(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システム
(51)【国際特許分類】
F02B 37/00 20060101AFI20241114BHJP
F02B 37/16 20060101ALI20241114BHJP
F02B 37/18 20060101ALI20241114BHJP
F02B 37/013 20060101ALI20241114BHJP
F02D 13/02 20060101ALI20241114BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20241114BHJP
F02D 23/00 20060101ALI20241114BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F02B37/00 302A
F02B37/16 B
F02B37/18 D
F02B37/00 500B
F02B37/013
F02D13/02 J
F02D19/02 D
F02D23/00 K
F02D43/00 301R
F02D43/00 301Z
(21)【出願番号】P 2022537350
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085077
(87)【国際公開番号】W WO2021122156
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-11
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ライザー ラファエル
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-124224(JP,A)
【文献】特開2008-297929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0223748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00
F02D 23/00
F02B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合気の量的制御を行う内燃エンジン(200)のための混合気供給システム(100、300、400、500)であって、前記混合気供給システム(100、300、400、500)は、
バイパス(120、320、420、520)と、前記バイパス(120、320、420、520)内に配置されたバイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)とを含む、前記内燃エンジン(200)に接続可能な給気システム(110、310、410、510)と、
前記内燃エンジン(200)の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構であって、前記吸気弁の弁制御時間が前記弁機構によって制御可能である、弁機構と、
を備え、
前記混合気供給システム(100、300、400、500)は、
-エンジン負荷が増加すると、前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に閉じ、開弁期間を延ばすために弁制御時間を変更し、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後に、前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に開く、及び/又は、
-前記エンジン負荷が減少すると、前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に開き、開弁期間を短縮するために弁制御時間を変更し、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後に前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に閉じる、
ように構成
され、
前記給気システム(110、310、410、510)は、少なくとも1つのターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)をさらに備え、前記バイパス(120、320、420、520)は、前記ターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のタービン(112、312、326、412、426、512、526)の入口領域を前記ターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)の前記タービン(112、312、326、412、426、512、526)の出口領域に接続する、及び/又は前記ターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のコンプレッサ(111、311、319、411、419、511、519)の出口領域を、前記ターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)の前記コンプレッサ(111、311、319、411、419、511、519)の入口領域に接続する、混合気供給システム。
【請求項2】
前記エンジン負荷が増加すると及び/又は前記エンジン負荷が減少すると前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)の開度を調整するように構成され、前記弁機構によって前記吸気弁の前記弁制御時間を変更するように構成された制御装置をさらに備える、請求項1に記載の混合気供給システム。
【請求項3】
前記
制御装置は、前記弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後に、前記混合気の量的制御を行う内燃エンジン(200)の燃焼室内の空燃比に応じて前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)の開度を調整するように構成されている、請求項2に記載の混合気供給システム。
【請求項4】
前記エンジン負荷が増加する前の前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)の第1の開度と前記弁機構待ち時間の終了後の第2の開度とは実質的に同じである、請求項1から3のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項5】
前記給気システム(110、310、410、510)は、少なくとも2つのターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)を
含み、前記バイパス(120、320、420、520)は、第1のターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のタービン(112、312、326、412、426、512、526)の入口領域を、第2のターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のタービン(112、312、326、412、426、512、526)の出口領域に接続する、及び/又は前記第1のターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のコンプレッサ(111、311、319、411、419、511、519)の出口領域を前記第2のターボ過給機(330、430、530、140、340、440、540)のコンプレッサ(111、311、319、411、419、511、519)の入口領域に接続する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項6】
前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)は無段階に調整可能である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項7】
前記弁機構は、前記吸気弁の閉動作を時間シフトするように構成されている、又は前記弁機構は、吸気弁の作動を時間シフトするように構成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項8】
前記吸気弁の前記閉動作の前記時間シフトは、無段階に調整可能である、
請求項7に記載の混合気供給システム。
【請求項9】
前記弁機構は、前記吸気弁
の閉動作をシフトさせるための遅延要素をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項10】
前記遅延要素は、油圧媒体によって前記吸気弁の前記閉動作をシフトさせるための油圧室を備える、
請求項9に記載の混合気供給システム。
【請求項11】
前記混合気供給システムは、前記エンジン負荷が増加すると、前記弁機構待ち時間の前半で前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に閉じる、及び/又は前記エンジン負荷が減少すると、前記弁機構待ち時間の前半で前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を少なくとも部分的に開くよう構成されている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の混合気供給システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の混合気供給システムを備える、混合気の量的制御を行う内燃エンジン(200)
。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の混合気供給システム(100、300、400、500)を備える、混合気の量的制御を行う内燃エンジン(200)のための前記混合気供給システムを動作させるための方法であって、
A)エンジン負荷が増加すると、
A1)前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を部分的に閉じ、前記弁制御時間をシフトして前記開弁期間を増加させるステップと、
A2)前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を、弁制御待ち時間の間及び/又は終了後に部分的に開くステップと、及び/又は
B)前記エンジン負荷が減少すると、
B1)前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を部分的に開き、前記弁制御時間をシフトして前記開弁期間を短縮させるステップと、
B2)前記バイパス弁(121、124、321、324、421、424、521、524)を、弁制御待ち時間の間及び/又は終了後に部分的に閉じるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
ステップA2)及び/又はステップB2)は、空燃比に応じて調整される、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システム、及び混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システムを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン、特にオットーサイクルに基づくガスエンジン及び2系統燃料エンジンは、規定された空気過剰率の範囲内で動作する。動作限界又は物理的限界は、高い空気過剰率での不安定な点火と、低い空気過剰率での自己着火及びノッキングなどの現象に起因する制御不能な燃焼とによって与えられる。加えて、排気ガス規制により、最大空気過剰率の範囲が制限されている。
【0003】
これらの理由から、エンジン負荷が一定である区間及びエンジン負荷が変化する、特に急激に変化する区間の両方で、内燃エンジンのシリンダ内の空気過剰率の制御された調整を行う必要性がある。従来技術から、空気流(又は混合気流)の供給圧力を調整することによってシリンダの充填を制御することが知られている。これに対する代替案は、吸気弁によってシリンダの充填を制御することである。
【0004】
供給圧力の調整は、例えば、空気経路(又は混合経路)内のスロットル弁によって、及びターボ過給機と1又は2以上のバイパス構成を備える給気システムを設けることによって、すなわちターボ過給機の圧力制御によって行われる。
【0005】
バイパスを用いて供給圧力を調整することに基づくシステムでは、スロットル弁における流動エネルギーの散逸、又はターボ過給機のタービン側でのエンタルピーの浪費、又はターボ過給機のコンプレッサ側での再循環損失のいずれかによって損失が発生する。これに対する代替案は、可変タービンジオメトリ(VTG)に基づくが、これは、効率の低下が生じやすく、技術的に複雑であり、費用がかかる。
【0006】
吸気弁によるシリンダの充填は、多くの場合、吸気弁の閉時間を変更することによって制御される。例えば、国際公開第2008/000899号には、ピストンエンジンのガス交換弁の制御構成が開示されている。ここでは、弁の閉鎖を遅らせるために油圧媒体が提供される。
【0007】
これらのシステムの一部は、吸気弁のタイミングの部分的又は完全な可変性を提供することができるが、空気過剰率の制御装置に必要とされる速度ではない。従って、吸気弁の閉タイミングを制御するための装置は、多くの場合、ゆっくりで遅いという欠点、又は高速応答システムが非常に複雑で費用がかかるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑み、内燃エンジンのための改良された混合気供給システムに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1による混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システムによって少なくとも部分的に解決される。さらに、この目的は、請求項14よる混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システムを動作させる方法によって解決される。さらなる実施形態、変更及び改良は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からもたらされる。
【0011】
1つの実施形態によれば、混合気の量的制御を行う内燃エンジン、詳細にはガスエンジン又は2系統燃料エンジンのための混合気供給システムが提供される。混合気供給システムは、バイパスと、バイパス内に配置されたバイパス弁とを含む、内燃エンジンに接続可能な給気システムを含む。さらに、混合気供給システムは、内燃エンジンの吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の制御時間は、弁機構によって制御可能である。混合気供給システムは、エンジン負荷が増加すると、バイパス弁を少なくとも部分的に閉じ、開弁期間を延ばすために弁制御時間を変更し、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後にバイパス弁を少なくとも部分的に開く、及び/又は、エンジン負荷が減少すると、バイパス弁を少なくとも部分的に開き、開弁期間を短縮するために弁制御時間を変更し、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後にバイパス弁を少なくとも部分的に閉じるよう構成される。
【0012】
エンジン負荷が増加すると、燃料量を増加させることにより、追加の熱エネルギーが給気システムに供給される。バイパス弁の開度が変わらない場合、ターボ過給機の圧力又は供給圧力は増加するが、それにもかかわらず、所要の空気及び/又は混合気の量は、ターボ過給システムによって供給される量よりも増加する。従って、混合気供給システムは、空気過剰率を規定制限内に維持するために、エンジン負荷が増加すると、バイパス弁を部分的に閉じるか、又はバイパス弁の開度を小さくするように構成することができる。エンジン負荷が減少すると、給気システムに供給される熱エネルギーが少なくなる。バイパス弁の開度が変わらない場合、ターボ過給機の圧力又は供給圧力は減少するが、空気過剰率を規定制限内に維持するのに必要な程度には減少しない。従って、混合気供給システムは、エンジン負荷が減少すると、バイパス弁を部分的に開くか、又はバイパス弁の開度を大きくするように構成することができる。
【0013】
弁機構待ち時間は、弁制御時間が変更されてから、弁制御時間の変更が完全に有効になるまでの期間に相当する。換言すると、弁機構には一定の大きさの慣性を含む場合がある、すなわち、吸気弁の弁制御時間が変更された後、弁制御時間の変更が意図した態様で生じるまでに一定の時間が経過する場合がある。エンジン負荷の変化により、すなわちエンジン負荷が増加又は減少する場合に、動作限界又は物理的限界内で動作して、NOx-エミッションの増加のような有害な影響を避けるために、内燃エンジンのシリンダ内の過剰空気率の制御された調整が短時間スケールでも必要である。公知の弁機構の慣性は、過剰空気率を調整するための追加の手段を設けないと、弁機構の待ち時間の範囲内で悪影響をもたらす。弁機構の待ち時間は、1サイクルよりも長く続く。例えば、一般的な弁機構待ち時間は、約5から10デューティサイクルの場合がある。
【0014】
バイパス内に配置されたバイパス弁は、有利には、迅速に、詳細には、弁機構待ち時間の数分の1以内で反応するように構成されている。エンジン負荷が増加するとバイパス弁を部分的に又は完全に閉じることによって、シリンダ内の空気過剰率は、弁機構待ち時間の間に動作限界内に調整することができる。弁機構待ち時間の間に又は終了後に、混合気供給システムは、バイパス弁を少なくとも部分的に開くように構成することができる。有利には、これにより、弁機構待ち時間の間に又は終了後に、過剰空気率を弁機構によって支配的に又は全面的にも制御することができる。
【0015】
本発明によれば、混合気供給システムは、エンジン負荷が増加すると直ちにバイパス弁を少なくとも部分的に閉じ、開弁期間を延ばすために弁制御時間を変更するように構成されている(これに対応して、エンジン負荷が減少すると直ちにバイパス弁を少なくとも部分的に開き、開弁期間を短縮するために弁制御時間を変更する)。エンジン負荷が増加すると、バイパス弁は少なくとも部分的に閉じられ、弁制御時間は実質的に同時に変更される。従って、バイパス弁の作動と弁制御時間は実質的に同時に発生する(通常は同じ動作サイクル内で)。これにより、動作限界内で動作するために、非常に高速で応答するバイパス弁による、かなり遅い弁機構(弁制御時間の変更が意図された様式で起こるまで、作動後に複数の動作サイクルを必要とする)の事前補償が可能になる。
【0016】
1つの実施形態では、混合気供給システムは、エンジン負荷が増加すると弁機構待ち時間の前半でバイパス弁を少なくとも部分的に閉じ、及び/又は、エンジン負荷が減少すると弁機構待ち時間の前半でバイパス弁を少なくとも部分的に開くように構成される。
【0017】
エンジン負荷が減少するとバイパス弁を部分的に開くことにより、弁機構待ち時間の間に、シリンダ内の空気過剰率を運転限度内に調整することができる。弁機構待ち時間の間に又は終了後に、混合気供給システムは、バイパス弁を少なくとも部分的に閉じるように構成することができる。有利には、これにより、弁機構待ち時間の間に又は終了後に、空気過剰率を弁機構によって支配的に又は全面的にも制御することができる。
【0018】
エンジン負荷が一定又は定常状態の場合、バイパス弁はわずかに開くか又はほぼ閉じることができる。換言すると、エンジン負荷が一定の場合、バイパス弁の開度は非常に小さくすることができる。これにより、エンジン負荷が増加すると、バイパス弁をさらに閉じることができる、すなわちバイパス弁の開度を小さくすることができる。詳細には、一定のエンジン負荷では、本開示の実施形態によるバイパス弁の開度は、バイパス弁を含むが過剰空気率を調整するための追加の手段を備えていない混合気供給システムよりも実質的に小さい。一定又は定常状態のエンジン負荷においてバイパス弁をわずかに開くか又はほぼ閉じるようにすることによって、エネルギー損失、詳細にはターボ過給機のタービン側での無駄なエンタルピー又はターボ過給機のコンプレッサ側での再循環損失は非常に小さい。特に、大型の中速内燃エンジンでは、エネルギー損失の低減、従って燃料消費量の低減は非常に重要である。
【0019】
内燃エンジンのための混合気供給システムを使用する場合、エンジン負荷の変化の要求は高い頻度で起こる可能性がある。例えば、一定又は定常状態のエンジン負荷の区間に続いて、エンジン負荷の増加が望まれ、その後、エンジン負荷のさらなる増加又は減少が望まれる場合がある。一般的な態様によれば、混合気供給システムは、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後に、エンジン負荷が新たに増加した場合に、それぞれ、バイパスを十分に閉じることができるように又はバイパス弁の開度を十分に小さくすることができるように、バイパス弁を少なくとも部分的に開くように構成されるか又はバイパス弁の開度を調整するようにされる。1つの実施形態によれば、エンジン負荷の増加前のバイパス弁の第1の開度と、弁機構待ち時間の間の及び/又は終了後の第2の開度とは、実質的に同じである。換言すると、固定可能な開度は、定常状態のエンジン負荷で規定することができ、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後に、混合気供給システムは、固定可能な開度を調整するように構成することができる。
【0020】
一般的な態様によれば、混合気供給システムは、エンジン負荷が急激に増加するとバイパス弁を少なくとも部分的に閉じ、開弁期間を延ばすために弁制御時間を変更し、弁機構待ち時間の間に及び/又は終了後にバイパス弁を少なくとも部分的に開くように構成することができる。エンジン負荷の緩やかな変化、例えば温度及び/又は圧力及び/又はガス特性などの環境条件の変化に対して、バイパス弁の開度が変化しないようにすることもできる。エンジン負荷の緩やかな変化に対して、混合気供給システムは、開弁期間を延ばすように弁制御時間を変更するように構成することができる。
【0021】
1つの実施形態によれば、混合気供給システムは、制御ユニットを含む。制御ユニットは、バイパス弁の開度を調整するように及び/又は弁機構による吸気弁の弁制御時間を変更するように構成することができる。詳細には、制御ユニットは、エンジン負荷が増加すると及び/又はエンジン負荷が減少すると、バイパス弁の開度を調整するように及び弁機構による吸気弁の弁制御時間を変更するように構成することができる。
【0022】
さらに、制御ユニットは、パラメータに応じて弁機構待ち時間の間に及び/又はその後に、バイパス弁の開度を調整するように構成することができる。パラメータは、弁機構待ち時間が経過したか否かを決定するのに適したものにできる。パラメータは、バイパスによって必要とされる空気及び/又は混合気の量を決定するために、又は、バイパスによって必要とされる空気及び/又は混合気の量の減少を決定するために適したものにできる。例えば、パラメータは、測定変数から推定された、空燃比又は内燃エンジンの燃焼室内の空燃比とすることができる。別の例示的な実施形態では、パラメータは、ブースト圧である。この場合、ブースト圧は、シリンダ内の空気量を表している。
【0023】
バイパス弁は、スロットル弁とすることができる。さらに、バイパス弁は、段階的に又は無段階に調整可能とすることができる。さらに、制御ユニットは、弁機構待ち時間の間に及び/又はその後に、バイパス弁の開度を段階的又は無段階に調整するように構成することができる。弁機構待ち時間の間に、弁制御時間の変更は、その時間の終わりに弁制御時間の変更がその最大効果を示すまで、その効果を段階的又は無段階に示すことができる。さらに、制御ユニットは、弁制御待ち時間の間に及び/又はその後に、パラメータに応じてバイパス弁の開度を段階的又は無段階に調整するように構成することができる。
【0024】
給気システムは、1又は2以上のターボ過給機を含むことができる。各ターボ過給機は、コンプレッサと、ターボ過給機シャフトによってコンプレッサに連結されたタービンとを含むことができる。給気システムは、混合気の量的制御を行う内燃エンジンの吸気マニホールド及び/又は排気マニホールドに接続可能とすることができる。詳細には、コンプレッサの出口領域は吸気マニホールドに接続可能とすることができ、タービンの入口領域は排気マニホールドに接続可能とすることができる。インタークーラ及び/又はスロットル装置、例えばスロットル弁は、コンプレッサの出口領域に接続され、そして吸気マニホールドに接続可能な接続ライン内に配置することができる。吸気装置は、コンプレッサの入口領域に接続することができ、及び/又はガス混合器は、コンプレッサの入口領域に接続することができ、ガス混合器は、吸気装置及びガス供給システムを含む。バイパスは、それによってコンプレッサの出口領域をコンプレッサの入口領域に接続することができ、及び/又は、バイパスは、それによってタービンの入口領域をタービンの出口領域に接続することができる。「及び」の場合は、バイパスが、空気リターンライン又は混合気リターンラインと、排気バイパスラインとの2つの別々のラインを含むことを意味することを理解されたい。空気リターンライン又は混合気リターンライン、及び排気バイパスラインの両方は、好ましくは各々バイパス弁を含む。
【0025】
給気システムは、少なくとも2つのターボ過給機をさらに含むことができ、バイパスは、第1のターボ過給機のタービンの入口領域を第2のターボ過給機のタービンの出口領域に接続すること、及び/又は第1のターボ過給機のコンプレッサの出口領域を第2のターボ過給機のコンプレッサの入口領域に接続することができる。
【0026】
例えば、給気システムは、低圧ターボ過給機及び高圧ターボ過給機を含むことができる。吸気装置は、低圧コンプレッサの入口部分に接続することができ、及び/又はガス混合器は、低圧コンプレッサの入口部分に接続することができ、ガス混合器は、吸気装置及びガス供給システムを含む。給気システムは、低圧コンプレッサの出口領域と高圧コンプレッサの入口領域とを接続するための導管を含むことができる。インタークーラは、導管内に配置することができる。
【0027】
弁機構は、吸気弁の作動を時間シフトするように構成することができる。従って、弁ストロークの時間シフトは、特にシリンダ給気の制御装置のために行うことができる。吸気弁の閉動作の時間シフトは、無段階に調整可能である。これにより、シリンダ給気、特にシリンダ圧を正確に調整することができる。結果として、個々のシリンダは、互いに等しくすることも可能である。
【0028】
弁機構は、吸気弁の閉動作を時間シフトするように構成することができる。吸気弁の閉動作の一時的なシフトは、無段階に調整することができる。これにより、シリンダの充填、特にシリンダ圧を正確に調整することができる。
【0029】
1つの実施形態によれば、弁機構は、吸気弁の閉動作をシフトさせるための遅延要素をさらに含む。詳細には、遅延要素は、機械的な遅延要素とすること又は液圧的な遅延要素とすることができる。遅延要素は、吸気弁の閉動作を油圧媒体によって動かす(displacing)ための油圧室を含むことができる。弁機構は、吸気弁作動機構を含むことができ、吸気弁作動機構は、吸気弁の閉動作を時間に関してシフトするための遅延要素と接触するように構成することができる。例えば、吸気弁作動機構は、ロッカーアーム、ドラッグレバー、プッシュロッド、及びバルブブリッジから選択される少なくとも1つを含むことができ、遅延要素は、ロッカーアーム又はドラッグレバー又はプッシュロッド又はバルブブリッジと接触することができる。
【0030】
さらに、吸気弁の閉動作のタイミング又は弁リフトのタイミングの代替又は追加として、弁リフトを調節してシリンダ給気を制御することができる。従って、弁機構は、弁リフトを調整するように構成することができる。
【0031】
吸気弁の構成要素及び/又は弁機構の構成要素に関連する、上述の実施形態は、これに対応して内燃エンジンの排気弁に移転可能である。
【0032】
混合気の量的制御を行う内燃エンジンは、定置式内燃エンジンとすること又は推進エンジンとすることができる。内燃エンジンは、オットーエンジンとすること、詳細には、内燃エンジンは、4サイクルエンジンとすることができる。混合気の量的制御を行う内燃エンジンは、ガスエンジンとすること又は2系統燃料エンジンとすることができる。ガスエンジン又は2系統燃料エンジンのガス供給は、ガス混合器に接続されたガス供給システムによって給気システムを介して、及び/又は別個のガス噴射を介して、詳細には給気マニホールドに接続されたガス噴射を介して行うことができる。ガス噴射は、吸気マニホールドとシリンダとの間に配置された吸気ダクトを介して行うことも可能である(吸気マニホールド噴射)。
【0033】
1つの実施形態によれば、混合気の量的制御を行う内燃エンジン、詳細にはガスエンジン又は2系統燃料エンジンが提供される。内燃エンジンは、本明細書に記載された実施形態のうちの1つによる混合気供給システムを含む。この点に関して、内燃エンジンは、複数のシリンダと、内燃エンジンの各シリンダに対して1又は2以上の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含むことができる。
【0034】
本明細書に記載の実施形態は、特に、吸気弁の弁制御時間が弁機構によって制御可能である弁機構を既に含む混合気供給システムに対して、わずかな設計努力で実施することが可能である。結果的に、改善された混合気供給システムを簡単かつ費用対効果の高い方法で実現することができる。
【0035】
1つの実施形態によれば、混合気の量的制御を行う内燃エンジンのための混合気供給システムを動作させるための方法が提供される。詳細には、混合気の量的制御を行う内燃エンジンは、ガスエンジン又は2系統燃料エンジンとすることができる。混合気供給システムは、内燃エンジンに接続可能な給気システムを含み、給気システムは、バイパスと、バイパス内に配置されたバイパス弁とを含む。さらに、混合気供給システムは、内燃エンジンの吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の弁制御時間は、弁機構によって制御可能である。詳細には、内燃エンジンは、本明細書に記載された実施形態のいずれかによる混合気供給システムを含むことができる。
【0036】
本方法は、
A)エンジン負荷が増加すると、
A1)バイパス弁を部分的に閉じ、弁制御時間をシフトして開弁期間を増加させるステップと、
A2)弁機構待ち時間の間及び/又は終了後にバイパス弁を部分的に開くステップと、及び/又は、
B)エンジン負荷が減少すると、
B1)バイパス弁を部分的に開き、弁制御時間をシフトして開弁時間を短縮させるステップと、
B2)弁機構待ち時間の間及び/又は終了後にバイパス弁を部分的に閉じるステップと。
を含む。
【0037】
ステップA2)は、ステップA1)の後に発生する。ステップB2)は、ステップB1)の後に発生する。ステップA2)及び/又はB2)は、空燃比に応じて調整することができる。
【0038】
以下において、本発明は実施形態を参照してより詳細に説明されるが、これらは特許請求の範囲によって定義される保護範囲を制限することを意図するものではない。
【0039】
添付の図面は、実施形態を例示し、明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。図面の要素は、互いに相対的なものであり、必ずしも縮尺通りではない。同じの参照符号は、対応する類似の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】1つの実施形態による、本発明による混合気供給システムの一部を示す。
【
図2】1つの実施形態による、本発明による混合気供給システムの一部を示す。
【
図3】1つの実施形態による、本発明による混合気供給システムの一部を示す。
【
図4】1つの実施形態による、本発明による混合気供給システムの一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1から4は、混合気の量的制御を行う内燃エンジン200、詳細にはガスエンジン又は2系統燃料エンジンのための本発明による混合気供給システム100、300、400、500の種々の実施形態の各部を概略的に示す。
【0042】
図1から4の破線矢印は、参照符号の特徴部への割り当てを示す。
図1から4において実線で描かれた太い矢印は、流れ方向を示す。
【0043】
各図は、本発明による混合気供給システム100、300、400、500の部分、詳細には給気システム110、310、410、510を示し、さらに混合気供給システム100、300、400、500に接続可能な内燃エンジンの例示的な部分を示す。
【0044】
図1は、混合気供給システム100を示す。混合気供給システム100は、内燃エンジン200の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の弁制御時間は、弁機構(図示せず)によって制御可能である。
【0045】
さらに、混合気供給システム100は、内燃エンジン200に接続可能な給気システム110を含む。給気システムは、ターボ過給機140を含むことができ、ターボ過給機は、ターボ過給機シャフト113によって連結されたコンプレッサ111及びタービン112を含む。タービン112の入口領域は、排気マニホールド230に接続可能とすることができる。コンプレッサ111の出口領域は、接続ラインによって内燃エンジン200の吸気マニホールド220に接続可能とすることができる。インタークーラ116及び/又はスロットル弁117は、接続ライン内に接続することができる。ガス混合器127は、コンプレッサ111の入口部分に接続することができ、ガス混合器127は、ガス供給システム114及び/又は吸気装置115を含む。
【0046】
給気システム110は、バイパス120を含む。バイパス120は、混合気リターンライン122及び排気ガスバイパスライン123を含むことができる。バイパス弁121、124は、バイパス内に配置されている。詳細には、バイパス弁121、124は、混合気リターンライン122及び排気ガスバイパスライン123にそれぞれ配置されている。バイパス120は、ターボ過給機140のタービン112の入口部分をターボ過給機140のタービン112の出口部分に接続し、ターボ過給機140のコンプレッサ111の出口部分をターボ過給機140のコンプレッサ111の入口部分に接続することができる。
【0047】
内燃エンジン200は、少なくとも1つのシリンダ210を含むことができる。少なくとも1つのシリンダは、吸気マニホールド220及び/又は排気マニホールド230に接続することができる。内燃エンジン200は、少なくとも1つの吸気弁を含むことができ、吸気弁は、吸気マニホールド220とシリンダ210との間に位置することができる(図示せず)。吸気弁は、弁機構によって周期的に作動させることができ、吸気弁の弁制御時間は、弁機構によって制御可能である。内燃エンジン200のガス供給は、ガス混合器127に接続されたガス供給システム114によって給気システム110を介して、及び/又は別個のガス噴射201を介して、詳細には吸気マニホールド220に接続されたガス噴射201を介して行うことができる。
【0048】
図2は、混合気供給システム300を示す。混合気供給システム300は、内燃エンジン200の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の弁制御時間は弁機構によって制御可能である(図示せず)。
【0049】
さらに、混合気供給システム300は、内燃エンジン200に接続可能な給気システム310を含む。給気システム310は、低圧ターボ過給機330を含むことができ、低圧ターボ過給機330は、低圧ターボ過給機シャフト325によって連結された低圧コンプレッサ319及び低圧タービン326を含む。ガス混合器327は、低圧コンプレッサ319の入口部分に接続することができ、ガス混合器327は、ガス供給システム314及び/又は吸気装置315を含む。
【0050】
給気システム310は、高圧ターボ過給機340を含むことができ、高圧ターボ過給機340は、ターボ過給機シャフト313によって連結された高圧コンプレッサ311及び高圧タービン312を含む。
【0051】
給気システム310は、低圧コンプレッサ319の出口領域を高圧コンプレッサ311の入口領域に接続するための導管を含むことができる。インタークーラ318は、導管内に配置することができる。
【0052】
高圧タービン312の入口領域は、排気マニホールド230に接続可能とすることができる。高圧タービン312の出口領域は、低圧タービン326の入口領域に接続可能とすることができる。
【0053】
高圧コンプレッサ311の出口領域は、接続ラインによって内燃エンジン200の吸気マニホールド220に接続可能とすることができる。インタークーラ316及び/又はスロットル弁317は、接続ライン内に接続することができる。
【0054】
システム310は、バイパス320を含む。バイパス320は、混合気リターンライン322及び排気バイパスライン323を含むことができる。バイパス弁321、324は、バイパス内に配置されている。詳細には、バイパス弁321、324は、混合気リターンライン322及び排気ガスバイパスライン323の各々に配置されている。バイパス320は、高圧ターボ過給機340の高圧タービン312の入口部分を高圧ターボ過給機340の高圧タービン312の出口部分に接続し、高圧ターボ過給機340の高圧コンプレッサ311の出口部分を低圧ターボ過給機330の低圧コンプレッサ319の入口部分に接続することができる。
【0055】
内燃エンジン200は、少なくとも1つのシリンダ210を含むことができる。少なくとも1つのシリンダは、吸気マニホールド220及び/又は排気マニホールド230に接続することができる。内燃エンジン200は、少なくとも1つの吸気弁を含むことができ、吸気弁は、吸気マニホールド220とシリンダ210との間に位置する(図示せず)。吸気弁は、弁機構によって周期的に作動させることができ、吸気弁の弁制御時間は、弁機構によって制御可能である。内燃エンジン200のガス供給は、ガス混合器327に接続されたガス供給システム314によって給気システム310を介して、及び/又は別個のガス噴射201を介して、詳細には吸気マニホールド220に接続されたガス噴射201を介して行うことができる。
【0056】
図3は、混合気供給システム400を示す。混合気供給システム400は、内燃エンジン200の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の弁制御時間は弁機構(図示せず)によって制御可能である。
【0057】
さらに、混合気供給システム400は、内燃エンジン200に接続可能な給気システム410を含む。給気システム410は、低圧ターボ過給機430を含むことができ、低圧ターボ過給機430は、低圧ターボ過給機シャフト425によって連結された低圧コンプレッサ419及び低圧タービン426を含む。ガス混合器427は、低圧コンプレッサ419の入口部分に接続することができ、ガス混合器427は、ガス供給システム414及び/又は吸気装置415を含む。
【0058】
過給システム410は、高圧ターボ過給機440を含むことができ、高圧ターボ過給機440は、ターボ過給機シャフト413によって連結された高圧コンプレッサ411及び高圧タービン412を含む。
【0059】
ターボ過給システム410は、低圧コンプレッサ419の出口領域を高圧コンプレッサ411の入口領域に接続するための導管を含むことができる。インタークーラ418は、導管内に配置することができる。
【0060】
高圧タービン412の入口領域は、排気マニホールド230に接続可能とすることができる。高圧タービン412の出口領域は、低圧タービン426の入口領域に接続可能とすることができる。
【0061】
高圧コンプレッサ411の出口領域は、接続ラインによって内燃エンジン200の吸気マニホールド220に接続可能とすることができる。インタークーラ416及び/又はスロットル弁417は、接続ライン内に接続することができる。
【0062】
給気システム410は、バイパス420を含む。バイパス420は、混合気リターンライン422及び排気ガスバイパスライン423を含むことができる。バイパス弁421、424は、バイパス420内に配置されている。詳細には、バイパス弁421、424は、混合気リターンライン422及び排気ガスバイパスライン423の各々に配置されている。バイパス420は、低圧ターボ過給機430の低圧タービン426の入口部分を低圧ターボ過給機430の低圧タービン426の出口部分に接続し、高圧ターボ過給機440の高圧コンプレッサ411の出口部分を低圧ターボ過給機430の低圧コンプレッサ419の入口部分に接続することができる。
【0063】
内燃エンジン200は、少なくとも1つのシリンダ210を含むことができる。少なくとも1つのシリンダは、吸気マニホールド220及び/又は排気マニホールド230に接続することができる。内燃エンジン200は、少なくとも1つの吸気弁を含むことができ、吸気弁は、吸気マニホールド220とシリンダ210との間に配置される(図示せず)。吸気弁は、弁機構によって周期的に作動させることができ、吸気弁の弁制御時間は、弁機構によって制御可能である。内燃エンジン200のガス供給は、ガス混合器427に接続されたガス供給システム414によって給気システム410を介して、及び/又は別個のガス噴射201を介して、詳細には吸気マニホールド220に接続されたガス噴射201を介して行うことができる。
【0064】
図4は、混合気供給システム500を示す。混合気供給システム500は、内燃エンジン200の吸気弁を周期的に作動させるための弁機構を含み、吸気弁の弁制御時間は弁機構(図示せず)により制御可能である。
【0065】
さらに、混合気供給システム500は、内燃エンジン200に接続可能な給気システム510を含む。給気システム510は、低圧ターボ過給機530を含むことができ、低圧ターボ過給機530は、低圧ターボ過給機シャフト525によって連結された低圧コンプレッサ519及び低圧タービン526を含む。ガス混合器527は、低圧コンプレッサ519の入口部分に接続することができ、ガス混合器527は、ガス供給システム514及び/又は吸気装置515を含む。
【0066】
給気システム510は、高圧ターボ過給機540を含むことができ、高圧ターボ過給機540は、ターボ過給機シャフト513によって連結された高圧コンプレッサ511及び高圧タービン512を含む。
【0067】
ターボ過給システム510は、低圧コンプレッサの出口領域519を高圧コンプレッサ511の入口領域に接続するための導管を含むことができる。インタークーラ518は、導管内に配置することができる。
【0068】
高圧タービン512の入口領域は、排気マニホールド230に接続可能とすることができる。高圧タービン512の出口領域は、低圧タービン526の入口領域に接続可能とすることができる。
【0069】
高圧コンプレッサ511の出口領域は、接続ラインによって内燃エンジン200の吸気マニホールド220に接続可能とすることができる。インタークーラ516及び/又はスロットル弁517は、接続ライン内に接続することができる。
【0070】
給気システム510は、バイパス520を含む。バイパス520は、混合気リターンライン522及び排気ガスバイパスライン523を含むことができる。バイパス弁521、524は、バイパス520内に配置されている。詳細には、バイパス弁521、524は、混合気リターンライン522及び排気ガスバイパスライン523の各々に配置されている。バイパス520は、高圧ターボ過給機540の高圧タービン512の入口領域を低圧ターボ過給機530の低圧タービン526の出口領域に接続し、高圧ターボ過給機540の高圧コンプレッサ511の出口領域を低圧ターボ過給機530の低圧コンプレッサ519の入口領域に接続することができる。
【0071】
内燃エンジン200は、少なくとも1つのシリンダ210を含むことができる。少なくとも1つのシリンダは、吸気マニホールド220及び/又は排気マニホールド230に接続することができる。内燃エンジン200は、少なくとも1つの吸気弁を含むことができ、吸気弁は、吸気マニホールド220とシリンダ210との間に配置される(図示せず)。吸気弁は、弁機構によって周期的に作動させることができ、吸気弁の弁制御時間は、弁機構によって制御可能である。内燃エンジン200のガス供給は、ガス混合器527に接続されたガス供給システム514によって給気システム510を介して、及び/又は別個のガス噴射201を介して、詳細には吸気マニホールド220に接続されたガス噴射201を介して行うことができる。
【0072】
本明細書では特定の実施形態が例示され説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態を適切に組み合わせること又は変更することは本発明の範囲内である。例えば、混合気リターンライン122、322、422、522は、高圧ターボ過給機の高圧タービンの入口部分を高圧ターボ過給機の高圧タービンの出口部分に接続することができる。例えば、混合気リターンライン122、322、422、522は、低圧ターボ過給機の低圧タービンの入口領域を低圧ターボ過給機の低圧タービンの出口領域に接続することができる。例えば、スロットル装置、詳細にはスロットル弁は、ガス混合器の上流の吸気装置内に配置することができる。もしくは、スロットル装置、詳細にはスロットル弁は、例えば、低圧コンプレッサと高圧コンプレッサとの間のラインに配置することができる。例えば、ガス吸入装置及び特にガス混合器は、低圧コンプレッサと高圧コンプレッサとの間のラインに配置することができる。
【符号の説明】
【0073】
100、300、400、500 混合気供給システム
110、310、410、510 給気システム
140、340、440、540 ターボ過給機/高圧ターボ過給機
111 コンプレッサ
112 タービン
113、313、413、513 ターボ過給機シャフト
114、314、414、514 ガス供給システム
115、315、415、515 吸気装置
116、316、416、516 インタークーラ
117、317、417、517 スロットル弁
127、327、427、527 ガス混合器
120、320、420、520 バイパス
121、124、321、324、421、424、521、524 バイパス弁
122、322、422、522 混合気リターンライン
123、323、423、523 排気ガスバイパスライン
200 内燃エンジン
201 ガス噴射
210 シリンダ
220 吸気マニホールド
230 排気マニホールド
330、430、530 ターボ過給機/低圧ターボ過給機
311、411、511 高圧コンプレッサ
312、412、512 高圧タービン
318、418、518 インタークーラ
319、419、519 低圧コンプレッサ
325、425、525 低圧ターボ過給機シャフト
326、426、526 低圧タービン