(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】新規のポリマーおよびDNAコポリマーコーティング
(51)【国際特許分類】
C08F 220/60 20060101AFI20241114BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C08F220/60
C09D133/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100473
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2020147738の分割
【原出願日】2015-10-26
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2014-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エイ ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ウエイン エヌ ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リシェ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌーセシル ディングウォール
(72)【発明者】
【氏名】サビエル ボン ハッテン
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-163812(JP,A)
【文献】特開平09-059315(JP,A)
【文献】特開2009-148276(JP,A)
【文献】Changgang XU et al.,Clickable molecularly imprinted nanoparticles,Chemical Communications,2011年,Vol. 47,No. 21,p.6096-6098,DOI: 10.1039/c1cc11439e
【文献】Stephen RIMMER et al.,Epithelialization of hydrogels achieved by amine functionalization and co-culture with stromal cells,Biomaterials,2007年12月,Vol. 28,No. 35,p.5319-5331,DOI: 10.1016/j.biomaterials.2007.08.028
【文献】Erick SOTO-CANTU et al.,Versatility of Alkyne-Modified Poly(Glycidyl Methacrylate) Layers for Click Reactions,Langmuir,2011年04月,Vol. 27,No. 10,p.5986-5996,DOI: 10.1021/la2000798
【文献】X. B. DOU et al.,Aminated Poly(glycidyl methacrylate)s for Constructing Efficient Gene Carriers,ACS Applied Materials & Interfaces,2013年04月,Vol. 5,No. 8,p.3212-3218,DOI: 10.1021/am4002277
【文献】Scott D. KIMMINS et al.,Amine-functionalization of glycidyl methacrylate-containing emulsion-templated porous polymers and immobilization of proteinase K for biocatalysis,Polymer,2014年01月,Vol. 55,No. 1,p.416-425,DOI: 10.1016/j.polymer.2013.09.019
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V)の反復単位:
【化1】
(式中、R
1dおよびR
2dは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択され、
R
3dは、それぞれ、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたC
7~14アラルキルから選択され、
R
Bは、アジド、アミノ、Boc保護アミノ、ヒドロキシ、チオール、アルキニル、アルケニル、ハロ、エポキシ、テトラジニル、またはアルデヒドから選択され、
L
4は、独立して、任意に置換されたアルキレンリンカーまたは任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーから選択され、
L
5は、
【化2】
であり、式中、nは、1~50の整数である)
を含み、
式(VIa)の反復単位:
【化3】
(式中、R
1eおよびR
2eは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される)、および/または
式(VIb)の反復単位:
【化4】
(式中、R
1fおよびR
2fは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される)
をさらに含む、エポキシ基またはノルボルネン基を有する基材の表面を官能化するためのポリマー。
【請求項2】
R
1dは、水素またはアルキルから選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
R
2dおよびR
3dは、それぞれ水素である、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
R
Bは、アジド、アミノ、もしくはBoc保護アミノ、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1~3の何れか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
L
4は、メチレンリンカーである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
前記式(V)の反復単位は、式(Va)もしくは式(Vb)またはその両方:
【化5】
(式中、R
1dは、それぞれ独立して水素またはメチルから選択される)
によって表される、請求項1~5の何れか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
nは3である、請求項1または6に記載のポリマー。
【請求項8】
R
1eおよびR
1fは、それぞれ、水素またはアルキルから選択される、請求項1~7の何れか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
R
2eおよびR
2fは、それぞれ水素である、請求項1~8の何れか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
請求項1~
5の何れか一項に記載のポリマーの前記式(V)の反復単位のR
Bが共有結合した第1表面を備え、R
Bはアジドまたはアミノである、基材。
【請求項11】
前記ポリマーと前記第1表面との間の共有結合は、
前記ポリマーの前記式(V)の反復単位のR
Bがアジドである場合、構造部分
【化6】
またはそれらの組み合わせを含み、または
前記ポリマーの前記式(V)の反復単位のR
Bがアミノである場合、構造部分
【化7】
またはそれらの組み合わせを含み、
式中、*は、前記ポリマーの、前記基材の第1表面との連結点を示すとともに、HN基は、式(V)の反復単位のアミノに由来し、
前記ポリマーは、前記式(V)の反復単位が、構造
【化8】
【化9】
となって前記第1表面に結合している、
請求項10に記載の基材。
【請求項12】
前記ポリマーの式(V)の反復単位のR
Bに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドをさらに含み、R
Bはアミノであり、
前記官能化オリゴヌクレオチドと前記ポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化10】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、前記ポリマーの、前記官能化オリゴヌクレオチドとの連結点を示すとともに、HN基は、式(V)の反復単位のアミノに由来し、
前記ポリマーは、前記式(V)の反復単位が、構造
【化11】
となって前記官能化オリゴヌクレオチドに結合している、
請求項10または11に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権出願を参照することによる組み込み〕
本発明は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる、2014年10月3
1日に出願された米国仮特許出願第62/073764号に対する利益の優先性を主張す
る。
【0002】
概して本出願は、化学、生物学、および物質科学の分野に関する。具体的には、本出願
は、基材表面の官能化、ならびに、DNAシーケンシングおよび他の診断用途といった下
流用途をサポートする、新規のポリマーコーティングおよびグラフト化DNAコポリマー
に関する。そのような官能化表面を調製する方法およびその使用も開示する。
【背景技術】
【0003】
ポリマーまたはハイドロゲルによってコーティングされた基材は、多くの技術的用途で
用いられる。例えば、移植医療機器を生物学的に不活性なポリマーでコーティングするこ
とが可能である。別の例では、ポリマーまたはハイドロゲルによってコーティングされた
基材が、生体分子の調製および/または解析のために用いられる。ある核酸シーケンシン
グ法などの分子解析は、ポリマーまたはハイドロゲルによってコーティングされた基材表
面に対する核酸鎖の結合に依存する。結合した核酸鎖の配列は、次に、当技術分野で周知
であるいくつかの異なる方法により決定され得る。
【0004】
あるシーケンシング-バイ-シンセシス(「SBS」)プロセスでは、フローセルの1
つまたは複数の表面をポリマーまたはハイドロゲルでコーティングし、次に、これにプラ
イマー(一本鎖DNA、つまりssDNA)をグラフト化する。しかしながら、コーティ
ング、グラフト化、および品質管理のステップの実行に関連し、固有の費用が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本願は、SBSアプリケーション、および、プライマーポリマー結合ステップが初期の
ポリマー合成に組み込まれているプロセスに有用な、ポリマーコーティングを開示する。
これは、シーケンシングフローセルまたはSBSに用いられる他の基材を製造するために
行われるグラフト化プロセスの一部またはすべてを無くすことができる。これらのプロセ
スは、下流の生化学へのプライマーの接近可能性を最大にし、副反応を最小にし、より効
率的な界面化学をもたらすことができる。本明細書で開示するコーティングおよびプロセ
スは、限定されるわけではないが、核酸および他の生物活性分子の合成または検出に用い
られるものを含む、他の解析装置およびプロセスに有用である。
【0006】
本明細書に記載する一部の実施形態は、式(I)の反復単位および式(II)の反復単
位を含む、表面官能化のためのポリマーに関する。
【0007】
【0008】
式中、R1a、R2a、R1b、およびR2bは、それぞれ独立して、水素、任意に置
換されたアルキルまたは任意に置換されたフェニルから選択され、R3aおよびR3bは
、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたフェニル、ま
たは任意に置換されたC7~14アラルキルから選択され、L1およびL2は、それぞれ
独立して、任意に置換されたアルキレンリンカーまたは任意に置換されたヘテロアルキレ
ンリンカーから選択される。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン
、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポリオール、およびポリサッカライドからな
る群から選択される反復単位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数含むことが
できる。一部のそのような実施形態では、ポリマーはさらに、式(IIIa)もしくは式
(IIIb)またはその両方のポリアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る
。
【0009】
【0010】
式中、R4a、R4b、およびR5bは、それぞれ、水素またはC1~3アルキルから
選択され、R5a、R6a、R6b、およびR7bは、それぞれ独立して、水素、任意に
置換されたC1~6アルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される。
【0011】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(I)の反復単位
および式(II)の反復単位を有するポリマーを含む第1表面を備える基材に関する。一
部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記の種々の異なるポリマー骨格の1つまたは複
数の反復単位、例えば、式(IIIa)もしくは式(IIIb)またはその両方の反復単
位を1つまたは複数含み得る。
【0012】
一部の実施形態では、ポリマーが基材の第1表面に共有結合する際、式(II)の反復
単位のアミノ基と基材の第1表面との間に少なくとも1つの共有結合が形成される。その
ため、本明細書に記載するように、式(I)の反復単位および式(II)の反復単位を有
するポリマーが共有結合している第1表面を備える基材はまた、基材表面との共有結合の
位置を示す、構造
【化3】
の修飾反復単位を有するポリマーを含むと理解されるべきである。
【0013】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(I)の反復単位
および式(II)の反復単位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチド
を含む、グラフト化ポリマーに関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記の
ような種々の異なるポリマー骨格の1つまたは複数の反復単位、例えば、式(IIIa)
もしくは式(IIIb)またはその両方のポリアクリルアミドの1つまたは複数の反復単
位を含み得る。
【0014】
一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドがポリマーに共有結合する場合、式(
I)の反復単位のアジド基と官能化オリゴヌクレオチドとの間の反応の結果として、少な
くとも2つの共有結合が形成される。そのため、本明細書に記載するように、式(I)の
反復単位および式(II)の反復単位のポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチ
ドを含むグラフト化ポリマーには、官能化オリゴヌクレオチドとの共有結合の位置を示す
、構造
【化4】
【化5】
の修飾反復単位を有するポリマーも含まれることを理解されたい。
【0015】
本明細書に記載の一部の実施形態は、式(IV)の反復単位を含む、表面官能化用のポ
リマーに関する。
【0016】
【0017】
式中、R1cおよびR2cは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、
または任意に置換されたフェニルから選択され、R3Cは、水素、任意に置換されたアル
キル、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたC7~14アラルキルから選
択され、Arは、任意に置換されたC6~10アリール、または任意に置換された5員も
しくは6員ヘテロアリールから選択され、RAは、任意に置換されたテトラジンであり、
L3は、一重結合、任意に置換されたアルキレンリンカー、または任意に置換されたヘテ
ロアルキレンリンカーから選択される。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリア
クリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリア
クロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポリオール、およびポリサッカラ
イドからなる群から選択される反復単位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数
含み得る。一部のそのような実施形態において、ポリマーはさらに、上記に示す構造を有
する、式(IIIa)もしくは式(IIIb)またはその両方のポリアクリルアミドの反
復単位を1つまたは複数含み得る。
【0018】
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(IV)の反復
単位を有するポリマーを含む第1表面を備える基材に関する。一部の実施形態では、ポリ
マーはさらに、上記のような種々の異なるポリマー骨格の反復単位、例えば、式(III
a)もしくは式(IIIb)またはその両方のポリアクリルアミドの反復単位を1つまた
は複数含み得る。
【0019】
一部の実施形態では、ポリマーが基材の第1表面に共有結合する際、式(IV)の反復
単位のテトラジン基と基材の第1表面との間の反応の結果として、少なくとも2つの共有
結合が形成される。一部の他の実施形態では、式(IV)の反復単位のテトラジン基の間
に少なくとも2つの共有結合が形成される。そのため、本明細書に記載するように、式(
IV)の反復単位を有するポリマーを含む第1表面を備える基材はまた、本明細書に記載
するように、構造
【化7】
(式中、Ar-R
AA部分は、基材表面との共有結合の位置を示す、
【化8】
から選択され、
【化9】
R
AAは任意に置換され得る。)の修飾反復単位を有するポリマーを含むと理解されるべ
きである。
【0020】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(IV)の反復単
位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含む、グラフト化ポリマ
ーに関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記のような種々の異なるポリマ
ー骨格の反復単位、例えば、式(IIIa)もしくは式(IIIb)またはその両方のポ
リアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。
【0021】
一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドがポリマーに共有結合する際、式(I
V)の反復単位のテトラジン基と官能化オリゴヌクレオチドとの間の反応の結果として、
少なくとも2つの共有結合が形成される。そのため、本明細書に記載するように、式(I
V)の反復単位のポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含むグラフト化ポ
リマーには、構造
【化10】
(式中、Ar-R
AB部分は、オリゴヌクレオチドとの共有結合の位置を示す、
【化11】
から選択され、
【化12】
R
ABは任意に置換され得る。)の修飾反復単位を有するポリマーも含まれることを理解
されたい。
【0022】
本明細書に記載の一部の実施形態は、式(V)の反復単位を含む、表面官能化のための
ポリマーに関する。
【0023】
【0024】
式中、R1dおよびR2dは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、
または任意に置換されたフェニルから選択され、R3dは、それぞれ、水素、任意に置換
されたアルキル、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたC7~14アラル
キルから選択され、RBは、アジド、任意に置換されたアミノ、Boc保護アミノ、ヒド
ロキシ、チオール、アルキニル、アルケニル、ハロ、エポキシ、テトラジニル、またはア
ルデヒドから選択され、L4およびL5は、それぞれ独立して、任意に置換されたアルキ
レンリンカーまたは任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーから選択される。一部の
実施形態では、ポリマーはさらに、式(VIa)もしくは式(VIb)またはその両方の
反復単位を含み得る。
【0025】
【0026】
式中、R1e、R2e、R1f、およびR2fは、それぞれ独立して、水素、任意に置
換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される。一部の実施形態で
は、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシ
ロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポ
リオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単位もしくはそれらの
組み合わせを、1つまたは複数含み得る。
【0027】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(V)の反復単位
を有するポリマーを含む第1表面を備える基材に関する。一部の実施形態では、ポリマー
はさらに、式(VIa)もしくは式(VIb)またはその両方の反復単位を含み得る。一
部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記の種々の異なるポリマー骨格の反復単位を1
つまたは複数含み得る。
【0028】
一部の実施形態では、ポリマーが基材の第1表面に共有結合する際、式(V)の反復単
位のアジド基と基材の第1表面との間の反応の結果として少なくとも2つの共有結合が形
成される。そのため、本明細書に記載するように、式(V)の反復単位を有するポリマー
が共有結合した第1表面を備える基材はまた、基材表面との共有結合の位置を示す、構造
【化15】
の修飾反復単位を有するポリマーを含むことを理解されたい。
【0029】
一部の他の実施形態では、ポリマーが基材の第1表面に共有結合する際、式(V)の反
復単位のアミノ基と基材の第1表面との間に少なくとも1つの共有結合が形成される。そ
のため、本明細書に記載するように、式(V)の反復単位を有するポリマーが共有結合し
た第1表面を備える基材はまた、基材表面との共有結合の位置を示す、構造
【化16】
の修飾反復単位を有するポリマーを含むことを理解されたい。
【0030】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(V)の反復単位
を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含む、グラフト化ポリマー
に関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、式(VIa)もしくは式(VIb)
またはその両方の反復単位を含み得る。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記の
種々の異なるポリマー骨格の反復単位を1つまたは複数含み得る。
【0031】
一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドがポリマーに共有結合する際、式(V
Ia)の反復単位のエポキシ基と官能化オリゴヌクレオチドとの間の反応の結果として、
少なくとも1つの共有結合が形成される。そのため、本明細書に記載するように、式(V
)の反復単位および式(VIa)の反復単位のポリマーに共有結合した官能化オリゴヌク
レオチドを含むグラフト化ポリマーにはまた、オリゴヌクレオチドとの共有結合の位置を
示す、構造
【化17】
の修飾反復単位を有するポリマーが含まれることを理解されたい。
【0032】
本明細書に記載の一部の実施形態は、グラフト化ポリマーを基材の第1表面に固定する
プロセスに関し、該プロセスは、
第1の複数の官能基が共有結合した第1表面を備える基材を提供するステップと、
ポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含むグラフト化ポリマーであって
、前記ポリマーは第2の複数の官能基を含む、グラフト化ポリマーを提供するステップと
、
前期第1表面の第1の複数の官能基を、前期ポリマーの第2の複数の官能基と反応させ
、その結果、前記ポリマーを前記基材の第1表面に共有結合させるステップとを含む。
【0033】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、シクロアルケン、シクロアルキン、
ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキンから選択される不飽和部分を含む官能化シ
ランで表面を処理し、官能化オリゴヌクレオチドがビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イ
ンを含む場合、ポリマーは以下の構造
【化18】
(式中、nは1~20000の範囲の整数であり、mは1~100000の範囲の整数で
ある)のポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-co-アク
リルアミド)(PAZAM)ではない。一部のそのような実施形態では、官能化シランの
不飽和部分にはノルボルネンが含まれる。
【0034】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載のポリマーを、基材の第1表面に
固定するプロセスまたは方法に関し、これは、第1の複数の官能基が共有結合した第1表
面を備える基材を提供するステップと、本明細書に記載のポリマーを提供するステップと
、前記第1表面の第1の複数の官能基を前記ポリマーと反応させ、その結果、前記ポリマ
ーを前記基材の第1表面に共有結合させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】ノルボルネンシラン単層表面を備えるポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図1B】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表2)の関連棒グラフを示す図である。
【
図1C】ノルボルネンシラン単層表面を備えるポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図1D】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表2)の関連棒グラフを示す図である。
【
図2A】ノルボルネンシラン単層表面を備えるポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図2B】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表3)の関連棒グラフを示す図である。
【
図2C】ノルボルネンシラン単層表面を備えるポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図2D】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表3)の関連棒グラフを示す図である。
【
図3A】ノルボルネン表面を、実施例1で列記する種々のポリマー(表2)でコーティングした後のTET QC強度データ(表4)と、熱応力試験後に測定した表面減少率を示す、折れ線グラフおよび棒グラフを示す図である。
【
図3B】エポキシ表面を実施例1で列記する種々のポリマー(表3)でコーティングした後のTET QC強度データ(表5)と、熱応力試験後に測定した表面減少率を示す、折れ線グラフおよび棒グラフを示す図である。
【
図4A】ノルボルネンシラン単層表面を有するポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図4B】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表6)の関連棒グラフを示す図である。
【
図4C】ノルボルネンシラン単層表面を有するポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像を示す図である。
【
図4D】実施例1のポリマーのTyphoon強度中央値(表6)の関連棒グラフを示す図である。
【
図4E】ノルボルネン表面を実施例1で列記する種々のポリマー(表6)でコーティングした後のTET QC強度データ(表7)と、熱応力試験後に測定した表面減少率を示す、折れ線グラフおよび棒グラフを示す図である。
【
図5】異なる時点における、ノルボルネンとビピリジルテトラジンとの間の反応についての一連のNMR画像を示す図である。
【
図6】ビピリジンテトラジンとビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノールとの間の反応の、UV-Vis吸収パターンの折れ線グラフを示す図である。
【
図7】グラフト化デンドリマーと、表面結合基を有する官能化デンドリマーとの間のカップリング反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願は、核酸コポリマー(例えば、DNAコポリマー)と、そのような核酸コポリマ
ーを基材の表面にグラフト化するためのプロセスに関する。一本鎖DNA(「ssDNA
」)プライマーとの予備コンジュゲーション(pre-conjugation)のため
に用いられるポリマーの一部の実施形態には、アクリルアミド/アジド-アクリルアミド
/アミノエチル-アクリルアミド三元コポリマー、テトラジン修飾ポリアクリルアミド、
および、ポリ(グリシジルメタクリレート)と、アミノ-PEG-アジドまたはアミノ-
PEG-Boc-アミドとの反応生成物が含まれる。次に核酸コポリマーを、基材の表面
に、場合によっては、フローセルの表面または分子アレイの表面といった基材のシラン官
能化表面に共有結合させることが可能である。本開示はまた、そのような核酸-コポリマ
ーコーティング表面を調製する方法、および、そのような核酸-コポリマーコーティング
表面を備える基材をシーケンシング-バイ-シンセシス反応で用いる方法に関する。
【0037】
一部の実施形態は、ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン、アルキン、アミド、また
はアジド誘導体化リンケージなどの1つまたは複数の官能基を介して本明細書に記載のポ
リマーに予備コンジュゲートした官能化オリゴヌクレオチドを含む、シーケンシング-バ
イ-シンセシス反応を行うためのフローセルに関する。一部の実施形態では、プライマー
は、P5プライマーまたはP7プライマーである。P5プライマーおよびP7プライマー
は、HiSeq(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)、
およびGenome Analyzer(登録商標)のプラットフォームでのシーケンシ
ングのためにIllumina社により販売されている、市販のフローセルの表面で用い
る。
【0038】
プライマー結合に併せてポリマー内に品質管理(QC)マーカを組み込むことにより、
さらなるプロセスと費用節減が達成され得る。解析テストを用いて、QCマーカありまた
はなしのDNAコポリマーの品質および一貫性を求めることができ、該解析テストを再度
用いて、オープンウェハフォーマットと共に動作する際の堆積の有効性を求めることがで
きる。これらの追加の品質管理チェックポイントは、より一貫した生成物を産出するバッ
チ変動(batch variation)にまでフローセルバッチを低減させ、また、
製造時に障害が現れる際、どこでプロセス偏差(process deviation)
が起きたかを絞り込む助けとなるはずである。
【0039】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で用いる全ての技術的および科学的用語は、当業者に
より一般的に理解されるのと同じ意味を持つ。用語「含み(including)」の使
用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれた
(included)」などの他の形と同様に、限定的ではない。用語「有し(havi
ng)」の使用は、「有する(have)」、「有する(has)」、および「有された
(had)」などの他の形と同様に、限定的ではない。本明細書で用いる場合、移行句で
あれ請求項の本文であれ、用語「含む(comprise(s))」および「含み(co
mprising)」は、非限定(open-ended)の意味を持つと解釈されるべ
きである。つまり、上記の用語は、句「~を少なくとも有する(having at l
east)」または「~を少なくとも含む(including at least)」
と同義的に解釈されるべきである。例えば、プロセスの文脈で用いられる場合、用語「含
み(comprising)」は、プロセスが少なくとも言及されたステップを含むが、
追加のステップも含み得ることを意味する。化合物、組成物、または装置の文脈で用いら
れる場合、用語「含み(comprising)」は、該化合物、組成物、または装置は
少なくとも言及されたフィーチャまたは構成要素を含むが、追加のフィーチャまたは構成
要素も含み得ることを意味する。
【0040】
本明細書で用いる場合、一般の有機体に関する略語を以下のように定義する。
Ac アセチル
Ac2O 無水酢酸
APTS アミノプロピルシラン
APTES (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
APTMS (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
aq. 水性
ATRP 原子移動ラジカル重合
Azapa N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド
BCN ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン
Bn ベンジル
BrapaまたはBRAPA N-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミ
ド
Bz ベンゾイル
BOCまたはBoc tert-ブトキシカルボニル
Bu n-ブチル
cat. 触媒の
CMP 化学機械研磨
CRP 制御ラジカル重合
CVD 化学蒸着
℃ セ氏温度
dATP デオキシアデノシン三リン酸
dCTP デオキシシチジン三リン酸
dGTP デオキシグアノシン三リン酸
dTTP デオキシチミジン三リン酸
DCA ジクロロ酢酸
DCE 1,2-ジクロロエタン
DCM 塩化メチレン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DME ジメトキシエタン
DMF N,N’-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
Et エチル
EtOAcまたはEA 酢酸エチル
g グラム
hまたはhr 時間
iPr イソプロピル
KPi pH7.0の10mMリン酸カリウム緩衝液
KPS ペルオキソ二硫酸カリウム
IPA イソプロピルアルコール
IPHA.HCl N-イソプロピルヒドロキシルアミンハイドロクロライド
mまたはmin 分
MeOH メタノール
MeCN アセトニトリル
mL ミリリットル
NaN3 アジ化ナトリウム
NHS N-ヒドロキシスクシンイミド
NMP ニトロキシド媒介ラジカル重合
PAZAM 任意のアクリルアミド対アザパ(Azapa)比率のポリ(N-
(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-co-アクリルアミド)
PEG ポリエチレングリコール
PG 保護基
PGMA ポリ(グリシジルメタクリラート)
Ph フェニル
ppt 沈殿物
RAFT 可逆的付加-開裂連鎖移動重合
rt 室温
SFA 米国特許出願公開第2011/0059865号明細書で定義さ
れるシランフリーアクリルアミド
Sulfo-HSABまたはSHSAB N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-
アジドベノエート(azidobenoate)
TEA トリエチルアミン
Tert、t 第三の
THF テトラヒドロフラン
TEMED テトラメチルエチレンジアミン
YES Yield Engineering Systems
μL マイクロリットル
【0041】
本明細書で用いる場合、用語「アレイ」は、異なるプローブ分子が相対位置に応じて互
いに識別可能であるように1つまたは複数の基材に結合した、異なるプローブ分子の集合
を指す。アレイは異なるプローブ分子を含み得、これらは基材上のアドレス指定可能な異
なる位置にそれぞれ位置する。あるいは、または加えて、アレイは異なるプローブ分子を
それぞれ担持する別個の基材を含み得、ここにおいて前記異なるプローブ分子は、基材が
結合している表面における基材の位置に応じて、または、液体における基材の位置に応じ
て特定することが可能である。別個の基材が表面に位置する例示的なアレイとしては、限
定されるわけではないが、例えば、米国特許第6355431号明細書、米国特許出願公
開第2002/0102578号明細書、および国際公開第00/63437号に記載さ
れているウェル中にビーズを含むものが挙げられる。例えば蛍光活性化セルソータ(FA
CS)などのマイクロ流体デバイスを用いて液体アレイ中のビーズを識別するために本発
明で用いることが可能な例示的なフォーマットは、例えば、米国特許第6524793号
明細書に記載されている。本発明で用いることが可能なアレイのさらなる例としては、限
定されるわけではないが、米国特許第5429807号明細書、同第5436327号明
細書、同第5561071号明細書、同第5583211号明細書、同第5658734
号明細書、同第5837858号明細書、同第5874219号明細書、同第59195
23号明細書、同第6136269号明細書、同第6287768号明細書、同第628
7776号明細書、同第6288220号明細書、同第6297006号明細書、同第6
291193号明細書、同第6346413号明細書、同第6416949号明細書、同
第6482591号明細書、同第6514751号明細書、同第6610482号明細書
、国際公開第93/17126号、同第95/11995号、同第95/35505号、
欧州特許第742287号明細書、および同第799897号明細書に記載されているも
のが挙げられる。
【0042】
本明細書で用いる場合、用語「共有結合的に付加した(covalently att
ached)」または「共有結合した(covalently bonded)」は、原
子間での電子対の共有により特徴付けられる化学結合の形成を指す。例えば、共有結合し
たポリマーコーティングは、他の手段、例えば付着または静電相互作用を介した表面への
結合と対比して、基材の官能化表面と化学的結合を形成するポリマーコーティングを指す
。表面に共有結合するポリマーはまた、共有結合以外の手段を介しても結合し得ることが
理解されよう。
【0043】
本明細書で用いる場合、「a」および「b」が整数である「Ca~Cb」または「Ca
~b」は、特定の基における炭素原子数を指す。つまり、該基には、「a」~「b」(a
とbを含む)の炭素原子が含まれ得る。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基
または「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するアルキル基、つまり、CH
3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH
2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、および(CH3)3C-を指す。
【0044】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で用いる場合、フッ素、塩素、臭素およ
びヨウ素等の、元素周期表第7列の放射線安定性(radio-stable)原子のい
ずれか1つを意味し、フッ素および塩素が好適である。
【0045】
本明細書で用いる場合、「アルキル」は、完全飽和した(つまり、二重結合も三重結合
も含まない)直鎖または分岐状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は1~20個の炭素原子
を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~20」等の数値範囲は所与の範囲内
の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、
2個の炭素原子、3個の炭素原子等、20個以下の炭素原子からなり得ることを意味し、
ただし、本定義は数値範囲が指定されていない場合の用語「アルキル」の出現も包含する
)。アルキル基はまた、1~9個の炭素原子を有する中級アルキルであり得る。アルキル
基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであり得る。アルキル基は、「C1
~4アルキル」または同様の名称で称され得る。例示のみを目的として、「C1~4アル
キル」は、アルキル鎖内に1~4個の炭素原子が存在すること、つまり、アルキル鎖がメ
チル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル
、およびt-ブチルからなる群から選択されることを示す。典型的なアルキル基としては
、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
第三ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどが挙げられる。アルキル基は任意に置換され
得る。
【0046】
本明細書で用いる場合、「アルコキシ」は式-ORを指し、式中、Rは、「C1~9ア
ルコキ」など上記で定義したアルキルであり、限定されるわけではないが、メトキシ、エ
トキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ
-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシなどが含まれる。アルコキシ
基は、任意に置換され得る。
【0047】
本明細書で用いる場合、「アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を含む直鎖また
は分岐状の炭化水素鎖を指す。アルケニル基は2~20個の炭素原子を有し得るが、ただ
し、本定義は数値範囲が指定されていない場合の用語「アルケニル」の出現も包含する。
アルケニル基はまた、2~9個の炭素原子を有する中級アルケニルであってよい。アルケ
ニル基はまた、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニルであり得る。アルケニル基は
「C2~4アルケニル」または同様の名称で称され得る。例示のみを目的として、「C2
~4アルケニル」は、アルケニル鎖内に2~4個の炭素原子が存在すること、つまり、ア
ルケニル鎖がエテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、プロペン-3-イル
、ブテン-1-イル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ブテン-4-イル、1-メ
チル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、1-エチル-エテン-1
-イル、2-メチル-プロペン-3-イル、ブタ-1,3-ジエニル、ブタ-1,2,-
ジエニル、およびブタ-1,2-ジエン-4-イルからなる群から選択されることを示す
。典型的なアルケニル基としては、限定はされないが、エテニル、プロペニル、ブテニル
、ペンテニル、およびヘキセニルなどが挙げられる。アルキル基は任意に置換され得る。
【0048】
本明細書で用いる場合、「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を含む直鎖また
は分岐状の炭化水素鎖を指す。アルケニル基は2~20個の炭素原子を有し得るが、ただ
し、本定義は数値範囲が指定されていない場合の用語「アルキニル」の出現も包含する。
アルキニル基はまた、2~9個の炭素原子を有する中級アルキニルであってよい。アルキ
ニル基はまた、2~4個の炭素原子を有する低級アルキニルであり得る。アルキニル基は
「C2~4アルキニル」または同様の名称で称され得る。例示のみを目的として、「C2
~4アルキニル」は、アルキニル鎖内に2~4個の炭素原子が存在すること、つまり、ア
ルキニル鎖がエチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、
ブチン-3-イル、ブチン-4-イル、および2-ブチニルからなる群から選択されるこ
とを示す。典型的なアルキニル基としては、限定はされないが、エチニル、プロピニル、
ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルなどが挙げられる。アルキニル基は任意に置換
され得る。
【0049】
本明細書で用いる場合、「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数のヘテロ原子、つまり
、窒素、酸素および硫黄が含まれるがこれらに限定されない炭素以外の元素を主鎖中に含
む、直鎖または分岐状の炭化水素鎖を指す。ヘテロアルキル基は、1~20個の炭素原子
を有し得るが、ただし、本定義は数値範囲が指定されていない用語「ヘテロアルキル」の
出現も包含する。ヘテロアルキル基はまた、1~9個の炭素原子を有する中級ヘテロアル
キルであってよい。ヘテロアルキル基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級ヘテロア
ルキルであり得る。ヘテロアルキル基は「C1~4ヘテロアルキル」または同様の名称で
称され得る。ヘテロアルキル基は1つまたは複数のヘテロ原子を含み得る。例示のみを目
的として、「C1~4ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル鎖内に1~4個の炭素原子が
存在し、加えて主鎖には1つまたは複数のヘテロ原子が存在することを示す。
【0050】
本明細書で用いる場合、「アルキレン」は、2つの結合点を介して残りの分子に結合す
る、炭素と水素のみを含む分岐鎖または直鎖の完全飽和したジラジカル化学基(つまり、
アルカンジイル)を意味する。アルキレン基は1~20000個の炭素原子を有し得るが
、ただし、本定義は、数値範囲が指定されていない用語アルキレンの出現も包含する。ア
ルキレン基はまた、1~9個の炭素原子を有する中級アルキレンであってよい。アルキレ
ン基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキレンであり得る。アルキレン基は「
C1~4アルキレン」または同様の名称で称され得る。例示のみを目的として、「C1~
4アルキレン」は、アルキレン鎖中に1~4個の炭素原子が存在すること、つまり、アル
キレン鎖は、メチレン、エチレン、エタン-1,1-ジイル、プロピレン、プロパン-1
,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、1-メチル-エチレン、ブチレン、ブタン-
1,1-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、2-メチル-プロパン-1,1-ジイル、1
-メチル-プロピレン、2-メチル-プロピレン、1,1-ジメチル-エチレン、1,2
-ジメチル-エチレン、および1-エチル-エチレンからなる群から選択されることを示
す。
【0051】
本明細書で用いる場合、用語「ヘテロアルキレン」は、アルキレンの1つまたは複数の
骨格原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わ
せから選択されるアルキレン鎖を指す。ヘテロアルキレン鎖の長さは2~20000であ
り得る。例示的なヘテロアルキレンとしては、限定されるわけではないが、-OCH2-
、-OCH(CH3)-、-OC(CH3)2-、-OCH2CH2-、-CH(CH3
)O-、-CH2OCH2-、-CH2OCH2CH2-、-SCH2-、-SCH(C
H3)-、-SC(CH3)2-、-SCH2CH2-、-CH2SCH2CH2-、-
NHCH2-、-NHCH(CH3)-、-NHC(CH3)2-、-NHCH2CH2
-、- -CH2NHCH2-、および-CH2NHCH2CH2-などが挙げられる。
【0052】
本明細書で用いる場合、「アルケニレン」は、炭素と水素のみを含み、かつ、2つの結
合点を介して残りの分子に結合する炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含む、直鎖また
は分岐鎖のジラジカル化学基を意味する。アルケニレン基は2~20000個の炭素原子
を有し得るが、ただし、本定義はまた、数値範囲が指定されていない場合の用語アルケニ
レンの出現も包含する。アルケニレン基はまた、2~9個の炭素原子を有する中級アルケ
ニレンであってよい。アルケニレン基はまた、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニ
レンであり得る。アルケニレン基は「C2~4アルケニレン」または同様の名称で称され
得る。例示のみを目的として、「C2~4アルケニレン」は、アルケニレン鎖内に2~4
個の炭素原子が存在すること、つまり、アルケニレン鎖はエテニレン、エテン-1,1-
ジイル、プロペニレン、プロペン-1,1-ジイル、プロパ-2-エン-1,1-ジイル
、1-メチル-エテニレン、ブタ-1-エニレン、ブタ-2-エニレン、ブタ-1,3-
ジエニレン、ブテン-1,1-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,1-ジイル、ブタ-
2-エン-1,1-ジイル、ブタ-3-エン-1,1-ジイル、1-メチル-プロパ-2
-エン-1,1-ジイル、2-メチル-プロパ-2-エン-1,1-ジイル、1-エチル
-エテニレン、1,2-ジメチル-エテニレン、1-メチル-プロペニレン、2-メチル
-プロペニレン、3-メチル-プロペニレン、2-メチル-プロペン-1,1-ジイル、
および2,2-ジメチル-エテン-1,1-ジイルからなる群から選択されることを示す
。
【0053】
本明細書で用いる場合、「アルキニレン」は、炭素と水素のみを含み、かつ、2つの結
合点を介して残りの分子に結合する炭素-炭素三重結合を少なくとも1つ含む、直鎖また
は分岐鎖のジラジカル化学基を意味する。
【0054】
用語「芳香族」は、共役パイ電子系を有する環または環系を指し、これには炭素環式芳
香族基(例えば、フェニル)および複素環式芳香族基(例えば、ピリジン)の両方が含ま
れる。前記用語には、全ての環系が芳香族であるという条件で、単環基または縮合環多環
(つまり、隣接する原子対を共有する環)基が含まれる。
【0055】
本明細書で用いる場合、「アリール」は、環骨格(ring backbone)内に
炭素のみを含む芳香族環または環系(つまり、2つの隣接する炭素原子を共有する2つ以
上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系中の全ての環は芳香族である。アリ
ール基は6~18個の炭素原子を有し得るが、ただし、本定義はまた、数値範囲が指定さ
れていない場合の用語「アリール」の出現も包含する。一部の実施形態では、アリール基
は6~10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6~10アリール」、「C6また
はC10アリール」、または同様の名称で称され得る。アリール基の例としては、限定さ
れるわけではないが、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが挙げら
れる。アリール基は任意に置換され得る。
【0056】
本明細書で用いる場合、「アリルエン」は、2つの結合点を介して残りの分子に結合す
る、炭素と水素のみを含む芳香族環または環系を指す。
【0057】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、「C7~14アラルキル」などの、ア
ルキレン基を介して置換基として連結されているアリール基であり、限定されるわけでは
ないが、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、およびナフチルアルキ
ルが含まれる。一部の場合、アルキレン基は低級アルキレン基(つまり、C1~4アルキ
レン基)である。
【0058】
本明細書で用いる場合、「ヘテロアリール」は、1つまたは複数のヘテロ原子、つまり
、窒素、酸素および硫黄が含まれるがこれらに限定されない炭素以外の元素を環骨格内に
含む、芳香族環または環系(つまり、2つの隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)
を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香族である。ヘテロアリ
ール基は5~18個の環員(ring member)(つまり、炭素原子およびヘテロ
原子などの、環骨格を構成する原子の数)を有し得るが、ただし、本定義はまた、数値範
囲が指定されていない場合の用語「ヘテロアリール」の出現も包含する。一部の実施形態
では、ヘテロアリール基は、5~10環員または5~7環員を有する。ヘテロアリール基
は、「5~7員ヘテロアリール」、「5~10員ヘテロアリール」、または同様の名称で
称され得る。ヘテロアリール環の例としては、限定されるわけではないが、フリル、チエ
ニル、フタラジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル
、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピ
リダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキンリニル、
ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソインド
リル、およびベンゾチエニルが挙げられる。ヘテロアリール基は任意に置換され得る。
【0059】
本明細書で用いる場合、「ヘテロアリーレン」は、2つの結合点を介して残りの分子に
結合する、1つまたは複数のヘテロ原子を環骨格内に含む芳香族環または環系を指す。
【0060】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレン基を介して置
換基として連結されているヘテロアリール基である。例としては、限定されるわけではな
いが、2-チエニルメチル、3-チエニルメチル、フリルメチル、チエニルエチル、ピロ
リルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、およびイミダゾリルアル
キルが挙げられる。一部の場合、アルキレン基は、低級アルキレン基(つまり、C1~4
アルキレン基)である。
【0061】
本明細書で用いる場合、「カルボシクリル(carbocyclyl)」は、環系骨格
内に炭素原子のみを含む非芳香族性の環式環(cyclic ring)または環系を意
味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環が縮合方式、架橋方式、または
スピロ連結(spiro-connected)方式で結合し得る。カルボシクリルは、
環系内の少なくとも1つの環が芳香族でないという条件で、任意の飽和度であってよい。
したがって、カルボシクリルには、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロア
ルキニルが含まれる。カルボシクリル基は3~20個の炭素原子を有し得るが、ただし、
本定義はまた、数値範囲が指定されていない場合の用語「カルボシクリル」の出現も包含
する。カルボシクリル基はまた、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子
を有する中級カルボシクリルであってよい。カルボシクリル基はまた、3~6個の炭素原
子を有するカルボシクリルであり得る。カルボシクリル基は、「C3~6カルボシクリル
」または同様の名称で称され得る。カルボシクリル環の例としては、限定されるわけでは
ないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキ
セニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチ
ル、およびスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
【0062】
本明細書で用いる場合、「シクロアルキル」は、完全飽和したカルボシクリル環または
環系を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、および
シクロヘキシルが挙げられる。
【0063】
本明細書で用いる場合、「シクロアルキレン」は、2つの結合点を介して残りの分子に
結合する、完全飽和したカルボシクリル環または環系を意味する。
【0064】
本明細書で用いる場合、「シクロアルケニル」または「シクロアルケン」は、少なくと
も1つの二重結合を有し、環系の環はいずれも芳香族ではない、カルボシクリル環または
環系を意味する。例はシクロヘキセニルまたはシクロヘキセンである。別の例は、ノルボ
ルネンまたはノルボルネニルである。
【0065】
本明細書で用いる場合、「ヘテロシクロアルケニル」または「ヘテロシクロアルケン」
は、環骨格内に少なくとも1つのヘテロ原子を有し、少なくとも1つの二重結合を有し、
環系の環はいずれも芳香族ではない、カルボシクリル環または環系を意味する、一部の実
施形態では、ヘテロシクロアルケニルまたはヘテロシクロアルケンの環または環系は、3
員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、または10員である。
【0066】
本明細書で用いる場合、「シクロアルキニル」または「シクロアルキン」は、少なくと
も1つの三重結合を有し、環系の環はいずれも芳香族ではない、カルボシクリル環または
還系を意味する。例はシクロオクチンである。別の例はビシクロノニンである。
【0067】
本明細書で用いる場合、「ヘテロシクロアルキニル」または「ヘテロシクロアルキン」
は、少なくとも1つのヘテロ原子を環骨格内に有し、少なくとも1つの三重結合を有し、
環系の環はいずれも芳香族ではない、カルボシクリル環または環系を意味する。一部の実
施形態では、ヘテロシクロアルキニルまたはヘテロシクロアルキンの環または環系は、3
員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、または10員である。
【0068】
本明細書で用いる場合、「ヘテロシクリル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を環骨格
内に含む非芳香族性の環または環系を意味する。ヘテロシクリルは、縮合方式、架橋方式
、またはスピロ連結方式で結合し得る。カルボシクリルは、環系内の少なくとも1つの環
が芳香族でないという条件で、任意の飽和度であってよい。ヘテロ原子は、環系の非芳香
族環または芳香族環のいずれかに存在し得る。ヘテロシクリル基は、3~20個の環員(
つまり、炭素原子およびヘテロ原子などの、環骨格を構成する原子の数)を有し得るが、
ただし、本定義はまた、数値範囲が指定されていない場合の用語「ヘテロシクリル」の出
現も包含する。ヘテロシクリル基はまた、3~10環員を有する中級ヘテロシクリルであ
ってよい。ヘテロシクリル基はまた、3~6環員を有するヘテロシクリルであり得る。ヘ
テロシクリル基は、「3~6員ヘテロシクリル」または同様の名称で称され得る。好適な
6員単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は1~3個のO、N、またはSから選択され
、好適な5員単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子はO、N、またはSから選択される
1または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例としては、限定される
わけではないが、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラ
ニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル
、チエパニル、ピペリジニル、ピペラドニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピ
ロリジニル、ピロリジオニル、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,
3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニ
ル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチイニル、1,4-オキサチアニル、2H
-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、
1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオ
ラリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニ
ル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、
インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テト
ラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル
、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリジニル、およびテトラ
ヒドロキノリンが挙げられる。
【0069】
本明細書で用いる場合、「ヘテロシクリレン」は、2つの結合点を介して残りの分子に
結合する、少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環または環系を意味する。
【0070】
本明細書で用いる場合、「アシル」は、-C(=O)Rを意味し、式中、Rは、本明細
書において定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6ア
ルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、
および5~10員ヘテロシクリルである。非限定的例としては、ホルミル、アセチル、プ
ロパノイル、ベンゾイル、およびアクリルが挙げられる。
【0071】
「O-カルボキシ」基は、「-OC(=O)R」基を指し、式中、Rは、本明細書にお
いて定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニ
ル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および
5~10員ヘテロシクリルである。
【0072】
「C-カルボキシ」基は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、本明細書にお
いて定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニ
ル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および
5~10員ヘテロシクリルから選択される。非限定的例としては、カルボキシル(つまり
、-C(=O)OH)が挙げられる。
【0073】
「アセタール」基は、RC(H)(OR’)2を指し、式中、RおよびR’は、本明細
書において定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6ア
ルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、
および5~10員ヘテロシクリルから独立して選択される。
【0074】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0075】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)R」基を指し、式中、Rは、本明細書において
定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、
C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~
10員ヘテロシクリルから選択される。
【0076】
「スルホニル」基は、「-SO2R」基を指し、式中、Rは、本明細書において定義す
るように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~
7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員
ヘテロシクリルから選択される。
【0077】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2NRARB」基を指し、式中、RAおよびR
Bは、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキル、
C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリー
ル、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。
【0078】
「N-スルホンアミド」基は、「-N(RA)SO2RB」基を指し、式中、RAおよ
びRBは、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキ
ル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10ア
リール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。
【0079】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)NRARB」基を指し、式中、RAおよび
RBは、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキル
、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリ
ール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。
【0080】
「N-カルバミル」基は、「―N(RA)OC(=O)RB」基を指し、式中、RAお
よびRBは、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アル
キル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10
アリール、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される
。
【0081】
「C-アミド」基は、「-C(=O)NRARB」基を指し、式中、RAおよびRBは
、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキル、C2
~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、
5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。
【0082】
「N-アミド」基は、「-N(RA)C(=O)RB」基を指し、式中、RAおよびR
Bは、それぞれ独立して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキル、
C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリー
ル、5~10員ヘテロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。
【0083】
「アミノ」基は、「-NRARB」基を指し、式中、RAおよびRBは、それぞれ独立
して、本明細書において定義するように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル
、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテ
ロアリール、および5~10員ヘテロシクリルから選択される。非限定的例としては、遊
離アミノ(つまり、-NH2)が挙げられる。
【0084】
用語「ヒドラジン」または「ヒドラジニル」は、本明細書で用いる場合、-NHNH2
基を指す。
【0085】
用語「ヒドラゾン」または「ヒドラゾニル」は、本明細書で用いる場合、
【化19】
基を指す。
【0086】
用語「ホルミル」は、本明細書で用いる場合、-C(O)H基を指す。
【0087】
用語「ヒドロキシ」は、本明細書で用いる場合、-OH基を指す。
【0088】
用語「アジド」は、本明細書で用いる場合、-N3基を指す。
【0089】
用語「チオール」は、本明細書で用いる場合、-SH基を指す。
【0090】
用語「グリシジルエーテル」は、本明細書で用いる場合、
【化20】
を指す。
【0091】
用語「エポキシ」は、本明細書で用いる場合、
【化21】
を指す。
【0092】
用語「エステル」は、本明細書で用いる場合、R-C(=O)O-R’を指し、式中、
RおよびR’は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シク
ロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、ア
ラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、または任意に置換されたそれらの変異体で
あり得る。
【0093】
用語「カルボン酸」または「カルボキシル」は、本明細書で用いる場合、-C(O)O
Hを指す。
【0094】
本明細書で用いる場合、用語「テトラジン」または「テトラジニル」は、4個の窒素原
子を含む6員ヘテロアリール基を指す。テトラジンは任意に置換され得る。
【0095】
本明細書で用いる場合、置換基は、1つまたは複数の水素原子が別の原子または基と交
換された、無置換の親基に由来する。別段の指示がない限り、基が「置換されている」と
考えられる場合、それは、該基が、C1~C6アルキル、C1~C6アルケニル、C1~
C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、C3~C7カルボシクリル(ハロ、C1~
C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロ
アルコキシで任意に置換されている)、C3~C7-カルボシクリル-C1~C6-アル
キル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、お
よびC1~C6ハロアルコキシで任意に置換されている)、5~10員ヘテロシクリル(
ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC
1~C6ハロアルコキシで任意に置換されている)、5~10員ヘテロシクリル-C1~
C6-アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロア
ルキル、およびC1~C6ハロアルコキシで任意に置換されている)、アリール(ハロ、
C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C
6ハロアルコキシで任意に置換されている)、アリール(C1~C6)アルキル(ハロ、
C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C
6ハロアルコキシで任意に置換されている)、5~10員ヘテロアリール(ハロ、C1~
C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロ
アルコキシで任意に置換されている)、5~10員ヘテロアリール(C1~C6)アルキ
ル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およ
びC1~C6ハロアルコキシで任意に置換されている)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C
1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシ(C1~C6)アルキル(つまり、エーテル
)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C1~C6)アルキル(例
えば、-CF3)、ハロ(C1~C6)アルコキシ(例えば、-OCF3)、C1~C6
アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C1~C6)アルキル、ニトロ、O-カ
ルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N
-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ
、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、スルフィニル、
スルホニル、およびオキソ(=O)から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置
換されていることを意味する。基が「任意に置換されている(任意に置換された)」と記
載されている場合、その基は、上の置換基で置換され得る。
【0096】
あるラジカルの命名規則には、文脈に応じてモノラジカルまたはジラジカルの何れかが
含まれ得ることを理解されたい。例えば、置換基が残りの分子に対し2つの結合点を必要
とする場合、置換基はジラジカルであると理解される。例えば、2つの結合点を必要とす
るアルキルとして特定される置換基には、-CH2-、-CH2CH2-、および-CH
2CH(CH3)CH2-などのジラジカルが含まれる。他のラジカル命名規則は、ラジ
カルが「アルキレン」または「アルケニレン」などのジラジカルであることを明確に示す
。
【0097】
置換基がジラジカル(つまり、残りの分子に対し2つの結合点を有する)として描かれ
る場合は常に、該置換基は別段の指示がない限り、任意の指向性をもって結合可能である
ことを理解されたい。したがって、例えば、-AE-または
【化22】
として描かれる置換基には、Aが分子の一番右の結合点に結合する場合と同様に、分子の
一番左の結合点に結合するように方向づけられた置換基が含まれる。
【0098】
本明細書で開示する化合物が少なくとも1つの立体中心を有する場合、それらは個々の
エナンチオマーおよびジアステレオマーとして、または、ラセミ体を含むそのような異性
体の混合物として存在し得る。個々の異性体の分離または個々の異性体の選択的合成は、
当業者に周知である種々の方法を適用することにより達成される。別段の指示がない限り
、これらの異性体およびその混合物の全てが、本明細書で開示する化合物の範囲に含まれ
る。さらに、本明細書で開示する化合物は、1つまたは複数の結晶性形態またはアモルフ
ァス形態で存在し得る。別段の指示がない限り、これらの形態は全て、任意の多型形態(
polymorphic form)を含む、本明細書に開示する化合物の範囲に含まれ
る。加えて、本明細書に開示する化合物のいくつかは、水と溶媒和物(つまり、水和物)
を、または一般の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。別段の指示がない限り、そのような
溶媒和物は、本明細書に開示する化合物の範囲に含まれる。
【0099】
本明細書で用いる場合、「ヌクレオチド」には、複素環式塩基を含有する窒素、糖、お
よび1つまたは複数のリン酸基が含まれる。これらは核酸配列のモノマー単位(前駆体で
あれ、結合モノマーであれ)となり得る。RNAでは、糖はリボースであり、DNAでは
デオキシリボース、つまり、リボースの2’位置に存在するヒドロキシル基が欠けている
糖である。複素環式塩基を含有する窒素は、プリン塩基またはピリミジン塩基であり得る
。プリン塩基にはアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにそれの修飾誘導体また
はアナログが含まれる。ピリミジン塩基にはシトシン(C)、チミン(T)、およびウラ
シル(U)、ならびにその修飾誘導体またはアナログが含まれる。デオキシリボースのC
-1原子は、ピリミジンのN-1またはプリンのN-9に結合する。
【0100】
本明細書で用いる場合、「ヌクレオシド」は、構造的にヌクレオチドに類似しているが
、5’位置で任意のリン酸部分が欠けている。用語「ヌクレオシド」は、当業者により理
解される通常の意味で本明細書では用いられる。例としては、限定されるわけではないが
、リボース部分を含むリボヌクレオシド、およびデオキシリボース部分を含むデオキシリ
ボヌクレオシドが挙げられる。修飾ペントース部分は、酸素原子が炭素で置換されている
、および/または、炭素が硫黄原子もしくは酸素原子で置換されているペントース部分で
ある。「ヌクレオシド」は置換塩基および/または糖部分を有し得るモノマーである。加
えてヌクレオシドは、より大きいDNAおよび/またはRNAのポリマーおよびオリゴマ
ーに組み込まれ得る。
【0101】
本明細書で用いる場合、用語「ポリヌクレオチド」は、通常、DNA(例えば、ゲノム
DNA cDNA)、RNA(例えば、mRNA)、合成オリゴヌクレオチド、および合
成核酸アナログなどの核酸を指す。ポリヌクレオチドは、天然もしくは非天然の塩基、ま
たはそれらの組み合わせ、および、天然もしくは非天然の骨格結合、例えばホスホロチオ
エート、PNA、もしくは2’-O-メチル-RNA、またはそれらの組み合わせを含み
得る。
【0102】
本明細書で用いる場合、用語「プライマー」は、遊離3’OH基付きの一本鎖を有する
核酸として定義される。プライマーはまた、5’末端が修飾され、カップリング反応、ま
たはプライマーを別の部分に結合させることを可能にする。プライマー長は任意の数の塩
基長であり得、種々の非天然ヌクレオチドが含まれ得る。本明細書で用いる場合、「BC
Nプライマー」または「BCN修飾プライマー」は、5’末端において共有結合したビシ
クロ[6.1.0]ノナ-4-インを含むプライマーを指す。
【0103】
本明細書で用いる場合、用語「シラン」は、1つまたは複数のシリコン原子を含む有機
または無機の化合物を指す。有機シラン化合物の非限定例はSiH4、または水素が1つ
または複数のハロゲン原子で置換されたハロゲン化SiH4である。有機シラン化合物の
非限定例はX-RC-Si(ORD)3であり、式中、Xは、アミノ、ビニル、エポキシ
、メタクリレート、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニルなどの非加水分解性有機基
であり、RCはスペーサ、例えば-(CH2)n-(式中、nは0~1000である)で
あり、RDは、本明細書で定義するように、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置
換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたカルボシクリル、
任意に置換されたアリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、および任意に
置換された5~10員ヘテロシクリルから選択される。本明細書で用いる場合、用語「シ
ラン」には、異なるシラン化合物の混合物が含まれ得る。
【0104】
本明細書で用いる場合、用語「ポリマー」は、多数の繰り返しサブユニットまたは反復
単位からなる分子を指す。ポリマー構造の非限定的例としては、線形ポリマー、分岐ポリ
マー、または多分岐ポリマーが挙げられる。線形ポリマーの非限定的例としては、ブロッ
クコポリマーまたはランダムコポリマーが挙げられる。分岐ポリマーの非限定的例として
は、親水性セグメントと疎水性セグメントの両方を含む、星状ポリマー、星形ポリマー、
または星形ブロックポリマー、親水性セグメントと疎水性セグメントの両方を含むH型ポ
リマー、ダンベル型ポリマー、くし状ポリマー、ブラシ状ポリマー、デンドロン化ポリマ
ー、ラダー、およびデンドリマーが挙げられる。本明細書に記載するポリマーはまた、ポ
リマーナノ粒子の形態であり得る。ポリマー構成の他の例としては、限定されるわけでは
ないが、環状ブロックポリマー、コイル-サイクル-コイル(coil-cycle-c
oil)ポリマーなどが挙げられる。
【0105】
本明細書で用いる場合、接頭辞「光(photo)」または「光(photo-)」は
、光または電磁波放射に関係することを意味する。該用語は、限定されるわけではないが
、スペクトルのラジオ波部分、マイクロ波部分、赤外線部分、可視光部分、紫外線部分、
X線部分、またはガンマ線部分として一般的に知られる範囲を1つまたは複数含む、電磁
スペクトルの全てまたは一部を包含し得る。スペクトルの一部は、本明細書に記載するよ
うな金属などの表面の金属領域によりブロックされるものであり得る。あるいは、または
加えて、スペクトルの一部は、ガラス、プラスチック、シリカ、または本明細書に記載す
る他の材料で作られた領域などの、表面の間隙領域を通過するものであり得る。特定の実
施形態では、金属を通過することのできる放射線を用いることが可能である。あるいは、
または加えて、ガラス、プラスチック、シリカ、または本明細書に記載する他の材料によ
りマスクされる放射線を用いることが可能である。
【0106】
本明細書で用いる場合、用語「YES法」は、Illumina社により開発された化
学蒸着プロセスを有するYield Engineering Systems(「YE
S」)により提供される化学蒸着ツールを指す。それには3つの異なる蒸着システムが含
まれる。自動化YES-VertaCoatシラン蒸気システムは、200または300
mmウェハを収容することができる、可撓性ウェハハンドリングモジュールを用いた大量
生産のために設計されたものである。手動搭載型YES-1224Pシラン蒸着システム
は、その変更可能な大容量チャンバを用いた多目的な大量生産用に設計されたものである
。Yes-LabKoteは、実現可能性調査およびR&Dに理想的な、低コストの卓上
型である。
【0107】
本明細書で用いる場合、用語「残留表面比率」は、P5/P7表面プライマーを染色す
るTET QCを用いて測定される強度を指し得る。P5プライマーおよびP7プライマ
ーは、HiSeq(登録商標)、MiSeq(登録商標)、Genome Analyz
er(登録商標)、およびNextSeq(登録商標)プラットフォーム上でシーケンシ
ングするために、Illumina社により販売されている、市販のフローセルの表面で
用いられる。プライマーの配列は米国特許出願公開第2011/0059865号明細書
に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。P5プライマーおよびP
7プライマーの配列には以下が含まれる。
ペアエンド組:
P5: ペアエンド5’→3’
AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC
P7: ペアエンド5’→3’
CAAGCAGAAGACGGCATACGAG*AT
単一リード組:
P5: 単一リード: 5’→3’
AATGATACGGCGACCACCGA
P7: 単一リード5’→3’
CAAGCAGAAGACGGCATACGA
【0108】
一部の実施形態では、P5プライマーおよびP7プライマーは、5’末端においてリン
カーまたはスペーサを含み得る。そのようなリンカーまたはスペーサは、切断を可能にす
るため、例えばポリマーもしくは固体支持体への共有結合を可能にするなど他の所望の特
性を授けるため、または、スペーサとして機能して、切断部位を固体支持体から適切な距
離を置いて位置づけるために、含まれ得る。ある場合では、10個のスペーサヌクレオチ
ドを、P5プライマーまたはP7プライマーのポリマーまたは固体支持体への結合点の間
に位置付けることができる。一部の実施形態では、polyTスペーサを用いるが、ただ
し、他のヌクレオチドおよびそれらの組み合わせも用いることが可能である。一実施形態
では、スペーサは10Tスペーサである。TETはP5/P7プライマーに対し相補的な
配列を有する色素標識オリゴヌクレオチドである。TETは表面上でP5/P7プライマ
ーにハイブリダイズすることが可能であり、過剰なTETは洗い流され、結合した色素濃
度は、Typhoon Scanner(General Electric)などのス
キャン機器を用いた蛍光検出により測定することが可能である。
【0109】
ポリマーおよびDNAコポリマー
式(I)および式(II)の反復単位を有するポリマーおよび核酸コポリマー
本明細書に記載する一部の実施形態は、上記のように式(I)の反復単位および式(I
I)の反復単位を含む、表面官能化のためのポリマーに関する。
【0110】
【0111】
式中、R1a、R2a、R1b、およびR2bは、それぞれ独立して、水素、任意に置
換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択され、R3aおよびR3b
は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたフェニル、
または任意に置換されたC7~14アラルキルから選択され、L1およびL2は、それぞ
れ独立して、任意に置換されたアルキレンリンカー、または任意に置換されたヘテロアル
キレンリンカーから選択される。
【0112】
一部の実施形態では、R1aは、水素である。一部の実施形態では、R2aは、水素で
ある。一部の実施形態では、R3aは、水素である。一部の実施形態では。R1aは、水
素または任意に置換されたアルキル、好適にはC1~6アルキルから選択され、R2aお
よびR3aは、それぞれ水素である。一部の実施形態では、R1a、R2aおよびR3a
は、それぞれ水素である。一部の実施形態では、R1bは、水素である。一部の実施形態
では、R2bは、水素である。一部の実施形態では、R3bは、水素である。一部の実施
形態では、R1bは、水素または任意に置換されたアルキル、好適にはC1~6アルキル
から選択され、R2bおよびR3bは、それぞれ水素である。一部の実施形態では、R1
b、R2bおよびR3bは、それぞれ水素である。一部の実施形態では、L1は、任意に
置換されたアルキレンである。一部のそのような実施形態では、L1は、任意に置換され
たメチレンである。一部の他の実施形態では、L1は、任意に置換されたエチレンである
。一部のさらなる実施形態では、L1は、任意に置換されたプロピレンである。一部の実
施形態では、L1は、任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーである。一部のそのよ
うな実施形態では、L1は、1つまたは複数のオキソ基で任意に置換された(CH2)m
-NH-(CH2)n-であって、式中、mおよびnはそれぞれ、1~10から独立して
選択される整数である。一部の実施形態では、L2は、任意に置換されたアルキレンであ
る。一部のそのような実施形態では、L2は、任意に置換されたメチレンである。一部の
他の実施形態では、L2は、任意に置換されたエチレンである。一部のさらなる実施形態
では、L2は、任意に置換されたプロピレンである。一部の実施形態では、式(I)の反
復単位は、式(Ia)または式(Ib)によっても表され、式(II)は、式(IIa)
によっても表される。
【0113】
【0114】
式中、R1aおよびR1bは、それぞれ水素またはメチルから選択される。一部の実施
形態では、ポリマーは、式(Ia)および式(IIa)の反復単位を含む。一部の他の実
施形態では、ポリマーは、式(Ib)および式(IIa)の反復単位を含む。式(II)
または式(IIa)の反復単位の一部の実施形態では、アミノ官能基は、無機塩、例えば
塩酸塩の形態である。一部の実施形態では、式(I)および式(II)の反復単位のモル
比率は、約1:1である。一部のそのような実施形態では、式(Ia)および式(IIa
)の反復単位のモル比率は、約1:1である。一部のそのような実施形態では、式(Ib
)および式(IIa)の反復単位のモル比率は、約1:1である。
【0115】
一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポ
リウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリ
イソシアネート、ポリオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単
位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部のそのような実施形態
では、ポリマーはさらに、式(IIIa)もしくは式(IIIb)またはその両方のポリ
アクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。
【0116】
【0117】
式中、R
4a、R
4b、およびR
5bは、それぞれ水素またはC
1~3アルキルから選
択され、R
5a、R
6a、R
6b、およびR
7bは、それぞれ独立して、水素、任意に置
換されたC
1~6アルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される。一部の実
施形態では、R
4a、R
4b、およびR
5bは、それぞれ水素またはメチルから選択され
る。一部の実施形態では、R
6bおよびR
7bの両方が、水素である。一部の実施形態で
は、R
5aまたはR
6aの少なくとも一方が、水素である。一部のそのような実施形態で
は、R
5aおよびR
6aの両方が、水素である。一部の他の実施形態では、R
5aまたは
R
6aの少なくとも一方が、メチルである。一部のそのような実施形態では、R
5aおよ
びR
6aの両方が、メチルである。一部のそのような実施形態では、式(IIIa)の反
復単位は、(IIIa1)、(IIIa2)、または(IIIa3):
【化26】
によっても表される。一部のそのような実施形態では、式(IIIb)の反復単位は、(
IIIb1):
【化27】
によっても表される。
【0118】
一部の特定の実施形態では、ポリマーは、式(Ib)、式(IIa)、および式(II
Ia)の反復単位を含む。一部のさらなる実施形態では、ポリマーは、式(Ib)、式(
IIa)、式(IIIa)、および式(IIIb)の反復単位を含む。一部のそのような
実施形態では、式(IIIa)のモル百分率は、約85%~約90%である。一部のその
ような実施形態では、式(Ib)および式(IIa)のモル百分率は、それぞれ約5%で
ある、一実施形態では、ポリマーは、約90%対約5%対約5%のモル百分率で、式(I
IIa1)、式(Ib)、および式(IIa)の反復単位を含む。別の実施形態では、ポ
リマーは、約85%対約5%対約10%のモル百分率で、式(IIIa1)、式(Ib)
、および式(IIa)の反復単位を含む。さらに別の実施形態では、ポリマーは、約90
%対約5%対約5%のモル百分率で、式(IIIa2)、式(Ib)、および式(IIa
)の反復単位を含む。一部のさらなる実施形態では、ポリマーはさらに、約0.5モル%
~約2モル%の式(IIIb1)の反復単位を含み得る。
【0119】
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(I)の反復単
位および式(II)の反復単位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチ
ドを含む、グラフト化ポリマーに関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記
の種々の異なるポリマー骨格の反復単位、例えば、式(IIIa)もしくは式(IIIb
)またはその両方のポリアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。一部の実
施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化28】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、官能化オリゴヌクレオチドとの連結点を
示す。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共
有結合は構造部分
【化29】
を含む。一部の他のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの
間の共有結合は、構造部分
【化30】
を含む。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の
共有結合は、構造部分
【化31】
を含む。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の官能基をポ
リマーと反応させることによりグラフト化ポリマーを調製するが、前記1つまたは複数の
官能部分には、アルキン、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘ
テロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが
含まれる、または、前記1つまたは複数の官能部分は、アルキン、シクロアルケン、シク
ロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの
変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそのような実施形態では、
前記1つまたは複数の官能基にはアルキンが含まれる、または、前記1つまたは複数の官
能基はアルキンから選択される。一部の他の実施形態では、前記1つまたは複数の官能部
分には、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変
異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つまたは複数の官能部分
は、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変異体
、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ビシクロノニンはビシ
クロ[6.1.0]ノナ-4-インである。一部のそのような実施形態では、ポリマーの
アジド基を前記官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の官能基、例えばビシクロ[
6.1.0]ノナ-4-インと反応させることにより、グラフト化ポリマーを調製する。
【0120】
式(IV)の反復単位を有するポリマーおよび核酸コポリマー
本明細書に記載する一部の実施形態は、上記のように式(IV)の反復単位を含む、表
面官能化のためのポリマーに関する。
【0121】
【0122】
式中、R1cおよびR2cは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、
または任意に置換されたフェニルから選択され、R3cは、水素、任意に置換されたアル
キル、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたC7~14アラルキルから選
択され、Arは、任意に置換されたC6~10アリール、または任意に置換された5員も
しくは6員ヘテロアリールから選択され、RAは、任意に置換されたテトラジンであり、
L3は、一重結合、任意に置換されたアルキレンリンカー、または任意に置換されたヘテ
ロアルキレンリンカーから選択される。
【0123】
一部の実施形態では、R1cは、水素である。一部の実施形態では、R2cは、水素で
ある。一部の実施形態では、R3cは、水素である。一部の実施形態では、R1cは、水
素または任意に置換されたアルキル、好適にはC1~6アルキルから選択され、R2cお
よびR3cはそれぞれ水素である。一部の実施形態では、R1c、R2c、およびR3c
は、それぞれ水素である。一部の実施形態では、Arは、任意に置換されたフェニルであ
る。一部の実施形態では、L3は、一重結合である。一部の実施形態では、式(IV)の
反復単位は、式(IVa)によっても表される。
【0124】
【0125】
式中、R1cは、水素またはメチルから選択される。
【0126】
一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポ
リウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリ
イソシアネート、ポリオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単
位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部のそのような実施形態
では、ポリマーはさらに、上記に示す構造を有する式(IIIa)もしくは式(IIIb
)のポリアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。
【0127】
本明細書に記載の一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(IV)の反復単
位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含む、グラフト化ポリマ
ーに関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、上記の種々の異なるポリマー骨格
の反復単位、例えば、式(IIIa)もしくは式(IIIb)またはその両方のポリアク
リルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。一部の実施形態では、官能化オリゴヌ
クレオチドとポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化34】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの官能化オリゴヌクレオチドと
の連結点を示す。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマー
との間の共有結合は、構造部分
【化35】
を含む。一部の他のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの
間の共有結合は、構造部分
【化36】
を含む。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の官能基をポ
リマーと反応させることによりグラフト化ポリマーを調製するが、前記1つまたは複数の
官能部分には、アルキン、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘ
テロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが
含まれる、または、前記1つまたは複数の官能部分は、アルキン、シクロアルケン、シク
ロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの
変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそのような実施形態では、
1つまたは複数の官能部分には、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意
に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれ得る、または、1つ
または複数の官能部分は、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換
されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択され得る。一実施形態では
、ビシクロノニンはビシクロ[6.1.0]ノナ-4-インである。一部のそのような実
施形態では、ポリマーのテトラジン基を前記官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数
の官能基、例えばビシクロ[6.1.0]ノナ-4-インと反応させることにより、グラ
フト化ポリマーを調製する。
【0128】
式(V)の反復単位を有するポリマーおよび核酸コポリマー
本明細書に記載の一部の実施形態は、上記のように式(V)の反復単位を含む、表面官
能化のためのポリマーに関する。
【0129】
【0130】
式中、R1dおよびR2dは、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル、
または任意に置換されたフェニルから選択され、R3dは、それぞれ、水素、任意に置換
されたアルキル、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたC7~14アラル
キルから選択され、RBは、アジド、任意に置換されたアミノ、Boc保護アミノ、ヒド
ロキシ、チオール、アルキニル、アルケニル、ハロ、エポキシ、テトラジニル、またはア
ルデヒドから選択され、L4およびL5は、それぞれ独立して、任意に置換されたアルキ
レンリンカーまたは任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーから選択される。
【0131】
一部の実施形態では、R
1dは、アルキル基、好適にはC
1~6アルキルである。一部
のそのような実施形態では、R
1dは、メチルである。一部の他の実施形態では、R
1d
は、水素である。一部の実施形態では、R
2dは、水素である。一部の実施形態では、R
3dは、水素である。一部の実施形態では、R
2dおよびR
3dは、それぞれ水素である
。一部の実施形態では、R
Bは、アジド、アミノ、もしくはBoc保護アミノ、またはそ
れらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、L
4は、任意に置換されたアル
キレンリンカーである。一部のそのような実施形態では、L
4は、メチレンリンカーであ
る。一部の実施形態では、L
5は、任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーである。
一部のそのような実施形態では、L
5は、
【化38】
であって、式中、nは、1~50の整数である。一部の実施形態では、式Vの反復単位は
、式(Va)または式(Vb)によっても表される。
【0132】
【0133】
式中、R1dは、それぞれ独立して、水素またはメチルから選択される。一部のそのよ
うな実施形態では、nは、1~20の整数である。一部のそのような実施形態では、nは
、1~10の整数である。一部のそのような実施形態では、nは、1~5の整数である。
一実施形態では、nは、3である。一部の実施形態では、ポリマーは、式(Va)および
式(Vb)の両方を含む。
【0134】
一部の実施形態では、ポリマーはさらに、式(VIa)もしくは式(VIb)またはそ
の両方の反復単位を含み得る。
【0135】
【0136】
式中、R1e、R2e、R1f、およびR2fは、それぞれ独立して、水素、任意に置
換されたアルキル、または任意に置換されたフェニルから選択される。一部のそのような
実施形態では、R1eは、アルキル、好適にはC1~6アルキル、例えばメチルである。
一部の他の実施形態では、R1eは、水素である。一部の実施形態では、R2eは、水素
である。一部のそのような実施形態では、R1fは、アルキル、好適にはC1~6アルキ
ル、例えばメチルである。一部の他の実施形態では、R1fは、水素である。一部の実施
形態では、R2fは、水素である。
【0137】
一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポ
リウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリ
イソシアネート、ポリオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単
位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部のそのような実施形態
では、ポリマーはさらに、上記に示す構造を有する式(IIIa)もしくは式(IIIb
)のポリアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。
【0138】
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(V)の反復単
位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを含む、グラフト化ポリマ
ーに関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、式(VIa)もしくは式(VIb
)またはその両方の反復単位を含み得る。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチ
ドとポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化41】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの官能化オリゴヌクレオチドと
の連結点を示す。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマー
との間の共有結合は構造部分
【化42】
を含む。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の官能基をポ
リマーと反応させることによりグラフト化ポリマーを調製するが、前記1つまたは複数の
官能基には、任意に置換されたアミノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシル、酸無水物
、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つまたは複数の官能基は、任
意に置換されたアミノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシル、酸無水物、もしくはそれ
らの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドは、1
つまたは複数の任意に置換されたアミノ基を含む。一部のそのような実施形態ではアミノ
基は置換されていない。一部のそのような実施形態では、ポリマーのグリシジルエーテル
基またはエポキシ基を、前記官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数のアミノ基と反
応させることにより、グラフト化ポリマーを調製する。一部のそのような実施形態では、
ポリマーのエポキシ基は式(VIa)の反復単位に由来する。
【0139】
基材
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(I)の反復単
位および式(II)の反復単位を有するポリマーが共有結合した第1表面を備える基材に
関する。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレー
ト、ポリウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン
、ポリイソシアネート、ポリオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される
反復単位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部のそのような実
施形態では、ポリマーはさらに、下記に示す構造を有する式(IIIa)もしくは式(I
IIb)のポリアクリルアミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。一部の実施形態で
は、ポリマーと基材との間の共有結合は、アミンエポキシ開環反応により形成される。一
部の実施形態では、ポリマーと基材の第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化43】
またはそれらの組み合わせを含み、ここにおいて置換アミノは、式(II)の反復単位に
由来し、式中、*は、ポリマーの基材の、第1表面との連結点を示す。一部のそのような
実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化44】
を含む。一部の実施形態では、ポリマーを第1表面に共有結合した第1の複数の官能基と
反応させることにより基材を調製するが、前記第1の複数の官能基には、ビニル、アクリ
ロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、シクロ
アルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、グリシジ
ルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任意に置換されたそれ
らの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記第1の複数の官能基
は、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、
アルキニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒド
ラジニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任
意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそ
のような実施形態では、第1の複数の官能基にはエポキシ基が含まれる、または、第1の
複数の官能基はエポキシ基から選択される。一実施形態では、前記エポキシ基は構造
【化45】
を有する。一部の実施形態では、ポリマーのアミノ基を第1表面のエポキシ基と反応させ
ることにより基材を調製する。一部の実施形態では、上記の前記第1の複数の官能基を含
む官能化シランで表面を前処理し、官能化シランの第1の複数の官能基との反応を介して
ポリマーを第1表面に共有結合させる。
【0140】
一部の実施形態では、基材はさらに、ポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチ
ドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共有結合は、ア
ジドクリック環化付加反応により形成される。一部の実施形態は、官能化オリゴヌクレオ
チドとポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化46】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、官能化オリゴヌクレオチド
との連結点を示す。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つま
たは複数の官能基をポリマーのアジド基と反応させることにより官能化オリゴヌクレオチ
ドをポリマーに共有結合させるが、前記1つもしくは複数の官能部分には、アルキン、シ
クロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、任意に
置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つ
もしくは複数の官能部分は、アルキン、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロ
アルケン、ヘテロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの
組み合わせから選択される。一部のそのような実施形態では、前記1つまたは複数の官能
基にはアルキンが含まれる。一部の他の実施形態では、前記1つもしくは複数の官能部分
には、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変異
体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つもしくは複数の官能部分
は、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変異体
、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ビシクロノニンはビシ
クロ[6.1.0]ノナ-4-インである。一部の実施形態では、ポリマーのアジド基を
官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数のアルキン部分と反応させることにより、官
能化オリゴヌクレオチドをポリマーと共有結合させる。一部の他の実施形態では、ポリマ
ーのアジド基を官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数のビシクロ[6.1.0]ノ
ナ-4-インと反応させることにより、官能化オリゴヌクレオチドをポリマーに共有結合
させる。
【0141】
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(IV)の反復
単位を有するポリマーが共有結合した第1表面を備える基材に関する。一部の実施形態で
は、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシ
ロキサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポ
リオール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単位もしくはそれらの
組み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部のそのような実施形態では、ポリマーはさ
らに、以下に示す構造を有する式(IIIa)もしくは式(IIIb)のポリアクリルア
ミドの反復単位を1つまたは複数含み得る。一部の実施形態では、ポリマーと基材との間
の共有結合はテトラジン・ディールス・アルダー反応により形成され、これは窒素ガスの
除去をもたらす。一部の実施形態では、ポリマーと基材の第1表面との間の共有結合は、
構造部分
【化47】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、第1表面との連結点を示す
。一部のそのような実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化48】
を含む。一部の他のそのような実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、
構造部分
【化49】
を含む。一部の実施形態では、ポリマーを第1表面に共有結合した第1の複数の官能基と
反応させることにより基材を調製するが、前記第1の複数の官能基には、ビニル、アクリ
ロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、シクロ
アルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、グリシジ
ルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任意に置換されたそれ
らの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記第1の複数の官能基
は、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、
アルキニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒド
ラジニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任
意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそ
のような実施形態では、前記第1の複数の官能基には、任意に置換されたシクロアルケニ
ル基が含まれる、または、前記第1の複数の官能基は、任意に置換されたシクロアルケニ
ル基から選択される。一実施形態では、前記シクロアルケニルはノルボルネンである。一
部の実施形態では、ポリマーのテトラジン基を第1表面のノルボルネン基と反応させるこ
とにより、基材を調製する。一部の実施形態では、上記のように前記第1の複数の官能基
を含む官能化シランで表面を前処理し、官能化シランの第1の複数の官能基との反応を介
してポリマーを第1表面に共有結合させる。
【0142】
一部の実施形態では、基材はさらに、ポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチ
ドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共有結合はテト
ラジン・ディールス・アルダー反応により形成され、これは窒素ガスの除去をもたらす。
一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共有結合は、構造部
分
【化50】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、官能化オリゴヌクレオチド
との連結点を示す。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマ
ーとの間の共有結合は、構造部分
【化51】
を含む。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の
官能基をポリマーのテトラジン基と反応させることにより、官能化オリゴヌクレオチドを
ポリマーに共有結合させるが、前記1つもしくは複数の官能部分には、アルキン、シクロ
アルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロシクロアルキン、任意に置換
されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つもし
くは複数の官能部分は、アルキン、シクロアルケン、シクロアルキン、ヘテロシクロアル
ケン、ヘテロシクロアルキン、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み
合わせから選択される。一部のそのような実施形態では、前記1つもしくは複数の官能部
分には、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変
異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つもしくは複数の官能部
分は、ノルボルネン、シクロオクチン、ビシクロノニン、任意に置換されたそれらの変異
体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ビシクロノニンはビ
シクロ[6.1.0]ノナ-4-インである。一部のそのような実施形態では、ポリマー
のテトラジン基を官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数のビシクロ[6.1.0]
ノナ-4-イン部分と反応させることにより、官能化オリゴヌクレオチドをポリマーに共
有結合させる。
【0143】
本明細書に記載する一部の実施形態は、本明細書に記載するように、式(V)の反復単
位を有するポリマーが共有結合した第1表面を備える基材に関する。一部の実施形態では
、ポリマーはさらに、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロ
キサン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポリ
オール、およびポリサッカライドからなる群から選択される反復単位もしくはそれらの組
み合わせを、1つまたは複数含み得る。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、式(V
Ia)もしくは式(VIb)またはその両方の反復単位を含み得る。一部の実施形態では
、ポリマーと基材との間の共有結合は、アミンエポキシ開環反応により形成される。一部
の他の実施形態では、ポリマーと基材との間の共有結合は、アジドクリック環化付加反応
により形成される。一部の実施形態では、ポリマーと基材の第1表面との間の共有結合は
、構造部分
【化52】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、第1表面との連結点を示す
。一部のそのような実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化53】
を含む。一部の他の実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化54】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、第1表面との連結点を示す
。一部のそのような実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、構造部分
【化55】
を含む。一部の他のそのような実施形態では、ポリマーと第1表面との間の共有結合は、
構造部分
【化56】
を含む。一部の実施形態では、ポリマーを第1表面に共有結合した第1の複数の官能基と
反応させることにより基材を調製するが、前記第1の複数の官能基には、ビニル、アクリ
ロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、シクロ
アルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、グリシジ
ルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任意に置換されたそれ
らの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記第1の複数の官能基
は、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、
アルキニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒド
ラジニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任
意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそ
のような実施形態では、第1の複数の官能基には、任意に置換されたシクロアルケニル基
が含まれる、または、第1の複数の官能基は、任意に置換されたシクロアルケニル基から
選択される。一実施形態では、前記シクロアルケニルはノルボルネンである。一部の実施
形態では、ポリマーのアジド基を第1表面のノルボルネン基と反応させることにより、基
材を調製する。一部の他の実施形態では、第1の複数の官能基には、グリシジルエーテル
基もしくはエポキシ基が含まれる、または、第1の複数の官能基は、グリシジルエーテル
基もしくはエポキシ基から選択される。一部の実施形態では、ポリマーのBoc保護アミ
ノを脱保護し、次に、ポリマーのアミノ基を第1表面のグリシジルエーテル基またはエポ
キシ基と反応させることにより基材を調製する。一部の実施形態では、上記の前記第1の
複数の官能基を含む官能化シランで表面を前処理し、官能化シランの第1の複数の官能基
との反応を介してポリマーを第1表面に共有結合させる。
【0144】
一部の実施形態では、基材はさらに、ポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチ
ドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の共有結合は、ア
ミンエポキシ開環反応により形成される。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチ
ドとポリマーとの間の共有結合は、構造部分
【化57】
またはそれらの組み合わせを含み、式中、*は、ポリマーの、官能化オリゴヌクレオチド
との連結点を示す。一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドとポリマーとの間の
共有結合は、構造部分
【化58】
を含む。一部のそのような実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の
官能基をポリマーのエポキシ基と反応させることにより、官能化オリゴヌクレオチドをポ
リマーに共有結合させるが、前記1つもしくは複数の官能基には、任意に置換されたアミ
ノ、ヒドロキシ、チオール、カルボキシル、酸無水物、もしくはそれらの組み合わせが含
まれる、または、前記1つもしくは複数の官能基は、任意に置換されたアミノ、ヒドロキ
シ、チオール、カルボキシル、酸無水物、もしくはそれらの組み合わせから選択される。
一部のそのような実施形態では、前記1つもしくは複数の官能基には任意に置換されたア
ミノ基が含まれる、または、前記1つもしくは複数の官能基は任意に置換されたアミノ基
から選択される。一部のそのような実施形態では、ポリマーのエポキシ基を官能化オリゴ
ヌクレオチドのアミノ基と反応させることにより、官能化オリゴヌクレオチドをポリマー
に共有結合させる。
【0145】
本明細書に記載する実施形態では、基材材料には、ガラス、シリカ、プラスチック、石
英、金属、金属酸化物、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。一部の実施形態では、
基材はガラスを含む。一部の実施形態では、基材の第1表面は、ポリマーコーティング領
域および不活性領域の両方を含む。
【0146】
基材表面の調製
本明細書に記載する一部の実施形態は、第1の複数の官能基が共有結合した第1の表面
を備える基材を提供し;ポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオチドを有するグラ
フト化ポリマーを提供し、ここにおいて前記ポリマーは第2の複数の官能基を含み;前記
第1表面の第1の複数の官能基を、前記ポリマーの第2の複数の官能基と反応させ、その
結果、前記ポリマーを前記基材の第1表面に共有結合させることにより、グラフト化ポリ
マーを基材の第1表面に固定するプロセスまたは方法に関する。
【0147】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、基材の第1表面を官能化シランで前処
理するが、前記官能化シランは第1の複数の官能基を含む。一部の実施形態では、官能化
シランを化学蒸着(CVD)法により表面に堆積させる。一部のそのような実施形態では
、官能化シランを、Yield Engineering Systems(YES)オ
ーブンを用いたCVD法により第1表面に適用することが可能である。
【0148】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、ポリマーの第3の複数の官能基を、官能
化オリゴヌクレオチドの1つまたは複数の官能基と反応させることにより、グラフト化ポ
リマーを形成する。一部の他の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの前記1つまた
は複数の官能基を、第3の複数の官能基を含むモノマーと反応させ;前記反応モノマーを
重合してポリマーを形成し、その結果、前記官能化オリゴヌクレオチドをポリマーに共重
合させることにより、グラフト化ポリマーを形成する。
【0149】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、ポリマーの第2の複数の官能基は、ポ
リマーの第3の複数の官能基と同一である。例えば、ポリマーの第2の複数の官能基およ
び第3の複数の官能基は、両方がテトラジンであり得る。一部の他の実施形態では、ポリ
マーの第2の複数の官能基内の官能基は、ポリマーの第3の複数の官能基内の官能基とは
異なる。
【0150】
本明細書に記載する方法で用いるポリマー骨格は、線形、分岐状、多分岐状、または樹
状であり得る。最終のポリマー構造は、例えばランダムコポリマー、ブロックコポリマー
、くし形ポリマー、または星形ポリマーの構造を含む、種々の構成であり得る。限定され
るわけではないが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロキ
サン、シリコーン、ポリアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポリオ
ール、ポリサッカライドなどを含む異なる種類のポリマー骨格を、本明細書に記載する方
法で用いることが可能である。一部の実施形態では、ポリマーはポリアクリルアミド骨格
を含む。一部の他の実施形態では、ポリマーはポリアクリレート骨格を含む。一部のさら
に他の実施形態では、ポリマーはポリウレタン骨格を含む。一部のさらに他の実施形態で
は、ポリマーはポリホスファゼン骨格を含む。一部のさらに他の実施形態では、ポリマー
はデンドリマー骨格を含む。
【0151】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、第1表面の第1の複数の官能基には、
ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アル
キニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジ
ニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任意に
置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、第1表面
の第1の複数の官能基は、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテ
ロシクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレ
ン、アルデヒド、ヒドラジニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネ
ート、マレイミド、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから
選択される。一部のそのような実施形態では、第1の複数の官能基には、シクロアルケニ
ル、グリシジルエーテル、エポキシ、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれら
の組み合わせが含まれる、または、第1の複数の官能基は、シクロアルケニル、グリシジ
ルエーテル、エポキシ、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせ
から選択される。一部のさらなる実施形態では、第1の複数の官能基にはノルボルネンが
含まれる、または、第1の複数の官能基はノルボルネンから選択される。一部の他の実施
形態では、第1の複数の官能基にはエポキシが含まれる。一部のさらに他の実施形態では
、第1の複数の官能基にはグリシジルエーテルが含まれる。
【0152】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、ポリマーの官能基には、アミノ、テト
ラジニル、アジド、カルボキシル、ヒドロキシ、チオール、アルデヒド、ハロ、アルケニ
ル、アルキニル、エポキシ、グリシジルエーテルなどが含まれ得る、または、ポリマーの
官能基は、アミノ、テトラジニル、アジド、カルボキシル、ヒドロキシ、チオール、アル
デヒド、ハロ、アルケニル、アルキニル、エポキシ、グリシジルエーテルなどから選択さ
れる。本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、ポリマーの第2の複数の官能基に
は、アミノ、テトラジニル、アジド、カルボキシル、ヒドロキシ、チオール、アルデヒド
、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、
ポリマーの第2の複数の官能基は、アミノ、テトラジニル、アジド、カルボキシル、ヒド
ロキシ、チオール、アルデヒド、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組
み合わせから選択される。一部のそのような実施形態では、第2の複数の官能基には、ア
ミノもしくは保護アミノ、例えばBoc保護アミノが含まれる、または、第2の複数の官
能基は、アミノもしくは保護アミノ、例えばBoc保護アミノから選択される。一部の他
の実施形態では、第2の複数の官能基には任意に置換されたテトラジニルが含まれる。一
部のさらに他の実施形態では、第2の複数の官能基にはアジドが含まれる。
【0153】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、ポリマーの第3の複数の官能基には、
アジド、テトラジニル、グリシジル、エポキシ、アルキニル、任意に置換されたそれらの
変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、ポリマーの第3の複数の官能
基は、アジド、テトラジニル、グリシジル、エポキシ、アルキニル、任意に置換されたそ
れらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそのような実施形態
では、第3の複数の官能基にはアジドが含まれる。一部の他の実施形態では、第3の複数
の官能基には任意に置換されたテトラジニルが含まれる。一部のさらに他の実施形態では
、第3の複数の官能基にはアルキニルが含まれる。一部のさらに他の実施形態では、第3
の複数の官能基には、任意に置換されたグリシジルエーテルが含まれる。
【0154】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの前記1つ
もしくは複数の官能部分には、アミノ、アジド、カルボキシル、酸無水物、テトラジン、
エポキシ、グリシジルエーテル、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル
、アルキニル、シクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、マレイミド、
任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、官
能化オリゴヌクレオチドの前記1つもしくは複数の官能部分は、アミノ、アジド、カルボ
キシル、酸無水物、テトラジン、エポキシ、グリシジルエーテル、ビニル、アクリロイル
、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、ニトレン、アルデヒ
ド、ヒドラジニル、マレイミド、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組
み合わせから選択される。一部のさらなる実施形態では、官能化オリゴヌクレオチドの前
記1つもしくは複数の官能部分には、アルキニル、シクロアルケニル、シクロアルキニル
、アミノ、アジド、ヒドロキシ、チオール、カルボキシル、酸無水物、任意に置換された
それらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、官能化オリゴヌクレ
オチドの前記1つもしくは複数の官能部分は、アルキニル、シクロアルケニル、シクロア
ルキニル、アミノ、アジド、ヒドロキシ、チオール、カルボキシル、酸無水物、任意に置
換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。一部のそのよう
な実施形態では、前記1つまたは複数の官能部分には、シクロアルキニル、例えばビシク
ロ[6.1.0]ノナ-4-イン(BCN)が含まれる。一部の他の実施形態では、前記
1つまたは複数の官能部分にはアルキニルが含まれる。一部のさらに他の実施形態では、
前記1つまたは複数の官能部分にはアジドが含まれる。一部のさらに他の実施形態では、
前記1つまたは複数の官能部分には任意に置換されたアミノが含まれる。
【0155】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、グラフト化ポリマーは、本明細書に記
載するように、式(I)の反復単位および式(II)の反復単位を有するポリマーに共有
結合した官能化オリゴヌクレオチドを含む。一部のそのような実施形態では、第1表面の
第1の複数の官能基にはエポキシ基が含まれる。一実施形態では、前記エポキシ基は、
【化59】
である。一部のそのような実施形態では、ポリマーのアミノ基を第1表面のエポキシ基と
反応させることにより、グラフト化ポリマーを第1表面に共有結合させる。
【0156】
本明細書に記載する方法の一部の実施形態では、グラフト化ポリマーは、本明細書に記
載するように、式(IV)の反復単位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌク
レオチドを含む。一部のそのような実施形態では、第1表面の第1の複数の官能基には、
任意に置換されたシクロアルケニル基、例えば任意に置換されたノルボルネンが含まれる
。一部のそのような実施形態では、ポリマーのテトラジン基を第1表面のノルボルネン基
と反応させることにより、グラフト化ポリマーを第1表面に共有結合させる。
【0157】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、グラフト化ポリマーは、本明細書に記載
するように、式(V)の反復単位を有するポリマーに共有結合した官能化オリゴヌクレオ
チドを含む。一部の実施形態では、ポリマーはさらに、本明細書に記載するように、式(
VIa)もしくは式(VIb)またはその両方の反復単位を含み得る。一部のそのような
実施形態では、第1の複数の官能基には、任意に置換されたシクロアルケニル基、例えば
、任意に置換されたノルボルネンが含まれる。一部のそのような実施形態では、ポリマー
のアジド基を第1表面のノルボルネン基と反応させることにより、グラフト化ポリマーを
第1表面に共有結合させる。一部の他の実施形態では、第1の複数の官能基にはグリシジ
ルエーテル基またはエポキシ基が含まれる。一部の他の実施形態では、ポリマーのBoc
保護アミノ基を脱保護し;ポリマーのアミノ基を、第1表面のグリシジルエーテル基また
はエポキシ基と反応させることにより、グラフト化ポリマーを第1表面に共有結合させる
。
【0158】
本明細書に記載の一部の実施形態は、第1の複数の官能基が共有結合した第1表面を備
える基材を提供するステップと、本明細書に記載するように、式(I)および式(II)
、式(IV)、または式(V)の反復単位を有するポリマーを提供するステップと、前記
第1表面の第1の複数の官能基を前記ポリマーと反応させ、その結果、前記ポリマーを前
記基材の第1表面に共有結合させるステップとを含む、本明細書に記載のポリマーを基材
の第1表面に固定するプロセスまたは方法に関する。一部のそのような実施形態では、プ
ロセスまたは方法はさらに、1つまたは複数の官能化部分を含む官能化オリゴヌクレオチ
ドを提供するステップと、前記1つまたは複数の官能化部分を前記ポリマーと反応させ、
その結果、前記官能化オリゴヌクレオチドを前記ポリマーに共有結合させるステップとを
含む。一部のそのような実施形態では、第1の表面の第1の複数の官能基には、ビニル、
アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、
シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、グ
リシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、マレイミド、任意に置換され
たそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせが含まれる、または、第1の表面の第1
の複数の官能基は、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシク
ロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、ニトレン、ア
ルデヒド、ヒドラジニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルベン、イソシアネート、
マレイミド、任意に置換されたそれらの変異体、もしくはそれらの組み合わせから選択さ
れる。一部のそのような実施形態では、前記1つもしくは複数の官能化部分には、アミノ
、アジド、カルボキシル、酸無水物、テトラジン、エポキシ、グリシジルエーテル、ビニ
ル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、ニ
トレン、アルデヒド、ヒドラジニル、マレイミド、任意に置換されたそれらの変異体、も
しくはそれらの組み合わせが含まれる、または、前記1つもしくは複数の官能化部分は、
アミノ、アジド、カルボキシル、酸無水物、テトラジン、エポキシ、グリシジルエーテル
、ビニル、アクリロイル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニ
ル、ニトレン、アルデヒド、ヒドラジニル、マレイミド、任意に置換されたそれらの変異
体、もしくはそれらの組み合わせから選択される。
【0159】
本明細書に記載する方法の任意の実施形態では、式(I)および式(II)、式(IV
)、または式(V)の反復単位を有するポリマーまたはグラフト化ポリマーはさらに、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシロキサン、シリコーン、ポ
リアクロレイン、ポリホスファゼン、ポリイソシアネート、ポリオール、およびポリサッ
カライドからなる群から選択される反復単位もしくはそれらの組み合わせを、1つまたは
複数含み得る。一部のそのような実施形態では、ポリマーはさらに、下記に示す構造を有
する式(IIIa)もしくは式(IIIb)のポリアクリルアミドの反復単位を1つまた
は複数含み得る。
【0160】
本明細書に記載する方法の任意の実施形態では、方法はさらに、結合していない過剰な
官能化オリゴヌクレオチドを取り除く洗浄ステップを含む。一部の実施形態では、方法は
さらに、乾燥ステップを含む。
【0161】
本明細書に記載する実施形態の何れかでは、基材は、パターンのある、もしくはない、
またはその組み合わせの、ガラス、シリカ、石英、プラスチック、金属、金属酸化物から
選択される材料を含み得る。一実施形態では、基材の表面はガラスを含む。一部の実施形
態では、基材の表面は官能化シランコーティング領域および不活性領域の両方を含み得る
。一部の実施形態では、不活性領域は、ガラス領域、金属領域、マスク領域、および間隙
領域、またはそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、不活性領域はガラス
を含む。
【0162】
本明細書に記載する実施形態の何れかでは、QCマーカがポリマーおよび/またはポリ
マー構造に含まれ得る。
【0163】
本明細書に記載の任意の実施形態では、ポリマーまたはグラフト化ポリマーを、当業者
に既知の種々の表面適用技法、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸
漬コーティング、インクジェットコーティングなどを介して基材の表面に適用することが
できる。
【0164】
基材材料および設計
一部の実施形態では、本出願で用いられる基材には、ガラス、溶融石英、および他のシ
リカ含有材料などのシリカ系基材が含まれる。一部の実施形態では、シリカ系基材はまた
、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、水素化ケイ素であり得る。一部の実施形態では
、本出願で用いられる基材には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポ
リプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリ(メチルメタク
リレート)などのプラスチック材料が含まれる。好適なプラスチック材料は、ポリ(メチ
ルメタクリレート)基材、ポリスチレン基材、および環状オレフィンポリマー基材である
。一部の実施形態では、基材はシリカ系材料またはプラスチック材料である。特定の実施
形態では、基材は少なくとも1つの、ガラスを含む表面を備える。
【0165】
一部の実施形態では、基材は金属であり得る、または金属を含み得る。一部のそのよう
な実施形態では、金属は金である。一部の実施形態では、基材は少なくとも1つの、金属
酸化物を含む表面を備える。一実施形態では、表面は酸化タンタルまたは酸化スズを含む
。
【0166】
アクリルアミド、エノン、またはアクリレートも、基材材料として利用することができ
る。他の基材材料としては、限定されるわけではないが、ヒ化ガリウム、リン化インジウ
ム、アルミニウム、セラミックス、ポリイミド、石英、樹脂、ポリマー、およびコポリマ
ーが挙げられ得る。前述のリストは本出願の例示であり、本出願を限定することは意図し
ない。
【0167】
一部の実施形態では、基材および/または基材表面は石英であり得る。一部の他の実施
形態では、基材および/または基材表面は半導体、つまり、GaAsまたはITOであり
得る。
【0168】
基材は、単一の材料、または複数の異なる材料を含み得る。基材は複合材またはラミネ
ートであり得る。基材は、平ら、円形であり、テクスチャード加工され、かつパターン付
きであり得る。パターンは、例えば、米国特許第8778849号明細書(これは参照に
より本明細書に組み込まれる)に記載されているような、非金属表面にフィーチャを形成
する金属パッドなどにより形成することが可能である。別の有用なパターン付き表面は、
例えば、米国特許出願公開第2014/0243224号明細書、同第2011/017
2118号明細書、および米国特許第7622294号明細書(これらはそれぞれ、参照
によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、表面にウェルフィ
ーチャが形成されたものである。パターン付き基材を用いる実施形態では、ゲルをパター
ンフィーチャに選択的に付着させることが可能である(例えば、ゲルを金属パッドに付着
させることが可能である、または、ゲルをウェルの内部に付着することが可能である)か
、あるいは、ゲルをパターンフィーチャおよび間隙領域の両方に均一に付着させることが
可能である。
【0169】
分子アレイの調製および使用においてプラスチック系基材を用いる利点としては、コス
トが挙げられる。例えば射出成型により適切なプラスチック系基材を調製することは、シ
リカ系基材を例えばエッチングおよびボンディングにより調製するよりも概して安価であ
る。別の利点は、ほぼ制限のない種々のプラスチックにより、支持体の光学特性を微調整
して、意図するまたは用いる用途に適合させることが可能なことである。
【0170】
金属を基材として、または基材上のパッドとして用いる場合、これは、所望の用途、つ
まり、金属の伝導性によりDNA系センサの電場の変調を可能にするためであり得る。こ
のようにして、DNAミスマッチ識別を強化することができる、固定化オリゴヌクレオチ
ド分子の向きに影響を与えることができる、または、DNAハイブリダイゼーション動態
を加速させることができる。
【0171】
一部の実施形態では、基材はシリカ系だが、本出願を実践する用途に応じて、用いる基
材の形状は変わり得る。しかしながら、概して、シリカ、例えば溶融シリカなどの支持体
材料のスライドが、分子の調製およびそれに続く統合において得に有用である。本出願の
実践において特に役立つのは、商標名SPECTRASIL(商標)で売られている溶融
シリカスライドである。そうであっても、本出願は、ビーズおよびロッドなどの基材(シ
リカ系支持体を含む)の他の表現に等しく適用可能であることが当業者には明らかであろ
う。
【0172】
一部の実施形態では、基材の表面は、機能性分子コーティング領域およびコーティング
のない不活性領域の両方を含む。一部の実施形態では、機能性分子コーティングは、ハイ
ドロゲルコーティングまたはポリマーコーティングである。機能性分子コーティング領域
は反応性部位を含み得るため、該領域を用いて、化学結合または他の分子の相互作用を介
して分子を結合させることが可能である。一部の実施形態では、機能性分子コーティング
領域(例えば、反応性フィーチャ、パッド、ビーズ、ポスト、またはウェル)および不活
性領域(間隙領域と言われる)を、パターンまたはグリッドを形成するように交互にする
ことが可能である。そのようなパターンは1次元または2次元であり得る。一部の実施形
態では、不活性領域は、ガラス領域、金属領域、マスク領域、またはそれらの組み合わせ
から選択することが可能である。あるいは、これらの材料は反応性領域を形成することが
可能である。不活性性または反応性は、基材で用いられる化学反応およびプロセスに左右
されよう。一実施形態では、表面はガラス領域を含む。別の実施形態では、表面は金属領
域を含む。さらに別の実施形態では、表面はマスク領域を含む。本明細書に記載する構成
物の一部の実施形態では、基材はビーズであり得る。本開示のポリマーでコーティングす
ることが可能な、または、そうでなければ、本明細書に記載の構成物または方法において
用いることが可能な、非限定的な例示的基材材料は、米国特許第8778848号明細書
および同第8778849号明細書に記載されており、これらはそれぞれ参照によって本
明細書に組み込まれる。
【0173】
一部の実施形態では、本明細書に記載の基材は、フローセルの少なくとも一部を形成す
るか、またはフローセル内に位置する。一部のそのような実施形態では、フローセルはさ
らに、機能性分子コーティング、例えばポリマーコーティングを介して基材の表面に結合
したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはフローセル内に
ポリヌクレオチドクラスタの状態で存在し、ポリヌクレオチドクラスタのポリヌクレオチ
ドは、ポリマーコーティングを介してフローセルの表面に結合する。そのような実施形態
では、ポリヌクレオチドが結合するフローセル体の表面は、基材であると考えられる。他
の実施形態では、ポリマーコーティング表面を備える別個の基材がフローセル体にはめ込
まれる。好適な実施形態では、フローセルは複数のレーンまたは複数のセクタに分割され
るフローチャンバであり、ここにおいて複数レーンまたは複数セクタの1つまたは複数は
、本明細書に記載するように、共有結合したポリマーコーティングでコーティングされた
表面を備える。本明細書に記載するフローセルの一部の実施形態では、単一ポリヌクレオ
チドクラスタ内の結合ポリヌクレオチドは、同一または類似のヌクレオチド配列を有する
。本明細書に記載するフローセルの一部の実施形態では、異なるポリヌクレオチドクラス
タの結合ポリヌクレオチドは、異なるまたは非類似のヌクレオチド配列を有する。本明細
書に記載する方法および構成物で用いることが可能なフローセルを製造するための、例示
的なフローセルおよび基材としては、限定されるわけではないが、Illumina社(
カリフォルニア州、サンディエゴ)より商業的に入手可能なもの、または、米国特許出願
公開第2010/0111768号明細書もしくは同第2012/0270305号明細
書(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げ
られる。
【0174】
シーケンシング用途
本明細書に記載する構成物、装置、または方法は、種々の増幅技法の何れかとともに用
いることが可能である。用いることが可能な例示的な技法としては、限定されるわけでは
ないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多置換
増幅(MDA)、またはランダムプライム増幅(RPA)が挙げられる。特定の実施形態
では、増幅に用いる1つまたは複数のプライマーをポリマーコーティングに結合させるこ
とが可能である。PCRの実施形態では、増幅に用いるプライマーの一方または両方をポ
リマーコーティングに結合させることが可能である。2種の結合プライマーを利用するフ
ォーマットは、二本鎖アンプリコンが、コピーされた鋳型配列に隣接する2つの結合プラ
イマーの間でブリッジ状の構造を形成することから、しばしばブリッジ増幅と言われる。
ブリッジ増幅に用いることが可能な例示的な試薬および条件は、例えば、米国特許第56
41658号明細書、米国特許出願公開第2002/0055100号明細書、米国特許
第7115400号明細書、米国特許出願公開第2004/0096853号明細書、同
第2004/0002090号明細書、同第2007/0128624号明細書、および
同第2008/0009420号明細書に記載されており、これらはそれぞれ、その全体
が参照により本明細書に組み込まれる。PCR増幅はまた、ポリマーコーティングに結合
した増幅プライマーの1つと溶液中の第2プライマーを用いて実行することが可能である
。1つの結合プライマーおよび可溶性プライマーの組み合わせを用いる例示的なフォーマ
ットは、例えば、Dressman et al.,Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 100:8817-8822(2003)、国際公開第05/01014
5号、米国特許出願公開第2005/0130173号明細書、または同第2005/0
064460号明細書(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に記載
されている、エマルジョンPCRである。エマルジョンPCRは例示的フォーマットであ
り、本明細書に記載の方法では、エマルジョンの使用は任意にあり、実際には、いくつか
の実施形態ではエマルジョンは用いられないことが理解されよう。さらに、プライマーは
、ePCRの参考文献に記載されているように基材または固体支持体に直接結合している
必要はなく、代わりに、本明細書に記載するポリマーコーティングに結合させることが可
能である。
【0175】
本開示の方法、構成物、または装置で用いるために、RCA技法を修正することが可能
である。RCA反応で用いることが可能な例示的な構成要素およびRCAがアンプリコン
を生成する原理は、例えば、Lizardi et al.,Nat.Genet.19
:225-232(1998)および米国特許出願公開第2007/0099208号明
細書に記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。RCA
に用いるプライマーは溶液中にあるか、またはポリマーコーティングに結合させることが
可能である。
【0176】
本開示の方法、構成物、または装置とともに用いるため、MDA技法を修正することが
可能である。MDA用の一部の基本原則および有用な条件は、例えば、Dean et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5261-66(20
02)、Lage et al.,Genome Research 13:294-3
07(2003)、Walker et al.,Molecular Methods
for Virus Detection,Academic Press,Inc.
,1995、Walker et al.,Nucl.Acids Res.20:16
91-96(1992)、米国特許第5455166号明細書、同第5130238号明
細書、および同第6214587号明細書に記載されており、これらはそれぞれ、参照に
より本明細書に組み込まれる。MDAに用いるプライマーは溶液中にあるか、またはポリ
マーコーティングに結合させることが可能である。
【0177】
特定の実施形態では、上記で例示した増幅技法の組み合わせを用いることが可能である
。例えば、RCAとMDAを組み合わせて用いることが可能であり、ここでは、RCAを
用いて(例えば、溶液相プライマーを用いて)溶液中で鎖状(concatameric
)のアンプリコンを生成する。該アンプリコンを次に、ポリマーコーティングに結合した
プライマーを用いるMDA用の鋳型として用いることが可能である。この例では、RCA
とMDAを組み合わせたステップの後に生成されるアンプリコンは、ポリマーコーティン
グに結合するだろう。
【0178】
一部の実施形態では、本明細書に記載するように、官能化ハイドロゲルまたはポリマー
でコーティングした基材を、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法に用い
ることが可能である。そのような実施形態では、前記方法は、(a)ポリヌクレオチドポ
リメラーゼを、本明細書に記載するポリマーコーティングまたハイドロゲルコーティング
の何れか一方を介して基材の表面に結合したポリヌクレオチドクラスタに接触させるステ
ップと、(b)ヌクレオチドを前記基材のポリマーコーティング表面に提供して、その結
果、1つまたは複数のヌクレオチドがポリヌクレオチドポリメラーゼに利用される際、検
出可能なシグナルを生成させるステップと、(c)1つまたは複数のポリヌクレオチドク
ラスタにおいてシグナルを検出ステップと、(d)ステップ(b)とステップ(c)を繰
り返すことにより、1つまたは複数のポリヌクレオチドクラスタに存在するポリヌクレオ
チドのヌクレオチド配列を決定するステップとを含み得る。
【0179】
核酸シーケンシングを用いて、当技術分野で既知の種々のプロセスによりポリヌクレオ
チドのヌクレオチド配列を決定することが可能である。好適な方法では、シーケンシング
-バイ-シンセシス(SBS)法を利用して、本明細書に記載するポリマーコーティング
の何れか1つを介して基材の表面に結合したポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定
する。そのようなプロセスでは、1つまたは複数のヌクレオチドを、ポリヌクレオチドポ
リメラーゼに関連する鋳型ポリヌクレオチドに提供する。ポリヌクレオチドポリメラーゼ
は、ポリヌクレオチド鋳型に対し相補的な、新しく合成された核酸鎖に1つまたは複数の
ヌクレオチドを組み込む。合成は、鋳型ポリヌクレオチドの一部、または、鋳型ポリヌク
レオチドの一方の末端に共有結合した、ユニバーサル核酸もしくは非可変(non-va
riable)核酸の一部に対し相補的なオリゴヌクレオチドプライマーから開始される
。ヌクレオチドが鋳型ポリヌクレオチドに組み込まれる際、検出可能なシグナルが生成さ
れ、これはシーケンシングプロセスの各ステップでどのヌクレオチドが組み込まれたかを
決定することを可能にする。このようにして、鋳型ポリヌクレオチドの少なくとも一部に
対し相補的な核酸配列が生成され得ることにより、鋳型ポリヌクレオチドの少なくとも一
部のヌクレオチド配列の決定が可能になる。
【0180】
フローセルは、本開示の方法により作成され、シーケンシング-バイ-シンセシス(S
BS)法または他の、サイクル中に試薬の反復送達を要する検出技法にかけられるアレイ
を収容する、利便性の高いフォーマットを提供する。例えば、第1のSBSサイクルを開
始するために、1つまたは複数の標識化ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどを、本明
細書に記載する方法により作成された核酸アレイを収容するフローセルに/フローセルを
通して流すことが可能である。プライマー伸長が標識化ヌクレオチドの組み込みを引き起
こすアレイの部位は、検出することが可能である。オプションとして、ヌクレオチドはさ
らに、いったんヌクレオチドがプライマーに加えたらさらなるプライマー伸長を終わらせ
る、可逆的停止特性を備え得る。例えば、可逆的ターミネータ部分を有するヌクレオチド
アナログをプライマーに加え、その結果、デブロッキング剤を送達して該部分を取り除く
まで、後続の伸長を起きないようにすることが可能である。したがって、可逆的終結を用
いる実施形態では、デブロッキング剤を(検出を行う前後で)フローセルに送達すること
が可能である。洗浄を種々の送達ステップの間で行うことが可能である。サイクルを次に
n回繰り返して、プライマーをnヌクレオチド分伸長させることにより、長さnの配列を
検出することが可能である。本開示の方法により生成されるアレイで用いるために容易に
適合させることが可能な例示的なSBS手順、流体系、および検出プラットフォームは、
例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008
)、国際出願第04/018497号、米国特許第7057026号明細書、国際出願第
91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7329492号明細書、
同第7211414号明細書、同第7315019号明細書、同第7405281号明細
書、および米国特許出願公開第2008/0108082号明細書に記載されており、こ
れらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0181】
例えば、パイロシーケンシングなどサイクル性反応を用いるものを含む、他のシーケン
シング手順を用いることが可能である。パイロシーケンシングは、特定のヌクレオチドが
新生核酸鎖に組み込まれる際の無機ピロリン酸(PPi)の放出を検出する(Ronag
hi, et al.,Analytical Biochemistry 242(1
),84-9(1996)、Ronaghi,Genome Res.11(1),3-
11(2001)、Ronaghi et al.Science 281(5375)
,363(1998)、米国特許第6210891号明細書、同第6258568号明細
書、および同第6274320号明細書(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明
細書に組み込まれる))。パイロシーケンシングでは、放出されたPPiを、ATPスル
フリラーゼによりアデノシン三リン酸(ATP)に即時に変換することにより、検出する
ことが可能であり、生成されたATPの程度は、ルシフェラーゼにより生成される光子を
介して検出することが可能である。したがって、シーケンシング反応は、発光検出系を介
してモニターすることが可能である。蛍光に基づく検出系で用いられる励起放射線源は、
パイロシーケンシング手順では必要ではない。パイロシーケンシングを本開示のアレイに
適用するために用いることが可能な有用な流体系、検出器、および手順は、例えば国際公
開第12/058096号、米国特許出願公開第2005/0191698号明細書、米
国特許第7595883号明細書、および同第7244559号明細書に記載されており
、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0182】
例えば、Shendure et al.Science 309:1728-173
2(2005)、米国特許第5599675号明細書、および同第5750341号明細
書(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されてい
ものを含め、シーケンシング-バイ-ライゲーション反応も有用である。一部の実施形態
には、例えばBains et al.,Journal of Theoretica
l Biology 135(3),303-7(1988)、Drmanac et
al.,Nature Biotechnology 16,54-58(1998)、
Fodor et al.,Science 251(4995),767-773(1
995)、国際公開第1989/10977号(これらはそれぞれ、その全体が参照によ
り本明細書に組み込まれる)に記載されているような、シーケンシング-バイ-ハイブリ
ダイゼーション手順が含まれ得る。シーケンシング-バイ-ライゲーション手順とシーケ
ンシング-バイ-ハイブリダイゼーション手順の両方において、アレイの部位に存在する
核酸は、オリゴヌクレオチドの送達と検出の反復サイクルにかけられる。本明細書または
本明細書で引用する参考文献に記載されるSBS法のための流体系は、シーケンシング-
バイ-ライゲーション手順またはシーケンシング-バイ-ハイブリダイゼーション手順用
の試薬の送達に、容易に適合させることが可能である。典型的には、オリゴヌクレオチド
は蛍光標識され、これは、本明細書または本明細書で引用する参考文献に記載されるSB
S手順に関して記載されるものに似た蛍光検出器を用いて、検出することが可能である。
【0183】
一部の実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを伴う方法を
利用することが可能である。例えば、ヌクレオチドの組み込みは、蛍光体担持ポリメラー
ゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用
を介して、または、zeromode waveguides(ZMWs)を用いて検出
することが可能である。FRETに基づくシーケンシングのための技法および試薬は、例
えば、Levene et al.Science 299,682-686(2003
)、Lundquist et al.Opt.Lett.33,1026-1028(
2008)、Korlach et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 105,1176-1181(2008)に記載されており、これらの開示はその
全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
一部のSBSの実施形態には、ヌクレオチドが伸長産物に組み込まれる際に放出される
プロトンの検出が含まれる。例えば、放出プロトンの検出に基づくシーケンシングは、I
on Torrent社(コネチカット州ギルフォード、Life Technolog
ies社の子会社)から商業的に入手可能な電気検出器および関連技法、または、米国特
許出願公開第2009/0026082号明細書、同第2009/0127589号明細
書、同第2010/0137143号明細書、もしくは同第2010/0282617号
(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるシー
ケンシング法および系を用いることが可能である。
【0185】
例えば本明細書に記載の方法により作成された、本開示のアレイの別の有用な用途は、
遺伝子発現解析である。遺伝子発現は、デジタルRNAシーケンシングと呼ばれるものな
どのRNAシーケンシング技法を用いて検出または定量化することが可能である。RNA
シーケンシング技法は、上記のような当技術分野で既知のシーケンシング方法論を用いて
実行することが可能である。遺伝子発現はまた、アレイへの直接的なハイブリダイゼーシ
ョンにより実行されるハイブリダイゼーション技法を用いて、または、産物がアレイ上で
検出されるマルチプレックスアッセイを用いて、検出または定量化することが可能である
。例えば本明細書に記載の方法により作成された本開示のアレイを用いて、1つまたは複
数の個体に由来するゲノムDNAサンプルの遺伝子型を決定することも可能である。本開
示のアレイ上で実行することが可能な、アレイに基づく発現およびジェノタイピングの解
析のための例示的な方法は、米国特許第7582420号明細書、同第6890741号
明細書、同第6913884号明細書、同第6355431号明細書、米国特許出願公開
第2005/0053980号明細書、同第2009/0186349号明細書、または
2005/0181440号明細書に記載されており、これらはそれぞれ、その全体が参
照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
フローセルを用いる上記の方法の一部の実施形態では、単一種類のヌクレオチドのみが
単一フローステップ時のフローセルに存在する。そのような実施形態では、ヌクレオチド
は、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、およびそれらのアナログからなる群から
選択され得る。フローセルを用いる上記方法の他の実施形態では、複数の異なる種類のヌ
クレオチドが単一フローステップ時のフローセルに存在する。そのような方法では、ヌク
レオチドは、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、およびそれらのアナログからな
る群から選択され得る。
【0187】
フローセル内に存在する基材の表面のポリマーコーティングに結合した1つまたは複数
のポリヌクレオチドについて、各フローステップ時に組み込まれるヌクレオチド(nuc
leotide)またはヌクレオチド(nucleotides)の決定は、ポリヌクレ
オチド鋳型において、またはその近くで生じるシグナルを検出することにより達成される
。上記方法の一部の実施形態では、検出可能なシグナルには光学的シグナルが含まれる。
他の実施形態では、検出可能なシグナルには非光学的シグナルが含まれる。そのような実
施形態では、非光学的シグナルには、1つまたは複数のポリヌクレオチド鋳型における、
またはその近くでのpHの変化が含まれる。
【実施例】
【0188】
追加の実施形態を、以下の例においてさらに詳細に開示するが、これは特許請求の範囲を
限定することは決して意図しない。
【0189】
(実施例1) スキーム1.直交二官能化ポリアクリルアミドの合成
【化60】
【0190】
スキーム1は、ポリ-アクリルアミド-co-AzAPA-co-アミノエチルアクリ
ルアミド(L-PAmAzA)の調製のための合成スキームを示す。第1ステップでは、
N-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BrAPA)をDMFにお
いて35℃で2時間、アジ化ナトリウムと反応させることで、N-(5-アジドアセトア
ミジルペンチル)アクリルアミド(AzAPA)を合成した。次に、AIBN型ポリマー
開始システム(Vazo56)を用いて、AzAPAをアクリルアミドおよびN-(2-
アミノエチル)メタクリルアミドHClと反応させることにより、L-PAmAzAを合
成した。結果として生じるL-PAmAzAは、モル比率x:y:zが約90%対約5%
対約5%である3つの反復単位を有する。
【0191】
加えて、N,N’-メチレンビスアクリルアミドモノマーを重合反応に導入することに
より、L-PAmAzAの架橋を達成し、これは、以下に示す例示的な構造を有する架橋
ポリマー(XL-PAmAzA)を生じさせた。
【0192】
【0193】
直交官能性を帯びた一連の線形ポリアクリルアミドを、上記の類似した手順の後に熱開
始剤Vazo56を用いて調製した。反応時間は約1.5時間~約3時間で、その後、M
eCNへの析出を介した精製ステップが続いた。下記の表1に、重合反応のためのモノマ
ーの量をまとめる。
【0194】
【0195】
【0196】
二官能性ポリアクリルアミドの直交反応性を実証するため、エポキシ単層表面上に5モ
ル%のアミノエチル官能性を含有する表1の3つの新しいポリアクリルアミド(ポリマー
1、「P1」;ポリマー4、「P4」;ポリマー6、「P6」)のコーティング性能を、
標準的なノルボルネン単層表面と対比させて評価した。ポリマー1およびポリマー6は上
記に示す構造を有するL-PAmAzAおよびXL-PAmAzAである。ポリマー4の
簡略化した構造を以下に示す。
【0197】
【0198】
標準的なPAZAMポリマーを対照として用いた。ノルボルネン単層表面とエポキシ単
層表面についてのフローセルのレイアウトを、表2と表3それぞれにまとめる。
【0199】
【0200】
【0201】
HiSeq基材(カリフォルニア州、サンディエゴ、Illumina社より提供)を
この初期のスクリーニングに用い、CVDプロセスを乾燥器を用いて実行した。二官能性
ポリアクリルアミドポリマーを、歪み促進アジドクリック反応(strain-prom
oted azide click reaction)を介してノルボルネンと反応さ
せて、60℃でノルボルネン単層表面に共有結合させた。同様に二官能性ポリアクリルア
ミドポリマーを、ポリマーを表面に共有結合させるアミン官能基を用いたエポキシ開環反
応を介して、エポキシ単層にコーティングした。2つのQCメトリクスを用いて方法の成
果を測った。QC1とQC3の両方が、450VのPMTおよび555BPのフィルタエ
ミッションとともに緑色レーザを利用する。QC1用のTET QCオリゴミックスは1
.6mM:100mLの16μMオリゴ+0.9mLのHT1である。QC3用のTET
QCオリゴミックスは0.6mM(それぞれ):35mLの16μMオリゴ+0.9m
LのHT1である。TET QC1およびTET QC3での、ノルボルネンシラン単層
表面におけるポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像とポリマーのT
yphoon強度中央値の関連チャートを、
図1A、
図1B、
図1C、および
図1Dそれ
ぞれに示す。TET QC1およびTET QC3での、エポキシシラン単層表面におけ
るポリマーコーティングフローセルのTyphoon蛍光画像とポリマーのTyphoo
n強度中央値の関連チャートを
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dそれぞれに示す。
【0202】
ノルボルネン表面とエポキシ表面についてのTET QC測定を、表4と表5それぞれ
にまとめる。
【0203】
【0204】
【0205】
上記で述べたフローセル対の結果は、シーケンシング-バイ-シンセシスをサポートす
るポリアクリルアミド材料の、直交反応性の効用を支持する証拠を提供した。第1に、テ
ストした全てのアジド官能化材料は全て、ノルボルネン表面にしっかり結合することが可
能だった。これは、熱応力試験により測定されるように、安定した表面が得られるように
アジドがポリマー構造に組み込まれたことを意味する。第2に、アミン官能化ポリマーは
全て、乾燥器の使用により生成されたエポキシ表面をコーティングすることが可能だった
。表面のプライマー濃度は約20~30kだった。これらの実験で、対照のポリマー(つ
まり標準的なPAZAM)はアミン官能性を持たず、熱応力試験の後で最大の表面減少を
示した。これは予想された結果である。二官能化ポリアクリルアミドポリマーのP1,P
4、およびP6はそれぞれ5%アミン官能性を有し、適度な表面安定性を示した。本結果
は、これらのポリアクリルアミドコーティング表面が頑強であることを示した(ポリマー
コーティング表面を標準的な応力試験にかけた後の表面減少は約20%~30%だった)
。ノルボルネン単層表面とエポキシ単層表面のTET QCのシグナル変化の結果を、図
3Aおよび
図3Bにそれぞれ示す。テストした3つの二官能化ポリアクリルアミドのうち
、ポリマー4が最良の表面頑強性を示す。
【0206】
上記の手順により調製した直交ポリアクリルアミドは、概してランダムコポリマーであ
る。ポリマー構造の異なる官能性部分を分けること、例えば、全てのアジド官能基を全て
のアミン官能基からポリマー鎖の異なるセグメントへ分けることが望ましい場合がある。
この代替合成は、制御ラジカル重合(CRP)法(例えば、RAFT、ATRP)を用い
て容易に達成可能である。スキーム2.1とスキーム2.2は、ブロックコポリマーAE
MA-b-AzAPA(ポリマー7)を調製するための2つの合成経路を示す。
【0207】
【0208】
【0209】
スキーム2.2に従ってRAFT技法により調製したブロックコポリマーAEMA-b
-AzAPAのコーティング性能を、エポキシシラン単層表面においてランダムコポリマ
ーのポリマー4のそれと比較した。CVDプロセスを60℃のオーブン内で乾燥器を用い
てフローセル上で実行し、該フローセルを一晩インキュベートした。フローセルのレイア
ウトを表6にまとめる。ポリマー7のアミノ官能基とエポキシ表面でのポリマー4との間
のカップリング反応を、60℃で1時間行った。
【0210】
【0211】
2つのQCメトリクス(QC1およびQC3)を用いて本方法の成果を測った。TET
QC1およびTET QC3での、エポキシシラン単層表面におけるポリマーコーティ
ングフローセルのTyphoon蛍光画像とポリマーのTyphoon強度中央値の関連
チャートを、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dそれぞれに示す。TET QCのシ
グナル変化の結果を
図4Eに示す。エポキシ表面についてのTET QC測定を下記の表
7にまとめる。両材料とも、熱応力試験後に実行されるTET QCにより測定されるよ
うに、安定した表面をもたらした。それぞれの場合において、コーティングは極めて均質
だった。
【0212】
【0213】
【0214】
スキーム3は、DNAコポリマーをシラン化基材表面に固定することによる基材調製に
ついてのフローチャートを示す。第1に、アルキン官能化プライマーをアクリルアミドモ
ノマー、アジド-アクリルアミドモノマー、およびアミノ-アクリルアミドモノマーと反
応させて予備グラフト化三元コポリマー(DNAコポリマー)を形成することにより、D
NAコポリマーを形成する。基材表面をまずエポキシ基を含むシランで処理する。次に、
ポリマーの第一アミノ基をシランのエポキシ基と反応させることにより、DNAコポリマ
ーを基材表面に固定する。このプロセスにより調製されるDNAコポリマーの構造は、他
のモノマーの添加により修飾することができ、例えば、N,N-メチレンビスアクリルア
ミドを加えて規定のやり方で架橋を導入する、または、イニマー(またはモノマー開始剤
)を加えて規定のやり方で分岐点を導入することが可能である。RAFT、ATRP、ま
たはNMPなどの制御重合技法を用いて、必要であれば、ポリマーの官能性部分を分離し
たブロックコポリマー構造を作製して、より効果的にすることもできる。
【0215】
(実施例3)
スキーム4.テトラジン官能化ポリマーとのオリゴ反応
【化67】
【0216】
スキーム4は、グラフト化ポリマーを形成するための、ビシクロ[6.1.0]ノナ-
4-イン(「BCN」)官能化P5またはP7プライマーと、テトラジン修飾アクリルア
ミドポリマー(「Tz-Am」)との間の反応を示す。この無触媒の歪み促進クリック反
応は室温で行うことが可能であり、それは水性環境に適応する。結果として生じるグラフ
ト化ポリマーを、いくつかの方法、例えば、析出またはタンジェンシャルフロー・フィル
トレーション(「TEF」)などを用いて精製することが可能である。このプロセスで用
いることができる、他の非限定的な実現可能なポリマー骨格としては、ポリアクリレート
またはポリホスファゼンが挙げられる。
【0217】
スキーム5.予備グラフト化テトラジンポリマーの表面への結合
【化68】
【0218】
スキーム5は、予備グラフト化したテトラジンアクリルアミドポリマーの、基材のノル
ボルネン官能化表面への結合を示す。ノルボルネンシラン化表面は、Illumina社
のNextSeq(登録商標)プラットフォームの標準部品である。あるいは、テトラジ
ン官能化ポリマーおよびBCNポリマーは、グラフト化ポリマーを形成する代わりに基材
表面にin situで結合させることができる。
【0219】
このアプローチの実現可能性を評価するため、初期実験を、モデルシステムを用いて小
規模の溶液反応において実行した(スキーム6)。
【0220】
【0221】
スキーム6は、モル比率が1:1の、ノルボルネン(Nb)と商業的に入手可能なビピ
リジルテトラジン(BiPy)との間の反応を示す。軽く撹拌し、溶媒としてCDCl
3
を用いて、室温でNMR管において反応を行った。反応混合物のNMRスペクトルを、反
応開始時(t=0)で1回、15分後に1回、および60分後に1回と、3つの異なる時
点で取り込んだ。NMRスペクトルは、ノルボルネン(約5.8ppmで化学シフトあり
)の2つのアルケン水素のピークが消失し、1時間後にほぼ見えなくなることを示した(
図5参照)。これは、テトラジンとノルボルネンとの間の反応の迅速な動態を示す。
【0222】
【0223】
別の実験において、スキーム7は、ビスフェニル置換1,2,4,5-テトラジン(1
mM)を用いた、シクロオクチン(10mM)の簡易歪み促進[4+2]付加環化を示す
。反応を室温で乾燥MeOHにおいて実行した。
図6は、シクロオクチンのUV-vis
吸収が減少するパターンを示し、これは、反応がたった9分後にほぼ完了したことを示す
。W.Chen,D.Wang,C.Dai,D.Hamelberg B.Wang,
Chem.Commun.,2012,48,1736-1738を参照されたい。
【0224】
(実施例4)
スキーム8.予備グラフト化ポリ(グリシジルメタクリレート)の調製
【化71】
【0225】
スキーム8は、ポリ(グリシジルメタクリレート)のグリシジルエーテル基を、官能化
プライマーとアミノ-PEG-アジドのアミノ基と反応させることによる、予備グラフト
化ポリ(グリシジルメタクリレート)のくし状ポリマーの調製を示す。このグラフト化ポ
リマーは、ポリマーの側鎖アジド基とノルボルネンとの間の無触媒、歪み促進クリック反
応を介して、標準的なノルボルネンの表面に結合させることが可能である。いくつかの商
業的に利用可能なアミノアジドを用いることが可能であり、アジド基はまた、他の直交官
能基で置換することができる。
【0226】
(実施例5)
スキーム9.予備グラフト化ポリ(グリシジルメタクリレート)の調製
【化72】
【0227】
スキーム9は、ポリ(グリシジルメタクリレート)のグリシジル基を、官能化プライマ
ーとアミノ-PEG-Boc-アミドのアミノ基と反応させることによる、予備グラフト
化ポリ(グリシジルメタクリレート)くし状ポリマーの調製を示す。このグラフト化ポリ
マーを次に、Boc-脱保護にかけて第一アミノ官能化側鎖を生成し、これをグリシジル
またはエポキシ官能化表面に結合させる。
【0228】
(実施例6)
図7は、予備グラフト化デンドリマーとオリゴヌクレオチドが結合した外面との、起こ
り得る界面化学を示す。デンドリマーの原点は、直接表面結合のためにアジド基で官能化
することが可能である。あるいは、アジド基を、第2デンドリマーの中心点にあるアルキ
ン基と反応させることが可能であり、ここで、該第2デンドリマーは基材結合基「A」に
覆われた外面を備えて、自己集合のためのヤヌス型粒子を作る。
【0229】
(実施例7)
ポリホスファゼン骨格を有する直交ポリマーはまた、本出願でも用いることが可能であ
る。ポリホスファゼンは、デンドロン化ポリマーを構築する、ポリマー構造の起こり得る
分岐のため、または後続のポリマー結合のための、線形足場として機能し得る。スキーム
10.1は、修飾アクリルアミドモノマーの構築のための、環式ヘキサクロロホスファゼ
ンの核を利用した合成経路を示す。
【0230】
【0231】
スキーム10.2および10.3は、後続のポリマー結合のための、2つのポリホスフ
ァゼン足場の合成を示す。いくつかのポリホスファゼン合成がQiu et al.,N
anotechnology,18(2007)475-602およびCheng et
al.,Journal of Polymer Science,Part A:P
olymer Chemistry,2013,51,1205-1214で報告されて
いる。
【0232】
【0233】
【0234】
スキーム10.4は、線形ポリジクロロホスファゼン(PDCP)骨格を調製するため
の2つの実現可能な経路を示す。経路1は、アニオン制御重合である。経路2は、ヘキサ
クロロホスファゼンの開環反応である。架橋が導入される可能性と同様に、線形、環線状
、および架橋したポリマー構造に対する潜在的アクセス権のある経路1が好適である。
【0235】