(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】イメージング型の光測定装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/50 20060101AFI20241114BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241114BHJP
H04N 5/00 20110101ALI20241114BHJP
【FI】
G01J3/50
A61B5/00 101A
H04N5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022507720
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020071986
(87)【国際公開番号】W WO2021023769
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102019121173.5
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502397912
【氏名又は名称】インストゥルメント システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】シャンツ,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,ミゲル
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532330(JP,A)
【文献】特開2013-245940(JP,A)
【文献】特開2005-321245(JP,A)
【文献】特開平09-068497(JP,A)
【文献】特開2005-181038(JP,A)
【文献】特開2016-145829(JP,A)
【文献】特開平01-101963(JP,A)
【文献】特開2005-341175(JP,A)
【文献】特開2005-323276(JP,A)
【文献】特開2016-217899(JP,A)
【文献】特開2009-109315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/50
A61B 5/00
H04N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング型の光測定装置であって、
当該光測定装置は、画像センサ(117)および光学分光計(120)を有し、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)は、測定対象物(110)から放出された光を受信するように構成されており、
当該光測定装置は、データ処理ユニット(118)を有し、前記データ処理ユニット(118)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)に接続されていて、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)から出力された測定信号を処理
し、
前記画像センサ(117)および前記分光計(120)は、それぞれ1つのトリガ入力部(122,123)を有し、
前記トリガ入力部(122,123)に印加されたトリガ信号が、測定プロセスをトリガする
光測定装置において、
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、それぞれ少なくとも1つの信号出力部(124~127)を有しており、前記信号出力部(124~127)を介して、前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)のそれぞれの動作状態に依存する信号を出力するように構成され、
前記データ処理ユニット(118)から独立していて、かつ前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記トリガ入力部(122,123)に接続されている制御ユニット(128)が設けられ、
前記制御ユニット(128)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記信号出力部(124~127)に接続され、
前記制御ユニット(128)は、前記トリガ入力部(122,123)を介して前記画像センサ(117)および前記分光計(120)を制御するように、より詳しくは、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記信号出力部(124~127)を介して出力された信号に依存して制御するように構成されている、
ことを特徴とする、光測定装置。
【請求項2】
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記トリガ信号の受信後に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
請求項1記載の光測定装置。
【請求項3】
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記測定プロセスの実行中に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
請求項1または2記載の光測定装置。
【請求項4】
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記測定プロセスが完了した後、好ましくはさらに、前記測定信号を前記データ処理ユニット(118)に送信完了する前に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項5】
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、測定する準備ができたときに、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項6】
前記トリガ信号は、前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)のそれぞれの積分時間を制御する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(128)は、前記光測定装置の少なくとも1つの周辺要素を制御するように構成されており、
前記周辺要素は、好ましくは、
・前記測定対象物(110)から放出された光を前記画像センサ(117)または前記分光計(120)に偏向させるためのビーム偏向手段、
・前記画像センサ(117)または前記分光計(120)の上流に接続されている光学フィルタホイール、
・前記画像センサ(117)または前記分光計(120)の上流に接続されている偏光子、または
・前記測定対象物(110)を前記画像センサ(117)および前記分光計(120)に対して位置決めするための位置決め装置
のグループからのものである、
請求項1から6までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項8】
前記制御ユニット(128)は、前記測定対象物(110)を自動的に交換するための交換装置(134)を制御する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項9】
前記制御ユニット(128)は、前記測定対象物(110)に含まれている電気光源を制御する、
請求項1から8までのいずれか1項記載の光測定装置。
【請求項10】
前記測定対象物(110)は、マトリクス表示装置である、
請求項9記載の光測定装置。
【請求項11】
前記データ処理ユニット(118)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)から出力された測定信号を、放射量および/または測光量に、例えば色座標に変換するように構成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の光測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング型の光測定装置であって、当該光測定装置は、画像センサおよび光学分光計を有し、画像センサおよび分光計は、測定対象物から放出された光を受信し、当該光測定装置は、データ処理ユニットを有し、データ処理ユニットは、画像センサおよび分光計に接続されていて、画像センサおよび分光計から出力された測定信号を処理する、光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、従来技術から公知である。例えば、特許文献1は、マトリクス表示装置(マトリクスディスプレイとも称され、例えばスマートフォン、タブレット、ラップトップ、モニタ、テレビ等のカラーマトリクスディスプレイである)を品質保証において測定および検査するために使用される色測定システムについて記載している。
【0003】
公知のディスプレイ試験環境の主要なコンポーネントは、個々のディスプレイの明度、色、および空間的関係の人間の知覚に対応する視覚的性能を厳密に測定することを可能にするイメージング型の測色計の形態の光測定装置である。高性能のイメージング型の光測定機器は、例えば、色(すなわち、適切な色空間における色座標)、ディスプレイの個々の画素の輝度(明度)、および表示装置の一般的な均一性を厳密に測定することができる。
【0004】
典型的な生産プロセスでは、それぞれのディスプレイの視覚的性能が、そのようなイメージング型の光測定機器を用いた自動化された検査システムによって試験される。このことは、複数の利点を有する。ディスプレイエラーの定量的な評価が可能となり、また、試験速度の向上、とりわけ、完全なディスプレイ品質、すなわち均一性および色精度の同時評価も可能となる。
【0005】
公知のイメージング型の色測定システムでは、画像センサとして、ディスプレイの画素から放出された光を受信するデジタルRGBカメラが設けられている。このようにして色分布および輝度分布が、空間分解によって、すなわちイメージングによって簡単に測定される。さらに、公知の色測定システムは、空間分解なしで、すなわちイメージングによらずにディスプレイ上の所定の領域(「スポット」)から光を受信する光学分光計を含む。測定対象物と画像センサまたは分光計との間にはビームスプリッタが配置されており、このビームスプリッタは、画像センサと分光計とによる検出のために測定対象物から到来した光を分割する。公知の色測定システムは、画像センサおよび分光計にデータ接続されたデータ処理ユニットを含み、このデータ処理ユニットは、測定プロセスを制御し、画像センサおよび分光計から出力された測定信号を処理する。画像センサのRGB測定信号は、適切な測色量、放射量、および測光量に(例えば、X,Y,Zの色座標に)変換され、イメージングによって検出されて得られた各量は、分光計の精確な測定信号に基づいて補正され、これにより、ディスプレイ品質を評価するために必要とされる測色量および測光量の、非常に高速かつコスト効果的なイメージング検出が可能となっている。
【0006】
最新の自動化された検査システムでは、スループットを最大化するために、測定装置での個々の測定対象物の滞留時間を最小化することが求められている。
【0007】
マイクロLEDアレイに基づいた最新のマトリクス表示装置は、市場に出回る直前である。LEDの測定時には、動作中にLEDが加熱されるという問題が発生する。温度変化は、放出される光のスペクトルの変化をもたらす。したがって、LEDを含んでいる測定対象物を試験する場合には、それぞれ数ミリ秒のみという非常に短い時間間隔で個々のLEDをスイッチオンすることが目指される。
【0008】
このことを可能にするためには、個々の測定の時間経過を精確に制御できるようにする必要がある。
【0009】
公知の光測定装置の場合には、データ処理ユニットのソフトウェアが測定プロセス全体を制御する。命令実行時間は不定であり、測定ごとに異なるので、100ミリ秒以上の範囲での測定の不確かさが生じる可能性がある。その結果、わずか数ミリ秒である画像センサまたは分光計の本来の測定プロセスの期間を何倍も上回る測定期間を用いて動作させなければならなくなる。このようにしない限り、実際に利用可能な時間ウィンドウ内に測定が行われることを保証することができない。さらに悪いことに、ソフトウェア制御に起因して、画像センサの測定と分光計の測定とが精確に同時に行われることはない。命令実行時間が種々異なっていて変動することに基づき、どのような時間間隔で実際に測定が行われるかは厳密には分からない。ここでも不確かさは、最大で100ミリ秒となる。その結果、前述のようにLEDベースの測定対象物を測定する場合には、スイッチオン後にスペクトルの始動時挙動を計算に入れなければならないという問題が生じるので、例えば画像センサは、冷間のLEDを測定するが、その一方で、分光計は、数ミリ秒後に、同一のLEDの既に赤方偏移したスペクトルを測定することとなる。この場合、画像センサのデータと分光計のデータとが一致しなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような背景を踏まえて、本発明の課題は、測定プロセスの精確な時間制御を簡単かつコスト効果的に可能にするような光測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、冒頭で述べた形式の光測定装置から出発して、画像センサおよび分光計が、それぞれ1つのトリガ入力部を有するようにし、トリガ入力部に印加されたトリガ信号が、測定プロセスをトリガするようにすることにより、上記の課題を解決する。
【0013】
明確化の目的で、測定対象物が本発明に係る光測定装置の構成部分ではないことを指摘しておく。
【0014】
本発明によれば、画像センサおよび分光計は、測定プロセスのトリガに関して、従前のようにデータ処理ユニットのソフトウェアによって制御されるのではなく、外部のトリガ信号によって制御される。この場合の「外部」とは、トリガ信号が光測定装置の外部から、すなわちとりわけ、データ処理ユニットの外部から到来すること、すなわちデータ処理ユニットが測定のトリガに関与していないことを意味する。トリガ入力部は、ハードウェアに、すなわち画像センサまたは分光計の電子機器に直接的に接続されている。トリガ信号は、デジタルの論理レベルを有する電圧信号として、簡単な電気信号線を介して送信可能である。このようにして、測定プロセスの考えられる瞬間的なトリガが生じ、このトリガは、トリガ信号の電気的または電子的な信号伝搬時間のみによって制限されている。データ処理ユニットから独立している適切なデータバスを介してトリガ信号を供給することも考えられる。
【0015】
本発明は、画像センサの測定と分光計の測定とを、トリガ信号によって事実上同時にまたは少なくとも略同時にトリガすることを可能にする。これによって、一方では、精確に所望の時点に測定がトリガされることを保証することができ、とりわけ、画像センサおよび分光計を介した事実上同時の測定が保証されている。LEDベースの測定対象物における時間オフセットから結果的に生じる問題が、これによって回避される。他方では、上述のように典型的にはマトリクス表示装置またはLEDアレイである測定対象物の作動期間に、測定期間を適合させることができる。これによって測定ウィンドウ、ひいては測定対象物の滞留時間を短縮することができる。画像センサおよび分光計の(既知の)測定期間が終了した直後に、測定対象物を取り替えることができる。これにより、スループットが大幅に向上する。
【0016】
さらに、トリガ信号は、画像センサおよび/または分光計のそれぞれの積分時間を制御することができる。例えば、画像センサおよび/または分光計は、トリガ信号が論理レベル「ハイ」を有している間中、測定を実行することができる。これにより、信号ノイズを低減するための積分を実現することができる。さらに、このようにして例えば、測定対象物の光源(例えば、個々のLEDグループ)がシーケンシャルに作動されている間、画像センサの測定を継続させることができる。その場合、画像センサによって生成された測定対象物の画像は、作動された状態における全てのLEDグループを同時に示す。LEDグループのシーケンシャルな作動と並行して、相応に同期されたシーケンシャルなトリガ信号を介して、分光計の複数の個別の測定をトリガすることができる。次いで、分光計の測定信号から、それぞれのLEDグループごとに画像センサの測定信号の個別の補正を導出することができる。このようにして、測定プロセス全体を最小限の測定時間で実行することが可能となる。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、画像センサおよび/または分光計は、それぞれ少なくとも1つの信号出力部を有しており、信号出力部を介して、画像センサおよび/または分光計のそれぞれの動作状態に依存する信号を出力するように構成されている。信号出力部は、トリガ入力部に対応する外部のフィードバックチャネルを表す。ここでも外部とは、信号出力部がデータ処理ユニットから独立していて、画像センサまたは分光計の電子機器に直接的に接続されていることを意味する。
【0018】
例えば、画像センサおよび/または分光計は、トリガ信号の受信後に、信号出力部を介して信号を出力するようにそれぞれ構成可能である。この場合、信号出力部は、トリガ信号の受信を確認するための信号を、例えば自動化技術的に統合された光測定装置の外部の制御装置に送信するために使用される。これにより、測定プロセスが実際にトリガされたことを外部から認識することが可能となる。
【0019】
さらに、画像センサおよび/または分光計は、測定プロセスの実行中に、信号出力部を介して信号を出力するようにそれぞれ構成可能である。これにより、外部の制御装置にとって、測定が実行されていることを認識することが可能となる。特に有利には、画像センサおよび/または分光計は、測定プロセスが完了した後、好ましくはさらに、測定信号をデータ処理ユニットに送信完了する前に、ただし少なくとも、データ処理ユニットによる測定信号の処理が完了する前に、信号出力部を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている。画像センサおよび分光計の測定が終了した後、または完全な測定プログラムが終了した後に、とりわけデータ処理ユニットの側で画像センサおよび分光計の測定信号の送信、保存、および評価が完了するまで待つ必要なしに、測定対象物を交換することができる。これにより、例えば測定対象物の時期尚早な交換に起因して測定がエラーまたは不完全になる危険を生じさせることなく、滞留時間を最小化することができる。非生産的な待機時間が生じないように、データ処理ユニットによる測定信号の処理期間を、測定対象物を交換するために利用することができる。
【0020】
さらなる選択肢は、画像センサおよび/または分光計が、測定する準備ができたときに、信号出力部を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されていることにある。これにより、外部の制御装置にとって、新しい測定プロセスをいつ開始することができるかを認識することが可能となる。このことはさらに、光測定装置での測定対象物の滞留時間を最小化するために寄与する。データ処理ユニットの不定かつ変動する信号伝搬時間に起因した安全マージンを考慮する必要なく、ハードウェアの準備ができると即座に測定を開始することが可能となる。
【0021】
1つの可能な実施形態では、画像センサおよび/または分光計において、上記の信号(トリガ確認、測定実行中、測定終了、測定準備完了)のうちの少なくとも2つの信号の各々のためにそれぞれ1つの独自の信号出力部が設けられている。このようにして、それぞれのフィードバック信号を簡単な電気信号として送信することができる。(データ処理装置から独立している)データバスを介して送信することも考えられる。
【0022】
本発明に係る光測定装置のさらなる好ましい実施形態では、データ処理ユニットから独立していて、かつ画像センサおよび分光計のトリガ入力部に接続されている制御ユニットを設けることができる。外部の制御ユニットは、いわば自動化技術システムにおける、例えばマトリクスディスプレイの工業的大量生産における光測定装置を制御するためのインターフェースとして使用される。この制御は、完全に電気的/電子的なレベルで、すなわちデータ処理ユニットを統合することなく実施される。
【0023】
制御ユニットは、好適には、画像センサおよび分光計の信号出力部にも接続されており、制御ユニットは、トリガ入力部を介して画像センサおよび分光計を制御するように、より詳しくは、画像センサおよび分光計の信号出力部を介して出力された信号に依存して制御するように構成されている。例えば論理結合によって、画像センサおよび分光計を介した同期測定のトリガを、画像センサおよび分光計の両方が自身の測定準備ができていることを各自のそれぞれの信号出力部を介して示したことに依存して実施することができる。同様に、制御ユニットは、それぞれ画像センサの測定完了を示す信号出力部と、分光計の測定完了を示す信号出力部とを相互に論理結合することができ、したがって、両方のモダリティ、すなわち画像センサおよび分光計が各自の測定を完了するとすぐに、外部の自動化技術によって測定対象物の交換が開始される。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、制御ユニットは、光測定装置の少なくとも1つの周辺要素を制御するように構成可能であり、周辺要素は、例えば、
・測定対象物から放出された光を画像センサまたは分光計に偏向させるためのビーム偏向手段、
・画像センサまたは分光計の上流に接続されている光学フィルタホイール、
・画像センサまたは分光計の上流に接続されている偏光子、または
・測定対象物を画像センサおよび分光計に対して位置決めするための位置決め装置
のグループからのものである。制御ユニットは、好適には、光測定装置のオプションの周辺要素を制御するために使用可能である。測定対象物から到来した光を画像センサまたは分光計に選択的に偏向させるために、(従来技術の場合のような)ビームスプリッタの代わりに、ビーム偏向手段(例えば、アクチュエータによってビーム経路上に移動可能なミラー)を設けることができる。その場合、制御ユニットは、画像センサを介した測定と分光計を介した測定とを順次に実行するために測定シーケンスを制御し、これら2つの測定の間でビーム偏向手段が制御される。例えば、画像センサとしてイメージング型のフィルタホイール測色計が使用される場合には、光学フィルタホイールを設けることができる。制御ユニットは、シーケンシャルな測定を適切なフィルタリングによって順次にトリガするために、この光学フィルタホイールも制御することができる。とりわけ、画像センサを介した測定におけるモアレパターンを回避するために、(例えば、ビーム経路上で回転可能なガラスプレートの形態の)ビーム偏向手段を介して、いわゆる画素シフトを実現することもできる。周辺要素に関するさらなる例は、測定対象物を画像センサおよび/または分光計に対して精確に位置合わせするための、ビーム経路上の偏光フィルタまたは位置決め装置(例えば、1軸、2軸、または3軸の位置決めシステム)である。マトリクスディスプレイを測定する場合には、ディスプレイマトリクスの画像を画像センサのセンサマトリクスに正しく位置合わせするために、厳密な位置決めが重要である。
【0025】
さらに、制御ユニットは、好適には、測定対象物を自動的に交換するための交換装置を制御するために使用可能である。このようにして、制御ユニットはさらに、本発明に係る光測定装置の自動化技術環境に統合される。制御ユニットは、有利には、測定対象物の交換を測定の実施と直接的に調整および同期させることができる。このようにして、測定対象物の滞留時間の最小化がもたらされる。好適には、制御ユニットは、ディスプレイの構成部分としてのまたはウェハ上にあるLEDアレイのような、測定対象物に含まれている電気光源も制御する。このようにして、測定対象物の発光素子の作動を、測定プロセスと最適に同期させることができる。
【0026】
好ましくは、データ処理ユニットは、画像センサおよび分光計から出力された測定信号から、例えば放射出力、放射強度、照射強度、放射輝度、または色座標のような放射量および/または測光量を、好ましくはイメージングによって導出するように、すなわち、放射量および/または測光量の値を画像センサによって検出された測定対象物上の種々の位置に対応付けることによって導出するように構成されている。
【0027】
以下、本発明の実施例を、図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】マトリクスディスプレイの生産ラインに統合された本発明に係る光測定装置をブロック図として示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1では、色度、輝度、および均一性に関して検査されるべき測定対象物(例えば、マイクロLEDマトリクス表示装置)に参照符号110が付されている。測定対象物110から放出された光111は、イメージング型の色測定装置112に向けられる。光111は、光学素子(レンズ/絞り)のアレイ113と、ビームスプリッタ114とを通過する。ビームスプリッタ114は、光111を第1の部分ビーム115と第2の部分ビーム116とに分割する。
【0030】
画像センサとしてのRGBカメラ117は、第1の部分ビーム115を受信し、これにより、RGBカメラ117のセンサアレイ(例えば、CCDセンサ)上の画像平面に測定対象物110の2次元画像が生成される。結果的に生じた(デジタル)カメラ画像は、測定対象物110上のそれぞれの位置にRGB色値の集合を対応付けた、RGB色値の2次元マトリクスを形成する。
【0031】
RGB色値のマトリクスは、プロセッサ119を含んでいるデータ処理ユニット118にデジタル測定信号として送信され、プロセッサ119は、RGB色値をXYZ色座標に変換し、これにより、測定対象物110上のそれぞれの位置にXYZ色座標の集合が対応付けられる。
【0032】
第2の部分ビーム116は、光学分光計120に向けられる。本発明の意味での分光計とは、最も一般的な意味で、スペクトル、すなわち光の強度の波長依存性を検出するための装置であると理解される。この定義には、例えば分散スペクトル分割とCCDセンサとを用いるCzerny-Turner構造を有するスペクトル高分解能分光計が含まれるが、簡単かつコンパクトで低コストの公知の種類の光電式3フィルタ測色計も含まれ、このような公知の種類の光電式3フィルタ測色計では、使用されているX,Y,Zフィルタの(部分的にスペクトルが重なってさえいる)フィルタ特性に応じてスペクトル分解能が低くなっている。分光計120は、XYZ色座標も生成するが、画像センサ117のように画像の形態で生成するのではなく、空間分解なしで生成する。第2の部分ビーム116は、測定対象物110上の領域(「スポット」)内の一連の位置から放出される。その限りにおいて、分光計120の測定時にはスポットの表面にわたって平均化が行われる。
【0033】
分光計120のXYZ色座標も、データ処理ユニット118にデジタル測定信号として送信される。これに代えて、高分解能分光計120の場合には、高分解能分光計120は、測定された光学スペクトル(波長の関数としての光強度)をデータ処理ユニット118に直接的に送信することができる。次いで、データ処理ユニット118は、データ処理ユニット118に格納されている三刺激曲線を使用して重み付けしながらスペクトルを積分することによって、CIE標準表色系に従ったXYZ色座標を計算する。プロセッサ119は、分光計120を介して決定されたXYZ色座標と、第2の部分ビーム116の放出元であるスポット内の位置に対応付けられている、画像センサ117のRGB値から決定されたXYZ色座標の部分集合とを比較することによって補正を導出する。次いで、プロセッサ119は、この補正を、RGB値から生成されたXYZ色座標の集合全体に適用し、このようにして、測定対象物から放射された光のXYZ座標の完全かつ精確な画像が取得される。
【0034】
これらの計算の結果は、最終的に、色均一性および種々の種類のアーチファクト(線欠陥、画素欠陥、黒ムラ、黄ムラ等)を評価するために表示装置121を介して出力される。そのようなアーチファクトを、プロセッサ119の対応する画像処理ソフトウェアによって自動的に認識することもできる。検査された測定対象物が対応する品質基準値を満たしていない場合には、表示装置121を介して信号を出力することができる。
【0035】
本発明によれば、RGBカメラ117および分光計120は、矢印122または123によって示されているそれぞれ1つのトリガ入力部を有する。トリガ入力部122,123に印加される電気的なトリガ信号(例えば、論理信号の立下りエッジ/立上りエッジ)は、それぞれ1つの測定プロセスをトリガする。トリガ入力部122,123は、ハードウェアに、すなわちRGBカメラ117または分光計120の電子機器に直接的に接続されている。
【0036】
さらに、RGBカメラ117および分光計120は、矢印124,125または126,127によって示されているそれぞれ2つの信号出力部を有する。RGBカメラ117および分光計120は、それぞれの測定プロセスが終了したことを示す信号を、信号出力部124または126を介して出力する。RGBカメラ117または分光計120が(前回の測定プロセスの後、測定信号がデータ処理ユニット118に完全に送信された後に)次の測定を開始する準備ができていることを示す信号は、信号出力部125または127を介して出力される。
【0037】
トリガ入力部122,123および信号出力部124~127には、制御ユニット128が接続されている。制御ユニット128は、2つのサブユニット129,130から構成されており、そのうちのサブユニット129は、光測定装置自体に対応付けられており、サブユニット130は、外部の自動化技術に対応付けられている。サブユニット129は、上位の自動化技術システムにおいて、例えばマトリクスディスプレイの工業的大量生産において、光測定装置を制御するためのインターフェースとして使用される。サブユニット129の方は、RGBカメラ117および分光計120を介した同時測定をトリガする入力信号131をサブユニット130から受信する。サブユニット129は、入力信号131に応答してトリガ入力部122,123に同時にトリガ信号を出力する。サブユニット129は、RGBカメラ117および分光計120の両方がそれぞれの測定プロセスが完了したことを示した場合に第1の出力信号132が生成されるように、信号出力部124~127の論理結合を実行する。第2の出力信号133は、RGBカメラ117および分光計120の両方が次の測定プロセスのための準備ができていることを示した場合に生成される。
【0038】
サブユニット130は、第1の出力信号132に応答して、すなわちそれぞれ最後の測定の終了直後に、測定対象物110を交換する交換装置134を制御するように構成されている。このために、現在の測定対象物110が取り外されて、概略的に図示されている生産ライン135に戻される。生産ライン135からそれぞれ次の測定対象物110が取り出されて、色測定装置112のための測定場所に位置決めされる。さらに、サブユニット130は、測定対象物110の交換が実行された後、第2の出力信号133に応答して、すなわちRGBカメラ117および分光計120の測定準備ができたときに、入力信号131をサブユニット129に出力するように構成されており、これにより、RGBカメラ117または分光計のトリガ入力部122,123を介して次の測定プロセスが開始される。それと同時に、サブユニット130は、所望の測定時間の間、測定対象物110の光出力を作動させる。
【0039】
制御ユニット128は、簡単な論理モジュール(またはFPGA)によって実現可能である。信号伝搬時間は、相応に規定されている。コストは、わずかである。
【0040】
したがって、トリガ入力部122,123および信号出力部124~127と組み合わされた制御ユニット128は、データ処理ユニット118が制御に関与することなく、自動化された測定シーケンスを実施することを可能にする。したがって、データ処理ユニット118のソフトウェアにおける命令実行時間の変動に起因したエラーを恐れることなく、測定場所での測定対象物110の滞留時間を最小化することができる。さらに、RGBカメラ117および分光計120を介した測定の精確な時間的同期が保証される。
【0041】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0042】
実施形態1
イメージング型の光測定装置であって、
当該光測定装置は、画像センサ(117)および光学分光計(120)を有し、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)は、測定対象物(110)から放出された光を受信するように構成されており、
当該光測定装置は、データ処理ユニット(118)を有し、前記データ処理ユニット(118)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)に接続されていて、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)から出力された測定信号を処理する、
光測定装置において、
前記画像センサ(117)および前記分光計(120)は、それぞれ1つのトリガ入力部(122,123)を有し、
前記トリガ入力部(122,123)に印加されたトリガ信号が、測定プロセスをトリガする
ことを特徴とする、光測定装置。
【0043】
実施形態2
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、それぞれ少なくとも1つの信号出力部(124~127)を有しており、前記信号出力部(124~127)を介して、前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)のそれぞれの動作状態に依存する信号を出力するように構成されている、
実施形態1に記載の光測定装置。
【0044】
実施形態3
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記トリガ信号の受信後に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
実施形態2に記載の光測定装置。
【0045】
実施形態4
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記測定プロセスの実行中に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
実施形態2または3に記載の光測定装置。
【0046】
実施形態5
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、前記測定プロセスが完了した後、好ましくはさらに、前記測定信号を前記データ処理ユニット(118)に送信完了する前に、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
実施形態2から4までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0047】
実施形態6
前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)は、測定する準備ができたときに、前記信号出力部(124~127)を介して信号を出力するようにそれぞれ構成されている、
実施形態2から5までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0048】
実施形態7
前記トリガ信号は、前記画像センサ(117)および/または前記分光計(120)のそれぞれの積分時間を制御する、
実施形態1から6までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0049】
実施形態8
前記データ処理ユニット(118)から独立していて、かつ前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記トリガ入力部(122,123)に接続されている制御ユニット(128)が設けられている、
実施形態1から7までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0050】
実施形態9
前記制御ユニット(128)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記信号出力部(124~127)に接続されている、
実施形態8および実施形態2から6までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0051】
実施形態10
前記制御ユニット(128)は、前記トリガ入力部(122,123)を介して前記画像センサ(117)および前記分光計(120)を制御するように、より詳しくは、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)の前記信号出力部(124~127)を介して出力された信号に依存して制御するように構成されている、
実施形態8または9に記載の光測定装置。
【0052】
実施形態11
前記制御ユニット(128)は、前記光測定装置の少なくとも1つの周辺要素を制御するように構成されており、
前記周辺要素は、好ましくは、
・前記測定対象物(110)から放出された光を前記画像センサ(117)または前記分光計(120)に偏向させるためのビーム偏向手段、
・前記画像センサ(117)または前記分光計(120)の上流に接続されている光学フィルタホイール、
・前記画像センサ(117)または前記分光計(120)の上流に接続されている偏光子、または
・前記測定対象物(110)を前記画像センサ(117)および前記分光計(120)に対して位置決めするための位置決め装置
のグループからのものである、
実施形態8から10までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0053】
実施形態12
前記制御ユニット(128)は、前記測定対象物(110)を自動的に交換するための交換装置(134)を制御する、
実施形態8から11までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0054】
実施形態13
前記制御ユニット(128)は、前記測定対象物(110)に含まれている電気光源を制御する、
実施形態8から12までのいずれか1つに記載の光測定装置。
【0055】
実施形態14
前記測定対象物(110)は、マトリクス表示装置である、
実施形態13記載の光測定装置。
【0056】
実施形態15
前記データ処理ユニット(118)は、前記画像センサ(117)および前記分光計(120)から出力された測定信号を、放射量および/または測光量に、例えば色座標に変換するように構成されている、
実施形態1から14までのいずれか1つに記載の光測定装置。