わせてもよいことが理解されるであろう。例えば、aは、1~8の間にあり、Rは、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せとすることができ、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンから選択することができる。
【0074】
いずれかの反応に用いるための例示的な開始剤化合物としては、アルコール類、フェノール類、アミン類、チオール類、及びカルボン酸類等の単官能性開始剤、例えば、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、1-及び2-プロパノール、1-及び2-ブタノール、直鎖若しくは分岐C~C20モノアルコール、例えば、tert-ブタノール、3-ブテン-1-オール、3-ブチン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、フェノール、2-ヒドロキシビフェニル、3-ヒドロキシビフェニル、4-ヒドロキシビフェニル、2-ヒドロキシピリジン、3-ヒドロキシピリジン、及び4-ヒドロキシピリジン、エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレングリコールのモノエーテル若しくはエステル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール類、例えば、直鎖若しくは分岐C~C20アルキル置換フェノール、例えば、ノニルフェノール若しくはオクチルフェノール、単官能性カルボン酸類、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸、脂肪酸類、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、及びアクリル酸、並びに単官能性チオール類、例えば、エタンチオール、プロパン-1-チオール、プロパン-2-チオール、ブタン-1-チオール、3-メチルブタン-1-チオール、2-ブテン-1-チオール、及びチオフェノール、若しくはアミン類、例えば、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン、アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンが挙げられ;並びに/又はジオール類、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、Mnが約1500g/mol以下のポリプロピレングリコール(PPG)若しくはポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PPG425、PPG725、PPG1000等、トリオール類、例えば、グリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリプロピレンオキシドトリオール、及びポリエステルトリオール、テトラオール類、例えば、カリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、若しくは4個の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、ポリオール類、例えば、ソルビトール若しくは5個以上の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、若しくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン等の混合官能基を有する化合物から選択される。
【0075】
例えば、開始剤化合物は、単官能性アルコール、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、フェノール、例えば、ノニルフェノール若しくはオクチルフェノール、又は単官能性カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、及びアクリル酸とすることができる。
【0076】
例えば、開始剤化合物は、ジオール、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、Mnが約1500g/mol以下であるポリプロピレングリコール(PPG)又はポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PPG425、PPG725、PPG1000等とすることができる。開始剤化合物は、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,12-ドデカンジオール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、PPG425、PPG725、又はPPG1000とすることができることも理解されるであろう。好ましくは、開始剤化合物は、ジオール、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール),1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、Mnが約1500g/mol以下であるポリプロピレングリコール(PPG)又はポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PPG425、PPG725、PPG1000等とすることができる。開始剤化合物は、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,12-ドデカンジオール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、PPG425、PPG725、又はPPG1000とすることができることも理解されるであろう。
【0077】
更なる例示的な開始剤化合物としては、二酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、又は混合官能基を有する他の化合物、例えば、乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシペンタン酸を挙げることができる。
【0078】
開始剤化合物が存在する場合、カーボネート触媒に対する比が、約1000:1~約1:1、例えば、約750:1~約5:1、例えば、約500:1~約10:1、例えば、約250:1~約20:1、又は約125:1~約30:1、又は約50:1~約20:1となる量であることができる。これらの比はモル比である。これらの比は、プロセスに使用されるカーボネート触媒の総量に対する開始剤の総量の比である。これらの比は、材料を添加する間維持することができる。
【0079】
DMC触媒は、予備活性化することができる。任意選択的に、DMC触媒は、反応器2内で、又は別個に予備活性化することができる。任意選択的に、DMC触媒は、開始剤化合物と一緒に、又は第1若しくは第2反応の反応生成物と一緒に、予備活性化することができる。DMC触媒が第1反応の反応生成物と一緒に予備活性化される場合、第1反応の反応生成物の一部又は全部と一緒に予備活性化することができる。DMC触媒は、ポリオールブロックコポリマー生成物と一緒に予備活性化することができ、これは、反応器に添加してもよいし、又は先の反応からの残存生成物、いわゆる「反応残液(heel)」とすることもできる。
【0080】
第1反応の生成物は、低分子量ポリカーボネートポリオールとすることができる。ポリカーボネートポリオールの好ましい分子量(Mn)は、ポリオールブロックコポリマー全体の好ましい分子量に応じて異なる。ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリカーボネートポリオールの分子量(Mn)は、約200~約4000Da、約200~約2000Da、約200~約1000Da、又は約400~約800Daの範囲とすることができる。
【0081】
第1反応は、略交互ポリカーボネートポリオール生成物を生成することができる。
第1反応の生成物を、予備活性化されたDMC触媒を含む別の反応器に供給してもよい。第1生成物を、粗反応混合物として別の反応器に供給してもよい。
【0082】
本発明の第1反応は、20バール(2MPa)未満のCO圧で、好ましくは10バール(1MPa)未満、より好ましくは8バール(0.8MPa)未満のCO圧で実施することができる。本発明の第2反応は、60バール(6MPa)未満のCO圧で、好ましくは20バール(2MPa)未満、より好ましくは10バール(1MPa)未満、最も好ましくは5バール(0.5MPa)未満のCO圧で実施することができる。
【0083】
COは、第1反応に連続的に、好ましくは開始剤の存在下に添加することができる。
第1反応は、約1バール(0.1MPa)~約60バール(6MPa)、任意選択的に約1バール(0.1MPa)~約40バール(4MPa)、任意選択的に約1バール(0.1MPa)~約20バール(2MPa)、任意選択的に約1バール(0.1MPa)~約15バール(1.5MPa)、任意選択的に約1バール(0.1MPa)~約10バール(1MPa)、任意選択的に約1バール(0.1MPa)~約5バール(0.5MPa)の二酸化炭素圧で実施することができる。
【0084】
第2反応は、減圧下に、又はNやAr等の不活性ガス中で実施することができる。第1反応から残留している残存COがある場合は、反応混合物をガスストリッピングすることによるか、又は反応混合物を真空引きすることによって除去することができる。上に述べたように、第1反応からの反応混合物中にCOが残存量で存在する可能性もあるが、第2反応に添加する前に、COは、反応混合物の重量の5%未満、好ましくは、2.5%未満、1.0%未満、0.5%未満、又は0.1%未満となる。第2反応の最中にCOの追加は行わない。第1反応の生成物は、使用されなかったCOの圧力下に第1反応から第2反応に移送してもよいが、第2反応器内で更なるCOの添加は行わない。
【0085】
第1反応プロセスは、このような比較的低いCO圧力下に実施され、COを連続的に添加することにより、低い圧力下で高CO含有量のポリオールを生成することができる。
【0086】
COは、第1反応器に、標準的な方法を介して、例えば、ヘッドスペースに直接、又は反応液中に直接、標準的な方法を介して、例えば、導入管、通気リング(gassing ring)、又は中空軸撹拌機(hollow shaft stirrer)を介して導入することができる。混合は、単一の撹拌機又は多段に構成された撹拌機等の様々な撹拌機の構成を用いて最適化することができる。
【0087】
第1反応は、回分式、半回分式、又は連続式プロセスで実施することができる。回分式プロセスにおいては、カーボネート触媒、エポキシド、CO、開始剤、及び任意選択的な溶媒が全て反応開始時に存在する。半回分式又は連続式反応においては、カーボネート触媒、エポキシド、CO、開始剤、及び/又は溶媒の1種又は複数種が反応器に連続的、半連続的、又は断続的に添加される。
【0088】
DMCを含む第2反応は、連続式又は半回分式プロセスで実施することができる。半回分式又は連続式プロセスにおいては、DMC触媒、エポキシド、開始剤、及び/又は溶媒の1種又は複数種が反応に連続的、又は断続的に添加される。
【0089】
任意選択的に、第2反応器に供給される粗反応混合物は、未反応のエポキシド及び/又は開始剤を任意の量で含むことができる。
任意選択的に、粗反応混合物の供給物は、任意の量のカーボネート触媒を含んでいてもよい。任意選択的に、カーボネート触媒は、第2反応器に添加する前に除去しておいてもよい。
【0090】
第1反応のポリカーボネート生成物を、粗生成物と称することができる。
第1反応のポリカーボネート生成物は、第2反応に、1回で、又は連続的、半連続的、若しくは断続的に供給することができる。好ましくは、第1反応の生成物は第2反応器に連続的に供給され、任意選択的に、未反応のエポキシド及び/又はカーボネート触媒を含む。これは、反応1の生成物がDMC触媒の開始剤として連続的に添加され、それにより、開始剤対DMC触媒の比率が常に反応器内で低下することから、反応器2のDMC触媒をより制御された形で作用させることが可能になるため、有利である。こうすることにより、反応器2のDMC触媒の失活を防ぐことができる。反応1のポリカーボネートは、DMCを活性化する前に第2反応器に供給してもよく、DMCを活性化する最中に使用してもよい。DMC触媒は、ポリオールブロックコポリマーと一緒に予備活性化してもよく、このポリオールブロックコポリマーは、反応器に添加してもよいし、又は先の反応からの残存生成物、いわゆる「反応残液」を用いてもよい。
【0091】
第1反応器の反応温度は、約0℃~250℃、好ましくは約40℃~約160℃、より好ましくは約50℃~120℃の範囲とすることができる。
第2反応器の反応温度は、約50~約160℃の範囲、好ましくは約70~約140℃の範囲、より好ましくは約80~約130℃の範囲とすることができる。
【0092】
2つの反応器は直列(series)に配置することもできるし、又は反応器を入れ子(nested)にすることもできる。各反応器は、個々に、撹拌槽型反応器、ループ反応器、管型反応器、又は他の標準的な反応器設計とすることができる。
【0093】
第1反応は、粗反応混合物を第2反応及び反応器に連続的に供給する1を超える反応器内で実施することができる。好ましくは、反応2は、連続方式で運転される。
第1反応の生成物は、後段で第2反応器で使用するために保存しておくこともできる。
【0094】
有利には、この2種の反応は、それぞれに最適な条件が得られるように独立に運転することができる。2種の反応器が入れ子になっている場合、これらは互いに異なる反応条件を同時に与えるのに有効となり得る。
【0095】
任意選択的に、ポリカーボネートポリオールは、第2反応器に添加する前に酸で安定化しておかなくてもよい。
ポリカーボネートポリオールを第2反応器に添加する前に酸で安定化しておく場合、酸は無機酸であっても有機酸であってもよい。この種の酸としては、これらに限定されるものではないが、リン酸誘導体、スルホン酸誘導体(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸)、カルボン酸(例えば、酢酸、ギ酸、シュウ酸、サリチル酸)、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、硝酸、又は炭酸が挙げられる。酸は、イオン交換樹脂等の酸性樹脂の一部とすることもできる。酸性イオン交換樹脂は、強酸性部位(例えば、スルホン酸部位)又は弱酸部位(例えば、カルボン酸部位)等の酸性部位を特徴とする、高分子マトリックス(ポリスチレン又はポリメタクリル酸等)の形態とすることができる。イオン交換樹脂の例としては、Amberlyst(登録商標)15,Dowex Marathon MSC及びAmberlite(登録商標)IRC 748が挙げられる。
【0096】
本発明の第1及び第2反応は、溶媒の存在下に実施することができるが、このプロセスを溶媒の非存在下に実施できることも理解されるであろう。溶媒が存在する場合、トルエン、ヘキサン、酢酸t-ブチル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジオキサン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、テトラヒドロフラン(THF)等とすることができる。溶媒は、トルエン、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、及び酢酸n-ブチルとすることができる。
【0097】
溶媒は、材料の1種又は複数種を溶解するように作用することができる。一方、溶媒は担体としても作用することができ、材料の1種又は複数種を懸濁液中に懸濁させるために使用される。溶媒は、本発明のプロセスのステップを行う際に、材料の1種又は複数種を添加しやすくするために必要となる場合もある。
【0098】
このプロセスには、ある総量の溶媒を用いることができ、この溶媒総量の約1~100%を第1反応で混合し、残りを第2反応に加えることができ;任意選択的に、約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%を第1反応で混合する。
【0099】
カーボネート触媒の総量は低量であってもよく、それにより、本発明の第1反応は、低触媒投入量で実施される。例えば、カーボネート触媒の触媒投入量は、[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]が約1:500~100,000の範囲、例えば、約1:750~50,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]、例えば、約1:1,000~20,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]となる範囲、例えば、約1:10,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]の範囲とすることができる。上述の比はモル比である。これらの比は、第1反応に使用されるエポキシドの総量に対するカーボネート触媒の総量の比である。
【0100】
このプロセスには、ある総量のエポキシドを用いることができ、このエポキシド総量の約1~100%を第1反応に混合することができる。エポキシドの残りは第2反応に添加することができ;任意選択的に約5~90%が任意選択的に約10~90%、任意選択的に約20~90%、任意選択的に約40~90%、任意選択的に約40~80%、任意選択的に約5~50%が第1反応に混合される。
【0101】
第1及び第2反応に使用されるエポキシドは、エポキシド部分を含む任意の好適な化合物とすることができる。例示的なエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びシクロヘキセンオキシドが挙げられる。第2反応に使用されるエポキシドは、第1反応で使用されるエポキシドと同一であっても又は異なっていてもよい。したがって、1種又は複数種のエポキシドの混合物が一方又は両方の反応に存在してもよい。例えば、第1反応にプロピレンオキシドを含んでもよく、及び第2反応にエチレンオキシドを含んでもよく、又は両方の反応にエチレンオキシドを含んでもよく、又は一方若しくは両方の反応にエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物等のエポキシドの混合物を使用してもよい。
【0102】
エポキシドは、二酸化炭素と反応させる前に精製してもよい(例えば、水素化カルシウム上等での蒸留による)。例えば、エポキシドは、添加する前に蒸留してもよい。
本発明に使用することができるエポキシドの例としては、これらに限定されるものではないが、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換シクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C1016O、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C1122O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換エチレンオキシド等)、無置換又は置換オキシラン(例えば、オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、及び修飾された3,5-ジオキサエポキシドが挙げられる。修飾された3,5-ジオキサエポキシドとしては:
【0103】
【化9】
【0104】
が挙げられる。
エポキシド部分は、グリシジルエーテル、グリシジルエステル又はグリシジルカーボネートとすることができる。グリシジルエーテル、グリシジルエステルグリシジルカーボネートの例としては:
【0105】
【化10】
【0106】
が挙げられる。
上に述べたように、エポキシド基質は1を超えるエポキシド部分を含むことができる。即ち、これはビスエポキシド、トリスエポキシド、又は多価(multi)エポキシド含有部分とすることができる。1を超えるエポキシド部分を含む化合物の例としては、ビスエポキシブタン、ビスエポキシオクタン、ビスエポキシデカン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。1を超えるエポキシド部分を有する1種又は複数種の化合物の存在下に反応を実施すると、結果として得られるポリマーに架橋が生成し得ることが理解されるであろう。
【0107】
任意選択的に、第1反応におけるエポキシド全体の0.1~20%を、1を超えるエポキシド部分を含むエポキシド基質とすることができる。好ましくは、多価エポキシド基質はビスエポキシドである。
【0108】
当業者は、エポキシドを「グリーンな(green)」又は再生可能資源から得ることが可能であることを理解するであろう。エポキシドは、標準的な酸化化学を用いて得られる脂肪酸及び/又はテルペンから誘導されたもの等の(多価)不飽和化合物から得ることができる。
【0109】
エポキシド部分は、-OH部分又は保護された-OH部分を含むことができる。-OH部分は任意の好適な保護基で保護することができる。好適な保護基としては、メチル基又は他のアルキル基、ベンジル、アリル、tert-ブチル、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、アセチル(C(O)アルキル)、ベンゾリル(C(O)Ph)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシエトキシメチル(MEM)、p-メトキシベンジル(PMB)、トリチル、シリル(トリメチルシリル(TMS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)等)、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、テトラヒドロフラニル(THF)、及びテトラヒドロピラニル(THP)が挙げられる。
【0110】
エポキシドの純度は、任意選択的に少なくとも98%、任意選択的に>99%である。
材料を添加する速度は、反応温度(発熱)が選択された温度を超えないように選択することができる(即ち、温度がほぼ一定のままとなるように、余分な熱を放散させるのに充分にゆっくりと材料を添加する)。材料が添加される速度は、エポキシド濃度が選択されたエポキシド濃度を超えないように選択することができる。
【0111】
このプロセスは、多分散度が1.0~2.0の間、好ましくは1.0~1.8の間、より好ましくは1.0~1.5の間、最も好ましくは1.0~1.3の間にあるポリオールを生成することができる。
【0112】
このプロセスは、複合金属シアン化物(DMC)触媒、エポキシド、開始剤、並びに任意選択的に溶媒を混合することにより、予備活性化された混合物を形成することと、予備活性化された混合物を、第2反応器に、第1反応の粗反応混合物よりも前又は後のいずれかに添加することにより、第2反応混合物を形成することと、を含むことができる。しかしながら、これは、予備活性化された混合物が粗反応混合物と同時に添加されるように連続的に行ってもよい。予備活性化された混合物は、第2反応器内で、DMC触媒、エポキシド、開始剤、並びに任意選択的に溶媒を混合することにより形成してもよい。予備活性化は、約50℃~160℃、好ましくは約70℃~140℃、より好ましくは約90℃~140℃の温度で行うことができる。予備活性化された混合物を、粗反応混合物と接触させる前に、約50~160℃の温度で、任意選択的に約70~140℃の温度で混合してもよい。
【0113】
反応プロセス全体において、前記カーボネート触媒の量及び前記複合金属シアン化物(DMC)触媒の量は、互いに約300:1~約1:100の予め定められた重量比、例えば、約120:1~約1:75、例えば、約40:1~約1:50、例えば、約30:1~約1:30、例えば、約20:1~約1:1、例えば、約10:1~約2:1、例えば、約5:1~約1:5とすることができる。本発明のプロセスは任意の規模で実施することができる。このプロセスは、工業規模で実施することができる。通常、触媒反応が発熱することは当業者に理解されるであろう。小規模な反応の最中に発生する熱は問題となりにくい。それは、温度上昇があったとしても比較的容易に、例えば、氷浴を使用することによって制御できるためである。より規模の大きい反応、特に工業規模の反応の場合、反応時の発熱は問題となる可能性があり、潜在的な危険性がある。そのため、材料を徐々に添加することによって、触媒反応の速度を制御し、過剰な熱の蓄積を最小限に抑えることができる。反応の速度は、例えば、材料を添加する際の流速を調整することにより制御することができる。したがって、本発明のプロセスは、工業規模の大規模な触媒反応に適用する場合に特に有利となる。
【0114】
本発明のプロセスの過程で温度は上昇することも又は下降することもある。
前記カーボネート触媒の量及び前記複合金属シアン化物(DMC)触媒の量は、どのカーボネート触媒及びDMC触媒を使用するかに応じて変化することになる。
【0115】
本発明の第1の態様のプロセスの生成物は、ポリオールブロックコポリマーである。本発明の第3の態様によれば、ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)及びポリエーテルブロックBを含むポリオールブロックコポリマーであって、ポリブロック構造:
B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)
(式中、n=t-1であり、t=ブロックA上の末端OH基残基の数であり、A’は、それぞれ独立に、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖であり、Bは、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり、Z’-Z-(Z’)は、開始剤の残基である)
を有する、ポリオールブロックコポリマーが提供される。
【0116】
第1の態様によるプロセスにおいて、開始剤は、単官能性開始剤とすることができる。その場合、誤解を避けるために記載すると、ポリブロック構造は:
B-A’-Z’-Zとなる。
【0117】
ポリカーボネートブロックは、次に示す構造:
【0118】
【化11】
【0119】
(式中、p:qの比は少なくとも7:3であり;
e1及びRe2は、ブロックAの調製に使用したエポキシドの性質に応じて異なる)
を有し得る-A’-を含む。
【0120】
ポリエーテルブロックBは、次に示す構造:
【0121】
【化12】
【0122】
(式中:
e3及びRe4は、ブロックBの調製に使用したエポキシドの性質に応じて異なる)
を有し得る。
【0123】
e1、Re2、Re3、又はRe4は、それぞれ、H、ハロゲン、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアルケニルから独立に選択することができ、好ましくは、H又は任意選択的に置換されたアルキルから選択することができる。
【0124】
e1及びRe2又はRe3及びRe4は、一緒になって、炭素及び水素原子と、任意選択的に1個又は複数個のヘテロ原子とを含む、飽和、部分不飽和、又は不飽和環を形成してもよい。
【0125】
上に述べたように、Re1、Re2、Re3、及びRe4の性質は、反応に使用するエポキシドに応じて異なることになる。例えば、エポキシドがシクロヘキセンオキシド(CHO)である場合、Re1及びRe2(又はRe3及びRe4)は、一緒になって、6員アルキル環(例えば、シクロヘキシル環)を形成することになる。エポキシドがエチレンオキシドである場合、Re1及びRe2(又はRe3及びRe4)はHとなる。エポキシドがプロピレンオキシドである場合、Re1(又はRe3は)Hとなり、Re2(又はRe4は)メチルとなる(又はエポキシドがポリマー主鎖にどのように付加されたかに応じて、Re1(又はRe3)がメチルとなり、Re2(又はRe4)がHとなる)。エポキシドがブチレンオキシドである場合、Re1(又はRe3)はHとなり、Re2(又はRe4)はエチルとなる(又はその逆である)。エポキシドがスチレンオキシドである場合、Re1(又はRe3)は、水素となり得、Re2(又はRe4)はフェニルとなり得る(又はその逆である)。エポキシドがグリシジルエーテルである場合、Re1(又はRe3)は、エーテル基(-CH-OR20)となり、Re2(又はRe4)は、Hとなる(又はその逆である)。エポキシドがグリシジルエーテルである場合、Re1(又はRe3)は、エステル基(-CH-OC(O)R12)となり、Re2(又はRe4)は、Hとなる(又はその逆である)。エポキシドがグリシジルカーボネートである場合、Re1(又はRe3)は、カーボネート基(CH-OC(O)OR18)となり、Re2(又はRe4)は、Hとなる(又はその逆である)。
【0126】
エポキシドの混合物が使用された場合、Re1及び/又はRe2(又はRe3及び/又はRe4)は、それぞれ、出現ごとに同一にならない可能性もあり、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物が使用された場合、Re1(又はRe3)は、独立に、水素又はメチルとなり得、Re2(又はRe4)は、独立に、水素又はメチルとなり得ることも理解されるであろう。
【0127】
したがって、Re1及びRe2(又はRe3及びRe4)は、水素、アルキル、若しくはアリールから独立に選択することができるか、又はRe1及びRe2(又はRe3及びRe4)が一緒になってシクロヘキシル環を形成することができ、好ましくは、Re1及びRe2(又はRe3及びRe4)は、水素、メチル、エチル、若しくはフェニルから独立に選択することができるか、又はRe1及びRe2(又はRe3及びRe4)が一緒になってシクロヘキシル環を形成することができる。
【0128】
Z及びZ’が何であるかは、開始剤化合物の性質に応じて異なることになる。
開始剤化合物は、上に定義した式(III)のものとすることができる。
好ましくは、ポリオールブロックコポリマーの分子量(Mn)は、約300~20,000Daの範囲にあり、より好ましくは約400~8000Daの範囲にあり、最も好ましくは約500~6000Daの範囲にある。
【0129】
ポリオールブロックコポリマーのポリカーボネートブロックAの分子量(Mn)は、好ましくは、約200~4000Daの範囲、より好ましくは、約200~2000Daの範囲、最も好ましくは、約200~1000Daの範囲、特に、約400~800Daの範囲にある。
【0130】
ポリオールブロックコポリマーのポリエーテルブロックBの分子量(Mn)は、好ましくは、約100~20,000Daの範囲、より好ましくは、約200~10,000Daの範囲、最も好ましくは、約200~5000Daの範囲にある。
【0131】
或いは、ポリエーテルブロックB、及びそれに従いポリオールブロックコポリマーも、高分子量を有することができる。ポリエーテルブロックBの分子量は、少なくとも約25,000ダルトン、例えば、少なくとも約40,000ダルトン、例えば、少なくとも約50,000ダルトン、又は少なくとも約100,000ダルトンとすることができる。本発明の方法により生成する高分子量ポリオールブロックコポリマーは、約100,000ダルトンを超える分子量を有することができる。
【0132】
本発明のプロセスにより製造されるポリマーのMn、及びそれに従いPDIは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。例えば、GPCは、Agilent 1260 Infinity GPC装置を用いて、2本のAgilent PLgel μ-m mixed-Dカラムを直列に接続して測定することができる。試料は室温(293K)下に、THF中で、流速を1mL/minとし、分子量分布の狭いポリスチレン標準物質(例えば、Agilent Technologiesにより提供されている、Mnが405~49,450g/molの範囲にあるポリスチレン低分子量(low)EasiVials)を基準として測定することができる。任意選択的に、試料をAgilent Technologiesより提供されているポリエチレングリコールeasivials等のポリ(エチレングリコール)標準物質を基準として測定することができる。
【0133】
ポリオールブロックコポリマーのポリカーボネートブロックAは、カーボネート結合を少なくとも76%、好ましくはカーボネート結合を少なくとも80%、より好ましくはカーボネート結合を少なくとも85%有することができる。ブロックAは、カーボネート結合を98%未満、好ましくはカーボネート結合を97%未満、より好ましくはカーボネート結合を95%未満有することができる。任意選択的に、ブロックAは、カーボネート結合を75%~99%、好ましくはカーボネート結合を77%~95%、より好ましくはカーボネート結合を80%~90%有する。
【0134】
ポリオールブロックコポリマーのポリカーボネートブロックAは、エーテル結合も含むことができる。ブロックAは、エーテル結合を24%未満、好ましくはエーテル結合を20%未満、より好ましくはエーテル結合を15%未満有することができる。ブロックAは、エーテル結合を少なくとも1%、好ましくはエーテル結合を少なくとも3%、より好ましくはエーテル結合を少なくとも5%有することができる。任意選択的に、ブロックAは、エーテル結合を1%~25%、好ましくはエーテル結合を5%~20%、より好ましくはエーテル結合を10%~15%有することができる。
【0135】
任意選択的に、ブロックAは、略交互ポリカーボネートポリオール残基となり得る。エポキシドが非対称である場合、ポリカーボネートは、頭-尾結合を0~100%、好ましくは頭-尾結合を40~100%、より好ましくは50~100%有することができる。ポリカーボネートは、エポキシドの開環が非立体選択的であることを示唆する、頭-頭、尾-尾、及び頭-尾結合を1:2:1程度の統計的分布で有することができるか、又は頭-尾結合を50%超程度、任意選択的に60%超、70%超、80%超、若しくは90%超程度で優先的に形成することができる。
【0136】
任意選択的に、ブロックBは、エーテル結合のみを含む。典型的には、ブロックBは、少なくとも90%、典型的には、少なくとも95%、より典型的には、少なくとも99%、最も典型的には、100%がエポキシドから誘導され、任意選択的に、エポキシドは、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換シクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C10H16O、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C11H22O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換エチレンオキシド等)、無置換又は置換オキシラン(例えば、オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、1,2-及び2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、並びに修飾された3,5-ジオキサエポキシドから選択される。
【0137】
典型的には、ブロックBは、カーボネート結合を10%未満、典型的には、カーボネート結合を5%未満、より典型的には、カーボネート結合を1%未満、最も典型的には、カーボネート結合を0%有する。
【0138】
典型的には、ブロックBは、カーボネート結合を10%未満、典型的には、カーボネート結合を5%未満、より典型的には、カーボネート結合を1%未満、最も典型的には、カーボネート結合を0%有する。
【0139】
Aブロックは、カーボネート含有量が高く、Bブロックは、カーボネート含有量が低くなり得、例えば、Aブロックは、カーボネート結合を70%超有することができ、及び/又は、例えば、Bブロックは、カーボネート結合を10%未満、典型的には、カーボネート結合を5%未満、より典型的には、カーボネート結合1%未満、最も典型的には、カーボネート結合を0%有することができる。
【0140】
任意選択的に、本発明のブロックAは、略交互ポリカーボネートポリオール残基となり得る。
典型的には、ブロックA対ブロックBのmol/mol比は、25:1~1:250の範囲にある。典型的には、ブロックA対ブロックBの重量比は、50:1~1:100の範囲にある。
【0141】
典型的には、ブロックA、即ちポリカーボネートブロックは、エポキシド及びCOから誘導され、より典型的には、エポキシド及びCOは、ブロックの残基の少なくとも90%、特にブロックの残基の少なくとも95%、その中でも特に、ブロックの残基の少なくとも99%を与え、最も特別に、ブロックの残基の約100%がエポキシド及びCOの残基である。最も典型的には、ブロックAは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド残基、並びに任意選択的に、シクロヘキシレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート等の他のエポキシドの残基を含む。ブロックAのエポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基とすることができ、典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である。
【0142】
典型的には、ブロックAのカーボネートはCO2から誘導されたものである、即ち、カーボネートにはCO2残基が組み込まれている。典型的には、ブロックAは、カーボネート結合を70~100%、より典型的には、80~100%、最も典型的には、90~100%有する。
【0143】
典型的には、ブロックB、即ち、ポリエーテルカーボネートブロックは、エポキシド及びCOから誘導されたものである。典型的には、エポキシド及びCOは、このブロックの残基の少なくとも90%、特に、ブロックの残基の少なくとも95%、その中でも特に、ブロックの残基の少なくとも99%を与え、最も特別に、ブロックの残基の約100%はエポキシド及びCOの残基である。最も典型的には、ブロックBは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド残基、並びに任意選択的に、シクロヘキシレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート等の他のエポキシドの残基を含む。ブロックBのエポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基とすることができ、典型的には、ブロックBのエポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックBのエポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックBのエポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である。本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様のプロセスのポリオールブロックコポリマー生成物と(ポリ)イソシアネートとを反応させることにより生成するポリウレタンも提供される。ポリウレタンはまた、本発明の第1の態様の生成物を含む組成物と(ポリ)イソシアネートとを反応させることによって生成することもできる。ポリウレタンは、ソフトフォーム(soft foam)、軟質フォーム、インテグラルスキンフォーム、高弾性フォーム、粘弾性又はメモリーフォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム(ポリウレタン(PUR)フォーム、ポリイソシアヌレート(PIR)フォーム、及び/又はスプレーフォーム等)、エラストマー(注型エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPU)、マイクロセルラーエラストマー等)、接着剤(ホットメルト接着剤、感圧接着剤、又は反応型接着剤等)、シーラント又はコーティング(水系又は溶剤系分散液(PUD)、二液型コーティング、一液型コーティング、無溶剤コーティング等)の形態とすることができる。ポリウレタンは、押出、金型成形(moulding)、射出成形、吹付け(spraying)、発泡、注型、及び/又は硬化を含むプロセスを介して形成することができる。ポリウレタンは、「ワンポット」又は「プレポリマー」法を介して形成することができる。
【0144】
通常、(ポリ)イソシアネートは、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含む。好ましくは、(ポリ)イソシアネートは、ジイソシアネートである。しかしながら、(ポリ)イソシアネートは、トリイソシアネート、テトライソシアネート、イソシアネートポリマー又はオリゴマー等の、より官能基数の高い(higher)(ポリ)イソシアネートとすることもできる。(ポリ)イソシアネートは、脂肪族(ポリ)イソシアネート若しくは脂肪族(ポリ)イソシアネートの誘導体若しくはオリゴマーとすることができ、又は芳香族(ポリ)イソシアネート若しくは芳香族(ポリ)イソシアネートの誘導体若しくはオリゴマーとすることができる。典型的には、(ポリ)イソシアネート成分の官能基数は2以上である。幾つかの実施形態において、(ポリ)イソシアネート成分は、所与の用途のための特定の官能基数を達成するために配合されたジイソシアネート及びより官能基数の高いイソシアネートの混合物を含む。
【0145】
幾つかの実施形態において、使用される(ポリ)イソシアネートの官能基数は2を超える。幾つかの実施形態において、この種の(ポリ)イソシアネートの官能基数は2~5の間にあり、より典型的には、2~4、最も典型的には、2~3の間にある。
【0146】
使用可能な好適な(ポリ)イソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、及び脂環式ポリイソシアネート並びにこれらの組合せが挙げられる。この種のポリイソシアネートは:1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6-XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチルアミンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタン-4,4’,4”トリイソシアネート、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリス(p-イソシアナトメチル)チオサルフェート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3,5-ヘキサメチルメシチレントリイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、及びこれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択することができる。更に、(ポリ)イソシアネートは、これらのイソシアネートのいずれかのポリメリック形態(polymeric version)から選択することができ、これらは官能基数が高くても低くてもよい。好ましいポリメリックイソシアネートは、MDI、TDI、及びポリメリックMDIから選択することができる。
【0147】
第4の態様のポリウレタンは、1種又は複数種の連鎖延長剤も含むことができ、これは、典型的には、低分子量ポリオール、ポリアミン、又は当該技術分野において知られているアミン官能基及びヒドロキシル官能基の両方を有する化合物である。この種の連鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメトキシプロパン(TMP)、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジアミン類、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、N-メチルプロピレン-1,3-ジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6トリレンジアミン、及びジエタノールアミンが挙げられる。
【0148】
本発明の第1の態様の生成物を含む組成物はまた、当該技術分野において知られている1種又は複数種の添加剤も含むことができる。添加剤としては、これらに限定されるものではないが、触媒、発泡剤、安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、消泡剤、及び酸化防止剤を挙げることができる。
【0149】
充填剤は、無機充填剤又は高分子充填剤、例えば、スチレン-アクリロニトリル(SAN)分散充填剤(dispersion filler)から選択することができる。
発泡剤は、化学的発泡剤又は物理的発泡剤から選択することができる。化学的発泡剤は、典型的には、(ポリ)イソシアネートと反応し、CO等の揮発性化合物を遊離させる。物理的発泡剤は、典型的には、その沸点が低いことに起因して、発泡体を形成する最中に気化する。好適な発泡剤は当業者に知られており、発泡剤の添加量は、定型的な実験を行う事項となり得る。1種若しくは複数種の物理的発泡剤を使用することもできるし、又は1種若しくは複数種の化学的発泡剤を使用することもできるし、更に、1種又は複数種の物理的発泡剤を1種又は複数種の化学的発泡剤と併せて使用することもできる。
【0150】
化学的発泡剤としては、水及びギ酸が挙げられる。どちらも(ポリ)イソシアネートの一部と反応して、発泡剤として機能することができる二酸化炭素を生成する。或いは、二酸化炭素を直接発泡剤として使用することもでき、こうすることにより、副反応が回避されると共に、尿素架橋の形成が低減されるという利点があり、所望により、水を他の発泡剤と併せて使用することも、単独で使用することもできる。
【0151】
典型的には、本発明に使用するための物理的発泡剤は、アセトン、二酸化炭素、任意選択的に置換された炭化水素、及びクロロ/フルオロカーボンから選択することができる。クロロ/フルオロカーボンとしては、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、及びクロロカーボンが挙げられる。フルオロカーボン発泡剤は、典型的には:ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロクロロエタン、ジクロロモノフルオロメタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1-ジフルオロ-1,2,2-トリクロロエタン、クロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタンからなる群から選択される。
【0152】
オレフィン発泡剤、即ち、トランス-1-クロロ-3.3.3-トリフルオロプロペン(LBA)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-プロプ-1-エン(HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロ-プロペン(HFO-1234yf)、シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)を含有させることもできる。
【0153】
典型的には、物理的発泡剤として使用するための非ハロゲン化炭化水素は、ブタン、イソブタン、2,3-ジメチルブタン、n-及びi-ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタン等のシクロアルカンから選択することができる。より典型的には、物理的発泡剤として使用するための非ハロゲン化炭化水素は、シクロペンタン、イソペンタン、及びn-ペンタンから選択することができる。
【0154】
典型的には、1種又は複数種の発泡剤が存在する場合、これらは、配合物全体の約0~約10部、より典型的には2~6部の量で使用される。水が他の発泡剤と併用される場合、2種の発泡剤の比は幅広く変化させることができ、例えば、発泡剤全体において、水は、1~99重量部、好ましくは、水を25重量部~99重量部を超える。
【0155】
好ましくは、発泡剤は、シクロペンタン、イソペンタン、n-ペンタンから選択される。より好ましくは、発泡剤は、n-ペンタンである。
典型的な可塑剤は、コハク酸エステル、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、安息香酸エステル、及びN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)から選択することができる。
【0156】
典型的な難燃剤は当業者に知られており、ホスホンアミダート(phosphonamidate)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、塩素化リン酸エステル、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリス(クロロエチル)、リン酸トリス(2,3-ジブロモプロピル)、2,2-ビス(クロロメチル)-1,3-プロピレンビス(ジ(2-クロロエチル)ホスフェート)、リン酸トリス(1,3-ジクロロプロピル)、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、リン酸トリクレジル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸ジアンモニウム、メラミン、ピロリン酸メラミン、尿素リン酸塩、アルミナ、ホウ酸、各種ハロゲン化化合物、酸化アンチモン、クロレンド酸誘導体、リン含有ポリオール、臭素含有ポリオール、窒素含有ポリオール、及び塩素化パラフィンから選択することができる。難燃剤は、混合物全体の0~60部の量で存在することができる。
【0157】
本発明の第5の態様によれば、ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックBを有するブロックコポリマー残基を含むポリウレタンも提供され、この残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)(式中、n=t-1であり、t=ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’)は開始剤の残基である)を有する。
【0158】
第5の態様のポリウレタンのブロックコポリマー残基は、本発明の第3の態様の生成物に関し上に定義した特徴の任意の1又は複数を含むことができる。
本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様によるプロセスのポリオールブロックコポリマー生成物と、過剰の(ポリ)イソシアネート、例えば、OH基1モル当たり少なくとも>1モルのイソシアネート基を有するものとの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーも提供される。
【0159】
本発明の第7の態様によれば、ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)-)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックBを有するブロックコポリマー残基を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが提供され、この残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)(式中、n=t-1であり、t=ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’)は開始剤の残基である)を有する。
【0160】
第7の態様のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、本発明の第3の態様の生成物に関し上に定義した特徴の任意の1又は複数を含むことができる。
本発明の第1の態様のプロセスのポリオールブロックコポリマー生成物に添加することができる触媒は、(ポリ)イソシアネート及びポリオールを反応させるための触媒とすることができる。このような触媒としては、3級アミン化合物及び/又は有機金属化合物等の好適なウレタン触媒が挙げられる。
【0161】
任意選択的に、三量化触媒を使用することができる。三量化触媒の存在下においてポリイソシアヌレート環の形成が可能になるように、ポリオールに対し過剰の(ポリ)イソシアネート、より好ましくは過剰のポリメリックイソシアネートを存在させることができる。これらの触媒のいずれかを、1種又は複数種の他の三量化触媒と併用することができる。
【0162】
本発明の第8の態様によれば、第3の態様によるポリオールブロックコポリマーと、触媒、発泡剤、安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、及び酸化防止剤から選択される1種又は複数種の添加剤とを含む組成物が提供される。
【0163】
本発明の組成物は、更に(ポリ)イソシアネートを含むことができる。
典型的には、(ポリ)イソシアネート及びポリオールブロックコポリマーを反応させるための触媒としては、好適なウレタン触媒、例えば、3級アミン化合物及び/又は有機金属化合物が挙げられる。典型的には、三量化触媒が存在する。
【0164】
三量化触媒の存在下にポリイソシアヌレート環の形成が可能となるように、ポリオールに対し過剰の(ポリ)イソシアネート、より典型的には、過剰のポリメリックイソシアネートを存在させることができる。
【0165】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第3の態様によるポリオールブロックコポリマーを含む潤滑剤組成物が提供される。
本発明の第10の態様によれば、本発明の第3の態様によるポリオールブロックコポリマーを含む界面活性剤組成物が提供される。
【0166】
定義
本発明の目的に関し、脂肪族基は、直鎖(即ち、非分岐)、分岐、又は環式であってもよく、完全に飽和しているか、又は1若しくは複数の不飽和単位を含んでいてもよいが芳香族ではない、炭化水素部分である。「不飽和」という語は、1又は複数の二重結合及び/又は三重結合を有する部分を意味する。したがって「脂肪族」という語は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、又はシクロアルケニル基、並びにこれらの組合せを包含することを意図している。
【0167】
脂肪族基は、任意選択的に、C1-30脂肪族基である、即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の炭素原子を有する脂肪族基である。任意選択的に、脂肪族基は、C1-15脂肪族、任意選択的にC1-12脂肪族、任意選択的にC1-10脂肪族、任意選択的にC1-8脂肪族、例えば、C1-6脂肪族基である。好適な脂肪族基としては、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基、並びにこれらを混合したもの、例えば、(シクロアルキル)アルキル基、(シクロアルケニル)アルキル基、及び(シクロアルキル)アルケニル基が挙げられる。
【0168】
本明細書において使用される「アルキル」という語は、脂肪族部分から1個の水素原子を取り去ることによって誘導された、飽和の直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。アルキル基は、任意選択的に、「C1-20アルキル基」である、即ち、1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖であるアルキル基である。したがって、アルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する。任意選択的に、アルキル基は、C1-15アルキル、任意選択的にC1-12アルキル、任意選択的にC1-10アルキル、任意選択的にC1-8アルキル、任意選択的にC1-6アルキル基である。具体的には、「C1-20アルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル、イソペンチル、n-ペンチル基、ネオペンチル、n-ヘキシル基、sec-ヘキシル、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチルブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0169】
本明細書において使用される「アルケニル」という語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から1個の水素原子を取り去ることによって誘導される基を指す。本明細書において使用される「アルキニル」という語は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から水素原子を取り除くことによって誘導される基を指す。アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ、任意選択的に、「C2-20アルケニル」及び「C2-20アルキニル」、任意選択的に「C2-15アルケニル」及び「C2-15アルキニル」、任意選択的に「C2-12アルケニル」及び「C2-12アルキニル」、任意選択的に「C2-10アルケニル」及び「C2-10アルキニル」、任意選択的に「C2-8アルケニル」及び「C2-8アルキニル」、任意選択的に「C2-6アルケニル」及び「C2-6アルキニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、アリル、1,3-ブタジエニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、アリル、1,3-ブタジエニル、及びアレニルが挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、及び1-プロピニルが挙げられる。
【0170】
本明細書において使用される「脂環式(cycloaliphatic)」、「炭素環」、又は「炭素環式(carbocyclic)」という語は、3~20個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環式脂肪族単環又は多環式(縮合、架橋、及びスピロ縮合を含む)環系、即ち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する脂環式(alicyclic)基を指す。任意選択的に、脂環式基は、3~15個、任意選択的に3~12個、任意選択的に3~10個、任意選択的に3~8個の炭素原子、任意選択的に3~6個の炭素原子を有する。「脂環式」、「炭素環」、又は「炭素環式」という語は、1又は複数の芳香族又は非芳香族環に縮合している脂肪族環、例えば、脂肪族環上に結合点が存在するテトラヒドロナフチル環も含む。炭素環式基は、多環、例えば、二環又は三環であってもよい。脂環式基は、結合点を有する(linking)又は結合点を有しない1個又は複数個のアルキル置換基を有する脂環式環、例えば、-CH-シクロヘキシルを含むことができることが理解されるであろう。具体的には、炭素環の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビサイクル(bicycle)[2,2,1]ヘプタン、ノルボレン(norborene)、フェニル、シクロヘキセン、ナフタレン、スピロ[4.5]デカン、シクロヘプタン、アダマンタン、及びシクロオクタンが挙げられる。
【0171】
ヘテロ脂肪族基(ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニルを含む)は、1個又は複数個のヘテロ原子を更に含む、上に記載した脂肪族基である。したがって、ヘテロ脂肪族基は、任意選択的に2~21個の原子、任意選択的に2~16個の原子、任意選択的に2~13個の原子、任意選択的に2~11個の原子、任意選択的に2~9個の原子、任意選択的に2~7個の原子を含み、少なくとも1個の原子は炭素原子である。任意選択的なヘテロ原子は、O、S、N、P、及びSiから選択される。ヘテロ脂肪族基が2個以上のヘテロ原子を有する場合、ヘテロ原子は同一であっても又は異なっていてもよい。ヘテロ脂肪族基は、置換されていても又は無置換であっても、分岐又は非分岐であっても、環式又は非環式であってもよく、飽和、不飽和、又は部分不飽和基を含む。
【0172】
脂環式基は、3~20個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環式脂肪族単環又は多環(縮合、架橋、及びスピロ縮合を含む)系、即ち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する脂環式基である。任意選択的に、脂環式基は、3~15個、任意選択的に3~12個、任意選択的に3~10個、任意選択的に3~8個の炭素原子、任意選択的に3~6個の炭素原子を有する。「脂環式」という語は、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル基を包含する。脂環式基は、結合点を有する又は結合点を有しない1個又は複数個のアルキル置換基を有する脂環式環、例えば、-CH-シクロヘキシルを含むことができることが理解されるであろう。具体的には、C3-20シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0173】
ヘテロ脂環式基は、炭素原子に加えて、任意選択的にO、S、N、P、及びSiから選択される1個又は複数個の環ヘテロ原子を有する、上に定義した脂環式基である。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に、同一であっても又は異なっていてもよい1~4個のヘテロ原子を含む。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に5~20個の原子、任意選択的に5~14個の原子、任意選択的に5~12個の原子を含む。
【0174】
アリール基又はアリール環は、5~20個の炭素原子を有し、系内の少なくとも1個の環が芳香族であり、系内の各環が3~12個の環員を含む、単環又は多環系である。「アリール」という語は、単独で又はより大きな部分の一部として、「アラルキル」、「アラルコキシ」、又は「アリールオキシアルキル」のように使用することができる。アリール基は、任意選択的に、「C6-12アリール基」であり、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子から構成されるアリール基であり、縮合環基を含む、単環式基又は二環式等である。具体的には、「C6-10アリール基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、アントラシル基、ナフチル基、又はアズレニル基等が挙げられる。インダン、ベンゾフラン、フタルイミド、フェナントリジン、テトラヒドロナフタレン等の縮合環もアリール基に含まれることに留意されたい。
【0175】
単独で又は他の語の一部として(「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」等)使用される「ヘテロアリール」という語は、5~14個の環原子、任意選択的に5、6、又は9個の環原子を有し;環状配列内で共有されている6、10、又は14個のπ電子を有し;炭素原子に加えて、1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という語は、窒素、酸素、又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化形態及び窒素の任意の4級化形態を含む。「ヘテロアリール」という語はまた、ヘテロアリール環が1個又は複数個のアリール環、脂環式環、又は複素環式環に縮合しており、ラジカル又は結合点が複素芳香族環上にある基も含む。その例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4Η)-オンが挙げられる。したがって、ヘテロアリール基は、単環又は多環である。
【0176】
「ヘテロアラルキル」という語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を指し、アルキル部及びヘテロアリール部は、独立に、任意選択的に置換されている。
本明細書において使用される、「複素環」、「複素環式」、「複素環式基」、及び「複素環式環(heterocyclic ring)」という語は互換的に使用され、上に定義したように、炭素原子に加えて、1個又は複数個の、任意選択的に1~4個のヘテロ原子を有する、飽和、部分不飽和、又は芳香族である、安定な5~7員の単環式又は7~14員の二環式の複素環式部分を指す。複素環の環原子に関連して使用される「窒素」という語は、置換された窒素も含む。
【0177】
脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、及びヘテロアリール基の例としては、これらに限定されるものではないが、シクロヘキシル、フェニル、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、シンノリン、ダイオキシン、ジオキサン、ジオキソラン、ジチアン、ジチアジン、ジチアゾール、ジチオラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、インドール、インドリン、インドリジン、インダゾール、イソインドール、イソキノリン、イソオキサゾール、イソチアゾール、モルホリン、ナフチリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサチアゾール、オキサチアゾリジン、オキサジン、オキサジアジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フタラジン、ピペラジン、ピペリジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、キノリジン、テトラヒドロフラン、テトラジン、テトラゾール、チオフェン、チアジアジン、チアジアゾール、チアトリアゾール、チアジン、チアゾール、チオモルホリン、チアナフタレン、チオピラン、トリアジン、トリアゾール、及びトリチアンが挙げられる。
【0178】
「ハライド」、「ハロ」、及び「ハロゲン」という語は、互換的に使用され、本明細書において使用される場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味し、任意選択的に、フッ素原子、臭素原子、又は塩素原子を意味し、任意選択的にフッ素原子を意味する。
【0179】
ハロアルキル基は、任意選択的に「C1-20ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-15ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-12ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-10ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-8ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-6ハロアルキル基」であり、それぞれ、少なくとも1個のハロゲン原子、任意選択的に1、2、又は3個のハロゲン原子で置換された、上に記載したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基である。「ハロアルキル」という語は、過フッ素化化合物等の、フッ素化又は塩素化された基を包含する。具体的には、「C1-20ハロアルキル基」の例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等が挙げられる。
【0180】
本明細書において使用される「アシル」という語は、式-C(O)R(式中、Rは、水素又は任意選択的に置換された脂肪族、アリール、若しくは複素環式基である)を有する基を指す。
【0181】
アルコキシ基は、任意選択的に「C1-20アルコキシ基」、任意選択的に「C1-15アルコキシ基」、任意選択的に「C1-12アルコキシ基」、任意選択的に「C1-10アルコキシ基」、任意選択的に「C1-8アルコキシ基」、任意選択的に「C1-6アルコキシ基」であり、それぞれ、先に定義したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基に結合しているオキシ基である。具体的には、「C1-20アルコキシ基」の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、2-メチルブトキシ基、1-エチル-2-メチルプロポキシ基、1,1,2-トリメチルプロポキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基、2-エチルブトキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0182】
アリールオキシ基は、任意選択的に「C5-20アリールオキシ基」、任意選択的に「C6-12アリールオキシ基」、任意選択的に「C6-10アリールオキシ基」であり、それぞれ、先に定義したC5-20アリール、C6-12アリール、又はC6-10アリール基に結合しているオキシ基である。
【0183】
アルキルチオ基は、任意選択的に「C1-20アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-15アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-12アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-10アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-8アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-6アルキルチオ基」であり、それぞれ、先に定義したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基に結合しているチオ(-S-)基である。
【0184】
アリールチオ基は、任意選択的に「C5-20アリールチオ基」、任意選択的に「C6-12アリールチオ基」、任意選択的に「C6-10アリールチオ基」であり、それぞれ、先に定義したC5-20アリール、C6-12アリール、又はC6-10アリール基に結合しているチオ(-S-)基である。
【0185】
アルキルアリール基は、任意選択的に「C6-12アリールC1-20アルキル基」、任意選択的に「C6-12アリールC1-16アルキル基」、任意選択的に「C6-12アリールC1-6アルキル基」であり、これは、任意の位置で上に定義したアルキル基に結合している、上に定義したアリール基である。アルキルアリール基から分子への結合点は、アルキル部を介していてもよく、したがって、任意選択的に、アルキルアリール基は、-CH-Ph又は-CHCH-Phである。アルキルアリール基は、「アラルキル」と称することもできる。
【0186】
シリル基は、任意選択的に、-Si(Rであり、Rは、独立に、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。任意選択的に、各Rは、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールである。任意選択的に、各Rは、メチル、エチル、又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0187】
シリルエーテル基は、任意選択的に、OSi(R基であり、各Rは、独立に、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。各Rは、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、各Rは、任意選択的に置換されたフェニル又は任意選択的に置換されたメチル、エチル、プロピル、若しくはブチル(n-ブチル(nBu)又はtert-ブチル(tBu)等)から選択されるアルキル基である。例示的なシリルエーテル基としては、OSi(Me)、OSi(Et)、OSi(Ph)、OSi(Me)(tBu)、OSi(tBu)、及びOSi(Ph)(tBu)が挙げられる。
【0188】
ニトリル基(シアノ基とも称する)は、CN基である。
イミン基は、-CRNR基、任意選択的に-CHNRであり、Rは、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。Rは、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、Rは、メチル、エチル、又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0189】
アセチリド基は、三重結合-C≡C-Rを有し、任意選択的に、Rは、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。本発明の目的に関し、Rがアルキルである場合、三重結合は、アルキル鎖の任意の位置に存在することができる。Rは、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、Rは、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0190】
アミノ基は、任意選択的に、-NH、-NHR10、又は-N(R10であり、R10は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、シリル基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。アミノ基がN(R10である場合、各R10基は、同一であっても又は異なっていてもよいことが理解されるであろう。各R10は、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、シリル、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R10は、メチル、エチル、プロピル、SiMe、又はフェニルである。
【0191】
アミド基は、任意選択的に、-NR11C(O)-又は-C(O)-NR11-であり、R11は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R11は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R11は、水素、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。アミド基は、末端に水素、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基を有してもよい。
【0192】
本明細書の他の箇所に定義されていない限り、エステル基は、任意選択的に、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-であり、R12は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R12は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R12は、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。エステル基は、末端に脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基を有することができる。R12が水素である場合、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-で定義される基はカルボン酸基となることが理解されるであろう。
【0193】
スルホキシドは、任意選択的に-S(O)R13であり、スルホニル基は、任意選択的に-S(O)13であり、R13は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R13は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R13は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0194】
カルボキシレート基は、任意選択的に-OC(O)R14であり、R14は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R14は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0195】
アセトアミドは、任意選択的に、MeC(O)N(R15であり、R15は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R15は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R15は、水素、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0196】
ホスフィネート基は、任意選択的に、-OP(O)(R16又は-P(O)(OR16)(R16)であり、各R16は、独立に、水素、又は上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、若しくはヘテロアリール基から選択される。R16は、脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができ、これは、脂肪族、脂環式、アリール、又はC1-6アルコキシで任意選択的に置換されている。任意選択的に、R16は、任意選択的に置換されたアリール又はC1-20アルキル、任意選択的に、C1-6アルコキシ(任意選択的にメトキシ)で任意選択的に置換されたフェニル、又は無置換のC1-20アルキル(ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリル等)である。ホスホネート基は、任意選択的に、-P(O)(OR16であり、R16は、上に定義した通りである。-P(O)(OR16基のR16の一方又は両方が水素である場合、-P(O)(OR16で定義される基は、ホスホン酸基となることが理解されるであろう。
【0197】
スルフィネート基は、任意選択的に、-S(O)OR17又は-OS(O)R17であり、R17は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、ハロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R17は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R17は、水素、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。R17が水素である場合、-S(O)OR17で定義される基は、スルホン酸基となることが理解されるであろう。
【0198】
カーボネート基は、任意選択的に-OC(O)OR18であり、R18は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R18は、任意選択的に置換された脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R18は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はアダマンチルである。R17が水素である場合、-OC(O)OR18で定義される基は、炭酸基となることが理解されるであろう。
【0199】
カーボネート官能基(carbonate functional group)は-OC(O)O-であり、好適な供給源から誘導することができる。一般に、これはCOから誘導される。
【0200】
-アルキルC(O)OR19又は-アルキルC(O)R19基において、R19は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。R19は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R19は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0201】
エーテル基は、任意選択的に-OR20であり、R20は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基であってもよい。R20は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R20は、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0202】
上述の基のいずれかがルイス塩基G中に存在する場合、原子価を満たすために、必要に応じて、1又は複数の追加のR基が存在し得ることが理解されるであろう。例えば、アミノ基に関連する追加のR基は、RNHR10を与えるように存在することができ、Rは、水素、上に定義した任意選択的に置換された脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。任意選択的に、Rは、水素又は脂肪族、脂環式、若しくはアリールである。
【0203】
本明細書において使用される、「任意選択的に置換された」という語は、任意選択的に置換される部分の水素原子の1個又は複数個が適切な置換基に置き換えられていることを意味する。別段の指定がない限り、「任意選択的に置換された」基は、その基の置換可能な各位置に適切な置換基を有することができ、任意の所与の構造の1を超える位置を、特定の基から選択される1を超える置換基で置換することができる場合、その置換基は、どの位置においても、同一であっても又は異なっていてもよい。本発明により想定されている置換基の組合せは、任意選択的に、結果として安定な化合物を形成するものである。本明細書において使用される、「安定な」という語は、化学的に実現可能であり、室温、即ち(16~25℃)で、その検出、単離、及び/又は化学合成における使用が可能になるように、充分に長く存在することができる化合物を指す。
【0204】
本発明に使用するための任意選択的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシレート、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアリール、アミノ、アミド、イミン、ニトリル、シリル、シリルエーテル、エステル、スルホキシド、スルホニル、アセチリド、ホスフィネート、スルホネート、又は任意選択的に置換された脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、若しくはヘテロアリール基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、イミン、ニトリル、シリル、スルホキシド、スルホニル、ホスフィネート、スルホネート、又はアセチリドで任意選択的に置換されているもの)が挙げられる。
【0205】
式(V)において、X基及びG基が1個のM又はM金属中心に結合しているように例示されていたとしても、1又は複数のX基及びG基が、M及びM金属中心の間に架橋を形成する可能性があることが理解されるであろう。
【0206】
本発明の目的に関し、エポキシド基質は限定されない。したがって、エポキシドという語は、エポキシド部分(即ち、置換又は無置換のオキシラン化合物)を含む任意の化合物に関連する。置換オキシランとしては、一置換オキシラン、二置換オキシラン、三置換オキシラン、及び四置換オキシランが挙げられる。エポキシドは、単一のオキシラン部分を含んでいてもよい。エポキシドは、2個以上のオキシラン部分を含んでいてもよい。
【0207】
「エポキシド(epoxide)」という語は、1又は複数のエポキシドを包含することが意図されていることが理解されるであろう。換言すれば、「エポキシド」という語は、単一種のエポキシド又は2種以上の異なるエポキシドの混合物を指す。例えば、エポキシド基質は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物、シクロヘキセンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物、エチレンオキシド及びシクロヘキセンオキシドの混合物、又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びシクロヘキセンオキシドの混合物とすることができる。
【0208】
ポリエーテルカーボネートブロックポリエーテルポリオールという語は、一般に、各末端に、実質的に-OH、-SH、及び/又は-NHR’基(C-OH、P-OH、-C(O)OH部分等を包含する)を有するポリマーを指す。R’は、H、又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルとすることができ、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである。
【0209】
一例として、ポリマーの少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%が各末端に-OH基を有することができる。当業者は、ポリマーが線状である場合、両末端が-OH基で末端封止されていてもよいことを理解するであろう。ポリマーが分岐状の場合、分岐鎖がそれぞれ-OH基で末端封止されていてもよい。この種のポリマーは、一般に、ポリウレタン等のより分子量の高い(higher)ポリマーの調製に有用である。鎖は官能基の混合物(例えば、-OH及び-SH)基を含むことができ、又は同じ官能基(例えば、全て-OH基)を含むこともできる。
【0210】
本明細書において使用する「連続的」という語は、材料を添加する方式として定義することができ、又は全体としての反応方法の性質を指すこともできる。
連続方式の添加という意味では、対応する材料は、反応を行う間中、継続して(continually)又は絶えず(constantly)添加される。これは、例えば、材料の流れを一定の流速で又は流速を変化させて添加することにより達成することができる。換言すれば、1種又は複数種の材料が、基本的に中断することなく添加される。但し、実用上の事情を考慮すると、材料を中断せずに添加する際も、例えば、材料を添加する元の容器に材料を補充したり容器を交換したりするために短時間中断することが必要となり得ることに留意されたい。
【0211】
半回分方式の添加とは、試薬の少なくとも1種は、1回で添加されるのではなく、複数回に分けて、又は連続的/断続的に添加されることを意味する。
中性又はアルカリ性のpHとは、生成物を水に溶解した場合に、pHが7以上となることを意味する。
【0212】
反応全体が連続的であるという意味では、反応は、長時間、例えば、何日間、何週間、何か月間等に亘り実施することができる。このような連続的反応においては、反応材料を連続的に継ぎ足すことができ、及び/又は反応生成物を抜き出すこともできる。触媒は反応中に消費されない可能性もあるが、抜き出しを行う際に存在する触媒量が激減することもあるため、触媒を補充する場合もあることが理解されるであろう。
【0213】
連続的反応では、材料の連続的添加を行うことができる。
連続的反応では、材料の不連続な(即ち、回分式又は半回分式)添加を行うこともできる。
【0214】
本明細書において使用される直列という語は、粗反応混合物を第1反応器から第2反応器に流すことができるように、2以上の反応器が連結されている場合を指す。
本明細書において使用される入れ子という語は、2以上の反応器の一方が他方の内部(within)に位置するように構成されている場合を指す。例えば、本発明において、第2反応器が第1反応器の内側(inside)に位置する場合、両反応器の条件が他方の反応器に影響を与える。
【0215】
方法
ゲル浸透クロマトグラフィー
GPC測定を、多分散度の狭いポリ(エチレングリコール)又はポリスチレン標準物質を基準として、THF中で、Agilent PLgel Mixed-Dカラムを取り付けたAgilent 1260 Infinity装置を用いて実施した。
【実施例
【0216】
実施例1
【0217】
【化13】
【0218】
ヘキサンジオール(2.6g)を100mL容の反応器に入れ、120℃の真空下で1時間乾燥させた。触媒(1)(0.15g)のPO(12.45g)中の混合物を反応槽に注入した。反応槽を75℃に加熱し、CO を用いて10バール(1MPa)で加圧し、16時間撹拌した後、冷却して気体を排出し、約550g/molのPPC-ポリオールを得た。次いで反応器の内容物を、清潔な乾燥したシュレンクに、PO(3mL)及びEtOAc(9mL)と共に移し替え、N下に維持した。
【0219】
別の100mL容の反応器内で、国際公開第2017/037441号の実施例1に従うDMC触媒(9.2mg)及びPPG400(0.88g)を120℃の真空下で1時間乾燥させた。反応器を室温に冷却し、Nガスを連続的に流しながら酢酸エチル(12mL)を反応槽にシリンジで注入した。反応槽を所望の温度(130℃)まで加熱した。プロピレンオキシド(3.75g)を3回に分けて(それぞれ1.25g)30分間で加え、それぞれの間でDMC触媒の活性を確認した。
【0220】
反応器を70℃に冷却しながら、Nで1バール(0.1MPa)に加圧し、PO(1.25g)を加えた。次いで、上述のシュレンクの混合物を、HPLCポンプを介して1時間かけて加えた。反応を5時間実施した。反応器を10℃未満に冷却し、圧力を開放した。即座にNMR及びGPCを測定した。
【0221】
【表1】
【0222】
実施例2~10
実施例2~10を、2L容の反応器で実施したことを除いて実施例1と同様に実施した。反応1を表2に詳述する量を用いて実施した。
【0223】
2L反応器において、表3に示した量を用いて反応2を実施した。酢酸エチル(280mL)又は先の2反応器系(dual reactor)の反応により得られたポリカーボネートエーテルポリオールのいずれかを添加することにより、反応器に求められる最小充填量(minimum fill requirements)を満たした。混合物を撹拌し、130℃に加熱した。プロピレンオキシド15gを使用し、3回に分けて(各5g)約10分間で添加することによりDMC触媒を活性化し、それぞれの間でDMC触媒の活性を確認した。次いで、上述のPPC/PO混合物を85℃でHPLCポンプを介して1~3時間かけて加えた。PPC添加後、混合物に更なる量のPOをHPLCを介して5mL/minで添加した。反応は、更なる1~16時間の間に「完結(cooked out)」した。その後、10℃未満に冷却し、圧力を開放した。即座にNMR及びGPCを測定した。
【0224】
【表2】
【0225】
【表3】
【0226】
この実施例は、安定性に劣る低分子量ポリカーボネートポリオールを保管又は精製することを必要とせず、その場で製造及び使用して、全体のCO含有量が高く、カーボネート結合及びエーテル結合の混合物を有する、より安定性の高いポリオールを、反応器1において低CO圧力下で製造することが可能であることを示している(実施例6~10参照)。更に、このプロセスにより、ポリマーの中央部にCOを含み、ポリオール末端部のエーテル含有量がより高いポリマーを製造することが可能である。
【0227】
実施例7~10は、本プロセスを用いることにより、エトキシ化トリメチロールプロパン(Mn450、トリオール)を反応1の開始剤として使用して、より官能基数の高いポリオールが製造できることを示している。
【0228】
実施例6は、本プロセスにおいて、最終ポリオール生成物を反応器2内でDMC触媒を活性化するための「開始剤」として使用することが許容されることを示している。この方法は、先の反応の反応「残液」を、次の反応に用いるDMCを活性化するために反応器に残しておくことができ、それにより反応器の最小充填量が満たされることを示している。これは、溶媒又はDMCを予備活性化するために使用する他の開始剤が不要になるため、製造において特に有用である。
【0229】
反応1で生成したPPCポリオール(Mn2000)の熱安定性を、実施例5で生成した本発明のポリオールと比較した(図1)。2段階(dual)反応により生成したブロックコポリマーポリオールの熱安定性が、PPCポリオールと比較して向上していることが明らかに認められる。
【0230】
【表4】

以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって;前記系は、第1及び第2反応器を含み、前記第1反応器内で第1反応が行われ、前記第2反応器内で第2反応が行われ;前記第1反応は、ポリカーボネートポリオールコポリマーを生成するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO 及びエポキシドとの反応であり、前記第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、前記第1反応のポリカーボネートポリオール化合物及びエポキシドとの反応であり、(i)前記第1反応の生成物は、粗反応混合物として、前記第2反応器に供給され、(ii)前記エポキシド及び前記第1反応の前記ポリカーボネートポリオール化合物は、前記第2反応器に、連続方式若しくは半回分方式で供給され、並びに/又は(iii)前記第1反応の生成物は、前記第2反応に添加される時点で中性又はアルカリ性のpHを有する、プロセス。
[付記2]
多反応器系においてポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって;前記系は、第1及び第2反応器を含み、前記第1反応器内で第1反応が行われ、前記第2反応器内で第2反応が行われ;前記第1反応は、ポリカーボネートポリオールを生成するための、多官能性開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下における、カーボネート触媒と、CO 及びエポキシドとの反応であり、前記第2反応は、ポリオールブロックコポリマーを生成するための、DMC触媒と、前記第1反応の前記ポリカーボネートポリオール化合物及びエポキシドとの、半回分式又は連続式反応である、プロセス。
[付記3]
付記2に記載のポリオールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって、前記開始剤化合物は、式(III):
【化14】

(式中、
Zは、自身に結合している2以上の-R 基を有することができる任意の基とすることができ、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択してもよく、又はZは、これらの基の任意の組合せであってもよく、例えば、Zは、アルキルアリーレン基、ヘテロアルキルアリーレン基、ヘテロアルキルヘテロアリーレン基、又はアルキルヘテロアリーレン基であってもよく;
aは、少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、2~8の範囲にあり、任意選択的に、aは、2~6の範囲にあり;
は、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH) 、又は-PR’(O)OHであってもよく、任意選択的に、R は、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、R は、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せであり(例えば、R はそれぞれ-OHである);
R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルであってもよく、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである)
を有する、プロセス。
[付記4]
前記DMC触媒は、任意選択的に、前記第2反応器内で又は別個に予備活性化され、任意選択的に、前記DMCは、開始剤化合物と一緒に、又は第1若しくは第2反応の反応生成物と一緒に、又はポリカーボネートポリオールコポリマーと一緒に、又はポリオールブロックコポリマーと一緒に予備活性化される、付記1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記5]
予備活性化されたDMC触媒に前記ポリカーボネートポリオールコポリマーが添加される、付記1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記6]
前記DMC触媒は、開始剤化合物若しくは前記ポリカーボネートポリオールコポリマーと一緒に、又は前記ポリオールブロックコポリマー生成物と一緒に予備活性化される、付記1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記7]
前記第1反応の生成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量(Mn)が200~4000ダルトンの範囲にある低分子量ポリカーボネートポリオール生成物である、付記1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記8]
前記第1反応は、略交互ポリカーボネートポリオール生成物を生成する、付記1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記9]
前記エポキシドは非対称であり、前記反応は、頭-尾結合を40~100%、好ましくは頭-尾結合を70%超、80%超、又は90%超有するポリカーボネートを生成する、付記1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記10]
前記第1反応の生成物は、前記第2反応器に粗反応混合物として供給され、前記第2反応器は、予備活性化されたDMC触媒を含む、付記1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記11]
前記ポリカーボネートコポリマーが、前記DMC触媒との反応に粗反応混合物として供給され、前記反応は、予備活性化されたDMC触媒を含む、付記1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記12]
前記第1反応は、20バール(2MPa)未満、より好ましくは10バール(1MPa)未満、最も好ましくは8バール(0.8MPa)未満のCO 圧力下で実施される、付記1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記13]
前記CO は、前記第1反応において連続的に添加される、付記1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記14]
前記第1反応は、回分式、半回分式、又は連続式プロセスである、付記1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記15]
前記第2反応は、連続式プロセス又は半回分式プロセスである、付記1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記16]
前記第2反応器に供給される前記粗反応混合物は、ある量の未反応エポキシド及び/又は開始剤を含む、付記1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記17]
前記カーボネート触媒は、前記粗反応混合物中に存在する、付記1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記18]
前記カーボネート触媒は、前記第2反応器の添加される前に前記粗反応混合物から除去される、付記1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記19]
前記第1反応器内の反応温度は、約0℃~250℃の範囲、好ましくは約40℃~約160℃の範囲、より好ましくは約50℃~120℃の範囲にある、付記1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記20]
前記第2反応器内の反応温度は、約50~約160℃の範囲、好ましくは約70~約140℃の範囲、より好ましくは約80~約130℃の範囲にある、付記1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記21]
前記反応器は直列に配置されている、付記1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記22]
前記反応器は入れ子になっている、付記1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記23]
前記第1及び第2反応器は、温度及び/又は圧力等の異なる反応条件を互いに同時に提供するのに有効である、付記1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記24]
前記プロセスには、ある総量のエポキシドが用いられ、エポキシドの前記総量の約1~100%は前記第1反応で混合され、任意の残部は前記第2反応で添加され;任意選択的に、約5~90%、任意選択的に約10~90%、任意選択的に約20~90%、任意選択的に約40~90%、任意選択的に約40~80%、任意選択的に約5~50%が前記第1反応で混合される、付記1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記25]
前記エポキシドは、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換シクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C 10 16 O、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C 11 22 O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換エチレンオキシド等)、無置換又は置換オキシラン(例えば、オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、及び修飾された3,5-ジオキサエポキシドから選択される、付記1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記26]
前記第1反応におけるエポキシド全体の0.1~20%は、1を超えるエポキシド部分を含むエポキシド基質、好ましくはビスエポキシドである、付記1~25のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記27]
前記カーボネート触媒は、カーボネート結合を76%超有するポリカーボネート鎖を生成することができる触媒である、付記1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記28]
前記カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む金属触媒である、付記1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記29]
前記カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む二核金属錯体である、付記1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記30]
前記カーボネート触媒は、式(IV):
【化15】

(式中、Mは、M-(L) で表される金属陽イオンであり;
xは、1~4の整数であり、
【化16】

は、1又は複数の多座配位子であり;
Lは、配位している配位子であり;
vは、Mの原子価及び/若しくはMの好ましい配位構造を満たす整数であるか、又は上式(IV)で表される錯体の全体の電荷が中性になる整数である)
の触媒である、付記1~29のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記31]
前記カーボネート触媒は、次に示す構造:
【化17】

(式中、M 及びM は、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X) 、又はTi(IV)-(X) から独立に選択され;
及びR は、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基、若しくはアセチリド基、又は任意選択的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、脂環式基、若しくはヘテロ脂環式基から独立に選択され;
は、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はシクロアルキレンから独立に選択され、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、及びヘテロアルキニレンには、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環、又はヘテロ脂肪族環が任意選択的に介在していてもよく;
は、H又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
はCであり、且つE はO、S、若しくはNHであるか、又はE はNであり、且つE はOであり;
、E 、E 、及びE は、N、NR 、O、及びSから選択され、E 、E 、E 、又はE がNである場合、
【化18】

は、
【化19】

であり、E 、E 、E 、又はE がNR 、O、又はSである場合、
【化20】

は、
【化21】

であり;
は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR 19 、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
Xは、OC(O)R 、OSO 、OSOR 、OSO(R 、S(O)R 、OR 、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、若しくはヘテロアリールから独立に選択され、Xは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、Xは、M 及びM の間に架橋を形成していてもよく;
は、独立に、水素又は任意選択的に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール、若しくはヘテロアリールであり;
Gは、存在しないか又はルイス塩基である中性若しくは陰イオン性供与性配位子から独立に選択される)
を有する、付記1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記32]
前記カーボネート触媒は、本明細書において定義する式(IV)の触媒、金属サレン触媒、金属ポルフィリン触媒、金属テトラアザアヌレン触媒、及び金属β-ジイミナート触媒から選択される、付記1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記33]
前記DMC触媒は、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子に加えて:1種若しくは複数種の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸の少なくとも1種も、任意選択的に非化学量論的な量で含む、付記1~32のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記34]
前記DMC触媒は、金属塩の溶液を、金属シアン化物塩の溶液で、錯化剤、水、及び/又は酸の少なくとも1種の存在下に処理することにより調製され、任意選択的に、前記金属塩は、式M’(X’) (式中、M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選択され、
X’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、
pは、1以上の整数であり、前記陰イオンの電荷にpを乗じるとM’の原子価を満たす)を有し;前記金属シアン化物塩は、式(Y) M’’(CN) (A) (式中、M’’はFe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選択され、
Yは、プロトン又はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン(K 等)であり、
Aは、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり;
q及びbは、1以上の整数であり;
cは、0又は1以上の整数であってもよく;
陰イオンY、CN、及びAの電荷にq、b、及びcをそれぞれ乗じたものの合計(例えば、Y×q+CN×b+A×c)は、M’’の原子価を満たす)を有し;
前記少なくとも1種の錯化剤は、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール、尿素、又はこれらの組合せから選択され、
任意選択的に、前記少なくとも1種の錯化剤は、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、及びsec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、又はこれらの組合せから選択され;
前記酸が存在する場合、式H X’’’(式中、X’’’は、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、塩素酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、rは、対イオンX’’’の電荷に対応する整数である)を有する、付記1~33のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記35]
前記DMC触媒は、式:
M’ [M’’ (CN)
(式中、M’及びM’’は、付記29に定義した通りであり、d、e、f、及びgは、整数であり、前記DMC触媒が電気的中性を有するように選択され、
任意選択的に、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2である)
を含む、付記1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記36]
前記DMC触媒は、式:
M’ [M’’ (CN) ・hM’’’X’’ ・jR ・kH O・lH X’’’
(式中、M’、M’’、d、e、f、及びgは、付記29に定義した通りであり、M’’’は、M’及び/又はM’’であり、X’’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、iは、1以上の整数であり、前記陰イオンX’’の電荷にiを乗じたものがM’’’の原子価を満たし、h、j、k、及びlは、それぞれ独立に、0又は正の数であり、rは、対イオンX’’’の電荷に対応する整数であり、R は、錯化剤又は1種若しくは複数種の錯化剤の組合せである)を含む、付記1~35のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記37]
前記DMC触媒は、Zn [Co(CN) (亜鉛ヘキサシアノコバルト酸塩)をベースとする、付記1~36のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記38]
前記DMC触媒は、亜鉛ヘキサシアノコバルト酸塩であり、前記1種又は複数種の配位子は、アルコール及びポリオールから選択される、付記1~37のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記39]
前記1種又は複数種の錯化剤は、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルカーボネート、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリカーボネートから選択される、付記34に記載のプロセス。
[付記40]
前記第1反応の生成物が前記第2反応器に一度に又は連続方式若しくは不連続方式、好ましくは連続方式で供給される、付記1~39のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記41]
前記第1反応の前記生成物は、前記第2反応において、エポキシドを添加する前に、前記DMC触媒の予備活性化に使用される、付記1~40のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記42]
前記同一又は異なるエポキシドは、前記第1又は第2反応に使用される、付記1~41のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記43]
前記第1又は第2反応に使用される前記エポキシドは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの混合物を含む、付記1~42のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記44]
前記第2反応器において使用される前記エポキシドは、プロピレンオキシドである、付記1~43のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記45]
前記第2反応は、CO の実質的な非存在下に実施される、付記1~44のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記46]
前記第2反応において生成する前記ポリオールブロックコポリマーは、ポリカーボネートブロックポリエーテルポリオールブロックコポリマーである、付記1~45のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記47]
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’) -)及びポリエーテルブロックBを含むポリオールブロックコポリマーであって、前記ポリオールブロックコポリマーは、ポリブロック構造:
B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)
(式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり;t=少なくとも2であり;
A’は、それぞれ独立に、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖であり、Bは、それぞれ独立に、ポリエーテル鎖であり;Z’-Z-(Z’) は、開始剤の残基である)
を有する、ポリオールブロックコポリマー。
[付記48]
-A’-は、次に示す構造:
【化22】

(式中、p:qの比は少なくとも7:3である)を有し;
ブロックBは、次に示す構造:
【化23】

を有し、R e1 、R e2 、R e3 、及びR e4 は、ブロックA及びBの調製に使用した前記エポキシドの性質に応じて異なる、付記47に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記49]
e1 、R e2 、R e3 、又はR e4 は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、-CH Cl、-CH -OR 20 、-CH -OC(O)R 12 、又は-CH -OC(O)OR 18 等)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、若しくはヘテロアルケニルから選択され、好ましくは、H又は任意選択的に置換されたアルキルから選択される、付記47又は48に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記50]
e1 及びR e2 又はR e3 及びR e4 は、一緒になって、炭素原子及び水素原子を含み、任意選択的に、1個又は複数個のヘテロ原子を含む、飽和、部分不飽和、又は不飽和環を形成している、付記47~49のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記51]
前記開始剤の残基は、前記開始剤化合物の性質に依存し、前記開始剤化合物は、式(III):
【化24】

(式中、Zは、自身に結合している2以上の-R 基を有することができる任意の基とすることができ、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択してもよく、又はZは、これらの基の任意の組合せであってもよく、例えば、Zは、アルキルアリーレン基、ヘテロアルキルアリーレン基、ヘテロアルキルヘテロアリーレン基、又はアルキルヘテロアリーレン基であってもよく;
aは、少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、2~8の範囲にあり、任意選択的に、aは、2~6の範囲にあり;
は、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)2、又は-PR’(O)OHであってもよく、任意選択的に、Rzは、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、R は、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せであり(例えば、R はそれぞれ-OHである);
R’は、H、又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルであってもよく、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルであり;
Z’は、反応活性度の高い水素原子を結合に置き換えたことを除いてR に相当する)
を有する、付記47~50のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記52]
前記開始剤化合物は、ジオール類、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、Mnが約1500g/mol以下のポリプロピレングリコール(PPG)若しくはポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PPG425、PPG725、PPG1000等、トリオール類、例えば、グリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリプロピレンオキシドトリオール、及びポリエステルトリオール、テトラオール類、例えば、カリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、若しくは4個の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、ポリオール類、例えば、ソルビトール若しくは5個以上の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン等の混合官能基を有する化合物から選択される、付記51に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記53]
前記ポリオールの分子量(Mn)は、300~20,000Daの範囲にあり、ブロックAの分子量(Mn)は、200~4000Daの範囲にあり、ブロックBの分子量(Mn)は、100~20,000Daの範囲にあり、より典型的には、ブロックAの分子量(Mn)は、200~2000Daの範囲、より典型的には、200~1000Daの範囲、最も典型的には400~800Daの範囲にあり、及び/又はブロックBの分子量(Mn)は、典型的には、200~10,000Daであり、より典型的には、200~5000Daである、付記47~52のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記54]
前記分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されたものである、付記53に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記55]
ブロックAは、カーボネート結合を、少なくとも76%、より典型的には少なくとも80%、最も典型的には少なくとも85%有する、付記47~54のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記56]
ブロックAは、カーボネート結合を、98%未満、より典型的には、カーボネート結合を97%未満、最も典型的には、カーボネート結合を95%未満有する、付記47~55のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記57]
ブロックAは、カーボネート結合を75%~99%、より典型的には、カーボネート結合を77%~95%、最も典型的には、カーボネート結合を80~90%有する、付記47~56のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記58]
ブロックBは、カーボネート結合を1%未満含む、付記47~57のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記59]
ブロックAは、エーテル結合を更に含む、付記47~58のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記60]
ブロックAは、エーテル結合を24%未満、より典型的には、エーテル結合を20%未満、最も典型的には、エーテル結合を15%未満有する、付記59に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記61]
ブロックAは、エーテル結合を少なくとも1%、より典型的には、エーテル結合を少なくとも3%、最も典型的には、エーテル結合を少なくとも5%有する、付記59又は60に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記62]
ブロックAは、エーテル結合を1%~25%、典型的には、エーテル結合を5%~20%、より典型的には、エーテル結合を10%~15%有する、付記59~61のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記63]
前記エポキシドは、非対称であり、前記ポリカーボネートは、頭-尾結合を40~100%、好ましくは、頭-尾結合を50%超有する、付記59~62のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記64]
ブロックAのエポキシド全体の0.1~20%は、1を超えるエポキシド部分を含むエポキシド基質、好ましくはビスエポキシドである、付記59~62のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記65]
ブロックAは、略交互ポリカーボネートポリオール残基である、付記47~64のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記66]
ブロックA対ブロックBのmol/mol比は、25:1~1:250の範囲にある、付記47~65のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記67]
ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、付記47~66のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記68]
ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、付記47~67のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー。
[付記69]
前記第2反応において生成する前記ポリオールブロックコポリマーは、付記47~68のいずれか一項に記載のものである、付記1~46のいずれか一項に記載のプロセス。
[付記70]
付記1~46のいずれか一項に記載のプロセスにより製造されたポリオールブロックコポリマーと、(ポリ)イソシアネートとを反応させることにより生成するポリウレタン。
[付記71]
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’) -)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックBを有するブロックコポリマー残基を含むポリウレタンであって、前記残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B) (式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’) は、開始剤の残基である)を有する、ポリウレタン。
[付記72]
前記残基は、付記47~68のいずれか一項に定義した特徴の任意の1又は複数を含む、付記71に記載のポリウレタン。
[付記73]
付記1~47のいずれか一項に記載のプロセスに従い調製されたブロックコポリマーと、過剰の(ポリ)イソシアネートとの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
[付記74]
ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’) -)(式中、A’は、カーボネート結合を少なくとも70%有するポリカーボネート鎖である)及びポリエーテルブロックB(それぞれ、カーボネート結合を50%以下及びエーテル結合を少なくとも50%有する)を有するブロックコポリマー残基を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーであって、前記残基は、ポリブロック構造B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B) (式中、n=t-1であり、t=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり、Z’-Z-(Z’) は、開始剤の残基である)を有する、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
[付記75]
前記残基は、付記47~68のいずれか一項に定義した特徴の任意の1又は複数を含む、付記74に記載のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
[付記76]
前記ポリウレタンは、ソフトフォーム、軟質フォーム、インテグラルスキンフォーム、高弾性フォーム、粘弾性又はメモリーフォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム(ポリウレタン(PUR)フォーム、ポリイソシアヌレート(PIR)フォーム、及び/又はスプレーフォーム等)、エラストマー(注型エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPU)、又はマイクロセルラーエラストマー等)、接着剤(ホットメルト接着剤、感圧接着剤、又は反応型接着剤等)、シーラント又はコーティング(水系又は溶剤系分散液(PUD)、二液型コーティング、一液型コーティング、無溶剤コーティング等)の形態にある、付記70~72のいずれか一項に記載のポリウレタン。
[付記77]
前記ポリウレタンは、押出、金型成形、射出成形、吹付け、発泡、注型、及び/又は硬化を含むプロセスを介して形成される、付記76に記載のポリウレタン。
[付記78]
前記ポリウレタンは、「ワンポット」又は「プレポリマー」法を介して形成される、付記76又は77に記載のポリウレタン。
[付記79]
付記47~68のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマーと、触媒、発泡剤、安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、及び酸化防止剤から選択される1種又は複数種の添加剤とを含む組成物。
[付記80]
(ポリ)イソシアネートを更に含む、付記80に記載の組成物。
[付記81]
前記(ポリ)イソシアネートと前記ポリオールブロックコポリマーとの反応のための前記触媒は、3級アミン化合物及び/又は有機金属化合物等の好適なウレタン触媒を含む、付記80又は81に記載の組成物。
[付記82]
三量化触媒が存在する、付記81又は82に記載の組成物。
[付記83]
前記三量化触媒の存在下にポリイソシアヌレート環の形成が可能となるように、ポリオールに対し過剰の(ポリ)イソシアネート、より典型的には、過剰のポリメリックイソシアネートが存在する、付記81に記載の組成物。
[付記84]
付記47~68のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマーを含む潤滑剤組成物。
[付記85]
付記47~68のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマーを含む界面活性剤組成物。