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特許7588236オプトエレクトロニクス半導体部品およびオプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法
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  • 特許-オプトエレクトロニクス半導体部品およびオプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体部品およびオプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20241114BHJP
   H01L 33/30 20100101ALI20241114BHJP
   H01L 33/06 20100101ALI20241114BHJP
   H01L 33/02 20100101ALI20241114BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/30
H01L33/06
H01L33/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023534342
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021086823
(87)【国際公開番号】W WO2022152519
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】102021100534.5
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イレック シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヘン
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0315218(US,A1)
【文献】米国特許第05048038(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102019106419(DE,A1)
【文献】特開2009-004451(JP,A)
【文献】特開2014-120646(JP,A)
【文献】特開2009-038408(JP,A)
【文献】特開平05-211345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保護領域(101)が形成された第1の注入領域(100)と、第2の保護領域(201)が形成された第2の注入領域(200)と、電磁放射線を生成するように意図され、前記第1の注入領域(100)と前記第2の注入領域(200)との間に配置された活性領域(300)と、を有する半導体本体(10)を備え、
前記第1の注入領域(100)および前記第1の保護領域(101)は、第1導電型を有し、
前記第2の注入領域(200)および前記第2の保護領域(201)は、第2導電型を有し、
前記第1の保護領域(101)内のドーパント濃度は、前記第1の注入領域(100)内よりも高く、
前記第2の保護領域(201)内のドーパント濃度は、前記第2の注入領域(200)内よりも高く、
前記第2の保護領域(201)内の前記ドーパント濃度は、前記第1の保護領域(101)内の前記ドーパント濃度より少なくとも2倍高く、
前記第2の保護領域(201)は、前記第2の注入領域(200)の前記活性領域(300)とは反対側に配置され、
前記第1の保護領域(101)は、前記半導体本体(10)の側面(10A)に沿って、前記第1の注入領域(100)の前記活性領域(300)とは反対側から、前記第2の注入領域(200)内に延在し、前記活性領域(300)を完全に貫通する、オプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項2】
前記半導体本体(10)は、リン化合物半導体材料、特にInGaAlPまたはヒ化物化合物半導体材料、特にAlGaAsをベースとする、請求項1に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項3】
前記第1の保護領域(101)と前記第2の保護領域(201)との間に遮蔽領域(400)が配置されている、請求項1または2に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項4】
前記遮蔽領域(400)は、前記第2の注入領域(200)よりも少ない割合のアルミニウムを含む、請求項3に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項5】
前記遮蔽領域(400)が、0.5≦x≦0.9で、式(InGa1-xAl0.490.51に従う組成物を有する、請求項3または4に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項6】
前記遮蔽領域(400)は、前記第2の注入領域(200)よりも低い表面再結合速度を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項7】
前記遮蔽領域(400)内のドーパント濃度は、前記第1の保護領域(101)内のドーパント濃度よりも少なくとも2倍高い、請求項3~6のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項8】
前記第1の保護領域(101)は、前記遮蔽領域(400)内で終端する、請求項3~7のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項9】
前記第1の保護領域(101)は、コア領域(500)の外側に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項10】
前記第2の保護領域(201)内のドーパント濃度は、前記第1の保護領域(101)内のドーパント濃度よりも少なくとも4倍高い、請求項1および2のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項11】
前記第1の注入領域(100)および前記第2の注入領域(200)は、それぞれ、x=1で、式(InGa1-xAl0.490.51に従う組成物を有する材料に基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項12】
前記第1の保護領域(101)は、材料、Mg、Znのうちの1つでドープされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項13】
前記活性領域(300)は、量子井戸構造として形成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項14】
前記活性領域(300)は、580nm~1μmの波長範囲の電磁放射線を放出することを意図する、請求項1~13のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項15】
前記半導体本体(10)の横方向延在部(L)は、100μm未満である、請求項1~14のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)。
【請求項16】
オプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法であって、
A)第1の注入領域(100)と、第2の保護領域(201)が形成された第2の注入領域(200)と、電磁放射線を生成するように意図され、第1の注入領域(100)と第2の注入領域(200)との間に配置された活性領域(300)と、を有する半導体本体(10)を設けることであって、
-前記第1の注入領域(100)は第1の導電型を有し、
-前記第2の注入領域(200)および前記第2の保護領域(201)は、第2導電型を有し、
-前記第2の保護領域(201)内のドーパント濃度は、第2の注入領域(200)内よりも高く、
-前記第2の保護領域(201)は、前記第2の注入領域(200)の前記活性領域(300)とは反対側に配置された、
設けることと、
B)前記第1の注入領域(100)の前記活性領域(300)とは反対側にマスク領域(30)を適用することであって、上面図に見ると、前記マスク領域(30)は、前記第1の注入領域(100)よりも小さい横方向延在部(L)を有し、前記第1の注入領域(100)上に中央に配置される、適用することと、
C)第1のドーパント材料を前記第1の注入領域(100)に導入して、前記半導体本体(10)の側面(10A)に沿って、前記第1の注入領域(100)の前記活性領域(300)とは反対側から前記第2の注入領域(200)に延在し、前記活性領域(300)を完全に貫通する、第1導電型を有する第1の保護領域(101)を形成することと、を含み、
前記第1の保護領域(101)内のドーパント濃度は、前記第1の注入領域(100)内よりも高く、前記第2の保護領域(201)内の前記ドーパント濃度は、前記第1の保護領域(101)内の前記ドーパント濃度より少なくとも2倍高い、オプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法。
【請求項17】
前記C)は、前記第1の保護領域(101)における前記活性領域(300)のバンドギャップ(E)が量子井戸混晶化によって拡大されるように行われる、請求項16に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法。
【請求項18】
前記C)における前記第1の注入領域(100)への第1のドーパント材料の導入が、拡散によって行われる、請求項16または17に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法。
【請求項19】
前記A)において、前記第1の保護領域(101)と前記第2の保護領域(201)との間に遮蔽領域(400)をさらに有する半導体本体(10)が設けられる、請求項16~18のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法。
【請求項20】
前記C)において、前記第1のドーパント材料を前記第1の注入領域(100)に導入して、第1導電型を有する第1の保護領域(101)を形成することは、前記第1の保護領域が、前記半導体本体(10)の側面(10A)に沿って、前記第1の注入領域(100)の前記活性領域(300)とは反対側から前記遮蔽領域(400)に延在し、前記活性領域(300)を完全に貫通する、ように実行され、前記遮蔽領域(400)内のドーパント濃度は、前記第1の保護領域(101)内よりも高い、請求項19に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オプトエレクトロニクス半導体部品およびオプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
特に、オプトエレクトロニクス半導体部品は、電磁放射線、好ましくは人間の目に知覚可能な光を生成および/または検出することを意図している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき課題は、改善された効率を示すオプトエレクトロニクス半導体部品を特定することである。
【0004】
解決されるべき別の課題は、改善された効率を有するオプトエレクトロニクス半導体部品の簡略化された製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品は、第1の保護領域が形成される第1の注入領域と、第2の保護領域が形成される第2の注入領域とを有する半導体本体を備える。
【0006】
半導体本体は特に、半導体材料の複数のエピタキシャル成長層を含む。これらの層は、積層方向において互いの上に堆積される。したがって、積層方向は、半導体本体の主延在方向に対して横方向に、特に垂直に延びる。例えば、半導体本体は、モノリシックに形成された半導体結晶である。
【0007】
第1の注入領域は、電荷キャリアの注入を目的とする半導体本体の領域である。例えば、第1の注入領域を手段として、正孔の半導体本体への注入が行われる。第1の保護領域は、第1の注入領域に形成される。特に、第1の注入領域は、第1のドーピング材料が導入される半導体本体の領域である。
【0008】
第2の注入領域は、電荷キャリアの注入を目的とする半導体本体の別の領域である。例えば、第2の注入領域を手段として、半導体本体への電子の注入が行われる。第2の保護領域は、第2の注入領域に形成される。特に、第2の注入領域は、第2のドーピング材料が導入される半導体本体のさらなる領域である。
【0009】
第1の保護領域および第2の保護領域を手段として、オプトエレクトロニクス半導体部品の動作中に、半導体本体内の電荷キャリア密度の優先的な分配を生成することができる。
【0010】
さらに、半導体本体は、電磁放射線を生成するように配置され、第1の注入領域と第2の注入領域との間に配置された活性領域を備える。活性領域は例えば、放射線発生または放射線検出のために、pn接合と、ダブルヘテロ構造とを有する。半導体部品は例えば、発光ダイオード、特にLEDまたはレーザダイオードである。ここで、第1の注入領域および第2の注入領域は、活性領域に電荷キャリアを注入するために設けられている。
【0011】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の注入領域および第1の保護領域は、第1導電型を有する。半導体材料に不純物原子をドープすることにより、導電型を生成することができる。例えば、第1導電型は、多数の電荷キャリアが正孔によって提供されるp型の導電型である。好ましくは、第1の注入領域および第1の保護領域はドーパントの濃度が異なる。
【0012】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の注入領域および第2の保護領域は、第2導電型を有する。例えば、第2導電型は、多数の電荷キャリアが電子によって提供されるn型の導電型である。好ましくは、第2の注入領域および第2の保護領域はドーパントの濃度が異なる。特に、第2導電型は、第1導電型とは異なる。
【0013】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の保護領域内のドーパント濃度は、第1の注入領域内のドーパント濃度よりも高い。
【0014】
より高いドーパント濃度は、オプトエレクトロニクス半導体部品の動作中に、電荷キャリア密度に局所的に影響を及ぼし得る。例えば、第1の保護領域におけるより高いドーパント濃度は、第1の保護領域における少数電荷キャリアの密度を減少させる。これにより、非放射性再結合処理によって半導体部品の効率が低下する領域において、電荷キャリアの密度を選択的に低下させることができる。
【0015】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の保護領域のドーパント濃度は、第2の注入領域のドーパント濃度よりも高い。第2の保護領域におけるドーパント濃度の増加は、第1の保護領域の積層方向への延在に影響を及ぼし得る。特に、第2の保護領域におけるドーパント濃度の増加は、第2の保護領域の方向における積層方向に平行な第1の保護領域の延在を減少させる。
【0016】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の保護領域は、第2の注入領域の活性領域とは反対側に配置される。第2の注入領域の活性領域とは反対側の配置により、第1の保護領域の積層方向への延在を、目標とする比較的簡単な方法で制御することができる。
【0017】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の保護領域は、半導体本体の側面に沿って、第1の注入領域の活性領域とは反対側の側から第2の注入領域内に延在し、活性領域を完全に貫通する。側面は、半導体本体の積層方向に沿って、または半導体本体の主延在方向に対して横方向に延在する。例えば、側面は主延在方向に対して、特に60°~70°の間の角度で配置することができ、半導体本体の台形断面をもたらす。さらに、側面は、積層方向に平行に、または半導体本体の主延在方向に垂直に配置することもできる。好ましくは、半導体本体の側面、特に好ましくは活性領域の側面は第1の保護領域によって完全に覆われる。
【0018】
ここでは、半導体本体の側面が非放射性再結合処理の源となり得るという知見が利用される。側面を第1の保護領域で覆うことによって、側面における電荷キャリア密度を低減することができ、したがって、非放射性再結合処理の確率も低減することができる。例えば、第1の保護領域は、少なくとも部分的に横方向に半導体本体を取り囲む。好ましくは、少なくとも活性領域の領域にある。
【0019】
特に、活性領域のバンドギャップは、活性領域内での量子井戸混晶化(quantum well intermixing)を手段として、第1の保護領域内で局所的に拡大される。これにより、動作中、少数電荷キャリア密度は、それに応じて局所的に低減される。したがって、有利には、第1の保護領域付近の側面における非放射性再結合を低減することができる。
【0020】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品は、
-第1の保護領域が形成された第1の注入領域と、第2の保護領域が形成された第2の注入領域と、第1の注入領域と第2の注入領域との間に配置され、電磁放射線を発生させるための活性領域と、を有する半導体本体を備え、
-第1の注入領域および第1の保護領域は、第1導電型を有し、
-第2の注入領域および第2の保護領域は、第2の導電型を有し、
-第1の保護領域内のドーパント濃度は、第1の注入領域内のドーパント濃度よりも高く、
-第2の保護領域内のドーパント濃度は、第2の注入領域内のドーパント濃度よりも高く、
-第2の保護領域は、第2の注入領域の活性領域とは反対側に配置され、
-第1の保護領域は、第1の注入領域の活性領域とは反対側から第2の注入領域内に向かって半導体本体の側面に沿って延在し、活性領域を完全に貫通する。
【0021】
本明細書に記載されるオプトエレクトロニクス半導体部品は、とりわけ、半導体本体の側面で望ましくない非放射性再結合効果が生じ得るという考慮事項に基づく。この効果は、インジウムガリウムアルミニウムリン化物半導体材料に基づく赤色発光μLEDにおいて、この材料が高い表面再結合速度および大きい電荷キャリア拡散長を有するので、特に重要である。これらの特性は、半導体本体の側面において高い非放射性再結合確率を生成する。この効果は、半導体本体の横方向の膨張が減少することにつれて増加するが、それはより小さい本体が体積当たりの側面が比例してより多くなるからである。
【0022】
本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品は、とりわけ、第1および第2の注入領域に半導体本体の側面に沿って第1の保護領域を導入するという考えを利用する。第1の保護領域は、半導体本体の側面におけるキャリア密度を低減する。したがって、非放射性再結合確率を低減することができる。その結果、オプトエレクトロニクス半導体部品の効率が有利に高められる。
【0023】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体本体は、リン化物化合物半導体材料、特にInGaAlPまたはヒ化物化合物半導体材料、特にAlGaAsをベースとする。これらの半導体材料は特に高い表面再結合率を示し、このため、非放射性再結合に関する対策が特に有用である。
【0024】
この文脈における「リン化合物半導体材料系」とは、半導体本体またはその少なくとも一部、特に好ましくは少なくとも活性領域および/または成長基材ウェハが好ましくはAlGaIn1-n-mPまたはAsGaIn1-n-mPを含み、ここで0≦n≦1、0≦m≦1およびn+m≦1であることを意味する。言い換えると、半導体本体またはその少なくとも一部、とりわけ好ましくは少なくとも活性領域および/または成長基材ウェハは(InGa1-xAl1-yを含む。それによって、この材料は、必ずしも上記式に従って数学的に厳密な構成を有する必要はない。むしろ、それは、1つ以上のドーパントならびに追加の構成成分を含んでもよい。しかしながら、簡単にするために、上記の式は結晶格子の必須成分(AlまたはAs、Ga、In、P)のみを含み、これらは、一部が少量の他の物質によって置き換えられてもよい。
【0025】
本文脈における「ヒ素化合物半導体材料系」とは、半導体本体またはその少なくとも一部、特に好ましくは少なくとも活性領域および/または成長基材ウェハが好ましくはAlGaIn1-n-mAsを含み、ここで0≦n≦1、0≦m≦1およびn+m≦1であることを意味する。この材料は、必ずしも、上記の式に従って数学的に正確な組成を有する必要はない。むしろ、それは、1つ以上のドーパントならびに追加の構成成分を含んでもよい。簡単にするために、上記の式は結晶格子の必須成分(AlまたはAs、Ga、In)のみを含み、これらは、少量の他の物質によって部分的に置き換えられてもよい。
【0026】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽領域は、第1の保護領域と第2の保護領域との間に配置される。遮蔽領域は例えば、半導体本体のエピタキシャル成長領域である。特に、遮蔽領域は、第2導電型を有する。
【0027】
好ましくは、遮蔽領域は、第2の注入領域の材料よりも低い表面再結合速度を有する半導体材料で形成される。低い表面再結合速度は、非放射性再結合の確率を有利に低減することができ、それによって、オプトエレクトロニクス半導体部品の効率を高める。特に、遮蔽領域における表面再結合速度は、1×10cm/s~1×10cm/sの値を有し、好ましくは、遮蔽領域における表面再結合速度は、1×10cm/s未満の値を有する。
【0028】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽領域は、第2の注入領域よりも低いアルミニウム含有量を有する。特に、リン化物化合物半導体材料またはヒ化物化合物半導体材料をベースとする層では、低いアルミニウム含有量によって、低減された表面再結合速度を達成することができる。
【0029】
オプトエレクトロニクス素子の少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽領域は、0.5≦x≦0.9、好ましくは0.6≦x≦0.8、特に好ましくはx=0.6で、式(InGaAl0.490.51に従う組成物を有する。このような複合遮蔽領域は、有利には特に低い表面再結合速度を示す。
【0030】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽領域は、第2の注入領域よりも低い表面再結合速度を有する。低い再結合速度を手段として、遮蔽領域において非放射性再結合確率が有利に低減される。
【0031】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、遮蔽領域内のドーパント濃度は、第1の保護領域内のドーパント濃度よりも少なくとも2倍高く、好ましくは少なくとも4倍高い。遮蔽領域内のドーパント濃度を手段として、とりわけ、第1の保護領域が第2の注入領域内にどれだけ広がるかを設定することができる。遮蔽領域内のドーパント濃度が2~4倍高い場合、第1の保護領域は、有利には遮蔽領域内で終端する。
【0032】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の保護領域は、遮蔽領域内で終端する。遮蔽領域は、特に低い表面再結合速度を有する。第1の保護領域が遮蔽領域内で終わる場合、遮蔽領域の材料の低い表面再結合速度のために、そこに形成されるpn接合について、有利に低減された非放射性再結合確率が生じる。
【0033】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の保護領域は、コア領域の外側に配置される。コア領域は、半導体本体の中心に延在し、特に積層方向に平行に延在する。したがって、コア領域は、半導体本体の側面から、領域内で、好ましくはすべての側面上で、離間される。コア領域では、例えば、第1の保護領域よりも高い電荷キャリア密度が存在する。
【0034】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の保護領域内のドーパント濃度は、第1の保護領域内のドーパント濃度よりも少なくとも2倍高く、好ましくは少なくとも4倍高い。例えば、第2の保護領域におけるドーパント濃度は、4×1017cm-3と10×1017cm-3との間である。第2の保護領域内のドーパント濃度は、とりわけ、第1の保護領域が第2の注入領域内にどれだけ広がるかを設定するために使用することができる。2~4倍高いドーパント濃度では、第1の保護領域が有利には遮蔽領域で終端する。
【0035】
オプトエレクトロニクス素子の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の注入領域および第2の注入領域は、それぞれ、x=1である、式(InGa1-xAl0.490.51に従う組成物を有する材料に基づく。このような組成物は、赤色スペクトル領域において電磁放射線を放出するように意図されたオプトエレクトロニクス半導体部品を形成するのに有利である。
【0036】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の保護領域は、以下の材料:マグネシウム、亜鉛のうちの1つでドープされる。第1の保護領域のドーパントとしては、第1の保護領域のドーピングレベルを変化させることができ、拡散速度ができるだけ高い、不純物原子が最適である。亜鉛の拡散速度は特に速いので、亜鉛を使用することが好ましい。第2の保護領域は、以下の材料、例えばテルル、ケイ素のうちの1つでドープされる。
【0037】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、活性領域は、量子井戸構造として、好ましくは多重量子井戸構造として形成される。量子井戸構造は例えば、単一量子井戸構造(SQW:single quantum well structure)または多重量子井戸構造(MQW:multi quantum well structure)である。量子井戸構造を手段として、特に効率的な荷電キャリアの放射性再結合を達成することができる。さらに、量子井戸構造におけるバンドギャップは、混晶化(quantum well intermixing)によって特に容易に影響され得る。
【0038】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、活性領域は、580nm~1μmの波長範囲、好ましくは580nm~660nmの波長範囲の電磁放射線を放出することが意図される。580nm~660nmの発光スペクトルを有する半導体部品の場合、この材料中のアルミニウム含有量は通常、特に高い。これは不利なことに、高い表面再結合速度をもたらし、これが、非放射性再結合処理に対する対策が特に有用である理由である。
【0039】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体本体の横方向延在部は、100μm未満、好ましくは50μm未満、特に好ましくは20μm未満である。横方向延在部は、半導体本体の主延在方向に平行であり、半導体本体の積層方向を横断する方向における半導体本体の延在部を表す。横方向の延在が小さいことにより、例えば、高解像度ディスプレイデバイスにおける画素としてのオプトエレクトロニクス半導体部品の使用が可能になる。
【0040】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造する方法がさらに開示される。オプトエレクトロニクス部品は特に、本明細書に記載の手段によって製造することができる。すなわち、オプトエレクトロニクス半導体部品を製造するための方法に関連して開示されるすべての特徴は、オプトエレクトロニクス半導体部品についても開示され、逆もまた同様である。
【0041】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップA)において、第1の注入領域と、第2の保護領域が形成された第2の注入領域と、第1の注入領域と第2の注入領域との間に配置された、電磁放射線を生成するための活性領域と、を有する半導体本体が提供され、
-第1の注入領域は第1導電型を有し、
-第2の注入領域および第2の保護領域は、第2導電型を有し、
-第2の保護領域内のドーパント濃度は、第2の注入領域内のドーパント濃度よりも高く、
-第2の保護領域は、第2の注入領域の活性領域とは反対側に配置される。好ましくは、複数の半導体本体がウェハ複合体内に設けられる。例えば、半導体本体は、連続的な半導体積層体の一部である。
【0042】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップB)において、マスク領域は、第1の注入領域の、活性領域とは反対側の面に適用され、マスク領域は、上面視において、第1の注入領域よりも小さい横方向の広がりを有し、第1の注入領域上の中央に配置される。好ましくは、マスク領域が半導体本体のコア領域を完全に覆う。
【0043】
特に、マスク領域は、ドーパントとして第1の注入領域に導入される材料に対して弱透過性であるか、または透過性ではない。したがって、有利には、第1のドーパントの導入が半導体本体のコア領域の外側の領域に制限されることができる。例えば、マスク材料は、半導体本体の表面全体に適用される。特に、マスク領域は、フォトリソグラフィプロセスにおいてパターニングされる。好ましくは、複数のマスク領域が、ウェハ化合物中の複数の半導体本体上に並列に配置され、共通のプロセスステップでパターン化される。
【0044】
オプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップC)において、第1のドーパント材料が第1の注入領域に導入されて、半導体本体の側面に沿って第1の注入領域の活性領域とは反対側の面から第2の注入領域内に延在し、活性領域を完全に貫通し、第1の保護領域内のドーパント濃度が、第1の注入領域内のドーパント濃度よりも高い、第1導電型を有する第1の保護領域を形成する。例えば、第1のドーパント材料は、注入(implantation)によって第1の注入領域に導入される。
【0045】
第1のドーパントの拡散深さは、第2の保護領域におけるドーピングのレベルによって大きく決定される。第1の保護領域の垂直方向の広がりは、第2の保護領域におけるドーピングレベルの適切な選択によって、制御された方法で調整することができる。
【0046】
第1のドーパント材料の導入は、第1のドーパント材料のコア領域への浸透が低減または回避されるように、マスク領域によって少なくとも部分的に遮蔽される。したがって、第1の保護領域は特に、コア領域の外側の半導体本体の側面上に形成される。
【0047】
オプトエレクトロニクス半導体部品の製造方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップC)は、第1の保護領域内の活性領域のバンドギャップが量子井戸混晶化(quantum well intermixing)によって拡大されるように実行される。活性領域における局所的に拡大されたバンドギャップにより、半導体部品の動作中に、半導体本体の側面における電荷キャリア密度の低減を達成することができる。したがって、半導体本体の側面における非放射性再結合は、有利には低減または回避される。
【0048】
十分な量子井戸混晶化(quantum well intermixing)の生成は例えば、プロセスステップC)の持続時間に依存する。例えば、第1の保護領域内の活性領域内の十分な量子井戸混晶化(quantum well intermixing)は、有利には4分を超える持続時間の間行われる。ステップC)は、好ましくは少なくとも15分、特に好ましくは少なくとも45分の時間にわたって行われる。
【0049】
オプトエレクトロニクス部品を製造する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップC)における第1のドーパント物質の導入は、拡散の手段によって行われる。拡散は、半導体本体の結晶格子にいかなる放射線損傷も生じないドーパント材料の特に穏やかな導入を可能にする。
【0050】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップA)において、第1の保護領域と第2の保護領域との間に遮蔽領域をさらに有する半導体本体が提供される。遮蔽領域は特に、エピタキシャル成長される半導体材料で形成される。遮蔽領域は、特に第2の導電型を有する。
【0051】
好ましくは、遮蔽領域は、第2注入領域の材料よりも低い表面再結合速度を有する半導体材料で形成される。低い表面再結合速度は非放射性再結合の確率を有利に低減することができ、それによって、オプトエレクトロニクス半導体部品の効率を高める。特に、遮蔽領域における表面再結合速度が1×10cm/s~1×10cm/sの値を有し、好ましくは、遮蔽領域における表面再結合速度が1×10cm/s未満の値を有する。
【0052】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、ステップC)において、第1のドーパント材料は、第1導電型を有する第1の保護領域を形成するために第1の注入領域に導入され、その結果、第1の保護領域は、第1の注入領域の活性領域とは反対側の側から、遮蔽領域内に、半導体本体の側面に沿って延在し、活性領域を完全に貫通し、遮蔽領域内のドーパント濃度は、第1の保護領域内よりも高い。
【0053】
遮蔽領域内のドーパント濃度は、とりわけ、第1の保護領域が第2の注入領域内にどれだけ広がるかを設定するために使用することができる。遮蔽領域内のドーパント濃度が2~4倍高いと、第1の保護領域は、有利には遮蔽領域内で終端する。
【0054】
オプトエレクトロニクス半導体部品を製造するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品の最終的な形状は、側面を生成するための共通の構造化処理によって、後続のステップD)において画定される。例えば、側面は、半導体本体の主延在方向に対して60°~70°の角度を有する。
【0055】
本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品は、表示装置、例えばディスプレイにおけるμLEDとしての使用に特に適している。
【0056】
オプトエレクトロニクス半導体部品のさらなる利点および有利な実施形態、ならびにさらなる実施形態は、図面に関連して示される以下の例示的な実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の第1の実施形態に係るオプトエレクトロニクス半導体部品の概略断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るオプトエレクトロニクス半導体部品の概略断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るオプトエレクトロニクス半導体部品の概略上面図である。
図4】第2の例示的な実施形態による、本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品の積層方向に沿ったバンドギャップの変形例と同様に、ドーパント濃度を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
同一であるか、同様であるか、または同一の効果を有する構成要素には、図中、同一の参照符号が与えられる。図面および図面に示される構成要素の割合は、一定の縮尺で見なされるべきではない。むしろ、個々の構成要素は、より良好な表現可能性のためにおよび/またはより良好な理解可能性のために、誇張して大きく示され得る。
【0059】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るオプトエレクトロニクス半導体部品1の概略断面図を示す。オプトエレクトロニクス半導体部品1は、積層方向Sに沿って、第2の注入領域200が形成された第2の保護領域201と、活性領域300と、第1の保護領域101が形成された第1の注入領域100とを有する半導体本体10を含む。
【0060】
電気的接触部20は、第1の注入領域100の活性領域300とは反対側に配置される。さらに、電気的接触部20は、第2の保護領域201の活性領域300とは反対側に配置される。電気的接触部20は、金属で形成される。電気的接触部20を手段として、オプトエレクトロニクス半導体部品1の電気的な接続および半導体本体10への電荷キャリアの注入が行われる。
【0061】
マスク領域30は、第1の注入領域100に面する電気的接触部20上に配置される。マスク領域30は特に、第1の保護領域101がドープされる第1のドーピング材料に対してほとんど透過性でないか、または非透過性である。マスク領域30は、さらなるプロセスステップで除去することができ、その後、完成したオプトエレクトロニクス半導体部品1に含まれなくなる。
【0062】
積層方向Sは、活性領域300の主延在方向に対して横方向に、特に垂直に延在する。半導体本体10は、積層方向Sに平行に延びる側面10Aを有する。第1の保護領域101は、第1の注入領域100における半導体本体10の側面10Aに沿って第2の注入領域200内に延び、活性領域300を完全に貫通する。
【0063】
第1の注入領域100および第1の保護領域101は、第1導電型を有する。第2の注入領域200および第2の保護領域201は、第2導電型を有する。例えば、第1導電型はp型導電型であり、第2導電型はn型導電型である。
【0064】
第2の保護領域201内のドーパント濃度のレベルは、積層方向Sにおける第1の保護領域101の範囲に影響を及ぼす。有利には、第2の保護領域201のドーパント濃度は、第1の保護領域101が第2の注入領域200内で終了するように選択される。
【0065】
半導体本体10の中心には、積層方向Sに平行な上面図において、第1の保護領域101が存在しないコア領域500が存在する。コア領域500は、半導体本体10の側面10Aからすべての側で離間している。コア領域500は、遮蔽領域30によって少なくとも部分的に覆われる。第1の保護領域101の横方向の広がりは、遮蔽領域30の横方向の広がりにより調整可能である。
【0066】
第1の保護領域101では、活性領域300に混入する(intermixing)量子井戸を手段として、活性領域300のバンドギャップが局所的に拡大される。これにより、活性領域300における電荷キャリアの側面10Aへの横方向の拡散が低減される。これにより、活性領域300において、側面10Aにおけるキャリア濃度がより低くなる。その結果、オプトエレクトロニクス半導体部品1における非放射性再結合確率が有利に低減される。
【0067】
図2は、第2の例示的な実施形態による、本明細書に記載されるオプトエレクトロニクス半導体部品1の概略断面図を示す。第2の実施形態は、本質的に第1の実施形態に対応する。対照的に、図2に示される第2の例示的な実施形態では、半導体本体10は、第1の保護領域101と第2の保護領域201との間に配置され、第2導電型を有する遮蔽領域400をさらに備える。
【0068】
遮蔽領域400は、第2の注入領域200よりもアルミニウムの割合が低い材料で形成されている。遮蔽領域400内のアルミニウムの割合がより低いことにより、遮蔽領域400内の表面再結合速度が有利に低減される。したがって、遮蔽領域400における非放射性再結合の確率はより低い。
【0069】
遮蔽領域400および第2の保護領域201におけるドーパント濃度のレベルは、積層方向Sにおける第1の保護領域101の範囲に影響を及ぼす。有利には、遮蔽領域400のドーパント濃度は、第1の保護領域101が遮蔽領域400において終端するように選択される。また、第2の注入領域200におけるドーパント濃度は十分に低い。例えば、第2の注入領域200におけるドーパント濃度は、第1の保護領域101におけるドーパント濃度よりも低い。対照的に、遮蔽領域400におけるドーパント濃度は、第1の保護領域101内のドーパント濃度よりも、好ましくは少なくとも2倍高く、好ましくは少なくとも4倍高い。
【0070】
第1の保護領域101が遮蔽領域400内で終わるという事実により、そこで形成されるpn接合は、非放射性表面再結合事象の特に低い確率を有利に示す。
【0071】
図3は、第1の例示的な実施形態による、本明細書に記載されるオプトエレクトロニクス半導体部品1の概略上面図を示す。上面図では、半導体本体10の横方向延在部Lが明らかである。横方向延在部Lは、半導体本体10の側面10Aから半導体本体10の反対側の側面10Aまで延在する。半導体本体10は、必ずしも正方形または長方形の形状を有していなくてもよい。例えば、横方向延在部Lは、円形の半導体本体10の直径とみなすこともできる。
【0072】
半導体本体10の上面図では、注入領域100および第1の保護領域101が見える。半導体本体10の中心には、第1の保護領域101がないコア領域500が示されている。コア領域500は、第1の保護領域101によって横方向に完全に囲まれており、半導体本体10の側面10Aから全側面において離間している。これにより、半導体本体10のすべての側面10Aは、第1の保護領域101によって覆われる。その結果、側面10Aにおける非放射性再結合確率が有利に低減される。
【0073】
図4は、第2の実施形態に係る、本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体部品1の積層方向Sに沿ったn-ドーパント濃度N、p-ドーパント濃度P、およびバンドギャップEの変形例の概略図を示す。
【0074】
積層方向Sに沿って、バンドギャップEの経過が、第2の保護領域201、遮蔽領域400、第2の注入領域200、活性領域300、および第1の注入領域100にわたって示されている。活性領域300には、バンドギャップEの異なる複数の層が存在する。
【0075】
n-ドーパント濃度Nは、第2の保護領域201内で最大値をとり、積層方向Sに沿って遮蔽領域400の過程で着実に減少する。p-ドーパント濃度Pは、第1の注入領域100内で最大値を有し、活性領域300の方向で積層方向Sに向かって着実に減少する。第1の保護領域101内では、p-ドーパント濃度Pは、第1の注入領域100内よりも高い値を有し、したがって、活性領域300を通って、部分的に第2の注入領域200を通って遮蔽領域400内に積層方向Sとは反対に延びる。
【0076】
第2の保護領域201内のn-ドーパント濃度Nの最大値は、第1の保護領域101内のp-ドーパント濃度Pの値よりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも4倍高く、したがって、積層方向Sに対する第1の保護領域101の延在が遮蔽領域400内で終了することを確実にする。
【0077】
なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。むしろ、本発明は、この特徴または組み合わせ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合であっても、任意の新しい特徴ならびに特徴の任意の組み合わせを包含し、特に、特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含む。
【0078】
本特許出願はドイツ特許出願第102021100534.5号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 オプトエレクトロニクス半導体部品
10 半導体本体
20 接触部
30 マスク領域
100 第1の注入領域
101 第1の保護領域
200 第2の注入領域
201 第2の保護領域
300 活性領域
400 遮蔽領域
500 コア領域
10A 側面
L 横方向延在部
S 積層方向
E バンドギャップエネルギー
P p-ドーパント濃度
N n-ドーパント濃度
図1
図2
図3
図4