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特許7588173販売管理システムおよび販売管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】販売管理システムおよび販売管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241114BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023048056
(22)【出願日】2023-03-24
(65)【公開番号】P2024136802
(43)【公開日】2024-10-04
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】323004709
【氏名又は名称】アステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】柴田 充啓
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2126887(KR,B1)
【文献】特開2012-133507(JP,A)
【文献】特開2023-027470(JP,A)
【文献】特開2001-109961(JP,A)
【文献】特開2012-177982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売管理システムであって、
請求管理データベースを格納するための記憶装置を備え、
前記請求管理データベースは、
売上本データを含むデータを格納する売上データベースと、
前記売上データベースのうち、変更および削除が可能な項目に関連付けられており、前記売上本データに対する修正履歴を格納する修正履歴情報とを含み、
ユーザの外部端末からの操作に応じて、指示を受け付け、前記売上データベースの前記売上本データの書込み、修正、削除の処理を実行する書込み処理手段と、
前記売上データベースの各前記項目への書込み、修正、削除の処理の履歴を前記修正履歴情報として格納するための履歴記録手段と、
前記外部端末からのリクエストに応じて、前記売上データベースの内容および前記修正履歴情報の内容を前記外部端末に表示させるためのデータを出力するための読出し処理手段と、
前記外部端末からの前記修正履歴情報への書込みおよび変更を禁止するための手段と、
前記売上データベースのデータに基づき、外部の会計ソフトへ供給するための仕訳データを生成する仕訳生成手段と、
前記仕訳生成手段により生成された仕訳データを、前記会計ソフトに転記するための会計ソフト連携手段とを備え、
前記仕訳生成手段は、前記仕訳データの生成にあたり、前記売上データベースへの変更履歴に応じて、前記会計ソフト連携手段による転記処理が終了しているデータについて、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する、販売管理システム。
【請求項2】
前記仕訳生成手段は、前記仕訳データの生成にあたり、前記売上データベースへの変更履歴に応じて、前記会計ソフト連携手段による転記処理が終了前のデータについて、黒伝票仕訳するための仕訳データを生成する、請求項記載の販売管理システム。
【請求項3】
前記修正履歴情報は、前記変更および削除が可能な項目に対応するフィールドと関連付けられた修正履歴テーブルであり、
前記修正履歴テーブルは、
前記売上本データごとに関連付けて、前記売上本データの新規追加、転記処理済みおよび転記済み分修正を区別するための第1のフラグデータと、
修正後および削除の履歴を示す第2のフラグデータとを含み、
前記仕訳生成手段は、前記第1および第2のフラグデータに基づいて、前記転記処理が終了しているデータについて、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する、請求項記載の販売管理システム。
【請求項4】
前記売上データベースは、前記売上本データごとに関連付けて、当該データを新規追加、転記処理済みおよび転記済み分修正を区別するための第3のフラグデータを含み、
前記仕訳生成手段は、前記第3のフラグデータに基づいて、前記転記処理が終了前のデータについて、黒伝票仕訳するための仕訳データを生成する、請求項記載の販売管理システム。
【請求項5】
前記請求管理データベースは、前記外部端末へのログイン時に、前記ユーザにおける操作者を個別に認証し、
前記履歴記録手段は、前記修正履歴情報に、前記履歴と前記操作者を関連付けて格納し、
前記読出し処理手段は、前記修正履歴情報の内容を前記外部端末に表示させるためのデータとして、前記操作者を特定する情報を関連付けて出力する、請求項1記載の販売管理システム。
【請求項6】
前記ユーザの顧客からの受注データを受け付けて、前記受注データに応じた納品処理後に、請求書の発行を行う請求管理手段をさらに備え、
前記請求管理データベースは、さらに、前記売上データや前記請求書に関連する入金処理のデータを格納し、
前記請求管理手段は、
前記請求書の発行にあたり、前記請求管理データベースに請求書控えデータを格納し、
前記請求書の検索が可能なインデックスデータを前記売上データから抽出して、前記請求書の正本データと関連付けて、電子データ保存サービス提供サーバへ送信し、
前記顧客へ、前記電子データ保存サービス提供サーバから、前記請求書の正本データのダウンロードを促す通知を送信する、請求項1記載の販売管理システム。
【請求項7】
請求管理データベースを格納するための記憶装置と前記請求管理データベースを操作する処理を実行するための演算装置とを備える販売管理システムの動作を制御するための販売管理プログラムであって、
前記請求管理データベースは、売上本データを含むデータを格納する売上データベースと、前記売上データベースのうち、変更および削除が可能な項目に関連付けられており、前記売上本データに対する修正履歴を格納する修正履歴情報とを含み、
前記演算装置が、ユーザの外部端末からの操作に応じて、指示を受け付け、前記売上データベースの前記売上本データの書込み、修正、削除の書込み処理を実行するステップと、
前記演算装置が、前記売上データベースの各前記項目への書込み、修正、削除の処理の履歴を前記修正履歴情報として格納するステップと、
前記演算装置が、前記外部端末からのリクエストに応じて、前記売上データベースの内容および前記修正履歴情報の内容を前記外部端末に表示させるためのデータを出力するステップとを備え、
前記書込み処理を実行するステップは、前記外部端末からの前記修正履歴情報への書込みおよび変更を禁止するステップを含み、
前記演算装置が、前記売上データベースのデータに基づき、外部の会計ソフトへ供給するための仕訳データを生成するステップと、
前記演算装置が、前記仕訳データを生成するステップにより生成された仕訳データを、前記会計ソフトに転記するステップとをさらに備え、
前記演算装置は、前記仕訳データを生成するステップにおいて、前記仕訳データの生成にあたり、前記売上データベースへの変更履歴に応じて、前記会計ソフトに転記するステップによって転記処理が終了しているデータについては、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する、処理をコンピュータに実行させる、販売管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子帳簿保存に対応した販売管理システムおよび販売管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子帳簿保存法やインボイス制度がはじまり、それを機にデジタルトランスフォーメーション(DX:digital transformation)化推進に舵を切る会社も増加する傾向にある。
【0003】
DX化にとって、インターネットを活用したシステムが欠かせないだけでなく、会社間の取引をスピーディーに記録し、整理していつでも出力できる基幹業務システムの役割が重要になる。
【0004】
そして、その基幹業務システムは内部統制の強化にも寄与しつつ効率化を図り、企業の成長を支援する必要がある。そのような基幹業務システムを評価する尺度の一つとして、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA:Japan Image and Information Management Association)の認証制度(以下、「JIIMA認証制度」と呼ぶ)がある。
【0005】
電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書などの保存処理に係る負担を軽減するために、電子データによる保存を認めるものである。ここで、「電子帳簿等保存」とは、コンピュータなどで電子的に作成した国税関係帳簿書類の電子保存を認めるものであって、国税関係帳簿書類には、決算書類(貸借対照表や損益計算書)、注文書、契約書、請求書、領収書、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳などがある。
【0006】
たとえば、これらの書類を販売管理システムや会計ソフトウェア(以下、「会計ソフト」と称する)及び証憑保管サービス(以下、電帳業務システム)などにより作成し、一定の要件を満たしたときに、電子データ保存することができる。
【0007】
特に、2022年1月より、税務署長の事前承認制度が廃止されるなど、大幅に改正され条件が緩くなり、多くの電帳業務システムには電子帳簿保存の機能があるが、それらを個人事業でも利用できるようになった。
【0008】
ここで、電子的に保存されたデータに対しての検索要件が、日付・金額・取引先のみで十分となるなどの制度変更も行われている。
【0009】
こうした中で、2022年1月からは、電子取引における請求書等(ネット通販での領収書などを含む)は、電子帳簿を利用している、していないに関わらず、紙に印刷して保存しておく方法は有効な請求書等にはならなくなり、電子的な方法で保存しなくてはならなくなった。したがって、たとえば、i)電帳業務システムから出力された請求書等をスキャンしたファイルにタイムスタンプを付与する、ii)訂正・削除ができない、もしくは、記録が残るシステム(電帳業務システムなどのクラウドサービスなど)に請求書等のファイルを保存などの対処も必要となっている。
【0010】
また、上述したようなJIIMA認証制度において、優良な電子帳簿として認められる重要な要件に、訂正削除履歴の機能が必要となっている。ここで、単に、訂正削除履歴が検索して抽出出力されるだけではなく、他システムとシームレスに連携できる事が、DX化・効率化・内部統制化に繋がる事になる。
【0011】
ここで、上記のような技術上の要請に関連する「訂正・削除の記録が残るシステム」としては、たとえば、特許文献1に開示された技術などがある。
【0012】
特許文献1に開示された技術では、複数のアカウントのうち特定の従属アカウントに対して予め対応付けられている代理アカウントのユーザによる入力操作に応じて、従属アカウントに対応付けられた管理対象データを修正する代理修正処理手段と、所定期間における代理修正処理手段による管理対象データの修正の履歴に係る修正履歴情報と、記憶部に登録されている従属アカウントに対応付けられた管理対象データと、に基づいて、代理アカウントのユーザによる修正作業の想定負荷に係る負荷情報を生成する負荷情報生成手段と、負荷情報に基づいて、想定負荷に応じた出力を出力部に行わせる出力制御手段と、を備える、データ管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2018-142183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に開示のデータ管理装置は、以下のような課題の認識の下で動作するものである。
すなわち、「新たに登録された管理対象データに対して代理アカウントのユーザによる修正が必要となる頻度は、通常、管理対象データを登録したユーザの習熟度や、当該ユーザが登録する管理対象データの種別などに応じて大きく異なる。このため、上記従来の技術では、代理アカウントのユーザによる管理対象データの確認及び修正に係る作業に過不足が生じやすく、管理対象データを効率良く管理することができないという課題」である。
【0015】
したがって、このデータ管理装置では、「訂正・削除の記録が残るシステム」ではあっても、電子帳簿保存法で要求されるような「訂正・削除ができない、もしくは、記録が残るシステム」が想定されているわけではない。
【0016】
また、もちろん、企業の販売管理システム、会計ソフトでは、訂正や削除が起こることは、むしろ当然に想定されるものであるから、「訂正・削除ができないシステム」は現実的ではない。そこで、あくまで、「訂正・削除の記録が残るシステム」であることを要するものの、特許文献1に開示の装置では、そのような記録(修正履歴)については、ユーザ側からは、変更ができないようにする、という点については、考慮されていない。
【0017】
さらに、会計ソフトにおいては、複式簿記形式での記帳にあたって、いわゆる「仕訳処理」が実施される。しかしながら、このような仕訳処理をして記帳するにあたっては、販売管理を行う側と、会計ソフト側との間で、たとえば、売上データの本データの整合性が取れるだけではなく、修正履歴を変更できないという条件を維持しつつ、仕訳処理を行って、両システム間でどう連携をするべきか、という点が、大きな課題として存在する。
【0018】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、それが電子帳簿保存法などで要求される条件を満たしつつ、修正履歴を残すことが可能な販売管理システムおよび販売管理プログラムを提供することである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、販売管理システム側で修正履歴を変更不可の状態で残しつつ、会計ソフトとの間で、整合をとった仕訳処理を実行することが可能な販売管理システムおよび販売管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明の一つの局面に従うと、販売管理システムであって、請求管理データベースを格納するための記憶装置を備え、請求管理データベースは、売上本データを含むデータを格納する売上データベースと、売上データベースのうち、変更および削除が可能な項目に関連付けられており、売上本データに対する修正履歴を格納する修正履歴情報とを含み、ユーザの外部端末からの操作に応じて、指示を受け付け、売上データベースの売上本データの書込み、修正、削除の処理を実行する書込み処理手段と、売上データベースの各項目への書込み、修正、削除の処理の履歴を修正履歴情報として格納するための履歴記録手段と、外部端末からのリクエストに応じて、売上データベースの内容および修正履歴情報の内容を外部端末に表示させるためのデータを出力するための読出し処理手段とを備え、外部端末からの修正履歴情報への書込みおよび変更を禁止するための手段と、売上データベースのデータに基づき、外部の会計ソフトへ供給するための仕訳データを生成する仕訳生成手段と、仕訳生成手段により生成された仕訳データを、会計ソフトに転記するための会計ソフト連携手段とをさらに備え、仕訳生成手段は、仕訳データの生成にあたり、売上データベースへの変更履歴に応じて、会計ソフト連携手段による転記処理が終了しているデータについて、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する。
【0022】
好ましくは、仕訳生成手段は、仕訳データの生成にあたり、売上データベースへの変更履歴に応じて、会計ソフト連携手段による転記処理が終了前のデータについて、黒伝票仕訳するための仕訳データを生成する。
【0023】
好ましくは、修正履歴情報は、変更および削除が可能な項目に対応するフィールドと関連付けられた修正履歴テーブルであり、修正履歴テーブルは、売上本データごとに関連付けて、売上本データの新規追加、転記処理済みおよび転記済み分修正を区別するための第1のフラグデータと、修正後および削除の履歴を示す第2のフラグデータとを含み、仕訳生成手段は、第1および第2のフラグデータに基づいて、転記処理が終了しているデータについて、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する。
好ましくは、売上データベースは、売上本データごとに関連付けて、当該データを新規追加、転記処理済みおよび転記済み分修正を区別するための第3のフラグデータを含み、
【0024】
仕訳生成手段は、第3のフラグデータに基づいて、転記処理が終了前のデータについて、黒伝票仕訳するための仕訳データを生成する。
【0025】
好ましくは、請求管理データベースは、外部端末へのログイン時に、ユーザにおける操作者を個別に認証し、履歴記録手段は、修正履歴情報に、履歴と操作者を関連付けて格納し、読出し処理手段は、修正履歴情報の内容を外部端末に表示させるためのデータとして、操作者を特定する情報を関連付けて出力する。
【0026】
好ましくは、ユーザの顧客からの受注データを受け付けて、受注データに応じた納品処理後に、請求書の発行を行う請求管理手段をさらに備え、請求管理データベースは、さらに、売上本データや請求書に関連する入金処理のデータを格納し、請求管理手段は、請求書の発行にあたり、請求管理データベースに請求書控えデータを格納し、請求書の検索が可能なインデックスデータを売上本データから抽出して、請求書の正本データと関連付けて、電子データ保存サービス提供サーバへ送信し、顧客へ、電子データ保存サービス提供サーバから、請求書の正本データのダウンロードを促す通知を送信する。
【0027】
この発明の他の局面に従うと、請求管理データベースを格納するための記憶装置と請求管理データベースを操作する処理を実行するための演算装置とを備える販売管理システムの動作を制御するための販売管理プログラムであって、請求管理データベースは、売上本データを含むデータを格納する売上データベースと、売上データベースのうち、変更および削除が可能な項目に関連付けられており、売上本データに対する修正履歴を格納する修正履歴情報とを含み、演算装置が、ユーザの外部端末からの操作に応じて、指示を受け付け、売上データベースの売上本データの書込み、修正、削除の書込み処理を実行するステップと、演算装置が、売上データベースの各項目への書込み、修正、削除の処理の履歴を修正履歴情報として格納するステップと、演算装置が、外部端末からのリクエストに応じて、売上データベースの内容および修正履歴情報の内容を外部端末に表示させるためのデータを出力するステップとを備え、書込み処理を実行するステップは、外部端末からの修正履歴情報への書込みおよび変更を禁止するステップを含み、演算装置が、売上データベースのデータに基づき、外部の会計ソフトへ供給するための仕訳データを生成するステップと、演算装置が、仕訳データを生成するステップにより生成された仕訳データを、会計ソフトに転記するステップとをさらに備え、演算装置は、仕訳データを生成するステップにおいて、仕訳データの生成にあたり、売上データベースへの変更履歴に応じて、会計ソフトに転記するステップによって転記処理が終了しているデータについては、修正前の仕訳を赤伝票仕訳するための仕訳データを生成する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の販売管理システムおよび販売管理プログラムによれば、電子帳簿保存法などで要求される条件を満たしつつ、修正履歴を残すことが可能である。
【0029】
また、この発明によれば、販売管理システム側で修正履歴を変更不可の状態で残しつつ、会計ソフトとの間で、整合をとった仕訳処理を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施の形態の販売管理システム1000の構成の概観を示す図である。
図2】販売管理サービス提供サーバ3000の機能的な構成を説明するための機能ブロック図である。
図3】販売管理サービス提供サーバ3000のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
図4】売上本データ3310への編集処理の一例を示す概念図である。
図5図4に示した売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データの一例を示す概念図である。
図6】売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳処理を行う際の仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
図7図6の処理に引き続き、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
図8図7の処理に引き続き、売上本データ3310に対する仕訳転記の処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
図9図6図8に示すような売上データの追加・編集・仕訳・転記処理のフローを示すフローチャートである。
図10図8に引き続いて行われる、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
図11図10での転記後の金額の修正処理の後に、さらに、売上本データについて削除を行う場合を示す概念図である。
図12図11での金額の削除処理の後に、さらに、売上本データ3310に対する仕訳転記の処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
図13】販売管理部門端末2000での表示部に表示される売上更新履歴照会画面の一例を示す図である。
図14】販売管理サービス提供サーバ3000において管理される得意先アカウント関係を示す図である。
図15】販売管理サービス提供サーバ3000を利用した請求書の発行の際のデータの流れを示す概念図である。
図16】販売管理サービス提供サーバ3000での電子帳簿のデータの流れを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態の販売管理システム1000の構成を説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素および処理工程は、同一または相当するものであり、必要でない場合は、その説明は繰り返さない。
【0032】
なお、以下では、本発明の販売管理システム1000の販売管理サービス提供サーバ3000上で稼働するプログラムは、単体のサーバ装置にインストールされ、販売管理システムとしての処理を実行するコンピュータプログラムであるものとして説明する。
【0033】
ただし、販売管理サービス提供サーバ3000の処理は、複数のコンピュータ装置で分散処理されるものであってもよいし、コンピュータ処理を実行する演算装置も単数でも複数でもよい。
【0034】
また、販売管理サービス提供サーバ3000は、クラウド上のサーバで稼働するものであってもよいし、クラウド上のサーバおよび企業内のオンプレミスのサーバで分散して稼働する構成であってもよい。たとえば、重要な販売管理データの一部または全部はオンプレミスサーバに保持した状態で、必要に応じて、会計処理との連携などをクラウド上のサーバと連携して処理する、というような構成であってもよい。あるいは、特に限定されないが、販売管理サービス提供サーバ3000上で稼働するプログラムは、オンプレミス又はクラウドのサーバ上のみで動作するものとしてもよい。
[実施の形態]
(システムの全体構成の概観)
【0035】
図1は、本実施の形態の販売管理システム1000の構成の概観を示す図である。
【0036】
販売管理システム1000では、システムを利用する利用企業の販売管理部門端末2000とシステムを利用する利用企業の会計部門端末2300とが、ネットワーク2(たとえば、インターネット)を介して、販売管理サービス提供サーバ3000と接続されている。
【0037】
販売管理部門端末2000は、管理者または管理者の監督下でのユーザの操作により、販売管理データの管理として、売上データの入力や編集を実行したり、受注データ管理として、注文書の登録、見積書の発行、納品書の発行・登録、請求書の発行を実行したりするのに使用される。
【0038】
ここで、販売管理部門端末2000が管理する「売上データ」とは、企業会計で用いられる収益の分類のひとつであり、企業の本業の商品やサービスによる収益を数値化したデータである。日別、週別、月次、年次などで管理される。
【0039】
また、「売上本データ」とは、新規追加、修正等を経て、最終的に、企業会計として使用される売上データの正本となるデータをいう。「売上履歴データ」とは、販売管理部門端末2000に新規に売上データとして登録されてからの一切の修正履歴および会計ソフトとの連携処理に関する履歴のデータをいう。後述するように、「売上本データ」自体は、販売管理部門端末2000において、認証されたユーザによって、追加、修正、削除することで「売上本データ」の編集が可能であるものの、販売管理システム1000は、販売管理部門端末2000から「売上履歴データ」を追加、修正、削除する等の編集操作を禁じる構成となっている。
【0040】
会計サービス提供サーバ4000は、クラウド型の会計ソフトサービスであって、インターネット上で帳簿入力や、会計上の仕訳作業、支払管理、決算書作成などの会計業務を自動化して行う会計ソフトを利用したサービスを提供するものである。クラウド型の場合、インターネット環境のある場所であればどこからでも会計ソフトにアクセスでき、リモートワークや移動中なども作業することが可能である。なお、会計サービス提供サーバ4000についても、販売管理サービス提供サーバ3000と同様に、一部または全部がオンプレミスのサーバで運用される構成であってもよい。
【0041】
証憑管理サービス提供サーバ8000は、販売管理部門端末2000および販売管理サービス提供サーバ3000とネットワーク2を介して、接続している。証憑管理サービス提供サーバ8000は、得意先から受領、あるいは自社発行した「証憑」をクラウド上で保存・管理できるサービスを提供するものである。ここで、「証憑」とは、取引内容を示す証拠書類のことであり、たとえば、領収書、請求書、納品書、見積書である。
【0042】
この場合、証憑管理サービス提供サーバ8000における証憑の管理においては、電子帳簿保存法の定めに従い、検索要件や訂正削除の防止措置に対応する必要がある。
【0043】
ここで、「訂正削除の防止措置」としては、電子帳簿保存法第7条(電子取引)の保存要件(真実性の確保)を満たすために必要とされるものである。
【0044】
「真実性の確保」のためには、以下のいずれかの措置を行う必要があるとされている。
【0045】
1.当該電磁的記録の記録事項に公開/非公開フラグが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
【0046】
2.次に掲げる方法のいずれかにより、当該電磁的記録の記録事項に公開/非公開フラグを付すとともに、当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
【0047】
2-1.当該電磁的記録の記録事項に公開/非公開フラグを付すことを当該取引情報の授受後、速やかに行うこと。
【0048】
2-2.当該電磁的記録の記録事項に公開/非公開フラグを付すことをその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、 速やかに行うこと(当該取引情報の授受から当該記録事項に公開/非公開フラグを付すまでの 各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
3.次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
【0049】
3-1.当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
【0050】
3-2.当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
【0051】
4.当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、 当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
【0052】
したがって、証憑を手動で証憑管理サービス提供サーバ8000にアップロードする場合、「真実性の確保」を満たすには、たとえば、上記の4の事務処理規程の整備が必要となる。ただし、後述するように、販売管理サービス提供サーバ3000経由では、そもそも、「訂正・削除の履歴」が自動で作成され、かつ、履歴データの編集ができないとの構成により、訂正削除の防止措置に対応することができる。
【0053】
また、「検索要件」については、以下のような要件を満たす必要がある。
【0054】
保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンターおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。
【0055】
1.取引年月日その他の日付、取引金額、取引先を検索条件として設定できること。
【0056】
2.日付または金額の範囲指定により検索できること。
【0057】
3.二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること。
【0058】
ここで、保存義務者が国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、範囲指定及び項目を組み合わせて設定できる機能の確保は不要である。
【0059】
なお、販売管理サービス提供サーバ3000経由の場合の「証憑についての検索要件」の充足のための構成については、後述する。
【0060】
図2は、販売管理サービス提供サーバ3000の機能的な構成を説明するための機能ブロック図である。
【0061】
図2を参照して、販売管理サービス提供サーバ3000は、ネットワーク2を介して、販売管理部門端末2000や会計部門端末2300、会計サービス提供サーバ4000、あるいは、証憑管理サービス提供サーバ8000とデータの授受を行うための通信インタフェース3002と、演算処理部3100と、一時的にデータを格納するためのメモリ3200と、不揮発的にデータを記憶するための記憶部3300とを含む。
【0062】
記憶部3300には、請求管理データベースが格納される。
【0063】
請求管理データベースは、売上本データベース3310と、売上履歴データ3320と、仕訳データ3330と、請求管理データ3340と、請求管理履歴データ3350と、操作者登録データ3360とを含む。
【0064】
なお、請求管理データベースとしては、リレーショナル(関係)データベース、オブジェクトリレーショナルデータベース、オブジェクトデータベース等で実現され得るが、そのデータ構造は問わない。
【0065】
より一般的には、「データベース」としては、関係データベース、オブジェクト関係データベースなどのように、スキーマがしっかり決まっていて、トランザクションが利用できるデータベースや、オブジェクトデータベース、列指向データベース管理システムなどのように、同一列のデータを物理的に近い領域に集約して格納されるものであってもよい。
【0066】
以下では、一例として、請求管理データベースとしては、リレーショナルデータベースであるものとして説明する。
【0067】
この場合、メモリ3200には、データベースのインスタンスを置く構成とすることができる。すなわち、この場合、「データベース」とは、データファイルをはじめとする物理ファイルであり、データベースに対する変更情報を管理するファイル等を含む。言い換えると、データベースとは、「表」、「その他オブジェクト群」を指すのに対して、「インスタンス」は、メモリ上にプロセスとして存在して、データ管理を担うものとすることができる。もちろん、データベースの構成は、このような構成に必ずしも限定されない。
【0068】
演算処理部3100は、記憶部3300に格納される請求管理データベース(以下、請求管理DB)中の売上本データ3310、請求管理データ3340、操作者登録データ3360への情報の新規追加登録および修正・削除などの編集を行うためのテーブルデータ書込み処理モジュール(以下、テーブルデータ書込み処理MD)3110を含む。
【0069】
テーブルデータ書込み処理MD3110からは、売上履歴データ3320や請求管理履歴データ3350へのアクセスを禁止して、これらのデータについては、書込み、修正・削除などの編集が、販売管理部門端末2000からは実施できない構成となっている。
【0070】
演算処理部3100は、さらに、販売管理部門端末2000からの操作や指示に応じて、請求管理データベースからのデータを読み出し、販売管理部門端末2000への表示データを生成するためのテーブルデータ読出し処理モジュール(以下、テーブルデータ読出し処理MD)3120と、テーブルデータ書込み処理MD3110による売上本データへの新規追加登録および修正・削除などの編集の履歴情報を生成して、売上履歴データ3320へ記録するためのテーブルデータ履歴記録モジュール(以下、テーブルデータ履歴記録MD)3130とを含む。
【0071】
演算処理部3100は、さらに、販売管理部門端末2000からの操作や指示に応じて、売上本データ3310および売上履歴データ3320中のデータに応じて、会計サービス提供サーバ4000へ転記するための仕訳データを生成して、仕訳データ3330として記憶部3300に格納するテーブルデータ仕訳作成モジュール(以下、テーブルデータ仕訳作成MD)3140と、テーブルデータ仕訳作成MD3140により作成された仕訳データを、会計サービス提供サーバ4000へ転記する処理を実行するための会計ソフト連携モジュール(以下、会計ソフト連携MD)3150とを含む。
【0072】
特に限定されないが、会計ソフト連携MD3150は、予め、市販の会計ソフトウェアへの転記フォーマットが登録されており、販売管理部門端末2000からの操作や指示に応じて、仕訳データを必要なフォーマットに変換して、会計サービス提供サーバ4000へ転記する機能を有する構成とすることができる。
【0073】
演算処理部3100は、さらに、販売管理部門端末2000からの操作や指示に応じて、受注データの管理、見積書の発行、納品書の管理、請求書の発行、請求書の保存などの管理を行い、請求管理データ3340として登録して、所定の処理を行うための請求管理モジュール(以下、請求管理MD)3160を含む。なお、テーブルデータ書込み処理MD3110は、販売管理部門端末2000からの操作や指示に応じて、請求管理データ3340の新規追加登録および修正・削除などの編集処理を行う機能を有するとともに、データテーブル履歴記録MD3130は、これらの履歴情報を請求管理履歴データ3350へ記録する。
【0074】
テーブルデータ書込み処理MD3110からは、請求管理履歴データ3350へのアクセスを禁止して、これらのデータについては、書込み、修正・削除などの編集が、販売管理部門端末2000からは実施できない構成となっている点は、売上履歴データ3320と同様である。
【0075】
また、請求管理データベースには、販売管理サービス提供サーバ3000のユーザを、予め、操作者登録データ3360として登録しておき、アクセスの際に、パスワードその他による認証処理を行うとともに、販売管理部門端末2000からの操作や指示によるデータの新規追加登録および修正・削除などの編集処理を、操作者と関連付けて、記録する構成となっている。
【0076】
図3は、図2に示した販売管理サービス提供サーバ3000のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0077】
上述した通り、販売管理サービス提供サーバ3000は、自身の筐体内の演算装置(CPU:Central Processing Unit)が演算処理を実行する構成であってもよいし、プログラムの処理の一部は、さらに他のサーバ上で実行される構成であってもよい。以下では、自身の筐体内の演算装置が演算処理を実行するものとして説明する。
【0078】
なお、販売管理部門端末2000、会計部門端末2300、会計サービス提供サーバ4000、証憑管理サービス提供サーバ8000も、CPUの処理能力などは異なるものの、ハードウェアとして構成は、基本的には、同様であるので、説明は繰り返さない。
【0079】
図3を参照して、販売管理サービス提供サーバ3000は、演算処理部3100として機能するCPU3100と、RAM(Random Access Memory)3200と、記憶部3300と、操作部3004と、表示部3005(出力部)と、通信インタフェース3002などを備えている。また、販売管理サービス提供サーバ3000の各部は、バス3007を介して接続されている。
【0080】
CPU3100は、記憶部3300に記憶されているシステムプログラムやアプリケーションプログラムといった各種プログラムを読み出して、RAM3200のワークエリアに展開し、そのプログラムに従って、演算処理部3100として、販売管理サービス提供サーバ3000の各部の動作を制御する。
【0081】
RAM3200は、例えば、揮発性のメモリであり、CPU3100により読み出された各種プログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを有する。
【0082】
記憶部3300は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により構成される。記憶部3300には、CPU3100により実行される各種プログラムや、設定データなどの各種データが記憶される。また、記憶部3300は、請求管理データベースを格納する。
【0083】
操作部3004は、例えば、キーボード等のキー入力部、マウス等のポインティングデバイス、表示部3005の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネルなどを有している。操作部3004は、キー入力部に対する入力操作(キー入力)やポインティングデバイスやタッチパネルに対する入力操作(位置入力)を受け付け、その操作情報をCPU3100に出力する。
【0084】
表示部3005は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどにより構成される。表示部3005は、CPU3100から出力された制御信号に従って、アプリケーションプログラムの処理結果や、操作部3004による入力内容などを表示画面に表示する。
【0085】
通信インタフェース3002は、例えば、ネットワークカード、モデム、ルータなどにより構成される。また、通信インタフェース3002は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを備え無線通信が可能な構成であってもよい。通信インタフェース3002は、通信ネットワーク2上のサーバなどの外部機器と通信接続してデータ送受信を行う。
【0086】
なお、たとえば、販売管理部門端末2000であれば、CPU3100は、ブラウザなどの情報表示入力プログラムを実行して、操作部3004に対するユーザの入力操作の内容に基づく情報を通信インタフェース3002によりサーバ2に送信させたり、サーバ2から受信した情報を表示部3005に表示させたりする。上記プログラムには、ブラウザといった情報表示入力プログラムが含まれる。
【0087】
販売管理サービス提供サーバ3000が、コンピュータ装置として機能するためのプログラムは、その流通にあたっては、コンピュータ本体に、情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステムがどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0088】
さらに、CPU3100も、1つのコアのプロセッサであっても、あるいは複数のコアのプロセッサであってもよい。すなわち、シングルコアのプロセッサであっても、マルチコアのプロセッサであってもよい。
【0089】
図4は、売上本データ3310への編集処理の一例を示す概念図である。
【0090】
なお、特に限定されないが、売上本データ3310がリレーショナルデータベースである場合、売上履歴データ3320は、追加・修正・削除が可能な売上本データのタプルの各項目と関連付けられていてもよい。あるいは、売上本データの追加・修正・削除の履歴と関連付けることが可能であれば、このような構成に限定されない。
【0091】
なお、売上本データのタプルの属性(項目データ)としては、売上の日時、取引先、金額、商品名、取引個数、売掛取引・現金取引の区別、など、一般的に、売上データの管理に必要な項目が含まれるものとする。また、取引先や商品名については、別途、取引先マスタテーブルや商品マスタテーブルで管理する構成とすることが可能である。データベースにおいて、個々のデータが書き込まれる領域を「フィールド」と呼ぶ。
【0092】
なお、図2に示した売上本データ3310と売上履歴データ3320とは、後述するように、市販の他の会計ソフトと連動することも考慮して設計されている。
【0093】
また、訂正削除の都度、会計ソフト側に、仕訳転記するのではなく、必要最小限に仕訳転記する構成となっている。すなわち販売管理で何回訂正しても転記済分のみ、赤伝票仕訳とする構成となっている。
【0094】
また、訂正削除履歴を持つことによって、会計ソフトへの赤伝票・黒伝票仕訳(赤黒仕訳)転記も可能な構成としている。
【0095】
図4を参照して、訂正削除履歴の仕組みについて説明する。
【0096】
まず、図4に示すように、売上本データに、最初、金額100(単位は任意。たとえば、100万円)の売上データが新規追加されて、その後、金額が、数値200に修正された後に、その売上データが削除された場合を考える。
【0097】
図5は、図4に示した売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データの一例を示す概念図である。
【0098】
1)図5(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上入力で、売上本データに、金額100の売上伝票を追加(新規追加)すると、テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310への新規追加を行うとともに、図5(b)に示すように、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に追加の記録を行う。このとき、売上履歴データにおいては、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「1:追加」が記録される。
【0099】
3)たとえば、処理ステップ3として、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上入力で、金額を100から200へとする訂正がされると、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に売上本データの修正後の内容を追加し、売上履歴データの更新区分を「3:修正後」と記録する。テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310の内容を修正して上書きする。
【0100】
6)つづいて、たとえば、処理ステップ6として、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上入力の削除の処理がされると、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に、削除する売上本データの内容を追加し、売上履歴データの更新区分を、「4:削除」と記録する。テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310の売上本データを削除する。
【0101】
図6は、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳処理を行う際の仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0102】
また、図9は、図6図8に示すような売上データの追加・編集・仕訳・転記処理のフローを示すフローチャートである。
【0103】
図6および図9を参照して、まず、図6(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上入力で、売上本データに、金額100の売上伝票を追加(新規追加)すると(S100)、テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310への新規追加を行う(S102)とともに、図6(b)に示すように、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に追加の記録を行う(S104)。このとき、売上履歴データにおいては、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「1:追加」が記録される。
【0104】
なお、この時点では、仕訳データの会計サービス提供サーバ4000への転記処理を実行していないので、売上本データ及び売上履歴データの転記フラグは「0:未転記」と記録される。
【0105】
続いて、図6(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、仕訳転記の指示がされると(S106)、売上本データに基づいて、テーブルデータ仕訳作成MD3140が、黒伝票仕訳(売掛金100/売上100)のデータを作成し、仕訳データ3330に記録する(S108)。この仕訳データについては、会計ソフト連携モジュール3150が、会計サービス提供サーバ4000への転記処理を実行する。このような処理に応じて、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上本データと売上履歴データの転記フラグを「1:転記済」にし(S100)、売上履歴データにおいては、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「1:追加」のままである。
【0106】
図7は、図6の処理に引き続き、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0107】
図7および図9を参照して、まず、図7(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上本データの金額100の売上伝票の金額の金額200への修正がされると(S112)、テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310への金額の修正を行う(S114)とともに、図7(b)に示すように、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に金額修正の記録を行う(S116)。このとき、テーブルデータ履歴記録MD3130は、売上本データと売上履歴データにおいては、転記フラグとして「2:転記済分修正」とし、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「3:修正」を記録する。
【0108】
図8は、図7の処理に引き続き、売上本データ3310に対する仕訳転記の処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0109】
図8および図9を参照して、図8(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上本データの修正後の金額200に基づいて、仕訳処理を指示すると、テーブルデータ仕訳作成MD3140が、売上履歴データの転移フラグの「2:転記済分修正」の直前の転記フラグが「1:転記済のデータ」から赤伝票仕訳(売掛金 △100/売上 △100)データを作成し(S120)、修正後であって未転記の売上本データから黒伝仕訳(売掛金200/売上200)データを作成し(S122)、仕訳データ3330に記録する。この仕訳データについては、会計ソフト連携モジュール3150が、会計サービス提供サーバ4000への転記処理を実行する。このような処理に応じて、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上本データと売上履歴データの転記フラグを「1:転記済」にし(S124)、売上履歴データにおいては、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分として、「3:修正」を記録する。
【0110】
なお、以下では、赤伝票仕訳を「赤伝仕訳」、黒伝票仕訳を「黒電仕訳」と呼ぶ。
【0111】
以下では、さらに、図8での売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330について、説明する。
【0112】
図10は、図8に引き続いて行われる、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0113】
図10は、図8での赤伝仕訳および黒伝仕訳とそれらの転記処理の後に、さらに、売上本データについて修正を行ったものの、仕訳作成しない場合を示す。
【0114】
すなわち、まず、図10(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上本データ3310の金額200の売上伝票の金額の金額150への修正がされると、テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310への金額の修正を行うとともに、図10(b)に示すように、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に金額修正の記録を行う。このとき、テーブルデータ履歴記録MD3130は、売上本データと売上履歴データにおいては、転記フラグとして「2:転記済分修正」とし、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「3:修正」を記録する。
【0115】
図11は、図10に引き続いて行われる、売上本データ3310への編集処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0116】
図11は、図10での転記後の金額の修正処理の後に、さらに、売上本データについて削除を行う場合を示す。
【0117】
すなわち、まず、図11(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上本データ3310の売上伝票の金額の金額150の削除がされると、テーブルデータ書込み処理MD3110が、売上本データ3310の金額の削除を行うとともに、図11(b)に示すように、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データ3320に削除前の金額の記録を行う。このとき、テーブルデータ履歴記録MD3130は、売上履歴データにおいては、転記フラグとして「2:転記済分修正」のままとし、更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分は、「4:削除」を記録する。
【0118】
図12は、図11での金額の削除処理の後に、さらに、売上本データ3310に対する仕訳転記の処理とこれに対応して売上履歴データ3320に格納される履歴データ、ならびに仕訳データ3330の一例を示す概念図である。
【0119】
図12を参照して、図12(a)に示すように、販売管理部門端末2000でのユーザ操作により、売上本データの削除後に、仕訳処理を指示すると、テーブルデータ仕訳作成MD3140が、売上履歴データの転移フラグの「2:転記済分修正」の直前の転記フラグが「1:転記済のデータ」から赤伝票仕訳(売掛金△200/売上△200)データを作成し、仕訳データ3330に記録する。このとき、最新の売上更新履歴データの更新区分のフラグは、「4:削除」になっているので、テーブルデータ仕訳作成MD3140は、売上本データから黒伝仕訳データは作成しない。
【0120】
また、図10において、金額修正した売上本データの150は、転記フラグからは、仕訳転記されていないと判断されるので、テーブルデータ仕訳作成MD3140は、赤伝仕訳データを作成しない。
【0121】
以上のようにして作成された仕訳データについては、会計ソフト連携モジュール3150が、会計サービス提供サーバ4000への転記処理を実行する。このような処理に応じて、テーブルデータ履歴記録MD3130が、売上履歴データの更新区分のフラグとして、売上履歴データの更新区分として、「4:削除」を維持する。
【0122】
結果として、会計サービス提供サーバ4000において、仕訳履歴の合計をすると売掛金0/売上0となり、販売管理サービス提供サーバ3000における売上データと整合することになる。
【0123】
以上のような処理により、売上本データ3310においては、新規追加と会計ソフト側への転記の有無と転記後の修正について、転記フラグにより管理し、売上履歴データ3320においては、売上本データそのものの値と関連付けて、新規追加と会計ソフト側への転記の有無と転記後の修正について、転記フラグにより管理するとともに、更新区分フラグにより、新規追加、修正後、削除の状態を管理して、これらのフラグに基づいて、仕訳処理と転記処理の際に、赤伝仕訳および黒伝仕訳を作成して、会計ソフト側に転記する構成とする。このような構成により、販売管理システムとしては、修正・削除の全ての履歴を記録するとともに、仕訳と転記処理において、会計サービス提供サーバ4000で稼働する外部の会計ソフトとの連携において、売上データを整合されることが可能となる。
【0124】
図13は、販売管理部門端末2000での表示部に表示される売上更新履歴照会画面の一例を示す図である。
【0125】
操作者登録データ3360において、管理者は「担当者別機能制限」で当該担当者の新規追加・修正・削除などの編集処理に制限をかけることも可能である。
【0126】
たとえば、特定の操作者については、担当者機能制限で売上データは照会のみ操作できるように設定することもできる。
【0127】
そして、図13では、売上履歴照会画面を一例として示す。
【0128】
下部の枠200の箇所に新規追加/訂正/削除の操作担当者・日時・履歴回数が表示される。“<”ボタンや>”ボタンをクリックすると、前回履歴や次回履歴に画面遷移することも可能である。
【0129】
図13では、直前に管理者が2023/1/11の11:45:59に修正したことが表示されている。
(証憑電子保存サービスとの連携について)
【0130】
図14は、販売管理サービス提供サーバ3000において管理されるアカウント関係を示す図である。
【0131】
図14を参照して、販売管理サービス提供サーバ3000を経由して、証憑電子保存サービス提供サーバ8000を利用する利用者の関係は、以下の通りとなる。
【0132】
A:販売管理システム(販売管理サービス提供サーバ3000)とするとき、Bは、販売管理サービス提供サーバ3000の利用者(契約者)であり、Cは、契約者の得意先を示す。
したがって、管理すべきアカウントの数の比は、一般には、
A:B=1:N、B:C=1:M(N,Mは自然数)
の関係にある。
【0133】
販売管理システム(販売管理サービス提供サーバ3000)の管理用のアカウントでは、その権限は、契約者の追加、編集、削除、パスワード変更が可能であって、全社共通の運用設定、アカウント確認や電子証憑の閲覧及びダウンロードが可能である。
【0134】
契約者Bの管理者アカウントでは、その権限は、契約情報確認、自アカウントの編集やパスワード変更が可能であり、得意先アカウントの追加、編集、削除、パスワード変更が可能である。また、さらに、各社毎の運用設定や、全得意先アカウントの確認や、得意先への電子証憑アップロードや、その他、他社から受領した電子証憑のアップロードや、電子証憑閲覧及びダウンロードが可能である。
【0135】
得意先Cのアカウントでは、その権限は、取引のある契約者BのIDを持ち、自アカウントの編集、パスワード変更が可能であって、契約者Bから受領した自社の電子証憑の閲覧及びダウンロードが可能である。
【0136】
図15は、販売管理サービス提供サーバ3000を利用した請求書の発行の際のデータの流れを示す概念図である。
【0137】
図16は、販売管理サービス提供サーバ3000での電子帳簿のデータの流れを示す概念図である。
【0138】
まず、図16を参照すると、たとえば仕入先などの取引先からは、取引先端末2500から、電子帳簿として、納品書や請求書が送られてきており、特に、限定されないが、たとえば、販売管理部門端末2000のローカルストレージ2400などに格納保存される。
【0139】
さて、一方で、図15および図16を参照して、販売管理サービス提供サーバ3000の利用者の得意先については、販売管理部門端末2000から、1)得意先アカウントの登録がされる。
【0140】
その後に、登録された得意先と販売管理部門端末2000との間では、販売管理サービス提供サーバ3000を介して、見積書の発行、請求書・納品書の発行(図15での2及び5、電子帳簿のダウンロードに相当)及び発注書の受領(図15での3)などを行う。
【0141】
その後に、販売管理部門端末2000からの操作に応じて、販売管理サービス提供サーバ3000を経由して、2)請求書が、証憑電子保存サービス提供サーバ8000にアップロードされる。
【0142】
また、請求書の正本データは、たとえば、PDF(Portable Document Format)データとして、アップロードされるものとする。なお、正本データのフォーマットとしては、PDFには限られず、たとえば、bmp,jpeg,pngなどの別の画像フォーマットであってもよい。
【0143】
このとき、販売管理サービス提供サーバ3000では、見積書の発行、発注書の受領、請求書・納品書の発行などの一連の取引をすべて管理しているので、請求書の正本データに対して、取引年月日その他の日付、取引金額、取引先を検索可能なデータを、電子データとして付加したうえで、証憑電子保存サービス提供サーバ8000にアップロードすることができる。
【0144】
この結果、請求書の控えデータ、請求書の正本データとも、電子帳簿保存法で要求される「検索要件」を満たすことが可能となる。すなわち、請求書の控えデータは、電子帳簿として、販売管理サービス提供サーバ3000のデータ内でのみ検索可能となる。一方、請求書正データは販売管理サービス提供サーバ3000内でも、証憑電子保存サービス提供サーバ8000内でも検索可能となる。
【0145】
販売管理サービス提供サーバ3000経由で、証憑電子保存サービス提供サーバ8000に請求書の正本データがアップロードされると、ユーザの得意先企業の取引先端末2800へは、販売管理部門端末2000または販売管理サービス提供サーバ3000から、4)請求書発行通知メールが送信される。
【0146】
これに応じて、取引先端末2800では、証憑電子保存サービス提供サーバ8000から、5)請求書の正本データをダウンロードすることが可能となる。
【0147】
このとき、販売管理サービス提供サーバ3000を経由することで、証憑電子保存サービス提供サーバ8000には、請求書の控えデータを保存する必要がない。
【0148】
販売管理サービス提供サーバ3000を経由しない場合には、証憑電子保存サービス提供サーバ8000には、正本データと控えデータの双方を保存することが必要であり、控えデータの保存容量分だけ、コストが増加する。また、「検索要件」を満たすために、一般には、請求書のPDFデータから、文字読み取り機能(OCR(Optical Character Recognition)機能)を利用して、検索に必要なデータを読み取ることが必要である。しかしながら、この場合は、読み取りエラーによる文字の誤りが一定割合で生じることは避けられない。
【0149】
販売管理サービス提供サーバ3000を経由とすることで、このような文字の読み取りエラーは、避けることが可能となる。
【0150】
以上説明したように、実施の形態で説明した販売管理システムおよび販売管理プログラムによれば、電子帳簿保存法などで要求される条件を満たしつつ、修正履歴を残すことが可能な販売管理システムおよび販売管理プログラムが実現できる。
【0151】
また、実施の形態で説明した販売管理システムおよび販売管理プログラムによれば、販売管理システム側で修正履歴を変更不可の状態で残しつつ、会計ソフトとの間で、整合をとった仕訳処理を実行することが可能である。
【0152】
また、実施の形態で説明した販売管理システムおよび販売管理プログラムによれば、電子帳簿保存法などで要求される条件を満たしつつ、外部サーバに保存するデータ量を抑制しつつ、かつ、検索時の誤りも抑制することが可能である。
【0153】
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
2 ネットワーク、1000 販売管理システム、2000 販売管理部門端末、2300 会計部門端末、3000 販売管理サービス提供サーバ、3002 通信インタフェース3002、3100 演算処理部、3110 テーブルデータ書込み処理モジュール、3120 テーブルデータ読出し処理モジュール、3130 テーブルデータ履歴記録モジュール、3140 テーブルデータ仕訳作成モジュール、3150 会計ソフト連携モジュール、3160 受発注管理モジュール、3200 メモリ、3300 記憶部、3310 売上本データベース、3320 売上履歴データ、3330 仕訳データ、3340 請求管理データ、3350 請求管理履歴データ、3360 操作者登録データ。
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