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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】管理装置、実装システム及び生産方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241114BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023529308
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2021023752
(87)【国際公開番号】W WO2022269791
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 高光
(72)【発明者】
【氏名】山村 記充
(72)【発明者】
【氏名】安形 功
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-73730(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187036(WO,A1)
【文献】特開2018-37594(JP,A)
【文献】特開2019-71429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、該移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な前記実装装置である1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する前記実装装置である1以上の手動機と、を含む実装システムに用いられる管理装置であって、
前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材を分配すると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材を分配し、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを含む生産計画情報を作成する制御部、
を備えた管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記手動機へ装着される前記供給部材がより少なくなるよう前記手動機に装着する前記供給部材を分配する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記手動機でのみ取り扱い可能な前記供給部材を該手動機に分配し、該供給部材の装着位置をより共通化した前記共通セットアップを設定する、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記実装システムは、複数の前記自動機を有し、
前記制御部は、それぞれの前記自動機が要する処理時間がより短くなるよう各自動機へ前記供給部材を分配する、請求項1~3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記実装システムは、複数の前記自動機を有し、
前記制御部は、それぞれの前記自動機が要する処理時間の均一化を図るよう各自動機へ前記供給部材を分配する、請求項1~4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記実装システムは、複数の前記自動機を有し、
前記制御部は、前記自動機の処理時間が所定の許容範囲外であるときには、前記自動機に分配されたいずれか1以上の前記供給部材を前記手動機側へ分配する、請求項1~5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、複数種別の前記処理対象物の生産での共通使用に基づく共通度がより高い前記部品を保持した前記供給部材、標準部品に対して使用数がより少ない前記部品を保持した前記供給部材、及び標準部品に対して大型である前記部品を保持した前記供給部材のうち1以上を含む分配条件を満たす該供給部材を前記手動機側へ分配する、請求項1~6のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記自動機と前記手動機とで要する処理時間の均一化を図るよう該自動機と該手動機とへ前記供給部材を分配する、請求項1~7のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記実装システムは、前記処理対象物に粘性流体を形成する印刷装置、前記処理対象物を検査する検査装置、前記処理対象物を搬送する搬送装置及び実装処理された処理対象物をリフローするリフロー装置のうち1以上を含む実装関連装置を含み、
前記制御部は、前記実装関連装置での基準処理時間の範囲内になるよう前記供給部材を前記自動機及び前記手動機に分配する、請求項1~8のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、
前記移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する1以上の手動機と、を含む複数の実装装置と、を備え、
前記実装装置は、前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材が分配されると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材が分配されて設定された生産計画情報に含まれる、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを用いて実装処理を行う、
実装システム。
【請求項11】
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、該移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な前記実装装置である1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する前記実装装置である1以上の手動機と、を含む実装システムに用いられる生産方法であって、
前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材が分配されると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材が分配された、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを含む生産計画情報を用いて実装処理を実行する、
生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、管理装置、実装システム及び生産方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装システムとしては、各品種の基板間で使用される部品の共通度レベルから共通部品と非共通部品とに分類し、共通部品に全品種の基板の装着作業を通じて同一位置となるように配列位置を固定的に与え、他方、上記非共通部品を部品供給部の非優先配列位置に割当て、これら非共通部品に各品種の基板毎に対応する位置となるように配列位置を個別的に与えて、部品配列位置を決定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この実装システムでは、多品種少量生産の実装機の生産効率を向上させることができる、としている。また、実装システムとしては、部品を保持したフィーダを移動型作業装置により自動交換する実装装置を有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-107197号公報
【文献】国際公開第2018/179147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実装システムとしては、部品を保持したフィーダを自動交換する実装装置と、フィーダを作業者が手動で交換する実装装置とを含んで構成された生産ラインとすることがある。しかしながら、上述した実装システムでは、そのような構成については検討されていなかった。このような実装システムにおいて、より効率化を図ることが求められていた。
【0005】
本開示は、部材を自動交換する自動機と部材を手動交換する手動機とを含む実装システムにおいて、より効率化を図ることができる管理装置、実装システム及び生産方法を提供することを主目的とする。
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の管理装置は、
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、該移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な前記実装装置である1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する前記実装装置である1以上の手動機と、を含む実装システムに用いられる管理装置であって、
前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材を分配すると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材を分配し、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを含む生産計画情報を作成する制御部、
を備えたものである。
【0008】
この管理装置では、手動で供給部材を交換する実装装置の手動機においては、共通セットアップを主とすることによって、各種の処理対象物の生産を切り替える際の段取り替えの頻度をより低減することができる。また、この管理装置では、自動で供給部材を交換する実装装置の自動機においては、個別セットアップを主とすることによって、実装処理をより高速に実行することができる生産ジョブを各々設定することができる。したがって、この管理装置では、自動機と手動機との事情を加味した生産計画情報を作成可能であり、処理対象物の生産に対して、より効率化を図ることができる。ここで、「個別セットアップを主とする傾向」とは、例えば、個別セットアップ以外を一部含むことを許容し、全体としては個別セットアップが主となるものをいうものとする。また、「共通セットアップを主とする傾向」とは、例えば、共通セットアップ以外を一部含むことを許容し、全体としては共通セットアップが主となるものをいうものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10の一例を示す概略説明図。
図2】実装装置15及びローダ18の構成の概略を示す説明図。
図3】記憶部63に記憶された情報の一例を示す説明図。
図4】生産計画情報作成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図5】最短モードで供給部材を分配する処理の一例を示す説明図。
図6】最適モードで供給部材を分配する処理の一例を示す説明図。
図7】他の生産計画情報64Bの一例を示す説明図。
図8】他の生産ジョブ65Bの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本開示である実装システム10の一例を示す概略説明図である。図2は、実装装置15及び移動型作業装置であるローダ18の構成の概略を示す説明図である。図3は、管理装置60の記憶部63に記憶された生産計画情報64及び生産ジョブ65の一例を示す説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1、2に示した通りとする。
【0011】
実装システム10は、例えば、処理対象物としての基板S(図2参照)に部品Pを実装する処理を行う装置が基板Sの搬送方向に配列された生産ラインとして構成されている。ここでは、処理対象物を基板Sとして説明するが、部品Pを実装するものであれば特に限定されず、3次元形状の基材としてもよい。この実装システム10は、図1に示すように、印刷装置11と、印刷検査装置12と、保管装置13と、保管PC13aと、自動搬送車14と、実装装置15と、実装検査装置16と、搬送装置17と、ローダ18と、リフロー装置19と、管理装置60などを含んで構成されている。この実装システム10では、実装装置15として、移動型作業装置としてのローダ18により供給部材が自動交換可能な1以上の自動機15aと、供給部材を手動で交換する1以上の手動機15bとが含まれている。ここでは、説明の便宜として、自動機15aを4台、手動機15bを2台有する実装システム10を一例として説明する。
【0012】
印刷装置11は、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などの粘性流体を基板Sに印刷する装置である。印刷検査装置12は、印刷された粘性流体の状態を検査する装置である。保管装置13は、実装装置15で用いられる供給部材としてのフィーダ25を保管する保管場所である。保管装置13は、印刷検査装置12と実装装置15との間の搬送装置の前方下部に設けられている。保管PC13aは、保管装置13で保管しているフィーダ25を管理する装置である。実装検査装置16は、基板Sに実装された部品Pの状態などを検査する装置である。搬送装置17は、基板Sを下流側の装置へ搬送する装置である。この搬送装置17の前方下部には、作業者Wが交換する供給部材などが保管される。リフロー装置19は、粘性流体が印刷され部品Pが実装された基板Sをリフローする装置である。
【0013】
保管装置13は、図1に示すように、実装装置15で用いられる供給部材としてのフィーダ25を一時的に保管する装置である。保管装置13は、基板Sを搬送する搬送装置と情報を管理する保管PC13aとを有し、印刷検査装置12と実装装置15との間に設けられている。保管装置13は、後述する部品供給部24と同様の装着部を有している。フィーダ25がこの装着部に接続されると、フィーダ25のコントローラは、保管装置13に接続された保管PC13aへフィーダ25の情報を出力する。なお、保管装置13では、自動搬送車14によりフィーダ25が運ばれるほか、作業者Wによりフィーダ25が運ばれてもよい。
【0014】
自動搬送車14は、実装システム10で用いられる部材、例えば、印刷装置11が用いる印刷関連部材の搬送や、ローダ18が用いる実装関連部材の搬送を行う。この自動搬送車14は、例えば、印刷関連部材や実装関連部材などを図示しない倉庫と保管装置13との間で自動搬送する。実装関連部材には、例えば、供給部材としてのフィーダ25のほか、支持部材23、採取部材としての実装ヘッド32及びノズル33などが含まれる。なお、ここでは、自動搬送車14は、主としてフィーダ25を搬送するものとして説明する。この自動搬送車14は、予め定められた走路を移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)としてもよいし、周囲を検知して自由なルートで目的地まで移動するAMR(Autonomous Mobile Robot)としてもよい。
【0015】
実装装置15は、部品を採取して基板Sへ実装させる装置である。実装装置15は、実装制御部20と、基板処理部22と、部品供給部24と、実装部30と、撮像部34と、ノズルステーション35と、操作パネル36と、通信部37と通信部37とを備える。実装制御部20は、図2に示すように、CPU21を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。この実装制御部20は、基板処理部22や部品供給部24、実装部30、撮像部34、操作パネル36へ制御信号を出力し、基板処理部22や部品供給部24、実装部30、撮像部34、操作パネル36からの信号を入力する。実装制御部20は、部品Pの情報や部品Pを基板Sへ実装する配置順、配置位置、部品Pを採取するフィーダ25の装着位置などの情報が含まれる生産ジョブなどが記憶された記憶部を有している。この記憶部に記憶される生産ジョブは、図3に例示した生産ジョブ65と同様の情報を含む。
【0016】
基板処理部22は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うと共に、基板Sを支持部材23により下方から支持する処理を行う。基板処理部22は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。支持部材23は、台座であるバックアッププレートと、基板Sに応じて任意の位置に配置されるバックアップピンなどによって構成される。このバックアップピンは、実装部30によってバックアッププレートの所定位置に配置されるものとしてもよい。
【0017】
部品供給部24は、実装部30へ部品Pを供給するユニットである。この部品供給部24は、部品を保持した保持部材としてのテープを巻き付けたリールを含む供給部材としてのフィーダ25を1以上の装着部に装着している。部品供給部24は、図2に示すように、装置前方にフィーダ25を装着可能な上下2つの装着部を有する。上段は実装部30が部品を採取可能な実装用装着部26であり、下段は実装部30が部品を採取できないバッファ用装着部27である。なお、ここでは、実装用装着部26及びバッファ用装着部27を装着部と総称する。この部品供給部24は、所定間隔でX方向に複数配列されフィーダ25のレール部材が挿入されるスロット38と、フィーダ25の先端に設けられたコネクタが挿入される接続部39とが配設されている。フィーダ25は、図示しないコントローラを備えている。このコントローラは、フィーダ25に含まれるテープのIDや部品種別、部品残数などの情報を記憶している。フィーダ25が接続部39に接続されると、このコントローラはフィーダ25の情報を実装制御部20へ送信する。
【0018】
部品供給部24は、部品Pを複数配列して載置する供給部材としてのトレイを有するトレイユニット28を備えているものとしてもよい。例えば、手動機15bは、トレイユニット28を備えているものとしてもよい。このトレイユニット28は、テープに保持できない大型部品などを供給する際に用いられる。トレイユニット28は、部品Pを保持するトレイと、トレイを上下及び前後動させる移動部とを備え、収容位置と採取位置との間でトレイを移動する。また、部品供給部24は、部品Pとしてのウエハを供給するウエハユニットを備えるものとしてもよい。
【0019】
実装部30は、部品Pを部品供給部24から採取し、基板処理部22に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部30は、ヘッド移動部31と、実装ヘッド32と、ノズル33とを備えている。ヘッド移動部31は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド32は、1以上の部品を採取してヘッド移動部31によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド32は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド32の下面には、1以上のノズル33が取り外し可能に装着されている。ノズル33は、負圧を利用して部品を採取するものである。ノズル33は、部品Pの種別やサイズごとに適応した複数の種別がある。実装ヘッド32は、複数種別あり、その種別ごとに装着可能なノズル33の種別及び数が設定されている。実装ヘッド32は、例えば、大型部品用では1又は2個のノズル33を装着可能であり、汎用部品用では4個、6個、8個、12個及び16個のいずれかのノズル33を装着可能に設定されている。なお、部品を採取する採取部材は、ノズル33のほか部品を機械的に保持するメカニカルチャックなどとしてもよい。
【0020】
撮像部34は、上方を撮像するカメラであり、実装ヘッド32に保持された部品Pなどを撮像する。撮像部34は、図1に示すように、実装ヘッド32に採取され保持された1以上の部品Pの画像を撮像する装置である。この撮像部34は、部品供給部24と基板処理部22との間に配置されている。この撮像部34の撮像範囲は、パーツカメラ17の上方である。撮像部34は、部品Pを保持した実装ヘッド32が撮像部34の上方を通過する際、1又は2以上の画像を撮像し、撮像画像を実装制御部20へ出力する。実装制御部20は、撮像部34の撮像画像によって、部品Pの採取位置や形状などを確認することができる。ノズルステーション35は、実装部30に用いられる各種のノズル33を待機させる収容部である。操作パネル36は、作業者Wからの入力を受け付けると共に作業者Wへ情報を提示するユニットである。この操作パネル36は、実装装置15の前面に配設されており、ディスプレイである表示部と、タッチパネル式及びボタンを有する操作部とを備えている。通信部37は、保管PC13aや管理装置60などの外部機器と情報のやりとりを行うインタフェースである。
【0021】
ローダ18は、移動型作業装置であり、実装システム10の正面の移動領域内で移動し、実装装置15のフィーダ25を自動で回収及び補給する装置である。このローダ18は、移動制御部50と、記憶部52と、収容部53と、交換部54と、移動部55と、通信部58とを備えている。移動制御部50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。記憶部52は、例えばHDDなど、処理プログラムなど各種データを記憶するものであり、交換作業に関する情報などが記憶される。収容部53は、フィーダ25を収容する収容空間を有する。この収容部53は、例えば、4つのフィーダ25を収容可能に構成されている。交換部54は、フィーダ25を出し入れすると共に上下段に移動させる機構である(図2参照)。交換部54は、フィーダ25をクランプするクランプ部と、クランプ部をY軸方向(前後方向)に移動させるY軸スライダと、クランプ部をZ軸方向(上下方向)に移動させるZ軸スライダとを有している。交換部54は、実装用装着部26でのフィーダ25の装着及び装着解除と、バッファ用装着部27でのフィーダ25の装着及び装着解除を実行する。移動部55は、実装装置15の正面に配設されたX軸レール29に沿ってローダ18をX軸方向(左右方向)へ移動させる機構である。通信部58は、保管PC13aや実装装置15などの外部機器と情報のやりとりを行うインタフェースである。このローダ18は、現在位置や実行した作業内容を保管PC13aへ出力する。ローダ18は、供給部材として、フィーダ25を自動着脱可能であるが、そのほか、実装関連部材や印刷関連部材などを回収、補給するよう構成してもよい。
【0022】
管理装置60(図1参照)は、実装システム10の各装置の情報を管理するサーバとして構成されている。管理装置60は、装置全体の制御を司る管理制御部61と、各種情報を記憶する記憶部63と、実装システム10や自動搬送車14、ローダ18などの外部装置と双方向通信を行う通信部68とを備えている。管理装置60は、部品の実装処理に用いられる生産計画情報64や、生産計画情報64に含まれる生産ジョブ65を作成、管理するほか、実装システム10の情報を取得、管理する。
【0023】
図3に示すように、記憶部63には、各基板Sの生産ジョブ65を含む生産計画情報64が記憶されている。生産ジョブ65は、生産する製品としての基板Sごとに設定されている。この生産ジョブ65は、特定の基板Sに配置される部品Pの種別及び数の情報や、部品Pを保持したフィーダ25の装着位置、部品Pを基板Sへ実装する配置順や配置位置などの情報が含まれている。図3では、フィーダ25が装着される位置などのイメージを示した。実装装置15には、それぞれに対するフィーダ25の装着位置として、個別セットアップと、共通セットアップとが含まれる。個別セットアップは、複数種別の処理対象物としての基板Sの生産のそれぞれにおいて、個別の位置に供給部材としてのフィーダ25を装着するセットアップである。また、共通セットアップは、複数種別の処理対象物としての基板Sの生産において、共通した位置に共通した部品Pを保持した供給部材としてのフィーダ25を装着するセットアップである。個別セットアップは、それぞれの基板Sの生産において独自の位置にフィーダ25を装着可能であるため、より時間短縮可能であるが、生産を切り替える段取り替え時にフィーダ25の装着解除及び装着を多数行う必要がある。一方、共通セットアップは、複数の基板Sの生産に亘って同じ位置に同じ部品Pを保持したフィーダ25を装着するため、段取り替え時にフィーダ25の移動は不要であるが、時間短縮などの柔軟性には欠けることがある。なお、共通セットアップでは、生産に用いないフィーダ25を装着したままにする場合があり、スロット消費の柔軟性にも欠けることがある。管理装置60は、例えば、フィーダ25をローダ18で自動交換する自動機15aでは、個別セットアップを主とする傾向とする一方、作業者Wが手動交換する手動機15bでは、共通セットアップを主とする傾向でフィーダ25を分配した生産計画情報64を作成する。このため、生産計画情報64は、手動機15bでは、作業者Wの作業量をより低減しつつ、自動機15aでは、より効率的な生産を実行することができる。ここで、特定の「セットアップを主とする傾向」とは、例えば、特定のセットアップ以外のセットアップを一部含むことを許容し、全体としてはそのセットアップが主となるものをいうものとする。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず、生産計画情報64を作成する処理について説明する。図4は、管理装置60の管理制御部61により実行される生産計画情報作成処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、管理装置60の記憶部63に記憶され、複数の基板Sの生産を含む生産計画を作成する際に作業者Wの入力に基づいて実行される。このルーチンを開始すると、まず、CPU62は、今回の生産計画で製造される全ての処理対象物である基板Sの情報を取得する(S100)。CPU62は、例えば、製品である基板Sのデータから、部品Pの種別、部品数などを取得し、実装システム10の構成から、実装装置15の自動機15aや手動機15bのモジュール数や装着部数などを取得する。次に、CPU62は、今回作成する生産ジョブ65を設定する(S110)。CPU62は、例えば、図3に示す製品1から順に作成する製品の生産ジョブを設定するものとする。
【0025】
次に、CPU62は、設定した製品において、基板Sの製品数、及び部品数、部品供給部24の装着部の数などから、使用するフィーダ25やトレイなどの供給部材の種別や個数を設定する(S120)。CPU62は、装着部の総数を超えない範囲内において、所定の単位数(例えば1千個や1万個など)を超えて配置する部品P(多数部品)に対しては、その単位数に応じた複数のフィーダ25を設定する。次に、CPU62は、手動機15bでのみ取り扱い可能な部品Pを保持したフィーダ25やトレイなどの供給部材を手動機15bへ分配する(S130)。このとき、実装システム10に手動機15bが複数あるときには、CPU62は、例えば、処理する部品数が均等になるように、各手動機15bにフィーダ25を分配する処理を行う。このように、手動機15bに対して供給部材が分配されることから、最低限の供給部材が手動機15bへ分配される。次に、CPU62は、処理する部品数が均等になるように、残りの供給部材を各自動機15aに分配する処理を行う(S140)。なお、供給部材を分配するに際して、CPU62は、できるだけ同じノズル33で採取できる部品Pが同じ装置に装着されるように、供給部材を分配するものとしてもよい。このように、CPU62は、全ての供給部材を仮の状態で各装置に分配する。
【0026】
次に、CPU62は、基板Sの製造で選択されているモードが何であるかを判定する(S150)。この実装システム10では、一例として、最短モードや最適モードを有する場合について説明する。最短モードは、各自動機15aの処理時間が最短になるよう供給部材を分配するモードである。最適モードは、実装システム10が有する、印刷装置11や印刷検査装置12、実装検査装置16、搬送装置17及びリフロー装置19など、実装装置15以外の他装置の処理時間(基準処理時間と称する)に合わせて供給部材を分配するモードである。実装システム10では、最も時間を要する装置で処理が滞ることから、この最適モードは、この装置に基づいて定められた基準処理時間以内であれば、各実装装置15での処理時間を均等又は最短にまでしないモードである。作業者Wは、事前に選択モードを設定しておくものとしてもよいし、この時点で選択モードを入力するものとしてもよい。なお、ここでは、最短モードや最適モードを説明するが、実装システム10は、これらのうちいずれか1つのモードのみとしてもよいし、これに加えて又はこれに代えて他のモードを有するものとしてもよい。
【0027】
S150において、選択モードが最短モードであるときには、CPU62は、最短モードに応じた供給部材の分配処理を実行する(S160~S210)。図5は、最短モードで供給部材を分配する処理の一例を示す説明図であり、図5Aが初期状態、図5Bが自動機15aでの再分配処理、図5Cが手動機15bへの再分配処理である。ここでは、フィーダ25を供給部材として説明する。この処理では、CPU62は、まず、各実装装置15に分配されたフィーダ25の装着位置を設定する(S160)。CPU62は、実装ヘッド32による採取、移動、配置に関する作業効率がより高くなるよう、フィーダ25の装着位置を設定する。特に、自動機15aでは個別セットアップを主とし、手動機15bでは共通セットアップを主としてフィーダ25の装着位置を仮設定する。例えば、実装装置15では、部品Pを採取したのち撮像部34で撮像して部品Pを確認することから、CPU62は、例えば、最も使用頻度の高いフィーダ25を撮像部34により近い装着部に装着させるようフィーダ25の装着位置を設定するものとしてもよい。また、CPU62は、実装ヘッド32へ同時に採取される頻度が高いなど、関連度がより高いフィーダ25同士をより近くに配置する装着位置を設定するものとしてもよい。CPU62は、上記条件に沿って、それぞれの実装装置15に対して、フィーダ25の装着位置を設定する。
【0028】
次に、CPU62は、設定されたフィーダ25の装着位置に基づいてそれぞれの実装装置15が要する処理時間を計算する(S170)。CPU62は、例えば、所定の基板数(例えば、10枚など)を処理する際の処理時間を、実装ヘッド32の移動時間を含めて計算する(図5A)。次に、CPU62は、各自動機15aでの処理時間が均一であるか否かを判定する(S180)。CPU62は、処理時間のそれぞれが所定のマージン内(例えば10%以内など)にあるか否かを判定するものとしてもよい。処理時間が均一でないときには、CPU62は、自動機15aの間でフィーダ25を再分配する処理を実行し(S190)、S170以降の処理を実行する。即ち、CPU62は、フィーダ25を自動機15a間で再分配し、各装置での処理時間を計算する処理を処理時間の均一化が図られるまで繰り返し実行する。CPU62は、例えば、処理時間の大きい自動機15aから処理時間の小さい自動機15aへフィーダ25を分配するものとしてもよい(図5B)。また、再分配するフィーダ25は、例えば、異なるノズル33を使用しなければならないなど、他のフィーダ25との関連度が低いものを選択するものとしてもよい。このような均一化を図ると、それぞれの自動機15aが要する処理時間がより短い装着位置になるよう各自動機15aへフィーダ25が分配される。
【0029】
一方、S180で、各自動機15aの処理時間が均一であると判定されたときには(図5B)、CPU62は、各自動機15aの処理時間のそれぞれが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(S200)。この許容範囲は、例えば、この範囲を超えると過負荷な処理量であると認識される上限値に基づいて経験的に定められたものとしてもよい。各自動機15aの処理時間のいずれかがこの許容範囲を超えているときには、CPU62は、自動機15a側に過負荷な数のフィーダ25が分配されていると判断し、自動機15aから手動機15b側へフィーダ25を再分配する処理を実行する(S210)。CPU62は、例えば、所定の分配条件を満たすフィーダ25を選択して手動機15b側へ分配するものとしてもよい。分配されるフィーダ25は、処理時間がより大きい自動機15aに装着される中から選択されるものとする(図5C)。また、分配条件は、例えば、複数種別の基板Sの生産での共通使用に基づく共通度がより高い部品Pを保持した供給部材、標準部品に対して使用数がより少ない部品Pを保持した供給部材、及び標準部品に対して大型である部品Pを保持した供給部材のうち1以上を選択する条件としてもよい。これらの条件を満たす部品Pは、手動機15bに分配されることが好ましい。共通度は、例えば、2つの生産で用いられるものを「2」とし、3つの生産で用いられるものを「3」とし、より値が大きい方が共通度が高いものとしてもよい。また、「標準部品」とは、例えば、実装装置15でより多く用いられる汎用部品などとしてもよい。S210のあと、CPU62は、S160以降の処理を実行する。即ち、CPU62は、手動機15bへフィーダ25を分配し、分配したフィーダ25の装着位置を設定し、各装置の処理時間を計算する処理を、S200で各処理時間の全てが所定の許容範囲内になるまで繰り返し実行する。
【0030】
一方、S150において、選択モードが最適モードであるときには、CPU62は、最適モードに応じた供給部材の分配処理を実行する(S220~S260)。図6は、最適モードで供給部材を分配する処理の一例を示す説明図であり、図6Aが初期状態、図6B,6Cが手動機15bへの再分配処理である。ここでは、最短モードと同様の処理については、最短モードと同様の処理を行うものとしてその詳細な説明を省略する。この処理では、CPU62は、まず、各実装装置15に分配されたフィーダ25の装着位置を設定する(S220)。CPU62は、最短モードと同様に、実装ヘッド32による作業効率がより高くなるよう、フィーダ25の装着位置を設定するものとしてもよい。またCPU62は、自動機15aでは個別セットアップを主とし、手動機15bでは共通セットアップを主としてフィーダ25の装着位置を仮設定する。CPU62は、例えば、最も使用頻度の高いフィーダ25を撮像部34により近い装着部に装着させるようフィーダ25の装着位置を設定するものとしてもよい。また、CPU62は、実装ヘッド32へ同時に採取される頻度が高いなど、関連度がより高いフィーダ25同士をより近くに配置する装着位置を設定するものとしてもよい。CPU62は、上記条件に沿って、それぞれの実装装置15に対して、フィーダ25の装着位置を設定する(図6A)。
【0031】
次に、CPU62は、S170と同様に、設定されたフィーダ25の装着位置に基づいてそれぞれの実装装置15が要する処理時間を計算する(S230)。次に、CPU62は、各自動機15aでの処理時間が所定の基準処理時間内であるか否かを判定する(S240)。基準処理時間は、所定数の基板Sの生産処理に要する時間、即ち、単位生産量あたりの処理時間であって、実装装置15以外の他装置の処理時間に基づいて定められた閾値である基準処理時間は、最も処理時間が長い装置の処理時間に所定のマージンを加味した値に設定されるものとしてもよい。各自動機15aでの処理時間の全てが基準処理時間内でないときには、CPU62は、基準処理時間を超えた装置の処理量を低減させるべく、自動機15aから手動機15b側へフィーダ25を再分配する処理を実行する(S250)。CPU62は、例えば、基準処理時間を超えた装置に分配されたフィーダ25のうち、所定の分配条件を満たすフィーダ25を選択して手動機15b側へ分配するものとしてもよい(図6B)。なお、分配条件は、例えば、最短モードで説明した条件としてもよいし、上記条件に加えて、又はこれに代えて他の条件を含むものとしてもよい。S250のあと、CPU62は、S220以降の処理を実行する。即ち、CPU62は、手動機15bへフィーダ25を分配し、分配したフィーダ25の装着位置を設定し、各装置の処理時間を計算する処理を、S240で各処理時間の全てが所定の基準処理時間内になるまで繰り返し実行する(図6C)。
【0032】
S240で、各処理時間の全てが所定の基準処理時間内であるときには、CPU62は、必要に応じて、供給部材の共通度に基づいて、個別セットアップを主とする自動機15aの一部に共通セットアップを設定するものとしてもよい(S260)。自動機15aにおいても、複数種の基板Sの生産に亘って、共通して使用されるフィーダ25があり得る。S260では、そのようなフィーダ25の装着位置を複数種の基板Sの生産に亘って同じ装着位置に設定する処理を行う。自動機15aの一部にでも共通セットアップが存在すれば、生産変更時の段取り替えにおいて、ローダ18の交換作業をより低減することができる。図7は、自動機15aの個別セットアップの一部に共通セットアップを設定した生産計画情報64Bの一例を示す説明図である。図8は、自動機15aの個別セットアップの一部に共通セットアップを設定した生産ジョブ65Bの一例を示す説明図である。図7に示すように、個別セットアップの一部に共通セットアップが含まれていてもよい。また、このとき、各自動機15aでの処理時間が基準処理時間内であるものとすればよい。作業者Wは、予めS260の処理を実行するか否かを設定しておいてもよいし、このルーチンの開始後に個別セットアップの一部に共通セットアップを設定するか否かを入力するものとしてもよい。なお、S260の処理を省略すると、自動機15aには個別セットアップのみが設置された生産計画情報64が得られる(図3参照)。
【0033】
S260のあと、または、S200で各処理時間の全てが所定の許容範囲内であると判定されると、CPU62は、現在のセットアップを仮保存し、生産ジョブ65の作成終了条件が成立したか否かを判定する(S270)。生産ジョブ65の作成終了条件は、例えば、予め設定されたセット数(例えば500や1000など)のセットアップを仮保存した場合や、予め設定された時間(例えば、10分など)に亘ってセットアップを作成した場合などが含まれる。ここでは、例えば、管理装置60は、多数のセットアップを設定した中から最良のセットアップを抽出して生産ジョブ65とするものとする。生産ジョブ65の作成終了条件が成立していないときには、CPU62は、供給部材の分配条件を変更して自動機15aに供給部材を分配する(S280)。即ち、CPU62は、供給部材の一部又は全部を入れ替えて各装置へ供給部材を分配する。S280のあと、CPU62は、S150以降の処理を実行する。即ち、CPU62は、供給部材の装着位置を変更しつつ、選択モードに応じて、自動機15a間での再分配や、自動機15aから手動機15bへの再分配を適宜行い、どの装着部にどの供給部材を装着するかを含むセットアップを多数求める。
【0034】
一方、S270で作成終了条件成立したときには、CPU62は、仮保存された多数のセットアップの中から最良のセットアップを抽出し、それを生産ジョブ65として記憶する(S290)。続いて、CPU62は、生産計画に含まれる全ての生産ジョブ65を設定したか否かを判定し(S300)、生産計画に含まれる全ての生産ジョブ65を設定していないときには、S110以降の処理を実行する。即ち、次に作成する製品の生産ジョブを設定し、自動機15aと手動機15bとに供給部材を分配する。一方、S300で、生産計画に含まれる全ての生産ジョブ65を設定したときには、CPU62は、手動機15bの共通セットアップを設定する処理を実行する(S310)。CPU62は、手動機15bに分配された供給部材において、複数種の基板Sの生産に亘り、できるだけ共通する装着位置を設定する。また、CPU62は、共通セットアップの限界の生産があれば、その生産から新たな共通セットアップを設定する(図3の製品4など参照)。共通セットアップは、生産計画中に1つのみ存在することが好ましいが、複数存在してもよい。手動機15bに共通セットアップが設定されていれば、作業者Wの段取り替えの作業をより低減することができる。S310のあと、CPU62は、生産ジョブ65を含む生産計画情報64を記憶部63に記憶し(S320)、このルーチンを終了する。このように、管理装置60は、自動機15a及び手動機15bの両方の作業の特徴を加味した生産計画情報64を作成することができる。
【0035】
次に、実装装置15が生産ジョブ65を用いて部品Pを基板Sへ実装する処理について説明する。まず、自動機15aによる実装処理について説明する。実装制御部20のCPU21は、実装処理を開始すると、まず、今回製造する製品の生産ジョブ65を管理装置60から取得する。CPU21は、製品ごとに自機の生産ジョブ65を管理装置60から取得してもよいし、自機の生産ジョブ65を全て含む生産計画情報64を管理装置60から取得してもよい。また、ローダ18は、この生産ジョブ65に設定された装着位置に各フィーダ25を装着する段取り替え処理を実行する。生産開始可能になると、CPU21は、基板Sを搬入、固定するよう基板処理部22を制御する。次に、CPU21は、生産ジョブ65に基づいて、部品供給部24に装着されたフィーダ25から部品Pを実装ヘッド32に採取させ、基板Sに配置する処理を行う。実装ヘッド32は、撮像部34の上部を通過し、部品Pを撮像部34に撮像させる。CPU21は、撮像画像に基づいて、部品Pの採取ずれや形状が正常であるかなどを検出する。基板Sに部品Pを配置し終わると、CPU21は、基板Sを基板処理部22に排出させ、上述した処理を繰り返す。CPU21は、この実装処理中に、各フィーダ25の部品消費数を管理し、部品残数が所定の警告値以下になると、その情報を保管PC13aへ送信する。保管PC13aは、この指示リストに基づいて、ローダ18にフィーダ25の交換作業を実行させる。ローダ18は、X軸レール29に沿って保管装置13と実装装置15との間を移動し、作業対象の実装装置15でフィーダ25の交換処理を実行する。そして、現在の基板Sの製造が終了すると、次の基板Sの生産があるか否かを判定し、次の生産があるときには、ローダ18に段取り替え処理を実行させる。ローダ18は、次の生産ジョブ65の装着位置に各フィーダ25を装着させる処理を実行する。
【0036】
次に、手動機15bによる実装処理について説明する。手動機15bの実装処理は、自動機15aの実装処理と並行して実行される。なお、自動機15aと同様の処理については、同様の処理を行うものとして、その詳細な説明を省略する。まず、作業者Wは、この生産ジョブ65に設定された装着位置に各フィーダ25を装着する段取り替え作業を実行する。生産開始可能になると、作業者Wは、実装システム10に生産開始を入力指示する。手動機15bのCPU21は、実装処理を開始すると、今回製造する製品の生産ジョブ65を管理装置60から取得する。次に、CPU21は、基板Sを搬入、固定するよう基板処理部22を制御し、生産ジョブ65に基づいて、部品供給部24に装着されたフィーダ25から部品Pを実装ヘッド32に採取させ、基板Sに配置する処理を行う。基板Sに部品Pを配置し終わると、CPU21は、基板Sを基板処理部22に排出させ、上述した処理を繰り返す。CPU21は、この実装処理中に、各フィーダ25の部品消費数を管理し、部品残数が所定の警告値以下になると、その情報を操作パネル36へ表示させる。作業者Wは、操作パネル36の表示に基づいて、部品切れになる供給部材(フィーダ25及びトレイなど)を交換する。そして、現在の基板Sの製造が終了すると、次の基板Sの生産があるか否かを判定し、次の生産があり且つ段取り替え作業があるときには、操作パネル36に段取り替え作業の内容を表示させる。作業者Wは、段取り替え作業があるときにはその作業を行う。このようにして、自動機15a及び手動機15bを含む実装システム10では、ローダ18と作業者Wとで作業を分担しながら、供給部材を交換し、生産計画情報64を実行する。
【0037】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装システム10が実装システムに相当し、実装装置15が実装装置に相当し、自動機15aが自動機に相当し、手動機15bが手動機に相当し、ローダ18が移動型作業装置に相当し、管理装置60が管理装置に相当する。また、実装制御部20が実装制御部に相当し、部品供給部24が供給部に相当し、基板Sが処理対象物に相当し、フィーダ25やトレイが供給部材に相当し、実装部30が実装部に相当し、管理制御部61が制御部に相当し、生産ジョブ65が生産ジョブに相当し、生産計画情報64が生産計画情報に相当する。
【0038】
以上説明した管理装置60では、手動でフィーダ25などの供給部材を交換する実装装置15である手動機15bにおいては、共通セットアップを主とすることによって、各種の処理対象物としての基板Sの生産を切り替える際の段取り替えの頻度をより低減することができる。また、この管理装置60では、自動で供給部材を交換する実装装置15である自動機15aにおいては、個別セットアップを主とすることによって、実装処理をより高速に実行することができる生産ジョブ65を各々設定することができる。したがって、この管理装置60では、自動機15aと手動機15bとの事情を加味した生産計画情報64を作成可能であり、基板Sの生産に対して、より効率化を図ることができる。
【0039】
また、管理制御部61は、手動機15bへ装着される供給部材がより少なくなるよう手動機15bへ供給部材を分配するため、作業者Wが手動で供給部材を交換する頻度を減少可能であり、作業者Wの作業量をより低減することができる。また、この管理装置60では、作業者Wの作業遅延などにより生じる生産遅延をより抑制することができる。更に、管理制御部61は、手動機15bでのみ取り扱い可能な供給部材を手動機15bに分配し、供給部材の装着位置をより共通化した共通セットアップを設定する。この管理装置60では、より確実に部品Pの実装処理を実行することができる。更にまた、実装システム10は、複数の自動機15aを有し、管理制御部61は、それぞれの自動機15aが要する処理時間がより短くなるよう各自動機15aへ供給部材を分配する。この管理装置60では、処理時間をより短縮することによって、より生産効率を高めることができる。そして、実装システム10は、複数の自動機15aを有し、管理制御部61は、それぞれの自動機15aが要する処理時間の均一化を図るよう各自動機15aへ供給部材を分配する。この管理装置60では、各実装装置間での処理待ちなどをより抑制することによって、より生産効率を高めることができる。そしてまた、実装システム10は、複数の自動機15aを有し、管理制御部61は、自動機15aの処理時間が所定の許容範囲外であるときには、前記自動機に分配されたいずれか1以上の前記供給部材を前記手動機側へ分配するものとしてもよい。この管理装置では、供給部材を手動機側へ分配することによって、より効率化を図った生産を実行することができる。
【0040】
また、管理制御部61は、複数種別の基板Sの生産での共通使用に基づく共通度がより高い部品Pを保持した供給部材、標準部品に対して使用数がより少ない部品Pを保持した供給部材、及び標準部品に対して大型である部品Pを保持した供給部材のうち1以上を含む分配条件を満たす供給部材を手動機15b側へ分配する。この管理装置60では、分配条件満たす供給部材を手動機15b側へ分配することによって、より効率化を図った生産を実行することができる。
【0041】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、管理装置60は、手動機15bへ装着される供給部材がより少なくなるよう手動機15bに装着する供給部材を分配するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、管理制御部61は、自動機15aと手動機15bとで要する処理時間の均一化を図るよう、自動機15aと手動機15bとへ供給部材を分配するものとしてもよい。この管理装置60では、処理時間が均一になるよう供給部材を分配するため、各装置間で円滑な生産を実行することができる。なお、手動機15bへ装着される供給部材がより少ない方が、作業者Wの作業量を低減することができ、より望ましい。
【0043】
上述した実施形態では、手動機15bでのみ取り扱い可能な供給部材を、まず手動機15bに分配するものとしたが、自動機15aで取り扱い可能な供給部材をも手動機15bへ分配しても構わない。なお、手動機15bへ分配される供給部材は、共通セットアップにしやすいものであることがより好ましい。
【0044】
上述した実施形態では、管理制御部61は、最短モードにおいて、それぞれの自動機15aが要する処理時間がより短くなるよう各自動機15aへ供給部材を分配するものとしたが、特にこれに限定されない。実装システム10では、例えば、上述した最適モードのように、各自動機15aでの単位処理量あたりの処理時間が最短でなくても、効率よく実装処理を継続することはできる。また、上述した実施形態では、最短モードにおいて、それぞれの自動機15aが要する処理時間の均一化を図るよう各自動機15aへ供給部材を分配するものとしたが、特にこれに限定されない。実装システム10では、例えば、上述した最適モードのように、各自動機15aでの単位処理量あたりの処理時間が均一でなくても、効率よく実装処理を継続することはできる。
【0045】
上述した実施形態では、自動機15aの処理時間が所定の許容範囲外であるときには、自動機15aに分配されたいずれか1以上の供給部材を手動機15b側へ分配するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、管理制御部61は、処理時間が所定の許容範囲外であるか否かを判定する処理を省略してもよい。このとき、管理制御部61は、例えば、部品数や、フィーダ25の数量などに応じて、自動機15aの分配量が過大にならないように、手動機15bへの分配量を設定するものとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、分配条件を、共通度や、標準部品に対する使用数、標準部品に対するサイズなどとしたが、手動機15bへ分配するのに好適な条件であれば特にこれに限定されず、これらのうち1以上を省略してもよいし、これらと異なる条件を更に加えてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、特に説明しなかったが、供給部材を他の装置へ再分配する前に、その装置内で供給部材の装着位置を変更し、処理時間を求め、装着位置の変更前より処理時間が短くなる場合などに、これを保存するものとしてもよい。こうすれば、供給部材を再分配することなく、最良の装着位置を求めることができる。
【0048】
上述した実施形態では、実装システム10は、実装装置15のほか、印刷装置11、印刷検査装置12、保管装置13、保管PC13a、実装検査装置16、搬送装置17、ローダ18、リフロー装置19を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、上記装置のうち1以上を省略してもよいし、上記以外の装置を加えるものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、本開示を実装システム10の形態に適用して説明したが、本開示を管理装置60としてもよいし、生産方法としてもよい。
【0050】
ここで、本開示の管理装置、実装システム及び生産方法は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の実装システムは、
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、
前記移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する1以上の手動機と、を含む複数の実装装置と、を備え、
前記実装装置は、前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材が分配されると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材が分配されて設定された生産計画情報に含まれる、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを用いて実装処理を行うものである。
【0051】
この実装システムでは、上述した管理装置と同様に、手動機においては共通セットアップを主とすることによって各種の処理対象物の生産を切り替える際の段取り替えの頻度をより低減することができ、自動機においては個別セットアップを主とすることによって実装処理をより高速に実行することができる。したがって、この実装システムでは、自動機と手動機との事情を加味した生産計画情報を実行可能であり、処理対象物の生産に対して、より効率化を図ることができる。なお、この実装システムにおいて、上述した管理装置の種々の構成を採用してもよいし、また上述した管理装置の各機能を実現するような処理を追加してもよい。
【0052】
本開示の生産方法は、
部品を処理対象物に実装処理する実装部と部品を保持した供給部材を装着し該部品を供給する供給部と前記供給部から前記部品を前記実装部に採取させる実装制御部とを備えた実装装置の該供給部材を自動交換する移動型作業装置と、該移動型作業装置により前記供給部材が自動交換可能な前記実装装置である1以上の自動機と、前記供給部材を手動で交換する前記実装装置である1以上の手動機と、を含む実装システムに用いられる生産方法であって、
前記自動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産のそれぞれにおいて個別の位置に前記供給部材を装着する個別セットアップを主とする傾向として該自動機に装着する前記供給部材が分配されると共に、前記手動機に対しては複数種別の前記処理対象物の生産において共通した位置に共通した部品を保持した前記供給部材を装着する共通セットアップを主とする傾向として前記手動機に装着する前記供給部材が分配された、複数種別の前記処理対象物の各々に対する生産ジョブを含む生産計画情報を用いて実装処理を実行するものである。
【0053】
この生産方法では、上述した管理装置と同様に、手動機においては共通セットアップを主とすることによって各種の処理対象物の生産を切り替える際の段取り替えの頻度をより低減することができ、自動機においては個別セットアップを主とすることによって実装処理をより高速に実行することができる。したがって、この実装システムでは、自動機と手動機との事情を加味した生産計画情報を実行可能であり、処理対象物の生産に対して、より効率化を図ることができる。なお、この生産方法において、上述した管理装置の種々の構成を採用してもよいし、また上述した管理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示は、部品を採取し実装する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 実装システム、11 印刷装置、12 印刷検査装置、13 フィーダ保管部、13a 保管PC、14 自動搬送車、15 実装装置、15a 自動機、15b 手動機、16 実装検査装置、17 搬送装置、18 ローダ、19 リフロー装置、20 実装制御部、21 CPU、22 基板処理部、23 支持部材、24 部品供給部、25 フィーダ、26 実装用装着部、27 バッファ用装着部、28 トレイユニット、29 X軸レール、30 実装部、31 ヘッド移動部、32 実装ヘッド、33 ノズル、34 撮像部、35 ノズルステーション、36 操作パネル、37 通信部、38 スロット、39 接続部、50 移動制御部、51 CPU、52 記憶部、53 収容部、54 交換部、55 移動部、58 通信部、60 管理装置、61 管理制御部、62 CPU、63 記憶部、64,64B 生産計画情報、65,65B 生産ジョブ、68 通信部、P 部品、S 基板、W 作業者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8