(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】電子決済システム、電子決済方法、および決済装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241114BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241114BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241114BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q50/10
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2023179940
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2021107440の分割
【原出願日】2019-10-15
【審査請求日】2023-11-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年7月24日に、出願人が横浜高速鉄道株式会社に対し開示した本願発明について、横浜高速鉄道株式会社が運営するインターネットサイトのプレスリリースのページにおいて、本願発明の概要を公開させました。また、2019年8月1日から2019年8月12日まで、出願人が横浜高速鉄道株式会社に対し開示した本願発明について、みなとみらい駅において自動改札機を設置することにより、本願発明の概要を公開させました。
(73)【特許権者】
【識別番号】504440133
【氏名又は名称】株式会社ポケモン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】多持 清香
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-021848(JP,A)
【文献】特開昭60-129689(JP,A)
【文献】特開2005-064940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備える認証装置であって、所定の会場の入退場に係るゲートに設置される認証装置に実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
認証ができた際に出力する第1キャラクタを表す第1通知音であって、他のゲートに設置される認証装置に設定される第2キャラクタを表す第2通知音とは異なる第1通知音を設定するステップと、
前記会場へ入場するため、又は前記会場から退場するための情報に基づいて発行されたコードを読み取るステップと、
読み取った前記コードに基づいて、入場者、又は退場者の認証を行うステップと、
前記入場者、又は退場者の認証ができた場合、前記第1通知音をスピーカに出力させ、前記ゲートを開かせるステップと
を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記認証装置は、前記認証装置が設置されるゲートとは異なるゲートに設置される第2認証装置であって、キャラクタに関わらない通常通知音が設定される第2認証装置と並べて設置される請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
所定の会場の入退場に係る第1ゲートに設置される第1認証装置と、前記会場の入退場に係る第2ゲートに設置される第2認証装置とを備えるシステムであって、
前記第1認証装置は、
認証ができた際に出力する第1キャラクタを表す第1通知音を設定するステップと、
前記会場へ入場するため、又は前記会場から退場するための情報に基づいて発行されたコードを読み取るステップと、
読み取った前記コードに基づいて、入場者、又は退場者の認証を行うステップと、
前記入場者、又は退場者の認証ができた場合、前記第1通知音をスピーカに出力させ、前記第1ゲートを開かせるステップと
を実行し、
前記第2認証装置は、
認証ができた際に出力する第2キャラクタを表す第2通知音であって、前記第1通知音とは異なる第2通知音を設定するステップと、
前記コードを読み取るステップと、
読み取った前記コードに基づいて、前記入場者、又は前記退場者の認証を行うステップと、
前記入場者、又は退場者の認証ができた場合、前記第2通知音をスピーカに出力させ、前記第2ゲートを開かせるステップと
を実行するシステム。
【請求項4】
前記会場の入退場に係り、前記第1ゲート及び第2ゲートと隣接する第3ゲートに設置される第3認証装置を備え、
前記第3認証装置は、
認証ができた際に出力する、キャラクタに関わらない通常通知音を設定するステップと、
前記コードを読み取るステップと、
読み取った前記コードに基づいて、前記入場者、又は前記退場者の認証を行うステップと、
前記入場者、又は退場者の認証ができた場合、前記通常通知音をスピーカに出力させ、前記第3ゲートを開かせるステップと
を実行する請求項3記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子決済システム、電子決済方法、および決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公共交通機関、例えば鉄道駅では、駅構内への利用者の入退場処理を高速に行うために、例えばICカードなどによる電子決済が可能な自動改札機が設置され得る。駅構内へ出入りする大量の利用者が待ち行列を作らないように、改札には通常複数の自動改札機が並べて配置される。これら自動改札機の設置数は、主に、ラッシュアワーなどの需要ピーク時における利用者数を想定して決定される。自動改札機は、ICカードなどにより決済が正常に終了したことを利用者に認識させるため、決済の正常終了後に「ピッ」などの音声を出力する。
【0003】
また、コンビニエンスストアなどの小売店には、商品決済のキャッシュレス化、高速化などの観点から電子決済が可能な複数台のレジスターが設置され得る。かかるレジスターは、1種類または複数種類の電子決済の方式をサポートしており、決済の正常終了後に、当該電子決済の方式に依存して異なる音声を出力し得る。このように電子決済の方式に依存して異なる音声を出力することで、利用者に決済が正常に終了したことに加えてどの方式に従う電子決済が行われたかを認識させることができる。また、このようにレジスターが電子決済の方式に依存して異なる音声を出力することで、決済を行った利用者や周囲の人間に当該レジスターがサポートする電子決済の方式を印象付ける副次的な効果も期待できる。
【0004】
特許文献1には、電子マネー決済端末装置が出力する決済音やエラー音の音量をその周辺環境に適合するように、周辺環境における音量に基づいて調整可能にすることを目的とした電子マネー決済端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電子決済システムにおいて決済実行時に出力される通知音の種類は、電子決済の方式が同一である限りは一般的に固定である。故に、同じ方式に従う電子決済を繰り返し行うにつれ、決済の実行時に出力される通知音は利用者にとって単調で刺激を感じにくくなりがちであり、ともすれば煩わしく感じることさえもあり得る。他方、通知音の種類をみだりに変更すれば、利用者は多種ある電子決済サービスのうち、どの決済サービスを利用したのかが判りにくくなり、利用者に無用の混乱を与える結果になりかねない。
【0007】
そこで、本開示は、同一方式に従う電子決済をサポートする複数台の決済装置から利用者が決済を行う装置を選択可能な状況下で電子決済の興趣性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、電子決済システムが提供される。電子決済システムは、特定の施設に設置される、複数の決済装置を備える。複数の決済装置は、いずれも、利用者が利用可能な同一の方式で電子決済処理を受け付けている。各複数の決済装置の制御部は、決済装置に対する利用者の動作に応じて、同一の方式による電子決済処理を実行し、電子決済処理を実行することにより利用者に対し通知音を出力し、複数の決済装置のうち、1または複数の特定の決済装置は、電子決済処理時に、他の決済装置とは異なる通知音を出力する。
【0009】
一実施形態によれば、特定の施設に設置される、複数の決済装置によって行われる電子決済方法が提供される。複数の決済装置は、いずれも、利用者が利用可能な同一の方式で電子決済処理を受け付けている。電子決済方法は、各複数の決済装置の制御部が、決済装置に対する利用者の動作に応じて、同一の方式による電子決済処理を実行することと、電子決済処理を実行することにより利用者に対し通知音を出力することとを備える。複数の決済装置のうち、1または複数の特定の決済装置が、電子決済処理時に、他の決済装置とは異なる通知音を出力する。
【0010】
一実施形態によれば、1つ以上の他の決済装置とともに特定の施設に設置される決済装置が提供される。決済装置は、他の決済装置と同一の、利用者が利用可能な方法で電子決済処理を受け付けている。決済装置は、制御部を備える。制御部は、決済装置が電子決済処理の実行時に出力する通知音を設定する通知音設定部と、決済装置に対する利用者の動作に応じて、電子決済処理を実行する決済実行部と、電子決済処理の実行時に、通知音設定部によって設定されている通知音をスピーカに出力させる出力制御部とを備える。通知音設定部によって設定された通知音は、他の決済装置の少なくとも1つが電子決済処理の実行時に出力する通知音とは異なる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、同一方式に従う電子決済をサポートする複数台の決済装置から利用者が決済を行う装置を選択可能な状況下で電子決済の興趣性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る電子決済システムを例示するブロック図である。
【
図2】
図1中の決済装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図1中の決済装置の構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図1中の複数の決済装置の設置環境の外観を例示する図である。
【
図5】
図1中の複数の決済装置のうち特定の決済装置の周囲に誘導手段としての足跡マークを設けた場合における当該複数の決済装置の設置環境の外観を例示する図である。
【
図6】
図1中の複数の決済装置の発光デバイスを設定中の通知音の種類に依存して異なる発光色で発光させた場合における当該複数の決済装置の設置環境の外観を例示する図である。
【
図7】
図3の決済装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0014】
(実施形態)
図1に例示されるように、実施形態に係る電子決済システム5は、複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・と、決済サーバ200とを含む。決済装置100は、ネットワーク経由で決済サーバ200と接続されており、種々のデータをやり取りすることが可能である。
【0015】
複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・(以下、これらを総称して「決済装置100」と記載することもある)は、例えば鉄道駅、空港、バスターミナル、などの公共交通機関、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店などの店舗、またはイベント会場、などの屋内外の特定の施設内に設置され得る。
【0016】
これらの決済装置100は、例えば、電子的に記録される残高から、製品またはサービスの提供の対価をユーザが支払うために用いられる。
【0017】
(i)決済装置100がユーザの情報と関連付けられない媒体により決済処理を行う例
決済装置100は、例えば、ユーザの情報と関連付けられずプリペイド方式またはポストペイ方式の残高が記録される媒体(例えば、ICカード)と信号を送受信することにより、電子決済を受け付ける。
【0018】
ユーザは、例えば、ICカードを、駅、オフィスビルなどの建物の構内への入退場口に設置される決済装置100に接近させることにより、建物の構内に入場または退場することができる。決済装置100は、ユーザが構内へ入場する際にICカードの接近を検出し、ICカードの情報を読み取る等により、ユーザが構内へ入場できるか否かを判定し、構内へ入場できる場合に所定の電子音を発してユーザが入場可能であることを通知し、構内へ入場できない場合にエラー音を発してゲートを閉じる等の処理を行う。
【0019】
また、決済装置100は、駅構内など交通機関の建物への入退場口に設置される場合に、ユーザの入場および退場時の駅の記録に基づき、ICカードに対応付けられた残高から運賃の支払いが可能であるか否かを判定し、運賃の支払いが可能であれば、所定の電子音を発してユーザに退場ゲートの通過が可能であることを通知しつつ退場ゲートを開き、運賃の支払いをするための残高が不足している場合は残高が不足していることを示す電子音を発して退場ゲートを閉じる。なお、ユーザが駅構内に入場する際、ICカードの残高が、運賃の最低料金に満たない場合に決済装置がエラー音を通知して入場ゲートを閉じる場合もあれば、ICカードの残高が運賃の最低料金に満たなくとも入場自体は許可して決済装置が所定の電子音を発するものもある。
【0020】
なお、交通機関の路線によっては、ユーザが乗車した距離にかかわらず運賃が一定額である場合もある(例えば、所定の経路を運行する公共バスの運賃が一定額である場合)。この場合、決済装置100は、ユーザが乗車する際に、ICカードの残高が、運賃の支払いに対して不足していないかを判定し、残高が不足していなければ所定の電子音を発してユーザが乗車可能であることを通知し、残高が不足していればエラー音を通知する。
【0021】
なお、ICカードは、発行する事業者が異なることがあり得るが、決済装置100は、それぞれ異なる事業者が発行するICカードによる決済処理を受け付けることができる。このとき、決済装置100は、いずれの事業者が発行したICカードであっても、決済時に発する電子音を同一のものとしている。
【0022】
(ii)決済装置100がユーザの情報と関連付けられる残高により決済処理を行う例
決済装置100は、例えば、ユーザの情報と関連付けられてプリペイド方式またはポストペイ方式の残高が記録される決済システムに対応している。
【0023】
例えば、ユーザの情報と対応付けて残高が記録されるデビットカード、仮想的なクレジットカード(物理的なクレジットカードを発行することを要さずクレジットカード番号が発行されるもの)、スマートフォン等のユーザの端末において動作する決済アプリケーションがある。
【0024】
決済装置100は、例えば、店頭に設置されるPOS(Point of sale)端末である。ユーザの端末が決済アプリケーションを実行することにより、決済装置100で読み取り可能な態様(例えば、二次元コード)で、ユーザを特定するための情報を、ユーザの端末のディスプレイに表示させる。決済装置100は、二次元コードを読み取ることで、ユーザの情報と対応付けられる残高により決済処理を行う。
【0025】
(iii)決済装置100が認証用の情報を読み取ることで決済処理を行う例
決済装置100として、例えば、サービスの利用が可能であることを示す情報を読み取るものが含まれる。予め、ユーザが利用するサービスの内容に応じて発行された情報を決済装置100に読み取らせるものもあり得る。例えば、予め、ユーザがオンラインまたは交通機関の券売機等で、ユーザの移動元から移動先までに応じた料金を支払うことにより、コード(例えばバーコード、QRコード(登録商標)等の二次元コード)が発行される。当該コードは、例えば、ユーザの情報と関連付けて電子的に発行される場合もあれば、券売機等でユーザの情報と関連付けられずコードが印刷された乗車券(または搭乗チケット)が発行されることもあり得る。
【0026】
決済装置100は、例えば、空港、鉄道駅、バス等に設置されており、決済装置100が、ユーザの端末に表示されたコード、または、印刷物に印刷されたコードを読み取ることで、ユーザの入場または退場を許可し、ゲートの開閉を行う。
【0027】
複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・はいずれも、少なくとも1種類の同一方式(ユーザがいずれの決済装置100-1,100-2,100-3,・・・を使用しても、少なくとも利用される決済サービスと、決済される内容が同一である)に従う電子決済を受け付ける。ここで、複数の決済装置100で利用される「決済サービス」とは、技術的な手段により特定されるものであり、決済サービスの事業者が複数存在することもあり得る。例えば、「決済サービス」とは、上記のように、
(i)決済装置100がユーザの情報と関連付けられない媒体により決済処理を行う例、
(ii)決済装置100がユーザの情報と関連付けられる残高により決済処理を行う例、
(iii)決済装置100が認証用の情報を読み取ることで決済処理を行う例、
などがあり得る。決済装置100は、様々な事業者の決済サービスに対応していることもある。
【0028】
故に、かかる方式を利用可能な利用者は、複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・のいずれかを選択して同一方式に従う電子決済を行うことができる。
【0029】
つまり、ユーザが複数の決済装置100(100-1、100-2、100-3、・・・)のいずれを使用したとしても、決済サービスにおいて受けられる決済の内容(例えば、決済金額、認証内容)に差異はない。そのため、通常、ユーザが複数の決済装置100を利用する態様としては、複数の決済装置100のいずれかをあえて使用しようとする動機付けを得ることなく、偶然空いている決済装置100を使用すること、または、無意識に選択した決済装置100を使用すること等が想定される。
【0030】
なお、複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・は、典型的には隣接して配置されているが、施設内で互いに隔離して配置されることもあり得る。例えば、鉄道駅Aの東口改札と西口改札とに複数台の決済装置100-1,100-2,100-3,・・・が分散して配置されることもあり得る。また、施設内に設置される決済装置100の台数は、3台に限られず、4台以上であってもよいし、2台であってもよい。
【0031】
決済装置100は、例えば、自動改札機、レジスター、自動販売機、などに搭載され得る。ここで、鉄道駅に設置され得る、運賃または駅構内への入場料の決済を行う自動改札機に限らず、例えば、空港やイベント会場に設置され得る、利用者の入退場を管理する入退場ゲートに搭載される認証装置もまた本明細書にいう決済装置100に含まれ得るものとして企図されている。かかる認証装置は、利用者の入退場時に貨幣の授受、すなわち決済を必ずしも行わないが、電子チケットの情報を元に認証を試みて認証の正常終了時に通知音を出力する点で、ICカード乗車券の情報を元に運賃または入場料の決済を試みて決済の正常終了時に通知音を出力する決済装置100と類似するといえる。
【0032】
決済サーバ200は、決済装置100から決済要求、または決済ログデータ、などをネットワーク経由で受信し得る。また、決済サーバ200は、決済装置100へ決済要求に対する承認応答、または否認応答、などをネットワーク経由で送信し得る。なお、決済装置100が決済サーバ200といかなるデータをどのようにやり取りするかについては、主に電子決済の方式に依存し得る。つまり、決済装置100は、電子決済の方式に対応して通信可能な構成を有する。また、決済サーバ200は、電子決済の方式毎に存在し得る。従って、決済装置100が複数種類の電子決済の方式をサポートする場合には、決済装置100は複数台の異なる決済サーバ200にネットワーク経由で接続され得る。また 、本実施形態において、各装置(決済装置、決済サーバ等)を情報処理装置として把握することもできる。すなわち、各装置の集合体を1つの「情報処理装置」として把握することができ、電子決済システム5を、複数の装置の集合体として形成してもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係る電子決済システム5を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又は電子決済システム5に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。
【0033】
図2に、本実施形態に係る電子決済システム5を構成する決済装置100のハードウェア構成の一例を示す。決済装置100は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信IF(Interface)14と、入出力IF15とを備える。
【0034】
プロセッサ11は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。メモリ12は、プログラム、および、プログラムなどで処理されるデータなどを一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性のメモリである。
【0035】
ストレージ13は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、などである。通信IF14は、決済装置100が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0036】
入出力IF15は、利用者からの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウスなどのポインティングデバイス、キーボードなど)、および、利用者に対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカなど)とのインタフェースである。
【0037】
図3に、本実施形態に係る電子決済システム5を構成する決済装置100のブロック図を示す。決済装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入出力部140と、バッテリ150とを含む。決済装置100中の各要素は、バスを介して電気的に接続され得る。
【0038】
制御部110は、記憶部120としてのメモリ12に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、決済装置100の動作を制御する。制御部110は、例えば前述のプロセッサ11を含む。制御部110は、プログラムに従って動作することにより、通知音設定部111、決済実行部112、および出力制御部113としての機能を発揮する。
【0039】
通知音設定部111は、決済装置100がサポートする複数種類の電子決済の方式のうち少なくとも1種類(以降、単に対象方式と称する)について、決済実行時に出力する通知音を、記憶部120に保存されている通知音データ121の中から選択して設定する。ここで、決済実行時は、例えば決済の正常終了時を指すが、決済のエラー終了時も含み得る。
【0040】
通知音設定部111は、記憶部120に保存されている種々のデータ(例えば、時間帯データ122、利用実績データ123、バッテリ残量データ124、位置データ125、識別子、もしくはフラグなど)に基づいて、および/または直接入力されもしくは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信したコマンドに応じて、通知音を設定し得る。
【0041】
いずれにせよ、特定の施設に配置される複数台の決済装置100のうちの一部(以降、単に特定の決済装置と称する)が対象方式に従う決済の実行時に特殊通知音(第1の通知音)を出力し、残りの決済装置100が対象方式に従う決済の実行時に通常通知音(第2の通知音)を出力するように、各決済装置100に含まれる通知音設定部111は通知音を決定する。すなわち、特定の施設に配置される複数台の決済装置100の中には、対象方式に対して通常通知音が設定された決済装置100と、上記特定の決済装置とが混在することになる。このような複数台の決済装置100の間の通知音の設定の相違は、例えば決済サーバ200または他の外部装置からのコマンドによって保障されてもよいし、これら複数台の決済装置100間の協調により保証されてもよいし、通知音設定部111のアルゴリズム上保障されてもよい。
【0042】
なお、決済装置100が対応する決済サービスによっては、決済サービスの事業者ごとに、通常通知音が設定されていることもある。決済装置100は、当該通常通知音について、事業者、または、事業者が決済サービスを提供するブランド名称を識別できるような通知音を出力してもよい。これにより、決済処理の都度、ユーザに対し、ユーザが使用している決済サービスの事業者またはブランド名称に応じた通常通知音を出力することになるため、ユーザが当該事業者またはブランド名称を認知する可能性が高まり得る。
【0043】
一方、決済装置100は、特殊通知音を出力するように設定されている場合(特定の決済装置である場合)、(i)決済サービスを提供する事業者にかかわらず、同一の特殊通知音を出力することとしてもよい。例えば、特定の決済装置がICカードによる決済に対応している場合に、ICカードによる決済サービスを提供する事業者にかかわらず(つまり、ICカードの発行主体にかかわらず)、同一の特殊通知音を出力することとしてもよい。
【0044】
(ii)また、特定の決済装置は、ユーザが利用する決済サービスにかかわらず(例えば、ICカードによる決済か、二次元コードを使用した決済であるかにかかわらず)、同一の特殊通知音を出力することとしてもよい。
【0045】
(iii)この他に、複数の決済装置100のうち特定の決済装置に特殊通知音を出力するよう設定されている場合に、当該特定の決済装置において、決済サービスの事業者ごとに、それぞれ異なる特殊通知音を出力してもよい。例えば、特定の決済装置が、ユーザの端末で実行される決済アプリケーションによる決済に対応している場合に、当該決済アプリケーションの事業者ごとに、特殊通知音を異ならせるように出力してもよい。
【0046】
以下、通知音の設定についていくつかの具体例を説明する。
例えば、通知音設定部111は、第1の条件を満足する、例えば識別子が特定の値に一致しない、またはフラグがOFFである場合には、対象方式に対して通常通知音を設定する。他方、通知音設定部111は、第2の条件を満足する、例えば識別子が上記特定の値に一致する、またはフラグがONである場合には、対象方式に対して特殊通知音を設定する。
【0047】
ここで、通常通知音は、例えば対象方式に従う決済の実行時に出力されるデフォルトの通知音であってよい。他方、特殊通知音は、この通常通知音とは異なるものであればよく、具体的には、架空のキャラクタまたは実在の人物(例えば、ミュージシャン、有名人など)による音声、または楽曲(の一部)、などであり得る。
【0048】
かかる特殊通知音は、キャラクタ、人物、楽曲などのファンの興味を強く引き付けて、人流を変える効果を期待できる。例えば、いわゆる位置ゲームにおける特定のキャラクタが出現するイベントの発生時に、決済装置100を搭載する自動改札機に当該キャラクタの音声や、当該位置ゲームのBGMを特殊通知音として出力させてもよい。例えば、ユーザの端末の位置情報を使用するゲームにおいて、特定の位置において、複数のプレイヤで共闘して強力なボスキャラクタと戦闘をするイベント(いわゆるレイドバトル)が発生しているとする。当該イベントが発生している特定の位置の周囲にいるユーザの端末が、イベントに参加できるとする。この場合に、通知音設定部111は、当該ボスキャラクタに関する音声(ボスキャラクタの鳴き声、セリフ等)や、当該イベントにかかるBGM(レイドバトルのイベント時のみ出力されるBGM等)を特殊通知音として出力させるよう設定してもよい。或いは、特定のミュージシャンによるコンサートの開催時に、決済装置100を搭載する自動改札機に当該ミュージシャンによる音声や楽曲を特殊通知音として出力させてもよい。
【0049】
例えば、位置ゲームにおけるキャラクタの出現地またはコンサート会場の最寄りの改札に設置された自動改札機に搭載された決済装置100(の少なくとも一部)に特殊通知音を出力させることで、位置ゲームのプレイヤまたはコンサートの観客を誘導することができる。或いは、かかる最寄り改札とは異なる改札に設置された自動改札機に搭載された決済装置100(の少なくとも一部)に特殊通知音を出力させることで、当該最寄りの改札への利用者の集中を緩和できる。すなわち、最短経路でコンサート会場に向かう利用者と、特殊通知音の出力を聞くために遠回りをする利用者とで、人流を分散させることが可能となる。
【0050】
また、隣接して配置された複数台の自動改札機またはレジスターに搭載された決済装置100のうち一部が対象方式に対して特殊通知音を設定し、残部が対象方式に対して通常通知音を設定してもよい。これにより、特殊通知音を鳴らすことを目的とした多数の利用者により公共交通機関または店舗に混雑が生じた場合にも、特殊通知音に興味のない一般の利用者は、かかる混雑の影響を受けにくい。すなわち、当該一般の利用者は、空いている、通常通知音を設定した決済装置100を搭載する自動改札機またはレジスターを利用することで、普段と同程度の快適さで公共交通機関に入退場したり店舗で商品を購入したりすることができる。
【0051】
さらに、決済装置100が自動販売機に搭載される場合にも、一部の決済装置100が特殊通知音を出力することは有用である。例えば、販売額の低い自動販売機や在庫の多い自動販売機に対して特殊通知音を設定すれば、施設内の自動販売機の在庫消化スピードを調節できるので、利用者の目に付きやすい自動販売機が早期に売り切れに陥ってしまい利用者が購入を諦める、といった販売機会ロスを抑制できる。
【0052】
通知音設定部111は、通知音設定タイミングの到来時に、対象方式に対して通知音を設定する。一例として、通知音設定部111は、記憶部120に保存されている時間帯データ122に基づいて通知音設定タイミングをスケジュールし得る。例えば、時間帯データ122が決済装置100の近隣、例えば徒歩圏内で発生するゲーム内または現実のイベントの実施時間帯を表す場合に、通知音設定部111はこの実施時間帯の始点から所定時間、例えば1時間遡ったタイミングを通知音設定タイミングとしてスケジュールし得る。これにより、イベントのために集まり始めた利用者の人流を誘導することが可能となる。
【0053】
ここで、通知音設定タイミングはイベントにつき1回である必要はない。例えば、リアルタイムの状況に応じて臨機応変に人流を誘導するために、通知音設定部111は、所定の間隔、例えば5分おきに通知音設定タイミングをスケジュールしてもよいし、直接入力されまたは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信したコマンドに応じて通知音設定タイミングをスケジュールしてもよい。
【0054】
また、時間帯データ122がイベントの実施時間帯を表す場合に、通知音設定部111はこの実施時間帯の終了から所定時間、例えば1時間経過したタイミングで、対象方式に対して通常通知音を強制的に設定してもよい。これにより、イベントの実施と関係のない時間帯には、決済装置100を通常の、すなわち対象方式について通知音が固定された決済装置として機能させることができる。
【0055】
また、通知音設定部111は、利用実績データ123に基づいて通知音を設定してもよい。例えば、通知音設定部111は、利用実績データ123の示す決済装置100の利用回数、利用頻度または利用金額が閾値を下回る場合に、または施設内に配置される複数の決済装置100の全体、もしくは隣接して配置されたサブセット中での利用回数、利用頻度または利用金額の順位が基準順位を下回る場合に、無条件にまたは他のデータ(例えば、識別子、フラグ、時間帯データ122、利用実績データ123、バッテリ残量データ124、位置データ125、など)にさらに依存して、対象方式に対して特殊通知音を設定してもよい。これにより、利用実績が高くない決済装置100に利用者を誘導して、当該決済装置100の利用実績を改善することができる。
【0056】
さらに、通知音設定部111は、バッテリ残量データ124に基づいて通知音を設定してもよい。例えば、通知音設定部111は、バッテリ残量データ124の示す決済装置100のバッテリ150の残量が閾値を上回る場合に、または施設内に配置される複数の決済装置100の全体、もしくは隣接して配置されたサブセット中でのバッテリ150の残量の順位が基準順位を上回る場合に、無条件にまたは他のデータ(例えば、識別子、フラグ、時間帯データ122、利用実績データ123、位置データ125、など)にさらに依存して、対象方式に対して特殊通知音を設定してもよい。これにより、バッテリ150の容量が枯渇しかけている決済装置100から利用者を遠ざけて、当該バッテリ150を延命することができる。
【0057】
加えて、通知音設定部111は、位置データ125に基づいて通知音を設定してもよい。例えば、通知音設定部111は、位置データ125の示すイベントの発生地または会場の位置に基づいて利用者を誘導する改札を特定する。そして、通知音設定部111は、決済装置100がこの改札に設置されている場合に、無条件にまたは他のデータ(例えば、識別子、フラグ、時間帯データ122、利用実績データ123、バッテリ残量データ124、など)にさらに依存して、対象方式に対して特殊通知音を設定し得る。
【0058】
決済実行部112は、決済装置100に対する利用者の動作、例えば決済用のICチップまたは決済用の二次元コードを記載したカード、またはユーザ端末をかざす動作、に応じて電子決済処理を実行する。ここで、ユーザ端末は、例えば、決済用のICチップを搭載した、および/または決済用の二次元コードを表示可能なスマートフォンである。
【0059】
決済実行部112は、対象方式に依存して、ICチップに記録された残高データの書き換えにより決済を行ってもよいし、ICチップに記録されたデータまたは二次元コードに紐づく利用者のアカウントデータの更新を決済サーバ200に要求することにより決済を行ってもよい。
【0060】
ICチップに記録された残高データの書き換えにより決済を行う場合に、決済実行部112は、リーダ/ライタ144から入出力IF15を介してICチップに記録されたデータ、例えば利用者データおよび残高データを読み出す。そして、決済実行部112は、決済の利用額に応じて残高データを減算して決済後の残高データを計算する。それから、決済実行部112は、リーダ/ライタ144に決済後の残高データをICチップに書き込ませる。
【0061】
決済サーバ200に利用者のアカウントデータの更新を要求することにより決済を行う場合に、決済実行部112は、通信部130に、利用者データおよび決済の利用額データを含む決済要求を決済サーバ200へ送信させる。そして、決済サーバ200は、受信した決済要求に応答して、利用者のアカウントデータに対して決済処理を実行する。
【0062】
いずれの場合にも、決済実行部112は、決済終了後に、利用実績データ123を更新してもよい。
【0063】
出力制御部113は、決済実行部112による対象方式に従う電子決済処理の実行時、例えば電子決済処理の正常終了後に、通知音設定部111によって対象方式に対して現在設定されている通知音をスピーカ141に出力させる。具体的には、出力制御部113は、通常通知音または特殊通知音に対応する通知音データ121を音声信号に変換し、入出力IF15を介してスピーカ141へ送信する。
【0064】
また、出力制御部113は、発光制御信号を、入出力IF15を介して発光デバイス142へ送信してもよい。さらに、出力制御部113は、映像信号を、入出力IF15を介してディスプレイ143へ送信してもよい。
【0065】
なお、後述するように例えば発光デバイス142を後述する誘導手段として利用する場合に、出力制御部113は、通知音設定部111による通知音の設定変更に応答して、
発光デバイス142へ出力する発行制御信号を変更し得る。
【0066】
記憶部120は、例えば前述のメモリ12および/またはストレージ13を含み、決済装置100が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部120は、通知音データ121と、時間帯データ122と、利用実績データ123と、バッテリ残量データ124と、位置データ125とを記憶する。
【0067】
通知音データ121は、少なくとも前述の通常通知音および特殊通知音の音声データを含む。なお、特殊通知音の音声データは、例えば1つのイベントの実施時にのみ一時的に使用されるものであってもよいし、複数のイベントの実施時に反復して使用されるものであってもよい。換言すれば、特殊通知音の音声データは、イベント毎に変更されてもよいし、複数のイベントに亘って再利用されてもよい。通知音データ121は、決済実行時に通知音を出力するために出力制御部113によって読み出され得る。
【0068】
通知音データ121は、記憶部120にプリセットされていてもよいし、決済装置100に直接入力されもしくは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信されてもよい。
【0069】
時間帯データ122は、イベントの実施時間帯、ラッシュアワー、などの時間帯を示す。時間帯データ122は、例えば通知音設定タイミングおよび/または通知音を設定するために、通知音設定部111によって読み出され得る。時間帯データ122は、決済装置100に直接入力されもしくは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信されてもよい。
【0070】
利用実績データ123は、決済装置100の利用回数、利用頻度、および/または利用金額を示す。利用実績データ123は、例えば、決済装置100が実行した決済処理毎の実行日時と、ステータスコード(OK/NG)と、金額とを含むデータセットであり得る。
【0071】
利用実績データ123は、例えば通知音を設定するために、通知音設定部111によって読み出され得る。利用実績データ123は、決済実行部112によって更新され得る。
【0072】
バッテリ残量データ124は、バッテリ150の残量を示す。なお、決済装置100がバッテリ150を備えていない場合に、バッテリ残量データ124は記憶部120に保存されない。
【0073】
バッテリ残量データ124は、例えば通知音を設定するために、通知音設定部111によって読み出され得る。バッテリ残量データ124は、図示されないバッテリ管理部によって更新され得る。
【0074】
位置データ125は、例えばイベントの発生地もしくは会場、またはその最寄りの改札、などを示す。位置データ125は、例えば通知音を設定するために、通知音設定部111によって読み出され得る。位置データ125は、決済装置100に直接入力されもしくは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信されてもよい。
【0075】
通信部130は、決済装置100が決済サーバ200または他の外部装置と有線または無線で通信するために、変復調処理などの種々の信号処理を行う通信モジュールである。通信部130は、受信信号を制御部110へ与え、逆に送信信号を制御部110から受け取る。通信部130は、前述の通信IF14を含む。
【0076】
入出力部140は、1つまたは複数の出力装置を含む。具体的には、入出力部140は、スピーカ141と、発光デバイス142と、ディスプレイ143と、リーダ/ライタ144とを含み得る。
【0077】
スピーカ141は、出力制御部113から入出力IF15を介して通知音の音声信号を受け取り、これを音声に変換して決済装置100の外部へ出力する。
【0078】
発光デバイス142は、リーダ/ライタ144のバックライトとして機能するLED(Light Emitting Diode)である。発光デバイス142は、出力制御部113から入出力IF15を介して発光制御信号を受け取り、当該発光制御信号に応答して種々の発光色および強度で発光する。
【0079】
ディスプレイ143は、出力制御部113から入出力IF15を介して映像信号を受け取り、例えば決済実行時に決済のOK/NG、利用金額、残高などを表す画像を表示し得る。
【0080】
リーダ/ライタ144は、利用者がかざしたカードまたはユーザ端末に搭載されたICチップに記録されているデータを読み取り、決済実行部112の制御に従って当該ICチップに記録されているデータを書き換える。或いは、対象方式の手順次第では、ICチップ用のリーダ/ライタ144の代わりに、二次元コードリーダが設けられてもよい。
【0081】
バッテリ150は、決済装置100の各要素への電力の供給源である。なお、決済装置100は必ずしもバッテリ150のみによって駆動される必要はなく、商用電源のみで駆動されてもよいし、商用電源とバッテリ150との併用で駆動されてもよい。すなわち、決済装置100は、バッテリ150を備えていなくてもよい。
【0082】
複数台の決済装置100のうちいずれが特定の決済装置に該当するかを利用者に認識させるための誘導手段を設けることで、利用者に特定の決済装置の利用を促して人流の誘導効果をいっそう高めることができる。つまり、電子決済システム5は、1または複数の特定の決済装置の利用を利用者に促すための、利用者が視覚的に認識可能な誘導手段を備えることとしてもよい。
【0083】
具体的には、誘導手段は、利用者が視覚的に認識可能なものであってよい。一例として、特定の決済装置を利用者が利用するための移動経路に沿って、当該決済装置の周囲の床面、壁面または空中に誘導手段が設けられてもよい。
【0084】
仮に、3台の決済装置100-1、100-2および100-3が
図4に例示されるように配置されていたとする。
【0085】
図4に示すように、決済装置100-1はリーダ/ライタ144-1を備え、決済装置100-2はリーダ/ライタ144-2を備える。決済装置100-3は、リーダ/ライタ144-3と、リーダ/ライタ144-4とを備える。決済装置100-1と決済装置100-2は、レーンを通過できる方向が1方向であり、決済処理を行うためのリーダ/ライタ144を、進行方向の入口側のみに設けている。例えば、決済装置100-1と決済装置100-2は、構内への入場を受け付けるゲートではなく、構内からの退場を受け付けるゲートとして機能する。
【0086】
決済装置100-3は、レーンを通過できる方向が双方向である。つまり、決済装置1003は、構内への入場を受け付けることもできれば、構内からの退場も受け付ける入退場ゲートとして機能する。決済装置100-3は、レーンを双方向で通貨できるように複数のリーダ/ライタ144(リーダ/ライタ144-3、144-4)を備える。例えば、決済装置100-3において、退場時にはリーダ/ライタ144-3で決済処理を受け付けており、入場時にはリーダ/ライタ144-4で決済処理を受け付けている。
【0087】
複数の決済装置100のうち、入場側または退場側のいずれかにのみ、決済時に特殊通知音を出力するための決済手段(図示する例では、リーダ/ライタ144)を提供することとしてもよい。
【0088】
また、複数の決済装置100は、入場時および退場時の決済処理において特殊通知音を出力する場合に、入場時の決済処理と、退場時の決済処理とで、それぞれ異なる特殊通知音を出力することとしてもよい。
【0089】
決済装置100-1、100-2および100-3はそれぞれ、決済が異常終了した場合、または決済を行わずに利用者がレーンL1、L2およびL3を通過しようとした場合に、フラップドアを閉じて利用者のレーンL1、L2およびL3内の通行を阻止する。
【0090】
図4の決済装置100-1、100-2および100-3のうち決済装置100-1および100-3が特定の決済装置に該当する場合に、
図5に例示されるようにレーンL1およびL3の床面に足跡マークF1およびF3が設けられてよい。これにより、利用者は、決済装置100-1および100-3が特定の決済装置であることを視覚的に認識できる。
【0091】
なお、足跡マークは、その設置/除去が容易となるよう、例えばシールによって実現されてよい。また、足跡マークの外観は、特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物のプロファイルに基づいて決定されてよい。これにより、利用者は足跡マークからキャラクタまたは人物を連想して楽しむことができる。
【0092】
また、決済装置が設置される周囲の床面のみならず、決済装置の周囲の壁面、または、空中に、特定の決済装置の利用を利用者に促すための表示をしてもよい。例えば、決済装置と対応付けて、バルーンなどの浮遊体を浮遊させてもよく、ドローンなどの飛行体を飛行させてもよい。
【0093】
なお、床面、壁面または空中に設けることのできる誘導手段は足跡マークに限られず、任意の表示であってよいが、利用者の興趣性を高める観点から、特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物の存在を示唆する表示、または特殊通知音のそのものを示唆する表示(例えば、曲名、セリフ、など)が採用されてもよい。
【0094】
また、別の例として、誘導手段は、特定の決済装置において利用者が電子決済処理を行うための動作をする箇所の周囲において、利用者が視覚的に認識可能な方法で、当該決済装置が、特定の決済装置であることをユーザに認識させるものであるとしてもよい。
【0095】
例えば、特定の決済装置において、ユーザが決済処理を行う動作時に視認する可能性が高い個所、または、ユーザが決済処理を行うためにユーザの身体またはユーザの物品等を近接させる箇所がある。例えば、決済装置が、ICカードをかざすことによって決済処理を行うものである場合、ICカードを読み取るためのリーダ/ライタ装置が設置される個所は、ユーザが決済処理を行う動作時に視認させる可能性が高い。また、ユーザは、ICカードを、リーダ/ライタ装置の箇所まで近接または接触させる。
【0096】
この場合、誘導手段は、当該リーダ/ライタ装置の箇所またはその周囲に設けられ、例えば、特定の発光色で発光するものとしてもよい。すなわち、特定の発光色、強度またはパターンで発光する発光デバイス142が誘導手段として利用されてもよい。
【0097】
図4の決済装置100-1、100-2および100-3のうち決済装置100-1および100-3が特定の決済装置に該当する場合に、
図6に例示されるように、決済装置100-1のリーダ/ライタ144-1のバックライトたる発光デバイス142-1、および決済装置100-3のリーダ/ライタ144-3のバックライトたる発光デバイス142-3が、決済装置100-2のリーダ/ライタ144-2のバックライトたる発光デバイス142-2とは異なる発光色で発光してもよい。
【0098】
例えば、決済装置100-2が待機状態である間、発光デバイス142-2は、出力制御部113-2からの発光制御信号に応答して対象方式に依存したデフォルト発光色、例えば青色に発光する。他方、決済装置100-1/100-3が待機状態である間、発光デバイス142-1/142-3は、出力制御部113-1/113-3からの発光制御信号に応答して上記デフォルト発光色とは異なる特殊発光色、例えば黄色に発光する。
【0099】
これにより、利用者は、決済装置100-1および100-3が特定の決済装置であることを視覚的に認識できる。なお、特殊発光色は、特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物のプロファイルに基づいて決定されてよい。これにより、利用者は発光色からキャラクタまたは人物を連想して楽しむことができる。
【0100】
なお、特殊発光色は、デフォルト発光色以外の任意の発光色であってよいが、利用者の興趣性を高める観点から特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物の存在を示唆する発光色、例えばテーマカラーが採用されてもよい。ここで説明した誘導手段の変形例として、発光色の代わりにディスプレイ143に表示される画像、またはその背景色を通常通知音設定時と特殊通知音設定時とで変更することも考えられる。
【0101】
さらに、別の例として、利用者がユーザ端末によって決済を行う場合には、当該ユーザ端末に、複数台の決済装置100のうちいずれが特定の決済装置に該当するかを通知してもよい。例えば、位置情報ゲームのAR(Augmented Reality)機能により、特定の決済装置の周囲に特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物の画像を表示してもよい。
【0102】
また、ユーザ端末において、複数台の決済装置100のうちいずれが特定の決済装置に該当するかを、テキストメッセージ、動画等により通知してもよい。例えば、ユーザ端末においてゲームプログラムを実行している場合、当該ゲームプログラムにおけるゲーム中の通知として、「特定の決済装置」がいずれであるかをユーザに通知してもよい。例えば、位置情報を使用するゲームであれば、ユーザ端末が決済装置の周囲の所定距離内にある場合、また、決済装置が設置される施設をユーザが利用する可能性がある場合(例えば、決済装置が駅の構内に設置される場合、当該駅を運営する交通機関をユーザが利用していると判断される場合)に、ユーザに対し、特定の決済装置があること、および、複数の決済装置100のうちいずれが特定の決済装置に該当するかを通知することとしてもよい。
【0103】
以下、
図7を用いて、決済装置100の動作例を説明する。
決済装置100の起動後に、通知音設定部111は、対象方式に対して通常通知音を設定する(ステップS201)。それから、制御部110は、通知音設定タイミングの到来、および決済用のICチップ(または二次元コード)の検出を待ち受ける(ステップS202およびステップS204)。
【0104】
通知音設定部111は、通知音設定タイミングが到来すると、記憶部120に保存されている種々のデータ(例えば、時間帯データ122、利用実績データ123、バッテリ残量データ124、位置データ125、識別子、もしくはフラグなど)に基づいて、および/または直接入力されもしくは例えば決済サーバ200などの外部装置からネットワーク経由で受信したコマンドに応じて、通知音を設定する(ステップS203)。それから、制御部110は、通知音設定タイミングの再到来、および決済用のICチップの検出を待ち受ける(ステップS202およびステップS204)。
【0105】
他方、決済実行部112は、例えばリーダ/ライタ144からの信号に基づいて決済用のICチップを検出すると、対象方式に従う決済処理を実行する(ステップS205)。ステップS205において決済処理が正常終了した場合には処理はステップS207へ進み、そうでない場合には処理はステップS208へ進む(ステップS206)。
【0106】
ステップS207において、出力制御部113は、通知音設定部111によって対象方式に対して現在設定されている通知音をスピーカ141に出力させる。ステップS208において、所定のエラー処理が行われる。一例として、決済装置100としての自動改札機は、フラップドアを閉じるとともに出力制御部113がエラー通知用の通知音をスピーカ141に出力させてもよい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係る電子決済システムでは、特定の施設に設置され同一の電子決済の方式をサポートする複数台の決済装置の一部である特定の決済装置は当該方式に従う決済の実行時に特殊通知音を出力し、特定の決済装置以外の決済装置は当該方式に従う決済の実行時に通常通知音を出力する。故に、この電子決済システムによれば、これら複数台の決済装置から利用者が決済を行う装置を選択可能な状況下で、利用者に通常通知音とは異なる特殊通知音を目当てに特定の決済装置を選ぶ楽しみを提供することができる。すなわち、かかる状況下における電子決済の興趣性を向上させることができる。
【0108】
(変形例1)
前述の実施形態では、決済装置が対象方式に従う決済の実行時に通知音を出力することを前提として説明した。しかしながら、決済装置に限らずユーザ端末が対象方式に従う決済の実行時に通知音を出力してもよい。
【0109】
この変形例1に係るユーザ端末は、前述の制御部110および記憶部120と類似の制御部および記憶部を有し得る。具体的には、ユーザ端末の制御部は、ユーザ端末の記憶部に保存されている種々のデータ(例えば、時間帯データ122、利用者が選択した決済装置の利用実績データ123、利用者が選択した決済装置のバッテリ残量データ124、位置データ125、利用者が選択した決済装置の識別子、もしくは利用者が選択した決済装置に設定されたフラグなど)に基づいて、および/または例えば利用者が選択した決済装置などの外部装置から受信したコマンドに応じて、対象方式に対して通知音を設定し得る。
【0110】
(変形例2)
前述の実施形態では、特定の決済装置が対象方式に従う決済の実行時に特殊通知音を出力すると説明した。しかしながら、特定の決済装置は、対象方式に従う決済の実行時に特殊通知音に加えて通常通知音を出力しても構わない。
【0111】
この場合に、特定の決済装置は、通常通知音を出力してから特殊通知音を出力してもよいし、特殊通知音を出力してから通常通知音を出力してもよいし、通常通知音および特殊通知音を並列的に出力してもよい。また、特定の決済装置は、通常通知音の音量を特殊通知音の音量よりも低く設定して出力してもよい。
【0112】
(変形例3)
前述の実施形態では、特殊通知音は通常通知音と異なると説明した。ここで、通知音設定部111は、1種類に限らず複数種類の特殊通知音から1つを選択して設定可能としてもよい。すなわち、特定の決済装置の一部が第1の種類の特殊通知音を出力し、残部が第2の種類の特殊通知音を出力してもよい。特殊通知音は、その内容に依存してどのような利用者をどれくらい引き付けるかが異なり得る。故に、複数種類の特殊通知音を使い分けることにより、人流の誘導効果をさらに細かく調節することが可能となる。
【0113】
例えば、第1の特殊通知音は位置情報ゲームにおける第1のキャラクタを連想させるものであり、第2の特殊通知音は当該位置情報ゲームにおける第2のキャラクタを連想させるものであり、第1のキャラクタが第2のキャラクタに比べて人気があるとする。このような前提の下で、例えば利用者が集中しがちな、改札の端付近に設置された特定の決済装置が第2の特殊通知音を出力し、逆に利用者が敬遠しがちな、改札の中央付近に配置された特定の決済装置が第1の特殊通知音を出力すれば、複数台の決済装置100の位置関係により生じる人流の偏りを緩和することができる。また、利用者の多い改札に設置された特定の決済装置が第2の特殊通知音を出力し、逆に利用者の少ない改札に配置された特定の決済装置が第1の特殊通知音を出力することによっても同様の効果を期待できる。
【0114】
なお、複数種類の特殊通知音のそれぞれの人流の誘導効果は、例えば各特殊通知音から連想されるキャラクタまたは人物の人気度を参考に見積もることも可能であるし、過去に同一の特殊通知音を使用した際に収集した統計データに基づいて計算することも可能である。
【0115】
また、特定の決済装置は必ずしも1種類の特殊通知音を使用し続ける必要はなく、例えば利用実績データ123の示す利用回数または利用額が閾値を超えたことをトリガとして、出力する特殊通知音を切り替えてもよい。例えば、利用回数または利用額が閾値以下である段階では初期状態のキャラクタを連想させる特殊通知音を使用し、利用回数または利用額が閾値を上回った段階では変身、成長、強化または進化などの状態変化後のキャラクタを連想させる特殊通知音を使用することで、当該キャラクタのファンである利用者の興味をいっそう引き付けることができる。
【0116】
また、ユーザが特定の決済装置を利用した利用回数または利用額に応じて、決済装置が出力する特殊通知音を切り替えることとしてもよい。
【0117】
例えば、ユーザの情報と対応付けて、前払い式により、法定通貨と同等の価値を有する価値情報を、サーバ装置等により管理しているとする。この場合、サーバ装置等は、ユーザが、ユーザの端末に表示される二次元コード等を用いて決済装置で決済する都度、ユーザの情報と関連付けて、ユーザが特定の決済装置を利用した利用回数および利用額を記録する。
【0118】
特定の決済装置は、サーバ装置またはユーザの端末から、ユーザが特定の決済装置を利用した利用回数または利用額の情報を受け付けることにより、出力する特殊通知音を切り替えることとしてもよい。または、ユーザの端末またはサーバ装置等が、ユーザが特定の決済装置を利用した利用回数又は利用額の情報に基づいて、決済装置に出力させる特殊通知音を設定することとしてもよい。つまり、決済装置において、予め特殊通知音が設定される例の他に、決済装置を利用するユーザの利用履歴の情報に応じて、決済の処理のタイミングにおいて、決済装置に特殊通知音を設定することとしてもよい。
【0119】
さらに、特定の決済装置は、利用者が決済に使用したユーザ端末に紐づけられる利用者データなどの諸要素にさらに依存して通知音を切り替えてもよい。例えば、特定の決済装置に例えばある位置情報ゲームにおけるキャラクタを連想させる特殊通知音が設定されているとの仮定の下で、特定の決済装置は、例えば、利用者の登録年齢、利用者がこの位置情報ゲームのプレイヤであるか否か、利用者のプレイキャラクタのレベル、ユーザ端末のOS(Operating System)、利用者がこの位置情報ゲームサービスと連携する特殊なIC乗車券を使用したか、などに依存して出力する通知音を切り替えてもよい。
【0120】
(変形例4)
上記の実施形態では、複数台の決済装置について、屋内外の特定の施設内に設置され得るとして説明した。決済装置を設置する例としては、例えば、屋外でのイベント会場等において、入退場のために設営されるブース、出展者が保有する出展ブースなどで一時的に決済装置を設置する場合もあり得る。
【0121】
例えば、チケットを電子的にユーザに発行する場合、入退場のために設営されるブースでは、係員等のスタッフが、ユーザの端末に表示される二次元コードを、読み取り機(二次元コードリーダー、スマートフォン等)で読み取ること等により、ユーザがチケットを有しているかの認証を行う。
【0122】
また、出展ブースで物販を行う場合、出展者側のスタッフは、読み取り機でユーザの端末に表示される認証コードを読み取って決済処理を行うことがあり得る。当該認証コードは、例えば、ユーザの情報と対応付けて電子的な価値をサーバ装置またはユーザの端末が管理している場合に、ユーザを識別する情報(ユーザのアカウントの情報等)を含む。サーバ装置またはユーザの端末が管理する電子的な価値は、前払い式により法定通貨と引き換えにユーザに付与されるもの、または、前払い式によらずユーザに付与されるもの(例えば、ユーザが物品やサービスを購入することで付与されるポイント、または、キャンペーン等の販売促進により有効期限付きで(または有効期限なく)ユーザに付与されるポイントなど)を含む。
【0123】
(変形例5)
上記の実施形態の説明では、複数の決済装置100のうちの特定の決済装置が、特殊通知音を出力する構成について説明した。つまり、特殊通知音を出力する主体が決済装置である例を説明した。
【0124】
この他に、特殊通知音を出力する主体は、決済装置100以外の装置であってもよい。例えば、特定の決済装置に対してユーザの端末を用いて決済処理を行う場合(例えば、上記の(ii)決済装置100がユーザの情報と関連付けられる残高により決済処理を行う例において、ユーザの端末において動作する決済アプリケーションをユーザが利用する場合)に、ユーザの端末に、特殊通知音を出力させてもよい。この場合、特定の決済装置とユーザの端末の両方において特殊通知音を出力させてもよいし、特定の決済装置において通常通知音を出力させつつユーザの端末において特殊通知音を出力させてもよい。
【0125】
なお、決済装置以外の他の装置に特殊通知音を出力させる場合に、当該他の装置にイヤホンが接続されている場合に特殊通知音を出力することとしてもよい。
【0126】
例えば、ユーザの端末で特殊通知音を出力させる場合に、当該ユーザの端末は、当該ユーザの端末においてイヤホンが接続されているか否かに応じて、特殊通知音を出力するか否かを制御してもよい。例えば、ユーザの端末にイヤホンが有線または無線で接続されている場合に、イヤホンにおいて特殊通対音を出力させることとし、ユーザの端末にイヤホンが接続されていない場合は、特定の決済装置およびユーザの端末のいずれもが通常通知音を出力することとしてもよい。
【0127】
また、ユーザの端末に限らず、店舗またはイベント会場等のスタッフ側の装置において、特定の決済装置で決済処理が行われたことに応答して、特殊通知音を出力することとしてもよい。例えば、店舗のレジのスピーカ、スタッフが装着するイヤホン、店舗またはイベント会場に設置される放送用のスピーカ等において、特定の決済装置における決済処理に応答して特殊通知音を出力することとしてもよい。
【0128】
以上のように、特定の決済装置と、他の装置(ユーザの端末、外部のスピーカ)とにおいて特殊通知音を出力する例を説明したが、いずれの装置を用いて特殊通知音を出力するか、管理者(例えば、複数の決済装置100の管理者)が予め時間帯等に応じて設定することができることとしてもよい。
【0129】
<付記>
実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0130】
(付記1)
電子決済システム(5)であって、特定の施設に設置される、複数の決済装置(100-1.100-2,100-3・・・)を備え、複数の決済装置は、いずれも、利用者が利用可能な同一の方式で電子決済処理を受け付けており、各複数の決済装置の制御部(11、110)は、決済装置に対する利用者の動作に応じて、同一の方式による電子決済処理を実行し(112、S205)、電子決済処理を実行することにより利用者に対し通知音を出力し(113、S207)、複数の決済装置のうち、1または複数の特定の決済装置は、電子決済処理時に、他の決済装置とは異なる通知音を出力する(110、S203)、電子決済システム。
【0131】
(付記2)
1または複数の特定の決済装置の利用を利用者に促すための、利用者が視覚的に認識可能な誘導手段(F1、F3、142、142-1、142-3、144-1、144-3)を備える、(付記1)に記載の電子決済システム。
【0132】
(付記3)
誘導手段は、特定の決済装置の周囲の床面、壁面または空中に、当該特定の決済装置を利用者が利用するための移動経路に沿って行われる表示(F1、F3)である、(付記2)に記載の電子決済システム。
【0133】
(付記4)
特定の決済装置は、電子決済処理時に、人間または仮想的なキャラクタの音声を通知音として出力するものであり、誘導手段は、人間または仮想的なキャラクタの存在を示唆する表示(F1、F3)である、(付記3)に記載の電子決済システム。
【0134】
(付記5)
誘導手段は、特定の決済装置において利用者が電子決済処理を行うための動作をする箇所の周囲において、特定の発光色で発光するものである、(付記2)に記載の電子決済システム。
【0135】
(付記6)
特定の決済装置は、電子決済処理時に、人間または仮想的なキャラクタの音声を通知音として出力するものであり、誘導手段は、人間または仮想的なキャラクタの存在を示唆する発光色で発光するものである、(付記5)に記載の電子決済システム。
【0136】
(付記7)
複数の決済装置は、電子決済処理時の通知音を変更可能に構成されており(111)、複数の決済装置のうち、いずれを特定の決済装置とするかを決定した結果に応答して、決定された決済装置が通知音を変更し(S203)、誘導手段は、当該決定された特定の決済装置の利用を促すためになされる表示である、(付記2)から(付記5)のいずれかに記載の電子決済システム。
【0137】
(付記8)
電子決済システムにおいて、複数の決済装置の電子決済処理の実行の履歴に応じて(111、123)、または、各複数の決済装置のバッテリ残量に応じて(111、124)、いずれを特定の決済装置とするか決定する、(付記7)に記載の電子決済システム。
【0138】
(付記9)
複数の決済装置は、利用者のユーザ端末からデータの読み取りを行うことにより電子決済処理を実行するものであり(112)、ユーザ端末は、特定の施設の複数の決済装置のうち、いずれが特定の決済装置であるかを利用者に通知する、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載の電子決済システム。
【0139】
(付記10)
特定の施設は、旅客を運送する交通機関の施設であり、決済装置は、自動改札機に搭載されるものであり、各複数の決済装置は、特定の時間帯において、1または複数の特定の決済装置に異なる通知音を出力させる、(付記1)から(付記9)のいずれかに記載の電子決済システム。
【0140】
(付記11)
各複数の決済装置は、所定のイベントの発生時刻に基づいて、特定の時間帯を設定する、(付記10)に記載の電子決済システム。
【0141】
(付記12)
電子決済システムにおいて、決済装置における通知音の種類と、当該決済装置において電子決済処理が行われた実績を記憶部に記憶するように構成されており、実績に基づいて、複数の決済装置それぞれの通知音を設定する、(付記1)から(付記11)のいずれかに記載の電子決済システム。
【符号の説明】
【0142】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信IF、15 入出力IF、110 制御部、111 通知音設定部、112 決済実行部、113 出力制御部、120 記憶部、121 通知音データ、122 時間帯データ、123 利用実績データ、124 バッテリ残量データ、125 位置データ、130 通信部、140 入出力部、141 スピーカ、142 発光デバイス、143 ディスプレイ、144 リーダ/ライタ、100 決済装置、200 決済サーバ