(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241114BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241114BHJP
H01M 50/466 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/531
H01M50/434
H01M50/466
(21)【出願番号】P 2022559165
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2021039517
(87)【国際公開番号】W WO2022092094
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020181185
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】盧 潔晨
(72)【発明者】
【氏名】小原 健児
(72)【発明者】
【氏名】松村 直則
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-084666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0309871(US,A1)
【文献】特開2013-254629(JP,A)
【文献】特開2020-170636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/531
H01M 50/434
H01M 50/466
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1電極と、前記
複数の第1電極より面積が大きい
複数の第2電極と、
隣り合う前記第1電極と前記第2電極とを互いに隔てるセパレータと、を有
し、前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極が所定方向に交互に並ぶ積層体
であって、前記所定方向に直交する直交方向側に位置する第1側面を有し、前記第1電極又は前記第2電極に接続されたタブが前記第1側面から引き出された積層体と、
前記積層体の
前記第1側面に設けられた第1接着部材と、
を備え、
前記第2電極のうち前記第1接着部材によって覆われ
て前記直交方向側に位置する外縁が、前記第1電極のうち前記第1接着部材によって覆われ
て前記直交方向側に位置する外縁に対して、
前記直交方向において、
一の前記第2電極の厚さの0%以上200%以下の距離の範囲に位置している、電池。
【請求項2】
前記積層体は、前記第1側面の反対側に位置する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面の両側方の一方に位置する第3側面と、前記第1側面及び前記第2側面の両側方の他方に位置する第4側面と、を有し、
前記積層体の
前記第1側面から
前記第2側面までの長さが、前記積層体の
前記第3側面から
前記第4側面までの長さより長い、請求項
1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1電極に接続されたタブ
が前記第1側面及び前記第2側面の一方に位置し、
前記第2電極に接続されたタブ
が前記第1側面及び前記第2側面の他方に位置している、請求項
2に記載の電池。
【請求項4】
前記積層体の
前記第3側面及び前記第4側面の少なくとも一方に設けられた第2接着部材をさらに備える、請求項
2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記セパレータが、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸している、請求項
1~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記セパレータがセラミックを含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記第1電極が正極電極であり、前記第2電極が負極電極である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解質電池が開発されている。電池は、正極電極、負極電極及びセパレータを有する積層体を備えている。正極電極には正極タブが接続されている。負極電極には負極タブが接続されている。セパレータは、正極及び負極を互いに隔てている。
【0003】
特許文献1には、積層体の側面にテープを設けることが記載されている。具体的には、積層体の側面のうち正極タブ及び負極タブが設けられた部分の側方に向けられた部分に第1テープが設けられている。また、積層体の側面のうち正極タブ及び負極タブが設けられた部分に第2テープが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
正極電極の面積と負極電極の面積とは互いに異なっている場合がある。この場合において、正極電極及び負極電極を単に重ね合わせたとき、正極電極の外縁と負極電極の外縁とは互いにずれるようになる。このため、積層体の側面にテープ等の接着部材を設けても、接着部材が正極電極の外縁及び負極電極の外縁のうち積層体の内側に位置する方に接着することができず、接着部材を積層体の側面に強固に接着させることができない。
【0006】
本発明の目的の一例は、積層体の側面に接着部材を強固に接着させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とを互いに隔てるセパレータと、を有する積層体と、
前記積層体の側面に設けられた第1接着部材と、
を備え、
前記第2電極のうち前記第1接着部材によって覆われた外縁が、前記第1電極のうち前記第1接着部材によって覆われた外縁に対して、前記積層体から前記第1接着部材に向かう方向又は前記第1接着部材から前記積層体に向かう方向において、前記第2電極の厚さの0%以上200%以下の距離の範囲に位置している、電池である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記一態様によれば、積層体の側面に接着部材を強固に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電池20の平面図である。
図2は、
図1のA-A´断面図である。
図3は、
図1のB-B´断面図である。
【0012】
図1~
図3において、第1方向Xは、電池20の長さ方向である。第1方向Xを示す矢印によって示される方向である第1方向Xの正方向は、負極タブ212から正極タブ112に向かう方向である。第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向である第1方向Xの負方向は、正極タブ112から負極タブ212に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xに交差、具体的には直交している。第2方向Yは、電池20の幅方向である。第2方向Yを示す矢印によって示される方向である第2方向Yの正方向は、負極タブ212が位置する側から見て電池20の左方向である。第2方向Yを示す矢印によって示される方向の反対方向である第2方向Yの負方向は、負極タブ212が位置する側から見て電池20の右方向である。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に交わる、具体的に直交している。第3方向Zは、電池20の厚さ方向である。第3方向Zを示す矢印によって示される方向である第3方向Zの正方向は、電池20の上方向である。第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向である第3方向Zの負方向は、電池20の下方向である。
【0013】
図1において、第3方向Zを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が第3方向Zの正方向であり、紙面の手前から奥に向かう方向が第3方向Zの負方向であることを示す。
図2において、第1方向Xを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第1方向Xの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第1方向Xの負方向であることを示す。
図3において、第2方向Yを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第2方向Yの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第2方向Yの負方向であることを示す。
【0014】
以下、「平面方向」とは、第1方向X及び第2方向Yの双方を含む平面に平行な方向であるとして説明を行う。
【0015】
電池20は、積層体10、正極タブ112、負極タブ212、第1接着部材410及び第2接着部材420を備えている。
【0016】
積層体10は、実質的に直方体形状を有している。
図2に示すように、積層体10は、複数の正極電極100、複数の負極電極200及びセパレータ300を有している。正極電極100及び負極電極200の各々は、実質的に長方形形状を有している。本実施形態において、正極電極100は、第1電極となっており、負極電極200は、面積が第1電極より大きい第2電極となっている。具体的には、
図2に示すように、負極電極200の第2方向Yの長さは、正極電極100の第2方向Yの長さより長くなっている。なお、正極電極100又は負極電極200の面積とは、第3方向Zから見た場合における正極電極100又は負極電極200の面積である。
【0017】
図1に示すように、複数の正極電極100の各々には、正極タブ112が接続されている。各正極電極100の正極タブ112は、積層体10の第1方向Xの
正方向側の側面から引き出されて互いに束ねられている。また、複数の負極電極200の各々には、負極タブ212が接続されている。各負極電極200の負極タブ212は、積層体10の第1方向Xの
負方向側の側面から引き出されて互いに束ねられている。このようにして、正極タブ112及び負極タブ212は、第1方向Xにおいて積層体10の反対側に位置している。この場合、正極タブ112及び負極タブ212が双方とも積層体10の同じ側に位置する場合と比較して、正極タブ112及び負極タブ212の間の距離を大きくすることができ、正極タブ112及び負極タブ212の間の短絡の可能性を低減することができる。なお、正極タブ112及び負極タブ212は、双方とも、積層体10の同じ側、例えば、積層体10の第1方向Xの正方向側又は負方向側に位置していてもよい。
【0018】
積層体10の側面のうち正極タブ112又は負極タブ212が設けられた部分からその反対側の部分までの距離、すなわち、積層体10の第1方向Xの長さは、積層体10の側面のうち正極タブ112又は負極タブ212が設けられた部分の側方に向けられた部分からその反対側の部分までの距離、すなわち、積層体10の第2方向Yの長さより長くなっている。例えば、積層体10の第1方向Xの長さは、積層体10の第2方向Yの長さの3倍以上6倍以下にすることができる。或いは、積層体10の第1方向Xの長さは、積層体10の第2方向Yの長さの3倍以上8倍以下にすることができる。或いは、積層体10の第1方向Xの長さは、積層体10の第2方向Yの長さの3倍以上10倍以下にすることができる。この場合、積層体10の第2方向Yが鉛直方向に平行になるように複数の積層体10を鉛直方向に直交する水平方向に並べて電池モジュールを構成することで、比較的低背の電池モジュールを形成することができる。また、積層体10の第2方向Yの長さに対しての積層体10の第1方向Xの長さの比が大きくなるほど、積層体10が第1方向Xの衝撃によって受ける影響が大きくなる傾向がある。しかしながら、本実施形態によれば、後述するように、積層体10の側面に第1接着部材410を強固に接着することができる。したがって、積層体10の第2方向Yの長さに対しての積層体10の第1方向Xの長さの比が比較的大きくても、積層体10が第1方向Xの衝撃によって受ける影響を抑制することができる。なお、積層体10の第1方向Xの長さは、積層体10の第2方向Yの長さ以下であってもよい。
【0019】
図2に示すように、複数の正極電極100及び複数の負極電極200は、第3方向Zに交互に並んでいる。各正極電極100及び各負極電極200は、第3方向Zに厚みを有している。セパレータ300は、隣り合う正極電極100と負極電極200とを互いに隔てている。具体的には、セパレータ300は、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過して折り返しながら延伸している。これによって、正極電極100の第2方向Yの正方向側の外縁は、セパレータ300の第2方向Yの正方向側の折り返し部分によって覆われており、負極電極200の第2方向Yの負方向側の外縁は、セパレータ300の第2方向Yの負方向側の折り返し部分によって覆われている。また、例えば、セパレータ300は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、アラミド樹脂等の少なくとも1種の樹脂を含む基材層と、アルミナ(Al
2O
3)、ベーマイト(AlOOH)等の少なくとも1種のセラミックを含むセラミック層と、を含んでいてもよい。例えば、基材層は、PP、PE等の単層であってもよいし、又はPP/PE/PP等の3層であってもよい。
【0020】
積層体10の側面のうち正極タブ112又は負極タブ212が設けられた部分と同じ側に向けられた部分、すなわち、第1方向Xの正方向側又は負方向側の部分には、第1接着部材410が設けられている。第1接着部材410は、例えばテープである。第1接着部材410が設けられている場合、第1接着部材410が設けられていない場合と比較して、正極電極100と負極電極200との間の第1方向Xのずれを抑制することができる。本実施形態では、
図1に示すように、正極タブ112の第2方向Yの両側と、負極タブ212の第2方向Yの両側と、に第1接着部材410が設けられている。なお、第1接着部材410が設けられる位置は、本実施形態に係る位置に限定されない。例えば、積層体10の側面のうち第1方向Xの正方向側及び負方向側の一方のみの部分に第1接着部材410が設けられていてもよい。また、正極タブ112の第2方向Yの両側の一方のみ、又は負極タブ212の第2方向Yの両側の一方のみに第1接着部材410が設けられていてもよい。また、正極タブ112の第2方向Yの両側の一方又は負極タブ212の第2方向Yの両側の一方に複数の第1接着部材410が設けられていてもよい。
【0021】
積層体10の側面のうち正極タブ112又は負極タブ212が設けられた部分の側方に向けられた部分、すなわち、第2方向Yの正方向側又は負方向側の部分には、第2接着部材420が設けられている。第2接着部材420は、例えばテープである。第2接着部材420が設けられている場合、第2接着部材420が設けられていない場合と比較して、正極電極100と負極電極200との間の第2方向Yのずれを抑制することができる。本実施形態では、
図1に示すように、積層体10の側面のうち第2方向Yの負方向側の部分に複数の第2接着部材420が第1方向Xに沿って実質的に等間隔に配置されており、積層体10の側面のうち第2方向Yの正方向側の部分に複数の第2接着部材420が第1方向Xに沿って実質的に等間隔に配置されている。なお、第2接着部材420が設けられる位置は、本実施形態に係る位置に限定されない。例えば、積層体10の側面のうち第2方向Yの正方向側及び負方向側の一方のみの部分に第2接着部材420が設けられていてもよい。また、積層体10の側面のうち第2方向Yの正方向側の部分又は負方向側の部分に1つのみの
第2接着部材420が設けられていてもよい。また、第2接着部材420は設けられていなくてもよい。
【0022】
図3に示すように、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた外縁は、第1方向X、すなわち、積層体10から第1接着部材410に向かう方向又は第1接着部材410から積層体10に向かう方向において、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた外縁と実質的に揃っている。具体的には、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた外縁は、第1方向Xにおいて、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた外縁に対して、負極電極200の厚さの0%以上200%以下の距離の範囲に位置している。この場合、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた外縁が、第1方向Xにおいて、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた外縁から上述した範囲を超えてずれている場合と比較して、第1接着部材410が正極電極100の外縁及び負極電極200の外縁の双方に接着しやすくなり、積層体10の側面に第1接着部材410を強固に接着することができる。したがって、第1接着部材410が設けられていない場合と比較して、正極電極100と負極電極200との間の平面方向のずれを抑制することができる。
【0023】
例えば、
図3に示すように、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁は、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁に対して、第1方向Xの負方向側に向けて、上述した範囲内においてずれている。また、
図3に示す例では、セパレータ300のうち第1方向Xの負方向側の端部が第1接着部材410に突き当たって、セパレータ300の一部分が撓んでいる。なお、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁は、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁に対して、第1方向Xの正方向側に向けて、上述した範囲内においてずれていてもよい。或いは、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁は、第1方向Xにおいて、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁と完全に揃っていてもよい。すなわち、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁は、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた第1方向Xの負方向側の外縁に対して、第1方向Xにおいて、負極電極200の厚さの0%の距離の範囲に位置している。
【0024】
本実施形態のように、積層体10の第1方向Xの長さが積層体10の第2方向Yの長さより長い場合は、第1接着部材410が設けられていないとき、第1接着部材410が設けられているときと比較して、正極電極100と負極電極200とは第1方向Xに互いにずれやすくなる。本実施形態によれば、積層体10の第1方向Xの長さが積層体10の第2方向Yの長さより長い場合であっても、正極電極100と負極電極200との間の平面方向のずれを抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態のように、セパレータ300が、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過して折り返しながら延伸している場合は、第1接着部材410が設けられていないとき、第1接着部材410が設けられているときと比較して、正極電極100と負極電極200とは第1方向Xに互いにずれやすくなる。本実施形態によれば、セパレータ300が、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過して折り返しながら延伸している場合であっても、正極電極100と負極電極200との間の平面方向のずれを抑制することができる。
【0026】
また、セパレータ300がセラミックを含む場合、セパレータ300がセラミックを含まない場合と比較して、セパレータ300と正極電極100又は負極電極200との間の摩擦力が小さくなる。したがって、セパレータ300がセラミックを含む場合は、第1接着部材410が設けられていないとき、第1接着部材410が設けられているときと比較して、正極電極100及び負極電極200は、平面方向でずれやすくなる。本実施形態によれば、セパレータ300がセラミックを含む場合であっても、正極電極100と負極電極200との間の平面方向のずれを抑制することができる。
【0027】
次に、電池20の製造方法の一例について説明する。
【0028】
まず、正極タブ112が接続された正極電極100と、負極タブ212が接続された負極電極200と、を形成する。この時点において、負極電極200の第1方向Xの長さは、正極電極100の第1方向Xの長さより一定の長さだけ長くなっている。このため、仮に、この時点における正極電極100及び負極電極200を用いて積層体10を形成すると、第1方向Xの正方向側及び負方向側における正極電極100の外縁と負極電極200の外縁との間の第1方向Xのずれが比較的大きくなる。
【0029】
次いで、負極電極200のうち負極タブ212の第2方向Yの両側部分を切断等によって除去する。すなわち、負極電極200の外縁のうち、少なくとも、第1接着部材410によって覆われる部分に切欠きが設けられる。この場合、当該切欠きが設けられていない場合と比較して、正極電極100及び負極電極200を用いて積層体10を形成したとき、正極電極100の外縁のうち第1接着部材410によって覆われる部分と、負極電極200の外縁のうち第1接着部材410によって覆われる部分と、の間の第1方向Xのずれを小さくすることができる。
【0030】
次いで、セパレータ300が、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過して折り返しながら延伸するように複数の正極電極100及び複数の負極電極200を重ね合わせる。これによって、積層体10が形成される。
【0031】
次いで、積層体10の第1方向Xの正方向側及び負方向側の側面に第1接着部材410を設け、積層体10の第2方向Yの正方向側及び負方向側の側面に第2接着部材420を設ける。負極電極200の外縁に上記切欠きが設けられている場合、負極電極200の外縁に上記切欠きが設けられていない場合と比較して、正極電極100の第1方向Xの正方向側又は負方向側の外縁と、負極電極200の第1方向Xの正方向側又は負方向側の外縁と、を第1接着部材410に沿って実質的に揃えやすくすることができる。
【0032】
以上のようにして、電池20が製造される。
【0033】
なお、電池20の製造方法は上述した例に限定されない。例えば、複数の正極電極100と複数の負極電極200とを重ね合わせて積層体10を形成した後に、複数の負極電極200のうち負極タブ212の第2方向Yの両側部分を切断等によってまとめて除去することで、正極電極100の外縁のうち第1接着部材410によって覆われる部分と、負極電極200の外縁のうち第1接着部材410によって覆われる部分と、の間の第1方向Xのずれを小さくしてもよい。
【0034】
図4は、
図3の変形例を示す図である。
図4に示すように、セパレータ300の第1方向Xの負方向側の端部が正極電極100の第1方向Xの負方向側の端部と第1接着部材410との間の隙間に巻き込まれて当該隙間に入り込む場合がある。本変形例においても、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた外縁は、第1方向Xにおいて、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた外縁に対して、負極電極200の厚さの上述した範囲に位置している。この場合、負極電極200のうち第1接着部材410によって覆われた外縁が、第1方向Xにおいて、正極電極100のうち第1接着部材410によって覆われた外縁から上述した範囲を超えてずれている場合と比較して、第1接着部材410が正極電極100の外縁及び負極電極200の外縁の双方に接着しやすくなり、積層体10の側面に第1接着部材410を強固に接着することができる。
【0035】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0036】
例えば、本実施形態では、負極電極200の面積が正極電極100の面積より大きくなっている。しかしながら、正極電極100の面積が負極電極200の面積より大きくなっていてもよい。つまり、負極電極200は、第1電極となってもよく、正極電極100は、第1電極より面積が大きい第2電極となってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、セパレータ300は、隣り合う正極電極100と負極電極200との間を通過して折り返しながら延伸している。しかしながら、隣り合う正極電極100と負極電極200との間に各セパレータ300が配置されるように複数のセパレータ300が設けられていてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、正極電極100の第1方向Xの正方向側又は負方向側の外縁と、負極電極200の第1方向Xの正方向側又は負方向側の外縁と、を実質的に揃えることで、積層体10の第1方向Xの正方向側又は負方向側の側面に第1接着部材410が強固に接着されている。しかしながら、隣り合う正極電極100と負極電極200との間に各セパレータ300が配置されるように複数のセパレータ300が設けられる等して複数の正極電極100のいずれの第2方向Yの正方向側及び負方向側の側面と、複数の負極電極200のいずれの第2方向Yの正方向側及び負方向側の側面と、がセパレータ300から露出する場合、正極電極100の第2方向Yの正方向側又は負方向側の外縁と、負極電極200の第2方向Yの正方向側又は負方向側の外縁と、を実質的に揃えることで、積層体10の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面に第2接着部材420が強固に接着されるようにしてもよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1電極と、前記第1電極より面積が大きい第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とを互いに隔てるセパレータと、を有する積層体と、
前記積層体の側面に設けられた第1接着部材と、
を備え、
前記第2電極のうち前記第1接着部材によって覆われた外縁が、前記第1電極のうち前記第1接着部材によって覆われた外縁に対して、前記積層体から前記第1接着部材に向かう方向又は前記第1接着部材から前記積層体に向かう方向において、前記第2電極の厚さの0%以上200%以下の距離の範囲に位置している、電池。
2. 前記第1接着部材が、前記積層体の前記側面のうち前記第1電極又は前記第2電極に接続されたタブが設けられた部分と同じ側に向けられた部分に設けられている、1.に記載の電池。
3. 前記積層体の前記側面のうち前記第1電極又は前記第2電極に接続されたタブが設けられた部分からその反対側までの長さが、前記積層体の前記側面のうち前記第1電極又は前記第2電極のタブが設けられた部分の側方に向けられた部分からその反対側の部分までの長さより長い、1.又は2.に記載の電池。
4. 前記セパレータが、隣り合う前記第1電極と前記第2電極との間を通過して折り返しながら延伸している、1.~3.のいずれか一つに記載の電池。
5. 前記セパレータがセラミックを含む、1.~4.のいずれか一つに記載の電池。
6. 前記第1電極に接続されたタブと前記第2電極に接続されたタブとが前記積層体の反対側に位置している、1.~5.のいずれか一つに記載の電池。
7. 前記積層体の前記側面のうち前記第1電極又は前記第2電極に接続されたタブが設けられた部分の側方に向けられた部分に設けられた第2接着部材をさらに備える、1.~6.のいずれか一つに記載の電池。
8. 前記第1電極が正極電極であり、前記第2電極が負極電極である、1.~7.のいずれか一つに記載の電池。
【0039】
この出願は、2020年10月29日に出願された日本出願特願2020-181185号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0040】
10 積層体
20 電池
100 正極電極
112 正極タブ
200 負極電極
212 負極タブ
300 セパレータ
410 第1接着部材
420 第2接着部材
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向