(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】鉱物ウールの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 1/00 20060101AFI20241114BHJP
C03C 13/06 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C03C1/00
C03C13/06
(21)【出願番号】P 2022535503
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 FR2020052366
(87)【国際公開番号】W WO2021116609
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-09
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア フランチェスコ ジョイア
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-524447(JP,A)
【文献】国際公開第99/028251(WO,A1)
【文献】特表2018-531204(JP,A)
【文献】特開昭47-035324(JP,A)
【文献】特表2002-526364(JP,A)
【文献】特表2003-527287(JP,A)
【文献】特表2016-501822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 - 14/00
C03B 37/00 - 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物の質量%として表したときに
SiO
2 30~50%
Al
2O
3 15~35%
CaO 5~25%
MgO 1~25%
Fe
2O
3 2~15%
Na
2O+K
2O>10%
を含む化学組成を有する鉱物ウールの製造方法であって、
前記方法が、
-原材料の混合物を提供すること;
-前記原材料の混合物を溶融させて溶融した材料を得ること;
-溶融した材料を繊維化すること
を含み、
前記原材料の混合物が、粉の形態であり、かつ、酸化物の質量によって表したときに少なくとも3%のマグネシウムを含む少なくとも8.5質量%のリサイクル原材料を含むこと、前記リサイクル原材料が、実質的にカーボネートを含まないこと、及び前記原材料の混合物がドロマイトとマグネシアを含まないことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記鉱物ウールの化学組成が、0.1質量%未満のハロゲンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リサイクル原材料が、0.9質量%未満、好ましくは0.6質量%未満のハロゲンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リサイクル原材料がフッ素を含まないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記リサイクル原材料が、最大で2質量%のアルミニウム金属を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記リサイクル原材料が、酸化物の質量によって表したときに
Al
2O
3 50~80%;
SiO
2 2~25%;
MgO 3~20%;
Fe
2O
3 0.5~10%
を含む化学組成を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リサイクル原材料が、そのAl
2O
3/MgO質量比が8を超える、酸化物の質量によって表される化学組成を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原材料の混合物が、ブリケットを含まないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記原材料の混合物が、少なくとも1質量%のボーキサイトを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記原材料の混合物を、燃料燃焼炉、特に浸漬燃焼炉において、及び/又は電気融解によって溶融させることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維化が、内部遠心によって実施されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工鉱物繊維の分野に関する。それは、より詳しくは、特に断熱及び/又は防音製品の製造を意図した鉱物ウールの製造方法を対象とする。
【0002】
鉱物ウールは、従来、融解炉において原材料の混合物を溶融させ、そのようにして得られた溶融した材料を、続いて鉱物ウールが形成される繊維化デバイスへデカントすることによって、得られる。通常天然の原材料が選択され、それらの比率は、鉱物ウールの望ましい目標化学組成に基づいて適合される。酸化マグネシウムは、それらに一定の特性を与えるか、前記鉱物ウールの加工性を改善する目的で、鉱物ウールの組成の一部である場合がある。ドロマイト及びマグネシアは、鉱物ウールの製造において用いられる主なマグネシウムキャリアである。しかしながら、これらの原材料には一定の欠点がある。実際に、それらは、原材料の混合物の融解中に爆発的な破砕、すなわち「デクレピテーション」の現象を引き起こすことがある。これは、炉の上部にデクレピテーションデブリ及びダストで形成された層の形成をもたらし、それは、炉の動作、及び溶融した材料の浴の品質の両方に有害である場合がある。さらに、その化学組成のために、これらの原材料は、原材料の混合物の溶融中のCO2の放出に大きく寄与する。
【0003】
本発明の目的は、良好な加工性、溶融浴の品質の維持(実際には改善でさえある)、及び鉱物ウールの特性、特に高温への耐性の観点による特性を保証し、かつ、環境への影響を低減しつつ、酸化マグネシウムを含む鉱物ウールを製造する経済的方法を提案することにより、前述の欠点を克服することである。
【0004】
したがって、本発明の第一の側面は、酸化物の質量%として表したときに
SiO2 30~50%
Al2O3 15~35%
CaO 5~25%
MgO 1~25%
Fe2O3 2~15%
Na2O+K2O>10%
を含む化学組成を有する鉱物ウールの製造方法であって、
前記方法が、
-原材料の混合物を提供すること;
-前記原材料の混合物を溶融させて溶融した材料を得ること;
-溶融した材料を繊維化すること
を含み、
原材料の混合物が、酸化物の質量によって表したときに少なくとも3.5%のマグネシウムを含む少なくとも8.5質量%のリサイクル原材料を含み、前記リサイクル原材料が、実質的にカーボネートを含まないこと、及び原材料の混合物がドロマイトとマグネシアを含まないことを特徴とする、方法に関する。
【0005】
本発明による方法は、鉱物ウールの製造に関し、その化学組成は、高いガラス転移温度に関連して、高い液相線温度及び繊維化温度での高い流動性をもたらす。
【0006】
シリカ(SiO2)含有量は、30~50%、好ましくは35~48%、さらには37~45%の範囲内である。
【0007】
アルミナ(Al2O3)含有量は、15~35%、好ましくは18~30%、さらには20%~28%の範囲内である。
【0008】
石灰(CaO)含有量は、5~25%、好ましくは7~20%、さらには8%~18%の範囲内である。
【0009】
マグネシア(MgO)含有量は、1~25%、好ましくは1~15%、さらには1~10%の範囲内である。
【0010】
鉱物ウールは、通常CaO及びMgO以外のアルカリ土類金属酸化物を含まない。それにもかかわらず、それは、最大で2%、さらには、最大で1%、最大で0.20%、又は最大で0.1%の範囲であることができる含有量で、少量のBaO又はSrOを含有することができ、これらの酸化物は、一定の原材料中に不純物として存在する可能性がある。
【0011】
アルカリ金属酸化物(R2O)、特に酸化ナトリウム(Na2O)及び酸化カリウム(K2O)の合計含有量は、10%超、好ましくは10.2~20%、さらには10.5~15%である。Na2O含有量は、典型的には、4~20%、好ましくは5~15%、さらには6~13%の範囲内である。K2O含有量は、その部分について、典型的には最大で20%、好ましくは1~15%、さらには2~10である。鉱物ウールは、好ましくはNa2O及びK2O以外にいかなるアルカリ金属酸化物も含まない。それにもかかわらず、それは、最大で0.5%、さらには、最大で0.2%、又は最大で0.1%の範囲であることができる含有量で少量のLi2O(一定の原材料中に不純物として時々存在する)を含有することができる。
【0012】
酸化鉄含有量(F2O3の形で表された合計の鉄)は、2~15%、好ましくは2~12%、さらには2.5~10%の範囲内である。
【0013】
SiO2、Al2O3、CaO、MgO、R2O及びFe2O3の含有量の合計は、好ましくは、鉱物繊維の組成の少なくとも95質量%、特に、少なくとも97質量%、さらには少なくとも98質量%である。
【0014】
鉱物ウールの化学組成は、P2O5をさらに含有することができ、特に、その含有量は最大で3%、さらには最大で1.2%の範囲であることができる。しかしながら、それは、好ましくはP2O5を含まない。
【0015】
鉱物ウールの組成は、特に不可避不純物として存在する他の元素をさらに含むことができる。それは、最大で3%、特に0.1~2.0%、さらには1.0%の範囲内の含有量で酸化チタン(TiO2)及びジルコニア(ZrO2)を含むことができる。
【0016】
鉱物ウールの化学組成は、典型的には0.1質量%未満のハロゲン、特にフッ素を含む。
【0017】
上記の種々の好ましい範囲を自由に互いに組み合わせることができることは明白であり、簡明のためにすべての異なる組み合わせを示すことは不可能である。
【0018】
その組成に起因して、鉱物ウールは、吸入による人体における極端に微細な繊維の潜在的な蓄積に関連した任意の潜在的な病原性のリスクを防止するという観点で、生体溶解性であること、言いかえれば、生理的媒体に急速に溶解する能力を有すること、及び非常に高い温度に対する良好な耐性を有することの両方の利点を有することができる。構造要素の耐火性は、要素がその構造機能を保持し、難燃性を保証し、その断熱の役割を保持する期間に対応する。一般に標準火災試験は、セルロース火災の温度の曲線に基づいた、標準ISO 834にしたがった温度の上昇からなる。
【0019】
従来、上に記載されているような鉱物ウール組成は、原材料の混合物を調製し、溶融することにより得られる。本発明による方法は、酸化物の質量によって表したときに少なくとも3.5%、好ましくは少なくとも4%、さらには少なくとも5%のマグネシウムを含む少なくとも8.5質量%のリサイクル原材料を含む原材料の混合物を提供する工程を含む。係る原材料の使用は、ドロマイト及びマグネシアをなしで済ますことを可能にし、より良好な溶融品質を可能にする。他の原材料は、石灰石、フォノライト、霞石閃長岩、長石、玄武岩、炭酸ナトリウム、酸化鉄などの、鉱物ウールの製造において従来用いられている原材料から選択することができる。原材料の混合物におけるそのそれぞれの比率は、その化学組成及び得ようとする鉱物ウールの目標化学組成に基づいて当業者によって決定される。特に、原材料の混合物は、アルミニウムキャリアとして、好ましくは少なくとも1質量%、より優先的には少なくとも2質量%、又はさらには少なくとも3質量%のボーキサイトを含む。
【0020】
リサイクル原材料は、アルミニウム金属の製造及び/又はリサイクルに由来するアルミニウムドロス(塩スラグ、ブラックドロス、ホワイトドロス又はソルトケークとも呼ばれる)の処理に由来した副生物であることができる。アルミニウムの製造において、タンクの表面で形成する第一の製錬ドロスは、高い割合のアルミニウム金属を含有する。このドロスは、したがってそれが含有するアルミニウムを回収するために例えば回転炉において一般的には処理される。特に、幾つかの技術において、プロセス塩をこの第二の製錬中に加えることができる。低い比率のアルミニウム金属を含有する第二の製錬ドロスは、次に、そこから残りのアルミニウム金属を抽出し、かつプロセス塩を再利用するために処理されることができる。主として酸化物の混合物からなり金属残留物を実質的に含まないこの処理の幾つかの副生物は、本発明による方法においてリサイクル原材料として用いることができる。本発明による方法において用いられる前に、これらの副生物は、次に、一定の処理(粒状化、乾燥、焼成等)に供されることができる。焼成、例えば回転管状炉における焼成は、残留水、及びハロゲン、アンモニアなどの他の揮発性要素の量の低減に加えて、粒子サイズ分布を改善することを可能にする。しかしながら、リサイクル原材料はこれらの例に制限されない。
【0021】
リサイクル原材料は、典型的には、酸化物の質量によって表したときに
Al2O3 50~80%、好ましくは60~75%;
SiO2 2~25%、好ましくは5~50%;
MgO 3~20%、好ましくは5~15%;
Fe2O3 0.5~10%、好ましくは1~8%
を含む化学組成を有する。
【0022】
それは、典型的には0.9質量%未満、好ましくは0.6質量%未満のハロゲン、特にフッ素及び塩素を含む。これは、ハロゲンの存在により、煙霧を処理するための高価な施設が要求されるからである。特定の実施態様において、リサイクル原材料は、特に、フッ素を含まない、すなわち、それは、0.1質量%未満のフッ素を含む。
【0023】
リサイクル原材料は、好ましくはAl2O3/MgO質量比が8を超えるような組成を有する。係る比は、ドロマイトの添加を要求せずに、本発明によって鉱物ウールを得ることについて特に有利である。
【0024】
リサイクル原材料は、金属粒子、特にアルミニウム金属を好ましくは含まない。少量のアルミニウム金属(典型的には最大で2質量%、好ましくは最大で1質量%、優先的には最大で0.5質量%)は、それにもかかわらず、存在することができ、特に、リサイクル原材料がアルミニウムドロス処理の副生物である場合に存在することができる。同様に、少量の窒化アルミニウム(典型的には最大で3質量%、好ましくは最大で2質量%、優先的には最大で1質量%)も存在することができ、特に、リサイクル原材料がアルミニウムドロス処理の副生物である場合に存在することができる。
【0025】
鉱物学の観点から、リサイクル原材料は、カーボネートを実質的に含まない、すなわち、リサイクル原材料は最大で5質量%、好ましくは最大で2質量%、より優先的には最大で1質量%、さらには最大で0.5質量%のカーボネートを含む。リサイクル原材料は、好ましくは少なくとも20質量%、さらには少なくとも30質量%、かつ、通常は、最大で80質量%、さらには最大で60質量%の、アモルファス相を含む。アモルファス相の大きい比率は、溶融を促進する。リサイクル原材料は、少なくとも10質量%、さらには少なくとも20質量%、かつ、通常は最大で50質量%の、マグネシウムを含むスピネル型結晶相(Mg1-xMxAl2-yM’yO4 M及びM’は遷移金属である)を含むことができる。
【0026】
原材料の混合物は、典型的には粉の形態である。特に、原材料の混合物は好ましくはブリケットを含まない。
【0027】
溶融工程は、種々の既知の方法、特に燃料燃焼炉における溶融、又は電気融解によって実施することができる。それは、通常はキューポラ型の炉において実施されない。本発明によって目標とされる鉱物繊維の組成は、特にアルカリ金属の含有量が比較的高いため、この溶融の形式と特に適合しない。実際、これらの組成を達成するのに必要な材料の混合物は、固体状態から粘性の低い液体へと急速に移る傾向があり、この粘性の低い液体は、コークス粒を被覆し、燃焼を防止することがある。キューポラ型の炉は、さらに、アルカリ金属の蒸発を促進し、材料の損失だけでなく、前記アルカリ金属と硫黄などの発せられた他の物質との高い反応性のために、環境問題又は安全性の問題を生じさせる。
【0028】
燃料燃焼炉は、少なくとも1つのバーナー(空中の(火炎が溶融した材料の浴の上に位置し、放射によってそれを加熱する)、又は浸漬された(火炎が溶融した材料の浴内に直接作り出される))を含む。その、又は各バーナーには、天然ガス又は燃料油などの種々の燃料を供給することができる。
【0029】
「電気融解」はガラス化可能な混合物を、火炎などの他の加熱手段のいずれの使用も除いて、溶融した材料の浴に浸漬された電極によるジュール効果によって溶融させることを意味すると理解される。ガラス化可能な混合物は、通常、機械装置を用いて、溶融した材料の浴の表面に亘って均質に分布され、そのようにして、溶融した材料の浴の上方の温度を制限する熱シールドを構成し、その結果上部構造の存在は必ずしも必要ではない。電極は、上部を介して溶融した材料の浴へ浸漬するように吊り下げられるか、底に設置されるか、またはタンクの側壁に設置されることができる。最初の2つのオプションは、溶融した材料の浴の加熱の可能な限り良好な分布を達成するために大型のタンクにとって通常好ましい。電極は、好ましくはモリブデンで製造され、さらには任意選択的に酸化スズで製造される。モリブデン電極は、好ましくは、スチールで製造された水冷式電極ホルダーを介して底部を通過する。
【0030】
溶融工程は、例えばガラス化可能な混合物の溶融を加速するために用いられる電極を側壁にさらに備えた燃料燃焼炉を用いることによって、燃料燃焼溶融及び電気融解の両方を用いることもできる。
【0031】
従来、本発明による方法によって対象とされる鉱物ウールの種類は、「外部」と呼ばれる遠心方法、例えば、特に、特許EP0465310又はEP0439385に記載された、静的分配デバイスによって溶融した材料が供給される、遠心ホイールのカスケードを用いる種類の遠心方法によって、繊維化される。しかしながら、上に記載された鉱物ウール組成は、「内部」と呼ばれる遠心、すなわち、高速で回転し貫通穴が開けられた遠心機を利用する遠心によって繊維化することも可能であり、これは、繊維化されていない材料の量を著しく低減する。この方法は、特に特許EP0189354又はEP0519797に記載されている。繊維化する工程は、したがって内部遠心によって好ましくは実施される。
【0032】
本発明はさらに、酸化物の質量%として表したときに
SiO2 30~50%
Al2O3 15~35%
CaO 5~25%
MgO 1~25%
Fe2O3 2~15%
Na2O+K2O>10%
を含む化学組成を有する鉱物ウールの製造のための、リサイクル原材料の使用、又は少なくとも8.5質量%のリサイクル原材料を含む原材料の混合物の使用であって、リサイクル原材料が、酸化物の質量によって表したときに少なくとも3.5%のマグネシウムを含み、カーボネートを実質的に含まないことを特徴とする、使用に関する。さらに、原材料の混合物は、ドロマイト、及びマグネシアを好ましくは含まない。上に記載されたリサイクル原材料の使用、より一般的にはこれを含む原材料の混合物の使用は、原材料の溶融に由来する二酸化炭素排出を著しく低減することを可能にする。
【0033】
本発明の別の主題は、上記の方法によって得ることができる鉱物ウールである。係る鉱物ウールは、酸化物の質量によって表したときに少なくとも3%のマグネシウムを含む、少なくとも8.5質量%のリサイクル原材料を含み、かつ、酸化物の質量%として表したときに
SiO2 30~50%
Al2O3 15~35%
CaO 5~25%
MgO 1~25%
Fe2O3 2~15%
Na2O+K2O>10%
を含む化学組成を有し、前記リサイクル原材料は、カーボネートを実質的に含まない。
【0034】
本発明の別の主題は、上に記載されているような鉱物ウールを含む断熱(熱遮断)製品である。係る製品は、特にロール又はパネルの形態において提供される。それは、例えば、建造物、工業又は輸送手段、特に鉄道又は船舶において用いることができる。それは、高温にさらされる場合がある用途に特に適しており、継続的に(家庭用若しくは工業用のオーブン若しくはストーブの遮断、又は流体の輸送用のパイプの遮断)、又は例外的に、防火役割(防火扉、船、トンネル又は洋上プラットフォームの遮断等)において、高温にさらされる場合がある用途に特に適している。より一般的は、本発明による製品は、任意の種類の建造物、第三次セクターの建造物又は住居(複数ユニット又は個別)を断熱するのに用いることができる。それは、例えば外側経由での遮断のためのシステム、木造住宅の遮断のためのシステム、サンドイッチパネル、換気ダクトなどにおいて用いることができる。
【0035】
特に鉱物ウール組成、原材料の混合物及びリサイクル原材料に関して本発明による方法に関連して上に記載された特徴は、簡明のために繰り返してはいないが、本発明(リサイクル原材料の使用若しくはこれを含む原材料の混合物の使用、鉱物ウール又は遮断製品)の他の側面にも当てはまる。
【0036】
以下の例は本発明を非限定的に示す。
【実施例】
【0037】
例
表1に示されるような目標化学組成を有する鉱物ウールの製造は、異なる材料の混合物から出発して実施された。比較例C1の原材料の混合物は、マグネシウムキャリアとしてドロマイトを含む従来の混合物である。本発明による例I1において、ドロマイトは、本発明によるリサイクル材料によって完全に置き換えられた。原材料の混合物の組成は表2に詳述される。表3は、リサイクル材料の化学組成を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0038】
種々の生産運転中に、デクレピテーションは、例I1の原材料の混合物の溶融中には観察されなかった。これは、例C1の原材料の混合物の使用と比較して、発せられる物質の量、及び熱交換器を妨害するリスクを大きく低減する。溶融浴の組成の安定性も例C1と比較して改善される。最後に、例I1の原材料の混合物の溶融中のCO2排出において、2~5%の低減が、例C1のそれと比較して観察された。