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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ステント送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20241114BHJP
【FI】
A61F2/966
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023205821
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2021547267の分割
【原出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2024028864
(43)【公開日】2024-03-05
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】62/805,133
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ローガン、ブレイディ スコット
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェイソン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴードロー、ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アンドリュー ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】フォート、イアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘビッグ、タイラー ローン
(72)【発明者】
【氏名】ヘッテル、ローワン オランド
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクソン、ライアン デール
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-089942(JP,A)
【文献】特開2017-064520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95 - 2/97
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント送達システムであって、
該ステント送達システムは、ステントが内部に配置されるように構成されたステント受け入れ領域を有するインナ部材を備え、
該ステント送達システムは、前記インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースを備え、前記留置用シースは近位端領域を有し、
該ステント送達システムは、前記留置用シースの前記近位端領域に結合されたハンドルを備え、
該ステント送達システムは、前記ハンドルの内部に形成されたチャネルを備え、前記チャネルは、前記ハンドルの遠位端領域から前記ハンドルの近位端領域に連続して延び、
前記チャネルは、前記ハンドルの近位端領域に近接して配置された湾曲領域を含み、前記ハンドルの近位端領域では当該チャネルが湾曲して遠位に延び、
該ステント送達システムは、前記チャネルに沿って延びるラックを備え、前記ラックは、前記留置用シースの前記近位端領域に結合された第1の端部と、前記第1の端部には取り付けられていない第2の端部とを有し、
前記留置用シースは、前記インナ部材に対して自由に相対回転可能である、
ステント送達システム。
【請求項2】
前記留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトをさらに備える、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項3】
前記留置用シースは、前記アウタシャフトに対して自由に相対回転可能である、請求項2に記載のステント送達システム。
【請求項4】
前記ラックは、当該ラックに前記留置用シースを結合するように設計されたカップリング部材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のステント送達システム。
【請求項5】
前記カップリング部材は、環状開口部を含む、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項6】
前記カップリング部材は、途切れた環状開口部を含む、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項7】
前記留置用シースの前記近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記ラックに対する前記留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項8】
前記ラックは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材とを含み、前記第1のカップリング部材及び前記第2のカップリング部材は、前記ラックに前記留置用シースを結合するように設計されるとともに、前記留置用シースの前記近位端領域は、前記ラックに対し、前記第1のカップリング部材及び前記第2のカップリング部材に隣接して配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のステント送達システム。
【請求項9】
前記留置用シースの前記近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記ラックに対する前記留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される、請求項8に記載のステント送達システム。
【請求項10】
前記スリーブは、前記第1のカップリング部材と前記第2のカップリング部材との間に配置される、請求項9に記載のステント送達システム。
【請求項11】
前記ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、前記歯部は、前記ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される、請求項1~10のいずれか一項に記載のステント送達システム。
【請求項12】
前記ラックは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように設計されており、前記歯部は、前記ラックが前記第1の構成にあるときに前記ギヤの上部領域と噛合する、請求項11に記載のステント送達システム。
【請求項13】
前記歯部は、前記ラックが前記第2の構成にあるときに前記ギヤの下部領域と噛合する、請求項12に記載のステント送達システム。
【請求項14】
前記ラックの少なくとも任意のセクションは、前記ラックが前記第2の構成にあるときに前記湾曲領域に沿って延びる、請求項12又は13に記載のステント送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置及び医療装置の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、他の構造体と接続された管状部材を含む長尺状の体内医療装置、並びにこのような装置の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば、血管内用途の多種多様な体内医療装置が開発されてきた。これら装置のいくつかとしては、ガイドワイヤ、カテーテルなどが挙げられる。これら装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。既知の医療装置及び方法はそれぞれ、特定の利点及び欠点を有する。代替的な医療装置、並びに医療装置の代替的な製造方法及び使用方法を提供することに対する継続的なニーズがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、医療装置の設計、材料、製造方法、及び使用の代替形態を提供する。ステント送達システムが開示される。ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースであって、近位端領域を有する、留置用シースと、留置用シースの近位端領域に結合されたラックと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を備え、留置用シースは、インナ部材、アウタシャフト、又はインナ部材とアウタシャフトの両方に対して相対回転可能である。
【0004】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、当該ラックに留置用シースを結合するように設計されたカップリング部材を含む。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、カップリング部材は、環状開口部を含む。
【0005】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、カップリング部材は、途切れた環状開口部を含む。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースの近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに含み、スリーブは、ラックに対する留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される。
【0006】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材とを含み、第1のカップリング部材及び第2のカップリング部材は、ラックに留置用シースを結合するように設計されるとともに、留置用シースの近位端領域は、ラックに対し、第1のカップリング部材及び第2のカップリング部材に隣接して配置される。
【0007】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースの近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、スリーブは、ラックに対する留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される。
【0008】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、スリーブは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材との間に配置される。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックの少なくとも一部分は、留置用シースに結合されたハンドル内に配置される。
【0009】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、歯部は、ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように設計されており、歯部は、ラックが第1の構成にあるときにギヤの上部領域と噛合する。
【0010】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、歯部は、ラックが第2の構成にあるときにギヤの下部領域と噛合する。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは、湾曲領域を備えたラック軌道を含み、ラックの少なくとも任意のセクションは、ラックが第2の構成にあるときに湾曲領域に沿って延びる。
【0011】
ステント送達システムが開示される。ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースと、回転可能なリンク機構によって留置用シースの近位端領域に結合された可撓性ラックと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を備える。
【0012】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、回転可能なリンク機構は、環状開口部を含む。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、回転可能なリンク機構は、途切れた環状開口部を含む。
【0013】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、回転可能なリンク機構は、留置用シースの近位端領域に沿って配置されたスリーブを含み、スリーブは、可撓性ラックに対する留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される。
【0014】
ステント送達システムが開示される。ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースと、留置用シースの近位端領域に結合された可撓性ラックであって、第1のカップリング部材及び第2のカップリング部材を含む、可撓性ラックと、留置用シースに沿って配置され、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材との間に位置付けられたスリーブと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を含む。
【0015】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、第1のカップリング部材、第2のカップリング部材、又は第1のカップリング部材と第2のカップリング部材の両方は、環状開口部を含む。
【0016】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、第1のカップリング部材、第2のカップリング部材、又は第1のカップリング部材と第2のカップリング部材の両方は、途切れた環状開口部を含む。
【0017】
ステント送達システムが開示される。ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースであって、近位端領域を有する、留置用シースと、留置用シースに結合されたハンドルと、留置用シースの近位端領域に結合されたラックであって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように設計されており、ラックが第1の構成にあるときに留置用シースはステントを覆っており、ラックが第2の構成にあるときに留置用シースはステントを留置するために近位に引き込まれ、ラックが第1の構成又は第2の構成のいずれかにあるときにラックの近位端領域はハンドル内に配置される、ラックと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を含む。
【0018】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、ラックに留置用シースを結合するように設計されたカップリング部材を含む。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、カップリング部材は、環状開口部を含む。
【0019】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、カップリング部材は、途切れた環状開口部を含む。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースの近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、スリーブは、ラックに対する留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される。
【0020】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材とを含み、第1のカップリング部材及び第2のカップリング部材は、ラックに留置用シースを結合するように設計され、留置用シースの近位端領域は、ラックに対し、第1のカップリング部材及び第2のカップリング部材に隣接して配置される。
【0021】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースの近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに含み、スリーブは、ラックに対する留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される。
【0022】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、スリーブは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材との間に配置される。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、歯部は、ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される。
【0023】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、歯部は、ラックが第1の構成にあるときにギヤの上部領域と噛合する。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、歯部は、ラックが第2の構成にあるときにギヤの下部領域と噛合する。
【0024】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは、湾曲領域を備えたラック軌道を含み、ラックの少なくとも任意のセクションは、ラックが第2の構成にあるときに湾曲領域に沿って延びる。
【0025】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースは、インナ部材、アウタシャフト、又はインナ部材とアウタシャフトの両方に対して相対回転可能である。
ステント送達システムが開示される。ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースであって、近位端領域を有する、留置用シースと、留置用シースに結合されたハンドルであって、湾曲領域を備えたラック軌道を有するハンドルと、留置用シースの近位端領域に結合された可撓性ラックであって、ラック軌道に沿って移動するように設計される、可撓性ラックと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を備える。
【0026】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、留置用シースは、インナ部材、アウタシャフト、又はインナ部材とアウタシャフトの両方に対して相対回転可能である。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、可撓性ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、歯部は、ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される。
【0027】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、可撓性ラックは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように設計されており、歯部は、可撓性ラックが第1の構成にあるときにギヤの上部領域と噛合する。
【0028】
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、歯部は、可撓性ラックが第2の構成にあるときにギヤの下部領域と噛合する。
上記実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、可撓性ラックの少なくとも任意のセクションは、可撓性ラックが第2の構成にあるときに湾曲領域に沿って延びる。
【0029】
ステントを留置する方法が開示される。当該方法は、体腔に沿ってステント送達システムを配置することであって、ステント送達システムは、ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、ステント受け入れ領域に沿って配置されたステントと、インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースであって、近位端領域を有する、留置用シースと、留置用シースに結合されたハンドルであって、湾曲領域を備えたラック軌道を有する、ハンドルと、留置用シースの近位端領域に結合された可撓性ラックであって、可撓性ラックは、ラック軌道に沿って移動するように設計されており、可撓性ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、歯部は、ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される、可撓性ラックと、留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、を含む、体腔に沿ってステント送達システムを配置することと、留置用シースを近位に引き込むことであって、留置用シースを近位に引き込むことは、歯部がギヤの上部分と係合する第1の構成から歯部がギヤの下部分と係合する第2の構成に可撓性ラックを移行させることを含む、留置用シースを近位に引き込むことと、を備える。
【0030】
いくつかの実施形態の上記発明の概要は、本発明の開示されるそれぞれの実施形態又はあらゆる実装形態を記述することを目的とするものではない。以下の図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0031】
本発明は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明を考慮することでより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】例示的なステント送達システムの側面図。
図2】例示的なステント送達システムの一部分の部分断面図。
図3A】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図3B】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図3C】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図3D】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図4】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図5】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図6】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図7】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図8】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図9】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図10】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
図11】例示的なステント送達システムの一部分を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、様々な変更形態及び代替形態に適用可能であるが、本発明の詳細は、図面に例として示されており、詳述される。しかしながら、記載されている特定の実施形態に本発明を限定する意図はないことは理解すべきである。それどころか、本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更形態、均等物、及び代替物を包含する意図がある。
【0034】
以下に定義される用語については、異なる定義が特許請求の範囲又は本明細書の別の場所に記載されていない限りは、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書中の全ての数値は、明示的に示されているか否かを問わず、「約(about)」という用語によって修飾されるものと考えられる。「約」という用語は、一般に、当業者であれば、記述された値に等しい(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含み得る。
【0035】
端点による数値範囲の記述には、その範囲内の全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、内容に別段の明確な指示のない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、「又は」という用語は、一般に、内容に別段の明確な指示のない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0036】
本明細書において「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などに言及する場合、記載される実施形態が、1つ以上の特定の特徴、構造及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記述は、全ての実施形態が特定の特徴、構造及び/又は特性を含むことを必ずしも意味するものではない。加えて、特定の特徴、構造及び/又は特性が一実施形態との関連で記載されている場合、そのような特徴、構造及び/又は特性はまた、その反対が明確に述べられていない限りは、明示的に記載されているか否かを問わず、他の実施形態との関連で使用され得ると理解すべきである。
【0037】
以下の詳細な説明は、異なる図面内の類似の要素に同じ番号が付される図面を参照して読むべきである。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0038】
図1は、例示的なステント送達システム10を示す。システム10は、長尺状のシャフト12と、シャフト12に結合されたハンドル14とを含み得る。シャフト12は、インナシャフト、すなわちライナー(図1には不図示、図2に見ることができる)と、留置用シース16と、アウタシャフト18とを含み得る。概して、システム10は、患者の体腔内の関心領域にステント、グラフト、又は体内人工食道(endoprosthesis)などを送達するために使用され得る。体腔は、心臓(例えば、心臓血管内若しくはその近く)の近く、末梢血管内、神経血管内、又は任意の他の適切な位置にある血管であり得る。ステントの留置は、留置用シース16の近位への引き込みを含み得る。留置用シース16は、ステントの送達中にステント上を覆うか又はそうでなければステントをカバーするように設計される。留置用シース16の引き込みには、一般にハンドル14に配置される作動部材20の作動を含み得る。図1に示される例では、作動部材20は、留置用シース16の近位への引き込みを実施するために臨床医が回転させ得るサムホイールである。多くの他の作動部材が考えられる。
【0039】
システム10の他の特徴のいくつかが図2に示される。例えば、システム10は、インナライナ又はインナ部材22を含み得る。インナ部材22は、ガイドワイヤ内腔を画定してもよく、ステント受け入れ領域24を含み得る。ステント受け入れ領域24の周りにステント28が配置され得る。少なくともいくつかの例では、ステント28は、自己拡張型ステントであり、ニッケルチタン合金などの適切な材料から作製され得る。遠位先端26は、インナ部材22の先端部に取り付けられ得るか又はそうでなければ配置され得る。遠位先端26は、システム10に概ね非外傷性の先端部を与える丸みのある又は滑らかな形状を一般に有し得る。バンパシャフト又はパンパ部材30がインナ部材22の周囲に配置され得る。バンパシャフト30は、バンパ領域32を含み得る。概して、バンパ領域32は、ステント28の留置中に近位バンパとして機能し得る。図2にはまた、留置用シース16が、拡大した遠位セクション34を含み得ることも示される。いくつかの場合では、システム10は、米国特許第8,784,468号明細書、同第9,084,692号明細書、及び同第9,220,619号明細書に開示されているシステムの特徴を含み得る。これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
ステント送達システムは、通常、ガイドワイヤと共に使用される(例えば、システムは、通常、ガイドワイヤ上で進められる)。臨床医が、システムに対する(例えば、ハンドルに対する)ガイドワイヤの位置を維持することが望ましい場合がある。また、ガイドワイヤが例えばハンドル近傍の位置でキンクし得る可能性を低下させることが望ましい場合がある。本明細書に開示されるシステムは、臨床医がハンドルに対するガイドワイヤの位置を維持することを可能にするように設計されており、ガイドワイヤがハンドルの近傍などでキンクする可能性が低下する。他の特徴も考えられる。
【0041】
図3A図3Dに示されるように、留置用シース16は、可撓性ラック36に結合され得る。可撓性ラック36は、複数の歯を含む歯部38を含み得る。名称が示唆するように、可撓性ラック36は、可撓性の/屈曲性の材料から形成され得るとともに、概して、可撓性ラック36は、ラックガイド40内を移動するように設計され得る。ラックガイド40は、その内部に形成されたラック軌道又は溝42を有する。概して、ラックガイド及び/又はラック軌道42は、可撓性ラック36がハンドル14内に収容されている間に(例えば、可撓性ラック36が初期のすなわち第1の構成にある場合、又はステント28を留置するために留置用シース16が引き込まれている場合の構成を含む他の構成にある場合、のいずれの場合においても、ハンドル14の近位端を出ないような手法で)、可撓性ラック36を比較的大きく距離移動させる/動かすことを可能にする。これにより、システム10を通って延びる(例えば、及びハンドル14の近位端から出る)ガイドワイヤへのより良好なアクセスを提供することができるとともに、臨床医がシステム10に対するガイドワイヤの位置を維持すること、及びガイドワイヤのキンクを低減/回避することを可能にし得る。
【0042】
可撓性ラック36の動きは、留置用シース16の動き(例えば、これには、留置用シース16の近位への引き込み及び/又はステント28の留置を含み得る)を生じさせ得る。可撓性ラック36(及び留置用シース16)の位置を移動させるために、可撓性ラック36の歯部38は、作動部材20に結合されたギヤ44に係合し得る。そのようにして、作動部材20の回転は、可撓性ラック36の近位への引き込み及び留置用シース16の近位への引き込みを生じさせ得る。
【0043】
可撓性ラック36は、複数の位置/構成間で移行するように設計され得る。可撓性ラック36が図3Aに示すような第1の構成すなわち初期構成にあるとき、歯部38は、ギヤ44の上部又は頂部部分と係合し得る。作動部材20の回転により、図3Bに示すように可撓性ラック36が近位に引き込まれるか、又は「引っ張られ」、留置用シース16の近位への引き込みを生じさせ得る。これにより、可撓性ラック36がラック軌道42(及び/又はラックガイド40)の湾曲領域41内を通って延びることになり得る。いくつかの場合では、このような配置は、中間又は第2の配置/構成であると解釈され得る。
【0044】
可撓性ラック36がさらに引き込まれると、図3Cに示すように、歯部38はギヤ44の下部分に接触し得る。可撓性ラック36の歯部38は、ギヤ44の上部分から係脱することができ、図3Dに示されるようにギヤ44の下部分が可撓性ラック36を「押し」ながら留置用シース16を引き込み続ける構成に移行することができる。いくつかの場合では、このような機構は、留置構成又は第3の配置/構成であると解釈され得る。
【0045】
図4は、ラックガイド40の斜視図である。同図では、湾曲領域41及び移行領域46と共にラック軌道42が示される。ラックガイド40は、ハンドル14内にラック軌道42を設けるためにハンドルハウジング内に挿入され得る別個の構造体であり得る。代替的に、ラックガイド40及び/又はラック軌道42は、ハンドル14内に一体形成され得る。
【0046】
いくつかの場合では、解剖学的構造の湾曲部/屈曲部におけるシステム10の屈曲は、シャフト12の1つ以上の構成要素における力の増大の原因となり得る。例えば、蛇行した解剖学的構造を通ってシステム10が曲げられている間に、留置用シース16にねじり力がかけられる可能性がある。この力の増大は、留置用シース16を引き込むために必要な力の量を増加させる、及び/又は留置用シース16の引張強度を減少させる、などの可能性がある。システム10は、力の増大の低減、留置用シース16を近位に引き込むために必要な力の量の低減、留置用シース16の引張強度の増加などに役立ついくつかの追加の特徴を含むように設計される。
【0047】
少なくともいくつかの例では、留置用シース16は、図5図6に示すように、カップリング部材48によって可撓性ラック36に結合されている。概して、カップリング部材48は、回転を可能とするリンク機構として記述され得る。該リンク機構は、留置用シース16がインナ部材22、アウタシャフト18、又はインナ部材とアウタシャフトの両方に対して相対回転可能であるように設計される。図5に示すように、カップリング部材48は、第1のカップリング部材若しくは第1の部分48aと、第2のカップリング部材若しくは第1の部分48bとを含む。カップリング部材48の形態(並びに/又はカップリング部材48の第1の部分48a及び第2の部分48bの形態)は様々であり得る。いくつかの場合では、第1の部分48aは、第1の開口部又は通路50aを含み得る。第2の部分48bは、第2の開口部又は通路50bを含み得る。開口部50a、50bは、環状又はリング状の形状であると理解され得る。これらの例のいくつか及び他の例では、開口部50a、50bは、部分的に環状、すなわち途切れているものと理解され得る。本開示の目的では、途切れた環状開口部又はセクションは、開口部又は開口部分と理解され得る。該開口部又は開口部分は、不完全な若しくは部分的に開いたリングを形成する表面又は構造体によって画定される。途切れた環状形状のいくつかの例としては、「C字」形、「U字」形などが挙げられ得る。加えて、環状形状又は途切れた環状形状であると記述されているが、このような含意は、形状が、円(又は途切れた円)に似ていることを必ずしも意味するものではない。なぜなら、正確な円形ではない、湾曲又は屈曲を持つ形状は、本明細書に開示される環状機構/形状を有するものと理解され得るからである。図5図6に示される例では、開口部50a、50bは、部分48a、48bの壁内の途切れ部又は開口部が互いに反対に向けられている(例えば、部分48a、48bの壁内の途切れ部又は開口部は反対側に向けられている)途切れた環状開口部として記述され得る。
【0048】
図6に示すように、留置用シース16はカップリング部材48に結合され得る。例えば、留置用シース16は、第1の開口部50a及び第2の開口部50bを通って延び得る。いくつかの場合では、留置用シース16がカップリング部材48(並びに/又は可撓性ラック36及び/若しくはシステム10の他の構成要素)に対して回転することを可能にしつつ、留置用シースがカップリング部材48に対して遠位に移動することを実質的に防止する(例えば、スリーブ52は、留置用シース16の遠位への動きを制限し得る)ために、スリーブ52が留置用シース16に結合され得る。この例では、スリーブ52は、第1の部分48aと第2の部分48bとの間に配置される。
【0049】
カップリング部材48の形態は様々であり得る。図7図11は、カップリング部材48に形状及び機能が類似し得るいくつかの代替的なカップリング部材を示す。例えば、図7は、カップリング部材148を有する可撓性ラック136を示す。この例では、カップリング部材148は、第1の開口部150a及び第2の開口部150bを含む。第1の開口部150aは、環状開口部(例えば、完全なリングを形成している)であってもよく、第2の開口部150bは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であり得る。留置用シース16は、開口部150a、150bを通して留置用シース16を延ばすことによる、及び留置用シース16上に(例えばスリーブ52などの)スリーブを配置することによるなどの適切な手法でカップリング部材148に結合され得る。
【0050】
図8は、カップリング部材248を有する可撓性ラック236を示す。カップリング部材248は、第1の部分248a及び第2の部分248bを含む。第1の開口部250aは、第1の部分248aに形成され得る。第2の開口部250bは、第2の部分248bに形成され得る。この例では、第1の開口部250aは、環状開口部(例えば、完全なリングを形成している)であり得るとともに、第2の開口部250bは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であり得る。留置用シース16は、開口部250a、250bを通して留置用シース16を延ばすことによる、及び留置用シース16上に(例えばスリーブ52などの)スリーブを配置することによるなどの適切な手法でカップリング部材248に結合され得る。
【0051】
図9は、カップリング部材348を有する可撓性ラック336を示す。カップリング部材348は、第1の部分348a及び第2の部分348bを含む。第1の開口部350aは、第1の部分348aに形成され得る。第2の開口部350bは、第2の部分348bに形成され得る。この例では、第1の開口部350aは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であってもよく、第2の開口部350bは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であり得る。この例では、開口部350a、350bの途切れ部は、同じ側に向けられている。留置用シース16は、開口部350a、350bを通して留置用シース16を延ばすことによる、及び留置用シース16上に(例えばスリーブ52などの)スリーブを配置することによるなどの適切な手法でカップリング部材348に結合され得る。
【0052】
図10は、カップリング部材448を有する可撓性ラック436を示す。カップリング部材448は、第1の部分448a及び第2の部分448bを含む。第1の開口部450aは、第1の部分448aに形成され得る。第2の開口部450bは、第2の部分448bに形成され得る。この例では、第1の開口部450aは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であってもよく、第2の開口部450bは、途切れた環状開口部(例えば、途切れたリングを形成している)であり得る。この例では、開口部450a、450bの途切れ部は、同じ側に向けられている(例えば、「上方」に向けられている)。留置用シース16は、開口部450a、450bを通して留置用シース16を延ばすことによる、及び留置用シース16上に(例えばスリーブ52などの)スリーブを配置することによるなどの適切な手法でカップリング部材448に結合され得る。
【0053】
図11は、カップリング部材548を有する可撓性ラック536を示す。第1の開口部550が、カップリング部材548に形成され得る。この例では、開口部450aは、環状開口部(例えば、完全なリングを形成している)であり得る。留置用シース16は、開口部550を通して留置用シース16を延ばすことによる、及び留置用シース16上に(例えばスリーブ52などの)スリーブを配置することによるなどの適切な手法でカップリング部材548に結合され得る。
【0054】
システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の様々な構成要素に使用され得る材料には、一般に医療装置に関連するものを含み得る。簡略化の目的で、以下の説明ではシャフト12について述べる。しかしながら、これは、本明細書に記述される装置及び方法を限定することを意図するものではなく、記述は、本明細書に開示される他の構成要素、装置、又はシステムに適用され得る。
【0055】
シャフト12は、金属、金属合金、ポリマー(このいくつかの例は以下で開示される)、金属ポリマー複合材、セラミックス、これらの組み合わせなど、又は他の好適な材料から作製され得る。好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル若しくはエステル系共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフアトケム(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、又はこれらの混合物、組み合わせ、共重合体、ポリマー/金属複合材などが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、シースには、液晶ポリマー(LCP)がブレンドされ得る。例えば、この混合物は、最大約6パーセントのLCPを含有することができる。
【0056】
好適な金属及び金属合金のいくつかの例としては、304V、304L、及び316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケルチタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625などのUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400などのようなUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイB2(ALLOY B2)(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金などのような他のニッケル合金;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)などのようなUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼;チタン;これらの組み合わせなど、又は任意の他の好適な材料が挙げられる。
【0057】
少なくともいくつかの実施形態では、シャフト12の一部分又は全体にはまた、放射線不透過性材料が添加されてもよい、放射線不透過性材料で作製されてもよいか、又はそうでなければ、放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料とは、医療処置時に、蛍光透視画面又は別の撮像技術で比較的高輝度の画像を生成することが可能な材料であると理解されている。この比較的高輝度の画像は、シャフト12の使用者がその位置を決定する際に役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が含まれるポリマー材料などが挙げられ得るがこれらに限定されない。加えて、同じ結果を達成するために、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルもまた、シャフト12の設計に組み込まれ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性がシャフト12に付与される。例えば、シャフト12又はその一部分は、画像を実質的に歪ませず、且つ著しいアーティファクト(例えば、画像内のギャップ)を生成しない材料で作製され得る。例えば、ある磁性材料は、MRI画像内にアーティファクトを生成する可能性があるため適切でない場合がある。シャフト12又はその一部分はまた、MRIマシンが画像化することができる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)などのようなUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニチノールなど、及びその他が挙げられる。
【0059】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、
前記ステント受け入れ領域に沿って配置された自己拡張型ステントと、
前記インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースであって、近位端領域を有する、留置用シースと、
前記留置用シースの前記近位端領域に結合されたラックと、
前記留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、
を備え、
前記留置用シースは、前記インナ部材、前記アウタシャフト、又は前記インナ部材と前記アウタシャフトの両方に対して自由に相対回転可能であり、
前記ラックは、当該ラックに前記留置用シースを結合するように設計されたカップリング部材を含む、
ステント送達システム。
[項目2]
前記カップリング部材は、環状開口部を含む、項目1に記載のステント送達システム。
[項目3]
前記カップリング部材は、途切れた環状開口部を含む、項目1に記載のステント送達システム。
[項目4]
前記留置用シースの前記近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記ラックに対する前記留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される、項目1~3のいずれか一項に記載のステント送達システム。
[項目5]
前記ラックは、第1のカップリング部材と第2のカップリング部材とを含み、前記第1のカップリング部材及び前記第2のカップリング部材は、前記ラックに前記留置用シースを結合するように設計されるとともに、前記留置用シースの前記近位端領域は、前記ラックに対し、前記第1のカップリング部材及び前記第2のカップリング部材に隣接して配置される、項目1~4のいずれか一項に記載のステント送達システム。
[項目6]
前記留置用シースの前記近位端領域に沿って配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記ラックに対する前記留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される、項目5に記載のステント送達システム。
[項目7]
前記スリーブは、前記第1のカップリング部材と前記第2のカップリング部材との間に配置される、項目6に記載のステント送達システム。
[項目8]
前記ラックの少なくとも一部分は、前記留置用シースに結合されたハンドル内に配置される、項目1~7のいずれか一項に記載のステント送達システム。
[項目9]
前記ラックは、複数の歯を有する歯部を含み、前記歯部は、前記ハンドル内に配置されたギヤに噛合するように設計される、項目8に記載のステント送達システム。
[項目10]
前記ラックは、第1の構成と第2の構成との間で移行するように設計されており、前記歯部は、前記ラックが前記第1の構成にあるときに前記ギヤの上部領域と噛合する、項目9に記載のステント送達システム。
[項目11]
前記歯部は、前記ラックが前記第2の構成にあるときに前記ギヤの下部領域と噛合する、項目10に記載のステント送達システム。
[項目12]
前記ハンドルは、湾曲領域を備えたラック軌道を含み、前記ラックの少なくとも任意のセクションは、前記ラックが前記第2の構成にあるときに前記湾曲領域に沿って延びる、項目10又は11に記載のステント送達システム。
[項目13]
ステント受け入れ領域を有するインナ部材と、
前記ステント受け入れ領域に沿って配置された自己拡張型ステントと、
前記インナ部材に対して相対的に軸方向に摺動可能な留置用シースと、
カップリング部材によって前記留置用シースの近位端領域に結合された可撓性ラックと、
前記留置用シースの少なくとも一部分に沿って配置されたアウタシャフトと、
を備え、
前記カップリング部材はリンク機構を構成し、前記リンク機構によって、前記留置用シースは、前記インナ部材、前記アウタシャフト、又は前記インナ部材と前記アウタシャフトの両方に対して自由に相対回転可能である、
ステント送達システム。
[項目14]
前記リンク機構は、前記留置用シースの前記近位端領域に沿って配置されたスリーブを含み、前記スリーブは、前記可撓性ラックに対する前記留置用シースの遠位への相対的な動きを制限するように設計される、項目13に記載のステント送達システム。
本発明は、多くの点において、単なる例示であることを理解すべきである。本発明の範囲を超えることなく、細部、特に、形状、サイズ、及び工程の配置に関して変更を施すことはできる。これには、適切な範囲内において、使用されている1つの例示的実施形態の特徴のいずれかを他の実施形態で使用することを含み得る。当然ながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11