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特許7588232タンク、液体循環システムおよび動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】タンク、液体循環システムおよび動作方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/02 20060101AFI20241114BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F04D13/02 D
F04D13/02 A
H01F37/00 M
H01F37/00 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023530851
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021074820
(87)【国際公開番号】W WO2022106089
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】20209190.6
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミッシング,キム
(72)【発明者】
【氏名】イカヘイモ,ヨウニ
(72)【発明者】
【氏名】カンサカンガス,テロ
(72)【発明者】
【氏名】ダンシ,アレックス・マイケル
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02487327(EP,A1)
【文献】特開2011-252436(JP,A)
【文献】実開昭49-048203(JP,U)
【文献】実開平06-087690(JP,U)
【文献】実開昭50-034101(JP,U)
【文献】特開平07-180689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0039785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/02
H01F 37/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体循環システム(100)であって、前記液体循環システムは、
タンク(3)の中に配置されたロータ(1)と、
前記タンク(3)の中に収容された電気部品(31)と、
パワーユニット(2)とを備え、前記パワーユニットは、複数のコイル(23)を有するステータ(22)と、制御ユニット(21)と、電気端子ボックス(24)とを含み、前記パワーユニット(2)は前記タンク(3)の外側に装着され、前記液体循環システムはさらに、
前記タンク(3)の外側タンク壁(30)を備え、前記外側タンク壁(30)は、非磁性であり、前記ロータ(1)と前記ステータ(22)との間において前記ロータ(1)および前記ステータ(22)に隣接し、前記パワーユニット(2)は前記外側タンク壁(30)の上に装着され、
前記タンク(3)は海中部品として構成され、
前記ロータ(1)は前記電気部品(31)に対向し、前記ロータ(1)と前記電気部品(31)との間に外側タンク壁(30)は存在せず、
前記ロータ(1)の回転軸(R)は、前記ロータ(1)に隣接する前記外側タンク壁(30)に対して平行であり、
前記ロータ(1)は、前記タンク(3)の中の液体(4)を循環させるために、前記ステータ(22)によって駆動される変動電磁場により、前記外側タンク壁(30)を通して、前記ステータ(22)によって回転させられるように構成され、前記回転軸(R)を中心として回転するように構成された前記ロータ(1)のパドル部分(12)は、前記外側タンク壁(30)から離れており、
前記ステータ(22)の前記コイル(23)は、前記コイル(23)が直線に沿って直線状に配置されるように、前記ロータ(1)の前記回転軸(R)に沿って配置され、
前記ロータ(1)の少なくとも駆動部分(14)は螺旋形状である、液体循環システム(100)。
【請求項2】
前記電気部品(31)と前記ロータ(1)とは、共通の主タンク容積内に配置される、請求項1に記載の液体循環システム(100)。
【請求項3】
塩水の中の1km以下または2km以下または3km以下または5km以下の深さに置かれるように構成される、請求項1または2に記載の液体循環システム(100)。
【請求項4】
前記タンク(3)は前記液体(4)で充填され、前記液体(4)は変圧器油である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項5】
前記パワーユニット(2)は前記外側タンク壁(30)に可逆的に装着可能であり、
前記パドル部分(12)と、前記ロータ(1)に隣接する前記外側タンク壁(30)との間の距離は、1mm以上0.01m以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項6】
前記タンク(3)は、前記電気部品(31)として、変圧器、駆動装置、および分路リアクトルのうちの少なくとも1つを収容し、
前記外側タンク壁(30)は、鋼からなり、0.5cm以上3cm以下の厚さを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項7】
前記パドル部分(12)を支持する前記ロータ(1)の端部(11)は、前記端部(11)が前記ロータ(1)に隣接する前記外側タンク壁(30)に対して固定された位置を有するように、固定的に支持される、請求項1~6のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項8】
前記ロータ(1)の前記パドル部分(12)および/または駆動部分(14)は、螺旋であり、
前記パドル部分(12)の、前記回転軸(R)に沿った長さは、前記螺旋の1.5巻きと15巻きとの間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項9】
前記ロータ(1)は鉄または鉄合金からなり、
前記ロータ(1)の、前記回転軸(R)に沿った大きさは、0.2m以上2m以下であり、
前記ロータ(1)の、前記回転軸(R)に垂直な方向の直径は、0.05m以上0.5m以下であり、前記大きさは前記直径の2倍以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項10】
前記ロータ(1)は、前記液体(4)を移動させるように構成された巻かれた平坦なバーを含み、
前記ロータ(1)は1つの一体部品である、請求項1~9のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項11】
前記ステータ(22)は、方向性T字型インターチェンジによって電気的に駆動され、
前記コイル(23)の少なくともいくつかは、対にして逆並列方式で接続される、請求項1~10のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項12】
前記ロータ(1)は、前記ロータ(1)が前記液体(4)を前記外側タンク壁(30)に沿って下部から上部に送るように構成されるように、前記外側タンク壁(30)に隣接して直立するように配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項13】
前記タンク(3)は、前記液体(4)を導くために、前記タンクの内部において前記ロータ(1)に隣接するダクト(51)およびガイド(52)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項14】
前記タンク(3)はN個の前記ロータ(1)を収容し、Nは3以上の自然数であり、前記N個のロータ(1)は、前記外側タンク壁(30)の内側において異なる位置に配置され、
M個の前記ステータ(22)が前記外側タンク壁(30)の外側に配置され、Mは2以上の自然数であり、M<Nであり、
前記M個のステータ(22)とM個の前記ロータ(1)とは1対1で割り当てられ、N-M個の前記ロータ(1)は、前記ステータ(22)のうちの1つに割り当てられていない、請求項1~13のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の液体循環システム(100)を動作させる方法であって、前記方法は、
前記ステータ(22)を、前記ロータ(1)に隣接する前記外側タンク壁(30)の上に与えるステップと、
前記ステータ(22)が前記変動電磁場を駆動するように、前記ステータ(22)に電力を供給するステップと、
前記液体(4)が前記タンク(3)の中で循環するように、前記外側タンク壁(30)を通して非接触方式で駆動される前記変動電磁場によって前記ロータ(1)を回転させるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タンクおよび液体循環システムが提供される。さらに、そのような液体循環システムの動作方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
文献WO2014/036006A2は、電磁循環ポンプに言及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成すべき目的は、タンクの中の液体を循環させる液体循環システムを提供することであり、この液体循環システムは、省メンテナンス方式で構成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、とりわけ、独立請求項において特定されている、タンクおよび液体循環システムならびにこの液体循環システムの動作方法により、達成される。例示されるさらに他の発展形態が従属請求項の主題を構成する。
【0005】
たとえば、液体循環システムは、タンク内にロータを備えた装置であり、ロータは、タンクの外側から、ステータにより、非磁性の外側タンク壁を通して駆動される。そのため、タンクの内側にあるのは、液体を移動させるロータのみであるが、ステータのような集中的なメンテナンスを要する構成要素はなおもタンクの外側に配置することができる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態において、タンクは、タンクの中に配置された1つのロータまたは複数のロータを含む。タンクの外側タンク壁は、非磁性であり、ロータの隣に位置する。ロータの回転軸は、ロータに隣接する外側タンク壁に対して平行である。ロータは、タンクの中の液体を循環させるために、変動電磁場により、外側タンク壁を通して非接触方式で回転させられるように、構成される。
【0007】
「平行」という用語は、たとえば、互いに平行である構成要素間の角度が、20°以下、または10°以下、または5°以下、または1°以下であることを意味する。このことは、「平行」が、実装許容誤差を考慮したそれぞれの部品の配置を指す可能性があることを意味する。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、パワーユニットは、1つのステータまたは複数のステータを含み、ステータは、または複数のステータの各ステータは、複数のコイルを含む。
【0009】
簡潔にするために、以下では、大抵の場合、ただ1つのロータおよび/またはただ1つのステータについて言及する。それぞれの特性は、複数のロータおよび/またはステータがある場合は、すべてのロータおよび/またはステータに当てはまり得る。
【0010】
加えて、パワーユニットは、コイルを通る電流を制御する制御ユニットを含み得る。さらに、パワーユニットは、電気的に接続される電気端子ボックスを含み得る。パワーユニットは、タンクの外側からタンクの外側タンク壁に装着されるように構成される。ステータのコイル、またはコイルの少なくとも大部分は、線に沿って、たとえば、ステータがそのために構成されるロータの回転軸のような直線に沿って配置される。また、ステータは、タンクの中の液体を循環させるために、タンクの外側タンク壁を通して変動電磁場を駆動することにより、非接触方式でロータを回転させるように構成される。
【0011】
さらに、少なくとも1つの実施形態において、液体循環システムは、タンクの中に配置された少なくとも1つのロータと、複数のコイルを有する少なくとも1つのステータとを備え、少なくとも1つのステータは、タンクの外側に位置する。タンクの外側タンク壁は、非磁性であり、少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータとの間において少なくとも1つのロータに隣接しかつ少なくとも1つのステータに隣接するように配置される。
【0012】
少なくとも1つのロータの回転軸は、ロータに隣接する外側タンク壁に対して平行である。さらに、回転軸は、たとえばステータに隣接するタンク壁の平面図で見たときに、コイルをそれに沿って配置できる直線と平行および/または一致していてもよい。そうでなければ、回転軸は、コイルをそれに沿って配置できる直線を横断する向き、たとえばこの直線に対して垂直な向きであってもよい。
【0013】
少なくとも1つのステータのコイルは、少なくとも1つのロータの少なくとも1つの回転軸に沿って配置され、よって、少なくとも1つのロータは、少なくとも1つのステータによって駆動される変動電磁場により、少なくとも1つのステータによって外側タンク壁を通して非接触方式で、回転するように構成され、したがって、少なくとも1つのロータはタンク内の液体を循環させることができる。
【0014】
よって、たとえば、海中変圧器のための、電気的に駆動される密閉タンク液体循環装置が提供される。
【0015】
たとえば、ロータは、タンク壁を貫通する穴を必要としない、またはタンク壁への物理的装着を必要としない、密閉タンクの中で液体を撹拌および/または循環させるための装置である。撹拌装置としてのロータは、その長軸を中心として螺旋形状になるようにねじられたフェライトストリップであってもよい。撹拌方向は、タンク壁に対して平行であってもよく、コイルがそれに沿って配置される直線に対し、平行であってもよく、または垂直になるようにそれを横断してもよい。
【0016】
たとえば、液体タンクの内部に配置された螺旋状のフェライトストリップは、たとえば、撹拌要素、および、スイッチトリラクタンスモータ(switched reluctance motor)のロータの両方として、機能する。ロータは、タンクの外側においてそれに対して平行に配置された多相ステータから発生する進行磁気波により、回転させられる。たとえば、ステータは、電子整流によって進行磁気波を生成する。
【0017】
このようにして海中変圧器における油の循環の促進の必要性に対処する。本明細書に記載のタンク、パワーユニット、および液体循環システムにより、変圧器内の絶縁油の循環流を、たとえば、変圧器の能動部分から、変圧器がその中で動作している海水への熱伝達を高めるために、増加させる。理想的には、ロータの使用が、パイプ、機械的または電気的フィードスルーのための、タンク内のいかなる追加の穴も、発生させることはない。
【0018】
本明細書で説明される液体循環システムにおいて、回転軸が外側タンク壁に対して平行である場合、径方向の磁束が使用される。このシステムのロータは、液体循環システムが攪拌装置である場合の、この装置のロータおよびインペラーの両方として機能する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態に従うと、液体循環システムは、上記タンクおよび/またはパワーユニットを備える。したがって、タンクおよびパワーユニットの特徴は、液体循環システムについても開示され、その逆も同様である。
【0020】
少なくとも1つの実施形態に従うと、パワーユニットまたはステータは、タンクの外側から、ロータに隣接する外側タンク壁の上に装着される。たとえば、ステータおよび割り当てられたロータは、外側タンク壁の両側において、合同となるように配置される。
【0021】
少なくとも1つの実施形態に従うと、タンクは液体で充填される。たとえば、タンク全体が、液体と、タンクの中に配置された1つの電気部品または複数の電気部品とで充填される。したがって、タンクが海中に沈められたときに圧縮される可能性がある空隙または気泡またはエアポケットはタンクの中に存在しない可能性がある。これはパワーユニットにも当てはまる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態に従うと、液体は変圧器油である。代わりに、シリコーンオイルのように、圧縮性が低い他の電気絶縁性の液体が使用されてもよい。パワーユニットが液体で充填されている場合、同じことがパワーユニットにも当てはまる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態に従うと、パワーユニットは、外側タンク壁に可逆的に装着可能である。そのため、パワーユニットは、それぞれの予備部品に交換することができ、タンク内で作業を行う必要がない。
【0024】
少なくとも1つの実施形態に従うと、タンクは、少なくとも1つの電気部品を収容する。この部品、または部品のうちの少なくともいくつかは、たとえば変圧器、駆動装置、分路リアクトルからなる群より選択される。
【0025】
したがって、ロータ、ステータ、パワーユニット、および/または液体循環システムは、たとえば、
-単相配電変圧器、
-315kVA~2499kVA用に構成された中型配電変圧器、
-最大1.0kVの二次電圧用に構成された低電圧可変速度駆動変圧器、
-工業用変圧器、
-シェル変圧器、
-OLTC、真空または従来のもの、
-2499kVA超用に構成された大-中型配電変圧器、
-最大315kVA用に構成された小型配電変圧器、
-小型電力変圧器
-高電圧直流変圧器、
-可変速駆動装置のような駆動装置、および/または
-分路リアクトルのようなリアクトル、
-バッチ式または連続式化学処理における、
-廃棄物処理、
-発酵、または
-食品および飲料の加工
に、適用することができる。
【0026】
したがって、ロータ、ステータ、パワーユニット、および/または液体循環システムは、たとえば、加圧または排気された密閉タンク内で少なくとも1つの液体の混合が必要とされる場合に適用されてもよい。
【0027】
少なくとも1つの実施形態に従うと、タンク、パワーユニットおよび/または液体循環システムは、海中部品として構成される。たとえば、タンク、パワーユニットおよび/または液体循環システムは、塩水の中の1km以下または2km以下または3km以下または5km以下の深さに置かれるように構成される。そのため、タンク、パワーユニットおよび/または液体循環システムは、高い外圧に耐えるように構成される。
【0028】
少なくとも1つの実施形態に従うと、外側タンク壁は、鋼からなる、たとえば非磁性オーステナイト系ステンレス鋼からなる。たとえば、外側タンク壁は、ステータとロータとの間の領域において、0.5cm以上または0.8cm以上の厚さを有する。これに代えてまたはこれに加えて、この厚さは1.5cm以下または3cm以下である。
【0029】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは、1つのパドル部分または複数のパドル部分を含む。少なくとも1つのパドル部分は、回転軸を中心として回転するように構成される。たとえば、ロータの少なくとも1つのパドル部分は、螺旋、またはアルキメデスねじのようなねじ、またはインペラーである。そうでなければ、パドル部はファンまたはロータブレードの形状を有していてもよい。
【0030】
少なくとも1つの実施形態に従うと、パドル部分は一体的なものである。そうでなければ、パドル部分は、複数の部品で構成されていてもよく、および/または異なる材料を含んでいてもよい。たとえば、パドル部分は、ステータと磁気的に相互作用するように構成された少なくとも1つのフェライト材料と、非フェライトであり液体を撹拌するように構成されたプラスチックのような少なくとも1つの他の材料とを含む。
【0031】
よって、ロータは、ロータの駆動のために最適化された部分と、液体の撹拌のために最適化された部分とを含み得る。
【0032】
少なくとも1つの実施形態に従うと、パドル部分は、その意図された用途において、外側タンク壁から離れて位置する。たとえば、パドル部分と、ロータに隣接する外側タンク壁との間の距離は、1mm以上または0.5cm以上である。これに代えてまたはこれに加えて、この距離は、1cm以下または5cm以下または0.1m以下である。たとえば、パドル部分は、外側タンク壁を引っ掻くおよび/または触れることなくできる限り外側タンク壁の近くになるように配置される。
【0033】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは端部を含む。ロータの端部はパドル部分を支持する。たとえば、端部は、ロータに隣接する外側タンク壁に対して固定された位置を有することができるように、タンク内で固定的に支持される。端部を、パドル部分の支持体、マウントまたは軸受と呼ぶこともできる。端部は、外側タンク壁に直接装着されてもよく、そうでなければ、タンクの別の内部部品に装着されてもよい。
【0034】
少なくとも1つの実施形態に従うと、パドル部分の、回転軸に沿った長さは、パドル部分の1.5周期以上または3周期以上または5周期以上である。たとえば、「周期」という用語は、パドル部分の、たとえば螺旋またはねじの、1巻きまたは360°回転を意味する。これに代えてまたはこれに加えて、この長さは、50周期以下、または15周期以下、または10周期以下である。たとえば、この長さは、パドルアクセルの屈曲によって制限され、これは、長さを増すことができるように、繊維ガラスまたはグラファイト繊維強化ポリマー等の、剛性の高い少なくとも1つの材料から作ることができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータまたはロータの一部および/または少なくとも1つのパドル部分は、鉄または鉄合金からなる。そうでなければ、ロータは、フェライトのような非金属材料からなる、すなわち、バリウム、マンガン、ニッケルおよび亜鉛等の、少量の1つ以上の追加金属元素と混合した大量の酸化鉄(III)を混合および焼成することによって作られた、セラミック材料からなるものであってもよい。ロータの特定部分の機能に応じて、異なる材料をロータに組み合わせることで、駆動および機械的強度および撹拌特性を同時に改善することができる。
【0036】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分の、回転軸に沿った大きさは、0.1m以上または0.2m以上または0.4m以上である。これに代えてまたはこれに加えて、この大きさは、5m以下または2m以下または1m以下である。
【0037】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分の、回転軸に垂直な方向における直径は、0.02m以上または0.05m以上または0.2m以上である。これに代えてまたはこれに加えて、この直径は、1m以下または0.5m以下または0.3m以下である。
【0038】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分の上記大きさは、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分の直径の、1.2倍以上または2倍以上または4倍以上である。これに代えてまたはこれに加えて、これは20倍以下または10倍以下または5倍以下である。
【0039】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータ(1)は、パドル部分として、巻かれた平坦なバーを含む。複数のパドル部分がある場合、パドル部分の各々は、それ自体の巻かれた平坦なバーで形成することができる。少なくとも1つの巻かれた平坦なバーは、液体を移動させるように構成される。そのため、巻かれた平坦なバーは、液体と直接接触し得るものである。同じことが、例示される他のすべてのパドル部分にも当てはまり得る。
【0040】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分は、1つの一体部品である。そのため、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分を、効率的に製造することができ、いかなる継ぎ目または接触面も必要としない。そうでない場合、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分は、互いに接続された複数の部品で構成することができる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは回転軸に沿うボアを含む。そのため、少なくとも1つのパドル部分を、回転軸に沿っていかなる固体材料も含まないようにすることができる。しかしながら、ロータの端部は、回転軸上に配置することができるものの、回転軸にいかなる材料も存在しないようにするために、かつ、回転軸に沿った液体の流れを改善するために、端部をリングなどで形成することもできる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ステータは、WYEとも呼ばれる方向性T字型インターチェンジによって電気的に駆動される。たとえば、コイルのすべてまたは少なくともいくつかは、対にして電気的に逆並列方式で接続される。任意で、パドル部分の二分の一周期内にコイルの特定のシーケンスが存在し、このシーケンスはパドル部分の次の二分の一周期において反転される。
【0043】
「反転」は、反転されたコイルにおける電流方向が、二分の一周期離れた対応するコイルにおける電流方向と反対であることを意味し得る。よって、特定のシーケンスの数は、パドル部分に含まれる周期の数に等しい。
【0044】
たとえば、特定のシーケンスごとに、すなわち二分の一周期ごとに、少なくとも3つのコイルまたは少なくとも5つのコイルが存在してもよく、および/または最大20個のコイルまたは最大12個のコイルまたは最大6個のコイルが存在してもよい。よって、ロータを駆動するには比較的少ない数のコイルで十分である。
【0045】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータおよび/または少なくとも1つのパドル部分は、外側タンク壁に隣接して直立するように配置される。したがって、ロータは、液体を外側タンク壁に沿って下部から上部に、または上部から下部に送るように構成することができる。たとえば、下部の低温の油は、タンク内の重力駆動の温度勾配に対抗するためにタンクの上部に送られる。これにより、タンク内の液体の温度勾配を小さくして冷却効率を改善することができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態に従うと、タンクは、ロータに隣接するダクトおよびガイドのうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つのダクトおよび/または少なくとも1つのガイドは、定められた方法で液体を導くためのものである。1つのパドル部分ごとに1つまたは複数のダクトおよび/またはガイドが存在し得る。
【0047】
少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドを、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドがロータに対しておよび/またはステータに対して移動しないように固定して配置することが可能である。そうでなければ、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドは可動部品とすることができる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態に従うと、タンクはN個のロータを収容し、Nは3以上の自然数である。たとえば、N個のロータは、外側タンク壁の内側において異なる位置に配置される。
【0049】
少なくとも1つの実施形態に従うと、M個のステータが外側タンク壁の外側に配置され、Mは2以上の自然数であり、M<Nである。このように、ロータの数はステータの数よりも多い。
【0050】
少なくとも1つの実施形態に従うと、M個のステータとM個のロータとは1対1で割り当てられ、N-M個のロータは、ステータのうちの1つに割り当てられていない。よって、使用されるロータの1つに欠陥がある場合に冷却のために使用可能な予備のロータを、タンク内に置くことができる。このようにして液体循環システムの寿命を延ばすことができる。
【0051】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータの回転軸は、コイルがそれに沿って配置される直線に対して垂直である。ロータは、駆動部分と、少なくとも1つのパドル部分とを含み得る。たとえば、駆動部分は、少なくとも1つのパドル部分の周りの円筒である。駆動部分は、たとえばサインポール(barber pole)の形態の、フェライト材料と非フェライト材料との複合体であってもよい。
【0052】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは、タンクの主タンク容積内に配置される。たとえば、ロータは、主タンク容積とは異なる装着されたチューブシステムなどの中に配置されない。主タンク容積内には少なくとも1つの電気部品が配置される。この文脈において、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドは、必ずしも主タンク容積をロータから分離するとは考えられない。その理由は、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドが外圧にさらされるように構成されていないことにある。したがって、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドを形成する材料であるルーブまたは金属シートの材料厚さは、外側タンク壁の壁厚の5%以下または10%以下または30%以下であってもよい。言い換えると、少なくとも1つのダクトおよび/またはガイドは、外側タンク壁よりも大幅に薄い材料から作られる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態に従うと、主タンク容積は直方体形状である。したがって、タンクは立方体またはほぼ立方体であってもよい。変圧器タレットおよび/またはヒューズケースのような少なくとも1つのさらに他の付属容積または構成要素を主タンク容積に取り付けられることが可能である。たとえば、そのような少なくとも1つの付属容積の各々の容積は、主タンク容積の5%以下または10%以下である。少なくとも1つの付属容積は、たとえば円筒または円錐または切頭円錐である、またはこれも小さな立方体である。
【0054】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは、回転軸と平行に見たときに、回転中にロータが交差する領域によって画定される、ロータ断面積を有する。ロータと少なくとも1つの電気部品との間の最小断面積は、ロータ断面積の1.5倍以上または2倍以上または3倍以上である。それとは反対に、ロータが主タンク容積内ではなくタンクの外側のチューブシステム内に配置される場合、ロータ断面積は、ロータを収容するチューブシステムの断面積とほぼ同じである。したがって、主タンク容積内に配置されたロータにより、タンク内の液体の大規模な移動を保証することができる。
【0055】
少なくとも1つの実施形態に従うと、少なくとも1つの電気部品とロータとの間に見通し線がある。言い換えると、それぞれの電気部品と割り当てられたロータとの間には、液体を除いて、タンクのさらに他の部品は存在しない。ロータの一部のみからそれぞれの電気部品までの見通し線が存在する可能性がある、またはロータのすべてをそれぞれの電気部品から見ることができる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態に従うと、ロータは電気部品に対向する。よって、ロータと電気部品との間に外側タンク壁は存在しない。これは、ダクトおよび/またはガイドの存在を必ずしも排除しないが、好ましくは、ロータと少なくとも1つの電気部品との間にダクトおよび/またはガイドは存在しない。加えて、液体のみがロータと電気部品との間に位置し、ロータまたは少なくとも1つの電気部品に属さない固体材料が存在しないようにすることが可能である。
【0057】
さらに、動作方法が提供される。この方法は、上記実施形態のうちの少なくとも1つに関連して示される液体循環システムを使用する。したがって、液体循環システムの特徴は動作方法についても開示され、その逆も同様である。
【0058】
少なくとも1つの実施形態において、この方法は、液体循環システムを動作させる方法であり、
ステータを、ロータに隣接する外側タンク壁の上に与えるステップと、
ステータが変動電磁場を駆動するように、ステータに電力を供給するステップと、
液体がタンクの中で循環するように、外側タンク壁を通して非接触方式で駆動される変動電磁場によってロータを回転させるステップとを含む。
【0059】
以下、本明細書に記載されるタンク、パワーユニット、液体循環システムおよび動作方法について、例示される実施形態を用いて図面を参照しながら詳細に説明する。個々の図の同一の要素には同一の参照番号が付されている。要素間の関係は正しい縮尺で示されていないが、個々の要素は理解を助けるために誇張して大きく示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本明細書に記載のタンクおよびステータを使用する動作方法の例示される実施形態の、断面図で示される概略図である。
図2】本明細書に記載のパワーユニットの回路図の例示される実施形態の概略図である。
図3】本明細書に記載の液体循環システムの例示される実施形態の概略断面図である。
図4】本明細書に記載の液体循環システムの例示される実施形態の概略断面図である。
図5】本明細書に記載の液体循環システムの例示される実施形態の概略断面図である。
図6】本明細書に記載の液体循環システムの例示される実施形態の概略断面図である。
図7】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図8】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図9】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図10】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図11】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図12】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
図13】本明細書に記載のタンクのためのロータの例示される実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、液体循環システム100の動作方法の例示される実施形態を示す。液体循環システム100は、電気部品31が中に配置されたタンク3を含む。極めて模式的に描かれている少なくとも1つの電気部品31は、たとえば、変圧器、駆動装置、または分路リアクトルである。さらに、タンク内にはロータ1がある。ロータ1は、鉄または鉄クロム合金のようなフェライト材料からなる。ロータ1は、タンク3内の液体4を循環させて少なくとも1つの電気部品31の冷却を改善するように構成される。液体4は、たとえば変圧器油である。
【0062】
タンク4は、タンク3を海中タンクとすることができるように、水中、たとえば塩水中に配置されるように構成される。そのため、外側タンク壁30の壁厚は、比較的大きく、5mm以上であってもよい。たとえば、壁厚は10mmである。ロータ1が位置する外側タンク壁30は、ステンレス鋼のような非磁性材料からなる。ロータ1は、意図された用途において、外側タンク壁30に接触することなくできる限り外側タンク壁30の近くになるように配置される。
【0063】
タンク3の外側において、ロータ1がある外側タンク壁30の隣にステータ22がある。ステータ22およびロータ1は、互いに平行に、かつロータ1とステータ22とに隣接する外側タンク壁30の部分に対して平行に、配置される。そのため、ロータ1の回転軸Rも、上記外側タンク壁30の部分に対して平行である。軸Rの位置を定めるためのロータ1の任意の支持体は、図1には示されていない。
【0064】
ステータ22は複数のコイル23を含む。コイル23は、共通の軟鉄心25の歯の部分に配置することができる。理解し易くするために、図1ではコイル23を軟鉄心25の外に描いて電気配線の説明を改善している。
【0065】
コイル23はグループで配置されてもよく、この場合の各グループは、ロータ1のパドル部分12の、半巻線Hに割り当てられてもよく、パドル部分12は、液体4を循環させるように構成されたロータ1の部分である。半巻線H当たりのコイル23の数は、たとえば2以上または3以上および/または10以下または6以下である。図1の具体的な例において、この個数は3であるが、これはロータの概念をこの数に限定するものではない。以下の動作モードの説明は、半周期H当たり3個のコイル23についての説明であるが、当然ながら他の個数についても当てはまる。
【0066】
コイル23のグループは、互いに直接連なっていてもよい。たとえば、コイル23間の距離は、ステータ22全体に沿って同一であるが、そうでなければ、コイル23はそれぞれのグループ内で互いにより近接して配置されてもよい。「標準」グループの後ろに「反転」グループが続き、その後ろには再び「標準」グループが続き、これがロータ1全体にわたって繰り返される。「反転」グループでは磁場Mが「標準」グループとの比較で反転している。たとえば、「標準」グループ内の特定のコイルが、外側タンク壁30に面する側においてS極を有する場合、「反転」グループ内の対応する特定のコイルは、外側タンク壁30に面する側においてN極を有し、その逆も同様である。
【0067】
グループごとに、すなわち「反転」グループごとおよび「標準」グループごとに、各時点でコイル23のうちの1つのみに通電することが可能である。このことは、各グループにおいて同時にi番目のコイルのみに電流が供給されることを意味し、この場合のグループ内のコイル23は、インデックスiを用いて連続番号が付される。たとえば、i=2の場合、すべてのグループにおいて2番目のコイル23のみが通電され、これらの2番目のコイル23は、S極とN極が交互になる線を提供し、i≠2である他のすべてのコイルは、その時点では通電されない。i番目のコイルが通電された後に、グループ内の最後のコイルが通電されるまで、i+1番目のコイルが通電され、この方式はi=1で再び開始することができる。この駆動方式により、ロータ1を動かす進行磁気波が発生する。
【0068】
そのため、螺旋フェライトロータ1は、その中心線上において、ロータを自在に回転できるようにするアクスルおよび軸受を有する。ステータ22は、軟鉄心25の歯においてその集中コイル23を有する。グループごとおよび半巻線Hごとに3つのコイル23を有する具体的な例において、コイル23およびそれぞれの歯を、A、B、C、¬A、¬B、¬Cなどでラベル付けする。ステータ22の長さおよびロータ1の長さは、これに適合するように調整することができるが、この具体的な例においては、ステータ22の6つの歯に対応する、少なくともロータ1の1つの完全なねじれまたは巻線でなければならない。
【0069】
磁場Mの磁束は、コイルAおよび¬Aが通電されることにより、図示されるようにパドル部分12のロータローブを引き寄せ、ステータ22内で磁気回路が完成するときに、示される。図2には、スイッチングシーケンスがA、B、C、¬A、¬B、¬Cである電子整流子のための、例示される回路6が、図1に示されるWYE接続されたステータ22について示されている。回路6は、直流電流源61Aおよび61Bと、スイッチ62と、キャパシタ63と、共通のコンタクト65とを含む。
【0070】
動作中、スイッチングシーケンスは整流スイッチに与えられ、それにより、ロータ1の頂部が図1を見ている者に向かうようにロータ1を回転させる。図1において、回転軸Rを中心として180°回転した後の時点のロータ1がロータ1’として破線で示されている。
【0071】
必要に応じて、スイッチングシーケンスを逆にすることにより、回転方向を逆にすることができる。図面には、WYE接続されたステータ22が必要とするスイッチングシーケンスを生成するロジックもスプリット電源も示されていない。代わりに、ステータ22は、電気的デルタとして接続することができ、デュアル電源を必要としないが、整流ロジックは異なっており2つのスイッチを同時にオンにする必要がある。
【0072】
たとえば、パドル部分12の、ロータ1の軸Rに沿った長さは、0.5m以上1.5m以下であり、パドル部分12の、軸Rに垂直な直径は、0.1m以上0.4m以下である。コイル23は、0.1A以上および/または100A以下の電流用に構成されてもよい。
【0073】
たとえば、ロータ1は比較的ゆっくりと回転する。そのため、回転周波数は10rpm以上および/または120rpm以下であってもよく、rpmは1分当たりの回転数を意味する。液体4、すなわち循環させる変圧器油は、高温側、すなわち電気デバイス31の近くで60℃~90℃の温度を有し得るものであり、外側タンク壁30における低温側で約4℃の温度を有し得るものであるので、ステータ22とともにロータ1によって破壊される可能性がある、比較的安定した固有の熱層が存在し得る。
【0074】
図3の例示される実施形態において、タンク3は、海水7の中の、たとえば0.1km以上3km以下の深さに配置される。電気部品31およびロータ1は、たとえば直方体形状の同じ共通の主タンク容積内に配置される。
【0075】
ステータ22はパワーユニット2に含まれる。パワーユニット2は、外側からロータ1に隣接する外側タンク壁30に装着されるモジュールである。そのため、誤動作の場合には、パワーユニット2を予備部品と比較的容易に交換することができる。パワーユニット2を本質的に独立したモジュールにするために、パワーユニット2は、コイル23を駆動する制御ユニット21を含み得るものであり、配線26によって電力接続が提供される電気端子ボックス24を含み得る。
【0076】
したがって、液体循環システム100の一部はタンク3の内部に位置し、液体循環システム100の一部はタンク3の外部に位置する。ロータ1は、いかなる電子機器または能動部品も含まないので、ロータ1自体は、比較的感度が低く、より感度の高いステータ22は、モジュール式パワーユニット2を使用するので、容易に交換することができる。
【0077】
加えて、図3では、ロータ1が、その端部11において、回転軸Rと平行ではない外側タンク壁30の部分で直接支持されることが示される。
【0078】
ロータ1は、回転軸Rを鉛直方向にまたはほぼ鉛直方向に配向できるよう、直立するように配置されてもよい。よって、低温の液体4をタンク3の下部から上部に圧送して電気部品31の冷却を改善することができる。
【0079】
他の点については図1および図2と同じことが図3にも当てはまる。
図4に従うと、電気部品31を有するタンク3は、他の電気装置8の上に配置されている。たとえば、この構成において、電気部品31は変圧器であり、他の電気装置8は可変速駆動装置である。図示されていないが、電気部品31と他の電気装置8とは、別々のタンク3ではなく、同一のタンク3内に配置されてもよい。このことは、例示される他のすべての実施形態についても当てはまる。
【0080】
加えて、タンク3の全体が液体4とともに電気部品31および/または他の電気装置8で充填されてもよく、そうすると、タンク3を著しい変形を伴わずに深海レベルに置くことができる。
【0081】
選択肢として、少なくとも1つのロータ1の端部11は、ロータ1のパドル部分12のための支持体として構成することができる。端部11は、外側タンク壁30に装着された軸受であってもよい。
【0082】
他の点については図1図3と同じことが図4にも当てはまる。
図5に従うと、任意でパワーユニット2内に配置される、複数のステータ22がある。ステータ22の各々は、複数のロータ1のうちの1つに割り当てられる。同じことが、例示される他のすべての実施形態についても当てはまる。
【0083】
選択肢として、タンク3内に少なくとも1つの予備ロータ1がある。この予備ロータ1は、他のロータ1のうちの1つに欠陥がある場合に使用することができ、そうすると、部分的な故障の場合であっても液体循環システム100の冷却機能を高く保つことができる。同じことが、例示される他のすべての実施形態についても当てはまる。
【0084】
さらに他の選択肢として、1つまたは複数のダクト52を、たとえばロータ1に1対1の関係で割り当てることができる。図5の例において、回転軸Rは、この図面の面に対して垂直である。したがって、軸Rおよびダクト52は水平方向に配置されてもよい。
【0085】
他の点については図1図4と同じことが図5にも当てはまる。
図6に従うと、複数のパワーユニット2と複数のロータ1とが存在してもよく、水平方向に配置されたロータ1と鉛直方向に配置されたロータ1との組み合わせが存在してもよい。ロータ1を様々な外側タンク壁30に配置することが可能である。同じことが、例示される他のすべての実施形態についても当てはまる。
【0086】
加えて、図5のダクト52の代わりにまたはそれに加えて、液体4の循環をより適切に定めるために、ロータ1の隣に、または隣り合うロータ1の間に、1つまたは複数のガイド51があってもよい。このことは、例示される他のすべての実施形態についても当てはまる。
【0087】
他の点については図1図5と同じことが図6にも当てはまる。
図7図11に、ロータ1のパドル部分12のいくつかの例が示されている。これらの例は、タンク3のおよび液体循環システム100の、すべての例示される実施形態において使用することができる。これらの実施形態において、パドル部分12は、同時にロータ1の駆動部分14でもあり、ステータによってロータ1を駆動する。
【0088】
図7に従うと、パドル部分12は一重螺旋である。たとえば、図7に示されるものに反するが、回転軸Rに沿って連続する螺旋の2つの巻線間のリードは、パドル部分12の直径の、1.5倍以上または3倍以上、および/または10倍以下である。
【0089】
回転軸Rに沿って、ロータ1のいかなる材料も含まないボア13が存在する。そのようなボア13は、例示される他のすべての実施形態にも存在し得る。
【0090】
図8の例示される実施形態において、パドル部分12は、ねじ状に形成されている。図示されているものに反するが、ねじ部分はバケツ状または桶状の形状を有していてもよい。
【0091】
図9に従うと、パドル部分12はドリル加工された平坦な鉄で形成されている。そのため、端部11は、平坦な形状のままにすることができ、軸受に容易に固定できる。
【0092】
図10に従うと、パドル部分12は、アルキメデスねじの形状を有する。よって、このねじのねじ山は、たとえばパドル部分12の直径の50%以上または70%以上を占める。
【0093】
図11において、パドル部分12は、図7図10のように1つの一体部品であるだけでなく、複数部品からなる構成とすることも可能である。たとえば、パドル部分12は、互いに係合しているが離れていてもよい2つの螺旋で構成される。
【0094】
図12の例示される実施形態において、ロータ1の回転軸Rは、タンク壁と平行であるが、コイルがそれに沿って配置される直線に対して垂直になるように、構成される。たとえば、フェライト螺旋の隆起部が、内部にインペラーブレードがある中空の非磁性円筒の外側にあってもよい。この円筒の直径を大きくしてそのポンプ作用をより効率的にすることができる。このコンセプトをリム駆動ダクトファンコンセプトと呼ぶことができる。このように、ロータは、ブレードを有するパドル部分12と、ブレードの周りの円筒形の駆動部分14とを含み得る。たとえば、駆動部分14の、したがってロータ1の直径は、回転軸に沿ったロータ1の長さよりも大きい。
【0095】
図13の例示される実施形態において、ロータ1の、回転軸Rに沿った長さは、ロータ1の直径より大きくてもよい。この場合も、パドル部分12は、円筒壁として成形されたクラッド15に固定された内部インペラーである。クラッド15は非磁性体からなる。駆動部分14は、螺旋状のフェライトストリップからなる。したがって、クラッド15と駆動部分14とで構成された円筒は、サインポールのように構成されてもよい。
【0096】
図12および図13の両方において、示されているロータ1のために構成されるステータは、リニアステータであってもよい、すなわち、例示される他のすべての実施形態と同様に、各ステータのコイルは、直線に沿って、たとえば等間隔で配置されてもよい。さらに、選択肢として、パドル部分12は、駆動部分14と異なる材料からなるものとすることができる。
【0097】
他の点については図7図11と同じことが図12および図13にも当てはまる。
本明細書で説明される発明は、例示される実施形態を参照しながら提供される説明によって限定されない。むしろ、本発明は、どの新規の特徴も、特に請求項におけるどの特徴の組み合わせも含むどの特徴の組み合わせも、たとえこの特徴またはこの組み合わせそのものが請求項または例示される実施形態に明示的に示されていなくても、包含する。
【0098】
本願は、欧州特許出願第20209190.6号に基づく優先権を主張し、その開示内容を本明細書に引用により援用する。
【符号の説明】
【0099】
参照信号のリスト
1 フェライトロータ
11 ロータの回動端
12 ロータのパドル部分
13 ボア
14 駆動部分
15 クラッディング
2 パワーユニット
21 制御ユニット
22 ステータ
23 コイル
24 電気端子ボックス
25 軟鉄心
26 配線
3 タンク
30 非磁性外側タンク壁
31 電気部品
4 液体
51 ガイド
52 ダクト
6 回路
61A 第1のDC電流源
61B 第2のDC電流源
62 スイッチ
63 キャパシタ
65 共通コンタクト
7 海水
8 他の電気装置
100 液体循環システム
A~C ステータのコイル
H 半巻線
M 磁場
R ロータの回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13