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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】バッテリセルの充電
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20241114BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241114BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241114BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H02J7/00 B
H02J7/10 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022512864
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2020072837
(87)【国際公開番号】W WO2021043563
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】102019123739.4
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・ヤン・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァント・ヨハネス
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0276843(US,A1)
【文献】特開平08-078061(JP,A)
【文献】特開2001-245438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01R31/36-31/396
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/39
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルを充電する方法(S1~S7)であって、
-バッテリセルに印加される充電電圧(U)が、設定された切換電圧(U以上となるかどうかが、少なくともほぼ一定の充電電流(I)を有する充電段階(LP1~LP3)中に監視され(S4)、バッテリセルに印加される充電電圧(U )が、設定された切換電圧(U )以上となる場合には、より小さな少なくともほぼ一定の充電電流(I)を有する次の充電段階(LP2~LP3)へ切り換えられ、
-充電段階(LP1~LP3)中に、該充電段階(LP1~LP3)の切換電圧(U充電電圧(Uとの間電圧差が、設定された電圧差(ΔU)以下となるかどうかが更に監視され(S2)充電段階(LP1~LP3)の切換電圧(U )と充電電圧(U )との間の電圧差が設定された電圧差(ΔU)以下となる場合には、少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)がバッテリセルへ印加される(S3~S7)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)の継続時間が、それぞれ0.1~10秒の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の方法(S1~S7)。
【請求項3】
少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)が、バッテリセルのCレート(C)の1/10の値を下回らない振幅を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(S1~S7)。
【請求項4】
充電段階(LP1~LP3)中に少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)によって合計され、バッテリセルへ印加される放電量が、該充電段階(LP1~LP3)の充電量の5%上回らないことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項5】
充電段階(LP1~LP3)中に前記設定された電圧差(ΔU)以下となることで、複数の放電パルス(P0~P9)が時間的に間隔をあけてバッテリセルへ印加される(S5~S7)ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項6】
充電電圧(U)が、前記設定された電圧差(ΔU)の到達以降、設定された追加電圧値(U,UZ,n)だけ高められた場合には、第1の放電パルス(P0)につづいて、必ず別の放電パルス(P1~P9)が印加されることを特徴とする請求項5に記載の方法(S1~S7)。
【請求項7】
前記設定された電圧差(ΔU)が、バッテリセルのアノード電圧(U)のクリティカルな閾値(UA,krit)に相当することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項8】
前記設定された電圧差(ΔU)が、全ての充電段階(LP1~LP3)について一定であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項9】
前記設定された電圧差(ΔU)が、少なくとも2つの充電段階(LP1~LP3)について異なっていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項10】
リチウムベースのバッテリセルが充電されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)。
【請求項11】
複数のバッテリセルが1つのバッテリパックへ合体されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
バッテリパックの各バッテリセルについて前記設定された電圧差(ΔU)以下となることが個別に監視され、バッテリセルが1つでも前記設定された電圧差(ΔU)以下となると、少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)がバッテリパックへ印加されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法(S1~S7)を実行するように構成されていることを特徴とするバッテリ充電装置(BV)。
【請求項14】
請求項13に記載のバッテリ充電装置(BV)の少なくとも一部を備える車両(F)。
【請求項15】
請求項13に記載のバッテリ充電装置(BV)の少なくとも一部を備える車両(F)用の充電ステーション(LSt)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定された切換電圧に到達するか、又はこれを上回るかどうかが、少なくともほぼ一定の充電電流を有する充電段階中に監視され、これが肯定的である場合には、より小さな少なくともほぼ一定の充電電流を有する次の充電段階へ切り換えられる、バッテリセルを充電する方法に関するものである。本発明は、方法を実行するように構成されたバッテリ充電装置に関するものでもある。また、本発明は、バッテリ充電装置の少なくとも一部を備える車両及び/又はバッテリ充電装置の少なくとも一部を備える、車両用の充電ステーションに関するものである。本発明は、特にバッテリ電気式に駆動される車両の車両バッテリの充電に特に有利に応用可能である。
【背景技術】
【0002】
バッテリ電気式の車両のユーザ受入れにとって、急速充電は非常に重要なファクタである。このとき、目的は、蓄電池の安全性又は寿命を妥協することなく、特に短い充電時間を可能とすることである。
【0003】
多段定電流充電(“Multistep Constant Current”、「MSCC」ともいう。)においては、充電されるバッテリセルのアノード電位がバッテリセルの電極における金属性のリチウムの析出(いわゆる「めっき」)が生じる範囲へ進行しないように、電気的な充電電流が連続的に段階的に低減される。これにより、充電電流について、例えば特許文献1、図3Bに開示されているとともに、実際のバッテリ電気式の車両の充電に既に用いられる特徴的な階段状パターンが生じる。
【0004】
MSCCにおいては、めっきを許容すべきでない全体のアノード電位あるいはアノード全体を介して特定されるアノード電位にもかかわらず、めっきが生じることがある。なぜなら、電極構造における不均質性、電極の多孔性の構造及び電極の最終的な延びと搬送プロセスとの相互作用により、電流及び電流密度が現実の電極において、又は現実の電極内で不均質であるためである。したがって、全体のアノード電位は、異なる局所的なアノード電位の混成電位であり、全体のアノード電位のみの考察の場合にはめっきが生じるべきでないとしても、めっきが生じる局所的なアノード電位の値を想定するが可能である。現実の条件においてめっきを妨害するために充電電流を低減することができるが、これにより、不利なことに、充電時間が長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6137265号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服するとともに、充電時間のわずかな延長のみでめっきを特に信頼性をもって防止する、特に多段定電流充電を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該課題は、独立請求項の特徴により解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書及び図面の対象である。
【0008】
上記課題は、バッテリセルを充電する方法であって、
-バッテリセルに印加される充電電圧が、設定された切換電圧に到達するか、又はこれを上回るかどうかが、少なくともほぼ一定の充電電流を有する充電段階中に監視され、これが肯定的である場合には、より小さな少なくともほぼ一定の充電電流を有するか、あるいは同様に少なくともほぼ一定のよりわずかな電流強度を有する次の充電段階へ切り換えられ、
-充電段階中に、該充電段階の切換電圧からの充電電圧の設定された間隔が達成されるか、又はこれを下回るかどうかが更に監視され、これが肯定的である場合には、少なくとも1つの放電パルスがバッテリセルへ印加される方法によって解決される。
【0009】
当該方法は、少なくとも1つの放電パルスの印加によって、バッテリセルの電極における析出、例えばリチウムイオンバッテリセルのアノードにおける金属性のリチウムの析出がこれにより防止され、場合によっては既に存在する析出が再び分解されることを達成するものである。さらに、少なくとも1つの放電パルスが、めっきのおそれが特に大きい、各充電段階の比較的遅い時点において初めて印加されるため、放電パルスが特に有効に作用する。そして、比較的少なく短い放電パルスのみが必要であり、これにより、他方では充電時間はわずかにしか延長されない。換言すれば、放電パルスは、あらかじめ設定された時点(例えば周期的)に生じるのではなく、めっきのおそれが特に大きい場合に初めて、状況に起因して生じる。設定される間隔は、全体的なアノード電位がまだ正であっても、例えば局所的に既に負のアノード電位が存在し得ることにから、電極、特にアノードの不均質性により著しく高められるめっきのおそれが存在するように充電段階中にゼロ値へ近づけられるアノード電圧に特に対応する。
【0010】
充電段階の電流強度が「少なくともほぼ」一定であることは、特に、当該電流強度が充電段階中にその初期値又は初期目標値から10%より多く相違しない、特に低下しないことを含む。一発展形態は、電流強度が初期の電流強度から5%より多く相違しない、特に4%より多く相違しない、特に3%より多く相違しない、特に2%より多く相違しない、特に1%より多く相違しない、特に低下しないことを意図している。
【0011】
一発展形態では、充電段階中における、電流強度のその初期値又は初期目標値からの差異が、2つの連続する充電段階の初期値又は初期目標値の値低減よりも大幅に小さい、特に少なくとも1オーダー小さい。一発展形態では、充電段階内での差異が、先行する充電段階の初期値若しくは初期目標値との当該充電段階の初期値若しくは初期目標値の差の10%よりも大きくなく、及び/又は後続の充電段階が、特に5%より多くなく、特に4%より多くなく、特に3%より多くなく、特に2%より多くなく、特に1%より多くない。
【0012】
一発展形態では、充電段階中に充電出力が一定に維持される。一定の充電電流によるバッテリセルの充電中には充電電圧がわずかに上昇するため、当該発展形態では、充電電流の一定維持に代えて、充電電流の電流強度が、充電電圧が高まるように意図的に(わずかに)低減される。このことは、充電段階中に充電出力が一定に維持されると言い換えられることできる。しかし、この充電電流の低減は、充電段階の最後における切換時よりも大幅に小さい。
【0013】
一構成では、充電段階中に一定の充電電流あるいは一定の電流強度を有する充電電流が印加され、そして、バッテリセルへ印加される充電電圧が設定された切換電圧に到達するか、あるいはこれを上回ると、よりわずかな一定の充電電流あるいはよりわずかな一定の電流強度の充電電流を有する次の充電段階へ切り換えられる。当該構成は、狭義ではMSCC方法であり、当該MSCC方法では、その実行中に、連続的に低下するもののそれぞれ(充電パルスを除いて)一定の充電電流を有する連続した複数の充電段階が設定されるか、又は存在する。
【0014】
一定の電流及び一定の充電出力の場合は、上位の発明思想の代替的な構成とみなされることができる。このとき、一定の充電電流又は一定の充電出力は、これらが充電段階中に対応する一定の目標値に設定又は調整されることと理解され得る。充電段階中の目標値からの差異は、有利には、2%よりも小さく、特に1%よりも小さく、特に0.5%よりも小さい。
【0015】
本方法では、一発展形態における連続する充電段階間で直接、すなわち、意図的に調整された著しい移行段階なしに移行が始まる。換言すれば、充電過程中には、特に段階的になされる充電電流の低減が行われる。バッテリセルへ印加され容易に測定可能な対応する充電電圧は、充電段階の開始時に短時間低下した後、継続的に増大する。典型的には、充電電圧が所定の切換電圧に到達するか、又はこれを上回ると、1つの充電段階から次の充電段階へ移行される。切換電圧は、典型的には少なくともほぼアノード電圧のそのゼロ値への近似(値)に対応し、典型的には約10~40mVのゼロ値より大きな、設定された閾値(「クリティカルなアノード電圧」ともいう。)への到達に対応し、これにより、シミュレーションの不均質性及びモデルエラーが補整されるという利点が得られる。切換電圧は、各充電段階の間で異なっていてよく、通常、段階の進行に伴って高まる。換言すれば、2つの充電段階の間の所望の切換時点を設定するために、バッテリセルに印加される充電電圧が所定の切換電圧に到達するか、又はこれを上回るかどうかが監視され、これが該当すれば(肯定的であれば)、次の充電段階へ切り換えられる。
【0016】
以下では、各充電段階について一定の充電電流に基づいて本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、少なくともほぼ一定の充電電流を有する充電段階、例えば充電段階中にわずかだけ低下する充電電流における一定の充電出力を有する充電段階も同様に含んでいる。
【0017】
「バッテリセル」は、特に個別のバッテリセルと理解される。複数のバッテリセルは、「バッテリパック」又は「バッテリ蓄電池」へまとめられることが可能である。このとき、バッテリセルの電気的な配線は、基本的には任意であり、例えば直列及び/又は並列である。一発展形態では、充電電圧を含む、バッテリパックの全てのバッテリセルに印加される電圧は、個々に、又は個別に監視されることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、全体としてバッテリパックに印加される電圧を測定することが可能である。加えて、対応する電流を、すなわち個別に、及び/又は共通に測定することも可能である。
【0018】
間隔は、特に実際の充電電圧を切換電圧の間の差異に相当する。間隔が第1の閾値に相当するか、又はこれを下回るかどうかを充電段階中に更に監視することは、同様の見方において、充電電圧が、間隔を除いて、第1の閾値に相当する電圧値(「トリガ電圧」)に到達したか、又はこれを上回ったかどうかを更に監視することとも言い換えることができる。両計算態様及び更なる同様の定義は、交換して用いられることが可能である。
【0019】
放電パルスは、その継続時間中にバッテリセルを放電させる。以下では、一般性を制限することなく、充電電流が正の符号を有する一方、放電電流は負の符号を有している。放電時のバッテリ電圧は、現時点でのその平衡電位を下回っている。平衡電位に対する当該電圧差は、充電と放電の間の変化時に符号の変化を伴っている。
【0020】
方法は、例えばバッテリセルが十分な充電状態に到達したこと、又は所定の総充電時間に到達したことという設定された中断条件に到達するまで継続される。
【0021】
充電電圧が、放電パルスの終了後再び当該放電パルスの発生のために設定されたトリガ電圧より下へ低下し、つづいて、トリガ電圧に再び到達するか、これを上回ることが生じ得る。この場合、有利には、同一のトリガ電圧について再び放電パルスを印加しない。一般的に、一発展形態では、設定されたトリガ電圧に複数回到達するか、又はこれを複数回上回る場合、あるいは設定された間隔に複数回到達するか、又はこれを複数回下回る場合には、充電段階中に、対応する放電パルスは、一回のみ、つまり、特に一回目の到達時又は上回るときあるいは下回るときに発生される。
【0022】
一構成では、少なくとも1つの放電パルスの継続時間が、それぞれ0.1~10秒の範囲にあり、特に0.5~2秒の範囲にあり、特に約1秒である。
【0023】
一構成では、放電パルスは、バッテリセルのCレートのC/10の値を下回らず、特にC/3の値を下回らず、特にC/2の値を下回らない振幅量を有している。Cレート又はCファクタは公知のバッテリ特有の量であり、これについてここでは更に言及しない。Cレート又はCファクタがC[h-1]であれば、放電パルスは、有利には、当該放電パルスが少なくとも-C/10アンペアの放電電流ISEの電流強度あるいはC/10アンペアの振幅量|ISE|を有するように設定される。したがって、有利には、ISE≦-C/10あるいは|ISE|>C/10に設定される。放電パルスの、セルの容量に依存しない有利な選択は、放電パルスの放電電流ISEの強度の設定によって、所定の関係におけるバッテリセルのCレートの(単位なしの)値に基づき保証される。
【0024】
一発展形態では、放電パルスの振幅量は、1Cの値を上回らない。Cレートを最大で1Cに制限することにより、一方では、回路技術的な手間が限定され、他方では、Cレートが非常に大きく、かつ、充電量が維持される場合に、パルスを相応に短くのみ印加することができるという利点を有し、その結果、場合によってはあり得る析出した、若しくはめっきされたリチウムの解消又は他の均質化過程が電極において進行することがないか、又は十分長く進行することがない。しかし、基本的には、放電パルスの振幅量について、1Cより大きく、例えば2C、5C、10Cなどを選択することも可能である。
【0025】
一般的には、一構成では、放電パルスにおいて放電される充電(「放電パルス充電」)が、バッテリセルの健全性の低下を伴って高められる。したがって、劣化するバッテリセルにおけるめっき傾向が健全なバッテリセルにおけるよりも大きくなることも考慮されるという利点が得られる。増加する放電パルス充電は、低下する健全性への逆作用として用いられる。健全性は、いわゆるSoH(“State of Health”、SoH:健全性の状態)特性値によって定量化されることができ、当該SoH特性値は、初期セル容量の何パーセントが実際の充電サイクルにおいてまだ使用可能であるかについての情報を与える。健全なバッテリセルは、1あるいは100%のSoHに対応している。したがって、構成は、放電パルスにおいて放電される充電(「放電パルス充電」)が、バッテリセルのSoH値の低下を伴って高められると表現されることが可能である。特に有利な発展形態では、放電パルスの振幅量は、SoH特性値に反比例して増大する。
【0026】
一構成では、健全なバッテリセルの放電パルスは、バッテリセルのCレートの値Cを上回らない、特に値Cに対応する振幅量を有しており、振幅幅は、健全性の低下を伴って増大する。
【0027】
代替的な発展形態では、放電パルスのCレートは、SoH特性値の低下により一定に維持され、このことは、SoH値が低下する場合に電流振幅に対応する。しかし、別の可能性として、放電パルスのCレートを一定に維持することが可能である。さらに、これに代えて、又はこれに加えて、SoH値の低下を伴って放電パルス継続時間を延長することが可能である。
【0028】
一構成では、所定の充電段階中に少なくとも1つの放電パルスによって合計されてバッテリセルへ与えられる放電量は、当該充電段階の充電量の(例えばクーロンでの記載で)5%を上回らず、特に充電量の4%を上回らず、特に充電量の3%を上回らず、特に充電量の2%を上回らず、特に充電量の1%を上回らない。すなわち、このようにわずかな放電量によって、めっきを改善して防止することができ、その際、充電時間の延長がわずかであるように維持されることができることが分かった。
【0029】
一発展形態では、放電量は、充電段階の充電量の少なくとも0.1%、特に少なくとも0.2%、特に少なくとも0.5%である。これにより、めっきが効果的に防止される。
【0030】
放電量が充電量の0.1~1%であれば特に有利である。
【0031】
一構成では、充電段階中に、所定の間隔あるいは対応するトリガ電圧への到達により、時間的な間隔をあけて複数の放電パルスがバッテリセルへ印加される。これにより、放電パルスのめっきを抑制又は対抗する作用がより長い時間にわたって分配され、これにより、アンチめっき作用を特に有効にするという利点が得られる。
【0032】
一発展形態では、放電パルスは、設定された時系列で印加される。
【0033】
一構成では、充電電圧が間隔の到達から所定の値(「追加電圧値」)だけ高められると、必ず、第1の放電パルスにつづいて、別の放電パルス又は追加的な放電パルスが印加される。これにより、放電パルスは、めっきの防止のために特に好都合な時点において印加される。例えば、所定の充電段階について切換電圧Uであることができ、第1の放電パルスを印加するためにトリガ電圧USEが切換電圧UからΔUの間隔を有することができ、すなわち、USE=U-ΔUが成り立ち、電圧USE,U,ΔUは正の符号を有し、その結果、USE<Uが成り立つ。したがって、バッテリセルへ印加される電圧(充電電圧)U=USEが成り立つときに、第1の放電パルスP0が発生され、充電電圧U=USE+n・Uが成り立つときに(U>0の設定された追加電圧値)、当該充電段階のそれぞれn番目の(第nの)更なる放電パルスPnが発生される。Uについては、特にU≦ΔU/2が成り立つ。したがって、正の自然数nは、当該充電段階の第1の放電パルスP0の後の更なる、又は追加的な放電パルスP1~P9を表す。
【0034】
一発展形態では、追加電圧値Uは、全ての放電パルスに対して同一の値を有している。これに代えて、追加電圧値Uは、少なくとも2つの放電パルスに対して異なっていてよい。
【0035】
一構成では、間隔あるいはその値又は大きさは、バッテリセルのアノード電圧のクリティカルな閾値に少なくともほぼ対応している。クリティカルな閾値に到達するか、又はこれを下回ることで、メッキのリスクが著しく上昇する。当該「クリティカルなアノード電圧」は、例えば、実験的に、又はシミュレーションを用いて推定又は特定されることが可能である。クリティカルなアノード電圧は、例えば、10~40mVの値を想定することが可能である。
【0036】
一構成では、間隔の大きさは、全ての充電段階について一定である。
【0037】
代替的な一構成では、間隔の大きさは、少なくとも2つの充電段階について異なっている。したがって、間隔の大きさは、後続の充電段階によってより大きくなり得るか、又はより小さくなり得る。
【0038】
一般的には、少なくとも放電パルスは、全ての充電段階に印加される必要はなく、m>nのグループの最初のnの充電段階にのみ印加される必要がある。このことは、充電段階>nにおいてめっきのおそれが実際に排除されている場合に有利である。
【0039】
一発展形態では、間隔の大きさは、例えばバッテリセルのSoH特性値(“State of Health”、SoH:健全性の状態)に依存して、各充電段階について変更される。特に、間隔は、SoH特性値の低下に伴って拡大されることが可能である。したがって、バッテリセルの健全性がめっきの防止のために考慮されるという利点も得られる。
【0040】
一構成では、リチウムベースのバッテリセル、例えばリチウムイオンバッテリセル、リチウムポリマバッテリセル又はリチウム含有固体バッテリセルが充電され、あるいはバッテリセルがリチウムベースのバッテリセルである。
【0041】
一構成では、複数のバッテリセルが1つのバッテリパック又はバッテリ蓄電池へまとめられている。そして、方法は、同様に実行されることが可能である。このことは、バッテリパックの個々のバッテリセルの充電電圧が個別に想定可能であり、個別に設定(調整)可能であれば特に容易に実現可能である。
【0042】
一構成では、バッテリパックの各バッテリセルについて間隔の到達又はこれを下回ることが個別に監視され、バッテリセルが1つでも間隔に到達するか、又はこれを下回ると、少なくとも1つの放電パルスがバッテリパックへ印加される。当該方法により、バッテリパックの個々のバッテリセルの充電電圧を個別に測定可能であるものの充電電圧が全体としてバッテリパックへ印加される場合にも、めっきを特に信頼性をもって防止することができるという利点が得られる。特に、当該構成においては、以下のように進行され得る:バッテリパックが充電され、このとき、まず、第1の充電段階が実行される。バッテリセルのうち1つが第1のものとしてトリガ電圧USEに到達する。その後、放電パルスがバッテリパック全体へ印加される。つづいて、バッテリパックが更に充電され(このとき、トリガ電圧USEを再び上回ることがあるが、当該トリガ電圧USEについて新たな放電パルスは実施されない。なぜなら、放電パルスは、既に一度発生されているためである。)、バッテリセル(おそらく、第1のものとして既にトリガ電圧USEに到達した同一のバッテリセル)は、切換電圧Uに到達し、これにより、充電電流の跳躍的な低減を伴う次の充電段階への変更が強制される。
【0043】
個々のバッテリセルが互いに直列に接続され、個々のバッテリセルの充電電圧が個別に測定可能でない、特に単純に構成されたバッテリパックにおいては、方法は、m個のバッテリセルにおいてバッテリセルの充電電圧Uについて、U=UL,pack/m(ここで、U=バッテリパックへ印加される充電電圧のUL,packである)が成り立つことによって、同様の態様で実行され得る。
【0044】
課題は、バッテリ充電装置によっても解決され、バッテリ充電装置は、上述のように方法を実行するように構成されている。バッテリ充電装置は、方法と同様に形成されることができるとともに、同一の利点を有している。バッテリ充電装置は、電気エネルギーを提供するための給電接続部と、バッテリセル又はバッテリパックへ印加される電圧を測定する測定装置と、場合によっては、バッテリセル若しくはバッテリパックから、及び/又はバッテリセル若しくはバッテリパックへ流れる電流を測定する電流測定装置と、方法を制御する制御装置とを備えることができる。
【0045】
課題は、バッテリ充電装置の少なくとも一部を備える車両によっても解決される。バッテリ充電装置は、バッテリ充電装置及び/又は方法と同様に形成されることができるとともに、同一の利点を有している。一発展形態において、車両は、バッテリ電気式に駆動される車両である。車両は、例えば原動機付き車両(例えば、自家用車、トラック、バスなど又は自動二輪車)、鉄道、水上車両(例えばボート又は船舶)又は航空機(例えば飛行機又はヘリコプタ)であってよい。
【0046】
さらに、課題は、バッテリ充電装置の少なくとも一部を備える、車両のための充電ステーションによって解決される。
【0047】
したがって、バッテリ充電装置は、車両、充電ステーションにおいて、又は車両及び適合する充電ステーションへ分配されて実装されることが可能である。
【0048】
本発明の上述の特性、特徴及び利点並びに当該利点がどのように達成されるかという態様を、図面と関連した以下の実施例の概略的な説明に関連してより明確かつ明らかに理解できるように詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】まだ放電パルスのない、分を単位とする時間に対するMSCC充電過程を記述する充電パラメータの3つのプロットを概略的かつ縮尺に従わずに示す図である。
図2】方法を実行するための可能なフローチャートである。
図3】放電パルスを伴う、対応するトリガ電圧の到達後の充電過程中の、バッテリセルへ、及びバッテリセルから流れる電流のプロットを概略的かつ縮尺に従わずに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1には、まだ放電パルスのないリチウムイオンバッテリセルについての、分を単位とする時間に対する多段定電流充電過程の典型的な充電パラメータのプロットが示されており、すなわち、上のプロット(例)では、複数の充電段階LP1,LP2,LP3についての充電電流Iがアンペアを単位として示されており、中間のプロットでは、同一のバッテリセルに印加される充電電圧Uがボルトを単位として示されており、下のプロットでは、対応するアノード電圧Uがボルトを単位として示されている。
【0051】
上のプロットに関して、充電段階LP1,LP2,LP3は、それぞれ一定であるが連続した充電段階LP1,LP2,LP3について連続的に減少する充電電流Iを有しており、例えば、LP1の間ではI=125Aであり、LP2の間ではI=90Aであり、LP3の間ではI=75Aなどである。LP1とLP2の間の切換時点はt1として示されており、LP2とLP3の間の切換時点はt2として示されている。切換時点t1,t2では、対応する充電電流Iが段状に低下する。
【0052】
中間のプロットは、充電電圧が2つの充電段階LP1,LP2あるいはLP2,LP3の間の切換後にまずは短時間で低下し、その後、各充電段階LP1~LP3について一定の充電電流Iを維持するために必要な充電電圧Uが典型的には連続的に増大することを示している。切換は、充電段階LP1~LP3の充電電圧Uが各切換電圧Uに到達するときに引き起こされるか、又は行われる。切換電圧Uは、特に、当該切換電圧が後続の各充電段階LP1,LP2,LP3についてより大きいように選択されることが可能である。このことは、後続の充電段階LP2,LP3の充電電圧Uが比較的迅速に先行する充電段階LP1あるいはLP2の切換電圧Uを上回るため、通常は有意義である。例えば、U(LP1)=3.95V、U(LP2)=4.00V、U(LP3)=4.05Vであってよい。
【0053】
下のプロットは、例えばLi/Liに対して全体的に測定されたアノード電圧Uが各充電段階LP1~LP3の間に低下することを示している。アノード電圧Uが充電段階LP1,LP2,LP3のうちに負になると、めっきが生じる。そのため、全体的なアノード電圧Uは、充電過程中に正の値に維持される。しかし、アノードの不均質性、形状などにより、全体的に測定されたアノード電圧Uの局所的な偏差が生じることがあり、その場合、全体的に測定されたアノード電圧Uがまだ正であっても、局所的に負のアノード電圧が生じることがあり得る。そのため、本方法については、正のクリティカルなアノード電圧UA,kritに到達するか、又はこれを下回ることで局所的なめっきのおそれが著しく増大すると考えられる。
【0054】
当該クリティカルなアノード電圧UA,kritは時点tSEにおいて到達され、少なくとも第1の放電パルスP0、特に放電パルスP0~P9(図3参照)を引き起こすか、又は生じさせるトリガ電圧USEは、有利には、充電電圧Uが同様に少なくともほぼ時点tSEにおいて当該トリガ電圧USEに到達するように設定される。換言すれば、トリガ電圧USEは、当該トリガ電圧がクリティカルなアノード電圧UA,kritの達成と一致するように選択される。これにより、必要なときに初めて、すなわちアノード電圧Uがめっきについてクリティカルな電圧範囲U≦UA,kritとなるときに初めて、めっきを防止する放電パルスP0~P9を印加することが達成される。したがって、めっきについてクリティカルでない時間範囲t<tSEあるいは電圧範囲U>UA,kritへのバッテリセルの充電時間を延長する放電パルスP0~P9の印加が意図的に回避される。このとき、短い充電時間を達成するために充電段階LP1~LP3の切換が有利にはできる限り長く遅延されることも考慮され、このことは、アノード電圧Uができる限りU=0へ近づくこととなることも意味している。当該目的は、アノードの不均質性、形状などを考慮する場合にも、放電パルスP0~P9の利用によって、めっきを生成することなく達成され得る。
【0055】
図2には、バッテリ充電装置BVにおいて方法を実行するための可能なフローチャートが示されている。バッテリ充電装置BVは、車両F及び/又は充電ステーションLStの構成要素の一部であり得る。図3には、第1の充電段階LP1についての、バッテリセルへ、及びバッテリセルから流れる電流Iの時間tに対するプロットが示されている。
【0056】
ステップS1では、例示的に、充電段階LP1の充電過程の開始時に始動される。
【0057】
そして、ステップS2では、切換電圧Uと印加された充電電圧Uの間の間隔ΔUに到達されたか、又はこれを下回るかどうか、あるいは充電電圧Uがトリガ電圧USE=U-ΔUに到達したか、又はこれを上回ったかどうかが監視される。
【0058】
これが肯定的であれば(「J」)、ステップS3において、図3にも示されているように、第1の放電パルスP0が例えば0.1~10秒の継続時間をもって印加される。
【0059】
第1の放電パルスP0の終了後、ステップS4において、充電電圧Uが切換電圧Uに到達したかどうかが監視される。これが肯定的であれば(「J」)、後続の充電段階LP1,LP2,LP3へ切り換えられるか、あるいは新たな充電段階LP1,LP2,LP3が開始される。
【0060】
一方、否定的であれば(「N」)、ステップS5において、充電電圧Uが第n(n番目)の追加電圧値UZ,nを含むトリガ電圧USEに到達したかどうかが監視され、ここで、nは、追加的な(第2(2番目)など)放電パルスP1~P9の数である。したがって、U≧USE+UZ,nが成り立つかどうかが監視される。放電パルスP1~P9が電圧に関して等距離で生じるべき場合には、トリガ条件は、U≧USE+n・Uとしても記述されることができ、第1の追加的な放電パルスについてはn=1である。
【0061】
これが肯定的であれば(「J」)、ステップS6において別の第nの放電パルスP1~P9が印加され、その終了後、ステップS7においてn(n:=n+1)だけ増大しつつステップS4へ戻るように分岐される。ここでは、例示的に新たな別の放電パルスP1~P9が印加される。
【0062】
当該フローは、充電過程が中断又は終了されるまで実行される。
【0063】
図3に示されているように、放電パルスP1~P9は、例えば1秒の同一のパルス継続時間を有することができ、及び/又は例えばバッテリセルのCレートの値に対応する同一の放電電流の振幅を有することができる。バッテリセルの固有のCレートがCh-1であれば、有利には、放電電流ISEがISE≦-C/10へ調整され、ここでは、特に有利にはISE=-Cアンペアへ調整される。例えば、放電電流ISE=-60Aであり得る。特に、放電パルスP0~P9の印加によって対応する充電段階LP1の間に放電される合計の放電量は、対応する充電段階LP1の充電量の少なくとも0.1%であり、充電量の2%を上回らない。
【0064】
例えば、ΔU=10mVであり得る一方、例えばU=1mVが成り立ち得る。
【0065】
個々のバッテリセルの充電電圧ULに代えて、まずは、バッテリパックの存在する全てのバッテリセルの充電電圧ULの最大値が形成される拡張によって、方法は、複数のバッテリセルを有するバッテリパックに対して直接的なものでもある。
【0066】
当然、本発明は、示した実施形態に限定されていない。
【0067】
したがって、例えばΔU及びUあるいはUZ,nの値が既知であり、したがって、どのくらいの数の放電パルスP1~P9が生成され得るのかも既知である場合には、ステップS4は、他の箇所においても実行されることができる。この場合、ステップS5は、ステップS3の後すぐに実行されることができ、最後の放電パルスP9が印加されるまで、ステップS6からステップS7を介してステップS5へ戻るように分岐されることが可能である。その後、ステップS4と同様に、充電電圧Uが切換電圧Uに到達したかどうかがチェックされる。特に、ステップS7において、n(本実施例では例えばnfinal=9である「nfinal」)についての既知の最後の値が達成され、ステップS4へ分岐されたかどうかをチェックすることができる。
【0068】
一般的に、「ein」、「eine」(単数を表す不定冠詞)などは、単数又は複数と理解されることができ、特に、例えば「ちょうど1つ」などのように明確に除外しない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」などと理解されることができる。
【0069】
また、数字の記載は、明確に除外しない限り、ちょうど記載された数字も、また通常の許容範囲も含み得る。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.バッテリセルを充電する方法(S1~S7)であって、
-バッテリセルに印加される充電電圧(U )が、設定された切換電圧(U )に到達するか、又はこれを上回るかどうかが、少なくともほぼ一定の充電電流(I )を有する充電段階(LP1~LP3)中に監視され(S4)、これが肯定的である場合には、より小さな少なくともほぼ一定の充電電流(I )を有する次の充電段階(LP2~LP3)へ切り換えられ、
-充電段階(LP1~LP3)中に、該充電段階(LP1~LP3)の切換電圧(U )からの充電電圧(U )の設定された間隔(ΔU)が達成されるか、又はこれを下回るかどうかが更に監視され、これが肯定的である場合には、少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)がバッテリセルへ印加される(S3~S7)ことを特徴とする方法。
2.少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)の継続時間が、それぞれ0.1~10秒の範囲にあり、特に0.5~2秒の範囲にあり、特に約1秒であることを特徴とする上記1.に記載の方法(S1~S7)。
3.少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)が、バッテリセルのCレート(C)の1/10の値を下回らない振幅を有していることを特徴とする上記1.又は2.に記載の方法(S1~S7)。
4.充電段階(LP1~LP3)中に少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)によって合計され、バッテリセルへ印加される放電量が、該充電段階(LP1~LP3)の充電量の5%より上回らず、特に1%より上回らず、特に充電量の0.1~1%であることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
5.充電段階(LP1~LP3)中に間隔(ΔU)に到達するか、又はこれを下回ることで、複数の放電パルス(P0~P9)が時間的に間隔をあけてバッテリセルへ印加される(S5~S7)ことを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
6.充電電圧(U )が、間隔(ΔU)の到達以降、設定された追加電圧値(U ,U Z,n )だけ高められた場合には、第1の放電パルス(P0)につづいて、必ず別の放電パルス(P1~P9)が印加されることを特徴とする上記5.に記載の方法(S1~S7)。
7.間隔(ΔU)が、バッテリセルのアノード電圧(U )のクリティカルな閾値(U A,krit )に相当することを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
8.間隔(ΔU)が、全ての充電段階(LP1~LP3)について一定であることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
9.間隔(ΔU)が、少なくとも2つの充電段階(LP1~LP3)について異なっていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
10.リチウムベースのバッテリセル、特にリチウムバッテリセルが充電されることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)。
11.複数のバッテリセルが1つのバッテリパックへ合体されていることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の方法。
12.バッテリパックの各バッテリセルについて間隔(ΔU)の到達又はこれを下回ることが個別に監視され、バッテリセルが1つでも間隔(ΔU)に到達するか、又はこれを下回ると、少なくとも1つの放電パルス(P0~P9)がバッテリパックへ印加されることを特徴とする上記11.に記載の方法。
13.上記1.~12.のいずれか1つに記載の方法(S1~S7)を実行するように構成されていることを特徴とするバッテリ充電装置(BV)。
14.上記13.に記載のバッテリ充電装置(BV)の少なくとも一部を備える車両(F)。
15.上記13.に記載のバッテリ充電装置(BV)の少なくとも一部を備える車両(F)用の充電ステーション(LSt)。
【符号の説明】
【0070】
BV バッテリ充電装置
C Cファクタの値
F 車両
SE 放電電流
充電電流
LP1~LP3 充電段階
LSt 充電ステーション
n 別の放電パルスの指数
P0 第1の放電パルス
P1~P9 別の放電パルス
S1~S7 方法ステップ
アノード電圧
A,krit クリティカルなアノード電圧
充電電圧
SE トリガ電圧
切換電圧
追加電圧値
Z,n 第nの別の放電パルスの追加電圧値
SE トリガ時点
t1 切換時点
t2 切換時点
ΔU 間隔
図1
図2
図3