(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光学システム及び頭部装着型表示機器
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20241114BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241114BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B13/18
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2023527725
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2021140005
(87)【国際公開番号】W WO2023097812
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】202111449752.2
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523155456
【氏名又は名称】ゴアテック・オプティカル・テクノロジー・カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GOERTEK OPTICAL TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 1 Fab., Optical Park Phase 3, No. 3999, Huixian Road, Yongchun Community, Qingchi Sub-district Office, Weifang Hi-Tech Zone, Weifang, Shandong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】スン,チー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ポーガン
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211475(JP,A)
【文献】特開2018-101131(JP,A)
【文献】特開平07-244246(JP,A)
【文献】特開2000-002933(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114970(WO,A1)
【文献】特開2020-020935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
入射光の伝播方向に沿って順次に設けられた第三のレンズ(3)、第二のレンズ(2)及び第一のレンズ(1)
から構成され、
前記光学システムには、隣接して設けられた2つのフレネル面があり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースであ
り、
前記第一のレンズ(1)と前記第二のレンズ(2)との間に第一の間隔T1が設けられており、前記第一の間隔T1が0.2mm≦T1≦1mmに設定され、
前記第二のレンズ(2)と前記第三のレンズ(3)との間に第二の間隔T2が設けられており、前記第二の間隔T2が1mm≦T2≦3mmに設定され、
前記第一のレンズ(1)、前記第二のレンズ(2)及び前記第三のレンズ(3)が同一光軸上に位置することを特徴とする光学システム。
【請求項2】
前記第一のレンズ(1)及び前記第二のレンズ(2)の屈折力がともに正であり、前記第三のレンズ(3)の屈折力が負である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記第一のレンズ(1)と前記第二のレンズ(2)との隣接する2つの面がフレネル面であり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースである、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記第一のレンズ(1)が第一の表面(11)及び第二の表面(12)を含み、前記第二のレンズ(2)が第三の表面(21)及び第四の表面(22)を含み、
前記第二の表面(12)と前記第三の表面(21)とが隣接して設けられ、両方ともフレネル面として設定されており、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースであり、
前記第一の表面(11)及び前記第四の表面(22)がともに非球面である、ことを特徴とする請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
前記第三のレンズ(3)が第五の表面(31)及び第六の表面(32)を含み、前記第五の表面(31)及び前記第六の表面(32)のうちの少なくとも1つが非球面である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記第一のレンズ(1)と前記第二のレンズ(2)とは、材質が同じであり、両方ともCOP材料であり、
前記第三のレンズ(3)がOKP材料又はEP材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第一のレンズ(1)の有効焦点距離f1が20mm≦f1≦40mmであり、
前記第二のレンズ(2)の有効焦点距離f2が20mm≦f2≦40mmであり、
前記第三のレンズ(3)の有効焦点距離f3が-75mm≦f3≦-35mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記光学システムの有効焦点距離fが、15mm≦f≦25mmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の光学システムを含む、ことを特徴とする頭部装着型表示機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年11月30日に中国特許庁に出願された、出願番号が202111449752.2であり、発明名称が「光学システム及び頭部装着型表示機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、光学結像の技術分野に関し、より具体的に、本願は、光学システム及び頭部装着型表示機器に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、拡張現実(Augmented Reality、AR)技術及び仮想現実(Virtual Reality、VR)技術などは、スマートウェアラブル機器に適用され、急速に発展している。拡張現実技術及び仮想現実技術の核心部品は、いずれも表示光学システムである。表示光学システムの表示効果の良否によって、スマートウェアラブル機器の品質が直接に決定される。現在、スマートウェアラブル機器は、また、小型化、軽量化の要件を満たす必要があるから、表示光学システムにも、それに応じた要件が求められている。
【0004】
従来の関連技術では、VR機器を例とする。従来のVR機器の多くは、1枚式レンズと表示画面(display)との組み合わせによって形成された表示光学システムを用いている。しかし、光路結像要件に基づき、レンズが表示画面から遠く離れることになり、その結果、VR機器のサイズが大きくなり、製品の小型化に不利であり、更に、従来の光学構造は、一般的に重量も大きいことから、ユーザの装着時の使用体験が悪くなる恐れがある。また、現在のVR機器には、折り返し光路を採用する技術案もあり、この技術案は、VR機器の小型化、軽量化を実現できるが、製作コストが高く、光効率が低く(<25%)、ゴーストが生じるという問題がある。
【0005】
そのため、従来の表示光学システムを新たに設計する必要性が非常に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的は、光学システム及び頭部装着型表示機器の新しい技術案を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の1つの局面によれば、光学システムが提供されている。前記光学システムは、入射光の伝播方向に沿って順次に設けられた第三のレンズ、第二のレンズ及び第一のレンズを含み、
前記光学システムには、隣接して設けられた2つのフレネル面があり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベース(curved base)である。
【0008】
選択的に、前記第一のレンズ及び前記第二のレンズの屈折力がともに正であり、前記第三のレンズの屈折力が負である。
【0009】
選択的に、前記第一のレンズと前記第二のレンズとの隣接する2つの面がフレネル面であり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースである。
【0010】
選択的に、前記第一のレンズが第一の表面及び第二の表面を含み、前記第二のレンズが第三の表面及び第四の表面を含み、
前記第二の表面と前記第三の表面とが隣接して設けられ、両方ともフレネル面として設定されており、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースであり、
前記第一の表面及び前記第四の表面がともに非球面である。
【0011】
選択的に、前記第一のレンズと前記第二のレンズとの間に第一の間隔T1が設けられており、前記第一の間隔T1が0.2mm≦T1≦1mmに設定され、
前記第二のレンズと前記第三のレンズとの間に第二の間隔T2が設けられており、前記第二の間隔T2が1mm≦T2≦3mmに設定され、
前記第一のレンズ、前記第二のレンズ及び前記第三のレンズが同一光軸上に位置する。
【0012】
選択的に、前記第三のレンズが第五の表面及び第六の表面を含み、前記第五の表面及び前記第六の表面のうちの少なくとも1つが非球面である。
【0013】
選択的に、前記第一のレンズと前記第二のレンズとは、材質が同じであり、両方ともCOP材料であり、
前記第三のレンズがOKP材料又はEP材料である。
【0014】
選択的に、前記第一のレンズの有効焦点距離f1が20mm≦f1≦40mmであり、
前記第二のレンズの有効焦点距離f2が20mm≦f2≦40mmであり、
前記第三のレンズの有効焦点距離f3が-75mm≦f3≦-35mmである。
【0015】
選択的に、前記光学システムの有効焦点距離fが、15mm≦f≦25mmを満たす。
【0016】
本願のもう1つの局面によれば、頭部装着型表示機器が提供されている。
【0017】
前記頭部装着型表示機器は、上記のいずれか一種の光学システムを含む。
【発明の効果】
【0018】
本願の有益な効果は、次のとおりである。
【0019】
本願の実施例では、短焦点かつ軽量の光学構造設計案が提案されており、複数(例えば3つ)のレンズによってレンズ群を構成し、隣接して設けられた2つのフレネル面を光路構造内に設計し、少なくとも1つのフレネル面を曲面ベースに設計しており、曲面ベースの設計により、レンズのさらなる薄型及び軽量化が可能になるため、当該設計によれば、光学システムの総重量を軽減可能であり、光学システム全体の光学全長TTLも低減可能であるとともに、結像品質を向上させることができる。形成された光学システムは、例えば頭部装着型表示機器(例えばVR機器)に適用可能であり、頭部装着型表示機器の小型化、軽量化への開発動向の実現に寄与する。
【0020】
本願のその他の特徴及びその利点は、以下に図面を参照して本願の例示的な実施例について行われた詳しい説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例又は先行技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は先行技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかなことに、以下の説明における図面は本願の一部の図面に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、提供された図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0022】
【
図1】本願の実施例による光学システムの構造模式図である。
【
図2】本願の実施例による光学システムの結像原理の模式図である。
【
図3】本願の実施例1による光学システムのスポットダイアグラムである。
【
図4】本願の実施例1による光学システムの像面湾曲及び歪曲収差図である。
【
図5】本願の実施例1による光学システムの分散マップである。
【
図6】本願の実施例2による光学システムのスポットダイアグラムである。
【
図7】本願の実施例2による光学システムの像面湾曲及び歪曲収差図である。
【
図8】本願の実施例2による光学システムの分散マップである。
【
図9】本願の実施例3による光学システムのスポットダイアグラムである。
【
図10】本願の実施例3による光学システムの像面湾曲及び歪曲収差図である。
【
図11】本願の実施例3による光学システムの分散マップである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例における図面を参照して本願の実施例の技術案を説明するが、明らかなことに、記載された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて創造的な努力をせずに当業者によって得られた他の全ての実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0024】
以下の少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は、実際には単なる説明的なものであり、決して本願及びその適用又は使用に対するいかなる制限にはならない。
【0025】
当業者に知られている技術、方法及び機器については、詳細な説明がなされないかもしれないが、適切な場合には、かかる技術、方法及び機器は、明細書の一部とみなされるべきである。
【0026】
ここに示され議論される全ての例では、いずれの具体的な値も、制限とすべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。そのため、例示的な実施例の他の例では、異なる値を持っていてもよい。
【0027】
なお、類似する符号及び英文字は、以下の図面において類似項目を表し、従って、ある項目が1つの図面において定義されれば、以降の図面においてそれをさらに議論する必要がないことに注意すべきである。
【0028】
以下、
図1から
図11を参照して、本願の実施例による光学システム及び頭部装着型表示機器について、詳しく説明する。
【0029】
本願の実施例の1つの局面によれば、光学システムが提供されている。前記光学システムは、短焦点、軽量かつ高解像度の直接透過型光学システムであり、例えばVR機器(例えばVRメガネやVRヘルメット等)のような頭部装着型表示機器(head mounted display、HMD)といった電子機器に好適に適用され、良い応用が期待できる。
【0030】
本願の実施例による光学システムは、
図1及び
図2に示すように、入射光の伝播方向に沿って順次に設けられた第三のレンズ3、第二のレンズ2及び第一のレンズ1を含み、前記光学システムには、隣接して設けられた2つのフレネル面があり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースである。
【0031】
本願の実施例による光学システムは、直接透過型の光路構造設計であり、光路構造が比較的に簡単であるので、その製作が比較的に容易である。
【0032】
説明すべきなのは、前記光学システムが、表示画面(display)4をさらに含んでもよい。
【0033】
前記表示画面4は、光路構造内で光線を射出するために、即ち光学システムに入射光を提供するために使用可能である。
【0034】
つまり、本願の実施例による光学システムの技術案において、例えば3枚の光学レンズを含むレンズの組み合わせが1つ設計されて適用されており、
図1及び
図2に示すように、当該レンズの組み合わせは、例えば表示画面4の出光側の位置に配設され、具体的には、表示画面4から射出された入射光の伝播方向に位置し、前記入射光を人の目5に投射して結像するために使用可能であるため、光学システムの結像機能が実現される。
【0035】
本願の実施例による光学システムは、スポットサイズが小さく(spot size値が約50μm)、光学システム全体の結像品質が比較的に良い。
【0036】
本願の実施例による光学システムには、隣接して設けられた2つのフレネル面が備えられており、少なくとも1つのフレネル面が曲面ベースであり、従来の平面ベースのフレネル面のみを用いた技術案に比べると、曲面ベースのフレネル面を使用することで、光路構造設計の自由度を増加させ、結像品質のさらなる向上のための基礎を提供している。高鮮明度、短焦点の光学構造設計案の形成に寄与する。
【0037】
本願の実施例による光学システムは、技術案において少なくとも1つのフレネル面に曲面ベースが用いられているため、従来の平面ベースのフレネル面に比べて、結像品質を約25%(35μm VS 48μm)向上させ、光学全長TTL(Total Track Length)を約1mm減少させ、光学システム全体の総重量を約8.2%減少させることが可能である。これにより、形成された光学システムは、軽量化、小型化の特徴を持つと同時に、結像品質が良いという特徴も持つことになる。
【0038】
本願の実施例では、短焦点かつ軽量の光学構造設計案が提案されており、そのうち、複数のレンズ(例えば3つの光学レンズ)によってレンズ群を構成し、隣接して設けられた2つのフレネル面を光路構造内に設計し、少なくとも1つのフレネル面を曲面ベースとしており、曲面ベースのフレネル面の使用により、レンズのさらなる薄型及び軽量化が可能になり、当該設計によれば、光学システムの総重量を軽減可能であり、光学システム全体の光学全長TTLも低減可能であるとともに、結像品質を向上させることができる。このように形成された光学システムは、例えば頭部装着型表示機器(例えばVR機器)に適用可能であり、頭部装着型表示機器の小型化、軽量化のへの開発動向の実現に寄与する。
【0039】
総合的に比較すると、本願の実施例による技術案は、レンズが表示画面から遠く離れて、VR機器のサイズが大きくなり、製品の小型化に不利であり、光効率が低いという従来の1枚式レンズと表示画面(display)との組み合わせの技術案による問題を解消した。その同時に、折り返し光路を用いたことによる欠陥を改善することができ、その加工難易度及び生産コストが比較的低く、直接透過型の光学構造も、折り返し光路よりも簡単である。
【0040】
図1及び
図2に示すように、本願の実施例による光学システムは、例えば表示画面4をさらに含み、前記表示画面4が例えば高PPI(例えば、1.4インチ、画素サイズ(pixel size)24μm)である。その上では、通常の1枚式レンズ(1P)構造又は2枚式レンズ(2P)構造の何れも、このタイプの表示画面を解像するのに不十分である。その原因は次のとおりである。
【0041】
1枚式レンズ(1P)は、2つの表面の面形状の自由度の最適化しかできず、その集光能力に限界があり、収差又は色収差も補正できなく、全視野で解像可能な画素の大きさ(即ち、結像スポットサイズ;spot size)が約80μm~100μmであり、さらに肝心なことは、短焦点という目的を達成できない問題がある。
【0042】
2枚式レンズ(2P)は、レンズ表面の面形状の最適化の自由度を増加させており、短焦点を実現できるが、解析力の制限が依然として存在し、その全視野で解像可能な画素の大きさ(即ち、結像スポットサイズ;spot size)が約60μm~80μmである。
【0043】
これに対して、本願の実施例で用いられた光学レンズの組み合わせ構造は、解析力をさらに向上させることができ、色収差をある程度に補正することができ、直接透過型の短焦点光路構造を形成しており、光学システム全体の結像スポットサイズが小さく、スポットサイズ値が約50μmであり、結像効果が比較的に良い。
【0044】
本願のいくつかの例では、
図1及び
図2に示すように、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2の屈折力がともに正であり、前記第三のレンズ3の屈折力が負である。
【0045】
つまり、前記光学システム全体において、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2が例えばともに正レンズであり、前記第三のレンズ3が例えば負レンズである。こうして、2枚の正レンズと1枚の負レンズとの取り合わせにより、直接透過型の短焦点かつ高解析力の光路構造が形成される。
【0046】
前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2は、それぞれのフレネル面とわせて大きな屈折力(focal power)を提供可能である一方で、色収差の影響を考慮して、色収差をなくすために使用可能な負レンズである前記第三のレンズ3を用いており、負レンズの参加により、光路構造の低分散効果を実現可能となる、ということが理解できる。
【0047】
本願のいくつかの例では、
図1及び
図2に示すように、前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2との隣接する2つの面がフレネル面であり、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースである。
【0048】
光路構造全体では、隣接する2つのフレネル面のうちの少なくとも1つのフレネル面が曲面ベースであることが理解できる。
【0049】
より好ましくは、隣接する2つのフレネル面がともに曲面ベースに設計される。このように、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2をさらに薄型及び軽量化することができ、ひいては、光学システムの質量、TTL値を小さくすることができ、結像品質を向上させることもできる。
【0050】
もちろん、一方のフレネル面が曲面ベースであり、他方のフレネル面が平面ベースであり、両者が隣接して設けられていてもよい。当業者は、具体的な状況に応じて柔軟に選択可能であり、本願はここで具体的に限定しない。
【0051】
本願の1つの具体的な実施例において、
図1に示すように、前記第一のレンズ1が第一の表面11及び第二の表面12を含み、前記第二のレンズ2が第三の表面21及び第四の表面22を含み、
前記第二の表面12と前記第三の表面21とが隣接して設けられ、両方ともフレネル面として設定されており、少なくとも1つの前記フレネル面が曲面ベースであり、
前記第一の表面11及び前記第四の表面22がともに非球面である。
【0052】
さらに、前記第一の表面11及び前記第四の表面22がともに凸面である。
【0053】
選択的に、
図1に示すように、本願の実施例による光学システムにおいて、前記第一のレンズ1の第一の表面11が前記人の目5に直接に面し、前記第一の表面11に反射防止膜及び硬化膜がメッキされており、前記第一のレンズ1の第二の表面12と前記第二のレンズ2の第三の表面21とが隣接して設けられ、前記第二の表面12に反射防止膜がメッキされている。
【0054】
前記第一のレンズ1について、その第一の表面11と第二の表面12とは、面形状の設計が異なっている。前記第一の表面11が非球面(凸面)に設定され、前記第二の表面12が曲面ベースのフレネル面に設定されている。こうして、前記第一のレンズ1には、非球面と曲面ベースのフレネル面との2つの面形状の組み合わせが形成され、短焦点、高解像の効果を実現することができる。
【0055】
もちろん、前記第二の表面12は、平面ベースのフレネル面であってもよい。
【0056】
説明すべきなのは、本願の実施例では、また、前記第一のレンズ1の第一の表面11及び第二の表面12には、それぞれ少なくとも一層の反射防止膜(Anti-Reflective coating、AR)がメッキされるように設計されている。これは、前記第一のレンズ1の2つの表面にそれぞれ反射防止膜がメッキされた場合、前記反射防止膜によって反射光が低減されることで、正レンズの各表面での光線の透過率を高めることができるからである。
【0057】
例えば、前記第一のレンズ1の第一の表面11には、前記反射防止膜(AR)の他に、さらに硬化膜がメッキされていてもよい。これは、前記第一のレンズ1の第一の表面11が外部に面しているため、擦り傷、打ち傷などの損傷を回避する必要があり、前記硬化膜をメッキすることで、前記第一のレンズ1の使用寿命を延ばすことができるからである。前記第一の表面11に硬化膜をメッキすること、即ち、前記第一の表面11に対して硬化処理を行うことで、前記第一の表面11の硬度、強度等を向上させることができる。これは、光学システム全体の使用寿命を延ばすのに有利である。
【0058】
もちろん、本願の技術案では、前記第一のレンズ1の第一の表面11に硬化膜がメッキされているのに限られず、前記第一のレンズ1の第二の表面12にも硬化膜がメッキされていてもよく、当業者は、具体的なニーズに応じて柔軟に調整可能であり、本願はここで具体的に制限しない。
【0059】
また、本願の実施例では、前記第一のレンズ1は、以下のパラメータをさらに有する。
【0060】
例えば、前記第一のレンズ1の第一の表面11の半径R1の絶対値が、45mm≦Abs(R1)≦65mmを満たし、
前記第一のレンズ1の第二の表面12における曲面ベースの半径R0の絶対値が、40mm≦Abs(R0)≦200mmを満たし、前記第二の表面12の半径R2の絶対値が、20mm≦Abs(R2)≦40mmを満たし、
前記第一のレンズ1の第一の表面11及び第二の表面12の円錐係数K1の絶対値が、Abs(K1)≦10を満たす。
【0061】
本願の実施例では、前記第一のレンズ1の面形状を最適化した後、加工の難易度及びコストを考慮すると、前記第一のレンズ1の円錐係数(Conic Constant)、即ち上記のK1値を[-10,10]に設計し、かつ、前記第一のレンズ1の曲面ベースのフレネル面(即ち第二の表面12)の半径値を23mmよりも大きく設計することがより好ましい。
【0062】
本願のいくつかの例では、前記第二のレンズ2と前記第一のレンズ1とは、面形状の組み合わせ形態が同じであってもよく、
図1及び
図2に示すように、前記第二のレンズ2の前記第三の表面21がフレネル面であり(例えば、曲面ベースのフレネル面であり)、前記第二のレンズ2の前記第四の表面22が非球面(例えば、凸面)に設定される。
【0063】
説明すべきなのは、前記第一のレンズ1のフレネル面(即ち第二の表面12)が曲面ベースである場合、前記第二のレンズ2のフレネル面(即ち第三の表面21)が曲面ベースであってもよく、平面ベースであってもよい。
【0064】
選択的に、前記第三の表面21及び前記第四の表面22にも反射防止膜(Anti-Reflective coating、AR)がメッキされている。前記反射防止膜によって反射光が低減されることで、前記第二のレンズ2の2つの表面での光線の透過率を高められる。
【0065】
また、本願の実施例では、前記第二のレンズ2は、以下のパラメータをさらに有する。
【0066】
本願のいくつかの例では、前記第三の表面21における曲面ベースの半径R0'の絶対値が、60mm≦Abs(R0')≦170mmを満たし、前記第三の表面21の半径R3の絶対値が、20mm≦Abs(R3)≦40mmを満たし、
前記第四の表面22の半径R4の絶対値が、60mm≦Abs(R4)≦80mmを満たし、
前記第二のレンズ2の第三の表面21及び第四の表面22の円錐係数K2の絶対値が、Abs(K2)≦10を満たす。
【0067】
前記第二のレンズ2の面形状の組み合わせは、前記第一のレンズ1の面形状の組み合わせと同じである。
【0068】
前記第二のレンズ2の面形状を最適化した後、加工の難易度及びコストを考慮すると、前記第二のレンズ2の円錐係数(Conic Constant)、即ちK2値を例えば[-10,10]に設計し、かつ前記第二のレンズ2の曲面ベースのフレネル面(第三の表面21)の半径を23mmよりも大きく設計することがより好ましい。
【0069】
説明すべきなのは、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2がともにフレネル面を有する。レンズの面形状の加工を考慮すると、面形状のパラメータをある範囲内に設定する必要があり、さもなければ、加工精度が低かったり、カッタが破損したりするリスクがある(これは、歯形の加工が難しくて、歯形の鋭角が小さいほど、加工の傾斜角及び動作が難しくなるからである)。そのため、円錐係数K値を[-10,10]に設定し、フレネル面のR値を23mm以上に設定することが好ましい。
【0070】
例えば、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2がともに非球面と曲面ベースのフレネル面との組み合わせ形態を利用し、屈折率及びアッベ数の異なる材料の選択と取り合わせに基づいて、光路構造の低分散及び短焦点を実現することができる。
【0071】
本願のいくつかの例では、
図1及び
図2に示すように、前記第三のレンズ3が第五の表面31及び第六の表面32を含み、前記第五の表面31及び前記第六の表面32のうちの少なくとも1つが非球面である。
【0072】
本願の技術案の設計では、前記第三のレンズ3は、中央が薄く周辺が厚い負レンズ(屈折力が負)とされ、光を発散させる能力を有する。前記第三のレンズ3は、光路構造全体において色収差をなくすために使用可能である。
【0073】
前記第三のレンズ3は、例えば、両凹レンズ(即ち、2つの表面がともに凹面)であってもよいし、平凹レンズ(即ち、一方の表面が凹面で、他方の表面が平面)であってもよい。
【0074】
より好ましくは、前記第五の表面31が平面に設定され、前記第六の表面32が凹面に設定されている。即ち、光路構造において、前記第四の表面22と隣接する面が平面であり、前記表示画面4と隣接する面が凹面である。
【0075】
選択的に、前記第五の表面31及び前記第六の表面32には、ともに反射防止膜(Anti-Reflective coating、AR)がメッキされている。
【0076】
前記第三のレンズ3の2つの表面にそれぞれ反射防止膜がメッキされた場合、前記反射防止膜によって反射光が低減されることで、前記第三のレンズ3の2つの表面での光線の透過率を高めることができる。
【0077】
本願におけるレンズ群及びレンズの面形状の組み合わせは、高解析及び低分散の特徴を好適に実現している。
【0078】
また、本願の実施例では、前記第三のレンズ3は、以下のパラメータをさらに有する。
【0079】
前記第三のレンズ3の第五の表面31の半径R5の絶対値が、Abs(R5)≧200mmを満たし、前記第三のレンズ3の第六の表面32の半径R6の絶対値が、30mm≦Abs(R6)≦60mmを満たし、前記第三のレンズ4の第五の表面31及び第六の表面32の円錐係数K3の絶対値が、Abs(K3)≦10を満たす。
【0080】
本願の1つの具体的な例において、
図1に示すように、前記光学システムは、表示画面4と、前記第一のレンズ1と、前記第二のレンズ2と、前記第三のレンズ3とを含んでもよく、前記表示画面4が表示光源とされ、前記第一のレンズ1及び前記第二のレンズ2が、非球面と曲面ベースのフレネル面とによって形成された光学素子とされ、前記表示画面4に近い側の前記第三のレンズ3が負レンズとして設定される。各レンズの各表面のいずれにも反射防止膜のメッキ(AR)処理が行われ、また、前記第一のレンズ1の第一の表面11には、硬化膜による硬質化や反射防止膜処理も行われている。そのうえ、
図2に示すように、前記表示画面4から射出された光線は、反射防止膜がメッキされた前記第三のレンズ3の第六の表面32を経て前記第三のレンズ3の内部に入り込み、前記第三のレンズ3を経た伝達光線は、発散されてから前記第二のレンズ2に入り込み、前記第二のレンズ2の2つの表面の両方にも反射防止膜がメッキされているため、光線は、前記第二のレンズ2を経て集光され、そして、前記第一のレンズ1に入り込み、前記第一のレンズ1も集光する正レンズであり、前記第一のレンズ1の光線伝送を経た後、人の目5に入り込んで結像する。光学システム全体に光路の折り返しがなく、かつ、各レンズの表面のいずれにも反射防止膜がメッキされているため、光線の伝達効率が高い。
【0081】
本願の実施例の設計では、前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2との間に第一の間隔T1が設けられており、前記第三のレンズ3と前記第二のレンズ2との間に第二の間隔T2が設けられており、そのうち、前記第二の間隔T2が前記第一の間隔T1よりも大きい。
【0082】
本願のいくつかの例では、前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2との間に第一の間隔T1が設けられており、前記第一の間隔T1が0.2mm≦T1≦1mmに設定され、前記第二のレンズ2と前記第三のレンズ3との間に第二の間隔T2が設けられており、前記第二の間隔T2が1mm≦T2≦3mmに設定され、前記第一のレンズ1、前記第二のレンズ2及び前記第三のレンズ3が同一光軸上に位置する。
【0083】
本願の実施例による技術案において、前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2との間に狭いサイズの空気間隔が設けられているとともに、前記第二のレンズ2と前記第三のレンズ3との間にも狭い空気間隔が設けられている。本願の技術案では、各レンズ間の空気間隔に対して最適化設計を行うことで、光学システム全体の小型化の実現に寄与する。
【0084】
また、前記光学システムに表示画面4がさらに設けられている場合、各レンズの間隔を合理的に配置した後、前記第三のレンズ3と前記表示画面4との間の間隔寸法も考慮する必要がある。
【0085】
例えば、前記第三のレンズ3と前記表示画面4との間に第三の間隔T3が設けられている。
【0086】
選択的に、前記第三の間隔T3が5mm≦T3≦15mmに設定される。
【0087】
本願のいくつかの例では、前記第一のレンズ1と前記第二のレンズ2とは、材質が同じであり、両方ともCOP材料であり、前記第三のレンズ3がOKP材料又はEP材料である。
【0088】
COP材料、OKP材料、EP材料は、いずれも光透過性の樹脂材料であり、質量が軽く、これらの材料を用いてレンズを製作することにより、レンズ群の質量を低減し、軽量化を実現することができる。
【0089】
各レンズについて、材料の選択上、短焦点及び色収差の考慮に基づき、高屈折率及び高・低アッベ数の材料の組み合わせを選択して最適化設計を行う。
【0090】
当業者は、実際のニーズに応じて前記第一のレンズ1、前記第二のレンズ2及び前記第三のレンズ3の材質を合理的に選択することができ、上記の材料の種類に限定されるものではない。
【0091】
本願のいくつかの例では、前記第一のレンズ1の中心厚さ値h1が2mm≦h1≦4mmであり、前記第二のレンズ2の中心厚さh2が3mm≦h2≦5mmであり、前記第三のレンズ3の中心厚さh3が2mm≦h3≦4mmである。
【0092】
各レンズの厚さが厚すぎないので、光路構造全体の重量を低減させるのに有利である。
【0093】
本願のいくつかの例では、前記第一のレンズ1の有効焦点距離f1が20mm≦f1≦40mmであり、
前記第二のレンズ2の有効焦点距離f2が20mm≦f2≦40mmであり、
前記第三のレンズ3の有効焦点距離f3が-75mm≦f3≦-35mmである。
【0094】
説明すべきなのは、本願において、前記第一のレンズ1の有効焦点距離f1及び前記第二のレンズ2の有効焦点距離f2がともに前記光学システムの有効焦点距離fよりも大きい。前記第一のレンズ1の有効焦点距離f1と前記第二のレンズ2の有効焦点距離f2との和が、前記光学システムの有効焦点距離fの絶対値よりも大きい。
【0095】
本願のいくつかの例では、前記光学システムの有効焦点距離fが、15mm≦f≦25mmを満たす。
【0096】
本願では、短焦点の光学システムが提供されている。光学システム全体に光路の折り返しがなく、直接透過型の光学システムになっており、高鮮明の結像を実現できる。
【0097】
以下は、本願の実施例による技術案の1つの適用例である。
【0098】
(1)1.4インチの表示画面4と合わせて90度の視野角を実現した。
(2)歪曲収差が34.5%よりも小さく、像面湾曲が0.6mmよりも小さい。
(3)色収差が158μmよりも小さい。虚像距離が1500mmである。
(4)視野全体でスポットサイズがいずれも35μmよりも小さく、可視光帯域(450nm~630nm)での鮮明な結像を実現した。
(5)光学システム全体の有効焦点距離が18.4mmである。
【0099】
[実施例1]
実施例1では、光学システムが提供されており、表1によって光学システムの構造パラメータが示されている。
【0100】
表1には、人の目5(絞り)から表示画面4まで順に番号付けられた光学面番号(Surface)、光軸上での各光学面の曲率(C)、人の目5(絞り)から表示画面4までの光軸上での各光学面と次の光学面との距離(T)、及び、偶数次の非球面係数α2、α3、α4がそれぞれ示されている。
【0101】
そのうち、非球面係数は以下の方程式を満たすことが可能である。
【数1】
【0102】
式(1)において、zは光軸方向に沿った座標、Yは、レンズ長単位を単位としたラジアル座標、Cは曲率(1/R)、Kは円錐係数(Conic Constant)、αiは各高次項の係数、2iは非球面の高乗(the order of Aspherical Coefficient)であり、本願の技術案設計では、像面湾曲のなだらかさを考慮して、高次項のない球面係数は、4次までとする。
【0103】
【0104】
実施例1の光学システムの性能の良否は、次のようなパラメータで反映される。
【0105】
図3に示すように、スポットサイズは、最大視野1.0Fで最大となり、その最大値が35μmよりも小さい。
図4に示すように、T&S方向の像面湾曲は、いずれのRGB波長についても、0.5mmよりも小さく、歪曲収差は、最大視野位置で最大となり、34.5%未満である。
図5に示すように、RGBの最大分散は、最大視野位置にあり、450nm~610nmのRGB全体で、LCAが158nmである。
【0106】
[実施例2]
実施例2では、光学システムが提供されており、表2によって光学システムの構造パラメータが示されている。
【0107】
【0108】
最適な結像品質を達成した面形状パラメータの中で、
前記第一のレンズ1の第二の表面12が曲面ベースのフレネル面であり、その半径値が40mmである。一方、40mmよりも小さい場合、結像品質が低下する。
【0109】
前記第一のレンズ1の第二の表面12の半径値が40mmである時、対応する前記第二のレンズ2の第三の表面21(曲面ベースのフレネル面)の曲面ベースの半径が170mmである。
【0110】
実施例2の光学システムの性能の良否は、次のようなパラメータで反映される。
【0111】
図6に示すように、スポットサイズは、最大視野1.0Fで最大となり、その最大値が30μmよりも小さい。
図7に示すように、T及びS方向の像面湾曲は、いずれのRGB波長についても、0.5mmよりも小さく、歪曲収差は、最大視野で最大となり、31%未満である。
図8に示すように、RGBの最大分散は、最大視野位置にあり、450nm~630nmのRGB全体で、LCAが160nmである。
【0112】
[実施例3]
実施例3光学システムが提供されており、表3によって光学システムの構造パラメータが示されている。
【0113】
【0114】
最適な結像品質を達成した面形状パラメータの中で、
前記第一のレンズ1の第二の表面12が曲面ベースのフレネル面であり、その半径値が200mmである。一方、200mmよりも大きい場合、結像品質が低下する。
【0115】
前記第一のレンズ1の第二の表面12の半径値が40mmである時、対応する前記第二のレンズ2の第三の表面21(曲面ベースのフレネル面)の曲面ベースの半径が62mmである。
【0116】
実施例3の光学システムの性能の良否は、次のようなパラメータで反映される。
【0117】
図9に示すように、スポットサイズは、最大視野0.9Fで最大となり、その最大値が31μmよりも小さい。
【0118】
図10に示すように、T&S方向の像面湾曲は、いずれのRGB波長についても、0.5mmよりも小さく、歪曲収差は、最大視野で最大となり、38%未満である。
【0119】
図11に示すように、RGBの最大分散は、最大視野位置にあり、450nm~630nmのRGB全体で、LCAが140nmである。
【0120】
本願の実施例では、折り返し光路に係らない短焦点の光学システムが提供されている。
【0121】
(1)3枚(又はそれ以上)のレンズの組み合わせによって超短焦点を実現した。
(2)非球面と曲面ベースのフレネル面との面形状の組み合わせ形態を利用して、狭い空気間隔、ひいては短いTTLを実現した。
(3)異なる屈折率及びアッベ数の選択と取り合わせにより、光路の低分散を実現した。
(4)2つの凸レンズと凹レンズとの組み合わせにより、高解析及び低分散の特徴を実現した。
【0122】
本願のもう1つの局面によれば、頭部装着型表示機器が提供されている。
【0123】
前記頭部装着型表示機器は、上記のいずれか一種の光学システムを含む。
【0124】
前記頭部装着型表示機器は、例えばVR機器である。
【0125】
上記の実施例では、各実施例の違いに重点を置いて述べたが、各実施例間の異なる最適化特徴は、矛盾しない限り、それらを組み合わせてより良い実施例を形成することができ、文章の簡潔さを考慮して、ここでは繰り返して説明しない。
【0126】
例を通じて本願のいくつかの特定実施例を詳しく説明したが、上記の例が説明のためのものであり、本願の範囲を制限するためのものではないことは、当業者が理解すべきである。当業者は、本願の範囲及び精神を逸脱することなく、上記の実施例を変更可能であることを理解すべきである。本願の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0127】
1、第一のレンズ;2、第二のレンズ;3、第三のレンズ;4、表示画面;5、人の目;
11、第一の表面;12、第二の表面;
21、第三の表面;22、第四の表面;
31、第五の表面;32、第六の表面。