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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/76 20060101AFI20241114BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20241114BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 21/762 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L21/76 S
H10B12/00 671B
H01L29/78 301R
H01L21/76 D
H01L21/76 L
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022562320
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022105152
(87)【国際公開番号】W WO2023245760
(87)【国際公開日】2023-12-28
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】202210726332.2
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ゼン イージー
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106531680(CN,A)
【文献】特開2011-097015(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103811543(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0052055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76
H10B 12/00
H01L 21/336
H01L 21/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
基板と、
前記基板内に位置する第1隔離溝と、
前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う第1絶縁層と、
前記第1隔離溝の側壁の上部を覆う第2絶縁層と、
少なくとも一部が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に位置して、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を隔離する第3絶縁層と、を備え
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の材料は窒化物を含み、前記第3絶縁層の材料は酸化物を含み、前記第2絶縁層の厚さは前記第1絶縁層の厚さより小さいことを特徴とする
半導体構造。
【請求項2】
前記第1絶縁層の高さの前記第2絶縁層の高さに対する比の範囲は、2~6であり、前記第3絶縁層の前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に位置する部分の厚さと、前記第2絶縁層の高さとの比の範囲は、0.3~0.7であり、前記第1絶縁層の高さは、前記第1隔離溝の側壁の下部を覆う前記第1絶縁層の側壁の、前記基板に近い底面と前記基板から離れる上面との間の高さであり、前記第2絶縁層の高さは、前記第2絶縁層の、前記基板に近い底面と前記基板から離れる上面との間の高さであることを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の厚さは、いずれも5~30nmである、ことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記第1隔離溝の内壁と前記第1絶縁層との間に位置し、前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う第4絶縁層と、
前記第1絶縁層によって前記第1隔離溝内で形成された凹部を充填する第1充填層と、をさらに備える、ことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記第3絶縁層は、底層及び側壁層を含み、前記底層は、前記第4絶縁層、前記第1絶縁層及び前記第1充填層の最上部を覆い、前記側壁層は、前記第1隔離溝の上部側壁と前記第2絶縁層との間に位置する、ことを特徴とする
請求項に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記第2絶縁層と前記第3絶縁層の前記底層とによって前記第1隔離溝内で形成された凹部を充填する第2充填層をさらに備える、ことを特徴とする
請求項に記載の半導体構造。
【請求項7】
第1サブ溝及び第2サブ溝を含む第2隔離溝をさらに備え、前記第2サブ溝の幅は前記第1サブ溝の幅よりも大きい、ことを特徴とする
請求項に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記第4絶縁層は、前記第2サブ溝の底面及び側壁の下部を覆い、前記第1絶縁層は、前記第4絶縁層によって前記第2サブ溝内で形成された凹部を充填し、
前記第3絶縁層は、前記第2サブ溝の側壁の上部及び前記第4絶縁層と前記第1絶縁層の最上部を覆い、
前記第2充填層は、前記第3絶縁層によって前記第2サブ溝内で形成された凹部を充填する、ことを特徴とする
請求項に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記第1隔離溝は、素子中核領域又は周辺領域に位置し、選択トランジスタを隔離するために用いられ、
前記第2隔離溝は、素子ユニット領域に位置し、メモリセルを隔離するために用いられる、ことを特徴とする
請求項に記載の半導体構造。
【請求項10】
半導体構造の製造方法であって、
基板を提供することと、
前記基板をエッチングして第1隔離溝を形成することと、
第1絶縁層を形成することであって、前記第1絶縁層は、前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆うことと、
前記第1絶縁層の上方に第3絶縁層を形成することであって、前記第3絶縁層は少なくとも前記第1絶縁層の最上部を覆うことと、
前記第3絶縁層の上方に第2絶縁層を形成することであって、前記第2絶縁層は前記第1隔離溝の側壁の上部を覆い、前記第3絶縁層は前記第1絶縁層と前記第2絶縁層を隔離することと、を含み、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の材料は窒化物を含み、前記第3絶縁層の材料は酸化物を含み、前記第2絶縁層の厚さは前記第1絶縁層の厚さより小さい、
半導体構造の製造方法。
【請求項11】
前記基板をエッチングして第1隔離溝を形成するステップは、
前記基板をエッチングして第2隔離溝を形成することをさらに含み、前記第2隔離溝は第1サブ溝及び第2サブ溝を含み、前記第2サブ溝の幅は、前記第1サブ溝の幅よりも大きいことを特徴とする
請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
第1絶縁層を形成する前に、前記方法は、
第4絶縁材料層を形成することをさらに含み、前記第4絶縁材料層は、前記第1隔離溝及び前記第2サブ溝の内面を覆い、前記第1サブ溝を充填する、ことを特徴とする
請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
第1絶縁層を形成することは、
第1絶縁材料層を形成することであって、前記第1絶縁材料層は前記第4絶縁材料層を覆い、前記第2サブ溝に満杯に充填されることと、
第1充填材料層を形成することであって、前記第1充填材料層は、前記第1絶縁材料層を覆い、前記第1隔離溝に満杯に充填されることと、
前記第1絶縁材料層、前記第4絶縁材料層及び前記第1充填材料層の最上部を前記基板の上面よりも低くするように、前記第1充填材料層、前記第1絶縁材料層及び前記第4絶縁材料層をエッチングすることによって、第1絶縁層、第4絶縁層及び第1充填層を形成することと、を含むことを特徴とする
請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
第3絶縁層を形成することは
第3絶縁材料層を形成することと、
前記第3絶縁材料層をエッチングして、前記第4絶縁層、前記第1絶縁層と前記第1充填層の最上部及び前記第1隔離溝と前記第2サブ溝の側壁の上部を覆う第3絶縁層を形成することと、を含み、前記第3絶縁層の前記第1隔離溝内の部分によって第1収容キャビティが形成され、前記第3絶縁層の前記第2サブ溝内の部分によって第2収容キャビティが形成されることを特徴とする
請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
第2絶縁層を形成することは
第2絶縁材料層を形成することであって、前記第2絶縁材料層は、前記第1収容キャビティの底面及び側壁を覆い、前記第2収容キャビティに満杯に充填されることと、
前記第2絶縁材料層をエッチングし、前記第2収容キャビティ内に位置する第2絶縁材料層と、前記第1収容キャビティの底面を覆う第2絶縁材料層とを除去することによって、前記第1収容キャビティの側壁を覆う第2絶縁層を形成することと、を含むことを特徴とする
請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記第2絶縁層を形成した後、前記方法は、
前記第3絶縁層及び前記第2絶縁層の上方に第2充填材料層を形成することであって、前記第2充填材料層は前記第1収容キャビティ及び前記第2収容キャビティに完全に充填されることと、
前記第2充填材料層の最上部が前記第2絶縁層の最上部と面一になるように前記第2充填材料層をエッチングすることによって、第2充填層を形成することと、をさらに含むことを特徴とする
請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本開示は、出願番号が202210726332.2であり、出願日が2022年06月23日であり、発明の名称が「半導体構造及びその製造方法」である中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全ての内容が参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体製造分野に関し、特に半導体構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体構造は、通常、基板と、基板に配置された複数のトランジスタと、複数のトランジスタを隔離するための基板内に位置する隔離構造とを備える。トランジスタは、通常平面ゲート構造を採用しており、そのゲート構造と隔離構造とが交差している部分を有する。
【0004】
しかし、半導体構造の小型化と高集積度への継続的な発展に伴い、トランジスタのチャネル領域間の電界が急速に増加することによって、多くのホットエレクトロンが生成され、ホットエレクトロンによって誘発されるパンチスルー(HEIP:Hot Electron Induced Punch Through)効果をもたらし、ホットエレクトロンが隔離構造内にトラップされるため、トランジスタのターンオフ特性を劣化させ、半導体構造の性能を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施例は、半導体構造を提供する。該半導体構造は、
基板と、
前記基板内に位置する第1隔離溝と、
前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う第1絶縁層と、
前記第1隔離溝の側壁の上部を覆う第2絶縁層と、
少なくとも一部が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に位置して、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を隔離する第3絶縁層と、を備える。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の材料は窒化物を含み、前記第3絶縁層の材料は酸化物を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層の高さの前記第2絶縁層の高さに対する比の範囲は、2~6であり、前記第3絶縁層の前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に位置する部分の高さと、前記第2絶縁層の高さとの比の範囲は、0.3~0.7である。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の厚さは、いずれも5~30nmである。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1隔離溝の内壁と前記第1絶縁層との間に位置し、前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う第4絶縁層と、
前記第1絶縁層によって前記第1隔離溝内で形成された凹部を充填する第1充填層と、をさらに備える。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第3絶縁層は、底層及び側壁層を含み、前記底層は、前記第4絶縁層、前記第1絶縁層及び前記第1充填層の最上部を覆い、前記側壁層は、前記第1隔離溝の上部側壁と前記第2絶縁層との間に位置する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第2絶縁層と前記第3絶縁層の前記底層とによって前記第1隔離溝内で形成された凹部を充填する第2充填層をさらに備える。
【0012】
いくつかの実施例では、第1サブ溝及び第2サブ溝を含む第2隔離溝をさらに備え、前記第2サブ溝の幅は前記第1サブ溝の幅よりも大きい。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第4絶縁層は、前記第2サブ溝の底面及び側壁の下部を覆い、前記第1絶縁層は、前記第4絶縁層によって前記第2サブ溝内で形成された凹部を充填し、前記第3絶縁層は、前記第2サブ溝の側壁の上部及び前記第4絶縁層と前記第1絶縁層の最上部を覆い、前記第2充填層は、前記第3絶縁層によって前記第2サブ溝内で形成された凹部を充填する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1隔離溝は、素子中核領域又は周辺領域に位置し、選択トランジスタを隔離するために用いられ、前記第2隔離溝は、素子ユニット領域に位置し、メモリセルを隔離するために用いられる。
【0015】
本開示の実施例は、半導体構造の製造方法をさらに提供する。該半導体構造の製造方法は、
基板を提供することと、
前記基板をエッチングして第1隔離溝を形成することと、
第1絶縁層を形成することであって、前記第1絶縁層は、前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆うことと、
前記第1絶縁層の上方に第3絶縁層を形成することであって、前記第3絶縁層は少なくとも前記第1絶縁層の最上部を覆うことと、
前記第3絶縁層の上方に第2絶縁層を形成することであって、前記第2絶縁層は前記第1隔離溝の側壁の上部を覆い、前記第3絶縁層は前記第1絶縁層と前記第2絶縁層を隔離することと、を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記基板をエッチングして第1隔離溝を形成する同じステップは、
前記基板をエッチングして第2隔離溝を形成することをさらに含み、前記第2隔離溝は第1サブ溝及び第2サブ溝を含み、前記第2サブ溝の幅は、前記第1サブ溝の幅よりも大きい。
【0017】
いくつかの実施例では、第1絶縁層を形成する前に、前記方法は、
第4絶縁材料層を形成することをさらに含み、前記第4絶縁材料層は、前記第1隔離溝及び前記第2サブ溝の内面を覆い、前記第1サブ溝を充填する。
【0018】
いくつかの実施例では、第1絶縁層を形成することは、
第1絶縁材料層を形成することであって、前記第1絶縁材料層は前記第4絶縁材料層を覆い、前記第2サブ溝に満杯に充填されることと、
第1充填材料層を形成することであって、前記第1充填材料層は、前記第1絶縁材料層を覆い、前記第1隔離溝に満杯に充填されることと、
前記第1絶縁材料層、前記第4絶縁材料層及び前記第1充填材料層の最上部を前記基板の上面よりも低くするように、前記第1充填材料層、前記第1絶縁材料層及び前記第4絶縁材料層をエッチングすることによって、第1絶縁層、第4絶縁層及び第1充填層を形成することと、を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、第3絶縁層を形成することは
第3絶縁材料層を形成することと、
前記第3絶縁材料層をエッチングして、前記第4絶縁層、前記第1絶縁層と前記第1充填層の最上部及び前記第1隔離溝と前記第2サブ溝の側壁の上部を覆う第3絶縁層を形成することと、を含み、前記第3絶縁層の前記第1隔離溝内の部分によって第1収容キャビティが形成され、前記第3絶縁層の前記第2サブ溝内の部分によって第2収容キャビティが形成される。
【0020】
いくつかの実施例では、第2絶縁層を形成することは
第2絶縁材料層を形成することであって、前記第2絶縁材料層は、前記第1収容キャビティの底面及び側壁を覆い、前記第2収容キャビティに満杯に充填されることと、
前記第2絶縁材料層をエッチングし、前記第2収容キャビティ内に位置する第2絶縁材料層と、前記第1収容キャビティの底面を覆う第2絶縁材料層とを除去することによって、前記第1収容キャビティの側壁を覆う第2絶縁層を形成することと、を含む。
【0021】
いくつかの実施例では、前記第2絶縁層を形成した後、前記方法は、
前記第3絶縁層及び前記第2絶縁層の上方に第2充填材料層を形成することであって、前記第2充填材料層は前記第1収容キャビティ及び前記第2収容キャビティに完全に充填されることと、
前記第2充填材料層の最上部が前記第2絶縁層の最上部と面一になるように前記第2充填材料層をエッチングすることによって、第2充填層を形成することと、をさらに含む。
【0022】
本開示の実施例は、半導体構造及びその製造方法を提供し、前記半導体構造は、基板と、前記基板内に位置する第1隔離溝と、前記第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う第1絶縁層と、前記第1隔離溝の側壁の上部を覆う第2絶縁層と、少なくとも一部が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に位置して、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層を隔離する第3絶縁層と、を備える。本開示の実施例は、第3絶縁層を使用して第1絶縁層と第2絶縁層を隔離し、これにより、第1絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンと第2絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンを隔離し、第2絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンが第1絶縁層に流れ込むのを防止し、第1絶縁層内に蓄積されるホットエレクトロンの数を減少させることができ、しかも第1絶縁層及び第2絶縁層は隔離されており、第1絶縁層及び第2絶縁層が隔離されていない場合と比較して、第1絶縁層及び第2絶縁層のホットエレクトロンを蓄積するキャリアが減少しているため、蓄積できるホットエレクトロンが少なくなるため、HEIP効果を効果的に緩和することができる。
【0023】
本開示の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の添付図面及び説明に記載される。本開示の他の特徴及び利点は、明細書の図面及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施例による半導体構造の平面概略図である。
図2図1のA-A’線、B-B’線に沿った断面構造概略図である。
図3】本開示の実施例による半導体構造の製造方法のフローチャートである。
図4】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図5】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図6】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図7】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図8】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図9】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図10】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図11】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
図12】本開示の実施例による半導体構造のプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例に必要な添付図面を簡単に紹介する。明らかに、上記に記載された図面は、本開示のいくつかの実施例にすぎない。当業者にとっては、創造的な労働なしに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0026】
以下に図面を参照しながら本開示に開示された例示的な実施形態をより詳細に説明する。本開示の例示的な実施形態が図面に示されているが、本開示は様々な形態で実現されてもよく、本明細書に記載の具体的な実施形態によって限定されるべきではないことを理解されたい。逆に、これらの実施形態は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることができるように提供される。
【0027】
以下の説明では、本開示をより完全に理解することができるように提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者にとっては、本開示がこれらの1つ又は複数の細部が記載されなくても実施され得ることが明らかである。他の例では、当技術分野におけるいくつかの公知の技術的特徴は、本開示を紛らわしくならないように割愛している。即ち、本明細書では、実際の実施例のすべての特徴を記載することがなく、公知の機能及び構造を詳しく説明しない。
【0028】
明確にするために、図面において、層、領域、素子のサイズ及びそれらの相対的なサイズは、誇張されている可能性がある。すべての図面における同じ符号は同じ素子を表す。
【0029】
素子又は層が、「…上にある」、「…に隣接する」、他の素子又は層「に接続される」又は「に結合される」と記載される場合、それは直接的に他の素子又は層上にあってもよく、他の素子又は層に隣接してもよく、他の素子又は層に接続され又は結合されてもよく、又は介在する素子又は層が存在し得ることを理解すべきである。逆に、素子が「直接…上にある」、「…に直接隣接する」、他の素子又は層「に直接接続される」又は「に直接結合される」と記載される場合、介在する素子又は層は存在しないと意味する。第1、第2、第3などの用語は、さまざまな素子、部品、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用されてもよいが、これらの素子、部品、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって制限されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、一つの素子、部品、領域、層、又はセクションを別の素子、部品、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、下記に記載される第1素子、部品、領域、層又はセクションは、本開示の教示から逸脱することなく、第2素子、部品、領域、層又はセクションとして表すことができる。第2素子、部品、領域、層又はセクションと記載されても、第1素子、部品、領域、層又はセクションが本開示に必ず存在することを意味しているわけではない。
【0030】
「…下に」、「…下で」、「下の」、「…の下に」、「…の上に」、「上の」などの空間関係用語は、本明細書では説明の便宜のために使用され、図に示された1つの素子又は特徴と他の素子又は特徴との関係を表す。空間関係用語は、図に示される方向に加えて、使用及び操作中の装置の異なる方向をさらに包含することを意図することを理解すべきである。例えば、図面の装置が反転すると、次に、他の素子の「下に」又は「その下に」又は「その下で」と記述された素子又は特徴の方向は、他の素子又は特徴の「上」である。したがって、例示的な「…下に」及び「…下で」という用語は、上方向及び下方向の両方を包含することができる。装置は別の方向に向けられてもよく(90度回転又は他の方向に向けられる)、本明細書で使用される空間記述用語はそれに応じて解釈される。
【0031】
本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明することだけを目的としており、本開示を限定しない。本明細書で使用されるとき、単数形の「1」、「1つ」、及び「前記/該」は、文脈が他の方式を明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図している。「構成する」及び/又は「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、前記特徴、整数、ステップ、操作、素子及び/又は部品の存在を決定するが、1つ又はより多くの他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品、及び/又は組の存在又は追加を排除しないことも理解されたい。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0032】
半導体構造は、通常、基板と、基板に配置された複数のトランジスタと、複数のトランジスタを隔離するための基板内に位置する隔離溝と、隔離溝内に位置する隔離構造とを備える。トランジスタは、通常平面ゲート構造を採用しており、そのゲート構造と隔離構造とが交差している部分を有する。隔離構造は、通常、隔離溝の内壁を覆う酸化物層と、酸化物層を覆う窒化物層と、隔離溝を充填する充填層を含む。
【0033】
しかし、小型化と高集積度に向けた半導体構造の継続的な発展に伴い、トランジスタのチャネル領域間の電界が急速に増加し、さらに多くのホットエレクトロンが生成され、高エネルギー電子をトラップする能力を有する窒化物層内にトラップされる。トラップされたホットエレクトロンは、正孔を吸引して隔離構造に隣接する基板内に集中させ、トランジスタの有効なチャネル長を元の長さよりも小さくする。それによって、トランジスタのゲート構造に電圧を印加しなくても、電流を流すことがあり、これにより、トランジスタのターンオフ特性を劣化させ、トランジスタの漏れ電流が増加し、半導体構造の性能を低下させる。これは、ホットエレクトロンによって誘発されるパンチスルー(HEIP:Hot Electron Induced Punch Through)効果である。
【0034】
通常、HEIP効果は、酸化物層の厚さを増加させて窒化物層と基板との間の距離を増加させることによって緩和されるが、これは、隔離構造を形成するプロセスの難しさが上昇する。
【0035】
これに基づき、本開示の実施形態の以下の技術的解決策が提案される。以下、本開示の具体的な実施形態は、図面を参照して詳細に説明される。本開示の実施例を詳細に説明するとき、説明の便宜のために、概略図は一般的な比例によらず部分的に拡大するが、該概略図は例だけであり、ここで本開示の保護範囲を限定すべきではない。
【0036】
図1は本開示の実施例による半導体構造の平面概略図であり、図2は、図1のA-A’線、B-B’線に沿った断面構造概略図である。以下、図1図2を参照して本開示の実施例による半導体構造をさらに説明する。
【0037】
図に示すように、半導体構造は、基板10と、基板10内に位置する第1隔離溝11と、第1隔離溝11の底面及び側壁の下部を覆う第1絶縁層13と、第1隔離溝11の側壁の上部を覆う第2絶縁層16と、少なくとも一部が第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置して、第1絶縁層13及び第2絶縁層16を隔離する第3絶縁層15と、を備える。
【0038】
実際の操作では、本開示の実施例による半導体構造は、三次元ダイナミックランダムアクセスメモリ(3D DRAM)であってもよいが、これに限定されなく、半導体構造は、任意の半導体構造であってもよい。
【0039】
基板は、半導体基板であってもよく、少なくとも1つの単一材質半導体材料(例えば、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板)、少なくとも1つのIII-V化合物半導体材料、少なくとも1つのII-VI化合物半導体材料、少なくとも1つの有機半導体材料又は当技術分野で知られている他の半導体材料を含むことができる。一つの具体的な実施例では、基板はシリコン基板であり、シリコン基板は、他の物質を混ぜ合わせたものであっても良く、混ぜ合わせていないものであっても良い。
【0040】
一実施例では、基板10は、素子ユニット領域101と、素子中核領域又は周辺領域102とを含む。いくつかの実施例では、第1隔離溝11は、素子中核領域又は周辺領域102に位置し、選択トランジスタを隔離するために使用される。具体的には、第1隔離溝11は、素子中核領域又は周辺領域102に少なくとも1つの第1アクティブ領域AA1を規定し、実際の操作では、平面ゲート構造を有するP型トランジスタ又はN型トランジスタのような選択トランジスタが、第1アクティブ領域AA1上に形成され得る。
【0041】
一実施例において、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料は窒化物を含む。本開示の実施例では、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料として窒化物を使用し、これにより、トランジスタのチャネル領域の引張応力又は圧縮応力を必要に応じて増加させることができ、それによって、トランジスタの応力に対する要求を満たし、トランジスタのチャネル領域のキャリアの移動度を向上させる。具体的には、引張応力はチャネル領域で引張歪みを形成することによって、N型トランジスタの電子移動度を増加させることができ、圧縮応力はチャネル領域で圧縮歪みを形成することによって、P型トランジスタの正孔移動度を増加させることができる。第1絶縁層13と第2絶縁層16の材料は同じでも異なってもよい。1つの具体的な実施例では、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料は、同じであり、例えば窒化シリコンである。しかし、これに限定されなく、上記の応力要求を満たす任意の材料を、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料として使用することができる。第3絶縁層15の材料は、酸化物、例えば酸化シリコンを含む。
【0042】
第1絶縁層13及び第2絶縁層16は、ホットエレクトロンをトラップする能力を有する。本開示の実施例は、第3絶縁層15を使用して第1絶縁層13と第2絶縁層16を隔離し、これにより、第1絶縁層13内にトラップされたホットエレクトロンと第2絶縁層16内にトラップされたホットエレクトロンを隔離し、第2絶縁層16内にトラップされたホットエレクトロンが第1絶縁層13に流れ込むのを防止し、第1絶縁層13内に蓄積されるホットエレクトロンの数を減少させ、しかも、第1絶縁層13及び第2絶縁層16は隔離されており、第1絶縁層13及び第2絶縁層16が隔離されていない場合と比較して、第1絶縁層13及び第2絶縁層16でホットエレクトロンを蓄積するキャリアが減少しているため、蓄積できるホットエレクトロンが少なくなるため、HEIP効果を効果的に緩和することができる。
【0043】
第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比は、大きすぎず小さすぎないようにすべきである。第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比が大きすぎる場合、第1絶縁層13が第1隔離溝11の上部まで延び、第1絶縁層13に蓄積されたホットエレクトロンが比較的に多くなり、第1アクティブ領域AA1の上部に比較的多くの正孔が集まるため、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比が小さすぎる場合、第1隔離溝11の上部に位置する第2絶縁層16の高さが比較的に高く、第2絶縁層16で比較的に多くのホットエレクトロンをトラップすることになり、第1アクティブ領域AA1の上部には比較的に多くの正孔が集まるため、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。一実施例において、第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比の範囲は、2~6であり、具体的には、例えば、3、4、5などである。
【0044】
第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さは、大きすぎず小さすぎないようにすべきである。第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さが大きすぎる場合、第1絶縁層13と第2絶縁層16の高さの和が比較的小さいため、第1絶縁層13と第2絶縁層16が基板10の応力を高める効果が減弱される。第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さが小さすぎる場合、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。一実施例では、第3絶縁層15の第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さと、第2絶縁層16の高さとの比の範囲は、0.3~0.7であり、具体的には、例えば、0.4、0.5、0.6などである。
【0045】
一実施例において、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の厚さは5~30nmである。いくつかの実施例では、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の厚さは10~25nmである。1つの具体的な実施例では、第1絶縁層13の厚さは第2絶縁層16の厚さよりも大きく、第2絶縁層16は比較的薄い厚さを有するため、第1絶縁層13に蓄積され得るホットエレクトロンはより少なく、HEIP効果を効果的に緩和する。
【0046】
一実施例では、半導体構造は、第1隔離溝11の内壁と第1絶縁層13との間に位置し、第1隔離溝11の底面及び側壁の下部を覆う第4絶縁層18と、第1絶縁層13によって第1隔離溝11内で形成された凹部S1を充填する第1充填層14とをさらに備える。第4絶縁層18の材料は、第3絶縁層15の材料と同じあってもよく、例えば酸化シリコンであってもよい。第1充填層14の材料は、酸化シリコンなどの酸化物であってもよい。
【0047】
一実施例において、第3絶縁層15は、底層151及び側壁層152を含み、底層151は、第4絶縁層18、第1絶縁層13及び第1充填層14の最上部を覆う。側壁層152は、第1隔離溝11の上部側壁と第2絶縁層16との間に位置する。いくつかの実施例では、第3絶縁層15は基板10の上面も覆う。
【0048】
本開示の実施例では、基板10と第1絶縁層13、第2絶縁層16との間に第4絶縁層18、第3絶縁層15を設置して、基板10を第1絶縁層13、第2絶縁層16から隔離することにより、HEIP効果をさらに緩和することができる。また、本開示の実施例では、第3絶縁層15を用いて第1絶縁層13と第2絶縁層16とを隔離することにより、HEIP効果が効果的に緩和されるため、第4絶縁層18と第3絶縁層15の厚さを余分に厚くする必要はなく、プロセスを単純化し、プロセスウィンドウを高める。
【0049】
一実施例では、半導体構造は、第2充填層17をさらに含み、第2充填層17は、第2絶縁層16と第3絶縁層15の底層151とによって第1隔離溝11内で形成された凹部S2を充填する。第2充填層17の材料は、第1充填層14の材料と同じであってもよく、例えば、酸化シリコンである。
【0050】
一実施例では、半導体構造は、第2隔離溝12をさらに含み、第2隔離溝12は、第1サブ溝121及び第2サブ溝122を含み、第2サブ溝122の幅は第1サブ溝121の幅よりも大きい。具体的には、第2隔離溝12は、素子ユニット領域101に位置し、メモリセルを隔離するために用いられ、素子ユニット領域101内に互いに平行に配列された複数の第2アクティブ領域AA2を画定する。実際の操作では、第1隔離溝11及び第2隔離溝12は、同じプロセスステップで形成され、第1隔離溝11の幅は、第1サブ溝121、第2サブ溝122の幅よりも大きい。第1隔離溝11、第2サブ溝122の幅が第1サブ溝121の幅よりも大きいため、同じエッチングプロセス条件では、第1隔離溝11、第2サブ溝122の深さは、第1サブ溝121の深さより大きくなることを理解できる。
【0051】
一実施例において、第4絶縁層18は、第2サブ溝122の底面及び側壁の下部を覆い、第1絶縁層13は、第4絶縁層18によって第2サブ溝122内で形成された凹部S3を充填する。第3絶縁層15は、第2サブ溝122の側壁の上部、第4絶縁層18及び第1絶縁層13の最上部を覆う。第2充填層17は、第3絶縁層15によって第2サブ溝122内で形成された凹部S4を充填する。いくつかの実施例では、第4絶縁層18は第1サブ溝121の下部を充填し、第3絶縁層15は第1サブ溝121の上部を充填する。
【0052】
本開示の実施例は、半導体構造の製造方法をさらに提供し、図3に示すように、該方法は以下のステップ301~305を含む。
【0053】
ステップ301において、基板を提供する。
【0054】
ステップ302において、基板をエッチングして第1隔離溝を形成する。
【0055】
ステップ303において、第1絶縁層を形成し、第1絶縁層は、第1隔離溝の底面及び側壁の下部を覆う。
【0056】
ステップ304において、第1絶縁層の上方に第3絶縁層を形成し、第3絶縁層は少なくとも第1絶縁層の最上部を覆う。
【0057】
ステップ305において、第3絶縁層の上方に第2絶縁層を形成し、第2絶縁層は第1隔離溝の側壁の上部を覆い、第3絶縁層は第1絶縁層と第2絶縁層を隔離する。
【0058】
以下、図4図12図2を参照して本開示の実施例に係る半導体構造の製造方法をさらに詳細に説明し、ここで、図4図12は各プロセスステップの図1のA-A’線、B-B’線に沿った断面構造概略図である。
【0059】
まず、図4に示すように、ステップ301を実行して基板10を提供する。
【0060】
基板は、半導体基板であってもよく、少なくとも1つの単一材質半導体材料(例えば、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板)、少なくとも1つのIII-V化合物半導体材料、少なくとも1つのII-VI化合物半導体材料、少なくとも1つの有機半導体材料又は当技術分野で知られている他の半導体材料を含むことができる。一つの具体的な実施例では、基板はシリコン基板であり、シリコン基板は、他の物質を混ぜ合わせたものであっても良く、混ぜ合わせていないものであっても良い。
【0061】
一実施例では、基板10は、素子ユニット領域101と、素子中核領域又は周辺領域102とを含む。実際の操作では、メモリセルは素子ユニット領域101に形成され、選択トランジスタは素子中核領域又は周辺領域102に形成されることが可能である。
【0062】
次に、ステップ302を実行し、図5に示すように、基板10をエッチングして第1隔離溝11を形成する。
【0063】
具体的には、フォトリソグラフィ及びドライ/ウェットエッチングプロセスを用いて第1隔離溝11を形成することができる。第1隔離溝11は、素子中核領域又は周辺領域102に形成され、素子中核領域又は周辺領域102内に少なくとも1つの第1アクティブ領域AA1を画定し、実際の操作では、後続操作で平面ゲート構造を有するP型トランジスタ又はN型トランジスタのような選択トランジスタが、第1アクティブ領域AA1上に形成され得る。
【0064】
一実施例では、基板10をエッチングして第1隔離溝11を形成するステップは、基板10をエッチングして第2隔離溝12を形成することをさらに含み、第2隔離溝12は第1サブ溝121及び第2サブ溝122を含み、第2サブ溝122の幅は、第1サブ溝121の幅よりも大きい。いくつかの実施例では、第2隔離溝12は、素子ユニット領域101に形成され、素子ユニット領域101内に互いに平行に配列された複数の第2アクティブ領域AA2を画定する。実際の操作では、後続操作で第2アクティブ領域AA2上にメモリセルを形成することができ、第2隔離溝12は、メモリセルを隔離するように用いられる。本開示の実施例では、第1隔離溝11及び第2隔離溝12が同じプロセスステップで形成されるため、1つのマスキングプロセスを減少させることができ、それによってプロセスが単純化される。
【0065】
一実施例において、第1隔離溝11の幅は、第1サブ溝121、第2サブ溝122の幅よりも大きい。第1隔離溝11、第2サブ溝122の幅が第1サブ溝121の幅よりも大きいため、同じエッチングプロセス条件では、第1隔離溝11、第2サブ溝122の深さは、第1サブ溝121の深さより大きくなることを理解できる。
【0066】
次に、ステップ303を実行し、図7図8に示すように、第1絶縁層13を形成し、第1絶縁層13は、第1隔離溝11の底面及び側壁の下部を覆う。
【0067】
一実施例では、図6に示すように、第1絶縁層13を形成する前に、該方法は、第4絶縁材料層18’を形成するステップをさらに含み、第4絶縁材料層18’は、第1隔離溝11及び第2サブ溝122の内面を覆い、第1サブ溝121を充填する。いくつかの実施例では、第4絶縁材料層18’は、基板10の上面にも覆う。第1サブ溝121の深さと幅が比較的小さいため、同じ堆積プロセス条件下では、第4絶縁材料層18’は、第1隔離溝11、第2サブ溝122に満杯に充填されることがなく、第1サブ溝121に満杯に充填されることができるため、最終的に形成された第4絶縁層18が第1サブ溝121の下部に充填されるようにすることを理解できる。第4絶縁材料層18’は、その場水蒸気生成プロセス(ISSG)と原子層堆積(ALD)プロセスの組み合わせで形成することができる。第4絶縁層18の材料は、酸化物、例えば酸化シリコンを含む。
【0068】
再び図7~8を参照すると、第1絶縁層13を形成することは、
第1絶縁材料層13’を形成することであって、第1絶縁材料層13’は第4絶縁材料層18’を覆い、第2サブ溝122に満杯に充填されることと、
第1充填材料層14’を形成することであって、第1充填材料層14’は、第1絶縁材料層13’を覆い、第1隔離溝11に満杯に充填されることと、
第1絶縁材料層13’、第4絶縁材料層18’及び第1充填材料層14’の最上部を基板10の上面よりも低くするように、第1充填材料層14’、第1絶縁材料層13’及び第4絶縁材料層18’をエッチングすることによって、第1絶縁層13、第4絶縁層18及び第1充填層14を形成することと、を含む。
【0069】
第2サブ溝122の幅は、第1隔離溝11よりも小さいため、同じ堆積プロセス条件下では、第1絶縁材料層13’が第1隔離溝11に満杯に充填されることがなく、第2サブ溝122に満杯に充填されることができることを理解できる。第1絶縁材料層13’、第1充填材料層14’は、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、又はそれらの組み合わせによって形成され得る。第1絶縁層13の材料は、窒化シリコンなどの窒化物を含む。第1充填層14の材料は、酸化シリコンなどの酸化物を含む。
【0070】
次に、ステップ304を実行し、図9に示すように、第1絶縁層13の上方に第3絶縁層15を形成し、第3絶縁層15は少なくとも第1絶縁層13の最上部を覆う。
【0071】
具体的には、第3絶縁層15を形成することは、第3絶縁材料層(図示せず)を形成することと、第3絶縁材料層(図示せず)をエッチングして、第4絶縁層18、第1絶縁層13と第1充填層14の最上部及び第1隔離溝11及び第2サブ溝122の側壁の上部を覆う第3絶縁層15を形成することとを含む。第3絶縁層15の第1隔離溝11内の部分によって第1収容キャビティT1が形成され、第3絶縁層15の第2サブ溝122内の部分によって、第2収容キャビティT2が形成される。第3絶縁層15は、基板10の上面も覆う。
【0072】
第1サブ溝121の幅と深さは比較的小さいため、同じ堆積プロセス条件下では、第3絶縁層15によって、第1サブ溝121の第4絶縁層18で充填されていない部分を満杯に充填することができることを理解できる。第3絶縁層15は、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、又はそれらの組み合わせによって形成され得る。第3絶縁層15の材料は、酸化シリコンなどの酸化物を含む。
【0073】
次に、ステップ305を実行し、図10から図11に示すように、第3絶縁層15の上方に第2絶縁層16を形成し、第2絶縁層16は第1隔離溝11の側壁の上部を覆い、第3絶縁層15は、第1絶縁層13と第2絶縁層16とを隔離する。
【0074】
具体的には、第2絶縁層16を形成することは、
第2絶縁材料層16’を形成することであって、第2絶縁材料層16’は、第1収容キャビティT1の底面及び側壁を覆い、第2収容キャビティT2に満杯に充填されることと、
第2絶縁材料層16’をエッチングし、第2収容キャビティT2内の第2絶縁材料層16’と、第1収容キャビティT1の底面を覆う第2絶縁材料層16’とを除去することによって、第1収容キャビティT1の側壁を覆う第2絶縁層16を形成することと、を含む。
【0075】
第2サブ溝122の幅が第1隔離溝11より小さいため、第2収容キャビティT2の幅は、第1収容キャビティT1の幅よりも小さく、同じ堆積プロセス条件下では、第2絶縁材料層16’は、第1収容キャビティT1に満杯に充填されることがなく、第2収容キャビティT2に満杯に充填されることができる。第2絶縁材料層16’は、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、又はそれらの組み合わせによって形成され得る。
【0076】
一実施例では、第2絶縁層16の材料は窒化物を含む。本開示の実施例では、窒化物を第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料として使用し、トランジスタのチャネル領域の引張応力又は圧縮応力を必要に応じて増加させることを可能にし、それによって、トランジスタの応力に対する要求を満たし、トランジスタのチャネル領域のキャリアの移動度を向上させる。具体的には、引張応力はチャネル領域で引張歪みを形成して、N型トランジスタの電子移動度を増加させることができ、圧縮応力はチャネル領域で圧縮歪みを形成することによって、P型トランジスタの正孔移動度を増加させることができる。第1絶縁層13と第2絶縁層16の材料は同じでも異なってもよい。1つの具体的な実施例では、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料は、同じであり、例えば窒化シリコンである。しかし、これに限定されなく、上記の応力要求を満たす任意の材料を、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の材料として使用することができる。
【0077】
第1絶縁層13及び第2絶縁層16は、ホットエレクトロンをトラップする能力を有する。本開示の実施例は、第3絶縁層15を使用して第1絶縁層13と第2絶縁層16を隔離し、これにより、第1絶縁層13内にトラップされたホットエレクトロンと第2絶縁層16内にトラップされたホットエレクトロンを隔離し、特に後の熱処理などのプロセスにおいて、第2絶縁層16内のホットエレクトロンは失われ、第3絶縁層15によって、第2絶縁層16内にトラップされたホットエレクトロンが第1絶縁層13に流れ込むのを防止することができるため、第1絶縁層13に蓄積されるホットエレクトロンの数を減少させることができ、しかも第1絶縁層13及び第2絶縁層16は隔離されており、第1絶縁層13及び第2絶縁層16が隔離されていない場合と比較して、第1絶縁層13及び第2絶縁層16のホットエレクトロンを蓄積するキャリアが減少しているため、蓄積できるホットエレクトロンが少なくなるため、HEIP効果を効果的に緩和することができる。
【0078】
第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比は、大きすぎず小さすぎないようにすべきである。第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比が大きすぎる場合、第1絶縁層13が第1隔離溝11の上部まで延び、第1絶縁層13に蓄積されたホットエレクトロンが比較的に多くなり、第1アクティブ領域AA1の上部に比較的多くの正孔が集まるため、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比が小さすぎる場合、第1隔離溝11の上部に位置する第2絶縁層16の高さが比較的に高く、第2絶縁層16で比較的に多くのホットエレクトロンをトラップすることになり、第1アクティブ領域AA1の上部には比較的に多くの正孔が集まるため、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。一実施例において、第1絶縁層13の高さの第2絶縁層16の高さに対する比の範囲は、2~6であり、具体的には、例えば、3、4、5などである。
【0079】
第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さは、大きすぎず小さすぎないようにすべきである。第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さが大きすぎる場合、第1絶縁層13と第2絶縁層16の高さの和が比較的に小さいため、第1絶縁層13と第2絶縁層16が基板10の応力を高める効果が減弱される。第3絶縁層15の、第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さが小さすぎる場合、HEIP効果を緩和する効果が減弱される。一実施例では、第3絶縁層15の第1絶縁層13と第2絶縁層16との間に位置する部分の高さと、第2絶縁層16の高さとの比の範囲は、0.3~0.7であり、具体的には、例えば、0.4、0.5、0.6などである。
【0080】
一実施例において、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の厚さは5~30nmである。いくつかの実施例では、第1絶縁層13及び第2絶縁層16の厚さは10~25nmである。1つの具体的な実施例では、第1絶縁層13の厚さは第2絶縁層16の厚さよりも大きく、第2絶縁層16は比較的薄い厚さを有するため、第1絶縁層13に蓄積され得るホットエレクトロンはより少なく、HEIP効果を効果的に緩和する。
【0081】
再び図11を参照すると、第4絶縁層18、第3絶縁層15は、基板10を第1絶縁層13、第2絶縁層16から隔離するため、HEIP効果をさらに緩和できる。また、本開示の実施例では、第3絶縁層15を用いて第1絶縁層13と第2絶縁層16とを隔離することにより、HEIP効果が効果的に緩和されるため、第4絶縁層18と第3絶縁層15の厚さを余分に厚くする必要はなく、プロセスを単純化し、プロセスウィンドウを高める。
【0082】
次に、図12及び図2に示すように、第2絶縁層16を形成した後、該方法は、
第3絶縁層15及び第2絶縁層16の上方に第2充填材料層17’を形成することであって、第2充填材料層17’は第1収容キャビティT1及び第2収容キャビティT2に完全に充填されることと、
第2充填材料層17’の最上部が第2絶縁層16の最上部と面一になるように第2充填材料層17’をエッチングすることによって、第2充填層17を形成することと、をさらに含む。
【0083】
なお、当業者は、本開示の保護範囲から逸脱することなく、上記のステップの順序を変更することができ、上記の説明は、本開示の選択可能な実施例にすぎず、本開示の保護範囲を限定するためのものではなく、本開示の精神及び原則の範囲内で行われるいかなる修正、同等の置換及び改良は、全て本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示の実施例は、第3絶縁層を使用して第1絶縁層と第2絶縁層を隔離し、これにより、第1絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンと第2絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンを隔離し、第2絶縁層内にトラップされたホットエレクトロンが第1絶縁層に流れ込むのを防止し、第1絶縁層内に蓄積されるホットエレクトロンの数を減少させることができ、しかも第1絶縁層及び第2絶縁層は隔離されており、第1絶縁層及び第2絶縁層が隔離されていない場合と比較して、第1絶縁層及び第2絶縁層のホットエレクトロンを蓄積するキャリアが減少しているため、蓄積できるホットエレクトロンが少なくなるため、HEIP効果を効果的に緩和することができる。
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