(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】スマート分子分析システムのワークフローにおける使用のための機器、デバイス、および消耗品
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20241114BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20241114BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20241114BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20241114BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/02 C
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2023116919
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2020541755の分割
【原出願日】2019-01-30
【審査請求日】2023-07-18
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ポティニ シャキラ
(72)【発明者】
【氏名】サンガ ハルディープ
(72)【発明者】
【氏名】ハーバーストロー マーク
(72)【発明者】
【氏名】スリ プニート
(72)【発明者】
【氏名】ルック ダミアン
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500496(JP,A)
【文献】特開2015-200668(JP,A)
【文献】特表2008-519285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0145798(US,A1)
【文献】特開2011-203114(JP,A)
【文献】特開2015-142893(JP,A)
【文献】特表2019-528174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00ー37/00
C12M 1/00
C12Q 1/686
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子分析を実行するための方法であって、
複数の反応場を含む反応プレート上の反応プレートRFIDタグを読み取ることと、
試薬容器上の試薬容器RFIDタグを読み取ることと、
前記反応プレートRFIDタグから読み取った情報を適用し、
且つ前記試薬容器RFIDタグから読み取った情報を適用し、前記分子分析のためのワークフローを実施することと、を含み、
前記反応プレートRFIDタグから読み取った前記情報、
及び前記試薬容器RFIDタグから読み取った前記情報には、前記複数の反応場のうちの反応場のサブセットを識別し、前記反応場のサブセットへの試薬の移送を指示する情報が含まれ、
前記方法は、さらに、
前記反応場のサブセットに含まれている第1の試薬の識別子のために、前記反応プレートRFIDタグを読み取ることと、
前記反応場のサブセットに移送されるように指示された試薬である第2の試薬の識別子のために、前記試薬容器RFIDタグを読み取ることと、
前記反応プレートRFIDタグおよび前記試薬容器RFIDタグによって蓄積されている前記情報を、前記分子分析のための前記ワークフローにおける前記第1の試薬と前記第2の試薬を混合するための命令に適用することと、を含む、
方法。
【請求項2】
さらに、
前記反応プレートのための温度履歴、前記反応プレートのための露光履歴、および/または前記反応プレートのための動き検出履歴を、前記反応プレートのRFIDタグから読み取ること、および/または、
前記試薬容器のための温度履歴、前記試薬容器のための露光履歴、および/または前記試薬容器のための動き検出履歴を、前記試薬容器RFIDタグから読み取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、
前記反応プレートRFIDタグから読み取った前記情報、
及び前記試薬容器RFIDタグから読み取った前記情報に基づいて、前記ワークフローのための視覚的、および/または口頭でのガイドを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、
前記ワークフローのための分析プロトコルのための前記反応プレートRFIDタグを読み取ることを含み、
前記分析プロトコルは、前記反応プレートへの1つ以上の試薬の液体移送のための命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、
前記分子分析のための前記ワークフローにおける次の反応プレートの識別子のために、前記反応プレートRFIDタグを読み取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
液体、試薬、および/または前記反応プレートへの試料移送の前記反応プレートRFIDタグ上に記録を記録するように、RFIDライターを操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記記録は、前記液体
の移送の反応容量を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
(i)前記液体
、試薬、および/または試料
の移送が適用されている、前記複数の反応場のうちの1つの反応場の識別子を記録するように、および/または、(ii)前記液体、試薬、および/または試料の移送が前記反応プレートに適用されている、日付および/または時刻を記録するように、前記RFIDライターを操作することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
さらに、
前記反応プレートの特性に関するデータを、前記反応プレートRFIDタグから読み取ること、および/または、
前記第2の試薬の特性に関するデータを、前記試薬容器RFIDタグから読み取ることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、
前記反応プレート、前記試薬容器、前記第1の試薬、前記第2の試薬、および/または前記分子分析についての情報を、前記反応プレートRFIDタグおよび/または前記試薬容器RFIDタグに書き込むことを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
ネットワークサーバーシステムから前記分子分析の前記ワークフローをダウンロードすることを含み、
前記ワークフローは、前記反応プレートのための分析プロトコルを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記分析プロトコルは、液体試薬のための命令、および/または前記反応プレートへの1つ以上の試薬の試料移送を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記命令は、前記第1の試薬を含む前記反応プレート上の前記複数の反応場のうちの1つの反応場、および液体試薬のための命令、および/または前記反応場への前記第2の試薬の試料移送を含み、
前記命令は、前記第2の試薬の反応容量を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
分子分析を実行するための方法であって、
サンプルを提供することと、
試薬容器上の試薬容器RFIDタグを読み取ることと、
前記試薬容器RFIDタグから読み取った情報を適用し、前記分子分析のためのワークフローを実施することと、を含み、
前記試薬容器RFIDタグは、前記試薬容器内の試薬を識別する情報を含み、
前記試薬容器RFIDタグは、前記分子分析のための前記ワークフローの一部として、前記サンプルへの、前記試薬容器内の前記試薬の適用を指示する情報を含
み、
前記方法は、さらに、
反応プレート試薬を含む少なくとも1つの反応場のサブセットである、複数の反応場を有する反応プレートを提供することと、
反応プレートRFIDタグを読み取り、前記反応プレート試薬を含む前記反応プレートの前記反応場のサブセットを識別することと、
前記反応プレートRFIDタグおよび前記試薬容器RFIDタグによって蓄積されている前記情報を、前記分子分析のための前記ワークフローにおいて、前記少なくとも1つの反応場のサブセットの前記反応プレート試薬と前記試薬容器の前記試薬の特定の容量とを混合するための命令に適用することと、を含む、
方法。
【請求項15】
前記試薬容器RFIDタグは、前記試薬容器の前記試薬を前記サンプルの特定のサブセットに移送する指示を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
前記反応プレート上の複数の反応場および前記各反応場のための対応する試薬の識別子を、前記反応プレートRFIDタグから読み取ることを含み、
前記反応場の少なくとも2つが異なる試薬セットを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
分子分析を実行するための方法であって、
反応プレート上の反応プレートRFIDタグを読み取ることと、
試薬容器上の試薬容器RFIDタグを読み取ることと、
前記試薬容器RFIDタグおよび前記反応プレートRFIDタグから読み取った情報を適用し、前記分子分析のためのワークフローを実施することと、を含み、
前記試薬容器RFIDタグは、前記試薬容器内の試薬を識別する情報を含み、
前記試薬容器RFIDタグおよび/または前記反応プレートRFIDタグは、前記分子分析のための前記ワークフローの一部として、前記反応プレートにおける指定された反応場のサブセットへの、前記試薬容器内の前記試薬の適用を指示する情報を含
み、
前記指定された反応場のサブセットは、反応プレート試薬を含み、前記反応プレートRFIDタグを読み取ることは、前記反応プレート試薬を含む前記反応プレートの前記反応場を識別し、
前記方法は、さらに、前記反応プレートRFIDタグおよび前記試薬容器RFIDタグによって蓄積されている前記情報を、前記指定された反応場のサブセットの前記反応プレート試薬と前記試薬容器の前記試薬の特定の容量とを混合するための命令に適用することを含む、方法。
【請求項18】
さらに、
前記反応プレート上の複数の反応場および前記各反応場のための対応する試薬の識別子を、前記反応プレートRFIDタグから読み取ることを含み、
前記反応場の少なくとも2つが異なる試薬セットを含む、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマート分子分析システムのワークフローにおける使用のための機器、デバイス、および消耗品に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年1月30日出願の米国特許法第119条(e)項に基づく米国仮出願第62/624,080号の利益を主張する。上述した出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分子分析は、時間がかかり、エラーが発生しやすい作業になる可能性がある。ユーザーは、実験を計画し、および画定すること、使用する必要があるアッセイ、試薬、機器、プロトコルを決定することに、何時間も費やし得る。追加の障壁は、試薬が機能していて(期限切れになっていないなど)、正しいプロトコルで使用されることを、保証する必要性によって呈される。様々な分子分析は、生体分子を評価することに利用されることができる。分析の1つのタイプは、核酸増幅および/または核酸検出を実行することを伴う。核酸増幅の1つのタイプは、典型的にはリアルタイムで、試料内の標的の存在を識別および定量化するように、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を伴う。これらの分析は、分析ワークフローにおいて複雑な方法で相互作用する、反応プレートおよび試薬などの消耗品としても知られている、材料またはアイテムを利用する。場合によっては、消耗品は、正しく蓄積されておらず、劣化し得、分析における使用に問題がある可能性がある。
【0003】
分子分析は典型的には、反応チャンバー、チャネル、カード、アレイ、導管、スライド、プレートなどの反応基質または反応ホルダーの特定の反応場上への液体、試薬、および/または試料の移送の多くの手動ステップを伴う。各ステップは、典型的には、しかしながら必ずしもそうではないが、反応基質または反応ホルダーの中または上に位置付けられた、画定された領域、場所、または場である、正しい反応場に移送する前に、使用されている液体、試薬、および/または試料の正しい体積、および/または濃度を計算および測定することが要求され得る。手動で測定して複数の反応場に移送することは、解釈を困難にする結果を生じ得る、分析エラーの可能性を増加し得る。追加的に、分析で使用される機器の使用のスケジューリングは、同じ機器を様々なユーザーが競い合う、および/または1人以上のユーザーが遠隔地から機器を管理するため、困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、分子分析において使用される機器と消耗品の追跡および使用を容易にし、分子分析ワークフローの全体的な使いやすさ、柔軟性、および信頼性を向上させる必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分子分析を実行するためのシステムに向けられる。分子分析は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのワークフローを伴うことができる。例えば、PCR分子分析のためのワークフローは、定量的PCR(qPCR)、エンドポイントPCR(epPCR)、逆転写-PCR(RT-PCR)、またはPCRを伴う近接ライゲーションアッセイ(PLA)を含み得る。本明細書に開示されるシステムは、スマート消耗品を含むことができる。スマート消耗品は、例えば、1つ以上のスマート反応基質または反応ホルダー(例えば、反応プレートまたは反応アレイ)、および/または1つ以上のスマート試薬容器を含むことができる。スマート消耗品は、反応プレートまたは反応アレイ、および/またはスマート試薬容器のような、スマート試薬ホルダーであり得る。スマート反応基質または反応ホルダーの各々は、反応基質または反応ホルダーRFIDタグを含むことができる。同様に、試薬容器の各々は、試薬容器RFIDタグを含むことができる。一緒にまたは別々に動作して、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ(複数可)、および試薬容器RFIDタグ(複数可)は、様々なデータまたは情報を蓄積および共有することができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ(複数可)、および試薬容器RFIDタグ(複数可)は、情報を送信および/または受信することができる。RFIDタグリーダーは、RFIDタグ上に蓄積された情報を読み取ることができる。RFIDライターは、RFIDタグに情報を書き込む(または書き換える)ことができる。
【0006】
反応基質または反応ホルダーは、少なくとも1つの反応場を含むことができる。代替的に、反応基質または反応ホルダーは、複数の反応場を含むことができる。反応基質または反応ホルダーの1つ以上の反応場は、第1の試薬を含むことができる。場合によっては、反応基質または反応ホルダーの各反応場の第1の試薬は、同じである。他のいくつかの場合では、反応基質または反応ホルダーの各反応場の第1の試薬は、異なる。反応基質または反応ホルダーの複数の反応場の一部(例えば、1つ以上)またはすべては、第1の試薬を含むことができる。場合によっては、複数の反応場のいくつかの部分は、空白の、または空のままであり得る。反応基質または反応ホルダーの反応場の第1の試薬は、反応基質または反応ホルダー上に事前にスポットされ得る。第1の試薬は、反応基質または反応ホルダーにドライスポットされ得る。
【0007】
反応基質または反応ホルダーの1つ以上の反応場が第1の試薬を含む場合、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、各反応場の識別子、および各反応場によって含まれる対応する第1の試薬を含むことができる。場合によっては、第1の試薬は、少なくとも1つのプライマー、および/または少なくとも1つのプローブを含む。各反応場の第1の試薬中の少なくとも1つのプライマー、および/または少なくとも1つのプローブは、同じ、または異なり得る。したがって、1つ以上の試薬容器は、反応基質または反応ホルダーの第1の試薬に添加される、第2の試薬、第3の試薬、第4の試薬などを含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、第1の試薬の特性に関するデータ、および/または第2の試薬の特性に関するデータをコード化する試薬容器RFIDタグを、コード化または蓄積し得る。例えば、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、第1の試薬の有効期限を蓄積することができ、および/または試薬容器RFIDタグは、試薬容器(複数可)によって含まれる第2の試薬、第3の試薬、第4の試薬などの有効期限を蓄積することができる。
【0008】
システムの反応基質または反応ホルダーおよび/または試薬容器はまた、温度、動き、光、および/または気流などの変化を検出するためのセンサーを含むことができる。センサーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグに連結され得る。このように、反応プレートRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグは、1つ以上のセンサーへの連結を通して、各々、反応プレート、および/または試薬容器のための温度履歴、露光履歴、および/または動き検出履歴を蓄積することができる。場合によっては、RFIDタグ自体は、1つ以上のセンサーを含み得る。他の場合では、センサーは、RFIDタグから空間的に分離される。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグはまた、バーコードを含み得、または(直接的または間接的に)バーコードに連結され得る。
【0009】
システムは、スマート機器、および/またはスマートデバイスをさらに含むことができる。スマート機器またはスマートデバイスは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグから受信したワークフロー情報に基づいて、分子分析のための視覚的、および/または口頭でのガイドを提供するように動作可能であるロジックを含むことができる。機器/デバイスは、反応プレートRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグからワークフロー情報を読み取るように動作可能であるRFIDリーダーを含み得る。機器/デバイスは、分子分析のためのワークフローをダウンロードするように、ネットワークサーバーシステム、および/またはクラウドにアクセスするように動作可能であるロジックを含むことができる。例えば、ワークフローは、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器のための分析プロトコルを含み得る。分析プロトコルは、反応基質または反応ホルダーへの液体、試薬、または試料の移送のための命令を含むことができる。同様に、機器/デバイスは、RFIDライターと、液体、試薬、または反応基質もしくは反応ホルダーRFIDタグへの試料移送の記録を、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ上に記録するように、RFIDライター上で動作可能であるロジックとを含むことができる。記録は、液体、試薬、または試料の移送のための反応容量を含むことができる。さらに、機器は、液体、試薬、または試料移送が適用されている、反応基質または反応ホルダーの反応場を記録するように、RFIDライター上で動作可能であるロジックを含むことができる。機器はまた、液体、試薬、または試料の移送が反応基質または反応ホルダーに適用されている日付、および/または時刻を記録するように、RFIDライター上で動作可能であるロジック、反応基質または反応ホルダー上の第1の試薬を、試薬容器によって蓄積されている第2の試薬と混合するための命令を提供するように、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグによって蓄積されている情報を適用するように動作可能であるロジック、および/または、ワークフローのための分析プロトコルのための反応プレートRFIDタグを読み取るように動作可能であるロジックを含み得る。命令は、第1の試薬を含む反応プレート上の反応場と、液体、別の試薬、または試料を反応場に適応するための移送命令、および/または液体、他の試薬、または試料の反応容量を含むことができる。分析プロトコルは、試薬を反応基質または反応ホルダーに適用するための液体、試薬、または試料移送命令を含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、反応基質または反応ホルダー上の反応場に含まれる第1の試薬の識別子を含むことができる。反応場に含まれる第1の試薬は、少なくとも1つのプライマー対、および/または少なくとも1つのプローブを含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、分子分析のためのワークフローにおける、次の反応基質または反応ホルダーの識別子を含むことができる。
【0010】
本明細書では、分子分析を実行するための方法も提供される。方法は、反応基質または反応ホルダー上の反応基質または反応ホルダーRFIDタグを読み取るステップ、および/または、試薬容器上の試薬容器RFIDタグを読み取るステップ、および、分子分析のためのワークフローを実施するように、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグから読み取った情報を適用するステップを含み得る。方法はまた、反応基質または反応ホルダーRFIDタグから第1の試薬および第1の試薬のための反応場の識別子を読み取ること、試薬容器RFIDタグから第2の試薬の識別子を読み取ること、反応基質または反応ホルダーのための温度履歴、反応基質または反応ホルダーのための露光履歴、および/または反応基質または反応ホルダーのための動き検出履歴を、反応基質または反応ホルダーRFIDタグから読み取ること、試薬容器のための温度履歴、試薬容器のための露光履歴、および/または試薬容器のための動き検出履歴を、試薬容器RFIDタグから読み取ること、反応基質または反応ホルダー上の複数の反応場および各反応場のための対応する第1の試薬の識別子を、反応基質または反応ホルダーRFIDタグから読み取ること、試薬容器によって蓄積された第2の試薬のための有効期限を、試薬容器RFIDタグから読み取ること、反応基質または反応ホルダーの特性に関するデータを、反応プレートRFIDタグから読み取ること、第2の試薬の特性に関するデータを、試薬容器RFIDタグから読み取ることと、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグからワークフローのための情報を読み取ること、および情報に基づいて、ワークフローのための視覚的、および/または口頭でのガイドを提供すること、を含むことができる。
【0011】
方法は、ネットワークサーバーシステムから分子分析のワークフローをダウンロードすることを伴い得、ワークフローは、反応基質または反応ホルダーのための分析プロトコルを含む。分析プロトコルは、液体試薬のための命令、および/または反応基質または反応ホルダーへの1つ以上の試薬の試料移送を含むことができる。方法は、液体、試薬、および/または反応基質または反応ホルダーへの試料移送の反応基質または反応ホルダーRFIDタグ上に記録を記録するように、RFIDライターを操作することを伴い得る。記録は、液体、試薬、または試料移送の反応容量を含み得る。
【0012】
この方法は、液体試薬、および/または試料移送が適用されている、反応基質または反応ホルダーの反応場の識別子を記録するように、RFIDライターを操作すること、液体、試薬、および/または試料の移送が反応基質または反応ホルダーに適用されている、日付、および/または時刻を記録するように、RFIDライターを操作することを含み得る。方法は、分子分析のためのワークフローにおける第1の試薬と第2の試薬を混合するための命令を提供するように、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグによって蓄積されている情報を適用することを伴い得る。命令は、第1の試薬を含む反応基質または反応ホルダー上の反応場、および液体試薬のための命令、および/または反応場への第2の試薬の試料移送および/または第2の試薬の反応容量を含み得る。
【0013】
この方法は、ワークフローのための分析プロトコルのための、反応基質または反応ホルダーRFIDタグを読み取ることを含み得る。分析プロトコルは、例えば、反応基質または反応ホルダーへの1つ以上の試薬の液体、試薬、または試料移送のための命令を含むことができる。いくつかの方法では、読み取ることは、反応容器または反応ホルダー上の反応場に含まれている試薬の識別子のために、少なくとも1つのプライマー対の識別子のために、少なくとも1つのプローブの識別子のために、分子分析のためのワークフローにおける次の反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の識別子のために、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグから実行され得る。いくつかの方法では、書き込むことは、反応プレート、試薬容器、第1の試薬、第2の試薬、および/または反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグへの分子分析に関する情報を書き込むように、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグに、実行され得る。
【0014】
本明細書では、分子分析ワークフローを実行するためのスマート消耗品も提供される。スマート消耗品は、反応ホルダーRFIDタグを含む反応基質または反応ホルダーであって、反応ホルダーRFIDタグが、分子分析のためのワークフローに関する情報を送信および受信し、および/または蓄積する、反応ホルダー、および/または、試薬容器RFIDタグを含む試薬容器であって、試薬容器RFIDタグが、分子分析のためのワークフローに関する情報を送信および受信し、かつ/または蓄積する、試薬容器、のうちの少なくとも1つを含むことができる。反応基質または反応ホルダーは、複数の反応場を含むことができ、複数の1つ以上の反応場が、第1の試薬を含み、第1の試薬が、同じ反応基質または反応ホルダー上の異なる反応場で、同じまたは異なる。複数の反応場は、少なくとも96の反応場、少なくとも384の反応場、少なくとも1536の反応場、少なくとも3072の反応場、または少なくとも12,288の反応場を含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、各反応場の識別子、および各反応場のための対応する第1の試薬を含むことができる。
【0015】
場合によっては、第1の試薬は、ドライスポット(乾燥)されている。場合によっては、第1の試薬は、事前にスポットされている。本明細書で使用される「事前にスポットされた」とは、反応基質または反応ホルダーの製造業者によって反応基質または反応ホルダーに加えられた(または事前にロードされた)、第1の試薬を含む反応基質または反応ホルダーを指し、ユーザーによって反応基質または反応ホルダーに直接加えられない。事前にスポットされた反応基質または反応ホルダーも、すぐに使用できると見なされることができる。本明細書で使用する「すぐに使える」とは、限られた数の追加試薬が、反応を起こすために第1の試薬に加えられる必要があることを意味するか、または水または緩衝液、および/または試験試料が、反応を起こすために第1の試薬に加えられる必要があることを意味する。
【0016】
反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、反応基質または反応ホルダーの特性に関するデータを蓄積することができ、および/または試薬容器RFIDタグは、試薬容器内の試薬の特性に関するデータを蓄積することができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグは、ワークフローのための視覚的、または口頭でのガイドを提供するように、情報を蓄積することができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、反応基質または反応ホルダーに適用されている試薬の記録を蓄積することができる。記録は、反応基質または反応ホルダーに適用されている試薬の反応容量、試薬が適用されている、反応基質または反応ホルダーの反応場の識別子、試薬が反応基質または反応ホルダーに適用されている日付および/または時刻、および/または、分子分析のためのワークフローにおける第1の試薬と第2の試薬との相互作用、を含むことができる。相互作用は、第1の試薬を含む反応基質または反応ホルダー上の別個の反応場、および別個の反応場への第2の試薬の移送のための命令を含むことができる。第2の試薬の移送のための命令は、液体移送のための命令を含むことができ、第2の試薬の反応容量を含み得る。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグは、分子分析ワークフローのための分析プロトコルを蓄積することができる。分析プロトコルは、反応基質または反応ホルダーへの1つ以上の試薬の液体移送のための命令を含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、反応基質または反応ホルダー上の反応場に含まれている試薬の識別子を蓄積することができる。反応場に含まれる試薬は、少なくとも1つのプライマー対、および/または少なくとも1つのプローブを含むことができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグは、分子分析のためのワークフローにおいて使用されている、次の反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の識別子を蓄積することができる。
【0017】
反応基質または反応ホルダーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグに連結されている温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーをさらに含み得、反応基質または反応ホルダーRFIDタグが、反応基質または反応ホルダーのための温度履歴、露光履歴、動き検出履歴を蓄積する。試薬容器は、試薬容器RFIDタグに連結されている温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーをさらに含み得、試薬容器RFIDタグが、試薬容器のための温度履歴、露光履歴、動き検出履歴を蓄積する。場合によっては、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器は、バーコードをさらに含む。温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグに、直接的または間接的に結合することができる。
【0018】
反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の特性に関するデータは、ID番号と、有効期限と、部品番号と、バーコードと、ロット番号と、部品タイプと、蓄積温度、および/または蓄積温度範囲と、試薬濃度と、ワークフローにおいて使用する推奨試薬濃度、および/または容量と、液体移送サポートのための規定と、受注番号と、試薬名と、アッセイ名と、反応ホルダー上で使用されている試薬のためのアッセイ位置と、アッセイIDと、分子分析のための推奨または必要なプロトコルと、試料名と、マスターミックス名と、インターネットリンクまたはアドレス(url)と、反応、および/または試薬容量と、テスト試料名と、分子分析のための分析設定と、試料タイプと、分子分析タイプと、機器実行プロトコルと、のうちの1つ以上を含むことができる。反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の特性に関するデータは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグに書き込まれる、および/または書き換えられることができる。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグは、少なくとも8キロバイトの情報を蓄積する収容能力を有し得る。
【0019】
特定の要素または行為の説明を簡単に識別するために、参照番号の最上桁(複数可)の数字は、その要素が最初に導入された図の番号を指す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態によるシステム100のシステムズを図示する。
【
図2】一実施形態による分子分析ルーチン200を図示する。
【
図3】一実施形態による分子分析を実行するための別のルーチン300を図示する。
【
図4】一実施形態によるユーザーインターフェース400を図示する。
【
図5】一実施形態によるユーザーインターフェース500を図示する。
【
図6】一実施形態によるユーザーインターフェース600を図示する。
【
図7】一実施形態によるユーザーインターフェース700を図示する。
【
図8】一実施形態によるユーザーインターフェース800を図示する。
【
図9】一実施形態によるユーザーインターフェース900を図示する。
【
図10】一実施形態によるユーザーインターフェース700を図示する。
【
図11】一実施形態によるユーザーインターフェース1100を図示する。
【
図12】一実施形態によるユーザーインターフェース1100をさらに示す。
【
図13】一実施形態によるユーザーインターフェース1300を図示する。
【
図14】一実施形態によるユーザーインターフェース1400を図示する。
【
図15】一実施形態によるユーザーインターフェース1500を図示する。
【
図16】一実施形態によるRFIDタグ付き、マルチウェル反応プレートを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、分子分析を実行するための接続されたワークフローを提供する、「スマート」システムが開示されている。一実施形態では、分子分析は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ワークフローである。さらに他の実施形態では、分子分析は、リアルタイムまたは定量的PCR(qPCR)、エンドポイントPCR(epPCR)、PCRを伴う近接ライゲーションアッセイ(PLA)、または逆転写酵素-PCR(RT-PCR)ワークフローである。いくつかの実施形態では、PCRは、シングルプレックス(singleplex)PCRである。いくつかの実施形態では、PCRは、マルチプレックスPCRである。
【0022】
本明細書に開示されるような分子分析のためのスマートシステムは、スマート機器および様々なスマート消耗品の使用を含むがこれらに限定されない、様々な実施形態に従って利用され得る。いくつかの実施形態では、スマート機器は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために使用される機器である。いくつかの実施形態では、スマート消耗品は、PCRのために使用される反応基質または反応ホルダー、および/または反応試薬である。したがって、いくつかの実施形態では、分子分析システムは、スマートPCR機器を含み、その上で、本教示の実施形態は、様々なスマート消耗品を含めて、実装または使用され得る。いくつかの実施形態では、PCR機器は、任意選択的に、スマート反応基質または反応ホルダー(「反応基質/ホルダー」)に含まれる複数の反応または試料の上に配置される、加熱カバーを含む。いくつかの実施形態では、スマート機器と関連する、1つ以上の試薬は、1つ以上のスマート試薬容器に含まれ得る。いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダーの上または中に配置されている、1つ以上の試薬は、1つ以上のスマート試薬容器に含まれ得る。
【0023】
本明細書に開示されるように、システムは、「スマート」または自動識別およびデータキャプチャー(AIDC)機能を有する(「AIDC対応」である)、1つ以上の反応基質または1つ以上の反応ホルダー、例えば、反応アレイ、反応スライド、または反応プレートを含む。いくつかの実施形態では、システムは、AIDC機能を含む1つ以上の「スマート」試薬容器(複数可)(例えば、導管、ボトル、チューブ、バイアル、ウェル、またはチャンバー)も含む。いくつかの実施形態では、システムは、AIDC機能を含む1つ以上の「スマート」機器またはデバイス(例えば、スキャナー、ディスプレイ、またはサーモサイクラー)も含む。
【0024】
本明細書で使用される「スマート」は、より大きなネットワーク、および/またはネットワーククラウドの一部として、他の機器、デバイス、材料またはアイテム、コンポーネント、および/または部品に接続された機器、デバイス、材料またはアイテム、コンポーネント、および/または部品を指す。典型的には、スマート機器、デバイス、材料またはアイテム、コンポーネント、および/または部品は、インタラクティブかつ自律的にある程度動作することができる、例えば、Bluetooth、NFC、Wi-Fi、LiFi、3Gなどのような、異なる無線プロトコルまたはデータ伝送を通して、他のスマート機器、デバイス、材料またはアイテム、コンポーネント、および/または部品に接続することができる。本明細書で使用される場合、「ネットワーククラウド」、「クラウド」、または「そのクラウド」は、データ伝送のエンドポイント間に存在するプライベート、パブリック、またはセミパブリックスペースを指す。一般に、伝送されるデータは、標準プロトコルを使用して1つのエンドポイントからネットワーククラウドに入り、ネットワーククラウド内のスペースを他のデータ通信と共有する。多くの場合、データは、ネットワーククラウドから出て、そこにカプセル化され、変換され、ネットワーククラウドに入ったときと同じ形式で、無数の方法で移送され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、スマート反応基質/ホルダー、および/またはスマート試薬容器のいずれか、または両方で使用されるAIDC法は、スマートラベルである。いくつかの実施形態では、反応基質/ホルダー、および/または試薬容器のいずれか、または両方で使用されるAIDC法は、無線周波数識別(RFID)タグである。このように、いくつかの実施形態では、システムは、スマートラベルまたはRFIDタグを含む反応基質/ホルダー、および/または試薬容器スマートラベルまたはRFIDタグを含む試薬容器を含む。いくつかの実施形態では、システムが、反応基質/ホルダースマートラベルまたはRFIDタグを含む反応プレートなどの反応基質/ホルダー、および試薬容器スマートラベルまたはRFIDタグを含む1つ以上の試薬容器(複数可)の両方を含むときに、反応基質/ホルダースマートラベル/RFIDタグ、および試薬容器(複数可)スマートラベル/RFIDタグ(複数可)は、一緒にまたはまとめて、分子分析システムに関する情報を蓄積および共有することができる。例えば、システム情報は、qPCR分子分析などの特定の分子分析のために使用される試料、試薬、アッセイ、ユーザー、および/またはワークフローについて、蓄積または共有され得る。
【0026】
本明細書で使用する場合、「RFIDタグ」または「タグ」は、デジタルデータ、および/または情報を蓄積するチップなどの部品を指す。いくつかの実施形態では、タグは、集積回路およびアンテナと、部品を一緒に保持し、それを様々な環境条件から保護する保護材料とを含む。保護材料は、用途に依存することができ、RFIDタグは、様々な形状とサイズであり得る。集積回路は、アンテナによって伝送される無線周波数によって通信(例えば、送信または受信)されることができる、データを蓄積し得る。集積回路およびアンテナ回路は、チップ上に印刷され得る。RFIDタグは、RFIDタグを照会するように無線周波数を放射する、アンテナを使用して、RFIDリーダーによって読み取られることができる。いくつかの実施形態では、RFIDタグは、「パッシブRFIDタグ」であり、それ自体のエネルギー源を有しないが、信号を伝送するように、リーダーからの信号に応答する。他の実施形態では、RFIDタグは、「アクティブRFIDタグ」であり、バッテリーなどの、それ自体の電源を含む。「書き込み可能であるRFIDタグ」は、RFIDライターによって書き込まれることができる、メモリ空間を有する、RFIDタグである。「スマートラベル」は、RFIDタグに類似しており、RFIDとバーコード技術の両方を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、スマートラベルは、RFIDタグで埋め込まれた接着ラベルでできており、かつバーコード、および/または他の情報を含み得る。RFIDタグのいくつかの例は、米国特許第6,147,662号、6,917,291号、5,949,049号、6,652,812号、6,112,152号、および米国特許出願第2003/0183683号でみつけることができ、これらのすべては、RFIDタグ、チップ、ラベル、またはデバイス、RFIDリーダー、およびRFIDシステム、それらの設計および使用の開示について、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される反応基質または反応ホルダーは、チャンバー、チャネル、カード、アレイ、導管、スライド、またはプレートを含むが、これらに限定されない。様々な実施形態では、反応基質または反応ホルダーは、複数の反応場を有する反応基質/ホルダーであり得る。複数の反応場を有する反応基質または反応ホルダーのいくつかの例は、標準マイクロタイター96ウェル、384ウェルプレート、もしくはマイクロカード、または、スライド、オープンアレイ、もしくはアレイなどの実質的な平面サポートのような、マルチウェルプレートを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダーは、ガラスもしくはプラスチック、または当業者に明らかな他の任意の適切な材料で作製され得る。反応場は、反応基質または反応ホルダーの様々な実施形態において、反応基質または反応ホルダーの表面上に形成される、規則的または不規則な配置でパターン化された、くぼみ、ぎざぎざ、隆起、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
様々な実施形態では、本明細書に開示される1つ以上の試薬容器は、導管、ボトル、チューブ、バイアル、ウェル、またはチャンバー、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、試薬容器(複数可)は、ガラスもしくはプラスチック、または当業者に明らかな他の任意の適切な材料で作製され得る。試薬容器(複数可)は、任意のサイズまたは寸法であり得、同じシステム内で、試薬容器ごとに異なり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、AIDC対応の反応基質または反応ホルダーは、反応プレートまたは反応アレイである。いくつかの実施形態では、AIDC対応の反応プレートは、RFIDタグ付きプレートであるか、またはAIDC対応の反応アレイは、RFIDタグ付きアレイである。様々な実施形態では、反応プレートまたは反応アレイは、典型的には、ホールまたはウェルを通して(例えば、「マルチウェル反応プレート」)などの、多数の反応場を含む。多数の反応場は、例えば、2つ以上の反応場を含むことができる。例えば、反応プレートは、2、10、50、100、250、500、1000、1500、または3000、10,000、15,000以上(またはその間の任意の数)の多数の反応場を有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、長方形の反応プレートまたは反応アレイ(例えば、2×3構成)は、6、12、24、32、48、96、384、1536、3072、または12,288の反応場を有し得るが、他の構成は、本開示によって企図され、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、マルチウェル反応プレートは、96ウェルプレートまたは384ウェルプレートである。いくつかの実施形態では、反応プレートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリカーボネートのマルチウェルプレートである。いくつかの実施形態では、反応プレートは、MicroAmp(商標)プレート、またはMicroAmp(商標)Endura(商標)プレートである。いくつかの実施形態では、反応プレートまたは反応アレイは、0.01マイクロリットル(μL)/ウェルまたはホール~500μL/ウェルまたはホールの容量収容能力を有する、ウェルまたはホールによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ウェルまたはホールの容量収容能力は、0.01μl以上であることができる。いくつかの実施形態では、ウェルまたはホールの容量収容能力は、0.5μL~1ミリリットル(mL)である。いくつかの実施形態では、ウェルまたはホールのサイズは、0.001mL、0.02mL、0.03mL、0.1mLまたは0.2mLの反応容量を有するとして特徴付けられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、マルチウェル反応プレートなどの反応基質または反応ホルダーの反応場の一部またはすべては、第1の試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、反応プレートは、第1の試薬で事前にスポットされている(および、任意選択的に、すぐに使用できるようにされる)。第1の試薬を含む、各反応場またはウェルでの第1の試薬は、同じであり得るか、または第1の試薬は、異なる反応場にわたって変わり得る(および、しばしば変わる)。本明細書において、「第1の試薬」は、反応プレート上のような、1つの反応場から次の場への同じ試薬または異なる試薬であり得る、1つ以上の試薬を意味する。いくつかの実施形態では、第1の試薬は、qPCRなどの分子分析で使用するための単一の試薬、例えば、試料、緩衝液、プライマー、プローブ、酵素、またはジデオキシヌクレオチド(dNTP)を含む。いくつかの他の実施形態では、第1の試薬は、例えば、試料、緩衝液、プライマー、プローブ、酵素、および/またはdNTPから選択されるがこれらに限定されない、試薬の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の試薬は、qPCRなどの分子分析で使用するための、マスターミックスまたはストレージミックスを構成し得る、試薬の組み合わせを含むことができる。このように、いくつかの実施形態では、1つの反応場での第1の試薬は、同じマルチウェルプレート内の別の反応場での第1の試薬と同じか、または異なる試薬の組み合わせである、試薬の組み合わせであり得る。
【0031】
開示されたシステムのいくつかの実施形態では、AIDC対応の反応基質または反応ホルダー(例えば、反応プレート)に加えて、またはそれから分離して使用される、1つ以上のAIDC対応の試薬容器(複数可)もあり得る。いくつかの実施形態では、試薬容器は、反応プレートの代わりに、または代替えに使用され得る。いくつかの実施形態では、試薬容器は、反応プレートと組み合わせて使用され得る。反応プレートなしで試薬容器が使用されるいくつかの実施形態では、試薬容器(複数可)は、第1の試薬、第2の試薬、第3の試薬などを保持する。第1の試薬を含む、反応プレートに加えて反応容器が使用されるいくつかの実施形態では、試薬容器(複数可)は、第2の試薬、第3の試薬などを保持し得る。いくつかの他の実施形態では、第2、第3、第4などの試薬は、分子分析における1つ以上の特定の点、例えば、qPCRワークフローにおける1つ以上の特定の点で、反応プレートの反応場のうちの少なくとも1つに加えられる。本明細書において、「第2の試薬」、「第3の試薬」、「第4の試薬」などは、一部として、反応プレート上の第1の試薬または別の試薬容器内の第1の試薬などの、第1の試薬に添加される任意の試薬を指し、分析は、必ずしも特定の順序である必要はなく、「第1の試薬」、「第2の試薬」、「第3の試薬」、「第4の試薬」などの各々は、異なる試薬容器の各々において、同じまたは異なる試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、第4などの試薬は、例えば、マスターミックスまたはストレージミックスにおいて、単一の試薬または異なる試薬の混合物を各々含み得る。
【0032】
上述したように、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)のいずれかまたは両方は、無線周波数識別(RFID)などの自動識別およびデータキャプチャー(AIDC)技術に連結され得、スマートラベル、および/またはRFIDタグを含み得る。一般に、「RFID技術」または「RFID」は、RFIDタグまたはスマートラベルにおいて符号化されたデジタルデータ、および/または情報が、電波を介してリーダーによって捕捉される、技術を指す。RFIDは、タグまたはラベルからのデータが、データ、および/または情報を読み取る、デバイスによって捕捉されることができるという点で、バーコードに類似している。しかしながら、RFIDは、バーコード資産追跡ソフトウェアを使用する、システムを超えるいくつかの利点を有する。最も注目すべき点の1つは、RFIDデータ/情報が見通し外で読み取られることができることであるが、バーコードは、典型的には、少なくとも部分的に光学スキャナーと位置合わせする必要がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるRFIDタグまたはスマートラベルは、情報を送信および受信することができる。いくつかの実施形態では、そのような情報は、その後の使用またはリコールのためにRFIDタグまたはスマートラベルに蓄積されることができる。いくつかの実施形態では、情報は、RFIDタグまたはスマートラベルに書き込まれる(または再書き込みされる)ことができる。開示されたシステムのいくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、2キロバイト(kB)以上の情報を保持する収容能力を有し得る。いくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、少なくとも2キロバイト、3キロバイト、4キロバイト、5キロバイト、6キロバイト、7キロバイト、8キロバイト、10キロバイト、12キロバイト、16キロバイト、32キロバイト、64キロバイト、128キロバイト、256キロバイト、512キロバイト(またはその間の任意の数)の収容能力を有する。いくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、少なくとも8キロバイトの情報を保持する収容能力を有する。他のいくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、4~512キロバイトの情報を保持する収容能力を有する。他のいくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、8~64キロバイトの情報を保持する収容能力を有する。
【0034】
いくつかの追加の実施形態では、本明細書に開示される反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)は、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)に連結されている温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーは、スマートラベルまたはRFIDタグの一部であり得、例えば、反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグが、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器に連結されている温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーから取得された反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の温度履歴、光履歴、および/または動き履歴を読み取り、および蓄積する。いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器に、別個の部品として、または反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器上のRFIDタグの一部として連結されている温度センサーは、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器のための温度暴露履歴を感知または蓄積する。いくつかの実施形態では、別個の部品として、またはRFIDタグの一部として、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器に連結されている光センサーは、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器のための露光履歴を感知または蓄積する。いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器に、別個の部品として、または反応基質または反応ホルダーおよび/または試薬容器上のRFIDタグの一部として連結されている動きセンサーは、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器のための動きまたは衝撃暴露履歴を感知または蓄積する。
【0035】
いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダーの各反応場は、反応基質/ホルダー上に堆積される、第1の試薬を含み得、反応基質/ホルダーRFIDタグは、反応基質/ホルダー上の各反応場、および各反応場によって含まれる対応する試薬、試料、またはアッセイの識別子を含み得る。各反応場に配置された試薬は、少なくとも1つのプライマー、および少なくとも1つのプローブを含む少なくとも1つのアッセイを含み得る。いくつかの実施形態では、試薬は、反応基質/ホルダーの反応場上にドライスポットされる(すなわち、乾燥される)。いくつかの実施形態では、試薬は、凍結乾燥されている。反応基質または反応ホルダーRFIDタグ、および/または試薬容器(複数可)RFIDタグ(複数可)は、反応内または上に配置または蓄積された第1、第2、第3などの試薬(複数可)の有効期限、以下に詳述するように、基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)、および試薬(複数可)、ワークフロー、および/または分析に関する他の情報も蓄積し得る。例えば、いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、限定はされないが、反応プレートRFIDタグなど、各ウェルに含まれるアッセイ(複数可)を画定するプレートレイアウト、特定のアッセイまたは分析のために実行される推奨プロトコル、特定のアッセイまたは分析のために実行される推奨色素セット、プレートのバーコード、url(World Wide Webページ、wwwサイトへのリンク)、材料安全データシート(MSDS)、分析証明書(COA)、プロトコル(複数可)、およびその他の関連資料、および/または、使用状況の並べ替えまたは追跡などの目的のために使用されることができる、一意のID、を含む情報を含み得る。いくつかの実施形態では、RFIDタグまたはスマートラベルは、製造元固有、ラボ固有、および/またはユーザー固有の情報またはデジタルセキュリティロックを含む、顧客が機密と見なし得るアイテムをサポートする手段として、および/または偽造対策を提供する手段として、実験データを暗号化するように、いくつかのセキュリティ情報を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、反応基質または反応ホルダー(例えば、反応プレート)RFIDタグは、第1の試薬の特性に関するデータをコード化し得、試薬容器RFIDタグは、第2の試薬の特性に関するデータをコード化し得る。これらの特性は、例えば、分子分析のためのアッセイ情報、分子分析に関与する様々な試薬のための有効期限、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の蓄積条件(温度蓄積、露光、動き/衝撃検出履歴を含む)、反応基質もしくは反応ホルダーまたは様々な試薬の部品/ロット/カタログ番号、どのアッセイ、試料、または試薬が反応基質または反応ホルダーのどの反応場に分配されたかに関する詳細情報、および反応基質(複数可)または反応ホルダー(複数可)に適用されるか、または試薬容器に含まれる試薬の使用率または使用量(例えば、反応ごと、または各反応場で使用される容量に基づく)を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、スマートラベルまたはRFIDタグリーダーを含む(すなわち、スマート対応である)機器は、反応基質または反応ホルダーのスマートラベルまたはRFIDタグ、および/または試薬容器(複数可)スマートラベル(複数可)またはRFIDタグ(複数可)からワークフロー情報を読み取るように使用され、ラベルまたはタグから受信したワークフロー情報に基づいて、ワークフローの視覚的、および/または口頭でのガイドが提供される。スマート対応機器は、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器の分析プロトコル、および、例えば、実験プロトコルまたはデータ分析を実施するための他の有用な情報を含む、分子分析のワークフローをダウンロードするように、ネットワークサーバーシステムにアクセスし得る。いくつかの実施形態では、プロトコルは、液体試薬、または反応基質もしくは反応ホルダーへの試料移送のための命令を含み得る。いくつかの実施形態では、命令は、第2の試薬を、例えば試薬容器から、第1の試薬を含む、または事前に装填された、反応基質または反応ホルダーの反応場に、移送するためのものである。いくつかの他の実施形態では、命令は、1つ以上の試薬容器(複数可)から、別の試薬容器の第1、第2、第3、第4などの試薬への、第2、第3、第4などの試薬の液体移送に関するものである。場合によっては、機器は、情報のためにネットワークサーバーシステムにアクセスする代わりに、ワークフローの分析プロトコルなどの情報を取得するように、反応基質もしくは反応ホルダー、または試薬容器のスマートラベルもしくはRFIDタグを直接読み取り得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、スマートラベルまたはRFIDタグ上に蓄積された情報は、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬(複数可)自体に関する情報または属性を含む。そのような情報は、例えば、ID番号、部品番号、ロット番号、ベンダー名および/または場所、部品タイプ(例えば、96ウェルプレートまたは384ウェルプレート、96ウェル0.1mL反応容量プレートまたは96ウェル0.2mL反応容量プレートなど)、推奨温度範囲などの蓄積温度、および/または販売注文番号、を含むことができる。この情報のいずれは、追加または代替として、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器上のスマートラベルまたはRFIDタグから読み取られた反応基質または反応ホルダーIDまたは試薬IDに基づいて、ネットワークからダウンロードされ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、スマートラベルまたはRFIDタグによって蓄積される情報は、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬の特性を超え得、誰が反応基質または反応ホルダーを実行し、どの機器(複数可)を使用したか、および実験におけるエラーの考えられる原因である、反応基質または反応ホルダーが実行された機器のタイプ、分析ワークフローの次のステップ(複数可)(例えが、qPCR-CE機器など)、実行プロトコル、分析機器設定、実験を計画した人の識別子、物理的反応またはアッセイ、アッセイタイプ(例えば、遺伝子発現、microRNAなど)などの情報を含み得る。この情報のいずれは、追加または代替として、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)上のスマートラベルまたはRFIDタグから読み取られた反応基質または反応ホルダーIDまたは試薬IDに基づいて、ネットワークからダウンロードされ得る。
【0040】
スマートラベルまたはRFIDタグによって蓄積される可能性のある追加データは、分析目的および仮説分析方法論、結果および結論、その使用のためのピペットおよびプロトコルなどの分析材料の識別子、複製および使用された制御、特定のアッセイに使用するテンプレート、ユーザーが実行している化学物質の新しいリリース/強化に基づく製品の推奨事項、または使用された機器、関連出版物、アクティブな研究、および研究トライアルによって公開された実行後の品質メトリクスから観察されたものに基づいて、より良い実行品質を生み出すことができる代替製品、同じ研究に関心のあるコミュニティネットワーク、ならびに傾向分析を含む。この情報のいずれは、追加または代替として、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)上のスマートラベルまたはRFIDタグから読み取られた反応基質または反応ホルダーIDまたは試薬IDに基づいて、ネットワークからダウンロードされ得る。
【0041】
本明細書では、「ラボベンチアシスタント」または「ラボアシスタント」という用語は、スマートラベルまたはRFIDリーダーを使用して、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器(複数可)のスマートラベル、および/またはRFIDタグを読み取るロジックを含む、機器またはデバイスを指す。いくつかの実施形態では、ラボアシスタントは、スマートラベルまたはRFIDタグに蓄積された情報を視覚的に表示および/または口頭で伝達する(またはそのような情報を表示または口頭通信のためにコンピュータシステムなどの外部デバイスに提供する)ことができる。いくつかの実施形態では、ラボアシスタントは、分子分析のためのワークフローを促進および改善するように、スマートラベルまたはRFIDライターを使用して、そこに情報を書き込むことができる。いくつかの実施形態では、ラボアシスタントはまた、追加または代替として、ネットワークから情報をダウンロードし、および/またはネットワーク上の別の部品またはデバイスからの蓄積または検索のために、ネットワークに情報を送信し得る。
【0042】
したがって、前述のように、ラボベンチアシスタントは、スマートラベルまたはRFIDライターを含み、上記および本書でさらに記載されている情報のいずれかを含む、反応基質または反応ホルダースマートラベルまたはRFIDタグ、および/または試薬容器(複数可)スマートラベルまたはRFIDタグに情報を書き込み(記録し)得る。例えば、反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器への1つ以上の液体、試薬、または試料の移送は、記録され得、記録には、液体、試薬、または試料移送の反応容量、反応基質または反応ホルダー上の反応場、および/または液体、試薬、または試料移送が適用される試薬容器、液体、試薬、または試料移送が反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器、および/またはそれによって適用される、日付および/または時刻などの情報を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、ラボアシスタントは、反応基質または反応ホルダー上の第1の試薬を、試薬容器(複数可)によって蓄積されている第2の試薬と混合するための命令を提供するように、反応基質または反応ホルダースマートラベルまたはRFIDタグ、および試薬容器スマートラベルまたはRFIDタグによって蓄積された情報が適用され得る。命令は、第1の試薬が堆積され、反応基質または反応ホルダー上の反応場を識別すること、および第2の試薬を反応場に適用するための移送命令、および/または適用する第2の試薬の反応容量を含み得る。
【0044】
したがって、試薬容器と同様に、反応基質または反応ホルダーは、「スマート」であり得る。複数の反応基質または反応ホルダーが伴う複雑な分子分析では、反応基質もしくは反応ホルダースマートラベルまたはRFIDタグのうちの1つ以上は、ワークフロー内の次の反応基質または反応ホルダーの識別子を含み得、これにより、分子分析において使用する反応基質または反応ホルダー、および/または試薬容器のチェーンまたはシーケンスが形成される。
【0045】
試薬容器と同様に、反応基質または反応ホルダーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグに連結された温度センサー(他のセンサーとの組み合わせ、またはそれ自体のいずれか)を含み得、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、温度センサーを読み取り、反応基質または反応ホルダーの温度履歴を蓄積する。反応基質または反応ホルダーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグに連結された光センサー(他のセンサーとの組み合わせ、またはそれ自体のいずれか)も含み得、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、光センサーを読み取り、反応基質または反応ホルダーの露光履歴を蓄積する。反応基質または反応ホルダーは、反応基質または反応ホルダーRFIDタグに連結された動きセンサー(他のセンサーとの組み合わせ、またはそれ自体のいずれか)も含み得、反応基質または反応ホルダーRFIDタグは、動きセンサーを読み取り、反応基質または反応ホルダーの動きまたは衝撃暴露履歴を蓄積する。いくつかの実施形態では、温度センサー、光センサー、および/または動きセンサーは、反応基質または反応ホルダー上に配置された別個のコンポーネントであってもよく、またはそれらは、RFIDタグコンポーネント自体の一部であり得る。
【0046】
分子分析ワークフローにおける様々な時点で、システムは、蓄積されたスマートラベルまたはRFID情報に基づいて、通知をユーザーに提供する。通知は、例えば、反応プレートに追加された試薬などの特定の消耗品を再注文する時期であることを示唆し、注文する試薬の特定の製品コードまたはその他の指示を示唆し得る。通知、および分子分析ワークフローを容易にするその他の情報は、例えば、チャットボットまたは音声アプリケーションを使用して、ラボ機器から会話型インターフェースで配信され得る。機械学習は、様々な分析のための情報を改善および更新するために利用され得、その後、スマートラベル、RFIDタグ、および/またはネットワーククラウドシステムに蓄積される。
【0047】
一実施形態では、
図1を参照すると、分子分析システム100は、以下のコンポーネントである、ディスプレイデバイス102、ネットワーク104、制御されたメモリデータ構造108、ヒューリスティックエンジン118、反応プレート116、試薬容器114、液体移送デバイス128、機器106、および機器コントローラ120の任意の1つ以上を、任意の組み合わせおよび任意の順序で、任意選択的に含む。もちろん、追加の消耗品および機器を使用し得るが、簡潔に説明するために、
図1のセットは、示されているように制限されている。いくつかの実施形態では、分子分析システムは、機器、反応プレート、および/または試薬容器を含む。いくつかの実施形態では、分子分析システムは、機器、機器コントローラ、反応プレート、および/または試薬容器を含む。いくつかの実施形態では、分子分析システムは、機器、機器コントローラ、反応プレート、および/または試薬容器、およびディスプレイデバイスを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス102は、例えば、実験で利用される消耗品、アッセイ、およびプロトコルについて、情報をユーザーに伝達する、ユーザー126にユーザーインターフェース132を表示する。ディスプレイデバイス102は、試薬容器RFIDタグ110、および/または反応プレートRFIDタグ122に蓄積された情報を読み取る、RFIDリーダー124を含み得る。試薬容器RFIDタグ110をスキャンした後、ディスプレイデバイス102は、名前、特性、製品情報、および蓄積またはセンサー履歴情報、ならびに本明細書に記載された他の情報のいずれかなど、試薬容器114内の試薬についての情報を表示し得る。ディスプレイデバイス102はまた、試薬を使用するためのプロトコル命令を検索するように、スキャンされた情報を試薬容器RFIDタグ110からネットワーク104を通して通信し得る。いくつかの特定の実施形態では、分子分析のためのこの情報および他の情報は、制御されたメモリデータ構造108に蓄積される。
【0049】
反応プレートRFIDタグ122を読み取った後、ディスプレイデバイス102は、プレートの名前、特性、アッセイ情報、反応場テンプレート情報、製造情報、および蓄積またはセンサー履歴138、ならびに本明細書に記載された他の情報のような、反応プレート116についての情報を表示し得る。反応プレート116の蓄積情報は、温度センサー140、光センサー142、および/または動きセンサー143を通して収集され得、露光履歴、温度履歴、動き履歴、および/またはその他の履歴情報(例えば、空気への暴露)を含む、センサー履歴情報138として蓄積され得る。ディスプレイデバイス102はまた、本明細書に開示されるようなプロトコル情報、アッセイ情報、または任意の他の情報を検索するように、ネットワーク104を通して反応プレートRFIDタグ122からスキャンされた情報を伝達し得る。ディスプレイデバイス102はまた、プロトコル情報、アッセイ情報、または本明細書に開示される任意の他の情報を検索するように、ネットワーク104を通して反応プレートRFIDタグ122からスキャンされた集合情報、および試薬容器RFIDタグ110からスキャンされた情報を通信し得る。
【0050】
ディスプレイデバイス102はまた、科学文献およびスキャンされた試薬とプレートの組み合わせを利用する過去の実験に基づいて、改善または提案に関するヒューリスティックエンジン118からの情報を受信し得る。この情報は、ネットワーク104から、またはシステムで使用される任意の1つ以上のRFIDタグから取得され得る。ヒューリスティックエンジン118は、将来の提案を改善するように、分析結果から学び得る。
【0051】
反応プレート116、例えば、マイクロタイタープレートは、6、12、24、48、96、384、または1536個の試料ウェルまたは反応場の2:3長方形マトリックスに配置されたスルーホールを含み得る。各反応場は、分子反応を行うための導管として機能することができる。分析中、各場は、分子反応の実行に使用される試薬、および/またはテスト試料の任意の組み合わせ、ならびに反応の運動を制御し、結果として得られる反応生成物を測定するための実験機器の使用を含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、反応プレート116は、様々な実施形態では、本明細書で記載される情報のいずれかを読み取るために、機器によって利用される反応プレートRFIDタグ122を含む。いくつかの実施形態では、この情報は、例えば温度履歴、露光履歴、および/または動き検出履歴などの、反応プレートのための履歴138を含む。反応プレート116は、各々が反応プレートの特定の場に割り当てられた複数の「アッセイ」(例えば、プライマーおよびプローブ)を含む、事前にスポットされたプレートとして構成され得る。いくつかの実施形態では、反応プレートRFIDタグ122をスキャンすることは、場内のアッセイのレイアウトでユーザーに提供され得る。ユーザーはまた、反応プレート116の反応場に追加する試薬についての情報のために、試薬容器114の試薬容器RFIDタグ110をスキャンし得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるプローブは、PCR中に標識されたプローブを切断するように、Taqなどの特定のDNAポリメラーゼの5´エキソヌクレアーゼ活性を利用する、加水分解プローブである。加水分解プローブの1つの具体的な例は、TaqManプローブである。一実施形態では、開示されたプローブは、プローブの5´末端にレポーター色素を、およびプローブの3´末端に消光剤色素をさらに含む、加水分解プローブである。PCR中、プローブの切断は、レポーター色素と消光剤色素が分離し、レポーターの蛍光が増加する結果となる。PCR産物の蓄積は、その後、レポーター色素の蛍光の増加を監視することによって、直接検出することができる。プローブが無傷の場合、レポーター色素が消光剤色素に近接しているため、主にForsterタイプのエネルギー移送によってレポーター蛍光が抑制される(Forster、1948;Lakowicz、1983)。PCR中に、対象の標的が存在する場合、プローブは、フォワードプライマー場とリバースプライマー場の間を特異的にアニーリングする。例えば、Taq DNAポリメラーゼの5´から3´への核酸分解活性は、プローブが標的にハイブリダイズする場合にのみ、レポーターと消光剤の間でプローブを切断する。このようなプローブは、「TaqMan」プローブと呼ばれる。本明細書に開示されるプローブのいくつかの実施形態では、プローブの3´末端は、PCR中のプローブの伸長を防ぐようにブロックされる。そのような加水分解プローブの例は、Holland and Gelfand(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7376-80、Heid et al.(1996)Genome Methods 6:986-94、米国特許第7205105号、米国特許第6927024号、および米国特許第5,210,015号、これらのそれぞれは、5´エキソヌクレアーゼまたは加水分解プローブ、それらの設計、および使用の開示について、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0054】
いくつかの追加の実施形態では、システムは、単一または複数(例えば、2、3、4、またはそれ以上)の組み込みアンテナ、および/またはRFIDライターおよび/またはRFIDリーダーを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の組み込みアンテナ、および/またはRFIDライターおよび/またはRFIDリーダーは、空間的に分離されている。いくつかの実施形態では、例えば、複数の組み込みアンテナ、および/またはRFIDライターおよび/またはRFIDリーダーは、互いに反対の位置に配置される。いくつかの実施形態では、システムは、2つの組み込み(例えば、左側および右側)アンテナ、および/または、それぞれが反応プレートに取り付けられたRFIDタグのRFIDタグ情報を読み取ることが可能であり得る、2つ(例えば、左側および右側)のRFIDリーダーを含む。いくつかの実施形態では、複数のアンテナ、および/または複数のRFIDリーダーは、例えば、機器内の反応基質または反応ホルダーの正しい向きを事前確認するように、および/またはユーザーが所定の反応プレートに正しいアッセイまたはプロトコルを実行していることを確認するように、使用される。いくつかの実施形態では、反応プレートの向きは、複数のアンテナおよび/またはRFIDリーダーのうちのどれが反応プレートRFIDタグから信号を受信するかに基づいて、決定される。いくつかの実施形態では、実行後、1つ以上のRFIDライターは、反応プレートの反応が再実行または繰り返されるのを防ぐことができる、「使用済み」として反応プレートをマークするように、RFIDタグ上に情報を書き込むことができる。一部の実施形態では、情報は、例えば、在庫管理および調達の目的で、遠隔地に伝送することもできる。いくつかの実施形態では、2つ以上のRFIDタグリーダーはまた、反応プレートの向きの検出を可能にする。例えば、ユーザーが反応プレートを予想される、または通常の向きに配置しない場合、システムソフトウェアは、表示および分析目的のためにエラーを考慮し、それに応じてテンプレート情報およびラベルをリセットし、および/またはユーザーに歪んだ向きを通知することができる。例えば、ユーザーが反応プレートを配置する方向から180度ずれた方向で、機器に配置すると、RFIDリーダーは、プレートの配置と向きを検出し、ユーザーにエラーの可能性を通知することができる。ユーザーは、例えば、複数の反応場を追跡するために使用される、ウェルのそれぞれのための様々なラベルの位置、および/またはレイアウトテンプレートを、逆方向に書き換えるオプションも提供されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、試薬容器114は、試薬容器RFIDタグ110によって識別可能である試薬を任意選択的に蓄積する。試薬容器RFIDタグ110は、試薬に関する特定の情報(例えば、名前、濃度、取扱説明書、利用可能である在庫など)、試薬の生産(例えば、ロット番号、製造日など)、および蓄積情報(例えば、蓄積温度、露光履歴、動き履歴など)を含むが、これらに限定されない、様々な情報をRFIDリーダーへ伝送するように利用されることができる。試薬容器114の蓄積情報は、温度センサー130、光センサー136、および/または動きセンサー137の使用を通して収集され得、露光履歴、温度履歴、動き履歴、および/またはその他の履歴情報(例えば、空気への暴露)を含む、センサー履歴情報134として蓄積され得る。いくつかの実施形態では、RFIDライターは、RFIDリーダー124によって読み取られるように、試薬容器RFIDタグ110上に、この情報を書き込み得る。試薬容器RFIDタグ110がRFIDリーダー124によってスキャンされた後、ディスプレイデバイス102は、RFIDタグ110から読み取られた特定の試薬、反応、またはアッセイのための情報を表示または通信し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、試薬容器RFIDタグ110、および/または反応プレートRFIDタグ122がスキャンされた後、ディスプレイデバイス102は、反応プレートの各ウェルに移送される必要がある、試薬の特定の容量に関するプロトコル情報を検索し得る。プロトコル情報は、ネットワーク104を介して、または反応プレート116、および/または試薬容器114自体から、ディスプレイデバイス102に通信される制御されたメモリデータ構造108に蓄積された情報から検索され得る。プロトコル情報は、反応プレート116のウェルの中に試薬を移送するための液体移送デバイス128(例えば、E1-ClipTip(商標)Bluetooth(商標)Electronic SingleまたはMulti-Channel Pipettes)を構成するように使用され得る。プロトコル情報は、試薬または試料をどの反応場に移送すべきかを、ユーザーに知らせるように利用することもできる。
【0057】
試薬容器114内に蓄積された試薬は、液体移送デバイス128の使用を通じて反応プレート116に移送され得る。液体移送デバイス128は、ピペット(例えば、E1-ClipTip(商標)Bluetooth(商標)Electronic SingleまたはMulti-Channel Pipettes)であり得る。液体移送デバイス128は、ディスプレイデバイス102を通して表示される実験/調査のためのプロトコルに従って、計算された量の試薬を反応プレート116の所定の反応場の中に送達するように構成され得る。液体の移送が起こった後、ディスプレイデバイス102は、反応プレート116が機器(例えば、PCR用)で実行される準備ができているという、ユーザーからの指示を受信し得る。ユーザーによって提供される指示は、特定の反応プレートRFIDタグ122のために蓄積される制御メモリデータ構造108に詳細を通信するように、ディスプレイデバイス102に信号を送り得る。いくつかの構成では、ユーザーは、試薬が加えられた反応場についての液体移送情報112ならびに液体移送プロセスに関する任意のメモを入力し得る。いくつかの実施形態では、反応プレート上のRFIDタグは、プレートの向きが正しいか、または調整が必要かどうかを決定するように、1つ以上のRFIDタグリーダー、および/または1つ以上のアンテナによって読み取られ得る。一部の実施形態では、第1のRFIDタグリーダー、および第2のRFIDタグリーダーは、反応プレート上のRFIDタグからの信号を探索し得る。どのRFIDタグリーダーが信号を受信する(または、例えば、複数のRFIDリーダーが受信した、より強い信号を受信する)かに応じて、その後、反応プレートの向きは、を決定されることができ、必要に応じて、反応場情報は、反応プレートが正しく配置されていない(すなわち、水平位置で180度間違った方向を向いている)ことを示すように、RFIDタグ、および/またはユーザーに送信される信号に書き換えられることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬が反応プレート116に追加された後、ユーザー126は、実験を開始するように、機器106上で時間をスケジュールすることができる。いくつかの構成では、分析は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を伴い得る。ユーザーは、反応プレートRFIDタグ122をスキャンするように、および、タグ自体から、またはネットワーク104経由のいずれかで、特定の反応プレートRFIDタグ122のための情報を通信/受信するように、機器106内に含まれるRFIDリーダー146を利用し得る。機器106は、動作パラメータを設定するように、反応プレートRFIDタグ122の情報を利用し得る。ユーザーは、機器上で反応プレート116を実行する時間も、機器上で分析を実行するための特定のパラメーター(例えば、持続時間、温度)も設定するように、ディスプレイデバイス102のユーザーインターフェース132内に表示されるスケジューリングツールを利用し得る。いくつかの実施形態では、機器106が反応プレート116を実行するようにスケジュールされた後、機器コントローラ120は、機器106を操作するための命令で構成されることができる。例えば、スケジュールされた時刻が検出されると、機器コントローラ120は、反応プレート116上で実験を開始する。機器コントローラ120は、ネットワーク104を渡って情報をユーザーに伝達するように、および/またはそれらを反応プレートRFIDタグ122に書き込むように、その後、分析の結果を検出し得る。いくつかの実施形態では、分析の結果は、後にヒューリスティックエンジン118によって分析され得る。他のいくつかの実施形態では、制御されたメモリデータ構造108に蓄積された情報は、分析上の共同作業の目的のために、および/またはラボ内でユーザーによって進捗/リソース利用をチェックするように、ユーザーグループ144に伝達され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ユーザーは、ラボベンチアシスタント(ウェットラボ、または、例えばコンピュータシステムに配置されたデジタルタッチポイント)から、事前にスポットされたプレート、試薬などの分析材料に関連するデジタル情報(例については上記を参照)にアクセスし得る。
【0060】
ラボベンチアシスタントは、誰が分析を計画し、物理プレートを準備したか、どの試薬、緩衝液、アッセイなどを分析に使用したか、どのアッセイ、試薬についての詳細情報を使用したか、および、試料が、どの反応場、どのタイプの危機でプレートが実行されたか、ならびにワークフローの次のステップ(複数可)で利用されたのかに関する分析に関連するタイムカプセル/履歴情報を追跡し得る(qPCR-CE機器などの例)。ラボベンチアシスタントで利用できるその他の情報は、誰がどの機器でプレートを実行し、分析で使用されたすべての関連情報をレビューすることによってエラーの原因を追跡することを含む。この情報は、追跡可能のためにラボベンチアシスタントによって情報がプレート116に書き戻され、またはネットワークサーバーおよび/または他の格納媒体に書き込まれ得る、または記録され得る。
【0061】
ラボベンチアシスタントは、リコールリスト上にある、または改善された製品との再注文、または交換が必要な、試薬/アッセイのための通知をユーザーに提供し得る。ユーザー通知は、リコールリスト上にある試薬をスキャンした、ラボベンチアシスタントのすべての段階に、または試薬の履歴において利用可能でないスキャン時に、自動的に配信され得る。
【0062】
ラボベンチアシスタントは、期限切れ間近で、および既に期限切れになっている、試薬の通知を提供し得る。エラー率は、期限切れの試薬がプレートに追加されないように、低下し得る。ラボベンチアシスタントは、ユーザーが、注文番号、ロット番号、部品番号などのすべての情報を容易に利用可能であるように、ならびにシステムによって記録および保持できるように、試薬/アッセイ/プレートを容易に再注文するのを可能にする。
【0063】
ラボベンチアシスタントは、ラボで実行されたすべてにわたるプレートの反応場ごとに使用された用量に基づいて、試薬の使用率を追跡し得、そうすることで、試薬がなくなることについて事前にユーザーに通知し得る。場合によっては、ラボベンチアシスタントは、自動的にユーザー(複数可)に試薬を注文し得る。
【0064】
ラボベンチアシスタントは、試薬の無駄を減らすように、機械学習機能を付属し得る。ユーザーの在庫と使用状況に基づいて、ラボベンチアシスタントは、特定の消耗品の有効期限が切れる時期を予測でき得る。ラボベンチアシスタントは、手元にある試薬の使用を最適化するように、変更された実行計画をユーザーに提供でき得る。これはまた、現在のユーザーだけでなく、同じ組織(ロケーションベース)からユーザーによって使用されるインベントリを調べ、その後、試薬の使用を最適化し、ラボから組織への無駄を減らす。
【0065】
変更された実行計画を提供する場合に、ラボベンチアシスタントは、プレートレイアウトだけでなく、特定の実行プロトコルを実行するのに最適な機器タイプに基づいて、変更された実行計画を識別し得る。
【0066】
ラボベンチアシスタントは、必要な濃度および反応容量/反応場に基づいて、試料、試薬、緩衝液などの反応容量を計算するワークフローを提供し得る。反応ごとに容量が計算されると、試料および試薬は、特定の反応場、に割り当てられることができ、かつ、電子プロトコルが、E1-ClipTip(商標)Bluetooth(商標)Electronic Pipetteなどの、本明細書に開示されるような、液体移送デバイスと同様に、本明細書に開示されるような、様々な消耗品での使用ために提供される。
【0067】
ラボベンチアシスタントは、エラーを回避するように、液体分配ステップでユーザーをガイドし得る。ガイダンスは、会話型インターフェース(チャットボット/音声など)によって有効にされることができる。
【0068】
ラボベンチアシスタントは、スマート機器で実行ファイルを自動的に作成することを可能にし得る。「スマート」な反応プレートが作成されると、そのRFIDタグに、反応プレートのための、試薬、プロトコル、およびアッセイ情報のための情報、または情報へのリンクを含み得る。反応プレートが各下流の機器に移動すると、各機器は、この反応プレートの使用を記録し、該当する場合は常に、反応プレートからの情報を使用して、機器実行プロトコルを自動的に実行する。
【0069】
上述のように、ラボベンチアシスタントによって、受信および/または送信された情報は、機器106および機器コントローラ120によって、受信および/または送信され得る。いくつかの実施形態では、機器106、および/または機器コントローラ120、および/またはラボアシスタントは、反応プレートRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグから取得された情報を集合的に共有する。モバイルラボアシスタントを使用すると、ユーザーが機器106、および/または機器コントローラ120から離れた場所にいても、反応プレート、および/または試薬容器RFIDタグから受信したことを通知することができる。機器106、および/または機器コントローラ120、および/またはラボアシスタント間の相互通信はまた、ユーザーが、例えば、ラボアシスタントを使用して、機器106、および/または機器コントローラ120と遠隔通信し、ユーザーの要求または情報を機器106、および/または機器実行プロトコルに関連する機器コントローラ120に直接送信することを可能にする。
【0070】
機器実行プロトコルの後、ユーザーは、機器実行プロトコルおよび分析のために使用されるデータパケットを含む、パブリケーション対応テンプレートを生成し得る。データパケットは、分析を再現するように、組織の内外から科学者によって再利用され得る。データパケットは、分析の目的/仮説、材料および方法、結果/結論、実行プロトコル、電子液体移送((例えば、E1-ClipTip(商標)Bluetooth(商標)Electronic Pipette)プロトコル、使用される製品の部品番号、使用される複製およびコントロールの数を含み得る。
【0071】
ラボベンチアシスタントは、ユーザーが実行している化学物質の新しいリリース/強化に基づく製品の推奨事項で、またはスマート機器によって公開された実行後の品質メトリクスから観察されるものに基づいて、より良い実行品質を生み出すことができる、代替製品で、ユーザーに提供される機能を有し得る。
【0072】
ラボベンチアシスタントは、関連する出版物、活発な研究および研究試験で、同じ研究に関心のあるコミュニティネットワークをユーザーに提供する機能を有し得る。この情報は、反応プレートおよび/または試薬容器のRFIDタグに直接蓄積され、もしくは書き込まれるか、またはネットワークもしくはネットワーククラウドからアクセスされ得る。
【0073】
ラボベンチアシスタントまたは取り付けられたコンピュータシステムは、分析のためのダッシュボードユーザーインターフェースを呈し得る。ユーザーは、結果に対して傾向分析を実行し得る(例:ロット番号、オペレーターの行動などによる試薬の品質管理)。
【0074】
ラボベンチアシスタントを使用して、ユーザーは、事前にスポットされたプレートをスキャンし得、分析を実施するための関連情報にアクセスし得る。ユーザーは、試薬容器をスキャンし得、分析に適用される、試薬のための関連情報にアクセスし得る。プレートおよび/または試薬がスキャンされた後、ユーザーは、試料を割り当て得、プレート上の多数の反応場に複製し得る。ユーザーはまた、分析で使用されるアッセイおよび試薬に基づいて、反応ミックスのための容量および濃度を提案する、qPCR反応計算機を操作し得る。ユーザーは、その後、プレートへの液体、試薬、または試料移送を実行するようにガイドされ得る。
【0075】
液体、試薬、または試料移送を実行するための1つのオプションは、E1-ClipTip(商標)Bluetooth(商標)Electronic Pipetteを利用する。E1-ClipTip Pipetteは、液体、試薬、試料を効率的に移送するように、E1-ClipTip Pipetteの中に自動的にダウンロードされることができる、現在設計されているプレートのためのセットアップでデジタルピペッティングプロトコルを利用する。別のオプションは、ユーザーが、反応プレートのどの反応場にどの試料の用量が入る/入ってくるかについての、音声および/または視覚的指示でガイドされる、通常のピペットを使用することである。
【0076】
いくつかの実施形態では、反応プレートが準備された後、ユーザーは、離れた場所を含む、場所から実行プロトコルのための機器をスケジュールすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、反応プレートを機器の中にロードし、分析設定情報は、反応プレートRFIDタグによって提供される情報に基づいて、機器によって自動的にダウンロードされる。いくつかの実施形態では、要求される実行プロトコルは、反応プレートに自動的に割り当てられ得る。実行が開始されると、ユーザーは、どこからでも実行結果を監視でき、結果が取得されたら、リアルタイムで品質管理を実行することができる。
【0077】
実行が終了すると、機器は、結果をクラウドサービスにプッシュし得る。ユーザーは、クラウド内で結果にアクセスし、レビューし得る。ユーザーは、正規化のための設定の変更、品質管理の実行などによって、さらに分析を実行し得る。ユーザーは、クラウドサービスを通じて他と共同作業し得る。
【0078】
スマート機器、スマート消耗品(スマート反応プレート、および/または試薬容器を含む)、およびスマートラボベンチアシスタントの全体的なシステムは、分子分析のための統合されたスマートワークフローを促進し得る。統合されたスマートワークフローは、消耗品、試薬から機器にデータ要素を手動で繰り返し入力する必要性がなくなり、このように、分析でエラーが発生しにくくなり得る。分析エコシステムの一部の統合されたスマートワークフローには、E1-ClipTip Pipette、電子ラボノート(ELN)、および/またはデジタルラボ情報管理システム(LIMS)をさらに含むことができる。
【0079】
いくつかの追加の実施形態では、機器または接続されたネットワーククラウドは、(例えば)増幅曲線に基づいて、リアルタイム増幅および結果の予測のためのアルゴリズムを含み得る。早期予測は、実行時間を短縮し、結果または繰り返し分析を改善することができる。訓練されたモデル(例えば、過去の分析からの機械学習に基づく)は、増幅プロセスの検出に役立ち、このように、チューニングおよび補正のための必要性を減らし得る。
【0080】
ここで
図2を参照すると、スマート分子分析(この非限定的な例においては、qPCR)は、例えば、第1の試薬(例えば、1つ以上のプローブ/プライマーを含むアッセイ)、および/または1つ以上の試薬容器に含まれる試薬で、予めスポットされた反応プレートを含む、スマート試薬をユーザーによって取得する(202)ことから開始され得る。任意選択的に、ユーザーは、次に、qPCR分析計画を設計するように、ラボベンチアシスタントアプリケーションを操作する(204)。いくつかの実施形態では、ユーザーは、その後、1つ以上のマルチウェルプレートをスキャンして(206)、分析のためのアッセイ試薬およびレイアウト情報(例えば、どの試薬を多数の反応場で使用するかなど)にアクセスする(208)。
【0081】
いくつかの実施形態では、ユーザーは、そのと、例えば、液体移送によって、プレートに加えるように、試薬をスキャンすることができる(210)。いくつかの実施形態では、ユーザーは、その後、分析プロトコル情報にアクセスし(212)、試験試料をプレートに割り当てる(214)。
【0082】
これらのステップに続いて、ユーザーは、任意選択的に、アッセイおよび試薬の開始容量、開始濃度、および反応ミックスを計算するように、qPCR反応計算機を操作し(218)、液体移送のための命令に従う(220)。RFIDタグ付きプレートなどのスマート消耗品をスキャン(206)した後、およびその他の任意選択のステップ(例えば、204、208、210、212、214、216、218、220)の前または間で、反応は、分子分析結果を生成する機器によって実行されることができる(222)。
【0083】
ここで
図3を参照すると、ブロック302で、反応プレート上のRFIDタグは、機器および/またはラボベンチアシスタントによって読み取られる。ブロック304では、機器および/またはラボベンチアシスタントは、試薬容器上の試薬容器RFIDタグを読み取る。いくつかの実施形態では、反応プレート上のRFIDタグのみが、読み取られる(302)。他のいくつかの実施形態では、試薬容器(複数可)上のRFIDタグ(複数可)のみが、読み取られる(304)。さらにいくつかの他の実施形態では、反応プレート上のRFIDタグ、および試薬容器(複数可)上のRFIDタグの両方が、読み取られる(302および304)。ブロック306では、反応プレート、および/または1つ以上の試薬容器(複数可)上のRFIDタグのいずれか、または両方から読み取られた情報は、qPCR分子分析を容易にするように適用される。
【0084】
図4から
図10を参照すると、ディスプレイデバイス102は、システム100を使用する機器上で実行するのを望む、分析をユーザーが構成するのを支援するように、様々なユーザーインターフェース画面を示すように利用され得る。これらのユーザーインターフェース要素は、ラボベンチアシスタントが利用できる、スマートユーザー主導の分子分析の一例のみであり、他の多くのものが当業者には明らかであろう。
【0085】
ユーザーインターフェース400は、開始アイコン402、少なくとも1つの反応プレートアイコン404、および少なくとも1つの在庫アイコン406を示すディスプレイデバイス102を通して表示され得る。少なくとも1つの反応プレートアイコン404は、最近の反応プレートがユーザーによって利用されたことを示し得る。反応プレートアイコン404は、反応プレートが使用されていた、分析の名前、反応プレートを用いて実行された、実行の数、および反応プレートが分析で使用された、最後のインスタンスのためのタイムスタンプなどの情報を表示し得る。
【0086】
在庫アイコン406は、ラボにある、消耗品に関する情報を提供し得る。在庫アイコン406は、消耗品の名前、消耗品ID番号、アッセイ、試薬、または試料などの消耗品のタイプを表すアイコン、各特定の基質に残っている消耗品の量、ホルダー、容器など、およびラボでの消耗品の最後の所有者と現在の所有者を識別するアイコンなどの情報を含み得る。ユーザーは、分析で使用するのを望む、消耗品の位置を素早く突き止めるように、在庫アイコン406を選択し得る。
【0087】
開始アイコン402は、ユーザーが分析の構成を開始できるようにするように提供され得る。開始アイコン402が選択されると、ディスプレイデバイス102は、ユーザーが分析に利用しようとしている反応プレート116の反応プレートRFIDタグ122をスキャンするように、ユーザーに促すユーザーインターフェース500を表示し得る。
【0088】
反応プレートRFIDタグ122がスキャンされた後、ユーザーインターフェース600は、ディスプレイデバイス102を通して表示され得る。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェース600は、名前、ID、部品タイプ、生産情報(例えば、ロット番号、有効期限など)、注文情報(例えば、カタログ番号、費用など)、および操作、および/または蓄積温度などの特定の特性など、スキャンされたプレートについての特定の情報をユーザーに提供する。いくつかの構成では、ユーザーインターフェース600は、温度履歴、露光履歴、動き検出、および/または衝撃履歴などの反応プレートのためのセンサー履歴などの情報を表示し得る。情報をレビューした後、ユーザーは、ユーザーインターフェース600を通して表示される継続オプションを選択することによって、分析の構成を続けるように選択し得る。
【0089】
ディスプレイデバイス102は、複数の反応場のマトリックス内のアッセイ、試薬、および試料の位置に対応するプレートレイアウト708を備えたユーザーインターフェース700を表示する。事前にスポットされたプレートを利用する場合、例えば、ユーザーインターフェース700は、各場内で色分けされたインジケータを備えた反応場のマトリックスを表示し得る。その後、いくつかの実施形態では、各色分けされたインジケータは、ユーザーインターフェース700に示される色分けされたアッセイ702のリストに表示されるアッセイに対応し得る。スポットされていないプレートの場合、ユーザーは、使用している、アッセイの位置を構成でき得る。これは、例えば、反応プレートおよび/または試薬容器RFIDタグ(例えば、RFIDライターを使用して)上に、および/またはクラウド上に、情報を直接書き込む/書き換えることによって行われることができる。ユーザーインターフェース700を利用しながら、ユーザーは、試料をプレートまたは一組の反応場に割り当てるのを望み得る。ユーザーは、機器において使用するためのプレートの構成を割り当て、編集、および蓄積するように、ユーザーインターフェース700内に表示された一組のアイコン704および試料リスト706と対話し得る。ユーザーインターフェース700のアイコン704は、ユーザーが、反応容器に追加したい、試薬のための試薬容器RFIDタグ110をスキャンすることを許可する。
【0090】
ユーザーインターフェース800は、反応プレートRFIDタグ122、および/または試薬容器RFIDタグ110をスキャンするように、ディスプレイデバイスのRFIDリーダー124を使用することができるという、ユーザーへの通知を示す。いくつかの構成では、ユーザーは、システム100で使用するのを望む、複数の反応プレートRFIDタグ、および/または試薬容器RFIDタグをスキャンすることができ得る。
【0091】
ユーザーインターフェース900は、特性、製造情報、および温度履歴902などのセンサー履歴情報を含む、スキャンされた試薬情報904のリストを示す。
【0092】
ディスプレイデバイス102は、試薬がスキャンされた後、ユーザーインターフェース700の表示に戻り得る。ユーザーインターフェース700は、ユーザーによってスキャンされ、または選択された、各試薬のための試薬アイコン1004を表示する。ユーザーインターフェース700は、分析で利用されるプロトコルに従って、試薬を移送するように、ユーザーのための特定反応場を識別するインジケータ1002を表示し得る。
【0093】
図11および
図12は、ユーザーインターフェース1100を通して反応プレートを構成するユーザーの写真を示す。ユーザーは、反応プレートの各反応場内に配置する、アッセイ、試料、および/または試薬の場所を示し得る。
【0094】
図13は、パーソナルコンピュータ/ワークステーションのディスプレイデバイス1304を通してユーザーに表示される機器スケジューラ1302を表示するユーザーインターフェース1300を示す。反応プレートが構成された後、例えば、ユーザーは、分析を実行するのを望む、機器の可用性のための機器スケジューラ1302を見るように、ユーザーインターフェース1300を利用し得る。いくつかの実施形態では、機器スケジューラ1302は、ユーザーが、分析を実行するのを望む、日付および時刻を設定することを許可する。
【0095】
図14および
図15を参照すると、ユーザーは、ディスプレイデバイス1402などのモバイルデバイスを通して、機器上でスケジュールされた分析のリストをスケジュール、または見得る。ディスプレイデバイス1402は、使用が、機器のための予定された実行を示すスケジューラエントリ1404を見ることを許可する。ディスプレイデバイス1402はまた、機器をスケジュールした後に、ユーザーにスケジューラ通知1502を、および実験を開始するためのリマインダを示し得る。
【0096】
本明細書における「ロジック」は、制御および/または手順信号、および/または設定および値(例えば、抵抗、インピーダンス、静電容量、インダクタンス、電流/電圧定格など)を備える、その材料および/または材料エネルギー構成経由の、デバイスの動作に影響を与えるように、適用され得る、機械メモリ回路、非一時的機械可読媒体、および/または回路を指す。磁気媒体、電子回路、電気および光メモリ(揮発性および不揮発性の両方)、ならびにファームウェアは、ロジックの例である。ロジックは、純粋な信号またはソフトウェア自体を明確に除外するが、ソフトウェアを含み、それによって問題の構成を形成する、マシンメモリを除外しない。