(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】廃タイヤ残渣分離システム及びその分離方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/12 20060101AFI20241114BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20241114BHJP
B03C 1/02 20060101ALI20241114BHJP
B03C 1/23 20060101ALI20241114BHJP
C02F 1/40 20230101ALI20241114BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
B03C1/00 B
B03C1/02 A
B03C1/23
B03C1/00 F
C02F1/40 B
(21)【出願番号】P 2023052451
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昌史
(72)【発明者】
【氏名】野間 毅
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-038250(JP,A)
【文献】特開2023-079006(JP,A)
【文献】特開昭56-010327(JP,A)
【文献】特開平08-026712(JP,A)
【文献】特開昭53-137571(JP,A)
【文献】特開2011-246721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/12
B03C 1/00
B03C 1/02
B03C 1/23
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
廃タイヤを収納して乾留装置のカートリッジ容器収納室に着脱自在に装着され、前記廃タイヤの乾留後に前記乾留装置から取り出されるカートリッジ容器と、
取り出された前記カートリッジ容器に対して着脱自在に設けられ、乾留後の前記廃タイヤの金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する金属ワイヤ分離手段と、
前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤ分離手段によって分離された前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し手段と、
前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤ分離手段によって分離された前記炭化残渣を吸引して取り出す炭化残渣取り出し手段と、を備えた、廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項2】
前記金属ワイヤ分離手段は、前記カートリッジ容器内に着脱自在に取り付けられ、乾留後の前記廃タイヤの金属ワイヤ混入炭化残渣を撹拌することにより前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する撹拌機である、請求項1記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項3】
前記金属ワイヤ取り出し手段は、前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤ分離手段によって分離された前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石である、請求項1又は2に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項4】
前記炭化残渣取り出し手段は、前記カートリッジ容器内から、前記金属ワイヤ分離手段によって前記金属ワイヤと分離された炭化残渣を吸引して取り出す吸引機である、請求項1に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項5】
前記撹拌機は、カートリッジ容器の底壁に形成された上方突出状の凸部上端面に支持される台座と、
前記台座に軸受を介して回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に一体回転可能に取り付けられた撹拌部材と、を備えた、請求項2に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項6】
前記取り出されたカートリッジ容器内に水を給水するための給水部をさらに備え、
前記吸引機は、前記カートリッジ容器内への給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、前記カートリッジ容器内から吸引して取り出す、請求項4に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項7】
前記金属ワイヤ分離手段は、前記カートリッジ容器の外周面に容器外方から対向するように配置され、前記カートリッジ容器の回転により前記カートリッジ容器内の金属ワイヤ混入炭化残渣に振動を付与し、前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する複数の振動用電磁石である、請求項1に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項8】
前記複数の振動用電磁石は、前記取り出されたカートリッジ容器の周方向に間隔をおいて配置されると共に、相互に異なる高さに配置された、請求項7に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項9】
前記吸引機は、前記カートリッジ容器内の炭化金属ワイヤ混入残渣内に挿入される吸引ノズルを有し、
前記金属ワイヤ分離手段は、前記吸引ノズルに取り付けられ、前記金属ワイヤ混入炭化残渣に振動を付与して前記金属ワイヤ混入炭化残
渣を炭化残渣および金属ワイヤに振動分離するバイブレータであり、
前記吸引ノズルと前記バイブレータ端部とが一体化形成された、請求項4に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項10】
前記金属ワイヤ分離手段は、乾留後の前記廃タイヤの前記金属ワイヤ混入炭化残渣の上面を転圧して前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに振動分離する振動式転圧機を備え、
前記金属ワイヤ取り出し用電磁石は、前記カートリッジ容器内から前記分離後の前記金属ワイヤを吸着して取り出す、請求項3に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項11】
前記取り出されたカートリッジ容器の上端開口に、開閉自在なカートリッジ蓋をさらに備えた、請求項1に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項12】
前記カートリッジ容器は、ステンレス(SUS)製である、請求項1に記載の廃タイヤ残渣分離システム。
【請求項13】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後に金属ワイヤ混入炭化残渣を収納した前記カートリッジ容器を前記乾留装置から取り出す工程と、
取り出された前記カートリッジ容器に対して着脱自在に設けられる金属ワイヤ分離手段により前記カートリッジ容器内の金属ワイヤ混入炭化残渣を撹拌して前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する撹拌分離工程と、
金属ワイヤ取り出し用電磁石により分離された前記金属ワイヤを吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
吸引機により前記金属ワイヤと分離された前記炭化残渣を、吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む、廃タイヤ残渣分離システムの分離方法。
【請求項14】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後に金属ワイヤ混入炭化残渣を収納した前記カートリッジ容器を前記乾留装置から取り出す工程と、
取り出された前記カートリッジ容器に対して着脱自在に設けられる金属ワイヤ分離手段により前記カートリッジ容器内の金属ワイヤ混入炭化残渣を撹拌して前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する撹拌分離工程と、
前記カートリッジ容器に対して着脱自在に設けられる金属ワイヤ分離手段による撹拌分離後の前記カートリッジ容器内に給水部により給水して炭化残渣を水に浮かせる残渣浮上工程と、
給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、吸引機により前記カートリッジ容器内から吸引して取り出す吸引工程と、
前記カートリッジ容器内の水を抜く工程と、
前記水を抜かれた前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤを取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
を含む、廃タイヤ残渣分離システムの分離方法。
【請求項15】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後に金属ワイヤ混入炭化残渣を収納した前記カートリッジ容器を前記乾留装置から取り出す工程と、
取り出された前記カートリッジ容器内の金属ワイヤ混入炭化残渣を、回転される前記カートリッジ容器の外周側に配置された複数の振動用電磁石により振動させ、前記金属ワイヤ混入炭化残渣
を炭化残渣および金属ワイヤに分離する振動分離工程と、
振動分離された前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
前記金属ワイヤと分離された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む、廃タイヤ残渣分離システムの分離方法。
【請求項16】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後に金属ワイヤ混入炭化残渣を収納した前記カートリッジ容器を前記乾留装置から取り出す工程と、
取り出された後回転される前記カートリッジ容器内の金属ワイヤ混入炭化残渣に、バイブレータ及び吸引機の吸引ノズルを挿入して、前記金属ワイヤ混入炭化残渣に振動を付与することにより前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離すると同時に、前記金属ワイヤと分離された前記炭化残渣を吸引して前記カートリッジ容器から取り出す振動及び吸引工程と、
前記炭化残渣が吸引により取り出された前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤを取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
を含む、廃タイヤ残渣分離システムの分離方法。
【請求項17】
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置のカートリッジ容器に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後に金属ワイヤ混入炭化残渣を収納した前記カートリッジ容器を前記乾留装置から取り出す工程と、
取り出された前記カートリッジ容器内の炭化残渣の上面を、振動式転圧機により転圧して、前記金属ワイヤ混入炭化残渣を炭化残渣および金属ワイヤに分離する転圧分離工程と、
分離された前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む、廃タイヤ残渣分離システムの分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤのリサイクル設備等において、乾留後の廃タイヤの炭化残渣から、金属ワイヤを分離するための廃タイヤ残渣分離システム及びその分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃タイヤの乾留工程において、廃タイヤは、乾留装置のカートリッジ容器内に収納され、加熱炉により加熱される。それにより、乾留ガスが発生すると共に、炭化残渣がカートリッジ容器内に残る。特に、金属ワイヤを内在する廃タイヤを乾留した場合には、固形状の炭化残渣と、金属ワイヤと、粉状の炭化残渣とがカートリッジ容器内に残される。
【0003】
従来、カートリッジ容器内に残る炭化残渣は、カートリッジ容器を反転することにより、乾留装置外の処理作業専用のエリアに放出される。続いて、放出されたエリア内において、作業員が炭化残渣を人力により、金属ワイヤに付着した炭化残渣を金属ワイヤから分離する。特許文献1には、金属ワイヤが内在する廃タイヤを熱分解して得られた炭化残渣を、熱分解炉から排出し、金属ワイヤを分離する残渣分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した金属ワイヤを分離する残渣分離装置では、乾留工程後のカートリッジ容器の反転作業が手作業で行われる。さらに、作業専用エリアでの残渣分離作業は、作業員の踏み付けにより行われている。いずれの作業も、機械を使用せずに、人力で行われるので、作業効率が悪く、作業員にかかる肉体的負担が大きかった。
【0006】
また、いずれの作業においても、炭化残渣に含まれる粉塵(粉状の炭化残渣)が舞い上がり、作業環境が劣悪となるため、作業員は粉塵に対する汚損防止対策が必要であった。
【0007】
本発明は上述の事情によりなされたもので、金属ワイヤが内在する廃タイヤの乾留工程後、カートリッジ容器内に残る炭化残渣を、カートリッジ容器外に放出することなしに、機械的に金属ワイヤを分離することができる廃タイヤ残渣分離システム及びその分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムは、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、廃タイヤが収納されて乾留されるためのカートリッジ容器と、乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣から金属ワイヤを分離する金属ワイヤ分離手段と、
前記カートリッジ容器内から前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し手段と、前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して取り出す炭化残渣取り出し手段と、を備えている。
【0009】
前記構成の一態様において、前記金属ワイヤ分離手段は、前記カートリッジ容器内に着脱自在に取り付けられ、乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣を撹拌することにより前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌機である。この構成において、好ましくは、前記カートリッジ容器の底壁に、上方突出状の凸部が形成される。前記凸部は、前記底壁の中央部に形成されることが好ましい。更に、好ましくは、前記カートリッジ容器収納室の壁部には、前記凸部内に下方から突入する上方突出状の突入部が形成される。
【0010】
前記構成の一態様において、前記金属ワイヤ取り出し手段は、前記カートリッジ容器内から前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石である。
【0011】
前記構成において、前記炭化残渣取り出し手段は、前記カートリッジ容器内から、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して取り出す吸引機である。この場合、さらに、前記カートリッジ容器内に水を給水するための給水部をさらに備え、前記吸引機は、前記カートリッジ容器内への給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、前記カートリッジ容器内から吸引して取り出すことができる。
【0012】
前記構成において、前記撹拌機は、前記凸部の上端面に支持される台座と、前記台座に軸受を介して回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸に一体回転可能に取り付けられた撹拌部材と、を備えている。
【0013】
前記構成の一態様として、前記金属ワイヤ分離手段は、前記カートリッジ容器の外周面に容器外方から対向するように配置され、前記カートリッジ容器の回転により前記カートリッジ容器内の残渣に振動を付与し、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する複数の振動用電磁石である。この場合、好ましくは、前記複数の振動用電磁石は、前記カートリッジ容器の周方向に間隔をおいて配置されると共に、相互に異なる高さに配置される。また、好ましくは、前記カートリッジ容器の底壁の中央部に、上方突出状の凸部が形成される。さらに、前記カートリッジ容器の前記凸部内に前記振動用電磁石と同様の中央振動用電磁石が配置される。
【0014】
前記構成において、前記吸引機は、前記カートリッジ容器内の炭化残渣内に挿入される吸引ノズルを有し、前記吸引ノズルに取り付けられ、前記炭化残渣に振動を付与して前記炭化残渣内から金属ワイヤを振動分離するバイブレータをさらに備える。この場合、好ましくは、前記吸引ノズルと前記バイブレータ端部とが一体化形成される。
【0015】
前記構成において、前記金属ワイヤ取り出し手段は、前記カートリッジ容器内から前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石である。
【0016】
前記構成において、乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣の上面を転圧する振動式転圧機をさらに備え、前記金属ワイヤ取り出し用電磁石は、前記カートリッジ容器内から転圧後の前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す。
【0017】
前記構成において、前記カートリッジ容器の上端開口に、開閉自在なカートリッジ蓋をさらに備える。
【0018】
前記構成において、前記カートリッジ容器は、ステンレス(SUS)製である。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、廃タイヤ残渣分離方法も提供する。
【0020】
一つの廃タイヤ残渣分離方法は、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を撹拌して前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌分離工程と、分離された前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【0021】
別の廃タイヤ残渣分離方法は、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を撹拌して前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌分離工程と、撹拌分離後の前記カートリッジ容器内に給水部により給水して炭化残渣を水に浮かせる残渣浮上工程と、給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、吸引機により前記カートリッジ容器内から吸引して取り出す吸引工程と、を含む。
【0022】
別の廃タイヤ残渣分離方法は、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を、回転する前記カートリッジ容器の外周側に配置された複数の振動用電磁石により振動させ、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する振動分離工程と、振動分離された前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【0023】
別の廃タイヤ残渣分離方法は、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、乾留後、回転する前記カートリッジ容器内の炭化残渣に、バイブレータ及び吸引機の吸引ノズルを挿入して、前記残渣に振動を付与すると同時に、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して前記カートリッジ容器から取り出す振動及び吸引工程と、を含む。
【0024】
別の廃タイヤ残渣分離方法は、廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、乾留装置のカートリッジ容器に投入された廃タイヤを乾留する工程と、乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣の上面を、振動式転圧機により転圧して、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する転圧分離工程と、分離された前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、乾留工程後、カートリッジ容器内の炭化残渣と金属ワイヤとを分離する工程において、カートリッジ容器を反転させて残渣を放出する作業と、作業員による残渣踏み付け作業が不要となる。それにより、分離作業効率が向上し、かつ、粉塵の舞い上がりを防いで作業環境を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】廃タイヤの乾留システムの全体概略図である。
【
図2】廃タイヤの乾留システム全体の作業において、廃タイヤの各構成要素の状態変化を示すブロック図である。
【
図4】乾留装置内に配置されるカートリッジ容器の縦断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムの各装置及び器具を列挙した図である。
【
図7】
図5の廃タイヤ分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムの各装置及び器具を列挙した図である。
【
図9】
図8の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムの各装置及び器具を列挙した図である。
【
図11】
図10の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムの各装置及び器具を列挙した図である。
【
図13】
図12の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムの各装置及び器具を列挙した図である。
【
図15】
図14の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
図1~
図4により、まず乾留システムの全体及び乾留装置を説明する。
図1の乾留システムは、乾留装置1と、一次冷却器2と、二次冷却器3と、冷却
器側安全器4と、粗油タンク5と、ろ過器6と、精油タンク7と、流量計8と、余剰ガス焼却炉9と、灯油タンク10と、残油タンク47とを備えて構成される。
【0028】
乾留装置1は、円筒状の胴体21と、胴体21の下側に設けられた加熱炉22と、胴体21の上側に開閉自在に設けられた天蓋23と、胴体21内に着脱自在に装着されるカートリッジ容器25とを備えて構成される。天蓋23は乾留ガス出口部27を有している。胴体21は加熱炉22で発生する燃焼排ガスを排出する燃焼排ガス出口部28を有している。加熱炉22は、再生された精油及び冷却後の乾留ガスを燃焼に利用する。カートリッジ容器25は、磁力の影響を受けないステンレス(SUS)製が好ましい。さらに、磁力の影響を受けないものであれば、ステンレス製と同様の作用効果がある例えばチタン製でもよい。また、天蓋23は、鉄(SS),ステンレス(SUS),チタン製が好ましい。
【0029】
白抜きの矢印31,32,33,34,35は、乾留装置1で発生する乾留ガスが流れる送気通路を示している。太い実線の矢印36,37は、余剰ガス焼却炉9及び加熱炉22で発生する燃焼排ガスが流れる排気通路を示している。細い実線の矢印41,42,43,44,45は、一次冷却器2及び二次冷却器3において乾留ガスから分離された乾留油が流れる送油通路を示している。細い実線の矢印46は灯油タンク10から余剰ガス燃焼炉9に灯油が流れる送油通路を示している。送気通路31,32,33,34,35、排気通路36,37及び送油通路41,42,43,44,45,46は、送気管、排気管及び送油管並びにその他の通路部材から構成されている。
【0030】
乾留装置1の乾留ガス出口部27は、送気通路31を介して一次冷却器2のガス入口部に接続されている。一次冷却器2のガス出口部は、送気通路32を介して二次冷却器3のガス入口部に接続されている。二次冷却器3のガス出口部は、送気通路33を介して冷却器側安全器4に接続されている。冷却器側安全器4のガス出口部は送気通路35を介して加熱炉22に接続されると共に、送気通路34を介して余剰ガス焼却炉9に接続されている。余剰ガス焼却炉9の燃料入口部は送油通路46を介して灯油タンク10に接続されている。余剰ガス焼却炉9の排気ガス出口部は排気通路36を介して排気処理部(図示せず)に接続されている。
【0031】
一次冷却器2及び二次冷却器3の各油出口部は送油通路41,42を介して粗油タンク5に接続されている。粗油タンク5の油出口部は送油通路43を介してろ過器6に接続されている。ろ過器6の油出口部は送油通路44を介して精油タンク7に接続されている。精油タンク7の油出口部は送油通路45及び流量計8を介して加熱炉22に接続されている。乾留装置1の燃料排ガス出口部28は、排気通路37を介して排気処理部に接続されている。
【0032】
乾留システム全体の作用を簡単に説明する。廃タイヤTはカートリッジ容器25内に投入され、乾留装置1の加熱炉22で加熱される。これにより乾留ガスが発生する。発生した乾留ガスは、乾留ガス出口部27から送気通路31,32を介して一次冷却器2及び二次冷却器3へ順次送られ、冷却される。これにより、乾留ガス中の油成分が分離され、乾留油として粗油タンク5に送られる。一方油成分が分離された乾留ガスは、送気通路33を介して冷却器側安全器4に送られ、一部は送気通路35を介して乾留装置1の加熱炉22に送られ、残りは送気通路34を介して余剰ガス焼却炉9に送られる。
【0033】
精油タンク7内の精油は、送油通路45及び流量計8を介して加熱炉22に送られ、燃焼に再利用される。余剰ガス焼却炉9で発生する排気ガスは、乾留装置1の燃焼排ガス出口部28から排出される燃焼排ガスと共に、排気処理部へ送られる。
【0034】
図2は、廃タイヤの乾留工程及び残渣処理工程における廃タイヤの構成成分の変化を示している。廃タイヤは、乾留工程において、乾留ガスと、炭化残渣及び金属ワイヤとに分離される。乾留ガスは、冷却工程において油成分が分離され、ろ過されることにより、精油に再生される。ここで、再生された精油はたとえば乾留装置の加熱炉の燃料として利用されてもよい。
【0035】
乾留工程において残った炭化残渣及び金属ワイヤは、本実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システムRにより、炭化残渣と金属ワイヤとに分離される。分離された金属ワイヤは鉄くずとして再利用される。炭化残渣は、さらに加熱処理されることにより、ゴム炭、カーボンブラック及びその他の化合物に分離される。
【0036】
図3は乾留装置1の縦断面図を図示し、
図4はカートリッジ容器25の縦断面図を図示する。
図3において、胴体21内には、カートリッジ容器収納室24を形成する保護缶26が設けられている。カートリッジ容器25の底壁には、上方に突出する凸部25aが形成されている。また、保護缶26の底壁の中央部には、凸部25a内に下方から突入する突入部26aが形成されている。天蓋23は、複数のクランパー48により、カートリッジ容器25又は胴体21に着脱自在に締結されている。燃焼排ガス出口部28は、保護缶26と胴体21との間の環状の隙間を介して加熱炉22に連通している。
【0037】
簀子状の中棚30がカートリッジ容器25内の上下方向幅の概ね中間部に装着可能である。なお、本実施形態に係る乾留工程では、この中棚は用いられていない。
【0038】
図4において、凸部25aは、カートリッジ容器25の底壁の略中央部に形成されており、カートリッジ容器25の上下方向幅の概ね1/3~1/2程度の高さを有している。
【0039】
次に、
図5~
図7により、第1実施形態の廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法を説明する。
図5は、廃タイヤ残渣分離システムを構成する要素を列挙した図である。
図5において、廃タイヤ残渣分離システムは、撹拌機51と、金属ワイヤ取り出し用電磁石52と、サイクロン式の吸引機53と、置台54とを備えて構成される。
なお、本実施形態では、置台54は、回転軸心O2回りに回転自在な回転式のものを用いて構成された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば置台54は、回転せずに固定式のものを用いて構成されてもよい。
【0040】
撹拌機51は、金属ワイヤ分離手段の一例である。撹拌機51は、凸部25aの上端面に支持される台座56と、軸受57を介して台座56に回転自在に支持された回転軸58と、回転軸58に一体回転可能に取り付けられた複数の支持部材59と、各支持部材59に固着された複数本の攪拌棒60とを備えて構成される。各攪拌棒60は下方に伸びており、かつ、相互に異なる長さに設定されている。本実施形態では、4本の撹拌棒60の場合、2本は短く、2本は長く形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0041】
金属ワイヤ取り出し用電磁石52は、金属ワイヤ取り出し手段の一例である。金属ワイヤ取り出し用電磁石52は、棒状に形成されると共に、略水平姿勢で吊り部材62により吊り下げられている。作業員は、金属ワイヤ取り出し用電磁石52を図示しない操作機構を用いて、金属ワイヤ取り出し用電磁石52の移動及び電源のオンオフ切替などを操作する。
【0042】
サイクロン式の吸引機53は、炭化残渣取り出し手段の一例である。吸引機53は、伸縮自在で可撓性を有するホース53aと、ホース53aの先端部に設けられたノズル部53bと、吸引した炭化残渣が収納される容器55とを備えて構成される。
【0043】
図6は撹拌機51の底面図(下面図)を図示する。
図6に示すように、支持部材59が十字状に形成され、4本の攪拌棒60が各支持部材59の端部に設けられている。また、支持部材59が補強される円環状の補強部材61が、各支持部材59を連結するように設けられている。
【0044】
図7は
図6の残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【0045】
図7(A)は、乾留工程後に、カートリッジ容器25を乾留装置1から取り出し、置台54に設置した状態が示されている。カートリッジ容器25内では、固形状及び粉状の炭化残渣Cと、金属ワイヤSとが入り混じっており、かつ、金属ワイヤSの表面には炭化残渣Cが付着している。
【0046】
図7(B)は、撹拌機51による撹拌分離工程が示されている。撹拌機51はカートリッジ容器25内に挿入され、撹拌機51の台座56が凸部25aの上端面に当接支持される。回転軸58はカートリッジ容器25から上方に突出し、図示しない駆動装置に連結される。各攪拌棒60は、炭化残渣C内に挿入される。置台54は回転可能であるが、固定状態で使用される。撹拌機51の回転軸58が矢印X1の方向に回転すると、攪拌棒60が回転軸58と同方向に周回して炭化残渣Cを撹拌する。これにより、金属ワイヤSから炭化残渣Cが分離され、また、固定状の炭化残渣Cは粉状に粉砕される。
【0047】
図7(C)は、金属ワイヤ取り出し工程が示されている。
図7(C)に示されるように、金属ワイヤ取り出し用電磁石52がカートリッジ容器25内に挿入された状態である。金属ワイヤSが金属ワイヤ取り出し用電磁石52に吸着され、これにより炭化残渣C内から金属ワイヤSのみが取り出される。
【0048】
図7(D)は、分離後の炭化残渣Cの吸引工程が示されている。サイクロン式の吸引機53のホース53a及びノズル部53bがカートリッジ容器25内に挿入される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cは、吸引機53のノズル部53bから吸引され、容器55に収納される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cの大部分は、上述の撹拌機51の撹拌により粉状化しており、容易に吸引することが可能となる。
【0049】
なお、
図7(B)の撹拌分離工程において、撹拌機51を回転させずに固定状態とし、置台54を回転軸心O2回りに矢印X2方向に回転させることにより、撹拌することもできる。もちろん、撹拌機51と回転式の置台54との双方を互いに反対方向に回転させ、撹拌することも可能である。
【0050】
[第1実施形態による効果]
(1)残渣分離工程にいて、カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業等の人力による作業が不要となるので、従来と比較すると、残渣分離の作業効率が向上する。また、従来と比較すると、作業員の肉体的負担を軽減することが可能となる。
【0051】
(2)カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業が不要となるので、作業中、粉状の炭化残渣の舞い上がりを抑制することができ、従来と比較すると、作業環境を良好に維持することが可能となる。
【0052】
(3)凸部25aがカートリッジ容器25の底壁の中央部に形成されているので、乾留工程時に加熱炉22の熱が中央部からも廃タイヤに伝わり、廃タイヤへの熱伝達を向上させることが可能となる。
【0053】
(4)凸部25aがカートリッジ容器25の底壁に中央部に形成されているので、撹拌機51がカートリッジ容器25内に装着される際、台座56を凸部25aの上端壁に当接支持させることにより、撹拌機51を適切な高さ及び位置に簡単に設定することが可能となる。
【0054】
(5)撹拌機51の複数本の攪拌棒60は、相互に異なる長さに設定されているので、カートリッジ容器25内の炭化残渣Cは全体が略均一が撹拌され、金属ワイヤSと炭化残渣Cとの分離効果を向上させることが可能となる。
【0055】
[第2実施形態]
図8及び
図9は第2実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法が示されている。第1実施形態と同じ部品及び装置は、第1実施形態と同じ部品番号及び装置番号が付され、詳しい説明を省略する。
【0056】
図8において、廃タイヤ残渣分離システムは、第1実施形態と同様の撹拌機51と、給水部65と、第1実施形態と同様のサイクロン式の吸引機53とを備えて構成される。すなわち、第1実施形態の金属ワイヤ取り出し用電磁石52の代わりに、給水部65を備えている。給水部65は、カートリッジ容器25に給水するために用いられる。
【0057】
図9は、
図8の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【0058】
図9(A)は、乾留工程後に、カートリッジ容器25を乾留装置1から取り出し、置台54に設置した状態が示されている。カートリッジ容器25内では、固形状及び粉状の炭化残渣Cと、金属ワイヤSとが入り混じっており、かつ、金属ワイヤSの表面には炭化残渣Cが付着している。
【0059】
図9(B)は、撹拌機51による撹拌分離工程が示されている。撹拌機51はカートリッジ容器25内に挿入され、撹拌機51の台座56が凸部25aの上端面に当接支持される。回転軸58はカートリッジ容器25から上方に突出し、図示しない駆動装置に連結される。各攪拌棒60は、炭化残渣C内に挿入される。置台54は回転可能であるが、固定状態で使用される。撹拌機51の回転軸58が矢印X1の方向に回転すると、攪拌棒60が回転軸58と同方向に周回して炭化残渣Cを撹拌する。これにより、金属ワイヤSから炭化残渣Cが剥がされ、また、固定状の炭化残渣Cは粉状に粉砕される。
【0060】
図9(C)は、給水工程が示されている。給水部65からカートリッジ容器25内に水が供給され、炭化残渣Cの上に水層66が形成される。
【0061】
図9(D)は、給水工程後の残渣浮上工程と炭化残渣吸引工程とが示されている。炭化残渣Cは水より比重が小さいので、水層66の上部に浮かび上がる。浮かび上がった炭化残渣Cは、サイクロン式の吸引機53により吸引され、容器55に回収される。
【0062】
図9(E)は、カートリッジ容器25内から水を抜いた状態が示されている。カートリッジ容器25内には、金属ワイヤSと一部の炭化残渣とが残っているが、一部の炭化残渣もサイクロン式の吸引機53により吸引される。
【0063】
[第2実施形態による効果]
上述の第1実施形態の効果に加え、さらに以下の効果を有する。
【0064】
炭化残渣Cと金属ワイヤSと水の比重の相違を利用して炭化残渣Cを金属ワイヤSから分離するので、粉状の粉塵がカートリッジ容器25内から舞い上がるのを阻止できる。また、金属ワイヤ取り出し用電磁石52のような特別な機械装置を用いる必要がないので、さらにコストを低減することが可能となる。
【0065】
[第3実施形態]
図10及び
図11は第3実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法が示されている。第1実施形態と同じ部品及び装置は、第1実施形態と同じ部品番号及び装置番号が付され、詳しい説明を省略する。
【0066】
図10において、廃タイヤ残渣分離システムは、複数の振動用電磁石68と、第1実施形態と同様の金属ワイヤ取り出し用電磁石52と、第1実施形態と同様のサイクロン式の吸引機53とを備えて構成される。即ち、金属ワイヤ分離手段として、第1実施形態の撹拌機51の代わりに振動用電磁石68を備えている。更に、廃タイヤ残渣分離システムは、置台54の中央部には、凸部25a内に突入する中央振動用電磁石70を備えている。
【0067】
複数の震動用電磁石68は、カートリッジ容器25の外側に、カートリッジ容器25の周方向に間隔をおいて配置されている。各振動用電磁石68は、コラム69により床面に設置され、かつ、複数の振動用電磁石68は相互に異なる高さに設置されている。カートリッジ容器25は、磁力の影響を受けないステンレス(SUS)製やチタン製が好ましい。また、置台54は、回転軸心O2回りに回転する回転式のものが利用される。
【0068】
図11は、
図10の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【0069】
図11(A)は、乾留工程後に、カートリッジ容器25を乾留装置1から取り出し、置台54に設置した状態が示されている。カートリッジ容器25内では、固形状及び粉状の炭化残渣Cと、金属ワイヤSとが入り混じっており、かつ、金属ワイヤSの表面には炭化残渣Cが付着している。
【0070】
図11(B)は、振動分離工程が示されている。振動用電磁石68及び中央振動用電磁石70をオン状態とし、カートリッジ容器25を回転軸心O2回りにX2方向に回転させることにより、カートリッジ容器25内の炭化残渣Cに振動を付与する。炭化残渣Cが振動することにより、炭化残渣C内の金属ワイヤSが分離される。
【0071】
図11(C)は、金属ワイヤ取り出し工程が示されている。
図11(C)に示されるように、金属ワイヤ取り出し用電磁石52がカートリッジ容器25内に挿入された状態である。金属ワイヤSが金属ワイヤ取り出し用電磁石52に吸着され、これにより炭化残渣C内から金属ワイヤSのみを取り出すことができる。なお、中央振動用電磁石70はオフ状態である。
【0072】
図11(D)は、分離後の炭化残渣Cの吸引工程が示されている。サイクロン式の吸引機53のホース53a及びノズル部53bがカートリッジ容器25内に挿入される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cは、吸引機53のノズル部53bから吸引され、容器55に収納される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cの大部分が、上述の振動により大部分が粉状化され、サイクロン式の吸引機53により容易に吸引することが可能となる。
【0073】
[第3実施形態による効果]
(1)残渣分離工程にいて、カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業等の人力による作業が不要となるので、従来と比較すると、残渣分離の作業効率が向上する。また、従来と比較すると、作業員の肉体的負担が軽減することが可能となる。
【0074】
(2)カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業が不要となるので、従来と比較すると、作業中、粉状の炭化残渣の舞い上がりを抑制することができ、作業環境を良好に維持することが可能となる。
【0075】
(3)凸部25aがカートリッジ容器25の底壁の中央部に形成されているので、乾留工程時に加熱炉22の熱が中央部からも廃タイヤに伝わり、廃タイヤへの熱伝達を向上させることが可能となる。
【0076】
(4)複数の振動用電磁石68は、相互に異なる高さに設定されているので、カートリッジ容器25内の炭化残渣Cは全体が略均一に振動し、金属ワイヤSと炭化残渣Cとの分離効果を向上することが可能となる。
【0077】
(5)カートリッジ容器25の外側に複数の振動用電磁石68を配置すると共に、中央の凸部25a内にも中央振動用電磁石70を備えているので、磁力の大きさにより振動幅を増大させることができ、分離効果をさらに向上させることが可能となる。
【0078】
[第4実施形態]
図12及び
図13は第4実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法を示している。第1実施形態と同じ部品及び装置は、第1実施形態と同じ部品番号及び装置番号を付してある。
【0079】
図12において、廃タイヤ残渣分離システムは、第1実施形態と同様の吸引機53と、吸引機53のノズル部53bに一体的に取り付けられたバイブレータ71とを備えて構成される。また、置台54は、回転軸心O2回りに回転する回転式のものが利用される。
【0080】
図13は、
図12の廃タイヤ残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【0081】
図13(A)は、乾留工程後に、カートリッジ容器25を乾留装置1から取り出し、置台54に設置した状態が示されている。カートリッジ容器25内では、固形状及び粉状の炭化残渣Cと、金属ワイヤSとが入り混じっており、かつ、金属ワイヤSの表面には炭化残渣Cが付着している。
【0082】
図13(B)は、振動分離及び吸引工程が示されている。吸引機53のノズル部53b及びバイブレータ71がカートリッジ容器25内の炭化残渣C内に挿入され、回転式の置台54は糧軸心O2回りに回転する。ノズル部53bの近傍でバイブレータ71が振動することにより、ノズル部53bの近傍の炭化残渣Cと金属ワイヤSとが分離され、分離後の炭化残渣Cはノズル部53bで吸引され、容器55に収納される。
【0083】
図13(C)は、振動分離及び吸引工程後の状態が示されている。カートリッジ容器25内には炭化残渣Cから分離された金属ワイヤSが残っている。
【0084】
[第4実施形態による効果]
(1)残渣分離工程にいて、カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業等の人力による作業が不要となるので、従来と比較すると、残渣分離の作業効率を向上させることが可能となる。また、従来と比較すると、作業員の肉体的負担が軽減することが可能となる。
【0085】
(2)カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業が不要となるので、従来と比較すると、作業中、粉状の炭化残渣の舞い上がりを抑制することができ、作業環境を良好に維持することが可能となる。
【0086】
(3)凸部25aがカートリッジ容器25の底壁の中央部に形成されているので、乾留工程時に加熱炉22の熱が中央部からも廃タイヤに伝わり、廃タイヤへの熱伝達を向上させることが可能となる。
【0087】
(4)バイブレータ71による炭化残渣Cの振動分離と吸引機53による炭化残渣Cの吸引とを、略一箇所で、かつ、略同時に行うことができ、作業効率を向上させることが可能となる。さらに、残渣分離用の設備をコンパクトにすることが可能となる。
【0088】
[第5実施形態]
図14及び
図15は第5実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法が示されている。なお、第1実施形態と同じ部品及び装置は、実施形態と同じ部品番号及び装置番号を付してある。
【0089】
図14において、廃タイヤ残渣分離システムは、炭化残渣Cの転圧分離用の転圧装置74と、第1実施形態と同様のサイクロン式の吸引機53とを備えて構成される。
【0090】
転圧装置74は、コラム75に支持された駆動部76と、駆動部76に上下方向スライド可能に設けられた工具ヘッド77と、工具ヘッド77から下方に伸びるロッド78と、ロッド78の下端部に設けられた転圧体79とを備えて構成される。コラム75は床面に立設されている。工具ヘッド77は駆動部76からの動力を上下振動に変換する振動発生機構を有している。たとえば回転運動を上下振動運動に変換するカム機構等を内蔵している。また、置台54は、回転軸心O2回りに回転する回転式のものが利用される。
【0091】
図15は
図14の残渣分離システムを利用した廃タイヤ残渣分離方法の工程説明図である。
【0092】
図15(A)は、乾留工程後に、カートリッジ容器25を乾留装置1から取り出し、置台54に設置した状態が示されている。カートリッジ容器25内では、固形状及び粉状の炭化残渣Cと、金属ワイヤSとが入り混じっており、かつ、金属ワイヤSの表面には炭化残渣Cが付着している。
【0093】
図15(B)は、転圧装置74による転圧分離工程が示されている。まず、ヘッド77の上下方向の位置を調節することにより、転圧体79の下面が炭化残渣Cの表面より少し上方に位置するように高さ調節される。次に、置台54を回転させると共に、転圧装置74を駆動して、転圧体79を上下に振動させる。これにより、転圧体79は炭化残渣Cの表面を繰り返し叩く。すなわち、タンピングが行われ、炭化残渣Cと金属ワイヤSが分離される。カートリッジ容器25は置台54と一体的にX2方向に回転しているので、炭化残渣Cは全面に亘ってタンピングされる。
【0094】
図15(C)は、金属ワイヤ取り出し工程が示されている。
図15(C)に示されるように、金属ワイヤ取り出し用電磁石52がカートリッジ容器25内に挿入された状態である。金属ワイヤSが金属ワイヤ取り出し用電磁石52に吸着され、これにより炭化残渣C内から金属ワイヤSのみを取り出すことが可能となる。
【0095】
図15(D)は、分離後の炭化残渣Cの吸引工程が示されている。サイクロン式の吸引機53のホース53a及びノズル部53bがカートリッジ容器25内に挿入される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cは、吸引機53のノズル部53bから吸引され、容器55に収納される。カートリッジ容器25内の炭化残渣Cの大部分は、上述の転圧作業により粉状化しており、容易に吸引することができる。
【0096】
[第5実施形態による効果]
(1)残渣分離工程にいて、カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業等の人力による作業が不要となるので、従来と比較すると、残渣分離の作業効率を向上させることが可能となる。また、従来と比較すると、作業員の肉体的負担が軽減することが可能となる。
【0097】
(2)カートリッジ容器25の反転作業、作業員による踏み付け作業が不要となるので、従来と比較すると、作業中、粉状の炭化残渣の舞い上がりを抑制することができ、作業環境を良好に維持することが可能となる。
【0098】
(3)凸部25aがカートリッジ容器25の底壁の中央部に形成されているので、乾留工程時に加熱炉22の熱が中央部からも廃タイヤに伝わり、廃タイヤへの熱伝達を向上させることが可能となる。
【0099】
[第6実施形態]
図16は第6実施形態に係る廃タイヤ残渣分離システム及び分離方法が示されている。第1実施形態と同じ部品及び装置は、第1実施形態と同じ部品番号及び装置番号を付してある。
【0100】
図16において、第1実施形態と比較すると、
図16(B)に示すようにカートリッジ容器25の上端を覆うカートリッジ蓋81が追加されたことが相違する。ここで、カートリッジ蓋81は、強固で軽い材料が好ましい。カートリッジ蓋81の中央部にはたとえば撹拌機51の回転軸58が挿通可能な孔が形成されている。
【0101】
残渣分離方法の工程
図16(A)~(D)は
図7の方法と同じであるが、
図16(B)の撹拌分離工程において、上述のカートリッジ蓋81でカートリッジ容器25の上端が閉じられる。これにより、撹拌動作中、粉塵がカートリッジ容器25外に舞い上がるのを防止することが可能となる。
【0102】
[第6実施形態による効果]
上述の第1実施形態による効果に加え、次の効果を有する。
図16(B)の撹拌分離工程において、撹拌動作中、粉塵がカートリッジ容器25外に舞い上がるのを防止することが可能となる。すなわち、第1実施形態と比較すると、作業環境を一層向上させることが可能となる。
【0103】
[その他の実施形態]
(1)
図5の撹拌機51において、攪拌棒60の数を2本もしくは3本または5本以上に設定してもよいし、攪拌棒60の代わりに撹拌ブレードを設けてもよい。
【0104】
(2)
図10の複数の振動用電磁石68を、同じ高さに設置することも可能である。この場合、振動用電磁石68を、周期的にオン及びオフを切り替えることにより、効果的に炭化残渣Cを振動させることができる。
【0105】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、前記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0106】
以上説明したように、第1の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
乾留装置のカートリッジ容器収納室に収納され、廃タイヤが投入されるカートリッジ容器と、
前記カートリッジ容器内に着脱自在に取り付けられ、乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣を撹拌することにより前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌機と、
前記カートリッジ容器内から前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石と、
前記カートリッジ容器内から、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して取り出す吸引機と、を備えている。
【0107】
第2の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第1の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記カートリッジ容器の底壁に、上方突出状の凸部が形成されている。
【0108】
第3の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第2の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記凸部は、前記底壁の中央部に形成されている。
【0109】
第4の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第2又は第3の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記カートリッジ容器収納室の壁部には、前記凸部内に下方から突入する上方突出状の突入部が形成されている。
【0110】
第5の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第2~第4の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記撹拌機は、
前記凸部の上端面に支持される台座と、
前記台座に軸受を介して回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に一体回転可能に取り付けられた撹拌部材と、を備えている。
【0111】
第6の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムの分離方法は、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を撹拌して前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌分離工程と、
分離された前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【0112】
第7の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
乾留装置のカートリッジ容器収納室に収納され、廃タイヤが投入されるカートリッジ容器と、
前記カートリッジ容器内に着脱自在に取り付けられ、乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣を撹拌することにより前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌機と、
撹拌後の前記カートリッジ容器内に給水して炭化残渣を水に浮かせるための給水部と、
給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、前記カートリッジ容器内から吸引して取り出す吸引機と、を備えている。
【0113】
第8の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムの分離方法は、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を撹拌して前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する撹拌分離工程と、
撹拌分離後の前記カートリッジ容器内に給水部により給水して炭化残渣を水に浮かせる残渣浮上工程と、
給水後に前記水に浮いた炭化残渣を、吸引機により前記カートリッジ容器内から吸引して取り出す吸引工程と、を含む。
【0114】
第9の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
乾留装置のカートリッジ容器収納室に収納され、廃タイヤが投入されるカートリッジ容器と、
前記カートリッジ容器の外周面に容器外方から対向するように配置され、前記カートリッジ容器の回転により前記カートリッジ容器内の残渣に振動を付与し、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する複数の振動用電磁石と、
前記カートリッジ容器内から前記分離後の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石と、
前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して取り出す吸引機と、を備えている。
【0115】
第10の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第9の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記複数の振動用電磁石は、前記カートリッジ容器の周方向に間隔をおいて配置されると共に、相互に異なる高さに配置されている。
【0116】
第11の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第10の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記カートリッジ容器の底壁の中央部に、上方突出状の凸部が形成されている。
【0117】
第12の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第11の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記カートリッジ容器の前記凸部内に前記振動用電磁石と同様の中央振動用電磁石が配置されている。
【0118】
第13の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムの分離方法は、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣を、回転する前記カートリッジ容器の外周側に配置された複数の振動用電磁石により振動させ、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する振動分離工程と、
振動分離された前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【0119】
第14の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
乾留装置のカートリッジ容器収納室に収納され、廃タイヤが投入されるカートリッジ容器と、
前記カートリッジ容器内の炭化残渣内に挿入される吸引ノズルを有する吸引機と、
前記吸引ノズルに取り付けられ、前記炭化残渣に振動を付与して前記炭化残渣内から金属ワイヤを振動分離するバイブレータと、を備えている。
【0120】
第15の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムの分離方法は、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置内のカートリッジ容器内に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後、回転する前記カートリッジ容器内の炭化残渣に、バイブレータ及び吸引機の吸引ノズルを挿入して、前記残渣に振動を付与すると同時に、前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して前記カートリッジ容器から取り出す振動及び吸引工程と、を含む。
【0121】
第16の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムであって、
乾留装置のカートリッジ容器収納室に収納され、廃タイヤが投入されるカートリッジ容器と、
乾留後の前記廃タイヤの炭化残渣の上面を転圧する振動式転圧機と、
前記カートリッジ容器内から転圧後の前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを吸着して取り出す金属ワイヤ取り出し用電磁石と、
前記カートリッジ容器内から前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を吸引して取り出す吸引機と、を備えている。
【0122】
第17の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムの分離方法は、
廃タイヤ残渣を分離する廃タイヤ残渣分離システムの分離方法であって、
乾留装置のカートリッジ容器に投入された廃タイヤを乾留する工程と、
乾留後の前記カートリッジ容器内の炭化残渣の上面を、振動式転圧機により転圧して、前記炭化残渣から金属ワイヤを分離する転圧分離工程と、
分離された前記炭化残渣内の前記金属ワイヤを金属ワイヤ取り出し用電磁石により吸着し、前記カートリッジ容器から取り出す金属ワイヤ取り出し工程と、
前記金属ワイヤが除去された前記炭化残渣を、吸引機により吸引して前記カートリッジ容器から取り出す吸引工程と、を含む。
【0123】
第18の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムは、第1,第7,第9,第14又は第16の態様に係る廃タイヤ残渣分離システムにおいて、
前記カートリッジ容器の上端開口に、開閉自在なカートリッジ蓋をさらに備えている。
【符号の説明】
【0124】
1 乾留装置
22 加熱炉
23 天蓋
25 カートリッジ容器
51 撹拌機(金属ワイヤ分離手段の一例)
52 金属ワイヤ取り出し用電磁石(金属ワイヤ取り出手段の一例)
53 吸引機(炭化残渣取り出し手段の一例)
56 台座
57 軸受
58 回転軸
59 支持部材
60 撹拌棒
65 給水部(金属ワイヤ分離手段の一例)
68 振動用電磁石((金属ワイヤ振動分離手段の一例)
70 中央振動用電磁石(金属ワイヤ振動分離手段の一例)
71 バイブレータ(金属ワイヤ振動分離手段の一例)
74 転圧装置(金属ワイヤ転圧分離手段の一例)
81 カートリッジ蓋
S 金属ワイヤ
C 炭化残渣