(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】廃液処理設備
(51)【国際特許分類】
G21C 19/307 20060101AFI20241114BHJP
G21F 9/04 20060101ALI20241114BHJP
G21F 9/06 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G21C19/307 400
G21F9/04 Z
G21F9/06 521B
(21)【出願番号】P 2023538005
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2021016915
(87)【国際公開番号】W WO2022196886
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0035406
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョロン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハク ス
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジンス
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン-ホ
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-268092(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1999845(KR,B1)
【文献】特開平07-246301(JP,A)
【文献】特表2014-516776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/00-19/50
23/00
G21F 9/00- 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の系統と連結されているろ過器、
前記ろ過器と連結されている脱塩器、
前記ろ過器と連結されており互いに異なる波長の第1ランプおよび第2ランプが連続して連結されている反応器、
前記ろ過器、脱塩器、および反応器と連結された緩衝タンク、
前記ろ過器、脱塩器、反応器、および緩衝タンクの間を連結して前記系統と共に溶液の
循環構造を形成する循環配管部
を含み、
前記溶液は前記第1ランプおよび前記第2ランプを順次に通過する、廃液処理設備。
【請求項2】
前記第1ランプの周囲の前記溶液は第1温度を維持し、前記第2ランプの周囲の前記溶液は前記第1温度よりも高い第2温度を維持する、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項3】
前記第1温度は40℃~60℃であり、前記第2温度は90℃である、請求項2に記載の廃液処理設備。
【請求項4】
前記第1ランプは180nm~280nmの波長を放出し、
前記第2ランプは280nm~500nmの波長を放出する、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項5】
前記反応器は前記第1ランプを含む第1反応器、
前記第2ランプを含む第2反応器
を含む、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項6】
前記反応器は複数が設置されている、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項7】
前記反応器と連結された冷却装置をさらに含む、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項8】
前記第1ランプの長さと前記第2ランプの長さとは互いに異なる、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項9】
前記循環配管部は
前記系統と前記ろ過器との間を連結する第1循環配管、
前記ろ過器と前記脱塩器との間を連結する第2循環配管、
前記ろ過器と前記反応器との間を連結する第3循環配管、
前記ろ過器、脱塩器、および反応器と前記緩衝タンクとの間をそれぞれ連結する第4循環配管、
前記緩衝タンクと前記系統との間を連結する第5循環配管
を含む、請求項1に記載の廃液処理設備。
【請求項10】
前記第1ランプは、相対的に前記第3循環配管と隣接するように位置し、前記第2ランプは、相対的に前記第4循環配管と隣接するように位置する、請求項9に記載の廃液処理設備。
【請求項11】
前記反応器に供給される廃液は、pH3以下、60℃以下、Fe濃度が2mM、過酸化水素濃度が20mM~25mMである、請求項1に記載の廃液処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理設備に関するものであって、特に原子力発電所を解体する際に発生される廃液を処理するための廃液処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所は、原子炉内での核分裂性物質の連鎖核分裂反応を人工的に制御して熱を発生させる。
【0003】
原子力発電所は、原子炉を中心にして、多くの個別的機能を有する系統、例えば原子炉冷却材系統(原子炉圧力容器、蒸気発生器、加圧器、主要配管など)、化学および体積制御系統(Chemical and Volume Control System)、残留熱除去系統などからなる。
【0004】
このような系統内には放射性物質が存在するのであり、これら物質から放出される放射線によって作業者が被ばくされうる。
【0005】
したがって、原子力発電所の永久停止または部品交替作業の際に、作業者の放射線被ばくを低減させるために、化学的除染が行われ、これによる廃液が発生する。
【0006】
このような廃液は、多数の重金属および放射性物質を含んでいることから、多様な処理工程を実施した後に、安全な状態で排出しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、化学的除染から発生される廃液を安全且つ容易に処理することができる廃液処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による廃液処理設備は、(1)原子力発電所の系統と連結されているろ過器、(2)ろ過器と連結されている脱塩器、(3)ろ過器と連結されており互いに異なる波長の第1ランプおよび第2ランプが連続して連結されている反応器、(4)ろ過器、脱塩器、および反応器と連結された緩衝タンク、(5)ろ過器、脱塩器、反応器、および緩衝タンクの間を連結して、系統と共に溶液の循環構造を形成する循環配管部を含み、溶液は、第1ランプおよび第2ランプを順次に通過する。
【0009】
前記第1ランプの周囲の溶液は第1温度を維持し、第2ランプの周囲の溶液は、第1温度よりも高い第2温度を維持することができる。
【0010】
前記第1温度は40℃~60℃で、第2温度は90℃でありうる。
【0011】
前記第1ランプは180nm~280nmの波長を放出し、第2ランプは280nm~500nmの波長を放出するのでありうる。
【0012】
前記反応器は、第1ランプを含む第1反応器、第2ランプを含む第2反応器を含むことができる。
【0013】
前記反応器は、複数が設置されうる。
【0014】
前記反応器と連結された冷却装置をさらに含むことができる。
【0015】
前記第1ランプの長さと第2ランプの長さとは、互いに異なりうる。
【0016】
前記循環配管部は、(1)系統とろ過器との間を連結する第1循環配管、(2)ろ過器と脱塩器との間を連結する第2循環配管、(3)ろ過器と反応器との間を連結する第3循環配管、(4)ろ過器、脱塩器、および反応器と緩衝タンクとの間をそれぞれ連結する第4循環配管、(5)緩衝タンクと系統との間を連結する第5循環配管を含むことができる。
【0017】
前記第1ランプは相対的に第3循環配管と隣接するように位置し、第2ランプは相対的に第4循環配管と隣接するように位置するのでありうる。
【0018】
前記反応器に供給される廃液は、pH3以下、60℃以下、Fe濃度が2mM、過酸化水素濃度が20mM~25mMでありうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、原子力発電所の解体の前に、系統内を化学的に容易に除染して放射性物質を除去することによって、解体作業の際、作業者の放射線被ばくを最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるUV反応器内部におけるランプの配置を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるUV反応器内部におけるランプの配置を説明するための図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるUV反応器内部におけるランプの配置を説明するための図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるUV反応器内部におけるランプの配置を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による廃液処理設備の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0022】
図1および
図2は、本発明の一実施形態によるUV反応器の内部のランプ配置を説明するための図である。
【0023】
図1および
図2に示したように、本発明の一実施形態によるUV反応器40は、反応チャンバー45、反応チャンバー45の内部に設置されているUVランプ46を含む。
【0024】
反応チャンバー45は、流体が流入されて反応が起こる密閉された空間を提供するものであって、反応チャンバー45は、反応流体が流入および排出される流入口4と排出口5を有する。
【0025】
反応器40の上部から溶液が反応器40の内部へと供給される場合、反応器40の上部に空いた空間が形成されて反応効率が低下しうるので、流入口4は反応チャンバー45の下部または下部の側面に位置し、排出口5は、反応チャンバー45の上部または上部の側面に位置する。したがって、流体は、反応チャンバー45の下部または下部の側面に流入されて反応後に上部または上部側面へと排出されうる。
【0026】
反応チャンバー45内の化学反応によって気体が発生しうるのであり、気体は、反応チャンバー45の上部に設置された排気管(図示せず)を通じて排出されうる。
【0027】
例えば、UVランプから発生するUVは、溶液内の有機酸を光分解するのであり、この際、二酸化炭素ガスと水が発生しうるのであり、二酸化炭素ガスが排気管へと排出されうる。
【0028】
排気管には、粒子性物質の排出を防止するためのフィルター(図示せず)、例えばHEPAフィルターがさらに設置されうる。
【0029】
UVランプ46は、反応チャンバー45内に複数で配置されうるのであり、反応チャンバー45内にて一定の間隔をおいて配置されうる。
【0030】
UVランプ46は、互いに異なる波長の第1ランプ7と第2ランプ8を含むのであり、第1ランプ7と第2ランプ8とは流体が移動する方向に連続して連結されうる。
【0031】
第1ランプ7は、相対的に流入口4と隣接するように配置され、第2ランプ8は相対的に排出口5と隣接するように配置される。
【0032】
第1ランプ7と第2ランプ8は、それぞれ一方向に長い形態を有し、反応チャンバー45に垂直な方向に挿入されうる。
【0033】
図1では、第1ランプ7と第2ランプ8の長さを同一に設置したが、これに限定されるのではなく、反応効率および反応時間などを考慮して、第1ランプと第2ランプの長さを調節して互いに異なるように設置することができる。即ち、同一の長さで第1ランプと第2ランプを形成するとき、第1ランプを通過する間の時間のみでは有機物分解が十分でないことがあるので、第1ランプの長さを第2ランプの長さより長く形成することができる。
【0034】
それぞれのランプは、石英管9、石英管9内に挿入されているUV光源6を含む。ここで、石英管9の厚さは10mm以内でありうる。
【0035】
UVランプ46は、波長によって互いに異なるエネルギーを発散する、第1ランプ7と第2ランプ8を含む。第2ランプ8は第1ランプ7よりも相対的に高エネルギーのランプであって、例えば、第1ランプ7はUVCランプであり、第2ランプ8はUVBランプであってもよい。UVC(short wave UV)ランプは180nm~280nmの波長を放出し、UVB(middle wave UV)ランプは280nm~500nmの波長を放出する。
【0036】
本発明の一実施形態による反応チャンバーは有機物分解に使用されうるのであり、有機物分解の反応効率は、第1ランプ7の場合、40℃~60にて最高の効率を得ることができる。したがって、有機物分解の際、最高の効率を得ることができるように、第1ランプ7を反応器の下部に位置させる。第2ランプ8は第1ランプ7よりも高い温度であって、第2ランプ8周囲の反応物温度は90℃以上であり得る。
【0037】
反応物は、反応器下部から供給されて反応器の上部に排出されうるのであり、循環されうる。したがって、第1ランプ7によって分解された反応物は、第2ランプ8を通過するに伴って加熱され、排出される際に90℃以上であり得る。
【0038】
第1ランプ7と第2ランプ8は、それぞれ複数が設置されうるのであり、反応チャンバー45内の流体に均一なUVを照射するために、一定の間隔で配置されうる。
【0039】
本発明の一実施形態のようにUVランプを配置して、反応効率の高い低エネルギーのUVCランプである第1ランプ7を通過した後、高エネルギーの第2ランプ8であるUVBランプを通過するようにすることによって、廃液処理が終わった反応物は、高温で行う系統の除染の際に、別途の加熱工程なしに行うことができる。
【0040】
一方、反応器40は冷却装置401(
図3参照)をさらに含むことができ、冷却装置401は反応器の外部に位置して排出口5と連結され、反応器40から排出される反応物の温度を適切な温度に冷却させる。例えば、冷却装置401は、系統除染のように高温を必要とする場合には作動しないのであり、系統除染を行わずに相対的に低い温度を必要とする廃液処理を行う場合には作動されうる。
【0041】
冷却装置401は、反応物との熱交換で反応物を冷却させることができる形態であれば、いかなる形態であっても関係ない。例えば、反応物が移動する管の外部に冷媒が流れる冷却コイル(図示せず)が設置されうる。
【0042】
以上の反応器は、廃液処理過程または系統除染過程で発生される溶液内の有機酸を分解するのに使用されうる。
【0043】
有機酸を分解するために、pHとFe濃度、過酸化水素濃度が適正範囲に調節される場合、UVによって過酸化水素が分解されるに伴いOHラジカルが多量に発生して有機酸を酸化させて除去する。例えば、廃液の有機酸を分解するために、廃液はpHを3以下、Fe濃度は2mM以下、温度は60℃以下、過酸化水素の濃度は~25mMに維持されうる。この際、過酸化水素の場合、原子力発電所系統内の既存装置(薬品注入タンク)を使用して系統内に注入する。
【0044】
図3および
図4は、本発明の他の実施形態によるUV反応器の内部におけるランプの配置を説明するための図である。
【0045】
図3に示したUV反応器は、大部分が
図1および
図2と同一であるので、異なる部分についてのみ具体的に説明する。
【0046】
図3および
図4のUV反応器は、チャンバー内に設置されたUVC、UVBランプを含む。
【0047】
図3を参照すれば、本発明の他の実施形態によるUV反応器410は、第1反応器31と第2反応器32を含み、第1反応器31と第2反応器32は直列に連結されうる。即ち、第1反応器31を通過した廃液は第2反応器32に伝達できる。必要によって、廃液は、第1反応器31を通過した後に、第2反応器32を経ないのであるか、第1反応器31を通過した後に、第2反応器32に直接流入されるように配管(図示せず)が連結されうる。
【0048】
第1反応器31と第2反応器32には、互いに異なるランプが設置されうるのであり、例えば第1反応器31には相対的に低温のUVCランプである第1ランプ7が複数で設置されうるのであり、第2反応器32には相対的に高温のUVBランプである第2ランプ8が複数で設置されうる。
【0049】
第1反応器31の第1ランプ7は互いに直列または並列に連結されうるのであり、第2反応器32の第2ランプ8は互いに直列または並列に連結されうる。
【0050】
また、
図4に示した反応器420のように、第3反応器33と第4反応器34が並列に連結されうるのであり、第3反応器33および第4反応器34は、それぞれ
図1のように第1ランプ7と第2ランプ8とが直列に連結されうる。
【0051】
図4のように、第3反応器33と第4反応器34とを並列に連結すれば、一つの反応器に問題が発生する場合、残りの一つの反応器を通じて廃液の分解を行うことができる。
【0052】
以下では、前述の本発明の一実施形態によるUV反応器を含む廃液処理設備について、図面を参照して説明する。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態による廃液処理設備の概略的な構成図である。
【0054】
図5に示したように、本発明の一実施形態による廃液処理設備1000は、原子力発電所の系統100に連結されている、減圧器10、ろ過器20、脱塩器30、反応器40、緩衝タンク50、酸化剤製造装置60、薬品注入タンク70、および注入ポンプ80,81、並びに、これらの間を連結して流体(以下、溶液という)の
循環構造を成す循環配管部を含む。
【0055】
系統100は、原子炉冷却材系統(原子炉圧力容器、蒸気発生器、加圧器、主要配管など)、化学および体積制御系統、残留熱除去系統でありうるのであり、炭素鋼またはステンレス鋼を含む金属からなるのであり得る。したがって、系統100の内部の表面には、金属酸化物層(クロム、鉄、ニッケル、コバルトなど)が形成されうる。
【0056】
循環配管部は、減圧器10、ろ過器20、脱塩器30、反応器40、緩衝タンク50、酸化剤製造装置60、薬品注入タンク70、注入ポンプ80、81の間を連結して、系統100の化学除染後放射性物質を含む溶液の有機酸分解および金属イオン除去などを経る循環構造を提供する。
【0057】
循環配管部は、(1)系統100の排出口と減圧器10との間に連結されている第1循環配管L1、(2)減圧器10とろ過器20との間に連結されている第2循環配管L2、(3)ろ過器20と脱塩器30との間に連結されている第3循環配管L3、(4)ろ過器20と反応器40との間に連結されている第4循環配管L4、(5)ろ過器20と緩衝タンク50との間に連結されている第5循環配管L5、(6)脱塩器30と緩衝タンク50との間に連結されている第6循環配管L6、(7)反応器40と緩衝タンク50との間に連結されている第7循環配管L7、(8)酸化剤製造装置60と薬品注入タンク70との間に連結されている第8循環配管L8、(9)薬品注入タンク70と緩衝タンク50との間に連結されている第9循環配管L9、(10)緩衝タンク50と系統100との間に連結されている第10循環配管L10を含む。
【0058】
以上の循環配管部には、内部を移動する溶液の速度および流量を制御するポンプおよびバルブが設置されうる。
【0059】
減圧器10は、系統100から排出される溶液の圧力を減少させるためのものであって、ろ過器20の前端に連結されて、ろ過器20に供給される溶液の圧力を減少させる。例えば、系統100から排出される圧力は500psiであり、減圧器10を通過した後に、ろ過器20に供給される圧力は200psi~250psiであり得る。
【0060】
ろ過器20は、廃液内にて溶解されずに残存する粒子性金属物質を除去するためのものであって、ろ過器20は、複数のフィルターを含むことができ、少なくとも一つの予備フィルターを含むことができる。
【0061】
ろ過器20にて、10μm以上の大きさを有する浮遊物質および粒子性金属物質(クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、セシウム(Cs)など)が除去されうるのであり、ろ過器20は、耐腐食性材質からなるカートリッジフィルター(cartridge filter)でありうるのであり、10μm以上の粒子を98%以上除去する効率を有することができる。
【0062】
脱塩器30は、金属性イオンを除去するためのものであって、イオン交換樹脂塔を含むことができ、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を含みうるのであり、例えば、陽イオン交換樹脂2つと陰イオン交換樹脂一つから構成されうる。
【0063】
UV反応器40は、廃液の有機物をH
2OとCO
2に分解するためのものであり、
図1および
図2に示したUV反応器であって、廃液が流入されるチャンバーおよびランプを含む。
【0064】
酸化剤製造装置60は、系統除染時に供給される薬品を製造するための装置であって、過マンガン酸カリウムから陽イオン樹脂を用いて過マンガン酸を生産することができる。したがって、酸化剤製造装置は、過マンガン酸カリウムタンク、強酸性陽イオン樹脂塔、過マンガン酸カリウム注入ポンプを含むことができる。
【0065】
薬品注入タンク70は、酸化剤製造装置60から生産された過マンガン酸と、有機物分解に使用されるシュウ酸などが保管されうるのであり、第9循環配管L9を通じて緩衝タンク50に注入されうる。この際、薬品注入タンク70は、酸化剤、還元剤を別途に保管することができるように、2つ以上のタンクから構成される。
【0066】
薬品注入タンク70と緩衝タンク50との間の第9循環配管L9には、薬品を注入するための注入ポンプ80が連結されうるのであり、注入ポンプ80は、多重性を考慮して2つ設置されうるのであり、一つを使用する際に一つは待機状態であり得る。
【0067】
緩衝タンク50は、廃液に薬品を注入して混合するか、CO2を排気するためのタンクであって、ろ過器20、脱塩器30、反応器40から廃液が供給されるか、薬品注入タンク70から薬品が供給されうる。
【0068】
一方、緩衝タンク50の廃液は、注入ポンプ81が設置された第10循環配管L10を通じて系統100に供給されうるのであり、注入ポンプ81は昇圧用ポンプでありうる。
【0069】
注入ポンプ81は、緩衝タンク50内の廃液および薬品を系統100に注入する際に使用されうるのであり、系統100の圧力は400psi以下であるので、注入ポンプ81は、それ以上の圧力にポンプを設計することができる。注入ポンプ81は、多重に設計されうるのであり、例えば一つは使用し、一つは待機状態であり得る。
【0070】
以上説明した廃液処理設備を参照すれば、廃液を容易に処理することができる。以下では、
図3の廃液処理設備を用いて廃液を処理する方法について説明する。
【0071】
本発明の一実施形態による廃液は、系統除染が終わった廃液を処理することで、廃液処理の方法は、系統除染が終わった廃液を準備する段階、廃液を分解処理する段階、浄化処理する段階を含む。
【0072】
系統除染は、酸化剤および還元剤を用いて、系統100の内部表面に形成された、クロム、鉄、ニッケルなどの金属酸化物層を除去するためのもので、過マンガン酸が酸化剤として使用されうるのであり、還元剤としてシュウ酸といった有機酸が使用されうる。この際、過マンガン酸は、本発明の一実施形態による廃液処理設備の酸化剤製造装置60を通じて製造されうるのであり、酸化剤製造装置は、過マンガン酸カリウムから陽イオン樹脂を用いて過マンガン酸を生産することができる。生産された過マンガン酸は、薬品注入タンク70に保存されうるのであり、系統除染時に、薬品注入ポンプ80を通じて、緩衝タンク50と注入ポンプ81を通じて系統100に供給されうる。還元剤も、薬品注入タンク70を通じて製造および保存されうる。
【0073】
この際、系統100の除染は、反応温度である80℃~100℃の温度で最適の反応効率を示すので、前記の温度で加熱した後、系統100に注入されうる。しかし、本発明の一実施形態による反応器40を使用すれば、系統100から排出された後、反応器の第2ランプ8を通過するに伴って廃液が加熱されて排出されるのであり、この際の温度が90℃以上である。したがって、系統除染に適した90℃以上の高温で系統に供給されうる。
【0074】
したがって、系統除染のために廃液の温度を上昇させるための別途の装置を必要としない。
【0075】
反応器40から排出される廃液を用いない場合、別途のヒーター(図示せず)を用いて加熱した後に、系統100に供給されうる。
【0076】
廃液を準備する段階は、廃液分解処理をするための廃液条件を満足させるための事前処理工程であって、Fe濃度に応じて行うことができる。
【0077】
系統100を除染した後、除染廃液のFe濃度≦2mMである場合、廃液を準備する段階を行わず、廃液分解処理する段階を行う。
【0078】
そして、系統100を除染した後、除染廃液のFe濃度>2mMである場合、廃液を準備する段階を行った後に、廃液分解処理する段階を行う。
【0079】
系統100を除染した後、除染廃液のFe濃度がFe濃度>2mMである場合、廃液を準備する段階は、系統100から排出される廃液が、減圧器10、ろ過器20、脱塩器30、緩衝タンク50、および注入ポンプ81、並びにこれらを連結する循環配管L1、L2、L3、L5、L6、L10を通過して、再び系統100に注入されて循環されうるのであり、Fe濃度≦2mMであるときまで循環されうる。
【0080】
前記循環によって、Fe濃度≦2mMを満足すれば、発電所系統内の既存装置(薬品注入タンク)を使用して過酸化水素を注入するのであり、この際、廃液内に過酸化水素の濃度が均一に分布するように循環させる。
【0081】
廃液を分解処理する段階は、系統100を除染した後、除染廃液のFe濃度≦2mMである廃液、またはFe濃度>2mMで廃液を準備する段階を行った後、系統内に過酸化水素を注入して、廃液内に過酸化水素が均一に含まれている廃液に対して、有機酸を分解するようにするための工程である。
【0082】
廃液を分解処理する段階で、廃液は、系統100から減圧器10、ろ過器20、反応器40、緩衝タンク50、注入ポンプ81を通過して、再び系統100に注入されて循環されうる。この際、廃液の分解が95%以上になるまで循環されうる。
【0083】
例えば、廃液を分解処理する段階では、廃液に含まれているシュウ酸が本願発明のUV反応器を通じて分解されうる。シュウ酸が分解される際、最適の反応温度は50℃~60℃であるので、本願発明のUV反応器に廃液が注入されると、第1ランプ7の周囲を通過するに伴い、効果的にシュウ酸分解が行われる。
【0084】
廃液は、循環配管を通じて、継続して循環されつつ反応器40に流入されうるのであり、反応器40から排出される廃液のシュウ酸濃度をリアルタイムで測定する。
【0085】
反応器40から排出される廃液のシュウ酸濃度が基準値を満足しない場合、廃液は、循環配管を通じて継続して循環されうる。この際、反応器40から排出される廃液の温度は、第2ランプ8を通過した後に排出されるので、90℃以上の高温であり得る。したがって、反応器40から排出される廃液は、冷却装置401を通過して60℃以下に冷却されうる。
【0086】
その後、第2ランプ8を通過するに伴い廃液の温度が上昇し得るが、廃液は、冷却器401を通過するに伴い温度が下がり得る。
【0087】
また、第1ランプ7と第2ランプ8とのオン・オフを異ならせて、シュウ酸分解の際には、第1ランプ7をオンさせ、第2ランプ8をオフさせることができる。
【0088】
本発明の一実施形態による有機酸溶液は、反応器下部から上部へと移動するに伴い、第1温度および第2温度で反応が行われ、第1温度と第2温度に温度が変化するに伴い最適の有機酸分解効果を得ることができる。
【0089】
浄化処理段階は、廃液分解が完了した廃液内に残留する金属イオンおよび残留除染剤を除去するためのものであって、廃液は、系統100、減圧器10、ろ過器20、脱塩器30、緩衝タンク50、注入ポンプ81を通過して再び系統100に注入されて循環されうる。この際、廃液の残留金属イオンおよび除染剤が除去されるまで行われうる。
【0090】
脱塩器30は、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を含むものであって、除去しようとする金属イオンに応じてイオン交換樹脂が選択されうる。
【0091】
以上では本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で、多様に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属するのは当然である。