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特許7588142カバーガラスを備えた湾曲したディスプレイにおいて信頼度を高めると共に応力むらを減じるための外周の接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】カバーガラスを備えた湾曲したディスプレイにおいて信頼度を高めると共に応力むらを減じるための外周の接着剤
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241114BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241114BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308A
G09F9/00 342
G02F1/1333
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022521662
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020052136
(87)【国際公開番号】W WO2021076280
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】62/916,660
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バーデット,スティーヴン ロイ
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-047976(JP,A)
【文献】特開2013-015836(JP,A)
【文献】特表2018-526302(JP,A)
【文献】特開2019-086564(JP,A)
【文献】国際公開第2010/125976(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/129065(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0210489(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106548712(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲したディスプレイアセンブリであって、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有するガラスシートであって、前記第1の主面と前記第2の主面との間で測定された第1の厚さを有し、前記ガラスシートの少なくとも一領域で曲げ軸線の周りに円筒形状に曲げられる、ガラスシートと、
第1のディスプレイ表面と第2のディスプレイ表面との間に第2の厚さを有する湾曲したディスプレイであって、ディスプレイ領域と、前記ディスプレイ領域に隣り合いかつ前記曲げ軸線に対して平行である2つの張出し縁部とを備える湾曲したディスプレイと、
前記湾曲したディスプレイの前記第2のディスプレイ表面を前記ディスプレイ領域内の前記ガラスシートの前記第2の主面に結合する第1の接着剤と、
前記2つの張出し縁部の各々を前記ガラスシートの前記第2の主面に結合する第2の接着剤であって、前記第1の接着剤よりも高い弾性率を有する第2の接着剤と
を備え、
前記張出し縁部はそれぞれ、前記ディスプレイ領域の外側に、前記湾曲したディスプレイの前記第2の厚さの少なくとも3倍である距離にわたって延在し、
前記第2の接着剤は、前記ディスプレイを前記円筒形状に維持するよう前記2つの張出し縁部に沿って曲げモーメントを加えるものである
湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項2】
前記湾曲したディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、量子ドットLED(QLED)ディスプレイ、またはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つである、請求項1記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項3】
前記湾曲したディスプレイは、前記第1のディスプレイ表面を規定する第1の偏光子と、前記第1の偏光子上に配置された薄膜トランジスタ(TFT)基板と、前記TFT基板上に配置された液晶層と、前記液晶層上に配置されたカラーフィルタ(CF)基板と、前記CF基板上に配置された第2の偏光子であって、前記第2のディスプレイ表面を規定する第2の偏光子とを備えるLCDである、請求項1または2記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項4】
前記TFT基板は、前記2つの張出し縁部を形成するよう前記CF基板の周縁部を越えて延在させ
前記2つの張出し縁部は、前記曲げ軸線の対向する両側に配置される、
請求項3記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項5】
前記TFT基板と前記CF基板とはそれぞれ、ガラス材料を含む、請求項3または4記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項6】
前記第2の接着剤の前記弾性率は、少なくとも0.5MPaであり、前記第1の接着剤の前記弾性率は、10kPa~100kPaである、請求項1から5までのいずれか1項記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項7】
前記湾曲したディスプレイの周りの前記ガラスシートの前記第2の主面に第3の接着剤を介して結合されたフレームをさらに備える、請求項1から6までのいずれか1項記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の接着剤は、10kPa以上100kPa以下である弾性率を有し、
前記第2の接着剤は、0.5MPa以上20MPa以下である弾性率を有し、
前記第3の接着剤は、2.0MPa以上20MPa以下である弾性率を有する、
請求項7記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項9】
前記フレームは、前記円筒形状を有し、前記ガラスシートは、冷間成形された後に前記フレームに取り付けられている、請求項7記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【請求項10】
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側にある第2の主面とを備えるガラスシートを提供するステップと、
前記ガラスシートの前記第2の主面にディスプレイを結合するステップであって、前記ディスプレイは、ディスプレイ領域と、前記ディスプレイ領域に隣り合う2つの張出し縁部とを備え、前記ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記第2の接着剤は、前記第1の接着剤よりも高い弾性率を有する、結合するステップと、
前記ガラスシートおよび前記ディスプレイのうちの少なくとも一方を前記ガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度で曲げて、前記ガラスシートおよびディスプレイに曲げ軸線を有する曲率を形成し、前記ガラスシート及び前記ディスプレイは、前記曲げ軸線の周りに円筒形状に曲げられる、ステップと
を含み、
前記2つの張出し縁部は、前記曲げ軸線に対して平行であり、
前記2つの張出し縁部の各々は、前記ディスプレイ領域を越えて、少なくとも前記ディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在し、
前記第2の接着剤は、前記ディスプレイを前記円筒形状に維持するよう前記2つの張出し縁部に沿って曲げモーメントを加える
方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2019年10月17日に出願された米国仮出願第62/916,660号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラスを含む湾曲したディスプレイアセンブリおよび同湾曲したディスプレイアセンブリを形成するための方法、より詳細には、ディスプレイを曲げることに関連した応力むらを減じた湾曲したディスプレイアセンブリおよび同湾曲したディスプレイアセンブリを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乗物室内、機器、および家庭用電化製品は湾曲面を含み、そのような湾曲面にディスプレイを組み込むことができる。そのような湾曲面を形成するために使用される材料は、典型的には、ガラスのような耐久性と光学性能とを示さないポリマに限定される。そのため、特にディスプレイ用のカバーとして使用する場合、湾曲したガラスシートが所望される。そのような湾曲したディスプレイアセンブリを形成する既存の方法は、バックライト付きディスプレイからの光漏れに関連する光学的な欠陥を含む欠点を有している。したがって、本出願人は、湾曲したガラスシートを組み込むことができる湾曲したディスプレイアセンブリと、光漏れの問題を被らない湾曲したディスプレイとの必要性を認識した。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したディスプレイアセンブリに関する。湾曲したディスプレイアセンブリは、第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有するガラスシートを含む。ガラスシートは、第1の主面と第2の主面との間で測定された第1の厚さを有する。第2の主面は、ガラスシートの第1の曲率半径を規定しており、第1の曲率半径は、曲げ軸線を有する。湾曲したディスプレイアセンブリは、また、第1のディスプレイ表面と第2のディスプレイ表面との間に第2の厚さを有する湾曲したディスプレイを含む。ディスプレイは、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合いかつ曲げ軸線に対して平行である2つの張出し縁部とを備える。湾曲したディスプレイアセンブリは、湾曲したディスプレイの第2のディスプレイ表面をディスプレイ領域内のガラスシートの第2の主面に結合する第1の接着剤を含む。湾曲したディスプレイアセンブリは、2つの張出し縁部の各々をガラスシートの第2の主面に結合する第2の接着剤をさらに含む。第2の接着剤は、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する。張出し縁部はそれぞれ、ディスプレイ領域の外側に、湾曲したディスプレイの第2の厚さの少なくとも3倍である距離にわたって延在している。
【0005】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したディスプレイアセンブリを形成する方法に関する。方法において、第1の主面と、第2の主面とを備えるガラスシートが提供される。第2の主面は、第1の主面と反対側にある。ディスプレイは、ガラスシートの第2の主面に結合される。ディスプレイは、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合う2つの張出し縁部とを備える。ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合される。第2の接着剤は、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する。また、方法において、ガラスシートおよびディスプレイをガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度で曲げて、ガラスシートおよびディスプレイに曲げ軸線を有する曲率を形成する。2つの張出し縁部は、曲げ軸線に対して平行であり、2つの張出し縁部の各々は、ディスプレイ領域を越えて、少なくともディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している。
【0006】
さらに別の態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品を形成する方法に関する。方法において、第1の主面と、第2の主面とを備える湾曲したガラスシートが提供される。第2の主面は、第1の主面と反対側にあり、曲げ軸線を有する曲率を規定する。ディスプレイは、ガラスシートの曲率を超えて曲げられる。ディスプレイは、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合いかつ曲げ軸線に対して平行な2つの張出し縁部とを備える。さらに、方法において、ディスプレイは、ガラスシートの第2の主面に結合される。ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合される。第2の接着剤は、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する。2つの張出し縁部の各々は、ディスプレイ領域を越えて、少なくともディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している。
【0007】
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識される。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することが意図されていることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図面は、1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施形態による、乗物室内システムを備えた乗物室内の斜視図である。
図2】例示的な実施形態による、湾曲したガラスアセンブリを示す図である。
図3】例示的な実施形態による、ガラスシートに結合されたLCDの拡大図である。
図4】例示的な実施形態による、湾曲したガラスアセンブリの背面図である。
図5】例示的な実施形態による、円筒状に曲げられたガラスシートの方向上の変形を示す図である。
図6】例示的な実施形態による、図5の円筒状に曲げられたガラスシートを横切る応力分布を示す図である。
図7】従来のディスプレイアセンブリの光漏れ率を示す図である。
図8】本開示による湾曲したディスプレイアセンブリの光漏れ率を示す図である。
図9】例示的な実施形態による、接着剤の弾性率の関数としての最大光漏れ率を示す図である。
図10】例示的な実施形態による、例示的な寸法のガラスシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここから、湾曲したディスプレイアセンブリの様々な実施形態を詳細に参照し、例示的な湾曲したディスプレイアセンブリを添付の図面に示す。湾曲したディスプレイアセンブリは、カバーガラスシートと、カバーガラスが取り付けられる外側フレームと、カバーガラスに結合されたディスプレイパネルと、外側フレームに取り付けられたバックライトモジュールとを含む。実施形態では、カバーガラスシートと外側フレームとは両方とも、ディスプレイの領域内において円筒形状を有しているが、ディスプレイの領域の外側においては他の形状および他の曲率を有してよい。さらに、湾曲したディスプレイアセンブリは、各ディスプレイに対して異なる曲率半径および異なる軸線を含む1つよりも多いディスプレイを含んでよい。本明細書に記載されているように、ディスプレイパネルは、光学的に透明な接着剤を使用してカバーガラスに結合され、ディスプレイの外側縁部では、より高い弾性率を有する第2の接着剤が、ディスプレイの縁部をカバーガラスに結合するために使用されている。第2の接着剤は、ディスプレイの縁部に曲げモーメントを生じさせて、応力むらの外観(例えば、ガラス層における応力に起因するバックライトモジュールからの光漏れ)を減じる。湾曲したディスプレイアセンブリおよび同湾曲したディスプレイアセンブリを形成する方法の様々な態様および利点を、本明細書に記載されて図面に示された例示的な実施形態に関連して説明する。
【0011】
本明細書に記載の湾曲したディスプレイアセンブリは、家庭用電化製品(コンピュータモニタ、テレビなど)、機器、および様々な乗物室内を含む、様々な異なる状況に適用可能である。湾曲したディスプレイアセンブリを使用するための1つのあり得る状況を説明するために、図1は、1つ以上の湾曲したディスプレイアセンブリを組み込むことができる、乗物室内システム100,200,300の3つの異なる実施形態を含む例示的な乗物室内1000を示す。乗物室内システム100は、湾曲したディスプレイ130を含む湾曲面120を備えた、センタコンソールベース110として示されるベースを含む。乗物室内システム200は、湾曲したディスプレイ230を含む湾曲面220を備えた、ダッシュボードベース210として示されるベースを含む。ダッシュボードベース210は、典型的には、湾曲したディスプレイも含んでよいインストルメントパネル215を含む。乗物室内システム300は、湾曲面320と湾曲したディスプレイ330とを備えた、ステアリングホイールベース310として示されるベースを含む。1つ以上の実施形態では、乗物室内システムは、アームレスト、ピラー、シートバック、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは湾曲面を含む乗物室内の任意の部分であるベースを含む。他の実施形態では、ベースは、自立型ディスプレイ(すなわち、乗物の一部に恒久的には接続されていないディスプレイ)のためのハウジングの一部である。本明細書で説明するように、湾曲したディスプレイアセンブリは、前述のベースのいずれかの内部などに湾曲したディスプレイを提供するために、前述のベースのいずれかに結合することができるフレームに取り付けられる。したがって、本明細書に記載の湾曲したディスプレイアセンブリは、乗物室内システム100,200,300などの各々で使用することができる。
【0012】
さらに、湾曲したディスプレイアセンブリのガラス材料は、その重量、美的外観などに基づいて選択されてよく、ガラスコンポーネントを隣り合う非ガラスコンポーネントと視覚的に合致させるために、パターン(例えば、刷毛塗り金属外観、木目調外観、皮革調外観、着色外観など)の装飾コーティング(例えば、インクコーティングまたは顔料コーティング)が提供されてもよい。特定の実施形態では、そのようなインクコーティングまたは顔料コーティングは、デッドフロント機能性を提供する透明性レベルを有することができる。付加的または代替的に、ガラス材料は、タッチ機能を提供するコーティングなどの機能的コーティングを備えていてよい。
【0013】
図2は、例示的な実施形態による湾曲したディスプレイ130,230,330のためのカバーガラスなどの湾曲したディスプレイアセンブリ10を示している。図2は湾曲したディスプレイ130,230,330を形成する観点から説明されているが、図2の湾曲したディスプレイアセンブリ10は、図1の乗物室内システムのいずれかの湾曲したガラスコンポーネントまたは乗物室内1000の他の湾曲したガラス表面を含む、任意の適切な湾曲したガラスの用途で使用してよいことを理解されたい。そのような湾曲したガラスコンポーネントは、ディスプレイ領域または非ディスプレイ領域、例えば、平坦なディスプレイ領域および湾曲した非ディスプレイ領域、複数の湾曲したディスプレイ、ならびに湾曲したディスプレイ領域および湾曲した非ディスプレイ領域であってよい。
【0014】
図2は、例示的な実施形態による湾曲したディスプレイアセンブリ10の断面図を示している。図2に示されるように、湾曲したディスプレイアセンブリ10は、接着層16を介してフレーム14に結合された湾曲したガラスシート12を含む。ガラスシート12は、第1の主面18と、第1の主面18と反対側の第2の主面20とを有する。第1の主面18と第2の主面20との間の距離は、相互間の厚さT1を規定する。さらに、第1の主面18および第2の主面20は、ガラスシート12の周囲の周りに延在する副面22によって接続されている。
【0015】
ガラスシート12は、第1の主面18と第2の主面20とが曲率半径R1を有する少なくとも1つの湾曲したセクションをそれぞれ含むような湾曲した形状を有する。実施形態では、R1は30mm~5mである。さらに、実施形態では、ガラスシート12は、0.05mm~2mmである厚さT1(例えば、表面18と表面20との間で測定された平均厚さ)を有する。特定の実施形態では、T1は1.5mm以下であり、より具体的な実施形態では、T1は0.3mm~1.3mmである。本出願人は、そのような薄いガラスシートは、破損することなく冷間成形を利用して様々な湾曲した形状に冷間成形することができ、同時に様々な乗物室内用途に高品質のカバー層を提供できることを発見した。加えて、そのような薄いガラスシート12は、より容易に変形させることができ、これは、フレーム14に対して存在する可能性がある形状の不一致および隙間を補償する可能性を含んでいる。
【0016】
様々な実施形態では、ガラスシート12の第1の主面18および/または第2の主面20は、1つ以上の表面処理部または表面層を含む。表面処理部は、第1の主面18および/または第2の主面20の少なくとも一部を覆ってよい。例示的な表面処理部は、アンチグレア表面/アンチグレアコーティング、反射防止表面/反射防止コーティング、および防汚表面コーティング/防汚表面処理部を含む。1つ以上の実施形態では、第1の主面18および/または第2の主面20の少なくとも一部は、アンチグレア表面、反射防止表面、および防汚コーティング/防汚処理部のいずれか1つ、任意の2つ、または3つ全てを含んでよい。例えば、第1の主面18は、アンチグレア表面を含んでよく、第2の主面20は、反射防止表面を含んでよい。別の例では、第1の主面18は、反射防止表面を含み、第2の主面20は、アンチグレア表面を含む。更なる別の例では、第1の主面18は、防汚コーティングを含み、第2の主面20は、アンチグレア表面および反射防止表面のいずれかまたは両方を含む。1つ以上の実施形態では、アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含む。1つ以上の実施形態では、反射防止表面は、多層コーティングを含む。
【0017】
実施形態では、ガラスシート12はまた、第1の主面18および/または第2の主面20上に顔料デザインを含んでよい。顔料デザインは、顔料(例えば、インク、塗料など)から形成された任意の美的デザインを含んでよく、例えば、木目調デザイン、刷毛塗り金属デザイン、グラフィックデザイン、肖像画、またはロゴを含んでよい。顔料デザインはガラスシートに印刷することができる。
【0018】
一般に、ガラスシート12は、湾曲面を有するチャック上に配置された状態でガラスシート12に曲げ力を加えることにより、冷間成形または冷間曲げにより所望の湾曲した形状に成形することができる。有利には、ガラスシート12に湾曲を生じさせる前に、平坦なガラスシート12に表面処理部を適用することがより容易であり、冷間成形により、表面処理部を破壊することなく、処理されたガラスシート12を曲げることができる。実施形態では、冷間成形プロセスは、ガラスシート12のガラス転移温度よりも低い温度で実施される。特に、冷間成形プロセスは、室温(例えば、約20℃)またはわずかに高い温度、例えば、200℃以下、150℃以下、100℃以下、または50℃以下で実施することができる。それにもかかわらず、ディスプレイにおける応力むらの低減に関する本開示の教示は、湾曲したディスプレイアセンブリ10で使用される熱間成形ガラスシート12にも適用される。
【0019】
図2に示すように、接着層16は、ガラスシート12の第2の主面20上に配置されている。接着層16は、1つ以上のディスプレイ28をガラスシート12の第2の主面20に結合する、第1の接着剤24と第2の接着剤26とを含む。接着層16は、フレーム14をガラスシート12の第2の主面20に接着するための第3の接着剤30を含む。一実施形態では、第1の接着剤24は、光学的に透明な接着剤であり、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、構造用の接着剤である。実施形態では、第2の接着剤26と第3の接着剤30とは、同一の接着剤であり、他の実施形態では、第2の接着剤26と第3の接着剤とは、異なる接着剤である。
【0020】
実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、例えば、周辺温度で約1時間の過程にわたって硬化した後、長期間の強度を提供する。実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30の例示的な接着剤は、強化エポキシ、可撓性エポキシ、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、またはシラン変性ポリマのうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、EP21TDCHT-LO(ニュージャージー州ハッケンサックにあるMasterbond(登録商標)から入手可能)、3M(商標) Scotch-Weld(商標) Epoxy DP460 Off-White(ミネソタ州セントポールにある3Mから入手可能)などの1つ以上の強化エポキシを含む。他の実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、Masterbond EP21TDC-2LO(ニュージャージー州ハッケンサックにあるMasterbond(登録商標)から入手可能)、3M(商標) Scotch-Weld(商標) Epoxy 2216 B/A Gray(ミネソタ州セントポールにある3Mから入手可能)、および3M(商標) Scotch-Weld(商標) Epoxy DP125などの1つ以上の可撓性エポキシを含む。更なる他の実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、LORD(登録商標)Adhesive 410/Accelerator19 w/LORD(登録商標)AP134primer、LORD(登録商標)Adhesive852/LORD(登録商標)Accelerator25GB(どちらもノースカロライナ州ケーリーにあるLORD Corporationから入手可能)、DELO PUR SJ9356(ドイツのヴィンダッハにあるDELO Industrial Adhesivesから入手可能)、Loctite(登録商標)AA4800、Loctite(登録商標)HF8000、TEROSON(登録商標)MS9399、およびTEROSON(登録商標)MS647-2C(これらの4つは、ドイツのデュッセルドルフにあるHenkel AG&Co. KGaAから入手可能である)などの1つ以上のアクリルを含む。更なる他の実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、3M(商標) Scotch-Weld(商標) Urethane DP640 Brownおよび3M(商標) Scotch-Weld(商標) Urethane DP604などの1つ以上のウレタンを含み、更なる別の実施形態では、第2の接着剤26および第3の接着剤30は、Dow Corning(登録商標)995(ミシガン州ミッドランドにあるDow Corning Corporationから入手可能)などの1つ以上のシリコーンを含む。第1の接着剤24は、様々な適切な(すなわち、光学的に透明な)エポキシ、ウレタン、シリコーン、またはアクリルのいずれかであってよい。
【0021】
実施形態では、第1の接着剤24は、第2の接着剤26の弾性率よりも小さい弾性率を有する。実施形態では、第1の接着剤24は、0.5MPa未満の弾性率を有し、特に10kPa~100kPaの範囲にある。実施形態では、第2の接着剤26は、少なくとも0.5MPaの弾性率を有し、例えば、0.5MPa~20MPaの範囲にある。さらに、実施形態では、第3の接着剤30は、少なくとも2.0MPaの弾性率を有し、例えば、2.0MPa~20MPaの範囲にある。
【0022】
図示の実施形態では、ディスプレイ28は湾曲しており、ガラスシート12の湾曲した領域32上に設けられている。実施形態では、ガラス物品10は、V字形(例えば、湾曲した領域32の両側に平坦セクションを有している)、C字形(湾曲したディスプレイアセンブリ10の端部同士の間で連続的に湾曲した曲げ領域32)、J字形(1つの平坦セクションおよび1つの曲げ領域32)、S字形(反対の曲率を備えた2つの曲げ領域32)、および他の可能な構成など、様々な湾曲した形状であればいずれでも可能である。各ディスプレイ28は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、量子ドットLED(QLED)ディスプレイ、またはプラズマディスプレイなどの様々な適切な種類のディスプレイのいずれかであってよい。さらに、ディスプレイ28またはガラスシート12は、ディスプレイ28および/またはディスプレイが組み込まれているシステムと相互作用するためのタッチ機能を含んでよい。
【0023】
ディスプレイ28のガラスシート12への結合を説明するために、図3は、ガラスシート12に結合されたLCD28を示しており、以下の説明は、LCDに関して構成されている。しかしながら、この説明は本質的に例示的なものであり、そこで説明されている概念がLCDにのみ適用されることを意味するものではない。代わりに、この概念は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、QLEDディスプレイ、およびプラズマディスプレイなどにも適用される。
【0024】
従来のLCDでは、むらはディスプレイのガラス層の応力(つまり「応力むら」)の結果として現れることがある。このようなLCDでは、ガラス層の応力が複屈折を引き起こし、これにより、ガラスが透過する光の偏光が変化する可能性がある。従来のLCDでは、この偏光の変化により、光を透過させないことが望ましい場合でも、ディスプレイによっていくらかの光を透過させてしまうことがある。暗くすることが望ましい場合、ディスプレイから透過する光を光漏れと呼ぶ。他の光漏れの原因が存在するが、LCDのガラス層の応力は最も一般的なものの1つである。しかしながら、LCDのガラス層の全ての応力が光漏れを引き起こすわけではない。ガラス層の応力の主軸線が透過光の偏光に対して垂直および平行に整列している場合、偏光が変化しないため、光漏れは起こらない。このため、湾曲したLCDは、曲率の軸線に対して平行および垂直に配置された前面の偏光子と背面の偏光子とを有していることが多くある。その場合、ガラスが円筒形状に曲げられている限り、偏光軸線はガラス層の応力の主軸線と整列する。
【0025】
それにもかかわらず、円筒形状から逸脱することにより、ガラスの応力の主軸線が曲率の公称軸線から回転する。これに関して、大きなディスプレイパネルを、応力の主軸線が透過光の偏光に対して平行および垂直のままである円筒形状に一致させることを強制することは困難である。本開示によれば、以下に説明するように、ディスプレイ28の縁部に沿って、光学的に透明な第1の接着剤24よりも高い弾性率を有する第2の接着剤26を使用することにより、ディスプレイ28を円筒形状に曲げることに関連する偏差から生じる光漏れが実質的に減じられる。特に、第2の接着剤26は、ディスプレイの縁部に沿ってモーメントを加え、円筒形状を維持する。従来、モーメントを加えるために柔軟で光学的に透明な接着剤が使用され、その結果として生じる変形がディスプレイパネルに応力分布を引き起こし、ディスプレイアセンブリに光漏れの光学的な欠陥(すなわち、応力むら)をもたらした。少なくとも曲げ軸線に対して平行なディスプレイ28の縁部に沿って、より高い弾性率を有する第2の接着剤26を使用することにより、そのような応力むらの欠陥を実質的に低減または排除することができる。
【0026】
図3を参照すると、ガラスシート12に結合されたLCD28の例示的な実施形態が示されている。LCD28は、第1の偏光子34と、薄膜トランジスタ(TFT)基板36と、カラーフィルタ(CF)基板38と、第2の偏光子40とを含む複数の層を含む。図3には示されていないが(ディスプレイ28の他の層と比較してそのサイズが比較的小さいため)、LCD28はまた、液晶層と、液晶層の縁部の周りのシーラントとを含む。液晶層は、TFT基板36とCF基板38との間に配置されている。また、図には示されていないが、LCD28用のバックライトは、(図3に示されている方向に対して)第1の偏光子34の上に配置される。見てのとおり、TFT基板36は、少なくともCF基板38の周縁部42を越えて所定の距離Dにわたって延在している。図3の描写では、周縁部42は、第1の偏光子34または第2の偏光子40の縁部と整列されておらず、CF基板38の縁部は、破線で示されている。実施形態では、張出し距離Dは、ディスプレイ28の厚さT2の少なくとも3倍であり(すなわち、D≧3*T2)、ディスプレイ28は、第1の偏光子34または第2の偏光子40と、TFT基板36と、CF基板38と、液晶層およびシーラントとを含む。実施形態では、ディスプレイ28は、0.25mm~0.75mmの厚さT2を有する。したがって、実施形態では、張出し距離Dは、少なくとも0.75mm、少なくとも1.0mm、少なくとも1.5mm、少なくとも2.0mm、少なくとも2.5mmなどである。
【0027】
LCD28を曲げてディスプレイを湾曲させる場合、曲げモーメントが、特に液晶層の縁部の周りのシーラントによってTFT基板36に加えられ、CF基板38に伝達されるが、なぜならば、シーラントは、TFT基板36をCF基板38に結合させるからである。有利なことに、TFT基板36をCF基板38の周縁部42を越えて延在させることにより、TFT基板36の張出し縁部44上にディスプレイドライバ電子機器のための取り付け面を提供する。特に、シリコンチップは、TFT基板36に剛性を付加し、そのことが、縁部が曲げられたときに光漏れからむらを引き起こすので、電子チップをディスプレイ28の湾曲した縁部上に位置させることはできない。
【0028】
付加的に、第2の接着剤26は、電子機器が取り付けられている側から張出し縁部44と反対側に塗布される。すなわち、第2の接着剤26は、TFT基板36の張出し縁部44とガラスシート12の第2の主面20との間に配置されている。図4は、LCD28が取り付けられたガラスシート12の背面図を示している。見てのとおり、実施形態では、TFT基板36の張出し縁部44は、LCD28の外周の周りのCF基板38を越えて延在し、実施形態では、第2の接着剤26は、LCD28の外周全体の周りの張出し縁部44に塗布される。しかしながら、他の実施形態では、第2の接着剤26は、ガラス物品10の曲げ軸線αに対して平行である、TFT基板36の横方向側46にのみ塗布される。図4に示すように、ガラス物品10は、ガラスシート12とLCD28とがその周りに曲げられる単一の曲げ軸線αを有する。他の実施形態では、ガラス物品10の各湾曲したディスプレイ28は曲げ軸線を有し、ガラスシート12は、ディスプレイ28が位置していない曲げ軸線を含む複数の曲げ軸線を有してよい。実施形態では、ディスプレイ28は、曲げが円筒形状であるように、単一の軸線の周りでのみ曲げられる。さらに、図3の実施形態は、ディスプレイ28の外周の周りに均一な張出し距離Dを有する張出し縁部44を示しているが、実施形態では、張出し距離Dは、第2の接着剤が塗布される領域において、ディスプレイ28の厚さT2よりも少なくとも3倍大きいだけである。すなわち、張出し縁部44の張出し距離Dは、実施形態では、曲げ軸線αに対して平行な横方向側46に沿ってのみ、ディスプレイ28の厚さT2より少なくとも3倍大きい。
【0029】
LCD28が説明されているが、ディスプレイ28は別の種類のディスプレイであってよく、そのような他のディスプレイ28において、ディスプレイ28の1つの層は、張出し縁部44を提供するためにディスプレイ28の他の層を越えて延在するように作製されるか、または張出し縁部44を提供するために別の層をディスプレイ28に付加してもよい。付加的に、LCDの実施形態では、TFT基板36は、電子機器のための取り付け位置も提供するという相乗効果のために、張出し縁部44を提供するが、他の実施形態では、別の層または付加的な層を使用して、張出し縁部44を提供することができる。
【0030】
本出願人は、張出し縁部44を提供するTFT基板36を含む、上記のLCD構造に従って湾曲したディスプレイアセンブリ10について様々なシミュレーションを実施した。シミュレーションに使用された湾曲したディスプレイアセンブリ10は、自動車の室内システムに見られるディスプレイアセンブリのための典型的な寸法が付与された。表1は、シミュレーションで使用された湾曲したディスプレイアセンブリ10の各層の材料と、厚さと、特性とを提供する。表1に示されるように、第2の接着剤26は、光漏れへの影響を決定するためにシミュレーションでは変化させられており、以下で議論される各シミュレーションについて、第2の接着剤26の詳細が提供される。
【0031】
【表1】
【0032】
ここで説明するシミュレーションおよび関連データは、平坦なディスプレイを最初に平坦なガラスシートに取り付け、次に平坦なディスプレイとガラスシートとを最終形状に冷間成形する冷間曲げによって作製された湾曲したガラスアセンブリを考慮したが、しかし、他のシミュレーションでは、ガラスシート上でディスプレイを曲げる前に、ガラスシートが最初に熱間成形または冷間成形される状況で、外周の接着剤が同程度効果的であることが示されている。シミュレーションでは、機械シミュレーションでアセンブリの変形と応力とを計算し、光学シミュレーションでディスプレイの光漏れを計算した。シミュレーションでは、フレームは完全に剛性であり、円筒形状であると想定した。さらに、フレームには、ガラスシート12の第1の主面18が750mmの公称曲率半径R1を有するような半径が付与された。層の厚さを考慮して、フレームの曲率半径は751.7mmと計算された。ディスプレイの光学活性領域は、幅300mmであり、高さ130mmであった。ディスプレイの周りでは、CF基板38の縁部に対する第1の接着剤24の縁部は、全ての側で0.3mmであった。TFT基板36は、CF基板38を越えて全ての側で2.0mm延在し、その結果、張出し縁部44は、ディスプレイ28の全周の周りに延在した。隙間G(図3に示される)は、TFT基板36の張出し縁部44とフレーム14との間に設けられた。隙間Gは全ての側で5.0mmであり、フレーム幅は5.0mmである。湾曲したガラスアセンブリ10は、矩形かつ対称であった。シミュレーションでは、アセンブリ全体の4分の1のみが考慮され、対称性が両側に課された。光学計算では、応力に起因する光漏れのみを考慮した。ディスプレイの場合、ガラス層(すなわち、TFT基板36およびCF基板38)に応力がかかっていないとき、光はディスプレイ28を通過しない。ガラスの応力により、光の偏光がわずかに回転し、一部の光が第2の偏光子40を通過するようになった。ディスプレイ28を通過するバックライトユニットからの入射強度の割合は、「光漏れ率」と呼ばれる。
【0033】
図5は、ガラスシート12の第1の主面18の変形のシミュレーション結果を示している。シミュレーションでは、第2の接着剤26がディスプレイ28の全周の周りに提供され、第2の接着剤26は、1.0MPaの初期弾性率を有していた。図5に見られるように、曲率は完全な円筒からわずかに偏差しており、これは、図5に示されている変形曲線の頂部と底部とで最も顕著である。図6は、ガラスシート12の第1の主面18を横切る応力分布を示している。図6から、最大応力がガラスシート12の右縁部および左縁部で発生し、そこでフレーム14から曲げモーメントが加えられて曲率が生じることが分かる。図7は、光学的に透明な接着剤のみを使用してガラスシートに結合された従来のディスプレイの光漏れ率を示しており、すなわち、ディスプレイは、本明細書に記載の湾曲したディスプレイアセンブリ10による、張出し縁部44とガラスシート12との間に第2の接着剤26を含まない。図8は、第2の接着剤26がディスプレイ28の外周の周りに塗布された他のシミュレーションに関して、上記のようにディスプレイ28内の光漏れ率を示している。図7図8との比較から分かるように、外周の接着剤のないディスプレイは、本開示によるディスプレイ28よりも少なくとも1桁高い光漏れを有する。
【0034】
第2の接着剤26を使用して、張出し縁部44をガラスシート12に結合することにより、光漏れが減少することを実証したので、ディスプレイサイズの影響が考慮された。結果は以下の表2に要約されている。表2のデータを提供するために使用されたシミュレーションでは、上記のように構成されたディスプレイ(つまり、1.0MPaの弾性率と、750mmの曲げ半径と、表1に開示されている材料とを有する第2の接着剤)を考慮した。
【0035】
【表2】
【0036】
表2から、張出し縁部44をガラスシート12に結合するための第2の接着剤26を使用することにより、ディスプレイの幅が250mmから350mmに増加するときでさえ、光漏れを約1桁減少させることが再び分かる。
【0037】
以下の表3は、ディスプレイ28の外周全体の周りではなく、ディスプレイ28の横方向側46にのみ第2の接着剤26を使用することの効果を考慮している。さらに、接着剤の範囲を変化させた。表3に見られるように、最大光漏れ率は、外周全体の周りに第2の接着剤26が塗布されている湾曲したディスプレイアセンブリと程度において類似している。さらに、接着剤が張出し縁部44の全範囲に達すると、最大光漏れは、外周全体の周りに第2の接着剤を有する湾曲したディスプレイアセンブリの場合と同一(8.66E-05)であった。
【0038】
【表3】
【0039】
図9は、光漏れに対する第2の接着剤26の弾性率の影響を考慮している。図9に見られるように、光漏れは、弾性率が0.5MPaに近づくと急速に減少し、弾性率が0.5MPaを超えると低いままである。
【0040】
本明細書に記載の湾曲したガラスアセンブリ10は、様々な方法で組み立てることができる。特に、湾曲したガラスアセンブリのガラスシート12は、熱間成形または冷間成形することができる。例えば、第1の方法によれば、平坦なディスプレイ28は、第1の接着剤24および第2の接着剤26を使用して、平坦なガラスシート12に結合される。次に、ディスプレイ28がその上に結合されたガラスシート12は、チャック(真空チャックなど)上で冷間成形されて、ガラスシート12およびディスプレイ28に所望の曲率を提供する。チャック上にある間、フレーム14が、第3の接着剤30を使用してガラスシート12に結合され、バックライトが、ディスプレイ28に取り付けられる。接着剤24,26,30を硬化させ、完成した湾曲したガラスアセンブリをチャックから取り外す。
【0041】
第2の方法では、ガラスシート12は、最初にチャック上で冷間成形される。ディスプレイ28は、冷間曲げされ、第1の接着剤24および第2の接着剤26を使用してガラスシート12に結合される。その後、フレーム14は、第3の接着剤30を使用してガラスシート12に結合され、バックライトユニットは、ディスプレイ28に取り付けられ、硬化後、完成した湾曲したディスプレイアセンブリ10は、チャックから取り外される。
【0042】
第3の方法によれば、ガラスシート12は、熱間成形技術を使用して恒久的に曲げられる。ディスプレイ28は、ガラスシート12上で冷間曲げされ、第1の接着剤24および第2の接着剤26を使用してガラスシート12に結合される。次に、フレーム14は、第3の接着剤30を使用してガラスシート12に結合され、バックライトユニットはディスプレイ28に取り付けられ、硬化後、完成した湾曲したディスプレイアセンブリ10はチャックから取り外される。
【0043】
様々な実施形態では、ガラスシート12は、強化ガラスシート(例えば、熱強化ガラス材料、化学強化ガラスシートなど)から形成される。そのような実施形態では、ガラスシート12が強化ガラス材料から形成される場合、第1の主面18と第2の主面20とは圧縮応力下にあり、ひいては第2の主面20は、破壊するリスクを冒さずに凸形状に曲げる際に、より大きな引張応力を受けることができる。これにより、強化ガラスシート12をより緊密に湾曲面に適合させることができる。
【0044】
冷間成形されたガラスシート12の特徴は、ガラスシート12が湾曲した形状に曲げられると、第1の主面18と第2の主面20との間で非対称表面が圧縮されることである。そのような実施形態では、冷間成形プロセスの前または冷間成形される前に、ガラスシート12の第1の主面18および第2の主面20における各々の圧縮応力は実質的に等しい。冷間成形後、凹状の第1の主面18の圧縮応力が増加し、第1の主面18の圧縮応力は、冷間成形前よりも冷間成形後の方が大きくなる。対照的に、凸状の第2の主面20は、曲げ中に引張応力を受け、第2の主面20の表面圧縮応力の正味の減少を引き起こし、その結果、曲げ後の第2の主面20の圧縮応力が、ガラスシートが平坦であるときの第2の主面20の圧縮応力よりも小さくなる。
【0045】
上記のように、高価な加熱ステップおよび/または遅い加熱ステップを排除するなどの処理上の利点を提供することに加えて、本明細書に記載の冷間成形プロセスは、特に乗物室内またはディスプレイカバーガラス用途において、熱間成形ガラス物品よりも優れた様々な特性を備えた湾曲したディスプレイアセンブリを生成すると考えられている。例えば、本出願人は、少なくとも幾つかのガラス材料について、熱間成形プロセス中の加熱が湾曲したガラスシートの光学特性を低下させると考えており、ひいては、本明細書に記載の冷間曲げプロセス/システムを利用して形成される湾曲したガラスシートは、熱間曲げプロセスでは達成できないと考えられる改善した光学品質と共に、湾曲したガラス形状の両方を提供する。
【0046】
さらに、多くのガラス表面処理(例えば、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング、防汚コーティングなど)が、湾曲したガラス物品のコーティングには典型的には適さないスパッタリングプロセスなどの堆積プロセスを介して適用される。加えて、多くの表面処理(例えば、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング、防汚コーティングなど)はまた、熱間曲げプロセスに関連する高温に耐えることができない。したがって、本明細書に記載の特定の実施形態では、冷間曲げの前に、1つ以上の表面処理がガラスシート12の第1の主面18および/または第2の主面20に適用され、表面処理部を含むガラスシート12は、本明細書に記載の湾曲した形状に曲げられる。したがって、本出願人は、本明細書に記載のプロセスおよびシステムは、典型的な熱間成形プロセスとは対照的に、1つ以上のコーティング材料がガラスに適用された後にガラスを曲げることができると考える。
【0047】
図10を参照すると、ガラスシート12の付加的な構造の詳細が示され、説明されている。上記のように、ガラスシート12は、実質的に一定であって、第1の主面18と第2の主面20との間の距離として定義される厚さT1を有する。様々な実施形態では、T1は、ガラスシートの平均厚さまたは最大厚さを指してよい。加えて、ガラスシート12は、厚さT1に対して直交する第1の主面18または第2の主面20の一方の第1の最大寸法として定義される幅W1と、厚さおよび幅の両方に対して直交する第1の主面18または第2の主面20の一方の第2の最大寸法として定義される長さL1とを含んでいる。他の実施形態では、W1およびL1はそれぞれ、ガラスシート12の平均幅および平均長さであってよい。
【0048】
様々な実施形態では、厚さT1は2mm以下であり、具体的には0.3mm~1.5mmである。例えば、厚さT1は、約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.25mm~約1.5mm、約0.3mm~約1.5mm、約0.35mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.45mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、または約0.3mm~約0.7mmの範囲にあってよい。他の実施形態では、T1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0049】
様々な実施形態では、幅W1は、5cm~250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cm、または約5cm~約75cmの範囲にある。他の実施形態では、W1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0050】
様々な実施形態では、長さL1は、約5cm~約1500cm、約50cm~約1500cm、約100cm~約1500cm、約150cm~約1500cm、約200cm~約1500cm、約250cm~約1500cm、約300cm~約1500cm、約350cm~約1500cm、約400cm~約1500cm、約450cm~約1500cm、約500cm~約1500cm、約550cm~約1500cm、約600cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約700cm~約1500cm、約750cm~約1500cm、約800cm~約1500cm、約850cm~約1500cm、約900cm~約1500cm、約950cm~約1500cm、約1000cm~約1500cm、約1050cm~約1500cm、約1100cm~約1500cm、約1150cm~約1500cm、約1200cm~約1500cm、約1250cm~約1500cm、約1300cm~約1500cm、約1350cm~約1500cm、約1400cm~約1500cm、または約1450cm~約1500cmの範囲にある。他の実施形態では、L1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0051】
様々な実施形態では、ガラスシート12の1つ以上の曲率半径(例えば、図2に示されるR1)は、約30mm以上である。例えば、R1は、約30mm~約5000mm、約50mm~約5000mm、約70mm~約5000mm、約90mm~約5000mm、約110mm~約5000mm、約150mm~約5000mm、約200mm~約5000mm、約250mm~約5000mm、約300mm~約5000mm、約350mm~約5000mm、約400mm~約5000mm、約450mm~約5000mm、約500mm~約5000mm、約550mm~約5000mm、約600mm~約5000mm、約650mm~約5000mm、約700mm~約5000mm、約750mm~約5000mm、約800mm~約5000mm、約850mm~約5000mm、約900mm~約5000mm、約950mm~約5000mm、約1000mm~約5000mm、約1500mm~約5000mm、約2000mm~約5000mm、約2500mm~約5000mm、約3000mm~約5000mm、約3500mm~約5000mm、約4000mm~約5000mm、約4500mm~約5000mm、約30mm~約4500mm、約30mm~約4000mm、約30mm~約3500mm、約30mm~約3000mm、約30mm~約2500mm、約30mm~約2000mm、約30mm~約1500mm、約30mm~約1000mm、約30mm~約950mm、約30mm~約900mm、約30mm~約850mm、約30mm~約800mm、約30mm~約750mm、約30mm~約700mm、約30mm~約650mm、約30mm~約600mm、約30mm~約550mm、約30mm~約500mm、約30mm~約450mm、または約30mm~約400mmの範囲にあってよい。他の実施形態では、R1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0052】
乗物室内システムの様々な実施形態は、乗物、例えば、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)、海上船舶(ボート、船、潜水艦など)、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)などに組み込むことができる。
【0053】
強化ガラスの特性
上記のように、ガラスシート12は強化されていてよい。1つ以上の実施形態では、ガラスシート12は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮応力を含むように強化されていてよい。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によって均衡がとられている。DOCでは、応力は正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に交差する。
【0054】
様々な実施形態では、ガラスシート12は、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用することによって、圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域とを作製し、機械的に強化することができる。幾つかの実施形態では、ガラス転移点を超える温度までガラスを加熱し、次に急速に急冷することによって、ガラスシートを熱的に強化することができる。
【0055】
様々な実施形態では、ガラスシート12は、イオン交換によって化学的に強化することができる。イオン交換プロセスでは、ガラスシートの表面または表面付近のイオンが、同一の原子価または酸化状態を有する、より大きなイオンに置換される(または交換される)。ガラスシートがアルカリアルミノケイ酸ガラスを含むこれらの実施形態では、物品の表層のイオンおよびより大きなイオンは、Li、Na、K、Rb、およびCsなどの一価のアルカリ金属カチオンである。代替的に、表層の一価のカチオンは、Agなどのアルカリ金属カチオン以外の一価のカチオンで置換することができる。そのような実施形態では、ガラスシート内で交換された一価のイオン(またはカチオン)により、応力が発生する。
【0056】
イオン交換プロセスは、典型的に、ガラスシート内のより小さなイオンと交換されるより大きなイオンを含む溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)にガラスシートを浸漬することによって実施される。水性塩浴も利用できることに留意されたい。加えて、浴の組成は、1種よりも多くのより大きなイオン(例えば、NaおよびK)または1種のより大きなイオンを含んでよい。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または複数の塩浴)中へのガラスシートの浸漬回数、複数の塩浴の使用、付加的な工程、例えば、焼鈍、洗浄などを含むがこれらに限定されないイオン交換プロセスのためのパラメータは、一般にガラスシートの組成(物品の構造および任意の存在する結晶相を含む)ならびに強化により生じるガラスシートの所望のDOCおよびCSにより決定されることを当業者は理解されたい。例示的な溶融浴組成物は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物を含んでよい。典型的な硝酸塩は、KNO、NaNO、LiNO、NaSOおよびそれらの組み合わせを含む。溶融塩浴の温度は、典型的に、約380℃~最高約450℃の範囲にあり、一方、浸漬時間は、ガラスシートの厚さ、浴温度、およびガラス(または一価のイオン)の拡散率に応じて、約15分~最長約100時間の範囲にある。しかしながら、上記とは異なる温度や浸漬時間も使用することができる。
【0057】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、約370℃~約480℃の温度を有する、100%のNaNO、100%のKNO、またはNaNOとKNOとの組み合わせの溶融塩浴に浸漬させることができる。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、約5%~約90%のKNOおよび約10%~約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴に浸漬させることができる。1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、第1の浴に浸漬させた後、第2の浴に浸漬させることができる。第1の浴および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有してよい。第1の浴への浸漬時間および第2の浴への浸漬時間は変化させることができる。例えば、第1の浴への浸漬は、第2の浴への浸漬よりも長くすることができる。
【0058】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、約420℃未満(例えば、約400℃または約380℃)の温度を有するNaNOおよびKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に約5時間未満、さらには約4時間以内で浸漬されてよい。
【0059】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するように、または得られるガラスシートの表面または表面付近で応力プロファイルの勾配を増加させるように調整することができる。スパイクにより、より大きな表面のCS値をもたらすことができる。このスパイクは、本明細書に記載のガラスシートに使用されるガラス組成物の固有の特性のために、単一の組成または混合組成を有する浴を私用して、単一の浴または複数の浴によって実現することができる。
【0060】
1つよりも多くの一価のイオンがガラスシート内で交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価のイオンは、ガラスシート内の異なる深さに交換する(かつ異なる深さでガラスシート内に異なる大きさの応力が発生する)ことができる。得られた応力発生イオンの相対的な深さを決定することができ、応力プロファイルの異なる特性を引き起こすことができる。
【0061】
CSは、当技術分野において公知の手段を使用して、例えば、市販の機器、例えばOrihara Industrial Co., Ltd.(日本)製のFSM-6000などの表面応力計(FSM)などにより測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存している。次に、SOCを、当技術分野で公知の方法、例えば、ASTM規格C770-98(2013)「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」に記載されている、その内容が参照により全体として本書に組み込まれる繊維および4点曲げ法、ならびにバルクシリンダ法によって測定される。本明細書で使用される場合、CSは、圧縮応力層内で測定される最高圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力はガラスシートの表面に位置する。他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面より下の深さで発生し、圧縮プロファイルに「埋め込みピーク」の外観を付与する場合がある。
【0062】
DOCは、強化方法と条件とに応じて、FSMまたは散乱光偏光器(SCALP)(エストニアのタリンに位置するGlasstress Ltd.から入手可能なSCALP-04散乱光偏光器など)によって測定することができる。ガラスシートがイオン交換処理によって化学的に強化される場合、ガラスシート内で交換されるイオンに応じて、FSMまたはSCALPを使用することができる。ガラスシート内でカリウムイオンを交換することによってガラスシートの応力が発生する場合、FSMを使用してDOCを測定する。ガラスシート内でナトリウムイオンを交換することで応力が発生する場合は、SCALPを使用してDOCを測定する。カリウムイオンとナトリウムイオンとの両方をガラス内で交換することによってガラスシートの応力が発生する場合、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さが圧縮応力の大きさの変化を示す(ただし圧縮から引張への応力の変化ではない)と考えられるため、DOCはSCALPによって測定される。そのようなガラスシートのカリウムイオンの交換深さはFSMによって測定されている。中心張力またはCTは最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、(本明細書に記載されるように)ガラスシートの厚さT1の百分率として記載されるDOCを示すように強化することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.05T1以上、約0.1T1以上、約0.11T1以上、約0.12T1以上、約0.13T1以上、約0.14T1以上、約0.15T1以上、約0.16T1以上、約0.17T1以上、約0.18T1以上、約0.19T1以上、約0.2T1以上、約0.21T1以上であってよい。幾つかの実施形態では、DOCは、約0.08T1~約0.25T1、約0.09T1~約0.25T1、約0.18T1~約0.25T1、約0.11T1~約0.25T1、約0.12T1~約0.25T1、約0.13T1~約0.25T1、約0.14T1~約0.25T1、約0.15T1~約0.25T1、約0.08T1~約0.24T1、約0.08T1~約0.23T1、約0.08T1~約0.22T1、約0.08T1~約0.21T1、約0.08T1~約0.2T1、約0.08T1~約0.19T1、約0.08T1~約0.18T1、約0.08T1~約0.17T1、約0.08T1~約0.16T1、または約0.08T1~約0.15T1の範囲にあってよい。場合によっては、DOCは約20μm以下であってよい。1つ以上の実施形態では、DOCは、約40μm以上であってよく、例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μm、または約40μm~約100μmであってよい。他の実施形態では、DOCは、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、強化ガラスシートは、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上、または約1050MPa以上のCS(これは表面またはガラスシート内の深さで見い出すことができる)を有してよい。
【0065】
1つ以上の実施形態では、強化ガラスシートは、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上、または約85MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有していてもよい。幾つかの実施形態では、最大引張応力または中心張力(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲にあってよい。他の実施形態では、CSは、この段落に記載されている正確な数値範囲内に含まれる。
【0066】
ガラス組成物
ガラスシート12で使用するのに適したガラス組成物は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、およびアルカリ含有ホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0067】
特に明記しない限り、本明細書で開示されたガラス組成物は、酸化物ベースで分析されるモルパーセント(モル%)で記載されている。
【0068】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%、または約65モル%~約70モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、SiOを含むことができる。
【0069】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%超、または約5モル%超の量で、Alを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約7モル%超~約15モル%、約7モル%超~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%、または約12モル%~約15モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、ALを含むことができる。1つ以上の実施形態では、Alの上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%、または14.8モル%であってよい。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノケイ酸ガラス物品として、またはアルミノケイ酸ガラス組成物を含むものとして説明される。そのような実施形態では、ガラス組成物、またはそれから形成される物品は、SiOとAlとを含み、ソーダ石灰ケイ酸ガラスではない。これに関して、ガラス組成物またはそれから形成される物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAlを含む。
【0071】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、B(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、Bを含むことができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物Bは実質的に含まない。
【0072】
本明細書で使用される場合、組成物の成分に関して「実質的に含まない」という表現は、この成分が最初のバッチ処理中に組成物に能動的または意図的に添加されないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在する場合があることを意味する。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、任意選択で、P(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、または0.5モル%以下のゼロではない量のPを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はPを実質的に含まない。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上の総量のRO(LiO、NaO、KO、RbO、およびCsOなどのアルカリ金属酸化物の総量である)を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%、または11モル%~約13モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、ROを含むことができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、RbO、CsO、またはRbOおよびCsOの両方を実質的に含まなくてよい。1つ以上の実施形態では、ROは、LiO、NaOおよびKOのみの総量を含んでよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiO、NaOおよびKOから選択される少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含んでよく、アルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在する。
【0075】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上の量で、NaOを含む。1つ以上の実施形態では、組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%、または11モル%~約16モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、NaOを含むことができる。
【0076】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%未満のKO、約3モル%未満のKO、または約1モル%未満のKOを含む。場合によっては、ガラス組成物は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%、または約0.5モル%~約1モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、KOを含むことができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、KOを実質的に含まなくてよい。
【0077】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はLiOを実質的に含まない。
【0078】
1つ以上の実施形態では、組成物中のNaOの量は、LiOの量よりも多くてよい。場合によっては、NaOの量は、LiOとKOとの合計量よりも多くてよい。1つ以上の代替的な実施形態では、組成物中のLiOの量は、NaOの量またはNaOとKOとの合計量よりも多くてよい。
【0079】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約2モル%の範囲の総量で、RO(これは、CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量である)を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約2モル%までのゼロではない量のROを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、ROを含む。
【0080】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約1モル%未満、約0.8モル%未満、または約0.5モル%未満の量のCaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はCaOを実質的に含まない。
【0081】
幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%、または約3モル%~約6モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、MgOを含む。
【0082】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%以下、約0.16モル%以下、約0.15モル%以下、約0.14モル%以下、約0.12モル%以下の量でZrOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%、または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、ZrOを含む。
【0083】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%以下、約0.16モル%以下、約0.15モル%以下、約0.14モル%以下、約0.12モル%以下の量でSnOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%、または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、SnOを含む。
【0084】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品に色または色合いを付与する酸化物を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝されたときにガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含む。このような酸化物の例は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、およびMoの酸化物を含むが、これらに限定されない。
【0085】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Feとして表されるFeを含み、Feは、約1モル%まで(およびそれを含む)の量で存在する。幾つかの実施形態では、ガラス組成物はFeを実質的に含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%以下、約0.16モル%以下、約0.15モル%以下、約0.14モル%以下、約0.12モル%以下の量でFeを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%、または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、Feを含む。
【0086】
ガラス組成物がTiOを含む場合、TiOは、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、または約1モル%以下の量で存在してよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、TiOを実質的に含まなくてよい。
【0087】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNaO、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のKO、および約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOを含んでいる。任意選択で、SnOは、本明細書に別途開示された量で含まれてよい。前述のガラス組成の段落はおおよその範囲を表すが、他の実施形態では、ガラスシート12は、上記の正確な数値範囲のいずれか1つに該当する任意のガラス組成物から作製することができることを理解されたい。
【0088】
本開示の態様(1)は、湾曲したディスプレイアセンブリであって、第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有するガラスシートであって、第1の主面と第2の主面との間で測定された第1の厚さを有し、第2の主面は、ガラスシートの第1の曲率半径を規定しており、第1の曲率半径は、曲げ軸線を有する、ガラスシートと、第1のディスプレイ表面と第2のディスプレイ表面との間に第2の厚さを有する湾曲したディスプレイであって、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合いかつ曲げ軸線に対して平行である2つの張出し縁部とを備える湾曲したディスプレイと、湾曲したディスプレイの第2のディスプレイ表面をディスプレイ領域内のガラスシートの第2の主面に結合する第1の接着剤と、2つの張出し縁部の各々をガラスシートの第2の主面に結合する第2の接着剤であって、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する第2の接着剤とを備え、張出し縁部はそれぞれ、ディスプレイ領域の外側に、湾曲したディスプレイの第2の厚さの少なくとも3倍である距離にわたって延在している、湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0089】
本開示の態様(2)は、湾曲したディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、量子ドットLED(QLED)ディスプレイ、またはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つである、態様(1)記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0090】
本開示の態様(3)は、第2のディスプレイ表面に配置されたバックライトをさらに備え、これにより、湾曲したディスプレイは、バックライトとガラスシートとの間に配置されている、態様(1)または態様(2)記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0091】
本開示の態様(4)は、フレームをさらに備え、フレームは、湾曲したディスプレイの周りのガラスシートの第2の主面に結合されている、態様(1)ないし(3)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0092】
本開示の態様(5)は、湾曲したディスプレイは、第1のディスプレイ表面を規定する第1の偏光子と、第1の偏光子上に配置された薄膜トランジスタ(TFT)基板と、TFT基板上に配置された液晶層と、液晶層上に配置されたカラーフィルタ(CF)基板と、CF基板上に配置された第2の偏光子であって、第2のディスプレイ表面を規定する第2の偏光子とを備えるLCDである、態様(1)ないし(4)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0093】
本開示の態様(6)は、TFT基板は、2つの張出し縁部を備える、態様(5)記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0094】
本開示の態様(7)は、TFT基板とCF基板とはそれぞれ、ガラス材料を含む、態様(5)または態様(6)記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0095】
本開示の態様(8)は、第2の接着剤の弾性率は、少なくとも0.5MPaである、態様(1)ないし(7)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0096】
本開示の態様(9)は、第1の接着剤の弾性率は、10kPa~100kPaである、態様(1)ないし(8)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0097】
本開示の態様(10)は、ディスプレイ領域は、1×10-4以下の光漏れ率を有する、態様(1)ないし(9)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0098】
本開示の態様(11)は、ガラスシートは、ソーダ石灰ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはアルカリアルミノケイ酸ガラスのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)ないし(10)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0099】
本開示の態様(12)は、ガラスシートは、第1の主面と第2の主面との間の最大2mmである厚さを有する、態様(1)ないし(11)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0100】
本開示の態様(13)は、第1の曲率半径は、30mm~5mである、態様(1)ないし(12)のいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリに関する。
【0101】
本開示の態様(14)は、乗物室内システムであって、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリを備え、乗物室内システムは、センタコンソール、インストルメントパネル、またはダッシュボードのうちの少なくとも1つである、乗物室内システムに関する。
【0102】
本開示の態様(15)は、態様(14)記載の乗物室内システムを備える乗物に関する。
【0103】
本開示の態様(16)は、乗物は、自動車、航空機、船舶、または列車である、態様(15)記載の乗物に関する。
【0104】
本開示の態様(17)は、湾曲したガラス物品を形成する方法であって、第1の主面と、第1の主面と反対側にある第2の主面とを備えるガラスシートを提供するステップと、ガラスシートの第2の主面にディスプレイを結合するステップであって、ディスプレイは、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合う2つの張出し縁部とを備え、ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、第2の接着剤は、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する、結合するステップと、ガラスシートおよびディスプレイをガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度で曲げて、ガラスシートおよびディスプレイに曲げ軸線を有する曲率を形成するステップとを含み、2つの張出し縁部は、曲げ軸線に対して平行であり、2つの張出し縁部の各々は、ディスプレイ領域を越えて、少なくともディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している、方法に関する。
【0105】
本開示の態様(18)は、湾曲したガラス物品を形成する方法であって、第1の主面と、第1の主面と反対側にあり、曲げ軸線を有する曲率を規定する第2の主面とを備える湾曲したガラスシートを提供するステップと、ガラスシートの曲率を超えてディスプレイを曲げるステップであって、ディスプレイは、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域に隣り合いかつ曲げ軸線に対して平行な2つの張出し縁部とを備える、曲げるステップと、ガラスシートの第2の主面にディスプレイを結合するステップであって、ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用してガラスシートの第2の主面に結合され、第2の接着剤は、第1の接着剤よりも高い弾性率を有する、結合するステップとを含み、2つの張出し縁部の各々は、ディスプレイ領域を越えて、少なくともディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している、方法に関する。
【0106】
本開示の態様(19)は、湾曲したガラスシートを提供するステップは、平坦なガラスシートに恒久的な曲率を導入するために、平坦なガラスシートを熱間成形するステップを含む、態様(18)記載の方法に関する。
【0107】
本開示の態様(20)は、湾曲したガラスシートを提供するステップは、平坦なガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度にてチャック上で平坦なガラスシートを曲げることによって、平坦なガラスシートを冷間成形するステップを含む、態様(18)記載の方法に関する。
【0108】
特に明記されていない限り、本明細書に記載されている任意の方法は、その工程が特定の順序で実施されることを要求すると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法クレームが実際にその工程に従うべき順序を記載していない場合、または工程が特定の順序に限定されることが特許請求の範囲または説明において他に明確に記載されていない場合、特定の順序を推論することは決して意図されていない。加えて、本明細書で使用される場合、「a」という冠詞は、1つまたは1つよりも多い構成要素または要素を含むことを意図しており、1つのみを意味すると解釈されることを意図していない。
【0109】
開示された実施形態の趣旨または範囲から逸脱することなく、様々な変更および変形を行うことができることは、当業者には明らかである。実施形態の趣旨および要旨を包含する開示された実施形態の変更、組み合わせ、部分的な組み合わせおよび変形は、当業者であれば想起することができるので、開示された実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0110】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0111】
実施形態1
湾曲したディスプレイアセンブリであって、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有するガラスシートであって、前記第1の主面と前記第2の主面との間で測定された第1の厚さを有し、前記第2の主面は、前記ガラスシートの第1の曲率半径を規定しており、前記第1の曲率半径は、曲げ軸線を有する、ガラスシートと、
第1のディスプレイ表面と第2のディスプレイ表面との間に第2の厚さを有する湾曲したディスプレイであって、ディスプレイ領域と、前記ディスプレイ領域に隣り合いかつ前記曲げ軸線に対して平行である2つの張出し縁部とを備える湾曲したディスプレイと、
前記湾曲したディスプレイの前記第2のディスプレイ表面を前記ディスプレイ領域内の前記ガラスシートの前記第2の主面に結合する第1の接着剤と、
前記2つの張出し縁部の各々を前記ガラスシートの前記第2の主面に結合する第2の接着剤であって、前記第1の接着剤よりも高い弾性率を有する第2の接着剤と
を備え、
前記張出し縁部はそれぞれ、前記ディスプレイ領域の外側に、前記湾曲したディスプレイの前記第2の厚さの少なくとも3倍である距離にわたって延在している、
湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0112】
実施形態2
前記湾曲したディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、量子ドットLED(QLED)ディスプレイ、またはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つである、実施形態1記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0113】
実施形態3
前記第2のディスプレイ表面に配置されたバックライトをさらに備え、これにより、前記湾曲したディスプレイは、前記バックライトと前記ガラスシートとの間に配置されている、実施形態1または2記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0114】
実施形態4
フレームをさらに備え、前記フレームは、前記湾曲したディスプレイの周りの前記ガラスシートの前記第2の主面に結合されている、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0115】
実施形態5
前記湾曲したディスプレイは、前記第1のディスプレイ表面を規定する第1の偏光子と、前記第1の偏光子上に配置された薄膜トランジスタ(TFT)基板と、前記TFT基板上に配置された液晶層と、前記液晶層上に配置されたカラーフィルタ(CF)基板と、前記CF基板上に配置された第2の偏光子であって、前記第2のディスプレイ表面を規定する第2の偏光子とを備えるLCDである、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0116】
実施形態6
前記TFT基板は、前記2つの張出し縁部を備える、実施形態5記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0117】
実施形態7
前記TFT基板と前記CF基板とはそれぞれ、ガラス材料を含む、実施形態5または6記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0118】
実施形態8
前記第2の接着剤の前記弾性率は、少なくとも0.5MPaである、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0119】
実施形態9
前記第1の接着剤の前記弾性率は、10kPa~100kPaである、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0120】
実施形態10
前記ディスプレイ領域は、1×10-4以下の光漏れ率を有する、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0121】
実施形態11
前記ガラスシートは、ソーダ石灰ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはアルカリアルミノケイ酸ガラスのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0122】
実施形態12
前記ガラスシートは、前記第1の主面と前記第2の主面との間の最大2mmである厚さを有する、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0123】
実施形態13
前記第1の曲率半径は、30mm~5mである、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリ。
【0124】
実施形態14
乗物室内システムであって、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の湾曲したディスプレイアセンブリを備え、前記乗物室内システムは、センタコンソール、インストルメントパネル、またはダッシュボードのうちの少なくとも1つである、乗物室内システム。
【0125】
実施形態15
実施形態14記載の乗物室内システムを備える乗物。
【0126】
実施形態16
前記乗物は、自動車、航空機、船舶、または列車である、実施形態15記載の乗物。
【0127】
実施形態17
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側にある第2の主面とを備えるガラスシートを提供するステップと、
前記ガラスシートの前記第2の主面にディスプレイを結合するステップであって、前記ディスプレイは、ディスプレイ領域と、前記ディスプレイ領域に隣り合う2つの張出し縁部とを備え、前記ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記第2の接着剤は、前記第1の接着剤よりも高い弾性率を有する、結合するステップと、
前記ガラスシートおよびディスプレイを前記ガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度で曲げて、前記ガラスシートおよびディスプレイに曲げ軸線を有する曲率を形成するステップと
を含み、
前記2つの張出し縁部は、前記曲げ軸線に対して平行であり、
前記2つの張出し縁部の各々は、前記ディスプレイ領域を越えて、少なくとも前記ディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している、
方法。
【0128】
実施形態18
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、
第1の主面と、前記第1の主面と反対側にあり、曲げ軸線を有する曲率を規定する第2の主面とを備える湾曲したガラスシートを提供するステップと、
前記ガラスシートの前記曲率を超えてディスプレイを曲げるステップであって、前記ディスプレイは、ディスプレイ領域と、前記ディスプレイ領域に隣り合いかつ前記曲げ軸線に対して平行な2つの張出し縁部とを備える、曲げるステップと、
前記ガラスシートの前記第2の主面に前記ディスプレイを結合するステップであって、前記ディスプレイ領域は、第1の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記2つの張出し縁部は、第2の接着剤を使用して前記ガラスシートの前記第2の主面に結合され、前記第2の接着剤は、前記第1の接着剤よりも高い弾性率を有する、結合するステップと
を含み、
前記2つの張出し縁部の各々は、前記ディスプレイ領域を越えて、少なくとも前記ディスプレイの厚さの3倍である距離にわたって延在している、
方法。
【0129】
実施形態19
前記湾曲したガラスシートを提供するステップは、平坦なガラスシートに恒久的な曲率を導入するために、前記平坦なガラスシートを熱間成形するステップを含む、実施形態18記載の方法。
【0130】
実施形態20
前記湾曲したガラスシートを提供するステップは、平坦なガラスシートのガラス転移温度よりも低い温度にてチャック上で前記平坦なガラスシートを曲げることによって、前記平坦なガラスシートを冷間成形するステップを含む、実施形態18記載の方法。
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図10