(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】磁気性能が改善又は回復されたND-FE-B磁石を形成するための磁石の再生
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20241114BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241114BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20241114BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20241114BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20241114BHJP
H01F 1/057 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01F41/02 G
B22F1/00 Y
B22F1/14 100
B22F3/00 F
C22C38/00 303D
H01F1/057 170
(21)【出願番号】P 2022003692
(22)【出願日】2022-01-13
(62)【分割の表示】P 2019192512の分割
【原出願日】2014-06-17
【審査請求日】2022-02-09
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-04
(32)【優先日】2013-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317011724
【氏名又は名称】ノヴェオン マグネティックス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ミハ ザコトニク
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アフィウニ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ダン
(72)【発明者】
【氏名】カタリナ オアナ チューダー
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】岩間 直純
【審判官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-057191(JP,A)
【文献】特開2000-030919(JP,A)
【文献】特開2008-163466(JP,A)
【文献】特開2013-110387(JP,A)
【文献】国際公開第2009/122709(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
W
aR
bA
cの組成を含む再生Nd-Fe-B焼結磁石を製造するための方法であって、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石から回収されたNd-Fe-B材料を含む廃棄材料Wの粒子を、Dy及び75wt%Nd対25wt%Prの比率かつ再生Nd-Fe-B焼結磁石の0.1~1at%のNd及びPrを含む希土類含有材料R、並びに、Co、Cu、及びFeを含む元素添加物Aと一緒に焼結することを含み、
添え字a、b、及びcは、対応する成分又は元素の原子百分率を表
す、前記方法。
【請求項2】
前記希土類含有材料R及び前記元素添加物Aが、該希土類含有材料Rの濃度及び該元素添加物Aの濃度が、前記再生Nd-Fe-B焼結磁石内で主Nd
2Fe
14B相を取り囲む廃棄材料Wの混合物中で平均して高くなるように、該再生Nd-Fe-B焼結磁石の厚さの全体にわたって粒界に均質に分布している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、7.56g/cm
3~7.6g/cm
3の範囲の密度を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記廃棄Nd-Fe-B焼結磁石が保磁度及び残留磁気を示し、かつ前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が:
(a)該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の残留磁気及び保磁度と少なくとも同じである残留磁気及び保磁度
;
(b)該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石のそれの保磁度よりも0%~20%高い範囲である保磁度
;
(c)該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の残留磁気の約97%である残留磁気、及び、該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の保磁度よりも少なくとも30%高い保磁度
;
(d)該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の残留磁気の約95%である残留磁気、及び、該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の保磁度よりも少なくとも80%高い保磁度
;及び
(e)該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の残留磁気のそれよりも約5%高い残留磁気、及び、該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石の保磁度と少なくとも同じである保磁度
の少なくとも1つを示す、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石中のNd、Pr、及びDyの合計原子百分率が、前記廃棄Nd-Fe-B焼結磁石中のNd、Pr、及びDyの合計原子百分率以上である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、1.98at%以下の酸素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、1.32~1.98at%の酸素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記元素添加物AがDyを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記元素添加物Aが、前記希土類含有材料Rを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
W
aR
bA
cの組成を含む再生Nd-Fe-B焼結磁石を製造するための方法であって、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石から回収されたNd-Fe-B材料を含む廃棄材料Wの粒子を、75wt%Nd対25wt%Prの比率かつ再生Nd-Fe-B焼結磁石の0.1~1at%のNd及びPrを含む希土類含有材料R、並びに、a)Nd、b)Pr、c)Dy、d)Co、e)Cu、又はf)Feの少なくとも1つを含む元素添加物Aと一緒に焼結することを含み、添え字a、b、及びcは、対応する成分又は元素の原子百分率を表
す、前記方法。
【請求項11】
前記希土類含有材料R及び前記元素添加物Aが、該希土類含有材料Rの濃度及び該元素添加物Aの濃度が、前記再生Nd-Fe-B焼結磁石内で主Nd
2Fe
14B相を取り囲む廃棄材料Wの混合物中で平均して高くなるように、該再生Nd-Fe-B焼結磁石の厚さの全体にわたって粒界に均質に分布している、請求項
10記載の方法。
【請求項12】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石中の前記廃棄材料Wの第1の原子百分率が、99.9at%~81at%の範囲であり、かつ、該再生Nd-Fe-B焼結磁石中の前記希土類含有材料R及び前記元素添加物Aの組み合わせの第2の原子百分率が、0.1at%~19at%の範囲である、請求項
10記載の方法。
【請求項13】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、7.56g/cm
3~7.6g/cm
3の範囲の密度を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項14】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、3at%以下のCoの原子百分率を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項15】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、0.3at%以下のCuの原子百分率を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項16】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、77at%以下のFe及びCoの合計原子百分率を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項17】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、18at%以下のNd、Dy、及びPrの合計原子百分率を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項18】
前記元素添加物Aが、前記希土類含有材料Rを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項19】
前記元素添加物AがDyを含む、請求項
10記載の方法。
【請求項20】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、1.98at%以下の酸素を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項21】
前記再生Nd-Fe-B焼結磁石が、1.32~1.98at%の酸素を含む、請求項
10記載の方法。
【請求項22】
再生Nd-Fe-B磁石を含むデバイス又はシステムを製造するための方法であって、請求項1~
21のいずれか1項記載の方法に従って該再生Nd-Fe-B磁石を製造することを含み、該デバイス又はシステムが、始動モーター、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、燃料ポンプ、ファン、ラウドスピーカー、マイクロホン、電話リンガー、スイッチ、リレー、ハードディスクドライブ(HDD)、ステッピングモーター、サーボモーター、磁気共鳴撮像装置(MRI)、風車発電機、ロボットデバイス、センサ、磁気選別機、誘導システム、又は人工衛星である、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本開示は、廃棄磁石材料からネオジム鉄ボロン(Nd-Fe-B)焼結磁石を製造することに
関する。
【背景技術】
【0002】
希土類永久磁石(REPM)の世界市場は、REPMの適用範囲と共に成長している。REPMは、
高い磁気性能特性を有し、かつエレクトロニクス、エネルギー、輸送、航空宇宙、防衛、
医療器具、及び情報通信技術を含む多くの産業における先端技術の高効率の適用例の進展
に使用されている。
【0003】
例えば、Nd-Fe-B永久磁石を用いる適用例として:始動モーター、アンチロック・ブレ
ーキ・システム(ABS)、燃料ポンプ、ファン、ラウドスピーカー、マイクロホン、電話
リンガー、スイッチ、リレー、ハードディスクドライブ(HDD)、ステッピングモーター
、サーボモーター、磁気共鳴映像法(MRI)、風車発電機、ロボティクス、センサ、磁気
選別機、誘導システム、人工衛星、及び巡航ミサイルなどが挙げられる。
【0004】
Nd-Fe-B型の焼結磁石は、非常に細かく調整された元素組成を有し、この元素組成は、N
d以外に、Dy、Tb、Ga、Co、Cu、Al、及び他の微量遷移金属元素添加物のような元素を含
む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な一態様は、廃棄磁石アセンブリ由来の磁
性材料を、該磁性材料の周期的な加熱及び冷却によって消磁し、該磁性材料に付着した接
着剤を断片化し、該磁性材料のコーティング層にひびを入れ、そして該磁性材料に(a)
機械的な処理、又は(b)化学的な処理の少なくとも1つを行って該コーティング層を除去
して、不純物を含まない磁性材料を用意するアクション;該消磁磁性材料を断片化して粉
末を形成するアクション;並びに該粉末を(a)希土類材料R及び(b)元素添加物Aと混合
して均質な粉末を生成するアクションであって、該希土類材料Rが:(a)Nd又は(b)Pr
の少なくとも1つを含み得、かつ該元素添加物Aが:(a)Nd、(b)Pr、(c)Dy、(d)Co
、(e)Cu、及び(f)Feの少なくとも1つを含み得る、該アクションを含む方法に具体化
することができる。この態様の他の実施態様は、それぞれこの方法のアクションを行うよ
うに構成された、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ以上のコンピュータ記
憶装置に記録されたコンピュータプログラムを含む。1つ以上のコンピュータのシステム
は、動作中に該システムにアクションを行わせる該システムにインストールされたソフト
ウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせを有することによって
特定の動作又はアクションを行うように構成することができる。1つ以上のコンピュータ
プログラムは、データ処理装置によって実行されると、該装置にアクションを実行させる
命令を含めることによって特定の動作又はアクションを行わせるように構成することがで
きる。
【0006】
前述及び他の実施態様はそれぞれ、任意に、1つ以上の次の特徴を単独で、又は組み合
わせて含み得る。この方法は、断片化と混合を同時に行うことを含み得る。消磁磁性材料
を断片化するステップは、該消磁磁性材料を1~4μmの平均粒径に断片化するステップを
含み得る。消磁磁性材料を断片化するステップは、該消磁磁性材料中の粒子の平均サイズ
よりも大きいサイズの粒子画分の粒子を該消磁磁性材料から除去して、該消磁磁性材料中
に低酸素濃度を得るステップを含み得る。消磁磁性材料中の粒子の平均サイズよりも大き
いサイズの粒子画分の粒子を該消磁磁性材料から除去して、該消磁磁性材料中に低酸素濃
度を得るステップは、ふるい分けを含み得る。
【0007】
一部の実施では、この方法は、均質な粉末を、希土類材料R又は元素添加物Aから選択さ
れる別の元素と混合するステップを含む。この方法は、磁性材料の(a)機械的な処理、
又は(b)化学的な処理の少なくとも1つによってコーティング層を除去して不純物のない
磁性材料を用意するステップを含み得る。この方法は、磁性材料を1つ以上の磁気アセン
ブリから、廃棄磁石部分を該磁石アセンブリ中に含まれる非磁石部分から分離するステッ
プ、及び該廃棄磁石部分を該非磁石部分から抽出するステップによって回収するステップ
を含み得る。消磁磁性材料を断片化して粉末を形成するステップは、該消磁磁性材料を断
片化して、約1μm~約2mmの平均粒径を有する粉末を形成するステップを含み得る。この
方法は、粉末を約1~約4μmの平均粒径にさらに断片化するステップ、及び該粉末を均質
化するステップを含み得る。粉末を均質化するステップは、約1μm~約2mmの平均粒径を
有し得る粉末を均質化するステップを含み得、かつ該粉末を(a)希土類材料R及び(b)
元素添加物Aと混合して均質な粉末を生成するステップは、約1~約4μmの平均粒径を有す
る粉末を(a)希土類材料R及び(b)元素添加物Aと混合して均質な粉末を生成するステッ
プを含み得る。粉末を(a)希土類材料R及び(b)元素添加物Aと混合して均質な粉末を生
成するステップは、約1μm~約2mmの平均粒径を有する粉末を(a)希土類材料R及び(b)
元素添加物Aと混合して均質な粉末を生成するステップを含み得、かつ粉末を均質化する
ステップは、約1~約4μmの平均粒径を有し得る粉末を均質化するステップを含み得る。
【0008】
一部の実施では、この方法は、消磁磁性材料を断片化して粉末を形成するステップとは
別個に、希土類材料R及び元素添加物Aを断片化するステップを含み、ここで、該粉末を(
a)希土類材料R及び(b)元素添加物Aと混合して均質な粉末を生成するステップは、該粉
末を(a)該断片化された希土類材料R及び(b)該断片化された元素添加物Aと混合して均
質な粉末を生成するステップを含み得る。
【0009】
一部の実施では、この方法は、均質な粉末を焼結及び磁化して、廃棄磁石アセンブリ由
来の廃棄磁石部分と少なくとも同じ残留磁気及び保磁度を有する再生Nd-Fe-B磁石製品を
形成するステップを含み得る。均質な粉末を焼結及び磁化して再生Nd-Fe-B磁石製品を形
成するステップは、該均質な粉末を圧縮して圧粉体(green compact)を形成するステッ
プ、該圧粉体を約1000℃~約1100℃で焼結するステップ、及び焼結圧粉体を15℃未満の不
活性雰囲気に磁化して該再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップを含み得る。この方法
は、焼結圧粉体を磁化する前に、該焼結圧粉体を約490℃~約950℃で加熱処理するステッ
プを含み得る。この方法は、圧粉体を15℃未満の不活性磁場に曝露するステップを含み得
る。再生Nd-Fe-B磁石製品中のCoの原子百分率は、3%以下とすることができる。再生Nd-F
e-B磁石製品中のCuの原子百分率は、0.3%以下とすることができる。再生Nd-Fe-B磁石製
品中のFe及びCoの合計原子百分率は、77%以下とすることができる。再生Nd-Fe-B磁石製
品中のNd、Pr、及びDyの合計原子百分率は、廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分中の
Nd、Pr、及びDyの合計原子百分率以上とすることができる。再生Nd-Fe-B磁石製品中のNd
、Dy、及びPrの合計原子百分率は、18at%以下とすることができる。この方法は、均質な
粉末を圧縮して圧粉体を形成する前に該粉末に潤滑剤を添加するステップを含み得る。再
生Nd-Fe-B磁石製品の保磁度は、廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分の保磁度よりも
約0~約20%高くすることができる。
【0010】
一部の実施では、この方法は、均質な粉末を焼結及び磁化して、最終残留磁気及び最終
保磁度を有する再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップを含み得、該最終残留磁気が、
廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分の別の残留磁気の約97%であり、かつ該最終保磁
度が、該廃棄磁石部分の別の保磁度よりも少なくとも30%高い。この方法は、均質な粉末
を焼結及び磁化して、最終残留磁気及び最終保磁度を有する再生Nd-Fe-B磁石製品を形成
するステップを含み得、該最終残留磁気が、廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分の別
の残留磁気の約95%であり、かつ該最終保磁度が、該廃棄磁石部分の別の保磁度よりも少
なくとも80%高い。この方法は、均質な粉末を焼結及び磁化して、最終残留磁気及び最終
保磁度を有する再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップを含み得、該最終残留磁気が、
廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分の別の残留磁気よりも約5%高く、かつ該最終保
磁度が、該廃棄磁石部分の別の保磁度と少なくとも同じである。
【0011】
一部の実施では、この方法は、均質な粉末を焼結及び磁化して、実質的にWaRbAcの組成
を有する再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップを含み得、式中、Wは、廃棄磁石アセン
ブリ由来のNd-Fe-B材料を含み得、添え字a、b、及びcは、対応する成分又は元素の原子百
分率を表す。粉末を(a)希土類材料R及び(b)元素添加物Aと混合して均質な粉末を生成
するステップは、該希土類材料R及び該元素添加物Aを消磁磁性材料内で均質に分布させる
ステップを含み得、かつ均質な粉末を焼結及び磁化して再生Nd-Fe-B磁石製品を形成する
ステップは、該再生Nd-Fe-B磁石製品内の一次Nd2Fe14B相の周囲で、該希土類材料Rの濃度
及び該元素添加物Aの濃度が平均して上昇した再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップを
含み得る。再生Nd-Fe-B磁石製品を形成するステップは、該再生Nd-Fe-B磁石製品全体に広
がっている複数の粒界領域で、平均して粒界相の濃度及び元素組成を回復させるステップ
、変更するステップ、及び改善するステップを含み得る。81≦a≦99.9、0.1≦b≦19、3-
81×a(Co)≦c(Co)≦3-99.9×a(Co)、0.3-81×a(Cu)≦c(Cu)≦0.3-99.9×a(
Cu)、77-81×(a(Fe)+a(Co))≦c(Fe)≦77-99.9×(a(Fe)+a(Co))、a(
Nd)+b(Nd)+c(Nd)+a(Pr)+b(Pr)+c(Pr)>0、a(Nd)+b(Nd)+c(Nd)
+a(Pr)+b(Pr)+c(Pr)+a(Dy)+b(Dy)+c(Dy)≦18、a(Co)+b(Co)+c
(Co)≦3、a(Cu)+b(Cu)+c(Cu)≦0.3、a(Fe)+b(Fe)+c(Fe)+a(Co)+b
(Co)+c(Co)≦77、及びb(Nd)+c(Nd)+b(Pr)+c(Pr)+b(Dy)+c(Dy)≧0
である。再生Nd-Fe-B磁石製品は、Nd[0.1-19at%×s(Nd), x]Pr[0.1-19at%×s(
Pr), y]Dy[0.1-19%×s(Dy), z]Co[0, d]Cu[0, e]Fe[0, f]を満たし得、式
中、[m, n]は、最小のmから最大のnまでの範囲を意味し;s(t)は、開始組成中の元素
tの原子百分率であり;f(t)は、最終組成中の元素tの原子百分率であり;x=18-[81,
99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));y=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+
s(Pr)+s(Dy));z=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));d=3
-[81, 99.9]at%×s(Co);e=0.3-[81, 99.9]at%×s(Cu);及びf=77-[81,
99.9]at%×(s(Fe)+s(Co))である。
【0012】
一部の実施では、廃棄磁石アセンブリ由来の磁性材料を該磁性材料の周期的な加熱及び
冷却によって消磁するステップは、該廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分を消磁して
、該磁性材料を含み得る廃棄磁石部分を非磁石部分に接着している接着剤を断片化して、
該廃棄磁石部分の電解黒色エポキシ、Ni、Ni-Cu、Ni-Ni、Ni-Cu-Ni、又はZnコーティング
層から選択される少なくとも1つのコーティング層にひびを入れるステップを含み得る。
周期的な加熱及び冷却は、磁性材料を希土類材料Rのキュリー温度に加熱するステップ、
及び該希土類材料Rのキュリー温度になった後に、該磁性材料を少なくとも100℃/秒のレ
ートで冷却するステップを含み得る。粉末を混合するステップは、粉末を少なくとも3つ
の元素:Pr、Nd、Dy、Co、Cu、又はFeと混合するステップを含み得る。元素添加物Aは、
純Ndを含み得る。元素添加物Aは、純Prを含み得る。この方法は、消磁磁性材料を断片化
する前に粉末に潤滑剤を添加するステップを含み得る。
【0013】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な一態様は、再生Nd-Fe-B焼結磁石に具体
化することができ、該再生Nd-Fe-B焼結磁石は、WaRbAcの組成を有し得、式中、廃棄材料W
は、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石由来の材料を含み得、希土類材料Rは、(a)Nd又は(b)Prの少
なくとも1つを含み得、かつ元素添加物Aは、(a)Nd、(b)Pr、(c)Dy、(d)Co、(e
)Cu、又は(f)Feの少なくとも1つを含み得、そして添え字a、b、及びcは、対応する成
分又は元素の原子百分率を表し、かつ81≦a≦99.9、0.1≦b≦19、3-81×a(Co)≦c(Co
)≦3-99.9×a(Co)、0.3-81×a(Cu)≦c(Cu)≦0.3-99.9×a(Cu)、77-81×(a
(Fe)+a(Co))≦c(Fe)≦77-99.9×(a(Fe)+a(Co))、a(Nd)+b(Nd)+c
(Nd)+a(Pr)+b(Pr)+c(Pr)>0、a(Nd)+b(Nd)+c(Nd)+a(Pr)+b(Pr
)+c(Pr)+a(Dy)+b(Dy)+c(Dy)≦18、a(Co)+b(Co)+c(Co)≦3、a(Cu
)+b(Cu)+c(Cu)≦0.3、a(Fe)+b(Fe)+c(Fe)+a(Co)+b(Co)+c(Co)
≦77、及びb(Nd)+c(Nd)+b(Pr)+c(Pr)+b(Dy)+c(Dy)≧0を満足する値を
有する。
【0014】
一般に、本明細書に記載の主題の革新的な一態様は、再生Nd-Fe-B焼結磁石に具体化す
ることができ、該再生Nd-Fe-B焼結磁石は、WaRbAcの組成を有し得、式中、廃棄材料Wは、
廃棄Nd-Fe-B焼結磁石由来の材料を含み得、希土類材料Rは、(a)Nd又は(b)Prの少なく
とも1つを含み得、かつ元素添加物Aは、(a)Nd、(b)Pr、(c)Dy、(d)Co、(e)Cu
、又は(f)Feの少なくとも1つを含み得、そして添え字a、b、及びcは、対応する成分又
は元素の原子百分率を示し、かつNd[0.1-19at%×s(Nd), x]Pr[0.1-19at%×s(P
r), y]Dy[0.1-19%×s(Dy), z]Co[0, d]Cu[0, e]Fe[0, f]を満たす値を有
し得、式中、[m, n]は、最小のmから最大のnまでの範囲を意味し;s(t)は、開始組成
中の元素tの原子百分率であり;f(t)は、最終組成中の元素tの原子百分率であり;x=1
8-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));y=18-[81, 99.9]at%×(s
(Nd)+s(Pr)+s(Dy));z=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy)
);d=3-[81, 99.9]at%×s(Co);e=0.3-[81, 99.9]at%×s(Cu);及びf=7
7-[81, 99.9]at%×(s(Fe)+s(Co))である。
【0015】
上述及び他の実施態様はそれぞれ、任意に、1つ以上の次の特徴を単独で、又は組み合
わせて含み得る。希土類材料R及び元素添加物Aは、再生Nd-Fe-B焼結磁石中に均質に分布
させることができ、これにより、該希土類材料Rの濃度及び該元素添加物Aの濃度が、該再
生Nd-Fe-B焼結磁石内の一次Nd2Fe14B相の周囲の廃棄材料Wの混合物中で平均して上昇する
。廃棄材料Wの第1の原子百分率は、約99.9at%~約81at%とすることができ、希土類材料
Rと元素添加物Aの組み合わせの第2の原子百分率を、約0.1at%~約19at%とすることがで
きる。再生Nd-Fe-B焼結磁石は、5μm未満の平均粒径を有し得る。再生Nd-Fe-B焼結磁石は
、2.5μm未満の平均粒径を有し得る。再生Nd-Fe-B焼結磁石は、約7.56g/cm3~約7.6g/cm3
の密度を有し得る。
【0016】
一部の実施では、再生Nd-Fe-B焼結磁石は、3%以下のCoの原子百分率を有し得る。再生
Nd-Fe-B焼結磁石は、0.3%以下のCuの原子百分率を有し得る。再生Nd-Fe-B焼結磁石は、7
7%以下のFeとCoの合計原子百分率を有し得る。再生Nd-Fe-B焼結磁石は、18%以下のNd、
Dy、及びPrの合計原子百分率を有し得る。元素添加物Aは、純Ndを含み得る。元素添加物A
は、純Prを含み得る。
【0017】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な一態様は、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を使用
済み製品から回収するためのシステムに具体化することができ、該システムは、該使用済
み製品を受容して、該使用済み製品を位置決め機構に対して位置合わせする凹部を画定す
る該位置決め機構であって、該使用済み製品が廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む、該位置決め
機構と、該位置決め機構が各使用済み製品を分離ステーションを通過させるときに、廃棄
Nd-Fe-B焼結磁石を含む該使用済み製品の部分を該使用済み製品の残りの部分から実質的
に分離するための該分離ステーションと、該位置決め機構が各使用済み製品を輸送ステー
ションに移動させると、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む該使用済み製品の部分を該位置決め
機構から受け取る該輸送ステーションと、を含む。
【0018】
上述及び他の実施態様はそれぞれ、任意に、1つ以上の次の特徴を単独で、又は組み合
わせて含み得る。このシステムは、ローディングステーション、及び使用済み製品をロー
ディングステーションの位置決め機構に投入するローディング装置を備えることができる
。ローディング装置は、分離ステーションで使用済み製品の残りの部分から分離するため
に、該使用済み製品の向きを位置決め機構に合わせて廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済
み製品の部分を位置決めすることができる。ローディング装置は、ロボットを備えること
ができる。ローディング装置は、フィーダーを備えることができる。輸送ステーションは
、少なくとも一部の使用済み製品の廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を位
置決め機構から受け取る再生ビンを備えることができる。
【0019】
一部の実施では、輸送ステーションは、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部
分を該使用済み製品の残りの部分から除去するのを終了させる器具を備える。この器具は
、撓んだ表面を備えることができる。この器具は、アブレーシブカッターを備えることが
できる。
【0020】
一部の実施では、輸送ステーションは、器具が、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み
製品の部分を該使用済み製品の残りの部分から除去するのを終了させると、少なくとも一
部の使用済み製品の廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を受け取る再生ビン
を備える。輸送ステーションは、器具が、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部
分を該使用済み製品の残りの部分から除去するのを終了させると、少なくとも一部の使用
済み製品の廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を受け取るコンベヤを備える
ことができる。輸送ステーションは、器具が、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品
の部分を該使用済み製品の残りの部分から除去するのを終了させると、少なくとも一部の
使用済み製品の廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を受け取るシュートを備
えることができる。
【0021】
一部の実施では、システムは、位置決め機構を支持するベース、及び廃棄Nd-Fe-B焼結
磁石を含む使用済み製品の部分が再生ビンの中に落下するのを可能にする、輸送ステーシ
ョンのベースに設けられた孔を備える。システムは、少なくとも一部の使用済み製品の使
用済み製品の残りの部分を位置決め機構から取り出す廃棄ステーションを備えることがで
きる。廃棄ステーションは、廃棄ビンを備えることができる。位置決め機構は、中心軸を
中心に回動して、分離ステーションと輸送ステーションとの間で使用済み製品を移動させ
ることができる。システムは、位置決め機構を支持するベース台を備えることができる。
システムは、位置決め機構を支持し、かつベース台と位置決め機構との間の摩擦を低減す
る、ベース台に配置された軸受を含むことができる。
【0022】
一部の実施では、分離ステーションは、プラズマカッター、ウォータージェット、ブレ
ードカッター、帯鋸、及びせん断機を備えることができる。位置決め機構は、ローディン
グステーションで使用済み製品の1つをそれぞれ受け取る複数の凹部を画定する回転台を
備えることができる。システムは、廃棄粒子を該システムから除去するために濾過ベント
を備えることができる。システムは、廃棄粒子を該システムから除去するために慣性力選
別装置を備えることができる。システムは、汚染物質を該システムから排出するためにベ
ントを備えることができる。システムは、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部
分を輸送ステーションから受け取って、該廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部
分を磁性材料のキュリー温度よりも高い温度に加熱するヒーターを備えることができる。
システムは、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を急速に冷却して、廃棄Nd-
Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分におけるそれぞれの磁性材料のそれぞれのサブア
センブリからの剥離を容易にする冷却器を備えることができる。冷却器は、廃棄Nd-Fe-B
焼結磁石を含む使用済み製品の部分を磁性材料のキュリー温度よりも高い温度に加熱した
後に、廃棄Nd-Fe-B焼結磁石を含む使用済み製品の部分を5℃に急速に冷却することができ
る。
【0023】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な一態様は、複数の反応容器を備える廃棄
磁性材料を断片化及び混合するためのガス混合装置に具体化することができ、該複数の反
応容器はそれぞれ、複数の開口が画定された内側ライナーを備えることができ、該内側ラ
イナーはそれぞれ、磁性材料を受け取って、該複数の開口を介した該磁性材料の周りのガ
スの循環を促進するように構成され、かつポンプ及び弁アセンブリが、該複数の反応容器
内へのガスの導入を制御し、かつ該複数の反応容器間のガスの移送を制御するために該複
数の反応容器に動作可能に結合されている。
【0024】
前述及び他の実施態様はそれぞれ、任意に、1つ以上の次の特徴を単独で、又は組み合
わせて含み得る。複数の反応容器のそれぞれは、拡散促進装置を貫通して画定された複数
の孔を備え得る該拡散促進装置を備えることができ、該拡散促進装置は、ポンプ及び弁ア
センブリに動作可能に結合され、かつ反応容器全体へのガスの分散を促進するように構成
されている。複数の反応容器のそれぞれは、取り外し可能な蓋を備えることができる。ポ
ンプ及び弁アセンブリは:反応容器の真空ポンプでの排出;反応容器の一つからのガスの
大気への排出;反応容器の加圧;及び反応容器の一方又は両方のガスでの充填の1つ以上
を可能にするために複数の反応容器に動作可能に結合することができる。装置は、ガスの
混合プロセス及びガスの反応容器間の移送を自動化するためにポンプ及び弁アセンブリに
動作可能に結合された制御装置を備えることができる。
【0025】
一部の実施では、装置は、ガス貯蔵チャンバを備え、該ガス貯蔵チャンバは、反応容器
の他方に移送する前に、反応容器の一方から移送されたガスを貯蔵するように構成されて
いる。このガスは、水素、又は不活性ガスと水素の混合物とすることができる。1つ以上
の反応容器は、該反応容器のそれぞれの内部へのガスの流れを促進するように構成された
循環促進装置を備えることができる。循環促進装置は、撹拌機、ファン、又はガス供給装
置の1つを備えることができる。複数の反応容器のそれぞれは、反応容器とポンプ及び弁
アセンブリとの間に接続された別個のガス供給ラインを備えることができる。ガス混合装
置は、廃棄磁性材料から1~10μmの粒径の粉末を生成するように構成することができる。
【0026】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な一態様は、廃棄磁石を断片化及び混合し
て最適な粉末及び/又は水素化物ブレンドを形成するための水素混合装置に具体化するこ
とができ、該装置は、一対の反応チャンバ、及び該一対の反応チャンバに接続され、かつ
該一対の反応チャンバを相互接続するガス管理コンポーネントを備え、該ガス管理コンポ
ーネントは、該一対の反応チャンバ間でガスを移送し、かつ反応チャンバの1つを目標圧
力に加圧するように構成されている。
【0027】
前述及び他の実施態様はそれぞれ、任意に、1つ以上の次の特徴を単独で、又は組み合
わせて含み得る。ガス管理コンポーネントは、一対の反応チャンバへのガスの導入を制御
し、かつ該一対の反応チャンバ間のガスの移送を制御するために該一対の反応チャンバに
動作可能に結合されたポンプ及び弁アセンブリを備えることができる。反応チャンバの少
なくとも1つは、該チャンバ内にサーモスタット制御のヒーターを備えることができる。
装置は、一対の反応チャンバの1つに受容されるように構成された台車アセンブリを備え
ることができ、該台車アセンブリは、廃棄磁性材料を含む1つ以上のボトルを備えること
ができる。台車アセンブリは、取り外し可能なカバーを備えることができる。ボトルは、
取り外し可能なカバーを備えることができ、該カバーは、水素混合プロセスの後に、回収
した水素化物磁石粒子のシュートを通る誘導を可能にする漏斗として機能するように構成
されている。ボトルの1つ以上は、該ボトルの内部でのガスの拡散を促進する装置を備え
ることができる。この装置は、ボトル内に含まれる廃棄磁性材料にガスが到達するように
該ガスの拡散を可能にする開口が側面に設けられたシリンダーを備えることができる。
【0028】
本明細書に記載される主題は、1つ以上の次の利点を実現するために特定の実施態様で
実施することができる。一部の実施では、再生プロセスは、エネルギー消費が低く、かつ
未使用材料の消費が少ない。一部の実施では、再生Nd-Fe-B磁石は、最終製品、フルデン
スNd-Fe-B焼結磁石の磁気性能及び到達可能な値を低下させることなく、経済及び/又は環
境コストを削減することができる。一部の実施では、再生Nd-Fe-B磁石製品は、未使用Nd-
Fe-B磁石と同等又はそれ以上の性能を有し得る。一部の実施では、再生Nd-Fe-B磁石製品
は、再生磁石を形成するために使用される廃棄開始磁性材料を99.9%も含み得る。
【0029】
本明細書の主題の1つ以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に示される
。主題の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかにな
るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【0031】
【
図2】
図2は、消磁のために磁石又は磁石アセンブリを処理して、アセンブリをEOL磁石から除去する炉の一例を示している。
【0032】
【
図3A】
図3Aは、磁石を洗浄するアブレーシブジェット洗浄装置の一例を示している。
【0033】
【
図3B】
図3Bは、廃棄磁性材料を粒子に分解して該粒子を混合する水素混合反応器の一例を示している。
【0034】
【
図4A-E.H.J】
図4A~
図4E、
図4H、及び
図4Jは、反応ボトルを反応チャンバに出し入れできるように台車に乗せることができる反応ボトルを示している。
【0035】
【
図4F-G】
図4F~
図4Gは、一対の反応チャンバを備えた別の水素混合反応器の一例を示している。
【0036】
【
図4K】
図4Kは、ボトルから受け取った磁気粒子用の貯蔵コンテナの一例を示している。
【0037】
【
図5】
図5は、廃棄磁石及び磁性材料を製品、例えば、「バルク」製品(manufacturing "bulk")、失敗/不合格/余剰バッチ、及び/又はEOL製品から回収して目標の特性を達成するためのプロセスの一例である。
【0038】
【
図6】
図6は、バルク及び/又はEOL磁石として入手できる、再生磁石用の開始材料の特性範囲の一例を示すグラフである。
【0039】
【
図7】
図7は、左の棒に示されている元の廃棄磁性材料の組成を、プロセスによって形成された、右の棒に示されている最終再生磁石製品と比較する図である。
【0040】
【
図8】
図8は、焼結磁石の様々な形状及びコーティングを示している。
【0041】
【
図9】
図9は、本明細書に記載のコンピュータ実施方法に関連して使用することができるコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
様々な図面における同様の参照番号及び記号は同様の要素を示す。
【0043】
(詳細な説明)
一部の実施によると、廃棄磁石、例えば、バルク磁性材料及び/又は使用済み(EOL:en
d-of-life)磁石を用いてフルデンスNd-Fe-B焼結磁石を製造する方法が説明される。バル
ク磁石とは、最終製品仕上げされていない、特にコーティング材料が施されていない磁性
材料のことである。バルク磁石材料の一例として、製造中に生じる材料のロス、削り(屑
)、及び非効率さの結果として廃棄される磁性材料である。このような材料に対して業界
で使用される別の用語はドロップ(drop)である。使用済み(EOL)磁石とは、最終製品
仕上げ、特にコーティング材料が施された磁石及び磁石片のことである。EOL磁石材料の
例として、廃棄された製品から回収された磁石又は磁石片が挙げられる。例えば、磁気回
路、アセンブリ、又は他の基板から分離されても、なおそのコーティングを保持し得る磁
石。使用済み製品は、EOL磁石を含む製品、例えば、ハードディスクドライブである。
【0044】
製造方法は、従来のNd-Fe-B製造と比較して、トータルバリューチェーンにおける作業
数を削減することができ、例えば、採掘、濃縮、酸化物の生産、塩化物の生産、合金の生
産、ストリップキャスティング法(strip-casting procedure)が一切行われない。以下
に説明されるプロセスから得られる製品は、表を参照して以下に説明される残留磁気(Br
)、保磁度(iHc)、又はエネルギー積(BHmax)についての高い性能特性を有し得るフル
デンスNd-Fe-B焼結磁石である。一部の実施では、廃棄開始材料と同等又はそれ以上の残
留磁気(Br)、保磁度(iHc)、及びエネルギー積(BHmax)を有する製品を製造すること
ができる。新しいNd-Fe-B製品は、廃棄開始材料と比較して改善された温度プロフィール
及び耐食性を有し得る。方法は、未使用材料の必要投入量を少なくし、かつ基本運転費用
を抑制することができる。プロセスは、81~99.9%の廃棄磁性材料及び/又は磁石と0.1~
19%の希土類元素添加物とを組み合わせることができ、かつ廃棄磁石中に存在する全ての
元素、例えば、Nd、Dy、Pr、及びFe、Co、Cu、Al、Ti、Zr、Gd、Tbなどの回収に対する高
い親和性、及び磁気性能、例えば、Br、iHc、又はBHmaxなどを有し得る。
【0045】
フルデンスNd-Fe-B焼結磁石を製造する方法は:限定されるものではないが、ハードデ
ィスクドライブ、モーター、発電機、又はスピーカを含む製品構造体(複数可)からのEO
L磁石部品(複数可)の抽出;並びに新しいNd-Fe-B焼結磁石製品を製造する方法の前の、
機械的及び化学的な測定及び処理による磁石及び磁性材料の準備を含む。Nd-Fe-B焼結磁
石製品を製造する方法は、抽出されたEOL磁石部品からのコーティングの直接的な除去を
含み得る。方法は、得られるコーティングされていない材料の1つ以上の混合工程を含む
ことができ、その少なくとも1つの工程は、限定されるものではないが、水素混合反応器
を用いた、コーティングされていない磁性材料の混合を含み得る。方法は、酸素を抑制す
るための方法を利用することができる。方法は、開始材料の0.1~19%の範囲の新しい希
土類材料の添加を含み得る。一部の実施の更なる詳細及び任意の特徴は、特定の目標のNd
-Fe-B磁石の性能特性を維持、改善、及び/又は付与する工程を含む。このような性能特性
は、粒径、配向、密度、エネルギー積(BHmax)、保磁度(iHc)、及び/又は残留磁気(B
r)の所望の組み合わせを含み得る。
【0046】
一部の実施は、所望の特性を有する再生製品を製造するときに新しい希土類の供給の必
要量を低減することができる。一部の実施は、希土類供給のリスク及び希土類の価格の不
安定さに対するエンドユーザーの影響の受け易さを緩和する、より持続可能な磁石サプラ
イチェーンの形成において重要な役割を果たす、又はこれらの任意の2つ以上の組み合わ
せとすることができる。一部の実施では、必要な材料の投入コストは、採掘された未使用
の材料の代わりに廃棄磁性材料を利用することによって削減される。材料、廃棄物、公害
、及びエネルギーに関する資源要件は、同時に生じる利益で緩和され得る。
【0047】
一部の実施では、方法は、製品構造体、例えば、EOL製品に含まれる又は組み入れられ
たNd-Fe-B磁石の部品の回収を含む。回収段階として特徴付けることができる最初のプロ
セシングでは、方法は、EOL製品に含まれている又はEOL製品とは別個の付属アセンブリ又
は付属部品の材料からのEOL Nd-Fe-B磁石の回収を含み得る。一部の実施では、最初のプ
ロセシングは、全質量に対する磁石の濃度を高めるために、EOL Nd-Fe-B磁石を含む部品
の統合、及びEOL Nd-Fe-B磁石のアセンブリの材料からの分離を含む。最初のプロセシン
グは、磁石の上、及び/又は該磁石を他の材料、例えば、磁気回路又は支持筐体に固定す
る接着剤などの任意の材料の上にあるコーティングを取り外す、断片化する、又は分解す
ることができる。
【0048】
最初の回収プロセシングの後に、磁石と磁石アセンブリとの間の接着結合を分離するよ
うに適合された加熱及び冷却工程、並びに磁石上のコーティングの最初又は完全な分解を
含む更なるステップを続けることができる。一部の実施では、回収された磁石アセンブリ
を炉の中に入れて、周期的な加熱プロセスに曝す。このようなプロセスでは、材料は、磁
石を消磁して、該磁石又はその一部に付着した全ての接着剤を弱める又は燃焼させるため
に、Nd-Fe-B焼結磁石のキュリー温度、例えば、磁束が0まで低下する点、例えば、600℃
よりも高い温度に加熱され得る。例えば、第1の加熱サイクルは、少なくとも400℃又は焼
結磁石を消磁させるのに十分な高い温度及び長い時間、材料が加熱される加熱サイクルと
することができる。第2の加熱サイクルは、接着剤が確実に弱められる又は破壊されるの
に十分な高い温度、例えば、650℃及び/又は長い時間で行うことができる。第1又は第2の
加熱サイクルの最後での急速冷却を使用して、希土類磁石の全てのアセンブリからの取り
外しを助け、かつ該磁石を覆っている全てのコーティング層を完全に又は部分的に断片化
及び/又は剥離することができる。加熱及び冷却プロセスは、他の部品又はアセンブリ、
例えば、支持筐体、磁気回路、又は他の部品から既に分離されたEOL磁石のコーティング
の消磁及び/又は断片化及び/又は剥離も含み得る。
【0049】
一部の実施では、別の部品、例えば、アセンブリ、磁気回路、支持体、又は他の部品に
取り付けられた磁石を650℃で1時間保持した後に5℃に急速冷却が続く反復加熱は、磁石
アセンブリから磁石を除去する、全ての接着剤を弱める又は破壊する、及び磁石上の全て
のコーティング層にひびを入れるのに有効である。
【0050】
加熱プロセスは、空気、アルゴン、又はその他の不活性雰囲気で行うことができる。加
熱は、例えば、抵抗加熱、高周波加熱、対流、マイクロ波加熱、ガス燃焼加熱、又は化学
温熱槽への浸漬、又は他の対流加熱を含む任意の適切な技術を用いて行うことができる。
次いで、磁石を、分離装置を用いて分離し、収集し、そして適切なコンベヤで輸送するこ
とができる。
【0051】
主目的が磁石のコーティングの除去であるプロセスは、表面除去プロセスとして特徴付
けることができ、機械的な表面除去技術、例えば、アブレーシブジェットの使用を利用す
ることができる。表面除去プロセスは、遠心分離ドラム、研削、又は化学温熱槽への浸漬
を含み得る。
【0052】
コーティング除去段階の一部の実施では、100kgの混合廃棄磁石の場合、直径1mmのスチ
ールショットを用いた15分間のアブレーシブジェットが、NiCuNi、アルミニウム、黒色エ
ポキシ、及び亜鉛がコーティングされた様々な形状の磁石上の保護層を除去するのに十分
であることが分かった。この保護層は、再利用の目的でふるい分けによって収集すること
ができ、抽出された磁石は、更なるプロセシングのために送られる。
【0053】
雰囲気及び温度は、アブレーシブジェットプロセシング中に制御することができる。一
部の実施では、アブレーシブジェットプロセシング、例えば、ショットブラストプロセシ
ングは、空気、アルゴン、又は他の不活性雰囲気中、好ましくは0~35%の範囲の湿度、5
℃~600℃で行うことができる。一部の例では、この工程中の廃棄焼結Nd-Fe-B材料の質量
の減少は1%未満であった。プロセシングの期間、粒状材料、例えば、ショットの速度、
及び/又は他のパラメータは、質量の減少を1%以下に制限するように選択することができ
る。一部の実施では、パラメータは、質量の減少を確実に10%以下、一部の実施では、5
%以下にするように選択することができる。
【0054】
機械的にコーティングが剥がされた磁石は、1~5%の希釈HCl又はHNO3中で化学処理し
て、全ての酸化物層を廃棄磁石の表面から更に除去することができる。実施は、これらの
選択肢に限定されるものではなく、一部の実施では、他の作用物質を使用して酸化物を除
去することができる。例えば、CuSO4である。このプロセス中の質量の減少は、0.1~5%
の範囲に維持することができる。好ましくは、時間、温度、及び濃度は、質量の減少が10
%以下、特に20%以下になるように選択される。
【0055】
混合段階では、バルク磁石は、材料から形成される最終製品で所望の最終特性を達成す
るために追加の原料と混合される。混合プロセスは、破砕、研削、粉砕、又は水素を使用
した材料の粗い粉末への分解を含み得る。一部の実施では、磁石、例えば、Nd-Fe-B又は2
:17型の磁石を、水素混合反応器を用いて粉末に処理し、そして該粉末材料を現場で添加
物と組み合わせて、残留磁気、エネルギー積、及び/又は密度を回復又は改善する。
【0056】
一部の実施では、追加の磁性材料を廃棄磁性材料に添加して、磁石の性能を回復又は改
善することができる。追加の磁性材料は、希土類、RE、例えば、Nd、Pr、Dy、Gd、Tb、La
、Ce、Yb、Ho、又はEuと遷移金属、例えば、TM、例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y
、又はZrとの組み合わせとすることができる。例えば、再生磁石は、以下の式(1)によ
って満たされる化学式を有し得る。
(1)Nd[0.1~19at%×s(Nd), x]Pr[0.1~19at%×s(Pr), y]Dy[0.1~19%×s
(Dy), z]Co[0, d]Cu[0, e]Fe[0, f]
【0057】
[m, n]は、最小のmから最大のnまでの範囲を意味し、s(t)は、開始組成中の元素t
の原子百分率であり、f(t)は、最終組成中の元素tの原子百分率であり、x=18-[81,
99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy))、y=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s
(Pr)+s(Dy))、z=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy))、d=3
-[81, 99.9]at%×s(Co)、e=0.3-[81, 99.9]at%×s(Cu)、及びf=77-[81,
99.9]at%×(s(Fe)+s(Co))である。
【0058】
追加の要件は、次の1つ以上を含む:(a)最終製品の0.1≦p+q+r≦19at%の範囲であ
り、かつT≧最小値(R、18)である必要がある追加される未使用材料、NdpPrqDyr、式中
、T=f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)及びR=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy);(b)p+q+r≧X、
式中、Xは,元の磁石から除去されたRE(Nd、Pr、Dy)のat%である;(c)T≦18%;(d
)f(Nd)+f(Pr)>0、式中、fは、最終製品のat%分率である;(e)f(Nd)+f(Pr
)+f(Dy)≦18;(f)f(Co)≦3;(g)f(Cu)≦0.3;(h)f(Fe)+f(Co)≦77;
又は(i)f(Dy)+f(Nd)+f(Pr)≧R。
【0059】
混合のプロセスは、粉砕、切断、高エネルギーボール粉砕、ローラー粉砕、鋸引き、ジ
ェット粉砕、転動、振動、ジョー破砕(jaw crushing)、及び水素混合を含む。一部の実
施では、水素混合は、開始材料の廃棄磁石及び新しい希土類元素添加物を均質化するため
のプロセスである。水素混合プロセスでは、水素は、φ相、例えば、Nd2Fe14B及び廃棄磁
石の希土類リッチ粒界に入り、希土類元素と反応して、結晶構造内に水素が閉じ込められ
た水素化物を形成する。結晶構造は、水素の吸収及び水素化物の形成の結果として膨張し
、これにより脆性構造が破砕する。この結果は、混合に有効であり得ると同時に、廃棄磁
石及び添加材料の断片化にも有効であり得る。
【0060】
本明細書で使用される「断片化」という語は、機械プロセス、化学プロセス、熱プロセ
ス、放射線プロセス、又はこれらの組み合わせを含む任意の適切なプロセスを含め、固体
材料のあらゆるタイプの分割を包含する。断片化の程度は、粗い分割から完全な分解、そ
して微粉末とすることができる。
【0061】
一部の実施では、方法は、0.1~19wt%の1つ以上の希土類元素添加物の組成物への添加
、又は本明細書に記載の方法を提供する。別の態様では、方法は、約0.1wt%、約0.2wt%
、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、
約6wt%、約7wt%、若しくは約8wt%の1つ以上の希土類元素添加物又は1つ以上の希土類
元素添加物の組み合わせの組成物への添加、又は本明細書に記載の方法を提供する。なお
別の態様では、方法は、約0.1~0.5wt%、約0.1~1wt%、約0.5~1wt%、約1~2wt%、約
1~3wt%、約1~5wt%、約1~8wt%、約2~4wt%、約2~6wt%、約3~5wt%、若しくは約
3~8wt%の1つ以上の希土類元素添加物又は1つ以上の希土類元素の添加物の組み合わせの
組成物への添加、又は本明細書に記載の方法を提供する。
【0062】
一部の実施では、方法は、0.1~1at%以下、好ましくは1%の、Prが25wt%でNdが75wt
%の希土類元素添加物を含む。必須希土類元素添加物及び/又は新しい元素の水素化物の
添加と共に、水素混合反応器を用いる所望の微細な不純物のない粉末混合物の現場での生
産は、廃棄Nd-Fe-B型の焼結磁性材料からの磁気性能の回復又は改善に有効であり得る。0
.1wt%~19wt%、好ましくは1%の付加元素添加物の添加を含めて、磁性材料の磁気性能
及び物理特性、例えば、密度又は耐食性を回復又は改善することができる。添加物及び廃
棄磁性材料を水素混合反応器に入れて、Pr75Nd25Hx(式中、xは1~3モル分率である)を
含む希土類の粗粉末混合物を形成する。
【0063】
水素混合プロセスは、水素雰囲気下で20~150℃、1~60バール(100~6000kPa)の圧力
で行うことができる。その後、材料を、好ましくは現場で550~600℃に加熱して、混合物
を部分的に脱気することができる。混合ステップによって形成される平均粒径は、1μm~
2000mmの範囲であり得る。50バール(5000kPa)の圧力が使用されると、平均粒径は、廃
棄磁性材料中に存在する粒径、例えば、2~8μm、及び酸化によって水素と反応しなかっ
た500μm~2000mmの範囲の粉末に一致し得る。この粉末をふるい分けして、酸化した粗い
希土類粉末を除去することができる。
【0064】
一部の実施では、水素混合プロセスは、粒子が最終磁石にとって十分に小さく、かつジ
ェット粉砕工程を省略できるようにするために十分に高い圧力を利用する。この例では、
大きい粒子を除去するふるい分け、従って酸素の濃度がより高い粒子を除去するふるい分
けが有利であり得る。ふるい分けは、酸化物が、磁石から回収した材料の硬い部分を構成
し、より小さい粒径への縮小を防止するため有効である。
【0065】
更なる混合及び均質化のために、磁性粉末混合物を、該混合物の更なる均質化のために
ローラーミルに移送することができる。粉砕された材料を、ローラー粉砕中に、例えば、
1%のステアリン酸亜鉛で潤滑化することができる。ローラー粉砕ステップの後、廃棄磁
性粉末をふるい分けして、残った全ての希土類酸化物を更に除去することができる。一部
の実施では、ふるい分けは、500μmを超える粒子を除去するために選択することができる
。
【0066】
ローラー粉砕に使用される潤滑剤は、低い酸素含有量を有し得、かつ/又はバインダー
を含み得る。潤滑剤の例として、アミド、例えば、オレイン酸アミド若しくはアミド、又
は他の低炭素-水素化エステル若しくは脂肪酸、例えば、オレイン酸が挙げられる。
【0067】
粉末は、ジェット粉砕によって更に均質化することができる。一部の実施では、ジェッ
トは、空気又は不活性ガス、例えば、He、Ar、若しくはNを用いて形成することができる
。ジェット粉砕は、例えば、1~4時間の時間、混合物を均質化して凝集体を1~4μmの単
一粒子に更に分解するような速度で行うことができる。一部の実施では、ジェット粉砕は
、24時間未満で完了することができる。
【0068】
一部の実施では、Nd-Fe-B元素添加物のジェット粉砕と比較して、廃棄物由来のNd-Fe-B
粉末のジェット粉砕の80%の時間の短縮を観察することができる。廃棄磁石の平均粒径は
、4~10μmの範囲であり得る。ジェット粉砕中に、凝集体は、単一粒子に分解されたが、
酸化希土類粉末は粗いままであった。酸化希土類粗粉末を除去することにより、廃棄開始
磁性材料に含まれる酸素の量を低減することができ、より好ましくは、最終再生焼結磁石
の酸素の量が抑制される。この段階は、廃棄磁性粉末の混合物の均質化、及び(RE(TM)
x)元素添加物の新たな添加、及び粒界に沿った、分離された単一粒子の分解のために、
好ましくは、一切の酸素汚染のない不活性雰囲気下で、例えば、Arガスを用いて行うこと
ができる。RE(希土類)とは、任意のNd、Pr、Dy、Tb、Y、La、又はSmの組み合わせのこ
とであり、かつTM(遷移元素添加材料)とは、任意のCo、Ni、V、Nb、Mo、Ti、Zr、Al、C
u、Ga、又はFeの組み合わせのことである。
【0069】
粒子の縮小、混合、及びふるい分けが完了した後に、粉末を配向及び圧縮して、空気又
は不活性雰囲気中で圧粉体を形成することができる。圧縮及び配向の前に、潤滑剤を粉末
に加えることができる。圧粉体は、磁場で圧縮及び配向することができる。次いで、圧粉
体を、1050~1100℃の範囲の5時間の保持時間の焼結に直接進めることができ、その後に
、900℃で5時間及び550℃で3時間の加熱処理が続く。焼結温度の選択は、水素化/混合ス
テップの前に添加される全希土類添加物の量によって決まり得る。
【0070】
一部の実施では、廃棄磁性材料のコスト効率の良い測定可能な回収のプロセスを提供す
ることができる。方法は、EOL磁石を回収するための機械的な自動プロセスを含み得る。
この方法は、回収段階を提供することができ、この回収段階では、EOL廃棄磁石の他の材
料アセンブリ及び/又は取り付け具からの有効かつ迅速な分離、並びにEOL磁石の収集/統
合が行われる。回収プロセスの分離の態様は、消磁及び接着剤の結合の分離を達成する周
期的な加熱及び冷却プロセスを含み得る。
【0071】
このプロセスは、コーティングを保持し得るEOL磁石に適用することができる。コーテ
ィングを機械手段によって除去して、汚染を最小限にし、かつ磁性材料の高い回収濃度を
保つことができる。コーティングが剥がされた磁性材料の高い回収濃度は、一次CO2、CO
、SO2、NOxエネルギー及び材料の使用を著しく低減できるため、コストを削減することが
でき、これにより、上述の方法を用いた低環境負荷プロセス(greener process)が提供
される。
【0072】
このプロセスは、一連の混合段階での元素添加物、水素化物、又は他の添加物の添加に
よって廃棄開始材料と同じ又はより優れた磁気性能を有する再生焼結磁石を生産すること
によって磁気性能を迅速に回復させることができる。説明されるプロセスは、0.1~19wt
%、好ましくは1wt%の未加工/未使用/新しい添加物を81~99.9wt%、好ましくは99wt%
のバルク材料又はコーティングが剥がされたEOL磁石と組み合わせて用いることによって
開始材料に対する磁気性能の低下又は悪化を防止することができる。
【0073】
一部の実施では、バルク材料及び/又はEOL磁石の新しい元素添加物との均質化を促進さ
せるために、水素混合を有利に使用することができる。この後にジェット粉砕を行うこと
ができ、このジェット粉砕は、コスト効率の良い測定可能なプロセシングを行いやすいプ
ロセスにおいて、補助材料、例えば、希土類酸化物又はNd/Prとの更なる均質化に使用す
ることができる。他の実施は、粉砕、ローラー粉砕、高エネルギーボール.粉砕、転動、
及び他の混合ステップを含み得る。
【0074】
図1A~
図1Cは、分離機100の一例を示している。この分離機100は、EOL製品、例えば、
ハードディスクを受け取り、高濃度の目的の磁性材料を有する材料の流れを作る。分離機
100は、この分離機100の工程を制御する制御ユニット20を備えることができる。駆動装置
12によって駆動される回転台4は、ベース台19に支持された軸受13の中心6を中心に回転す
る。
【0075】
一部の実施では、ハードディスクドライブ(HDD)ユニット14が、ローディングステー
ション11で投入され、ロボット位置決め装置16、フィーダー、コンベヤ、又は作業者によ
る手動操作のいずれかによって回転台に取り付けられる。投入及び取り付けは、例えば、
プラズマカッター、ウォータージェット、又はブレードカッターによって切断ステーショ
ン21で切断されるべきHDDユニット14の向きを合わせるのに有効であり、該プラズマカッ
ター、該ウォータージェット、又は該ブレードカッターは、ベース台19の特定の点に固定
された遮蔽ガス輸送管5を介して送られる不活性ガスによって遮蔽された小さい通路を介
して加圧ガス、例えば、N、Ar、又はOを送る。例えば、回転台4は、中心6を中心に回転し
て、HDDユニット14をローディングステーション11から切断ステーション21に移送し、該
切断ステーション21で、該HDDユニットが切断されて、該HDDユニット14からの磁性材料を
含むHDDコーナーが形成される。
【0076】
一部の例では、プラズマカッターは、HDDコーナーをHDDユニットから除去するためにプ
ラズマを放出する、該HDDユニット上に2時の位置に配置されたノズル17を備えることがで
きる。ノズル17は、ガスライン18を介してプラズマ制御ユニットからガスを受け取ること
ができる。
【0077】
一部の実施では、分離機100は、切断ステーションで帯鋸又はせん断機を利用すること
ができる。せん断工程は、磁石の抽出を制限し得る、回収される磁石を損傷させ得る、HD
Dユニット14のコーナー部分を破砕し得る、又は任意の組み合わせのこれらの2つ以上の事
象を起こし得る基板の締め付けを最小限にするように変更することができる。
【0078】
カッターによって十分に分離されない場合は、撓んだ表面、例えば、コーナー再生ビン
7の上のベース台19の孔8の上にある下方に向いて撓んだ表面を、コーナーがHDDユニット
残りの部分から分離されるまで該コーナーに対して更に力を加えることができ、これによ
り、HDDコーナーを該コーナー再生ビン7の中に落下させることができる。一部の実施では
、アブレーシブカッター、又はアブレーシブジェットカッター、例えば、ウォータージェ
ット、又は他の種類の切断器具を使用して、コーナーをHDDユニット14の残りの部分から
分離することができる。
【0079】
微粒子の管理のために、フィルタ、例えば、HEPAフィルタ2を備えた濾過ベント1を設け
ることができる。他の微粒子管理装置、例えば、慣性力選別装置3を設けることができる
。汚染物質は、下降気流ベント15を介して吸い込むことができる。
【0080】
HDDユニット14は、
図1Cに示されている回転台4の凹部24に重力によって保持することが
できる。なぜなら、凹部24を、HDDユニット14が、該凹部24内での回転台4との係合によっ
て正確に向きが合わせられるような形状にすることができるためである。凹部24は、磁石
を含むアセンブリ、例えば、モーター、風車アセンブリなどのタイプに合わせて変更する
ことができる。HDDユニット14は、切断ステーション21を通過し、この際に、回収するべ
き磁石を有するコーナーを完全に又は部分的に分離することができる。分離されたコーナ
ーは、コーナー落下開口8からコーナー再生ビン7の中に落下し、HDDユニットの残りの部
分は、開口10から廃棄ビン9の中に落下する。
【0081】
一部の実施では、HDDコーナー又は他の磁石アセンブリを、コーナー再生ビン7ではなく
、更なるプロセシングのための位置に移送するために、シュート又はコンベヤを設けるこ
とができる。一部の例では、HDDコーナーは、バッチごとに回収して、プロセシングのた
めに輸送することができる。
【0082】
図2は、消磁のために磁石又は磁石アセンブリを処理して、アセンブリをEOL磁石から除
去するための炉40の一例を示している。例えば、HDDユニットのコーナーを、コンベヤ47
によって炉40に輸送することができる。炉40は、ヒーター43を用いて磁性材料のキュリー
温度よりも高い温度に到達することができ、該ヒーター43は、図示されているセラミック
スリーブ45内の加熱要素44を備えた電気式、又はその他の適切な形態のヒーターとするこ
とができる。抵抗、無線周波数(RF)、対流、マイクロ波加熱、ガス燃焼、又は化学温熱
槽への浸漬、その他の適切な加熱方法、又はこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含め
、代替の加熱方法を使用することもできる。磁石の酸化の進行を更に抑制するために、加
熱されたHDDコーナー又は磁石を含む他の廃棄材料の周りの雰囲気、例えば、不活性ガス
を制御するために配管46を設けることができる。
【0083】
炉40は、外壁42’を備えた絶縁ハウジング42を備えることができる。例えば、絶縁ハウ
ジング42は、炉40から逃げる熱の量を低減し、かつ/又は該炉40の外部の物体を保護する
ことができる。内部シール41、41’は、炉40から逃げる熱の量を低減することができる。
【0084】
炉40は、部分アセンブリ及び他の非磁性材料から磁石を分離させるために、廃棄磁石及
び磁石アセンブリを、実質的に大気汚染しないで直接加熱するように構成された任意のタ
イプのヒーターとすることができる。後の急速冷却と組み合わせられた加熱は、磁石アセ
ンブリ上の全ての磁石コーティングの最初のひびを容易にする役割を果たし得る。磁石の
消磁は、印加磁場なしで、少なくとも磁性材料のキュリー温度、例えば、320℃に加熱す
ることによって確実にすることができる。
【0085】
炉40は、制御された不活性雰囲気又は空気雰囲気を提供する配管46に流体連通した密封
加熱空間を画定する内壁を有することができる。キュリー温度は、磁性材料の組成によっ
て310℃~900℃であり得る。キュリー温度又はその温度を超える温度を維持して、磁石ア
センブリ、例えば、磁気回路要素及び/又は支持体を含むHDDユニットのコーナーの磁石を
他の部分に固定している接着剤を確実に解除又は破壊することができる。磁石のその部分
アセンブリからの分離、後のコーティングの破砕、又はこれらの両方を更に促進するため
に、加熱の後に、例えば、5℃に急速冷却することができる。加熱及び冷却は、複数のサ
イクルで繰り返し行う、又は1回行うことができる。
【0086】
図3Aは、磁石79を洗浄するアブレーシブジェット洗浄装置60の一例を示している。アブ
レーシブジェット洗浄装置60は、磁石79を回転ドラム64の中に送る進入コンベヤ63を支持
するフレーム67を有する。ドラム64が回転して、磁石79の表面が、ジェットノズル66から
出るアブレーシブのジェットに曝される。
【0087】
磁石79及びその分離物を確実に移動させて、材料、例えば、接着剤及び他の磁石コーテ
ィングが磁石79から確実に除去されるようにベルト研削ロール75を設けることができる。
アブレーシブジェット洗浄装置60による磁石79の処理は、限定されるものではないが、Ni
CuNi、Al、Zn、及び電解析出着黒色エポキシ材料を含むコーティング層を除去するのに有
効であり得る。ローラー75は、磁石隣接面がドラム64の表面の方向とは反対方向に移動す
るように、該ドラム64の方向と同じ方向に回転することができる。ローラー75は、表面材
料を磁石から更に除去することができる。ドラム64と共にローラー75を使用することによ
り、磁石79の表面をより均等にジェットノズル66のショットブラスト処理にさらすことが
できる。
【0088】
ダスト/ショット収集溝57は、ショット及びコーティングからの微粒子を受け取り、次
いで、該ショット及び該粒子に対してふるい分け、又は他のサイズ若しくは密度分離プロ
セスを行って、除去されたコーティング材料を回収して、アブレーシブ粒子、例えば、シ
ョットを再使用することができ、該アブレーシブ粒子は、ノズル66から放出されるアブレ
ーシブジェットを発生させるフィーダー/発生器69にコンベヤ68によって輸送される。
【0089】
過剰な材料が、磁石79から分離されたら、出口コンベヤ70が、磁石をジェット洗浄装置
60から取り出す。空気洗浄器65は、出口コンベヤ70が磁石をジェット洗浄装置から取り出
すときに、磁石79から分離された全ての遊離材料を除去することができる。
【0090】
アブレーシブジェット洗浄装置は、該ジェット洗浄装置の環境、例えば、プロセシング
時間、雰囲気、速度などを制御するために、71で示されている制御キャビネットを備える
ことができる。
【0091】
磁石のコーティングは、その表面を、磁石の表面の一部又は全てをアブレーションによ
って除去するアブレーシブジェットで洗浄することによって完全に除去することができる
。一部の実施では、このアブレーシブジェットは、スチールショット、タングステンカー
バイト、セラミック、又はスチールグリットとすることができる。粒子のサイズは、約1m
mとすることができる。アブレーシブジェット洗浄装置60は、廃棄磁石を受け取り、該廃
棄磁石の更なるプロセシングの前に該廃棄磁石を酸素汚染させることなく、該廃棄磁石か
ら表面コーティング又は保護コーティングを実質的に除去することができる。磁石の周り
の雰囲気は、制御された不活性雰囲気、例えば、アルゴンとすることができる。
【0092】
磁石79は、約1~35%の相対湿度(RH)の湿度レベル、約5℃~600℃の温度で、アブレ
ーシブジェット洗浄装置60で処理することができる。
【0093】
一部の実施では、表面除去プロセスは、磁石の質量の5%未満を除去するのに有効な期
間に亘って行うことができる。一部の実施では、表面処理は、約15分~約5時間の期間に
亘って行われる。
【0094】
図3Bは、廃棄磁性材料を粒子に分解して、該粒子を混合する水素混合反応器の一例を示
している。一部の実施では、水素混合反応器は、元素添加物を粒子と混合する。水素混合
反応器は、目標平均直径が約1μm~約2mm、又は約4~約7μmの粒子を形成することができ
る。水素混合反応器は、混合チャンバ122及び124のそれぞれに配置された2つの容器102及
び104を備え、該容器はそれぞれ、磁性材料を保持して、内側ライニング110にある孔を介
した磁性材料の周りのガスの循環を容易にする該内側ライニング110を有する。希土類材
料を含む容器102,104の一方を水素ガスで充填すると、該容器では水素混合によって磁性
材料の断片化が起こる。水素ガスへの曝露は、約1~40時間持続することができる。この
曝露は、これよりも短い期間でも長い期間でも良く、かつ圧力及び温度は、プロセスの工
学的要求、目標の粒径を達成するために使用される他のプロセシング段階、目標の均質な
混合を達成するために使用される他のプロセシング段階、又はこれらの2つ以上の任意の
組み合わせに基づいて選択することができる。
【0095】
孔を備えた拡散促進装置112、例えば、シュノーケル又は管を使用して、水素混合によ
り、磁石を反応容器102、104内で分解するようにし、かつ粒子物質の集積物が、一部の磁
性材料の水素ガスへの曝露を妨げないようにすることができる。循環促進装置(不図示)
、例えば、撹拌機、ファン、又はガス供給装置は、容器102、104内での水素ガスの流れの
促進に役立ち得る。内側ライニング110の孔を通って落下する磁性材料は、それぞれの容
器102、104の底部に配置された攪拌機によって撹拌することができる。
【0096】
磁石の容器102、104への導入のための取り外し可能な蓋114を設けることができる。例
えば、磁石79が、
図3Aに示されているアブレーシブジェット洗浄装置60で洗浄された後、
該磁石を、
図3Bに示されている容器102、104に入れることができる。例えば、磁石がアブ
レーシブジェット洗浄装置60で洗浄された後に、磁性材料を、制御された環境を用いて又
は用いずに、コンベヤ又は手動で内側ライニング110内に移送することができる。ごく少
量の希土類遷移元素添加物材料を内側ライニング110に添加して、磁石から形成される最
終製品の特性を所定の仕様の残留磁気、エネルギー積、及び/又は保持度にすることがで
きる。一部の例では、最終製品の特性を調整するための混合の後に、添加物を破砕された
廃棄磁石材料に添加することができる。添加物材料の一部の例として、Nd、Pr、Dy、Gd、
Tb、La、Ce、Yb、Ho、又はEuを挙げることができる。
【0097】
容器102、104は、所定の圧力に耐えることができる。例えば、水素混合反応器は、真空
ポンプを備えることができる。一部の実施では、圧力は、最大60バール(6000kPa)に上
昇させることができる。容器102、104は、低圧にも耐えることができる。容器102、104は
、サーモスタット制御のヒーター116及び圧力調整つまみを備えることができる。
【0098】
水素混合反応器は、水素又は他のガスをポンプアセンブリ128及び弁アセンブリ133を介
して容器102、104の中に導入するガス源接続部138を備えている。ポンプアセンブリ128、
弁アセンブリ133、ガス管理コンポーネント144、又はこれらの2つの以上の組み合わせは
、磁性材料の全容量を容器102、104内に分散させるために、拡散促進装置112に直接ガス
を供給することができる。一部の例では、ポンプアセンブリ128及び弁アセンブリ133は、
容器102と104とを接続することができ、これにより、例えば、脱気又はガスの一次投入の
ための真空ポンプでの該容器102、104の排気、例えば、水素ガスを再生するための一方の
容器から他方の容器へのガスの送出、例えば、周囲接続部132を用いた雰囲気の外気への
排出、該容器102、104の加圧、該容器102、104の一方又は両方の不活性ガスでの充填、他
の再生プロセスの実施、又はこれらの2つ以上の組み合わせが可能となる。制御装置140を
弁アセンブリ133及びポンプアセンブリ128に接続して、水素混合プロセス及び容器102と1
04との間の水素移送を自動にすることができる。
【0099】
水素混合プロセス中に、磁気粒子が、容器102、104からシュート126を通ってチャンバ1
20内に落下する。磁気粒子は、更なるプロセシングのためにチャンバ102から取り出すこ
とができる。一部の実施では、耐圧弁を、シュート126と容器102、104との間の開口で利
用することができる。
【0100】
一部の実施では、容器102、104の一方は、気密性にされ、かつガス管理コンポーネント
144を用いて排気される。次いで、選択された容器102、104を、ガス源から、例えば、ポ
ンプアセンブリ138を介して水素で満たして、廃棄磁性材料の混合及び断片化のために選
択された容器102、104を準備することができる。混合及び断片化の後、例えば、水素を選
択された容器102、104から排出して、該水素を他方の容器104、102に移送することによっ
て、水素を、ガス管理コンポーネント144によって他方の容器104、102に移送することが
できる。各容器の内容物が水素混合を受けるため、水素を回収して他方の容器102、104に
移送することができ、そして水素混合のプロセスが、他方の容器で繰り返される。
【0101】
一部の実施では、ガス貯蔵チャンバがガス管理コンポーネント144に含められ、そして
容器102、104の一方から排出される水素が、例えば、水素混合サイクル間に他方の容器10
2、104に移送される前に、ガス貯蔵チャンバ(不図示)に一時的に貯蔵される。ガス貯蔵
チャンバの使用により、水素混合反応器が1つの容器だけを備えることができる。一部の
例では、水素混合反応器は、3つ以上の容器を備えることができる。ガス貯蔵チャンバは
、移送中の圧力降下又は圧力上昇を最小限にすることによってチャンバ及び容器102、104
へのガス移送及びこれらからのガス移送のエネルギー経済を最大にするために選択される
容積の各段を構成する複数のチャンバを備えることができる。
【0102】
図4Aは、台車216上の4つの反応ボトル212のセットを示し、該台車216は、反応チャンバ
、例えば、
図4Fに示されている反応チャンバ202、202’の1つの中及び外への該反応ボト
ル212の輸送を可能にする。反応チャンバ202、202’は、
図3Bに示されている水素混合反
応器と共に、又は該水素混合反応器の代わりに使用することができる。一部の例では、反
応ボトル212は、例えば、容器102、104のように、
図3Bに示されている水素混合反応器と
共に使用することができる。例えば、ガス管理コンポーネント144は、後に磁石が充填さ
れるボトル212を不活性ガス、例えば、Ar又はNで満たすことができる。例えば、水素化さ
れる磁石206は、移送シュート208から反応ボトル212の中に投入される。磁石206を不活性
雰囲気中の反応ボトル212の中に投入して、例えば、酸素による磁石206の汚染を防止する
ことができる。
【0103】
一部の実施では、ごく少量の希土類遷移元素添加物材料を反応ボトル212に加えること
ができる。希土類遷移元素添加物材料は、磁石206及び希土類遷移元素添加物材料から製
造される最終製品の特性を所定の仕様の残留磁気、エネルギー積、及び保持度にするよう
に選択することができる。一部の例では、希土類遷移元素添加物材料の水素化物を、回収
された磁石の混合及び断片化の後に水素化磁石(hydrogenated magnet)206に添加するこ
とができる。
【0104】
反応ボトル212のそれぞれは、反応ボトル内でのガスの拡散を促進するシュノーケル213
又は別の装置を備えることができる。例えば、シュノーケル213は、各ボトル212の中心に
配置された磁石にガスが到達するようにガスの拡散を可能にする開口を側面に備えたシリ
ンダーとすることができる。
【0105】
ボトル212及びシュノーケル213は、水素ガスが該ボトル212及び該シュノーケル213に進
入して、該ボトル212内に含まれる磁石206に接触するのを可能にし、かつ/又は磁石206の
ボトル212の中への投入を可能にするために上部で開口させることができる。
【0106】
図4Bに示されているように、磁石215がボトル212内に配置されたら、移送カバー214を
台車216に取り付けて、ボトル212及びその内容物を外気から隔離することができる。カバ
ー214及び台車216によって形成されたコンテナは、ガスの漏れを許容し得ないため、その
内容積が不活性ガスの雰囲気を維持することができ、周囲空気が磁石215に接触するのが
防止される。例えば、ボトル212が不活性雰囲気中に投入された後に、該ボトル212を、カ
バー214によって覆うことができ、台車216は、不活性雰囲気の空間の外部に保管される。
例えば、
図4Eは、充填されたボトル212の台車216への配置及びカバー214の該充填された
ボトル212の上部への配置の前の、該充填されたボトル212の例を示している。ボトル212
は、台車216上にあるときに充填しても良いし、又は充填してから該台車216に乗せても良
い。
【0107】
図4F及び
図4Gは、一対の反応チャンバ202、202’を備えた別の水素混合反応器の一例を
示している。反応チャンバ202、202’は、上記のようにガス管理コンポーネント144に接
続され、かつ該ガス管理コンポーネント144によって相互に接続されている。ガス源138は
、複数のガス、例えば、不活性ガス及び水素のそれぞれの接続部を提供することができる
。周囲接続部132により、大気に排気することができる。ガス管理コンポーネント144は、
容器102と104との間ではなく、一方の反応チャンバ202から他方の反応チャンバ202’に及
びその反対にガスを移送するという点で、
図3Bを参照して上で説明されたよう動作する。
【0108】
カバーされた台車260、例えば、台車216が、反応チャンバ202の最初の1つに進入する一
方、他方の反応チャンバ202’で水素化が起こっている。カバーされた台車260が、反応チ
ャンバ202の中に入ると、カバー214が該台車260から取り外されて、該反応チャンバ202の
ハッチ252が閉じられる。次いで、チャンバ202に不活性ガスを充填することができる。
【0109】
ガス管理コンポーネント144は、必要な圧力を達成するために水素を水素源から反応チ
ャンバ202に供給することができる。例えば、反応チャンバ202’内での水素化が完了した
ら、ガス管理コンポーネント144が、水素を反応チャンバ202’から反応チャンバ202内に
移送して、該反応チャンバ202を目標の圧力に加圧する。ガス管理コンポーネント144は、
水素ガス、例えば、加圧水素ガスを反応チャンバ202からカバー232又はボトル212の他の
開口を介して該ボトル内に導入することによって、反応チャンバ202内で水素化を開始す
ることができる。
【0110】
水素混合プロセスは、例えば、水素混合反応器が最初の混合プロセスを行うときは、約
1μm~約2mm、又は、例えば、該水素混合反応器が第2の混合プロセスを行うときは、約4
μm~約7μmの平均径を有する磁気粒子を形成することができる。一部の例では、
図4F及
び
図4Gに示されている水素混合反応器が、両方のプロセスを行うことができる。
図3Bに示
されている水素混合反応器が、両方のプロセスを行うことができる。又は、反応器の一方
が、一方のプロセスを行うことができ、他方の反応器が、他方のプロセスを行うことがで
きる。例えば、
図3Bに示されている水素混合反応器が、最初の混合プロセスを行うことが
でき、
図4F及び
図4Gに示されている水素混合反応器が、第2の混合プロセスを行うことが
できる。
【0111】
ガス管理コンポーネント144は、チャンバ202’からガスを、例えば、完全に排出して、
該ガスを、チャンバ202内でのプロセシング中に使用するために該チャンバ202内に入れる
、又は貯蔵チャンバ若しくは容器に入れることができる。
図4Gに示されている、チャンバ
202内のサーモスタット制御のヒーター257を、目標の温度を提供するために制御装置によ
って制御することができる。
【0112】
水素化プロセスが反応チャンバ202内で進むと、ガス管理コンポーネント144が、反応チ
ャンバ202’に不活性ガスを充填する。次いで、
図4Gに示されているように、反応チャン
バ202’へのハッチ252’が開けられて、カバー214’が台車260’に掛けられる。水素化磁
石材料が、この時粒子に縮小されており、次に、台車260’で反応チャンバ202’から出さ
れる。
【0113】
水素化がチャンバ202で完了すると、ガス管理コンポーネント144が、過剰な水素ガスを
該チャンバ202から排出させる。例えば、水素化プロセスを、チャンバ202’内に置かれた
1つ以上のボトル212に対して再開することができる。
【0114】
一部の実施では、
図4C、
図4D、及び
図4Jに示されているように、ボトル212をカバー232
で閉じることができ、該カバー232は、例えば、該ボトル212が逆さの位置にあって、弁23
4が開いていると、回収した水素化物磁石粒子のシュート237を介した誘導を可能にする漏
斗として機能する。カバー232は、例えば、磁石206がボトル212内に進入できるようにす
るために取り外すことができ、その後、それぞれのボトル212に取り付けられる。
【0115】
図4Jを参照すると、不活性雰囲中では、カバー232が、ボトル212の上に配置されており
、カバー214を必要とせずに、該ボトルを密封して不活性雰囲気から取り出すことができ
る。ボトル212は、台車216によって輸送することもできるし、又は個別に輸送することも
できる。
【0116】
図4Kは、ボトル212から受け取った磁気粒子用の貯蔵コンテナ240の一例を示している。
ボトル212の弁234は、貯蔵コンテナ240に設けられているノズル265を受容して、マニホー
ルド267をボトル212内のシュノーケル213に密封取り付けする。ブロワー266が、不活性ガ
スをマニホールド267を介してシュノーケル213内に供給して、磁気粒子をボトル212から
取り出して貯蔵コンテナ240に入れる。不活性ガスは、ボトル212の1つに入った後に貯蔵
チャンバ240に戻って循環することができる。
【0117】
不活性ガスは、ボトル212及びシュノーケル213の断面図である
図4Hに示されているよう
に、該シュノーケル213から接線流/放射状流で流出し得る。矢印は、シュノーケル213の
接線方向に向いたスロットを介して排出される不活性ガスの接線パターンを示している。
接線パターンの不活性ガスの流れは、ボトル212の内壁から粒子を取り出すのを助けて、
該ボトル212から磁気粒子を完全に排出するのを促進することができる。
【0118】
弁234は、例えば、ノズル265のボトル212内への進入を可能にするために、ゲート構造
を有することができる。ボトル212が取り外されるときに、カバー268をノズル265に取り
付けて、貯蔵コンテナ240を密封することができる。
【0119】
図5は、廃棄磁石及び磁性材料を製品、例えば、「バルク」製品、失敗/不合格/余剰バ
ッチ、及び/又はEOL製品から回収して目標の特性を達成するためのプロセス500の一例で
ある。プロセス500は、上記の1つ以上のシステムを用いて行うことができる。
【0120】
S10で、コンベヤが、製品をカッターに対して向きを合わせて、該製品を該カッターに
通す。製品の磁石含有部分又はカットされた部分が、該製品の残りの部分から分離されて
、該磁石含有部分が、同じ又は同様の機器から「回収された」他の磁石含有部分と共に1
つのバッチにまとめられる。
【0121】
S20で、磁石含有部分又はカットされた部分が、分離、消磁、及びコーティングの最初
の破砕を行うシステムに輸送され、この最初の破砕では、該磁石含有部分が加熱され、次
いで冷却されて、磁石をそれぞれの基板、例えば、磁気回路又はアセンブリの部品に取り
付けるために使用される、該磁石含有部分上の全ての接着剤が磁性材料から分離される。
このプロセスは、磁石含有部分又はアセンブリから全磁石を実質的に回収することができ
、かつ回収した磁石を更に破壊しなくても良い。
【0122】
一部の実施では、加熱及び冷却は、コーティング、例えば、Nd-Fe-B磁石に時々使用さ
れるニッケル-銅-ニッケルコーティングを分断又は部分的に破砕するのに有効であり得
る。一部のコーティング、例えば、リン酸塩、ラッカー、又はポリマーを、加熱中に完全
に破壊することができる。
【0123】
加熱及び冷却サイクルは、複数回繰り返しても良いし、又は1回だけでも良い。システ
ムは、磁石含有部分を約600℃の温度に加熱し、次いで、該磁石含有部分を約5℃の温度に
冷却することができる。他の目標温度を使用しても良い。加熱温度は、磁石含有部分に含
まれる磁性材料のキュリー温度、例えば、磁石の磁化が消失するように該磁性材料のキュ
リー温度よりも高い温度を用いて選択することができる。
【0124】
システムが同時に加熱する単一バッチの磁石含有部分は、異なるキュリー温度を有する
複数の調合物(formulation)の磁石を含み得る。選択される加熱温度は、あらゆる種類
の磁性材料の磁化が確実に消去されるように全ての磁石調合物の中で最も高いキュリー温
度と同等以上とすることができる。
【0125】
一部の実施では、加熱及び冷却は共に急速である。一部の例では、温度は、磁性材料を
消磁するために所定の最少時間、キュリー温度よりも高く維持される。一部の実施では、
磁石含有部分は、キュリー温度よりも高い温度に加熱されて、その温度が所定の最少時間
保持され、次いで、該磁石含有部分は急速に冷却される。次いで、磁石含有部分は、再び
加熱されて、より短い時間、より低い温度に維持され、次いで、再び急速に冷却され得る
。最初の加熱及び冷却サイクルで消磁が起こる場合、後のサイクルでは同じ温度又は保持
時間に到達させる必要はないが、この加熱及び冷却サイクルは、磁性材料の接着剤からの
取り外し及び/又はコーティングの破砕に有利であり得る。一部の実施では、システムは
、10℃/秒以上、好ましくは、50~100℃/秒のレートで磁石含有部分を加熱する。システ
ムは、例えば、100℃/秒、好ましくは、約200~1000℃/秒のレートで磁石含有部分を急速
に冷却することができる。
【0126】
プロセス500は、非磁性材料を磁性材料から完全に除去するために、炉内で約1時間に亘
って約50~約1000kgの磁石含有部分のバッチに対して行うことができる。炉内に投入され
るバッチの質量が大きければ大きいほど、例えば、対流により、該炉内での保持時間が長
くなる。炉内での保持時間は、全ての加熱及び冷却サイクルの合計時間であり得、例えば
、該炉は、磁石含有部分の加熱と冷却の両方を行う。
【0127】
不活性雰囲気を炉内で利用しても良いし、又は加熱を空気中で行っても良い。一部の実
施では、磁性材料のプロセシングは、少しでもコーティングが該磁性材料から分断又は除
去されたら、不活性雰囲気を利用して、該磁性材料を過度の酸化から保護することができ
る。
【0128】
S30で、全コーティングが磁性材料から除去される。コーティングは、機械的方法、化
学的方法、及び/又は他の方法によって除去することができる。一部の例では、コーティ
ングは、ショットブラスト又はアブレーシブジェットによって除去される。化学浴を、こ
のショットブラスト又はアブレーシブジェットの後に行うことができる。例えば、酸化物
の除去に有効な希釈された塩酸、硝酸、又は他の作用物質を使用することができる。化学
浴は、磁性材料の表面から酸化物を除去することができる。
【0129】
S40で、磁性材料が、機械的処理及び化学的処理の後に、混合装置内に入れられる。混
合装置は、磁性材料を、所定の期間、温度、回転速度などで加圧水素雰囲気に曝露するこ
とができる。例えば、磁性材料は、
図3Bに示されている水素混合反応器、
図4Gに示されて
いる水素混合反応器、若しくは両方の水素混合反応器、又は別の適切な混合装置によって
処理することができる。
【0130】
一部の例では、希土類遷移元素添加物材料を、混合の前又は後で磁性材料に添加するこ
とができる。一部の実施では、Nd-Fe-B磁石、例えば、廃棄磁石及び希土類遷移元素添加
物、例えば、Nd1-xPrxが、99.9:0.1~81:19の比率で混合装置に一緒に入れられて、一
緒に均質に混合される。S40の後に、希土類遷移元素添加物材料を別に断片化して、廃棄
磁石材料に添加することができる。
【0131】
希土類遷移元素添加物材料は、廃棄磁性材料の組成の元素分析を用いて、並びに実験に
よって、及び所定の目標の調合物及び磁気性能に達成させるのに適した外挿法又はその他
の任意の適切な方法によって決定される回復の式(restoration formula)のデータベー
スを用いて選択することができる。例えば、このデータベースは、得られる焼結再生磁石
製品の所望の特性を達成するために開始材料に添加される希土類遷移元素添加物材料及び
廃棄磁石材料の組成特性を示す過去のデータを含み得る。
【0132】
開始磁性材料の磁気特性及び物理特性は、混合、例えば、後に処理されて新しい焼結再
生磁石にされる水素化物粉末又は破砕粉末の混合による開始磁性材料の縮小の最中又は後
に、特定の希土類遷移元素添加物材料の所定の割合での添加によって回復又は改善させる
ことができる。この調合物の一例は、99部の廃棄Nd-Fe-B磁石、及びPrが25wt%でNdが75w
t%の1部の元素添加物であり、2:17型の磁石の場合には、Sm2Co17、1部のSmを含む。別
の例は、99部の廃棄Nd-Fe-B磁石、及び1部のNd、Dy、Co、Cu、及びFe元素添加物である。
一部の実施では、この組み合わせは、ごく少量の希土類遷移元素添加物又は元素と組み合
わせられる、大部分が1つの廃棄希土類磁石である。一部の実施では、希土類遷移元素添
加物は、Ndとランタニドと別の遷移金属の組み合わせである。一部の実施では、元素添加
物は、開始磁性材料との組み合わせの2%未満である。一部の実施では、ランタニドをPr
で置き換えることができる。
【0133】
S50で、粉末は、適切な手段によって断片化されて均質に混合される。一部の実施では
、これは、約1~約4μmの目標粒径にジェット粉砕することによって達成される。粉末は
、任意の適切な断片化装置、例えば、上で詳細に説明された断片化装置を用いて断片化す
る、均質化する、又はこれらの両方を行うことができる。一部の実施では、ステップS40
及びS50は、同時に行うことができる。一部の実施では、水素化されるバッチにごく少量
の希土類遷移元素添加物材料を添加するのではなく、S50で、希土類材料が別に水素化さ
れて混合される。一部の例では、希土類遷移元素添加物は、例えば、S50の後、開始廃棄
磁性材料の粉砕後に別に粉砕して添加することができ、この間に、開始廃棄磁性材料が、
例えば、60バール(6000kPa)の高圧を用いて、約1~約50μmの範囲の粉末を形成するの
に十分に分割されるのが好ましい。
【0134】
S60で、例えば、約1mmの大きい粒子が、断片化材料からふるい分けされる。例えば、粉
末酸化部分が、大きい粒子、例えば、約500μm~約2mmの粒子を微粉末からふるい分けす
ることによって処理される。この手順は、酸化粒子が断片化して砕片になるのを防止する
、回収された希土類磁石材料の大部分に対する酸化物の硬さのために、酸化部分を除去す
るのに有効である。例えば、水素化、粉砕、ジェット粉砕、破砕、又は別の適切な方法は
、サイズ分布が大きくなるような酸化物の分解をしない傾向であり得、微粉末中のその割
合をふるい分けによりなくす、又は低減することが可能である。
【0135】
S70で、プレスに充填して、該プレス内に磁場を発生させることにより、微粉末が圧縮
されて配向され、圧粉体が形成され、そしてS80で、圧粉体が、焼結及び熱処理されて再
生焼結磁石製品が形成される。
【0136】
図6は、バルク磁石及び/又はEOL磁石として入手できる、再生磁石用の開始材料の特性
範囲の一例を示すグラフである。グラフに描かれた楕円形302は、プロセス500を適用する
ことができる開始材料のおよその範囲を表している。プロセス500は、楕円形302の外側の
他の開始材料にも適用することができる。
【0137】
図7は、左の棒に示されている元の廃棄磁性材料の組成を、プロセス500によって形成さ
れた、右の棒に示されている最終再生磁石製品と比較する図である。開始磁性材料では、
左の棒の「R」領域によって示されている希土類金属の成分は、18at%よりも高くても低
くても良い。希土類金属の量「X」は、プロセシング中に開始磁性材料から除去される。
再生Nd-Fe-B製品が、元の磁石に類似した組成を有するようにするために、新しい希土類
材料、即ち、未使用の材料を添加しなければならない。
【0138】
図7では、未使用材料は、「V」領域によって表され、かつプロセシング中に除去される
希土類金属の量又は「X」にほぼ等しい。最終再生製品では、希土類金属の最終百分率は
、少なくとも開始磁性材料中の百分率であるが、18at%以下である。開始磁性材料中の希
土類材料「R」の百分率が、左の棒の2本の破線の下側の破線ほど低い、例えば、18at%未
満である場合は、右の棒に示されている最終再生磁石製品中の最終希土類原子百分率は、
延長された下側の破線によって示されているように、少なくとも同百分率に等しい。しか
しながら、開始磁性材料中の希土類金属の百分率が、18at%よりも高くても、最終再生磁
石中の原子百分率は、右の棒で18%の位置にある上側の破線によって示されているように
、18%に限定される。
【0139】
最終再生製品では、最終希土類原子百分率は、未使用材料の各成分、Nd、Pr、Dy、Gd、
Tb、La、Ce、Yb、Ho、及び/又はEuの百分率が、元の磁石中のその百分率の0.1~19%の範
囲である原子百分率であり、NdとPrの合計原子百分率は0よりも大きい。
【0140】
希土類金属の他に、開始磁性材料及び最終再生磁石の両方の残りの部分は、Fe、Co、Cu
、アルミニウム、及び他の元素から構成される。最終再生製品では、次の制約が存在する
:(1)Coの原子百分率が3%以下である;(2)Cuの原子百分率が0.3%以下である;及び
(3)FeとCoの合計原子百分率が77%以下である。
【0141】
図8は、焼結磁石800の様々な形状及びコーティングを示している。どの焼結磁石800も
、再生プロセス500中に使用することができる。焼結磁石800のコーティングの例として、
リン酸塩802、A1 804、NiCuNi 806、エポキシ808、及びZn 810が挙げられる。例えば、図
3Aに示されているアブレーシブジェット洗浄装置60は、コーティングを焼結磁石800から
除去することができる。
【0142】
以下の実施例は、グレード及び性能、例えば、残留磁気(Br)及び保磁度(iHc)が均
一又は混合のバルク及びEOL源からの廃棄磁石を凝集させて処理して、元の開始磁性材料
によって示される特性と同等以上である所望の磁気性能に応じた特性を有する新しいNd-F
e-B再生磁石を形成できることを実証する。
【実施例】
【0143】
(実施例1)
廃棄磁石は、以下の表1Aに示される誘導結合プラズマ(ICP)分析及び酸素/炭素元素分
析装置によって決定される成分の質量割合を有する。透磁率計を使用して、以下の表1Bに
示されている、混合廃棄磁石の磁気特性、例えば、残留磁気、保持度などを決定した。表
1A及び表1Bは、廃棄磁石材料を特徴付ける。
【0144】
約300kgの混合グレードのEOL磁石を、マッフル炉で保持して、キュリー温度よりも高い
650℃で4時間加熱して該EOL磁石を消磁した。消磁磁石を、水中で急冷してコーティング
を破砕し、そして炉内で200℃に加熱して乾燥させた。消磁磁石を、Ni-Cu-Niコーティン
グの更なる除去のために15分間ショットブラストし、そして不活性雰囲気で保持した。コ
ーティングンの除去による消磁磁石の質量減少は5%未満であった。コーティングが剥が
された磁石を、希釈HClで化学処理した。
【0145】
反応回転混合容器に、100kgのコーティングが剥がされた不純物を含まない廃棄材料を
投入し、そして1%Nd(0.55x+1)Pr(0.45x+1)添加物を添加した。コーティングが剥
がされた不純物を含まない廃棄材料及び添加物を、室温、例えば、約20~約25℃で4時間
、2バール(2000kPa)の水素圧で反応回転混合容器内に維持した。次いで、得られた水素
化物混合物を現場で550~600℃に加熱して該水素化物混合物を部分的に脱気した。1%ス
テアリン酸亜鉛を、ローラーミルを用いて、脱気した粉末と30分間混合して、該脱気した
粉末を潤滑化した。脱気した粉末を、約2.5μm以下の平均粒径に達するまで、更なる均質
化のためにアルゴン雰囲気下で1.5時間ジェット粉砕した。得られた粒子を配向して圧縮
し、焼結し、焼きなましし、そして消磁した。約1050℃~約1100℃の消磁温度を5時間維
持し、続いて600℃で3時間加熱処理した。
【0146】
ICP、元素分析、及び透磁率計試験を、新しいNd-Fe-B焼結製品に対して行った。新しい
Nd-Fe-B焼結製品の組成及び磁気特性がそれぞれ、表2A及び表2Bに示されている。
【0147】
この例では、希土類元素添加物RE、例えば、Nd/Prの元素組成を現場で調製して、廃棄
材料を用いて水素化物粉末ブレンドを形成した。REの添加は、例えば、
図5を参照して説
明されたステップS20、S30、S40、S50の最中に廃棄開始材料から除去された希土類酸化物
又は粒界表面積相(grain boundary surface area phase)の計算上の減少を補った。部
分的に脱気された希土類水素化物の添加は、選択的に増加される結晶粒界相が形成される
焼結中に、固体状態の拡散を補助することができ、かつ/又は水素化物粉末内の酸素の量
を低減することができる。言い換えれば、新たに形成される磁石の微細構造は、開始材料
と比較すると変更される。例えば、再生プロセスは、希土類元素添加物が、例えば、NdPr
H
3を生成するプロセスガスのH
2成分を吸収するときに粒界の回復及び改善を利用し、この
吸収の後、該NdPrH
3は、焼結中に変換されて、酸素を含まないNdPrに戻される。従って、
粒界の回復及びNd
2Fe
14B成分との反応が、新たに形成される微細構造及び元素組成を構成
し、これにより、得られるNd-Fe-B焼結磁石が、Br、iHc、BHmax、又はこれらの2つ以上の
組み合わせを含む、廃棄開始材料と同等以上の特性を有し得る。
【0148】
一部の例では、希土類RE添加物成分は、Ndリッチ相のみを備える得られるNd-Fe-B磁石
に粒界リッチ相を回復及び形成することによって粒界に沿って拡散することができ、表3B
を参照してより詳細に説明されるように保磁力及び残留磁気力が低下する。
【0149】
廃棄磁石からの希土類RE元素の希土類割合を、主要なNd2Fe14Bマトリックス相への新た
な添加によって置き換えることができる。一部の実施では、希土類RE添加物は、廃棄磁石
からの材料と一緒に焼結することにより、希土類RE成分を拡散させて、粒界に沿って選択
的に進入させることができる。元の廃棄磁石開始材料の保磁力に相当する保磁力を、ごく
微量の新しい希土類材料の使用により再生焼結磁石で回復させる又は改善することができ
る。例えば、開始廃棄材料と比較すると優れた特性を有する新しい再生Nd-Fe-B製品を製
造することができる。
【0150】
磁気特性を、BHmax(エネルギー積)、iHc(保磁度)、及びBr(残留磁気)として表に
列記する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0151】
(実施例2)
EOL磁石開始材料は、磁化形態で供給された。EOL磁石は、当初はEOL製品内のFe基材に
取り付けられていた。磁石を消磁して、上でより詳細に説明された周期的な加熱プロセス
を用いてFe基材から分離した。実施例1で開示された再生ステップを使用して、混合EOL磁
石を処理して、新しいフルデンスNd-Fe-B焼結磁石製品を形成した。
【0152】
1%の添加物、例えば、Ndx/Pryを、表3A及び表3Cに示されている添加物の列に示されて
いるように廃棄磁石に添加した。廃棄磁石を、ICP、元素分析、及び透磁率計によって特
徴付けた。開始廃棄材料及び新しいNd-Fe-B焼結製品の組成及び磁気特性がそれぞれ、表3
A及び表3B、並びに表3C及び表3Dに示されている。
【0153】
磁気特性及び対応する密度を、BHmax(エネルギー積)、iHc(保磁度)、及びBr(残留
磁気)として表3A~表5Bに列記する。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0154】
(実施例3)
廃棄開始材料の磁石を、ICP及び浸透率計によって特徴付けた。この特徴付けについて
は、表4A及び表4Bをそれぞれ参照されたい。0.5~8%のNd、Dy、Co、Cu、及びFe添加物を
、表5A及び表5Bの添加物の列に示されているように廃棄磁石に添加した。新しいNd-Fe-B
焼結製品の組成及び磁気特性はそれぞれ、表5A及び表5Bに示されている。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0155】
表2B及び表3Bから、Nd/Pr元素添加物を使用して、残留磁気の回復を制御し、かつ得ら
れる再生焼結磁石の保持度を向上させることができることが分かる。具体的には、元素添
加物中のNdの純度が低ければ低いほど、得られる再生焼結磁石の高い保持度が回復する。
より多くのPrが元素添加物に添加されると-元素添加物中に存在するNdの百分率の低下に
一致して-得られる再生焼結磁石の保磁度は上昇するが、残留磁気は僅かに低下する。
【0156】
同様に、再生焼結磁石の保磁度及び残留磁気は、表5Bに示されているように、Nd、Dy、
Co、Cu、及びFe添加物の百分率を変更することによって操作することができる。例えば、
表5Bから、添加物の百分率が増加すると、保磁度の上昇に対応して、残留磁気が低下する
ことが分かる。従って、添加物の低い百分率、例えば、0.5%の添加物は、得られる再生
焼結磁石の残留磁気を完全に回復させ得るが、添加物の高い百分率、例えば、8%の添加
物は、残留磁気を低下させ得る。添加物の百分率が高いと、表4Bの廃棄開始材料と比較す
ると、保磁度の値が少なくとも約30%~約80%上昇し(表5Bを参照)、この上昇は、新し
い再生焼結Nd-Fe-B製品で達成することができる。
【0157】
再生される廃棄磁石は、可能な組成の範囲に適合する。例えば、廃棄磁石の組成は、少
なくとも72%のFe、7~20%の範囲のNd、少なくとも2%のPr、少なくとも5.6%のB、及び
少なくとも0.1%のAlの第1の磁石廃棄材料を含み得る。一部の実施では、第1の磁石廃棄
材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1
.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも1つを含む。
一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.
07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3
%のNiの少なくとも2つを含む。一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0
~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%
のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも3つを含む。
【0158】
一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~
2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.
3%のNiの少なくとも4つを含む。一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0
~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%
のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも5つを含む。一部の実施では、第1の
磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%の
Ga;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも6つ
を含む。
【0159】
一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~
2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.
3%のNiの少なくとも7つを含む。一部の実施では、第1の磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0
~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%
のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも8つを含む。一部の実施では、第1の
磁石廃棄材料は、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%の
Ga;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも9つ
を含む。
【0160】
一部の実施では、上記の実施のいくつかは、0~5%のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;
0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0
~0.3%のNiの少なくとも1つを含む。一部の実施では、上記の実施のいくつかは、0~5%
のDy;0~4%のCo;0~0.3%のCu;0~2.07%のTb;0~0.19%のGa;0~1.25%のGd;0~
0.14%のTi;0~0.3%のZr;及び0~0.3%のNiの少なくとも1つを含む。
【0161】
一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.
1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%
のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも1つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、
0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0
.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なく
とも2つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~
0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi
;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも3つを含む。
【0162】
一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.
1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%
のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも4つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、
0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0
.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なく
とも5つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~
0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi
;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも6つを含む。
【0163】
一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.
1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%
のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも7つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、
0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0
.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なく
とも8つを含む。一部の実施では、磁石廃棄材料は、0.1~5%のDy;0.1~4%のCo;0.1~
0.3%のCu;0.1~2.07%のTb;0.01~0.19%のGa;0.01~1.25%のGd;0.01~0.14%のTi
;0.01~0.3%のZr;及び0.01~0.3%のNiの少なくとも9つを含む。
【0164】
一部の実施では、本明細書に記載の廃棄磁石の組成は、Dy、Co、Cu、Tb、Ga、Gd、Ti、
Zr、Ni、又はこれらの組み合わせの1つ以上を微量含む。一部の実施では、本明細書に記
載の廃棄磁石の組成は、Dy、Co、Cu、Tb、Ga、Gd、Ti、Zr、Ni、又はこれらの組み合わせ
の1つ以上の不純物を含む。一部の実施では、本明細書に記載の廃棄磁石の組成は、約0.1
%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、又は1%未満のDy、Co、Cu、Tb、Ga、Gd、Ti、Zr、Ni
、又はこれらの組み合わせの1つ以上を含む。一部の実施では、本明細書に記載の廃棄磁
石の組成は、Dy、Co、Cu、Tb、Ga、Gd、Ti、Zr、Ni、又はこれらの組み合わせの1つ以上
を含まない。一部の実施では、本明細書に記載の廃棄磁石の組成は、本明細書に示される
あらゆる範囲を含む、該あらゆる範囲から実質的になる、又は該あらゆる範囲からなる。
【0165】
表6は、一部の実施による他の可能な再生磁石材料を定義する材料の組み合わせを示し
ている。
【表13】
【0166】
一部の実施では、組成の範囲が上の表で定義されている廃棄磁石材料を、混合の前、最
中、又は後で一定量の希土類元素添加物と組み合わせて、該希土類元素添加物由来の約0.
5~約8at%の磁性粉末を含む最適な磁性粉末混合物を生成することができる。一部の実施
では、元素添加物の量は、希土類元素添加物の元素成分の少なくとも1つが、最初のプロ
セシングステップ中に廃棄磁石開始材料から失われる元素と同じ元素であり、失われる量
と少なくとも同じ量であるような量である。一部の実施では、元素添加物の量は、希土類
元素添加物の元素成分の少なくとも1つが、最初のプロセシングステップ及び更なるプロ
セスステップ中に廃棄磁石開始材料から失われる元素と同じ元素であり、この失われる量
と等しい量であるような量である。失われた材料の量を決定するために、廃棄磁石開始材
料のサンプルを処理して、ICPを用いて分析して、希土類元素の構成成分の変化を決定す
ることができる。例えば、元素Ndの濃度の減少は0.7%であり得る。この場合、1%添加Nd
(0.70)Pr(0.25)(0.05は他の物質)元素添加物が、再生Nd-Fe-B焼結磁石製品の元の
粒界リッチ相を回復させるのに有効であろう。一部の例では、Ndの濃度の減少が0.7%で
ある場合、Nd、Pr、及びDyの合計量が、得られるNd-Fe-B焼結製品で18%を超えないよう
に、元素添加物の2倍、例えば、2%を添加することができる。
【0167】
次の式は、一部の実施を更に説明する:廃棄磁石開始材料中のR=s(Nd)+s(Pr)+s
(Dy); 第19段落で定義されたように、最終Nd-Fe-B製品中でT=f(Nd)+f(Pr)+f(
Dy);及び添加される未使用材料V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]、式中、最終製品の0.1
≦p+q+r≦最終製品の19at%であり、T≧最小値(R、18at%)である。例示のために、
次の例を考慮に入れる:廃棄磁石開始材料中のNd、Pr、及びDyの原子百分率の値がそれぞ
れ、9.77、2.96、及び0.92である場合、対応する値を式R=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy)に
代入すると、R=9.77+2.96+0.92、又はR=13.65となる。同じ例では、新しい再生Nd-Fe-
B焼結磁石中のNd、Pr、及びDyの原子百分率の値がそれぞれ、10.74、3.26、及び0.91であ
り得る。新しい再生Nd-Fe-B焼結磁石の値を式T=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy)に代入すると
、T=10.74+3.26+0.91、又はT=14.91である。同じ例で、未使用材料が再生プロセス中
に添加される場合、該未使用材料は、原子百分率の値がそれぞれ、0.2、0.3、及び0.4のN
d、Pr、及びDyを含み、式V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]により、V=0.2+0.3+0.4、又
はV=0.9となる。未使用材料の式、又はVは、2つの制約を受ける:最終製品の0.1%≦p+
q+r≦最終製品の19%であり、T≧最小値(R、18at%)である。本発明者らの例では、p
+q+r=0.9%、これは、第1の制約:p+q+rの値が0.1%以上、かつ19%以下でなければ
ならないこと、を満たす。この例は、未使用材料の式の第2の制約:Tが、一連のR又は18
の最小値以上であること、も満たす。この例では、Tは14.91であり、一連のR又は18の最
小値がRであり、このRは13.65であるため、Tは、一連のR又は18の最小値以上である。
【0168】
一部の実施では、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]であり、式中、最終製品の0.1≦p+q
+r≦最終製品の15at%であり、T≧最小値(R、18at%)である。一部の実施では、V=Nd
[p]+Pr[q]+Dy[r]であり、式中、最終製品の0.1≦p+q+r≦最終製品の12at%で
あり、T≧最小値(R、18at%)である。一部の実施では、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]
であり、式中、最終製品の0.1≦p+q+r≦最終製品の8at%であり、T≧最小値(R、18at
%)である。一部の実施では、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]であり、式中、最終製品の
0.1≦p+q+r≦最終製品の5at%であり、T≧最小値(R、18at%)である。一部の実施で
は、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]であり、式中、最終製品の0.1≦p+q+r≦最終製品の
3at%であり、T≧最小値(R、18at%)である。一部の実施では、V=Nd[p]+Pr[q]+
Dy[r]であり、式中、最終製品の0.1≦p+q+r≦最終製品の2at%であり、T≧最小値(R
、18at%)である。一部の実施では、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]であり、式中、最終
製品の0.1≦p+q+r≦最終製品の1at%であり、T≧最小値(R、18at%)である。
【0169】
一部の実施では、Xは、元の磁石から除去されたRE(Nd、Pr、Dy)のat%であり、p+q+
r≧Xである。一部の実施では、添加物は、最終再生Nd-Fe-B焼結製品中で、f(Nd)+f(P
r)>0であるような添加物であり、式中、fは、再生Nd-Fe-B焼結製品のat%百分率である
。一部の実施では、f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)≦18である。一部の実施では、f(Co)≦
3である。一部の実施では、f(Cu)≦0.3である。一部の実施では、f(Fe)+f(Co)≦7
7である。一部の実施では、f(Dy)+f(Nd)+f(Pr)≧Rである。
【0170】
一部の実施では、元素添加物は、Nd[0.1-19at%×s(Nd), x]Pr[0.1-19at%×s
(Pr), y]Dy[0.1-19%×s(Dy), z]Co[0, d]Cu[0, e]Fe[0, f]であり、式中
、[m, n]は、最小のmから最大のnまでの範囲を意味し;s(t)は、開始組成中の元素t
の原子百分率であり、f(t)は、最終組成中の元素tの原子百分率であり、x=18-[81,
99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));y=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s
(Pr)+s(Dy));z=18-[81, 99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));d=3
-[81, 99.9]at%×s(Co);e=0.3-[81, 99.9]at%×s(Cu);f=77-[81, 99.
9]at%×(s(Fe)+s(Co))である。
【0171】
一部の実施では、(i)最終製品の0.1≦p+q+r≦19at%の範囲であり、かつT≧最小値
(R、18)である必要がある未使用材料、例えば、NdpPrqDyr、式中、T=f(Nd)+f(Pr)
+f(Dy)及びR=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy);(ii)p+q+r≧X、式中、Xは元の磁石か
ら除去されたRE(Nd、Pr、Dy)のat%である;(iii)T≦18%;(iv)f(Nd)+f(Pr)
>0、式中、fは最終製品のat%百分率である;(v)f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)≦18;(
vi)f(Co)≦3;(vii)f(Cu)≦0.3;(viii)f(Fe)+f(Co)≦77;及び(ix)f(
Dy)+f(Nd)+f(Pr)≧R。
【0172】
一部の実施では、方法は、0.1~19wt%の1つ以上の希土類元素添加物の組成物への添加
、又は本明細書に記載の方法を提供する。別の態様では、方法は、約0.1wt%、約0.2wt%
、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、
約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14
wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、若しくは約19wt%の1つ以上の元素添
加物又は1つ以上の元素添加物の組み合わせの組成物への添加、又は本明細書に記載の方
法を提供する。なお別の態様では、方法は、約0.1~0.5wt%、約0.1~1wt%、約0.5~1wt
%、約1~2wt%、約1~3wt%、約1~5wt%、約1~8wt%、約1~12wt%、約1~15wt%、約
1~19wt%、約2~4wt%、約2~6wt%、約2~12wt%、約2~19wt%、約3~5wt%、約3~8w
t%、約3~15wt%、及び約3~19wt%の1つ以上の元素添加物又は1つ以上の元素添加物の
組み合わせの組成物への添加、又は本明細書に記載の方法を提供する。
【0173】
一部の実施では、不可避の不純物を特定の物質と組み合わせることができる。
【0174】
本明細書に記載の主題及び機能的な工程の実施態様は、本明細書に開示される構造及び
その構造等価物を含む、デジタル電子回路、有形に実施されたコンピュータソフトウェア
若しくはファームウェア、コンピュータハードウェア、又はこれらの1つ以上の組み合わ
せとして実施することができる。本明細書に記載の主題の実施態様は、1つ以上のコンピ
ュータプログラム、即ち、データ処理装置によって実行するため、又は該データ処理装置
の動作を制御するための、有形の非一時的プログラムキャリア(tangible non transitor
y program carrier)に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュール
として実施することができる。あるいは又はこれに加えて、プログラム命令は、人工的に
生成される伝搬信号、例えば、適切な受信装置に送信されてデータ処理装置によって実行
される情報を符号化するために生成される機械生成電気信号、光学信号、又は電磁信号に
符号化することができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基
板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリ素子、又はこれらの1つ以上の組み合わせ
とすることができる。
【0175】
「データ処理装置」という語は、データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラ
マブルプロセッサ、コンピュータ、又はマルチプロセッサ若しくはマルチコンピュータを
含む、データ処理用のあらゆる種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。この装置は
また、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)又
はASIC(特定用途向け集積回路)とすることもできるし、又はこれらを更に含むこともで
きる。この装置は、ハードウェアに加えて、任意に、コンピュータプログラムの実行環境
を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベ
ース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの1つ以上の組み合わせを構
成するコードを含み得る。
【0176】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェ
アモジュール、スクリプト、若しくはコードと呼ばれる、又はこれらとして説明されるこ
ともあるコンピュータプログラムは、コンパイル型若しくはインタプリタ型言語、又は宣
言型若しくはプロシージャ型言語を含むあらゆる形式のプログラミング言語で書くことが
でき、かつ該コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュ
ール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピュータ環境で使用するのに適した
他のユニットとしての形式を含め、任意の形式で展開することができる。コンピュータプ
ログラムは、ファイルシステムのファイルに対応させることができるが、必ずしも対応さ
せる必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータ、例えば、マークアップ言語
ドキュメント、当該プログラムに専用の単一ファイル、又は複数の統合ファイル、例えば
、1つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの一部を保存するファイルに
保存された1つ以上のスクリプトを保持するファイルの部分に保存することができる。コ
ンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトにある、若しくは複
数のサイトに分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上
で実行するように展開することができる。
【0177】
本明細書に記載のプロセス及び論理の流れは、1つ以上のコンピュータプログラムを実
行して、入力データを操作して出力を生成することによって機能を果たす1つ以上のプロ
グラマブルプロセッサによって実行することができる。このプロセス及び論理の流れは、
専用論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、又はAS
IC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、かつ装置を、該専用論理回路
として実施することもできる。
【0178】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、例として、汎用マイクロプロ
セッサ、専用マイクロプロセッサ、若しくはこれらの両方、又はその他の種類の中央処理
装置が挙げられる。一般に、中央処理装置は、命令及びデータを、読み取り専用メモリ、
ランダムアクセスメモリ、又はこれらの両方から受信する。コンピュータの必須要素は、
命令を実施若しくは実行するための中央処理装置、並びに命令及びデータを保存するため
の1つ以上のメモリ素子である。一般に、コンピュータはまた、データを保存するための1
つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスク
を備えるか、又は該大容量記憶装置からデータを受信する、該大容量記憶装置にデータを
送信する、若しくは送受信の両方を行うように該大容量記憶装置に動作可能に接続される
。しかしながら、コンピュータは、このようなデバイスを必ずしも有する必要はない。更
に、コンピュータは、別のデバイス、例えば、2、3の例を挙げると、携帯電話、携帯情報
端末(PDA)、携帯オーディオ若しくはビデオプレーヤ、ゲーム機、全地球測位システム(G
PS)受信機、又は持ち運び型記憶装置、例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)
フラッシュドライブに組み込むこともできる。
【0179】
コンピュータのプログラム命令及びデータを保存するのに適したコンピュータ可読媒体
は、例として、半導体メモリ素子、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ素子
;磁気ディスク、例えば、内蔵型ハードディスク又はリムーバルディスク;磁気光学ディ
スク;及びCD ROMやDVD-ROMディスクを含むあらゆる形式の不揮発性メモリ、媒体、及び
メモリ素子を含む。このプロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完することも
できるし、又は該専用論理回路に組み込むこともできる。
【0180】
ユーザーとの対話を提供するために、本明細書に記載の主題の実施態様は、ユーザーに
情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)
モニタ、並びにユーザーがコンピュータに入力することを可能にするキーボード及びポイ
ンティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有する該コンピュータで実施
することができる。他の種類のデバイスを使用してユーザーとの対話を提供することもで
きる;例えば、ユーザーに供給されるフィードバックは、あらゆる形式の感覚フィードバ
ック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックとす
ることができる;かつユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む
あらゆる形式で受け取ることができる。加えて、コンピュータは、ユーザーによって使用
されるデバイスに対して文書を送受信することによって;例えば、ウェブブラウザから受
信したリクエストに応じてユーザーデバイスのウェブブラウザにウエブページを送信する
ことによって該ユーザーと対話することができる。
【0181】
本明細書に記載の主題の実施態様は、コンピュータシステムで実施することができ、該
コンピュータシステムは、バック・エンド・コンポーネントを、例えば、データサーバー
として含む、又はミドルウェア・コンポーネント、例えば、アプリケーションサーバーを
含む、又はフロント・エンド・コンポーネント、例えば、本明細書に記載の主題の実施と
ユーザーが対話することを可能にするグラフィカル・ユーザー・インターフェイス又はウ
ェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、又はこのようなバック・エンド
・コンポーネント、ミドルウェア・コンポーネント、若しくはフロント・エンド・コンポ
ーネントの1つ以上の任意の組み合わせを含む。このシステムのコンポーネントは、あら
ゆる形式又は媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続す
ることができる。通信ネットワークの例として、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN
)及びワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0182】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバーを含み得る。クライアントとサー
バーは、一般に互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワークを介して対話する。ク
ライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作し、かつ互いに対する
クライアントとサーバーの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。一部の
実施態様では、サーバーは、例えば、データを、クライアントとして機能するユーザーデ
バイスと対話しているユーザーに表示するため、及び該ユーザーからユーザー入力を受信
するために、データ、例えば、HTMLページを該ユーザーデバイスに送信する。例えば、ユ
ーザーとの対話の結果としてユーザーデバイスで生成されるデータを、サーバーで該ユー
ザーデバイスから受信することができる。
【0183】
1つのこのようなタイプのコンピュータの一例が、一般的なコンピュータシステム900の
概略図を示す
図9に示されている。システム900は、一実施に従って、既に記載されたコン
ピュータ実施方法のいずれかに関連して説明された作業に使用することができる。システ
ム900は、プロセッサ910、メモリ920、記憶装置930、及び入出力装置940を含む。構成要
素910、920、930、及び940のそれぞれは、システムバス950を用いて相互に接続されてい
る。プロセッサ910は、システム900内での実行のために命令を処理することができる。一
実施では、プロセッサ910は、シングルスレッドプロセッサである。別の実施では、プロ
セッサ910は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ910は、メモリ920又は記憶
装置930に保存された命令を処理して、ユーザーインターフェイスのグラフィック情報を
入出力装置940に表示することができる。
【0184】
メモリ920は、システム900内に情報を保存する。一実施では、メモリ920は、コンピュ
ータ可読媒体である。一実施では、メモリ920は、揮発性メモリユニットである。別の実
施では、メモリ920は、不揮発性メモリユニットである。
【0185】
記憶装置930は、システム900の大容量記憶を実現することができる。一実施では、記憶
装置930は、コンピュータ可読媒体である。様々な異なる実施では、記憶装置930は、フロ
ッピーディスク装置、ハードディスク装置、光学ディスク装置、又はテープ装置とするこ
とができる。
【0186】
入出力装置940は、システム900の入出力操作を実現する。一実施では、入出力装置940
は、キーボード及び/又はポインティングデバイスを含む。別の実施では、入出力装置940
は、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスを表示するためのディスプレイユニット
を含む。
【0187】
本明細書は、多数の特定の実施の詳細を含むが、これらは、いかなる発明の範囲又は請
求され得る範囲に対する制限と解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実
施態様に特有であり得る特徴の記載と解釈するべきである。個々の実施態様に関連して本
明細書に記載された特定の特徴は、単一の実施態様における組み合わせで実施することも
できる。逆に、単一の実施態様に関連して記載された様々な特徴は、複数の実施態様で別
個に、又は任意の適切な部分的な組み合わせで実施することもできる。更に、特徴を、特
定の組み合わせで機能するとして上記し、かつそのようなものとして最初に請求すること
さえできるが、請求される組み合わせの1つ以上の特徴は、場合によっては、この組み合
わせから削除することができ、かつ請求される組み合わせは、部分的な組み合わせ又は部
分的な組み合わせの変形形態を対象とすることができる。
【0188】
同様に、工程が、特定の順序で図面に記載されているが、これを、このような工程が、
所望の結果を達成するために、図示された特定の順序又は連続的な順序で実施する必要が
ある、又は例示された工程の全てを実施する必要があると解釈すべきではない。特定の状
況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。更に、上記の実施態様におけ
る様々なシステムのモジュール及び構成要素の分離は、全ての実施態様でこのような分離
が必要であると解釈すべきではなく、記載されたプログラムの構成要素及びシステムは、
一般に、単一のソフトウェア製品で1つにまとめる、又は複数のソフトウェア製品にパッ
ケージ化することができると解釈するべきである。
【0189】
これまでに主題の特定の実施態様が説明された。他の実施態様は、以下の特許請求の範
囲内である。例えば、請求項に記載のアクションは、異なる順序で実施しても、なお所望
の結果を達成することができる。一例として、添付の図面に記載のプロセスは、所望の結
果を達成するために、図示された特定の順序も、連続的な順序も必ずしも必要ではない。
場合によっては、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。
【0190】
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
再生Nd-Fe-B永久磁石を製造する方法であって:
廃棄磁石アセンブリ由来の磁性材料を、該廃棄磁石アセンブリの該磁性材料の、不活性
雰囲気における周期的な加熱及び冷却により消磁するステップと;
該消磁磁性材料を断片化して、第1又は第2の再生Nd-Fe-B粉末を形成するステップと;
該第1又は第2の再生Nd-Fe-B粉末を、(a) 少なくとも1つの希土類材料Rの粉体、及び(b)
少なくとも1つの元素添加物Aの粉体と混合し、任意に、結果として生じる粉末混合物を
均質化して、均質な粉末混合物を生成するステップであって、該希土類材料RがNd又はPr
の少なくとも1つを含み、かつ該元素添加物Aが、Dy、Co、Cu、及びFeの少なくとも1つを
含む、前記ステップと;
該均質な粉末混合物を焼結及び磁化して、1.98at%以下のレベルの酸素を含む再生Nd-F
e-B永久磁石を形成するステップと
を含み、ここで
該第1の再生Nd-Fe-B粉末が、約1μm~約2mmの平均粒径を有し、かつ
該第2の再生Nd-Fe-B粉末が、約1μm~約4μmの平均粒径を有し;かつ、該再生Nd-Fe-B
永久磁石が:
(a)該廃棄磁石アセンブリ由来の該廃棄磁石材料の残留磁気及び保磁度と少なくとも同
じである残留磁気及び保磁度;又は
(b)該廃棄磁石アセンブリ由来の該廃棄Nd-Fe-B磁石材料の保磁度よりも約0~約20%高
い保磁度;又は
(c)該廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気の約97%である残留磁気、及び、該廃棄磁石アセンブ
リ由来の該廃棄Nd-Fe-B磁石材料の保磁度よりも少なくとも30%高い保磁度;又は
(d)該廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気の約95%である残留磁気、及び、該廃棄磁石アセンブ
リ由来の該廃棄Nd-Fe-B磁石材料の保磁度よりも少なくとも80%高い保磁度;又は
(e)該廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気よりも約5%高い残留磁気、及び、該廃棄磁石アセン
ブリ由来の該廃棄Nd-Fe-B磁石材料の保磁度と少なくとも同じである保磁度
を示す、前記方法。
(構成2)
前記再生Nd-Fe-Bが、約1μm~約2mmの平均粒径を有する前記第1の再生Nd-Fe-B粉末であ
り、前記希土類材料Rの粉体及び前記元素添加物Aの粉体と混合されて、均質な粉末混合物
を生成する、構成1記載の方法。
(構成3)
前記再生Nd-Fe-Bが、約1μm~約4μmの平均粒径を有する前記第2の再生Nd-Fe-B粉末で
あり、前記希土類材料Rの粉体及び前記元素添加物Aの粉体と混合されて、均質な粉末混合
物を生成する、構成1記載の方法。
(構成4)
前記廃棄Nd-Fe-B磁石から消磁磁性材料を断片化して、第1又は第2の再生Nd-Fe-B粉末を
形成するステップが、約1μm~約2mmの平均粒径を有する第1の再生Nd-Fe-B粉末を形成す
るステップ、及びこの第1の再生Nd-Fe-B粉末を更に断片化及び均質化して、該第1の再生N
d-Fe-B粉末の酸素含有量よりも低い酸素含有量を有する該第2の再生Nd-Fe-B粉末を提供す
るように、ふるい分けにより該第1の再生Nd-Fe-B粉末の平均粒径よりも大きい粒子の画分
を除去することによって、約1μm~約4μmの平均粒径を有する第2の再生Nd-Fe-B粉末を形
成するステップを含む、構成3記載の方法。
(構成5)
前記第1の再生Nd-Fe-B粉末の平均粒径よりも大きい粒子の画分を除去することが、不活
性雰囲気中で行われる、構成4記載の方法。
(構成6)
前記不活性雰囲気が、アルゴンを含む、構成5記載の方法。
(構成7)
前記均質な粉末混合物を、前記元素添加物Aから選択される別の元素の粉体、又は前記
希土類材料Rから選択される別の元素の粉体、又はその両方と混合するステップを含む、
構成1記載の方法。
(構成8)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、該再生Nd-Fe-B永久磁石全体に広がっている複数の粒界領
域を含み、該複数の粒界領域が、前記廃棄Nd-Fe-B磁石の対応する粒界領域中に存在する
濃度よりも高い希土類材料R及び元素添加物Aの濃度を有する、構成1記載の方法。
(構成9)
前記希土類材料Rが、焼結中に酸素を含まないNdPrに変換するNdPrH
3
を含む、構成1記
載の方法。
(構成10)
前記希土類材料Rの粉体が、全均質な粉末混合物に対して0.1原子%~1原子%のレベル
で存在する、構成1記載の方法。
(構成11)
前記希土類材料Rの粉体が、Ndが25wt%でPrが75wt%の比率でNd及びPrを含む、構成1
記載の方法。
(構成12)
前記希土類材料Rの粉体、及び前記元素添加物Aの粉体が、前記再生Nd-Fe-B粉末と連続
的に混合されて、均質な粉末混合物を生成する、構成1記載の方法。
(構成13)
前記希土類材料Rの粉体、前記元素添加物Aの粉体、及び前記再生Nd-Fe-B粉末が、同時
に混合されて、均質な粉末混合物を生成する、構成1記載の方法。
(構成14)
前記断片化ステップ及び混合ステップが、同時に行われる、構成1記載の方法。
(構成15)
前記均質な粉末が、1~4μmの平均粒径を有する、構成1記載の方法。
(構成16)
約1μm~約2mmの平均粒径を有する前記第1の再生Nd-Fe-B粉末と、
前記希土類材料Rの粉体及び前記元素添加物Aの粉体と
を混合して、約1μm~約4μmの平均粒径を有する均質な粉末混合物を生成するステップを
含む、構成1記載の方法。
(構成17)
約1μm~約4μmの平均粒径を有する前記第2の再生Nd-Fe-B粉末と、
前記希土類材料Rの粉体及び前記元素添加物Aの粉体と
を混合して、約1μm~約4μmの平均粒径を有する均質な粉末混合物を生成するステップを
含む、構成1記載の方法。
(構成18)
前記均質な粉末混合物に潤滑剤を添加し、かつ該均質な粉末混合物を圧縮して圧粉体を
形成するステップと;
該圧粉体を約1000℃~約1100℃の温度で焼結するステップと;
該焼結圧粉体を約490℃~約950℃で加熱処理するステップと;
該加熱処理した圧粉体を15℃未満の不活性雰囲気に磁化して、再生Nd-Fe-B永久磁石を
形成するステップとを更に含む、構成1記載の方法。
(構成19)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、1.32~1.98at%の酸素を含む、構成1記載の方法。
(構成20)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、前記廃棄Nd-Fe-B磁石と少なくとも同じ残留磁気及び保磁
度を示す、構成1記載の方法。
(構成21)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、
(a) 前記廃棄Nd-Fe-B磁石の保磁度よりも約0~約20%高い保磁度;又は
(b) 前記廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気の約97%である残留磁気、及び該廃棄Nd-Fe-B磁石
の保磁度よりも少なくとも30%高い保磁度;又は
(c) 前記廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気の約95%である残留磁気、及び該廃棄Nd-Fe-B磁石
の保磁度よりも少なくとも80%高い保磁度;又は
(d) 前記廃棄Nd-Fe-B磁石の残留磁気よりも約5%高い残留磁気、及び該廃棄Nd-Fe-B磁
石の保磁度と少なくとも同じである保磁度
を示す、構成1記載の方法。
(構成22)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、5μm未満の平均粒径を有する、構成1記載の方法。
(構成23)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、2.5μm未満の平均粒径を有する、構成1記載の方法。
(構成24)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、約7.56g/cm
3
~約7.6g/cm
3
の密度を有する、構成1記載の
方法。
(構成25)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、3原子%以下の濃度でCoを含む、構成1記載の方法。
(構成26)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、0.3原子%以下の濃度でCuを含む、構成1記載の方法。
(構成27)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、77原子%以下の合計濃度でFe及びCoを含む、構成1記載
の方法。
(構成28)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、18原子%以下の合計濃度でNd、Dy、及びPrを含む、構成
1記載の方法。
(構成29)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、実質的にW
a
R
b
A
c
の組成を有することを特徴とし、
ここで、Wは、前記廃棄Nd-Fe-B磁石由来の消磁Nd-Fe-B材料に対応するNd-Fe-B材料の成
分を含み;
添え字a、b、及びcは、対応する成分又は元素の原子百分率に対応し;
a(t)は、該再生Nd-Fe-B永久磁石の組成に対するW中の元素tの原子百分率であり;
b(t)は、該再生Nd-Fe-B永久磁石の組成に対する前記希土類含有材料R中の元素tの原子
百分率であり;
c(t)は、該再生Nd-Fe-B永久磁石の組成に対する前記元素添加物A中の元素tの原子百分
率であり;かつ
a、b、c、a(t)、b(t)、及びc(t)が、
81at%≦a≦99.9at%、
0.1at%≦b≦19at%、
3at%-99.9%×a(Co)≦c(Co)≦3at%-81%×a(Co)、
0.3at%-99.9%×a(Cu)≦c(Cu)≦0.3at%-81%×a(Cu)、
77at%-99.9%×(a(Fe)+a(Co))≦c(Fe)≦77at%-81%×(a(Fe)+a(Co))、
a(Nd)+b(Nd)+c(Nd)+a(Pr)+b(Pr)+c(Pr)>0at%、
a(Nd)+b(Nd)+c(Nd)+a(Pr)+b(Pr)+c(Pr)+a(Dy)+b(Dy)+c(Dy)≦18at%、
a(Co)+b(Co)+c(Co)≦3at%、
a(Cu)+b(Cu)+c(Cu)≦0.3at%、
a(Fe)+b(Fe)+c(Fe)+a(Co)+b(Co)+c(Co)≦77at%、及び
b(Nd)+c(Nd)+b(Pr)+c(Pr)+b(Dy)+c(Dy)≧0at%
を満たす値を有する、構成1記載の方法。
(構成30)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石が、実質的にW
a
R
b
A
c
の組成を有することを特徴とし、
ここで、Wは、前記廃棄Nd-Fe-B磁石由来のNd-Fe-B材料を含み、かつ添え字a、b、及びc
は、対応する成分又は元素の原子百分率を含み、前記希土類材料R及び前記元素添加物Aが
:
Nd[0.1-19%×s(Nd), x]、
Pr[0.1-19%×s(Pr), y]、
Dy[0.1-19%×s(Dy), z]、
Co[0at%, d]、
Cu[0at%, e]、
Fe[0at%, f]
を満たし、
式中:
[m, n]が、最小区間mの第一の値から最大区間nの第二の値までの範囲を意味し;
s(t)が、開始組成中の元素tの原子百分率であり;
x=18at%-[81, 99.9]%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));
y=18at%-[81, 99.9]%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));
z=18at%-[81, 99.9]%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));
d=3at%-[81, 99.9]%×s(Co);
e=0.3at%-[81, 99.9]%×s(Cu);及び
f=77at%-[81, 99.9]%×(s(Fe)+s(Co))である、構成1記載の方法。
(構成31)
1以上の廃棄Nd-Fe-B磁石アセンブリから、下記によって消磁磁性材料を回収するステッ
プを更に含む、構成1記載の方法:
各廃棄Nd-Fe-B磁石アセンブリを、廃棄Nd-Fe-B磁石及び非磁石材料に物理的に分離する
ステップ;
各廃棄Nd-Fe-B磁石から残留するコーティング又は接着剤を除去するステップ;及び
各廃棄Nd-Fe-B磁石を消磁して、該廃棄Nd-Fe-B磁石から消磁磁性材料を形成するステッ
プ。
(構成32)
前記残留するコーティング又は接着剤を除去するステップが、前記廃棄Nd-Fe-B磁石に
、機械的な断片化若しくはひび入れ処理、又は化学的な処理の少なくとも1つを施すこと
を含む、構成31記載の方法。
(構成33)
前記コーティングが、前記廃棄Nd-Fe-B磁石の電解黒色エポキシ、Ni、Ni-Cu、Ni-Ni、N
i-Cu-Ni、又はZnコーティング層から選択される、構成32記載の方法。
(構成34)
前記各廃棄Nd-Fe-B磁石を消磁するステップが、周期的な、該廃棄Nd-Fe-B磁石のキュリ
ー温度までの加熱及び各廃棄Nd-Fe-B磁石の少なくとも100℃/秒のレートでの冷却を含む
、構成31記載の方法。
(構成35)
前記周期的な加熱及び冷却が、
各廃棄Nd-Fe-B磁石を該廃棄Nd-Fe-B磁石のキュリー温度まで加熱するステップと;
次いで、該廃棄Nd-Fe-B磁石を少なくとも100℃/秒のレートで冷却するステップと
を含む、構成1記載の方法。
(構成36)
前記再生Nd-Fe-B永久磁石中のNd、Pr、及びDyの合計原子百分率が、前記廃棄Nd-Fe-B磁
石中のNd、Pr、及びDyの合計原子百分率以上である、構成1記載の方法。
(構成37)
(a)前記希土類材料Rの粉体が、前記均質な粉末中に、均質な粉末混合物全体を基準とし
て0.1at%~1at%のレベルで存在し、
(b)前記希土類材料Rが、Ndが75wt%でPrが25wt%の比率で、
(i)Nd又は
(ii)Prの少なくとも一方を含み、かつ
(c)前記残留磁気及び前記保磁度が、前記廃棄磁石アセンブリ由来の廃棄磁石部分と少
なくとも同じである、構成1記載の方法。
(構成38)
前記第1又は第2の再生Nd-Fe-B粉末が、1.98at%以下のレベルの酸素を含む、構成1記
載の方法。
(構成39)
前記第1の再生Nd-Fe-B粉末が、1.98at%以下のレベルの酸素を含む、構成16記載の方
法。
(構成40)
前記第2の再生Nd-Fe-B粉末が、1.98at%以下のレベルの酸素を含む、構成17記載の方
法。
特許請求の範囲は次の通りである。