(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】導電性繊維ユニット及びこれを備えた生体信号検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/273 20210101AFI20241114BHJP
A61B 5/27 20210101ALI20241114BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B5/273
A61B5/27
A61B5/256
(21)【出願番号】P 2022076908
(22)【出願日】2022-05-09
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391057410
【氏名又は名称】行田電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】小橋 康彦
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/230730(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185076(US,A1)
【文献】国際公開第2019/098184(WO,A1)
【文献】特開2019-135003(JP,A)
【文献】特開2014-226172(JP,A)
【文献】特開2015-016166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25-5/398
A41D 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記接続用繊維を前記電線の前記露出部の外周に結ぶことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項2】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、
前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部の外周に結び又は螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項3】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、
前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項4】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記接続用繊維を前記電線の前記露出部の外周にひと結びし、かつ、該露出部を該接続用繊維の外周にひと結びすることで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項5】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、
前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周に螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項6】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、
前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周に結ぶことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項7】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、
前記ループ部は、前記被覆部側に折り返され、
前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部の外周に結び又は螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項8】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、
前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項9】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、
前記ループ部は、前記被覆部側に折り返され、
前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項10】
1本又は複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、
前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周にひと結びし、かつ、該露出部を該接続用繊維の外周にひと結びすることで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項11】
複数本の導電性繊維で構成され
て生体信号を検出する電極として機能するシート状の導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、
前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、
前記電線の前記露出部を前記導電性繊維体にランニングステッチで縫い付けて該露出部の縫い終わり端部を前記被覆部側に折り返すことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、
前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1つに記載の導電性繊維ユニットであって、
前記絶縁被覆部材は、加熱されることで収縮する熱収縮チューブから構成されていることを特徴とする導電性繊維ユニット。
【請求項13】
請求項1から請求項11までのいずれか1つに記載の導電性繊維ユニットを衣
服に取り付けて構成され、該衣服の着用者である生体が発する生体信号を検出する生体信号検出装置であって、
前記導電性繊維体は、前記生体信号を検出する電極として機能することを特徴とする生体信号検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性繊維ユニット及びこれを備えた生体信号検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体電極を衣服に取り付けた衣服型のウェアラブルデバイスが提案されている(特許文献1参照)。生体電極は、例えば、基材となる繊維の外表面に金属を被覆してなる導電性繊維から構成されている。このような導電性繊維を電線に接続する態様として、例えば、スナップを用いた接続(特許文献2参照)、コネクタを用いた接続(特許文献3参照)等が考え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114302号公報
【文献】実開平1-135699号公報
【文献】特開2021-79138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなスナップ又はコネクタを衣服型のウェアラブルデバイスに適用した場合、着用者に異物感を与え、故に着用感が劣ってしまうという問題があった。
【0005】
また、上記のようなスナップ又はコネクタを用いた接続の代わりに導電性繊維を電線に圧着して接続した場合、導電性繊維が潰れ、故に接触抵抗が不安定になってしまうという問題があった。
【0006】
さらに、導電性繊維を電線にはんだ付けをして接続した場合、導電性繊維が溶けてしまうという問題があった。
【0007】
上記の問題点を解決するためには、一見、一層のこと電線を排除してしまい、導電性繊維を延長させて電線として用いることが効果的なように思われた。しかし、導電性繊維は伸縮により抵抗値の変化を生じるという性質を有するところ、導電性繊維を延長させると、導電性繊維を通る電気信号のノイズが増幅してしまうことから、導電性繊維を電線として用いることは実用性に乏しいという問題があった。また、電線間の絶縁を確保するという点からも、導電性繊維を電線として用いることは実用性に乏しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、異物感を生じることなく、導電性繊維を電線に安定的に接続することができる導電性繊維ユニット及びこれを備えた生体信号検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の第1の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記接続用繊維を前記電線の前記露出部の外周に結ぶことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0011】
本開示の第2の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部の外周に結び又は螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0013】
本開示の第3の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0014】
本開示の第4の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記接続用繊維を前記電線の前記露出部の外周にひと結びし、かつ、該露出部を該接続用繊維の外周にひと結びすることで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0015】
本開示の第5の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周に螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0016】
本開示の第6の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周に結ぶことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0017】
本開示の第7の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、前記ループ部は、前記被覆部側に折り返され、前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部の外周に結び又は螺旋に巻回することで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0018】
本開示の第8の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0019】
本開示の第9の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように該露出部にはんだ付けすることでループ部が形成され、前記ループ部は、前記被覆部側に折り返され、前記接続用繊維を前記ループ部における前記露出部に撚り合わすことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記ループ部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0020】
本開示の第10の導電性繊維ユニットは、1本又は複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能する導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記導電性繊維体は、前記電線に接続される接続用繊維を有し、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を前記被覆部側に折り返すことで折返し部が形成され、前記接続用繊維を前記折返し部における前記露出部の外周にひと結びし、かつ、該露出部を該接続用繊維の外周にひと結びすることで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記折返し部及び前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0022】
本開示の第11の導電性繊維ユニットは、複数本の導電性繊維で構成されて生体信号を検出する電極として機能するシート状の導電性繊維体と、電線と、を備えた導電性繊維ユニットであって、前記電線は、被覆部と、少なくとも一端部で露出する露出部と、を有し、前記電線の前記露出部を前記導電性繊維体にランニングステッチで縫い付けて該露出部の縫い終わり端部を前記被覆部側に折り返すことで、前記導電性繊維体を前記電線に接続する接続部が形成され、前記接続部は、絶縁被覆部材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0023】
前記導電性繊維ユニットにおいて、前記絶縁被覆部材は、加熱されることで収縮する熱収縮チューブから構成されていてもよい。
【0024】
本開示の生体信号検出装置は、前記導電性繊維ユニットを衣服に取り付けて構成され、該衣服の着用者である生体が発する生体信号を検出する生体信号検出装置であって、前記導電性繊維体は、前記生体信号を検出する電極として機能することを特徴とするものである。
【0025】
上記の発明は、いずれも、スナップ又はコネクタを用いずに導電性繊維を電線に直接的に接続するものであることから、上記のいずれの発明においても、上記従来の接続で生じていた異物感を解消することができる。また、上記の発明は、いずれも、導電性繊維を電線に圧着することも導電性繊維を電線にはんだ付けすることもなく、導電性繊維を電線に接続するものであることから、上記のいずれの発明においても、圧力又は熱による導電性繊維の損傷が回避され、ひいては、導電性繊維を電線に安定的に接続することができる。従って、上記の発明は、いずれも、「異物感を生じることなく、導電性繊維を電線に安定的に接続することができる」という「発明の先行技術に対する貢献」を明示する技術的特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、異物感を生じることなく、導電性繊維を電線に安定的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態1における生体信号検出装置が取り付けられた衣服の着用状態を示す概略正面図である。
【
図2】
図1の衣服の着用状態を示す概略背面図である。
【
図3】実施形態1における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図4】導電性繊維体をシート状電極に縫い付けた状態を示す概略図である。
【
図5】実施形態2における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図6】実施形態3における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図7】実施形態4における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図8A】実施形態5における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図8B】接続用繊維をループ部における露出部に撚り合せる途中の様子を示す概略図である。
【
図9】実施形態6における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図10】実施形態7における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図11】実施形態8における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図12】実施形態9における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図13】実施形態10における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図14】実施形態11における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図15】実施形態12における導電性繊維ユニットの一部を示す概略図である。
【
図16A】実施形態13における導電性繊維ユニットの一部を示す概略平面図である。
【
図17】導電性繊維体を縫合部材でシート状電極に縫い合わせた状態を示す概略図である。
【
図18】導電性繊維体を布地と一体的に織り上げた状態を示す概略図である。
【
図19A】実施形態14における導電性繊維ユニットの一部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態1~14について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。また、実施形態2~14については、実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における生体信号検出装置Bが取り付けられた衣服Aの着用状態を示す概略正面図である。
図2は、
図1の衣服Aの着用状態を示す概略背面図である。
【0030】
実施形態1について、導電性繊維ユニット10~13が生体信号検出装置Bに適用される例を用いて説明する。
【0031】
生体信号検出装置Bは、衣服Aの着用者Pである生体が発する生体信号を検出するものである。生体信号として、例えば、筋電位、心電位等が挙げられる。生体信号検出装置Bは、複数の導電性繊維ユニット10~13と、通信部Cと、を衣服Aに取り付けて構成されている(
図1、
図2参照)。衣服Aは、例えば、ポリエステル、ポリアミド、レーヨン等の化学繊維、綿や羊毛等の天然繊維を用いて構成されている。
【0032】
導電性繊維ユニット10~13は、着用者Pの左右腕部及び左右胸部でそれぞれ生体信号を検出するものである。導電性繊維ユニット10~13は、通信部Cに接続されている(
図1、
図2参照)。導電性繊維ユニット10~13の構成は、寸法比率等を除いて同じであり、詳細については後に説明する。
【0033】
通信部Cは、導電性繊維ユニット10~13が検出した生体信号を外部装置等に送信するものであり、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の通信網を介して外部装置等と通信を行うためのインターフェースを含んで構成されている。通信部Cは、衣服Aの内面側で導電性繊維ユニット10~13に接続されている。通信部Cは、例えば、着用者Pの背面側等のように、衣服Aにおいて着用者Pの動作に支障をきたさない位置に配されている。
【0034】
続いて、導電性繊維ユニット10~13の構成について、導電性繊維ユニット10を代表として用いて説明する。
【0035】
図3は、実施形態1における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0036】
本実施形態において、導電性繊維ユニット10は、複数本の導電性繊維で構成されたシート状の導電性繊維体2と、電線3と、を備えている(
図3参照)。シート状とは、布帛状(織物状)、ニット状(編物状、例えば、天竺状)等を含む概念である。導電性繊維として、例えば、基材繊維の表面に金属被膜が形成されたもの、炭素材料で形成されたもの、繊維内部に炭素材料、金属酸化物等が練り込まれたもの等が挙げられる。
【0037】
本実施形態において、導電性繊維体2は、衣服Aの内面側に配されており(
図1、
図2参照)、着用者Pである生体が発する生体信号を検出する電極として機能する。導電性繊維体2は、衣服Aに縫い糸で縫い付けられてもよいし、衣服Aに設けたポケット等の内部に収容されていてもよい。
【0038】
本実施形態において、導電性繊維体2は、電線3に接続される接続用繊維20を有している(
図3参照)。接続用繊維20は、導電性繊維体2から引き出された繊維束からなり、後述する接続部4で電線3の一端部に接続されている。
【0039】
電線3は、例えば、螺旋状に巻回された電線であり、伸縮性に優れた所謂伸縮電線である。電線3は、衣服Aの内面側を這うように配線されている(
図1、
図2参照)。電線3は、例えば、衣服Aにおける布端をテープ状の布で包んで設けたパイピング等の内部に収容されていてもよい。また、通信部Cが衣服Aの外面側で導電性繊維ユニット10~13に接続される場合には、電線3は、衣服Aに設けた通風孔等を通って、衣服Aの内面側から外面側に配線されていてもよい。
【0040】
電線3は、被覆部30と、一端部で露出する露出部31と、を有している(
図3参照)。電線3の他端部は、生体信号検出装置Bの通信部Cに接続されている。
【0041】
接続部4は、導電性繊維体2を電線3に接続する部分である。本実施形態において、接続部4は、接続用繊維20を電線3の露出部31の外周に螺旋に巻回することで形成されている(
図3参照)。
【0042】
接続用繊維20の巻回のピッチ及び巻回の内径は、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても電線3の露出部31が接続用繊維20から抜脱しない程度に設定されていればよく、以下の実施形態7においても同様である。
【0043】
接続用繊維20の端部21は、ビニルテープ等で電線3に固定されていてもよい。
【0044】
接続部4は、絶縁被覆部材9で被覆されている。本実施形態において、絶縁被覆部材9は、加熱されることで収縮する熱収縮チューブから構成されている。これにより、接続部4の絶縁性を確保しつつも接続部4をコンパクト化することができる。
【0045】
なお、上記説明した例に限られず、導電性繊維ユニット10は、1本の導電性繊維で構成されていてもよい。
【0046】
また、導電性繊維体2を構成する導電性繊維のすべてが接続用繊維20として電線3に接続されてもよい。この場合であっても、接続部4の態様は上記となんら変わらない。
【0047】
上記説明した例のほか、導電性繊維体2を糸状電極として用いることが可能である。また、導電性繊維体2を、複数枚のシート状物を縫い合わせる縫い糸として用いることが可能である。
【0048】
図4は、導電性繊維体2をシート状電極Eに縫い付けた状態を示す概略図である。
【0049】
図4に示すように、導電性繊維体2を、縫い糸のようにしてシート状電極Eに縫い付けることで、シート状電極Eと電線3とを接続する接続部材として用いることが可能である。
図4において、符号22は、導電性繊維体2をシート状電極Eに縫い付けることで形成されたステッチ部22を示している。
【0050】
なお、導電性繊維ユニット10は、上記説明した生体信号検出装置Bに適用される例に限られず、幅広く適用可能である。
【0051】
例えば、導電性繊維ユニット10を、着用者P等のユーザの動きを検知する手段として用いることが可能である。具体的には、導電性繊維は伸縮により抵抗値の変化を生じるという性質を有するところ、当該性質を利用して、導電性繊維ユニット10の導電性繊維体2を、ユーザの動きに伴い伸縮することでユーザの動きを検知するセンサとして用いることができる。
【0052】
また、例えば、導電性繊維ユニット10を、水分を検知する手段として用いることが可能である。具体的には、導電性繊維は水分との接触により抵抗値の変化を生じるという性質を有するところ、当該性質を利用して、導電性繊維ユニット10の導電性繊維体2を、水分と接触することで水分を検知するセンサとして用いることができる。同様に、導電性繊維ユニット10を、着用者P等のユーザの発汗、出血等を検知する手段として用いることが可能である。
【0053】
さらに、例えば、導電性繊維が有する、通電により発熱するという性質を利用して、導電性繊維ユニット10を発熱手段として用いることが可能である。
【0054】
その他、導電性繊維ユニット10は、導電性繊維体2を構成する導電性繊維を利用したものに幅広く適用可能である。
【0055】
(実施形態2)
図5は、実施形態2における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0056】
実施形態2において、接続部4は、接続用繊維20を電線3の露出部31の外周に結ぶことで形成されている(
図5参照)。
【0057】
接続用繊維20の結び方は、例えば、ひと結び、コイル結び等のように、接続用繊維20を電線3の露出部31の外周に括り付けることができる結び方であればよい。本明細書において、「ひと結び」とは、
図5に示すような、接続用繊維20を電線3の露出部31周りに1周回して結び用ループ23を形成し、結び用ループ23の開口部24に接続用繊維20を通す結び方のことを指す。結び目の固さは、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても電線3の露出部31が接続用繊維20から抜脱しない程度であればよく、以下の実施形態8においても同様である。
【0058】
(実施形態3)
図6は、実施形態3における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0059】
実施形態3において、電線3の露出部31を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように露出部31にはんだ付けすることでループ部5が形成されている(
図6参照)。
図6において、網掛けは、はんだ付けの領域を示している。
【0060】
ループ部5の周長は、例えば、3~15mm程度に設定されており、以下の実施形態5、実施形態9及び実施形態11においても同様である。
【0061】
実施形態3において、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31の外周に結ぶことで形成されている。
【0062】
接続用繊維20の結び方は、例えば、ひと結び、コイル結び等のように、接続用繊維20をループ部5における露出部31の外周に括り付けることができる結び方であればよい。結び目の固さは、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても電線3の露出部31が接続用繊維20から離脱しない程度であればよく、以下の実施形態9においても同様である。
【0063】
なお、図示しないが、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31の外周に螺旋に巻回することで形成されていてもよい。この場合、接続用繊維20の巻回のピッチ及び巻回の内径は、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても電線3の露出部31が接続用繊維20から離脱しない程度に設定されていればよく、以下の実施形態9においても同様である。
【0064】
上記のように形成されたループ部5及び接続部4は、絶縁被覆部材9で被覆されており(
図6参照)、以下の実施形態5においても同様である。
【0065】
(実施形態4)
図7は、実施形態4における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0066】
実施形態4において、接続部4は、接続用繊維20を電線3の露出部31に撚り合わすことで形成されている(
図7参照)。換言すると、接続部4は、接続用繊維20と電線3の露出部31とを重ね合わせて一括で捻じることで形成されている。
【0067】
接続用繊維20と電線3との撚り合わせの程度は、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても接続用繊維20と電線3の露出部31とが互いに離脱しない程度であればよく、以下の実施形態10においても同様である。
【0068】
(実施形態5)
図8Aは、実施形態5における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
図8Bは、接続用繊維20をループ部5における露出部31に撚り合せる途中の様子を示す概略図である。
【0069】
実施形態5において、電線3の露出部31を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように露出部31にはんだ付けすることでループ部5が形成されている(
図8A参照)。
図8A及び
図8Bにおいて、網掛けは、はんだ付けの領域を示している。
【0070】
実施形態5において、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31に撚り合わすことで形成されている(
図8A参照)。具体的には、接続部4は、接続用繊維20をループ部5の開口部50に挿通させて一括で捻じることで形成されている(
図8A、
図8B参照)。
【0071】
接続用繊維20とループ部5における露出部31との撚り合わせの程度は、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても接続用繊維20と電線3の露出部31とが互いに離脱しない程度であればよく、以下の実施形態11においても同様である。
【0072】
(実施形態6)
図9は、実施形態6における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0073】
実施形態6において、接続部4は、接続用繊維20を電線3の露出部31の外周にひと結びし、かつ、露出部31を接続用繊維20の外周にひと結びすることで形成されている(
図9参照)。
図9において、符号4Aは、接続用繊維20を電線3の露出部31の外周にひと結びすることで形成された結び目4Aを示しており、符号4Bは、露出部31を接続用繊維20の外周にひと結びすることで形成された結び目4Bを示している。
【0074】
接続用繊維20の結び目の固さは、接続用繊維20又は電線3を手で引っ張ったとしても接続用繊維20と電線3の露出部31とが互いに離脱しない程度であればよく、以下の実施形態12においても同様である。
【0075】
(実施形態7)
図10は、実施形態7における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0076】
実施形態7において、電線3の露出部31を被覆部30側に折り返すことで折返し部6が形成されている(
図10参照)。折返し部6における露出部31の折返しの程度は、後述する接続部4が形成可能な程度であればよく、被覆部30に重なり合うか否かは問わず、以下の実施形態8、実施形態10及び実施形態12においても同様である。
【0077】
実施形態7において、接続部4は、接続用繊維20を折返し部6における露出部31の外周に螺旋に巻回することで形成されている(
図10参照)。
【0078】
上記のように形成された折返し部6及び接続部4は、絶縁被覆部材9で被覆されており(
図10参照)、以下の実施形態8、実施形態10及び実施形態12においても同様である。このように、折返し部6を設け、かつ、折返し部6及び接続部4を一括して絶縁被覆部材9で被覆することにより、導電性繊維体2を電線3に接続する接続部4がより複雑な構造となることから、導電性繊維体2を電線3により強固に接続することができる。
【0079】
(実施形態8)
図11は、実施形態8における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0080】
実施形態8において、電線3の露出部31を被覆部30側に折り返すことで折返し部6が形成されている(
図11参照)。
【0081】
実施形態8において、接続部4は、接続用繊維20を折返し部6における露出部31の外周に結ぶことで形成されている(
図11参照)。
【0082】
(実施形態9)
図12は、実施形態9における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0083】
実施形態9において、電線3の露出部31を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように露出部31にはんだ付けすることでループ部5が形成されている(
図12参照)。
図12において、網掛けは、はんだ付けの領域を示している。
【0084】
ループ部5は、被覆部30側に折り返されている。ループ部5の折返しの程度は、後述する接続部4が形成可能な程度であればよく、被覆部30に重なり合うか否かは問わず、以下の実施形態11においても同様である。
【0085】
実施形態9において、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31の外周に結ぶことで形成されている(
図12参照)。
【0086】
なお、図示しないが、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31の外周に螺旋に巻回することで形成されていてもよい。
【0087】
上記のように形成されたループ部5及び接続部4は、絶縁被覆部材9で被覆されており(
図12参照)、以下の実施形態11においても同様である。このように、ループ部5を被覆部30側に折り返し、かつ、ループ部5及び接続部4を一括して絶縁被覆部材9で被覆することにより、導電性繊維体2を電線3に接続する接続部4がより複雑な構造となることから、導電性繊維体2を電線3により強固に接続することができる。
【0088】
(実施形態10)
図13は、実施形態10における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0089】
実施形態10において、電線3の露出部31を被覆部30側に折り返すことで折返し部6が形成されている(
図13参照)。
【0090】
実施形態10において、接続部4は、接続用繊維20を折返し部6における露出部31に撚り合わすことで形成されている(
図13参照)。
【0091】
(実施形態11)
図14は、実施形態11における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0092】
実施形態11において、電線3の露出部31を、ループをなすように折り返して該折り返された状態を保持するように露出部31にはんだ付けすることでループ部5が形成されている(
図14参照)。
図14において、網掛けは、はんだ付けの領域を示している。ループ部5は、被覆部30側に折り返されている。
【0093】
実施形態11において、接続部4は、接続用繊維20をループ部5における露出部31に撚り合わすことで形成されている(
図14参照)。
【0094】
(実施形態12)
図15は、実施形態12における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略図である。
【0095】
実施形態12において、電線3の露出部31を被覆部30側に折り返すことで折返し部6が形成されている(
図15参照)。
【0096】
実施形態12において、接続部4は、接続用繊維20を折返し部6における露出部31の外周にひと結びし、かつ、露出部31を接続用繊維20の外周にひと結びすることで形成されている(
図15参照)。
図15において、符号4Aは、接続用繊維20を折返し部6における露出部31の外周にひと結びすることで形成された結び目4Aを示しており、符号4Bは、露出部31を接続用繊維20の外周にひと結びすることで形成された結び目4Bを示している。
【0097】
(実施形態13)
図16Aは、実施形態13における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略平面図である。
図16Bは、
図16Aの導電性繊維ユニット10の一部を示す概略側面図である。
【0098】
実施形態13において、導電性繊維ユニット10は、複数本の導電性繊維で構成されたシート状の導電性繊維体2と、電線3と、を備えている(
図16A、
図16B参照)。導電性繊維体2は、リボン状に形成されており、縫い糸等の縫合部材Sでシート状の布地Fに縫い合わされている。導電性繊維体2は、後述する接続部4が形成可能な程度に布地Fの側部Fsから突出するように配されている。導電性繊維体2については、以下の実施形態14においても同様である。
【0099】
実施形態13において、接続部4は、実施形態1のように導電性繊維体2を構成する導電性繊維のうち接続用繊維20と電線3の露出部31とを繋げることで導電性繊維体2を電線3に接続するのではなく、代わりに、電線3の露出部31を縫い糸のようにして導電性繊維体2に縫い付けることで導電性繊維体2を電線3に接続する。具体的には、接続部4は、電線3の露出部31を導電性繊維体2にランニングステッチで縫い付けることで形成されている(
図16A、
図16B参照)。ランニングステッチとは、表裏交互に針を出し入れする縫い方のことを指す。電線3の露出部31によるステッチの幅及びステッチの数は、導電性繊維体2又は電線3を手で引っ張ったとしても電線3の露出部31が導電性繊維体2から離脱しない程度であればよく、以下の実施形態14においても同様である。
【0100】
なお、上記説明した例に限られず、導電性繊維体2は、接続部4が形成可能な程度に布地Fの面外方向に突出していてもよい。
【0101】
図17は、導電性繊維体2を縫合部材Sでシート状電極Eに縫い合わせた状態を示す概略図である。
【0102】
図17に示すように、導電性繊維体2を、縫合部材Sでシート状電極Eに縫い合わせることで、シート状電極Eと電線3とを接続する接続部材として用いることが可能である。
【0103】
図18は、導電性繊維体2を布地Fと一体的に織り上げた状態を示す概略図である。
【0104】
上記説明した例のように、導電性繊維体2を縫合部材Sで布地Fに縫い合わせることにより、導電性繊維体2を布地F上に容易に設けることができる。これは、特に、導電性繊維体2を電極として用いる場合に好適である。仮に、上記説明した例の代わりに、
図18に示すように導電性繊維体2を布地Fと一体的に織り上げようとした(又は編み上げようとした)場合、接続部4が形成可能な程度に導電性繊維体2を布地Fの側部Fsから突出させつつも導電性繊維体2を布地Fと一体的に織り上げる(又は編み上げる)ことは、織物(又は編物)の構造上、生産技術的に困難が伴う。この点、上記説明した例のように、導電性繊維体2を縫合部材Sで布地Fに縫い合わせることは、生産技術的に容易であり、量産性に優れている。
【0105】
(実施形態14)
図19Aは、実施形態14における導電性繊維ユニット10の一部を示す概略平面図である。
図19Bは、
図19Aの導電性繊維ユニット10の一部を示す概略側面図である。
【0106】
実施形態14において、接続部4は、電線3の露出部31を導電性繊維体2にランニングステッチで縫い付けて、露出部31の縫い終わり端部32を被覆部30側に折り返すことで形成されている(
図19A、
図19B参照)。縫い終わり端部32の折返しの程度は、例えば、5~30mm程度である。このように、露出部31の縫い終わり端部32を被覆部30側に折り返すことにより、導電性繊維体2を電線3に接続する接続部4がより複雑な構造となることから、導電性繊維体2を電線3により強固に接続することができる。
【0107】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0108】
A 衣服
B 生体信号検出装置
C 通信部
10~13 導電性繊維ユニット
2 導電性繊維体
20 接続用繊維
3 電線
30 被覆部
31 露出部
4 接続部
5 ループ部
50 開口部
6 折返し部
9 絶縁被覆部材
E シート状電極
F 布地
P 着用者