(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】イオン電流ドループ補償
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241114BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20241114BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20241114BHJP
H03K 3/017 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05H1/46 R
C23C16/458
C23C16/505
H03K3/017
(21)【出願番号】P 2023520043
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021053436
(87)【国際公開番号】W WO2022072947
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520064676
【氏名又は名称】イーグル ハーバー テクノロジーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】EAGLE HARBOR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】リストン,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ジエンバ,ティモシー
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0144030(US,A1)
【文献】特表2020-501351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
C23C 16/458
C23C 16/505
H03K 3/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のソリッドステートスイッチと、
変圧器であって、
変圧器コアと、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた一次巻線であって、前記1つ以上のソリッドステートスイッチと結合された
前記一次巻線であり、第1のリード及び第2のリードを有する前記一次巻線と、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた二次巻線と、
を含む前記変圧器と、
前記1つ以上のスイッチと結合されたスナバ回路と、
前記一次巻線の前記第1のリードと電気的に結合されたドループ補償回路と、
前記変圧器と結合されて、あるパルス繰り返し周波数と、あるパルス幅と、1kVより大きいピーク電圧と、連続する高電圧パルス間の、負の勾配を有する電圧部分と、を有する高電圧パルスを発生させる出力と、
を含むナノ秒パルサ。
【請求項2】
前記電圧部分は、連続するパルス間の期間の50%超を含む、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項3】
前記電圧部分は、あるパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続くパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧である、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項4】
前記電圧部分は、あるパルスの終了点と、続くパルスの開始点との間の電圧である、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項5】
前記高電圧パルスは非正弦波パルスを含む、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項6】
前記負の勾配の大きさは100,000kV/sより大きい、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項7】
前記スナバ回路は、
約7.5mΩ~1.25Ωの抵抗を有するスナバ抵抗器と、
約2μF~35μFのキャパシタンスを有するスナバキャパシタと、
を含む、
請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項8】
前記パルス幅は、約100~500nsの継続時間を有する、請求項1に記載のナノ秒パルサ。
【請求項9】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと結合されて、前記プラズマチャンバに高電圧パルスを導入する、請求項1に記載のナノ秒パルサと、
を含む半導体処理システム。
【請求項10】
前記プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、1V/nsより小さく変化する、請求項9に記載の半導体処理システム。
【請求項11】
前記プラズマチャンバは、約20nFより小さいキャパシタンスを有するチャックを含む、請求項9に記載の半導体処理システム。
【請求項12】
前記負の勾配は、大きさが、前記プラズマチャンバ内で発生するイオン電流と前記プラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号が前記比の反対である、請求項9に記載の半導体処理システム。
【請求項13】
前記負の勾配の大きさは、イオン電流に起因する、前記プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺する、請求項9に記載の半導体処理システム。
【請求項14】
DC電源と、
変圧器であって、
変圧器コアと、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた一次巻線であって、第1のリード及び第2のリードを有する前記一次巻線と、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた二次巻線と、
を含む前記変圧器と、
前記一次巻線の前記第1のリードと電気的に結合されたドループ補償回路と、
前記ドループ補償回路及び前記DC電源と電気的に接続された第1のスイッチと、
前記一次巻線の前記第2のリードと前記DC電源とに電気的に接続された第2のスイッチであって、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは異なる時間間隔で開閉される、前記第2のスイッチと、
前記変圧器の前記二次巻線と電気的に結合されたパルシング出力であって、前記パルシング出力は高電圧バイポーラパルスを出力し、前記高電圧バイポーラパルスは、ピークツーピーク電圧が1kVより大きく、連続する高電圧バイポーラパルス間の電圧部分が負の勾配を有する、前記パルシング出力と、
を含むパルス発生器。
【請求項15】
前記パルシング出力は、パルス周波数が1kHzより高いバイポーラパルスを出力する、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項16】
前記電圧部分は、連続する高電圧バイポーラパルス間の期間の50%超を含む、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項17】
前記電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続く高電圧バイポーラパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧である、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項18】
前記電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの終了点と、続く高電圧バイポーラパルスの開始点との間の電圧である、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項19】
前記負の勾配の大きさは100,000kV/sより大きい、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項20】
前記ドループ補償回路は、電流が前記第1のスイッチ及び前記変圧器を通って流れることを可能にするようにバイアスされたドループダイオードを含む、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項21】
前記ドループ補償回路は、直列に配列されて前記ドループダイオードの両端に電気的に結合された第1のインダクタ及び第1の抵抗器を含む、請求項20に記載のパルス発生器。
【請求項22】
前記第1のインダクタは、インダクタンスが約100μHより小さい、請求項21に記載のパルス発生器。
【請求項23】
前記第1の抵抗器は、抵抗が約5Ωより小さい、請求項21に記載のパルス発生器。
【請求項24】
前記ドループ補償回路は更に、前記ドループダイオードと前記一次巻線の前記第1のリードとに電気的に結合された第2のインダクタを含む、請求項21に記載のパルス発生器。
【請求項25】
前記第2のインダクタは、インダクタンスが約50nHより小さい、請求項24に記載のパルス発生器。
【請求項26】
更に、直列に配列された第3の抵抗器及び第3のインダクタを、前記第2のスイッチと前記一次巻線の前記第2のリードとの間に含む、請求項24に記載のパルス発生器。
【請求項27】
前記第3のインダクタは、インダクタンスが約35nHより小さい、請求項26に記載のパルス発生器。
【請求項28】
前記第3の抵抗器は、抵抗が約1Ωより小さい、請求項26に記載のパルス発生器。
【請求項29】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと結合されて、前記プラズマチャンバに高電圧パルスを導入する、請求項14に記載のパルス発生器と、
を含む半導体処理システム。
【請求項30】
前記プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、1V/nsより小さく変化する、請求項29に記載の半導体処理システム。
【請求項31】
前記プラズマチャンバは、約20nFより小さいキャパシタンスを有するチャックを含む、請求項29に記載の半導体処理システム。
【請求項32】
前記負の勾配は、大きさが、前記プラズマチャンバ内で発生するイオン電流と前記プラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号が前記比の反対である、請求項29に記載の半導体処理システム。
【請求項33】
前記負の勾配の大きさは、イオン電流に起因する、前記プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺する、請求項29に記載の半導体処理システム。
【請求項34】
DC電源と、
変圧器であって、
変圧器コアと、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた一次巻線であって、第1のリード及び第2のリードを有する前記一次巻線と、
前記変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた二次巻線と、
を含む前記変圧器と、
フルブリッジ構成で配列された複数のスイッチであって、前記複数のスイッチのうちの第1の部分が、ドループ補償回路及び前記DC電源に電気的に接続されており、前記複数のスイッチのうちの第2の部分が、前記一次巻線の前記第2のリードと前記DC電源とに電気的に接続されており、前記複数のスイッチのうちの前記第1の部分と前記複数のスイッチのうちの前記第2の部分は異なる時間間隔で開閉される、前記複数のスイッチと、
前記複数のスイッチのうちの前記第1の部分、及び/又は前記複数のスイッチのうちの前記第2の部分と、前記変圧器と、の間に電気的に配列された前記ドループ補償回路と、
前記変圧器の前記二次巻線と電気的に結合されたパルシング出力であって、前記パルシング出力は第1の高電圧バイポーラパルスを出力し、前記第1の高電圧バイポーラパルスは、ピークツーピーク電圧が約1kVより大きく、パルス周波数が1kHzより高く、連続する高電圧バイポーラパルス間の電圧部分が負の勾配を有する、前記パルシング出力と、
を含むパルス発生器。
【請求項35】
前記電圧部分は、連続する高電圧バイポーラパルス間の期間の50%超を含む、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項36】
前記電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続く高電圧バイポーラパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧である、請求項14に記載のパルス発生器。
【請求項37】
前記電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの終了点と、続く高電圧バイポーラパルスの開始点との間の電圧である、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項38】
前記負の勾配の大きさは100,000kV/sより大きい、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項39】
前記ドループ補償回路は、電流が
前記複数のスイッチのうちの前記第1の部分及び/又は前記複数のスイッチのうちの前記第2の部分及び前記変圧器を通って流れることを可能にするようにバイアスされたドループダイオードを含む、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項40】
前記パルシング出力はバイポーラパルスを出力し、前記バイポーラパルスは、ピークツーピーク電圧が前記第1の高電圧バイポーラパルスのピークツーピーク電圧より小さく、約500Vより大きく、パルス周波数が1kHzより大きい、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項41】
前記ドループ補償回路は、
前記複数のスイッチのうちの前記第1の部分から前記第1のリードに向けてバイアスされたダイオードと、
前記ダイオードと前記第1のリードとの間に配置された第1の抵抗器と、
第1のインダクタと、
前記第1のインダクタと直列に配置されて、前記ダイオードの両端と電気的に結合された第2の抵抗器と、
を含む、請求項34に記載のパルス発生器。
【請求項42】
前記第1のインダクタは、インダクタンスが約100μHより小さい、請求項41に記載のパルス発生器。
【請求項43】
前記第1の抵抗器は、抵抗が約5Ωより小さい、請求項41に記載のパルス発生器。
【請求項44】
前記第2の抵抗器は、抵抗が約5Ωより小さい、請求項41に記載のパルス発生器。
【請求項45】
更に、直列に配列された第2のインダクタ及び第3の抵抗器を、前記複数のスイッチのうちの前記第2の部分と前記第2のリードとの間に含む、請求項41に記載のパルス発生器。
【請求項46】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと結合されて、前記プラズマチャンバに高電圧パルスを導入する、請求項34に記載のパルス発生器と、
を含む半導体処理システム。
【請求項47】
前記プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、1V/nsより小さく変化する、請求項46に記載の半導体処理システム。
【請求項48】
前記プラズマチャンバは、約20nFより小さいキャパシタンスを有するチャックを含む、請求項46に記載の半導体処理システム。
【請求項49】
前記負の勾配は、大きさが、前記プラズマチャンバ内で発生するイオン電流と前記プラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号が前記比の反対である、請求項46に記載の半導体処理システム。
【請求項50】
前記負の勾配の大きさは、イオン電流に起因する、前記プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺する、請求項46に記載の半導体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって完全な形で組み込まれている、2020年10月2日に出願された米国特許仮出願第63/087,150号、件名「イオン電流ドループ補償(ION CURRENT DROOP COMPENSATION)」の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、参照によって完全な形で組み込まれている、2020年7月9日に出願された米国特許仮出願第63/049,907号、件名「イオン電流ドループ補償(ION CURRENT DROOP COMPENSATION)」の優先権を主張するものである、参照によって完全な形で組み込まれている、2021年7月9日に出願された米国特許非仮出願第17/372,398号、件名「イオン電流ドループ補償(ION CURRENT DROOP COMPENSATION)」の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
幾つかのプラズマシステムが少なくとも2つの電源を含む。一方の電源は、プラズマチャンバ内でプラズマを発生させることに使用可能な高周波波形を発生させる。他方の電源は、プラズマチャンバ内で荷電プラズマ粒子をウェーハに向けて加速させる高電圧パルスを発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ナノ秒パルサを開示する。ナノ秒パルサは、1つ以上のソリッドステートスイッチと、1つ以上のソリッドステートスイッチと結合された変圧器と、1つ以上のスイッチと結合されたスナバ回路と、変圧器と結合されて、あるパルス繰り返し周波数と、あるパルス幅と、1kVより大きいピーク電圧と、連続する高電圧パルス間の、負の勾配を有する電圧部分と、を有する高電圧パルスを発生させる出力と、を含んでよい。
【0006】
その電圧部分は、例えば、連続するパルス間の期間の50%超を含んでよい。その電圧部分は、あるパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続くパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧であってよい。その電圧部分は、あるパルスの終了点と、続くパルスの開始点との間の電圧であってよい。
【0007】
高電圧パルスは、例えば、非正弦波パルスであってよい。
【0008】
負の勾配の大きさは、例えば、100,000kV/sより大きくてよい。
【0009】
スナバ回路は、約7.5mΩ~1.25Ωの抵抗を有するスナバ抵抗器と、約2μF~35μFのキャパシタンスを有するスナバキャパシタと、を含んでよい。
【0010】
パルス幅は、約100~500nsの継続時間を有してよい。
【0011】
半導体処理システムも開示する。これは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバと結合されて、プラズマチャンバに高電圧パルスを導入するナノ秒パルサと、を含む。プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、例えば、1V/nsより小さく変化しうる。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。負の勾配の大きさは、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺しうる。
【0012】
プラズマチャンバは、例えば、約20nFより小さいキャパシタンスを有するチャックを含んでよい。
【0013】
パルス発生器を開示する。パルス発生器は、DC電源と、変圧器であって、変圧器コアと、変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた一次巻線であって、第1のリード及び第2のリードを有する一次巻線と、変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた二次巻線と、を含む変圧器と、を含んでよい。パルス発生器は又、一次巻線の第1のリードと電気的に結合されたドループ補償回路と、ドループ補償回路及びDC電源と電気的に接続された第1のスイッチと、一次巻線の第2のリードとDC電源とに電気的に接続された第2のスイッチであって、第1のスイッチと第2のスイッチは異なる時間間隔で開閉される、第2のスイッチと、変圧器の二次巻線と電気的に結合されたパルシング出力であって、パルシング出力は高電圧バイポーラパルスを出力し、高電圧バイポーラパルスは、ピークツーピーク電圧が1kVより大きく、連続する高電圧バイポーラパルス間の電圧部分が負の勾配を有する、パルシング出力と、を含んでよい。パルシング出力は、例えば、パルス周波数が1kHzより高いバイポーラパルスを出力してよい。
【0014】
その電圧部分は、例えば、連続する高電圧バイポーラパルス間の期間の50%超を含んでよい。その電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続く高電圧バイポーラパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧であってよい。その電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの終了点と、続く高電圧バイポーラパルスの開始点との間の電圧であってよい。
【0015】
負の勾配の大きさは、例えば、100,000kV/sより大きくてよい。
【0016】
ドループ補償回路は、例えば、電流が第1のスイッチ及び変圧器を通って流れることを可能にするようにバイアスされたドループダイオードを含んでよい。ドループ補償回路は、例えば、直列に配列されてドループダイオードの両端に電気的に結合された第1のインダクタ及び第1の抵抗器を含んでよい。第1のインダクタは、例えば、可変インダクタであってよい。第1のインダクタは、例えば、インダクタンスが約100μHより小さくてよい。第1の抵抗器は、例えば、抵抗が約5Ωより小さくてよい。ドループ回路は、例えば、ドループダイオードと一次巻線の第1のリードとに電気的に結合された第2のインダクタを含んでよい。第2のインダクタは、例えば、インダクタンスが約50nHより小さい。
【0017】
パルス発生器は、例えば、直列に配列された第3の抵抗器及び第3のインダクタを、第2のスイッチと一次巻線の第2のリードとの間に含んでよい。第3のインダクタは、インダクタンスが約35nHより小さくてよい。第3の抵抗器は、例えば、抵抗が約1Ωより小さくてよい。
【0018】
半導体処理システムも開示する。これは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバと結合されて、プラズマチャンバに高電圧パルスを導入するパルサ発生器と、を含む。
【0019】
プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、1V/nsより小さく変化しうる。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。負の勾配の大きさは、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺しうる。
【0020】
パルス発生器を開示する。パルス発生器は、DC電源と、変圧器であって、変圧器コアと、変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた一次巻線であって、第1のリード及び第2のリードを有する一次巻線と、変圧器コアの少なくとも一部分に巻き付けられた二次巻線と、を含む変圧器と、を含んでよい。パルス発生器は又、フルブリッジ構成で配列された複数のスイッチを含んでよい。複数のスイッチのうちの第1の部分が、ドループ補償回路及びDC電源に電気的に接続されてよい。複数のスイッチのうちの第2の部分が、一次巻線の第2のリードとDC電源とに電気的に接続されてよい。複数のスイッチのうちの第1の部分と複数のスイッチのうちの第2の部分は異なる時間間隔で開閉されてよい。パルス発生器は又、複数のスイッチのうちの第1の部分、及び/又は複数のスイッチのうちの第2の部分と、変圧器と、の間に電気的に配列されたドループ補償回路を含んでよい。パルス発生器は又、変圧器の二次巻線と電気的に結合されたパルシング出力であって、パルシング出力は第1の高電圧バイポーラパルスを出力し、第1の高電圧バイポーラパルスは、ピークツーピーク電圧が約1kVより大きく、パルス周波数が1kHzより高く、連続する高電圧バイポーラパルス間の電圧部分が負の勾配を有する、パルシング出力を含んでよい。パルシング出力は、例えば、パルス周波数が1kHzより高いバイポーラパルスを出力してよい。
【0021】
その電圧部分は、例えば、連続する高電圧バイポーラパルス間の期間の50%超を含んでよい。その電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの立ち下がり中の屈曲点と、続く高電圧バイポーラパルスの立ち上がり中の屈曲点との間の電圧であってよい。その電圧部分は、ある高電圧バイポーラパルスの終了点と、続く高電圧バイポーラパルスの開始点との間の電圧であってよい。
【0022】
負の勾配の大きさは、例えば、100,000kV/sより大きくてよい。
【0023】
ドループ補償回路は、例えば、電流が第1のスイッチ及び変圧器を通って流れることを可能にするようにバイアスされたドループダイオードを含んでよい。ドループ補償回路は、例えば、直列に配列されてドループダイオードの両端に電気的に結合された第1のインダクタ及び第1の抵抗器を含んでよい。第1のインダクタは、例えば、インダクタンスが約100μHより小さくてよい。第1の抵抗器は、例えば、抵抗が約5Ωより小さくてよい。ドループ回路は、例えば、ドループダイオードと一次巻線の第1のリードとに電気的に結合された第2のインダクタを含んでよい。第2のインダクタは、例えば、インダクタンスが約50nHより小さい。
【0024】
パルス発生器は、例えば、直列に配列された第3の抵抗器及び第3のインダクタを、第2のスイッチと一次巻線の第2のリードとの間に含んでよい。第3のインダクタは、インダクタンスが約35nHより小さくてよい。第3の抵抗器は、例えば、抵抗が約1Ωより小さくてよい。
【0025】
半導体処理システムも開示する。これは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバと結合されて、プラズマチャンバに高電圧パルスを導入するパルサ発生器と、を含む。
【0026】
プラズマチャンバ内の少なくとも1つの点で測定された、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧部分は、1V/nsより小さく変化しうる。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。負の勾配の大きさは、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺しうる。
【0027】
パルシング電源を開示する。これは、負荷内の(例えば、プラズマチャンバ内のウェーハ上の)一点で測定される実質的な電圧ドループが、連続する2つのパルスの間に全くない、複数の高電圧パルスを供給する。
【0028】
パルシング電源を開示する。これは、複数の高電圧パルスを有する経時電圧波形を供給し、これらの高電圧パルスは、電圧が1kVより高く、負荷内の(例えば、プラズマチャンバ内のウェーハ上の)一点で測定される電圧がパルス間でほぼ一定である。
【0029】
パルシング電源を開示する。これは、複数の高電圧パルスを有する経時電圧波形を供給し、これらの高電圧パルスは、電圧が1kVより高く、パルシング電源の出力において測定される電圧がパルス間で負の勾配を有する。
【0030】
パルシング電源を開示する。これは、電圧が1kVより高い複数の高電圧パルスを有する経時電圧波形を供給し、その出力パルスの一部分の発生中に負の勾配の電圧を発生させ、この負の勾配の電圧は、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺する。
【0031】
パルス発生器を開示する。パルス発生器は、DC電源と、複数のスイッチと、変圧器と、パルシング出力とを含む。パルス発生器は、プラズマチャンバと結合されてよい。パルシング出力は高電圧パルスを出力し、高電圧パルスは、ピークツーピーク電圧が1kVより大きく、連続する高電圧バイポーラパルス間の電圧部分が負の勾配を有し、この負の勾配は、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺する。結果として得られる、ウェーハでの電圧は、連続するパルス間でほぼ平坦でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】幾つかの実施形態による、負荷段を駆動する電源システムの回路図である。
【
図2】幾つかの実施形態による、負荷段を駆動する抵抗出力段を有する電源システムの回路図である。
【
図3】幾つかの実施形態による、RF電源がない電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図4】幾つかの実施形態による、RF電源がある電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図5】幾つかの実施形態による、RF電源がない電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図6】幾つかの実施形態による、RF電源がある電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図7】幾つかの実施形態による、RF電源がない電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図8】幾つかの実施形態による、RF電源がある電源システムが発生させる2つの波形の一例である。
【
図9】幾つかの実施形態による、システムがないナノ秒パルサが発生させる、ドループ補償がある波形とドループ補償がない波形とを並べたものの一例である。
【
図10B】幾つかの実施形態による、ドループ補正がない場合とある場合の、プラズマチャンバ内の電圧のヒストグラムである。
【
図11】幾つかの実施形態による、負荷回路を駆動するドループ補償回路を有する電源システムの回路図である。
【
図12】幾つかの実施形態による、負荷段を駆動するドループ補償回路を有する電源システムの回路図である。
【
図13】幾つかの実施形態によるパルサ及びプラズマシステムの回路図である。
【
図14】パルサ及びプラズマシステムにエネルギ回収回路を組み合わせたパルサ及びプラズマシステムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
幾つかの実施形態は、高電圧パルスを発生させる電源システム(例えば、ナノ秒パルサ、パルス発生器等)を含み、連続する2つの高電圧パルスの間の電圧が負の勾配を有する。
【0034】
電源システムは、プラズマチャンバと結合されてよい。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。負の勾配の大きさは、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下をほぼ相殺しうる。
【0035】
電源システム及び/又はプラズマチャンバは、例えば、従来のマッチングネットワークと結合されなくてよい。
【0036】
電源システムは、パルスが完了した後に発生する、プラズマ内のイオン電流に反作用する回路素子を含むスナバ回路を含んでよい。
【0037】
図1は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ106に向けてパルスを駆動するパルサ及びプラズマシステム100の回路図である。これらのパルスは、例えば、方形波パルスを含んでよい。パルサ段101は、プラズマチャンバ106に導入されることが可能な複数のパルスを発生させてよい。RF発生器108は、(例えば、正弦波信号等の)RF信号を発生させてよい。フィルタ回路103は、RF信号とパルスとが互いに干渉しないようにすることが可能である。スナバ回路の部品、例えば、スナバ抵抗器R3、スナバインダクタL3、及び/又はスナバキャパシタC5の値は、プラズマチャンバ106に導入されるパルスのドループを減らすように選択されてよい。
【0038】
例えば、スナバ抵抗器R3は抵抗が約100mΩより小さくてよく、例えば、75、50、25、10、5、1、0.5mΩ等であってよい。代替又は追加として、スナバ抵抗器R3は抵抗が約7.5mΩ~1.25Ωであってよい。例えば、スナバキャパシタはキャパシタンスが約50μFより小さくてよく、例えば、約2~35μF等であってよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ106は、半導体処理チャンバ(例えば、プラズマ蒸着システム、半導体組立システム、プラズマスパッタリングシステム等)の理想的又は実効的な回路を表してよい。キャパシタ12は、例えば、半導体プロセスウェーハがその上に設置されてよい静電チャックのキャパシタンスを表してよい。チャックは、例えば、誘電体材料(例えば、酸化アルミニウム、又は他のセラミック材料、及び誘電体材料内に収容された導体)を含んでよい。チャックは、例えば、キャパシタンスが約20、10、5nF等より小さくてよい。例えば、キャパシタ11は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0040】
キャパシタ13は、例えば、プラズマとウェーハとの間のシースキャパシタンスを表してよい。抵抗器56は、例えば、プラズマとウェーハとの間のシース抵抗を表してよい。インダクタ40は、例えば、プラズマとウェーハとの間のシースインダクタンスを表してよい。電流源I2は、例えば、シースを通るイオン電流を表してよい。例えば、キャパシタ11又はキャパシタ13は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0041】
キャパシタ18は、例えば、チャンバの壁に対するプラズマシースキャパシタンスを表してよい。抵抗器57は、例えば、プラズマとチャンバ壁との間の抵抗を表してよい。電流源I1は、例えば、シースを通る且つ/又はチャンバ壁とプラズマとの間のイオン電流を表してよい。例えば、キャパシタ11又はキャパシタ18は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0042】
幾つかの実施形態では、プラズマ電圧は、グランドから測定された回路点123の電圧であってよく、ウェーハ電圧は、グランドから測定された回路点122の電圧であり、ウェーハ表面の電圧を表してよく、チャック電圧は、グランドから測定された回路点121の電圧であり、電極電圧(又はナノ秒パルサ出力電圧)は、グランドから測定された(例えば、電極上の)回路点124の電圧であり、入力電圧は、グランドから測定された回路点125の電圧である。
【0043】
幾つかの実施形態では、パルサ及びプラズマシステム100は、
図11に示すようなDCバイアス回路104を含んでよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、バイアスキャパシタ20は、DCバイアス電圧を他の回路素子から隔離(又は分離)することが可能である。バイアスキャパシタ20は、例えば、回路の1つの部分から別の部分への電位シフトを可能にできる。幾つかの実施形態では、この電位シフトは、ウェーハをチャック上の定位置に保持する静電力を、電圧閾値を下回る状態に維持して、ウェーハの破損を防ぐ為に行われてよい。抵抗器R2は、DCバイアス電源を、パルサ段101からの高電圧パルス出力から隔離することが可能である。
【0045】
バイアスキャパシタ20は、例えば、キャパシタンスが約100pF、10pF、1pF、100μF、10μF、1μF等より小さくてよい。抵抗器R2は、例えば、抵抗が高くてよく、例えば、抵抗が約1kΩ、10kΩ、100kΩ、1MΩ、10MΩ、100MΩ等であってよい。
【0046】
回路105は、回路からプラズマチャンバ106までの伝送線を表してよい。抵抗器63は、例えば、高電圧電源システムの出力から電極(例えば、プラズマチャンバ106)までをつなぐリード又は伝送線の抵抗を表してよい。キャパシタ11は、例えば、リード又は伝送線内の浮遊キャパシタンスを表してよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、パルサ段101は、高いパルス電圧(例えば、1kV、10kV、20kV、50kV、100kV等より高い電圧)、高い周波数(例えば、1kHz、10kHz、100kHz、200kHz、500kHz、1MHz等より高い周波数)、速い立ち上がり時間(例えば、約1ns、10ns、50ns、100ns、250ns、500ns、1,000ns等より短い立ち上がり時間)、速い立ち下がり時間(例えば、約1ns、10ns、50ns、100ns、250ns、500ns、1,000ns等より短い立ち下がり時間)、及び/又は短いパルス幅(例えば、約1,000ns、500ns、250ns、100ns、20ns等より短いパルス幅)を有するパルスを発生させてよい。
【0048】
例えば、パルサ段101は、あらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/542,487号、件名「高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/635,991号、件名「直流的に絶縁された出力可変パルス発生器の開示(Galvanically Isolated Output Variable Pulse Generator Disclosure」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/798,154号、件名「パルス幅及びパルス繰り返し周波数が可変である高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser With Variable Pulse Width and Pulse Repetition Frequency)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分を含んでよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、パルサ段101は、任意の様々な様式で互いに結合された1つ以上のナノ秒パルサを含んでよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、パルサ段101は、一定のDC電圧を出力するDC電源を含んでよく、DC電源は、スイッチS6によってスイッチングされて、スイッチングされた電力を変圧器T1に供給する。DC電源は、電圧源V5及びエネルギ貯蔵キャパシタC7を含んでよい。変圧器T1の巻線比が1:10であれば、変圧器は負荷に対して10kVを発生させることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、負荷キャパシタンス(例えば、キャパシタ13及びキャパシタ18)がエネルギ貯蔵キャパシタC7のキャパシタンスに比べて小さければ、変圧器の入力又は変圧器の二次側において電圧倍増が行われる場合がある(又は行われない場合がある)。例えば、エネルギ貯蔵キャパシタC7が500Vを供給した場合、変圧器T1の入力において1kVが測定される場合がある。
【0052】
スイッチS6は、例えば、1つ以上のソリッドステートスイッチを含んでよく、例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光伝導スイッチ等を含んでよい。スイッチS6は、コントローラからの信号Sig6+及びSig6-に基づいてスイッチングされてよい。
【0053】
幾つかの実施形態では、スイッチS6は、スイッチングされた電圧がフル電圧(例えば、エネルギ貯蔵キャパシタC7及び/又は電圧源V1の電圧)にならないように高速でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、スイッチS6と結合されたゲート抵抗器が、短いターンオンパルスで設定されてよい。
【0054】
幾つかの実施形態では、パルサ段101はフリーホイールダイオードD2を含んでよい。幾つかの実施形態では、電流がインダクタを同じ方向に通って流れ続けることを可能にすることによって、誘導負荷に貯蔵されたエネルギが、スイッチS6が開いた後に消散することが可能でありうるように、且つ、エネルギが回路の抵抗素子で消散するように、フリーホイールダイオードD2が誘導負荷との組み合わせで使用されてよい。フリーホイールダイオードD2が含まれていないと、例えば、スイッチS6に逆電圧が発生する可能性がある。
【0055】
幾つかの実施形態では、パルサ段101は、浮遊インダクタンスL1及び/又は浮遊抵抗R1を含んでよい。浮遊インダクタンスL1は、例えば、約10nH、100nH、1,000nH、10,000nH等より小さくてよい。浮遊抵抗R1は、例えば、約1Ω、100mΩ、10mΩ等より小さくてよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は、変圧器の二次側、及び/又はエネルギ貯蔵キャパシタC7と電気的に結合されてよい。エネルギ回収回路110は、例えば、変圧器T1の二次側の両端にクローバーダイオード130を含んでよい。エネルギ回収回路110は、例えば、(直列に配置された)エネルギ回収ダイオード120及びエネルギ回収インダクタ115を含んでよく、これにより、電流が変圧器T1の二次側から流れてエネルギ貯蔵キャパシタC7を充電することを可能にできる。エネルギ回収ダイオード120及びエネルギ回収インダクタ115は、変圧器T1の二次側、及びエネルギ貯蔵キャパシタC7に電気的に接続されてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は、変圧器T1の二次側と電気的に結合されたクローバーダイオード130及び/又はインダクタ140を含んでよい。インダクタ140は、浮遊インダクタンスを表してよく、且つ/又は変圧器T1の浮遊インダクタンスを含んでよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、任意のタイプのインダクタを含んでよく、例えば、フェライトコアインダクタ又は空芯インダクタを含んでよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、任意のタイプのジオメトリを有してよく、例えば、ソレノイド巻線、トロイダル巻線等を有してよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、インダクタンスが約10μH、50μH、100μH、500μH等より大きくてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、インダクタンスが約1μH~約100mHであってよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115とエネルギ回収ダイオード120の順序は入れ替え可能である。例えば、エネルギ回収ダイオード120の後がエネルギ回収インダクタ115であってよく、エネルギ回収インダクタ115の後がエネルギ回収ダイオード120であってもよい。
【0059】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサがオンになると、電流がプラズマチャンバ106を充電する(例えば、キャパシタ13、キャパシタ12、又はキャパシタ18を充電する)ことが可能である。例えば、変圧器T1の二次側の電圧がエネルギ貯蔵キャパシタC7の充電電圧より高くなると、幾らかの電流がエネルギ回収インダクタ115を流れることが可能である。ナノ秒パルサがオフになると、電流がチャンバ内のキャパシタ(例えば、キャパシタ11)からエネルギ回収インダクタ115を通って流れて、エネルギ回収インダクタ115の両端の電圧がゼロになるまでエネルギ貯蔵キャパシタC7を充電することが可能である。クローバーダイオード130は、(例えば、回路点124の)NSPの出力の電圧がグランドを下回るのを防ぐことが可能であり、且つ/又は、電流が流れ続ける為の経路を提供することが可能である。
【0060】
エネルギ回収ダイオード120は、例えば、エネルギ貯蔵キャパシタC7からプラズマチャンバ106内のキャパシタへ電荷が流れるのを防ぐことが可能である。
【0061】
エネルギ回収インダクタ115の値は、電流の立ち下がり時間を制御するように選択されてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、インダクタンスの値が1~600μHであってよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、インダクタンスの値が50μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収インダクタ115は、インダクタンスが約50μH、100μH、150μH、200μH、250μH、300μH、350μH、400μH、400μH、500μH等より小さくてよい。
【0062】
例えば、エネルギ貯蔵キャパシタC7が500Vを供給した場合、(例えば、上述のように電圧倍増によって)変圧器T1の入力において1kVが測定されることになる。変圧器T1での1kVは、スイッチS6が開いているときに、エネルギ回収回路110の部品間で分割されてよい。それらの値が適切に選択されていれば(例えば、スナバインダクタL3のインダクタンスがエネルギ回収インダクタ115のインダクタンスより小さければ)、エネルギ回収ダイオード120及びエネルギ回収インダクタ115の両端の電圧は500Vより大きくなりうる。そして電流がエネルギ回収ダイオード120を通って流れること及び/又はエネルギ貯蔵キャパシタC7を充電することが可能である。電流は、ダイオードD3及びインダクタL8にも流れうる。エネルギ貯蔵キャパシタC7が充電されたら、電流はもはやダイオードD3及びエネルギ回収インダクタ115には流れなくなりうる。
【0063】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は、プラズマチャンバ106からエネルギを転送(又は電荷を転送)することを、例えば、速い時間スケール(例えば、1ns、10ns、50ns、100ns、250n、500ns、1,000ns等の時間スケール)で行ってよい。エネルギ回収回路の浮遊抵抗は、プラズマチャンバ106の両端のパルスが速い立ち下がり時間tfを有するように小さくてよい。エネルギ回収回路110の浮遊抵抗は、例えば、抵抗が約1Ω、100mΩ、10mΩ等より小さくてよい。幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ106からのエネルギ転送効率が高いことが可能であり、例えば、約60%、70%、80%、又は90%等より高いことが可能である。
【0064】
図1に示した部品のうちの任意の数の部品が必要とされてもされなくてもよく、例えば、ダイオード135又はクローバーダイオード130又はインダクタ140は必要とされてもされなくてもよい。
【0065】
幾つかの実施形態では、DC電源V1と、エネルギ回収回路110がDC電源V1及び/又はエネルギ貯蔵キャパシタC7に接続している箇所との間にダイオードが置かれてよい。このダイオードは、例えば、電流がDC電源V1からエネルギ貯蔵キャパシタC7に流れることを可能にするように配置されてよいが、電流がエネルギ回収回路からエネルギ貯蔵キャパシタC7に流れることを可能にしなくてよい。
【0066】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は無くしてもよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段又はバイアス補償回路が含まれてよい。他の様々な回路又は回路素子が含まれてよい。
【0067】
幾つかの実施形態では、パルサ及びプラズマシステム100は、フィルタ回路103を含んでよい。この実施例では、フィルタ回路は、フィルタキャパシタ185及び/又はフィルタインダクタ180を含む。フィルタキャパシタ185は、例えば、パルサ段101からの低周波信号をフィルタリングしてよい。これらの低周波信号は、例えば、周波数(例えば、大部分のスペクトル成分)が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)であってよい。フィルタキャパシタ185は、例えば、値が約1pF~1nFであってよく、例えば、約100pFより小さくてよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、例えば、RF発生器108からの高周波信号をフィルタリングしてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。フィルタインダクタ180は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0069】
幾つかの実施形態では、フィルタキャパシタ185及びフィルタインダクタ180の一方又は両方が、RF発生器108が発生させるパルスを、パルサ段101が発生させるパルスから絶縁することが可能であり、且つ/又は、パルサ段101が発生させるパルスを、RF発生器108が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、フィルタキャパシタ185は、パルサ段101が発生させるパルスを、RF発生器108が発生させるパルスから絶縁することが可能である。フィルタインダクタ180は、RF発生器108が発生させるパルスを、パルサ段101が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0070】
図2は、幾つかの実施形態による、負荷段を駆動する抵抗出力段220を有する電源システム200の回路図である。この実施例では、エネルギ回収回路110はパルサ及びプラズマシステム100から無くされており、代わりに抵抗出力段220が置かれている。
【0071】
抵抗出力段220は、当該技術分野において知られている任意の抵抗出力段を含んでよい。例えば、抵抗出力段220は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第16/178,538号、件名「高電圧抵抗出力段回路(HIGH VOLTAGE RESISTIVE OUTPUT STAGE CIRCUIT)」に記載の任意の抵抗出力段を含んでよい。
【0072】
例えば、抵抗出力段220は、インダクタL11、抵抗器R10、抵抗器R11及びキャパシタC11を含んでよい。幾つかの実施形態では、インダクタL11は、インダクタンスが約5μH~約25μHであってよい。幾つかの実施形態では、抵抗器R11は、抵抗が約50Ω~約250Ωであってよい。幾つかの実施形態では、抵抗器R10は、抵抗出力段220の浮遊抵抗を含んでよい。
【0073】
幾つかの実施形態では、抵抗器R11は、直列及び/又は並列に並んだ複数の抵抗を含んでよい。キャパシタC11は、抵抗器R11の浮遊キャパシタンスを表してよく、これは、直列及び/又は並列の抵抗の配列のキャパシタンスを含む。浮遊キャパシタンスC11のキャパシタンスは、例えば、500pF、250pF、100pF、50pF、10pF、1pF等より小さくてよい。浮遊キャパシタンスC11のキャパシタンスは、例えば、負荷キャパシタンスより小さい場合があり、例えば、キャパシタ12、キャパシタ13、及び/又はキャパシタ18等のキャパシタンスより小さい場合がある。
【0074】
幾つかの実施形態では、抵抗器R11は負荷(例えば、プラズマシースキャパシタンス)を放電させてよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、各パルス周期の間の平均電力で約1キロワット超を、且つ/又は各パルス周期におけるエネルギで1ジュール以下を放出するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段220の抵抗器R11の抵抗は200Ωより小さくてよい。幾つかの実施形態では、抵抗器R11は、直列又は並列に並んだ複数の抵抗を含んでよく、それらの結合キャパシタンス(例えば、キャパシタ111)は約200pFより小さい。
【0075】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、負荷上の電圧波形の形状を制御することに使用可能な回路素子の集合体を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、受動素子のみ(例えば、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等)を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、受動回路素子だけでなく能動回路素子(例えば、スイッチ)を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、例えば、波形の電圧立ち上がり時間及び/又は波形の電圧立ち下がり時間を制御することに使用されてよい。
【0076】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、容量性負荷(例えば、ウェーハ及び/又はプラズマ)を放電させてよい。例えば、これらの容量性負荷はキャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0077】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、パルスのパルス電圧が高く(例えば、1kV、10kV、20kV、50kV、100kV等より高い電圧であり)、且つ/又はパルスの周波数が高く(例えば、1kHz、10kHz、100kHz、200kHz、500kHz、1MHz等より高い周波数であり)、且つ/又はパルスの周波数が約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50MHz等である回路で使用されてよい。
【0078】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、高い平均電力、高いピーク電力、速い立ち上がり時間、及び/又は速い立ち下がり時間をハンドリングするように選択されてよい。例えば、平均電力定格が約0.5kW、1.0kW、10kW、25kW等より大きくてよく、且つ/又は、ピーク電力定格が約1kW、10kW、100kW、1MW等より大きくてよい。
【0079】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段220は、受動部品の直列又は並列のネットワークを含んでよい。例えば、抵抗出力段220は、直列の抵抗器、キャパシタ、及びインダクタを含んでよい。別の例として、抵抗出力段220は、キャパシタとインダクタの並列の組み合わせに抵抗器が直列につながったものを含んでよい。例えば、L11は、整流器からの出力電圧があるときに抵抗出力段220に有意のエネルギが注入されないようにするのに十分な大きさが選択されてよい。R10及びR11の値は、L/R時間で負荷内のしかるべきキャパシタがRF周波数より速く放電することが可能であるように選択されてよい。
【0080】
幾つかの実施形態では、パルサ及びプラズマシステム100又は電源システム200のいずれかのパルサ段101は、スナバ回路を含んでよい。幾つかの実施形態では、スナバ回路はスナバキャパシタC5を含んでよい。幾つかの実施形態では、スナバ回路はスナバキャパシタC5及びスナバ抵抗器R3を含んでよい。幾つかの実施形態では、スナバ回路は、スナバキャパシタC5、スナバインダクタL3、及びスナバ抵抗器R3を含んでよい。
【0081】
幾つかの実施形態では、スナバ回路はスナバ抵抗器R3を含んでよく、且つ/又はスナバインダクタL3は、スナバダイオードD4と並列に配置されてよい。スナバインダクタL3とスナバ抵抗器R3とスナバダイオードD4との配列は、スナバキャパシタC5と直列に配置されてよい。幾つかの実施形態では、スナバ抵抗器R3及び/又はスナバダイオードD4は、スイッチS6のコレクタと変圧器T1の一次巻線との間に置かれてよい。スナバダイオードD4は、スイッチング時に生じる過電圧を緩衝する為に使用されてよい。スイッチS6のエミッタ側又はコレクタ側に、大容量且つ/又は高速のスナバキャパシタC5が結合されてよい。スイッチS1のエミッタ側にはフリーホイールダイオードD2も結合されてよい。図示していない他の様々な部品も含まれてよい。1つ以上のスイッチ及び/又は回路が並列又は直列に配列されてよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、チャンバ内のイオン電流に対抗する為に、パルスが終わった後にパルサ段101から正の電流が流れ出るようにされてよい。これは、例えば、スナバキャパシタC5が、パルス発生中に放電することが可能であるように、且つ/又は次のパルスの前に完全には充電されないことが可能であるように、スナバインダクタL3(これは、例えば、無くてもよい)のインダクタンス、スナバ抵抗器R3の抵抗、及び/又はスナバキャパシタC5のキャパシタンスの各値を調節することによって達成可能である。これにより、例えば、パルス発生中に電流が流れるにつれて、エネルギ貯蔵キャパシタC7及び/又はDC電源V1から同じ方向に流れ出る電流が減衰することを可能にできる。これにより、ウェーハ上に発生する波形形状は、プラズマチャンバ内のパルス間にドループを含まないことが可能である。
【0083】
ドループは、パルサ段101が発生させるパルス間の上昇する電圧として現れることがある。ドループは、0.2V/ns(例えば、チャックのキャパシタンスが約5nFであり、イオン電流が1アンペアである場合)又は1V/ns(例えば、チャックのキャパシタンスが約5nFであり、イオン電流が5アンペアである場合)だけ上昇する電圧を含むことがある。
【0084】
一方、ドループ補償は、パルサ段101が発生させる立ち上がりパルス間の負の電圧勾配を含んでよく、これは、蒸気チャンバ内のウェーハに対してイオンフラックスによって引き起こされるドループ電圧を相殺することが可能である。ドループ補償は、例えば、パルス間の電圧勾配が約0.2V/ns(例えば、チャックのキャパシタンスが約5nFであり、イオン電流が1アンペアである場合)又は約1V/ns(例えば、チャックのキャパシタンスが約5nFであり、イオン電流が5アンペアである場合)であってよい。別の例として、ドループ補償は、立ち上がりパルス間の、約100,000、10,000、1,000、又は100kV/sを超える大きさの負の電圧勾配を含んでよい。
【0085】
RF発生器108がプラズマチャンバ106と電気的に結合されてよい。RF発生器108は、例えば、プラズマチャンバ内に高周波RF信号を導入してよく、これにより、チャンバ内の成分からプラズマを発生させることが可能である。
【0086】
RF発生器108は、カソードに印加されるRF電力を発生させる任意のタイプの装置を含んでよい。RF発生器108は、例えば、ナノ秒パルサ、ハーフブリッジ回路又はフルブリッジ回路で駆動される共振系、RF増幅器、非線形伝送線、RFプラズマ発生器等を含んでよい。幾つかの実施形態では、RF発生器108は、インピーダンスマッチングネットワークを含んでよい。
【0087】
幾つかの実施形態では、RF発生器108は、異なる複数のRF周波数(例えば、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、及び80MHz等)を有するRF電力信号を発生させることが可能な1つ以上のRFドライバを含んでよい。典型的なRF周波数は、例えば、200kHz~800MHzの周波数を含んでよい。幾つかの実施形態では、RF発生器108は、プラズマチャンバ内でプラズマを発生させて維持することが可能である。RF発生器108は、例えば、チャンバ内で様々なガス及び/又はイオンを励起してプラズマを発生させる為に、カソード(及び/又はアンテナ)にRF信号を供給してよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、RF発生器108は、インピーダンスマッチング回路と結合されてよく、又はインピーダンスマッチング回路を含んでよく、インピーダンスマッチング回路は、RF発生器108の非標準の出力インピーダンスを、50Ω同軸ケーブル又は任意のケーブルの業界標準の特性インピーダンスとマッチングさせることが可能である。
【0089】
幾つかの実施形態では、RF発生器108は、パルサ段101が発生させるパルスのパルス繰り返し周波数より高いRF周波数でバーストを発生させてよい。
【0090】
幾つかの実施形態では、パルサ及びプラズマシステム100は、フィルタキャパシタ185及び/又はフィルタインダクタ180を含んでよい。フィルタキャパシタ185は、例えば、パルサ段101からの低周波信号をフィルタリングしてよい。これらの低周波信号は、例えば、周波数(例えば、大部分のスペクトル成分)が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)であってよい。フィルタキャパシタ185は、例えば、値が約1pF~1nFであってよく、例えば、約100pFより小さくてよい。
【0091】
幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、例えば、RF発生器108からの高周波信号をフィルタリングしてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。フィルタインダクタ180は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、フィルタキャパシタ185及びフィルタインダクタ180の一方又は両方が、RF発生器108が発生させるパルスを、パルサ段101が発生させるパルスから絶縁することが可能であり、且つ/又は、パルサ段101が発生させるパルスを、RF発生器108が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、フィルタキャパシタ185は、パルサ段101が発生させるパルスを、RF発生器108が発生させるパルスから絶縁することが可能である。フィルタインダクタ180は、RF発生器108が発生させるパルスを、パルサ段101が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0093】
図3は、幾つかの実施形態による、RF電源がない(例えば、RF発生器108からのRF信号がない)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形305がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形310がウェーハ上で測定された電圧(例えば、回路点122)である。この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が75mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが12μFであり、パルス幅が100nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが、例えば、約100nHであってよい。DC電源V1から供給されるDC電圧は500Vである。図示のように、ウェーハ波形310は、パルス間がほぼ平坦である。例えば、パルス間のウェーハ波形810の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0094】
図4は、幾つかの実施形態による、RF電源がある(例えば、RF発生器108からのRF信号がある)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形405がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形410がウェーハ上で測定された電圧(例えば、回路点122)である。この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が75mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが12μFであり、パルス幅が100nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが100nHである。DC電源V1から供給されるDC電圧は500Vである。図示のように、ウェーハ波形410は、パルス間がほぼ平坦である。ウェーハ波形410は、例えば、連続するパルス間で、1V/nsより小さい連続パルス変化により変動しうる。
【0095】
図5は、幾つかの実施形態による、RF電源がない(例えば、RF発生器108からのRF信号がない)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形505がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形510がウェーハ上で測定された電圧(例えば、回路点122)である。この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が10mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが35μFであり、パルス幅が150nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが0nHである。DC電源V1から供給されるDC電圧は750Vである。図示のように、ウェーハ波形510は、パルス間がほぼ平坦である。例えば、パルス間のウェーハ波形510の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0096】
図6は、幾つかの実施形態による、RF電源がある(例えば、RF発生器108からのRF信号がある)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形605がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形610がウェーハ上で測定された電圧(例えば、回路点122)である。この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が10mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが35μFであり、パルス幅が150nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが0nHである。DC電源V1から供給されるDC電圧は750Vである。図示のように、ウェーハ波形610は、パルス間がほぼ平坦である。例えば、パルス間のウェーハ波形610の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0097】
図7は、幾つかの実施形態による、RF電源がない(例えば、RF発生器108からのRF信号がない)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形705がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形710がウェーハ上で測定された電圧(例えば、回路点122)である。この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が10mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが35μFであり、パルス幅が250nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが0nHである。DC電源V1から供給されるDC電圧は700Vである。図示のように、ウェーハ波形710は、パルス間がほぼ平坦である。例えば、パルス間のウェーハ波形710の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0098】
図8は、幾つかの実施形態による、RF電源がある(例えば、RF発生器108からのRF信号がある)電源システムが発生させる2つの波形の一例である。この例では、チャック波形805がチャック電圧(例えば、回路点121)であり、ウェーハ波形810がウェーハ上で又はプラズマチャンバ内の一点で測定された電圧(例えば、回路点122)である。
【0099】
この例では、スナバ抵抗器R3の抵抗が10mΩであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが35μFであり、パルス幅が250nsであり、フィルタインダクタ180のインダクタンスが0nHである。DC電源V1から供給されるDC電圧は800Vである。
【0100】
図8に示すように、チャック波形(又はパルサからの出力電圧)は、連続するパルス間に負の勾配を有する。この負の勾配は、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下を補償することが可能である。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。
【0101】
図8に示すように、ウェーハ波形810は、連続するパルス間がほぼ平坦である。例えば、連続するパルス間のウェーハ波形810の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0102】
図9は、幾つかの実施形態による、システムがないナノ秒パルサが発生させる、ドループ補償がある波形とドループ補償がない波形とを並べたものの一例である。この例では、チャック波形905は、ドループ補償がない場合のチャック電圧であり、チャック波形915は、ドループ補償がある場合のチャック電圧である。この例では、ウェーハ波形910は、ドループ補償がない場合のウェーハ電圧であり、ウェーハ波形920は、ドループ補償がある場合の電圧である。この例では、ドループ補償がない場合は、スナバ抵抗器R3の抵抗が1.25Ωであり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが2μFであり、ドループ補償がある場合は、スナバ抵抗器R3の抵抗が75Ωまで低くなり、スナバキャパシタC5のキャパシタンスが12μFである。
【0103】
図9に示すように、チャック波形915(又はパルサからの出力電圧)は、連続するパルス間に負の勾配を有する。この負の勾配は、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下を補償することが可能である。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。
【0104】
図9に示すように、ウェーハ波形920は、連続するパルス間がほぼ平坦である。例えば、連続するパルス間のウェーハ波形810の勾配は、1V/ns、0.5V/ns、0.2V/ns、0.1V/ns等より小さい。
【0105】
図10Aは、幾つかの実施形態による、ドループ補正がない場合のウェーハ電位のヒストグラムである。
図10Bは、幾つかの実施形態による、ドループ補正がある場合のウェーハ電位のヒストグラムである。
【0106】
図11は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ106を駆動するドループ補償回路165を有する電源システム1100の回路図である。幾つかの実施形態では、ドループ補償回路165は、クローバーダイオード130及びドループキャパシタ170を含んでよい。ドループキャパシタ170は、キャパシタンスが約1nF~約100nFであってよい。この例では、ドループキャパシタ170が追加されていることで、クローバーダイオード130及びエネルギ回収回路110を通って流れる電流が、ドループキャパシタ170の両端電圧の変化を引き起こすことが可能であり、この変化はいかなるドループにも反作用しうる。ドループキャパシタ170は、ドループキャパシタ170が充電されてドロップを解消するまで電流の流量を制限することが可能である。スイッチ171は、パルス発生中にドループキャパシタ170から電荷をグランドに排出する為に使用されてよい。スイッチ171は、(例えば、同じ信号を使用する)スイッチ171と同じスイッチング周波数及び/又はスイッチング期間でスイッチングされてよい。例えば、スイッチング171が閉じていると、パルサ段101はパルスを発生させ、スイッチ171は閉じていることでドループキャパシタ170を放電させる。
【0107】
幾つかの実施形態では、DC電源174は、必要な場合にDCオフセット又はDCバイアスを可能にできる。幾つかの実施形態では、DC電源174は又、ドループキャパシタ170から電荷が排出されたときに充電されることが可能である。
【0108】
幾つかの実施形態では、インダクタ172は電流制限インダクタであってよい。インダクタ172は、例えば、インダクタンスが約10nH~約500nHであってよい。ダイオード173及び/又はダイオード175はクローバーダイオードであってよい。ダイオード175は、例えば、スイッチ171が開いているときに電流が流れることを可能にでき、電圧スパイクがグランドに流れることを可能にできる。
【0109】
幾つかの実施形態では、インダクタ172、ダイオード173、及び/又はダイオード175は、抵抗器に置き換えられてよい。
【0110】
スイッチ171は、高い周波数で高電圧をスイッチングできる任意のタイプのスイッチを含んでよい。幾つかの実施形態では、スイッチ171は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第62/717,637号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」、及び/又は米国特許出願第16/178,565号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」に記載の高電圧スイッチを含む。
【0111】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は、削除されてよく、又は、プライマリシンク回路及び/又は抵抗出力段に置き換えられてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路110は、エネルギ回収インダクタ115の後でグランドに接続されてよい。
【0112】
この例では、DCバイアス回路104はバイアス補償を全く含まない。DCバイアス回路104はオフセット電源電圧V5を含み、これは、例えば、出力電圧を正バイアス又は負バイアスしてよい。幾つかの実施形態では、オフセット電源電圧V5は、ウェーハ電圧とチャック電圧との間の電位を変化させるように調節可能である。幾つかの実施形態では、オフセット電源電圧V5「は、電圧が約±5kV、±4kV、±3kV、±2kV、±1kV等であってよい。DCバイアス回路104は、電源システム1100に含まれても含まれなくてもよい。
【0113】
電源システム1100は、RF発生器108及びフィルタインダクタ180を含んでよい。フィルタインダクタ180は、例えば、RF発生器108からの高周波信号をフィルタリングしてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。フィルタインダクタ180は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0114】
図12は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ106を駆動するドループ補償回路190を有するパルサ及びプラズマシステム1200の回路図である。ドループ補償回路190は、負のDC電源182と、スイッチ181と、電流制限抵抗器183又は電流制限インダクタ184とを含んでよい。電流制限抵抗器183は、例えば、抵抗が約0.1Ω~約50Ω又は約10mΩ~約500Ωであってよい。電流制限インダクタ184は、例えば、インダクタンスが約1nH~約100nHであってよい。スイッチ181が閉じているときには、負のDC電源182が電圧をプルダウンしてドループを除去又は制限することが可能である。
【0115】
スイッチ181は、高い周波数で高電圧をスイッチングできる任意のタイプのスイッチを含んでよい。幾つかの実施形態では、スイッチ181は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第62/717,637号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」、及び/又は米国特許出願第16/178,565号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」に記載の高電圧スイッチを含む。
【0116】
幾つかの実施形態では、パルサ及びプラズマシステム1200は、抵抗出力段220ではなくエネルギ回収回路(例えば、エネルギ回収回路110)を含んでよい。
【0117】
パルサ及びプラズマシステム1200は、RF発生器108及びフィルタインダクタ180を含んでよい。フィルタインダクタ180は、例えば、RF発生器108からの高周波信号をフィルタリングしてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。フィルタインダクタ180は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0118】
図13は、幾つかの実施形態によるパルサ及びプラズマシステム1300の回路図である。パルサ及びプラズマシステム1300は、例えば、パルスドライバ1305(これは、図ではフルブリッジ構成であるがハーフブリッジ構成であってもよい)と、ドループ補償回路1310と、変圧器1345と、DC電源V1とを含んでよい。ドループ補償回路1310は、例えば、プラズマチャンバ内の(例えば、プラズマチャンバ内のウェーハ上の)電圧ドループを軽減又は低減することが可能である。
【0119】
パルスドライバ1305は、例えば、バイポーラパルスを発生させることが可能である。バイポーラパルスは、例えば、立ち上がりパルスの後に立ち下がりパルスが続くパルスを含んでよい。立ち上がりパルスと立ち下がりパルスとの間のピークツーピーク電圧は、約500V、1kV、2kV、5kV、10kV、15kV、20kV等より大きくてよい。
【0120】
この例では、パルサ及びプラズマシステム1300はパルスドライバ1305を含んでよい。パルスドライバ1305は、例えば、ハーフブリッジドライバ又はフルブリッジドライバであってよい。パルスドライバ1305はDC電源V1を含んでよく、これは、DC電源(例えば、容量性電源、AC-DCコンバータ等)であってよい。幾つかの実施形態では、パルスドライバ1305は、4つのブリッジスイッチ661、662、663、664を含んでよい。幾つかの実施形態では、パルスドライバ1305は、複数のスイッチ661、662、663、及び664を直列又は並列に含んでよい。これらのスイッチ661、662、663、及び664は、例えば、任意のタイプのソリッドステートスイッチを含んでよく、例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光伝導スイッチ等を含んでよい。これらのスイッチ661、662、663、及び664は、高い周波数でスイッチングされてよく、且つ/又は高電圧パルスを発生させてよい。これらの周波数は、例えば、約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50MHz等の周波数を含んでよい。
【0121】
スイッチ661、662、663、及び664の各スイッチは、それぞれのブリッジダイオードと並列に結合されてよく、浮遊インダクタンスを含みうる。幾つかの実施形態では、それらのブリッジスイッチの浮遊インダクタンスは同等でありうる。幾つかの実施形態では、それらのブリッジスイッチの浮遊インダクタンスは、約50nH、100nH、150nH、500nH、1,000nH等より小さいことがありうる。スイッチ(661、662、663、又は664)とそれぞれのブリッジダイオードとの組み合わせは、それぞれのブリッジインダクタと直列に結合されてよい。例えば、スイッチ663及び664と関連付けられたブリッジインダクタは、グランドと接続されてよい。例えば、スイッチ661と関連付けられたブリッジインダクタは、ブリッジスイッチ664、並びにドループ補償回路1310の抵抗器1315及び/又はインダクタ1316と電気的に接続されてよい。そして、スイッチ662と関連付けられたブリッジインダクタは、例えば、ブリッジスイッチ663、並びにドループ補償回路1310のダイオード1313と電気的に接続されてよい。
【0122】
パルスドライバ1305内のスイッチが共振周波数(fresonant)でスイッチングされると、変圧器1345における出力電圧が増幅される。幾つかの実施形態では、共振周波数は、約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50MHz等であってよい。
【0123】
幾つかの実施形態では、変圧器1345(又は変圧器T1)は、あらゆる目的の為に本文書に組み込まれている米国特許出願第15/365,094号、件名「高電圧変圧器(High Voltage Transformer)」で開示されているような変圧器を含んでよい。
【0124】
例えば、スイッチのデューティサイクルの調節は、ブリッジスイッチ661を開閉する信号Sig1のデューティサイクルを変更すること、ブリッジスイッチ662を開閉する信号Sig2のデューティサイクルを変更すること、ブリッジスイッチ663を開閉する信号Sig3のデューティサイクルを変更すること、及びブリッジスイッチ664を開閉する信号Sig4のデューティサイクルを変更することによって可能である。
【0125】
幾つかの実施形態では、パルスドライバ1305の各ブリッジスイッチ661、662、663、又は664は、互いに独立にスイッチングされてよく、又は他のスイッチのうちの1つ以上のスイッチと連動してスイッチングされてよい。例えば、信号Sig1は、信号Sig3と同じ信号であってよい。別の例として、信号Sig2は、信号Sig4と同じ信号であってよい。別の例として、各信号は、互いに独立であってよく、各ブリッジスイッチ661、662、663、又は664を互いに独立に又は別々に制御してよい。
【0126】
幾つかの実施形態では、ドループ補償回路1310の出力は、半波整流器(これはブロッキングダイオードを含んでよい)と結合されてよく、これは、変圧器1345の二次側、又は変圧器1345の一次側に位置してよい。
【0127】
幾つかの実施形態では、ドループ補償回路1310の出力は、抵抗出力段(例えば、
図12に示した抵抗出力段220)と結合されてよい。抵抗出力段は、当該技術分野において知られている任意の抵抗出力段を含んでよい。例えば、抵抗出力段は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第16/178,538号、件名「高電圧抵抗出力段回路(HIGH VOLTAGE RESISTIVE OUTPUT STAGE CIRCUIT)」に記載の任意の抵抗出力段を含んでよい。
【0128】
パルサ及びプラズマシステム1300は、例えば、50Ωマッチングネットワークや外部マッチングネットワークやスタンドアロンマッチングネットワークのような従来型のマッチングネットワークを含まない。実際、本文書に記載の実施形態は、ウェーハチャンバに印加されるスイッチング電力をチューニングする為の50Ωマッチングネットワークを必要としない。更に、本文書に記載の実施形態は、従来型のマッチングネットワークがない可変出力インピーダンスRF発生器を備える。これにより、プラズマチャンバに引き込まれる電力を迅速に変更することを可能にできる。典型的には、この、マッチングネットワークのチューニングには少なくとも100~200μsかかる可能性がある。幾つかの実施形態では、電力の変更は、RFの1~2周期以内に行うことが可能であり、例えば、400kHzでは2.5~5.0μs以内に行うことが可能である。
【0129】
幾つかの実施形態では、パルスドライバ1305は、図示のようなフルブリッジトポロジ、又は2つのスイッチを有するハーフブリッジトポロジで配列されたスイッチを含んでよい。スイッチ661、662、663、664は、エネルギ貯蔵キャパシタC7に貯蔵されたDC電荷をスイッチングしてよい。DC電源V1(これは、DC電源(例えば、容量性電源、AC-DCコンバータ等)であってよい)は、エネルギ貯蔵キャパシタC7を充電してよい。パルスドライバ1305は、例えば、ドループ補償回路1310の共振周波数にほぼ等しいか等しくないパルス周波数でドループ補償回路1310を駆動してもしなくてもよい。
【0130】
幾つかの実施形態では、パルスドライバ1305は、2つのスイッチを有するハーフブリッジトポロジに置き換えられてよい。
【0131】
ドループ補償回路1310は、ダイオード1313、インダクタ1312、インダクタ1314、インダクタ1316、抵抗器1315、及び/又は抵抗器1311を含んでよい。ダイオード1313は、パルスドライバ1305と変圧器1345との間で順バイアスされてよい。抵抗器1315は、例えば、非常に小さくてよい。例えば、抵抗器1315は、抵抗が約1Ωより小さくてよく、例えば、約50、25、10、5mΩ等より小さくてよい。別の例として、抵抗器1315は、0Ωほどの小ささであってよい。抵抗器1311は、例えば、非常に小さくてよい。例えば、抵抗器1311は、抵抗が約5Ωより小さくてよく、例えば、約10、5、2、1、0.75、0.5、0.25Ω等より小さくてよい。インダクタ1316及び/又はインダクタ1314は、例えば、インダクタンスが約100nHより小さくてよく、例えば、約75、50、25、10、5nH等より小さくてよい。
【0132】
インダクタ1312は、例えば、インダクタンスが約100μHより小さくてよく、例えば、約100、50、25、10、5、2.5、1μH等より小さくてよい。
【0133】
パルサ及びプラズマシステム1300は、例えば、RF発生器108及びフィルタインダクタ180を含んでよい。フィルタインダクタ180は、例えば、RF発生器108からの高周波信号をフィルタリングしてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。フィルタインダクタ180は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、フィルタインダクタ180は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0134】
DC電源V1は、例えば、複数のDC電源を含んでよい。例えば、1つのDC電源が1つ又は2つのスイッチと結合されてよく、別のDC電源が別の1つ又は2つのスイッチと結合されてよい。
【0135】
図14は、パルサ及びプラズマシステム1300にエネルギ回収回路110を組み合わせたパルサ及びプラズマシステム1400の回路図である。エネルギ回収回路110は、例えば、エネルギ回収ダイオード120及び/又はエネルギ回収インダクタ115を含んでよい。スイッチ661、662、663、664が開いていると、過剰電荷が、例えば、変圧器1345の二次側から流れて、DC電源V1を充電することが可能である。別の例として、エネルギ回収回路110をパルサ及びプラズマシステム1300に組み合わせる代わりに、ドループ補償回路190をパルサ及びプラズマシステム1300に組み合わせてもよい。
【0136】
特に断らない限り、「ほぼ(substantially)」という語は、言及された値の5~10%以内、又は製造公差以内であることを意味する。特に断らない限り、「約(about)」という語は、言及された値の5~10%以内、又は製造公差以内であることを意味する。
【0137】
図15Aは、(例えば、ドループ補正がない(例えば、ドループ補償回路1310の全て又は一部がない)パルスドライバ1305から発生する)バイポーラ波形1505を示す。この波形は、
図13の点1330において記録された経時電圧を示す。
図15Bは、(例えば、プラズマチャンバ内のいずれかの点(例えば、(例えば、プラズマチャンバ内の、チャックにおける又はウェーハ上の)
図13の点1335)で測定された、ドループ補正がないパルスドライバ1305からの)バイポーラ波形1510を示す。
図15Bに示すように、波形1510は、正パルス1520と正パルス1521との間に立ち上がりドループ1515を有する。このドループ1515は、波形1510のどのパルスの間でも繰り返されうる。このドループ1515は、例えば、プラズマチャンバ内の一点における、パルス1520とパルス1521との間の経時電圧の大きさを、時間とともにほぼ平坦な電圧まで減らす場合がある。
【0138】
波形1505に示すように、バイポーラパルスは、立ち上がり部分1540と立ち下がり部分1541とを有する高電圧パルスである。立ち上がり部分1540は、例えば、三角パルス、方形パルス、ガウス形状パルス、正弦波状パルス等であってよい。立ち下がり部分1541は、例えば、三角パルス、方形パルス、ガウス形状パルス、正弦波状パルス等であってよい。
【0139】
図16Aは、(例えば、ドループ補正があるパルスドライバ1305から発生する)バイポーラ波形1605を示す。この波形は、
図13の点1330において記録された経時電圧を示す。
図16Bは、(例えば、プラズマチャンバ内のいずれかの点(例えば、(例えば、チャックにおける又はウェーハ上の)
図13の点1335)で測定された、ドループ補正があるパルスドライバ1305からの)バイポーラ波形1630を示す。
【0140】
図16Aに示すように、ドループ補正は、パルスドライバ1305から発生した波形のうちの連続する2つの立ち上がりパルス(例えば、立ち上がりパルス1610と立ち上がりパルス1611)の間の部分に負の勾配1641をもたらす。負の勾配の大きさは、例えば、約10,000,000、1,000,000、500,000、100,000、50,000、10,000kV/s等より大きくてよい。連続する正パルスの間の期間は、例えば、約10,000、1,000、100、10ns等より小さくてよい。
【0141】
図16Bに示すように、ドループ補正は、プラズマチャンバ内で測定されたバイポーラ波形のうちの連続するパルス1620、1621の間の部分にほぼ平坦な勾配1651をもたらす。ほぼ平坦な勾配1651の(例えば、パルス1620の立ち下がり時間中の屈曲点からパルス1621の立ち上がり時間中の屈曲点まで測定された場合の)大きさは、例えば、約100、10、1kV/s等より小さくてよい。ほぼ平坦な勾配1651の大きさは、例えば、パルス1620の正部分とパルス1621の正部分との間で、ウェーハ上にほぼ一定の負電位を発生させることが可能である。連続するバイポーラパルス間の期間の、ほぼ平坦な勾配を含む部分は、例えば、連続するバイポーラパルス間の期間の50%超、60%超、70%超、又は80%超を含んでよい。
【0142】
図9に示すように、チャック波形915(又はパルサからの出力電圧)は、連続するパルス間に負の勾配を有する。この負の勾配は、例えば、イオン電流に起因する、プラズマチャンバ内のウェーハ上の電圧低下を補償することが可能である。この負の勾配は、例えば、大きさが、プラズマチャンバ内で発生するイオン電流とプラズマチャンバのチャックキャパシタンスとの比とほぼ同じであって、符号がその比の反対であることが可能である。
【0143】
「又は(or)」という接続詞は包含的である。
【0144】
「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」等の用語は、各要素を区別する為に使用されており、特に断らない限り、又は順序が明示的に示されるか必要とされるのでない限り、それらの要素の特定の順序を示す為には使用されていない。
【0145】
特許請求対象の十分な理解が得られるように、多数の具体的詳細を説明している。しかしながら、当業者であれば理解されるように、それらの具体的詳細がなくても本特許請求対象を実施することは可能である。又、場合によっては、本特許請求対象が曖昧にならないように、当業者にはよく知られているであろう方法、装置、又はシステムについては詳細に説明していない。
【0146】
開示の方法の実施形態は、そのようなコンピューティング装置の動作において実施されてよい。上記の実施例において示されたブロックの順序は変更されてよく、例えば、ブロックの順序を変更したり、ブロック同士を結合したり、且つ/又はブロックをサブブロックに分割したりしてよい。幾つかのブロック又はプロセスが並行して実施されてよい。
【0147】
「ように適合された(adapted to)」又は「ように構成された(configured to)」の使用は、追加のタスク又はステップを実施するように適合又は構成された装置を排除しない、開放的且つ包含的な言い回しを意図している。更に、「基づく(based on)」の使用は、1つ以上の記載された条件又は値に「基づく(based on)」プロセス、ステップ、計算、又は他のアクションが、実際には、それらの記載された条件又は値を超える追加の条件又は値に基づいてよいという点で開放的且つ包含的であることを意図されている。含まれる見出し、リスト、及び番号付けは、説明を容易にする為のものに過ぎず、限定の意図はない。
【0148】
本発明対象を、その特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、当然のことながら、当業者であれば、上述の内容を理解すれば、そのような実施形態の変更物、変形物、及び等価物を容易に生成可能である。従って、当然のことながら、本開示は、限定ではなく例示を目的として示されており、当業者であれば容易に明らかであろうように、本発明対象に対するそのような修正、変形、及び/又は追加を包含することを排除しない。