(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】エネルギー変換装置及び車両
(51)【国際特許分類】
H02P 5/46 20060101AFI20241114BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241114BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241114BHJP
B60L 58/25 20190101ALI20241114BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20241114BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241114BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02P5/46 C
B60L9/18 P
B60L50/60
B60L58/25
B60L58/27
H02J7/00 P
H02J7/00 302B
H02J7/04 L
(21)【出願番号】P 2022574705
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2021094356
(87)【国際公開番号】W WO2021244277
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】202010502052.4
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】▲閻▼磊
(72)【発明者】
【氏名】熊永
(72)【発明者】
【氏名】洪臣
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼俊▲偉▼
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213390(JP,A)
【文献】特開2013-187919(JP,A)
【文献】特開2014-078330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/46
B60L 9/18
B60L 50/60
B60L 58/25
B60L 58/27
H02J 7/00
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックに接続された第1電気モータ制御回路と、
前記第1電気モータ制御回路に並列接続された第2電気モータ制御回路と、
第1制御モードで動作する場合、前記第1電気モータ制御回路を制御して前記電池パックに充電及び放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、かつ前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するように構成されたコントローラと
、
前記第1電気モータ制御回路に接続されて第1電池パック加熱回路を形成する第1エネルギー貯蔵モジュールと、
前記第1電気モータ制御回路と前記第1エネルギー貯蔵モジュールとの間に接続された第1スイッチモジュールと、
前記第2電気モータ制御回路に接続されて第2電池パック加熱回路を形成する第2エネルギー貯蔵モジュールと、
前記第2電気モータ制御回路と前記第2エネルギー貯蔵モジュールとの間に接続された第2スイッチモジュールと、
を含
み、
前記第1電気モータ制御回路は、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1バスコンデンサを含み、前記第1モータインバータの第1バス端子が前記電池パックの正極と前記第1バスコンデンサの第1端子に接続され、前記第1モータインバータの第2バス端子が前記電池パックの負極と前記第1バスコンデンサの第2端子に接続され、前記第1モータ巻線の第1端子が前記第1モータインバータに接続され、前記第1エネルギー貯蔵モジュール及び前記第1スイッチモジュールが前記第1モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子との間に接続され、前記第1エネルギー貯蔵モジュールが前記第1スイッチモジュールに直列接続され、
前記第2電気モータ制御回路は、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2バスコンデンサを含み、前記第2モータインバータの第1バス端子が前記電池パックの正極と前記第2バスコンデンサの第1端子に接続され、前記第2モータインバータの第2バス端子が前記電池パックの負極と前記第2バスコンデンサの第2端子に接続され、前記第2モータ巻線の第1端子が前記第2モータインバータに接続され、前記第2エネルギー貯蔵モジュール及び前記第2スイッチモジュールが前記第2モータ巻線の第2端子と前記第2バス端子との間に接続され、前記第2エネルギー貯蔵モジュールが前記第2スイッチモジュールに直列接続され、
前記コントローラは、
第2制御モードで動作する場合、
前記第1スイッチモジュールをオンにし、かつ前記第2スイッチモジュールをオフにすることにより、前記電池パック、前記第1モータインバータ、前記第1モータ巻線、前記第1スイッチモジュール及び前記第1エネルギー貯蔵モジュールが前記第1電池パック加熱回路を形成し、前記電池パック、前記第2バスコンデンサ、前記第2モータインバータ及び前記第2モータ巻線が前記第2電気モータ制御回路を形成し、前記第1電気モータ制御回路を制御して前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、かつ前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力し、
或いは、前記第1スイッチモジュールをオフにし、かつ前記第2スイッチモジュールをオンにすることにより、前記電池パック、前記第2モータインバータ、前記第2モータ巻線、前記第2スイッチモジュール及び前記第2エネルギー貯蔵モジュールが前記第2電池パック加熱回路を形成し、前記電池パック、前記第1バスコンデンサ、前記第1モータインバータ及び前記第1モータ巻線が前記第1電気モータ制御回路を形成し、前記第2電気モータ制御回路を制御して前記第2エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、かつ前記第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力し、
第4制御モードで動作する場合、
前記第1スイッチモジュールをオンにし、かつ前記第2スイッチモジュールをオフにすることにより、前記電池パック、前記第1モータインバータ、前記第1モータ巻線、前記第1スイッチモジュール及び前記第1エネルギー貯蔵モジュールが前記第1電池パック加熱回路を形成し、前記第1電気モータ制御回路を制御して前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、
或いは、前記第1スイッチモジュールをオフにし、かつ前記第2スイッチモジュールをオンにすることにより、前記電池パック、前記第2モータインバータ、前記第2モータ巻線、前記第2スイッチモジュール及び前記第2エネルギー貯蔵モジュールが前記第2電池パック加熱回路を形成し、前記第2電気モータ制御回路を制御して前記第2エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、
或いは、前記第1スイッチモジュールをオンにし、かつ前記第2スイッチモジュールをオンにすることにより、前記電池パック、前記第1モータインバータ、前記第1モータ巻線、前記第1スイッチモジュール及び前記第1エネルギー貯蔵モジュールが前記第1電池パック加熱回路を形成し、前記電池パック、前記第2モータインバータ、前記第2モータ巻線、前記第2スイッチモジュール及び前記第2エネルギー貯蔵モジュールが前記第2電池パック加熱回路を形成し、前記第1電気モータ制御回路を制御して前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、かつ、前記第2電気モータ制御回路を制御して前記第2エネルギー貯蔵モジュールと前記電池パックに充電と放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、
前記コントローラが前記第2制御モードで動作する前に、
前記コントローラは、第4制御モードで動作する場合、駆動指令を受信し、
前記第1電池パック加熱回路が動作状態にあり、かつ前記第2電気モータ制御回路がアイドル状態にある場合、前記電池パックの温度を取得し、前記電池パックの温度が駆動条件を満たさないと検出した場合、前記第2電池パック加熱回路を制御して動作状態にし、前記電池パックの温度が駆動条件を満たすと、前記第2電気モータ制御回路を制御して動作状態にするとともに、トルクを出力することにより、前記第2制御モードに入り、前記電池パックの温度が駆動条件を満たすと検出した場合、前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力することにより、前記第2制御モードに入り、
前記第1電池パック加熱回路及び前記第2電池パック加熱回路がいずれも動作状態にある場合、前記電池パックの温度を取得し、前記電池パックの温度が駆動条件を満たさないと検出した場合、前記第1電池パック加熱回路及び前記第2電池パック加熱回路を制御して前記電池パックを加熱し、前記電池パックの温度が駆動条件を満たすと、前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するか又は前記第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力することにより、前記第2制御モードに入り、前記電池パックの温度が駆動条件を満たすと検出した場合、前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するか又は前記第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力することにより、前記第2制御モードに入るように構成される、
ことを特徴とするエネルギー変換装置。
【請求項2】
前記コントローラは、第3制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力し、及び/又は、前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するように構成される、ことを特徴とする請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項3】
前記第1電池パック加熱回路が動作する場合、前記電池パック、前記第1モータインバータ、前記第1モータ巻線、前記第1スイッチモジュール及び前記第1エネルギー貯蔵モジュールは、第1放電式エネルギー貯蔵回路を形成し、前記第1モータインバータ、前記第1モータ巻線、前記第1スイッチモジュール及び前記第1エネルギー貯蔵モジュールは、第1放電式エネルギー放出回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール、前記第1スイッチモジュール、前記第1モータ巻線及び前記第1モータインバータは、第1充電式エネルギー貯蔵回路を形成し、前記第1エネルギー貯蔵モジュール、前記第1スイッチモジュール、前記第1モータ巻線、前記第1モータインバータ及び前記電池パックは、第1充電式エネルギー放出回路を形成し、
前記第2電池パック加熱回路が動作する場合、前記電池パック、前記第2モータインバータ、前記第2モータ巻線、前記第2スイッチモジュール及び前記第2エネルギー貯蔵モジュールは、第2放電式エネルギー貯蔵回路を形成し、前記第2モータインバータ、前記第2モータ巻線、前記第2スイッチモジュール及び前記第2エネルギー貯蔵モジュールは、第2放電式エネルギー放出回路を形成し、前記第2エネルギー貯蔵モジュール、前記第2スイッチモジュール、前記第2モータ巻線及び前記第2モータインバータは、第2充電式エネルギー貯蔵回路を形成し、前記第2エネルギー貯蔵モジュール、前記第2スイッチモジュール、前記第2モータ巻線、前記第2モータインバータ及び前記電池パックは、第2充電式エネルギー放出回路を形成する、ことを特徴とする請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項4】
前記コントローラが第2制御モードで動作する前に、
前記コントローラは、第3制御モードで動作する場合、加熱指令を受信し、
前記第1電気モータ制御回路がトルクを出力し、かつ前記第2電気モータ制御回路がアイドル状態にある場合、前記第2電池パック加熱回路を制御して動作状態にすることにより、前記第2制御モードに入り、
前記第1電気モータ制御回路及び前記第2電気モータ制御回路がいずれもトルクを出力する場合、前記第2電池パック加熱回路を制御して動作状態にすることにより、前記第2制御モードに入るように構成される、ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
駆動指令を取得し、
前記駆動指令に基づいて動作対象のモータ駆動回路の数を取得し、モータ駆動回路の数に基づいて対応するモータ駆動回路を制御して動作させることにより、第3制御モードに入る、ことを特徴とする請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項6】
前記コントローラは、車両が駐車状態にある場合、前記電池パックの温度を取得し、前記電池パックの温度を所定の温度値と比較し、
比較結果に基づいて動作対象の充放電回路の数を取得し、充放電回路の数に基づいて対応する充放電回路を制御して動作させることにより、第4制御モードに入る、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項7】
前記第1モータインバータと前記第2モータインバータはいずれも、N個のブリッジアームを含み、前記N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、前記N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、前記第1バス端子と前記第2バス端子との間に電池パックが接続され、
前記第1モータ巻線又は前記第2モータ巻線は、N相巻線を含み、前記N相巻線が前記N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの中間点に対応して接続され、前記N相巻線の中性点が前記第1エネルギー貯蔵モジュールの第1端子又は前記第2エネルギー貯蔵モジュールの第1端子に接続され、前記第1エネルギー貯蔵モジュールの第2端子又は前記第2エネルギー貯蔵モジュールの第2端子が前記第2バス端子に接続され、
前記コントローラは、前記N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームを制御して順に循環動作させて前記充放電回路を動作させ、
或いは、前記N個のブリッジアームは、
【数1】
対のブリッジアームを含み、各2つのブリッジアームは、一対のブリッジアームを構成し、前記コントローラは、前記
【数2】
対のブリッジアームのうちの各対のブリッジアームを制御して順に動作させて前記充放電回路を動作させる、ことを特徴とする請求項
6に記載のエネルギー変換装置。
【請求項8】
前記第1電気モータ制御回路は、車両の圧縮機を多重化して構成される、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置を含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年6月4日に提出した、出願の名称が「エネルギー変換装置及び車両」である中国特許出願第「202010502052.4」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、車両の技術分野に属し、特に、エネルギー変換装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギーの広範な使用に伴い、電池パックは、動力源として様々な分野に適用することができる。電池パックは、動力源として使用される環境が異なると、性能も影響を受ける。例えば、電池パックの性能は、低温環境で常温よりも大幅に低下する。例えば、ゼロ温度で電池パックの放電容量は、温度の低下に伴って低下する。-30℃の条件下で、電池パックの放電容量が基本的に0であるため、電池パックは、使用することができない。低温環境で電池パックを使用できるために、電池パックを使用する前に電池パックを予熱する必要がある。
【0004】
しかしながら、従来の技術における電池パックの加熱過程は、モータ駆動過程と共同実行することができないため、駆動機能と加熱機能との共同実行を実現する技術手段が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、複雑な制御過程を必要とせずにモータの駆動と電池の加熱との共同実行を実現するとともに、モータインバータとモータ巻線の過度損失を回避するエネルギー変換装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、以下のように実現される。本願の第1態様に係るエネルギー変換装置は、
電池パックに接続された第1電気モータ制御回路と、
前記第1電気モータ制御回路に並列接続された第2電気モータ制御回路と、
第1制御モードで動作する場合、前記第1電気モータ制御回路を制御して前記電池パックに充電及び放電を行わせて、前記電池パックへの加熱を実現し、かつ前記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するように構成されたコントローラとを含む。
【0007】
本願の第2態様に係る車両は、第1態様に記載のエネルギー変換装置を含む。
【0008】
本願の技術手段によれば、エネルギー変換装置及び車両が提供される。エネルギー変換装置は、第1電気モータ制御回路、第2電気モータ制御回路、第1エネルギー貯蔵モジュール及びコントローラを含み、コントローラは、第1制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路の第1モータインバータを制御することにより、電池パック、第1モータインバータ及び第1モータ巻線が第1電池パック加熱回路を形成し、第1電池パック加熱回路により電池パックの内部抵抗を加熱するとともに、第2電気モータ制御回路の第2モータインバータを制御することにより、第2電気モータ制御回路が動力を出力するように構成されて、電池の加熱とモータの駆動との共同実行を実現し、第1電気モータ制御回路を用いて加熱し、第2電気モータ制御回路を用いて駆動するため、モータ駆動回路のモータ巻線とモータインバータの過度損失が回避され、回路のデバイスの耐用年数が延長される。
【0009】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【0010】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の概略構成図である。
【
図2】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の別の概略構成図である。
【
図3】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の回路図である。
【
図4】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の電流の流れ方向を示す図である。
【
図5】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の電流の流れ方向を示す図である。
【
図6】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の電流の流れ方向を示す図である。
【
図7】本願の実施例1に係るエネルギー変換装置の電流の流れ方向を示す図である。
【
図8】本願の実施例2に係るエネルギー変換装置の概略構成図である。
【
図9】本願の実施例2に係るエネルギー変換装置の別の概略構成図である。
【
図10】本願の実施例2に係るエネルギー変換装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0013】
本願の技術手段を説明するために、以下、具体的な実施例により説明する。
【0014】
図1に示すように、本願の実施例1に係るエネルギー変換装置は、
電池パック104に接続された第1電気モータ制御回路101と、
第1電気モータ制御回路101に並列接続された第2電気モータ制御回路102と、
第1制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101を制御して電池パック104に充電及び放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現し、かつ第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力するように構成されたコントローラとを含む。
【0015】
本実施例のエネルギー変換装置は、第1電気モータ制御回路、第2電気モータ制御回路、第1エネルギー貯蔵モジュール及びコントローラを含み、コントローラは、第1制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路の第1モータインバータを制御することにより、電池パック、第1モータインバータ及び第1モータ巻線が第1電池パック加熱回路を形成し、第1電池パック加熱回路により電池パックの内部抵抗を加熱するとともに、第2電気モータ制御回路の第2モータインバータを制御することにより、第2電気モータ制御回路が動力を出力するように構成されて、電池の加熱とモータの駆動との共同実行を実現し、第1電気モータ制御回路を用いて加熱し、第2電気モータ制御回路を用いて駆動するため、モータ駆動回路のモータ巻線とモータインバータの過度損失が回避され、回路のデバイスの耐用年数が延長される。
【0016】
本実施例を基に、他の実施例において、
図2に示すように、該エネルギー変換装置は、第1エネルギー貯蔵モジュール103をさらに含む。
【0017】
第1エネルギー貯蔵モジュール103は、第1電気モータ制御回路101に接続されて第1電池パック加熱回路を形成し、上記コントローラは、第2制御モードで動作する場合、上記第1電気モータ制御回路を制御して上記第1エネルギー貯蔵モジュールと上記電池パックに充電と放電を行わせて、上記電池パックへの加熱を実現し、かつ上記第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するように構成される。
【0018】
本実施例を基に、他の実施例において、第1電気モータ制御回路は、車両の圧縮機を多重化して構成される。
【0019】
本実施例は、圧縮機のブリッジアームコンバータとモータ巻線を多重化して第1電気モータ制御回路を構成することにより、電子部品の使用需要量を減少させ、さらにコストを低減するだけでなく、全体の集積度を向上させる。
【0020】
第1電気モータ制御回路101と第2電気モータ制御回路102は、2つの並列接続された駆動回路であり、いずれも電池パック104に接続され、電池パック104は、それぞれ第1電気モータ制御回路101と第2電気モータ制御回路102に電気エネルギーを出力する場合、第1電気モータ制御回路101と第2電気モータ制御回路102に駆動力を出力させることができる。
【0021】
第1電気モータ制御回路101は、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1バスコンデンサを含み、第1モータインバータを制御することにより、動力出力を実現することができ、第2電気モータ制御回路102は、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2バスコンデンサを含み、第2モータインバータを制御することにより、動力出力を実現することができる。
【0022】
第1エネルギー貯蔵モジュール103は、第1電気モータ制御回路101に接続されて第1電池パック加熱回路を形成し、第1電気モータ制御回路101が第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1バスコンデンサを含む場合、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1エネルギー貯蔵モジュール103は、第1電池パック加熱回路を形成し、第1電池パック加熱回路は、放電回路及び充電回路を含み、放電回路とは、電池パック104が第1モータインバータ及び第1モータ巻線により第1エネルギー貯蔵モジュール103に対して放電を行う回路を指し、このとき、電流は、電池パック104から流出し、第1モータインバータ及び第1モータ巻線を流れて第1エネルギー貯蔵モジュール103に流入して第1エネルギー貯蔵モジュール103に対して充電を行い、充電回路とは、第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1モータ巻線及び第1モータインバータにより電池パック104に対して充電を行う回路を指し、このとき、電流は、第1エネルギー貯蔵モジュール103から流出し、第1モータ巻線及び第1モータインバータを流れて、電池パック104に流入し、電池パック104に内部抵抗が存在するため、放電回路及び充電回路の動作中に、電流が電池パック104に流入し電池パック104から流出することにより、電池パック104の内部抵抗が熱量を発生し、さらに電池パック104の温度が上昇する。
【0023】
上記第1電気モータ制御回路101と第1電池パック加熱回路の具体的な構造から分かるように、第1モータ巻線と第1モータインバータは、それぞれ第1電気モータ制御回路101と第1電池パック加熱回路を構成し、すなわち、第1電気モータ制御回路101と第1加熱回路は、第1モータ巻線と第1モータインバータを多重化することにより、第1モータ巻線と第1モータインバータは、モータ駆動を行うことができるだけでなく、加熱を行うことができ、回路のデバイスの使用効率を向上させ、デバイスを個別に追加させることによる、コストが高すぎ、回路が複雑になるという問題を回避する。
【0024】
コントローラは、第2制御モードで動作する場合、第1モータインバータの少なくとも1つの相ブリッジアームを制御して第1エネルギー貯蔵モジュール103と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104の内部抵抗を発熱させ、かつ第2モータインバータを制御して第2電気モータ制御回路102に駆動力を出力させるように構成され、第2制御モードは、エネルギー変換装置の加熱と駆動を同時に行うように制御するモードである。コントローラは、電池パック104の電圧、電流、温度と、モータ巻線の相電流とを収集することができ、車両コントローラ、モータコントローラの制御回路及び電池パック104のBMSマネージャ回路を含んでもよく、該三者は、CAN線を介して接続され、コントローラの異なるモジュールは、取得された情報に基づいて第1モータインバータの少なくとも1つの相ブリッジアームのオン及びオフを制御して異なる電流回路のオンを実現する。
【0025】
本願の実施例1に係るエネルギー変換装置は、第1電気モータ制御回路101、第2電気モータ制御回路102、第1エネルギー貯蔵モジュール103及びコントローラを含み、コントローラは、第2制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101の第1モータインバータを制御することにより、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1電池パック加熱回路を形成し、第1電池パック加熱回路により電池パック104を加熱するとともに、第2電気モータ制御回路102の第2モータインバータを制御することにより、第2電気モータ制御回路102が動力を出力するように構成されて、エネルギー変換装置の加熱と駆動との同時実行を実現し、第1電気モータ制御回路101を用いて加熱し、第2電気モータ制御回路102を用いて駆動するため、モータ駆動回路のモータ巻線及びモータインバータの過度損失が回避され、回路のデバイスの耐用年数が延長される。
【0026】
一実施形態として、
図2に示すように、エネルギー変換装置は、第1電気モータ制御回路101と第1エネルギー貯蔵モジュール103との間に接続された第1スイッチモジュール105をさらに含み、
コントローラは、第2制御モードで動作する場合、第1スイッチモジュール105を制御してオンにし、第1電気モータ制御回路101を制御して第1エネルギー貯蔵モジュール103と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現し、かつ第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力するように構成される。
【0027】
第1スイッチモジュール105は、コントローラに接続され、コントローラの制御信号に基づいて第1電気モータ制御回路101と第1エネルギー貯蔵モジュール103とを接続するか又は遮断することにより、第1電気モータ制御回路101を加熱機能と駆動機能との間で切り替える。
【0028】
一実施形態として、第1電気モータ制御回路101は、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1バスコンデンサを含み、第1モータインバータの第1バス端子が電池パック104の正極及び第1バスコンデンサの第1端子に接続され、第1モータインバータの第2バス端子が電池パック104の負極と第1バスコンデンサの第2端子に接続され、第1モータ巻線の第1端子が第1モータインバータに接続され、第1エネルギー貯蔵モジュール103及び第1スイッチモジュール105がモータ巻線の第2端子と第2バス端子との間に接続され、第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1スイッチモジュール105に直列接続される。
【0029】
一実施形態として、第2電気モータ制御回路102は、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2バスコンデンサを含み、第2モータインバータの第1バス端子が電池パック104の正極と第2バスコンデンサの第1端子に接続され、第2モータインバータの第2バス端子が電池パック104の負極と第2バスコンデンサの第2端子に接続され、第2モータ巻線の第1端子が第2モータインバータに接続される。
【0030】
第1モータインバータは、M個のブリッジアームを含み、M個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1端子は、共通接続されて第1モータインバータの第1バス端子を形成し、M個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第2端子は、共通接続されて第1モータインバータの第2バス端子を形成し、各ブリッジアームは、直列接続された2つのパワースイッチユニットを含み、パワースイッチユニットは、トランジスタ、IGBT、MOS管などのデバイスタイプであってもよく、各ブリッジアームの中間点は、2つのパワースイッチユニットの間に形成され、第1モータ巻線は、M相巻線を含み、M相巻線のうちの各相巻線の第1端子は、1組のM個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの中間点に一対一に対応して接続され、M相巻線のうちの各相巻線の第2端子は、共通接続されて中性線を形成する。
【0031】
M=3である場合、第1モータインバータは、三相インバータであり、三相インバータは、3個のブリッジアームを含み、3個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1端子は、共通接続されて第1モータインバータの第1バス端子を形成し、1組の3個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第2端子は、共通接続されて第1モータインバータの第2バス端子を形成し、三相インバータは、第1パワースイッチユニット、第2パワースイッチユニット、第3パワースイッチユニット、第4パワースイッチユニット、第5パワースイッチユニット及び第6パワースイッチユニットを含み、第1パワースイッチユニットと第4パワースイッチユニットは、第1ブリッジアームを形成し、第2パワースイッチユニットと第5パワースイッチユニットは、第2ブリッジアームを形成し、第3パワースイッチユニットと第6パワースイッチユニットは、第3ブリッジアームを形成し、第1パワースイッチユニット、第3パワースイッチユニット及び第5パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、三相インバータの第1バス端子を構成し、第2パワースイッチユニット、第4パワースイッチユニット及び第6パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、三相インバータの第2バス端子を構成する。
【0032】
第1モータ巻線は、3相の巻線を含み、3相の巻線のうちの各相の巻線の第1端子は、3つのブリッジアームのうちの各ブリッジアームの中間点に一対一に対応して接続され、3相の巻線のうちの各相の巻線の第2端子は、共通接続されて中性点を形成する。第1相巻線の第1端子は、第1ブリッジアームの中間点に接続され、第2相巻線の第1端子は、第2ブリッジアームの中間点に接続され、第3相巻線の第1端子は、第3ブリッジアームの中間点に接続される。
【0033】
第2モータインバータの構造は、第1モータインバータの構造と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0034】
一実施形態として、第1電池パック加熱回路は、放電式エネルギー貯蔵段階、放電式エネルギー放出段階、充電式エネルギー貯蔵段階及び充電式エネルギー放出段階を含み、第1電池パック加熱回路が放電式エネルギー貯蔵段階にある場合、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103は、放電式エネルギー貯蔵回路を形成し、
第1電池パック加熱回路が放電式エネルギー放出段階にある場合、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105、第1エネルギー貯蔵モジュール103及び第1モータインバータは、放電式エネルギー放出回路を形成し、
加熱回路が充電式エネルギー貯蔵段階にある場合、第1エネルギー貯蔵モジュール103、第1スイッチモジュール105、第1モータ巻線及び第1モータインバータは、充電式エネルギー貯蔵回路を形成し、
加熱回路が充電式エネルギー放出段階にある場合、第1エネルギー貯蔵モジュール103、第1スイッチモジュール105、第1モータ巻線、第1モータインバータ及び電池パック104は、充電式エネルギー放出回路を形成する。
【0035】
第1電池パック加熱回路は、放電回路及び充電回路を含み、放電回路は、放電式エネルギー貯蔵回路及び放電式エネルギー放出回路を含み、充電回路は、充電式エネルギー貯蔵回路及び充電式エネルギー放出回路を含み、第1モータインバータにより動作するように放電式エネルギー貯蔵回路を制御する場合、電池パック104は、電気エネルギーを出力して第1モータ巻線にエネルギーを貯蔵させ、第1モータインバータにより動作するように放電式エネルギー放出回路を制御する場合、電池パック104が放電し、モータ巻線がエネルギーを放出して第1エネルギー貯蔵モジュール103に対して充電を行い、第1モータインバータにより動作するように充電式エネルギー貯蔵回路を制御する場合、第1エネルギー貯蔵モジュール103が放電して電池パック104に対して充電を行い、モータ巻線がエネルギーを貯蔵し、第1モータインバータにより動作するように充電式エネルギー放出回路を制御する場合、モータ巻線がエネルギーを放出して電池パック104に対して充電を行う。第1モータインバータを制御して電池パック104による第1エネルギー貯蔵モジュール103への放電過程と第1エネルギー貯蔵モジュール103による電池パック104への充電過程を交互に実行することにより、電池パック104を加熱して、電池パック104の温度を上昇させ、また、第1エネルギー貯蔵モジュール103のPWM制御信号のデューティ比の大きさを制御することにより、第1電池パック加熱回路を流れる電流値を調整し、デューティ比を制御することは、上ブリッジアームと下ブリッジアームのオン時間を制御することに相当し、オン時間が長くなるか又は短くなるように上ブリッジアーム又は下ブリッジアームを制御することにより、第1電池パック加熱回路の電流を増加させるか又は減少させ、さらに電池パック104が発生する加熱パワーを調整することができる。
【0036】
なお、放電回路及び充電回路の動作を制御する過程において、放電回路の放電式エネルギー貯蔵回路、放電式エネルギー放出回路、充電式エネルギー貯蔵回路及び充電式エネルギー放出回路を制御して順に動作させ、第1モータインバータのPWM制御信号のデューティ比の大きさを制御することにより、第1電池パック加熱回路を流れる電流値を調整してもよく、放電回路の放電式エネルギー貯蔵回路及び放電式エネルギー放出回路を制御して交互にオンにして放電してから、充電回路の第1充電式エネルギー貯蔵回路と第1充電式エネルギー放出回路を制御して交互にオンにして放電し、第1モータインバータのPWM制御信号のデューティ比の大きさを制御することにより、それぞれ放電回路と充電回路を流れる電流値を調整してもよい。
【0037】
本実施形態における技術的効果は、第1モータインバータを制御することにより、第1電池パック加熱回路が動作し、放電回路における電池パック104が第1エネルギー貯蔵モジュール103に対して放電を行い、かつ充電回路における第1エネルギー貯蔵モジュール103が電池パック104に対して充電を行い、さらに電池パック104の温度を上昇させ、第1モータインバータを制御することにより、第1電池パック加熱回路の電流を調整し、さらに電池パック104が発生する加熱パワーを調整することができることである。
【0038】
一実施形態として、コントローラは、第3制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101を制御してトルクを出力し、及び/又は、第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力するように構成される。
【0039】
コントローラは、
駆動指令を取得し、
駆動指令に基づいて動作対象のモータ駆動回路の数を取得し、モータ駆動回路の数に基づいて対応するモータ駆動回路を制御して動作させることにより、第3制御モードに入る。
【0040】
コントローラは、駆動指令を受信し、駆動指令に基づいて取得したモータ出力トルク値が所定のトルク値より小さい場合、第1電気モータ制御回路101を駆動してトルクを出力するか、又は、第2電気モータ制御回路102を駆動してトルクを出力し、所定のトルク値は、第1電気モータ制御回路101及び第2電気モータ制御回路102が出力する最大トルクに基づいて決定することができ、コントローラは、駆動指令に基づいて取得したモータ出力トルク値が所定のトルク値より大きい場合、第1電気モータ制御回路101及び第2電気モータ制御回路102を駆動して共にトルクを出力する。
【0041】
以下、具体的な回路構造により本実施形態を具体的に説明する。
【0042】
図3に示すように、エネルギー変換装置は、第1バスコンデンサC1、第1モータインバータ111、第1モータ巻線112、第2バスコンデンサC3、第2モータインバータ121、第2モータ巻線122、スイッチK1及びコンデンサC2を含み、電池パック104の正極は、第1バスコンデンサC1の第1端子、第1モータインバータ111の第1バス端子、第2バスコンデンサC3の第1端子及び第2モータインバータ121の第1バス端子に接続され、第1モータインバータ111は、第1モータ巻線112に接続され、第2モータインバータ121は、第2モータ巻線122に接続され、第1モータ巻線112の中性点は、スイッチK1の第1端子に接続され、スイッチK1の第2端子は、コンデンサC2の第1端子に接続され、コンデンサC2の第2端子は、第1モータインバータ111の第2バス端子、第1バスコンデンサC1の第2端子、第2モータインバータ121の第2バス端子及び第2バスコンデンサC3の第2端子に接続される。
【0043】
第1モータインバータ111は、第1パワースイッチユニット、第2パワースイッチユニット、第3パワースイッチユニット、第4パワースイッチユニット、第5パワースイッチユニット及び第6パワースイッチユニットを含む第1三相インバータであり、第1パワースイッチユニットと第4パワースイッチユニットは、第1ブリッジアームを形成し、第3パワースイッチユニットと第6パワースイッチユニットは、第2ブリッジアームを形成し、第5パワースイッチユニットと第2パワースイッチユニットは、第3ブリッジアームを形成し、第1パワースイッチユニット、第3パワースイッチユニット及び第5パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、第1モータインバータの第1バス端子を構成し、第2パワースイッチユニット、第4パワースイッチユニット及び第6パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、第1モータインバータの第2バス端子を構成し、第1モータ巻線の第1相コイルは、第1ブリッジアームの中間点に接続され、第1モータ巻線の第2相コイルは、第2ブリッジアームの中間点に接続され、第1モータ巻線の第3相コイルは、第3ブリッジアームの中間点に接続される。
【0044】
第1三相インバータの第1パワースイッチユニットは、第1上ブリッジアームVT1及び第1上ブリッジダイオードVD1を含み、第2パワースイッチユニットは、第2下ブリッジアームVT2及び第2下ブリッジダイオードVD2を含み、第3パワースイッチユニットは、第3上ブリッジアームVT3及び第3上ブリッジダイオードVD3を含み、第4パワースイッチユニットは、第4下ブリッジアームVT4及び第4下ブリッジダイオードVD4を含み、第5パワースイッチユニットは、第5上ブリッジアームVT5及び第5上ブリッジダイオードVD5を含み、第6パワースイッチユニットは、第6下ブリッジアームVT6及び第6下ブリッジダイオードVD6を含み、第1モータ巻線は、三相4線式であり、永久磁石同期モータであってもよく、非同期モータであってもよく、3相の巻線は、一点に接続されて、中性点を形成する。
【0045】
第2モータインバータ121は、第7パワースイッチユニット、第8パワースイッチユニット、第9パワースイッチユニット、第10パワースイッチユニット、第11パワースイッチユニット及び第12パワースイッチユニットを含む第2三相インバータであり、第7パワースイッチユニットと第8パワースイッチユニットは、第4ブリッジアームを形成し、第9パワースイッチユニットと第10パワースイッチユニットは、第5ブリッジアームを形成し、第11パワースイッチユニットと第12パワースイッチユニットは、第6ブリッジアームを形成し、第7パワースイッチユニット、第9パワースイッチユニット及び第11パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、第2モータインバータ121の第1バス端子を構成し、第8パワースイッチユニット、第10パワースイッチユニット及び第12パワースイッチユニットの一端子は、共通接続されて、第2モータインバータ121の第2バス端子を構成し、第2モータ巻線の第1相巻線は、第4ブリッジアームの中間点に接続され、第2モータ巻線の第2相巻線は、第5ブリッジアームの中間点に接続され、第2モータ巻線の第3相巻線は、第6ブリッジアームの中間点に接続される。
【0046】
第2三相インバータの第7パワースイッチユニットは、第7上ブリッジアームVT7及び第7上ブリッジダイオードVD7を含み、第8パワースイッチユニットは、第8下ブリッジアームVT8及び第8下ブリッジダイオードVD2を含み、第9パワースイッチユニットは、第9上ブリッジアームVT9及び第9上ブリッジダイオードVD9を含み、第10パワースイッチユニットは、第10下ブリッジアームVT10及び第10下ブリッジダイオードVD10を含み、第11パワースイッチユニットは、第11上ブリッジアームVT11及び第11上ブリッジダイオードVD11を含み、第12パワースイッチユニットは、第12下ブリッジアームVT12及び第12下ブリッジダイオードVD12を含み、第2モータ巻線は、三相4線式であり、永久磁石同期モータであってもよく、非同期モータであってもよく、3相の巻線は、一点に接続されて、中性点を形成する。
【0047】
具体的な実施において、コントローラに用いられた制御方法は、
車両を正常に高電圧になるまで給電し、すなわち、駆動対象状態にするステップS101と、
電池パック104内の温度検出装置が、電池パック104の温度を連続的に検出し、温度値をコントローラの電源マネージャBMCに連続的に送信するステップS102と、
BMCが温度検出装置から送信された温度値と、電池パック104の自己加熱の温度閾値とを比較し、判断するステップS103と、
BMCが電池パック104の温度値に基づいて自己加熱が必要でないと判断する場合、第1電気モータ制御回路101、第2電気モータ制御回路102を正常でパワーを制限せずに駆動するステップS104と、
BMCが電池パック104の温度値に基づいて自己加熱が必要であると判断する場合、コントローラが第1電気モータ制御回路101を制御して動作させて交流電流を発生させて電池パック104の自己加熱を行い、第2電気モータ制御回路102が正常に動作して駆動し、電池パック104がパワーを制限して出力するとともに、フローがS103に戻るステップS105と、を含む。
【0048】
コントローラが第1電気モータ制御回路101を制御して動作させて交流電流を発生させて電池パック104の自己加熱を行う具体的な過程は、以下の第1段階~第4段階のとおりである。
【0049】
第1段階である放電式エネルギー貯蔵回路の動作では、
図4に示すように、第1モータインバータ111の上ブリッジアームがオンになり、電流は、電池パック104の正極から流出して第1モータインバータ111の上ブリッジアーム(第1上ブリッジアームVT1、第3上ブリッジアームVT3、第5上ブリッジアームVT5)、第1モータ巻線112、スイッチK1、コンデンサC2を流れて、電池パック104の負極に戻り、電流は増加し続け、該過程において電池パック104が外部に放電することにより、コンデンサC2の電圧が上昇し続ける。
【0050】
第2段階である放電式エネルギー放出回路の動作では、
図5に示すように、第1モータインバータ111の上ブリッジアームがオフになり、下ブリッジアームがオンになり、電流は、第1モータ巻線112の接続点から流出し、スイッチK1を流れて、コンデンサC2の正極に流れ、その後に、それぞれ第1モータインバータ111の下ブリッジアーム(第2下ブリッジダイオードVD2、第4下ブリッジダイオードVD4、第6下ブリッジダイオードVD6)を流れて第1モータ巻線112に戻り、電流は減少し続け、コンデンサC2の電圧が上昇し続け、電流がゼロに減少すると、コンデンサC2の電圧が最大値に達する。
【0051】
第3段階である充電式エネルギー貯蔵回路の動作では、
図6に示すように、第1モータインバータ111の下ブリッジアームがオンになり、電流は、コンデンサC2の正極から流出し、スイッチK1を流れて第1モータ巻線112に流れ、それぞれ第1モータインバータ111の下ブリッジアーム(第2下ブリッジアームVT2、第4下ブリッジアームVT4、第6下ブリッジアームVT6)を流れて、コンデンサC2の負極に戻る。
【0052】
第4段階である充電式エネルギー放出回路の動作では、
図7に示すように、第1モータインバータ111の上ブリッジアームがオンになり、電流は、コンデンサC2及び第1モータ巻線112の3相の巻線から流出し、それぞれモータコントローラ101の上ブリッジアーム(第1上ブリッジダイオードVD1、第3上ブリッジダイオードVD3、第5上ブリッジダイオードVD5)を流れて、電池パック104に流れ、最後にコンデンサC2に戻る。
【0053】
上記4つの過程を連続的に循環することにより、電池パック104は連続的で迅速な充電及び放電を行い、電池パック104に内部抵抗が存在するため、大量の熱を発生させて電池パック104の温度を迅速に上昇させる。
【0054】
図8に示すように、本願の実施例2に係るエネルギー変換装置は、
電池パック104に接続された第1電気モータ制御回路101と、
第1電気モータ制御回路101に並列接続された第2電気モータ制御回路102と、
第1電気モータ制御回路101に接続されて第1電池パック加熱回路を形成する第1エネルギー貯蔵モジュール103と、
第2電気モータ制御回路102に接続されて第2電池パック加熱回路を形成する第2エネルギー貯蔵モジュール106と、
第2制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101を制御して第1エネルギー貯蔵モジュール103と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現し、かつ第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力し、
或いは、第2電気モータ制御回路102を制御して第2エネルギー貯蔵モジュール106と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現し、かつ第1電気モータ制御回路101を制御してトルクを出力するように構成されたコントローラとを含む。
【0055】
本実施例2は、実施例1と対比すると、第2エネルギー貯蔵モジュール106をさらに含むという点で相違し、第2エネルギー貯蔵モジュール106は、第2電気モータ制御回路102に接続されて第2電池パック加熱回路を形成し、第2電気モータ制御回路102が第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2バスコンデンサを含む場合、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2エネルギー貯蔵モジュール106は、第2電池パック加熱回路を形成し、第2電池パック加熱回路は、放電回路及び充電回路を含み、放電回路とは、電池パック104が第2モータインバータ及び第2モータ巻線により第2エネルギー貯蔵モジュール106に対して放電を行う回路を指し、このとき、電池パック104から電流が流出し、電流は、第2モータインバータ及び第2モータ巻線を流れて第2エネルギー貯蔵モジュール106に流入して第2エネルギー貯蔵モジュール106に対して充電を行い、充電回路とは、第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2モータ巻線及び第2モータインバータにより電池パック104に対して充電を行う回路を指し、このとき、電流は、第2エネルギー貯蔵モジュール106から流出し、第2モータ巻線及び第2モータインバータを流れて、電池パック104に流入し、電池パック104に内部抵抗が存在するため、放電回路及び充電回路の動作中に、電流が電池パック104に流入し電池パック104から流出することにより、電池パック104の内部抵抗が熱量を発生し、さらに電池パック104の温度が上昇する。
【0056】
コントローラは、第2制御モードで動作する場合、第1モータインバータの少なくとも1つの相ブリッジアームを制御して第1エネルギー貯蔵モジュール103と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104の内部抵抗を発熱させ、かつ第2モータインバータを制御して第2電気モータ制御回路102に駆動力を出力させるか、又は、第2モータインバータの少なくとも1つの相ブリッジアームを制御して第2エネルギー貯蔵モジュール106と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104の内部抵抗を発熱させ、かつ第1モータインバータを制御して第1電気モータ制御回路101に駆動力を出力させるように構成される。
【0057】
本願の実施例2に係るエネルギー変換装置は、第1電気モータ制御回路101、第2電気モータ制御回路102、第1エネルギー貯蔵モジュール103、第2エネルギー貯蔵モジュール106及びコントローラを含み、コントローラは、第2制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101の第1モータインバータを制御することにより、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線及び第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1電池パック加熱回路を形成し、第1電池パック加熱回路により電池パック104を加熱するとともに、第2電気モータ制御回路102の第2モータインバータを制御することにより、第2電気モータ制御回路102が動力を出力し、或いは、第2電気モータ制御回路102の第2モータインバータを制御することにより、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2電池パック加熱回路を形成し、第2電池パック加熱回路により電池パック104を加熱するとともに、第1電気モータ制御回路101の第1モータインバータを制御することにより、第1電気モータ制御回路101が動力を出力するように構成されて、エネルギー変換装置の加熱と駆動との同時実行を実現し、一方のモータ駆動回路を用いて加熱し、他方のモータ駆動回路を用いて駆動するため、モータ駆動回路のモータ巻線及びモータインバータの過度損失が回避され、回路のデバイスの耐用年数が延長される。
【0058】
一実施形態として、コントローラは、第3制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101を制御してトルクを出力し、及び/又は、第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力するように構成される。
【0059】
コントローラは、
駆動指令を取得し、
駆動指令に基づいて動作対象のモータ駆動回路の数を取得し、モータ駆動回路の数に基づいて対応するモータ駆動回路を制御して動作させることにより、第3制御モードに入る。
【0060】
コントローラは、駆動指令を受信し、駆動指令に基づいて取得したモータ出力トルク値が所定のトルク値より小さい場合、第1電気モータ制御回路101を駆動してトルクを出力するか、又は、第2電気モータ制御回路102を駆動してトルクを出力し、所定のトルク値は、第1電気モータ制御回路101及び第2電気モータ制御回路102が出力する最大トルクに基づいて決定することができ、コントローラは、駆動指令に基づいて取得したモータ出力トルク値が所定のトルク値より大きい場合、第1電気モータ制御回路101及び第2電気モータ制御回路102を駆動して共にトルクを出力する。
【0061】
一実施形態として、コントローラは、第4制御モードで動作する場合、第1電気モータ制御回路101を制御して第1エネルギー貯蔵モジュール103と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現し、及び/又は、第2電気モータ制御回路102を制御して第2エネルギー貯蔵モジュール106と電池パック104に充電と放電を行わせて、電池パック104への加熱を実現するように構成される。
【0062】
コントローラは、車両が駐車状態にある場合、電池パック104の温度を取得し、電池パック104の温度を所定の温度値と比較し、
比較結果に基づいて動作対象の電池パック加熱回路の数を取得し、電池パック加熱回路の数に基づいて対応する電気モータ制御モジュールを制御して動作させることにより、第4制御モードに入る。
【0063】
コントローラは、電池パック104の温度を受信し、電池パック104の温度が第1所定値より小さく、かつ第2所定値以上である場合、取得した動作対象の電池パック加熱回路の数が1つであり、このときに第1電池パック加熱回路又は第2電池パック加熱回路を選択して動作させてもよく、電池パック104の温度が第2所定値より小さい場合、取得した動作対象の電池パック加熱回路の数が2つであり、このときに第1電池パック加熱回路及び第2電池パック加熱回路を選択して動作させてもよい。
【0064】
一実施形態として、
図9に示すように、エネルギー変換装置は、第2電気モータ制御回路102と第2エネルギー貯蔵モジュール106との間に接続された第2スイッチモジュール107をさらに含み、
第2電気モータ制御回路102は、第2モータインバータ、第2モータ巻線及び第2バスコンデンサを含み、第2モータインバータの第1バス端子が電池パック104の正極と第2バスコンデンサの第1端子に接続され、第2モータインバータの第2バス端子が電池パック104の負極と第2バスコンデンサの第2端子に接続され、第2モータ巻線の第1端子が第2モータインバータに接続され、第2エネルギー貯蔵モジュール106及び第2スイッチモジュール107がモータ巻線の第2端子と第2バス端子との間に接続され、第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2スイッチモジュール107に直列接続される。
【0065】
第2スイッチモジュール107は、コントローラに接続され、コントローラの制御信号に基づいて第2電気モータ制御回路102と第2エネルギー貯蔵モジュール106とを接続するか又は遮断することにより、第2電気モータ制御回路102を加熱機能と駆動機能との間で切り替える。
【0066】
図9におけるエネルギー変換装置は、異なる制御モードで動作することができ、具体的な動作状況は、以下の3種の動作方式のとおりである。
【0067】
第1種の動作方式では、コントローラは、第2制御モード(駆動加熱制御モード)で動作する場合、第1スイッチモジュール105をオンにし、第2スイッチモジュール107をオフにすることにより、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1電池パック加熱回路を形成し、電池パック104、第2バスコンデンサ、第2モータインバータ及び第2モータ巻線が第2電気モータ制御回路を形成し、或いは、第1スイッチモジュール105をオフにし、第2スイッチモジュール107をオンにすることにより、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線、第2スイッチモジュール107及び第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2電池パック加熱回路を形成し、電池パック104、第1バスコンデンサ、第1モータインバータ及び第1モータ巻線が第1電気モータ制御回路を形成するように構成される。
【0068】
第2制御モードで、第1電池パック加熱回路が動作する場合、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103は、第1放電式エネルギー貯蔵回路を形成し、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103は、第1放電式エネルギー放出回路を形成し、第1エネルギー貯蔵モジュール103、第1スイッチモジュール105、第1モータ巻線及び第1モータインバータは、第1充電式エネルギー貯蔵回路を形成し、第1エネルギー貯蔵モジュール103、第1スイッチモジュール105、第1モータ巻線、第1モータインバータ及び電池パック104は、第1充電式エネルギー放出回路を形成し、
第2制御モードで、第2電池パック加熱回路が動作する場合、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線、第2スイッチモジュール107及び第2エネルギー貯蔵モジュール106は、第2放電式エネルギー貯蔵回路を形成し、第2モータインバータ、第2モータ巻線、第2スイッチモジュール107及び第2エネルギー貯蔵モジュール106は、第2放電式エネルギー放出回路を形成し、第2エネルギー貯蔵モジュール106、第2スイッチモジュール107、第2モータ巻線及び第2モータインバータは、第2充電式エネルギー貯蔵回路を形成し、第2エネルギー貯蔵モジュール106、第2スイッチモジュール107、第2モータ巻線、第2モータインバータ及び電池パック104は、第2充電式エネルギー放出回路を形成する。
【0069】
第2種の動作方式では、コントローラは、第3制御モード(駆動制御モード)で動作する場合、第1スイッチモジュール105をオフにし、第2スイッチモジュール107をオフにすることにより、電池パック104、第1バスコンデンサ、第1モータインバータ及び第1モータ巻線が第1電気モータ制御回路を形成し、及び/又は、電池パック104、第2バスコンデンサ、第2モータインバータ及び第2モータ巻線が第2電気モータ制御回路を形成するように構成される。
【0070】
第3種の動作方式では、コントローラは、第4制御モード(加熱制御モード)で動作する場合、第1スイッチモジュール105をオンにし、第2スイッチモジュール107をオフにすることにより、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1電池パック加熱回路を形成し、
或いは、第1スイッチモジュール105をオフにし、第2スイッチモジュール107をオンにすることにより、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線、第2スイッチモジュール107及び第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2電池パック加熱回路を形成し、
或いは、第1スイッチモジュール105をオフにし、第2スイッチモジュール107をオンにすることにより、電池パック104、第1モータインバータ、第1モータ巻線、第1スイッチモジュール105及び第1エネルギー貯蔵モジュール103が第1電池パック加熱回路を形成し、電池パック104、第2モータインバータ、第2モータ巻線、第2スイッチモジュール107及び第2エネルギー貯蔵モジュール106が第2電池パック加熱回路を形成するように構成される。
【0071】
本実施形態に係るエネルギー変換装置は、3種の制御モードで動作してもよく、第2制御モードは、車両を駆動させるとともに、電池パックの内部抵抗を加熱することにより熱量を発生させ、一方のモータ駆動回路を用いて駆動し、他方のモータ駆動回路を用いて加熱するという駆動加熱制御モードであり、第3制御モードは、必要な駆動パワーに基づいて一方のモータ駆動回路又は両方のモータ駆動回路を選択して動力を出力するモードであり、第4制御モードは、電池パックの温度に基づいて一方のモータ駆動回路又は両方のモータ駆動回路を選択して加熱するモードである。本実施形態では、コントローラにより制御モードに基づいて異なる数のモータ駆動回路及び電池パック加熱回路を制御して動作させることにより、異なる機能を実現することができる。
【0072】
一実施形態として、
図9におけるエネルギー変換装置は、さらに異なる制御モードの間で切り替えることができ、具体的には、以下のいくつかの状況を含む。
【0073】
第1種の切り替え方式は、第4制御モードから第1制御方式に切り替える方式であり、具体的な切り替えプロセスは、以下のとおりである。
【0074】
車両が加熱中に動力を出力する必要がある場合、コントローラが第2制御モードで動作する前に、
コントローラは、第4制御モードで動作する場合、駆動指令を受信し、
第1電池パック加熱回路が動作状態にあり、かつ第2電気モータ制御回路102がアイドル状態にある場合、電池パック104の温度を取得し、
電池パック104の温度が駆動条件を満たさないと検出した場合、第1電池パック加熱回路を制御して動作状態にし、電池パック104の温度が駆動条件を満たすと、第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力することにより、第2制御モードに入り、
電池パック104の温度が駆動条件を満たすと検出した場合、第2電気モータ制御回路102を制御してトルクを出力することにより、第2制御モードに入り、
第1電池パック加熱回路及び第2電池パック加熱回路がいずれも動作状態にある場合、電池パック104の温度を取得し、電池パック104の温度が駆動条件を満たさないと検出した場合、第1電池パック加熱回路及び第2電池パック加熱回路を制御して電池パック104を加熱し、電池パック104の温度が駆動条件を満たすと、第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するか又は第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力することにより、第2制御モードに入り、
電池パック104の温度が駆動条件を満たすと検出した場合、第2電気モータ制御回路を制御してトルクを出力するか又は第1電気モータ制御回路を制御してトルクを出力することにより、第2制御モードに入るように構成される。
【0075】
本実施形態が適応するシーンは、車両が加熱中に動力を出力する必要があるシーンであり、コントローラが第2制御モードと第4制御モードの切り替えを実現することにより、エネルギー変換装置は、異なるシーンの切り替えに迅速に適応する。
【0076】
第1種の切り替え方式は、第4制御モードから第1制御方式に切り替える方式であり、具体的な切り替えプロセスは、以下のとおりである。
【0077】
一実施形態として、車両が動力出力中に加熱する必要がある場合、コントローラが第2制御モードで動作する前に、
コントローラは、第3制御モードで動作する場合、加熱指令を受信し、
第1電気モータ制御回路101がトルクを出力し、かつ第2電気モータ制御回路102がアイドル状態にある場合、第2電池パック加熱回路を制御して動作状態にすることにより、第2制御モードに入り、
第1電気モータ制御回路101及び第2電気モータ制御回路102がいずれもトルクを出力する場合、第2電池パック加熱回路を制御して動作状態にすることにより、第2制御モードに入るように構成される。
【0078】
本実施形態が適応するシーンは、車両が駆動中に加熱する必要があるシーンであり、コントローラが第2制御モードと第3制御モードの切り替えを実現することにより、エネルギー変換装置は、異なるシーンの切り替えに迅速に適応する。
【0079】
コントローラは、異なる制御モードにある場合、モータ駆動回路のモータインバータを制御することにより、動力出力又は加熱の制御を実現するように構成され、コントローラによるモータインバータの具体的な制御方式は、以下のとおりである。
【0080】
一実施形態として、モータインバータは、N個のブリッジアームを含み、N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第1端子が共通接続されて第1バス端子を形成し、N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの第2端子が共通接続されて第2バス端子を形成し、第1バス端子と第2バス端子との間に電池パック104が接続され、
モータ巻線は、N相巻線を含み、N相巻線がN個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームの中間点に対応して接続され、N相巻線の中性点がエネルギー貯蔵モジュールの第1端子に接続され、エネルギー貯蔵モジュールの第2端子が第2バス端子に接続され、
コントローラは、N個のブリッジアームのうちの各ブリッジアームを制御して順に循環動作させて充放電回路を動作させ、
或いは、N個のブリッジアームは、
【0081】
【数1】
対のブリッジアームを含み、各2つのブリッジアームは、一対のブリッジアームを構成し、コントローラは、
【0082】
【数2】
対のブリッジアームのうちの各対のブリッジアームを制御して順に循環動作させて充放電回路を動作させる。
【0083】
本実施形態では、コントローラは、モータインバータを制御して動作させる場合、モータインバータの少なくとも1つの相ブリッジアームを制御することを実現することができ、以下の例により説明することができ、例えば、モータインバータの第1パワースイッチユニットと第4パワースイッチユニットがA相ブリッジアームを構成し、第3パワースイッチユニットと第6パワースイッチユニットがB相ブリッジアームを構成し、第5パワースイッチユニットの入力端子と第2パワースイッチユニットがC相ブリッジアームを構成し、モータインバータのA相ブリッジアームがモータ巻線の第1相巻線に接続され、モータインバータのB相ブリッジアームがモータ巻線の第2相巻線に接続され、モータインバータのC相ブリッジアームがモータ巻線の第3相巻線に接続され、モータインバータの制御方式は、以下のいずれか1種又は複数種の組み合わせであってもよい。例えば、A相ブリッジアーム、B相ブリッジアーム、C相ブリッジアームのうちのいずれか1つ又は2つ又は3つを組み合わせた、合計7種の制御方式を実現でき、柔軟で簡単である。ブリッジアームの切り替えは、高、中間、低の加熱パワーの選択に有利となり、例えば、低パワー充放電について、いずれか1つの相ブリッジアームのパワースイッチを選択して制御し、3つの相ブリッジアームを順番に切り替え、例えば、A相ブリッジアームを単独で動作させて、第1パワースイッチユニットと第4パワースイッチユニットを制御して一定時間加熱してから、B相ブリッジアームを単独で動作させて、第3パワースイッチユニットと第6パワースイッチユニットを制御して同じ時間加熱し、その後にC相ブリッジアームを単独で動作させて、第5パワースイッチユニットと第2パワースイッチユニットを制御して同じ時間加熱してから、A相ブリッジアームに切り替えて動作させ、このように繰り返してモータインバータとモータ巻線を順番に通電して発熱させることにより、3相の発熱がよりバランスをとる。
【0084】
例えば、中間パワー充放電について、いずれか2つの相ブリッジアームのパワースイッチを選択して制御し、3つの相ブリッジアームを順番に切り替え、例えば、A相ブリッジアーム、B相ブリッジアームを動作させて、第1パワースイッチユニット、第4パワースイッチユニット、第3パワースイッチユニット及び第6パワースイッチユニットを制御して一定時間加熱してから、B相ブリッジアーム、C相ブリッジアームを動作させて、第3パワースイッチユニット、第6パワースイッチユニット、第5パワースイッチユニット及び第2パワースイッチユニットを制御して同じ時間加熱し、その後にC相ブリッジアーム、A相ブリッジアームを動作させて、第5パワースイッチユニット、第2パワースイッチユニット、第1パワースイッチユニット及び第4パワースイッチユニットを制御して同じ時間加熱してから、A相ブリッジアーム、B相ブリッジアームに切り替えて動作させ、このように繰り返してモータインバータとモータ巻線の発熱がよりバランスをとり、例えば、高パワー充放電について、3つの相ブリッジアームのパワースイッチを選択して制御し、3相の回路が理論的にバランスをとるため、3相の電流は、バランスをとり、モータインバータとモータ巻線の発熱のバランスをとり、3相の電流は、基本的に直流であり、それらの平均値が基本的に一致し、そして、3相の巻線が対称的であり、このときにモータ内部の三相合成起磁力が基本的にゼロであるため、固定子の磁界強度が基本的にゼロであり、モータが基本的にトルクを発生せず、これは、駆動系の応力の大幅低減に有利となる。
【0085】
以下、具体的な回路構造により本実施形態を具体的に説明する。
【0086】
図10に示すように、エネルギー変換装置は、第1バスコンデンサC1、第1モータインバータ111、第1モータ巻線112、第2バスコンデンサC3、第2モータインバータ121、第2モータ巻線122、スイッチK1、スイッチK2及びコンデンサC4を含み、電池パック104の正極は、第1バスコンデンサC1の第1端子、第1モータインバータ111の第1バス端子、第2バスコンデンサC3の第1端子及び第2モータインバータ121の第1バス端子に接続され、第1モータインバータ111は、第1モータ巻線112に接続され、第2モータインバータ121は、第2モータ巻線122に接続され、第1モータ巻線112の中性点は、スイッチK1の第1端子に接続され、スイッチK1の第2端子は、コンデンサC2の第1端子に接続され、第2モータ巻線122の中性点は、スイッチK2の第1端子に接続され、スイッチK2の第2端子は、コンデンサC4の第1端子に接続され、コンデンサC2の第2端子は、第1モータインバータ111の第2バス端子、第1バスコンデンサC1の第2端子、第2モータインバータ121の第2バス端子、第2バスコンデンサC3の第2端子及びコンデンサC4の第2端子に接続される。
【0087】
本回路構造に基づいて、コントローラは、第1電気モータ制御回路及び第2電気モータ制御回路を制御して、駆動と、一方のモータによる駆動及び他方のモータによる加熱と、両方モータによる加熱とを含む機能を実現することができ、以下のステップS201~ステップS206を含む。
【0088】
ステップS201では、車両は、駐車状態にある。
【0089】
ステップS202では、温度検出装置は、電池パック104の温度を連続的に検出し、かつ温度値をBMCに送信する。
【0090】
ステップS203では、BMCは、電池パック104の温度値が、電池パック104の自己加熱を起動する温度閾値に達するか否かを判断する。
【0091】
ステップS204では、電池パック104の温度値が電池パック104の自己加熱を起動する温度閾値に達しないと、電池パック加熱回路を起動しない。
【0092】
ステップS205では、BMCは、電池パック104の温度値が、両方のモータ駆動回路を同時に起動して電池パック104の自己加熱を行う温度閾値に達するか否かを判断する。
【0093】
ステップS206では、電池パック104の温度値が、両方の電気モータ制御回路を同時に起動して電池パック104の自己加熱を行う温度閾値に達しない場合、第1電気モータ制御回路101を動作させず、第2電気モータ制御回路102を電池自己加熱状態で動作させるか、又は第1電気モータ制御回路101を電池自己加熱状態で動作させ、第2電気モータ制御回路102を動作させず、電池パック104の温度値が一定の閾値より低い場合、第1電気モータ制御回路101と第2電気モータ制御回路102を同時に電池パック104の自己加熱状態で動作させ、完了した後にS205に戻る。
【0094】
電池パック104の温度値が別の閾値より低い場合、第1電気モータ制御回路101と第2電気モータ制御回路102を、循環して自己加熱状態にし、モータ駆動回路の動作過程における損失を減少させ、モータ駆動回路の耐用年数を延長する。そして、一方のモータ駆動回路の温度が高すぎる場合、他方のモータに切り替えて加熱する。
【0095】
コントローラは、さらにポーリング制御方法を実現し、以下のステップS81~ステップS84を含む、自己加熱過程における両方のブリッジアームを切り替えの制御方法を提供してもよい。
【0096】
ステップS81では、第1電気モータ制御回路101を自己加熱状態にし、
ステップS82では、第1相ブリッジアーム、第2相ブリッジアーム、A1相巻線、B1相巻線及びコンデンサC2を使用して
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS83では、第1相ブリッジアーム、第3相ブリッジアーム、A1相巻線、C1相巻線及びコンデンサC2を使用して
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS84では、第2相ブリッジアーム、第3相ブリッジアーム、B1相巻線、C1相巻線及びコンデンサC2を使用して
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS84が完了した後、ステップS82に移行し続け、すなわち、ステップS82~ステップS84の3つの加熱サイクルを繰り返して行い、毎回にそのうちの2つのブリッジアーム及び2つのインダクタのみを用いる。
【0097】
コントローラは、さらにポーリング制御方法を実現し、以下のステップS91~ステップS94を含む、自己加熱過程における両方のブリッジアームの切り替えの制御方法を提供してもよい。
【0098】
ステップS91では、第1電気モータ制御回路101を自己加熱状態にし、
ステップS92では、第1相ブリッジアーム、A1相巻線及びコンデンサC2を用いて
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS93では、第2相ブリッジアーム、B1相巻線及びコンデンサC2を用いて
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS94では、第3相ブリッジアーム、C1相巻線及びコンデンサC2を用いて
図4~
図7の1サイクルの自己加熱過程を完了し、
ステップS94が完了した後、ステップS92に移行し続け、すなわち、ステップS92~ステップS94の3つの加熱サイクルを繰り返して行い、毎回にそのうちの1つのブリッジアーム及び1つの巻線インダクタのみを用いる。
【0099】
本願の実施例3に係る車両は、実施例1に記載のエネルギー変換装置を含む。
【0100】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを指示するか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0101】
また、用語「第1」、「第2」は、説明目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は示唆し、或いは指示された技術的特徴の数を暗示すると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定されている特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」とは、別に明確かつ具体的な限定がない限り、2つ又は2つ以上を意味する。
【0102】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0103】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することであってもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1特徴が第2特徴「の上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることであってもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表すことであってもよい。第1特徴が第2特徴「の下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることであってもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表すことであってもよい。
【0104】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略表現は、必ずしも同じ実施例又は例に対するものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な形態で組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0105】
以上、本願の実施例を示し、説明したが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲で上記実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行うことができる。